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1960-12-20 第37回国会 参議院 商工、外務委員会連合審査会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十五年十二月二十日(火曜日) 午前十時二十九分開会 ――
―――――――――――
委員氏名
商工委員
委員長
剱木
亨弘
君
理事
川上
為治君
理事
古池
信三
君
理事
栗山
良夫
君
理事
牛田
寛君
赤間
文三
君 井川 伊平君
上原
正吉
君
岸田
幸雄
君
小林
英三君
斎藤
昇君
鈴木
万平
君
山本
利壽
君 阿
具根
登君 阿部 竹松君 近藤 信一君 椿
繁夫
君
吉田
法晴
君 向井 長年君
加藤
正人君
外務委員
委員長
木内
四郎
君
理事
青柳
秀夫
君
理事
井上
清一
君
理事
鹿島守之助
君
理事
森
元治郎
君
草葉
隆圓
君
笹森
順造
君
杉原
荒太
君
苫米地英俊
君
永野
護君
野村吉三郎
君 堀木 鎌三君
加藤シヅエ
君
小林
孝平
君 佐多
忠隆
君
羽生
三七君
大和
与一
君 曾祢 益君 石田 次男君
佐藤
尚武
君 ――
―――――――――――
出席者
は左の
通り
。
商工委員
委員長
剱木
亨弘
君
理事
川上
為治君
古池
信三
君
栗山
良夫
君
牛田
寛君
委員
赤間
文三
君
上原
正吉
君
岸田
幸雄
君
斎藤
昇君
鈴木
万平
君
山本
利壽
君 阿
具根
登君 椿
繁夫
君
吉田
法晴
君
外務委員
委員長
木内
四郎
君
理事
青柳
秀夫
君
井上
清一
君
鹿島守之助
君 森
元治郎
君
委員
草葉
隆圓
君
笹森
順造
君
杉原
荒太
君
永野
護君
野村吉三郎
君
加藤シヅエ
君
小林
孝平
君
羽生
三七君
大和
与一
君
佐藤
尚武
君
政府委員
経済企画庁調整
局長
中野
正一
君
外務省国際連合
局長
鶴岡
千仭君
事務局側
常任委員会専門
員
小田橋貞寿
君
常任委員会専門
員 渡辺 信雄君
説明員
外務省経済局外
務参事官
白幡
友敬
君
通商産業省通商
局振興部長
柿坪
精吾
君
大蔵省為替局投
資課長
高橋
英明君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した
案件
○
海外経済協力基金法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ――
―――――――――――
〔
商工委員長剱木亨弘
君
委員長席
に着く〕
剱木亨弘
1
○
委員長
(
剱木亨弘
君) これより
商工
、
外務委員会連合審査会
を開会いたします。 先例によりまして、私が本
連合審査会
の
委員長
の職をつとめます。 それでは
海外経済協力基金法案
を議題といたします。
本案
につきましては、すでに
商工委員会
において
趣旨説明
を聴取しておりますので、
外務委員長
との
協議
に従い、最初に
政府委員
より
本案
の
内容
の
概要
について
説明
を聴取し、引き続いて
質疑
を行なうことといたします。なお、
質疑
にあたりましては、主として
外務委員
の方の
質疑
を優先してお願いすることといたします。 それでは、まず
本案
の
内容
について
説明
を聴取することにいたします。
中野正一
2
○
政府委員
(
中野正一
君) それでは、私からお手元にございます資料の、本日御
審議
をお願いいたします
海外経済協力基金法案
の
概要
について
説明
さしていただきます。
法律
に従いまして、そう条文が長くございませんので、あらましを御
説明
したいと思います。 第一章の総則の
目的
のところにございますように、本
基金
は
東南アジア
その他の
開発途上
にありまする
海外
の
地域
の
産業
の
開発
に寄与するために、その
開発
に必要な金であって
日本輸出入銀行
及び
一般
の
金融機関
から
供給
を受けることが困難なものについて、その円滑な
供給
をはかる等のために必要な
業務
を行ないまして、もって
海外経済協力
を促進することを
目的
とすると書いてございますが、
東南アジア地域
その他の
開発途上
にありまする
地域
は、資源の
開発
、利用、ないしは
工業化
というようなものをはかりまして、急速な
経済
の発展と
国民生活水準
の向上を意図して、真剣になってやっておるわけでございますが、何といいましても、こういう低
開発国
につきましては、
資本
なりあるいは
技術面
が非常に弱体でございまして、そういう面で多くのものを
先進工業国
の
援助
に仰ぎたいということを非常に熱望しておるわけであります。一方
先進工業国
の方の側といたしましても、このような
要請
にこたえまして、これらの国に対する
経済協力
を推進するということは、必ずしも直接的な
貿易
の増加ということにすぐ結びつかないにいたしましても、世界的な
経済
の
地域
的な不均衡といいますか、
地域
的な格差といいますか、そういうものを是正をいたしまして、
長期
的には
経済関係
を増進し、ひいては
輸出入市場
の
開拓
、
確保
にも資することになるわけでございます。そういう
意味合い
におきまして、最近特に世界的に低
開発国
に対する
先進諸国
の
経済協力
ということが、非常に、これは二国間の
援助
にいたしましても、あるいは国際的な
規模
における国際的な
協力関係
における
経済協力
という両面からいたしまして、非常に積極化しておることは御
承知
の
通り
でございまして、最近では特に従来からありまする
世界銀行
だけでは低
開発国
の
援助
に不十分であるというので、先般第二世銀ができまして、これは特に低
開発国
に対しまして
長期
、低利の金を貸す、しかも貸した金の返済につきましては
現地通貨
でもよろしい、いわゆるソフト・ローンというような新しい形をとりまして、従来から行なわれておりました
世界銀行
の機能だけでは低
開発国
の
援助
は不十分であるということで、これができまして、日本もこれに近く
出資
をする
準備
を進めておるわけでございます。また最近低
開発国援助グループ
というものが十カ国でできまして、すでに三回ほど
会議
が行なわれておりますが、そういう形をもちまして、
お互い
に
先進諸国
が低
開発国
の
援助
については
お互い
に横に
連絡
を十分にとりながらやっていくというふうなような
会議
もでき上がりまして、世界的にはそういう
情勢
にあるわけでありまして、このような
情勢下
におきまして、
わが国
といたしましても、
経済協力
を一そう積極的に推進する必要があるわけでございますが、従来、御
承知
のように、
経済協力
に必要な
資金
の
提供機関
といたしましては
輸出入銀行
がもっぱらこれに当たっておったわけでございますが、
輸出入銀行
はその
金融機関
としての性格上
貿易
を主とする、
経済交流
を促進する、すなわち
わが国
の
輸出入市場
の
開拓
または
確保
ということを
目的
とする
金融
を行なうわけでありまして、もちろん
輸出入銀行
も
投資金融
、
海外事業金融等
をやりますが、
主体
はやはり
輸出入市場
の
輸出入金融
が
主体
でございまして、この
輸出入銀行
を通じまして相当
わが国
といたしましては
投資
の促進ないしは
長期信用
の供与というような形で、
経済協力
に必要な
資金
を出してきたわけでございますが、この
開発途上
にありまする
地域
の
産業開発
に寄与することを
目的
といたしまする
経済協力
の
要請
に応ずるための
金融
という面からいうと、まだ非常に不十分なところがあると考えられるわけでありまして、そういう
意味合い
におきまして、今度作りたいと考えております
海外経済協力基金
は、端的にこのような
要請
にこたえまして、
東南アジア
その他の
開発途上
にありまする
地域
の
産業
の
開発
に寄与することを直接の
目的
といたしまして、その
開発
に寄与する
事業
のために必要な
資金
を
輸出入銀行
なり
一般
の
金融機関
からの
通常
の
条件
で
貸付
を受けることがむずかしいというようなもの、またこの
輸出入銀行
が直接に
出資
をするということは、
出資
のための
金融
はいたしまするが、直接に
出資
はできないことに――
金融機関
でございますので――なっておりますが、そういう、どうしてもやはり
出資
をしないというと
開発
がうまくいかないというような場合には、この
基金
は
出資
をすることができることになっております。また
あと
で御
説明
いたしまするが、いろいろ
海外
に進出して
事業
をいたしまする場合には、慎重に、
準備
の段階で十分な
調査
をやらないとうまくいかないのでありまして、そういう
準備
のために行ないます
調査
に要る金というものもこの
基金
は
貸付
ができると、またいろいろ試験的に小さな
規模
で、
現地
で試験的に操業をやってみるということも必要でございまして、そういうものにも金が出せる。またこのような
業務
に関連をいたしまして、
基金
がみずから
調査
をするということも、この
基金
はできることになっておりまして、そういうことで、この
目的
に書いてございますように、
協力基金
は、
輸出入銀行等
では不十分であるという面につきまして、必要な
資金
の
供給
をはかって、もって
経済協力
を促進したいということでございます。第一条のところの三行目に、「円滑な
供給
を図る等のために必要な」と、「等」という字がございます。これは先ほど申しましたように、
資金
の
供給
だけでなしに、みずから
調査業務
ができるということが
規定
されておりますので、念のために「等」という言葉を入れてあるわけでございます。 しからばこの
経済協力基金
の
資本金
は幾らかというのが第四条に書いてございまして、これは「
附則
」にありまするが、三十三年にできました
経済基盤強化法
によりまして、
東南アジア開発協力基金
として
日本輸出入銀行
に
出資
をされました五十億、これがまあいろいろな事情で今まで全然使わずにそのままになっておりましたので、これを
輸出入銀行
から引き継ぐということで五十億がその
出資金
になるわけでございます。それから八条の方のことは、これは五十億を三十三年から預けまして――それを
資金運用部
に預けまして
運用
しておりまして、その
運用益
が出て参りました。この
運用益
も同時に本
基金
に
輸出入銀行
から引き継ぐと、従って、
資本金
としては五十億プラスの
運用益
ということになるわけでございまして、この
運用益
は十月末現在で三億七千五百万円になっております。これが、本
基金
が、まあ大体国会で議決されまするというと、三月の終わりまでにはできますので、そのでき上がるまでにまた
運用益
が少したまるわけでありますが、そのでき上がるまでにたまった
運用益
を五十億にプラスいたしまして
出資
をする。それから第二項に書いてございますように、
政府
は、必要がある場合には
予算
の定める金額に従いまして
基金
に
追加出資
をすることができる。この
追加出資
をいたしますというと、特別に
法律改正
