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1960-12-20 第37回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月二十日(火曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三木與吉郎君    理事            天埜 良吉君            金丸 冨夫君            村上 春藏君    委員            佐野  廣君            鳥畠徳次郎君            平島 敏夫君            井野 碩哉君            谷口 慶吉君            大倉 精一君            重盛 壽治君            中村 順造君            松浦 清一君            白木義一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省航空局長 今井 栄文君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部業    務課長     小林 正興君    日本国有鉄道常    務理事     中村  卓君    日本国有鉄道総    裁室法務課長  鵜沢 勝義君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任の件 ○理事補欠互選の件 ○国鉄貨物駅の集約化反対に関する請  願(第七号) ○国鉄信楽、柳ケ瀬両線存置に関する  請願、(第八号) ○国鉄柳ケ瀬線等存置に関する請願  (第九号) ○長野県を中心とする国鉄輸送力強化  に関する請願(第六二号) ○長野松本空港設置促進に関する請  願(第六三号) ○北海道本州間補助航路開設に関す  る請願(第一五六号) ○運輸事情等に関する調査  (名古屋空港における飛行機事故に  関する件)  (日本国有鉄道の運営に関する件) ○継続調査要求に関する件   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいまから委員会開会いたします。  まず、理事辞任についてお諮りいたします。  去る十五日、理事江藤智君より理事辞任の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  4. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、欠員となりました理事補欠互選を行ないます。  互選は先例により委員長において指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは金丸冨夫君を理事に指名いたします。   —————————————
  6. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、請願の審査に入ります。  まず第七号、国鉄貨物駅の集約化反対に関する請願議題といたします。  速記をとめて下さい。    〔速記中止
  7. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて。  それでは、本件は採択することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、第八号、国鉄信楽柳ヶ瀬線存置に関する請願でございます。  速記をとめて。    〔速記中止
  9. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) では速記をつけて。  それでは本件は採択することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、第九号、国鉄柳ケ瀬線等存置に関する請願であります。速記をとめて。    〔速記中止
  11. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて。  それでは、本件は採択することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次は、第六十二号、長野県を中心とする国鉄輸送力強化に関する請願でございます。速記をとめて。    〔速記中止
  13. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて。  それでは、本件は採択するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次は第六十三号、長野松本空港設置促進に関する請願でございます。速記をとめて。    〔速記中止
  15. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて下さい。  本件は採択することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次は第百五十六号、北海道本州間補助航路開設に関する請願速記をとめて。    〔速記中止
  17. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて下さい。  それでは、本件は採択することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいま採択することに決定いたしました請願報告書につきましては、委員長に御一任願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) それでは休憩いたします。    午前十時五十六分休憩    ——————————    午前十一時二十七分開会
  20. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいまより委員会を再開いたします。  運輸事情等に関する調査議題といたします。  まず、名古屋空港における飛行機事故対策について御報告願います。
