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説明員(赤沢璋一君) お手元にございます海外経済
協力基金法案の要綱につきまして簡単に要旨を御
説明申し上げたいと思います。
海外経済
協力の
問題が重要な
問題であり、最近世界全体からいたしましても特に活発に取り上げられておるという事情は、すでに御存じの通りでございます。もちろん、わが国といたしましても、すでにこれらの東南アジアその他の地域に対しまして経済
協力をやっておったのでありますが、何分にも資力その他十分でない状態でもございます。
政府関係機関といたしましても、日本輸出入銀行が輸出入金融のほか海外投資金融という面で業務を行なって参っておるわけでありますが、なおそれだけでは十分でないということでございますので、本年の三月にお手元にございますような海外経済
協力基金法案を作案いたしまして
国会に提出、御審議を願ったわけでございます。先般の
国会では御存じのような政情から継続審議になりましたが、その後衆議院の解散によりまして審議未了になり、今回あらためて今度の
特別国会に御
提案をしているという次第でございます。
法案の内容につままして、要綱に基づきまして簡単に趣旨を御
説明いたしたいと思います。
目的のところにございますように、この基金は、東南アジア地域その他の開発途上にある海外の地域の産業開発に寄与するため、その開発に必要な資金で日本輸出入銀行及び一般の
金融機関から供給を受けることが困難な資金につきまして、その円滑な供給をはかる等のために必要な業務を行ない、もって海外経済
協力を
促進することを目的といたしております。この基金がカバーしております地域は、この目的の
最初にございますように、東南アジア地域その他いわゆる低開発地域ということでございますので、主として東南アジアがいろいろ
問題でもあり、重要でもあると思いますけれ
ども、その他、全世界の低開発地域に必要な経済
協力のための資金というものを供給することになっているわけでございます。しかしながら、現在輸出入銀行その他一般の
金融機関も、それぞれそういう方面に関与いたしておりますが、それらではまかない切れない、たとえて申しますれば、通常の条件で融資を受けることがむずかしい、担保の
問題でございますとか、あるいは期限の
問題、その他あとで申し上げますように、輸出入銀行と違う点を申し上げますが、そういう点で、通常の条件でなかなかお金が借りられないというような海外開発の
事業につきまして、この基金から融資、あるいは、場合によりましては出資等も行なうというふうに相なっているわけでございます。
この基金の資本金でございますが、第三のところに書いてございますように、先般、
昭和三十三年の法律で、いわゆる経済基盤強化法という法律でもって、五十億円というものが、日本輸出入銀行の東南アジア開発
協力基金というものに出資をされております。いわゆるたな上げになっておったわけでございます。この資金を、輸出入銀行からこの基金は承継をいたすという建前になっております。
第二号の方は、現在まで約三年間、この輸出入銀行で管理軍用いたしました積立金が約三億七千万円ばかりございます。この五十億円と、現在までの管理運用利益の約三億七千万円余というものを資本金といたしまして、いわゆる振替充当をするということに相なっております。
なお、二項、三項にございますように、必要があれば、
政府としては追加出資をするという建前になっておりまして、私
ども経済企画庁といたしましては、明
年度予算といたしまして、なお五十億円の追加出資の要求をいたしております。
役員の点でございますが、これは総裁が一人、
理事が二人、監事が一人ということで、ごく強力簡素な形の機構をとっております。後段で申し上げましたように、輸出入銀行の業務とやや似た業務を行なう
関係上、いわゆる事務の一部、たとえば貸付の申し込みでありますとか、その他、事務の相当
部分につきましては、輸出入銀行に事務を委託をすることになっております。
〔
理事櫻井志郎君退席、
理事秋山俊一郎君着席〕
従いまして、基金自身といたしましては、役員その他簡素な形で出発をしたい、かように考えているわけでございます。
問題は、第三章の業務でございますが、その点につきましては、やや詳しく御
説明を申し上げたいと思います。七ページの第十三、業務の範囲というところでございます。「基金は、第一に掲げる目的を達成するため、次の業務を行なうこと。」となっておりまして、第一は、「東南アジア等の地域の産業の開発に寄与し、かつ、本邦との経済交流を
促進するため緊要と
認められる
事業(以下「開発
事業」という。)のために必要な資金を貸し付けること。」これは、現在輸出入銀行で、いわゆる海外
