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内海説明員 踏み切り事故の
実情につきましては、今
お話のありました
通りでありますが、しかも年々増加をして参っておりますので、私
どもも
関係各省と話し合いをしまして、その
対策をいろいろ
考えておるわけであります。今御
質問の車の種別による指導
対策という点につきましては、在来からやはりトラックあるいは自家用の乗用車というようなものが踏み切りにおける事故が非常に多いわけでありますので、屡次これらにつきましてはその指導をしてきておるわけでありますけれ
ども、たとえば個別的にこの場合はこうというふうな技術的な面における指導というものは困難でありますので、いずれも一般的な指導をいたしておるわけであります。しかしながら、こういうふうな具体的なダンプカー等の事故を見ておりますと、原因はいろいろ
考えられるのでありまして、
一つは端的に申しまして、やはり運転をしている人が踏み切りにさしかかった場合における安全確認というものがかなり行なわれておらない。極端な例を言いますと、踏み切りの警手がおってもこれを無視して飛んでいく、あるいは遮断機がおりておりましても遮断機の合間を縫っていく、さらに警報機の場合におきましては、そういう場合にも警報機の明滅あるいは音を無視して飛んでいく、こういうふうな
状態がありまするので、少なくともダンプカーにつきましては、まず運転者自身の積極的なこういう場合における安全確認の指導が必要であり、自覚が必要であると思います。
それから第二の問題は、各事故のみならず、一般的に
調査いたしてみますと、先ほど
運輸省の
自動車局長からも
説明のございましたように、砂利運搬というふうなものが、
道路工事あるいは建築ブームというふうなことで、ここ数年来急激に稼働いたしておるわけでありますが、それらの業態がどちらもいずれかといえば零細な中小企業である、そういうことからいゆわる土砂運搬というものに対してかなり無理な運転が行なわれておるのではないかということが察せられるのであります。その察せられる理由は、たとえば厚木街道を通っております
自動車等について調べますと、
東京まで持ってくるその回数におきましても、少なくとも労働基準として
考えられる
条件をオーバーしておるものが相当多数になっておりまするし、また積載しておりますものにつきましても、厳密に見るならば六〇%ないし七〇%の車両が積載をオーバーしておる。特にひどいものは、非常に大きなオーバーをしておる、こういうふうな
状態がありまして、自然踏み切り等における一時停止、しかる後の安全確認というふうなことを無視しがちな傾向を示しておる。従ってこの場合におきましては、この運転者を雇用しておる雇用者側においても大きな自覚を必要とする。
第三の問題は、いわゆる踏み切りそのものの問題であります。踏み切りの施設につきましては、
運輸省の指導で、各国鉄及び私鉄の方も
努力をされておることは、私
どもも十分認めるところでありますけれ
ども、にもかかわらず、先ほど発表がありましたように、ほとんど八割ないし九割近いものがいわゆる無人踏み切りになっておる。またそうでなくても、設備がされておりましても、運転者の心理的な観点から、どうかするとこの踏み切りというものの存在を忘れがちである、こういうふうな点から、やはり私
どもとしましては、あらゆる観点から踏み切りそのものに対する何らかの
対策というものを持って臨まなければならないのではないか。
以上のような運転者、それを雇用する人、さらに踏み切りそのものの
条件というふうなものについて、それぞれ理由があるわけでありますので、それらを総合的に解決していくことがこの問題の解決になろうと思います。しかし私
どもとしましては、当面の問題といたしましては、そういうふうな
条件を勘案しまして、雇用者に対しまして忠告、また運転者一般に対する警告、または踏み切りの状況等を
調査しまして、この踏み切りにおける諸般の
実情というものを、そこを通過することの多い運転者等にはできるだけ示し得るようにいたしたいということで、今
努力をいたしておるところであります。