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1960-12-15 第37回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月十五日(木曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 金子 岩三君 理事 田中 榮一君    理事 丹羽喬四郎君 理事 吉田 重延君    理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君    理事 安井 吉典君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       小澤 太郎君    仮谷 忠男君       久保田円次君    富田 健治君       渡邊 良夫君    太田 一夫君       二宮 武夫君    野口 忠夫君       肥田 次郎君    松井  誠君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治政務次官  渡海元三郎君         自治事務官         (行政局長)  藤井 貞夫君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君  委員外出席者         自治事務官         (財政局財政課 松島 五郎君         長)         専  門  員 圓地与四松君     ————————————— 十二月十四日  昭和三十五年度分地方交付税特例に関する  法律案内閣提出第二〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を  受けた地方公共団体起債特例に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第七号)  昭和三十五年度分地方交付税特例に関する  法律案内閣提出第二〇号)      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。   この際、安井国務大臣並びに渡海自治政務次官よりそれぞれ発言を求められております。順次これを許します。安井国務大臣
  3. 安井謙

    安井国務大臣 今回、自治大臣国家公安委員長を拝命いたしました安井謙でございます。  実は御承知通り参議院の出身でございまして、当委員会先生方にも平素何かとごぶさたがちになっておる次第でございます。またはなはだ未熟者でございまして、至らぬところも大へん多かろうかと存じます。しかし地方自治発展ということは非常に日本の政治にとって大事なことであるという覚悟だけは持っておるつもりでございます。何分とも委員先生方の御指導、御鞭撻によりまして、大過なきを期したいと存じております。今後とに一つよろしく御指導、御鞭撻をお願いいたします。(拍手
  4. 濱田幸雄

  5. 渡海元三郎

    渡海政府委員 このたび自治政務次官を拝命いたしました。もとより微力、若輩でありますが、民主政治の基盤となります地方自治確立のために邁進させていただきたいと存じます。ごじっこんに願っております当委員今の皆様方の一そうの御援助と御指導、御協力をお願いいたしまして、簡単でございますが、ごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  6. 濱田幸雄

    濱田委員長 内閣提出昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和三十五年度分地方交付税特例に関する法律案、以上二法律案を一括して議題といたします。     —————————————
  7. 濱田幸雄

    濱田委員長 まず、政府より提案理由説明を求めます。安井自治大臣
  8. 安井謙

    安井国務大臣 ただいま議題となりました昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律の一部を改正する法律案提案理由要旨を御説明申し上げます。  本年六月から十月までに発生した水害または風水害は、特定地域に集中して相当大きい被害を与えている点にかんがみまして、被害程度の著しい地方団体に対しましては、チリ地震津波による災害を受けた地方団体と同じく地方債発行特例を認め、その財政運営に遺憾なからしめようとするものであります。  地方財政法では、地方団体地方債を起こすことができる場合を制限しておりますが、この法律案は、その特例として本年六月から十月までに発生した水害または風水害を受けた地方団体には、チリ地震津波による災害を受けた地方団体と同じく、地方税等の減免に伴う歳入の不足を補う場合、または災害対策財源とする場合に地方債を発行することができるようにしようとするものであります。なお、この地方債を発行することができる地方団体政令で定めるのでありますが、政令では、財政力に比し被害程度の特に著しい団体を指定したいと考えております。  以上が、昭和三十五年五月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律の一部を改正する法律案提案理由とその内容要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  続けまして、ただいま議題となりました昭和三十五年度分地方交付税特例に関する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  今回、政府は人事院の勧告に基づき本年十月一日から国家公務員給与改定を実施することといたしましたが、これに伴いまして地方公務員についても国家公務員に準じ給与改定を実施することができるよう、その必要な財源を保障することといたしたいのであります。  これがためには、給与改定に要する経費普通交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入しなければなりませんし、また、基準財政需要額の算出の基礎となる単位費用について本年度分特例を法定する必要が出て参るわけであります。  次に、今回の補正予算により増額を見ました地方交付税の額は三百五十七億円でありますが、給与改定に要する経費の額は地方交付税交付を受ける団体においておおむね二百四十億円程度でありますので、これをこえる部分については、明年度地方財政状況等も考慮いたしまして昭和三十六年度に繰り越して使用できるようにしておくことが適当であると考えられるのであります。以上が、この法律案を提出した理由であります。  次に、この法律案内容要旨につき御説明申し上げます。  第一は、単位費用特例に関する事項であります。ただいま、申し上げましたように、地方公務員給与改定に要する経費基準財政需要額に算入するためには、その積算に用いられる単位費用を改める必要があるわけであります。そこで、現行単位費用算定基礎となっております職員給与費について、本年十月から国家公務員に準じて給与改定を実施する場合の経費によって単位費用を再算定し、これを本年度特例単位費用とし、地方交付税法第十二条第一項に規定する単位費用にかえて適用することといたしたいのであります。なお、地方税についても相当増収が期待されるのでありますが、特に住民税法人税割及び法人事業税のうち二以上の道府県に事務所または事業所を設けて事業を行なら法人にかかるものについては、その実績に基づいて基準財政収入額算定することになっておりますので、最近の課税標準額基礎として算定し直した額と既決税額との増減差額を、この際、本年度基準財政収入額に加算し、またはこれから減額することを適当と考えております。そしてあらたに議決をお願いしている本年度単位費用を用いて算定した基準財政需要額が、再算定後の基準財政収入額をこえる額を当該団体本年度普通交付税として決定する予定であります。従いまして、本年八月に決定し、各地方団体に通知された地方交付税の額は、地方交付税法及びこの特例法規定を適用して変更されるべき昭和三十五年度分普通交付税の額の概算交付額とみなすこととし、その旨を附則に規定した次第であります。  第二は、地方交付税繰り越し使用に関する事項であります。現行地方交付税法第六条第二項の規定によりますと、毎年度分として交付すべき交付税総額は、当該年度における所得税法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の二十八・五に相当する額の合算額に、当該年度の前年度以前の年度における交付税でまだ交付していない額を加算し、または前年度以前の年度において交付すべきであった額をこえて交付した額を当該合算額から減額した額とされておりますので、現行法もとにおいては、今回の補正予算により増額計上された地方交付税は、給与改定に要する経費の額をこえる部分の額についても本年度内に交付されることとなるわけであります。もとより地方財政の現況は、低位にある行政水準引き上げ等のためにさらに多くの財源を必要としているのではありますが、本年度はすでに余すところ幾ばくもありませんし、また、明年度地方財政本年度よりも窮屈になることが予想されますので、むしろさしあたりの交付額給与改定所要財源相当額にとどめ、これをこえる額は明年度地方交付税総額に加算して配分することがより適当と考えられるのであります。またそうすることによって、明年度以降の地方財政全般を考慮して計画的かつ合理的な財源配分を行なうことができるようになるのであります。なお、明年度へ繰り越して配分する額は、増加した地方交付税の額三百五十七億円から交付団体における給与改定所要一般財源二百四十億円を控除して得られる額百十七億円を限度とすることにいたしております。特別の事情が生じません限りは、翌年度への繰越額は百十七億円といたすつもりであります。  以上が昭和三十五年度分地方交付税特例に関する法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  9. 濱田幸雄

    濱田委員長 以上をもちまして提案理由説明は終わりました。     —————————————
  10. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより両案に対する質疑に入ります。  質疑の通告がありますので順次これを許します。川村継義君。
  11. 川村継義

