運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-11-30 第36回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十一月三十日(水曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————   委員の異動 十月二十二日委員大沢雄一君は議員を 辞職した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     稲浦 鹿藏君    理事            田中 清一君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            米田 正文君            内村 清次君            武内 五郎君            永岡 光治君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣   建 設 大 臣 橋本登美三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省計画局長 關盛 吉雄君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省住宅局長 稗田  治君   参考人    日本住宅公団総    裁       挟間  茂君    日本住宅公団副    総裁      渡辺喜久造君    住宅金融公庫副    総裁      師岡健四郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (災害復旧対策に関する件)  (住宅対策に関する件)   —————————————
  2. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  本日は、初めに災害復旧対策に1関する調査といたしまして、本年度災害復旧事業費等補正予算案中心といたしまして、事業進捗状況調査及び前回に引き続き住宅対策に関する調査を行ないたいと存じます。  それでは、まず本年度災害復旧事業費等補正予算案、並びに事業進捗状況について、建設省当局から説明を願います。
  3. 山内一郎

    説明員山内一郎君) それではお手元にございます資料に基づいて、今年度公共土木施設災害状況、それから補正予算関係を御説明いたしたいと思います。  こういう資料が参っておりますから。「昭和三十五年発生公共土木施設災害関係資料」一ページをお開き願います。ここに総括的に災害原因別直轄補助別に概略が書いてございます。上の表が本年の状況でございまして下は三十年以降を比較してございます。上の表で申しますと、一番右に合計がございますが、合計の一番下をごらんいただきますと、直轄補助合計して二万九千八百七十九カ所、四百九億二千八百四十五万一千円、こういう金額に上っております。これは被害報告額合計でございまして、まだ査定した結果ではございません。  その内訳といたしましては、一番左から、五月までの融雪風浪豪雨、この災害によりまして、直轄が五億一千万円、補助が十八億三百万円、合計いたしますと二十三億千四百万円、五月にチリ地震による津波発生による災害が生じておりますが、それが合計で四十一億五千六百万円、こういう数字になっております。その次に、六月から八月までの豪雨災害といたしまして、直轄補助合計百十億七千一百万円、それから八月に入りまして台風が三回—四回来襲しておりますが、十一号、十二号は引き続いて参りましたので、合わせて書いてございますが、八月が十一号、十二号台風によりまして八十二億二千九百万円、それから十四号台風、これが八億一千二百万円、それから十六号台風百十億九千九百万円、それから九月以降の豪雨、それから小さな台風がございましたが、それから風浪、これを合計いたしまして三十二億四千三百万円、全部を合計いたしますと、四百九億二千八百万、こう下数字になります。  下の方をごらんいただきますと、三十年災以降を比較してございますが、この六カ年のうち一番大きいのは、昨年の伊勢湾台風を含めました災害でございまして三十四年災のところをごらんいただきますと、直轄補助合計で一千五百八十三億九千七百万円、それが一番大きくなっております。その次が三十三年災の狩野川台風を含めました災害でございますが、これが五百五十六億五千二百万円、その次に本年の三十五年災、先ほどの四百九億、以下順序として三十二年災、三十年災、三十一年災、こういうようになっておるわけでございます。  二ページをお開き願いたいと思います。ここに、左に直轄災害、それから右に補助災害がございますが、直轄の方は河川、それからまん中から少し下に砂防、その下に海岸道路——これはまあ道路局所管でございますが、便宜上ここに書いてございます。道路というような区分けがしてございまして大きく被害を受けました河川を拾ってみますと、河川まん中辺に、木曾川上流三億七百万というのがございます。これは台風十一号、十二号による被害でございます。それから大井川の六千万円、安倍川六千万円、それから担保川、ずっと参りまして那賀川、筑後川、こういうような河川被害を受けております。それから直轄砂防といたしましては、安倍川の九千五百万円、あと海岸道路が、こういうような状況になっております。それから補助災害といたしましては、総計で一番下に三百九十三億九百万円でございまして、このうち一番災害のひどかった県は、岐阜県でございます。まん中から少し上に書いてございますが、三十六億九千九百万円。これは台風十一、十二号並びに台風十六号、三回の台風被害を受けております。その次は、一番上の北海道の二十五億九千七百万円。これは融雪と、それからチリ地震被害でございます。そのほか十億以上の県を申し上げますと、青森岩手宮城、秋田、それから少しいきまして、新潟、長野、静岡、三重、福井、京都、兵庫、和歌山、広島、山口、こういうような状況になっているわけでございます。  三ぺージ、表3をお開き願います。これらの災害被害につきましては、逐次緊急査定、それから現在は本査定実施をいたしております。直轄につきましては、査定を全部完了いたしております。それから補助につきましては、全国のうち二十九県完了いたしておりまして、大体金額にして六割の査定を終わっておりますが、十二月三十日までに全部完了予定で、現在進行中でございます。逐次査定完了後、予備費支出をいたしておりますが、その状況がこの表3でございます。第一回といたしましては、七月五日、直轄が九百四十万、第二回八月十六日、直轄補助で四億八千二百万円。三回九月八日、六千二百万円。第四回十一月十五日、七億五千五百万円。合計いたしまして、十三億九百万円の予備費支出をいたしております。  なおあと予備費はあまりございませんので、それ以後の所要額につきましては、現在補正予算を計上すべく、大蔵省折衝いたしております。  それから四ページは、現在その補正予算大蔵省折衝中でございますが、その概況をこの表で御説明をいたしたいと思います。四ページは過年災害の分でございまして、「三十四年災」というのは、ちょっと変なところに書いてございますが、直轄が三十四年災という意味でございます。直轄、これは三十四年災だけしか残っておりませんが、総国費で六十二億六千九百万円。それが三十四年度、五年度にここに書いてございますような支出をいたしまして、あと補正予算見込額二億七千六百四十万円、これを計上いたしますと、内地が全部完了いたしまして、北海道は多少残る、こういうことでございます。  どうして補正予算に計上したかといいますと、いわゆる直轄災害圧縮率といいますか、請負の残金とか、計画変更等によって、当初の決定額より下がるのじゃないかという圧縮率を、本年度の当初予算では八・二%に見ていたのを、その後の精査によりまして三・六%にせざるを得ない。その差額補正予算に計上したという意味でございます。  補助につきましても同様でございまして、ここに年災別、三十二年災、三十三年災、三十四年災で計上したのでございまして、補正予算見込額といたしましては合計で七十億六千三百万円、これもやはり圧縮率差額を計上したのでございまして、その結果、実質的に一番右に書いてございますが、A分BプラスCというのは補助予算も入れました進捗率でございますが、三十二年災は完了する、三十三年災は八五%、三十四年災は六五%、こういう結果に実質的になるというわけでございます。  それから伊勢湾高潮対策につきましては、本年の台風期を目標にいたしまして、原形復旧という線が大体達成をされましてその後なお余力がございますので、さらに進捗をしたい、こういうので補正予算の計上をするべく準備をいたしておりますが、その金額は、補正予算見込額のずっと一番下の伊勢湾高潮対策直轄関係が七億、補助関係が二十八億一千四百万円、そのほかに調査費が三百万円でございますが、これを計上して、さらに伊勢湾高潮対策促進したい、こういう意味でございます。  それから五ページをお開き願いたいと思いますが、これは当年発生災にかかる状況でございますが、先ほどの予備費支出以外の不足分補正予算で計上いたしまして、所定の進捗率まで持っていこうということでございます。災害復旧直轄河川におきましては、補正予算のところをごらんいただきますと、一億一千二百万円、これを計上いたしまして、その左の予備費支出決定済額四億六千八百万円、合計いたしまして河川は四六%の進捗にしよう、これは内地が五〇%、北海道国費関係が四〇%、平均いたしますと四十六でございます。  それから砂防関係は、予備費で全部本年度分は出ております。海岸も同様でございます。道路も同様でございます。  補助関係といたしましては、予備費支出をみております七億七千七百万円に補正予算見込額の五十五億二千六百万円の合計をいたしまして、緊要事業の三割、全体の進捗でいきますと二五%の進捗をみよう、こういうことになるわけであります。  次には災害関連でございますが、これも全部まだ計画は確定いたしておりませんが、災害関連のうちの河川等災害関連、これは全体の災害復旧事業費につきまして、それに所要関連費推計をいたして一番左の十億二千五百万円、これの推計をいたしましてそれの二〇%が進捗するようなふうに予算を計上するという準備を進めております。  それから下の河川災害復旧助成海岸災害復旧助成につきましては、従来当年災は、予備費あるいは補正予算には計上されずに、次の年から計上され、ておりましたのを、本年災害につきましては補正予算で、わずかでありますがともかく計上いたしまして河川助成は十河川予定しておりますが、多少でも計画的に災害復旧とだき合わせて事業進捗を見たい、こういうので四千五百万円、それから海岸助成は五百万円、これは全国で二海岸予定しておりますが、これの促進をはかりたい、こういう意味でございます。  それから緊急砂防につきましては、当初予算に三億一千万円計上いたしておりますが、それでは不足でございますので、補正予算で五千万円計上して緊急砂防促進をしたい、こういう意味補正予算に計上する予定にいたしております。  それからチリ地震津波対策事業につきましては、二十八日に審議会を開きまして、大部分事業決定をこの審議会で結論づけておりますが、その結果に基づきまして、建設省といたしましては約三十八億ぐらいの対策費が要りますが、本年度はその消化能力を勘案いたしまして、ここに九千二百万円計上してございますが、これによって、ともかく災害復旧費一緒に、チリ地震津波対策事業を着工するということにしたい、こういうつもりでやっております。  以上、簡単でございますが、本年の災害状況と、それから補正予算説明を終わります。
  4. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に計画局長
  5. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) お手元に「昭和三十五年発生都市災害被害額及び査定額並びに予備費支出額一覧」という横書きの資料を差し上げてございますが、これに基づきまして三十五年発生都市災害状況を申し上げたいと思います。  この資料にあります通りに、災害は五月のチリ地震津波対策、それから六、八月の豪雨、八月二十一日の十四号台風、八月二十九日の十六号台風、このように分けてございまして、それの関係いたしております府県名をそれぞれ掲げてございます。これらの全体の被害報告額は、該当の関係地区から参りましたものが被害額として掲げてございます三千七百五十四万二千円でございまして、それを査定いたしましたものが二千百四十三万八千円、このようになっております。これに対しまする国費所要額都市災害、下水並びに街路その他公園等でございますが、二分の一の補助率でございますので、一千六十七万三千円ということになったのでございます。  これに対する今日までの対策でございますが、すでに予備費支出決定されておりますものが六百五万二千円でございまして、五月のチリ地震津波につきましては二百六十九万円、八月十六日の閣議において決定されております。六、八月豪雨、それから十四号、十六号の台風につきましての予備費支出額は、それぞれ十一月の十五日に決定されておりまして、残り部分、特に十六号台風につきましては、今後の補正予算において実施考えておりまして、二百二十六万一千円というものが目下予定されておる予定国費金額でございます。残りは明年度以降の予算において実施する計画でございますが、このようにいたしまして実施いたしますと、都市災害の備考の欄の一番下をごらん願いますと書いてあります通りに、三十五年発生災における本年度予算、これは予備費と、予想される補正予算をもっていたしますと、復旧率は七八%、こういうことになる見込みでございます。  簡単でございますが、概要御説明を終わります。
  6. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に、住宅局長から説明願います。
  7. 稗田治

