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1960-10-19 第36回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十月十九日(水曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 芳男君    理事            岡村文四郎君            野本 品吉君            矢嶋 三義君    委員            上原 正吉君            高野 一夫君            野上  進君            林田 正治君            谷村 貞治君            相澤 重明君            北村  暢君            小柳  勇君            坂本  昭君            武内 五郎君            森中 守義君            天坊 裕彦君            常岡 一郎君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君         —————    会計検査院長  山田 義見君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    大蔵省主計局総    務課長     大村 筆雄君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    会計検査院事務    総局次長    上村 照昌君   —————————————   本日の会議に付した案件国家財政の経理及び国有財産の管理  に関する調査  (文部省関係予算支出に関する  件)   —————————————
  2. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。  文部省関係予算支出に関する件を議題といたします。本件については、去る十月十五日の決算委員会において質疑を行なう予定でありましたが、都合により本件質疑を行なうことができませんでしたので、本日これについて質疑を行なうことといたした次第であります。  まず、資料提出されておりまするので、これが説明を求めます。
  3. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) お手元に配付いたしました資料のうち、昭和三十三年度文教施策普及徹底費都道府県別配分額及び支出額内訳というのがございます。この資料は、各府県配分いたしました額が二千万円でございます。で総額国家公務員共済組合負担金から流用いたしました額が二千五百十九万一千円でございまして、府県配分したのが二千万円でございます。残余は本省分でございます。そしてその中に支出額といたしまして、委員等旅費庁費の計が出ておりまして、残額決算不用額でございます。それからもう一つ資料教育研究団体等教育研究助成について、これは昭和三十五年度予算でございますので、まだ掛金は配分いたしておりませんが、配分方針をそこに書いたのでございます。一の方は、中央教育研究団体に対する助成でございまして、教育研究団体に対して積極的に助成を行なって、初等中等教育振興発展に寄与するという目的をもちまして、小、中高等学校の校長、教員その他の教育関係者構成されているもので、構成員全国的または広域にわたるもの、会員から納付される会費等の実収入が確実で、その団体自主的財政基盤が確実なもの、特定民間会社等と特別の関係のないもの、こういうまあ構成のものに対して純粋に教育的な見地から研究を続けておるものに対して助成をいたしておるのであります。補助金の額は原則として少額でございますので、二十万円を限度にいたしたい。補助金使途は、研究用図書等購入費調査費研究大会開催費研究成果刊行物出版費、こういうものに補助しようというのが一のねらいでございまして、二は地方教育研究団体助成でございまして、大体中央教育研究団体に対する助成の仕方と同じような方向で補助する、こういう方針に基づきまして、ただいま各府県から資料が出て参りましたので、この資料に基づきまして、この方針に従って配分を行なうという段階でございます。
  4. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) それではこれより資疑を行ないます。御質疑のおありの方は御発言願います。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本日質疑する事項は二問あるわけです。先般の委員会で要求いたしました資料がここに提出され、今その概要が説明されましたので、まずこれを基礎に質疑して参りたい。  まず第一の国家公務員共済組合負担金流用の件でありますが、これに入る前に、念のために伺いますが、現在勤評実施都道府県は何県あり、それはどこどこであるか、お答え願います。
  6. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 勤務評定のすでに実施をみておりますのは四十三県でございまして、実施をいたしておりません所が、北海道と京都、神奈川とございますが、神奈川につきましてはすでに勤務評定規則の制定を終わりまして、近く実施する予定になっております。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これらの勤務評定の、文部省権限に基づく助言指導方針は、強圧的な、権力的な支配等は一切なさらない方針だと思うのですが、念のためにその基本方針をまず承っておきます。