    川村(継)委員 私、質問を申し上げる前に、大臣おいででございますから、大臣の御所見一つ承りたいと思うのであります。  先般自治庁自治省昇格されたときにいろいろ論議になったのでありますが、特にこの自治省昇格について疑問を持った方々の意見は、自治庁自治省になるについて一体どういう理由があるんだ、下手すると戦前のような内務省的な性格になるのではないかというような心配などがされて、ずいぶん論議になったのであります。その場合に当局の大体の意見というものは、今までのような自治庁の格好ではいろいろとめんどらな、また不得手なところが出てくる。これから自治省になって、大臣もとで、あるいは予算の要求であるとか、法令の閣議請求権というものが生まれてくると、地方自治行財政発展の上に大きく貢献できるのである。こういう意見が述べられておったのであります。しかし、当局意見意見として、やはり自治省になってから以前のような内務省的な性格が強化される、あるいは地方自治に対して中央の統括、干渉というものが出てくるということは好ましくないというような考え方は今でもなくなっていないと思うのです。今回自治省になりまして、もちろん初代の大臣は前の石原さんでありましたが、安井大臣は二代目でありますけれども、本格的に国会予算をひっさげ、あるいは法律案等をひっさげてお立ちになるのはあなたが初めてでございます。この際大臣として地方自治行政を考える上において、大臣はどのようなお考えでお臨みになろうとしておるのか、大臣所見一つお聞かせおきいただきたいと思います。
  12. 安井謙

    安井国務大臣 お答え申し上げます。  自治庁自治省昇格した、これはいろいろな自治行政政府としてやります上からは、格づけと申しますか、いろいろな点で直接、省に昇格しておった方が何かと便利なこともあろうかという趣旨でこの昇格ができ上がったのだと存じております。そのために、今川村委員の御指摘になりましたように、自治省となることによって昔の内務省的な性格が復活していくとか、あるいはより強くなる、あるいは地方自治を圧迫するようなことがないかという御懸念もおありであったかと存じますが、この点につきましては、私ども絶対そういうことのないように、従来の地方自治制度をあくまで尊重して参り、また大いに伸ばしていっていただくように適切な指導をいたして参りたいと考えておる次第でございます。
  13. 川村継義

    川村(継)委員 重ねてでございますが、それならば大臣就任以来いろいろと御構想もお持ちだと思いますが、地方財政問題について、あるいは行政問題について、どういう御構想でこの後大臣としての使命を果たしていきたいとお考えいただいておりますか。少し具体的に、行政面財政面に分けてお聞かせいただければ大へんありがたいと思います。
  14. 安井謙

    安井国務大臣 何分まだ就任後日が浅うございまして、勉強の足りない点もたくさんあろうかと思います。この点につきましては、またいろいろ御指摘もいただき、勉強もいたして参りたいと存じておりますが、私はさしあたりまして、財政面から申しますと、ここ数年来地方財政というものは、以前に比べますとだんだんと好調になっておることは事実であろうと存じます。しかし、まだまだ赤字公債の面でありますとか、あるいは収支の面につきましても、現状で十分といえない点も多々あると存じます。この点につきましては、今後とも十分な財政措置をでき得る限りやっていき、地方財政確立をさらに推進をいたしたいと考えておる次第でございます。  行政面につきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる地方自治体自主性というものを極力尊重いたしまして、本来の趣旨に合うような行政を進めていきたいと存じております。さらに最近では、おくれております地方と申しますか、いろんな経済あるいは公共事業開発のおくれておる地方を、まんべんなく、でき得る限り政府指導なり援助によってもさらに開発を進めていき、なるべく地方的な格差を少なくしていくような方向に持っていきたいと考えておる次第でございます。
  15. 川村継義

    川村(継)委員 重ねてくどくなるようでございますが、大臣お話し地方自治体財政確立の問題、あるいは行政面における自主性尊重の問題、後進地域開発等の問題について、大へんけっこうな御構想だと思いますが、いずれまた機会を見て、ぜひとも一つ大臣からこの際地方自治行政に対する施政方針とでも申しましょうか、そういう根本的な問題についてお話をいただきたいと思いますので、お願いをしておきたいと思います。  まず、ただいま提案になりました交付税関係の問題について初めにお聞きいたしたいと思いますが、三十五年度交付税額は、当初は二千八百六十五億であったかと思います。そのうちには普通交付税臨時地方特別交付金が含まっているわけでありますが、これについておそらく八月に決定されていると思いますが、交付状況一つ聞かせていただきたいと思います。これは私あるいは資料をいただいたかとも思うのですが、全然手元にありませんからお聞きするわけでありますが、概略でよろしゅうございます。普通交付税について都道府県どのくらい、市町村どのくらいという算的なものをお聞かせいただきたいと思います。
  16. 安井謙

    安井国務大臣 担当の局長の方から便宜御説明させます。
  17. 奧野誠亮

    奧野政府委員 決定いたしました総額二千六百六十五億円のうち道府県分が千人百六十九億円、市町村分が七百九十六億円でございます。前年度に対比いたしまして道府県分で百九十三億円、市町村分で九十億円の増加となっております。なお、交付を受けました団体は四十六都道府県のうち四十二団体でございまして、四団体交付を受けておりません。前年度交付を受けなかった団体が三団体でございましたから、一団体ふえているわけでありますけれども、愛知県が交付団体になったからでございます。市町村は三千五百二十七団体のうち交付を受けました団体が三千三百三十五団体であります。従いまして、百九十二団体交付を受けておりません。前年度交付を受けなかった団体が百七十三団体でありますから十九団体だけ交付を受けない団体がふえて参っているということでございます。地方税相当伸びて参った結果そのような姿になって参っておる、かように考えているわけであります。  なお基準財政需要額から基準財政収入額を控除いたしましたいわゆる財源不足額総額は二千七百二億円でございまして、普通交付税総額を若干超過しているわけであります。その結果、いわゆる調整率基準財政需要額に乗じまして、それから基準財政収入額を控除いたしました差額をもって普通交付税の額と決定いたしたわけでございます。この調整率が約〇・七%に当たっているわけでございまして、金額にいたしまして三十七億円程度でございます。
  18. 川村継義

    川村(継)委員 今の交付配分の大体の状況でありますが、各市町村別にした場合、三十四年度に比べた場合の増減率も今お話しになったようでありますが、関係団体について三十四年度は四十三団体だけれども、三十五年度は四十二団体、こういうことだったと思います。それは府県について東京、大阪、神奈川、それに愛知が加わったわけですか。
  19. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その通りであります。
  20. 川村継義

    川村(継)委員 市町村の場合三十四年度は今の数字を私ちょっと聞き漏らしたのでありますが、普通交付税を受けたところが私の記憶では三千四百十六市町村、不交付が百六十七市町村となっておりますが、それが三十五年度はどういう数字に変わったのでありますか。
  21. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三十五年度は三千五百二十七団体らち交付を受けた団体が三千三百三十五団体で、従って交付を受けなかった団体が百九十二団体であります。これに対して三十四年度は、合併によって若干団体数が減っておりますが、三千五百八十四団体のうち交付を受けた団体が三千四百十一団体で、交付を受けなかった団体が百七十三団体であります。
  22. 川村継義

    川村(継)委員 次にお聞きしたいと思いますことは、基準財政需要額基準財政収入額の一般的な動向と申しますか、それを三十四年度と、いわゆる補正前の三十五年度中間におけるその見通しの動きというようなものをこの際少し聞かせておいていただきたい。
  23. 奧野誠亮

    奧野政府委員 春の通常国会の際に地方交付税制度改正案を御審議いただいたわけであります。その際に改正方向を申し上げたわけでございますが、もとより結果も御審議いただいた通りになっておるわけであります。特に過去の公債費の負担を緩和することに相当の重点を置いたわけであります。また僻地でありますとか、弱小町村でありますとかいった団体基準財政収入額も増大するように努めたわけでございます。そういうような点が主となりまして、従来貧弱といわれておった団体の方が比較的には基準財政需要額伸びて参っておると思います。基準財政収入額の面におきましては、最近の経済好況の影響がございまして、法人事業税法人税割が特に伸びてきているということを指摘することができる、かように考えているわけでございます。なお、さきに昭和三十五年度普通交付税状況調べと題しまして四枚紙の資料をお配りしたわけでございますが、必要がございましたらさらにお配りしてよろしいと思います。
  24. 川村継義