  21. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 航空局長今井でございます。ただいまお話のございました小牧における航空機の衝突事故のその後の状況につきまして御報告を申し上げたいと思います。  昭和三十五年三月十六日、事故が起こりました直後、運輸省におきましては直ちに事故対策本部設置いたしまして、運輸次官を長といたしまして関係のそれぞれの係官が集まりまして、事故調査事故対策につきまして協議をいたしておったわけでございますが、一方、村手管制官に対しましては、局側職員組合と相はかりまして、局の同僚有志から募金いたしまして、その浄財によりまして救恤措置を講じて参ってきております。それから村手君につきましての勤務のその後の状況につきましては、管制塔から勤務をはずしまして、現在名古屋航空保安事務所総務課デスクワークに配置がえをいたしまして、そこで庶務関係仕事をやっておるようにいたしております。それからさらに並行して、航空局の特に事故担当専門家、つまり航務課及び管制課責任者によりまして直ちに事故調査につきまして行動を開始たいしまして、ようやくその結論を得まして、それをもちまして関係の諸方面、特に検察庁あるいはまた村手担当弁護士等に対しまして、事故の事実、あるいはその事実に対する法律、あるいは訓令その他の諸法規等につきまして詳しい説明をいたしますと同時に、なお事故調査についての結論をできる限り詳細にまとめるように努力して参ったのであります。  当時の結論といたしましては、私どもの得ました結論について簡単に申しますと、管制指示にも過失があった。しかし、実際に衝突事故を惹起したパイロットにもあわせて責任ありという判断でございました。それからなお、今年の六月十三日に、先ほど御説明申し上げました航空事故対策本部結論を得まして、その結論に基づきまして諸般の対策、主として予算措置その他に関する措置を講じて参ってきております。  事故対策に関する報告書は、ただいまお手元にお配りいたしたと思いますが、その主たる内容について簡単に御説明申し上げますと、まず第一は、管制官勤務体制改善の問題でございます。これは、大きく申し上げますと二つに分かれまして、一つは、現在かような非常に困難な環境のもとにおいて、非常に重要な責任仕事を、極度な精神的な緊張裏において常時行なっている管制官に対して、現在の給与は低過ぎる。従いまして、これを何とか給与を高めてもらいたいということが第一でございます。  第二点は、現在、管制官は三直四交代勤務いたしておりますが、これが従来米軍がやっておった当時、また現在自衛隊管制職員のやっております勤務体制からしますれば、これをすみやかに四面五交代制改善することが適当であるということから、来年度の予算要求等におきましては、四直五交代制骨子とする増員要求というふうなものもいたしている状況でございます。この二つ管制官勤務体制改善の主たる内容でございます。  それからその次に、もちろん、この養成、再訓練等の研修の強化というようなことも大事なことでございまして、こういった点につきましても、現在羽田にございますトレーニング・センターをさらに強化して、再訓練養成等について格段の努力を払いたい、かような結論になっております。  それから、その次に大事な問題は、現在の特に管制の中枢でございます入間川ジョンソン基地にございます管制本部、これが現在、御承知のように地下構造式のもので、通風、採光、あるいはその他の環境が非常に悪いということと、それから作業場が非常に狭いというふうなことからいたしまして、しかもケーブル、無線施設、その他の施設米軍が使っておったままでございまして、従ってそれが非常に老朽化しているということから、これを他の適当な地に移転すべきであるということで、管制本部の移転の問題も来年度の予算に、航空局といたしましては第一の順位で予算要求をいたしている状況でございます。そのほか、長距離レーダー設置であるとか、あるいはまた、その他の保安施設を早急に整備するという意味の計画も立てまして、現在予算要求をいたしておるような状況でございます。これらが、この事故に対して今後の諸方策として考えられた問題の骨子でございます。  それからなお、当委員会での航空法審議の際に付帯決議として掲げられました飛行場共同使用問題についても検討いたしておりますが、何分にも場所がなかなか得られないというふうな関係もございまして、早急に現在の共同使用飛行場分離するということはなかなかむずかしい問題でもございますので、これは地元自衛隊との間に、十分訓練計画その他についての打ち合わせをいたしまして、再び事故が発生するというふうなことのないように、でき得る限りの措置を講じて参っております。  それから、非常に長くかかりましたが、本年の十一月三十日に、村手君その他の処方が決定を見まして、村手君については起訴、それから平野二佐に対しましては起訴猶予、それからまた村手君を監督する立場にございました賀好管制官に対しましては不起訴というふうな決定がなされたわけでございますが、そのうち、私どもといたしましてよく検討をいたしたのでございますが、検察庁考え方の中には、特に村手君と平野二佐との責任関係につきましては、事実認定につきましては、検察庁側航空法九十四条、及び私ども訓令としてこれを地方に流しておりますいわゆるANCという管制基準書がございますが、これは米国において現在使用中のものを私どもがそのまま管制の実施上の基準として訓令として流しておるものでございますが、このANC、これは自衛隊も採用いたしております。この航空法並びANC等を準用いたしまして、検察庁も、平野二佐に刑事責任ありという立場をとっておるわけでございます。つまり、簡単に申し上げますと、管制指示過失と、それから注視義務過失との競合によって事故が発住したということを言っておるわけでございます。その点につきましては、先ほど御説明申し上げました私ども事故調査結論と同じ線で問題を考えておるというふうに私どもは了解いたしておる。ただ、検察庁として、一方は起訴とし、一方は起訴猶予とする。つまり平野二佐については情状を酌量するという処分をとられたわけでございまして、これは行政官庁としての私ども立場からしますれば、全く検察庁の権限の範囲の問題でございまして、私どもとしては申し上げることもないわけでございます。村手君に対しましては、その処分後におきまして、部内でもいろいろ検討しまして、さらにまた私ども同僚有志によりまして、同君への援助強化いたしますと同時に、行政処分裁判確定後に行なおうということで、現在は行政処分はいたしておりません。それからまた、本人刑確定まで休職処分にするかいなかの問題につきましては、私ども気持といたしましては、よく人事院と協議いたしまして、でき得る限り休職処分にしないで、そのまま勤務デスクワークを続けさせるというふうな方向で現在努力いたしたい、こういうふうに考えております。  それからさらに、同君につきましては、今回措置が、一応事実認定においては両者責任ありということでございましたが、結果としましては、起訴と不起訴というふうな処分に実質上の開きが出て参ったわけでございまして、今後私どもとしましては、でき得る限りの努力をいたしまして、同君に対する求刑なり、あるいは判決なりの軽からんことをこいねがうのみでございます。さらに職員組合平野二佐を十二月の十三日に告発いたしております。それからなお、全日空機その他乗客の方々に対します民事上の責任につきましては、今後の問題となるわけでございますが、法務省の訟務局の非公式な見解としましては、運輸省並び防衛庁両者責任ありというふうな立場をとっておられるようでございまして、今後この点につきましては十分関係者の問で協議いたしまして、民事責任をとる問題につきましても遺憾のないような措置を講じていきたい、かように考えております。  以上で簡単でございますが、説明を終わらしていただきたいと思います。
  22. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 質疑のある方は順次御発言を願います。
  23. 大倉精一