  8. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) お説の通り文部省文教政策を遂行するに必要な指導勧告助言を行なうのでありまして、地方委員会に対して強制したり、あるいは干渉したりする意思はございません。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重ねて念のため承っておきますが、勤務評定を企画するところの権限をもっている都道府県教育委員会自主性にまかせるものであって、文部省からとやかくと権力的な、圧力的な指導勧告等は行なわないという方針で、本日まで参った、そのような答弁と了承してよろしゅうございますか。
  10. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 大体その趣旨の点でございますが、もちろん勤務評定法律に規定されたものでございますので、法律に定められた勤務評定の要件を満たしていることを必要と考えておりますので、法律実施に必要な指導助言をいたしておるのでございます。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第三十四回国会提出昭和三十三年度決算参照、この二百四十四ページから二百四十五ページに記載されております国会公務員共済組合負担金からの流用は、この備考欄にあるように、「教職員ならびに国民一般教職員勤務評定趣旨普及徹底させる」云々と書いてあるが、これに相違ありませんか。
  12. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 主として勤務評定中心に考えていたわけでございますが、もちろんここにもございますように文教施策普及徹底に必要な給費と考えております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 主としてということですが、勤務評定以外に使ったとするならばどういう方面に使ったのでありますか。
  14. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) もちろん文教施策普及徹底でございますから、たとえばちょうど三十三年には道徳教育教育課程実施いたしましたし、また新教育課程趣旨徹底もございましたので、勤務評定中心ではございますが、勤務評定に関連していろいろと新らしい施策も出ておりますので、そういう問題につきましてはこの経費が使われておると思います。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵省きておりますか……。ここの備考欄記載文文部省から提示された原文相違ないかどうかお答え願います。相違なかったならばこれは提出し直すべきです。政府から出されるこういう説明はきわめて一言一句非常に厳密に書かれるものです。今内藤局長のような説明ではここに当然「等」という字がなければならぬ。趣旨普及徹底させる等云々と、あるいは勤務評定の次に「等」とか何かなければならない。特定してありますよ、明確に。四カ所にわたって流用されておるわけですが、その四カ所とも同文で勤務評定趣旨普及徹底させるとちゃんと特定してあります。従って今、内藤局長のような趣旨であるならば「等」という字が入らなければこれは間違いです。だから内藤局長説明あとでつけ加えたものと私は解釈するのですが、まず大蔵省お答え願いたい点は、文部省から出された原文相違ないかどうかお答え願いたい。
  16. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) お答え申し上げます。文部省からいただいた書類に基づきましてその通り記載したものでございます。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内藤局長に伺いますが、これは訂正し直すべきじゃないですか。
  18. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 大蔵省に要求いたしましたときは、主として勤務評定趣旨徹底ということでございまして、勤務評定以外の文教施策普及徹底には使わないという意味ではなかったのであります。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国会提出される法律案にしろ、あるいは予算委員会等に出される説明書等すべて何か幾つか含んでいる場合には、必ず「等」という字を加えている。ところがこの場合には「等」が入っていない、特定してある。そういう漠然とした「等」なんというようなことでは国家公務員共済組合負担金流用なんか大蔵省許可できますか。国会で議決された予算執行にあたっては、行政府は忠実にやらなければならない。この流用する場合は政府部内でも立法府趣旨を尊重して、きわめて慎重に厳重にやるはずです。そんな漠とした何に使うかわからないようなことで流用大蔵省許可する、こういうことはあり得ますか、大蔵省基本的態度を承りたい。
  20. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) お答え申し上げます。仰せ通り流用等にあたりましては、私どもの方は既定経費でまかなえない場合で特に必要やむを得ない場合ということで、目的等も限定いたしまして、やむを得ない場合に特に御相談の上承認をする、こういう態度で取扱って参っております。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵省の従来の基本的態度行政府予算を議決した立法府に対するとるべき態度、それから国会提出されましたこの書面から、この費用は当然勤務評定に限定して、特定して使用されるべきものであり、使用されたものと私は確認いたします。その上で質問を続けて参ります。これに相違があるならば政府は直ちに、本委員会審議を要求しているところのこの案件を出し直すべきだ。いずれあと官房長官出席要請しておきます。  そこで、この内容に若干質疑を向けますが、私の要求によって出されましたこの二千五百十九万一千円の四十六都道府県への配分額、この配分するにあたっての基準はどういうものでありますか、お答え願います。
