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1960-10-24 第36回国会 参議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十月二十四日(月曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   委員異動 十月二十一日委員松浦清一君辞任につ き、その補欠として島清君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    理事            川上 為治君            栗山 良夫君            牛田  寛君    委員            赤間 文三君            井川 伊平君            岸田 幸雄君            小林 英三君            山本 利壽君            阿具根 登君            近藤 信一君            吉田 法晴君   国務大臣    通商産業大臣  石井光次郎君    国 務 大 臣 迫水 久常君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    経済企画庁総合    計画局長    大来佐武郎君    通商産業省石炭    局長      今井  博君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    通商産業省公益    事業局長    大堀  弘君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○水道事業及び下水道事業用電気料金  に関する請願(第一六号) ○工業技術院資源技術試験所移転促進  に関する請願(第一七号) ○経済自立発展に関する調査  (綜合エネルギー対策等に関する  件)   —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより商工委員会を開会いたします。  委員異動がありましたので報告いたします。  去る二十一日、松浦清一君が委員を辞任され、その補欠として島清君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本日は、まず、去る二十一日本委員会に付託されました請願二件、すなわち第十六号、水道事業及び下水道事業用電気料金に関する請願、第十七号、工業技術院資源技術試験所移転促進に関する請願の審査を行ないます。  最初に請願趣旨について、便宜専門員から説明を聴取することといたします。
  4. 小田橋貞壽

    専門員小田橋貞壽君) 第十六号の請願は、水道事業及び下水道事業用電気料金に関する請願でありまして、九州電力電気料値上げ申請を機会に提出されたものでありますが、水道事業並びに下水道事業電気料金については、その特質からして特別の料金を設けてもらいたい、こういうことであります。で、水道事業に使用する電力については、特別に低い料金制度を設けること、下水道事業に使用する電力については、その非収益性から、かんがい用水電気料金制度と同じような特別料金制度を設けられることについて善処されたい、こういう趣旨でございます。  第十七号は、現在川口にあります工業技術院資源技術試験所移転を促進されたいというのでありまして、この試験所は四十年前に、川口駅の西側の、駅のすぐ前にできたものでありますが、現在川口市が非常に発展いたしまして、現在では川口市の西側の市街地並びに隣接町村産業経済発展の上に非常な隘路になっているから、その試験所移転することを促進せられたい、こういう趣旨請願でございます。
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本件につきましては、理事会において政府当局意見も聞きまして協議いたしました結果、水道事業及び下水道事業用電気料金に関する請願は、その願意おおむね妥当と認め、議院の会議に付するを要するものとし、内閣に送付するを要するものとして処理することとし、工業技術院資源技術試験所移転促進に関する請願につきましては、移転についての代替地の問題、あるいは予算措置等、なお検討を要する問題がございますので、一応保留すべきものと意見が一致した次第でございます。二件の請願について、右理事会申し合わせ通り決定することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小林英三

    小林英三君 ちょっと委員長、保留ということは、この次の国会まで保留するという意味ですか。
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 請願自体は今国会においては審議未了となるわけでありますが、この次の国会で本問題について十分に研究を行うということでございます。
  8. 小林英三

    小林英三君 今、通産省側の御意見理事会において聴取されたそうでありますから、この問題につきましては、この次に通常国会になりましたら、地元の意見も十分聴取していただきたいということをお願いいたします。
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書作成等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じます。   —————————————
  10. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、経済自立発展に関する調査を議題といたします。  本日は、去る十五日の委員会において保留されておりました総合エネルギー対策等に関する問題について質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  11. 阿具根登

    ○阿具根登君 通産大臣に御質問申し上げますが、経済伸びが九%もあるんだ。これは局長長官質問をしてからの方がよかったのですけれども、しかも鉱工業伸びが本年度で二一%も伸びる、こういうことが言われているわけであります。そういたしますと、それに連れてエネルギー伸びも相当量伸びるものと私は考えるわけなんであります。基礎産業であるエネルギー伸びないわけはないので、これは必ず伸びるんだ、それに持ってきてそれに見合うだけの石炭伸びというものはほとんど考えておられない。炭主油従という政策はもうおやめになったのであるか。それとも今後石炭伸びをどれだけお考えになっているか、そういう点を御説明願いたいと思います。
  12. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) エネルギー需給対策というのは、これは非常に大事な問題であること、おっしゃるまでもないことであります。それから国内資源として石炭が非常な大事な立場にあり、われわれもそれを非常に重視しているということは申し上げるまでもございませんが、だんだんこの間から経済審議会エネルギーの小委員会をやりまして、そのときの基本的な考え方としては、まず第一番にまあ経済性を中心とする合理的なエネルギー供給構成を確立しなくちゃいけない。それから輸入エネルギー外貨負担の軽減、なるべくまああまり外貨負担にならないようにというようなことも出ておるわけなんです。それから需要に応ずる供給量安定的確保というようなことで、昭和四十五年度におきましてのエネルギー需要見通しを行なったわけでありますが、それによりますると、今後国民の総生産が大体年率七・二%の平均伸びていくものと、平均そういたしまして、エネルギーの総消費石炭換算にいたしましてずっと計算してみますると、大体昭和三十四年度の二・三倍になるものと見込まれておるわけです。これに見合いまする総供給の内容を見ますると、エネルギー流体化の、まあ液体エネルギーと申しますか、その世界的傾向を反映いたしまして、石油供給は約二・五倍に増し、そして全体のエネルギーの中に占めていきます比率は、昭和三十四年度の約三〇%から一躍五〇%に増大するということになっておるのでございます。水力供給量はほぼ五〇%増加するのでございますけれども、比率から言いますると、今の二八%から二〇%に逆にこれは減ることに比率ではなるのでございます。こういうものに対しましての石炭供給については、現在昭和三十八年度を目標といたしておりまする合理化計画が実施されておるわけでございまするが、輸入エネルギーとの競争力の強化のため、さらに引き続いて積極的な合理化によってコスト引き下げをはかることを期待する。また雇用に対する影響等も考慮して国内炭供給はほぼ現状横ばい状態、まあ実数換算いたしますと大体五千五百万トン、輸入炭を含めた総量においては約八千百万トン、大体昭和三十四年度に比して四割の増加ということになっておりまして、全体に占めまする比率は二八%から二〇%と低下するというのが、この経済審議会エネルギー小委員会における基本的な考え方として私どもはこれを聞いておるわけでございます。で、石炭は今申しますように、できるだけコスト引き下げをやって、そうして供給を続けていくということに眼点をおきまして、これから先、あまり激しく年々の増加ということを期しない。大体五千五百万トンでがっちり押えていった方が一番石炭鉱業としての前途としてもいいじゃないかという見方、それからまた今度石油関係はだんだんと競争も、またこれから先もいろいろ競争等関係で値下りが出てくること、千二百円の値下げだけではなかなか困難かもわからない。三十八年度で千二百円下げても競争できない状態に陥ることも考えなくちゃならぬから、一そうコスト下げの努力もしなくちゃなりませんが、同時にこれの需要のすることをめちゃくちゃに投げやりにして放ったらかさないで、必ずこの程度は維持していくようなことにしていかなければ、日本の唯一のエネルギー源でございますから、この点ぐらいは確保していこうというようなにらみ方でやっていこうというふうにまあ考えております。
  13. 阿具根登

    ○阿具根登君 これは大臣じゃなくていいと思うのですが、どなたか、今、大臣から説明されました総エネルギー需要総量数字を示していただきたいと思います。私の手元には三十三年までの資料しかございませんので、三十四年が総需要量は一億何千万トンになっているか、それから、それの五〇%増しということですから、三十五年の見通しがどのくらいになるか、それを一つ数字を教えていただきたいと思います。
  14. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) 三十四年の実績の総エネルギー需要量は、七千カロリー換算石炭で一億三千百八十一万トンという数字になっておりまして、そのうちの電力が五千六十九万トン、その他エネルギーが八千百十二万トンという内訳になっております。
  15. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、その五〇%増しということになりますと、大体二億トンですね。三十五年度の総需要量石炭七千カロリーに換算して二億トン、こう見ていいのですか。
  16. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) 五割増しと先ほど通産大臣がおっしゃったのは水力供給についてと存じます。エネルギーとしては二・三倍になりまして、三億二百七十六万トンという推定になっております。このうちの電力が一億四千百万トン、石炭換算、その他エネルギーが一億六千百七十六万トン。
  17. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、電力は一億四千万トン、石炭が五千五百万トン、あとの一億トンに該当するものは油だ、ガスだ、こうなるわけですね。
  18. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) 供給の構造から申しますと、この七千カロリーの有炭換算考えまして、水力が五千五百万トン、石炭が八千百万トン、そのうち五千五百万トンの実数を七千カロリーに換算いたしまして五千九十万トン、それから石油が全体として、国産及び輸入を含めまして一億四千六十万トンという数字になっております。
  19. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、三十四年度石油輸入を見ますと、一応三千三百万キロワットぐらいになっているように思いますが、その数字、間違いないですか。
  20. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) 三十四年度実績は二千四百九十九万トンということになっております。約二千五百万トン、これはカロリー換算です。
  21. 阿具根登

    ○阿具根登君 わかりました。私が今言ったのは三十五年度です。三十五年度の下期予算で最近発表されたのを計算してみますと、約三千三百万キロリットルになっておると思いますが、それでよろしうございますか。
  22. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) 推定でございますが、大体二割あまりふえておる見込みでございますから、大体そういう見当になると思います。
  23. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうするとですね、三千三百万キロリットルだとすれば、石炭換算して一・六倍しても、それは五千万トン近くになるわけですね。そうするとあとの五千万トンからの石炭換算するエネルギーは一体どこから持ってくるのです。今言ったように一億四千万トンの石油が要る、重油が要る、こういうことなんです。実際輸入されるのはただいま認めていただきましたように、三千三百万キロリットルの原油並びに重油です。そうしますとですね、一億トン近くのまだどこからかエネルギーを持ってこなければ、三十五年度エネルギーを満たすことができない、需要を満たすことができない、こうなると思うのですね。
  24. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) 先ほど申し上げました数字は全部四十五年度でございます。十年後の数字でございます。
  25. 阿具根登