    大倉精一君 今の報告の中で、自衛隊との共同使用の問題ですね。この分離の問題が前々から一番問題になっておったのですが、それが今不可能だという結論らしいのですが、これは自衛隊と、今すぐでなくても、そういうような方向努力をするという、あるいは何らかのめどを持って実行するというような、そういう考えはおありにならぬですか。さらにまた、分離不可能ということであれば、どういう理由で不可能かという点についてもう少し説明を願いたいと思います。
  24. 今井栄文

    説明員今井栄文君) その点につきまして言葉が足らなかったかと思いますが、極力分離する方向努力するということは、この前、楢橋運輸大臣もお答え申し上げておりましたし、私どもも現在その気持は何ら変わっておりません。ただ、さしあたっての問題といたしまして、現在直ちに行なうことは非常に困難であるという趣旨で申し上げたわけでございますが、努力いたすつもりでございます。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 現在直ちにやれということは、これは無理かもしれませんが、ただ単に努力するというだけでは、これはやはり努力したが、だめだったということになると思うのです。特にこの前小牧に行ってみた感じによりますと、やはり飛行場使用の優位は自衛隊にあるような気がいたします。特に米軍からいろいろな資金援助なり、援助があるという、そういうふうな関係もあるかもしれませんが、とにかく、われわれがあそこに行ってみた感じでは、やはり自衛隊優位だと、そういう感じがするわけです。だから、あなたの方が努力をすると言っても、相手がある、自衛隊というものがある。その他の関連があると思いますから、そういう方面と折衝なさったかどうか、あるいは折衝なさったとするならば、その状況経過はどうであったか、報告ができるなら一つしてもらいたいと思います。
  26. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 自衛隊との関係につきましては、特に飛行場使用問題につきまして、千歳、小牧空港につきまして非常に従来問題がいろいろございますので、私ども自衛隊との関係を調整するために、両省の間に現在協議会を作りまして、定期的に会合をいたしております。で、事故後におきましても協議会は数回開いておったと記憶いたしますが、こういった問題についても話し合いをいたしたことがございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、とにかく、さしあたっての問題としては、なかなか困難であるから、事故の起こさないように十分に両者でよく協議して、とにかく現状はやっていこうというふうな一応の結論になっております。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 特に小牧飛行場については先般の視察の際にも、国際空港にしてくれという要望が非常に強かったのです。最近においては外国旅客機があそこから出発したという実績があると聞いておるのですけれども、そういうようなことになってくれば、ますますもって小牧飛行場分離という問題を具体的に日程にのせないといけないのじゃないかと思う。特に岐阜県の各務ケ原の飛行場もあることですし、そういう問題は、やはり具体的な協議をして、何らかのめどをつけるようにしないというと、単に努力だけではだめじゃないかという気がするのですが、どうですか。小牧空港国際空港というそういうような傾向があり、また地元要望あすこは強い、そういう空港そのものが非常に必要だと思うが、いかがですか。
  28. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 今のお言葉のような趣旨に沿って今後防衛庁と折衝していきたいと思います。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 これは大臣にあらためて要望しなければなりませんが、そういう点について、単なる努力でなくて、やはりこういう一つ目標を、具体的な目標をもって努力されるということが必要だろうと思う。  それからジョンソン基地施設について、非常にこれは通風が悪いからというような報告があったのですけれどもジョンソン基地ばかりでなくて、あすこ小牧空港施設についても、あれは野戦用です。あすこの何といいますか、レーダーなんかある所は、野戦用の、あれは移動式のものです。ああいうものをきちんとしたものにできないか。あすこは、第一線におって、そうして昼夜分かたず勤務するような状態で平常勤務をやっている、そこに非常に無理があるのじゃないか。これは報告は受けておりませんが、こういう点はどうですか。
  30. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 今御質問のございました着陸誘導装置、たとえばGCAとか、あるいはターミナルの無線機というふうなものは、当時の野戦用のものを引き継いでおるということは事実でございます。そこで私どもも全体的な計画からしまして、逐次代替を考慮いたしております。小牧に限らず、伊丹についても同様でございますが、レーダー施設にしても、無線施設等にしても早急に改善を要するものもございますので、私どもはその性能の現在の状況を勘案いたしまして、でき得る限り新しいものと取りかえるような措置を極力予算的に講じているのが現状でございます。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 このジョンソン基地というような大きなものは、いろいろと費用の点もあるだろうと思うが、ああいうポータブル式野戦用のもの、これはやはり早く何らか措置を講じないというと、あすこでもって勤務するというのも大へんです。三直四交代を四直五交代にするといっても、勤務環境自体は非常に問題だと私は思う。ああいうところはやはり早急にできるところから先にどんどんやってもらうということが必要だと思う。  それから給与の問題が出ましたが、どうですか、今、管制官になる志願者といいますか、そういう人は全然いないとか、あれは志願者がないのですか、募集しても志願者がないという状況ですか。
  32. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 今の点御指摘の通りども非常に憂慮いたしております。実は去年あたりまでは志願者も十倍、二十倍というふうに相当ございましたが、ことしあたりからは募集人員に対してわずか程度上回ったというふうな応募者状況でございまして、こういうことですと、優秀な方にきていただけるというのが非常にむずかしくなるわけでございまして、今後私どもは、先ほど御説明申し上げましたような施策を実現いたしませんと、優秀な管制官を、必要な数をわれわれは確保するということは非常にむずかしくなると思います。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 これもさしあたって当面の問題なんですけれども、将来の問題ではなくてことしの問題、来年の問題として大事な問題ですけれども、今度のように非常に過激な勤務をしておって、そうして若干の給与が云々されても、それによって、ほとんど過失には違いないかもしれないけれども、不可抗力的な過失といいますか、そういうちょっとした過失でもってすぐ刑罰になる、あるいは休職になる、職を失う、こうなってくると非常に不安定な職種になるのですね、これは。そういう点についての何か保障というか、お考えになっておるのですか。
  34. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 私どもとしては、先ほど申し上げましたような管制改善に関する一連の施策を実現すれば、そういった面についての勤務不安も逐次解消していくというふうに考えております。
  35. 中村順造

    中村順造君 今の大倉委員質問に関連いたしまして一、二お尋ねしたいと思いますが、この問題は非常に当委員会で何回も何回も審議されたわけなんですが、大体結論に近づいておるような情勢なんです。村手管制官はいつ起訴されたのですか。
  36. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 村手君の処分決定いたしましたのは今年の十一月三十日でございます。
  37. 中村順造

    中村順造君 先ほどお話の中で同僚有志集まって何か資金カンパというようなお話もありましたが、起訴になると、やはり公判が進められてくるわけですが、そういういわゆる費用の点だとかいう面についてもいわゆる同僚有志だと、こういうことなんですか。
  38. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 同僚有志だと申しましたのは、私どもを初めとしまして、航空局関係勤務者全部でございます。
  39. 中村順造

    中村順造君 その金は結局本人裁判費用に充てる金ですか。
  40. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 現在までのところはまだ本人弁護士に対する費用であるとかいうふうなものに充当いたしまして、残りは全部貯金してあるわけです。今後集めるものにつきましても、私どもはそういうような経験がないので、どの程度要るかわかりませんけれども弁護士ともよく相談いたしまして、できるだけ格安に弁護していただくという線で相談をしておるわけですが、そういった私ども浄財も、でき得ればそういった面について使っていきたい、かように考えております。
  41. 中村順造

    中村順造君 ちょっと話が小さくなりますが、村手管制官の場合は、これは検察庁の方では管制指示上の過失がある、こういうことで起訴したわけですが、そういたしますと、管制指示過失があったということになれば、明らかに業務上の過失なんですね。そうすると、たとえば交通は汽車飛行機も船もあるわけなんですが、業務上の過失を犯して、そうしてそれが裁判になった場合に、莫大な弁護料だとか裁判費用だとか、本人処分については、大体休職処分にはしない方針だということで、最終的ないわゆる行政処分裁判が確定してから、こういうことだから、本人の生活に今さしあたって困るということもないと思うのですが、問題はこの裁判費用にしぼられて、業務上の過失について、それを本人業務上の過失だから、役所側は全然これは関係ない、こういう考え方をとられるのか。業務上の過失だからやはり役所の方も、これは航空局自体としても、やはり仕事を進めていく上にも、一つ過失とみなすならば、これはある程度そういう弁護料なんというのは、必ずしも本人の負担ということじゃなしに、役所の方でその点を考えてしかるべきだと思うのですが、その点はどうなんですか。
  42. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 現在のところでは、そういった費用役所から出すという道は全然ないように考えております。
  43. 中村順造