事業金融、あるいは海外投資金融といっております範囲と、ほぼ同じ範囲のものでございますが、輸出入銀行の場合には、資金の内容が、設備資金でございますとか、あるいは貸付の相手方がこういう場合には本邦法人、あるいはこういう特別の場合には外国の
政府等、あるいは法人というふうな限定をいたしております。今回の基金では、そういう限定を設けておりませんで、資金の内容を規定をいたしております。こういうために必要な資金であれば貸すことができる。従いまして、法文上は、相手方が本邦法人であるとあるいは外国法人たるとに限らない、こういうような建前になっております。もちろんケースといたしましては、本邦法人に貸し付けることが大
部分のケースであろうかと思いますが、法文の建前上は、そういう特別の制限を設けておりません。
二号から四号までの業務に関しましては、現在輸出入銀行がやっておらない業務でございます。すなわち、二号業務、前項の規定による資金の貸付にかえて出資をすることができる、出資の業務を規定をいたしております。
それから第三号業務、これは、いわゆる金融ベースに乗らない貸付だと思いますが、いわゆる
事業の準備
調査のためのお金を貸し付けることができる。あるいは、試験的な
事業の
実施のために必要な金も貸し付けることができるというふうに相なっております。
四号は、以上の業務に
関連をいたしまして、基金みずからが必要な開発
事業の
調査もすることができる、かような規定になっておりまして、二号ないし四号の規定は、従前の輸出入銀行の規定の業務にない業務であろうかと思います。
第十四に規定をいたしておりますのは、今申し上げましたような貸付もしくは出資の業務に関しまして、次の場合に限ってできるという規定でございまして、一号の方は、普通の場合と変わりません。つまり、輸出入銀行あるいは一般の
金融機関から通常の条件により資金の貸付を受けること、また、出資を受けることが困難であると
認められる場合、通常の条件で輸銀その他から借りたりすることができる場合には、そちらの方の機関を御利用願いたいということでございますが、むしろ、重点は二号の方にあろうかと存じます。二号の規定は、「その開発
事業に係る
事業計画の内容が適切であり、その達成が確実であると
認められる場合」という規定をいたしております。輸出入銀行と比較してみますと、輸出入銀行の場合には、償環確実と
認められる場合に限り貸し付けることができる、こういう規定を設けているのに対しまして、この基金の場合には、
計画の内容は適切、達成が確実ということで、必ずしも償還確実という明文をうたっておりません。従いまして、こういった
関係上、本邦の
農林漁業あるいは中小企業といったような
団体あるいは個々の法人におきまして、担保力等があまり十分でないというようなもの等につきましても、ある程度幅広く運用ができるという建前をとっているわけでございます。
なお、この基金の貸付利子をどの程度にするか、あるいは期限をどの程度にするかというようなことは、次にございますような業務方法書によりまして規定をすることに相なっております。この業務方法書は、基金ができました後におきまして、企画庁長官が認可をすることになっておりますが、基金が、輸出入銀行と違いまして、独立の法人として設立をする必要がある建前から申しましても、利子等につきましては、輸出入銀行より低利であり、貸付期限等につきましても、それよりも長期であるという形に相なろうかと存じております。
その他財務、
会計等につきましては、いわゆる
政府の出資その他をいたしております特殊法人の例とほぼ同じことでございまして、特段御
説明を申し上げる点は少なかろうかと存じます。
監督につきましては、経済企画庁長官が監督いたすことに相なっておりまして、ただ、この法律の規定によりまして認可または承認をいたします場合には、外務
大臣、大蔵
大臣、通商産業
大臣に協議をいたします。相互に連絡をとりながら基金運用のよろしきを得たい、かように規定をされているのでございます。
なお、附則の第一条におきまして、この法律は公布の日から起算いたしまして三十日をこえない範囲で
施行いたします。しかしながら、前の経済基盤強化法のいわゆるたな上げ資金の承継をいたします
関係上、その
関係の分につきましては、基金
成立の日に削除もしくは
改正をする必要がございますので、当該条項につきましては、いわゆる
施行日から六十日以内に
施行するということに規定をいたしております。従いまして、今次
特別国会に
提案いたしましたのも、九十日でございますから、今
年度内に基金の設立をいたしたい、かようなことで
提案をいたしている次第でございます。
簡単でございますが、概要を御
説明いたしました。
以上でございます。