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1960-12-22 第37回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月二十二日(木曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 小笠 公韶君 理事 草野一郎平君    理事 高橋  等君 理事 宮澤 胤勇君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       島村 一郎君    福田  一君       保科善四郎君    牧野 寛索君       緒方 孝男君    小林 信一君       杉山元治郎君    西宮  弘君       山内  広君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 西村 直己君         出席政府委員         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君  委員外出席者         防衛庁書記官         (長官官房法制         調査官)    麻生  茂君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁書記官         (経理局会計課         長)      赤羽  桂君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二三号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  二四号)   請願  一 傷病恩給是正に関する請願小川半次君    紹介)(第二二号)  二 同(永山忠則紹介)(第二三号)  三 呉市東小坪弾薬荷揚揚設置計画反対に関す    る請願川上貫一紹介)(第二四号)  四 公務員賃金引上げ等に関する請願外五件    (川上貫一紹介)(第三三号)  五 同外六件(志賀義雄紹介)(第三四号)  六 同外五件(谷口善太郎紹介)(第三五    号)  七 同外五件(赤松勇紹介)(第五四号)  八 同外十一件(有馬輝武紹介)(第五五    号)  九 同外一件(淡谷悠藏紹介)(第五六号) 一〇 同外十五件(安宅常彦紹介)(第五七    号) 一一 同外十四件(井岡大治紹介)(第五八    号) 一二 同外一件(井手以誠君紹介)(第五九号) 一三 同外四件(角屋堅次郎紹介)(第六〇    号) 一四 同外二十件(五島虎雄紹介)(第六一    号) 一五 同外六十八件(阪上安太郎紹介)(第六    二号) 一六 同外十四件(島上善五郎紹介)(第六三    号) 一七 同外二十四件(島本虎三紹介)(第六四    号) 一八 同外十八件(高田富之紹介)(第六五    号) 一九 同(辻原弘市君紹介)(第六六号) 二〇 同外一件(中嶋英夫紹介)(第六七号) 二一 同外一件(野原覺紹介)(第六八号) 二二 同外二十一件(広瀬秀吉紹介)(第六九    号) 二三 同外二件(安井吉典紹介)(第七〇号) 二四 同外三件(山中吾郎紹介)(第七一号) 二五 同外十五件(湯山勇紹介)(第七二号) 二六 同外三百二件(井手以誠君紹介)(第九三    号) 二七 同外三件(高田富之紹介)(第九四号) 二八 国家公務員給与改訂実施に関する請願(    角屋堅次郎紹介)(第七四号) 二九 建設省定員外職員定員化等に関する請願    (松原喜之次紹介)(第七五号) 三〇 国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当    及び薪炭手当支給に関する法律の一部改    正に関する請願中澤茂一紹介)(第九    二号) 三一 行政機関定員外職員全員定員化に関する    請願矢尾喜三郎紹介)(第九五号) 三二 北海道開発局札幌開発建設部庁舎新築に関    する請願安井吉典紹介)(第一一四    号) 三三 会務員賃金引上げ等に関する請願外五百    九十八件(加藤勘十君紹介)(第一一五    号) 三四 同外五百二十七件(河野密紹介)(第一    六号) 三五 同外百二十七件(島上善五郎紹介)(第    一四四号) 三六 同(岡良一紹介)(第一七二号) 三七 同外百二十五件(加藤勘十君紹介)(第一    七三号) 三八 同外八十七件(島上善五郎紹介)(第一    七四号) 三九 同外一件(辻原弘市君紹介)(第一七五    号) 四〇 同(三鍋義三紹介)(第一七六号) 四一 同外二百九十六件(帆足計紹介)(第一    七七号) 四二 同外百五十三件(加藤勘十君紹介)(第二    〇八号) 四三 同外四百七十一件(河野密紹介)(第二    〇九号) 四四 同外十件(帆足計紹介)(第二一〇号) 四五 同外七件(井手以誠君紹介)(第二三〇    号) 四六 同外五件(風見章紹介)(第二三一号) 四七 同外千百四十二件(川上貫一紹介)(第    二三二号) 四八 同外百二十件(久保三郎紹介)(第二三    三号) 四九 同外五件(小林進紹介)(第二三四号) 五〇 同外四百件(志賀義雄紹介)(第二三五    号) 五一 同外十三件(島上善五郎紹介)(第二三    六号) 五二 同外九件(島本虎三紹介)(第二三七    号) 五三 同外五件(下平正一紹介)(第二三八    号) 五四 同(多賀谷真稔紹介)(第二三九号) 五五 同外百六十件(谷口善太郎紹介)(第二    四〇号) 五六 同外五件(戸叶里子紹介)(第二四一    号) 五七 同外三件(長谷川保紹介)(第二四二    号) 五八 同外二百八十一件(広瀬秀吉紹介)(第    二四三号) 五九 建設省定員外職員定員化に関する請願外    二件(五島虎雄紹介)(第一一七号) 六〇 同外五十九件(湯山勇紹介)(第二四四    号) 六一 同(西村関一紹介)(第二八九号) 六二 福島県小野町の寒冷地手当増額に関する請    願(吉村吉雄紹介)(第一一八号) 六三 同(野口忠夫紹介)(第一四一号) 六四 同(澁谷直藏紹介)(第二四七号) 六五 福島県船引町旧移村地区の寒冷地手当増額    等に関する請願吉村吉雄紹介)(第一    一九号) 六六 同(野口忠夫紹介)(第一四二号) 六七 厚生省に老人局設置に関する請願中山マ    サ君紹介)(第一二〇号) 六八 山形県下の寒冷地船級地是正等に関する請    願(黒金泰美紹介)(第一二四号) 六九 小牧飛行場騒音防止に関する請願(丹羽    兵助君外三名紹介)(第一三六号) 七〇 北海道開発局札幌開発建設部庁舎新築に関    する請願高田富與紹介)(第一三七    号) 七一 兵庫県出石町の寒冷地手当増額等に関する    請願小島徹三紹介)(第一三八号) 七二 同(有田喜一紹介)(第二四五号) 七三 兵庫県但東町の寒冷地手当増額等に関する    請願小島徹三紹介)(第一三九号) 七四 同(有田喜一紹介)(第二四六号) 七五 兵庫県浜坂町の寒冷地手当増額等に関する    請願小島徹三紹介)(第一四〇号) 七六 建設省定員外職員定員化等に関する請願    (阪上安太郎紹介)(第一四三号) 七七 同(西村関一紹介)(第二九〇号) 七八 国旗掲揚に関する請願白浜仁吉紹介)    (第一七八号) 七九 建国記念日制定に関する請願外四件(椎熊    三郎紹介)(第二一一号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  委員会議院の議決により、特に付託された案件につきましては、閉会中もなお審査することができることになっております。つきましては当委員会といたしまして、連合国占領軍等行為による被害者等に対する給付金支給に関する法律案閉会審査案件といたしまして、その旨議長に申し出ることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。      ————◇—————
  4. 久野忠治

    久野委員長 請願審査を行ないます。本委員会に付託されました請願は本日の請願日程に掲載いたしました通り七十九件であります。  この際本日の請願日程全部を一括議題といたします。  お諮りいたします。これらの各請願趣旨はすでに配付せられております文書表により御承知のことと存じますので、紹介議員説明並びに政府所見聴取等は省略し、直ちにその採否を決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。     —————————————
  6. 久野忠治

    久野委員長 先ほどの理事会で協議いたしました通り、本日の請願日程中第一ないし第三、第三〇、第三二、第六二ないし第六六及び第六八ないし第七五の各請願趣旨は妥当と認められますので、これらの各請願はいずれも議院会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。  ただいま審査を終わりました各請願委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。      ————◇—————
  9. 久野忠治

    久野委員長 防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、前回に引き続き質疑を継続いたします。  質疑の申し出があります。よってこれを許します。石山權作君
  10. 石山權作

    石山委員 新しい西村長官にお伺いいたしますが、あなたの腕の見せどころであるところの三十六年度の予算編成の時期が近づいたわけですが、当委員会あるいは参議院予算委員会等質疑応答を見ますると、第二次防衛計画というものが明確化を欠いておるようでございます。それについて来年度の防衛庁が、予算請求する中で、今年度より特異なもの、あるいはそのことによって自衛隊性格というふうなものにおおむね変革を及ぼすようなものがあるのかどうか、たとえば地上航空あるいは海軍、こういうふうな三軍が、航空主力が注がれるというふうな変革が行なわれるのかどうか、こういうふうなことを一つ御報告願いたい。
  11. 西村直己