    中村順造君 全然ないと言われるのですが、これはよその官庁といえばおかしいのですが、かつて、現在の国有鉄道なんかはたくさん業務上の事故があるわけですね。その場合に、業務上は一切、これは汽車の場合は、たとえば汽車機関士なんというのは、お互いに共済制度というものを持っていますけれども、この村手管制官の場合は、職員組合があるけれども、その業務上の過失に際してどういうふうな救済をするというふうなことまでいってないかもしれませんが、いわゆる同僚間におけるお互いの救済措置というものをきめておる場合でもさらにそれにつけ加えて、業務上の場合は明らかに、今国鉄の例をとりましたけれども、国鉄としても、それに対して弁護士を二人つける場合は、一人は、業務上の過失である、これは国鉄当局としてめんどうを見ておこう、こういうことがなされるわけなんですが、航空局に限って、そういうことは初めてといえばまさに初めてかもしれませんけれども、初めてなるがゆえに、なおさらそういう点は考慮されてしかるべきじゃないかと思うのですが、その点は航空局長どうなんですか。
  44. 今井栄文

    説明員今井栄文君) その点につきまして、また帰って関係の向きと御相談いたしたいと思いますが、今まで私どもの伺っておる範囲では、国鉄はどういうふうにやっておられるか、現状では組織も全然違いますし、私もよく存じませんが、われわれの場合、行政官庁としまして、従来そういったケースは聞いたことはなかったように思います。
  45. 中村順造

    中村順造君 私の申し上げたのは、やはりいろいろ例を引いてみると、官庁だから必ずしもそういう措置をとられないときまったものではないと思うのです。一つこの点は航空局自体としても検討していただいて、何らかの便法があれば、これはいわゆる普通の犯罪と違いますからね……。  それからもう一つ、これは検察庁だから、この委員会であまりあなたにとやかく言っても仕方がないと思いますが、ANC訓令に対する違反というやつ、これは航空自衛隊の方でも適用しているんでしょう。この効力はあるんでしょう。その点はどうなんですか。
  46. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 自衛隊の方でも訓令として出しております。
  47. 中村順造

    中村順造君 そうしますと、やはり平野操縦士ですか、パイロットの、ジェット機のパイロットにもこれは起訴猶予だという最終的な判断が出されておるようですが、これは私は今までの本委員会の議論からいきまして、まことに片手落ちな最終決定たと思うんですよ、これは。この点も一つ職員組合がたまたま十二月の十三日に告発をしておる、こういうことで、今私が申し上げておるような点は、それが進行すれば、その内容に基づいて多少は明らかになると思いますが、あなたの方もやはり、先ほどの説明を聞きますと、明らかに平野空佐にも責任がある。これは検察庁も出しておる。それからあなたの方の考え方もそう考えておる。それから最後は、お話のあった民事上の責任についても、やはり運輸省防衛庁にある、こういう一つの判断を出されておるようですから、これらの面を含めて一つ、これは何も平野空佐の責任がここにはっきり出てくればどうだこうだということにはならないかもしれませんけれども、やはりお話の中にあった、いわゆる刑の確定だとか、あるいは裁判の最終的な確定に関連をして、言葉をかえて言うと、村手管制官のいわゆる処分について大きな私は関連があると思うのです。その点は一つ十分、職員組合が告発をしておるんだから、職員組合がやっておるんだからということでなしに、やはりこの場合は、根本は、航空事故がどうしたらなくなるかということにあるのですから、航空局自身としても、この告発したこの取り扱いについては、私としては、十分協力をして、連絡を密にして、その取り扱いに慎重を期していただきたい、こういうふうに考えておるわけですが、その点はどうなんですか。
  48. 今井栄文

    説明員今井栄文君) これは、私ども役所立場といたしましては、他の行政機関の決定に対しまして、その固有の権限につきまして干渉するということは適当でないと思います。従いまして、本件につきまして、組合側の告発措置と協力してわれわれがやるということは、これは不可能であるというふうに考えます。私どもはなお別に、できる限りこの村手君に対する求刑なり、あるいはまた裁判の最後の判決というものが軽からんように、あらゆる努力を私どもとしては傾けていきたい、かように考えております。
  49. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっと参考のためにお伺いしたいのですが、自衛隊管制官と、それからあなたの方の管制官給与というものは、だいぶ違うのですか、同じなんですか、待遇給与は。
  50. 今井栄文

    説明員今井栄文君) これはこの前の当委員会でも、あるいは前の辻局長から御説明があったかと思いますが、現在私ども管制官の大体の経歴は、短期大学卒業というものを基準にいたしておりまして、短大卒でございます。初期に出ておりました管制官は、全部いわゆる新制大学、本来の大学卒業者を全部採用しております。しかし自衛隊の方は高等学校卒業ということで、それに一定の訓練期間というものをいたしまして、直ちに管制職員として使用している、使っているというのが現状でございまして、その給与につきましては、正確な数字もあると思いますが、やや自衛隊の職員の方が高い、しかも衣食住は官で支給されるという状況でございますから、実質的な面でいきますれば、自衛官の方が給与は高いというふうに言っていいと思います。同じ仕事をいたしておりましても。
  51. 大倉精一

    大倉精一君 これは非常に私は矛盾をしていると思うのですがね。あなたの今の御発言は、相当遠慮した発言なんですけれども、もっと強く、これはいけないのだということで私はいいと思いますよ。ですから、これではやはりさっき言われたように、募集をしても、こちらの方には来ないでしょう。これは向こうの方へ行きますよ。そうしてしかも同じタワーの中にいるでしょう。給与の違った人が同じタワーの中におって、しかも同じ仕事をやり、あるいは片方の方は、ともすれば優越感を持っているのですからね。  そういうような関係ですよ。そうなってくると、どうしてもやはりこちらへ来るという方が少なくて、まあ三直四交代を四直五交代にするといってみても、人間が来なければしょうがないわけなんです。さらにまた待遇改善のこの答申の中にも、繁忙な職務に勤務する者には相当分の俸給調整額を支給すると言っておりますけれども、それだけではいけないと思う。金さえやればいいじゃないかということは言えないと思う。  そうなってくると、私は非常にこの答弁を聞いておって不安に思うことは、だんだん空の交通がひんぱんになってくる。しかも飛行機の性能も上がってくる。そうするとコントロールする空の交通巡査は質が低下してくる。人間が足らぬようになってくる。どうなってくるのだろう。こういう不安があるのですよ。つい最近でも、ニューヨークとか、あるいはドイツあたりで旅客機が衝突するというような事故が起こっておりますが、そういうことを勘案すると、何かそこに不安があるのですね。飛行機だけがどんどん発達して、どんどん数がふえて、空の交通巡査は、まるまる集まってこない。確かに机上のプランとして三直四交代を四直五交代にするというプランはできたが、肝心の人間がいない、どうするか、こういうことになるのですがね。これは、どうなんでしょう、一体。
  52. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 先ほどから申し上げていることを繰り返すようで、はなはだ申しわけないのですが、私ども管制の今後の改善向上のためには管制官給与の実質の面を改善する、あるいはまたその勤務時間その他の勤務体制改善するといういとのみならず、管制施設を近代化する、それからまた管制の執務環境改善するというふうなこととあわせまして、できる限り管制官自体が十分安心して働けるような職場環境を作るということに最善の努力を払っていきたいと考えます。
  53. 大倉精一

