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説明員(
高橋泰彦君) お答えいたします。この種の
災害につきましては、
災害前の
状況をまず
確認することが、私
どもの
仕事の
最初のスタートの問題でございます。で、
漁船につきましては、
動力船と一トン以上の無
動力船につきましては、
漁船登録法によりまして
登録を行なっております。従いまして無
動力船一トン以上と、
動力船については大体これも全く完全だというわけには参らないわけですが、しかしながらこの
登録を
基礎といたしましてほぼ
災害前の
原状の
確認ができるものというふうに私
ども考えておる次第でございます。ただ問題は、
登録制度をとっておらない一トン
未満の無
動力船が問題ございます。それでこれは
登録法の当初におきましては、これも実は
登録の
対象としておったのでございまするが、問題は、無
動力船でもありますし、漁民から見まして非常に手数かかかるということで、
法律の改正が
国会でなされまして、現在は無
動力船の
登録制度はとっておりませんが、しかのこういう
災害になりますと、その点はやや
不安心でございますが、しかし
登録制度が廃止されましても前の
登録の原簿が残っておりまするので、それを
基礎にしてその後における
建造なり、
漁船の取得ということを追跡いたしまして、一応一トン
未満の無
動力船につきましてもまず
原状の
確認をいたす
基礎にいたしておるわけでございます。そういうような
事態のもとにおきまして、御
指摘のような
災害がございますと、これは御
指摘のように、
災害の
確認ということが想像
以上に困難をきわめるわけでございます。確かに御
指摘のようにその後、船のことでございますから流れついたものの、
所有者がずっと
あとでわかったような
事態もございます。従いまして、私
ども数字を見ておりますと、当初
県知事からの
被害報告は
相当多いの
でございますけれ
ども、ただいま御
指摘のような
事情がございましてだんだんだんだん正確になってくるという
事情でございまして、私
どもの
最後の
確認としては、あるいはちょっとおそ過ぎるじゃないかというお叱りを受けるかもわかりませんが、一応
伊勢湾台風
の
漁船についての最終的な
確認は、実は
相当あとの三十五年の三月でございますから約半年かかったわけでございます。従いまして半年間の、ただいま御
指摘のような
漁船の問題についてはまずまず府県も
確認したであろうということで、それを信じて私
どもの
作業
にかかったわけでございます。もちろん半年ではあるいは短か過ぎるというお叱りがあるかと思いますが、一方、
補助金も何とかして早くやりまして早く
復興に努めたいという私
どもの
事情もございまして、そこら辺はおそいか早いかの問題はあるかと思いますが、
一応半年後の時点で
確認を行なったということでございます。そのようにかなりこの
仕事は、そういう意味で技術的に困難があるということを御参考までに申し上げた次第でございます。
なお、ただいま御
指摘になりました、よそに
被害があったと称せられる船が売られた事実が二件ほどあるということでございます。これはもちろん
沈没した船ではなくて、かなり
大破した船だというふうに推定いたすわけでございまするが、まず
法律の方並びに
政令を御
説明いたしますと、
補助の
対象となる船は
沈没、滅失、その他原形に
復旧することが著しく困難または不適当な損壊を受けたものに限る、こうございます。一番私
ども作業をして参りましてむずかしい問題は、
最後の
規定の、いわゆる
修理費が
建造費よりも上回る場合の船が
大破——通常私
どもは
大破という
名前をつけておりますが、かなり大きな痛手をこうむった船で
修理費が
建造費を上回る場合もございます。私
どもとしては一応
政令の
段階では、これは
被害を受けた
小型漁船に含めた次第でございます。しかしながら、この
大破の船が、今まで私
どもも
漁船保険その他で経験したことがございまするが、いわゆる
修理費が
新造費を上回るような場合には、一応
全額保険金を支
払います。しかしながらその支
払いを受けた船がまだ
残存価値がある場合には、往々その
個人がこの船を売り飛ばす場合がないではございません。従いましてこの
ケースもおそらくまだ
十分県の方の連絡は受けておりませんが、ただいまの件につきましては、ただいまの
段階で推定いたしますと、おそらく
大破の
認定を受けた船が、その船の
所有者個人がまだ売る
価値があるというふうに見て、それを売った
ケースというふうに推定いたしておる次第でございます。
なお、この
補助金がこの
個人の
漁船の
復興を認めるという場合ですと、これは御
指摘のように
相当の……今のような一
通りな
説明をもってしても、なおかつ、こう割り切れない感じが若干私
どもとしても受ける次第でございまするが、この
小型漁船に関する
法律の
趣旨は、この船は
漁業協同組合に作らすわけでございます。従ってその船がその
損害を受けた
個人の
建造を認めるわけてはございません。しかもこれは
相当御非難をいただいたのでございますが、全体の
被害を受けた
小型漁船の三そうに対してわずか一隻の割合しか
補助金を渡す道が開かれていないわけでございまして、
あとの二隻については
補助金のような
措置はとらないわけでございます。この
事情はとても
個人個人では当時の
資材の
状況、
被害の
状況からいいまして、
漁船の
復旧がむずかしい場合は、
漁業協同組合が
組合員にかわって、
組合自身が三隻のうちの一隻たけ作って、
組合が所有して
組合員に
共同で所有させる、こういう
趣旨でございますので、あるいは
組合員が持っておる
大破の
認定を受けた船を売り飛ばすことがあったかと思いまけすれ
ども、法の
趣旨は
組合に対して
——組合員でございませんで、
組合に対して三隻
沈没または
大破したうちの一隻だけ
補助金を出す、こういう
趣旨に相なっておりますので、この
趣旨から見ましても、もしそのようなことがありましても
——もちろんこの
実態をもう少し糾明する必要がありますが、単に
組合員が売ったというだけで、すぐはなはだ妥当を欠くものであったかどうかということになりますと、必ずしもそうではないのじゃないだろうかというような考えを私
どもとしては持っておるような次第でございます。