    説明員稗田治君) お手元にお配りしてございます「昭和三十五年発生住宅災害復旧対策」という横とじのプリントがございます。それに基づきまして御説明申し上げます。まず最初公営住宅関係災害対策でございますが、五月にございましたチリ地震津波によりまして、滅失戸数査定しました結果二千九百八十四戸でございます。で、災害公営住宅建設の法律上の限度戸数は千二百一戸でございまして、これにつきまして地元の要望は千一戸でございます。三十五年度に六百四十二戸、三十六年度に三百五十九戸の建設計画でございます。なお、このチリ津波災害につきましては、経費につきましては既定経費によって、本年度実施したわけでございます。北海道の浜中村、岩手県の大船渡市、宮城県の志津川町の三市町村は、特例法の適用を受けまして補助率高率補助、また建設の方の限度戸数も五割まで引き上げることができることになっておる市町村でございます。  次は、二枚目でございますが、住宅金融公庫関係災害対策でございます。本年の四月に鹿児島に火災がございまして、百四十四戸の滅失になったのでございます。これにつきましては、災害復興住宅貸付をいたしたわけでございます。七戸の建設戸数貸付になったわけでございます。そのほかに災害復興住宅でなしに、特別ワク融資といたしまして二十七戸契約をいたしたわけでございます。チリ津波におきましては、貸付の承認になりましたものは、建設におきまして六百四十五戸、補修におきまして八百四十八戸でございまして、現在の貸付戸数は、建設が四百三十八戸、補修が六百九十戸でございます。なお災害特別ワク融資といたしましては三戸貸付契約になっておるわけでございます。  次は、防火帯造成事業でございます。チリ津波におきまして災害を受けた所に、水害に対しても有効でありますので、防火建築帯を造成しようということで千三百九十三万二千円、これは補正予算として要求中でございます。  次に、十一月十七日の静岡県の川根町におきまして火災がございまして、目下査定中でございますが、ただいま一のところ判明しておるところでは、三十五年度災害公営住宅を二十戸、三十六年度に十六戸建設する予定でございます。なお住宅金融公庫におきましては、災害復興住宅融資につきまして、ただいま相談所を開設をして応じている状況でございます。  以上、簡単でございますけれども、三十五年度住宅災害につきまして、その対策を御説明申し上げたわけでございます。
  8. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) それでは本件につきまして、御質疑のある方は、順次御発言を願います。なお河川局長のほかに、官房長道路局長が出席いたしております。建設大臣が出席されました。
  9. 米田正文

    米田正文君 私は今お聞きした災害復旧の中で、チリ地震津波対策の問題をちょっとお伺いしたいのですが、この今お話のあったチリ地震津波対策事業費九千二百万円の補正予算見込みで出しておられる、こういうお話であったのですが、この内容、もう少しわかりますか、審議会決定をした内容
  10. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 二十八日にチリ地震津波対策審議会が開かれまして、そのときに、大体の全体の事業計画というものを、そこで審議をされましてきまったわけでございます。  その建設省関係を申し上げますと、県といたしましては、北海道青森岩手宮城福島和歌山徳島高知、これらの県につきまして、チリ地震災害を受けましたところの計画をきめておりますが、最初金額だけ申し上げますと、北海道建設省関係はございませんが、青森県では建設省関係災害費対策費を含めまして五億八千八百万円、そのうちの対策費が五億七千一百万円。岩手県では合計して二十七億四千二百万円、そのうち対策費が十九億五千四百万円。宮城県では十四億六千八百万円のうち対策費が九億三千八百万円。それから福島県では、全体で一億五千万円、うち対策費が一億五百万円、和歌山県は、建設関係はございません。徳島県で七千八百万円、そのうち対策費が四千七百万円。それから高知県では二億四百万円、そのうち対策費が一億七千八百万円、こういうような数字になっているわけでございます。  それで個所もずっとございますが、被害を受けました個所は、全部取り上げてやっております。青森県におきましては八戸市が中心でございますが五カ所でございます。それから岩手県におきましては種市町、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、三陸村、大船渡市、陸前高田市、これらの市町村におきまして、十五個所計画を立てております。それから宮城県におきましては唐桑町、気仙沼市、歌津町、志津川町、北上村、牡鹿、石巻、女川、矢本、それから鳴瀬、塩釜、七ケ浜の市町村におきまして二十一個所地点を取り上げております。  福島県は冨岡町の一個所、それから徳島県は阿南市の一カ所、それから高知県におきましては須崎市の地内におきまして五個所取り上げております。総計対策費が三十七億九千六百万円になります。それを災害費一緒に施行するわけでございますが、本年度施行能力といたしまして、災害復旧の方はその個所促進しておりますが、それとあわせます対策費といたしまして、国費で現在のところ九千二百万円を予定している、こういう状況でございます。
  11. 米田正文

    米田正文君 今のその対策費の中に、これら市町村でやる分が含まれておりますか。
  12. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 建設省関係では入っておりません。
  13. 米田正文