    大倉精一君 これはまあ、あと大臣に十分お尋ねしなければならぬと思うのですけれども、要するに一番端的な現われは、管制官を募集しても来ないという、この現象ですね。これは重大な問題ですよ。  ですから、そういうことのないように、どうしたらいいか。たとえば自衛隊との給与の格差、こんなものは直さなければいかぬのですよ。これは全部直さなければいかぬ。これは海上自衛隊とあるいは海上保安庁との関係も同じような問題があるでしょう。そういうものを、もっときぜんとして解決するようにしていかないというと、机上のプランだけでは、これはいけない面があると思う。ですからして、航空のまあ今非常なスピードのある発達ですね、これにあわせて、そういうふうに遺憾のないように一つやってもらいたいと思うのですね。ですから、村手君の今度のは、いわゆる犠牲ですよ。この犠牲を無にしないように、そういうことをしっかり確立していくということが、ほんとうに村手君の犠牲を無にしない唯一の方法じゃないかと思うのですよ。そういう点を強く一つ要望したいと思うのです。
  54. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 委員長、ちょっと補足して。  先ほどお答えしました中に、募集人員に対してわずか上回る程度と申し上げましたが、実は私が報告を受けましたのは、非常に古い資料でございまして、今手元に参りましたのによりますと、十二月十五日締め切りで四百名の応募者があった。これは六十名の採用に対しまして四百名の応募があったと、今、私この数字を初めて見まして、ちょっと安心いたしたのでございますが、昨年は同じケースにおきまして八百名ございましたので、去年よりは二分の一である。しかし要員を確保するには、ことしもこの程度ならば大丈夫じゃないかというふうな確信を持った次第でございます。
  55. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 航空関係は、これでよろしゅうございますか。   —————————————
  56. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) では次に、国鉄の運営に関する件について質疑の通告がございます。この際、御発言を願います。
  57. 中村順造

    中村順造君 私がお尋ねするのは、先般山陽線の尾道—松永間で貨物列車の転覆事故があったのですが、これの損害賠償の要求について、一、二お尋ねをしたいと思いますが、これは損害賠償を要求されたその実情について、まあ先に説明を聞いた方がいいと思うのですが、どういうことになっておるのですか。その点を一つ説明してもらいたいと思うのです。
  58. 中村卓

    説明員中村卓君) 事故が起こりましたのは、ことしの八月十八日の十四時でございます。二時二十分でございまして、場所は尾道—松永間でございまして、それに置き石の関係で鮮魚の貨物列車が脱線転覆したという事故でございまして、被害の内容といたしまして要求いたしましたのは、現場の復旧に約一千一百万円、それに機関車の復旧が三百二十方円、それから貨車の関係が廃車が十三両ございまして、これが三千五百万円、それから復旧が二百四十万円ばかり、それから旅客列車が、そのために遅延いたしましたので、急行料金の払い戻しをいたしました。その関係が千三百万円ばかり、合計で六千六百四十万円ばかりの損害でございます。
  59. 中村順造

    中村順造君 その賠償のいわゆる要求をやったのですか、どこで、どういう手続をとって。
  60. 中村卓

    説明員中村卓君) これはたしか尾道の駅長がこれをやりました。まあいわゆる犯人と申しますか、置き石をしたのは十三才の子供でございまして、その母親に対して駅長から口頭で要求いたしました。要求したのは今月の、十二月の三日でございます。
  61. 中村順造

    中村順造君 それで、まあこれは十二月の四日の各新聞にすぐ早速大々的に出されるし、その後の週間誌あたりも、いろいろこの問題をめぐって出しておるわけなんですが、私はそれらの実情から見て、国鉄が損害を受けた場合、これは列車が転覆し、破壊したと、こういう場合はいろいろな原因があるわけです。国鉄自身の責任によって起こる場合もあるし、それから今回のように、まことにいわゆる知能指数の低い精神薄弱者と言われるような人がやって、損害を受ける場合もあるし、それからその他いろいろな大きな会社のトラックと衝突するとか、それから駐留軍のいわゆる車と衝突して汽車が転覆する、こういう実例が今までにたくさんあった。  それで私はお尋ねしたいのは、この損害賠償の要求をされる場合において、常識としてこれはですよ、賠償が取れるという考え方に立たなければ、この要求というものは全く無意味だと思うのです。だから私は、今申し上げましたような、いろいろな部内の原因によるところの事故だとか、あるいは部外の原因によるところの事故、いろいろな事故があるが、その場合、賠償に対する考え方、これは賠償を取る考え方要求をしたのかどうか、その点はどうなんですか。
  62. 中村卓

    説明員中村卓君) 私の方といたしましては、御承知のように国の機関でございますので、損害がありましたときには、それがはっきり責任者がいたしましたときは、賠償を取るというのが建前でございます。相手方に支払い能力が十分あるかないかという問題は、実際にその賠償を取り立てておる過程において、いろいろと問題が起こってくるわけでございまして、仕事の建前といたしましては、責任者があって国鉄が損害を受けたときは、あくまで一応その損害の賠償を請求するというのが建前でございます。
  63. 中村順造

