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1960-12-20 第37回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十二月二十日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 木村 公平君 理事 田中 彰治君    理事 高橋 英吉君 理事 三和 精一君    理事 小川 豊明君 理事 山田 長司君       大沢 雄一君    仮谷 忠男君       薩摩 雄次君    正示啓次郎君       鈴木 正吾君    久保 三郎君       田中 武夫君    西宮  弘君       森本  靖君    古賀  了君  出席政府委員         大蔵政務次官  大久保武雄君         大蔵事務官         (主計局次長) 谷村  裕君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      末広 義一君         会計検査院長  山田 義見君         会計検査院事務         総局次長    上村 照昌君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月十六日  委員淺沼享子辞任につき、その補欠として西  宮弘君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員水谷長三郎君が死去された。 同月二十日  委員久保三郎辞任につき、その補欠として小  林ちづ君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小林ちづ君辞任につき、その補欠として久  保三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十三年度政府関係機関決算書  昭和三十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十三年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十三年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先だちまして、御報告いたします。  すでに御存じのことと存じますが、本委員会委員水谷長三郎君が去る十七日不幸病のため逝去せられました。委員会といたしましては、ここにつつしんで同君の御冥福を祈り、哀悼の意を表したいと存じます。      ————◇—————
  3. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、昭和三十三年度決算外三件を一括して議題とし、審査を進めます。前会に続き質疑を行ないます。質疑の通告があります。これを許します。小川豊明君。
  4. 小川豊明

    小川(豊)委員 前委員会山田長司君の質問に対する会計検査院長答弁は、私には全く納得がいかないのであります。どうして法の精神を生かすか、こういう意識と努力がなく、官僚特権意識をどうしたら擁護できるか、こういう思想に立った答弁としか私には考えられない。山田委員は、会計検査院検査報告外にも幾多の不正や不当事項があると思われるから、これらを当委員会調査する場合に、検査院においても検査した資料提出できるか、こういう質問に対して、あなたの方では原則としては出し得ない、こういう答弁をされたわけです。これはその後幾多のやりとりがあって、委員長の取り計らいでああいう結果になったが、私はその後帰ってから考えてみた。やはり原則としては出すべきである。出し得ない場合もあると思う。従って答弁としては、全く逆な考え院長答弁は立つわけであります。会計検査院長答弁に基づくなら、われわれは会計検査院から提出された報告書だけを審議すれば足りるということになってしまう。決算委員会機能を無視したにひとしい特権意識に立った答弁じゃないか、こう考えるわけです。そこで、私はどうしてそういう御答弁があなたの方からなされたか、こういうことを帰って調べてみたわけです。憲法の六十二条には「両議院は、各々國政に関する調査を行ひ、これに閲して、誰人の出頭及び證言竝びに記録提出要求することができる。」この一項は憲法の六十二条に規定されています。さらに国会法の百四条には「各議院又は各議院委員会から審査又は調査のため、内閣官公署その他に対し、必要な報告又は記録提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」こういう規定国会法の百四条にはされており、さらに衆議院規則五十六条に「委員会は、議長を経由して審査又は調査のため、内閣官公署その他に対し、必要な報告又は記録提出要求することができる。」こういうふうに規定してあるわけであります。これに対して、出す必要がないという規定はどこにもないわけです。あなたは出し得ない、こういう答弁をされておるわけですけれども、その答弁は、何に基づいてあなたはそういう答弁をなされたのか、この際、委員会機能の問題ですから、あらためてお尋ねいたします。