    ○阿具根登君 四十五年度ですね、じゃ三十五年度は……。
  26. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) これはまだ年度経過中でございますので、手元にはっきりした数字を持っておらないわけでございますが、まだことし、今年度としては、十月、年度の半ばでございます。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 しかし経済の九%伸びという大原則のもとに鉱工業が二一%伸びる、エネルギーがどのくらい伸びるのだということになっておれば、今その見通しがわからないということはないはずです。今よくわからなくて、十年後のことがわかるようなことは、これはあり得ない。
  28. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) これは御承知のように年次の経過の途中で、いろいろと経済全体の見通しについてもある程度変更がありまして、たとえば鉱工業生産などが途中である程度伸び率がゆるくなるというような想定が当初ございましたが、事実上はまだ伸びが強いわけで、国民総生産等伸び年度の初めに見たものよりも実績見込みがかなり上回りそうだというのが現状でありまして、それに伴いましてエネルギー消費その他も全部変わって参りますが、今これは企画庁調整局の方で本年度実績見通し検討中でございます。従ってその改訂された今年度実績推定が出ることになると思いますが、今の段階ではそういう条件の変化を検討中でございます。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 政府の、総理がかわれは、これはもちろん政策が変わるのはあたりまえだけれども、しかし長年保守党の内閣として、政府としてやってきた一貫した政策が、そのつどそのつどにふくれたり下がったりすれば、これに従事しておる経営者あるいは労働者というものは非常に困った状態になってくる、私はこう思うのです。そこでまあ極端に申し上げますと、世界経済、あるいは広い視野に立った行き方のみを机上でプランを立て、頭の中でプランを立てて、そうして日本の置かれておる経済というものを忘れておるのじゃないか。企画庁長官もお見えになりましたが、私はそういうような感じがするわけです。そこで石炭流体エネルギーに圧迫されておるということは、これは世界的な傾向で、だれもわかっておるかもしれない。そうすると一体アメリカやイギリス、西ドイツというようなところは、一体石炭はどのくらい使っておるのか、これはまあ御承知のことでございますが、幾ら使っておるのかということを、国民当たりについて考えた場合に、一人当たり一体幾ら石炭を使っておるのか、総エネルギーとして幾ら使っておるのかということを一つ教えてもらいたいと思う。そうしませんと、日本自体の置かれおる立場国民生活環境というものは一切無視して、世界経済がこう移行しておるから、それをそのままそのものさしで日本国民に当てはめたのでは、それからはみ出した、いわゆる繁栄の中の貧乏と申しますか、非常な谷間ができてきておる。これやはり私は政治としてはあまりいいやり方ではない、かように思う。その点一つお知らせ願いたいと思うのですが。
  30. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) ただいまの御質問は、各国の一人当たり石炭消費量及びエネルギー消費量でございますか。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 はい。
  32. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) ちょっと今資料がすぐ出て参りませんので……。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 はい、いいです。私は今これをもって質問したのはまずいのですが、新聞で発表しておるのを見ますと、英国で一人当たり四トン、西ドイツで二・四トン、米国で二・一トン、ソ連で一・七トン、フランスで一・ニトン、日本は〇・五トン、五百十キロです。こういう非常に少ない石炭を使っておる。とするならば、経済の移行から石炭が圧迫を受けるということはわかるのですけれども、日本石炭をこのまま押えつけてしまって、窒息するような現状状態に置くということは、私は責任ある立場の人がやるべきことではない。たとえば世界経済はそういう方向に移行しておっても、日本経済がそのままそれについていくことができなかったならば、それは一年なり二年なり、三年の時期が私はそこにいるんじゃないかと思うのです。  そこで、経済企画庁長官にお尋ねをいたしたいと思いますのは、ただいま聞いてみますと、十年後には二・三倍のエネルギーのふくらみがあるんだと、こういうことを言われておるわけです。しかし、その十年間は石炭横ばいだぞ、今のままだぞと、こういうことを言われておるわけなんです。そうすると、その十年間のしわ寄せというものは、それでは今日まで、流体エネルギーが今日のような状態にならない前は、鐘や太鼓をたたいて石炭政府は出させたんじゃないか。そして、いいものが少し出てくるとその場で切り捨てる。これは最も冷酷なやり方だと思う。資本主義あり方からして、冷酷な経済方策をやらなければ繁栄はないのだとおっしゃればそれで終わりかもしれません。しかし、私はそんなものではないと思う。今日まであの危険な炭鉱従業政府があらゆる面で援助し、あるいはしりをたたいて石炭を出させてきた今日、これだけ需要伸びてくるのに石炭だけを押えて、外国資本の過半数入っている流体エネルギーをどうしてここまで入れなければならぬか。たとえば二・三倍になるやつを二倍とかあるいは一・五倍とかいう伸びに油を考える、液体燃料考える。そうすれば石炭がここまで日没みたいな暗い感じになることはないだろう。こう思うのですが、そういう点の考え方ですが、企画庁長官に一つお願いしたいと思います。
  34. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) お話しになるお気持は非常によくわかります。が、今私の方ではエネルギー小委員会報告と、さらに経済審議会で取りまとめて、いずれ答申してよこすでしょうから、通産省とよく相談をして政府計画を立てるという立場でございます。そのとき、まあ冷酷と言われては困るのですけれども、そんな使わないものをどうもならぬじゃないかという感じもするのですね。そこでそれをできるだけ石炭というものを使うようにというのが、一応エネルギー小委員会でも十分配慮した結論じゃないかと私は思っております。つまりもっと冷酷むざんにみれば、四千万トンとか何とかというところに、もっと小さいところにいくところを、今まであんなにお世話になったところですから、そうひどいことはできないというところで、五千五百万トンというところまでいろいろ苦心して持ってきておるのが、このエネルギー小委員会報告じゃなかろうかと思っておりますけれども、まだ勉強をしておりませんからわかりませんが、そう想像しておりますが、お気持はよくわかります。私も率直に言うと、石炭にあれほど戦争中から世話になっておって要らなくなったからということで切るのはいやな気持ですから、そこのところを今度具体的にもう一ぺんよく勉強して、よく通産省と相談してみたいと思います。決して冷酷むざんにということじゃ——そういう言葉で表わされるほど、それほどなことには私は考えたくないと思います。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 言葉ではおわかりいただいておるようでございますが、しかし現在二十八万から三十万近くの石災に従事している労働者がおる。そのうち十一万名、三分の一です。三分の一を切り捨てるということを一ぺん農家に当てはめて考えてみて下さい。この三年間のうち、まあ総理が言っておられるのは六〇%くらいになるんだと、切り捨てるんだということを言っておられるけれども、それは専従農家とか第一次兼業、第二次兼業ということで非常に釈明をされておりますから、それはおくとして、その専従農家を、今日本人は、米じゃなくて麦が非常に安く入ってくる、ハンがいいんだということで、その専従農家を三分の一切り捨てるということができますか。おそらくそういうことはできないでしょう。ほかの産業でもいい。紡績なら紡績を、外国から安いものが入ってくる、外国の方が安いんだ、そうして品物もいいんだ、だから日本紡績の三分の一を切り捨てますか。こういうことを言って、できるかできないかというわけです。それは冷酷むざんという以外にないですよ。そのために暗い、ほんとに陰惨な闘争を食うために、生きるためにやっておるわけです。で、どうにも現実ならいざ知らず、政治あり方によってこういうことは緩和される。たとえば五千五百万トンの石炭を使うと言っておられるのを六千万トン使うと言ったから、使ってくれと言ったから、どこがそれに反対するか。反対をするのは、より便利のいい外国資本の入っておる油を取りたいからで、油を規制するならば、六千万トンの石炭を使おうともだれも言わない。これが政治だと思うのです。無条件に安いからと言って外国から入れるから、日本産業でつぶれる産業がたくさんあると思う。それをみな守っているじゃないですか、そういう点でどうお考えになっているのか。貿易自由化をしてますます重油を入れる。しかし一応私の考えでは、今入ってきておる油はほとんど英米資本で過半数の株を持っている。しかしこの方はより安い、貿易自由化となってくれば、おそらく今ソ連等でも相当な油の攻勢が始まっておるようです。そういうのもどんどん入ってくるでしょう。アラビアの石油日本の金で投資されておるとするならば、おそらく満々と入れなくちゃならぬでしょう。そうなってきた場合に、今のような計画で安いのを入れて、そうして日本貿易を伸ばすんだ、経済を伸ばすんだその一点張りでいかれるのか、まず、それをお伺いしたいのです。
  36. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 私万事これはかね合いの問題だと思うのです。つまり貿易自由化をどんどん促進したら、日本産業がつぶれるのがたくさんありますから、それは日本産業がつぶれないように貿易自由化を適当にコントロールしていく、そうして日本産業合理化の推進に応じて、国際競走力の名に応じて自由化というものを考えていく。同時に、やはり便利なものがよけい使われるのは当然でしょうから、今まで便利でないところの産業に従事している労働者離職者を始末といいますか、それを転換して、その人たちを、お前は要らないからといって捨てるわけにはもちろんいかない。捨てるべきじゃもちろんありませんから、離職者転換策を講ずる。そういうものとの間のバランスをとりながら、時間をかけてやっいくべき問題じゃないかと思うのですが、結局石炭だけを特別に擁護して、要らない石炭であるけれども、どうしてもこれだけはやらなければならぬという、そういうものの考え方をしなければならぬ段階なら、あるいはしなければならぬかもしれませんけれども、それまでにそういう、どうしても石炭を、今の人たち石炭で食わしていかなければならぬのだということを前提としてものを考えるのは、これは違うのじゃないかと思う。離職者対策というものも振興するし、石炭合理化も振興するし、その他の産業も振興するし、そのバランスのつり合いのところにむずかしい問題があって、吉田さんの言われるいい政治というものはそういうところにあるんじゃないかと思うのでありまして、うまくできるかどうか、それだけの腕前があるかどうか知りませんけれども、できるだけ誠意を尽くして、バランスをとって、計画的にやっていきたいと、こう思っております。
  37. 阿具根登

