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羽生三七君 このほかたくさん問題があるのでありますが、時間がもうちょっとしかなくなったので最後の
質問をちょっと一問だけ触れておきますが、ガリオア、イロアの返済の問題は、私、当参議院の本
会議、
委員会等で数回触れてきた問題でありますが、この際
政府にぜひお
考えをいただきたいのは、私は今まで余裕を残した
質問をしてきたのであります。というのは、
政府の
答弁が、数字をかりに出した場合、それが対外的に既定事実として受け取られては困りますので、一国民として配慮して私はあまり具体的なことを今まで触れなかった、非常に抽象的な形で
質問してきたのであります。そこでこの債務と確定する場合には
国会の承認を要することは、これは当然でありますが、その承認とは
政府は必ずきまった額を計上して、そして
予算の決定を得ればそれは承認だとお
考えになっているかと思う、憲法八十五条の解釈をそういうようにされておる方もあります。しかし、まあその解釈の問題は別として、出てきたものを承認か不承認かという形で問題を提起されても、これは私は非常にまずいと思う。だから問題はむしろそれが妥当であるかどうか、原則的に債務と認めるのかどうか。またかりに認めるという場合においても、それはどういうふうにして算定をしたのか、そういうことをはっきり確かめる
意味においてもぜひこれは慎重に扱ってもらいたい。というのは、この前も
お尋ねをいたしたのでありますけれ
ども、御
承知のようにいろいろ材料を持っておりますけれ
ども、
日本は終戦処理費で五千二百億円払っております。ところがこれは当時換算して四十七億ドルということになっております。これはどうしてこういう五千二百億円が四十七億ドルというような計算が出てくるかというと、当時は正式なレートがなかった、複数レートであります。この複数レートと、もう
一つは、
政府が暫定的な軍の換算率によって五千二百億円というのをきめたのでありますが、これを四十七億ドルというものを今の金に換算すると一兆数千億になる。だから今
アメリカの請求が十八億ドルか二十億ドルかは別として、とにかく五千二百億円は終戦処理費で払ってきております。それから対日援助物資は、これを積み立てて、見返り資金特別会計として運用され、その後開銀に受け継がれまして、今日では産投特別会計に受け継がれておる。この詳細は数字をみな持っております。それはともかくとして、それは産業に貢献したのだから、三千数百億円が対日見返り援助資金として積み立てて運用されていたとか、産業に貢献されていたといえばそれまでです。また、見返り物資は国民が全部払っていたのだから二重払いになるということも、
政府の
答弁では、対
アメリカの
関係では決済がされておらないから払うのは当然だということです。しかし、どういうふうにして換算されたか。正式なレートがなかったから、複数レートで換算して、五千二百億円と当時の金で評価されている。でありますから、そういう非党に矛盾があるのに、大づかみで二十億ドル程度、三分の一で五、六億ドル程度を五年間据え置き、その後三十年賦、西独方式というのでは、私はあまり問題が簡単過ぎると思う。しかも私
どもは、
国会で何回も感謝決議をやっておる。特に参議院ではたしか特別集会か何かやって感謝決議をしたことがあります。だから、これは当然そのことには感謝いたしますが、われわれとしては、それは済んだことだと思っております。それなのにこれがこういう形で問題を提起されてきたというのは非常に残念に思います。
私は時間がないのでこれでやめますけれ
ども、そういう疑問を解明なしに、
アメリカと何億ドルときめられて、何十年賦で、利息は幾ら、何年据え置きときめられて、そしてこれを
国会で承認するかしないかで問題を提起するのは適当ではないと思います。むしろ問題を
国会で事前に協議を求めて、あらゆる疑問を提起して、かりにそれが債務と確定した上で正式な交捗に移った方が私はノーマルな
やり方だと思いますが、この点は慎重な考慮を願いたいと思いますが、この点に関して最後に
お尋ねいたします。