    西村国務大臣 来年度予算要求は、ただいまはまだ事務折衝段階でございまして、私着任いたします以前からある程度の事務折衝に入っているわけでございます。従って私といたしましても、その方針は一応引き継いで参っておるわけであります。その方針といたしましては、陸、海、空三軍のうちで、陸の特異性としましては三十六、三十七年度に師団編成に、言いかえれば十三個師団方向へ変えて参りたい。同時に装備等においても必要なる限度においての近代化を行ないたい、これが一つ方向でございます。それから海の自衛隊につきましては、これは御存じの通り艦船が古くなって使用に耐えない、国土防衛上役に立たない面に対しまして、代艦建造一つ行ないたい。それから将来に向かっての対潜哨戒というような意味においての考え方でございます。いわゆる今日問題になりますヘリ空母というようなものをどう扱うか、それに対して一応現在の事務折衝段階においてはそれに対する意見を申し述べておる。それから空の方におきましては、国庫債務負担行為等になっておりましたF104Jの予算化ないしはそれらに伴うところの飛行機の増強を多少考えて参りたい。これらが基本的に新しく自衛隊三軍性格を変えるかというとそうではなくて、国防会議等から政府がたびたび御説明申し上げております三つの自衛隊のあり方の漸増方式に沿うておるもので、基本的に変更を加えるものではない、こういうふうに考えております。細部にわたりましては事務政府委員から御説明を補足させてもよろしいと思います。そういうことでございます。
  12. 石山權作

    石山委員 しかし今聞くところによりますと、外国の国防というものはABCといって、核からあるいは生物、これは細菌戦だと思いますが生物、それから有毒ガス、こういうふうな方向に動いて行っているというのですが、皆さんは口を開けば日本国防安全をば担当しなければならぬと言われていながら、いまだ古くさい地上軍だとか、あるいは海軍ヘリコプター航空母艦というのは、どうも私たちにはぴんと利得というものが明瞭にならぬです。これは私たち批評しても、お前は実戦に参加したことがないというふうなことで、この問題は片づけられないと思う。ヘリコプターそのものは私はいろいろな意味で役に立つと思います。しかし航空母艦をそのことによって建造しなければならぬというのは、どうもむだづかいの部類に入るのではないか。もし航空母艦お作りになるとするならば、空に主力を置くというふうな方向転換をなさるならば、それも一つもくろみとしてうなずけないでもないのですが、今のような格好の中でヘリコプター航空母艦お作りになるなどということは、まことに私は愚の骨頂といえば言い過ぎかもしれませんけれども、はなはだ当を得た問題ではないと思うのです。部内ではこれは十分に検討されたことだと思うのですが、今までの経緯については局長からでもいいです。一つ航空母艦を作りたい、作らなければならぬという趣旨ですね。しかもこれは五億や十億でできる船じゃないのですから、おそらく二百億をこえるくらいの額になるのじゃないかと思うのですが、そういう金額を明示を願って説明していただきたいと思うのです。
  13. 加藤陽三

    加藤政府委員 ヘリコプター空母の問題につきまして、少し御説明させていただきたいと思います。  これは海上自衛隊任務といたしましては前々から申し上げております通り、まず日本の沿岸の哨戒をやるということが一つ、それから海峡や港湾を防備するということが一つ、その次には機雷掃海をする。それからこちらの方でも防御のために機雷を敷設するということもやる。さらに内航、日本の本土に沿った船団護衛外航護衛、こういうふうなこと、それにまた上着陸等がありまする場合においては、これを迎え撃つ、こういうふうなことが海上自衛隊任務としてわれわれは考えておるのでありますが、そのうちで問題になりますのは護衛でございまするが、だんだんと世界の一般的な趨勢といたしまして、潜水艦性能というものが非常に進歩して参っております。これは日進月歩と申し上げていいくらいに潜水艦性能が進歩しております。前は潜水艦と申しましても水上を走るのが主体であって、必要に応じて水中へもぐる。これは水中にもぐりましても電池でございますから、とまっておれば別でございますが、ある程度の時間しか走れない。また海の上へ上がらなければならない。こういうふうな段階が最初の段階でございます。その次がシュノーケル航法というのが発達して参りました。シュノーケルというのが最近の段階でございます。さらに近くは原子力潜水艦、これは新聞等で御承知のごとく数十日でももぐったまま走れる。しかも水中におけるスピードが二十数ノットというふうに非常に速くなってきたのです。これは原子力潜水艦を持っておる国は現在ではアメリカでございます。イギリスでも作ったという話を聞いております。ソ連もこの間フルシチョフ首相が数隻保有している、こういうふうなことが発表されておるようでございます。今のところはそういうふうなことでございますが、だんだんと潜水艦というものはそういうふうに世界的に進歩してきておるということは、考えなければならないところであります。  これに対していかにしてわれわれの海上自衛隊任務を遂行するかということでございますが、そうなりますと、今までのような船団護衛船団にへばりつきまして艦艇護衛していくということだけではとてもいけない。これはやはり非常に性能が進歩して逃げるのが速い、もぐった時間も長い、しかも相当遠方から攻撃ができる。こういうふうに潜水艦が発達をしまして、これに対応する策を考えなければいかぬのじゃないかということが、われわれの課題になってきたわけです。そのためには現在の対潜哨戒機P2V、S2Fというものがございます。これが哨戒しておりまして、レーダーもございますから、水の上に上がればすぐキャッチできます。しかしながら水中の航行時間が長くなりますと、これを探ることが非常にむずかしい。どうしてもわれわれの研究の結果では、音波を利用する水中測的兵器を使う以外になかろう。こうなりますと、飛行機で使うということはなかなかむずかしいのであります。やはり艦艇かあるいはヘリコプターヘリコプターは御承知通り空中で停止できますから、これでとまって、その中ヘソーナーのようなものを入れますれば、相当に遠距離まで有効にキャッチできる。こういう考え方が次に出てくるわけであります。  その次の問題は、ヘリコプターというものは足が短い。陸上の基地からしますればヘリコプターの行動できる範囲というものは、おのずから限度があるわけでございます。これではやはり日本防衛という意味から申しまして足りない。もう少し行動半径を延ばそうということから考えが生まれて参りましたのが、ヘリコプター空母ということでございます。これは空母と申しますと非常に大きい船のように思われますけれども、今考えておりますのはヘリコプターを十八機搭載するという考えでございます。そうしてトン数は大体一万トンくらいでございます。これに要する経費は百二十数億円というふうに考えておるわけでございます。おっしゃる通りわれわれのねらいは空母が主ではないのでありまして、ヘリコプターが主であります。そのヘリコプター行動半径を延ばすために、それを載せる船を作ろう、これに対しましてはやはりそういう考え方でなくて、それぞれの艦艇ヘリコプターを分散して載せましたらいいじゃないか、こういう考えもありましょう。これも一案でございます。しかしそうやりますと、ヘリコプター整備相当手間がかかるので、おのおのの船に整備員なり何なりを搭乗させなければならぬ。非常にロスが多い。ですからやはり相当程度一つ作戦単位として使用できるくらいのものはまとめて載せた方が稼働率もよろしくなるというようなことから、今言いましたような構想が生まれてきたわけでございます。
  14. 石山權作

    石山委員 私がヘリコプター性能に対する認識の誤りがあるかもしれませんが、私どもはヘリコプターは、皆さん考えているように戦闘行為の一役をになうべき性能ヘリコプター本来にあるとは考えられません。それを皆さんの方では、戦闘行為参加のできないような性能ヘリコプター戦闘行為参加をさせるというところに、やはり船足が短いとか、どうしましても航空母艦を作らないとその欠点を補い得ないという論法が生まれてくるわけなんです。ヘリコプターは、在来の任務からする救難、救助というようなことをおもにやればいい。戦闘行為参加をさせるからそういう無理がおのずから出るのではないか。こういうことは私はたくさんあるのではないかと思う。  たとえばこの前も問題になりましたF86Fでしたか、二分間上昇力を速くするために八千万円も改造費をかける。こういうような無理、日本国防の中には、そういう性能以外の何かの皆さんもくろみによって国費を乱費している傾向があるのではないか。その一例として私は今のヘリコプター空母の問題、あるいはF86Fの性能改造のために一機について八千万円もかけるというようなこと、これだとロッキードを買うのをやめればいいというような意見が当時の新聞にちゃんと載っている。そういう欠点がございませんか。私はそういうふうな欠点があるように見えてなりません。
  15. 加藤陽三

    加藤政府委員 ただいま石山委員のお話でございましたが、ヘリコプター戦闘的でないとおっしゃる意味がよくわからないのでございます。ヘリコプターヘリコプターとしての性能は持っておるわけでございます。今使っておりますのは救難用にも使っております。それから掃海用にもこれを使うことを考えております。ヘリコプター自体の固有の性能をどういうふうに作戦の目的に応用できるかということで考えていくべきものだと私は思うのであります。おっしゃる意味は、ヘリコプターはどうも戦闘参加するともろいのじゃないかというふうな点を含んでの、なぜそんな無理なことをするのかというお尋ねかと思います。しかしこれは相手は潜水艦なら潜水艦で、潜水艦がもしヘリコプターを攻撃するといたしますと、なるほどヘリコプターは弱いけれども、しかし同時に潜水艦の位置を知らせることができ、その潜水艦はほとんど確実に捕捉できます。私はそれらの彼我得失考えますと、潜水艦ヘリコプターを簡単に攻撃するというような前提に立ってものを考えることはどうも少し常識的ではないのじゃないかというふうに私は考えるわけであります。
  16. 石山權作