    ○阿具根登君 言われることはそうですけれども、やっておられることは、私の言っているようなことをやっておられるわけなんです。たとえば、三十八年までに一千二百円石炭コストを下げなさい。そうしなければ重油との価格上の競合で負けますよ。そのためには十一万人の人がやめなさい、これで今血みどろになってやっているわけです。ところが三十八年になって、あと三年たって千二百円で重油と太刀打ちできるかどうか、これは言うまでもなく絶対太刀打ちできないでしょう。三十八年度になってもまだ二千円からの値開きがあるわけなんです。そうすると、それなら今の炭鉱は、あと十五万人しか残っておらない炭鉱就労者をやはり十何万もお切りになりますか、もう事実上炭鉱は要らないということになるわけです。それでは、それなら外国から麦をたくさん安く入れて、そうしてこれは、毎年赤字会計その他で叫ばれているけれども、しかし日本の麦の値段と価格を合わして売っているではありませんか。失業者を出していやだ、自分たちがさんざん使ったあと労働者を、いやだというのに、失業対策だ、就業対策だといって金をかけて、そうして無理な仕事をさせるよりも、それだけの金があったなら、そういう金をなぜ石炭対策に使わないか。私はこういうふうに思うわけですがね。そうすとる一方ではそういうことをやっているでしょう。  極端な例を申し上げましょうか。この前も申し上げましたような極端な例を申し上げますると、北海道で子供の小児麻痺にワクチンを入れていますね。これは私が言うのが間違っておったら一つ御指摘願いたいと思うのですがね。私が調べたのでは、ワクチンは三回打たなければならない。それに一回が六百円から千五百円かかる。そうすると千五百円と見た場合に、四千五百円注射を打たなければいかぬわけです。これはまあ皆さんから見れば四千五百円くらい、かわいいわが子のためだからいいじゃないかというかもしれませんけれども、そんな余裕のないところの子供が多いわけです。ところがこれがどうして、どのくらいで入ってきているかと見てみますと、アメリカやソ連から入ってくるのは、一回分が五十四円で入ってきているわけです。一回分の数字をお間違いなく。そうしてそれに関税が二〇%かかって六十五円になった。さらにこれが国の検定がございまして、七円五十銭かかる。七十二円五十銭の品物を、それが六百円から千五百円、今ほとんど千五百円です。一回の注射が七十二円五十銭のものが、なぜ千五百円になっているか、調べてみますと、日本でワクチンを作るために一生懸命奨励している。それが日本で一回分作るためには三百五十円かかる。三百五十円かかるから、だからこれを育成するために、この七十二円五十銭のワクチンを医者に渡すときには、四百円で厚生省が渡しているわけです。だから医者が今度は診察料とか注射代とか取れば六百円になる。それでも数量が足らぬから、これが今度は需要供給関係で千五百円にもなっている。実際は七十二円五十銭。そういう、もうほんとうに国民が泣くようなことでも企業を興すために、あるいはそれとバランスをとるために、七十二円のものを四百円もでやっている政策をやっている政府じゃないですか。極端な例です。これは私は反対ですけれども、そういうことをやっている。それなのに石炭に対してどうしてそういうことをするか。三十八年以降千二百円のコストダウンでやっていけるかというと、それはやっていけない。三十八年以降は一体どうなさるか、そういう点一つお尋ねいたします。
  38. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 三十八年になって千二百円下がってもなかなかだめだとあなたの言う通り、私もそういうふうに思います。どうするかという問題は、そのときどういうふうになるか、いってみなければ、三年先だからわからぬということですが、大体の方向はわかるだろう。そこにおいて石炭そのものの合理化をもっと進めていって、もっと下げるということも一つの方法でありましょうし、それから今しきりに話の出ておる、これを具体化してみたいと私は思うておるのですが、産炭地の発電、たとえば大阪あたりまで、わざわざ北九州から石炭を掘っていって運賃問題等で非常な差ができておる。それを現場で興せばそういうことはない。現場で発電し、現場に工場を誘致できるという策が行なわれていくことができたならば、私はその値段は、もっと競争のできる状態になるということが言えると思う。こういうふうにも思うし、いろいろな手が、そこまでいくうちには、何かみんなで相談し合って、それは政府が金を出せといえばそうですな、金を出そうとする、そこまでいく前に、われわれはまだ石炭そのものを、やはり経済ベースに乗ったものに、そういうふうに持ってていく方の努力を私どもがすることが、一番先の問題だと思う。そしてそのときになっての問題はどうかというと、これは輸出産業とか、いろいろなものの関係があって、値引きがむやみに高くなっては困るという問題もありますが、私どもで今考えておりますものは、低品位炭の需要の拡大をうんとやっていくというようなこと、そしてまあ実際問題といたしましては製鉄であるとか、電力であるとかいうところに、もう今も大体電力なんかでは、これだけの数量は使ってくれという話があって、使おうという話があるのでありますが、これを確保していくというようなことで需要の道をこしらえていき、そして業態そのもののコスト下げにも、できるだけの方法をやってみれば、私はそうむやみに悲観してしまうこともないと思うのですが、これは三十八年度で五千五百万とこうやっておるわけですが、それまでは今御承知のように三十四年は四千七百万トン、それからだんだん上がっていって三十八年で五千五百万トン、まあここいらが一応のめどじゃないかというのを、私どものこれは漠たるもので確信じゃないのですが、あまりこれでは、それじゃ六千万トン、七千万トンという普通炭のところをふやしていって、はたしてそのベースの石炭が掘れるかというと、なかなかむずかしい問題じゃないか。これから先ふやしていくと、これを下げるよりコストアップの方が多くなってくるのじゃないか。非常ないいこころが出てきて、非常な何か近代的な方法で掘れるものができると、これはおもしろいと思いますが、ちょっとなかなか議論では増したいと思っても、実際上増しがたい問題である。これは僕より阿具根君の方が詳しいが、こういう漠たる心持ちがするのですが、あまり僕は悲観せずにやっていって、このくらいのものを考えてやっていくという努力をしていくうちに、これがよくなれば、おのずから私はやはり安ければ、需要はふえるにきまっていると思うのですが、どうでしょう。
  39. 阿具根登

    ○阿具根登君 僕は、そういうような政府考え方が非常に危険だと思うのです。企画庁長官もおられますけれども、今日まで僕は国会に席を持って七年余りになります。その前に県会も勤めて参りましたが、政府石炭政策が一貫して続けられたことはないのです。今日まで三年に一回、四年に一回必ず大きなピークが来ておるのです。きのうまでは石炭を掘るな、石炭を掘るなと言っておるのが、今度は畠の真中まで荒らしていってじゃんじゃん石炭を掘らせることになってくるわけです。そうすると今度は頂点に上ってくれば、ばらっとたたかれて、失業者が出てくる。こういう政策を今日までずっと繰り返されたわけです。たとえば今度、そういうふうに皆さん計画を立てておられても、雨が降らなかったら、発電が困るから石炭を掘れ、たとえば今度は、スエズ動乱あるいは政治的な問題が起こったり、何かあればまた石炭、さあ掘れ、こういうことを言われるわけです。それを今日まで繰り返してきている。だからいいときには掘れ、悪いときには首切れという、この冷酷無情な政策が一番まずいのだと私は言うわけです。特に経企長官のお答えを願いたいのですが、炭鉱の労働者というのは、これは五十五になったら、いやでも応でもやめなければいけない。これは中小炭鉱で、それ以上の人も勤めておりますが、皆さんがふんどし一つになって、炭鉱で石炭を掘ってみなさい、皆さんの年配で掘れるか掘れないか、皆やれないのです、できないのです。それが大体一年間に一割です。そうすると三十万人とみても、三万人は自然にやっていく、そうして自分の年令と、今度は子供の就職で自然淘汰されていく、で、これだけでは炭鉱の若返りというのができないから、新しく若い人を入れておる、それを半分とみても、年々一万五千人の人が減っていく、そうすると、これを三年であなた方がやるというのを、五年か六年少し長い目で見るならば、血で血を洗うような労使の紛争はなくして、そうしてやっていける。そういう道があるのに、一切それをやらない。また雨が降れば石炭が余り、雨が降らなかったら石炭は足りない、海が荒れたら石炭が足りない、平穏であったら石炭が余る、こういうような不安定なところに置かなくて、政府としては、これだけ  エネルギー伸びるのだから、石炭需要はこのくらい、私が言いましたように、一人〇・五トンしか使っていない、英国のまねをせよというのではない、四トン使えというのではない、フランスのまねをしてもニトン使える、ニトン使えるすとれば二億トンです、石炭が。とても無茶です、出ない、逆立ちしても。フランスの半分使うようにしても一億トン、一億トンを使うということになれば、あなた方が一千二百円値下げせよと言えば、一千五百円でも値段は下がります。そういうことを外国でやられておって、しかも、それでも斜陽産業で失業者が出るという場合には、御承知のように関税もかかっておる、石炭と油の値段のバランスを西独はちゃんと指示してとっている。日本だけではないか、やりっ放しをしているのは。そうして口では石炭は、そうではない、かわいがるといっても実際北海道でも見てみなさい、九州でも見てみなさい、そうして出た失業者は、まだ職がなくて困っている、今度「筑豊のこどもたち」という映画が出るので見て下さい。あなたの子供が、ああいうふうな場合はどう思いますか。あなたは責任ある立場に立って、こういうみじめなことになったのは政治の責任、政府の責任です。しかもそういう政策をすれば、そういうことはできないわけです。そういうことは出てこないわけです。  だから需要伸びが九%、経済伸びが九%伸びるのだ、そうしてエネルギーは、これだけ伸びるのだというならば、その蔭の谷間を作らずに、少し手加減すれば、そういうものはなくなってしまう。そのわずかの手加減、関税をかけてもいいじゃないか。よそも関税をかけておる。消費税をかけてもいいじゃないですか、よそもかけておる。それがいやだったら、規制してもいいじゃないですか。何年間かかの問題です。その間に立ち直っていって、労使が、こういうような戦いをしないように、人間が生活すら捨ててしまって、生きたしかばねになっているような、こんな状態は、諸外国にはありません。ドイツだって、フランスだって、英国だって、アメリカだって、ああいう姿がどこにあります。同じ斜陽産業だというのに。これは政治家の責任です。  そうするならば、私は、今言ったような政策がなぜ立てられないか、この点一つ企画庁長官に、よくわかるように御説明をいただきたいと思います。
  40. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) お話も非常によくわかるのですけれども、とにかく、エネルギー小委員会で、みんな衆知を集めて五千五百万トンという一応の数字を出しておりますので、要するに、それを六千万トンにしろとか、一億というのは極端でしょうけれども、もっと石炭をよけい使うようにしろということになった場合に、一体どこにどう使っていけばいいのかということですね。簡単に筆先だけで六千万トンなり六千五百万トンにするということは楽でしょうが、どこに一体その石炭を使っていくんだろうかということについて、私勉強が足りないものですから、阿具根さんおっしゃるように簡単に、そういうことができるのかどうかということについての認識がなくて、私の頭の中にあった方向というのは、むしろ現在の炭鉱の就労者というものの転換といいますか、その人たちが、そう不幸なことにならないように処置をすることに政府の金を使う、金を使うなら、そっちの方向で金を使っていくことの方がいいんじゃないかなというような頭で、今までずっとおったわけです。  従って、今ここで石炭需要量というものを六千万トンなり六千五百万トンにふやして、そして石炭の方から出てくる失業者の数を減らせというお話に対しては、にわかに、そういうふうに考えましょうと私もちょっと言いにくいのです。つまり、むしろ石炭の方から出てくるところの失業者というものに対する対策を、もっと人情味といいますか、冷酷むざんでなしに考える。しかし、石炭の山の方々というのは、どうしても山の中にいなければだめなんで、ほかのところに行っちゃどうにもならないから、それは山の中に——そういうような失業対策という面じゃ、ものは考えられないのだというお話になってくるというと、これはまた別の問題になると思いますが、私の頭は、失業対策といいますか、失業対策というよりも、現在炭鉱に働いていらっしゃる方々をもっと日の当たる場所で愉快に働いていただけるような仕組みを考えていく、このために金が要るなら、政府は金を出していく、その方向で考えていきたいというのが私の気持です。
  41. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、その説もいいと思うのです。しかし、それをおやりにならないから、失業者——子供は、さるまたもはかずに生活しているのです。  今長官の言われた政策をやっているのが西ドイツです。西ドイツでは、エアハルト経済相が言っておるのは、ドイツの今日の経済の復興のその基本になってきたのは、石炭労働者である、ああいう苦しいときには出せ出せと言ってきた石炭が、今日こういう疲弊したときにほっぽり出すのは、まことにこれは政治家として忍びない、国として忍びない。だから、今おる人が失業しなければならない、この政策で失業しなければならない人が、どこかの職についた場合、今の給料よりも下がっておったならば、その差額は政府が補償します。こういう政策をとったわけです。  だから、炭鉱から離れていく人も、炭鉱でもらっておった給料は、どこに行っても政府が保障してくれたから、その日食う心配はないから、炭鉱を離れて行った。あなたにその考えがあるなら、それをはっきりお約束できますか。
  42. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) その通りやるということを、今ここでお約束するわけにいきませんけれども、私としては、とにかく炭鉱の離職者という問題が、日本の労働問題といいますか、労働力の移動の問題では、一番重大な問題だし、差し迫って一番切実な問題だということは非常によく認識しておりまして、石田労働大臣も、その点については非常な関心を持っておられますから、経済企画庁としても、その線に沿って一つ協力をしたいということはお約束します。
  43. 吉田法晴

