○平林剛君 私は
日本社会党を代表いたしまして、
池田総理大臣の施政方針
演説、特に
経済政策に焦点をしぼり、若干の
質問をいたしたいと予定をいたしておりましたが、まず冒頭に、昨日参議院本
会議における周東国家公安委員長の不穏当な発言に対し、これを糾弾せざるを得ないのであります。(
拍手)
周東国家公安委員長は、北條島八議員が、
社会党党首
淺沼委員長に加えられた憎むべき
テロに関連して、
右翼の取り締まりを
徹底的に行なうよう
政府に要望したのに対し、「
右翼暴力の対象となるおそれのある人々に対しても身辺の警戒を強化いたします。ことに、それは御当人がお断わりになれば別のことでありますが、総評その他の方々は大体お望みでありますようでありまして、これらに対しても警戒をやります。」と
答弁されたのであります。第一に、「それは御当人がお断わりになれば別のことで」との発言は、
右翼による
計画的な刺殺
行為と襲撃が心配をされ察知された場合でも、当人が断われば身辺の警戒をしないかの
印象を
国民に与え、人の生命の保護に任ずる国家公安委員長としては、その信頼をみずから傷つける不適当な
言葉だと思うのであります。
民主政治に対する公然の敵として
国民全般がその絶滅を期そうとの怒りに燃えているとき、治安閣僚の
言葉としてまことに不謹慎の至りと言うべきではありませんか。第二に、「総評その他の方々は大体お望みでありますようでありまして、これらに対しても警戒をやります。」とは、その発言の裏に、総評に対する敵視、これを特別扱いにしてひやかし的な態度がうかがわれまして、
国民全般に中立的
立場を守るべき職責から見て、まことに不用意な許すべからざる暴言と思うのであります。(
拍手)
昨日わが党栗山議員が、日比谷公会堂における三
党首立会演説会において、野党第一党の党首が刺殺されるという一大不祥事、この悲痛なる事実に対して警備の責任を追及したときも、警備には重大な手落ちがあったとは思われないと答えましたが、これまた重大な発言であります。
右翼の
暴力と自民党との
関係について、具体的事実をあげてその背後
関係をただしたのに対し、目下警察当局がこれを調査中の段階において、その
関係はないと独断するごときは、はなはだ公正を欠き、その
答弁はしばしば常識を欠くのではないかと思われるのであります。私は周東国家公安委員長の不穏当な発言に対し、ここに厳重な抗議を行なうとともに、その釈明を要求いたしたいと思います。
また
総理に対しても一言したい。
総理は施政方針
演説の冒頭において、私は私心を去り、ひたすら謙恭と誠実を旨として与えられた職務を全うしたいと述べられたのであります。
池田内閣の閣僚として、この
総理の決意を無視し、これと反する態度をとられた周東
国務大臣の発言に対し、どういう御見解をお持ちでありますか。
総理の謙恭と誠実の
言葉が、岸前
総理と同じように、空虚な、から念仏と
言葉だけの
政治と理解させないためにも、一言御釈明をいただきたいと思うのであります。私は、この臨時
国会に臨んだ
池田内閣の閣僚が、野党の
質問に対する挑戦的な態度と、
政府答弁に名をかりて不必要な野党攻撃に出られる傾向をまことに遺憾に存じます。総選挙を前にして、初めて
大臣におなりになった議員が、
政府答弁において、わが党はと党派意識を過剰にしたり、うれしがって聞かないことまでも長々としゃべるのは、まだあいきょうがあります。同じ野党攻撃でも、石田
労働大臣のように、「数字の正確を期する
池田内閣の閣僚として」と前提し、批判を加えられましたのは、まだ巧まざるユーモアを感じます。しかし周東
大臣のような発言は閣僚としても落第生であり許すべからざる態度でありまして、私はその反省と釈明を求め、かつ警告を発しまして、次の
質問に移りたいと思うのであります。
池田内閣の
経済政策が、インフレなき高度の
経済成長を持続し、今後十年以内に
国民所得を二倍にするという拡大積極政策にあることは、今日までの
演説と質疑応答の中で明らかとなりました。
総理が熱烈な信仰に近い口調で、擬装された繁栄と福祉を説かれる態度を拝見いたしますと、まさに、売りものは「低姿勢」どころか、資本主義政党の新しいチャンピオンとして、驚くべき高姿勢と受け取れるのであります。
