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政府委員(村山達雄君) まあ最初の税制
調査会の
運営は、君たちの意思が非常に強く反映しておるのじゃないかという
お話でございますが、実は私、昨年の五月の第一回の総会からちょうど一年半やっているわけでありますが、この
調査会は、なかなかわれわれの言うことをそのまま聞いてはもらえませんで、
資料要求、それから問題の取り上げ方、日程、結論に至るまで、なかなか各
委員の方が自由に発議されまして、最後にいろいろ意見調整をやってきめていくということで、われわれの意思がそう強く反映しているとは——反映しているといいますか、われわれの
考え方だけできまるということには決してなっていないということでございます。
それから、この千億の減税という、これに合わして問題が出ているかということでございますが、これはほかの税金、たとえば間接税をこのたび取り上げないとかなんとかいうところでは、まさに時間の関係、検討の時間の関係がありますが、千億と関係しておりますが、改正いたそうというこの
内容につきましては、特にその千億の中で割り振ったというような機械的なものではないことは当然でございまして、
一つ一つ積み上げまして、どの
程度の改訂が適当か。もちろん一方におきまして、その減税の規模があまり少なくても工合が悪いし、それからまた、そう多くいってもできないという点は、ある
程度は見てはおりますが、機械的に千億を割り振ったというような性質のものではなく、むしろ、個々の項目についての検討の結果がここに出ているというような調子でございます。
税率でございますが、これは税制
調査会におきましては、こういう
考えであったわけです。
昭和二十五年からのずっと減税の
内容を見ておると、
所得税で三十四年までに約六千億
程度の減税をやったことになっております。そのうち大体、控除が三分の二の四千億、税率で二千億。で、諸外国の例と比べますと、
所得税の負担が非常に重い。戦前に比べて、戦前でも特に
昭和十五年の改正直後の、それの平年度化した
昭和十六年当時の税制に比べてみますと、課税最低限においては、すでに、物価で換算して実質的な課税最低限で計算し直しても、当時の課税最低限の約二割アップの現状になっている。この三十五年度の税制で、従って、まあある
程度行っておる。それから、いろいろな生計費の計算をいたしましても、最低生計費よりは
相当上回った課税最低限になっておる。しかし、税率という点になりますと、これは
昭和十五年当時よりも非常に重い。で、その原因をいろいろ分析してみますと、要するに所得階層の変化があったということ。当時におきましても、五百万以上の納税者が人員では一〇%くらいであったにもかかわらず、税額で五〇%以上占めておる。今日は全く違いまして、その低所得者の層が非常に厚くなっておるということのために、現在のような結果になっておる。従って、全体の租税
収入の中に占める
所得税の
ウエートからいきますと、当時よりは現在は低いにかかわらず、実際、
所得税の課税を受けている個々の納税者を見ますと、非常に重くなっている。
そういう
意味で、少なくとも税率、固有の税率論からいうならば、二百八十万以下のものについて税率を軽減すべきではないか、こういう結論が出たわけであります。しかし、いろいろその点は問題がありまして、今度の
所得税は中小所得者を中心に減税をやるということである。そうであるとすれば、現在百万以下の所得者は九五%を実は占めているわけであります。九五%以上、そこに中心を置いて
考えるべきではないか。扶養控除の創設あるいは扶養親族の年令十五才以上の者の二万円の控除の引き上げ、これは当然高所得者に減税額が多く当たるという結果になるわけでございます。税率の関係で、その上にさらに高額所得者について税率の点まで軽減するということはどんなものであるか、こういうことが中心になりまして、七十万円以下の者についてだけ税率の軽減が及ぶようにしたらどうかというのが、われわれの
考えであります。