○
加藤政府委員 ヘリコプター空母の問題につきまして、少し御
説明させていただきたいと思います。
これは
海上自衛隊の
任務といたしましては前々から申し上げております
通り、まず
日本の沿岸の
哨戒をやるということが
一つ、それから海峡や港湾を防備するということが
一つ、その次には
機雷の
掃海をする。それからこちらの方でも防御のために
機雷を敷設するということもやる。さらに内航、
日本の本土に沿った
船団の
護衛、
外航の
護衛、こういうふうなこと、それに
また上着陸等がありまする場合においては、これを迎え撃つ、こういうふうなことが
海上自衛隊の
任務としてわれわれは
考えておるのでありますが、そのうちで問題になりますのは
護衛でございまするが、だんだんと世界の一般的な趨勢といたしまして、
潜水艦の
性能というものが非常に進歩して参っております。これは日進月歩と申し上げていいくらいに
潜水艦の
性能が進歩しております。前は
潜水艦と申しましても水上を走るのが主体であって、必要に応じて
水中へもぐる。これは
水中にもぐりましても電池でございますから、とまっておれば別でございますが、ある程度の時間しか走れない。また海の上へ上がらなければならない。こういうふうな
段階が最初の
段階でございます。その次が
シュノーケル航法というのが発達して参りました。
シュノーケルというのが最近の
段階でございます。さらに近くは
原子力潜水艦、これは
新聞等で御
承知のごとく数十日でももぐったまま走れる。しかも
水中におけるスピードが二十数ノットというふうに非常に速くなってきたのです。これは
原子力潜水艦を持っておる国は現在では
アメリカでございます。イギリスでも作ったという話を聞いております。ソ連もこの間
フルシチョフ首相が数隻保有している、こういうふうなことが発表されておるようでございます。今のところはそういうふうなことでございますが、だんだんと
潜水艦というものはそういうふうに世界的に進歩してきておるということは、
考えなければならないところであります。
これに対していかにしてわれわれの
海上自衛隊の
任務を遂行するかということでございますが、そうなりますと、今までのような
船団の
護衛、
船団にへばりつきまして
艦艇を
護衛していくということだけではとてもいけない。これはやはり非常に
性能が進歩して逃げるのが速い、もぐった時間も長い、しかも
相当遠方から攻撃ができる。こういうふうに
潜水艦が発達をしまして、これに対応する策を
考えなければいかぬのじゃないかということが、われわれの課題になってきたわけです。そのためには現在の対
潜哨戒機P2V、S2Fというものがございます。これが
哨戒しておりまして、レーダーもございますから、水の上に上がればすぐキャッチできます。しかしながら
水中の航行時間が長くなりますと、これを探ることが非常にむずかしい。どうしてもわれわれの研究の結果では、音波を利用する
水中測的兵器を使う以外になかろう。こうなりますと、
飛行機で使うということはなかなかむずかしいのであります。やはり
艦艇かあるいは
ヘリコプター、
ヘリコプターは御
承知の
通り空中で停止できますから、これでとまって、その中ヘソーナーのようなものを入れますれば、
相当に遠距離まで有効にキャッチできる。こういう
考え方が次に出てくるわけであります。
その次の問題は、
ヘリコプターというものは足が短い。陸上の基地からしますれば
ヘリコプターの行動できる範囲というものは、おのずから
限度があるわけでございます。これではやはり
日本の
防衛という
意味から申しまして足りない。もう少し
行動半径を延ばそうということから
考えが生まれて参りましたのが、
ヘリコプター空母ということでございます。これは
空母と申しますと非常に大きい船のように思われますけれども、今
考えておりますのは
ヘリコプターを十八機搭載するという
考えでございます。そうしてトン数は大体一万トンくらいでございます。これに要する経費は百二十数億円というふうに
考えておるわけでございます。おっしゃる
通りわれわれのねらいは
空母が主ではないのでありまして、
ヘリコプターが主であります。その
ヘリコプターの
行動半径を延ばすために、それを載せる船を作ろう、これに対しましてはやはりそういう
考え方でなくて、それぞれの
艦艇に
ヘリコプターを分散して載せましたらいいじゃないか、こういう
考えもありましょう。これも一案でございます。しかしそうやりますと、
ヘリコプターは
整備に
相当手間がかかるので、おのおのの船に
整備員なり何なりを搭乗させなければならぬ。非常にロスが多い。ですからやはり
相当程度、
一つの
作戦単位として使用できるくらいのものはまとめて載せた方が
稼働率もよろしくなるというようなことから、今言いましたような構想が生まれてきたわけでございます。