  22. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 大体二千万円が都道府県配分された額ですが、そのうち勤評実施を九月十五日に控えておりましたので、この第一回の配分といたしましては、各府県に平均二十五万円を配分いたしまして、そのほかに勤評実施に決定した府県につきましては、世帯数を加味して当初に千三百数十万円を交付いたしまして、その後の実情を見ましてPRの必要な所に逐次出したわけでございます。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 勤務評定趣旨普及徹底させるためにその対象教職員並びに国民、ここに特定してある。そうしますと、勤務評定実施していない県にはその趣旨普及徹底させるために余分に配分されるものと考えられますが、そういう方針で臨まれましたか。
  24. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 勤務評定実施していない所は実施できなかったのでございますから、別にPRをするような条件になかった。ですから、実施していない所は額は少ないわけでございます。実施しているものは非常な抵抗がございますので、その抵抗のよって来たるところに対して教職員理解を深め、国民協力を得るためによけいPR経費が必要なわけでございます。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おかしいじゃないか。勤務評定実施してあるいは実施しようとしている所は勤務評定というものを関心をもって推し進めているのだから、そういう所に予算流用してまで流す必要はないじゃないですか。勤務評定実施しないで、それが議題となっていないような所に、あなた方は勤務評定が必要だというならば、助言指導監督の立場から、そういうところへよけい使用すべきじゃないか。それだから当然勤務評定実施がおくれている府県にこの金をよけい流さなければ筋が通らないじゃないか。北海道二十五万円、これが、ミニマム。長野県の二十五万円が最小です。要するに勤務評定に消極的で実施し得ない、研究していない県は金が少ない。どんな所によけいいっているかというと、最高が群馬県の七十八万八千円、奈良が約七十万円、岩手が六十九万円、これを見て参りますと、きわめて意味深長な配分基準になっているのですね。どうですこれは内藤さん。これは都道府県教育委員会勤務評定を強行する支援カンパ資金みたいなものじゃないですか。そんな気持があったのじゃないですか。それは支援しようというのは援助資金のつもりでこれを出されたのじゃないですか。どうもこの配分基準配分額は納得いたしかねます。もう一ぺん納得できるように説明して下さい。
  26. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 北海道は二十五万円配付しましたところ実際まだ三千円を残しているわけであります。これは一つ当局側勤務評定をやる熱意があるかないかということにもよると思うのです。特に北海道では諸般の情勢上勤務評定はとても早急にはできないのだというような点からPRまでいかないので、私どもは大いに北海道にはたくさんの金をやってPRしていただきたいのですけれども、なかなかそこまでいかなかったという実情でございまして、その他の県につきましては相当な抵抗がございますので、できるだけ教職員理解を深め、あるいは市町村の教育委員会当局理解を深めて実施していただかなければなりませんし、国民一般の御協力を得なければならぬというので、相当抵抗の激しい所ではよけいPR費用が必要なわけで、それによってできるだけ円滑に実施をいたしたい、こういう配慮に基づいたわけでございます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この配分都道府県教育委員会要請があって大蔵省と合議し、流用の許しを得て配分したものか、それともあなたのところで必要を認めて、そして都道府県配分したのか、いずれであるかお答え願いたい。
  28. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これは都道府県教育長協議会の方からも、実はこの特に文教施策普及徹底に関するような経費がなくて非常に困るということを、しばしば教育長なり委員長からも話がありまして、文部省でも何とか勤務評定道徳教育の、あるいは教育課程実施のためにできるだけお手伝いをしたい、そういう趣旨でございまして、文部省大蔵省にお願いをいたしまして、実は予備金で出そうと思いましたけれども、たまたま国家公務員共済組合員負担金余裕がございましたので、その余裕流用していただいたわけでございます。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうすると新たな問題が出てきますよ。それは都道府県からそういう要望があり、あなたのところで適正なる配分をしたというならば、何事ですか。四十六都道府県のうちに金を残したのが二十四県あるじゃないですか。使い切れないのが三十四県。