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滝井委員 できれば、これは人間が生きていくためのものですから、やはり
大臣が
——私は
日本の政治の一番底辺に当たる部分はここだと思うのです。これがどう動くかによって
日本の政治の方向は変わってくるのです。なぜならば、
保護基準が二割六分とか五割上がるということはどういうことになるかというと、これはPWに影響します。PWの影響は公共
事業の
予算全体に影響してきます。PWに対して日雇いの
賃金が、その八割ないし九割ですから、これに影響してくるのです。そうすると、これは同時に最低
賃金に影響してくるのです。だからこれは
日本の
予算編成の根底をゆるがす問題になってくるいわば土台ですよ。だからこれを二割六分上げるという理論的根拠をがっちりと確立しておかぬと、これはまた答申だ何だかんだとゆれておると話にならなくなるのです。だから古井厚生
大臣が政治生命をかけても、われわれの五割に対して二割六分ですから半分ですが、しかし半分でもあなたが今度要求をされておる、これをもしおとりになることができれば、
日本の政治の方向は少し変わってきますよ。これはそのくらい重要な要素があるのです。現在厚生省が食えるというのは、成年男子二十五才から六十才までは、三食合計六十円七十銭です。一ぺん
大臣これで一週間やってごらんになるといい、動けなくなりますよ。朝食が、米と外米と押し麦で十一円三十銭、みそ汁はジャガイモ五十グラム、みそ三十グラムで四円十七銭、つけものはたくあん四十グラムで一円八銭、合計十六円六十三銭です。一体
日本で十六円六十三銭で食わしてくれるところがどこにあるかということです。これは一ぺんおやりになってみるといい。あとで多分
五島さんが人間実験のことの
質問を明日かいつかやると思うのです。一ぺん厚生省の、私、
大臣と社会局長と言いたいのですが、一週間この献立でおやりになってみて下さい。私に言わしてみれば、やはりこのくらいのことを
大臣なり局長、一ぺんやってみる必要があるのです。そうしないと池田総理に迫る迫力がないですよ。一体十六円六十三銭で食えるかどうか。われわれは一回昼飯抜きだけでも腹が減ってとても
質問ができない。ところがこの人々はこれでやはり、金もうけの仕事はできませんが、いろいろ内輪の仕事はやらなければならないのですから、こういう点は、ナイチンゲール精神ではないけれども、あるいは昔の偉い人が自分の子供を実験台にしたというのじゃないけれども、この最低基準をきめるときには、やはり一ぺん厚生省の担当の役人の何人かがおやりになってみることが一番いい。その点、朝日裁判の裁判長は、私は現地に行って見て参りましたが、そういう点では大したものだと思いますよ。一応お互いにヒューマニティを持っておりますから、何だったら、あなたがおやりになるのなら、私も一緒にやってもいいですよ。一週間くらいこの献立でやってみて、一体われわれの体重がどの程度振るか、どういう貧血状態が現われてくるか、医学的な材料に私も
大臣と一緒になってもいいですよ。これは一ぺんおやりにならないと抽象論ではだめですよ。この二百三十世帯を調べて、これは大へんだと思ったんですよ。そこでこの二割六分をおやりになるならば、役人の机上論ではなくて、一ぺんみずからが実験台に立ってみて政治をやる、これが私はやはり昔からの孔子、孟子の教えだと思いますよ。やはり政治家はみずから実践をしてそれを国民に施していかねば、みずからがいやなものを国民に施していくことは政治ではないと思います。そういう意味で、何だったら私もその中に加えてもらってよろしゅうございます。社会局長、
大臣、私でけっこうですから、やってみたいと思います。これは私だけがやったって、
滝井のやつそんなことをやってもだめだと言うといけないから、あなた方が御
賛成ならば私と一緒におやりになって、そうして二割六分を要求すればこれは迫力が出てくる。この六十円七十銭で二割六分をやったって十七、八円くらいしかふえないのです。われわれが今食っているのは、一食百円でも議員食堂では大したものは食えないじゃないですか。それでもわかるんですよ。こういうものを健康で文化的な最低の生活だと国民に押しつけて平気でやっておるということは許されないと思います。所得倍増の時代ですから、下の方を四倍も五倍も上げようというのですから、ミンクのオーバーを着せてくれとまでは言いませんが、食うだけのものは何とかしてもらいたい、こういうことなんです。経済企画庁の出した生活白書をごらんになると、電気冷蔵庫ができ自動車ができたけれども、
日本の食生活というものは蛋白質が少ない、六%かそこいらしか食っていないのだから、もうヨーロッパ諸国に比べて明らかに低いということを指摘しております。それよりかなお低い、その三分の一の生活しか生活
保護世帯はできないのですから、この大事な
予算要求の時期に、この二割六分が通るか通らないかによって政治の方向がきまるだろうと思います。ほんとうに池田さんが社会保障をやるかやらないかはここです。だから十分に御研究になっていないようでありますから、もう少しここらあたりをお聞きになって、そうして何だったら一緒に実験台に立って
——これは三日でいいですよ。二日でもいいかもしれません。それで
一つお互いにやってみて要求をする方がいいと思いますが、
大臣はどうですか。この二割六分を政治生命をかけて御要求になれるかどうか。今大蔵省はどう言っておるかというと、去年の三十四年から三十五年に二・五%引き上げた、三十六
年度は五%引き上げたら倍じゃないか、そういうことを言っておる大蔵省の人がおるんです。これじゃいかぬと思うのです。だから、あなたの厚生行政が竜に眼を入れるか入れぬかということは、ここが一番です。年金の問題はそれに比べたら小さいです。どうですか、もう一ぺんあなたの最終的な御見解を聞かしていただきたいと思います。