    中村順造君 そこで、これは非常に世の物笑いになっておる、極端に言えば。尾道の事故の場合は国鉄が、その請求をされた方の側、これは何ですか、児谷マサエですか、この人は八畳一間に七人暮らして、現在、その置き石をして事故を起こした子供のおじいさんは花売りをしておる、それからお母さんは料理屋の何か炊事婦をやっておる、百円の金も思うようにならぬ、こういう生活をしておる者に対して、今お話があったように、国鉄が六千六百四十六万円という莫大な損害を要求すること自体において、国鉄の頭はどうかなっているんじゃないか、こういうことを言われているわけなんです。  それであなたは、当時の雑誌、新聞等を見ますと、石を置いてはいかぬという、いましめのためにやったのだ、それは私はわからぬことはない。私もわからぬことはないと思うのだけれども、それなら別の方向で、いろいろな今日までやられておると思うのですが、小学校、中学校に対する働きかけだとか、子供に対する働きかけ、こういうものに対する別の考え方が、当然とられていると思うのですが、さらにその上に加えて、全然百円の金も自由にならぬような生活能力の人に国鉄が六千六百万円も要求をしたという、全く天下の笑い者になっているというのが実情なんです。これはあなたはどういうように考えておられますか。しかもこの四日の読売新聞を見ますと、法務課長来ておられますが、法務課長の談話として、取れるだけ取る、こういうことを言っておられるわけなんですね、まさに国鉄のセンスを疑いたくなる、これは私一人だけの考え方でないんです。たくさんの人から私のところに投書が来ているのですが、この点はどういう考え方なのか、取れるだけ取るというふうに考えておられるのですか。
  64. 中村卓

    説明員中村卓君) まあ全額を取ることは、非常に困難だとは考えております。ただこれは岡山の管理局からの報告でございますが、この御本人のお母さんが、まあ少しでも国鉄に納めて、できるだけ誠意を示したいというようなお話も口頭であったようでございまして、そういう点を考えまして、私どもとしましては、それだけの気持を持っていただくのなら、いただけるだけいただこうというように鵜沢法務課長は新聞関係者に言ったのじゃないかと思います。もちろん今先生からお話がございましたように、これ以外のPR方法は十分いたしておるつもりでございまして、置き石その他につきまして、小学校、中学校の生徒に対して、いろいろと宣伝をし、警告もお願いしてやっておるわけなんでございますけれども、これはなかなかそれでも、先生御承知のようにこの事故はあとを絶たないわけでございまして、これも一つのPRの方法であるということを主眼といたしましてやったものと考えます。
  65. 中村順造

    中村順造君 その方法として、私はわからぬことはないが、いろいろ方法はあると思うのです。あると思うのですが、こういう手段をとることは、ほんとうに国鉄自身が物笑いになっておるわけですよ。まして取れるだけ取るというが、もしこの炊事婦をしている児谷マサエという人から百円の金でも取ってみなさい、一体どういうことになるか。今まで国鉄はいろいろな御協力を願いますというので、あらゆるPRをしている、国鉄の運営について、経営について。将来もまた国民の協力を求めなければならない、そういう立場にある国鉄が、今日八畳一間に七人暮らしをして、みずからも炊事婦をして働いている、年とったおじいさんも花売りをしなければならないというような、そういう生活の困窮者に対して、かりに今、やはり取れるだけ取るのだ、いただけるだけいただくのだ、こういうことを言っておられるけれども、百円の金でも取ったら、これは大へんな物笑いになると思うのですよ。  むしろ私は、それは正式には、あなたの方が請求権を放棄するというわけにいくまいけれども、これは児谷マサエそのものがやったのじゃないのだから、このいわゆる精神薄弱の子供がやったことで、なるほど監督不行届きといえばそれまでだけれども、それを請求して百円の金を取ったところで全く意味がないわけです。あなたの気持としては、そういうものであるけれども、この際はやはり請求権を放棄すると、そのくらいの気持にならなければ、やはり皆さんが国鉄自身として、将来の国鉄の経営、運営に対して国民の御協力を求める気持があるならば、そういう措置をとるべきだと私は思うのですが、その点はどうですか。
  66. 中村卓

    説明員中村卓君) 国鉄の経営につきまして、国民の皆さんから御理解を得て御協力を得るという気持には、私どもは人後に落ちないつもりでございますけれども、この問題につきまして、直ちにここで請求権を放棄するというようなわけには参らないと思います。
  67. 中村順造

    中村順造君 あなたは開き直った言い方をされておるけれども、これはあとで一つ、そういう現地の声もあることだし、新聞に大々的にこれだけのスペースをさいて出しておるのですから、いかに物笑いにされておるかということは——いかに役所仕事とは言いながら、やり方については反省すべきは反省すべきだと思う。岡山管理局なり尾道の駅長と十分話し合いをして、この問題については今私がお話を申し上げたような趣旨一つくんで、善処してもらいたいと思います。  それで長くなりますから、もう一つ、やはりその同じような記事の中で、いわゆる取れるだけ取るという考え方に立つなら、支払い能力のあるものが、しかもこれが何ですか、取りきめの内容に不明確な点があるというので、今もって明確に取り立てを要求しておるのかおらないのかしりませんが、私が申し上げているのは、駐留軍による損害、これはごく最近も岩国地区で駐留軍の自動車による列車の転覆というのがあったのですがね。この点は、どうなのですか、駐留軍に対する損害の請求については。
  68. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) お答え申し上げます。  駐留軍に対する私どもがこうむりました損害につきましては、御承知のように日本国有鉄道から政府、もしくは調達庁でございますが、そこに請求しておりますけれども、アメリカ側は、いわゆる公共企業体に対する解釈を、あれは政府機関だと、行政協定十八条にいうところの政府機関だ、こういうことで、従いましてアメリカの解釈でございますれば、双方の不法行為については、請求権を放棄する、従って日本国有鉄道は、その請求はできないのだ、こういうことをアメリカが言っておりますので、私どもといたしましては、政府の解釈通りに、日本国有鉄道は、政府機関ではない。こういう見解のもとに、政府に対して早く払ってくれ、こういうことを要求しておるのでございますけれども、アメリカが法律解釈を変えませんので、今旧行政協定に関する解釈を日米合同委員会というところできめて、その上で何分の国鉄に対する支払いを解決すると、こういう段階になっておりますので、今中村先生からお話になった岩国の分も未解決になっております。
  69. 中村順造