配分されただけを支出済みしたのは二十二県、半数以上の県は使い残しているじゃないですか。特に神奈川県のごときは二十五万円のうちに残額は十七万四千四百円、こういう金額を残しているじゃないですか。あるいは静岡県のごときは九万六千三十七円、配分額残額との比率を取ればものすごいものですよ。国家財政・貧困なわが国でこんな国の予算の流し方というものがありますか。ほかに他の省にありますか。大蔵省へ聞きますよ。国会で議決した予算をあなた方に委任してあるとはいえ、流用を認めて、そうして流した予算執行にあたって四十六都道府県のうちに二十四県も残額を生じ、そうして特定の県は配分された金の七割方も残金を生ずるというこういう流用の仕方、流し方というものはあり得るのですか、一体。流用許可した大蔵省として責任を感じませんか。私は立法府一員として、予算審議権を持っている一員としてそれを追及せざるを得ない。お答えを願います。  あなた、この資料を持っておりますか。
  30. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) はあ、持っております。  本来、流用等はもちろんのこと、既定経費につきましても年間の歳出の予想を立てまして、それに基づきまして適正な予算執行にあたっていただくわけでございますが、当初の見込みを立てましたのが予算の実行にあたりまして、必ずしもその通りの必要が起こらなかったといった場合に、往々にして予定通り経費が使われない場合が起こります。そういう場合に翌年度執行する必要のある場合におきましては、年次の繰り越しなどによりまして、繰り越しの所要の手続をとりまして翌年に執行するということもございますが、当該年度限りでその必要がなくなるというような場合につきましては不用に立っていただく。これは当然のことでございますので、当初見込みの食い違ったものはちゃんと立っていただく。その結果決算書にごらん願います通り、名所におきましてそれぞれ不用額が生じておる、こういう状況になっております。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 当初予算相当計画相違して残額ができるなら、僕はそう追及しない。しかし議決した予算をわざわざ流用までして、そうして配分した。その予算執行にこれほどの残額が残るというのはずさんじゃないですか。配分した金額の七割も八割も余るような、しかも要請があり、それを検討した結果やられたんでは、この流用したことと、この配分とこの使い方のこの数字を見るときに、行政府立法府に対してあいさつあってしかるべきです。この角度から私はお伺いしたい。両者からお答えを願いたい。  大蔵省、勝手に流用許すことはできませんよ。あなた方これは毎年度予算審議のときに厳重に言ってあるはずで、のっぴきならぬ場合に行政がストップしてはならぬから、あなた方に特に合議して云々とおまかせしてあるわけなんで、勝手にやってならぬことですよ。慎重にも慎重にしなくちゃならぬ、そのために款項目というものを予算書にこしらえてあるわけですからね。お答えを願います。
  32. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) ただいま文部省から御提出になっております資料を拝見いたしますと、はなはだしい所は神奈川県のごとく二十五万円配分がありまして、十七万四千円も余っている、これは当初の大きな配分見込み違いであろうかと存じます。私ども全体として全国対象といたしまして、必要やむを得ず年度途中におきまして、文部省として流用施策をおやりになるという場合に、御合議を受けるわけでございますが、その場合にもちろん仰せ通り既定経費としてどうしてもやれない、どうしても年度途中において流用する必要があるというものにつきまして、流用で御相談上大蔵大臣承認をいただいてお認めするわけでございますが、個々の各県別配分等につきましては各省におまかせする。全体として全国的にどの程度のものが必要か、その上の判断に立ちまして、全体の額を決定するという仕組みで仕事の運びをやっておる次第でございます。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内藤局長答弁の前ですがね、局長、あなたのところで大蔵省申請してこういうふうに配分をした、こういう資料が出ますと、今後の文部省大蔵事務局に対する予算折衝にも影響しますよ。将来他の問題で予算流用が必要になった場合のその交渉の際に、文部省はかつてこういうことをやったという一つの実績になると思うんですね。従ってあなたのところに責任があるわけですね。国会に対してまた流用承認を受けた大蔵省に対しても、文部省事務当局責任者として何らかのごあいさつがあってしかるべきだと思います。お答え願います。
  34. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この三十三年度勤務評定につきましては、全国教育長協議会あるいは委員長協議会で全県とも年度内実施する、こういう申し合わせができておったし、神奈川県につきましても教育長に尋ねたところ、東京と一緒に関東ブロック足並みをそろえてやる、こういうことでございましたので、最低二十五万円程度は必要であろうと思いまして実は配分したわけであります。ところが神奈川県の場合にはなかなか思うように参りませんで、結局年度内組合との話し合い等で実際まだPR段階に至らなかったというようなわけでございまして、これが早くわかっておりますれば、神奈川県の経費を他の必要な所に振り向けたのでございますけれども、できるだけ年度内実施したいという強い御要望もございましたので、実はこういう結果になったのでございます。