を要せずいたしまして
資本金
がふえるということが第三項に書いてあるわけであります。もちろんこの
基金
の
仕事
からいたしまして、今後の
情勢
からいたしまして、さしあたりは五十億で本年度中に発足さしたいと考えておりますが、来年度にはまた相当の増額の
予算
を今
大蔵省
と折衝いたしておりまして、三十六年度には相当の額をこれにプラスしたいというふうに考えております。 それから、
あと
まあ
定款等
の
条項
は、大体ほかの
特殊法人
の
例文
でございますので省略さしていただきたいと思います。 五ページに参りまして、第二章
役員
でございますが、
役員
には
総裁
一人と、
理事
二人、
監事
一人ということになりまして、
総裁
の職務、権限、特に本
基金
の特徴について申し上げますと、第十一条に
総裁
と
監事
は
内閣総理大臣
が任命するとありますが、
理事
二人のうち一人は
輸出入銀行
の
理事
をもってこれに充てるということにいたしております。先ほど御
説明
いたしましたように、
輸出入銀行
からは金が出にくいというものを本
基金
で取り扱うわけでありまして、また
事務
の一部は
輸出入銀行
に
事務当局
の委託をする。またそういう
関係
で、
輸出入銀行
との
関係
については本
基金
が適正な
調整
をしなきゃならぬという
審議規定
がございますが、そういうことがございますので、その
意味合い
におきまして、
理事
のうちの一人は
輸出入銀行
の
理事
をもってこれに充てて、両者の
関係
が円滑にいくようにしたいというふうに考えております。 それから
あと役員
の
欠格条項
、
解任等
は、これは大体
例文
でございまして、八ページに参りまして、第十七条に、「
基金
に、
運営協議会
を置く。」ということになっております。
経済協力
というのは、御
承知
のように
経済外交
の面で
外務省
、
通産省
、それから
貿易
、
産業
という面で
通商産業省
、また
為替金融
というような面で
大蔵省
、非常に
関係省
が多いわけでございます。そのために非常に
経済協力
がなかなかうまくいかぬのじゃないかというような非難も、ときどき民間の方々からわれわれは聞いておるわけであります。その間につきましては
十分横
に
連絡
をとってやっておるつもりでございますが、特にこの
基金
につきましては、
経済企画庁
が主管をいたすものであります。今申し上げましたように、
関係行政機関
が非常に多い。たとえば
農業関係
あるいは
水産業
が
海外
に進出するという場合、やはりこれは
農林省
でないとなかなかこの実態がわからない。従って相当実質的な
審査
は
農林省
がやるということになるわけでございます。また
建設業
が進出する場合には、これは
建設省
でないと、これもまあ
農林省
じゃわからない、
経済企画庁
でも十分わからないということになりますので、どうしても
基金
の
運用
にあたりましては非常にその
関係行政機関
の
所管事務
、
所掌事務
と密接に
関係
が出て参ります。そういう
関係
でこの
運営協議会
というものを置きまして、これは
総理大臣
が任命する
委員
十五人ということになっておりまして、これは全部
行政官庁
の、
行政機関
の
職員
がこれになるわけでございまして、今言いましたように、
外務省
、
通産省
、
農林省
、
建設省
あるいは厚生省というようなところの
関係
の
職員
が
委員
に任命されると思います。そういたしまして、この
基金
がいろいろ
関係省
の
所掌事務
と
関係
が深いので、一々個々のそういうものの
意見
を聞くということになりますと、非常にまた繁雑でございますので、
運営協議会
が
合議体
として
審議
をしていく。そうして
意見
があれば
総裁
に
合議体
として
運営協議会
が
意見
を述べる。こういうことにすれば、横の
連絡
もうまくいくし、
基金
との
関係
も非常にうまくいくのではないかという実際問題を考えまして、
基金
に
運営協議会
を置くことにいたしたわけでございます。 それから第三章、
業務
のところでございますが、
業務
の
範囲
のところにありますように、「
東南アジア等
の
地域
の
産業
の
開発
」、「等」というように特にメンションいたしましたのは、何と申しましても
東南アジア
は
わが国
とは
地域
的にも近いし、これらの国との
経済関係
を円滑にいたしますることが非常に大事なわけでございますので、またいろいろな最近の
経済協力
の
案件等
を見ましても、やはり今のところは
東南アジア
が非常に
案件
が多いということになっておりますので、特に
東南アジア
ということを明示をいたしたわけでございます。しかしもちろんこれは
東南アジア
以外の中南米でございますとか、あるいは
中近東等
の低
開発国
も当然この
範囲
に入ってくるわけでございます。その「
開発
に寄与し、かつ、本邦との
経済交流
を促進するため緊要と認められる
事業
のために必要な
資金
を貸し付けること。」、二番目に貸しつけるだけでは工合が悪いというときには
出資
もできます。それから「
開発事業
の
準備
のための
調査
又は
開発事業
の
試験的実施
のために必要な」金も貸せる。前三号の
業務
に関連いたしまして必要な
調査
も行ない得るということが書いてあるわけでございます。二十一条にそれをさらにしぼりまして、その
開発事業
について
輸出入銀行
なり、
一般金融機関
から
通常
の
条件
で
資金
の
貸付
を受け、また
基金
以外の者から
出資
を受けることが困難な場合、それから二番目に、「
開発事業
に係わる
事業計画
の
内容
が適切であり、その
達成
が確実であると認められる場合」に、初めて金を貸し得る、
出資
をし得るということになっておるのでございまして、
通常
の
条件
で
貸付
を受けることが困難といいまするのは、これは
輸出入銀行等
でも
業務方法書
なりにいろいろ詳細に
貸付
の
条件
が書いてあります。こういうことから考えまして、とても
輸出入銀行
では扱いにくいというようなものは、この
基金
の方に該当してくるということに考えております。それから第二十二条は
業務方法書
でありまして、これは
経済企画庁長官
の
認可
を受けてもろうことになっておるわけでございます。それから先ほど御
説明
いたしました、
事務
の一部を
輸出入銀行
に委託し得るということになっております。 それから第四章の財務、会計でございますが、これも大体ほかの
特殊法人
と同じ
例文
でございますので、ただいろいろな
計画
につきましては、全部
経済企画庁長官
の
認可
なり
承認
ということになっております。 それから十五ページに参りまして
監督
でございますが、
基金
の
監督
は
経済企画庁長官
が行なうということにいたしております。それから雑則、
罰則等
は大体
例文
でございます。ただ三十六条に、「
経済企画庁長官
は、この
法律
の
規定
により
認可
又は
承認
をしようとするときは、
外務大臣
、
大蔵大臣
及び
通商産業大臣
」と、この三
大臣
が一番
関係
が
経済協力
については深いわけでございますので、ここと
十分連絡
をとる
意味合い
におきまして、
認可
をする場合、
承認
をする場合には、単独でやらずに、
関係
の
大臣
に
協議
してやるということにいたしておるわけでございます。 最後に
附則
の
施行期日
でございますが、これは公布の日から三十日をこえない
範囲
で政令できめる日に施行いたしまして、それから
総理大臣
がこの
総裁
、
監事
となる者を指名をいたします。それから
設立委員
というものを命じまして
準備
をさせまして発足させるわけであります。 ただ
附則
十八条から二十条までの
規定
は
輸出入銀行法
のいわゆる
基金
の、先ほど申しました
東南アジア開発基金
の
規定
を削除する
附則
になっております。これは二段がまえにいたしましたのは、この場合は発足の日にその
基金
を引き継ぐということにいたしておりますので、二段がまえで三十日と六十日でございますので、
法律
が
通り
ましてから九十日以内には発足できるということになるわけでございまして三十五年度中になるべく早く発足させ得るいうふうになっております。
あと
は大体
経過規定
なり
関係法令
の
改正等
でございますので、
説明
を省略さしていただきます。
剱木亨弘
3
○
委員長
(
剱木亨弘
君) それでは引き続きまして次に移ります。 なお、
政府
よりは御要求によりまして
中野経済企画庁調整局長
、
鶴岡外務省国際連合局長
、
白幡外務参事官
、
柿坪通商産業省通商局振興部長
、
高橋大蔵省為替局投資課長
が出席いたしております。 それでは御
質疑
のある方は順次発言をお願いします。
永野護
4
○
永野護
君 この
法案
の根本について伺いたいのですが、これは何ですか、貸しつけるというつもりで
元金
は
回収
するということに重点が置かれておるのですか。
中野正一
5
○
政府委員
(
中野正一
君)
資金
の
貸付
あるいはまた
出資
もできるわけでございますが、もちろんこれは
回収
するということを、ただこれは非常に
長期
にわたるというようなことはあると思いますが、
回収
することを
建前
にしております。
永野護
6
○
永野護
君 つまり私の伺いたいのは普通の
銀行業務
の
対象
にはならないということは、
回収
不能ということが非常に予想されるから、普通の
銀行
の
貸付業務
の
対象
にならぬということだろうと思いますから、端的に言いますと、その金は
回収
不能に、なるものが非常に多いということを前提として運営しませんと、これをむずかしいことを言うなら、このワクにはまって
出資
をする
事業対象
というものはなかなか求められぬのではないかと思うのです。ことに、
調査
に金が出されるというのですと、必ず
仕事
になるとわかっているものは
調査
は要らぬ、だから
調査
がつまりむだになる。
調査
して金を使っても、それはむだになるというようなものでも、やはり
資金
の
回収
はやられるんですか。
中野正一
7
○
政府委員
(
中野正一
君)
資金
の
回収
については、二十一条にございますように、その
事業内容
が適切で、
達成
が確実であるというところは十分
審査
いたしましてやらなければいかぬと思います。だから、全然もう
回収
の
見込み
がないということがわかっておるものに金を貸すという
運用
にはならないわけでございます。
永野護
8
○
永野護
君 適切ということは、そういう
調査
をすることが適切という――それは
調査
してみたいとこう思っておっても、
調査
した結果を見ないと
事業
になるかならぬかわからぬ、それを
調査
するんだから、その
費用
を
回収
するという、つまり
貸付金
という形でやるのはそのこと自体が矛盾しているような感じがします。
調査費用
を出すということは
事業資金
を貸すのじゃないのです。
調査
してみて、
調査
した結果、これは
事業
にはならぬという結論の出る場合が非常に多い、必ず
仕事
になるという
見込み
が立つものでなければ、この
調査費
は出さぬというのでは、これは
調査
ではなくて