    米田正文君 そこで、これはまあ皆県営事業なり道事業なりと見ていいと思うのですが、これから実施していくためには、補助率あるいは起債の問題、そういう問題が、特にこの地域では私は重要だと思うのです。というのはいわゆる財政の悪い県が非常に多いのです。ですからほかの地区と違って、その面で私は、今後実施をしていく場合に問題が起きるであろうと思うが、まあ私どもは、当初災害を見たときには、この復旧対策には災害対策と、それに伴なう一般対策とを一緒にしたもので復旧しなければならぬという趣旨が、その後計画としては進んでいる。その点は非常にけっこうだと思う。  ただ、あとは問題は、財政的な問題ですから、補助率をどう見るかというのは、今後の問題として大きいと思うのですが、従前よりも少なくともこれは特別立法でいくべき性質のものですから、従前より補助率を上げていくということが必要だと思うのですが、その点についての建設省考え方なり、あるいは大蔵省との折衝状況なりを、まずお伺いしてみたいと思います。
  14. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいまのチリ地震補助率問題ですが、これは新聞で御存じかと思いまするが、きのう閣議で一応大蔵大臣から査定されました中には、建設省としては三分の二を要求しておりましたが、二分の一で査定をされましたが、閣議で、この点復活を強く要請をいたしまして、きょう、あしたのうちに、大体事務的折衝を進めて、なお解決策を、政府として三分の二に引き上げるということは可能であろうと思っております。  なお起債分については、特別国会補正予算関係ができますれば特別国会で間に合わしたいと思っておりますが、残り金額ですね、補助率以外の金額は、起債でこれをめんどうをみるというような形をとりたいと、かように存じて法案の準備はいたしておるようであります。
  15. 米田正文

    米田正文君 補助率については、閣議折衝願っておるという。非常にけっこうですが、ぜひ一つ補助率は引き上げるように最後まで一つ努力を願いたい。それから今の起債の問題も、あわせて一つ努力をお願い申し上げます。それでけっこうです、私の方は。
  16. 田中清一

    田中清一君 ただいま建設大臣から、非常にそういったところを優遇してなかなかお言葉を聞いて非常に感激しておるのですが、特に私どもは知っておりますのは、このチリ津波地震でも、北海道から和歌山県まで災害はあったのでございますけれども、特に東北地方の農山村は、御承知の通り漁村ともに非常に貧しいところと、それからして、はやもうすぐに根雪が降ってくるというようなところでございますから、特にそういったところの哀れな罹災者に対して特別のお考えをもって補助率等についてもなにについても十分にお気配りをお願いいたしまして、万遺憾のないようにしていただきたいと思います。  と申しますのは、街頭録音その他にいって聞いても、なかなかあちらの人は非常に、あまりに政府というか、わが党の施策に対して満足しておらぬようなことを街頭録音などでもよう聞こえてラジオ等で聞こえてきます。私ども、ほんとうに身が縮むような感がいたしますから、どうぞ一つ、ただいまのようなお考えのもとに、一日も早く彼らも救われますように御尽力をお願い申し上げます。私の希望でございます。お願い申し上げます。
  17. 田中一

    田中一君 過年度災が再度災害を受けた地点、ありますか、ことしの災害。——過年度災の上に、再度災害受けたという地点はありますか。
  18. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 詳細な、全国的なあれは今持っておりませんが、岐阜県の岐阜市の芥見付近は、昨年度災害工事中の個所が、本年度また災害をもう一度受けてございます。
  19. 田中一

    田中一君 昨年度災害でなくて、その前、三十三年度災害、それが完成しない前に受けたものとか、あるいは今の工事中のものが、どういう程度に被害を受けておるか、その点、あったら一つ
  20. 山内一郎

    説明員山内一郎君) それ以外の地点につきましては、詳細をまだ調べた報告を受けておりませんが、現在のところ私は、三十三年災害で、本年ひどく手戻りを受けたというところはないように思っております。
  21. 田中一

    田中一君 今、米田委員からの質問にあった、補助率を上げるというのは、今までの数々の立法化によって許されている範囲のものに対する補助率なのか、それとも補助率を上げるという建設大臣発言も、今までの前例からくるところの根拠というもの、それを逸脱した——それを越えたものじゃないということで了解していいのですか。
  22. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 多少違いますのは、伊勢湾台風の場合とチリ地震の方とは、多少違います。というのは、伊勢湾台風の場合は特別立法で八割まで最高補助ができることになっております。チリ地震の方は、予算措置で行ないますからして、まあ一種の特例は特例ですが、これを予算措置でもって三分の二に引き上げるというような考え方で、従って起債面に関する法律の方は補助率関係せずに処理ができるのじゃないか、こう思っておりますが、現地の——せんだって私も仙台で現地の諸君に会って、いろいろ聞いたのですが、従来の二分の一を三分の二にしてもらって、なお足らざるところを起債で補ってもらえばやっていけるだろう、こういうような意向のようでございます。  従って大体そういう措置ができれば、ああした未開発地域に対する財政的な裏づけといいますか、処置は可能だろうと思っております。御了承願いたいと思います。
  23. 田中一

    田中一君 災害があれば補助率を上げるんだという特例的な上げ方をすることは、まあわれわれ、昨年の伊勢湾台風においても、相当強く突っ込んでいろいろ申し上げてあるのです。どこに、何に基因するか。これは結局、国会議員がお手盛り的なものにするという傾向にならざるを得ない。私はもう、この程度……、本年度被害をこの程度なんということを言ったんでは、はなはだ申しわけないけれども、例年の大災害から見た場合には、ことしは割合に少ない災害で済んだように感ぜられるわけであります。  そこで、田中清一君の発言にもあるように、これは自民党の政策じゃない、国の政策なのです。国民全部が、これに参加しているものなのです。自民党の政策だから、補助率が特別上がるんだという印象は、これは困るのです。従って災害に対する補助という問題が、これが恒久化してそして事情によってはプラス・アルファというものが増されるという考え方に立たなければならぬと思う。災害ごとに、力関係で特別の地域に特別の高率補助が行なわれるということは、これはよい政治じゃございません。従って根本的には、災害補助率を再検討して、国全体に対するところの、特殊のものは特殊のものとしてこれは認めざるを得ませんが、原則はやはり原則として守ることをしなければならぬと思います。もう二十八年災以来、特別立法というもので、災害地に対する特別措置を行なって来ておりますけれども、これらのものに、わが党も賛成しておりまして、強力に推進しておりますけれども政府としては、やはり特別立法のみによって、特別な高率補助をするという形が正しい姿ではなかろうと思うのです。三十六年度予算編成にあたって、ことに今回の補正予算の作成にあたってもう少し明らかな根拠というものを説明してもらいたいと思うのです。まだ内示額になっておりますから、どうなるかわからないでしょうけれども、これを出して建設大臣発言もあったように、閣議において大蔵大臣との折衝においてもっと増額される根拠——私は決して、それに対して反対するのではないけれども、そういうことならば、かような措置の、災害を受けた場合の基本的な態度がなければならないと思う。力によって、橋本さんが建設大臣だから取れる、今度違う人が建設大臣になったら取れないということでは困る。その点、一体政府としての態度は、どういうふうになっているか。また建設省としてそういう要求が、各局長から出ているのか、局長は、むろん地方から来るものを受け取って判断するのでしょうけれども、その点の真相は、どうなっておりますか。
  24. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 田中委員の御質問は、二つの問題を含んでいるようでございますが、一つは今までのように、その時々に応じて特例で措置することはいかがであろう、こういうような御議論はごもっともでありまして、政府におきましても、災害基本法の制定は必要である。これは国会の意向もそうであります。それの準備を進めております。われわれとしては、できれば次の通常国会でまとめたいというような考え方で作業を進めている段取りになっているわけですが、問題が御承知のように、なかなか各省にまたがって相当に広い問題がありますからして、間に合うかどうか心配しておりますが、方針としては、通常国会に災害基本法の制定をみたい、こういう考えでやっております。そういうものがありませんために随時、臨時立法で、これを処置しておるわけですが、その根拠は、いろいろありますが、事務当局から補足説明があると思いますが、一つには、ある地区に対して甚大な被害を与えたということが、何といっても一つの大きな原因だろうと思います。もちろんそれ以外に、その地区が非常に貧弱県である、貧弱地区である、こういうことのために財政的措置が困難であるということが、一つの理由になるだろうと思います。これらのいろいろの事情を勘案して、やはり全国的に国土保全の性格を明確にしていきたい。こういう意味から、必要によって臨時措置を行なっておる。  これに対して、できれば今おっしゃったように基本的なものを作って、それに対して、その善後を処理していくという考え方の方がなお合理的であるし、またそうすべきだと思いますから、できるだけそういう方面にいくように善処をいたしておる。こういう状態でございます。
  25. 田中一