  5. 山田義見

    山田会計検査院長 官僚的特権による何とかとおっしゃいましたけれども、そういうつもりは全然ありませんし、どういう点からそう言われるのか、私は了解できないところであります。それはそれといたしまして、今お示しになりました憲法の条章、国会法規定議院規則等承知いたしております。いわゆる国会国政調査権と一括して言われる事項でございます。私が、検査院検査書類を全般にわたって出さなければならぬという山田委員の御要求に対しまして、困ると申しましたのは、私、その国政調査権正面から挑戦するわけではありませんが、国政調査権の中にもおのずから限度があると考えております。といいますのは、裁判とか検査、そういうものはいわゆる行政ではないのでありまして、いわゆる国政というものの中には、おそらく入らぬのではないか。すなわち、国政調査権というものの対象にはなじまないものではないか。明文は規定がございません。それから政府及び官公署とありまするが、政府はもちろん議会に対して政治的の責任を負っております。従いまして、政府及び政府の麾下にありまするところの諸官署、これは全部間接、直接に議会に対して政治責任を負っております。従いまして、議会の仰せに対しては、全面的にこれに応じなければならないと思います。しかし、憲法上の機関でありまするところの裁判所でありまするとか、いわゆる会計検査院でありまするとか、そういう役所は、議会に対して政治責任を負っておりません。従って、政府と同じような立場には私はないと思っております。裁判所裁判いたしましたいろいろの記録、それについて調べましたところの参考資料、そういうものは、もちろん議会はそれの提出を求める権限はないと私は思います。会計検査院報告書は、裁判資料ではございません。いわゆる三権分立の、その三権の一つにはなっておりません。しかし、憲法はこれを行政権とはっきり区別いたしまして、これは政府ではない、議会に対する責任を負うことを規定しておりません。と同時に、検査そのものが、いわゆる国政として議会調査に服するのにはなじまない性質のものであると考えます。もちろん議会において決算審査をなさるにつきまして、具体的の問題を出されまして、これに対して検査院はどういう考えを持つかといわれた場合におきましては、われわれはそれに対して意見を申しますし、またそれに対するわれわれの意見を示す証拠書類と申しますか、参考書類提出いたします。しかし、検査内容調査内容について一般的に書類を渡せといわれることは、今申しました通り議会に対して政治責任を負わない会計検査院独立憲法上の機関である会計検査院職責としては、私は適当でないと考えます。従いまして、原則として検査関係するところの内容書類、そういうものはお出しできない。ただ検査院役所としての書類、たとえば検査院としても行政機関でありまするからして、いろいろの行政をやっております。各省と同じ立場におきまして、議会監督と申しますか、人事につきましても、経理につきましても、受けます。これは憲法上の立場において、検査院がそういう会計行政検査をしております。そういう意味会計検査院仕事につきましては、あらゆる書類提出いたします。もちろん議会監督に服します。しかし、検査そのものは、これはわれわれが憲法によってやるという職責を受けておりますことでありまして、議会に対する責任を負う筋合いではありませんから、従いまして、検査内容というものにつきましては、議会要求がありましても、提出できないということを申し上げました。そうしたら、議会決算審議はむだになるではないかというお考えでありまするが、今までそういう立場でやりまして、そうして戦後十数年決算審議をしておられましたが、私、今までの議会決算委員会審議というものがむだであり、無効であったとは考えません。きわめて適切な審査をなさっておられる。そうしてこの審査は、今まで申しました会計検査院のそういう検査内容提出しないで行なわれております。まあ言葉は足らぬところがありますけれども、政府検査院とは違うということ、議会に対する立場に特殊なものがあるということだけは御了解願いたいと思います。私も、とっさの場合でありまするからして、純理論的に申しまして、あるいは意を尽くさぬところ、あるいは間違っているところがないとは限りません。しかし、そういう意味で私は申し上げました。
