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政府委員(
村山達雄君) ただいま
先生もおっしゃいましたように、この
制度は三十年に創設されましたが、当時はこの
予約減税の
適用を受ける
農家は約七十万戸あったわけでございまして、で、
米作農家が全体で五百万、それからその当時の
売り渡し農家がこれが三百二十万くらいになっております。従いまして、
米作農家に対しましては一四%
程度くらいのところであったわけでございます。しかるところ、その後相次ぐ
減税が
所得税の面において行なわれまして、すでにこれは
昭和二十五年からでございますが、今日までそのときどきの
減税総額を足しますと、
所得税だけで約六千数百億に及んでおるわけでございます。そのうちのおもな
減税の
部分は、その約三分の二は
基礎控除でございますとか、
扶養控除、こういう
控除に充てられておる。三分の一の約二千億が税率に充てられておるわけでございます。で、御
承知のように、
農家の
所得は、普通の
所得に比べまして、
平均が非常に低い。特に
扶養控除の拡大が一番大きな項目になっておりますので、その後
農家の方では非常に
課税される者が少なくなりまして、これは三十五年の
予算でございますが、三十五年の
予算では
課税農家四十万。三十年が八十七万八千に対しまして、四十万三千。そのうち
予約減税の
適用の
農家は三十三万八千、さようなことになっております。従いまして、全体に対する比率は七%弱になっておると、かような
状況になっておるわけでございます。
で、この
予約減税の問題、
価格の問題は、全
農家に影響のある問題でございます。で、この
予約減税の
適用を受けるかどうかという問題は、今
課税になります三十三万という
農家にだけ
関係がある問題でございます。そういったところからいたしまして、それから最近における
集荷状況その他から見まして、当時とられた
特別措置の
政策的の意義というものは、相当縮小して考えていいんじゃないか。
特に、来年われわれ考えておりますのは、
税制調査会の
答申にもありますように、今度は
白色の
事業者に対しまして七万円の一律
専従者控除を設けようとしているわけでございます。で、現在でも
青色申告につきましては八万円を限度とする一種の
専従者控除のようなものが認められておりますが、
農家の方は
記帳その他の手数が非常に困難であるということのために、実際
上農家には
青色申告の
適用を受ける者が少ない。この辺が非常に
税制調査会でも問題になりまして、そういう
記帳のできない
農家に対しても、法人との
課税の
バランスというものを考えて、来年度からは七万円の一律の
専従者控除を設けてはどうかと、こういうことは提案されているわけでございます。もしこれを実施いたしますと、さらに
農家の
負担というものが非常に
軽減されまして、
課税人員はただいま申しましたちょうど四十万に相当するものでございますが、ことしの
予算べースの四十万三千に相当するものが二十二万五千人に下るだろう、かように見積もられております。
税額におきましても十二億五千万円
程度に減少するのではないか。従って、米を作っております
予約減税の
適用を受ける
農家はさらにこれよりも下回ってくる、こういう計算になりますので、で、もしこの
特例を依然として、それにもかかわらず、
白色についても
専従者控除を認めつつこの
特例を存続するとすれば、
農家の
課税人員というのは十五万六千人、
税額が六億
程度に減少してしまう、こういうことでございます。何も、われわれ、
農家の
農税人員の多いことを望み、また
税額の多いことを望んでいるわけではございませんです。ただ、
事業所得者との全体の
課税の
バランスというものから見て、しかもこの
適用を受ける、この
米穀の
特例措置の
適用を受ける
農家というのは全体のごく一部になってしまう、そういうことを考えますし、それから同時に、現在のいろんな
特別措置もございますので、そのときどきの
政策効果というものを考えつつ、漸次に改変していくということは
措置の性質上妥当ではないかと、かような点を考えまして、おそらく
答申が出ておると思うわけでございまして、まあ、そういう
意味で、われわれもこの
答申の
趣旨を十分尊重して、来年度以降の
税制改正につきましては
関係方面といろいろと御相談の上に処置をして参りたいと、現在のところさような心組みでおる次第でございます。