    田中一君 貧弱か豊かという問題は、地方交付金制度もある、それから自治庁も、貧困が貧困のままでいいとは考えていないわけですから、その点の見方ですね。これは非常に微妙なものがある。これは災害を受ければ、災害の復旧に対して建設大臣に責任がありますから、いろいろの措置をとられる。しかし貧困か豊かという問題は、これは地方財政の面については、建設省がそういうことを言うべきものではなくして、これは自治庁なら自治庁が、それに対するところの計画的な、かつて再建団体として指定して、仕事をさせたこともあります、仕事を整備したこともありますし、そういうものとの関連をしなければ、非常に豊かにするような政策をとる地方団体の長もあれば、あるいは全然国土保全なんということを考えずして、災害がくれば、もう一雨降れば災害がくるのが当りまえだというような地方自治の団体もあるわけです。これは熱意の問題ですがね。そういう点で、結果だけをみて、とやかく言うのではなくて、根本から考えなければならぬと思うのです。  たとえば砂防にまた入りますが、砂防を一応やっておけば、相当な災害は免れるのだということは、これはもうわれわれよりも、河川局長よく知っているはずです。どの川はどうだということは、よく知っているはずです。地元で、そういう熱意を持たぬことは事実です。そういう点、国土保全という面からみた場合に、別に罰するとか、法規を何するという考え方は持たなくて、やはり生の心がけが悪いと、どうしても大きな災害を受けるわけです。そういう点で、防災的な国土保全の方面からみた場合には、その熱意というか、準備がないというところに欠点があることがあり得るのですから、そういう点の指導は、どういうふうに考えておるのか。  これは大臣に質問するよりも、河川局長に詳しく聞いてみます。人災的なものであるか天災的なものであるかということです。
  26. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 非常にむずかしい御質問で、どうも……。  先ほどの災害基本法の問題でありますが、私たちといたしましても、災害の起こるたびごとに特例法を作るというのは、その作ることに非常に労力をとられまして、復旧の方に、なかなか重点がおかれないという状況でございまして、何とか災害基本法を作りたいという準備をいたしておるわけでございます。今まで特例法も二十八年の特例法、それから伊勢湾の特例法もございますが、特例法の形というのは、そういう形で過去に実績がございますが、それではどういう災害に、では特例法を適用するのかという基準と申しますか、それは非常にむずかしいのではないか。ただ、公共土木施設が多いから特例法というのも、どうかと思いますし、一般の災害、一般の被害といいますか、これが何とかはっきりした根拠がつかめれば、一般被害によって特例法が適用されるという、災害になれば、その率は幾らにするかということは国庫負担法の中に、十分織り込めると思います。そういう点で、今盛んに検討をいたしておりますが、非常にむずかしい問題だと思います。  それから、災害をなくするには、もちろん治水事業を大いに促進するということは特に重要でございましてその中でも砂防事業につきましては、砂防を非常にやっておるところの河川につきましては、土砂が下流の方に流れてこないために災害が防げたという、こういう例もございます。ただ、その土砂が流れなくても、水だけでも河川の堤防をオーバーするということもございますので、河川の堤防を高くし、なお上流の砂防をして土砂が流れてくるということを防ぐ。やはり両建といいますか、こういうことによって、大いに災害を除去するように努力しているわけでございますが、今後も大いに促進したいと思います。  それで、どういう個所に、そういう治水事業実施すべきであるか、現在十カ年計画をやりましても、全体の残った事業がございますので、重点的にやるといいますか、その点につきましても、非常に考慮をいたしましてやっているつもりでございますが、さらに非常に重要な個所から、ともかく砂防事業や治水事業河川事業もやっていく、こういう方針で現在やっているわけでございます。
  27. 小平芳平

    ○小平芳平君 住宅災害復旧対策のこの表ですけれども災害公営住宅建設戸数、三十五年度建設戸数、三十六年度建設計画と、このチリ地震津波を受けた地方は、地形上やはり高潮とか津波に、いつも洗われる特別の地域だと思います。当然耐火建築で、しかもしっかりした鉄筋建築の耐火建築が建てられなければいけないと思うのです。ここにこの特例法の適用町村になっている宮城志津川町という、この町の例ですけれども、学校も役場も木造で、鉄筋の建物は、銀行ただ一軒だけだというような話を聞いたのですが、そういう状態では、こういうように津波がきたような場合には、さらに災害が大きい。  そこでこの一千一戸の計画の中で、どの程度が耐火建築かということをお聞きしたい。
  28. 稗田治

    説明員稗田治君) 一千一戸のうち、立地条件にもよりますが、木造以外の不燃構造は、六百四十二戸のうち三八%でございます。それから三十六年度の三百五十九戸は、全部不燃構造で要求をいたしておるわけでございます
  29. 小平芳平

    ○小平芳平君 その三八%の中に、あるいは三十六年度の不燃構造の中に、簡易耐火が含まれておるのですか。
  30. 稗田治

    説明員稗田治君) さようでございます。
  31. 小平芳平

    ○小平芳平君 その構造上のことは、よくわからないのですけれども、簡易耐火では、かえって危険だという考えもあるのじゃないですか。もっと鉄筋コンクリートを——地形にもよることと思いますが、しっかりした鉄筋コンクリートをもっとやっていかないことには、かえって危険だというような点はどうでしょうか。
  32. 稗田治

    説明員稗田治君) 簡易耐火構造も十分堅牢であり耐久性のあるものでございます。そのように設計を指導いたしております。
  33. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 災害復旧問題の質疑は本日はひとまずこの程度にいたします。   —————————————
  34. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に住宅対策に関する調査を行ないます。建設当局のほかに住宅金融公庫総裁師岡健四郎君、それから日本住宅公団総裁挾間茂君、副総裁渡辺喜久造君の両君が参考人として出席いたしております。なお、建設省から要求資料が提出されておりますので、まず資料について説明願います。
  35. 稗田治

    説明員稗田治君) 前回の委員会におきまして要求のございました資料を、一枚刷りの刷り物にして提出してございます。それによりまして御説明申し上げます。  まず第一に民間の自力建設戸数の実績と計画との比較でございます。実績といたしましては昭和三十二年度が二十八万三千戸でございます。そのうち増築の戸数で一戸に数えられておりますのが二万二千戸でございます。三十三年度は、建設戸数は、民間自力建設は三十万九千戸でございます。そのうち増築戸数としましては二万五千戸でございます。三十四年度が三十五万戸でございまして、そのうち増築戸数が三万一千戸でございます。なお、当初の計画といたしましてもくろんでおりましたのは、右の欄にございますように、三十二年度が三十万戸、三十三年度が三十二万戸、三十四年度が三十四万三千戸でございます。なお、増築戸数として増築戸数を実績の中に加えました分は、狭小過密を解消しました戸数でございます。  次に、住宅の最低水準でございますが、住宅の不足戸数を算出する場合の狭小過密居住の基準といたしましては、従来は、一世帯が九畳未満で、かつ一人当たり二・五畳未満というものでございましたが、今後の長期計画の策定に当たりましては、これを次のように引き上げていく考えでございます。すなわち、二人以上の世帯が九畳未満に居住するもの及び四人以上の世帯が十二畳未満に居住するというものは狭小過密であるというように、これを改訂して考えていくつもりでございます。  次に、第四期の公営住宅建設三カ年計画の案でございますが、三十六年度から三十八年度までの建設戸数といたしましては、公営住宅は二十一万戸、内訳は第一種公営住宅が八万一千戸、第二種公営住宅が十二万九千戸というように案を立てて、住宅対策審議会に諮問をいたしているわけでございます。  なお、公営住宅の増築は、不燃堅牢の構造といたしまして、立体化をはかっていこうというわけでございます。なお、必要な共同施設の建設もあわせて今後は行なっていきたいというようなことを事務当局といたしましては考えているわけでございます。  以上簡単でございますが、資料につきまして説明いたしました。
  36. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 御質疑のある方は御発言を願います。
  37. 田中一