    川村(継)委員 今の基準財政需要基準財政収入財源不足額というものを、三十五年度、県あるいは市町村、こういうふうに分けて考えると、大体財源不足額はどのくらいになっておりましたか。
  25. 奧野誠亮

    奧野政府委員 基準財政需要額から基準財政収入額を控除いたしまして財源不足額が生ずるその団体だけの財源不足額合算額でございますが、道府県分では千八百九十二億円、市町村分では八百十億円であったわけでございます。
  26. 川村継義

    川村(継)委員 次に、今基準財政需要基準財政収入との一般的な動きというものをお聞きした場合に、法人税割とか法人事業税伸びが大きいと見ておられるというのですが、三十五年度それらの税収というものは一体どれくらい伸びるものと算定しておられますか。
  27. 奧野誠亮

    奧野政府委員 国税の方では千六百五十億円程度増加する、こういうようにいわれているようであります。そういうことと対応して考えますと、地方税でも六百億円程度増収はある、こういうことになって参るようでございます。なお今後の推移を見ませんと的確にわかりませんが、そういうような推定の仕方はできる、かように考えているわけでございます。
  28. 川村継義

    川村(継)委員 三十四年度の税の伸びと、それから三十五年度の税の伸びは大差ありませんか。あるいは開きがありますか。
  29. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御承知のように、三十四年度もかなり大幅に自然増収があった年であります。本年度相当自然増収の伸があるわけでございまして、私としては、三十四年度よりも三十五年度の方が、むしろ税収入の面においては好調になっているのではなかろうか、こういうような推定をいたしております。
  30. 川村継義

    川村(継)委員 そうしますと、あなたの方で三十四年度決算をまとめておられるようでありますが、その資料によりますと、大体三十四年度は、三十三年度に比して一二・三%、地方税において六百七十億の増収ということが出ておるようであります。私の数字が間違っておるかもしれませんが、私のいただいておる数字ではそのようであります。ところが三十五年度は、六百億というような見積りということになると、あなたの今の見解とは大きな相違があると思いますが、この点はどうなんです。
  31. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私は、地方財政計画べースで申し上げているわけであります。従いまして、標準税率超過による税収入などを控除いたしまして数字をあげているわけであります。三十四年度決算におきまして、当初の地方財政計画よりも、今申し上げましたような計算で伸びましたのが五百億円余りであります。それを私は、まだ今後の推移を見なければわかりませんけれども、国税において増収がいわれておる、そういう額を基礎にして考えていって、六百億はあるのではないだろうか、こういうような予想を申し上げたわけでございます。
  32. 川村継義

    川村(継)委員 私たちあたりが、国の税収伸びということを見て参りましても、あるいは三十四年度税収伸びから考えても、三十五年度は、あなたたち財政計画の上から推定しておられるよりも、相当伸び可能性がなければならない、こういうように見ているわけであります。ここでそういう点をとやかく言っても仕方がないと思いますが、あとでよく、これは税収面における大きな問題として考慮すべき問題点であると思って、一つお尋ねをいたしておくわけであります。  それから、今度法案に出て参りましたように、交付税が三百六十億余り出て参りまして、その交付があるわけでありますが、その中で二百四十億程度ことし使わせる、それより、こえたものは来年に繰り越すというような、ちょっと私たちの意表をついたような法案が出ております。その中で、今大臣説明によりますと、説明要旨の六ページの終わりのところに、「百十七億円を限度とすることにいたしております。特別の事情が生じません限りは、翌年度への繰越額は百十七億円といたすつもりであります。」一つこれについて、いろいろ御意見を聞かねばなりませんが、この文章の上から、まず第一にお聞きすることにいたしますが、一応法案できまって、二百四十億を限度として本年配分する、特別の事情が生じません限りは、翌年度への繰越額は百十七億円といたすつもりであります。こういうような御説明がありますが、これが法律でかりにきまったとしても、特別の事情が生じたら、この百十七億というのは、取りくずされる可能性があるのですか。
  33. 安井謙

    安井国務大臣 その特別の事情がございますれば、この額はくずれる場合も考えられるわけでございます。
  34. 川村継義

    川村(継)委員 それはどういう根拠でございますか。
  35. 安井謙

    安井国務大臣 今後計算いたしまして、災害費用が多くかかるとか何とかいうような場合には、これをくずす場合もあり得ると思っております。
  36. 川村継義

    川村(継)委員 そうなると、それまでに法律改正をおやりになるわけですか。
  37. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ちょっと技術的な問題でございますので、私から答えさせていただきます。一般会計の場合とは違いまして、交付税及び譲与税の配付金に関する特別会計におきましては、その特別会計法で繰り越しすることができる、こういうことに定められておるわけでございます。しかし、今般さらに法律を制定いたしまして、繰り越すことができるということを明確にいたしておるわけでございます。その場合に、百十七億円以下の数字で繰り越すことができるのだ、こういう法律になっておるわけでございます。特別会計法では、一般的に繰り越すことができる、こうしてあるわけでございますので、従いまして、いろいろな事情ができて参りました場合には、法律では繰り越し得る最大限度しか書いておらぬわけでございますので、その状況においては、繰越額を減額していくことが可能だ、こういう建前になっておるわけでございます。
  38. 川村継義

    川村(継)委員 なかなか融通がきくわけですね。それから今の二百四十億というのは、説明をお聞きしますと、給与関係に必要な財源措置として交付の中に織り込む、こういうことになっているようでありますが、二百四十億と算定された基礎を、少しお話をしていただきたい。
  39. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方交付税法年度当初に改正いたしましてから、その後に新たに生じて参りました改正事由といたしますと、やはり国家公務員給与改定が行なわれるので、地方公務員もそれに準じて改定しなければならないという点であろうかと思うのであります。そういうことで地方財政計画改定を考えて参りました場合に、給与関係経費総額三百三十億円前後になるようであります。そのうち交付税交付を要する団体の分だけをとって参りますと、二百四十億円くらいになるわけであります。従いましてこの部分は、少なくとも全体として地方団体交付されるようにしたいというところから、繰り越しする場合の限度額として、二百四十億円を控除した額を限度とする、こう定めようとしたわけであります。
  40. 川村継義

    川村(継)委員 行政局長にちょっとお聞きいたしますが、あなたの方から、八月三十一日付で、人事院勧告所要経費という資料が出されておりますが、それによりますと、三十五年度は、大体本俸の一四%アップと見て、義務教育、警察職員、一般あるいは市町村関係合わせて、五百五十億の経費が必要だと試算されておるようであります。もちろん、この数字は八月の数字でありますから、その後いろいろ精細な調査をなさると、異動しておるとは思います。しかし、大体十月以降とすると、給与表の改定に必要な費用が三百十二億要るわけでありますし、それに〇・一の期末手当を入れると、大体三百四十二億の経費が必要だとわれわれは考える。これには、先ほど申し上げましたように、いろいろ精査の結果異動があったと思いますが、十二月十日のあなたの方で作られた公務員給与の所要額というものは、大体三百十六億ということになっておるようであります。こういうように見て参りますと、非常に大きく数字が動いている。そこでその辺のいきさつを一つ説明をいただきたい。  それからいま一つ、同じことでありますが、八月のときの義務教育の国庫負担分としては大体百三十億、五月から実施のやつを計算しておられますから、これは十月以降とすれば七十八億程度必要になるわけです。ところが十二月十日あなたの方の試算によりますと義務教育負担は七十九億、これは期末手当を含めておりますが、七十九億。期末手当を含めると八月の試算では八十八億、十二月の試算では七十九億、これまた大きく動いている。こういうもののいきさつを御説明いただきたい。というのは、率直に申し上げますと、当時の試算と今になってからの試算とがこんなに狂うということは、何かわれわれ割り切れないものを感ずるわけです。それでお聞きするわけです。
  41. 奧野誠亮