    石山委員 潜水艦ヘリコプターの点については、実際今あなたの説明されている潜水艦というのは、核燃料によって何十日も潜水できるという潜水艦でしょう。それにちょこちょことしか飛べないような、いわゆる竹トンボヘリコプター、それを対応さすというところに皆さん国防に対する感覚がちょっと違うのじゃないかと思うのだ。たとえばヘリコプターヘリコプターとして戦場に立っても役には立ちますけれども、実際、力と力の交戦において、ヘリコプターはいかにも有力だというような考え方を持つところに、私は疑問があるのですよ。それはちょうどピストルを持った者とあるいは機関銃を持った者と竹やりとの闘争も同じだと考えられるのです。竹やりには竹やり効能がありますよ。機関銃があっても近くで射手を突けば竹やりでも殺せる、それは確かだ。その論法からすればヘリコプターだって潜水艦をやるだけの能力を出す瞬間があると思うのですよ。しかし公平に見た場合、その速度、性能、物量、いろいろな点から計算してみた場合に、ヘリコプター核燃料を積んだ潜水艦を同一に論じて、その効能を説いてみたって、これはお手前みそで、私は反対するからという意味でなく、だれが聞いてもちょっと奇異に感ずる。しかもそこに百二十億ものお金をかけるという点に関しては、どうしても納得がいきかねます。もっと研究していただいて、そんなものはおやめなさった方が日本のためによろしいという意味で、私は申し上げたいのです。  次にお伺いしたい点は、ドル防衛に関して有償無償の話がかなり論議を呼んでおりますが、その論議の中で今年の春出ておりました、今度は戦車と呼ぶそうですが、特車アメリカからかなりの量をば受け取るということになっておるようでございますが、この有償無償の関係とからめて、すでにその受け渡しは終わっておりますか。
  17. 塚本敏夫

    塚本政府委員 特車を、M41につきまして、無償援助で三十五年度中にアメリカからもらうことに予定いたしておりますが、まだ入っておりません。今年度中に入る予定になっております。
  18. 石山權作

    石山委員 それは今までの約束通り入ってくるということを言っているわけですか。
  19. 塚本敏夫

    塚本政府委員 大体約束通り入ってくることになっております。
  20. 石山權作

    石山委員 ではお伺いしますが、ことし日本で初めて作った特車ですね。この性能予定通りの効力を現わしておるかどうか。
  21. 塚本敏夫

    塚本政府委員 新中特車を試作いたしまして二台だけ購入いたしましたが、その性能は大体重さにおきまして三十五トン、砲は九十ミリの砲を積んでおります。そのほかに重機関銃、軽機関銃、速力が四十五キロでありまして、所期の通り性能を発揮いたしております。
  22. 石山權作

    石山委員 それから北海道にできております例の混成旅団というか、混成軍団といいますか、正規の名称を今ちょっと忘れておりますが、あれはことしの二月東京新聞から、動かざる機械化部隊という名称で、かなりこっぴどく、半年問も雪の中に眠っていることをば指摘されてありました。今度の予算要求にあたりまして、この半年間も役に立たない、雪の中に眠っているいわゆる千歳近所にあるところの混成軍団をば、どういう格好で批判にこたえるように活用されるのか、できるのかできないのか、その点も一つ説明いただきたいと思います。
  23. 加藤陽三

    加藤政府委員 おっしゃる意味は、おそらく第七混成団の一応考えております装備の充実がおくれておるということではないかと思います。これは私どもも非常に遺憾に思っておるのでございますが、毎年方々予算を要求いたしまして、百六ミリの自走無反動砲装甲車、八十一ミリの自走迫撃砲、四・二インチの自走迫撃砲というものを年年だんだんと充実してきておりますけれども、三十五年度末におきまして大体において二五%から予定しております目標の三〇%くらいしかいかないだろうということであります。さらに三十六年度以降におきましても引き続き予算を要求いたしまして目標を達成したい、かように考えております。
  24. 石山權作

    石山委員 そうすると、不幸にして予算はもらえないというと、またことしの二月新聞に出た通り、半年間も雪の中に居眠りを続けるということになりますか。
  25. 加藤陽三

    加藤政府委員 ちょっと私問題を取り違えておったのですが、装備が十分できないということと眠っておるということとは別だと思います。一応の装備は持っておるわけでありまして、一応の装備をさらに新しいものに更新しようというのが今の計画であります。冬の間動かないというのは、雪の関係で車の状況がどういうことであったのかわかりませんが、稼働率の問題であろうと思います。稼働率の問題は、アメリカから供与を受けましたものが、だんだんと年がたちますので、それに応じて稼働率が下っておることは事実であります。これを極力新しいものにかえていきたいというので、ただいま努力しているところであります。
  26. 石山權作

    石山委員 その新聞の末尾に現地の幹部の意見が載っているのです。その意見一つとしてこういうことが出ておりました。自衛官は再志願させる、そのために人件費がかさむ、どうも装備の方に経費が回せない、こんなことでは内容充実が不可能で、やはり動けない、眠っている機械化部隊になるということを漏らしているわけです。私が先ほど一番先に質問した点は、いわゆる三軍を平均の形で見ると、皆さん防衛費は少ないと言っているし、新規事業はやりたいでしょうから、形式は整う。形式は整うけれども、結局中身のうとい、動けない機械化部隊になる。動けない機械化部隊なんというのはまことにみっともない。そういうことになりがちだと思うのですが、今度の場合も予算が取れなければどうもそういう傾向が出るのではないが。地上部隊でもいろいろあると思うのですが、地上部隊は一般に機械化しようとする方向をとっているかどうかということです。機械化部隊にするという傾向をとろうとしておるのかどうか、十三個師団に編成がえをするというもくろみもその中にあるのかどうかということを、この際聞いておきたいと思います。
  27. 加藤陽三

    加藤政府委員 今後機械化するかどうかということでございますが、私どもといたしましては、やはり陸上自衛隊につきましてもその機動性を強化したいと考えておるわけであります。十三個師団の問題は、装備の問題とは、もちろん間接には関係がございますが、直接には関係ないのであります。今の戦闘単位は、陸上自衛隊の現在の編成によりますと、大体四千人で六百両の車両をもって一つ作戦単位考えております。ところがやってみますと、これはどうも日本の国土、地形等に合わない点が多い。もう少し単位を小さくしまして、機動性と融通性を持たせる。大体一つ戦闘単位を二千人として、車両が三百六十両くらいならば、自由に活動できるというところに主たるねらいがあるのであります。機動性の強化ということから申しますと、車両その他につきましては逐次改善をしていきたいという気持は持っております。
  28. 石山權作

    石山委員 そうしますと北海道にある第七混成軍団は、アメリカ製の機械をおおむね持って半身不随だ、それの交換の時期が予算等のためにずれているのか、日本の産業がそれに伴わないのかどっちなんですか。
  29. 加藤陽三

    加藤政府委員 これは第七混成団だけではございません。陸上自衛隊の各管区隊、混成団の持っております武器は、今のところはアメリカから供与を受けたものであります。日本の産業界は特殊のものを除きましては、ほとんど国内で生産できる能力を持っております。ただこれができませんのは予算の関係だと申し上げて大体間違いないのではなかろうか、私はかように考えます。
  30. 石山權作

    石山委員 予算のために速力を非常に重要視される機械化部隊が眠っている。しかしそれはお金がないだけというわけではなくて、そういうような配置をなさった皆さんにも大半の責任があるのではないですか。動けない機械化部隊を配置するなどという、そんな不手ぎわをやっているのは、何もお金だけの問題ではないでしょう。最初からお金もないくせに、そういうような手を四方八方に広げたという皆さんにも責任があるのではないでしょうか。
  31. 加藤陽三

    加藤政府委員 動けないとおっしゃる意味が私にはよくわからないのでありますが、全然活動できないということではもちろんございません。いろいろの装備を持っておるわけでございまして、これは車両の稼働率その他で、雪の多い場合には雪のない場合よりは若干稼働率が下がるのだということはございます。動けないということは考えられません。
  32. 石山權作