  6. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは非常に重大な問題で、今まで何ら国会審査することに対して支障はなかったという、その今までの実態の問題等ではなくて、これは根拠の問題なんです。そうすると、会計検査院は、この委員会会計検査院の出された報告書以外にもいろいろ調査をし、検討するべきものが出てきた、それに対して、会計検査院自体が手をつけているだろう、調査をしているだろうから、その書類等出せるかという山田君の質問に対して、あなたは出せないと言ったので、私は質問したわけですが、それに対してあなたの方は、会計検査院行政じゃない、従って、国会に対して何ら責任を負うところがない、ゆえにその書類は出す必要がない、こういうのが、要約すると、あなたの答弁なんです。それであなたはいいと思われますか。そうすると、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律ですが、この第一条に「各議院から、議案その他の審査又は国政に関する調査のため、証人として出頭又は書類提出を求められたときは、この法律に別段の定めのある場合を除いて、何人でも、これに応じなければならない。」というのがあるわけです。これは証人としての出頭の場合を規定したもので、これに対して委員長が発言するあれによって、特段の定めのある場合を除いては、何人もやらなければならない。これは証人として呼ばれたわけではない。会計検査院に対して、われわれが調査資料提出を求めた場合、それじゃ、あなたの方は出す義務はない、出す必要はない、こういう御答弁なんですが、そう解釈してよろしいですか。
  7. 山田義見

    山田会計検査院長 私は法理的にそうなると申し上げたのでありますが、証人として呼ばれた場合において、役人としてどこまでの証言をするか、どこまでの書類等提出するかということは、その具体的の場合におきまして、検査院として決定いたします。それからまた資料提出等につきましても、われわれが出していいと判断したものは出しますけれども、われわれが出すことのできないと思うものは——その判断会計検査院にあると私は考えております。そして、それは憲法なり国会法なりに規定してありますところの、行政機関に対する、政府に対するいろいろの調査権とは、正面から抵触していないものである。と申しますのは、先ほども申します通り裁判とか検査とかいうものは、国会調査にはなじまないものである。この点は、裁判に関してははっきりおわかりになると思う。裁判所のやった裁判の面容、それからいろいろな証人を呼んで証言をとって調査をしております。あそこにも調査官がおりまして、いろいろな調査をいたしておりますが、その書類を出せとはおっしゃらないと思います。しかし、われわれの方も、検査仕事の程度は違うけれども、本質的の違いはない。ただし、本質的の違いは、政府行政会計検査院検査の中にあって、会計検査院検査裁判所裁判の中には必ずしもない。これはもちろん私だけの考えでありまして、まだ学説もきまっておりませんし、御異論があろうかと思いますが、検査とはそういうものであると私は考えます。もし検査書類を全部出せ、検査院が不当にあらずと認めたようなもの、調査した書類を全部出せと言われますと、全部議会に出すことは、世間に全部さらすことになります。裁判とか検査というものは、私は公示すべきものではないと思います。公示しますと——議会の不信用とかいうような問題ではございません。これはおのずから検査が公正に行なわれない原因をなすおそれが私はあると考えます。また裁判記録等がすっかり公表されますと、公正な裁判ができない。そういうことがありますために、特別に憲法上の機関として裁判所なり検査院なりが存在してそして政府からも、何人からも何らの制肘を受けないという制度ができていると思います。これくらいの書類ならば出してもいいじゃないか——もちろん大部分のものは出せると思い  ます。だから私申しましたように、具体的にこういうものを出せとおっしゃれば、われわれがこれを判断して出します。しかし、こちらが無条件降伏みたいなことになって、出していいかどうかということの判断皆さんがなすって、われわれは何らの判断ができない、それは困る。出していい書類であるか出していけない書類であるかということは、われわれが判断するのだ。われわれは憲法上の機関としてそれだけの権限をまかされておると思います。ただ、じゃお前は会計検査院として議会に対して何の責任もないか。これは議会は国の最高機関でありますし、国民代表しておりますから、何らの責任がないということは言えないと思います。しかし、責任とは何ぞやということになりますと、これはいろいろな意味があります。法律的な意味もありますし、政治的な意味もある。政府議会に対して法律的にも責任がある。ことに政府独特の責任としては、いわゆる政治責任というものがあります。では、そういう政治責任があるかとおっしゃれば、会計検査院は全然議会に対して政治的責任を負いません。