事業
になりますから、そういう二つのことが意味されると思うのです。そういうような、つまり
使い切り
になると思うのです。この五十億の金というものはきわめて早くなくなってしまう。それからその出し得る
対象
かどうかということの認定が、実際むずかしくなりはしないかと思います。それで、へたをすると全く雲散霧消するような結果になるような気がするのです。
調査費
なんというものは、大体
会社
でいえば
経費
で落とすべきもので、
調査費
を
資産
に計上するのは、それは
事業
になった
あと
で、
事業
になるまでに使った
費用
を、たとえば仮払金で
資産
に立てておくということはあり得ますけれどもね。
事業
にならないで終わる場合、非常に多いと思うのです。だから――これはなぜ私がそんなことを言うかといいますと、こういう――これは憲法ですからね、これは。そうすると、今度は実際上の
運用
に出たりますと、この文字の解釈というようなことでもって、右左に分かれる場合が非常に多くなると思いますから、あらかじめ、
調査費用
なんてものは、まあまあ普通の
会社
では
経費
で落とすべきものだというような産前でこの
基金
が運営できるか、あくまでも
貸付金
であって、
元金
はおろか、
利息
までもとるという
建前
でこれを運営するかということは、非常に違ってくる。だから、そこの心がまえを聞いておきたいのです。
中野正一
9
○
政府委員
(
中野正一
君) 特に
調査
のために金が貸せるということは、これはもう御
承知
の
輸出入銀行
にはない
規定
でございまして、もちろんこれに金を貸すのでございまして、また
利息
もこれは当然、もちろん
輸出入銀行
よりは安い
利息
になっております。それからまた、
回収
の
期間
なんかも、相当これは――まあこれは
調査
をいたして、それからまた本格的な
事業
にかかるわけでございます。
回収
の
期間等
については、相当弾力的に考えたい。それから、
担保等
も、原則としてもちろん
担保
はとるわけでございますが、たとえば例としてちょっと考えられますのは、
水産業
なんかに進出するような場合に、漁業組合というような形で出るというような場合は、
担保
をとると言っても、なかなかそれは適切な
担保
もないのじゃないかと思います。もちろんそういうときは
役員
の人的保証も一応必要になると思いますが、
担保等
につきましても相当まあ弾力的にできるようになっております。ただ、やはりその
計画
そのものは十分
審査
いたしまして、この
法律
の
条項
に該当しておるかどうかということは、それは相当慎重に
調査
をして進めるということになると思います。
剱木亨弘
10
○
委員長
(
剱木亨弘
君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
剱木亨弘
11
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 速記を始めて下さい。 本
会議
が開会されますので、一たん本
連合審査会
を休憩し、本
会議
散会後、直ちに再開することといたします。 暫時休憩いたします。 午前十時五十七分休憩 ―――――・――――― 午前十一時十九分開会
剱木亨弘
12
○
委員長
(
剱木亨弘
君) これから
商工
、
外務委員会連合審査会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
海外経済協力基金法案
の
質疑
を行ないます。
永野護
13
○
永野護
君 私はこれからなお質問したいと思うことは、二十条のことです。というのは、どういうことにこれは出すかということのばく然たる方向と、それをどうしてきめるかということの具体的な方策、相半デリケートの問題を含むのであって、これをあまり窮屈にきめておったら動きがとれない。それからこれをルーズにしておいたら直ちに雲散霧消する。 そこで運営のあり方について伺うのですが、その質問の内郷が専務当局に答弁を求めるのは非常に無理のようなことが多いので、私は
大臣
の出席があるときに、責任のある
大臣
からの答弁を求めたいことがあるのですが、実は一点だけ申しておきますと、これをどういう
仕事
に出すかという二十条の中に二つの
条件
がある。一つは、その
仕事
が
東南アジア
地方の
産業開発
に寄与しという一点。もう一つは、それが本邦との
経済交流
を促進するため緊要と認められたる
事業
と二つの
条件
があって、この二つの
条件
のどちらかというのではなくて、これは両方がそろっていなければ融資の
対象
にならないということになっているのでありますけれども、これはこの条文の文句をかれこれ言うより、理念について非常に私の考えておることと違うので、本邦との
経済交流
を促進するというような
条件
は、私はむしろ要らぬと思う。
東南アジア地域
の重要
産業
の
開発
に寄与する
仕事
であれば、大きな意味で、広義において日本の
経済交流
を促進するのは当然ですけれども、これを直接すぐ右、左に、日本の
産業
にすぐ寄与するものでなくちゃならぬ、たとえば、鉱山に行って、その鉄鉱石を掘ってそれを日本の鉄鋼業に
供給
するというようなことにのみ限定することは、この
基金
をこしらえた趣意には沿わないのであって、その地方が
開発
されて、その地方民の生活水準を向上して、それが日本の
貿易
の発展にはね返ってくるというような意味においてなら、これはもっともだ。しかし、こういう条文ができてしまうと、すぐいわゆる官僚の
事務
的解釈でいうと、それは日本の
産業
に直接寄与しないじゃないか、すぐ右、左に。それじゃその融資の
対象
にならないという解釈をされると、私は意味がなくなると思うので、少なくも将来それが問題となったときに、この条文はこういう意味だということを責任のある
大臣
から聞いておきたい、記録に残しておきたい、そういう意味で
大臣
の出席を求めている。この
法律
は非常に大切だけれども、その
運用
の方法が非常に大切です。これはへたをすると、社会党の森さんあたりに非常に攻撃の材料をこの
法案
は
供給
するようなことになる。だからあらかじめそのワクをはっきりしておきたい。条文に書けばこの程度しか書けないかもしれない。従ってその条文の文句の末節にとらわれた質問をする気はないけれども、これはこういう趣意だということを質問応答を通じて記録に残しておきたい、こういう趣意です。
中野正一
14
○
政府委員
(
中野正一
君) 御指摘のありましたように、二十条の
基金
の
業務
の
範囲
は、
東南アジア等
の
地域
の
産業
の
開発
に寄与すると同時に、本邦との
経済交流
を促進するために緊要な
仕事
、こういうことになっております。特に本邦との
経済交流
を促進するためというのは、直接に日本の
産業
に得るところあるいは
貿易
の増大になるというような意味ではございませんで、もう少し
長期
的に見まして、
東南アジア等
の
産業
が
開発
され、それによってその地方の
経済
が発展するということになりますというと、結局はそれは日本にとっても長い目で見まして利益になる。また利益だけでなしに、日本との
経済関係
が改善され、増進される。それによって本邦との
経済交流
が盛んになってくる。こういうような長い意味で考えておるのであります。それがすぐに
貿易
の増大になるとか、あるいは直接日本の
産業
の増大、利益にはね返ってくるのでなければ、そういう
事業
でないと金を貸さないという狭い意味ではございませんので、そういうふうには
運用
しない。なお、
大臣
から明確なそういう意味の御答弁、御趣旨の
通り
の御答弁があると存じますが、私からは以上のようなお答えを申し上げます。
永野護
15
○
永野護
君 今の
局長
の御答弁の
通り
であればまことにけっこうです。それを私は要望しておく。ただし、この条文を
局長
がおらないために、そうしてただ六法全書的に読むと、あなたの言われるようには出てこない。どうしても具体的にそれがすぐ日本の
産業
に、すぐ長い目で見てというようなニュアンスはこの条文から出てこない。だからこれはだめだよと言って、あなたが在任中は間違いないと思うけれども、この条文だけで解釈すると、立法の趣意はそうであっても、すぐには出てこないと思います。そういうようには……。だからそういう意味だということを責任のある人から答弁してもらって、それを記録に残しておきたい。しかし、あなたの言われることはまことにごもっともで、そうでなくちゃならず、そうあるべきだと思っておりますから、あなたの答弁としては満足です。けれどもその
通り
はこの条文をただすらすら読んで他日そうなるとは思わぬから一言申しておきます。 そうして今度、それは非常に楽に考えた場合だけれども、今度は反対に、非常にむずかしいのだけれども、何かワクがないと非常に乱用される危険を含む。だから私が今非常に楽に解釈しようという私の主張と、それから乱用を防ぐという方の私の主張とは一見矛盾するのです。非常にワクをはめておきたいような気もするし、手放しになりますと、形は貸金で返えさなければならぬという形になって、安全なように見えますけれども、実際の
運用
で極端に言えば、借り主は一ぺん破産さえしてしまえば御破算になるというようなこともあります。そこにもそういう場合が起こり得ることも十分考慮して、そうして純
経済
的にこれを解釈運営していきたい、こう思うわけであります。その矛盾した二つの希望をどこで
調整
するか、というようなことはこれは全然政治問題であって、
事務当局
に返事を求めることは無理だと思いますから、
大臣
の出席を求めて、
政府
当局の責任ある運営の方針をはっきり示してもらいたい、こういう趣意であります。
剱木亨弘
16
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 速記をとめて下さい。 「速記中止〕
剱木亨弘
17
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 速記を始めて下さい。
森元治郎
18
○森
元治郎
君 小さい問題から伺いますか、「
東南アジア等
」とあるのですが、中近東とかアフリカというようなことを、メンションしてないのは
基金
か小さいから遠慮したのか、そこらもからみ含んでいるのか。それから来年度は相当額を増額する、増額は一体どのくらいの増額を見込んでいるのか、その理由、増額の理由ですな。それからこれは単に
基金
のワクを作っただけではなくて、やはり必要に迫られて
基金
を設置したんだから、少なくも
東南アジア
方面の
経済協力
について何か予想される
開発事業
というようなものも頭にあるんだろうと思うがどうか。それからこういう
特殊法人
のことを私はしろうとでわからないのですが、運営の
委員
というか、
総裁
の諮問機関というのはどういう人たちをもって構成するのか、元役人さんのような人ばかりが集まるのか、広く各界の人も入れるのか、大体四点ですか、お伺いします。
中野正一
19
○
政府委員
(
中野正一
君) 御指摘の第一点の「
東南アジア等
の
地域
」と書いてございますが、
東南アジア
につきましては、これはもちろん
わが国