配分額を全部使うということは必要な経費でございますからもちろん当然のこととは思いますけれども、その場合にむだな使い方をされても実は困るわけでございまして、神奈川県につきましては、もっと事前にわかれば他の必要な方面に振り向けられたであろうに、こう思いましたが、ただいま申しましたような理由で大へん遺憾に思っております。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの説明には納得できかねるところがある。神奈川県は勤務評定実施するからといって金を流した。実施するというような県には流すが、ただし実施する意思を示さない北海道のような所には流さない。これでは文部省中央集権、あるいは権力行政をやっていないといっても、予算を背景に威圧を加えていく行政をやっていくことになるじゃないか。そういうあなたの表現というものは、先ほど言いましたように、中央集権的なあるいは権力支配的な行政をやったんではなくて、都道府県の自治にまかせてそうして文部省の持っている助言指導監督という文部省設置法に規定されてあるその趣旨からいって、こういう配分額というものはどうしても納得できません。  それからあなたは神奈川神奈川とおっしゃるが、広島はどうですか。広島は五十五万八千円配分を、受けてそうして二万三千六百七十三円というものが残っておる。もっとひどいのは岡山県、二十九万三千円のうち五万円残っている。だから残った金は神奈川だけではない。静岡は六十一万一千円のうちで九万六千円、約十万円という金を残している。だからこれは配分方針といいまた残額といい、これは異例な場合だと思う。この点について矢嶋所見を聞いてどういう反省と所見を持っておられますか、お答え願います。
  36. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ともかく各府県とも全部三十三年度実施するというお申し合わせでございましたし、またそうあってほしい、こう思いまして最低二十五万円を各府県支出したわけであります。その後はできるだけ各県の御要請に基づきまして実情に即するような配分をいたしたわけであります。残額が多く出たことはこれは大へん私は遺憾に思っておりますが、ただ文部省支払い委任経費でございますのでそうやたらに使うわけには参りませんで、支出額使途がそこにございますように、こういうように使途を限定しておりますので、まあ全部使えなかったという実情もあるわけであります。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 念のために次に伺いますが、大蔵省流用申請をしたのはいつで、許可を受けたのはいつで、都道府県配分示達したのはいつか。
  38. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 大蔵省流用協議をいたしましたのは八月の十二日でございます。それから八月の二十日ごろに流用協議承認する旨の口頭連絡大蔵省からございまして、これは九月一日付で流用承認するという口頭連絡がありました。大蔵省から決裁が参りましたのは1流用協議手続が済んで、通知が参りましたのが九月の四日でございます。文部省では九月の八日になりまして、九月一日で流用承認されたから、一日に基づいて支払い計画を出すように、こういう通達をいたしたわけでございます。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 会計検査院質問がありますから聞いておって下さいよ。これは私が調べたところでは、九月四日に書面流用申請大蔵省にしているじゃないですか。そうして九月八日に大蔵省から許可はおりている。各都道府県配分はその以前にすでに配分示達をし、流している。勤務評定実施は九月十五日であります。非常にあなた方は時間的に急いでおった。従って九月四日正式申請、九月八日大蔵省許可、そうしてあなた方の配分示達これはその以前になされている。相違ないですか、これに相違ないですか。
  40. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 九月四日に大蔵省から正式の書面がきたのでございまして、実は八月の十二日にすでに流用協議大蔵省にしておりまして、二十日ごろに流用協議承認するという口頭大蔵省から連絡があったわけでございます。そこで一応私どもは九月の八日になりまして、大蔵省から正式の書面がきてから八日に発送したわけです。発送したときに、九月一日付の承認でございますから、九月一日付で支出負担行為を示達したわけでございます。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵省から正式許可が出る前に、あなたのところは示達配分を流している。こういう行為は許され得るかどうか、会計検査院長お答え願います。
  42. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 今までの行政庁内の慣例といたしましてそういうことはやっておるのでありますが、われわれとしまして、予算の示達前に実際の支出をするようなことは認容されませんけれども、その計画を立て、示達をするようなことは一つの準備行為として、政府としてはこれは不当と認めることはいたしておりません。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 支出をしたらどうですか。
  44. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 予算流用前に、目の設定前に支出する場合は、これはわれわれは不当行為として指摘することになると思います。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現実に文部省それをやっているでしょう。