    石山委員 私はことし北海道に行って調査してきたのです。そうしたらあまり見せてくれなかったけれども、話だけは聞いてきた。実際は見せたくないのだ。実際動けないことはわかるわけです。けれども、あなたの言っている、一生懸命やっているということはわかる。古ぼけた、半こわれになった機械をいじり回して、よっちらよっちら動くというのも仕事の一つでしょう。私が全然遊んでいると言うのは形容詞で、兵隊さんは何かやっている。けれども、こわれたものの修理ばかりしていて、雪が一メートルも二メートルも降ったらにっちもさっちもいかなくて、手で除雪して歩くような機械化部隊なんというのは、大よそナンセンスでしょう。新聞もそこを力説していると思うのです。やるならばやるように、こじんまりしていてももっとぴりっとしたことをやれという意見が、その批判の中に含まれているだろうと思う。私の言いたいこともそこにある。ただ形式的に三軍を平均的にやる、機械化部隊を設置しなければならないといって、日本の国土とわれわれの身長に合わないようなアメリカの中古品を持ってきて、人員のみを配置して動かないというようなやり方ではいかぬのではないか。もったいない税金を使っているのではないかということを私に申し上げているわけなんで、今度の予算には十分それが取れているのか、そこへ重点的に皆さんの方で問題を進めていけば、予算はそこへ盛られるでしょうから、動ける速度ある機械化部隊になれるのですが、平均化された今までのようなものの考え方、二万人も欠員があるにもかかわらず、また八千人も追加をやらなければならぬというような面子にこだわったやり方では、やはり国防の急所をついていないということになる。簡単にいえば戦争をすればすぐ負けるということなんです。皆さん国防をまかせておくのは私は非常に不安を感じる。こわれた機械を持って機械化部隊とは何だ、そういう意味で、私はきょうは最終日だから、あまりいやみを言うことを慎もうと思ってしているわけなんですが、どうもうまくないと思います。それであってはいけないと思っております。  それから予算に関しまして、きょうも私たちが請願の審議をいたしました中で、飛行機の騒音の問題がございました。この騒音は二色あるようであります。これは新聞に出ておったと思うのですが、日本のジェット機を研究した結果、防音装置はかなりできたということ、これもけっこうなことだと思います。今度の場合、予算には、飛行機自体に改良をするための防音装置をうんとやるような経費を取るということですね。それから飛行場のことですが、この前名古屋でありましたか、民間機と自衛隊機が衝突いたしました。そのとき非常に強く要望されているのは、軍の飛行場、民間の飛行場は区別するべきである、こういう要望が強く出ているわけです。この点飛行機自体の防音装置、飛行場を分離するということ、飛行場の周辺に騒音の被害を与える場合、今までは学校、今度は保育園も入ると聞いております。保育園も入るならば入っているともう一ぺん教えていただきたいと思いますが、その他病院、一般の民家等に関する爆音による被害、こういうことも今度の予算措置の中で皆さんの方でお考えになっていられるかどうか、お聞きしたいのです。
  33. 西村直己

    西村国務大臣 石山委員のおっしゃられるような先ほどの御質問全般を通じまして、私防衛庁長官といたしましても、長い目で自衛隊というものを長期に欠陥のないようにして参りたい。私個人が在任が長ければ必ず御趣旨に沿うように実を結ぶようにやりたい。もしその在任がどういうふうな場合でありましても、長い目で欠陥を生じないようにやって参りたい。特に非常に国防の御心配をいただいておる貴重な御意見は、十分私は胸に抱いて参りたいと思います。  そこで今度は今の具体的な騒音の問題でございますが、確かに航空機自体の騒音、それから航空機から発せられる騒音によって被害を受けるものの防音、これに対しましては来年度に向かいまして予算要求をいたしております。その細部は経理局長から御説明申し上げたいと思います。  それから基地の問題につきまして、全日空と自衛隊航空機の衝突で不幸な惨事を起こした問題があったということは、私も十分存じております。これはやはり長い目で見たならば、国土は非常にいろいろ効率的に使わなければならぬ時代ではありますが、そこらのところはそういう事故を起こさぬような方向において、強い検討を加えなければならぬのじゃないか。続いて政府委員の方からさらに細部について御説明申し上げます。
  34. 木村秀弘

    ○木村政府委員 来年度の騒音対策の経費としてただいま要求いたしておりますものは、学校、病院関係の騒音防止工事の補助金として六億九千九百万円、そのほかに飛行場で飛行機の始動の際に取りつけますサイレンサーを二千五百万円要求いたしております。
  35. 石山權作

    石山委員 保育園はその中に入らないわけですね。  もう一つは、いわゆる軍と民間との飛行場を分離するように工夫せよということは、強く名古屋周辺の関係官庁からも要望されて、飛行場の問題に関しては予算をどういうふうに要求されておるか。
  36. 木村秀弘

    ○木村政府委員 保育園についてはただいまのところ要求はいたしておりません。ただいま申しましたのは学校と病院だけであります。それから自衛隊の飛行場と民間の飛行場とを分けるという考え方もございますけれども、しかし一面において非常に狭い国土で、民航と自衛隊航空飛行場と両方を設けるということは、相当土地の買収その他に問題が生じますので、現在は小牧であるとか千歳であるとか、共用をいたしておるような実情でございます。
  37. 石山權作

    石山委員 保育園が入っていないようでございますが、これは十分検討をお願いして、学校、病院の範疇に保育園等も入れる必要があるのではないかというふうに私たちは考えているものでございます。  それからこれは長官にお伺いしたいと思うのですが、今答弁のありましたように、土地が狭いゆえにどうも軍と民間と離すわけにいかぬ、こういうふうなことをおっしゃっていますが、名古屋地方に起きた民間機と自衛隊飛行機と衝突したのは三月十六日というふうになっておりますが、この十二月十三日全航空職員組合から平野二佐が告発を受けているわけです。     〔委員長退席、小笠委員長代理着席〕 これはやはり考え方によれば、あの当時は赤城さんが防衛長官でこの問題にはなかなか奮闘して、当方には絶対に責任はないというふうに力説をしている。私は自分の部下をかわいがるということも職責の一つだろうと思うけれども、あまりに我田引水的なことをやると、あとあとに尾が引いて、こういうような告発の問題等も起きたのではないか。これは私、長官にいやみを言うわけではないのですが、あまりにわれわれが国家民族に奉仕をするという選ばれた選良意識が、ともするといやなことを起こすのではないか。たとえば私の方の石橋委員から質問のあったような、地区の司令官が子供の文章にまで容喙しなければどうもじっとしていられないのだ、こういうふうなはやり立った気持に追いやるのではないか。これは私は十分注意しなければならぬと思う。たとえば治安出動といったような場合、この問題などをおろそかにしていると、私はやはり選良意識によって国家のために個人などは、お前たちなどはというふうな意識過剰がもしあるとすれば、たいへんな問題になりかねないと思うのです。長官の、特車をば戦車というふうに呼んでみたい、こういう意見も出ております。あるいは国防省に昇格をさせたいというふうな意見も出ておりますが、私はこの問題と、もう一つわれわれの話題を呼んでいいと思うのは、防衛庁は旧軍人精神をば発揚したいのかどうか知りません。昔の五ヵ条の軍人勅諭みたいなものから軍人精神に普及していったもの等をひっくるめて、いろいろ研究しているというふうに聞いておりますが、名称の変え方あるいは自衛官の精神のよりどころ、こういうふうなものは軽々に私はやり得ないと思うのです。非常に局部的に見れば、なるほど責任を考え、いろいろと工夫をするというふうなことは悪いことではないように見えますけれども、やはり全般から見るとそれが非常に行き過ぎであり、勇み足であるという場合が往々あると思います。この平野二佐が告発を受けた要素なども、一方的にこちらは絶対悪いことがないというふうな見解のもとに押し切ったところに根があって、こういうふうになっておるのではないか。この問題についてここまで来た経緯をもし局長さんの方で知っているようでしたら、この際説明をしていただき、それから長官に対しましては、私は特車をば戦車と呼びたいという御意見、また憲法問題がまだめどのつかないうちから、国防というよりも戦力をば中心にしたようなものの考え方で省に昇格をなさろうというふうな、こういう御意見は、私は私案であろうといえ、あるいは長官が着任早々であって何か一言しなければ気が済まぬというふうなことを割引して考えても、少しく時間尚早、勇み足のきらいがないかと思う。治安出動に対してわれわれが非常に懸念を持っておるやさきにおいて、自衛官の精神のよりどころが前向きになって進むのではなくしてどうも後退した形において日本の民族、国家にのみ忠誠を誓う、こういう形で打ち出されてくることが、私は全般から見てあまり好もしいものではないのだ、こういうふうな意見を持つものでございますが、長官の御意見をば聞かしていただきたいと思います。
  38. 西村直己