何らの制肘を受けることはないのであります。行政上の責任もありません。では、会計検査院は国に責任を負わないか、国民責任を負わないか、国民代表である議会責任を負わないかと申しますと、それは道義的な責任と申しますか、国の役人として、国家機関としてあります以上は、国民に対しまして、国家に対しまして、またその代表機関であるところの議会に対して、責任がないとは言えません。しかし、その責任とは何ぞやということになりますと、おのずから政府責任とは違う。行政庁の持っておる責任とは違う。政府は、原則として議会に対してあらゆるものをさらけ出して、その監督に服さなければならぬ義務があると思います。それが政府議会との関係であると思います。会計検査院議会との関係は、直接にはほんとうはないのであります。われわれは、こういうことを言うとなんでありますが、検査報告議会に出すことになっていないのです。われわれは政府に出す。政府決算審査をしてもらうために、決算書類議会に出す。そのときにわれわれのやったところの検査報告を添えて出すということになっておりまして、われわれの検査報告議会決算審査なさる場合の参考になるだけでありまして、審査対象にはなっていないのであります。裁判所判決その他と同じように、われわれの検査というものは、議会検査議会審議対象にはなり得ないものであると考えます。われわれは、議会に対して検査報告さえ出さない。それが法律の建前であるが、しかし、議会決算審査なさるにつきまして、これこれのものが必要である、検査院意見はどうだ、それは検査院議会がいろいろ調査なさるについて参考になる書類があるだろうから、それを出さないかとおっしゃれば、われわれが判断をいたしまして、なるほど検査院独立権限、これは非常に大事なことでありますが、検査院独立に害がないとわれわれが判断したものは、われわれは喜んで提出いたします。しかし、その判断はどこまでもわれわれがいたします。議会がこの書類を出すべきか出すべからざるかということを審査なさることは、私は行き過ぎだと思います。どこまでもわれわれが判断いたしまして、できるだけ皆さんの御意思に沿うようにいたします。これは私の私見であります。
  8. 高橋英吉

    高橋(英)委員 議事進行。ちょっと関連して……。これは大問題です。大へんな問題です。これはもう憲法上の大問題であるばかりでなく、日本政治最高の問題で、大へんな問題になると思います。いっときこの問題で日本が震憾するに違いない大へんな問題であります。     〔山田会計検査院長委員長速記   をやめて懇談して下さい。」と呼   ぶ〕     〔「国会に対して速記をやめろとは   何だ。」「ここをどこだと思ってい   るんだ。」と呼ぶ者あり〕     〔山田会計検査院長「お願いしてい   るのです。」と呼ぶ〕
  9. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっとお静かに願います。
  10. 高橋英吉

    高橋(英)委員 どうも院長特権意識があり過ぎる、そういうふうに私は思います。それは裁判所会計検査院と大へん性質が違いますが、一番独立機関であると称せられるところの、そういうことになっておる裁判所ですらも、いろいろな問題があります。弾劾裁判所があり、裁判官訴追委員会というふうな制度があります。これは特別の法律によってこういうものはできておるのですが、これはやはり国会仕事です。国政対象としての一つ制度ができておるわけであります。そればかりではない。それは、裁判当否については、むろんこれはそれぞれの法律があって、一審の裁判に対しては控訴すれば、第二審でその判断の適正であるかどうかということの正否判断するし、最高裁判所においても三たび審判するという制度ができておる。これは特別にできておるわけであります。しかし、その判決でも、なおかついろいろな問題があってそれが適正でないということになった場合においては、具体的な問題については国会はそれを批判し、審議し、審査する権限がある、権能がある。そのそれぞれの機関によって、第二審、第三審というものがあって、その判決当否というものに対しては、裁判所独立権限によってそういう制度があるのだから、その制度によって正否判断されるけれども、しかし、具体的な問題につきまして何か特別のそれ以外の問題が起これば、それは国会批判対象になるし、審議対象になって、そうしてそれぞれ必要な書類なり証言なりを提出して陳述しなければならぬ。それはもう当然のことであります。しかし、裁判所の特別の立場考えて、おるときにおいては裁判官弾劾裁判所とか訴追委員会というものによって処理される。しかし、それ以外のものについては、国政審議対象になることは明らかなんです。国会最高であって、万能ですよ。だから、今院長が言われたことはちょっと違うと思いますが、しかし、これはなかなか大問題です。