  46. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) そういう事実は承知いたしておりません。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはあなたのかつての前言と違ってますからね。この点については明確に再調査をして文書で回答しなさい。会計検査院よろしいですね、文書で回答するように。かつてのあなたの検査院当局の答弁と食い違っておりますから、これは文書でもってあらためて答弁するように。
  48. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 検査院といたしまして、先に答弁されましたのは、九月四日に正式文書が出る前に事務の慣例上——大蔵省からも説明があったと思いますが、文部省流用承認するのだということの連絡があったということでございまして、それが事務手続関係上書類としては九月四日付できておる。が、一応効果としては、やはりそういう点は行政慣例として、九月一日に承認があったものと見てよろしいのではないか。で、その以後に会計行為が行なわれておりますから別に差しつかえない、こういうふうに大体私どもは考えておるわけであります。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点、僕は理解しないところがありますが、それは一応あなたの意見として聞いておきましょう。  次に、初中局長に伺いますが、この金は何に使ったのですか。この庁費の内容はどういうものか。  それから旅費というようなことを書いてありますが、これはどういう場合に、どなたが使われた旅費なのか。この使途についてお答え願いたい。
  50. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 文部省から支払い計画を示達しましたのが、九月の十日に九月九日付で支払い計画は示達したわけでございます。ただいまのお尋ねの庁費の点は、その備考の欄に書いてございますように、文教施策趣旨徹底会の会場借料、会議費、資料の印刷費。消耗品費、通信運搬費。それから資料印刷費、資料購入費、それから消耗品費と、こういうような経費でございまして、旅費は講習会やあるいは趣旨徹底会に出る委員講師の旅費でございます。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この、私は数県の資料を入手しているのですが、これを見ますとほとんど庁費に使われていますね。県によりますと、諸謝金、委員等旅費には全く使っていない所さえある。こういう使い方は一切教育委員会に一任したのかどうか。この庁費の中にかりに交際費的な性格の使い方があったとするならば、これは許されることか許されないことか、どういう見解を持っておられるか。お答え願います。
  52. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) そこにございますように、諸謝金、委員等旅費を便ってない府県も若干ございます。で、庁費は、御承知の通り、いろんな経費に使われますので、会議費とかあるいはこの会議に必要な弁当代等は当然含まれるものと考えております。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵省に聞きますが、庁費の名目で交際的な性格に使うことができるものかどうか、お答え願います。
  54. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) お答え申し上げます。  庁費という目がございまして、その中に会議費という節を持ってございますが、別に交際費として必要なものは費目に特別に交際を立てまして、これは予算に計上してちゃんとしてございます。ただ、庁費執行にあたりまして、たとえば先ほど初中局長から御答弁ございましたように、会議を何人か集まってやるという場合に、どうしても夜になったというような場合に、弁当を取り寄せて会議を続行したというような場合、会議費としての支出はこれは認められております。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この領収書は全部文部省に各都道府県から届いているものと思いますが、どうですか。
  56. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これは会計検査院の方に全部通知が行っておるわけでございます。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この費用は委任支出にかかるものですね。念のためにお答え願います。
  58. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 支払い委任でございます。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 会計検査院に伺いますが、最近こういう支払い委任予算執行がかなりありますが、ところがこれらについて会計検査院はあまり検査していない。こういう点についてはもう少し会計検査院は検査対象に取り上げる必要があるのではないか。こういり支払い委任の金は都道府県の歳入にも入らないわけです。だから県議会でも問題にならなければ、県の監査委員も監査しないわけです。まあ、いわば中央から直接費的なお金として流れているわけですね。だからこの場合都道村県教育委員会は何はばかることなく勝手に使える、それでその領収書が本百に上がってくるわけですね。どうもこれらについての監査実績というか会計検査院実績というものが不十分のように思う。もう少しこれらの点について会計検査院当局はしっかり検査をすべきではないか。これに対する所見と、それから初中局長説明では、各都道府県から領収書が全部上がっているということなんですが、それを資料として本委員会に提示願いたい。