〔議長退席、副議長着席〕
しかし私は
池田総理に率直に申し上げておきたいと思うのであります。施策の表看板だけをいかに巧妙なべールに隠して十年後の夢を説こうとも、長い間保守党の金権
政治に大きな怒りと不信を抱いて苦悩した
国民は、財界の強力な支援で自民党総裁のいすを確保したとうわさされる
池田総理の
言葉一を、そのまますなおに信頼し期待を寄せるものでないということであります。
政府の
経済政策における欠陥と矛盾について
お尋ねする前に、私はまず
総理に
政治家としての責任について確かめたいと存じます。
政府の
経済政策の基礎が、歴史的な発展を遂げた
日本経済の実力を
自覚する
ところから始まり、
経済の成長率を高めてゆけば、雇用の拡大、所得の格差も解消するという成長理論にあることは周知の
ところでありますが、その
経済成長率に対する
政府の見通しほど、この一、二年具体的政策の裏づけもなく変化したものはありません。初め自民党の新長期
経済計画は、その成長率を六・五%と策定し、
経済審議会における成長率は年平均七・二%と決定しておりました。しかる
ところ総選挙を控えて、
池田総理は急遽これを向こう三カ年九%を持続させると修正を加えられたのであります。
池田総理の
経済成長率に対する見通しがどの程度の現実性を持っているか、合理性を持っているか、この場合しばらく触れないことにいたします。
経済の成長率が高いということがすぐれた
経済だと錯覚を起こしている着を除いて、
国民の多くはそれに深い関心を寄せないからであります。しかし、多くの
経済学者、専門家が結論づけた成長の見通しを、持ち前の強引さと見られる自信をもって高率成長に置きかえられた結果、
総理の負うべき責任もまた倍増したことは間違いがないと思うのであります。
池田総理は、
昭和三十一年秋、石橋
内閣の成立に際し、当時の大蔵
大臣として積極拡大政策を提唱し、その口を閉じないとき、思惑輸入の増大から
国際収支の悪化を招き、急激な引き締め政策によって多くの産業と
国民を塗炭の苦しみに陥れ、いわば
経済政策失敗の前科ある責任者であります。
池田総理の過信に近い高度成長の中で、そのわずかな見通しの誤りによりましても悲劇的な影響を受ける
国民生活を思うとき、
総理は、再び拡大積極政策に失敗した場合、一体どういう責任をおとりになるか、
国民の知りたい
ところであります。過日、首相官邸において、
総理は、記者団の
質問に対し、あのころはスエズ動乱があり、六、七億ドルの思惑輸入もあって、外貨が減ったけれど、私は心配はしてない、そのうち輸出は伸びると言ったが、その
通りではなかったかと答えられておりました。たとえ一時的にせよ、
国民経済を混乱に陥れ、その混乱の結果、多数の犠牲を生じた事実に目をそらした首相の弁明は、まさに冷酷非情というべきで、責任回避もはなはだしいと思うのであります、明確な御所信を示されたいのであります。
池田内閣の偽装は、将来におけるインフレの懸念と、
所得倍増より一足先に倍加する物価の上昇においても、うかがうことができるのであります。
総理は、向こう三カ年、九%の高度成長を目ざしても、
日本経済の総供給力は今の総需要より大きいので、インフレの心配はないと述べておるのであります。これは、はたして信用することができるでありましょうか。同じ
政府の発表した
経済白書によりますと、これからの
経済成長の鈍化を予想し、押し寄せる
自由化のあらしは、通産省試案として新聞に報ぜられた、三十八年度の
国際収支の赤字六十億ドル、生産二〇%減、百三十七万人の失業という、
日本経済に与える影響の調査結果の数字はともかくとして
相当の困難が増大することは否定することができません。そこで、数字では魔術師と呼ばれる
池田総理が、みずからの政権を
維持するために、無理をしても九%の成長率を
維持するのではないか。すべてを九%の数字に動員し、
国民経済全般を九%に奉仕させる官僚
政治家の危険を多くの
経済学者が説いていることは注目すべき問題であります。そしてこの危険の存在する可能性は、すでに
池田内閣が初め
社会保障を最も優先させるかの構想を示しながら、いつの間にか公共投資を最優先にすりかえた事実が、最も雄弁に立証しておるのであります。(