    西村国務大臣 自衛隊の基本の問題でありますから、私から申し上げます。御存じの通り自衛隊の基本のあり方は、自衛隊法のたしか第一条ですかにはっきり出ております。国土防衛、いわゆる国土の平和と独立を念願するために防衛の分を担当する。従ってそれに対しましては特殊な法規を持ち、特殊な服務規定等もあるのであります。そこで私の長官としての最初の発言等と多少御意見が違うように御批判をいただいたのでありますが、私は自衛隊は従来の軍隊とはもちろん性格が一変しているべきものであり、また一変していると考えます。民主主義の憲法のもとにおいて、憲法に許されたるワクの中において、国会の御承認を得て発足しておる。従って自衛隊はあくまでも国法に基づいたものである。これは私どもは確信を持ってよろしいと考えております。  その次に、自衛隊が国法に基づいたものでありましても、いたずらに自衛隊だけのもの、あるいは一部のものではなくて、国民的な基盤に立つべきものである、こういう考え方を持っております。そのためにこそ民主主義によって国会を通して御批判をいただき、御審議をいただき、成立をいたして参っておる過程であります。そこでこの国民的基盤の上に立って私は着任いたしまして、親しまれ、かったよりになる自衛隊、こういう言葉を使っております。言いかえれば信頼を受ける自衛隊であらねばならない。その意味において自衛隊は隠れたような印象を受けるべきではない。用語においても平易化すべきであるというのが私の考えであります。一般に許されたる範囲内において使われておる通常の言葉を、自衛隊において使ってもよろしいではないか、ただいたずらに外国語を使ったり、不自然な言葉を使って、はっきり申せば遠慮し過ぎてもいけない。ある場合には、御批判が強過ぎるあまり、自衛隊の中の一部には制服を、どちらかというと着たがらないという事態が起これば、これは自衛隊自体が存在の意義をなくすことであります。そういう意味において、今日のはやり言葉である勇み足とか、独善とか、あるいは選良意識というような考え方を植え付ける考えはございませんが、法に基づいて貴重なる国民の税金をいただいておる限度においては、しっかりした心がまえ、しっかりした精神、また自分の職責を通して国土を愛し、あるいは国民にたよられる、この気持はやはりはっきり通さなければいかぬのじゃないか、こういう意味であります。従いまして部内の教育におきましても、単に従来の軍人勅諭というようなものを参考にしてということは全然ないのでありまして、むしろ新しい今日の民主主義においては、人間形成、個人の自覚というものから盛り上がりつつ、しかもそこに隊を作れば、隊の規律、訓練、集合体としての効率の発揮というようなために、部内の教育の方針を持っていかなければならない。その部内の教育の参考に資するために現在研究中であります。  また同時に国防省というような考え方につきましても、世論の一部に、そういう強い、いわゆる制度的な声もあります。従って私、防衛庁長官としては、これも部内において、そういういろいろな角度の意見というものを検討を加えるということは、当然の私の職責と考えておる次第であります。
  39. 小幡久男

    ○小幡説明員 平野二佐の件につきましては、せんだって起訴猶予の決定がございました。いろいろわれわれも反省しておるわけであります。当日の前方注視の義務につきましては、石山委員からもおっしゃったように、われわれとしましては、本人は尽くすべきを尽くしたというふうに考えておったのであります。なお司法部の見解では努力の余地がある、完全ではないというふうな御意見のように聞いております。しかし平野機がいろいろな条件から灯火を誤認するに至った特殊事情もあるので、情状を酌量して起訴猶予になったというふうに聞いております。従いましてこの第三者の意見をわれわれとしましては十分身に体しまして、前方監視の義務をさらに強くするということについては一そう努力したいと思っております。なお航空機の発着等につきましても、民間機との発着の時間をゆとりをもって調整するというふうな処置もとりまして、さらに航空自衛隊としましては、管制官の手順の中に、民間機が着陸して誘導路へ入ったかどうかということを確かめる一つの手順を加えてもらうように申し入れております。また当夜の全日空機には衝突予防灯がついておりませんので、そういったものもつけてもらうように交渉しております。そういったいろいろな改善措置を講じまして、共用というワクの中で、努めて管制と飛行機の発着との協力体制を作りまして、事故のないように措置したいと思っております。
  40. 石山權作

    石山委員 ああいう衝突とかのような場合は、正しいとか正しくないとかいう点は非常に微妙な点がたくさんあると思います。そういう点を十分勘案しないと、一方的な押し切り方では世間のひんしゅくを買う、こういうことがあるし、何もわざわざ高い金をかけて告訴しなくてもいいことを告訴をするというふうな立場がとられるような場合も、世間には間々あることでございますから、私は今までの自衛隊性格からしても——西村長官によれば、あまり遠慮する必要もないというふうな御意見でございますけれども、いわゆる謙譲の美徳というのは、日本人が持っている大切な美徳の一つであります。自衛隊はそういう美徳を忘れてはいかぬと思う。あまりじゃまにならないように、紛争を起こさないような注意をすることが、陰にある、いわゆる自衛隊を愛する声に通じていくと思うのです。それを変なコンプレックスから、逆に強く強く出るということであれば、これは自衛隊が全く思わぬ批判を受ける方向に国民の目が向いていくのではないか、こういうふうに思っております。平野二佐のこともありますので、お互い十分に注意をしなければならない問題ではないか。  それから長官にあと経済問題についてお伺いしたいわけですが、日本の財界の中で、生産性向上本部がございますが、ここらあたりが主導権をとって、日本国防問題をば、防衛庁よりもむしろ真剣に論議をしている傾向がございます。これは国防力云々というよりも、兵器に関して経済に結びついたいわゆる利潤等を考えた研究だろうと思いますけれども、とにかく真剣にやられているということは事実でございます。今までの資本主義の繁栄の道というふうなことをながめてみれば、国の防衛というものとかなり産業の繁栄というものは結びついてきた過去の歴史があるようでございます。ただ最近目新しくなってきている点は、これは池田さんも大へん心配をしているのですが、所得倍増になれば格差が非常にはなはだしくなるという現象、この現象をどうして防ぐかということにだいぶ神経を使っているようですが、防衛力もその形が出てくるだろうというふうに言われておりますし、アメリカには顕著にその例が出ているわけです。たとえば地上軍から飛行機飛行機からミサイルというふう変更していきますと、いわゆる格差を防ぐ中間にある中小企業向きの発注額が、がた落ちに落ちるという傾向があるわけです。これもやはり日本にだんだん押し寄せてくるのではないか。赤城さんの時代は、防衛力の大きなめどとして国民所得の二%ということを、予算委員会や当委員会でも一つ説明の根拠としておりました。その後長官が二代、三代とかわっているわけですが、最近の研究もやはり国民総所得の二%程度が一応のめどになっているかどうか。
  41. 西村直己

    西村国務大臣 最初に防衛生産の問題があったようにお聞きしたのでありますが、防衛生産という言葉がいいか悪いかは別として、私はやはり将来の長い方向としては自衛力の基礎にはなるたけ国産化、国産化の基盤に沿った自衛力、こういうことが必要だろうと思っております。従って私の考え方もできる範囲内においてはそういう方向をとる、これによって技術の開発も進みますし、また他の産業にもよい意味の刺激を与えると考えておるのであります。もちろん現在の段階においては、国力あるいは対米の無償援助、いろいろなものを活用していかなければならぬものもあります。それから中小企業向けの発注等でございますが、減るという——域外調達の分の御意見じゃないかと思いますが、防衛庁自体については、あまり域外調達を受ける面はないように思います。おそらくこれは数字等でもわかると思いますが、ないと思います。むしろ今の国産化の問題が漸次進みますれば、それからくるところの傘下の中小企業というものが私は非常に潤って参ると思います。それが同時に、これは戦前のことを話すことはどうかと思いますが、今日一つの通信機、トランジスターあるいはオートバイあるいは自動車というものが、今日の平和な時代においてあれだけ発達した技術の基礎には、戦前における航空機の研究の技術者が、相当その部分を開発したものを持ってあの平和分野に入っている面もあろうと私は考えております。日本においては世界的な輸出の面をになっておる分もあるわけです。ですから私どもは、戦前の形を利用しようと思いませんけれども、国民のための部隊であり、国民のために活用される観点からも国産化、同時にそれからくる中小企業との結びつきというものは不断に考えて、単なる一部の経団連等の部分だけを考えるというような考え方でいくべきではない、こう考えております。  それから二%の問題につきましては、長い間部内においても検討いたしておりまして、私といたしましても——所得倍増計画というものもある程度進んでおります。これは御承知通り閣議決定したものであり、一つの計画であり、目標であろうと思います。それらと勘案し、国民所得の伸び、成長率、これらを考えると、やはり大体二%というものを一応の目標にして参りたい。これは取り方にもよりますけれども、日本防衛費、国防費のあり方というものは、諸外国の傾向から見ましても相当低いということは絶えず言われておるくらいの形であります。二%くらいのところがきわめて妥当な線ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  42. 石山權作

