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大竹平八郎君 私は、
外交の
基本政策の一番かなめでございまする
国際情勢の問題につきまして、
総理大臣並びに
外務大臣から御所見を最初に伺いたいと思うのであります。と申しますのは、
岸内閣当時でございます。例の
韓国に
岸総理は
私設秘書と称する特使を送って、そうして町の
大統領でございまする
李承晩に四十五度のおじぎをいたして、
日露戦争以来の
日本の対
韓政策というものが非常に
失敗であり、申しわけがなかったというようなことを言われて、天下の物笑いになったのでございます。そういうことを
考えましても、ことに一衣帯水の間にございまするところの
朝鮮とか、あるいは
大陸等に対しまする
情勢判断というものが、
外交の
基本方針を確立する上にいかに必要であるか、そういう
意味におきましてただいま
世界の大きな問題になっておりまするところの
ソ連とそれから
中共の激しい
理論対立という問題につきまして伺いたいと思うのであります。
これは、昨日
外交問題に対しまする
同僚委員の質問に対しまして、
総理は、
推定の問題につきましてはとの前提において、詳細な御
答弁はなかったようでございますが、私がこれから申し上げようといたしますることは
推定ではございません。全部事実でございます。ことに建国以来
中共は、ここに私は持って参りましたが、
人民日報が出ております。これは、私は創刊以来
毎日目を通しております。かつてこの
人民日報が
ソ連を
非難し、そうして
ソ連を
攻撃をいたしたということはないのであります。ところが、昨年の秋以来の
中共は、
ソ連に対しまして、ここにもございます
通り、きびしく
非難をいたしておるという、こういう事実があるのでございます。これは、単なる
共産圏内におけるところの
理論対立といたしましてわれわれが傍観をすることはできない重大な問題でございます。御
承知の十一月七日の
ソ連の
革命記念日を契機といたしまして、
共産党国の十二ヵ国を初めといたしましてそれから
資本主義諸国の
共産党代表が参加いたしまして、そうして八十一ヵ国が
ソ連において集合いたして、
共産党世界大会をやりましたことは、御
承知の
通りであります。
総理は、しばしばこの問題につきまして、
自分はその成り行きにつきまして非常な
関心を持っておるということも言われていたように私
どもは伝え聞いておるのでございます。そこで、この
大会の
状況というものは、いまだに、いかなる
方面から探りましても、その詳報というものはないのてございます。しかし、十二月五日に
共同宣言が発表せられましたことは御
承知の
通りだろうと思うのてございます。しかしながら、この
共同声明が発表される前にあたりまして、これは
インドの情報でございますので、確実とは申せないのでございまするが、
中共の劉小
奇主席は、この
共同宣言可決にあたりまして、二百ヵ所の修正を要求した、こういうことを伝えられておるのでございますので、その
両者の
対立というものがいかに深刻であったかということは、これははっきりいたすわけでございます。ニューヨーク・タイムズは、
劉少奇の
演説を二時間半といっております。それからニューズ・ウイークは九時間といっております。いずれにいたしましても、この
劉少奇の
演説がいかに激しかったかということは、言うまでもないのであります。
そこで、
中共、
ソ連の論争の第一点でありますが、
中共は、
資本主義国家とは当然
戦争というものは避けられない。これは、
フルシチョフ氏がかつて
アメリカに参りまして
平和共存を唱えて帰ったときに、すでにこれは唱えておるのでございます。
フルシチョフ氏は、御
承知の
通り、
平和共存で、そうして
経済競争で米国に打ち勝つ自信がある、こういうことを言われておるわけでございます。
それから第二は、
ソ連は、
核戦争の場合は両陣営ともこれは
破滅をするのだ、こういうことで、核問題に対しまして批判をいたしておりまするが、
中共は、
資本主義国家がやられるのであって、
核戦争が始まっても残るのは共
心圏だ。ことに
中共は、二億が
人がかりに
破滅をいたしましても、四億五千万人というものが残るのだ、こういうことまでもこの
新聞の中で唱えておるのでございます。こういう場合に、非常に理論的な
対立が激しくなりまして、最近のそうした
対立の動向というものかどういう点において出て参ったかということを一、二度申し上げますというと、
ソ連で発行をいたしておりますところの「友邦」、それから「シナ」という
定期季刊雑誌がございますが、これが最近廃刊をせられたという事実でございます。
それから、これは本年のたしか八月と記憶いたしておりますが、
北京で
開催をせられましたるところの
世界労連大会におきまして
中共の
代表の
劉少奇、これは総
工会の副
主席でございますが、この
演説の中で、
平和共存を非常に
攻撃いたしたのであります。これに対しまして、
ソ連代表は立ち上がりまして、もしその
演説をやめない限りは
自分は退場すると言って、非常に強硬に
反対をして、これを取りやめたという事実があるのでございます。
それから、やはりこの八月でございますが、
モスコーで開かれました
国際東洋学者会議におきまして、
各国の
学者が六十四ヵ国から約二千人集合いたしております。しかしながら、
中共の
学者は一人も
出席をいたしていないのであります。それから、外蒙大使でございました
スタリーン派の巨頭であるモロトフ氏が最近左遷をせられて国に帰ったという、こういう事実もあるのであります。
それから、本年の八月一日の
陸軍記念日に、
各国の
北京駐在式官がその
記念日に招待をせられましたときに、
参課長の
羅端郷氏の
演説に対しまする答礼の
あいさつが、普通でありまするならば、当然に
ソ連代表の
武官がいたすのでございますが、この日には
チェッコ代表が
あいさつをいたしたという、こういう事実があるのでございます。
人民日報によりまするというと、当
日ソ連代表の
武官が出ていたかどうかも疑われるということまても書いてあるのでございます。
それから、いささか旧聞ではございまするが、かつての奉天でございますが、今の東北の
工業地帯の
中心でございまする洛陽におきまする
総領事館が、これが
引き揚げをいたしたわけでございます。
引き揚げを
総領事館がいたしたということは、言うまでもなく、その土地におきまするところの
ソ連の
人たちがいなくなった。こう断言してもよろしと思うのでありますが、それからさらに、その
ソ連の
中共におきまする五千人の技師が、この一年の岡において
ソ連に
帰国を命せられておる事実であり、現に
北京では
行別輸送列車までできて、これを送っておる
状況でございます。
それからさらに、
ソ連におりまする四千六百人の
中共の留学生が、これが
東欧諸国あるいは
中共へ
帰国を命ぜられておるという、こういうような事実もあるのでございまして、まことにこの
両国の
理論闘争というものは、そういうように実際の面にまで出てきておるわけでございます。
従いまして私
どもは、この
共産圏の、しかも八十一ヵ国中におきまして、この両派の
対立というものにつきましては、
AA諸国は
中共に賛成いたしております。
そういうわけで、今後の
日本が、昨日来各
委員よりも問題を提示いたしました対
中共との問題でございます。こういった
国交問題等に関しまして、この
情勢というものを十分に検討、
判断をいたさないというと、
日本のそういった
中共外交というものは
失敗をいたすのであります。
そういう
意味で、特にこういうような
世界の最近に起きた一指大きな事実、これは
推定ではございません。こういう事実に対しまして、
総理大臣のお
考え、それからさらに
外務大臣のお
考えをこの際
一つ御披瀝を願いたいと私は思うのでございます。