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田中一君 その技能者とか賃金の問題、あしたゆっくりやりますが、もう
一つ伺っておきたいのは宅地の造成ですが、公営住宅をどこへ建てるかということになるとやはり新しい土地を求めようという傾向が、これはむろん
住宅金融公庫は土地がなくちゃ
融資してくれませんし、住宅公団はお手前で農地だろうが何だろうが適当にうまくやって、新しい宅地を造成する。公営住宅は私はおのずから
一つの制約を持っていいんじゃないかと思うのですよ。まあ
計画部で、前国会でそのまま流産、
審議未了になってしまった土地改造法ですね、これらと
一緒に並行してやるということも、これは年来のわれわれの主張であります。もう宅地を持たない、国の施策とするところの住宅に対しては新しい宅地を造成しないという原則を立てるくらいにしてほしいと思うのですよ。何かといえばやはり現在でも町並みにある中小商店とか何とかというものは、火事もこわいから耐火建築にしたいのです。しかし何といっても資金がないということですね。その人たちが利益になれば喜んで宅地は提供すると思うのです。私はこれはもう必ずすると思うのです。場合によれば土地を持っている方の一階の店舗というものはただで作ってやって、そして上の方の地代は払ってやる。計算の問題ですからただでいいかどうかわかりませんよ、負担をなくしてやる。上の地代で自分のうちの払いができてしまうというような、市街地の再開発という方面に公営住宅は積極的に進むべきだと思うのですよ。これはもう長い間言っているのですが、めんどうくさくて、それにいろんな諸権利
関係というものが輻湊しているものだから手をつけない。公営住宅は少なくとも地方公共団体の
事業なんです。公営住宅は新しい用地を取得しないという前提に立って、でき上がっている都市の改造を含めた用地取得を行なうというようなことを
考えなければならぬと思うのです。どうも所得倍増論はけっこうですが、それに並行して十カ年一千万戸の住宅を推進するとなると、百万戸分の宅地が必要になってくるのですね、今までの
考えですと。そのうちまあ建てかえというのが百六十万戸しか見込んでないから、
あとの八百四十万戸というものは、全部用地を必要とする住宅なんです。それを
考えると一体どこまで……、
政府の施策が土地の値上がりを
促進していることになるのですよ。需要がなければ、今日の自由経済のもとにおいては、土地は上がらないですよ。買わなければいいんですよ。買わなければ上がらないんです。既成都市の土地を借りることです。家は何も地面の上にじかに建てなければならぬというものじゃないですよ。店舗の上、三階からでも四階からでもいいんです。かりに土地の価格を
考えると、土地を借りて二階あるいは三階の住宅を建てるために、土地の所有者に対して一階なり二階なりの分を全額
融資で建て上げる、そしてその負担は地代で支払うとするならば、かりに宅地を造成した方が計算上得だとしても、それをこえて、既成市街地の適正な所に求めることが正しい。土地を投機的に値上がりさせようという社会悪から見た場合には、私はその方がいろいろな面でプラスの方が多いと思うのですよ。住宅公団なんかはそれに対する全く見本的な悪地主的な家主です。これは社会悪というものを造成しているのです。これは住宅公団としては、
一つの見方でもってある中間層をねらっているのならそれもいいでしょう。それはあした論議しますがね。せめて公営住宅だけは地方公共団体で、自分の行政区域内においてよい町作りをする、よい行政を行なうというところに主眼があるわけなんですよ。すぐにそれが成果をあげられないとするならば、並行して強力にそれを推し進めていくということがなければならぬと思うのです。今向こうにいる村井君が今から十年前に、課長時代に作った例の耐火建築
促進法、これは有名無実ですよ。このねらい方がほんとうにあの当時から着々と前進しているならば、こんな問題は起きないわけですよ。これはまるで死んでいるようなものです。よいアイデア、よい政治の芽が芽ばえてくると、これは票にならぬといってつぶしちゃうんです。票にならぬどころか、抵抗が強かったらかえって悪い結果になってしまうと思うけれ
ども、なかなかそれは進んでこないのです。
促進する
補助率なんというものも、どうやらこうやら一億程度のものをようやく二次、三次の内示ぐらいでもって、
建設大臣の力によって取ってきているような状態ではだめなんです。
私が
建設大臣に最後に伺いたいのは、公営住宅の用地というものは、新しい所に求めない。既成市街地をいろんな面から整備するために、多少の困難があろうとも乗り越えて進んでいくのだ。その用地取得のためには大幅な既成市街
地区域をきめて、そこにそうした費用を投入するというような
考え方が生まれなければならぬと思うのです。
住宅金融公庫は御承知のように土地を持っていらっしゃい、貸してあげますからというのですから、これはそれぞれの自分の力というか経済的なペースによって自分の適材適所を求めるでしょう。住宅公団はこれはあしたにします。公営住宅だけはせめて地方公共団体が
事業主体でありますから、そういう方向に向かって進むというようなことを、これは社会をよく知っている
建設大臣が
考えてほしいです。十年前にできた耐火建築
促進法は耐火をねらっておりますけれ
ども用地取得
促進法ですよ、今日では公営住宅の用地取得
促進法です。それでもやはり魅力というものがなくちゃならぬです。それはパーになったとしても、無限大に資本主義が土地価格をつり上げようとしていることに対する協力をセーブしなくちゃならぬです。これはどうお
考えになるか、
一つ建設大臣並びに
住宅局長から答弁してほしい。