○岡
三郎君 どうもナマズ問答になるからあまりしたくありませんが、しかし、とにかく私は今の初任給ではようやく
大学卒業して、高等
学校卒業して、生活が自立できないんじゃないかというふうに痛感しているものです。だから、ある
程度研修させたりいろいろ公務員に張りを持たせる、そういうようなことを
考えたときに、やっぱり総合的な給与体系というものを
考えていかなければならぬとともに、あまり初任給が安過ぎるということで、民間の方に例をとってみても給与内容というものから
考えていけば、理科系統だけじゃなくて文科系統の者でもだいぶ違ってきておるんじゃないか、どこと比較するかということになると、
問題点があるんでしょうがね。そういうふうな点で私は
大学を卒業して、少なくとも四、五年たったらみんな結婚適齢期になるということになれば、道徳の根元とかいろいろなことを言うけれ
ども、やっぱり衣食足って礼節を知るわけです。具体的に
大学を出て、四、五年たてば生活が維持できるような待遇というものを、国がある
程度見てやらなければ網紀を厳正にすると言っても、なかなか具体的に成果が上がらないんじゃないか。だから、抜本的に待遇の改善ということは、これはすべてに通ずる根本
原則だというふうに
考えて、この前私は独得の言葉で道徳賃金論というやつを言ったことがあるんです。これは自分がまじめに働いてそうして生活をする、
学校を出て生活していくその場合に、自分のとったサラリーで切り詰めてもなかなか生活ができぬという状態にしておいて、なお実家なりその他から支援をしてもらえる人たちはいいけれ
ども、そうでない人はどうしてもアルバイト、あるいはその他の収入の道をはからなければならぬ。そういうことであっては端本的にならぬじゃないかということを
考えて、少なくても
大学卒業して数年たったならば、その人が細君を迎えて一戸をかまえることのできるような最低の保障、底をしっかり作ってもらうための
一つ給与勧告あたりをしてもらわなければいかぬ、そういうことをこれは数年来、もっと前から
考えたのでありますが、そういうことを
考えついたときに、政府の方針というものは、なかなか
財政問題もあるとしても、非常にテンポがおそくて、民間がはるかに先に行ってから、ようやく半分
程度の給与の実質増加という形できているのじゃないかということを
考えたときに、基本的に
大学を卒業して数年後、一定の年令に達したときには、家庭が持てるような給料ということを根本的に
考えた給与体系というものを
考えてもらいたいというのが……。私の
考え方は初任給をある
程度高くして、そうして一定の年数まで相当の上昇をもっていって、そうしてある一定の年令へきたらば、それからは比較的スローでもいいが、とにかく傾斜の急なところではどうしても無理がある。だから、ある
程度初任給を上げて、そうして家庭を持った、一子、二子、三子――まあ家族の状態もありますが、とにかくその
程度。それからある
程度きたら、ぜいたくはできぬでもしんぼうしろということで、カーブをゆるやかにしてもそれはいけるじゃないか。ところが、今それは逆なんです。初任給うんと低くして、上層へ行くに従って伸びるようになっているけれ
ども、生活破綻というか、ある相当の年令にこないというと生活の安定とか、保障というものはない仕組みになっている。これでは何と言ったって道徳的に私は生活の中で問題が残っておる。だから、とにかく一人前の仕事をさせるためには、自分のまじめな働きによって得られる給与によって家庭を作り、子女を
養成して、そうしてその中でまじめな生活ができるような体系というものを
考えていったときには、今の給与体系では少し無理が多過ぎるんじゃないかというふうな、初任給は少なくとも最小限度とにかく二万円の線くらいまではとんとんと上げて、三万円くらい、ある
程度まで上げていってもらって――今の状態の中でも。それから先は少しゆるやかでもいいんじゃないかというような気がするのですが、今のところは上厚下薄という言葉がよくいわれるように、あまりにも下の方がテンポがのろ過ぎるんじゃないか、その点どうですか。