    田中一君 最初に、第四期三カ年計画の年次別内訳を説明して下さい。二十一万戸の。
  38. 稗田治

    説明員稗田治君) 現在われわれが考えておりますのは、一種と二種をひっくるめてでございますが、最初が六万五千、七万、七万五千というように考えております。
  39. 田中一

    田中一君 民間自力建設戸数の実績と計画、この計画と実績が違っているということですね。それから増築戸数というものの規模がどんなものであるか、これを一つ説明して下さい。それに第一の計画と実績が違っている点は、計画というものの見方、推定が常に高過ぎるということなのか、それが一つ。もう一つは、増築の規模ですね、平均してどんなものになるか。
  40. 稗田治

    説明員稗田治君) 三十二年度が二十八万三千でございまして、計画が三十万でございますから、一万七千程度少なかったわけでございます。三十三年度は三十万九千で、これまた一万一千戸ほど戸数は少なかったわけでございます。なお、三十四年度といたしましては三十五万の実績でございますので、これは七千戸ほどふえているわけでございます。大体の推定でございますので、まあこの程度の数字のズレはむしろ比較的よく当たっておったのじゃないかというように考えているわけでございます。  それからなお、狭小過密を解消いたしました増築の戸数は、そこに内訳が書いてございますが、これは平均の坪数にいたしますと、ただいま詳しい資料を持っておりませんが、大体四、五坪程度の増築になっていると思います。
  41. 田中一

    田中一君 その程度のものは戸数に入らないのだね。
  42. 稗田治

    説明員稗田治君) つまり、九畳未満であったのが、四、五坪の増築によりまして九畳をこえて十二畳程度になるということで、かつての狭小過密の水準はそれで解消したということになるわけでございます。ただその水準があまりに低い水準でございますので、今後の計画ではこれを是正していきたいと思っております。
  43. 田中一

    田中一君 だから狭小過密住宅というものが解消するということになると、この四坪ないし五坪の、三十四年度三万一千戸というものがなくなつちゃって、消しちゃってゼロにしなければならない。狭小過密の住宅解消ということを目標にするならば、もう増築戸数なんというものは消しちゃうわけですよ。そしてその狭小過密住宅をなくしたということが大きく浮かび上がってこなければならないのです。そういう場合にはこれは増築戸数というのは全部ゼロにしてしまう、そうすると相当な今住宅局長が言っておるように、この程度の推定ならば当たっておる方だと、なるほど競輪競馬よりは当たっておるかもしれぬけれども、近い数字かもしれぬけれども、これをなしにしたならば相当な狂いがあるわけですよ、引いた場合には。そうでしょう。あっちでも点取り、こっちでも点取りじゃいかぬよ。小さな住宅をなくしたというならば、これは増築というものは引くわけですよ。そうするとだいぶ違ってきます。かりに三十四年にしても三万八千戸減るわけです。三十五万戸から三万八千戸減るわけだね。あまり当たっておるという推定じゃないな。まあそれはいいです。  公営住宅二十一万戸というものに結論づけたということは、これは国民の要望、要求というものを私は無視していると思うのです。ことに地方公共団体は何とかして住宅金融公庫融資とか、住宅公団の建設よりも公営住宅に主力を置いて考えてくれと、こう言っておるわけなんです。だからといって住宅金融公庫並びに住宅公団の戸数を減らせと言うのじゃございません。これはむろんより以上にやっていい面が最近は出てきておる。所得倍増論というものを考えながら結論づけるというのは、今の狭小過密住宅というのが解消されたということでいいと思うのです。かりに所得倍増論というものが、これがいくものならば、方向には進んでおる、それで解決される、それでこれらの狭小過密住宅というものを解消しているという前提から、二十一万戸の戸数というのは私はあまりふえておらぬと思うのです。熱意が少し足りないのじゃないかと思うのです。というのは、第一期の場合には十四万五千戸でしたかね、たしか。それから逐次少しずつ伸ばそうとして伸ばしておる、意識的に。抜本的に住宅問題を解決しようというのじゃなくて、経済の伸びと一緒に逐次伸ばしておるという現状なんです。だから一ぺん第一期から第三期までの一つ三カ年計画、ちょっとここに、僕資料持っていないから説明して下さい。第一期は何戸でしたか。
  44. 稗田治

    説明員稗田治君) 第三期の方から逆に記憶力の関係で申し上げますが、第三期は十五万七千戸の計画でございました。それから第二期が十五万五千戸の計画でございました。それから第一期は十八万戸の計画でございましたが、達成率は非常に低かったわけでございます。
  45. 田中一

    田中一君 低かったのじゃなくて数字……。
  46. 稗田治

    説明員稗田治君) 実績を申しますと、第一期が十八万戸の計画でございまして六九%の達成率で、戸数にいたしますと十二万四千二十戸でございます。第二期は計画は十五万五千戸でございまして達成率は九二%で、実績は十四万二千百九十五戸でございます。第三期は十五万七千戸の計画でございまして達成率は九二%でございまして、実績——実績というのは年度末になって建設が確定になりまするが、十四万四千百二十戸でございます。なお、この第三期の場合におきましても、本年度から改良住宅が別のワクになりましたので、それを加えますと九三%という達成率になっておるわけでございます。それから今後の三カ年計画におきましても、改良住宅は別ワクに考えておるわけでございます。
  47. 田中一

    田中一君 これは、毎年この実績の問題については原因を追及しているのです。これも大体総論的に土地の問題ですか、それとも地方財政の負担率の問題ですか、実績が低いというのは。
  48. 稗田治

    説明員稗田治君) 国の予算関係でございます。
  49. 田中一

    田中一君 建設大臣に伺いますがね。今度は二十一万戸、これは予算の面から聞きますと、おそらく第三期の十五万七千戸の予算よりも非常に資材、労務等が値上がりになっていますから相当大きな予算になるのであります。どのくらいに押えておるのです、現在では。予算面でしぼられてこうなったと言うことは、これは政府の黒星になるわけなんですよ。
  50. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連してお尋ねしたいのですが、政府は十年後の所得倍増を目ざしておるわけですが、ただいま説明によると三十六年度は六万五千戸、三十七年度が七万ですか、三十八年度は七万五千ということで、一年度五千ずつしかふやさぬことになっておるのですが、十年間で五万戸しかふえないということになるわけですね、率でいくと、十年後の所得倍増を頭に描きつつこの住宅の問題もあわせて考えていくとすれば、一体建設省は公営住宅でどのような計画を持っておるのか。それから自力の方の建設で、もちろん土地造成の問題もありましょうが、住宅金融公庫等における融資の問題ですね、今後どういうように十年間にやっていこうとするのか、さしむきは。三十六年度ないし三十七年度、あるいは三十八年度、ここ二、三年のうちでけっこうですが、この計画ではどういうようにお考えになっておるのか。予算編成期にありますのでこれは非常に重要な問題でありますので、あわせて私はお尋ねしておきたい。
  51. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいまの永岡委員の御質問ですが、今のお話は公営住宅の範囲内だろうと思います。政府としては十カ年間に一応目標としては民間を合わせて一千万戸、その内訳は局長から後ほどお答えさせますが、そういう考え方で三十六年度の要求を建設省としてはいたしておるわけでございます。その中には今申したような公営住宅の種類、それから公団住宅並びに公庫住宅、その他厚生年金等二、三ありますが、そういうものを含めて政府がやるべき数字を一応考えております。従って低所得者がどんどんふえるということになれば、公営住宅をどんどんふやしていかなければならないのであります。できるだけ政府としては低所得者を少なくしていこうという考え方で、できるだけ所得を多くして、中流住宅を与えるという考え方、ですからしていわゆる低所得者を標準にしたものを特に増加して参らないということになっていますから、ただ現実の問題としてはここ一両年最近のグラフを見ますと、低所得者の方が最近は住宅難の状態に陥っている、そういうことで来年は積極的に、従来の例と比較して数多く建てよう、こういう考え方で来年の要求をしております。  なお、田中委員からの御質問にも関連しますが、はたして実際上そういうものができるかどうかということは、予算措置の問題とも関係するのですが、一応予算としては、こまかい点は住宅局長からお答え申しますが、単価増を相当に見込んでおるということ、もう一つは本年度予算要求は百パーセント耐火建築と申しますか、コンクリートもしくはブロック建築、こういうものを全面的に要求いたしております。ただどうしても絶対戸数というものを確保しなければなりませんからして、そういう建前からいって予算の面の制約がつけられるということになれば、建設省としてはあくまで耐火建築、公営住宅が全部耐火建築という建前なんですが、予算折衝の過程で、予算の財源等の建前からどうしてもそれだけの戸数を二面においていたしたい、けれども予算の幅が、そこまで全部を百パーセント耐火建築が可能でないというような場合に、いろいろな折衝が行なわれるであろうということは一つお含みを願って、少なくともある程度の住宅の数だけを確保して参りたい、しかしながら従来のような木造建築を当然の建前として要求するという考え方はやめておる、私はやかましく局長の方に申しておって、大蔵省はもちろん、ただいま申したようなことで予算折衝の過程でそういう問題が出てくる可能性がないとは言わないし、その点がこれからの折衝だというふうにお含み願います。
  52. 稗田治