とも、地理的に見ましても、また
経済
的にも今後最も
関係
を密にしてともに栄えていかなければならぬという
地域
でございますので、
東南アジア
ということを特に例示をしたわけでございます。これは「等」が入っておりますのは、もちろん中近東であるとか、あるいは中南米とかいうような、具体的に見てまた今後
開発
をやっていかなきゃならぬ
地域
は当然入るわけでございます。 ただ今までの、来ておりまするいろいろの
案件
といいますか、ケース等からみますと、
海外
投資
等につきましては、やはり
東南アジア
には件数が相当多いように聞いております。そういう而におきまして、発足当初は五十億でございますし、
東南アジア
が大体重点的に運営される、今後いろいろ増額されるに従いまして、ほかの
地域
にも
事業
を伸ばしていくというふうになろうかというふうに考えております。 それから増額の問題でございますが、これは三十六年度の
予算
といたしまして、今
大蔵省
に対してさらにもう五十億の
予算
要求を出しております。折衝をいたしておるわけでございます。 それから予想されるような
案件
ということでございますが、これは実はまだこの
輸出入銀行
のべースに乗らないというものが
対象
になるわけでございますので、今までのところまだ
輸出入銀行
へ持っていっても、とてもこれははしにも棒にもかからない、――はしにも棒にもかかわらないというのはちょっと言葉が言いすぎかと思いますが、とても相談にも取り上げてもらえぬだろうというようなことで、さたやみになっておるような
関係
で、過去のもので今すぐこれを、できれば拾いあげるということははっきりまだ申し上げかねるわけでございます。ただ一応われわれの方で百億程度というふうに考えました際にいろいろ考えておりますことを、これはまあ役所べースで考えたことでございまして、実際にこういうふうに
案件
が出てくるかどうか、これはもちろん
開発
の
対象
になりまする諸国からの御要望、またそれと提携をする日本側のいろいろの民間の
会社
といろいろ折衝いたしまして、あるいは
政府
間でいろいろ折衝して、だんだん
案件
が固まっていくわけでございます。一応われわれが予想いたしておりますものは、
開発
の
主体
が中小企業が
目的
である。たとえばカリマンタンの森林
開発
であるとか、これはちょっと最近は話が消えておるように聞いておりますが、ベトナムでウルシの
開発
をやりたい、こういうものは大体
開発
の
主体
は中小企業者でございまして、こういうものが向こうにいって、そういう
仕事
をやろうとしても、なかなかこれは信用力なり、あるいは
開発
にも相当
期間
がかかりますので、輸銀のベースではとても問題にならないというように聞いております。そういうものが一つ考えられます。 それからもう一つは、最近の例といたしまして、インド、パキスタン、セイロン等におきまして、今までは延べ払いで大体
輸出入銀行
が
主体
でやっていたわけでございますが、向こうは御
承知
のように非常に
開発
をやりたいが、外貨が不足しておるというようなことで、単なる延べ払いだけではどうもうまくない。そのうちの二割であるとか、一割とか、一部を
投資
に振りかえて、結局機械なら機械を輸出する、あるいはプラントを輸出する方の側に対して、一部を
出資
に変えてもらいたいというような要望がございまして、そのケースは相当たくさん出ております。こういう場合に、
輸出入銀行
のベースにはやはり乗りがたいということでございまして、こういうようなケースは、その一部を
投資
に振りかえるというようなことになりますと、相当
案件
が出てくるのじゃないか。 それからその次に、低
開発国
のこれもいろいろ要望はたくさんあるわけでございますが、向こうに中小企業を起こしたいというので、中小企業の
開発
関係
というものは、これも今すぐどう具体化するかということはなかなか予想がむずかしいのでありますが、民間の方から非常に要望が強いわけです。特に中小企業は日本が非常に得意である。そういう技術というようなものは非常に日本は得意としておる、特色がありますので、これはほかの国にいろいろ期待いたしましてもうまくいかない。ぜひ日本によって中小企業を起こしてくれ、こういう
案件
が出て参ります。 それから、これは
通産省
の一部で考えられておりますが、デモンストレーション・プラントと申しまして、向こうへ工場を作って見せる。これは普通にいうと、家の建て売りというような格好になると思いますか、こういうようなものも考えるわけでございます。その他の
案件等
もございまして、大体最低来年一ぱいかかって百億くらいの金は要るのじゃないかというように考えておるわけでございます。 それから諮問機関の問題でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたが、
運営協議会
というものを置きまして、これは木
基金
のやります
経済協力
というのは非常に
関係
のある機関が、
外務省
、
大蔵省
、
通産省
と大へん多いのでございますから、そういうところの
所掌事務
と
関係
することで重要な事項につきましては、
運営協議会
というものを、これは
行政機関
職員
だけで構成をいたしまして、これは各省の
所掌事務
との
関係
において
連絡
をとってやるということになっております。それから別に、そのほかに対外
経済協力
審議
会というもが近くできることになっております。これはこの声の国会でたしか総理府の設置法を変えまして、これは
経済協力
の基本的な、総合的な問題を、これは主として
大臣
とそれかから民間のその方面の権威者という者を集めまして、これはまあ
経済協力
全般の大きな問題については、
経済協力
審議
会で民間の権威者の
意見
を聞くということになっております。この
基金
には特別参与であるとか顧問であるとかというようなものは置く必要はないのじゃないかというふうに今のところは考えております、。
永野護
20
○
永野護
君 関連。今の例に出されましたが、いわゆる
輸出入銀行
には、はしにも棒にもかからないというような
産業
で、こういうものでやったらいいと思う例の中に、たとえばマライのクラ地峡とかソンクラ地峡とかいうものは例の中に入りますか。
白幡友敬
21
○
説明員
(
白幡
友敬
君) クラ地峡の
開発
のお話は伺っておりますか、いろいろこの問題は国際的な問題もあると思いますか、さような問題を一応除きまして、純技術的に見ました場合、その
事業
自体は非常に大きな
計画
になると思いますので、
資金
的な制約もあると思われますが、これを場合によっては
調査
をするという面でもってそれ自体取り上げますというと、この
基金
の
対象
にならないということは申し上げられません。つまり
対象
には一応なり得る問題ではないかと思われます。
永野護
22
○
永野護
君 その点について、私は、
対象
にならないこともないというような消極的な
意見
じゃなくて、さっきからの御説によると、ティピカルなたとえばこういうことという
調査
だけするのですよ、じゃないかという感じがするのですが、今の
局長
のお話しによると、裏から言って非常にニュアンスがだいぶ違うのですけれども。
白幡友敬
23
○
説明員
(
白幡
友敬
君) 今表現が非常に悪うございましたが、具体的にまだ実はどういうふうな
計画
で、たとえば
調査
の段階でどういう観点で
調査
をなさいますか詳細に承っておりません。従いまして、きわめて大きなばく然たることしかお答えできないわけであります。そういう意味では一応この
基金
の
対象
になり得るのではないかというふうに考えております。
森元治郎
24
○森
元治郎
君 これを読んでみると、やはり感ずることは、政治と
経済
、一体どっちが重点なのかきわめてこれは中途半端な
内容
のように見える。こういう
海外経済協力
というものは、もともとはこれは自由陣営その中の親玉のアメリカが共産圏の進出に対抗して侵蝕されそうな弱い
東南アジア
の国々に
援助
をしていこうという政治性の非常に強いことから、これは始まってきた問題だと思います。私が聞くと、政治性もあるようでもあるし、
出資金
は
回収
するかのごとき御返事もあるし、そうかと思うと、ベトナムのウルシというものはどういうものかわかりませんけれども、どうも先ほどおっしゃったはしにも棒にもかからないものに
長期
低利で貸し付ける、
長期
低利というのですから、五年から十年ぐらいのことでしょう。取れっこない。これは捨ててしまう、恩恵だ。それをやることによって幾らか自由陣営の片棒をかついでいる日本に好意を持ってもらおう。それによってほかの商売の方が幾らかでもできるならばというような感じも、期待するというようなことで、政治と
経済
がどうも意図するところがはっきりしていないと思うが、これを作られるときには、
局長
さんはどんなふうな上からの御指示でこの
法案
を作られたか、
大臣
がいないから、ちょっと無理だろうが、あなたはどういう上からの指示で作ったおつもりですか。
中野正一
25
○
政府委員
(
中野正一
君) 本
基金
の成立につきましては、昨年の実は終わりごろたったと思いますが、その頃からどうもやはり
輸出入銀行
の商業べースと言いますか、
金融
ベースと言いますか、そういうものだけではどうもやはり低
開発国
との
経済
の提携あるいはそういうところの
開発
を助けていくというような
意味合い
の
事業
は、
輸出入銀行
だけではどうしても工合が悪い、特に
出資
というようなことが、直接に
出資
するということは、
輸出入銀行
では御
承知
のように
出資
するために金を貸すということはありますが、できないというようなことから、ごくそれは、その意味では
事務
的にと申しますか、ほんとうの話を申しますと、実は
通商産業省
あたりか非常に力を入れてそういうことを言い出したわけでございます。そういうことからいろいろ研究いたしまして、どうもやはりこの
輸出入銀行
と別個にこういうような
輸出入銀行
のべースに乗らないような
資金
でもほんとうに大事な
事業
があるのでございまして、そういうものに金を貸せるようにしよう、また
出資
というふうなことも場合によってはできるようにしたらいい。特にこの金利の問題もございますが、今言つた、先ほど例をあげました森林
開発
とかいろいろな資源
開発
等の
仕事
はやはり相半
長期
に金がねる、
輸出入銀行
は御
承知
のように原則は十年以内ということになっておりますが、この
期間
につきましても、その程度じゃどうしてもうまくいかぬというようなことから、
関係省
がよりより集まりまして、いろいろ相談をした結果、ことしの三月に話がまとまりまして、こういう
法案
を出そうということで、この前の
通常
国会に出したわけでございます。その
意味合い
におきましては、単なるコマーシャル・べースというか、
金融
ベースというか、そういうものだけでいくのじゃなしに、もうちょっと
金融
については弾力性を持たせて、しかし、これはあくまで
経済
のべースで考えていかなければならない問題ではあると思います。
輸出入銀行
でいっておるコマーシャル・ベースというようなものよりは、もう少し広い意味で
経済協力