    吉田法晴君 大事だが、石炭政策を確立すべきだという点から離職者対策の方に長官はそうされようとしております。離職者対策についての不十分さは、御論議いただいてけっこうなんです。それについて、生活保障といいますか、賃金の差額補償といった具体案が阿具根君から出たのですが、その前の問題について、両大臣がおられますから、私もお伺いしたい。  気持はよくわかる、それから石井通産大臣の、何といいますか、気分論なんですが、基本は、二人とも言っておられるように、石油と対抗できない部分については、これはコストダウンなり、あるいは生産の縮小なり、やむを得ない。基本的に、レッセフェアというのですか、自由競争があって、そのあとの締めくくりがない。これが私は、岸内閣からの石炭政策であると思う。それを、先ほどお二人とも、それぞれ表現は違いますけれども、言われたと思うのですが、問題は、ただ日本だけでなくて、さっき阿具根君が言うように、各国ともあります。各国ともありますけれども、イギリスの一人四トン云々の陰には、これは国営で、国の援助と申しますか、何億ポンドという経営の中での赤字補給が含まれて石炭が保護されておる。それからフランスにしても、あるいはドイツにしても、共同体の中ではありますが、具体的な、関税やなんかのほかに、共同体の中で保護されてきた実績は忘れることはできないと思う。それからソ連にいたしましても、石油石炭の問題はあります。しかし、全体の発展の中で、今言われるような、石炭生産横ばい、あるいは低下の方向にあるところは、各国ともありません。いろいろな形ではありますけれども、石油との競争の問題をてこ入れをすると申しますか、あるいは石井さんが言われた中で、需要の拡大という点は、これは今唯一の方向ですけれどもね、石炭政策としての、小さいが、大きな方向です。唯一の方向ですが、石炭需要経済発展の中で確保していくという政策が、どこの国にもあります。それを政府はなぜとれないか。  エネルギー全体から言うならば、二倍半以上の、とにかく二点幾らの伸び考えられるときに、石油ほどは伸びないにしても、石炭として横ばい、あるいは下向きというのじゃなくて、テンポはのろくても、石炭生産の維持というものが、どうして政策としてできないか。  石油石炭と野放しで競争をさして、そうして石炭が負けるから、負けるままにまかす。このことは企画庁長官言葉で言うと、どこで使うのだ、石炭よりも安いものを使うのが、当たりまえじゃないか、こういう思想に現われておる。自由主義で、なるようになれ、こういうことでいくならば、それは、言われるように、石炭生産は押えられる。あるいはコストダウンができればいい、できなければ、だんだん減っていく、あるいはそのしわ寄せを従業員に一番寄せて人間を減らしていってもしようがないのじゃないか、こういうことになる。出たあとの話は別問題。  そこで改めて伺いたいのですが、これは総理は、較差といいますか、犠牲になる国民の階層あるいは産業はあらしめないということを本会議でも言っておる。それなら今までのような石油との競争の中でほったらかしにして、あるいは減る分あるいは使わなくなる分あるいはそのしわ寄せが労働者にもくる、それは仕方がないというのじゃなくて、このカーブは石油ほどでないかもしれませんけれども、エネルギー源についての需要の方向に対しては、需要の拡大の方向については、石炭についても、これが発展に即応するような政策を立てるのだ、こういう大前提がきまれば、その具体的な方策あるいは国としての援助の方法というのはいろいろ出て参りましょう。あるいは合理化に援助するという点もあるかもしれぬけれども、あるいは関税にいたしましても、あるいは補助金にいたしましても、あるいは融資にしても協力する方法は出てくると思う。その根本についてお考え方はこれは直さるべきだと思うのですが、これはいかがですか、その点。
  44. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は今お話のありました石炭需要のことを、ただ野放しにして石油競争でこれはどうも勝負は負けだということでなく、もっと考えるべきである、これは私一番それを思うのです。私はこれは通産大臣として言えることかどうかしりませんが、前からこの問題で、石炭のお互い産地ですから、石炭というものがただ運んでいって燃やしているというだけでは知恵がなさすぎるのではないかと前から考えていた。それでポリエチレンとか何とかいうものができて、そんなものを持ってこられる場合に、石炭からそういうものをやってもらえぬか、石油が土台じゃなしに、要するに石炭化学をもう少し進めなければならないのじゃないか。これは石炭の一番大きなこれから先の生きる道ではないかということを考えて、あらゆる機会に私はいろいろな人たちに、実業家の人や研究家の人に言うけれども、それは理論上そういうことにもなり得ると思うのだが、まだそこまでなっておらぬということ等で一向煙も見えないような状態なんですけれども、私はそういうふうな石炭工業という面が何とかして出てくることが、われわれ政府におる者は、特にこういう方面にも力を入れて見るべきじゃないか。こういうふうに思うのですが、これは先の夢ですけれども現実の問題として、石油とにらみ合わせて、石炭をある程度カーブは少し違っても少しずつでも伸ばす。要するに希望を持ってこの仕事を扱えという心持ちだと思うのですが、私どもそう思います。が今のところ一応私どもはこういうふうな、先ほど申しましたような、経済審議会の小委員会で、エネルギー問題としてこういう一応のお答えは出ておりますが、この三十八年まではこれで私は徐々に伸びていくと思うのです。それから先そこでとどまるか伸びるか、伸びることはできないかという問題で、まだわれわれは委員会報告としまして、通産省としてはどういうふうにこれを伸ばすことができるか、またふえればふえるほど安くなると、先ほど阿具根君が言われましたが、言われたように果してそういうふうにいくかどうか、実際的に考えてみると。これから先掘っていくのは生産費の高くなる穴ばかりでもしょうがないので、こういうふうなものに対してどういうふうな方法をとるか、ふえて安くならなければ意味がないのであるということも土台に置いて、この問題はもう少ししっかりと取り組んでみます。
  45. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあ、産炭地発電の点は、これは石炭で運搬する、運賃をまあ安くしょうというか、なくしようという意味で一つの構想でもあり、それから社会党でも早くから言うてきたのですが、それをようやく取り上げようとしておる点はおくればせながら可としますけれども、石炭化学の話もされましたけれども、数年前から九大に石炭化学のために一科を設けたところが、その研究のなにが間に合わぬで、石炭から化学製品あるいは肥料を作っておった石炭会社の分身といいますか、石炭会社系の化学会社でさえ石油に切りかえようとしておる。そうするとそこには経済主義がある、エネルギー小委員会のあれもそうでしょう。基本にあったものは経済主義、それから内閣の今までのとにかく話にしても、あるいは二人も今言っておられるところにしてもそうです。経済主義でいけばこれは石炭よりも石油の方が結論を言えばあるいは安くなるといえばそうなんです。だから石炭化学だとかいろいろ言われるけれども、経済主義でなお依然としていくのだということになれば、これは方向は同じです。石炭生産を維持し、あるいは経済発展に即応して、石油ほどでないにしても上昇させたい、将来を保証したい、こういうことならば基本的にやはり石炭政策というものを変えなければならない。まあ、エネルギー小委員会の結論もあるけれども何か別に考えたいというならば、経済主義でなくて国として石炭産業を維持、あるいは今後について発展を保証したい、そのためにはどうすればいいか、これは審議会が作られて相談せられなければ結論は出て参りません。今までのように投げやりで経済主義を基礎にして相談をされれば、それはエネルギー小委員会あるいは本委員会と同じことです。だからその委員会なり何なりの結論の前に、政府の方針としてここにまあ二人関係大臣が来ておられますけれども、お二人の中で従来の方針あるいは従来の経済主義に準づく方針じゃなくて、石炭について政策を樹立するあるいは政策の転換といいますか、私から言わせれば転換ですけれども、石炭政策を確立する用意があるかどうか、こういうことをお尋ねしておるのです。こまかいとにかく話で、本質的な問題でないところで、はぐらかされちゃ困りますよ。
  46. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この問題の解決に政府の財政的援助がなければ立たぬものだとこうきめて、政府はそれをやるかやらぬかということを言うことは、僕は少し結論が早過ぎるように思うがね。もっともっといろいろなものを研究する余地があると思うのですが、しかし、こういうふうにしろ、こういうふうにしろ、ここまでこういく、そこでここは一つ政府がやっていくとおもしろくなるぞというのでないと、ただいろいろな話でこれはもう何か出るといけないのは、直ぐ政府の援助の話がずいぶん出ますけれども、この問題にしたって、私は根本は、石炭経済的にどうしていったら立つかというぎりぎりのところまでやはりいろいろやってみて、それでこれをどうするかというところにいくので、初めから政府は財政的にも援助するという心持ちで案を立ててみるということだとちょっと早過ぎるように思いますが……。
  47. 吉田法晴

    吉田法晴君 あなたは、国の援助として、財政的援助を出せという質問というか要望をしておるかのように言われますけれども、そうではないのです。
  48. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ああそうですか。
  49. 吉田法晴

    吉田法晴君 国がとにかくどういうそれじゃ援助をするかという問題はあとの話、あとの話だけれども、従来経済主義に基づいて安い石油あるいは処理のしやすい石油コストから言うならば低い石油石炭が負けるのは当たりまえじゃないか、こういうことで経済主義に基づいて石炭政策を立てるのでなくて、石炭産業あるいは石炭産業に従事する従業員、労働者を含んでこれは維持しなければならぬ、日本経済発展に即応して、テンポはとにかくとして維持発展をしなければならぬ。石炭産業だけ日の当たらぬ暗い谷間に置くのじゃなくて、一緒に抱えてとにかく進まなければならないということならば、石炭政策について、減るのは当たりまえだ、あるいは使わなくなるのは当たりまえだというのではなくて、使えるような、あるいは五千五百万トンか六千万トンになるか知らぬけれども、維持発展させる政策というものを政府として立てなければならぬのじゃないか。まあ本会議での質問その他を通じて言うと、犠牲になる階層あるいは日の当たらぬ産業等をこしらえる今までのとにかく考え方を変えて、石炭を維持発展させるためにここに大方針を作るのだ、こういう態度になってその具体策いかんという点は、これは私のさっき述べた通りで、基本的な態度が変わらないで気分だけで言われたって、あるいは話はよくわかると言われたってそれは方針は出てきませんよ。石炭政策をとにかく立てるのだ、こういうことで臨む用意があるかどうかということをお尋ねしているのです。
  50. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) このエネルギー小委員会の答申は、私はこれはただこうさっき申し上げた程度のことしか聞いていませんから、内容的にどういう討議が行なわれ、こういう数字が出てきたか知りませんが、おそらくここに至るには資源主義でもいかぬし経済主義だけでもいかぬ、両方考慮しながら日本石炭という特殊な立場考えながらというので、これは一応の結論は出たのだと、こう思うのです。これは企画庁長官からお話があるでしょうが、私も今吉田君の言われたと同じように、どうやって石炭を使うかということで、もう経済主義で負けるのは仕方ないじゃないかというような敗戦主義的な心持でほったらかして、まあここらは今までの行きがかりがあるからこのようなことにしておけぐらいなことではなくて、もう少し親身になってこの伸び方を考えろという心持は私も賛成です。そういう意味で考えましょう。
  51. 吉田法晴

