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田中(彰)
委員 ちょっと
会計検査院長にお伺いしますが、ただいまあなたのおっしゃることを聞いていますと、
会計検査院は非常に独走的なものであって、何をあんたの方でされようと、だれも
監督する者はないのだ。不幸にしてあなたが司法権に触れるようなことがあれば、あなたを逮捕するとか、そういうことはできるとしても、ほかであんたを
監督することはできない。たとえば、あなたが今
会計検査院長として、ああいういろいろな
書類——あんたに言わせれば大したものでないとおっしゃるが、ああいう
書類をお出しになり、またあんたが
会計検査院長としてそういうような
調査権を持っておられることは、それは別にあんた個人の権力でやっているのじゃないのです。
国民が税金を納める。その
国民の税金をいろいろなところへ使う。その使ったものに対して不正があるとか、あるいはむだ使いがあるとか、あるいは不当に使っているとか、こういうことを調べて
国民に知らせる
義務を
国会は持っている。税金を徴収する
関係上……。それだから、
会計検査院というものを置いて、あんたの方はそれを
調査される。そしてここへ出されたのをわれわれがいろいろ調べる。だから、あんたのやっておられることは、
国民につながったことです。今あんたは、
裁判所に対していろいろなことができないとおっしゃるけれども、私はできると思う。たとえば今、
最高裁判所であっても、高等
裁判所であっても、一人の被告人を留置した場合、この留置が非常に長い。この留置はこんなに長くする必要がない、こう思っても、
裁判所が必要ありと認めればそれは何も干渉できないと、あんたならそうお
考えになるだろうが、
国民を留置するのは、
裁判所の経費でやっているのじゃない、
国民の税金の一部を使ってやっているのだから、
国民の大切な税金を不当な留置に使うことはできないのだ、そんなに長くかかりっこないじゃないか、一体どういう事件でやっているのだということになれば、秘密会なり何なりで、長くかかるというのはこういう事件でこういうことだということをここに来て弁明しなければならない。たとえば、あなたの
検査院の中にもこのごろちょいちょい不正が出ておりますが、そういうような不正も、あなたが、
会計検査院は
独立のものだ、おれの方の不正などはおれが
報告しないからいい、
国会から言われても何も出さぬでいいとなれば、
会計検査院は何をしてもいいということなのか。本来言えば、
決算委員長の席を
会計検査院の中に置いて、
決算委員長は、
会計検査院がどういう
調査をしているか、どういうやり方をしているか、どういう独走的なことをしているか、これを見て、それがいけなければ忠告をし、
国会へ持ってきて
批判をする。
裁判所でもそうでしょう。いろいろなものを見せないと言うけれども、
弾劾裁判所の問題になったら、いろいろな
書類を持ってきたり、
記録を持ってきたりして、
国会で弁明している。今あなたのおっしゃった
憲法上のことは私らこれから研究をやりますが、
国会に対してこの
書類を出すとか出さぬとかをあなたが勝手に
判断されるとするならば、もしここに重大な問題があったとして、あんたが
会計検査院の一部を抱き込んだら、そうしたらどんな不正を行なっても何しても、どこで調べられても、
会計検査院は
書類を出さないということになれば、調べられない。そうしたら、何をしてもいいということになる。
最高裁判所は、人に対して
最後の
決定をして
判断を下すから、衆
議院や参
議院の選挙のように激しいものではないけれども、
国民の審判を受けた人が
裁判所におって、
ほんとうに重大な
判決を言い渡す。あなたはそうじゃない。あんたはやはり上から一
行政官としてきている。あなたはそういう
権限はない。今あなたがそういうことをおっしゃることは、
憲法上の問題も調べなければならぬが、この世の中のことすべてがあなたの手に握られて、一
会計検査院の四人か五人の手に握られて、
国会も
批判できなければ何もすることができないということになる。こんな不合理なことはない。
会計検査院の中は調べていけないというが、もしあなたの方で不正があるとすれば、あなた方を呼んで、お前のところにこんな不正がある、これはどうした、あれはどうした、
書類を出せということで、あんたがやっぱりここで弁明をして、そうしてあんたの方に不正があれば、あなたの方の人たちを処分する。いやそうじゃない。私は
会計検査院長だ、私が
判断して、不正はありませんから
出頭しませんということが言えますか。それは
憲法上において、どういうような
法律の解釈をしておられるか
——それはここで
院長は言えない。われわれも調べなければならない。しかし、あんたが持っておられる思想は、現在の
日本の
会計検査院の
院長として不適当だ。実際不適当だ。こういうことでやられたら、何をやられるかわからぬ。何をしてもいいじゃないですか。もし
裁判官が不当なことをしておれば、われわれは
裁判官に対して、こういう不当なことがある、こういう留置をしておるが、これはおかしいじゃないか、そんなことでもって
国民の税金を使って被告人をつないでおくことはできない、これを弁明しろということなら、弁明しなければならない。
書類も持ってこなければならない。あなたの今の
考え方は、私は何のあれも受けないから、私の好きだ、
書類を
要求されて、出すも出さぬも私の好き、何も私の
権限でやる。それではあなたはどんな
権限を持っておるか。それならば、あなたにはだれも手をつけられない。今大きな官庁の不正があった、その
書類を見たい、
会計検査院にちょっと出してくれ、いやそれは出せないということになれば、われわれはどうすることもできない。あなたの中にあったって、できるのですよ。あなたの中に私が不正を握ったら、
決算委員会が行って
調査することができる。あなたはそれを拒まれますか。あなたの
考え方は私は違っておると思う。
委員長、やはり
憲法上のことを調べなければならぬ。私が
委員長になったときに、
会計検査院の中に
委員長の部屋を置くと言ったところが、建物が狭いから、いつでも呼ばれたときに行って弁明するから、部屋を置いてくれるな。本来なら
決算委員長の部屋というものは、
会計検査院の中にあるべきだ。そうして
決算委員会は、
国民のすべての血税に対する
決算をして、
国民に
報告する
義務がある。その
義務の一環として
会計検査院というものがある。あなたが調べたことを調べる
国会でもなければ、
決算委員会でもない。
決算委員会が調べて、
国民に
報告する。そのワクの中に必要だから、あなたというものを設ける。ただ、これは普通の
役所と違って非常に重要な
事項であるから、あまり
政治的に利用できないように一部
法律で保護してあるかもしれませんが、今あなたの言われるような独走的なものじゃない。それでは何も要らないじゃないか。全部あなたがやったらいい。どうですか。