というものを考えていく、またそういうことが各国からも非常に要望がありますし、先ほど申し上げましたような世界的な低
開発国
に対する
経済協力
の傾向というようなものに合致するのじゃないかというような
意味合い
において、この
法案
を出したわけであります。
森元治郎
26
○森
元治郎
君 その
対象
の中にインド、パキスタンの延べ払いに関して一部を
投資
に振りかえていく、こういうものへの
経済協力
の態度は私はいいと思うのですか、へたをまごつくと、これは大きな国際的なやみの根源になり、非常に暗い問題か出てくるおそれがあると思うのですが、そういうところについてはどんな心構えでおられるのですか。
中野正一
27
○
政府委員
(
中野正一
君) この
基金
の運営に当たりましては、もちろんこれは税金でもって作るわけでございますから、これの非常に放漫な運営ということは許されないと思います。従いまして、そういうことにつきましては十分慎重にやりたい、また先ほど申し上げました
運営協議会
というようなものが
総裁
の諮問機関としてございまして、これは
関係省
の役人だけではございますが、そういうところで、そういう
事業
なり運営の全般の問題については漸次
意見
を述べることができるということに――もちろんこれは各省の
所掌事務
の
関係
からの発言になると思いますが、
運営協議会
でそういうこともよく相談をしてやるということになっております。また、先ほど申し上げましたように、
経済企画庁長官
がこれはもう
監督
いたしまして、この
法律
の趣旨に従って
業務
をやらせるように必要なる
監督
命令も出せるようになっております。運営に当たっては慎重を期したいと思っております。
森元治郎
28
○森
元治郎
君 へたまごつけば、
輸出入銀行
の厳格なベースに乗らないものが多いのですから、へたをすると、この
産業
の
開発
にもならないし、出したものには何にも
回収
ももちろんできないという事態も想像されるわけであります。これはやはりある場合には捨てるというくらいの腹をもって、やはり政治的に――先ほどあなたもちょっと私のお話に賛成したような御答弁がありましたが、ある場合には捨てるんたと、そして、しかしその国々の被
援助
国民の好意は取りつけておくんだと、こういう腹がまえがなくちや、とてもこれはそろばんに合わない
仕事
のようですから、その辺の心組みは
事務当局
ではどんなふうに思っておりますか。
中野正一
29
○
政府委員
(
中野正一
君)
法律
にも書いてございますように、これはあくまでやはり
回収
ということを考えて、
長期
のあるいは低利の金を貸す
建前
になっておりまして、しかもその
開発事業
というものは
内容
が適切で、
達成
が確実であると認められる場合でなければ貸してはいかぬ、あるいは
出資
をしてはならないということの制限があるわけであります。この
法律
の趣旨に従いまして運営をやっていくべきである。ただ先ほどもちょっとお話が出ましたが、本
基金
は
運用益
の
範囲
内におきまして自分で
調査
をやっていく。これはもちろん当然
運用益
の
範囲
でやるわけでありますから、その
対象
については、これは
調査
をすることによる利益も上がるわけではございませんが、これは
運用益
の
範囲
内においてこの
開発事業
に関連をいたしました必要な
調査
はできることになっております。
森元治郎
30
○森
元治郎
君 いずれ
大臣
がおいでになったときに、ほんとうに意図するところの根本ですな、これがはっきりしてないように――これを実施していく上において、大きな
目的
と違うことになりはせぬかと思うので、
大臣
にあしたでもそういう機会があればただしたいと思うのであります。
佐藤尚武
31
○
佐藤
尚武
君 私は先ほど来
事務当局
から詳細な
説明
を伺っておりまして、今度の
基金
を設定するというこの
法案
には、大体において賛成したいと思うものでありますが、私は特に本日伺いたいと思うことは、この
基金
の
運用
面において国連とどういう
関係
に立つかということであります。 しかし、その前に小さな点を一つお伺いしておきたいと思います。それは第二十一条でもってこの
基金
の運営に関しまして制限がついておる。これこれの場合に限って第二十条の
資金
の
貸付
等をやるのだと、こういうことになっておる。その制限の中に、
輸出入銀行
とか
一般金融機関
から
通常
の
条件
によって
貸付
ができない場合であるとか、あるいはまた
基金
以外の者から
出資
を受けることが困難な場合ということがありますが、これはどういうことを意味するのか。
基金
以外の者から
出資
を受けることが困難ということがちょっと私に了解ができかねるので、それを一つまずもって御
説明
を願いたい。
中野正一
32
○
政府委員
(
中野正一
君) 二十一条の
輸出入銀行
及び
一般
の
金融機関
から
通常
の
条件
では
貸付
を受けることがむずかしい場合というのがまず第一でございまして、これは
輸出入銀行
の
業務
方法畜に
貸付
の
条件
が相当詳細に書いてあるわけであります。たとえば金利は
長期
投資
に対して
金融
する場合には四分五厘以上、
期間
は十年以内というようなことが書いてあるわけでございます。また
担保
は十分取る。特に
輸出入銀行
におきましては、
法律
にも償還が確実なものでなければ貸しちゃいかぬという厳重な制限がございます。そういう
担保
条件
、
貸付
の
期間
あるいは利率というようなものから見まして、とても
輸出入銀行
に持っていっても貸してもらえないというふうなことが、まあ、客観的にといいますか、そういうことがわかるわけでございます。何も一々
輸出入銀行
に行きまして、断わられてから、この
基金
に来るというふうに考えなくてもいいんじゃないか。もちろんそういうケースもある。
輸出入銀行
に行きまして、とても私のところでは
条件
が、
業務方法書
なり何なりの点から見て貸すことはできませんと、こういうことを言う場合もあると思います。そういう場合が前段でございます。それから
基金
以外の者から
出資
を受けることが困難――先ほどもちょっと申しましたが、たとえば中小企業の方が集まって一つの
会社
を作る、あるいは組合でもって
現地
へ進出していろいろの
仕事
をする、そういうような場合に、だれかほかの
一般
の
会社
の人等から
出資
をしてもらおうと思っても、十分の
出資
を受けられないというような場合は、この
基金
の
対象
になるということだと思います。
佐藤尚武
33
○
佐藤
尚武
君 それでは国際
関係
の問題について一、二お尋ねしたいのですが、低
開発
地域
の
開発
をはかるということは、これはもちろんその国々の発展のために必要なことでございますが、世界の全体の繁栄の上からいいましても、低
開発
地域
をいつまでもそのままに置いておくということは、これは許されないことでなければならぬと思うのであります。天然の資源を持ちぐされにしていつまでもそこに寝かして置くというようなことがあってはならない。それはその国自体の不幸であるばかりでなく、世界の人口がこういうふうに急速にふえていくときにあたりましては、世界全体の幸福増進のためからいっても、そういうことは許されないはずであります。でありまするからして、こういうような低
開発
に関しましていろいろな手段がとられているということは、これは当然のことでなければならぬと思うのでありまして、その一環として、日本国内においてこういうような特別の
基金
が設定されるということは、これは歓迎しなければならぬことだと思うのであります。しかし、国際的な見地からいいますというと、そういうような
資金
を
供給
し得る、もしくは技術を
供給
し得る国々が各国別々に働きかけるというようなことは、これはあまり歓迎されないところでなければならぬと思うのであります。しかるに実際面を見ますると、それがいろいろに分かれているような感じを私としては抱かざるを得ないのであります。国際連合そのものは、その低間発
地域
の
開発
問題について、非常に最初から注意を払い、そうしていろいろ努力をしておるように見えるのでありまして、それが拡大技術
援助
計画
というような機構をこしらえて、そうして技術
援助
の方面に対して主として力を入れておる。しかし、技術
援助
の方面におきましても、国連のやっておりますることは、まだ技術者を養成するという、そういう技術そのものの
援助
の前の段階の
仕事
をやっているというのにすぎない今の状態であるように見受けられるのでありまして、前途まだ、はなはだ遠いように思われる。また
資金
面の方では、国際復興
開発
銀行
というようなものかあって、そうして活動をしておる模様でありますけれども、これも
貸付
条件
とか、何とか、なかなかやかましいようで、そう簡単に
資金
が融通されるものでもないように思われまするし、この低
開発
地域
の
開発
という大きな、また広い問題から見まするというと、まるで靴の上からかゆいところをかいておるというような感じを抱かざるを得ないのであります。 そういう際におきまして、そういうような機構がまだできない前から、私はつとに考えさせられておったことなんでありまするが、これらの後進国に対する
援助
というものが、国連の旗じるしのもとでやるのが一番いいのだという考え方であります。それは
資本
国が、直接に後進国に対して
出資
をする、
投資
をするというようなことになりまするというと、その
資本
に対してひもがつきやすいし、またそれを受ける後進国の方からいいまするならば、外国
資本
の重圧に苦しまなければならぬというような心配もあるわけでございます。ところが、これがもし国際連合に適当な機関ができて、そうして
出資
者は国際連合に対して
出資
をする、その後進国に対する
投資
は、国際連合がその金を利用してやるのだというふうな筋道をつけるとしまするならば、よしんば、その
資本
が現実に米国から出ておるにしても、米国の
資本
ではなくなってしまって、国際連合の旗じるしのもとに
投資
される
資本
であるという点からいいまして、受ける方でも何らの心配もなく、これを受け取ることかできるというようなわけであります。ソビエトから
投資
されるような
資本
においても同じことが言えるわけでありまして、それはすでに共産主義国の
資本
ではなくなって、いわば無害な
投資
として受けることかできるというようなものになるはずのものでありまするからして、私は国際連合というものが、その点で、もっともっと力を入れなければならないのだというような感じを強く持っておったのであります。しかるに、それがなかなか実際においてはできない。国連がやろうとしましても、
資本
国は、これに対して
出資
を渋るというようなわけでありまして、かるがゆえに、国連でできました特別国連
経済
開発
基金
ですか、長い名前がついたそういう
基金
ができそうであったのでありまするが、これも
準備
時代に終わってしまっている、とうとうそれが実現しなかった、こういうようなわけであります。そこで昨年になって、あの有名なポール・ホフマンが主として働きかけて、国連に特別
基金