    奧野政府委員 計数の問題で少し誤解があるようですが、数字の問題でございますので、私の方からお答えさしていただきます。  率直に申し上げまして、人事院勧告があり、その後私たちの方で地方財源所要額の数字を申して参りました。その数字は、今申し上げております数字とほとんど動いておりません。私たちが申し上げます数字には、平年度において幾ら要るかということ、もうつは人事院勧告で示されたように五月から実施するとした場合に幾ら要るかという数字、それから今回政府のとろうとしておりますように十月から実施するとした場合に幾ら必要とするか、三通りあるわけでございます。従いまして私が今申し上げました数字は、十日から実施する場合に、本年度において幾ら必要か、こういう数字を申し上げておるわけでございます。私たちは、やはり来年度におきましては、大体において、一般財源で六百二十億程度財源が要る、こういう数字を今も持っているわけでございます。
  42. 川村継義

    川村(継)委員 私が聞いておりますのは、義務教育の点を初めに申しますと、八月にあなたの方で試算きれたものは、三十五年度の必要経費として期末手当を含めて百四十億、これは給与改定が百三十億、期末手当が十億と見てあるわけなんです。そこで国庫負担金は全部で百四十億要るということになるし、一般財源が百三十五億要るということになっておるし、総額に二百七十五億出ておる。私、先ほど言葉が足らなかったかと思いますけれども、国庫負担金が、義務教育の場合百四十億あるから、十月から実施するとなると、給与改定と〇・一の期末手当合わせて八十八億程度要るのじゃないか。ところが十二月のあなたの方の試算では、義務教育の国庫負担は七十九億しか見てない。そんなに違っておるが、そういうのは一体どうしたわけかということと、今度は全般的にいいますと、三十五年度は、初め八月は、あなたたちは全部で総額六百九十億と試算された。そこで十月以降とすれば四百三十億必要になるのじゃないか。ところが今度は全部で三百九十五億、十二月では試算をしておる。数字相当動いているが、その根拠は何だろうか、こういうことです。
  43. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ちょっと私も知らぬような数字が出ておるのでありますが、六百九十億という数字がどこから出ておるのか知りませんが、これよりも私たちがはじいております基礎を申し上げました方が、誤解があるといたしますれば、それを解いていただくことができるのじゃないか、かように考えるわけであります。三十五年三月三十一日現在の地方職員につきまして等級別、号俸別構成を調べたわけであります。これを基礎にしまして、かりに人事院勧告通り給与改定が行なわれるといたしますと、本俸の何。パーセントの給与財源の増加になるだろうかということでございます。そういたしますと、義務教育職員では一四%ということになりました。警察職員においては一三・五九%ということになりました。高等学校の先生については一五・〇二%ということになりました。それ以外の学校の先生につきましては二二・四九%ということになりました。それからその他の一般職員については一三・〇五%という数字になりました。市町村のその他の職員につきましては一二・一〇%という数字になったわけでございます。こういうふうなものを基礎にしてはじきました結果、私たちが当初予定いたしたのと大同小異の数字に今日なっておるのでありまして、こういうことを基礎にして将来の財源措置を考えていきたい、こういう考えをしておるわけであります。
  44. 松島五郎

    ○松島説明員 私もその数字を今ちょっと手元に持っておりませんので、お尋ねの点にはたしてお答えできるかどうか問題でございますけれども、御承知通り今回の給与改定を実施いたすといたしますと、単に月数に応じて所要額がきまるのではなくて、たとえば八月に実施をするとすれば、寒冷地手当についても所要額が当然一定率でもって支給されますので、給与改定所要額というものがかぶさってくるわけであります。あるいは五月から実施することになりますと、六月十五日に支給ざれることになっております夏季手当の分についての費用が要るわけであります。十月から実施するということになりますと、十月以降三月までの月々の月給のほかに十二月分に現行法もとにおいて支給されます一・九カ月分についてのベース・アップ所要額と〇・一増額いたしますために必要な分と両方加わってくるというような計算になるわけであります。そこで実施時期によりまして必ずしも十分の六、あるいは二倍というような数字にはなりませんので、それぞれ今局長から申し上げましたように給与改定率を定めまして、そのもとにおいて積み上げて計算をしていっておるものであります。
  45. 川村継義

    川村(継)委員 今いろいろ御説明をいただきましたが、二百四十億という数字給与改定の必要財源として交付しようと考えておりますが、それは今度の給与改定に必要な地方公務員給与財源として間違いなく試算されたとは思うのですけれども、これまた給与表の問題については後日いろいろお聞きしたいと思いますが、自治省が十二月の十日、増加所要額として出しておられますもらったところの資料によりますと、三百十六億というのが差し引き一般財源の計になっておるようでございますが、これはその通りでございますか。
  46. 奧野誠亮

    奧野政府委員 一般職員、学校職員等を含めた特別職を入れない数字でございますとそういう数字でございます。
  47. 川村継義

    川村(継)委員 そうしますと、それは不交付団体も含まっておる数字でございますね。
  48. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その通りであります。
  49. 川村継義

    川村(継)委員 そうすると交付団体としては二百三十億程度あればいい、こういうことになっておるようですが、その通りですか。
  50. 奧野誠亮

    奧野政府委員 特別職を入れませんとその通りであります。
  51. 川村継義

    川村(継)委員 そうすると二百四十億という交付の額は、これはそのままそっくり給与改定費用として見ておられるわけですか。
  52. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その通りであります。
  53. 川村継義

    川村(継)委員 今この交付税特例に関する法律案提案で、特に私がお聞きしなければならぬと思いますことは、この二項でありますか、ことし補正をされて、そうしてこれだけ交付税として増額するということになったのに、いろいろ理由大臣説明書に書いてありますが、どうしてこれをわざわざ幾分か、百十七億ですか、これを切って来年度に繰り越さねばならないのか。もう少しその辺の事情一つお聞かせいただきたい。
  54. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今年度に配分を了した方がよろしいか、あるいは来年度以降に繰り越して配分をいたした方がよろしいか、これはいろいろの角度から検討しなければならない問題でございまして、私たちとしましては、大臣が今お述べになりましたような理由に基づきまして、来年度に繰り越しをすることが適当だ、こら判断をいたしておるわけでございます。  過去の例を先に申し上げますと、三十一年度にやはり補正予算で百十億の地方交付税が増額計上されるということになったわけでございまして、その際に当時の期末手当の増額支給に要する額と調整減額の復活、要するに財源不足額合算額と、普通交付税で満たすに足りなかったという額の合算額二十四億円を差し引きました八十六億円を、翌三十二年度へ繰り越しております。またこれは昨年度の例でありますが、三十四年度におきましても補正で百八億円増額になっております。そのうち二十三億円は三十三年度に超過交付を受けたから三十五年度において国へそれだけ返さなければならないという額があったわけでございます。この返さなければならない二十三億円を、三十四年度補正で増額計上された額で返してしまったわけであります。言いかえれば翌年度へ二十三億円を送ったと同じことでございます。こういう先例がございます。  また逆に補正でふえたものをそのまま当該年度に配分いたしました例といたしましては、三十二年度におきましても補正予算で七十八億円ふえたわけであります。これは当該年度におきまして十六億円の調整戻しの必要があったこと、それから期末手当が当時〇・一五カ月分だけ増額支給されることになったわけでございまして、それに十九億円が要ることになったわけであります。さらに六%が自動的に特別交付税に回るわけでございますので、そういうものを差し引きまして三十五億円になったわけであります。これはそのまま当該年度に配ったわけであります。  今回のように大幅な地方交付税年度の終わりになってから増額計上されるというようなことは、過去において例がございませんが、また過去において百億円前後の増額がありました場合に翌年度へ繰り越されておるわけでございます。  私たちといたしましては、地方行政水準は低い。ただ配ってしまいますよりは、やはり来年度いかに地方行政の水準を引き上げていくべきか、そういうことを将来にわたって考えまして、そうしてその引き上げに要する財源を少しでも確保しておきたい、こういう気持があるわけでございます。かりに百十七億円を来年度へ送りませんと、やはり歳入も一つの見合いになって行政水準引き上げを考慮せざるを得ませんので、それだけは引き上げたい限度も低くならざるを得ないのじゃないだろうか、こういう心配を持つわけであります。  そうしますと、送れる方は送って単位を引き上げる度合いを高めた方が、将来にわたって地方の必要な財源を確保をしていける手段になっていくのではないだろうか、こういう考えを持つわけであります。  そのほか大臣もいろいろお話しになりましたように、両財政状況、今年度、来年度にわたる財政状況を考えましても、来年度につないだ方がよろしいわけでございましょうし、また年度末になってから配るよりも、地方団体年度当初から計画的に財源を配れるような余裕を与えて、財源を配分していった方が、金の使い方についても効率を期し得るのじゃないだろうか、こういうふうな考え方を持っておったわけでございます。
  55. 川村継義