    石山委員 きわめて妥当だと長官は考えておると言うのですが、私はきわめて高いものだと考えておる。これは見解の相違というよりも、数字を並べてみますと、かなりに高いものだという御了解は得られると思うのです。これは賃金の話だけしてはおかしいのですが、収入差がだいぶ違う国々の考え方で、総所得の比率ではじき出したものというものは妥当なものではない。しかしその論争を今日するというのではございません。アメリカの実績でございますが、アメリカでは御承知のように政府所管で発注する額の一部をば、必ず中小企業に発注しなければならぬという法律があるわけです。それにもかかわらず飛行機からミサイルというように変化をしていきますと、飛行機の発注額も年々中小企業にはふえております。それからミサイルの場合も発注額の総額がふえるわけです。しかし財界が一般的な発注をたくさん受けておるにもかかわらず、中小企業は逆に減っていっておるわけです。ミサイル化されると減っていっておる。ですから高度の兵器、大型の兵器、こういうようなものに変更していった場合は、非常に産業界において格差が出るということです。いま一つわれわれとしては考えなければならないのは、長官が言われるように総所得の二%というふうな進め方でいきますと、財界に散布される発注額というものは大へんなものになるだろうと思います。特に景気のいいときならばそんなに影響はないと思うのですが、不景気の場合に軍から発注される産業界の受け取り方というものは、これは景気、不景気に大へん大きな影響を与えるのではないか。こうした場合にこれの割り当てその他は通産省の仕事だといえばそれまでですが、やはり予算の実際の作成に当たる庁内としては、こういうような現実がだんだん現われてくるのだ。アメリカにすらすでに現われておるのですから、こういう現実がやがて日本にも現われてくるのだという想定をしながら、国防まで考えていただかなければいけないのではないか。いわゆる広義におけるところの国防問題を皆さんおそらく考えて研究しておられると思いますが、その場合における自衛隊が国民のたくさんの支持を得ておる、こういうふうな場合には、中小企業の実態というものを無視してはいかぬわけでありますから、ここらは十分考えて今後の諸条件の立案に当たる必要があるのではないか、これを私は来年度の予算から西村長官あたり一つ腹の中にでんと据えて、われわれが国防を充実していけばいくほど経済の繁栄があるかもしれないけれども、あってもそれは格差をもたらす一つの作用を大きくなすものだ、それを防ぐことが広義な意味自衛隊をば愛する層をふやすことになるのですから、その格差をなくするような工夫も、広義防衛力の中に十分消化をしていただかなければいかぬのではないか。一体そういうことを経済と防衛力とを結んで御研究なさっておられる機関はどの機関ですか。
  43. 西村直己

    西村国務大臣 私も着任いたしまして以来、その観点に実は着目いたしておるのであります。さっき国産化と申しましたのも、たとえば航空機は、民間機あるいは軍用機とを問わず、資材を使うものが非常に少ないのであります。そうして手で加工し、また関連していく部分というものが非常に多い、傘下産業が非常に多いのでございます。そういうようなことで防衛に関連する産業、下請に金が流れる、また下請の技術が開発される、こういうような面において私は国産化という問題の方向はやはり推進をして参らなければならぬ。と同時に、防衛庁自体が使う費用でなくて、たとえばよい例が通産省でお扱いになっておる民間のYS11試作機でございますが、ああいうものを今度はまた通産省自体が大いに推進して下さることによって、それ自体が防衛庁の輸送機としてまたある関連性をもっていくというようなことによって広義国防というとおしかりを受けたり古い言葉になりますが、広義防衛でございますね。広い意味防衛、こういうことが両々相待って産業と関連させていく。それからいま一つは、事実上防衛は何と申しましても防衛目的のためにいろいろな服とかくつであるとか資材とか、そういうものを使います。これは消費面であります。しかしながら私は、これは私の所管ではありませんが、従来社会党の方々が御熱心にやっておられる中小企業の育成のためには、産業分野を確立せよという御要望も強いのであります。やがて将来これなどは、政府なり与野党の問に中小企業育成の対策として大きな消費面に対する発注ですね。そういうものに対しておのずからそこによい案をお出しいただくならば、私どもも喜んでそういう面からも中小企業と防衛とも手が組める。同時に他の産業と防衛とも手が組める。また防衛庁自体も技術開発をやって国産化をやる。これら広い分野から広義国防というと大へんおしかりを受けますから、広義防衛といいますか、広義自衛と申しますか、そういうような広い視野に立っての研究というものはやって参らなければならぬと思います。現在までも防衛庁の中で多少そういう考えを持っておられる方もあったのですが、どちらかといえばこれは国防会議一つ御検討願い、防衛庁自体においても、内部部局においてそういう分野からも一つ自衛隊の正しい姿勢というものを探し出す、こういうふうにいたしたい考えでございます。
  44. 石山權作

    石山委員 ちょっととっぴな質問かもしれませんが、防衛庁では当委員会に隠しだてをしなければならないような事項がございますか。
  45. 西村直己

    西村国務大臣 私は防衛庁はやはり現在法に基づく行政官庁でございますから、普通の行政官庁、それからただ任務の特殊上特に隠しだてというと御理解をしにくいのでありますが、隠しだてではなくして、部内の手続等において部内限りで処理をさせていただくというような分野は多少あろうと思います。これは任務の特殊性からいって。しかし一般のことについて隠しだてをするということはありません。先ほど私が用語等についても平易な言葉を使えという気持は、何か変な言葉を無理に考えていうと逃げ回っているような、あるいは皆さんから見ると隠しだてをしている。皆さん自体が御質問の最中に三軍というようお言葉を使っていらっしゃるくらいであります。従って私どもも平易に通常使っている言葉を使うべきではないか、こう考えております。
  46. 石山權作

    石山委員 これは安保体制というような言葉がその通り実行されているかどうかわかりませんけれども、在来から、アメリカの軍事基地等の問題でございます。それから新しい兵器、日本では使用したことのないミサイルその他の兵器、こういうような問題に関して、やはり秘密みたいなものがあるかもしれませんが、先ほど私が第七混成軍団の件について千歳の近所の話を申し上げましたが、千歳の近所にはたくさんの基地があります。その基地のうちでこういうことを私の方で報告を聞いているわけです。上の方の軍事施設は日本の軍がやっているようだ。しかし下の地下室でやっているのは、もっぱらアメリカ軍でやっているようだ。かなり秘密の事項があると見えて日本の技術者——技術者と申してもおもに弱電関係、通信関係でございますが、この人たちの立ち入りを厳重に拒否している。土地の者はこれはきっとミサイルの発射地を建設しているのではないかという心配をしているわけなんです。ミサイルを日本の憲法に見合って、はたして持ち得る可能性があるかどうかということはかなり疑問視していいと思いますが、第七混成軍団の一部では、そのミサイルに関して実際の訓練をさしているとも聞いておりますが、そこら辺はどういうふうな事情になっているのか。一般の風評にとどまっているものであるのか、事実はそういうふうな日米間で日本人に知られては困るような秘密、あるいは当委員会に話してはいけないような問題がその中にあるのかどうか、御説明いただきたいと思います。
  47. 加藤陽三

    加藤政府委員 第七混成団でミサイルの訓練や何かするというようなお話でありますが、ただいま自衛隊で持っておりますミサイルといたしましてはサイド・ワインダー、飛行機に載せて空対空のミサイル、あれだけでございます。それからエリコン等を実験用に使っております。そのほかには今のところございません。それから千歳の秘密に関するお話でありますが、それは米軍の方の基地のことではございませんでしょうか。米軍につきましては御承知通り刑事特別法という法律があるわけでございまして、米軍に関する秘密は守られているわけでございます。自衛隊の基地と申しますか、そういうところは自衛隊法によって律しているわけでございます。刑事特別法のようなことはないわけでございます。
  48. 石山權作

    石山委員 そうしますと、私の聞きたいことは、米軍のことであれば皆さんの方でわかっていても、当委員会では説明できないということですか。
  49. 加藤陽三

    加藤政府委員 米軍の方で秘密としております事柄につきましては、これは御説明できないことになっていると私は思います。
  50. 石山權作

    石山委員 そうしますと、千歳には米軍が秘密にしている工事が進歩しつつあるという表現になるわけですか。
  51. 加藤陽三

    加藤政府委員 私は一般論を申したのでありまして、現に千歳でどういうような工事が進歩しつつあるかということは存じておりません。
  52. 石山權作

    石山委員 それはあなた論弁でしょう。国防を日米共同でやるという一つの前提があるとすれば、アメリカ軍がいろいろな工事をなさることに対して、無関心ではいられないはずです。情報をキャッチするという工夫が必要なはずです。あなたは知らないはずはないじゃありませんか。ほんとうに知っていないのですか。
  53. 加藤陽三