    吉田法晴君 企画庁長官からも御答弁いただきたいのですが、気持がわかるのでなくて、石炭政策政府として立てたい、あるいは従来の何といいますか経済主義に基づく今までの石炭政策についてのことは、場当たり政策——これは実際問題として。そこでとにかく石炭産業を維持し、あるいは石炭需要を拡大し、この今の経済の中で唯一といいますか、少なくとも最大の日の当たらない産業になろうとしているのを、発展の中で維持しそれから拡大していく石炭政策の確立について政府として努力したい、こういう御返答がいただけますかどうか、あらためて長官からも……。
  52. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) ちょっと理屈ぽいことを言って吉田さんから叱られるかもしれませんけれども、私はお話の中の意味が現在の石炭就労者をそのまま維持することを前提としてものを考えていけ、こういうもし前提があるのならば、私はそうはいかないと思うのです。それで石炭を日の当たらない産業にしないということはもう当然なんで、これは石炭というものがちゃんと経済的に経済主義と言われれば、あるいは経済主義でもけっこうですが、経済的にちゃんと成り立つような産業になりましたら、石炭産業というものはりっぱにこれは日の当たる産業になると思う。なぜ一体日の当たらない産業であるかと言えば、現在経済的に成り立たない産業状態になっているから日が当たらないのでして、それを日の当たる産業にするためには、石炭というものを経済的に成り立つ産業にする。そのためには石炭の用途というものが現在のままでいいのか。これは新用途あるいは新技術によってその利用を考える、それはもちろんやるべきであると思います。しこうして現在の就労者というものを、そのままの数を維持することを前提として、経済主義を捨てて石炭政策をとれとおっしゃるのだったら、それは私はとれないと思います。従って問題を現在の離職者に対する待遇、その問題に重点を集中して、さっき阿具根さんのおっしゃった、過去における非常なる日本産業に対する功労がある。それに対してなすがままに、もう要らなくなったからお前要らぬということを言うということは決してしない。それはどういうふうにこれを優遇し待遇していくかということは、問題としてはむしろ考えていくべき問題じゃないかと私は思うのでして、お話の前提が現在の労働者の数をそのまま維持せよと、そういう意味において石炭政策というものを考えていけということでは、ちょっと私はそのお考えに、その通りでございますと言うわけにはいきません。
  53. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういうように極端から極端にわれわれとっているわけじゃないのですよ。私らの思想は、石炭産業というものはもう私企業じゃほんとうはやっていけないのだ、これは国がやるべきだという考えを私らは打ち出しているわけなんですよ。しかし現実問題からそれを言っているわけじゃないのです。だからそれも言っておらないかわりに、一人も首切るなということも言っているわけじゃないのです。それで長官の話を聞いておれば、二つのやり方があると思うのです。たとえば今言われた失業者はやむを得ないのだというならば、今日まで戦争中から戦前から考えてみて、日本労働者が少なくなった場合に、どこが一番少なくなるか、一番悲鳴をあげるかと言えば炭鉱です、率直に申し上げて。これは炭鉱に働く者は私は炭鉱でなければできませんという人はおらないのです。生活ができるならだれでも人間は太陽の日の当たる空気のきれいな所で仕事をしたいのが人情です。世界各国を回ってドイツなんかは今炭鉱の労働者が足らぬのだ、あるいは余るのだといっても日本からドイツに行くぐらい、炭鉱の労働というのはいやなんです。そういう所に勤めさしてきて今日に至ってやめさせるというならば、この人たちの生活の保証はまず国がすべきじゃないかと思う。これは外国でもやっている。もしもそれが今のように労働省まかせで予算はみんなでぶった切って、そうして首を切られて三十、四十になって子供が三人も四人もおるようになってから、新しい産業で一万円や八千円で仕事せいといったって、どうして生活できますか。だから私は冷酷無情だと言うわけですよ。冷酷無情じゃないならそれはドイツでやっているように今の賃金を保証して、そうしてどこかに仕事を見つけてやりなさいと、これが一つですよ。そういう現実問題とか経済問題にはついていけませんというなら、それは外国では一体どうやっているか。たとえば消費税をフランス等では二千八十円かけている。そうして石炭をカバーしている。それをあなた方は一方では石炭を六千万トン出させて、私が言えば、六千万トンの石炭は使えませんよと、こう言うわけです。それは石炭を六千万トン使えないような政策をしておいて、六千万トン出しても使わぬはずですよと、六千万トン使うような政策をしなければならない。それじゃどうするか。それは石炭に見合うように、今の現時点においては消費税をかけるとか、あるいは関税をかけるとかあるいは輸入を一応規制していく。それにしても重油石油も今から十年の後には二・何倍に上っていくだけの伸びがあるのだ。この伸びを少し傾斜をゆるめただけで今のような失業者は出ないじゃないか。この二つの見方があるわけなんです。だからこれを一体どうするか。この日本経済全般を見るだけでなくて、一つ日本国民の生活、それから産業というものを考えてやっていただくのがいいのじゃないか。今経済企画庁長官が言われたような、経済専門家を集めて経済はかくあるべきだということならみなそうなります。さっきから言っているように日本の農民の人に麦なんか作ってもらわないで、じゃんじゃんアメリカから買えばいいんです。アメリカだってそうでしょう、小麦が余って仕方がない、農民がこれじゃやっていけないという、もったいないけれどもあの小麦を海の中に捨ててしまった、それくらいあたたかい気持がどこの国でもあるはずです。日本はないじゃないですか。ただやめなさい、千二百コストを下げますよ、下げたあとはもう一切あなた方はやめることもないし、仕事を安心してやって下さいとはだれも言わない。三十八年はまたコストを下げなければならない、またこういうことになってくる、だから安心して働けない、そこに陰惨な闘争が起きておるじゃないですか。こういうようなことではひいてはどんな重大な問題になってくるかわからない。だれだって自分が生活できない、それで自分の子供を抱えて餓死しなければならないということになれば、どういう考えでも起ってきますよ、だからその二つの面を経済企画庁長官としてはどちらかにしてほしいと言うのです。どちらをおとり下さるか。現実の問題として世界的に斜陽産業だといわれている、それを肯定するにしても私はもっと政策があると思う。だからその二つのうちどれかをなんぼ保守党の内閣だといっても私はやるべきだと思うのです。その点いかがですか。
  54. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 私は二者択の問題じゃないと思うのですがね。(阿具根登君「そのほかにどういうことがありますか」と呼ぶ)要するに二つの問題のつり合いの問題だと思います。石炭を使う石炭需要といいますか、それは経済的に成り立つ限界において、これはいろいろ今石井大臣が言われましたけれども検討していく、そういうことについての新技術の発見とかいうようなことついてもこれは助成をしてやるし、同時に就労者が離職した場合の待遇といいますか、そういうことについて十分考えていく、これは二つのかね合いの問題です。で、さっき吉田さんの御質問に対して少し理屈っぽいことを言ったのは、何か二者択一的におっしゃって、経済主義をしておるかしてないかそれを返答せいと、こういうお話だから私はちょっと返答しかねる。それは経済主義は捨てないのだということは私はむしろ率直にお答えしようかと思ったのですけれども、そういうことで、両方のそれはかね合いの問題だと思うのです。結局離職者というものに対してこれの結末をつけることによって、みんな石炭企業も日の当たる場所に出るし、今まで石炭に就労していた人たちもいい生活ができるようになるなら、これにこしたことはないと思うのでけれども、そういうような方向でものを考えていくべきだと私は思っております。
  55. 阿具根登

    ○阿具根登君 あなたは経済専門家であって炭鉱の専門家ではないわけです。それじゃ私が今申し上げますが、一千二百円のコストを下げてそうしたら日の当たる産業になって、炭鉱の労働者はりっぱな生活ができますか。
  56. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 今のところは、そういうことだということに報告書はなっております。
  57. 阿具根登

    ○阿具根登君 できないのです。それはあなたにこんなことを言うと口はばったいようですけれども実際に石油の事情はどうですか。今重油日本が一番高いのです。だから今度は需要家が重油を買うことをしないで原油を買う。原油そのものを燃やした方が安いのだとこういうことを言っている。ということは、石災は割高だから重油を何ぼ高く売ってもいいんだというのが今の重油の業者なんです。業者というものはよその産業がつぶれると自分は喜ぶのです。国全体の産業ということよりも自分の産業の生死、存続が頭にあるんです。だから日本重油が最も高いのです。石炭の値段を千二百円下げれば重油はそれ以下に下げ得る余裕は十分あるのです。絶対太刀打ちできません。そういうふうに宿命づけられておるのです。それが今の経済に対するあなたの見通しでいけば、これだけすればもう石炭は日の当たる産業で決して御心配は要りませんよというようなことを言っているけれども、それは当たらないと私は思う。あと三年たって三十八年になっても重油石災は二千円の開きが出てくる、だからそこに政策が要るんじゃないか、こう言っているのです。
  58. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) それはよく私はわかります。ですからそこの部分で全然油の方も無制限に自由化して関税を絶対かけないということは、それはないでしょう。従ってその段階がきた場合には、たとえばこれは千二百円であるかどうかは私は必ずしも知りませんけれども、一応千二百円まで下げればいいということに報告書はなっている。そういうような段階がきた場合においては、重油に対する関税をかけるとかそういうような政策は当然とるべきでしょうね。ですから阿具根さんなり吉田さんのおっしゃることは、われわれの言うこととあまり違わないのじゃないかと思うのですけれどもね。そこで何か石炭を国営にしてしまえとかあるいは絶対に労働者を減らしちゃいかぬ、就労者を減らしちゃいかぬと——何か一つの前提があれば話がわかると思うけれども、そういう前提がないのだということになれば、話は同じようなことを言っているような気がしてしょうがないのですけれどもね。
  59. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこを、同じようなことじゃないということをはっきりしてもらわぬときょう質問した意味が何もないわけなんです。たとえばあなたの考え方は、君らが言うているのと同じことをやっているじゃないかとおっしゃるけれども、それじゃ筑豊炭鉱を見て下さい、九州の炭鉱を見て下さい、あなたのおっしゃるような実態になっているかどうかというわけですよ。それはほんとうに私がこういうことを感情でものを言っちゃいかぬと思うのですよ、自分が石炭にまみれてきたからといってこれのみ国会で強調するのは私はまずいと思うのですよ。しかし、失業者に就労させるとおっしゃるけれども仕事はないのです。実際あなたが採用する場合に、十五年も二十年も炭鉱に働いたその人に家族を養うだけの給料をやってあなたはあなたの企業で雇ってくれますか。私はそれは無理だと思う、私がさっきから言うように、おそらく事業者は慈善事業じゃないというのが日本の企業者の全部の考え方です。それはかわいそうだからそれじゃおれのところで使ってやろうという人はない、あってもその労働に対価する賃金しか払わないのですよ、それは当然なんです。そうすると、あなた方の言うように、この人々は技術も何も持たずに営々として日の見えない所で仕事をしてきた、外にも仕事はあるかもしれません、あるかもしれないけれども家族を食わせるだけの仕事はないのです。だから仕事につけないじゃないですか。だから全部政府の厄介になって今日やってきているじゃありませんか。生活保護を受けて、もう生活保護だけでほんとうに生けるしかばねで仕事する気力もない、だれもおれを世話してくれない、そうして電灯もつかない家の中に生活しているじゃありませんか、これが実態なんです。その実態をなくするために私は言っているのでそこにあなたと大きな開きがあるのです。だから失業対策だとおっしゃっても、いよいよ失業者が出るときにはあなた方皆さんが大蔵省に行ってくれて、そして失業者にこれだけの職を与えなさい、あるいはこれだけの処遇をしなさい、金を出しなさいということは言ってくれない。私は水田大蔵大臣もここへ来てくれるとよかったと思う。とてもそんな金は出しません。そうするといよいよ谷間ができてきて経済のしわ寄せが出る。一方は非常に日が当たっている。一方はみじめな敗残者になっている、しかもこれは政策のお陰だ、こういうことになるわけです。そうなるならば関税もかけようじゃないか、消費税もかけようじゃないかというお気持があるなら、そうなっているのだから関税もかけましょう、消費税もかけましょう、それでも出てくる失業者に対しては一つこうしましょう、という御相談があるなら私もその相談に乗りましょう、そうすべきじゃないですか、こう言っているわけですよ。
  60. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) ちょっと国会質疑応答の格好じゃないかもしれませんけれども、私も非常に勉強させていただくいい機会だと思いますから阿具根さんのほんとうのお考えを伺いたいと思うのですが、それは現在の石炭の価格を基準にしてですか。
  61. 阿具根登