拍手)アメリカ
経済における景気後退、
自由化の影響などを考慮に入場れますと、
政府は、今後
相当思い切った
設備投資と公共事業の拡大が必要となりまして、どうしてもますます積極的な公共投資にたよることとなり、近い将来、財源の不足を補うための赤字公債発行を避けることができないのではあるまいか。新政策においても公社債市場の育成がうたわれております。その準備体制を進めておるともとれるのであります。
池田内閣の
経済閣僚の中には、
日本経済は今や公債を発行してもびくともしない実力を備えていると、強気にして楽観的な公債発行論もありますが、
政府の
経済見通しの破綻からくる公債発行政策こそ、
国民のおそれるインフレヘの懸念というべきであります。私はこの点の御見解を承りたいのであります。
また、
国民生活に直接影響を与える物価は、
所得倍増のかけ声がかかっただけで早くも値上がりを示しつつあり、十年あとの話よりも今日の物価
対策を示せという
国民の怒りとなっているのであります。念のため、今年に入ってから値上がりしたおもなものを拾いますと、元旦早々からガス料金平均一一・五%
値上げ、二月には通運料金が七%、四月には大学授業料、地下鉄運賃が二十円から二十五円に、五月はマッチ、徳用箱で五円、六月は牛乳が一円、国鉄の旅客運賃が近距離で五%、七月はふろ代が一円、八月に入ると、食。ハン、しょうゆ二リットルで十円、みそ、キロ当たり五円、うどん、そば類五円、野菜は全国平均で昨年の三割五分、豚肉四割、牛肉二割、さらにクリーニング、理髪、パーマ料金、これから値上がりを予想されるものとしては、国鉄、私鉄のほか、電気代、郵便料金、水道代と続くのであります。もとより、これら
消費者物価の上昇する
原因は、戦時、戦後の統制やインフレによってゆがめられた物価構造を是正する
意味を持つものや、最近の著しい
経済の発展に伴って、
一般の賃金、所得水準の上昇と、施設の拡大のために引き上げられたものと、
原因は必ずしも一律ではありません。しかし、大勢としては、じり高であることは間違いありません。
総理は昨日も、
わが国の物価が世界で一番安定していることを誇りました。
しかし、卸売
価格が海外諸国に比較して大幅に変動しない
理由は、過当競争や在庫の重複部分が先進国より多いことでありまして、あまり自慢できるものではないのであります。
池田総理のように数字で物事を判断する
政治家には、庶民の
生活実情を把握することは困難でありましょうが、
消費者価格の上昇傾向が、主として家賃、地代などの住居費、
教育費、交通費、修養娯楽費などの雑費に高いことは、
政府が物価
対策に対し、もっと強い関心を寄せる必要を示唆していると思うのであります。
一体、
政府は、十年後の
所得倍増を唱えますが、そのときの物価はどの程度の上昇と見積っておられるのでありますか。現実の家計に及ぼした物価の影響をどう把握しておられるのでありますか、現実に迫る国鉄、私鉄などの公共料金の引き上げ要望に対して、どういう態度をとられるか、私は、きめのこまかい、まじめな
答弁を願いたいと存じます。
消費者価格が多少上がっても、賃金がそれ以上に上昇をすればいいではないかというような
答弁は、
国民所得や賃金が一律に上昇するものでないことを無視し、また、繁栄の中の貧困と呼ばれる暗い谷間で
生活苦に泣く
国民が多数あることを知らない者の
言葉というべきであります。
政府の
経済政策における最大の欠陥は、
経済の成長さえ高めていけば雇用は拡大されて所得の格差は解消するという成長理論にも隠されていると思うのであります。
池田内閣の施策は、表看板だけを見ますと、その性格は巧妙なべールに隠されておりますが、これを一皮むけば、貧乏人は麦を食え、
中小企業の一つや二つ、つぶれても仕方がないという、
根本的思想が消えていないのではないか。たとえば、新政策における、
中小企業の近代化によってこれを育成するという
言葉も、近代化という
言葉の
意味は、現体制のもとでは激烈な
企業競争となり、この技術革新の競争に敗れた者は、現実の
政治において一顧だに与えられておらないのであります。過去における保守政権の実績が示すように、神武景気という