    中村順造君 これは法務課長は、専門的に調べておられるからわかると思うのですがね。国鉄のこういう駐留軍による莫大な損害というものが、いまだ未解決だという、こういう事実は、あるわけなんですね。  そこで、もし国鉄が問題は政府機関であるかどうか、それから駐留軍と一口に言っても、やはり公務上の、たとえば車にしても、駐留軍の公務上の場合と公務上の場合でない場合と、いろいろ条件はあると思うのですよ。そこで、法律解釈については、日米合同委員会できめる。だと言っても、むしろ、私は言いたいのは、それを、百円の金も支払い能力のない人にきつく要求して話題を巻き起こすというよりも、こういう問題こそ、私は先に手がけて解決を迫らなければならない。それが結論はいつになるかわからない、日米合同委員会結論を出してもらう。どの程度の損害賠償の要求に対する、いわゆる働きかけを国鉄当局がやっているか知りませんけれども、きょうはそういう議論はあまり長くやりたくないのですが、どうでしょう、委員長一つお願いしたいのですが、こういう問題、たまたま出ておるので、駐留軍による、最近二年でも三年でもいいですが、鉄道の損害、いわゆる案件、事件ですね、事件と、それから損害額というようなものを、お調べになればわかると思うのですが、一つ出してもらいたい。
  70. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) 今、資料は持ってこなかったのですけれども、大きいのはここに三つほど。  三十年五月に、東海道線の原—東田子ノ補間に起こりました駐留軍の自動車の衝突、貨車、旅客列車ですか、これが二千六百万円。  それから、その次が三十二年の五月十四日、それが逗子—東逗子間で起こりましたが、やはり駐留軍の自動車事故でございます。これが千二百万円。  それから第三番目の大きいのは、今先ほどお話ございました川下—岩国間、三十三年八月十四日、これが二千七百万円です。  こういうような大きいのが、ほかに小さいのを入れまして約一億円近いのがございまして、これは後ほど表で当委員会に提出したいと思います。
  71. 中村順造

    中村順造君 私は、これは今読み上げられて、大体大ざっぱにわかりますが、駐留軍の損害に対する資料ですね、委員長から一つ出すようにおっしゃって下さい。
  72. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) では、どうぞ。
  73. 大倉精一

    大倉精一君 今の質疑応答を聞いておりまして、私は非常に奇異に思ったことは、聞きそこないかも知れませんが、冒頭に中村さんが、これは現地の駅長が口頭で請求をしたようですと、こういう答弁がありました、そうなんですね。
  74. 中村卓

    説明員中村卓君) さように伺っております。岡山の駅へ電話で伺いましたところ、そういう御返事がありました。
  75. 大倉精一

    大倉精一君 こういう社会問題になるというような問題を国鉄が意思表示をする場合に、一駅長が本省に何の相談もなくやるのですか、こういうのは。
  76. 中村卓

    説明員中村卓君) 損害の請求は、管理局長の権限でございます。これを裁判に持っていくかどうかについては、本省の関係でございます。
  77. 大倉精一

    大倉精一君 むろん形式はそうでしょう、形式は。若干のものなら、そうだと思う。しかし、今言った八畳の間に何人か住み、生活保護を受けている人に対して六千万円というような請求をするというのは、これは並はずれた、常識はずれの行為ですね。これは国鉄として、これは駅長だろうが、何だろうが、国鉄を代表してやるのですから、これは本省と何も相談なくやるというのは、私は不思議でしょうがないのですが、どうなんですか、これは。
  78. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) これは、はなはだ部外の方からごらんになると、ちょっとおかしいような請求の仕方なんですが、実は両先生のお話のように、これがはたして取れるものかどうか。そうして、はっきり鉄道局長から文書をもって決裁をとって出すということになりますと、あとで取れなかったときにも困るし、で、駅長が瀬踏みの程度に、こういう、この間の事故については、国鉄はこれだけの損害がかかったが、ところが払えるものかどうかという、こういう程度の格好、それにはやはり地元の駅長さんがお使いに行った方がいいだろう。それでわかりましたのは、ほとんど支払い能力がない。だけれども、向う様は、先ほど中村務理事お話したように、誠意があって幾らかでも払いたい、こういう態度があった、この段階のが新聞に出たので、どうもはなはだ申しわけないことなんですけれども、まだ、公文書をもって、局長のあれで請求した、こういう何といいますか、国鉄が債権を行使する、こういう性格のところまで、従いまして、会計法上調定に立って、そうして、それは払ってくれなければ未収になる、こういうところまでの手段はとっていない段階の請求であるということをお含み願いたいと思います。
  79. 大倉精一

    大倉精一君 それは法律の解釈じゃない、そんなことは。法律の解釈じゃないですよ。これはあなた、文書として決裁をとるかとらないかの問題じゃなくて、これはあなた、国鉄で電話一本で、こういうことだがどうだろうかということを、これは当然やってしかるべきである。どうだ、払う気があるのかどうだ、それは催促ですよ。請求ですよ。これは、さっきの答弁からいきますと、取るのが目的じゃなくて、警告だとおっしゃった。警告の手段方法としてやったとすれば、だとすれば、なおさら国鉄全体の問題として、本省と打ち合わせて、あなたの方から、こうせい、ああせい、こうならなければならぬのですが、これは、さっき、どうも冒頭、聞いておりますと、駅、長のやった責任で、こっちは電話したらわかったのだということですが、そういうことでいいのですか、これは国鉄のあり方として。  それは法律じゃない国鉄のあり方ですよ。どうでしょうか。
  80. 中村卓

    説明員中村卓君) 先ほど申し上げましたように、国鉄の中の仕事のやり方といたしましては、管理局長が、こういうことを処理するという建前になっております。前にも新聞にちょっと出ておったと思いますが、名古屋で同じような事故がございましたときに、やはり二千万円ばかりの請求を管理局長がやっておるはずでございます。
  81. 大倉精一

    大倉精一君 私はまあそんなことを、職制を聞いているのじゃないですよ。それは、形式としては、管理局長が請求をすることがいいでしょう。しかし、こういう八畳間に住んでいる者に六千万円請求するというようなことはべらぼうなことですよ。こういうものを、てんで本省は知らずに駅長権限でやられるということならば、むしろ、こういうことをやって国鉄が物笑いになった、こういう行為をやった駅長は処罰されてもいい、ほんとうは。こんな警告をして、職制からいえばこうですけれども、しかし、相手が八畳問にいる者に対して六千万、どうしたものでしょうかと、このくらいの相談はないものでしょうか。そういう形式ばったものですか、国鉄というのは。どうでしょうか。
  82. 中村卓