    ○阿具根登君 現在の価格をそのまま私はこれが維持されるとは思わないのです。当然重油との競合になってくればこれは必ず下げなければならないのです。それを一挙に千二百円三年間で下げるとか、そのあとにはまた二千円下げなければいかぬというような大きな穴が見えているのにそういうことをやるべきじゃないと、しかしそのためには関税もかけると、しかし石炭も値段はこれくらいにしなさい、失業者が出るならその失業者に対しては生活を保障しましょうとか、あるいは首を無理に切らぬでも自然に退職していく人、自己の都合であるいは年令でやめていく人が年に一割あるならば、三年でできるところは五年しんぼうすれば無理は起らぬじゃないか、労使戦ったりあるいはそういう電灯のない所で生活しなくてもいいじゃないか、こういうことを言っているわけです。私は決して無理なことを言っているとは思えない、それは諸外国でもされているのです、諸外国でも。
  62. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 結局私とあなたの考え方というのはあまり開いてなくて、具体的には価格を幾らの線で満足するかとか、需要の量というものを大体どのくらいにおいたらいいだろうとかいうような話になってきて、だんだんに話がついていくんじゃないでしょうかね。どうも私はそういうような感じがいたします。そこで価格が千二百円というのは低過ぎるから、もう少し高いところに価格というものを安定せしめるように、それで重油の値段の方をむしろ調整しろというお話であるようなふうにも思えますし、それから所要量というものは六千万トンになるのか六千五百万トンになるのか、五千五百万トン以上の所要量を高い値段で使わせることが果して可能かどうかということについては、私は、経済主義と言われるかも知れないけれども、事実上の問題として疑問があると思うのです。そこでそういうようなことについてエネルギー小委員会は一応の報告を出しておりますけれども、これをさらに政府の方で受け取って石炭の問題としてこれの計画を立てるときに、十分そういう阿具根さんのお考えなんか承って善処したらいいじゃないでしょうか、そういうことを通産大臣も言っておられるように私は思います。ただ私が非常にさっきから抵抗をしておりますところは、現在の就労者というものを全面的にかかえる前提のもとにおいて、あるいは現在の価格のままで石炭というものを安定せしめて、それのために関税もとれ、あるいは需要も何とかどこかに押し込んで使わせろ、それからそれで足りない場合には政府は金を出していわゆる何といいますか、労務者に対する生活を保障しろという、こういうふうなことになってくるとそれはなかなかそうはいきませんよと抵抗を感ずるわけです。そうじゃなしに、あとは価格の問題と数量の問題ですね。はたして数量というものはそれだけ使い道があるのかないのか、それは石炭政策の問題とおっしゃるけれども、実際上の問題、事実の問題じゃないでしょうかと、こう私はまあ頭の中だけで考えている話なんですから、まあ経済企画庁というのは頭の中で物事を考える役所ですけれども、そこは通産省の方はもっと足が地についていらっしゃるでしょうから、よく通産大臣とも御相談をして、私は、阿具根さんのお話と私の考えていることとはちっとも違わない、ただちょっとの段階というそのところが問題になるので、それはあとの問題じゃないかと、こう思います。
  63. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこが違うのは、たとえば千二百円コストを下げろというのは、今のたとえば八千四百円ですか、重油は一キロリットル。その値段に見合うために千二百円下げろ、そのためには十一万の人が多過ぎます、こういうことを言っているので、それはひどいじゃないかと私は言っているわけです。八千四百円の重油はまだこの次には七千円台に下がる、おそらく私は最後には六千円台になると思う。そういう見通しがあるのにこういう政策はむちゃじゃないか。だから八千四百円なら八千四百円に石炭が見合わないというなら、その八千四百円に対しても一時は消費税をかけてもらわなければいかぬじゃないか。三十八年になれば重油ボイラー規制法もなくなるわけです。そうなるといよいよ石炭は使わない、六千万トンを掘ってもどこで使いますということになる。それは使わなくなる。重油ボイラー規制法というのも三十八年にはなくなってくる。関税もかけない、消費税もかけないというなら、何ぼ千二百円下げられても炭鉱は立っていきません、こういうことです。だから諸外国でもちゃんと石炭に見合う——石炭が今六千円しますか五千五百円しますか、よく今の値段はわかりませんが、それならそれに見合うように、一カロリーで一円もすればまずいでしょう。消費者が小売りで買えば一万円もする石炭じゃ高いと思う。それを一ぺんにトン当たり四千円にしろとか三千五百円にしろということは、それはむちゃだと思う。そういうむちゃをせずに見合うように重油の方に税金をおかけになりませんか。もうしょうがないじゃないですか。重油石油もえらいもうかってしょうがないじゃないですか。そのいうふうに税金をかけて、しかる後、石炭は少し高いから石炭を下げなさいということでやっていけば、こんな急激な革命的な争いは起こらないと私は思う。
  64. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 私の言っておることも阿具根さん了解というか納得したというか、話はわかると言って下さるだろうと思います。同時に私もあなたの言うお話はわかりまして、今、通産大臣にお話しますと、それは関税をかけることを考えるのだというようなお話ですから、あとは具体的な問題として、一つ通産省を中心にして研究していきたいと思います。ただ一番気になることは、吉田さんが経済主義を捨てるか捨てないかどっちかだというような、そういう意味のことを言われたのに対して、経済主義を捨てますということは言い切れない。これだけは固執しておきます。
  65. 吉田法晴

    吉田法晴君 経済主義を完全に捨ててしまって云々ということを申し上げておるわけじゃない。ただ、今までの概論が小委員会の議論にしても、それから政府の方針にしても、経済主義がほとんど全部じゃないか。それは多少、産炭地発電主義だとかあるいは需要の拡大について、製鉄、電力に話をしたとか、これは政府がやっておられるのであって、双方の協議になっておる。で、阿具根君の言うように、石炭産業に最大の日の当たらぬ産業にしないで、かかえていこうというならば、日本経済の全体の発展の中で維持あるいは発展の方向に持っていこうというならば、国として石炭政策検討をして立てるべきじゃないか。需要の拡大についても、あるいは経済主義が全然働かぬわけじゃありませんが、価格の問題、人間の問題等も問題になりましょうけれども、それらのものを今のように経済主義が一番最大に働き、あるいはその犠牲が労働者だけに来るということじゃなくて、いろいろな方策について、あるいは国の援助の方策についても、関税だとか財政的な援助ということを言われますけれども、それもとにかく維持発展させる中の具体策として、あるいは需要の拡大もこれをとにかく大きく政府として考えていくべきじゃないか。具体的な方策としてはわれわれの意見も聞こうという話ですけれども、戦後の石炭復興を要請をされたときには石炭復興会議というものが持たれた。労働者意見も取り入れられた。ところが現在の場合にはそういう意向というものはほとんど取り入れられておらぬ。労働者意見も聞き、労働者の犠牲だけじゃなくて石炭産業を維持発展させる具体的な方策を考えるべきじゃないか。政府がその気になってそうしてわれわれの意見も聞こう、あるいは石炭産業——これは何という名前をつけるか知りませんけれども、会議を持って意見を聞きながら石炭産業を維持していくべき方策を進めていく、こういうことになれば私はおのずから方向が出てくると思う。それは経済主義、資本主義に対してこれから社会主義に行かなければならぬと思っておっても、ここでそれを全面的に要求しておるわけじゃない。資本主義に対して修正資本主義もあるわけだし、それから現に全体のあれからいうならばある程度、修正資本主義で行こうとする面もあるだろうと思うんです。と社会保障その他の面におきましてもそうでしょう。ですから、そういう具体策を石炭政策について打ち立てる。今までのような、私から言わせると、経済主義のみに基づいて、いわば現状を多少とにかく修正する方針じゃなくて、これはもう、各国の例を少しずつ申し上げましたけれども、それはアメリカならアメリカでも、石炭について需要を拡大するために、委員会を設けて、労使あるいは政府も援助して努力をしている。そういうものも含んで、具体的な石炭政策を確立すべき段階だと思うから、政府としてその石炭政策樹立の方向に努力をすべきじゃないか。それから、その審議会というか、今までは経済主義に基づくエネルギー小委員会だけれども、もっと衆知を集めて石炭政策を確立するために努力をすべきじゃないか、こういうことを申し上げたのであります。
  66. 阿具根登

    ○阿具根登君 それではちょっと石炭局長にお尋ねしますが、二六・二トンの人当たりは、大体何十万人の労働者考えて今度立てられた方策ですか。
  67. 今井博

    説明員(今井博君) 十七万六千人でございます。
  68. 阿具根登

    ○阿具根登君 十七万六千で、大体五千五百万トンが目標ですか。
  69. 今井博

    説明員(今井博君) 五千五百万トン程度で、能率は、先ほど申しましたように二十六トン程度ということでございます。
  70. 阿具根登

    ○阿具根登君 通産大臣にお尋ねいたしますが、ただいまお聞きしましたように、二十六・二トン、一人一ヵ月石炭を出さなければ、この生産ベースに合わない、重油に太刀打ちできない、こういうお話なんですよ。そうしますと、この前石炭局長にはお尋ねしましたけれども、これは大臣からお話をお聞きしておかなきゃいかぬのですが、そうしますと、今問題になっておる北海道汽船、いわゆる北炭で、十三の炭鉱があるのに三つの炭鉱を第二会社に切り捨てたわけです。それを通産省はもうすぐ即座にお認めになったんです。北炭みたいな今一番いい炭鉱で、そしてこの三つの炭鉱は生産に合わないからといって切り捨てる。たとえそのいい炭鉱で、これが二十六トンに見合わなくても、ほかの十も炭鉱もあるんですから、そういうところで三十トンも三十五トンも出れば、まあ通産省が言われる二十六・二トンに見合うかもしれない。ところが、切り捨てられた炭鉱が、どうして二十六・二トン出るか。二十六・二トン出ないとわかっている炭鉱をなぜ通産省は認めたか、こういうことになるわけです。平たく申し上げると、一方では、二十六・二トン出しなさいと言って、整理しなさいと言っておりながら、一方では、出さないということをわかっているのに、中小炭鉱にそれをどんどんゆだねていかれる。いわゆる租鉱権、第二会社ですよ。租鉱権といえば高利貸しと一緒です。国の財産を自分のものとして、そして人に掘らして、そしてそのうちの歩どまりを自分で取るわけです。ちっとも損せぬわけです。そういうことを認めておいて、どうして二十六・二トン出ますか。出ないやつをどうしてお認めになりますか、非常に矛盾しておると私は思うんです。で、もうちっと言うと、そういうことをされるから、中小炭鉱というものは資金は入れない、今度は労働者は十時間も十二時間も、基準法にそむいてまで石炭を掘らせて、そのあとには大災害が出る。そして掘ったあとは、どうぞ国、買って下さいと言って、整備事業団が買い上げる。一体これはどういうような考え方でこういうことをされているか、これをお聞きしたいと思います。
  71. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 租鉱権のお話でありますが、これは今、北炭の例が出ましたが、これはまあ今までずっと分割を認めてきて、鉱山、鉱区によりまして、その端々の方までその会社が手が届かない。そのほかのものに渡せば、そこを中心にして掘るのだから、前の大きな会社で——かりに大きな会社が分ける場合としても、大きな会社がまん中のいいところばかり掘ってそこをほったらかしているよりは、今度は分けても、そこにまた一つの中小の仕事として、ここでやっていくという方が、全体的としては出るのじゃないかというのが、この租鉱権を認めておる根拠だと、そう思うのであります。それでこれはまああまり奨励していることでもなく、実際上にそういうふうなことが行なわれそうだというのをまあ認めているわけで、それはだんだん時がたつに連れて減ってきているようですが、まあ趣旨は今のような心で、石炭の増産にその方が資するという心持を持って認可をしているというつもりなんですが、今あなたのお話のように、貧乏な者がやるとつい手落ちが多くて、いろいろな鉱害なんか起こすもとになるのじゃないかというような点は、そういうことは絶対にない。それはこの方がいいのだというほどのものでは私はないと思いますが、それは別な方法で監督をしていくということで認めているというのが実情だと思います。
  72. 阿具根登