を作るということになって、日本からもたしか四十八万ドルですか、去年、今年と
出資
をした模様であります。これは大へん私はいいことと思うので、それまでは国連がやろうとしても、アメリカがしり込みして
援助
を与えなかったために、先ほど申しました特別
基金
というものはできなかったのでありまするから、今度ポール・ホフマンのやりましたその特別
基金
は、アメリカが態度を変えて乗り出してきたということで、ものになりつつあるように見並又けられます。 これはまあ大へんにいいことと思いますけれども、そこで、この日本にこういうような新しい
基金
の制度ができて、日本側として
投資
をする機構がこれによってできるわけであります。もちろん、
東南アジア
地方
開発
の上からいいまして、これは大へんに諸外国から見ても歓迎さるべきことであろうかと思います。しかし、何と申しましても、現在のところではあるいはコロンボ
計画
にいたしましても、国と国との間の相対ずくの契約でもって
開発
を進めておるというような
関係
、それがまた、それだけならまだいいのでありますが、これが東西両陣営の政争の場として、
東南アジア
なり、アフリカ諸国なりが使われるというような傾向が、最近において顕著になってきたことは、これは認めざるを得ないと思うのであります。もちろん、これらの低
開発
地域
に対しまする
援助
は、何も自由陣営の独占であってはならないということは、これは当然な話でありまして、それは自由陣営の特権でも何でもないのでありますからして、どこの国でも、これが
開発
に大きな意欲を持っておる国であるとするならば、当然共産圏といえども、
投資
をし得なければならぬはずのものではありまするけれども、それが東西両陣営のいわゆる冷い戦争の現実の問題として、アフリカならアフリカでもって、両陣営の間で争われるということになりますると、これはその受ける万の国からいって、まことに迷惑千万なことでなければならず、また世界平和増進の上から見ましても、一つもほむべき問題でないと思うのであります。 そこで私は、この日本などが、これから
海外
投資
に乗り出す、低
開発
地域
の
開発
のために乗り出すということになったとすれば、そういうような両陣営の争いなどに飛び込まないような仕組みでもって、これをやっていかなければならぬ、こう思うのでありまして、いわば日本の
投資
は、全くひものつかない、無色な
投資
であるということを、その受ける方の国々によく周知せしめなければならないと思うのであります。それにはやはり国際連合などと密接な
連絡
をとりつつ、あるいは
経済
社会
理事
会にこれを報告するとか、国連の了解を得て、そうして乗り出すとか、いろいろな方法があるかと思いまするが、そういうような方法をとってやっていく。つまり、日本の
投資
というものは、公明正大、その受ける方の国の発達、国民の幸福、その増進のために日本は乗り出しておるのだということを周知させるということが、私は非常に必要である。そのためには国連を利用するということが最もいい方法ではないかと思うのであります。 繰り返して申すようでありまするけれども、日本の
投資
というものは、そういったような両陣営のおのおのの帯びておるところの色彩には一切触れないで、そういったような色彩以外の
投資
であるということでなければならず、そこにおいて初めて日本の
投資
というものが有意義なものとして、後進国から受け入れられると思うのであり、また、そうやってこそ、初めて日本の工業力というものが、
産業
というものが健全な歩みをたどって、そして発展していくものではなかろうか、こう思うのであります。 つきましては、
政府
におかれては、日本のそういうような
海外
投資
の
計画
と国連というもののつながりを、どういうように考えておられるか。また今まですでにいろいろな手段はとってこられただろうと思いますが、そういう点に関しまして、私はあまり詳しい報道を持っておりませんので、
政府
側から、この際この機会を利用して御
説明
いただきたいと思うのでございます。
鶴岡千仭
34
○
政府委員
(
鶴岡
千仭君) 一言に申し上げますと、国際連合を通じまする技術
援助
、
経済
援助
と、それから二国間のべースによります
援助
とは補完
関係
にあるのであって、また補完
関係
にしようという心がまえで運営することが、今まで私どもの命じられておりました方針でございます。 御
承知
のように国際連合憲章は、その前文で一そう大きな自由の中で、社会的進歩と生活水準の向上を促進することを決意しておりますし、すべての人民の
経済
的、社会的発達を促進するために国際機構を用いる、国際連合を用いるという決意を述べておりますし、なおその上に、憲章の第五十五条におきましては、「一層高い生活水準、完全雇用並びに
経済
的及び社会的の進歩及び発展の
条件
」を促進すべきものであるというふうに
規定
しておるわけでございます。要するに
佐藤
先生が、今お述べになりました
通り
、国際連合は世界平和が一つであると同じように、世界の繁栄もまた一つであるという思想に基づきまして、その思想を実現するのが国連であると、その決意及びその方法を、ここに述べた次第であるかと思うのであります。 国際連合を通じまする
援助
と、二国間の協定あるいは話し合いを通ずる
援助
との特徴を一応申し上げますならば、国際連合を通ずる
援助
は、政治的な影響と
援助
とを遮断することができるところに大きな妙味のあることはお説の
通り
であるかと思うのであります。たとえばコンゴの
援助
の例によりましても、このコンゴに反乱が起こりまして、安全保障
理事
会が四回、特別緊急総会が一回、
通常
総会においても、また引き続いてその
審議
が行なわれ、それがまだ続行されておるのでありますが、そこに支配しておった思想は、コンゴヘの技術
援助
は国際連合のみを通ずるのであって、それ以外はやめよう、すべての
援助
は、国際連合を通じようという思想が支配的であったのは御
承知
の
通り
でございます。で、もう一つの特徴は、国際連合の手による
援助
でありますならば、世界的な
規模
において知識を集める、エキスパートを集めることができます。また世界的な
規模
において技術を習おうとするフェローを募集することもできるというような
規模
の大きさの特徴がございます。ただ何と申しましても、機構が大きくなり、
関係
者が大ぜいになって参りますというと、その活動が、どうもやはり身重になりがちであるという、そういう弊害があるのは、これは申すまでもないわけでございますし、また今日の世界におきまして、
援助
を受ける方の国の数が非常に多いので、ややもすれば先進国に対して
援助
を出せ出せという、その要求のあまりの大きさに、先進国はたじろぐといったような、そういう傾向のあるのも、もっともございます。 それならば、今日まで国際連合はどんなことをして、日本はそれに対して、どういう態度をとってきたかという点について一言申し上げたいと思いますが、国際連合におきましても
経済
社会
理事
会その他を通じて、これは先進国と、つまり
援助
を与える国と
援助
を受ける国、両方の協力の精神で技術
援助
が行なわれなければならない。従って先進国の先ほど申し上げましたような高い理想追求の精神を忘れてはならないが同時に受け入れ国も、せっかくの
援助
資金
でありますから、これを有効に使わなければならない。そのためには、今日の欠陥は、受け入れ国の行政機構、その他
資金
の利用方法の面で足らないところがあるので、行政指導、オーペックスと申しますが、そういうような機構も設けまして、大いにその面を改善する、つまり受け入れ国において
計画
を立てたり、または実施したりする上においておくれないようにしよう、そういう企てが、二年ほど前から臨時に設けられたのでありますが、その制度は、ことしの総会で半ば永久的に続けるということになったことは、その一例でございますし、また受け入れた
資金
、これは国際連合のみならず、いかなる
資金
でも、受け入れ国がこれを受け入れた場合に、それをある程度安全保障してやる。たとえば二重課税をかけないようにするとか、その他国産化、国有化という問題についても、慎重に考えるというような考え方が出て参っておりますし、去年の
経済
社会
理事
会あたりで、その制度がよろしいというので、先進国も、また後進国と中しますか、
援助
を受け入れる国の方でも、これに賛成の意を表している次第であります。この面から、だんだんに国際連合の手で固められつつあることは御同慶だと思うのであります。 なお国際連合は、一面において
援助
を求める国の声が非常に強く、その
援助
を要求する度合いも強くて、先進国はたじたじだと申しましたが、確かにその傾向がございますのは事実でありますけれども、すでに国際連合となって十五年、その間新しい国々、後進の国々も、だんだんに物事の実体を洞察いたしまして、自分たちが
援助
を受ける、その根本
条件
は、先進国の
経済
的繁栄の維持、発展であるという事実にも気がつきまして、そのことを、ことしの夏の
経済
社会
理事
会において宣言した事例もございます。 そういったようなわけで、私は国際連合を通じる技術
援助
は、あるいは
経済
援助
というものは、
規模
の大きいために活発度を欠く危険はあるにはあるけれども、今後だんだんにスムーズな発展を遂げていくのではないかという希望を持ってよろしいかと考えております。 具体的な例は、それならば具体的に国際連合は、どういう機構を設けておるかと申しますと、おもな機構は、特別
基金
と拡大
援助
計画
、この二つでございます。日本といたしましては、この両者に賛成いたしまして、一九五九年度、一九六〇年度の二年度におきましては、それぞれ六十一万五千ドルずつを出しまして、来年度につきましては、十月にクレジットと申しまして、大体来年どういうふうに出すかという誓約をする
会議
が持たれるのでありますが、そこにおいて国会の御
承認
を得ることができますならば、ことしはこれを三倍にいたしまして、約百八十万ドル程度の拠金をするということを申したのでございます。つまり日本
政府
は、国連を通じる
援助
計画
に対し強い熱意を示している次第でございます。 ついでに申し上げたいと思いますが、特別
基金
は大体長い
計画
に対して行なわれて、拡大
援助
計画
は短い
計画
、小
規模
の
計画
に対して、ことに人の教育その他に重きを置いた
計画
をいたしております。特別
基金
は、この
基金
の分担をする国及び
基金
に対して拠金をするが、それを受け取らない国と、それから
援助
を受ける国と二つに分かれておりまして、日本は、その
援助
を受けない国になっておるのでございます。しかしながら、まあ私どもホフマンあたりとも話をいたしましたが、もし日本において何ごとかの
事業
をする。それが後進国
援助
のためになり、かつ後進国がその
事業
を支援するというような場合であるならば、特別
基金
から
援助
をしてもよろしいということであったのでございまして、目下のところAPO――アジア生産性機構、それからエカフェ
地域
の社会防衛制度の訓練センター、それから地震工学のトレーニング・センター、こういうようなものを、日本といたしましては
東南アジア
及び世界の国々との協力によって、日本にこれを設け、そこに特別