    川村(継)委員 大へん御親切な御指導のようでございますが、いろいろ前の例もお話しになりましたが、私は少し事情が違うように記憶しておるのです。大臣にお尋ねしますが、いろいろ奥野さんかう地方財政に大へん思いやりのあるようなお話がありましたけれども、こういうことは大臣、いいことでしょうかどうでしょうか。先ほど大臣地方自治体自主性を尊重しなければならぬという御意見もお持ちのようでございましたが、大臣の御所見はいかがでございますか。
  56. 安井謙

    安井国務大臣 この追加されます交付税額を繰り越しますか、あるいは全額年度内に配分するかについては、いろいろ御議論もおありであろうかと思うのであります。先ほどもお話のありました通り、ことしの地方財源につきまして、予定外の増収というものも相当あるようにも見込まれます。またもうことしは年度が三分の二も過ぎて参っておりますので、どうしても必要な所要額である給与の分につきましては、これに全額補給をいたし、今後の財政の余裕に備えたい、こういうつもりで繰り越しをお願いしておる次第でございます。
  57. 川村継義

    川村(継)委員 この交付税というのは、どうも自治省とされましては、何かわれわれがこの法案を見ると、この金はおれのものだ、だからおれがお前たちの立場を考えて配ってやるかうその通りにしろ、こういうような意向が強く露骨に出ておるような感じを受けてしようがないのですよ。交付税というのは一応きまればこれは地方自治体の金だと私は考えている。そうすると、配るべきものはやはりきちっと規定に従って配付する、財政局長あたりのおっしゃるような御心配があれば、何かこの前の国会でも地方財政法改正等で積立金制度等を作られたはずですかう、地方自治団体に自主的に、それをやはり指導されるということが建前としてはいいのじゃありませんか。交付すべきものはちゃんと配っておいて、そして御心配になるようなむだ使いが起こってはいかぬということなれば、かくかくの金が出てきたから、これはちゃんと積み立てなら積み立てにしておいて、翌年度に使うようにやるべきであるという指導をなさることがいいのであって、初めから配るべきものを押えておいて、来年度のあれを考えながらあとから出してやるなどという法的措置をとられるということは、私は、自治省としては親心というか知らぬが、親切心というか、それはわかるけれども、はたしてそれが自治省のとるべき態度であるかどうか疑問なんです。よくいわれるように、こういうようなことをやっていきますと、初めに大臣にもお尋ねいたしましたように、また自治省財政的にいろいろ地方の干渉をするというような誤解や攻撃を受けることになるかもしれない、そういう感じがしてしようがないのですが、私はそういうふうに考えていただくことこそが大事じゃないかと思うのでございますが、大臣、いかがでありますか。
  58. 安井謙

    安井国務大臣 川村委員の御説も非常に傾聴しなければならぬと思っております。ただ、何分年度相当過ぎておる今日でございまして、またこの金額も、今お話しのように決して取り上げてしまうというのじゃなくて、次の年に同じように厳重な規定通りの配分方法によって配分いたすために、これは地方団体のものであることには間違いなかろうかと思うのでございます。  一方多少地方団体自身の増収もあるこの際でございますので、そういったものを引き当てにする仕事量の財源として来年度へ繰り越したいと考えておるわけでございます。
  59. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今の問題に関連して二、三質問してみたいと思います。  地方財政平衡交付金時代から交付税制度に変わってきた、従って算定の方法等もそれに伴って変わってきております。要するに在来の交付金制度のときは、明らかに積み上げ方式でされてきたのです。しかし、それにはそれなりに欠陥があるということで、今では国税三法の一定割合方式と言いますか、そういった方式をとってきている。私はこの精神を失ってしまってはいけないのじゃないかと思う。何がためにそういうふうに変えられたかということを忘れてしまって、先ほどの奥野財政局長が言われた中には、私たちなんかも先を見通していろいろなことを想像することができる。政府財政の建前からこういった方式を余儀なくとられておるのじゃないかという邪推を私はしております。いずれにしてもこの国税三法の一定割合方式をとった精神というものを忘れてしまって、今言ったような繰り越しをなさるということになりますと、これは現在の地方交付税制度というものの精神を失ったものではないか、私はこういうふうに思う。そういうことをやるから行政水準などというものがいつまでたっても上がっていかない。現在のこの給与費以外にこなされなければならぬところの問題がやはりたくさんあろうと私は思います。たとえば国民健康保険の事務員などというものについても、増高について今度は全然補正予算に計上されていない。あるいは義務教育施設拡充に対するところの地方負担分というものなどは全然見込まれていない。何ぼでも見る方法がある。また先ほど年度内と言われたが、年度内なればこそ不交付団体に対してなぜ措置してやらないのですか。できやしないでしょう。年度途中であればこそその問題が起こってくるのじゃないかと思う。幾らでも使い道があるのです。それを繰り越していこうという考え方は、どうも私は納得がいかない。この点について大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  60. 安井謙

    安井国務大臣 いろいろこの点について御議論がおありであろうと思いますし、そういったお考えも、われわれも十分考えなきゃならないと思いますが、この交付税額を繰り越すということは法制上も可能な建前になっておる次第でございまして、そういったようなことと、今日の現在の地方財政の実情とをにらみ合わせまして、今回はこれを一応来年度へ繰り越したいと考えておるわけでございます。
  61. 阪上安太郎

    ○阪上委員 繰り越したいとおっしゃるけれども、そういうことは私はよくない、こう言っておるのですが、そういう点も考えられるということであるならば、一応これを考えてもらわなければならないのじゃないか。先走った話をいたしますが、われわれはどうもこの法案自体については納得できないのです。特に第二条などという措置をしようとするからこそ、こういった特例法を出さなければならないとい考え方もあるのです。あるいは三十五年度分に限りなどということをいわなければならぬと思うのです。この単位費用を上げることが必要であるならば、交付税法そのものをなぜ改正しないのですか。こういう点についてわれわれはどうも納得できないと思うのですよ。これは絶対的にこういうやり方をしなければならぬというふうに、かたい決意をされているのですか、伺っておきたい。
  62. 奧野誠亮