    ○阿具根登君 それが、大きな資本を持っているところでさえも二十六・二トンはこの炭鉱は出ない。それが資本の持たぬところでどうして出るか、ということは、今度はいいところだけで四十トンも五十トンも、三池も御承知のように五十トン出すといっているでしょう。五十トンも出すようになってくると、今度は、あなた方が認めた租鉱権であるが、税金で買わなければいかぬようになってくる。結局そうして資本家を太らせていくでしょうが、北炭で出し切れぬのを出す人があったら私はおかしいと思うんです。出す人があったら、それは北炭が出さなかったとしか言えない。三井でも同じことです。三井の資本で三井の技術で出せないような、それは小さい炭鉱かもしれません。出せないようなやつを、三井よりも金を持って、三井よりも技術を持って、資材を持って出せるところがあるか、ないでしょう。それをなぜそれほど簡単に認めるか。あなたが二十六・二トン出さねば炭鉱は、重油と太刀打ちできないから減らしなさいといったって、それよりももっとまずいところは、なぜ許可されるというのですか、その理由は何かということです。そこに私は矛盾を感ずるわけです。そうして頭を押えるんですよ。五千五百万トンに頭を押えてやる。そうすると今度は残った炭鉱は、二十六・二トンじゃなくて、三十トンから四十トン出すようになります。おそらくそうでしょう。そうすると二十六・二トンで切り捨てられた山がついてこれるわけはないでしょう。これはおそらく整備事業団で今度は買い上げる。そうして二重にも三重にも業者はもうかっていくわけです。そうしてその言いわけは、自分のところで買わなかったらばこれは失業するんだ、こうおっしゃるわけです。中小炭鉱でやれるならば、この炭鉱でやれないところは何もない。私はそう思うのですがね。だからあまりにも見え透いたことをやっておられるのじゃないか。法律がじゃまするならば、法律を変えたらどうですか。もう石炭がここまできているんだから、これはとても今のままでは租鉱権は認められないぞ、それより租鉱権をきめる場合には十年なら十年間認めてやりなさい。そうしなければ、租鉱権をもらった業者も、今のように二年や三年や五年の租鉱権を認めてもらったのでは、保安の設備も安全にならない。だからこれは今井局長は四苦八苦、その跡始末は全部、爆発だの水没だの、六十七名はまだ石井大臣の足元にいかっておりますよ。この前の十八人の人が全然出ませんよ。これは出ないとあきらめて慰霊塔作りましたよ。今のままでは六十七名も私はそういう結果にならぬかと私は心配しておるのです。だからどうも基本的に、言われておるのと通産省がとられておる措置がさか立ちしておるような気がするのです。間違っておるような気がするのです。
  73. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 気をつけてやります。
  74. 阿具根登

    ○阿具根登君 だから私は、今ある租鉱権をつぶしなさいとか何とかいうことを言っているわけではないのですよ。そんなことではない。しかしその租鉱権の問題を言えば、租鉱権で働いておる人は、ここまでつぶすのではないかという心配があるかもしれませんけれども、そうじゃなくて、租鉱権の炭鉱でも安心して働けるように長期間の契約を政府が行政指導でおやりなさい。それから今後はこういう租鉱権を認めないようにしてもらいたい。もう一つは、炭鉱というところはどんな炭鉱でも危険がつきまとっておるのです。そういうところにですよ、鉱害の賠償もしない、鉱害の弁償もしない。たとえば労災保険の金も払っておらない。災害があったら、その金をもらうことに一ぺんに、今度でも籾井炭鉱、御承知のように十三名、ガス爆発したところが、百何十万円ですね、一ぺんに持ってきて労災保険納めるわけですよ。それでも泣く泣くもらわなければ、罹災者は労災保険もらえないのですよ。罹災者が出なければ会社は労災保険料も払っておらない。まして鉱害なんか振り向きもしない。そういう人たちに炭鉱の経営をさせるのが正しいでしょうか、私そういうのをなぜ許可するかと思うのです。もうかるときだけよくなって、少し悪くなればすぐ売山だ。政府に買ってもらう。そういうようなあり方で、これはほんとうに労働者を犠牲にしてしまっておる。だから今後は石炭事情もこういうふうだから、租鉱権なんというのはこれは許されませんよというぐらいの私は、はっきりした線を打ち出してもらわなければ、これは大炭鉱としては、租鉱権に落せば、黙っていて割り前きますよ。そしてそれは掘れ掘れで、保安も何も無視して石炭を掘るでしょう。掘らなければやっていけない。大炭鉱ができないのが小炭鉱がやっていけるわけはない。そうすれば災害がつきまとってくる。だからたまには、そうしなければここはやめますよというようなおどがしかかるかもしれないけれども、国のそういう大切な資源を、法律ありますけれども、先願権で自分のものだときめて掘っておる業者の責任だと私は思うのですよ。だからそういう点を行政指導でもう少しぴしっとやっていただかないと、労使の紛争というのがより以上に強まってくる。
  75. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただいまお話のあった租鉱権に対するいろんな意見は、そういうふうなことがあって鉱害を起こすもとになるというようなものを認めるわけにいかぬわけでありますが、これから先の認可の問題、それから今お話のあった認可、もし許した年限が短くて、いいかげんだというようなことのないような、行政措置というものも、できるだけあなたのおっしゃるような線で一つ考慮いたします。
  76. 阿具根登

    ○阿具根登君 それから保安問題で御質問申し上げたいと思うのです。これは委員長以下委員会から派遣されて参りましたから、もう御承知のことと思うのですが、先ほど申しました香川の豊州炭鉱で六十七名水没しておるわけなんです。その水没しておるその原因が非常につかめないで、一体これはだれの責任か、こういうことになっておるわけです。まず小岩井局長に、まあ非常にむずかしいと思うのですけれども、今日までその救済作業がどのくらい進んでおるのか、いかった六十七名の人がいつごろ掘り出されて遺族に渡されるのかという見通しがあったら教えていただきたいと思います。
  77. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 豊州炭鉱のその後の収容作業につきましては、あまり順調にいってないのであります。御承知のようにまず川底に陥没しております陥没の穴をふさぐこと、これを完全にふさぎませんと今後の排水の作業を続行させることが非常に危険を伴ってくる、そういう関係で、現在川底の陥没の個所の修復につきましては、建設省初め、現地の県の土木関係で工事の設計その他を進めております。大体、数千万円の経費で、まあ相当な、数カ月で、まあ、はっきりは申し上げかねますが、数カ月かかるのではないか、それからもう一つの付近の火災の所もありますが、これはすぐ消せなくても収容作業には直接関係はないのじゃないか、こういうふうに見ておりますので、ます川底の陥没の修復をやって、それと並行して排水作業をやる。現在排水作業につきましては、坑内、外の二百数十名の人員によりまして排水作業が、そのうちの約九十名ばかりを坑内にかけて、そうして百馬力二台、百三十馬力を一台、約三台のポンプで現在排水をやっております。坑道が相当崩落しておりまして、排水作業も遅々としております。十七日現在で坑口から約三百メーターぐらいの所でありまして、まだ死体のあります個所へは二千数百メーターもございますので、これが完全な収容には相当長期間かかるものと考えております。先生、御承知のように東中鶴で変災をやりましたときに、当時現地の監督部におきましても、数カ月ぐらいで排水ができる計算を一応しておったのでありますが、実際に排水をしてみますと、非常にバレが大きかったために、一年以上かかりましてもまだ半分も排水ができなかった。そういうような実情から推定いたしますと、坑内はおそらく東中鶴の場合よりもまだ深く遠いわけでありまして、しかも入りました、流れ込んだ水が相当急速に流れており、東中鶴の場合は、隣接坑区の古洞でありますけれども、豊州の場合は川底が直接陥没いたしまして、河川の水がそのまま旧坑を通って坑口に流入している、こういうような関係で、相当坑道もいたんでいるのではないか、こういうような想定をいたしますと、かなり長期間の日数がかかるものと考えております。  まあ、現在私自身からこう申すのはどうかと思いますけれども、全員の収容は相当困難じゃないか、あるいは考えようによっては、ちょっと不可能に近いのではないか、ただ、一方の斜坑におきましては退避の連絡がつきまして、大部分の者が退避をいたしております。一部残された者がかなり上部の方にかけ上がってきているという情報がございますので、片方の卸しの人間につきましては、かなり上部にきているという予想のもとに、一部収容ができるのではないか、比較的早くできはせぬかということを考えておりますが、もう一方の卸しは完全に連絡がつきませんで、四十数名そのまま作業個所近辺で罹災しているものと想像されますので、これは坑口から二千数百メーターもございますし、おそらく現在のような遅々とした排水の状況ではほとんど困難ではないか、かように考えております。しかし、鉱業権者に対しましては、別に法で命ずるという条項はございませんけれども、たまたま、まあ、現地におきまする相当有力な経営者でもありますし、私どもといたしましては、収容作業を断念するようなことのないように強力に指導して参りたい、かように考えております。
  78. 阿具根登

    ○阿具根登君 局長のお話も十分わかりますし、私も現地を見ておりますし、質問する余地のないくらいに私も知っておるつもりなんです。しかし、心配されるのは、今局長が言われたように、あの古洞から入った東中鶴でさえも十八名の死骸をあげることができなかった。今度のやつは川底がほげておるし、ただいま言われたのは芳の谷区だと思うのです。芳の谷の方は連絡がとれたから、二十数名の人は何とかあがるかもしれないけれども、大焼の方は、もう一つ下の方は、これは三十数名の人はなかなかあがりにくいのだというようなことを言っておられますが、非常に私は心配いたしますのは、今度の場合はあの東中鶴と達って、あの原因になったのがはっきりと昔のことでつかめない。だからこれは今の鉱業主の責任でないのだ、こういうことになっているわけなんですね。そうしますと私は放棄する可能性が出てくるのじゃないか。極端に言えば、おれのところも被害者だ、被害者がこれ以上豊州の水を出せ、人間を出せと言われても、これはたまらぬ、こういうようなことになりやしないか。これを非常に心配するのですが、そういう心配はございませんか。
  79. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 豊州の原因につきましては、たびたび申し上げておりますように、川底の直下がほとんど採掘されておりますので、これはまあ天災というわけには参りません。人災と私どもも考えておりまするけれども、一体だれがそこを掘ったのかという点が十分にわかっておりませんので、それらの点を目下調査いたしまして、人災ではあるけれども、不可抗力であったかどうかという点につきましては、もう少し調査をさしていただきたい、かように考えております。
  80. 阿具根登