基金
の
援助
を受けるという
計画
を推し進めておるわけでございます。日本はエキスパートにつきましては、一九五九年に二十名のエキスパートを外国に派遣しております。また一名のエキスパートを受け入れております。一九五九年のフェローの方といたしましては、日本といたしましては六十一名を外国に送っておるのでございます。なお、フェローとして日本が受け入れて、研修その他をしてあげた外国人は六十七名、一九五九年に六十七名に上っているというようなことでございます。DAG諸国におきましても、国連を通じる
経済
技術
援助
を二国間の話し合いで
援助
をするということは相互補完
関係
にある。一方において二国間
関係
の
援助
でありまするというと、とかく政治的な影響があるというふうに見られる。そういう弊害がありますが、同時にやはり一つの国といたしましては、その国の
経済
技術の持ち味を持っておったり、歴史的、地理的な意味で、ある国々とは特に提携がしやすい、それも早くできるといったようないいところも持っておりますので、この両方を生かしていきたいというような考えで今日進んでおるのでございます。 いずれにいたしましても、その両方一貫する思想は、世界の平和は、やはり一つである、世界の繁栄がまた一つであって、自分だけが栄えるというわけにはいかない。今日の世界は、そういう世界であるという、そういう基本的な考え方に立っている次第でございます。
佐藤尚武
35
○
佐藤
尚武
君 ただいまの御
説明
で、コンゴに対する
経済
援助
は、国連を通じてのみ与えるのだという決議が成り立ったように伺いましたが、それは国連の総会の決議でございますか。
鶴岡千仭
36
○
政府委員
(
鶴岡
千仭君) それは国連総会、今度。――九月十七日から二十日までに行なわれました緊急特別総会、これで、九月二十日の午前一時ごろできた決議の中にあります。それが今度の
通常
総会の方では、まだ決議ができておりませんから、決議の形にはなっておりませんけれども、そのことは非常に多くの代表団がリファレンスしまして、賛成の意を表しております。
佐藤尚武
37
○
佐藤
尚武
君 これは大へんに国連としても、非常にいい前例を開いたものと思われます。このポール・ホフマンの報告書の
内容
を見てみましても、今までの国連内に設けられた、たとえば拡大技術
援助
計画
であるとか、いろいろな活動が行なわれておったのでありますが、そしてまたその活動の結果として、この報告では、すでに九千人のエキスパートをこれらの低
開発
地各国に送ったとか、あるいは一万六千人の学生たちを教育したというようなことが載っておりますので、かなりの成績は上がりつつあるとは思いまするけれども、しかしその先に参りますると、ポール・ホフマンそれ自身が言っていることでありますが、これらの国連の運動は、大へんまずい言葉ではあるけれどもプレ・プレ・インヴェストメントだと言っております。つまり
投資
そのものが
目的
であって、そのためには
準備
行動が必要であるが、しかし、今まで国連がやってきことは、その
準備
行動のもう一つ前の
準備
を今やりつつあるというふうな調子でありまして、それから考えまするならば、国連の活動は、まだまだその前途遼遠であると言わなければならないと思います。 そのほかに、どうも私は統一がうまくとれてやっていっているのかどうかということを疑わざるを得ないのは、活動面の機構としては、国際復興
開発
銀行
であるとか、インターナショナル・ファイナンス・コーポレーションというものがあるらしい。そのほかに、国際
開発
協会というものがまたできて、そしておのおのが活動をしている模様でありますけれども、こうやっていろいろなものができて、できるのはいいとしても、その間に、ほんとうに有意義な
連絡
がとられているのかどうかということについて非常に私は疑問を持っているものであります。しかし、これらに関しまするまた詳細の御
説明
は他日の機会に譲ることにいたしまして、結論として、私の希望を申し述べまするならば、先ほども述べた
通り
でありまするが、日本の
海外
投資
、低
開発
地域
に対するこれらの
投資
というものは、やはりそのコンゴに対する
経済
投資
の決議の趣旨に従って、国連を中心としてやるのだという、そういう考え方でいくのが最も適切な方法だと考えますると同時に、それであってこそ、各地方の住民たちの信用を得ることになるのであり、何といっても、日本はあれだけ大きないくさをおっぱじめてしまったような国でありまするからして、信用の回復ということが第一でなければならぬと思うのであります。それには幸いに国連という機構があるのでありまするからして、これの旗じるしのもとで、日本は進出していくという、そういうことを、これらの国々の人たちによく理解させるということが、ぜひとも必要であるかのように思うのであります。 かくして初めて、日本は将来大きく伸びていくことができると思うのであり、かつ、日本自身が、私はこれらの国々の人たちにとりましては、いいお手本だと思うのであります。明治維新以来百年はかかりましたけれども、ふんだんに欧米の文物を取り入れ、これをそしゃくし、そして今日の
産業
の隆盛を来たしたというその生きた手本を、
東南アジア
の人たちによく見せて、そしてあなた方も日本人と同じような気持になって、単に母国を排斥し、憎み、そして敵対行動をとっていくということばかりが能ではないので、彼らの持っておった、ひいでた文化をふんだんに入れて、これを咀嚼してかかっていったならば、もちろん百年なんて長い時期を経ることなくして、もっともっと短い
期間
に、日本ぐらいの
産業
発展を実現することができるのだということを、よく理解させる。そこに私は、日本の将来伸びていく大きな使命があると思うのでありまするから、どうか
政府
当局も、私のそういう
意見
をいれられるかどうかしりませんけれども、そういったような大きな眼でもって、今後このせっかくできた
基金
の制度などを生かして活動さしていただきたいということを申し述べまして、私の質問を終わります。
大和与一
38
○
大和
与一
君
委員長
に先にお尋ねしますが、これは慎重に
審議
して早くきめてくれというのですね。これはまあうたい文句だけれども、きょう私たちは初めて見るわけでしょう。これをまあ、きょうあす中ぐらいに相当無恥にやってしまうことになるのか。その
内容
が簡単なものだったら、これは賛成することがたびたびありますけれども、これは相当大きな問題だと思うんですが、どうです、無理にやっちまうんですか。
剱木亨弘
39
○
委員長
(
剱木亨弘
君) お答えしますが、無理にやるとか、そういうことは全然考えておりませんで、
審議
の状態によりまして、あげられるものならあげていただきたいと思います。
大和与一
40
○
大和
与一
君 それから、さっきの
局長
さんの答え、長過ぎるから、もっと簡潔に要領よく答えていただきたいと思うんです。私も簡単に質問します。 第一は、
東南アジア
に中国も入っていると思うのだけれども、中国との
関係
は、この
法案
では全然ありませんか。どうなのか、第一の質問です。
白幡友敬
41
○
説明員
(
白幡
友敬
君)
通常
私どもの言っております
東南アジア
という言葉の中には、中国、朝鮮、こういうものは概念的には入っておりません。従いまして、将来こういう
地域
に対しますこの
基金
の
対象
とするような
事業
が行なわれますような場合には、いわゆるその「
東南アジア等
」と、「等」の中に包含するという思想でございます。
大和与一
42
○
大和
与一
君 そうすると、まあ「等」という、「その他」とありますから、やはり一応、しないということではなくて、具体的にいろんな問題が出てきた場合には、それに対して、まじめに考えて取り上げていくということになるのか、でなければ、中国などはそんなに困っていない国だから、今のところ、そんなことは考えていないのだと、こうなるのか、そのどっちですか。
白幡友敬
43
○
説明員
(
白幡
友敬
君) ただいまの段階では、いわゆる中国大陸の方、あるいは北ベトナムとは、国交
関係
がございませんので、直接この
基金
の
対象
になるという
事業
というものは成立しにくいと思います。将来国交が結ばれましたら、こういう問題は当然出てくると思います。
大和与一
44
○
大和
与一
君 しかし、
予算
委員
会で総理が、たとえば中国についても、政治的な問題は困るけれども、たとえば郵便とか、気象とか、そんなものはいいということを、はっきりおっしゃっているのですから、段階的に積み重ね式に、やはり商売していった方が日本のためにいいのではないか、こういうことは、やや明確に方針を出そうとしているのだから、そうすれば、この問題も当然含まれると考えていいと思うのですが、どうですか。
白幡友敬
45
○
説明員
(
白幡
友敬
君) 総理のお答えの趣旨は、大体いわゆる
貿易
を中心とした思想じゃないかと思われますが、
経済
援助
になりますというと、若干必ずしもそれと結びつかない点もあると思いますので、ただいまの段階では、ちょっとはっきりお答えいたしかねます。
大和与一
46
○
大和
与一
君 だから、はっきり区別できることと、それからできないこともありますわね。この
法案
の趣旨は、やはり日本の国をよくしようというのだから、その場合に、はっきりできないというのは、どういうわけかわからない。もう腹がまえとしては、それは別問題だと、別ワクだと、こういうふうにきめて、この
法案
を出したのかどうかということをはっきりおっしゃって下さい。
白幡友敬
47
○
説明員
(
白幡
友敬
君) ただいまの御質問の趣旨でありますと、はっきりできないときめておる思想ではございません。
大和与一
48
○
大和
与一
君 ではない……。
白幡友敬
49
○
説明員
(
白幡
友敬
君) ございません。
大和与一
50
○
大和
与一
君 民間企業だけでは、資力が十分でないと、これは簡単な言葉ですけれども、私たちは、民間の
銀行
なり
会社
なりが、実際に、何と言いますか、
仕事
ができると思ったら、黙っておってもこれは流れていくわけですね。これに対して、
開発
銀行
の裏づけも、心配がなければ出さぬという見通しに立って大体やっているわけですね。そういう面からは、これからも何も心配はないわけでしょう。だけれども、それがないやつを、これからやってやろう、それが弱いところを国の力でめんどうをみようというわけでしょう。そうなると、一体国として収支がつぐなわなくても、いわゆる国際的な立場から弱い人を
援助
すると、こういう意味を含めて、やや捨て金的なそういうこともやるのだと、こういうことがあるのかないのか。
中野正一
51
○
政府委員
(
中野正一
君) 今御指摘のように、
東南アジア
を初めといたしまする低
開発国
の
産業
の
開発
を補助して、南方との
経済交流
を促進するために、いわゆる
開発事業
というものには必要な
資金
を貸していこうということでありまして、こういうものにつきましては、従来の
輸出入銀行
のいわゆるコマーシャル・ベースというものでは、どうしても金が出しにくい、そういうもので、しかも向こうの
産業開発