    説明員稗田治君) 先ほど田中委員から公営住宅の金額についてお尋ねがあったわけでありますが、三十六年度といたしましては約二百六十二億九千万要求いたしておるわけでございます。それから十カ年のわれわれの住宅需要は一千万戸という推定をいたしておるわけでありますが、一応四百二十万程度を政府施策のものにしたいというように考えておるわけでございます。  なお、一応具体的な内訳になって参りますると、十カ年というのでは、いろいろ住宅難の様相にも変化が入って参りますので、現在五カ年のところで内訳等を固めているわけでございます。前期五カ年といたしましては、政府施策は百六十万戸というふうに考えておるわけでございます。その前期五カ年の内訳を申しますと、公営住宅が三十七万五千、改良住宅が六万、公庫住宅が七十四万、公団住宅が二十五万、その他の政府の厚生年金等の住宅がございますが、そういうものを全部足しまして十七万五千、合計百六十万というふうに五カ年間を一応各施策別に分けて考えておるわけでございます。  なお、現在要求いたしております単価でございますが、公営住宅におきましては、建築費といたしましてはことしの一〇〇に対しまして一〇七から一一四、改良住宅は一〇八、それから公庫住宅は一一〇ないし一一八、公団住宅は一〇九、これは同じ構造の坪当たりの単価でございますが、そういうように建築の坪当たりの単価を増額して要求してございます。  なお、用地費につきましては、これは坪当りでなしに一戸当りの計算になっておりますが、公営住宅は一二七から二〇六、改良住宅が一九六、公庫住宅が一八七から二二二、公団住宅が一四四から一五六という程度に、用地等の値上がりも織り込んで要求をいたしているわけでございます。
  53. 永岡光治

    ○永岡光治君 ただいまの説明ですと、十年間に一千万戸を予定しておる。そうしてその中で政府施策によるものは四百三十万で長期計画はなかなかむずかしい、非常な変動もあって困難であろうから、当初の前期の五カ年という考えで、こういう計画だというのによりますと百六十五戸、こういうことですね。そうすると、あとの二百七十万戸というのは後期五カ年の対象になると、こういうふうに解釈していいわけですか。そうなりますと前期五カ年で百六十万戸で、あとその倍近い二百七十万戸がはたして消化できるかどうかということが問題になってくると思うのですね。特にただいま御説明によりますと単価がずいぶん上がってくるようですね。政府の所得倍増のお話を聞きますと若干は上がるかもしらぬけれども、所得倍増というのは現在の物価はこのままにして所得が今の倍になるという計画、そのように理解しておるわけですが、そうなってくればくるほどこれは大へんなことになってくるような気がするのですが、二百七十万を後期に回わしてそれで十分消化し得るという自信をお持ちなのですか。——それは持っておると答えるでありましょうけれども、どうもしかし私としては常識的に考えてそれは無理であろうと、こういうように考えるのですが、これは大臣からもお答えいただきたいと思うのですが、その点についてもう一度はっきりした見通しを一つお聞かせいただきたいのと、もう一つは、残された五百七十万というのはそういたしますと民間の自力建設でやるということになるわけですが、それについての指導というのは、やはり建設省としてあるべきだと思うのですね、指導方針というものが。そういう方針についてのこまかいものは別として大綱くらい、こういう方針でするのだというくらいの説明はちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  54. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ただいま局長から御説明申し上げました単価の値上がりですが、これは去年からことしの社会的な単価が値上がったということではなくして、従来単価が低く押えられすぎておった。一つ大蔵省との予算折衝においてもそういう面がある。もちろん、この二、三年来非常な急激な、単価といいましてもこれは宅地の場合ですが、御承知のように宅地の方は一六七から二二二と、こういう大幅のことを来年の用地費の方で考えておりますのは、従来大蔵省からそうした用地費というものが不当に押えられておった。これは何としてもこれを是正しないと、予算はちょうだいいたしましても実際上の所定の戸数というものはでき上がらない。そこでことしはぜひともこれからの折衝で、こちらが力が弱ければ負けちゃうのですが、何とか負けないで現実の問題を是正する。大部分はこの用地のことになりますと是正が中心になる。去年の一〇〇が急に三十六年度になって一六七と値上がりを見こしておるということではなくして、従来の住宅用地というものの単価があまりにも低すぎておる。現にそのために公団ないし公庫等が貸付等で弱っている、こういう点をこの際はぜひ是正をしたい、こういう意味が大部分含まれております。なおいわゆる建蔽率の方はこの前から田中委員等もいろいろ注意をいただいておりますが、実際上最近建築ブームといいますか、かなり各方面に建築が行なわれますために、いわゆる手間賃の値上りというものは去年からことしにかけては相当あるわけであります。これは現実における社会的の労働賃金の値上がりを勘案してここで建築費の方には加算をいたしておるわけなんです。しかしこれは最近におけるこういうような賃金の値上がりというものは無視できませんが、将来こういう割合で毎年  一割ずつ上がっていくのかということになりますと、必ずしもそうではなかろうと思います。もちろん政府としては訓練所を増設したりその他によって、そうした建築技術者といいますか大工、左官等の養成も一方においては考えていかなければならぬと思っておりますので、ただ最近の建築ブームに比例をしてそうした技術者が不足しておる、こういうことから多少急激の値上がりを見ておるようですが、これが現に毎年一割ほどの値上がりがあるとは考えておりません。またそうなってはいけませんから措置は十分講じたいと思っております。  第二の問題の民間住宅をそれほどに期待できるかという話ですが、従来の実績からみまして大体その辺を期待することは必ずしも架空の数字ではない、こう考えております。先ほど局長からお答え申しましたように、大体の推定の数字というものと実績がほとんど一致しておる状態であります。ただしかしこれからの所得倍増によっての多少の小売物価等の値上がりも考えられますからして、従って小売物価の是正といいますかそういうようなことで、平均すれば多少の値上がりを見るだろうと思います。従ってこの家賃はそういう面にことに大きく反映いたしますからして、従来民間住宅の施設面におけるところの障害というものは、これから法令的措置で是正をしていきたい。たとえば現存しております借地借家法等の問題もあるようです。まあこれについては、しかしながら一方の方からは既得権の侵害であり、かつまた現に低家賃に住んでいる者が高家賃にかわるということでは非常に困るので、その点は十分に研究の上、法改正をしてもらいたいという陳情を受けております。従ってその面も十分に考えて、もしそうした法改正を必要とするようなことになれば、それらの陳情を十分に聞いて不公平にならぬように、かつまた民間施設が伸びるような措置を考えていきたい。同時に金融方面もあろうと思います。これから民間に多くを期待する以上は、そうした資金の面あるいは技術者の面、あるいは法改正の面、これら各方面とも検討を加えて、民間施設をできるだけ伸ばしていくことによって適材適所を得るというようなこと、ある意味においては一方においては宅地を政府が何らかの形で確保してやる、これは個人にも分譲する余地を与えるとかいろいろな施策を、今後ともに、まとめてできれば通常国会で皆さんの御審議の対象にしたい、かように考えております。
  55. 永岡光治