経済成長と拡大のもとにおきましても、大資本、大
企業の強大化と比較して所得の格差、産業間の格差、都市と農村の不均衡はますます激しくなり、
日本経済の内部矛盾がかえって拡大したことは、
国民の悲しむべき体験であります。
政府は、最近の好況を反映して雇用の
増加したことを、鬼の首でも取ったように宣伝をいたしております。しかし、その
増加した内容は、臨時工や日雇いの
増加率の高さであることを、
経済白書においても鉱工業における常用工六・一%増に対し、臨時工は三八・五%
増加となると告白しているのであります。花形産業の電気機器の部門でさえ、全従業員の二二・六%が臨時工であるように、一たび景気が後退すれば、直ちに首切りの対象となり、再び町にほうり出される運命に置かれているのであります。賃金水準についても、
政府は、最近
中小企業の上昇率が大きく、賃金格差が解消しつつあると言われましたが、なるほど名目賃金は若干是正されたというものの、それは賞与などの特別給与、超過勤務手当の
増加によるものでありまして、
労働者には
労働強化と時間延長が押しつけられたにすぎないのであります。そういう中で、資本家は、
経済白書で報告されたように「全産業の
企業収益は、三十四年度上期において前期の三七%を
増加し、下期はさらにそれを三三%上回っている」のでありまして、生産や
生産性向上の急上昇と比較して、スズメの涙にしか当たらなかったのであります。このようにながめますと、
池田内閣の構想は、広範な大衆と低所得層に対して成長の果実を潤おすものではなくて、高度成長の名においてその
生活が踏み台とされ、独占資本の発展に貢献するものであることは明らかであると思うのであります。
池田総理が雇用の拡大と低所得層の格差解消を本気で進めるならば、まず
労働時間の短縮は不可欠の条件であり、現行の臨時雇いの制度を是正するよう
指導し、
労働市場の安定性強化と不均衡是正をはかるべきであります。
社会保障の
拡充強化とともに、全国一律の最低賃金制を実施し、家内
労働法を制定し、
中小企業に対しては、特に零細
企業経営の安定と発展に重点を置いて、積極的な体質改善をはかるべきであります。現実
政治における
国民の不安と危険に対し、
政府は公約の羅列と口約束だけでなく、具体的な予算の裏づけと、金融、税制、財政投融資における
対策とをお示しいただきたい。また、明年度における財政投融資
計画は、
生活環境改善と
社会福祉のための投資を大幅にふやすべきではないか。財政投融資資金の六割を占める資金運用部資金の運営を民主化するために、金融機関の代表や各省次官という官僚で占めている審議会委員の構成を至急改めてもらいたい。それらについて
政府の具体的見解はどうか。
次に注目すべき問題は、
農業と他産業との所得均衡を目ざして、それを実現するため、
農業の近代化と経営の
企業化を進める
政府の
農業政策であります。
池田総理は、地方遊説において「今後十年間に
農業人口を現在の四割に削減する」と発言し、大きな不安と反響を農村に巻き起こしたばかりか、自民党内にも衝撃を与えました。
総理馬脚を現わすとはこのことであります。首相の論拠は、高い
経済成長が続けば、毎年
相当の
労働力を農村に求めねばならず、十年間に六割ぐらい減るだろうという、まことに荒っぽい計算をいたしておりましたが、遺憾ながら
日本の
農業は、そのような初等数学的論法で解決できないものを持っていると思うのであります。私は、
産業構造の改革そのものを
一般的に
反対するものではありません。問題は、ではそのためにどういう
対策が用意されているかということであります。そして、
日本農業における経営の立ちおくれと他産業との所得格差増大は、今日までの保守党の政策によってもたらされたものではないかと言いたいのであります。
この反省に立って、次の質疑に答えてもらいたい。
池田総理は、十年後の
日本農業における
人口を六百万と測定いたしておりますが、そのときの農家戸数は幾らと見ているか。
農業人口が四割に減るとして、その場合に、
農業に残った者の所得は十年後にどうなるのか。