今突然われわれにこの問題を提起されて、憲法上のそれぞれの根拠を引用したり、そのほかの諸法規についてわれわれが判断することはちょっとできかねます。われわれも専門家でありますけれども、ちょっとそういうこまかい議論はできません。ただ直感的に、今院長の言われたようなことは絶対的にあり得ない。それはもう国会万能であるから、どういうこともできるということをここで申し上げておく。ただし、それぞれまた規定があって、法律があって、あの書類は出さなくともよろしい、上司の許可を得なければ出さなくともよろしい、許可をしなければ出さなくともいいとかなんとか、いろいろな制限はあります。その法律によっていろいろな制限はある。そしてまた、それを出すか出さぬかということは、自主的な判断によって、それぞれの諸法規によって、出してもよかろうし、出さなければいけない場合もありましょうし、出さぬでもいい場合もあろうと思います。それはそれぞれあると思います。しかし、絶対的に独立機関であって、国政最高批判者である——審判者であるとまではいきませんが、批判者であり、審議対象にしなければならぬところの国会が、それにタッチできないということは絶対にないということを申し上げておきたいと思います。従って、証拠書類の問題のごときも、検査院の自主的な考えによって、判断によってのみ出したり出さなかったりするということは——これは法規の問題は別ですよ。法規はそれぞれありますが、それに基づいて判断されるのは特別ですけれども、独立機関であるという、そういう基本的な観念によって、そういうような自由は許されないと私は思いますから、これは研究しました上で、またいろいろわれわれの態度をはっきりさせたいと思います。  それからまた、従来も無事に済んでおるからというお話ですけれども、これは慣例として、御承知のような決算委員会性質から、あまり深くは追及しておりません。それはあなた方を信頼しておるのです。会計検査院の方々はほんとうに公正で、しかも、見識も高くて、間違いがないという前提のもとに、信頼感が厚いものですから、従来問題になっていなかった。しかし、ここに一つの問題が起こるとすれば、それはどこまでもやはり一応これを追及して、明らかにしなければいかぬという義務国会にあるとわれわれは思っております。だから、前例がない、そういうことがないからといって、そういうふうなお考え方はどうかと思います。この決算委員会は、御承知のような国会一のむずかしい人、田中彰治先生を初めとして、みんな役者がそろっているのですから、なかなか従来通りには参らぬということを一つ考え願いたいと思います。それだけは慎重に一つお願いいたしたいと思いますが、そういうような工合で、要するに国会は、最後裁決権とか決定権、そういうものはむろんそれぞれの法律によっての機関最後裁決権決定権を持っておるわけでありますから、最高立場といっても、何も裁決をくつがえしたり、最後裁決をするとか、そういう権限はありませんが、しかし、批判するところの権限はある、調査するところの権利批判するところの権利は、最高国会というものはあるわけですから、それに対してどういう機関が、その正しくなかった決定をくつがえすか、最高裁決をするかどうかということは、また別の法律がありましょう。ありましょうけれども、批判する自由は国会にあるということを私は申し上げておきたいと思います。そういう工合で、三権分立の根本的なものは、国会最後裁決者になったり、決定者になるということではないわけです。それは国会国会行政権を持っていないのですから、裁決権とか決定権は持っていないのですから、その点については、何もあなた方のやったことが悪いからこう直すというのではないのですが、審査し、批判をし、調査をするところの権限は持っているのですから、いわゆる広い意味における批判権というものは、国会は持っている。国会批判権なくして国会機能は発揮できないし、また憲法政治は正常に運営できないというふうな考え方を持っております。そういうふうな工合で、いろいろ私申し上げたいことはありますが、なかなか重大問題ですから、法律上の見解については軽々に申し上げることはできないと思います。(発言する者あり)この問題については、それはむろん君らいろいろ言う必要はあるだろうけれども、私どもといたしましては、これは、国会権限そのものに対する大へんな問題、これによって日本政治の動向がきまるという重大問題だと私は思いますから、慎重にこれは考慮さしてもらって、次の機会にいろいろわれわれの意見を申し述べさしていただきたいと思います。
  11. 木村公平