    加藤政府委員 米軍工事の関係は主として調達庁でやることだと思います。調達庁の方は知っているかもわかりません。私は一々は存じておりません。必要な事柄についてだけ、大きな問題は連絡をいたします。こまかいことは知りません。
  54. 石山權作

    石山委員 そうすると、私が今質問申し上げていることはこまかいことで、あなたのところには届いていない些少事だということになるわけですか。
  55. 加藤陽三

    加藤政府委員 一般論としてそういうことを申し上げたわけでございまして、もし重大な事柄でありますれば私どもの耳にもいずれ入るだろうと思います。今のところは存じておりません。
  56. 石山權作

    石山委員 そうすると、私のところにきた報告は大したことのない報告でございましょう。ただ私の申し上げたい点は、極東の平和と安全のために日米共同で日本の国を防衛するという、そうした場合に、大きな工事を知らないというわけはないでしょう。特に日本国防にとって大切であればあるだけ、あなたの方で知らないなどと言ったら、職責上不謹慎なことになりはしませんか。秘密なら秘密でいいじゃありませんか。知らぬとは何ですか。
  57. 加藤陽三

    加藤政府委員 私は実際知らないのでありますから、ただ私の職責を尽くすに必要な範囲の事柄は知らなければならないと思っております。
  58. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 関連して。今日本自衛隊に、ミサイルとしてサイド・ワインダーとエリコンしかないことは知っておりますが、本年度の予算に、たしかナイキを中心にいたしますいわゆる地対空のミサイルの操作訓練を受けるために、アメリカに隊員を派遣するという費目があったと思うのです。ことしの秋に大体派遣されることになると聞いておったのでございますが、これは実際に行ったのか、行っていないとすればいつごろ行くのか、またその隊員は今話題に出ております七混の関係の者をやるというふうにも聞いておるのですが、この点どういうところから選抜して送るつもりなのか、この辺を一つ説明していただきたい。
  59. 加藤陽三

    加藤政府委員 ナイキの第一次の訓練隊員はことしの秋ごろ派遣したい予定であったのでありますが、まだ派遣をいたしておりません。隊員の選抜につきましては、私は詳細なことは存じておりません。大体千葉県にございますロケット訓練隊が基幹となって隊員を選考しておるように聞いております。その中に七混の者が入りますかどうですか、その辺のところはただいま存じておりません。
  60. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 いつごろ……。
  61. 加藤陽三

    加藤政府委員 私どもはなるべく早い機会に出発をさせたいと思っておりますけれども、ただいまのところはまだその日時は確定しておらない状況でございます。
  62. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 予定が非常にずれている理由は何ですか。
  63. 加藤陽三

    加藤政府委員 これはアメリカに行きまして、ニューメキシコ州のフォートブリスというところに学校があるわけでございますが、その学校に入れる計画にいたしております。その学校の受け入れ準備の関係とか、ミサイルを、訓練を終わりましたら持ち帰ることになろうかと存じます。その手当の関係等で、アメリカとの間の交渉がまだまとまってないというふうに聞いております。
  64. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今防衛庁が作っておる第二次防衛五カ年計画の主力をなすものは、この地対空のミサイルの装備を含めて、質の強化をはかるということであったと思うのですが、今局長が答弁されたような事情で確かにおくれておるということになりますと、必然的にそういう面からも防衛計画の策定に影響を持ってきているのじゃないかと思う。この点いかがですか。
  65. 加藤陽三

    加藤政府委員 第二次防衛計画の策定の問題は、昨年の秋には一応の案ができたのでございますが、その後いろいろな情勢の変化がございまして、ことに最近におきましては、新たに給与法の改正によりまして人件費の増を相当見込まなければなりません。それから米軍の援助に関する見通しということもさらに詰めなければいけないような状況になって参りました。それから防衛二法案の成立がおくれておるということも、私たちとしましては一つ頭に入れて作業しておるわけでございます。
  66. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私の直接の質問に答えてないと思うのですが、第二次防衛五カ年計画の一番の柱というのは、質的な強化をはかるのだ、しかもそれをもっと詰めていけば、地対空のミサイル装備ということに最も主力があったように私は受け取っているのです。そうしますと、先ほどアメリカ側の供与、いわゆるナイキを中心にするミサイルの供与等に若干事情の変更等も出ておるということになってくると、これは一番大きく影響してくるのじゃないか、その点いかがですかと、こう申し上げているのです。
  67. 加藤陽三

    加藤政府委員 第二次防衛整備計画はまだきまっておりませんので、確定的なことを申し上げることはもちろんできないわけでございます。私どもといたしましても、やはり地対空の誘導弾の部隊を増加いたしたいと思っております。ことしの秋に出るべきものがおくれておるということは事実でございます。この影響は若干はございましょうけれども、第二次計画全体として考えますと、今のところ計画に変更を加えるほど大きな事情とはなっていないように私は判断いたしております。
  68. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 これは大臣にお答え願いたいのですが、きのうきょうの新聞報道を見ましても、すでに来年度予算編成までに第二次防衛計画を最終的に国防会議の承認まで得るということはほとんど不可能だというふうな基本的な態度を防衛庁として確認しておるようですが、一部の、ヘリコプター空母の建設とか、あるいは十三師団の編成がえとかいうものだけを抜き出してやろうというようなことに、大体固まってきておるようです。この間質問したときには、間に合うこともある、間に合わぬこともあるというような、ぼかした表現でしたが、その点すでに結論が出ておると思いますので、お答え願いたいと思います。
  69. 西村直己

    西村国務大臣 私のところまではまだその計画が上がってきておりません。従って私の判断では、間に合う場合もあるし間に合わぬ場合もある。ただその取り扱い等について一つ部内において工夫もしてもらいたい。というのは、予算編成は迫っております。かたわら次期防衛計画の検討においては、局長からも御説明申し上げたようないろいろな変化もございます、一つ十分よく検討してもらいたい、こういうふうに私は言っておるわけでございます。
  70. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私のところまではと軽くおっしゃっておられますが、大へんな問題ですよ。長期防衛計画というものは、国防会議にかけなければならない最も重要な議案なんです。そういう問題について、防衛庁長官がまだ全然知らない、どうしようかと思い悩んでいる最中に、すでに自衛隊の一部から結論が出たかのような報道が流されるということは、非常に問題です。もしそれではそういう検討がどこかでなされておって、すでに報道機関に流されたということになると、それは内局ですか、制服の方ですか。
  71. 西村直己

    西村国務大臣 私はどういう報道がされておるか、まだ聞いておりません。私の所信は今申し上げたようなことであります。
  72. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは局長でけっこうですが、大体どういうふうな構想なのか。大臣のところまではまだ行っていないそうですが……。
  73. 加藤陽三

    加藤政府委員 私どもとしては、なるべく早く防衛整備第二次計画を作っていきたいということで、今一生懸命作業しておるところでございます。
  74. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうすると、はっきりしてきましたが、内局の方でも、まだ間に合わせるように、来年度の予算編成とからみ合わせて身のある計画を作りたいという意図を放棄しておらない。大臣の方もまだ結論は出しておらない。そうすると制服の方で、早くももう来年度の予算と直接結びつけることはちょっとむずかしいのではないか、今早急に長期防衛計画を作ることはむずかしいのではないかという結論を、制服の方で出しているような印象を非常に受けるわけですが、そうじゃないですか。
  75. 西村直己

    西村国務大臣 別にどういうふうに出しているとか出していないとかいうことについては、私その事実を知っておりませんが、私の心がまえとしては先ほど申し上げたような次第であります。
  76. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣に特に私は注文しておきたいのですけれども、国防会議というものがなぜできたのか、その国防会議でどういうものを審議するか、こういうことは私が言うまでもなく十分に御承知だと思うのです。皆さん説明によれば、国防会議というものには非常に権威があると言われておる。そこで議題とする最も中心的なものの一つである長期防衛計画について、大臣がまだ結論を出しておらないのに、部内の一部から一方的な観測を呼ぶような報道をなされるということは、非常に大へんな問題なんです。いわゆる政治と軍事という問題から考えても、軽々に見のがしていいような内容のものではないと私は思う。極端に言えばあなた方は結局無視されているのですよ。そういう傾向を助長しないように、しっかりとたがを締めていっていただきたいということだけを申し上げておきたいと思います。
  77. 緒方孝男

    ○緒方委員 関連。石山委員の御質問に関連して、ちょっと加藤局長にお伺いしておきたいことがあります。千歳に動かない機動隊がおるという話の中で、防衛庁自体が、背伸びをした、能力の限界を越えたことをしておるところに原因がありはしないかということが指摘されておりましたが、北九州の芦屋の基地は、今月一ぱいでもうすでに米軍が沖繩の方に転退した。その跡に防衛庁が空軍基地を持っていくということになっておるそうなんですが、その行きがかりの話を聞いてみますと、何もあそこが国防上必要な基地というよりも、むしろ防衛庁があの基地を失うことが困るから、基地を防衛庁の手に置いておくだけにでも、何らかの自衛隊を置いておかなければならないというようなことが言われておるわけなんですが、そういうことであれば、これは能力のないものをまた細分化してしまうということにも通じてくるわけですが、芦屋の基地は今の自衛隊の面から見て、国防上絶対必要なものであるかどうかということについて、一つ御見解を承っておきたいと思います。
  78. 加藤陽三