    奧野政府委員 阪上さんのお話を伺っておりますと、何か別な考え方を政府は秘めておってこういう法案を出しておるのじゃないだろうかという疑いを持っておられるように思われるのであります。私たちの言うことを一応率直に考えて判断をしていただきたいという希望を最初に申し上げておきたいと思います。もし特別な法律案を用意いたしませんと、自動的に大きな金額が特別交付税にそのまま流れていってしまうわけであります。特別交付税として配分するということになります。御指摘になりましたように地方財政平衡交付金制度のもとにおきましてはこういう事態は生じないのであります。いかに国税増収がありましょうとも、その大体は国庫のものでありまして、地方団体のものになってこないわけであります。地方交付金制度にいたしておりますから、総額計算としてはこういううまみが出て参る、こういうことが言えると思うのであります。また国は国の財政状況で国の予算に幾ばくの歳入を計上するかということをきめていくことになります。地方財政状況から考えて国の予算に計上する額をきめていくわけのものではございません。その場合に、個々の地方団体財政状況がどらであろうと、国の予算が組まれた時期々々に必ず地方団体に配分しなければならないのだ、これでは私は地方財政が困ってしまうのじゃないかと思う。かりに三月になって予算が組まれようと、三月中にどういう配分計画が立とうと立つまいと、とにかく配ってしまわなければならないのだということになると、地方財政は迷惑することになると思います。やはり国がいつ予算に計上するかという時期、その場合に、同時に地方団体にどのような計画でどのような時期に配分するかということも別個にあわせて十分慎重に検討した上で結論を出さなければならないのじゃないか、こう私たちは考えているわけであります。その場合に、私たちは、特別交付税を増額いたしまして従来のような方向でただ配ってしまうというとこだけよりも、もう少し将来にわたる地方財政状況を考えまして、どういうところに重点を置いて地方財政算定していくか、合理的な方法を慎重に考えていくべきじゃなかろうか、こういう気持を持っているのであります。同時に、ことし交付税でやってしまえばそれでよろしいのだということではなくて、将来にわたる個々の団体基準財政需要額を確保していかなければならないのじゃないか。その場合にも、合理的な配分計画のもとに個々の団体基準財政需要額を確保していかなければならないのじゃないか。こういう考え方を持っておるわけであります。また同時に、地方交付税法改正をすることも一つの考え方であります。もし地方交付税法改正をするということになりますならば、給与に関する部分について三十五年度相当単位費用を上げる、三十六年度以降はそれよりもより以上に上げる、こういうことになるだけだと思うのであります。私どもは、三十六年度以降の問題は単に給与関係経費を増額するだけでは困るではないか、こう思っておるわけでございまして、やはり地方行政水準をある程度引き上げていきたい。給与だけでなしに、ほかの単位費用も三十六年度以降にわたって引き上げなければならない。そういう考えに立ちますと、地方交付税法改正してしまいますよりは、三十五年度特例法を制定しておいて、同時に三十六年度以降におきましては、今年度から来年度に送ります百十七億円も来年度に増加する財源に加えて、単位費用をどういう部分についてどの程度引き上げていくかということをしさいに検討して結論を出したい、こういう考え方を持っておるわけであります。また先例を考えましても、先例も、大体において先ほど申し上げましたように大きな金額は送っておるわけであります。年度末に、無計画という言葉は悪いわけでございますが、ただ特別交付税で配分していくよりは、単位費用改定法律改正という格好で国会において十分に御審議いただいた上で結論を出した方が、将来にわたって安定した地方財源の保障になっていくのじゃないだろうか、私たちはこういうような考え方を持っておるわけであります。
  63. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今の単位費用の問題でありますけれども、この法案によると、必ずしも給与関係だけじゃないですね。他の一般行政関係も出ているのじゃないですか。出ていないですか。  そこで一つ伺っておきたいのは、交付団体分の給与関係の所要額が、特別職も入れて二百四十億、こういうことをおっしゃっているのですが、そうすると調整減額分の復活分の三十七億というのは、どこから引かれるのですか。
  64. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今度この法律が成立いたしますと、個々の団体につきまして交付税の再計算をするわけであります。その際に交付税の所要額は、自動的に増加いたしました額の六%は特別交付税に回るわけでございます。これが約二十一億円ございます。その次に今御指摘になりました調整減額されている部分、これを復活しなければならない、これは三十七億円ございます。合わせますと五十八億円、約六十億円になるわけでございます。しかし、団体によりましては相当地方税増収があるわけでございますので、そういう部分については基準財政収入額も再算定をする。そうしますと、交付団体基準財政収入額の増加いたしますものが七十億円ございます。従って大体今申し上げましたような数字と大同小異になって参るわけでございますので、二百四十億円あれば足りるのじゃないだろうか、こう思っておるわけであります。  なお基準財政収入額を再算定するということになりますと、またいろいろな税目について続くのじゃないかというような誤解を与えるといけませんので申し上げておきたいと思いますが、大臣からもお話がございましたように、二以上の道府県にまたがって事業を行なっておりまする法人に関する分だけでございまして、法人事業税法人税割でございます。これはさきに決定いたしました際には三月の決算分、これは実績でとらえて計算をいたしておるのでございます。しかし四月以降の決算分はまだわかっていなかったわけでございますので、昨年の四月以降の決算分をそのまま使って計算をしているわけでございます。いわゆる大法人税収入は、全部自治省が計算をいたしまして、各府県に配分をしているわけでございます。その際に四月以降の決算分はまだわかっておりませんので、前年の分をそのまま使ったわけであります。ところがその後相当増収になっておりますので、かりに前年の部分の四割増しになっていると仮定をいたしますと、交付団体で七十億円、法人事業税法人税割にかかる基準財政収入額が増加してくるということになるわけでございます。この部分は当然財源不足額がそれだけ縮まってくるということになって参るわけでございますので、先ほど申し上げましたような計算になるわけでございます。
  65. 阪上安太郎

    ○阪上委員 三百五十七億円を特別会計に入れられて、そしていろいろなものを充当いたしていきまして、百七十億円結局余るわけであります。それを翌年に繰り越していく。そうなると地方の所要経費が三百二十億ですか、そうして不交付団体分を除くと二百四十億円、こういうことになってくるわけであります。そうして先ほど言った調整減額分の復活三十七億というものを引いて参ると、実際問題として給与に充てられていく分はやはり二百億くらいになるのじゃないか、その点はどうなんですか。
  66. 奧野誠亮

    奧野政府委員 法人事業税法人税割のうちの大きな法人にかかわるものだけの基準財政収入額の再算定というと、七十億円ふえると申し上げたわけであります。従って交付税ベースで交付団体給与改定のための財源収入額二百四十億円から七十億円を引いた百七十億円でよくはないか、こういう議論が出てくるわけであります。しかしそういうことは一応別にいたしまして、地方財政計画上、交付団体給与だけでも二百四十億円要るのだから、その分だけはとにかく地方団体に渡すようにしたいというのが、この法案の考え方の根本になっているものでございます。
  67. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この場合不交付団体の分というのは全然もう見ませんか。
  68. 奧野誠亮

    奧野政府委員 不交付団体でありましても、今回の単位費用改定の結果、基準財政需要額がふえまして、交付団体に移ってくるものも相当あるだろうと思います。その場合には当然普通交付税交付されることになるわけでございます。
  69. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その総額はほぼ見当ついておりますか。
  70. 奧野誠亮

    奧野政府委員 これは一応計算を当たってみませんと、団体間の異動はわかって参らないと思います。ただ従来の交付団体、不交付団体別に給与財源の所要額をはじきました場合にこういう数字になるわけでございます。もとより不交付団体でありましてもいろいろな事情のあることだと思いますので、そういう事情は単にこういう再算定の結果不交付団体交付団体になるからそれでよろしいのだということでなしに、詳細に検討して、必要な措置は講じて参りたいという考えでおるわけでございます。
  71. 阪上安太郎

    ○阪上委員 先ほどの問題と関連して、奥野さんの御趣旨によるとああいう理論なんですが、そうするとこの場合、二百四十億円のうちから、あるいは二百億円のうちから特別交付税には全然繰り入れられませんか、加算されませんか。
  72. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三百五十七億円の六%に当たります二十一億円は、これは自動的に特別交付税に入ります。そのほか今おっしゃいましたような計算でも、十億内外のものは特別交付税に入っていく、こら考えておるわけです。
  73. 川村継義