    木村(公)委員 ただいま高橋理事からもいろいろ御高説が出たのでありますが、はからずも本日院長が、不用意かどうかは存じませんが、なさった発言は、院長固有のイデオロギーではないかとも考えられるのでございますが、これは国会国政審議権の根本を否定すると申しますか、ゆすぶる大問題であって、このような思想を持って国会に御出席になって、そうして、われわれの調査権にいわば妨害を与える——という言葉は強過ぎるかもしれませんが、スムーズな調査ができにくい。従って、一番根本の問題は、こういう考え方のもとにおいては調査ができないということでありますから、まず、国会調査権というもの、国会審議権というもの、国権の最高機関である国会というものに対して、会計検査院長であるあなたは、どのような考え方であるかという、根本の考え方を固めてもらって出直さないと、このような考えのもとでは、われわれは審議ができないはずです。そこでまず、本日は質疑をやめて、このまま休憩していただいて、この問題に最後の結論を出して、国権の最高機関であるところの国会をお認めになれば、われわれの質疑を続けることもできるし、調査審議もこれから続行できるでしょうけれども、このような考え方資料一つ提出願うのも、一々あなたの判断によって、出すか出さないかおれの自由だというようなことでは、今後われわれがどんなに質疑を行なおうとしても、その壁に当たって、おそらく調査権というものは円満な遂行ができないのではないか、審議というものは円満に遂行ができないのじゃないかと想像されますので、委員長におかれては、この重大なことを御認識あって、まず会計検査院長考え方の一番もとをもう少しはっきりさせるまで質疑はやめていただいて、このまま休憩の状態においてでもよろしいから、この問題をまず解決いたしたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  12. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちょっと会計検査院長にお伺いしますが、ただいまあなたのおっしゃることを聞いていますと、会計検査院は非常に独走的なものであって、何をあんたの方でされようと、だれも監督する者はないのだ。不幸にしてあなたが司法権に触れるようなことがあれば、あなたを逮捕するとか、そういうことはできるとしても、ほかであんたを監督することはできない。たとえば、あなたが今会計検査院長として、ああいういろいろな書類——あんたに言わせれば大したものでないとおっしゃるが、ああいう書類をお出しになり、またあんたが会計検査院長としてそういうような調査権を持っておられることは、それは別にあんた個人の権力でやっているのじゃないのです。国民が税金を納める。その国民の税金をいろいろなところへ使う。その使ったものに対して不正があるとか、あるいはむだ使いがあるとか、あるいは不当に使っているとか、こういうことを調べて国民に知らせる義務国会は持っている。税金を徴収する関係上……。それだから、会計検査院というものを置いて、あんたの方はそれを調査される。そしてここへ出されたのをわれわれがいろいろ調べる。だから、あんたのやっておられることは、国民につながったことです。今あんたは、裁判所に対していろいろなことができないとおっしゃるけれども、私はできると思う。たとえば今、最高裁判所であっても、高等裁判所であっても、一人の被告人を留置した場合、この留置が非常に長い。この留置はこんなに長くする必要がない、こう思っても、裁判所が必要ありと認めればそれは何も干渉できないと、あんたならそうお考えになるだろうが、国民を留置するのは、裁判所の経費でやっているのじゃない、国民の税金の一部を使ってやっているのだから、国民の大切な税金を不当な留置に使うことはできないのだ、そんなに長くかかりっこないじゃないか、一体どういう事件でやっているのだということになれば、秘密会なり何なりで、長くかかるというのはこういう事件でこういうことだということをここに来て弁明しなければならない。たとえば、あなたの検査院の中にもこのごろちょいちょい不正が出ておりますが、そういうような不正も、あなたが、会計検査院独立のものだ、おれの方の不正などはおれが報告しないからいい、国会から言われても何も出さぬでいいとなれば、会計検査院は何をしてもいいということなのか。本来言えば、決算委員長の席を会計検査院の中に置いて、決算委員長は、会計検査院がどういう調査をしているか、どういうやり方をしているか、どういう独走的なことをしているか、これを見て、それがいけなければ忠告をし、国会へ持ってきて批判をする。裁判所でもそうでしょう。いろいろなものを見せないと言うけれども、弾劾裁判所の問題になったら、いろいろな書類を持ってきたり、記録を持ってきたりして、国会で弁明している。今あなたのおっしゃった憲法上のことは私らこれから研究をやりますが、国会に対してこの書類を出すとか出さぬとかをあなたが勝手に判断されるとするならば、もしここに重大な問題があったとして、あんたが会計検査院の一部を抱き込んだら、そうしたらどんな不正を行なっても何しても、どこで調べられても、会計検査院書類を出さないということになれば、調べられない。