    ○阿具根登君 それからもう一つは、さっき言われた自然発火ですが、自然発火の方が今実際、田川市の方で、十二軒の六十七人が避難をして、これを市がめんどうを見ておりますが、これを消火する場合に、その消火する場合のやつはあるいは鉱害とか、あるいは特別交付金等で処理できるにしても、その被害者、いわゆる何も知らなかった住民の被害に対する補償がどこからもないわけなんです。これはどこもするわけにいかぬわけです。そういう法律はないわけですね。これはもう石炭局長さん等も非常に心配していただいて、何とかならぬかということで、相当調査してみたのですが、そういう場合に一体どういうような処理をしようと大臣考えになっておりますか。たとえばですね、今実際石炭に火がついておる、そして家は傾いておる、立木は枯れておる、井戸の水は温泉の湯のようになっておる。そうするとその人たちを立ちのかして、そうしてその火の原因を突きとめて、これをもと通り復旧することに国で当然やらなければならぬ。しかしそのためには、その上に建っておる家屋をのかせなければならぬ。そうするとのかしたならばその家屋を建ててやらなければならぬ。これは一体だれが建ててやるか、こういうことになるわけです。それが二十軒になるか三十軒になるか、今のところまだ調査が進んでいないと思うのですが、それは一体だれがしてやるか。それをせずに立ちのけといって、家をのかすことができるか。のかさなければ、下は燃えているから、いつ陥没するか爆発するかわからぬ、こういう結果になる。これ、一体どうするか、この点を大臣に一つお伺いしたいのですがね。
  81. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今の地下火災の問題、これは非常に心配しておるわけであります。上に人家が十二軒あるという問題、これで簡単に、隣の豊州炭鉱というものがこの間のようなことがなければ、一応は穴をあけて水を注ぐというようなこと等が考えられることだそうでありますが、もしそういうことをやって水がどんどん入ってきて、向こうの方へ流れ込んでしまったら、せっかくやったものがもとの黙阿弥になってしまってどうにもならない。簡単にやれない。この間から石炭局の方でいろいろな人にお集まりを願ってこのような場合どうしたらいいかということの研究をいろいろやっておりまして、今のところは、とりあえず火の出ておるような所に、何といいますか、遮断したような格好にはしておって、そしてあまり延焼しないようにという心持で準備だけしながら相談をしておりますが、しかしそれはまだ、きょうもさっきも石炭局長と話し合ったのですが、どれがいいというところまで至っていないようであります。  それから、どういうことをするにしても、今あなたの言われる、そこの上に現に人が住んでおるという問題、住居の問題もあり、その人たちの生活の問題もある。これは非常な大きな問題です。一体今の法規上からいうと、どこに持っていきょうもない格好のものだそうでございます。そこで結局すると、どこにもいくところがなければ、国なり、あるいは要するに公のところで何とかしなければならぬということだろうと思いますけれども、そこに持っていく手順もいろいろあると思います。あそこの鉱業権を持っておられるのは上田君のところですし、非常にああいうものわかりのいい人ですから、近所のことですから、自分の前の時代はよくわからぬけれども、何とか話し合おうじゃないかということで、一つ近く石炭局長に行ってもらいたいと思っております。何とかいろいろ話し合いをしてみたいと思っております。何とか問題を離れずにやっていきたいと思っております。
  82. 阿具根登

    ○阿具根登君 この問題は非常に微妙な問題もございますし、また、私もこういう公式な場所でないところで御相談を申し上げたいと思います。法律の意味もずいぶんあるようでございますが、きょうは解散の予定でもございますし、大臣ももう時間がないそうですから、私はこれで打ち切って、あと何か吉田さんの質問があるそうですから、私の質問はこれで打ち切ります。
  83. 吉田法晴

    吉田法晴君 大へんおそくなって恐縮ですが、きょうぜひお尋ねをしておかなければならぬと思いますので、短時間ですが、お伺いしたいと思います。  問題は電力料金の値上げ問題です。九州電力から料金値上げの申請が出ておって、その申請の始期は十月一日ということですが、産業国民生活、広範に影響があり、しかも申請は平均一七・五%ということですが、石炭については先ほど来話が出ておりましたが、千二百円下げろといわれながら、石炭生産費に百円、二五・七%も上がるという結果の計算が出ております。硫安工業では一八%、西鉄だけで八千万円、一億近い。中小企業に例をとりますと、酸素工業で三〇%、機械工業で二五%、鉄鋼業で一五%ないし一六%、パン製造業で一八%、民間の電灯料はアンペア制その他で三〇%、ひどいところは五〇%近くも上がるといわれておる。従って、九州の福岡だけでなくて全部の県から、あるいは九州の全部の市議会から、あるいは各産業、これは大企業、中小企業を問わず、産業界から値上げ反対のほうはいたる声が起こっておることも御承知の通りだと思う。あるいは婦人団体あるいは市民団体、いわば全市民関係の、全国民といいますか、これは九州等が中心でありますけれども出ております。そして、それは九州だけにとどまらずに、他の電力会社についてもこの帰趨を見守られておって、九州電力が上がれば他の電力会社も相次いで値上げ申請をしたい。こういう態勢にありますことは御承知の通りであります。池田内閣はこの数日来の方針で、物価は安定しているし、物価を上げないで成長率九%を見込んでいく、こういう方針ですから、電力料金の値上げをよもや認められることはないと思うのですけれども、巷間言われておるところでは選挙の前には上がらないかもしれないけれども、選挙が過ぎたらこれは間もなく上がるのではなかろうか、こういう憶測をいたしております。  そこで、この電力料金値上げ申請に対して政府はどういう態度で臨まれようとするか、基本的な態度を承りたい。これが一つ。  それから、現在の検討の作業がどの程度まで進行しておって、どういう、いつごろまでに結論を出されようとするのか。これはまあ三年間の需給計画等も検討されるでしょう。あるいは影響等通産省検討されるだろうと思うのですけれども、産業国民生活に影響するところがきわめて重大でございまして、それから他の電力会社もですが、他の物価にも影響するところきわめて大きい。それから国民生活に対する影響は、これは中小企業のサービス料金ならともかく、生産費に響く、あるいは物価全般に響くことは間違いない。従って、物価政策との関連もございますので、通産大臣の見解を承りたいと思っております。  なお、今後検討していく、あるいは意見を徴していく中に、もちろん国民の意思を聞かれるでしょうが、国会あるいは商工委員会等の意見もお聞きになるおつもりがあるかどうか、あるいは先ほどの石炭の問題で、いわば石炭についてこういう情勢の中だから特に考えるというあれがあるかどうか、それらの点について承りたいと思います。
  84. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 九電からの料金改訂はこの夏ごろ提出されたのでありますが、これは今お話のありましたように、その影響するところは非常に広いのでございます。経済的にも社会的にも、あらゆる面に影響のあるものでございますから、これは簡単に申し出をそのまま受けてイエス、ノーをきめるものではないので、いろいろな角度から十分な検討をしなくちゃいけないということを私は事務当局に言い渡しまして、今検討をやらしておるところでございますが、まだ私には何の報告も出ておりません。私は初め出たときに、十月から十一月にかかるころまでには事務的ないろいろな調べを終わり得るようにいたしますということでありましたが、まだ実は何も聞いておりません。中途半端なことを聞くと、かえって私の考えがごたごたになると思う。はっきりした事務当局の最後的なものが、いろいろな調べができてから一ぺんに聞こうかと思うて、何も聞いていないのが実際でございます。政府といたしましては、こういうふうな皆さんの生活にも大きく響くようなものについては、できるだけ値上げを押えていくという方針で、この間からあらゆる場合に、総理大臣初め皆が申していることは、政府の態度でございます。従いまして、この九電の申し出の問題につきましても、今のような心持を持ちまして、ただ、いたずらにこれが出てきて、なるほど、そうしたら都合がよかろうというくらいな考え方だけではきめないという心持は持っているわけでございます。内容をよく検討し、そうしてでき上がりましたものにつきましては、公聴会にかけまして、一般の声を十分聞きまして、そうしてこれを決定する。これは規定の上では通産大臣の決定する権限内になっているのでございまするが、影響するところが大きいのでございまするから、私は閣議にもかけて相談をいたしたいと思っております。それから国会意見を聞くかということでございましたが、国会にはあらためて御意見は承りません。決定するには承りませんが、御意見があるところは、おそらく今おっしゃったような、吉田さんの言われたようなことが皆の気持だと思うのでございます。それを頭に入れながら、私はこれの最後の決定をいたしまして、そうしてそれは詳しく御報告申し上げることにいたしたいと思っております。
  85. 吉田法晴

    吉田法晴君 局長から補足されることがございましたら……。
  86. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) ただいま大臣からお話ございましたところの作業の進行状況につきまして補足して申し上げておきたいと思います。  大臣のお話にございましたように、実はまだ私も大臣に御報告申し上げておりませんが、料金に関しましては、まず収入の見積もり、それから支出の原価、この分析をやる。それからさらに供給規定におきまして、供給条件の内容についてこまかい検討をいたすわけでございますが、この収入、支出の見通しを立てます前提といたしまして、三十五年度の下期から三十七年度上期まで二年間の需給推算を作らなければならぬわけでございます。どういうふうに電気を売るか、どういうふうに供給が入ってくるか、キロ・ワット・アワ——幾らか、こまかい精算を需用ごとに計算をいたしますので、この作業が相当時間がかかりまして、現在まだ最終的な詰めを終わっていない段階でございます。従いまして、今後できるだけ作業を進めますが、今しばらく作業にもう一カ月、二カ月くらい、今時間を考えておりますが、まとまりましたら事務当局として大臣に御報告申し上げまして、御相談いただくことにいたしております。
  87. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると今まだ需給の推算なりあるいは検討なりになお一、二カ月を要する、こういうことですか。
  88. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 現在かなり先の数字まで出さなければなりませんので、時間がかかっておりまして、もうしばらく結論を出すまで余裕をいただきたいと思っております。
  89. 吉田法晴

    吉田法晴君 慎重なのはけっこうですが、基本的に、とにかく認めるか、あるいは認めないか、こういうことだと思うのですが、大臣が押えると言うたとすれば、認めることはなかろう、こういうお話でしたけれども、政府の方針から、あるいは総理等が言われたあたりからいえば、物価は上げないで成長をはかりたい、こういうことですから、私どもは、電力値上げが産業あるいは物価、あるいは国民生活に影響する点から、あの言明からすれば認められないと思うのですが、さらにこれは、まあ実は財政資金の問題から、新しい電源開発の所要資金の問題から出てきておる。佐藤さんがアメリカかに行かれたそのときに、これは経営の実態よりも償還の保証として電力値上げというものを要請されたように私どもは理解をしておる。従って今後の電源開発についてどこから見るかという問題も関連があると思いますので、それらの点についても、電力料の値上げに反対をいたしております公共団体あるいは議会、それらのところでは、新しい今後の電源開発については、公益事業の実態にかんがみて、国でも財政的な援助をし、あるいは融資の方法をはかるのであるから、電力値上げを認めないでほしい、こういう要望ですが、それらの点は考慮されると思うのですが、重ねて財政的なといいますか、国の援助を受けて、電力値上げにならないように努力をしたいという方針が言明できますかどうか、最後にそれを伺いたいと思います。
  90. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) どういうことになりますか、今のところは……。今の電源開発の問題その他について、各電力会社が資金の要ることは当然でございます。これがための資金は財政面からも援助をいたしまするし、それから民間からも援助していくということは、今までもやっておりますし、今後ともやることには変わりありません。  それからアメリカでどういう話を佐藤君がされたか、私はこれはうわさに、だれかにずっと前にちょっと聞いたことがありましたが、こうだという話は佐藤君からも私聞いたことはございませんので、よく知りませんが、そう強いものではないと思います。そんなことであれば、そういうことが必ずわれわれの耳にも正確に入っておったと思うが、何も聞いておらない。  それから初めおっしゃった点について誤解のないようにはっきり申し上げておきたいのですが、今私どもは、これは私一個の、通産大臣としての意見でなく、政府として、物価は上がらないような方向に持っていくということの努力をいろいろしていくということは、これは政府の方針でございます。それ相当にいろいろやっていくつもりであります。従いまして、この問題を取り扱う場合にも、根底にはそういう気持を持っております。しかしそれをどう扱うかということは、これはみんな、調べが出てこないときまらない問題でございます。そこははっきりしたことが出てから、私の態度をきめるときにあらためて申し上げます。
  91. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは今時間がないということですから、あとは後刻に譲ります。
  92. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本件の質疑はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十五分散会