    川村(継)委員 大臣にちょっとお聞きいたしますが、今奥野局長から百十七億繰り越す趣旨について財政運営の面からいろいろ御説明がありましたが、なるほど局長としての気持はわからぬでもありません。先ほど大臣は、こういうような処置は法制上もやれる建前だというようなお言葉がありましたが、もちろんそれはこういうような法的手続をとればそれはやれるかと思います。しかし何と申しましても本年度ちゃんと出される交付税を、こういうふうに分割して来年度財政運営を配慮するからといって繰り越すということは、どうもわれわれとしてはまだすっきりしないのですがね。これは私がさっき申し上げましたように、私は本質的に考えておるからなんです。大臣としてお考えいただきたいと思いますことは、百十七億をそのまま奥野さんの説明によれば特別交付税に持っていくということは、どうも不都合きわまるような話でありますが、その点はなぜこういうような措置をとらなければならぬのですか。そこのところをちょっとお聞かせいただきたい。
  74. 安井謙

    安井国務大臣 私も先ほどから申し上げておりますように、この繰り越しをすべきかすべきでないかの御議論は、当然これは御説の通りの御議論も立つと思うのであります。しかし、私ども交付税をほんとうに計画的により効率の高い配分をやっていきます上からは、今年度のこの分については繰り越しておいた方がより効果的であるというふうに判断をいたしまして、こういうような措置をとろうとしておるわけであります。
  75. 川村継義

    川村(継)委員 はっきりしないのですがね。これが千億も来年の交付税にプラスされるということになると、これは来年の運営上非常に大きな力があると私思うのですが、百十七億が少ないとは言いませんけれども、これを無理に繰り越して本年度使わせないように縛りつけるというようなやり方はどんなものだろうか。またかりにこれを特交あたりで配分しても、やはりあなたの方の財政指導によっては、何も地方団体が金をもらったからといってことし使ってしまうわけでもございませんから、やはりあたりまえにすなおに出してやった方がいいのじゃないか、私はまだこう考えてしようがないのです。特に、大臣はそのときまだ御就任なかったかと思うのですが、給与関係等の財源を見つけるのに、ただ交付税にたよってしまったということに、私はまた一つの無理が出てきているのじゃないかと思うのですね。せっかく自治省ができて予算要求の権限がうんと増したなら、交付税にたよることなく、必要な給与関係財源は別途大蔵省に差し出させるというふうなことを全然やっていないから、こういう無理が生じてくるのじゃないか、こういうことも考えるわけですが、そうなると、これは自治省ができても以前と同じじゃないですか。やはり給与関係財源については人事院勧告の趣旨によって実施するわけですから、別途財源措置をさせるというような強力な手が打たれて、大蔵省にそれをやらせるというようなことが必要だったのではないか。ただ交付税だけにたよってしまったので、こういう交付税の配分等についても無理をする。来年まで非常に心配をしてことしのやりくりをしなければならぬということになったのではないか、そういうことも考えるわけですが、これは当時まだおそらくそういう折衝のときには大臣就任でなかったかと思いますけれども、この点について大臣のお考えを一つお聞かせおき願いたい。
  76. 安井謙

    安井国務大臣 私の就任以前に、この給与改定があるという見通しがあるのに、別個に財源を見る方法を大蔵省と交渉していなかったのはどうだという御意見一つかと思いますが、これは私は、地方財源自身にも今度増収のある際でもありますし、それから地方交付税基準財政需要額に加算してこれを考えていくのが一番順当な方法じゃなかろうかと思っておる次第でございます。なお、繰り越しの百十七億に対しましては、たびたび申し上げますように、御意見のおありになる意味は私どももわからないことはございませんし、十分拝聴もいたす次第でございますが、実際問題としまして、計画的にこの地方交付税を有効に配分いたしますためには、来年度へ繰り越しておいた方がよかろう。と申しますのは、今も申し上げましたように、これでこの配分をやりまして、実際の計算をして地方へ配りますには、どうしても年度末にかかってくるわけでございます。そうしますと、実際問題としましては、配分されました交付税につきましても、地方給与ならこれは今から計算をいたして引き当てもついておりますが、その他の分については、いずれ積み立てて繰り越す以外に方法はなかろうかというふうにも考えられますし、またそれでありますならば、三十六年度に全般的に配分の基準を総合的に考えてやる財源に回した方がより効果的じゃなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  77. 川村継義

    川村(継)委員 奥野さんにちょっと聞きますけれども、いわばことしはこうして補正で、ある部分交付税を食った形になりますね。三十六年度、三十七年度地方財源からして、これが当然このまま残っておれば先に送られていく金額でありますが、それがことし使われたということになりますと、三十六年度、三十七年度地方財源の見通しや何かはどういうふうにお考えになっているか。
  78. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三十五年と三十六年とを比べます場合には、先ほど申し上げましたように、三十五年度相当自然増収があるわけでございます。一応来年度地方財政計画を立てます場合には、三十五年度の当初の地方財政計画から見て幾ばくの増加財源を必要とするか、こういう考え方に立って参りますので、ことしの自然増収額もこの計算の中には当然入ってくるわけでございます。そしてやはり三十六年度において地方団体財政運営が円滑に推移できるような計画にしなければならない、これは当然のことでございます。そういう計画にはするわけでございますが、その財源の中には相当のすでに三十五年度中に増収になった部分が入ってくるわけでございます。そういうことをあわせ考えますと、どうもことしよりも来年が窮屈じゃないだろうか、これは当然予想されるわけであります。そういうことからいいますと、やはり送る方が無難だ、こら考えたわけでございまして、三十七年度がどうなるだろうか、こういうことになって参りますと、今後の経済界の推移も判断して参らなければなりませんので、なかなか見通しは困難なことでございますが、一応政府としては九%の経済成長をここ三年ぐらい続けていけるだろう、こういう見通しを立て、そういう方向において努力して参るわけでございますので、大体同じような財政状況を維持していけるんじゃないだろうか、こういう期待を持っておるわけでございます。
  79. 川村継義

    川村(継)委員 もう一つ交付税についてお聞きしますが、交付税率をこのまま二八・五%に据え置いて大丈夫やっていけるという自信がありますか。
  80. 奧野誠亮

    奧野政府委員 来年度公共事業費の分量をどうしていくかというようなこともございますし、その他の諸政策によって地方団体の負担がどの程度増加していくかというようなことについて、まだ確定を見ていないわけでございますので、ただ一方的に地方交付税の税率が二八・五ないし二八・八%、これでよろしいのだ、いけないのだということでは考えたくない、こういう気持を持っているわけでございます。やはり地方団体全体として必要な財源は確保できるようにいろんな方法で考えていかなければならぬ、こういう気持で考えているわけでございます。
  81. 川村継義

    川村(継)委員 今の時点においては公式的な御返事しかいただけないと思うのですが、次にお尋ねいたしておきたいと思いますのは今度百十四億ですか、地方債の計画が追加修正されるようでございますが、そのうちで一番大きく追加を計画しているのは災害復旧関係、義務教育施設整備事業関係、こういうことになっているようでありますが、この災害事業関係について五十三億追加した問題、義務教育施設整備事業について五十六億追加した、その概略を一つ説明してもらいたい。
  82. 奧野誠亮