そうしたら、何をしてもいいということになる。最高裁判所は、人に対して最後決定をして判断を下すから、衆議院や参議院の選挙のように激しいものではないけれども、国民の審判を受けた人が裁判所におって、ほんとうに重大な判決を言い渡す。あなたはそうじゃない。あんたはやはり上から一行政官としてきている。あなたはそういう権限はない。今あなたがそういうことをおっしゃることは、憲法上の問題も調べなければならぬが、この世の中のことすべてがあなたの手に握られて、一会計検査院の四人か五人の手に握られて、国会批判できなければ何もすることができないということになる。こんな不合理なことはない。会計検査院の中は調べていけないというが、もしあなたの方で不正があるとすれば、あなた方を呼んで、お前のところにこんな不正がある、これはどうした、あれはどうした、書類を出せということで、あんたがやっぱりここで弁明をして、そうしてあんたの方に不正があれば、あなたの方の人たちを処分する。いやそうじゃない。私は会計検査院長だ、私が判断して、不正はありませんから出頭しませんということが言えますか。それは憲法上において、どういうような法律の解釈をしておられるか——それはここで院長は言えない。われわれも調べなければならない。しかし、あんたが持っておられる思想は、現在の日本会計検査院院長として不適当だ。実際不適当だ。こういうことでやられたら、何をやられるかわからぬ。何をしてもいいじゃないですか。もし裁判官が不当なことをしておれば、われわれは裁判官に対して、こういう不当なことがある、こういう留置をしておるが、これはおかしいじゃないか、そんなことでもって国民の税金を使って被告人をつないでおくことはできない、これを弁明しろということなら、弁明しなければならない。書類も持ってこなければならない。あなたの今の考え方は、私は何のあれも受けないから、私の好きだ、書類要求されて、出すも出さぬも私の好き、何も私の権限でやる。それではあなたはどんな権限を持っておるか。それならば、あなたにはだれも手をつけられない。今大きな官庁の不正があった、その書類を見たい、会計検査院にちょっと出してくれ、いやそれは出せないということになれば、われわれはどうすることもできない。あなたの中にあったって、できるのですよ。あなたの中に私が不正を握ったら、決算委員会が行って調査することができる。あなたはそれを拒まれますか。あなたの考え方は私は違っておると思う。委員長、やはり憲法上のことを調べなければならぬ。私が委員長になったときに、会計検査院の中に委員長の部屋を置くと言ったところが、建物が狭いから、いつでも呼ばれたときに行って弁明するから、部屋を置いてくれるな。本来なら決算委員長の部屋というものは、会計検査院の中にあるべきだ。そうして決算委員会は、国民のすべての血税に対する決算をして、国民報告する義務がある。その義務の一環として会計検査院というものがある。あなたが調べたことを調べる国会でもなければ、決算委員会でもない。決算委員会が調べて、国民報告する。そのワクの中に必要だから、あなたというものを設ける。ただ、これは普通の役所と違って非常に重要な事項であるから、あまり政治的に利用できないように一部法律で保護してあるかもしれませんが、今あなたの言われるような独走的なものじゃない。それでは何も要らないじゃないか。全部あなたがやったらいい。どうですか。
  13. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 お諮りしますが、どうでしょう、委員だけここに残っていただいて、あとの人は退場してもらって、しばらく御相談を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それでは暫時休憩いたします。     午前十一時二十三分休憩      ————◇—————     午前十一時四十一分開議
  15. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいまの山田会計検査院長の発言はきわめて重大なものであって、国家組織の根本にも関係するものと考えますので、委員会としては本問題について慎重に検討する必要がありますので、本日はこの問題についての質疑はこの程度にとどめておきます。      ————◇—————
  16. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 この際、閉会中審査の件についてお諮りをいたします。  会期も切迫いたしましたので、閉会中の審査の必要が生じました場合は、この申し出を委員長において取り計らうことに御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日はこの程度で散会いたします。     午前十一時四十三分散会