には非常に貢献するというような例がだんだんと出て参るわけでございまして、普通の
金融
ベースということではいかぬ。たとえば、非常に
開発
に時間が長くかかる。
輸出入銀行
でいきますと、普通は大体七年とか、最大十年以上の金は貸せない
建前
になっております。そういうことでなしに、もう少し
長期
に寝る金、資源
開発
であるとか、漁業の
開発
であるとか、そういうような方面にこの
基金
を活用していきたいというふうに考えております。
大和与一
52
○
大和
与一
君 そうすると、ほんとうの商売をする専門家は、これは手がたくやるわけでありますが、そこに、しろうととまではいきませんけれども、やや冒険が含まれておるわけですね。 そうすると、今のお話はわかるのだけれども、新しく
援助
をする場合に、その利害打算というものを、あなた方だけでなくて、ほんとうに責任を持ってだれがやるのか、どういう人たちが集まってきめるのか、これを聞きたい。
中野正一
53
○
政府委員
(
中野正一
君)
資金
の
貸付
の意思決定は、これは
基金
の機構でありまする
総裁
、
理事
というところで最終決定をすることになるわけであります。ただその間に、その
事業
の緊要性その他につきましては、
関係
官庁の
職員
で構成をいたしておりまする
運営協議会
というものがございまして、この
基金
が具体的にどういう
会社
に貸すとか、そういうことは、役所でありますので、指図はいたしませんが、全般の
基金
の
運用
の方針、あるいはどういう方面の
事業
が大事であるか、またその
事業
を助けることによる
経済
的ないろいろな効果、そういう方面につきましては、
関係省
からも、いろいろ
意見
を
運営協議会
を通じまして言うことになるわけであります。
大和与一
54
○
大和
与一
君 民間は入らないのでありますか。
中野正一
55
○
政府委員
(
中野正一
君) 民間は入りません。
大和与一
56
○
大和
与一
君 そうすると、役所だけで相談してやるわけですな。そいつは、あまりりっぱじゃないと思うのだな。たとえば、衆議院の付帯決議を見ても、在外公館と
連絡
してやれと。エチオピアでも、ネパールでも、あんな問題が起こっても、一つも
連絡
ないのでしょう、何しておるか知らぬけれども。そんなものを相手にしておったら……。国民の大事な金を使ってやるからには、やはり損をしないようにやらなければいかぬのだから、そういう場合には、どうなんですか。民間を入れないということと、在外公館との
連絡
ということとは、今のような在外公館の力では不十分ではないかと思うのだが、的確なやっぱり資料と、それから
情勢
の情報が入らなければ、そんな
総裁
をきめるといったって、格好だけだから、それじゃだめじゃないですか。
中野正一
57
○
政府委員
(
中野正一
君) 本
基金
の
業務
につきまっしては、たとえば窓口の受付、それから
審査
、あるいはそれに伴う
調査
、そういう機能の一部は、従来からやっております
輸出入銀行
に委託をしてやる。相当
事務
的な部分につきましては、
輸出入銀行
に処理させる。しかし
開発事業
に必要な金を貸すことでございますので、
基金
といたしましても十分なる
調査
、
審査
もやりまして、そうして
貸付
をするかどうかということを決定することになるわけでございます。 それから在外公館との
関係
につきましては、御指摘の
通り
に衆議院におきまして付帯決議がつきまして、本
基金
の運営にあたっては、いろいろ
海外
の
情勢
等を十分知った上で運営すべきである、その意味において、在外公館等とも
連絡
を十分にとるようにという御趣旨の付帯決議がついております。もちろんこの
外務省
の代表が
運営協議会
に入っておりまして、その面を通じて
外務省
方面とは、
十分連絡
はとれるわけでございます。在外公館等からも、十分に情報等をいただいて運営をすることになると思います。
大和与一
58
○
大和
与一
君 そこがやっぱり大事なんで、やることは、かりにいいとしても、たとえば
事業
の
準備
調査
とか、または
試験的実施
のための
資金
の
貸付
、この辺が的が狂ったら、これはまるでだめなんでしょう。そこを私は言うわけなんです。その的がねらいをはずれないでいけるように、そのために、どういう衆知を集めて、しかも正確にやるのか、そこのところをもう少し詳しく正確に聞かぬと、一応の形だけ聞いたってしようがない。
白幡友敬
59
○
説明員
(
白幡
友敬
君) ただいま在外機関との関連のお話がございましたのですが、
外務省
といたしましては、
経済協力
、技術協力の陣営を強化しなくちゃならないということは、特に最近強く感じておりまして、来年度の
予算
にも、このための係官の在外公館強化を、ただいま増員のことにつきまして、
大蔵省
と折衝中でございます。 従いまして、確かにこの
経済協力
の面では、従来日本といたしましても、いわば
事業
的にあまり歴史がないものでございますから、いろいろと在外公館の方の機能に、十分な点がなかったと思いますので、人的にも大いに強化いたしていこうと思っております。 それから、ただいま御指摘になりましたネパールにつきまして申し上げますと、御
承知
のように、あそこには在外公館ございませんで、インドの大使が兼任いたしておりますために、突発的な事故につきまして、情報が若干おくれておるのでございますが、実はごく最近、あの事変が起きます直前に、これは
外務省
からではございません、形式的に
外務省
からではございませんが、実質的には
政府
の補助金を受けております団体から派遣ということでもって、前の
外務省
の大使をやっておりました日高信六郎さんを団長としてネパールに技術協力という意味で電源
開発
の
調査
団を送りました。これには
政府
の役人ももちろん入っておると同時に、民間の
会社
からも出してもらいました。それからあちらに駐在いたしております――これはインドに駐在しておるのでございますが――商社の人の協力も得まして、約一ヵ月間にわたる
調査
を完了いたして参りました。 従いまして、
外務省
といたしましては、できるだけ将来は、こういう後進国の
経済協力
のための
調査
を今後ますます進めていきたいと思っております。
大和与一
60
○
大和
与一
君
輸出入銀行
よりは、やや幅広く
運用
できるように考えておるのですね。これはちょっと抽象的な言葉ですがね。これはまあさっき御
説明
があった大体中身だと思うのですけれどもね。これをもう少し、あれですな、
説明
してもらいたいですね。そういううまいことができるのかどうか。 で、やや幅広くということは、やっぱり裏づけがなくちゃいかぬから、私は裏づけの方が大事だと思うのですが、
現地
の模様、こっちできめる的、的がきまって、また実際にそれを
運用
する格
関係省
の
会議
、それだけじゃ、やっぱり不十分だから、なお必要な人たちの
意見
を聞くと、こういうことを初めにきめることが一番大事なんだから、その辺が……それとさっきもいった、これば損をするとわかっておってやるのじゃないのだから、向こうさんのためにやるのじゃない、こちらのためにやるのだから、そこのところを、もう一度総括的にお話を願いたい。
中野正一
61
○
政府委員
(
中野正一
君) この
開発事業
をやる場合には、もちろんやる
主体
というものが、まあ普通の場合は、日本の民間の人がこれを、向こうとの
連絡
を十分とってやるわけでございまして、その意味では、その
主体
となる民間の
会社
なり、その
事業
体というものが、
現地
の
情勢
も十分
調査
をしまして、慎重にまあ
計画
を作りまして、そのうちの一部の金を
輸出入銀行
なり、あるいはこの
基金
なりに申し込みをすると、こういう段取りになるわけでございます。 ただ、
輸出入銀行
でありまするというと、十分なる
担保
を取れる。これは
法律
にも償還確実なものでなければ金を出しちゃいかぬということが書いてありますので、十二分な
担保
を取れる。また期限に非常な制限がございます。あまり
長期
の
開発
資金
というものは、やはり
輸出入銀行
からは出しにくい。またその
事業
が――もちろんこれは採算を無視してやるような
事業
に、幾ら
政府
の金でも出すわけではございませんので、採算ということは、十分
基金
として検討して金を出すわけなんです。 ただその場合に、この普通の採算よりは、べースからみまして、十分これはやっていけるということでなしに、少しでも危険性もあるというようなものでありまするというと、どうしても貸出しの利率も、そんなにたくさんは払えないと、こういうことにもなってくるわけでございまして、
担保
条件
なりあるいは
貸付
の
期間
、それから
貸付
の利率と、そういう点から見まして、
輸出入銀行
のべースには乗らないというもので、本
基金
で
対象
になり得るものが相当あるのじゃないか。そういう点を
基金
として十分
調査
をし
審査
をいたしまして、
貸付
の決定ということに至るのでございます。
大和与一
62
○
大和
与一
君 今までも
政府
から、これに似たような、いろいろなまあ金を出すことがあったと思うのですけれども、ずいぶん抽象的な言い方だけれども、大体、あれですか、大きな失敗をしたことはない。十のうちで失敗は幾つ、うまくいったのが幾つと、ただし何にもせぬで、いいことも悪いこともせぬで、ずっと生きているのなら、これはありますよ。これは幾らでもできるけれども、そうでなく、せっかく大きな金を使って、それで
あと
はきちんと報告されるのだろうと思うのですけれども、うまくいかなかったことがありますか、率直に。
柿坪精吾
63
○
説明員
(
柿坪
精吾
君) 従来の
海外
投資
につきましては、輸銀の
貸付
を受けて行なったもの、あるいは自己
資金
だけで行なったもの、こういうようにございますが、従来の
投資
の中でも、やはりすべてが成功したわけじゃございませんので、たとえばメキシコに出ました豊田の紡績工場、これあたりは
現地
資金
の
関係
で制限がありまして、
現地
資金
の均衡との
関係
がまずかった。あるいは通貨価値の問題、その他の問題で、一応株式を
現地
人に譲渡いたしまして引き揚げたというような例もございます。 ただ、全般的に申しまして、そういう失敗の例は、ごくわずかでございまして、まあ所期の
通り
とまではいかなくても、成功しておるのもあれば、まずまずの成績をおさめておるというのが実情かと思います。
大和与一
64
○
大和
与一
君 きょうはこれで。
剱木亨弘
65
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 他に御
質疑
ございませんか。――他に御発言がなければ、
商工
、
外務委員会連合審査会
を、これをもって終りますことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
剱木亨弘
66
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 御異議はないと認めます。よって本
連合審査会
は、これにて終了することに決定いたしました。 それでは、これにて散会いたします。 午後零時五十一分散会