  60. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 委任支出の分につきましては、これはやはり国費でございますから、県に委任いたしましても国費と同じように計算書と証拠書類は検査院に上がってくるわけであります。ただ、上がってきますと申し上げましても、たとえば契約書は何ぼ以上から作ればよろしいというようなものがありますから、決議書とか領収書が大体上がってくるわけでございます。それに基づきまして検査院は書面検査をいたしているわけであります。それから実地検査に行きました場合には、できるだけわからないような点は調査するという態度をとってきているわけでございまして、全然ノータッチというわけではございません。ただ不十分であるからしっかりやれというお話については、今後十分気をつけていきたい、こういうふうに考えております。  それから最後の領収書類が検査院に出ているから出せ、こういうことでございますが、この点につきましては、当委員会ではなかったかと思いますが、検査院は計算証明のために、検査のためにとっているのだから、不当事項として指摘いたしましたものについてはこれは国会提出しなければならぬと思いますが、そうでないものはむしろ文部省の方へもし御必要であればお返しするというようなこともできますので、行政庁で提出させるというようなことをおとりになる方が適当じゃなかろうかということで、実は御遠慮したいということを前々から申し上げておるようなわけでございますから、御了承願いたいと思います。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じゃ初中局長に伺いますが、あなたの方から会計検査院に出された領収書、それが文部省に返却されたならば、回付されたならば、本委員会要請があればそれを資料として一本委員会提出する、あいは委員の閲覧の便をはかる、そういう意思でございますかどうか。私は要望いたします。
  62. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これは会計検査の問題でもございますので、会計検査院当局と十分お打ち合わせをしなければ私一存で出すということも取り計らいかねますが、当委員会の皆さんの御決議がございますれば、できるだけ尊重いたしたいと考えております。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 矢嶋がそれを見せてもらいたいという場合に、見せるか見せないかということですね、会計検査院行政府要請があればそれは回付してよろしい、それに対して立法府要請してほしいということですからね、私はぜひそれは別にプリントしなくても現物を見せていただきたい、こういう要望をしたときに見せていただけますか、いかがでしょう。
  64. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 文部省としては、この資料をどうしても会計検査院からいただかなければならないとも実は考えていないわけでございます。しかし委員会からの御決議でもございますれば、その決議に対しては尊重すべきである。矢嶋さん個人についてはこれは別個に考えてさしていただきたいと思います。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 矢嶋個人といっても僕は審議権調査権を持っている人ですよ。普通の場合資料要望さえすれば大がい出していただける。これなんかも出していただいたのですね。だから、プリントして出してほしいというと大へんですから、プリントしなくてもいいから見せてほしいというのは、私はずいぶん譲った御要請ですよ、会計検査院にはまだお尋ねしていない、初中局長に……。
  66. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) いやそれに関連して。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それならどうぞ。
  68. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) さっき事務次長から答弁いたしました通りでありますから、会計検査院にとっております書類は検査のため以外には一切利用しない、外へ出さないということにいたしております。が、しかし原局の方でこれをほしいとおっしゃればそれをお貸しするということはいたしております。が、領収書のようなものは、ことに三十三年度分はすでに終了いたしまして蔵入りをいたしておりますが、これを探し出すのも相当手数も要しますし、またわれわれ検査院といたしまして、これを十分調査いたしまして確認して間違いないという確認をいたしたのでありまするからして、なるべくならばわれわれの検査を御信用下すって、また探し出せというようなことまでいかない方をわれわれは強く望みます。しかしどうしても議会の方でほしいとおっしゃる、そして文部省の原局の方で貸してほしいとおっしゃれば、われわれ十分探して提出いたします。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 検査院長の見解、一応それでわかりました。時間がないです。からあと文部大臣に伺いますから、この項目における最後の質問をしたいと思います。