労働力を農村から移動させるといいましても、工業地帯は限定されております。南九州、山陰、東北など県民所得の低い地方の不均衡は拡大されるばかりではないか。
これら地域に残る零細農家に対して、
政府はどういう
対策を用意されているか。
かりに離農する場合においても、都市における雇用条件は、臨時工や最低賃金制さえ確立できていない劣悪さにあるのではないか。
これらに満足な回答のない限り、私は、それは
池田内閣の貧農切り捨てであり、二軍構造の解消もあり得ないと思うのであります。(
拍手)
最後に私は、
国民の注目する減税問題について、
池田内閣の政策を批判しつつ、
総理、大蔵
大臣の御見解を承りたいと存じます。
政府お得意の
演説は、「保守党は連年減税を断行して
経済の実力を養い」、「今回は租税体系を合理化と、一千億以上の減税を実施する」と約束する
ところにあります。しかしながら、国税だけで本年度千五百億円、明年度は三千億円をこえる自然増収を見込みながら、明年一月から実施される減税額がわずか一千億円に押えられたのは、私のはなはだ遺憾とする
ところであります。特に、「減税案は一時間あればまとめてみせる」と高言したにもかかわらず、時間的な
理由をつけてこの臨時
国会に提出しなかったことは、減税を選挙に利用する巧妙な
政治的計算として、
国民のまた納得し得ない態度と言うべきでありましょう。
政府与党は、口を開けば「
昭和二十五年シャウプ税制以来今日までの税制改正が、一貫して減税の歴史である」と自慢しているのでありますが、今日の
国民の税負担の割合は、戦前の
国民所得に対する割合一二・九%と比較して、実に二〇・五%をこえる重圧であります。高い
経済成長が続けば、連年減税しなければ、
国民は低姿勢どころか、税の重圧で立ち上がることができないと思うのであります。蔵相は財政
演説において、減税の実施は三十七年度以降も続ける考えを明らかにいたしましたが、
国民の税負担率は、一体幾らを目標としているのでありましょうか。税制調査会の答申した二〇・五%ですか、それともかつて自民党の公約した一八・七%ですか。今回の減税構想には、低所得層に効果ある間接税の軽減に全く触れておらないのでありますが、大衆課税の象徴たる物品税について
政府の見解はどうか、酒、たばこに対する減税はいつ実施するのか、この際お
伺いいたしたいのであります。
池田内閣はまた、独占資本に忠実なる奉仕者である証拠として、私は、大法人には特に税金をまける租税特別措置法が、租税体系の合理化をうたいながら、今回もそのまま温存されている事実をあげたいのであります。(
拍手)私
国民諸君に訴えたい。
昭和三十五年度における租税特別措置法による減免学は、大蔵省の発表分だけで、産業の助成、資本蓄積のための内部留保を含めて、総計千四百四十七億円に達し、これを地方での特別措置と合わせると、実に二千百億円をこえているのであります。これは三十五年度における国と地方の財政総額の約一割に
相当している事実であります。租税特別措置法により大法人が非課税の恩恵を受けた準備金と引当金等の蓄積は、減税額だけで実に一兆四千億円に達しているのであります。この事実は、一体何を物語るものでありましょうか。
池田総理は、「
日本経済は
昭和三十年ごろをもって復興を完了した」と、歴史的な発展を謳歌しているのにかかわらず、何ゆえこの大資本中心の租税特別措置法を撤廃しようとしないのか。私は、この悪法に対して
徹底したメスを加えない限り、
総理がいかに
国民の繁栄と福祉を説こうとも、それは資本主義の繁栄と福祉を
主張しておるのと同じことだと思うのであります。
総理に冠せられている金権
政治家のレッテルは、
国民のうわさから消えることはないであろうことを、私はあえて申し上げたいのであります。租税原則である課税の公平を期するために、
総理、蔵相は、租税特別措置法を具体的にどう処理するか。
以上、私は
池田内閣の
経済政策における矛盾と欠陥を
指摘し、偽われる繁栄と福祉を
指摘いたしましたが、
国民は、まことの幸福と繁栄のために、もう一つの
経済政策のあることを、来たるべき総選挙を通じて知ることができるでありましょう。私は、これを心から期待いたしまして、
質問を終わる次第であります。(
拍手)
〔
国務大臣周東秀夫君
登壇、
拍手〕