    加藤政府委員 芦屋の基地は近く返還になる予定でございまして、これはわれわれの方で使いたいと思いますけれども、ここには輸送航空団及び航空自衛隊の第三術科学校などの施設を移したいのでございます。第三術科学校について言いますと、現在岐阜におるのでありますが、これはほかに利用したいものがございますので、その施設をその方に利用いたしまして、今の施設を芦屋に移したい、かように考えております。
  79. 緒方孝男

    ○緒方委員 これは別な話になって参りますが、航空技術というものが進歩して参りまして、すでにプロペラ飛行機はもう時代おくれになってくる。今後の自衛隊においても、戦闘機といわず、爆撃機といわず、輸送機といわず、一切がジェット機に変わっていかなければならない。いずれ技術学校あたりをあそこに置くとすれば、そういうジェット機訓練場としての使用に転化しなければならないと思いますが、その点はどうですか。
  80. 加藤陽三

    加藤政府委員 この飛行機も、やはりそれぞれの与えまする任務に応じまして、ジェット機でなければならないものもございます。プロペラの方がいいようなものもあるのであります。ただいまのところ、芦屋にジェット機の部隊を置こうという考えはございません。
  81. 緒方孝男

    ○緒方委員 ヘリコプターまで戦力の中に入れようとするあなた方のことですから、今すぐジェット機に切りかえてしまおうというような御計画はないかもしれません。しかし時代の移り変わりは防ぐわけにはいきません。ジェット機すらすでに世界的な面から見れば、戦力としての力を失いつつある現在の状態の中において、いつまでも戦力という形においてプロペラが使われようとは考えられないことは事実だと思う。そういたしますと、私はここで考えてもらわなくてはならぬ。ジェット機でも使うようになれば、距離は非常に短縮してきて、どの地域でなければならないということは考えられないわけなんです。先ほど音響の問題もだいぶ予算化して、何らかの対策をはかろうと言われておるような状態なんですが、もし芦屋にジェット機が発着して、そこが何らかの基地になるということになりますと、北九州における工業の生産能力というものに重大な影響を及ぼすことは事実でございます。御承知のように八幡の製鉄所を初め、北九州全体の工業都市、並びに遠賀郡中間市における炭鉱地帯、これらには幾万人の労働者が、夜間、昼間を問わず働き、かつ睡眠をしておる。睡眠も一つの労働の中に入るわけなのです。これがもし脅かされるということになると、工業衛生の面から見ましても、またその能力の面から見ましても、重大な影響を与えるようになってくると私は思う。あえて芦屋でなければならないはずはない。国防ということを中心に置いて一切を考えるならば、かつての軍国主義のように至上命令のような考え方でやるならば、これはやむを得ないかもしれません。しかしながら国防も国力の発展の一翼をになうという立場から考えますならば、いずれに重を置くかということから考えましても、工業発展、経済力伸張という立場に立って、これは芦屋でなければならないはずは私はないと思う。こういう状態になれば、どうしても場所を変えてもらわなければ、あそこの経済状態に大きな変革を来たさなければならないだろうと思いますが、そういう面についてのお考えなり御構想なりがあられるかどうかをお伺いしておきたい。
  82. 加藤陽三

    加藤政府委員 ジェット機の騒音の問題は、各地でも現在問題になっているところでございます。ただ、私どもといたしましては、やはり防衛任務を全うしますために必要な飛行機その他は、ぜひ備えたいという気持はあるわけでございまして、地元の方々の御賛成を得るようにして、そういうことは極力進めていくようにしなければいけないとは思います。もちろん芦屋につきましては、現在のところ、私が今申し上げましたような部隊を入れることを考えているのでございますが、ジェット機の将来のことはもちろん私は断言しかねますけれども、ただいまのところ、ジェット機の要撃の部隊を入れようという計画はございません。
  83. 緒方孝男

    ○緒方委員 私はこの際、技術学校の施設をあそこに移そうという前提の上に立たれるから、御再考願いたいと考えるわけなんで、もし移してしまったあとでまた変えろということになりますと、これはまた皆さん方にも大へんなお仕事をさせなければならないだろうと思います。米軍が全部撤退してしまいましたならば、あの中には民有地として買い取らなければならない地域もまだ相当に含まれております。今移さなければならないという結論は、あそこを手放したくないという結論の方から、先に出された結果ではなかろうかという危惧がありますからお伺いしているわけなんですが、その点はどうですか。
  84. 木村秀弘

    ○木村政府委員 芦屋は単に米軍がのいてそこが遊ぶから、自衛隊が入るいいう感じではございませんので、かねがねあの程度の飛行場を、防衛局長から今申し上げたような理由で獲得したいという考えを持っておりまして、米軍とも一年ほど前から折衝しておったわけでございます。もし他にあれだけの施設を作るということになりますと、やはり二十億ないし三十億近くの国費を投じなければなりませんので、幸いあそこは林野庁の財産が大部分を占めておりますので、ぜひともあそこを活用いたしたい、こういう感じでおるわけでございます。
  85. 緒方孝男

    ○緒方委員 現在どれくらいのものがあそこに移駐しておりますか。
  86. 木村秀弘

    ○木村政府委員 確実な数字はただいま記憶しておりませんが、先遣部隊として千名程度のものが近いうちに行くことになっていると記憶いたしております。
  87. 緒方孝男

    ○緒方委員 それは飛行機も持ってですか。
  88. 木村秀弘

    ○木村政府委員 確実には把握しておりませんが、航空機はまだ行っておらないと思います。
  89. 石山權作

    石山委員 来年度の予算について、締めくくりに一つお聞きしておきたい点があります。  先ほども私、経団連の方々の意向を申し上げて、日本の軍需産業の方向がかなり強く進んでいるということを申し上げましたが、その経団連の中で力説されている一つの点として、ミサイル開発を行なわねばならぬ、国産のロケットを作らなければならぬという意見が強いのでございます。来年度の防衛予算の中で、このミサイル開発に要する費用というものが計上されているか。またどの形で計上されているか、お知らせを願いたい。
  90. 木村秀弘

    ○木村政府委員 来年度の要求の中にミサイル関係の研究開発費を要求いたしておりますが、その内訳は開発費とそれから研究用の機械器具費、それから人件費、旅費、その他でございます。総額十億三千九百万円を要求いたしております。
  91. 石山權作

    石山委員 この十億円の研究費でございますが、これは自衛隊の方でお使いになる額、あるいは民間、あるいは、学校の研究所というふうに区別されるわけでございますか。
  92. 塚本敏夫

    塚本政府委員 来年度の十億円の中で、民間側に試作及び委託いたしますのが六億六千九百万円程度でございます。それ以外は防衛庁の技本で研究いたします費用でございます。
  93. 石山權作

    石山委員 ミサイル開発については、その額面通り十億円というふうに受け取ってよろしいのですか。関連費用としてほかに流通項目から項目を横流しして、これだけはミサイルに使ってもいいというふうな隠し金みたいなものはございませんか。
  94. 木村秀弘

    ○木村政府委員 ミサイル開発費はこれだけでございます。
  95. 石山權作

    石山委員 時間がないようでございますから、これで終わりますが、予算前でございますから、楽な気持で皆さんの方も御答弁なさっていられたし、私の方でも要望というふうな形でしか論議ができなかったわけです。ただし私の二、三指摘申し上げた点、たとえば騒音防止に対して土地の住民が非常に強い希望を持っている。こういうことこそ私は果たしてやらなければいかぬと思う。皆さんの方では愛される自衛隊ということを力説していますが、私は愛されるところまではいかなくても、じゃまにならないような立場、それだけは堅持してもらいたいと思うのです。それからこういう費用はやめなさいと言っても、なかなかおやめにならぬと思う。私の方ではやめさせたい。しかし皆さんはなかなかおやめにならないということですから、私はむだなお金はなるべく使わないように、この際いろいろな項目に対して十分再検討していただきたい。私大ざっぱな例として、第七混成旅団の例も申し上げましたし、それから航空母艦の問題も提示してみましたが、こういう点はどうもお金がかかり過ぎているというような印象がございます。こういう点もめんどうくさいと言わずに、われわれの声としてもう一ぺん十分再検討して、費用を切り詰める。あいまいな見解が出るならば、これは翌年度に回わす。こういう態勢をとって今度の予算を組んでいただきたいというふうに強く要望申し上げまして、終わります。
  96. 久野忠治

    久野委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十五分散会