    ○永岡光治君 いずれ特別国会ないしは通常国会に将来、予算を伴う問題でもありましょうし、根本的に検討も進められますのできょうは省略いたしますが、受ける感じとしては前期百六十万という考え方も少し少ないんじゃないかという感じがするわけで、特に住宅局長から説明を受けました三十六年度、三十七年度、三十八年度にわたる戸数を見ますと、少し少ないんじゃないかという印象を強くしますので、これはちょうど予算編成期でもあるわけですから、大臣陣頭に立ちまして大いに、もう少しふやして予算を成立さしてもらうように、それから金融面におきましても、あわせてこれも特段の一つ配慮を願うように要望いたしておきます。
  56. 田中一

    田中一君 十カ年間に滅失を予想されているところの、建て直しをしなければならぬと予想されている公営住宅は推定してどのくらいありますか。
  57. 稗田治

    説明員稗田治君) 公営住宅の建てかえということで数字をあげているわけではございませんが、一千万戸の要因別の内訳でございますが、三百三十万戸が世帯の増加でございます。それから百六十万戸が建てかえの需要でございます。それから災害関係といたしまして二十万戸でございます。それから先ほど資料で申し上げましたように、住宅の狭小過密あるいは老朽危険等の判定水準を引き上げますので、現在そういった引き上げた見地から考えますと、三百七十万戸がその対象になるわけでございます。なお、百二十万戸の足らぬ戸数が出てくると思います。それは今後産業構造が非常に著しく変化を見せると思いますので、たとえば九州の炭鉱住宅があき家になっても新興工業地帯の新しい住宅の供給ができなければならないといった、産業調整用の戸数考えられますので、それを百二十万戸というふうに考えているわけでございます。
  58. 田中一

    田中一君 たとえば戸山ケ原のあの木造の部分がありますね。あれが何戸あって、あれがもし今度の公営住宅と同じような立体化された耐火建築になった場合には何戸くらいふえますか。
  59. 稗田治

    説明員稗田治君) 大体木造の団地を四階建のアパート等に建てかえますると、戸数は二倍程度になると思います。
  60. 田中一

    田中一君 それは四階以上のものにした場合には……。
  61. 稗田治

    説明員稗田治君) この宅地の合理的利用はもちろん高度利用とともに行なうわけでございますが、やはりこの人間の住生活の基本的な要求というのがございますので、ぎっしり立て込んで建てるということも住生活の衛生上も思わしくない面も出て参りますので、ある程度の隣棟間隔はとらなければならないというように考えておるわけでございます。四、五階というところが一番効率がよろしいわけでございます。それ以上高くいたしますると、もちろん宅地の高度利用にはなるわけでございますが、また隣棟間隔もかなり離さないと日陰になるというようなことになるわけでございます。
  62. 田中一

    田中一君 それは理屈はわかっていますよ。だから何階くらいになるかということを聞いておるのです。一体町のまん中に十階以上の建築物をどんどん許可をしておいてたくさん問題があるでしょう。建築基準法の基準からいってもいいといって八階、十階というアパートをどんどんたくさん建てさせているじゃないですか。付近の人たちは非常な迷惑をする。そんなことは考えずにやっている現状から見て、そんなへ理屈は言ったってしょうがないですよ。だからその最善なる環境というものが望ましいけれども、日本の場合にはそれが不可能なんですよ。建築基準法を変更されないものであるという前提でもってものを言ったってだめですよ。それなら民間の十階とか八階とか建っているアパートを全部撤去しなさい。基準法で許可しなければいいじゃないですか。十階建のアパートの日照その他を考えて、付近にあるところの金のない人たちの住宅というものはまつ暗じゃないですか。そんなことをどんどん許していながらここでもってそんな寝言は聞きたくないですよ。だから経済的に日本の土地をどう使うかということが一番眼目なんですよ。基準法が悪ければ直せばいいじゃないですか。そういう寝言を聞くのじゃなくて、戸山ハイツで一番合理的に戸数をふやして、それの環境等もよく考えて、しかも一番経済的にして何階くらいのを建てれば、どのくらいの戸数になるかということを伺っておるのですよ。
  63. 稗田治

    説明員稗田治君) ただいま各事業主体の方でそれぞれ建てかえなければならないところの公営住宅等につきまして、新しい改築計画を立案中でございます。従いまして戸山ケ原の場合、はっきり戸数といたしましてどの程度になるかということは、東京都の方から出て参りませんと申し上げかねるわけでございます。
  64. 田中一

    田中一君 そういうふうに答弁すればいいじゃないか。そういうふうに答弁をしないでへ理屈ばかり言っても、そのへ理屈は私よくわかっておりますよ。そこで、私はこれは大臣にちょっと伺っておきたいのは、こういう一つの建築ブームと申しますか、資材や労銀が過当に上がっているということじゃないかもしれません、高いのが世間並みになったという見方もあるでしょうが、一体政府の組んでいる予算というものは非常に低いのです。その低いということは現在低いのであって、それが実際に単価の低い見積りの積算であるかどうか、これももちろん問題があると思いますけれども、こういう場合には国や公共団体がやる公共建築というものは、やめることなんですよ。ほんとうに望ましいのはやめてしまうことですよ、実際。そしてむろん住宅の面は、これはもう社会的に要求は強いのですから、これはしなければならぬ。しかしながら、この住宅外の公共建築というものは中止する。不景気になった場合……これはいつもこのままの景気が、ずっとあなたの池田内閣が言っておるように、十カ年で倍になるようにずっと上昇を続けるようになるかどうかということは疑問がある。アメリカが金の流出で大あわてにあわてておるという現状を見て、やっぱりこういう場合には無理があるわけですよ。拍車をかけるようなことをしてはいかぬですよ。不当か正しいかは別としてその点はどうです。また建設省並びに各省は相当に公共建築物を要求しておるような傾向にあるのですか、その点ちょっと伺っておきたいのです。
  65. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 田中委員のおっしゃることはもう原則論としてその通りであります。平均的になるべくそういうものをやらせるように余地を残しておくということはけっこうですが、ただ、最小限度やらなくては諸官庁の能率を妨げるようなものは、今のように御承知のように各地に分散しているために自動車を使う、そのために自動車の交通難を来たすというようなこともありますが、また能率の点において、これはどうしても最小限度に必要であるというものはやむを得ないと思いますが、原則論としてはそういうふうに持っていく方がいいと考えております。ただそういう工合に指導はしておりますが、なお官庁建築物の場合ややもすれば安かろうということ、これは私は皆さんの御意見はどうか存じませんが、将来官庁といえども暖房、冷房がなくちゃいかぬですね。建物ができてから十年たってから暖房をつける、冷房をつけるということだけやって、ただ部屋だけ大きくするということはいかぬ。やはり十年先、二十年先使うのですからしてその場合においても十分使えるような建築物を作るとともに、ただ、今申しましたように、急激にそういうものをふやすということに対しては、これはおっしゃる通りです。ただ、そういう方針で指導はいたしております。  先ほどの技術者の問題、これは私も方々に行っていろいろ聞きまして非常に大工職が少なくなっている、総体的に少ないのですね。絶対的にというわけじゃないですけれども、これは急速に手を打たなくちゃいかぬと私ども考えております。ただ、一種の職業訓練ですから、建設省がこれを主体としてやるべき性質のものじゃないようですからして、近い機会に都道府県知事なり、あるいは職業教育ですからして労働省、こういうものと話し合いをして、各地においてそうした大工、左官、こういうものの職業訓練を一つやってもらいたい。そうせぬといろいろ建築業者に話を聞きましても、今弱っているのはそれだと言うのですね。コンクリートぶち込むのは機械化されているから何とかなるけれども中の造作ができぬと、そういうために非常な能率を欠いておるのでこういう方面をぜひ拡充してほしいという強い要請もあります。こういう問題をぜひとも解決して参りたい、かように考えております。
  66. 田中一