    奧野政府委員 義務教育関係につきましては、中学校の生徒が急増して参りますので、校舎の建築を繰り上げて施工したというようなことから、当初は三十六年度予算に計上されるものと考えられていたのが、今回の補正予算に四十億円追加計上されることになったわけであります。  義務教育関係の校舎整備につきましては、大体七割程度のものを補助事業でやっていこう、三割程度のものを単独事業でやっていこう、こういうような考え方に立っているわけであります。従いまして国庫補助金のふえた裏の地方負担、その八割程度、それから補助事業は七割に相当する分の追加で、従って三割の単独事業についての追加分もあるだろう、その八割程度のものは地方債で見よう、こういうようなことで、義務教育関係に五十六億円の地方債の追加計上を行なったわけでございます。  また災害関係につきましては、当初災害の規模は三百億円程度に考えて一応の財政措置をとっているわけであります。ところが今年度災害が当初予定しておりましたよりは——予定と申しますと穏当でございませんが、当初見込んでおりました額よりは若干多かったようでございます。その結果、国の負担金も増額計上されることになりましたし、それに対応する地方負担分についても財源措置として地方債を計上していきたい。また単独災害復旧事業分についても地方債を計上していきたい、こういうことになったわけでございます。現在のところ公共事業の査定見込み額が四百九十六億円、約五百億円、こういうことになっているわけでありまして、若干多くなって参っておるのであります。災害復旧事業についてはすでに御承知かと思いますが、五十三億を追加計上しているということでございます。
  83. 川村継義

    川村(継)委員 これで無理はありませんかね。義務教育関係の五十六億というのは、今度予算に出てきた公立中学校舎の整備費は四十億ばかり追加されておると思うのですが、私まだ文部省関係はよく聞いておりませんが、この四十億は本年から三十六年度にまたがる経費なのかどうか。それからそのうちで、またがるとなると三十五年度にどれくらいの計画をやっておるのか。それと今あなたが説明されたように、五十六億というものも、これは三十五年度でやるべき仕事に対するものであるかどうか、この辺のところ、もうちょっと説明して下さい。
  84. 奧野誠亮

    奧野政府委員 補助金なり地方債なりの資金の配分は本年度において行ないたい、こう考えておるわけでございます。しかしこれから手をつけることでございますので、どうしても本年底一ぱいには完成を見ないというところも相当数あるだろうと思います。従いまして、資金の繰り越し使用を当然認めなければならない、こういうことなって参るわけでございます。
  85. 川村継義

    川村(継)委員 こまかなことを聞くようですが、公立中学校校舎の整備の費用は初めには四十四億七千万円が計上してある。それについてあなたの方では起債を百四十五億の計画を立てておられる。今度追加になったのは四十億ある。それについて今度の起債追加は五十六億だ。こうなるとこれは非常に無理をするのじゃないか、こういう見方が一つ出てくるわけです。もちろん来年度、三十六年度地方債計画にさらに義務教育施設整備事業起債として見られると思いますけれども、その辺のところを一つ明らかにしておいていただきませんと、今度の中学校の生徒の増に伴って非常に今地方市町村は急いでいるわけです。しかもこれまでの、これはあなたの方に申し上げていいかどうかわかりませんが、文部省の問題じゃないかと思うのですが、坪当たり単価を押えるとか、あるいは廊下は認めないとか、いろいろな処置で地方市町村の負担が非常に大きいということはおそらく奥野さん御存じだろうと思います。そういうような問題やら、あるいはあなたの方でせっかく地方財政法改正等でPTAにそういうものを負担させてはならぬということをきめてもらったのだけれども、そういうことが実施されるのを見越して、もうすでに校舎建築等についてPTAは早く積立金をしておけ、今のうちに積み立てておかないと将来寄付ができなくなるぞというようなことでやらせられておる。父兄負担というのがまた大きくのし上がってきておる。こういうことを考えて参ると、やはり国がもう少し責任を持ってこういうようなことを考えていかなければ、いつまでたっても法律ばかり作ったって何ら中身は上がらないということになりはしませんか、そういう点から考えて、この地方債計画というものはあまりにも奥野さんの方では低く見積もられ過ぎているのじゃないか、こう思うのです
  86. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三十五年度の当初の地方債計画におきます義務教育施設整備事業地方債は百四十五億円でございます。この中には小学校の老朽校舎の改築の関係のものもございますし、あるいは統合中学の関係のものもございます。あるいは急増対策のものもあるわけでございます。今回の補正予算に伴います地方債資金の追加、これはもっぱら急増対策に関するものでございまして、五十六億円追加しておりますが、その算定基礎は当初計画と少しも変わっておりません。先ほど申し上げましたように、補助事業については全体の七割、単独事業については全体の三割分について考えられている、こう思っているわけでございます。それぞれ地方負担についての八割相当額を地方債で充足していきたい、こういうような考え方でございます。  なお国庫負担金の算定基礎が窮屈であるという点、私たちも同じような考え方を持っておるわけでございまして、関係当局に対しましては逐次引き上げてくれるように要望いたして参っているわけでございます。中学校に例をとって申しますと、国庫負担金の算定基礎は生徒一人当たり標準学校で一・〇八坪であります。しかしこれでは実際問題として非常に困りますので、地方債の面におきましては生徒一人当たり一・二六坪、地方債だけ先がけて基準を引き上げておる、こういう格好になっておるわけでございます。ぜひ国庫負担金も基準を引き上げていってくれるように、また木造と鉄も筋との比率も、鉄筋にもっともっとウェートを持っていってもらうというような希望を絶えず申して参っておるわけであります。御指摘のような方面については将来とも努力して参りたいと思っておるわけでございます。
  87. 川村継義

    川村(継)委員 先ほど私ちょっと聞き漏らしたかと思うのですが、今の地方負担については七十九億か八十億程度でございましたかね。
  88. 奧野誠亮

    奧野政府委員 おっしゃっておる地方負担は、まだ私何も申し上げておりませんので、他の数字かもわかりませんが、補助事業の四十億は二分の一補助でございます。事務費が一億円足らず含まれておるようでございます。それを控除いたしました額が、校舎建築についての補助金でありましょうし、同時に建築に要する地方負担分だ、こう言えると思います。その八割を目途に三十億程度地方債を増額していく、また四十億円足らずのものは七割についての部分であるから、三割の部分についても同じ比率で繰り上げ施行というものを考えていきたい。その中の八〇%くらいのものは地方債で充足できるようにしていきたい、こう考えておるわけでありまして、その額が二十六億円程度になるわけであります。合わせまして五十六億円の追加計上を行なったわけでございます。
  89. 川村継義

    川村(継)委員 ちょっと数字が足らぬようだな。これはもう時間もありませんし、また後日にしたいと思いますが、今度の追加に見られます災害復旧関係事業は、各省別といってもこれは建設省、農林省、運輸省がおもなのじゃないかと思うのですが、総額幾らでしたかね。各省別にわかっておったら一つ
  90. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今各省別の数字を持っておりませんので、後日答えさしていただきたいと思います。現在私たちが持っております現年補助災害補正予算に伴う地方負担分は三十八億程度ということになっております。
  91. 川村継義

    川村(継)委員 これは各省の災害関係追加の費用をきちっと積算されて、そうして起債対象となるものをきちっと整理をされて五十三億というのを作り上げられたのですか、あるいは大づかみのものですか。
  92. 奧野誠亮

    奧野政府委員 それぞれこまかい計算をいたしまして所要額をはじいておるわけでございます。災害復旧事業五十三億と荒っぽく申し上げておりますが、過年度補助災害復旧事業費二十三億円、過年度単独災害復旧事業費十億円、現年補助災害復旧事業費十億円、現年単独災害復旧事業費十億円、合計して五十三億円、こういうことになっておるわけであります。必要でありますならば、さらにそれぞれにつきましても申し上げてよろしいかと思いますが、とにかく現年補助災害だけとって申しますと、公共土木、文教等の関係地方負担額が三十億円、農林省関係のものが五億円、信連関係のものが三億円、合わせまして三十八億円になっております。
  93. 川村継義

    川村(継)委員 私、きょう法案説明をお聞きしまして、交付税の問題について概括的なことと、それから起債関係を一、二お聞きしたのでありますが、他の委員の御質問もありましょうし、また後日あらためて不明なところを聞きたいと思いますので、本日は私の質疑はこれで終わりたいと思います。
  94. 濱田幸雄

    濱田委員長 次会は明十六日午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十分散会