    説明員中村卓君) まあ、これほど金額はかさまないかもしれませんが、私たち昔、記憶しているところでも、定期の不正使用というときに、相当貧困な家庭に対して、当時の金で何万円というような金を請求したことを記憶しているのでございます。やはり、われわれといたしましては、これはもちろん駅長は、局長の命令で言っておると思うのでありますから、駅長を処分するということは考えられないと思いますが、鉄道といたしましては、これほどの特別なケースではないかもしれませんが、ある程度これに似たようなケースは、ある意味では、しょっちゆう起こっておるというように私ども考えております。
  83. 大倉精一

    大倉精一君 これは何べん言っても、どうもあなたの方は間違っていないというお考えらしいのですけれども、これは社会的に、常識的にいって、私どもはどうも、こういうことは考えられないのじゃないですか。相手に対して百円でも取ればけっこうだという談話まで新聞に発表している。  今ちょっと見せてもらったのですが、少しでも取れば、まるで取り得だ、国鉄はそういう見識のないことをやってそれでいいのですか。たださえ国鉄に対して、いろいろ社会的な問題がある今日、これはやはり一ぺん考え直す必要はありませんか。どうですか、考え直す必要はありませんか。法律がどうだ、こうだという問題じゃないでしょう。これはどうですか、これは、これ以上私は聞きませんけれども
  84. 中村卓

    説明員中村卓君) 今、先生おっしゃっておることは、あまりはっきりよく私たち、具体的にはわからないのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、主たる目的は、もちろん世の中に対する警告ということでございまして、ただ、全然取る意思がないということは申し上げた記憶がないわけでございまして、まあ向こうさんも、若干でも払いたいという気持があるようでございますし、やはりわれわれは、ある意味では国の機関の一部で、会計検査院の検査を受けるわけでございますが、そういう債権がある、それが若干でも履行できるのだったら履行さしてもらうという建前がわれわれの立場だと思います。
  85. 大倉精一

    大倉精一君 これ以上私は言いませんけれども、国の機関であり、国のものである——国というものは、そんな冷たいものですか。相手が八畳の間に何人か住んでおる、そしてアルバイトをしておるという、そういう家庭に対して請求するというような、そんな冷たいものですか、国というものは。法律でいけば、規則でいけばこうこうで、請求せにやならんが、相手がこうこういう人間だから、これは一体どうしたものだろう、これくらいの相談があってしかるべきものだと思うんですが、どうですか。国は一文でも取ればいいんだ——そんな冷たいものですか、国の機関というものは。  これはやつぱり考えてもらわなきゃならんじゃないですか。私はあなたの言葉じりをとらえて言うつもりはありませんけれども、答弁からずっと言葉に一貫して流れるものは、何かしらそういうような感じがしますね。しかも、あなたが一番冒頭に言われた、これは、何か現地の駅長が口頭で請求したようです、こういう答弁。どうも私は、あまりにふに落ちないんですね。何べん申し上げても、これ以上なには出んと思うんですが、これは私は総裁なり何なりに、一ぺん聞いてみたいと思うんですがね。そういう国鉄じゃないと私は思っておる。そういう国鉄であってはならないと私は思う。そういう国の機関であってはならんと私は思うんです。
  86. 中村順造

    中村順造君 私は、まあ問題を起こしたわけなんですが、先ほど来も、私があなたに申し上げたことが、全然わわかっておらん。それから大倉委員質問に対しましても、あなたは一貫して、そういうものをわからない、こういう考え方で答弁されておるが、これはやはり大倉委員お話があったように、国の機関とか、あるいは政治だとか法律だとか、そういう問題以前の問題として、やはりだれが聞いても物笑いになっておる。だから、私は国鉄の将来のことを考えれば、むしろその点については、十分慎重に配慮をしなきゃならぬ問題。たとえ取れる能力があったにしても、しかもこの実情から見て、この参議院の運輸委員会で問題になったという前提からすれば、あなたの発言としては、帰って総裁なり副総裁に相談するとか、あるいは私が今申し上げたように、出先の局長がやったことであるならば、出先の局長と十分打ち合わせて参議院の運輸委員会で問題になったという前提に立って善処するということならば、われわれの話はわかっている。一貫して取れるものは取るんだ——私は取ったら大へんだ。こういうこの児谷という女の人から、料理屋の炊事婦をしている人から、たとい百円の金を取ったというならば、今日まで国鉄があらゆる力を傾注して国民に理解と協力を求めるといっても、これは物笑いになる。請求したことが物笑いになっている。取ったとするらば、今日までの努力は全部無になる。こういう考え方に立っても差しつかえないと思います。  私はこれ以上言いませんから、帰って一つ総裁なり、副総裁あるいは現地の局長なり相談して、次回にもう一回やって下さい、どういうふうになったかを。  それから、今の委員長の方からお話をしていただいた資料を出して下さい。取れるものを、アメリカを相手にしては何も言わぬ。何かどこかの国の侠客みたいに、弱い者に対してはきわめて強い。強い者に対してはまるでしっぽを引っ込めてしまう、そういうやり方でなしに、もっと根本的に考えて資料を出すと同時に、きょう問題になったこれに対する国鉄の考え方として、今度答弁して下さい、この次でいいから。
  87. 中村卓

    説明員中村卓君) 私の方は、強い者に対しては弱く、弱い者に対しては強くという気持は全然持っておりません。それば先生のお立場ならお立場で、そうおっしゃったかと思いますが、私どもは、そういう気持は持っておらないことを申し上げておきます。  それから先ほども務課長が申し上げたと思いますが、一応瀬踏みという気持でございまして、裁判にかけてまでという段階には、われわれまだ考えておりませんので、その点御了解願いたいと思います。   —————————————
  88. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) じゃ次に、継続調査要求についてお諾りいたします。  ただいま調査中の運輸事情等に関する調査は、会期中にこの調査を終了することができませんので、閉会中に継続して調査を行なうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお議長に提出する要求護の作成につきましては、委員長に御一任を願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十五分散会