    田中一君 その技能者とか賃金の問題、あしたゆっくりやりますが、もう一つ伺っておきたいのは宅地の造成ですが、公営住宅をどこへ建てるかということになるとやはり新しい土地を求めようという傾向が、これはむろん住宅金融公庫は土地がなくちゃ融資してくれませんし、住宅公団はお手前で農地だろうが何だろうが適当にうまくやって、新しい宅地を造成する。公営住宅は私はおのずから一つの制約を持っていいんじゃないかと思うのですよ。まあ計画部で、前国会でそのまま流産、審議未了になってしまった土地改造法ですね、これらと一緒に並行してやるということも、これは年来のわれわれの主張であります。もう宅地を持たない、国の施策とするところの住宅に対しては新しい宅地を造成しないという原則を立てるくらいにしてほしいと思うのですよ。何かといえばやはり現在でも町並みにある中小商店とか何とかというものは、火事もこわいから耐火建築にしたいのです。しかし何といっても資金がないということですね。その人たちが利益になれば喜んで宅地は提供すると思うのです。私はこれはもう必ずすると思うのです。場合によれば土地を持っている方の一階の店舗というものはただで作ってやって、そして上の方の地代は払ってやる。計算の問題ですからただでいいかどうかわかりませんよ、負担をなくしてやる。上の地代で自分のうちの払いができてしまうというような、市街地の再開発という方面に公営住宅は積極的に進むべきだと思うのですよ。これはもう長い間言っているのですが、めんどうくさくて、それにいろんな諸権利関係というものが輻湊しているものだから手をつけない。公営住宅は少なくとも地方公共団体の事業なんです。公営住宅は新しい用地を取得しないという前提に立って、でき上がっている都市の改造を含めた用地取得を行なうというようなことを考えなければならぬと思うのです。どうも所得倍増論はけっこうですが、それに並行して十カ年一千万戸の住宅を推進するとなると、百万戸分の宅地が必要になってくるのですね、今までの考えですと。そのうちまあ建てかえというのが百六十万戸しか見込んでないから、あとの八百四十万戸というものは、全部用地を必要とする住宅なんです。それを考えると一体どこまで……、政府の施策が土地の値上がりを促進していることになるのですよ。需要がなければ、今日の自由経済のもとにおいては、土地は上がらないですよ。買わなければいいんですよ。買わなければ上がらないんです。既成都市の土地を借りることです。家は何も地面の上にじかに建てなければならぬというものじゃないですよ。店舗の上、三階からでも四階からでもいいんです。かりに土地の価格を考えると、土地を借りて二階あるいは三階の住宅を建てるために、土地の所有者に対して一階なり二階なりの分を全額融資で建て上げる、そしてその負担は地代で支払うとするならば、かりに宅地を造成した方が計算上得だとしても、それをこえて、既成市街地の適正な所に求めることが正しい。土地を投機的に値上がりさせようという社会悪から見た場合には、私はその方がいろいろな面でプラスの方が多いと思うのですよ。住宅公団なんかはそれに対する全く見本的な悪地主的な家主です。これは社会悪というものを造成しているのです。これは住宅公団としては、一つの見方でもってある中間層をねらっているのならそれもいいでしょう。それはあした論議しますがね。せめて公営住宅だけは地方公共団体で、自分の行政区域内においてよい町作りをする、よい行政を行なうというところに主眼があるわけなんですよ。すぐにそれが成果をあげられないとするならば、並行して強力にそれを推し進めていくということがなければならぬと思うのです。今向こうにいる村井君が今から十年前に、課長時代に作った例の耐火建築促進法、これは有名無実ですよ。このねらい方がほんとうにあの当時から着々と前進しているならば、こんな問題は起きないわけですよ。これはまるで死んでいるようなものです。よいアイデア、よい政治の芽が芽ばえてくると、これは票にならぬといってつぶしちゃうんです。票にならぬどころか、抵抗が強かったらかえって悪い結果になってしまうと思うけれども、なかなかそれは進んでこないのです。促進する補助率なんというものも、どうやらこうやら一億程度のものをようやく二次、三次の内示ぐらいでもって、建設大臣の力によって取ってきているような状態ではだめなんです。  私が建設大臣に最後に伺いたいのは、公営住宅の用地というものは、新しい所に求めない。既成市街地をいろんな面から整備するために、多少の困難があろうとも乗り越えて進んでいくのだ。その用地取得のためには大幅な既成市街地区域をきめて、そこにそうした費用を投入するというような考え方が生まれなければならぬと思うのです。住宅金融公庫は御承知のように土地を持っていらっしゃい、貸してあげますからというのですから、これはそれぞれの自分の力というか経済的なペースによって自分の適材適所を求めるでしょう。住宅公団はこれはあしたにします。公営住宅だけはせめて地方公共団体が事業主体でありますから、そういう方向に向かって進むというようなことを、これは社会をよく知っている建設大臣考えてほしいです。十年前にできた耐火建築促進法は耐火をねらっておりますけれども用地取得促進法ですよ、今日では公営住宅の用地取得促進法です。それでもやはり魅力というものがなくちゃならぬです。それはパーになったとしても、無限大に資本主義が土地価格をつり上げようとしていることに対する協力をセーブしなくちゃならぬです。これはどうお考えになるか、一つ建設大臣並びに住宅局長から答弁してほしい。
  67. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) こまかい点はまた住宅局長からありましょうが、まず原則論として、むやみに市街地をふやしていくという考え方は私どもどうかと思います。旧市内においてもこれから宅地として再開発する地区は相当にあると思いますが、これには先ほどからもお話があったように、民間に住宅資金をどういう工合に流すか、あるいはまた国民生活の上において、日本人はなかなか八階、十階のアパートに住むことを従来は好みませんでしたからして、こういうような新しい国民生活のあり方というものをPRする必要がありましょう。こういうことでできるだけ市街地をむやみに遠くに伸ばさないように、実はこの前も道路問題で私はその点をやかましく言ったのですが、むやみに地下鉄などを遠くまで持っていくということはますます市街地を広げて、そうして中央にますます遠くから車を引き寄せ、また人間を引き寄せることになる。だからして地下鉄の計画等も都心中心という考え方をある程度是正したらどうか、副都心あるいはそれに伴うような……、何もかも銀座、日比谷、こういう所に集中するような地下鉄なり道路計画というものは、ますます人をまん中に集め自動車を集める結果になる。こういう意味でもっと根本的な点からものを考え直せ、こういうことを首都圏で私は指示をしておるのです。根本的に言えばここの委員会でももちろんお話しになったろうと思うのですが、大学などはできれば思い切って富士山ろくに持っていってしまう。こうなれば市街地、旧市街地の開発、再開発というものも非常に大きくクローズ・アップしてくる。これらの諸問題については一つ大いに皆様方の卓見を徴しましてそうしてまとめ上げて、一つ新しい日本の国作り、都市作りというものを打ち出して参りたい、かように考えております。
  68. 稗田治

    説明員稗田治君) 既成市街地の宅地を再利用するという方針につきましては、お説のごとく当然そうしなければならないというようにわれわれも考え薫るわけでございます。従いまして、公営住宅におきましても今後階数の多いものをできるだけ比率をふやしていこう。平屋の住宅を割り当てるんではなかなか既成市街地の再利用もできませんので、少なくとも大都市には階数の高いもので割当ができるようにということを考えておるわけでございます。なお、金融公庫における中高層の足の融資とからみ合わせまして、公営住宅を上に載せる、あるいは地方公共団体の施設の上に公営住宅を載せるというようなことも現在やっているわけでございます。ただそれが非常に量的に少ないというので、あまり目立った形にはなっていないわけでございますが、こういうような点につきましてもこの次の国会に、できれば耐火建築促進法を防災建築促進法というふうに改めまして、単なる奥行六間の帯状の防火帯でなしに、背後地を含めて街区全体もその市街地の立地条件にふさわしい建築構成ができるように、そういうふうに改正をいたしたいと思っております。
  69. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 本日はこの程度にて散会いたします。次回は明日午前十時から開会いたします。    午後零時三十二分散会