  70. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと関連。私はあまり文部省のことに詳しくないので、内藤さんに聞いておきますが、この三十三年度決算の書類から参りますと、非常に移流用が多いですね。今まで私も数年決算委員会に出てきましたが、各行政機関の内容に見ないほど多い。これはどういうことですか。予算の編成そのものに文部省は手抜かりがあったのか、さもなければ大蔵省の査定等の関係で、あらかじめ次年度においては予算の移用もしくは流用を承知の上で予算を編成されたのかどうか。すこぶる他省にこういう例を見ません。そういう点で私はこの内容を拝見しながらまことに奇異に感ずる。その点どうですか。
  71. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) もちろん当該年度に予測できるものは、普通一般予算に計上するのは建前でございますけれども勤務評定につきましては、御承知のようにいろいろ都道府県協議会等でも問題になっておりまして、三十二年度に編成する予算の中に実は盛り込むような状況になかったわけであります。で、九月一日から実施するというような申し合せが、実は四月にできたわけなんです。ところで九月の十五日にいよいよ提出の時期が迫りまして、もっと勤評というものはどういうものか——今ではだいぶ皆さん御存じになって御理解があると思いますけれども、当時は勤評といったらどんなものかといったようなことでございまして、一般の理解が足らなかった。そこで実は予備金大蔵省へ要求したわけでございます。ところが幸いに、実は国家公務員共済組合負担金の方に余裕が出たということが明らかになりましたので、その方の経費から実は流用をしていただいたわけでございます。
  72. 森中守義

    ○森中守義君 内藤さん、聞かれないことまでもしゃべらぬでもよろしい。そういうことはだれも聞いていない。予算の編成がずさんであるのか、あるいはあらかじめ次年度において予算の移用もしくは流用を意図しながら、文部省予算の編成をしたのかどうか、その理由として、予算の移用もしくは流用が非常に多い。それはどういうことかと、こう聞いておる。勤評のどうとかこうとかいうのは私聞いていない。よけいなことは答えぬでよろしい。もう少し正確に答えなさい。
  73. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この勤評の問題が今この流用の問題になったので、実は勤評の問題を申し上げたわけであります。本件につきましては当初当該年度には予測がつかなかったのでやむを得ず流用したわけであります。
  74. 森中守義

    ○森中守義君 そこで大蔵省に伺っておきますがね。こういう一般会計の場合の予算の移用もしくは流用が認められておるのは、財政法三十三条だけなんですね。従って、この三十三条だけを中心にして、要求があれば簡単にお認めになるのですか。さもなければ財政法三十三条以外にこれを受けて厳密に審査を加えて、要求があってもこの種内容については流用もしくは移用を認めるとか認めないとか、そういう厳密な審査をなさるのですか。大蔵省の措置はどうなんですか。
  75. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) お答え申し上げます。  御承知の通り流用の根拠法規は財政法三十三条でございますが、年度途中におきまして、たとえばただいま御質疑のございました勤評関係経費、当初予測のつかなかった経費で、どうしても必要だという場合が出て参るわけでございますが、その場合に、私どもといたしましては、既定経費でどうしてもやれないものかどうか、それからまた年度途中どうしてもやらにゃいかぬものであるかどうか、これを十分審査いたしましてやむを得ないものに限りまして、既定経費余裕がございます場合には、それの流用等によりまして承認を与えると、こういうふうにやって参っておる次第でございます。
  76. 森中守義

    ○森中守義君 まあ型通り答弁のようですがね。そういうことはわかっておる。私が聞きたいのは、予算というものは国会承認を与えておる。議決をしてでき上がったものなんですよ。しかもその財源というものは国民の税金であることに間違いない。そういうものをこういう行政機関が移用もしくは流用を要求してきた。これに承認を与えるべき大蔵省が簡単に認められちゃ困るということですよ。予算というのは厳正でなくちゃいけませんよ。  それで、今やむを得ない場合と、こういうことのようですが、はたしてやむを得ない措置としてこの文部省の問題は取り扱われておるかどうかということになると、あまりにも項目が多い。移用、流用の数がですよ。他の機関に比べてほんとうに類例を見ませんよ。そこに広げて見てごらんなさい。かなり数が多い。だから私は文部省予算編成そのものについても疑いを持  つ。内藤さんそう思いませんか。あまりにもあなたの方は多いんだ。それをまた大蔵省は、要求があったからああそうですかということで認めたきらいがきわめて顕著である。少し甘くないですか、文部省に。ほかの省が移用もしくは流用したという場合には、たとえばベースアップがあった、あるいは本来ならば緊急事態が発生して予備費から出すべきであったけれども、他に予算の残があったからそれを回したと、こういう一、二の特例はある。しかし、文部省のようなこういう例は一つもない。少し私は大蔵省文部省の要求に対してきわめて簡単に認証を与えているような気がする。どうですか。しかも、今先刻矢嶋さんからお話があったように、こういうたとえば諸謝金というのがありますね。二百四十四ページの諸謝金。ここでも同じように国家公務員共済組合負担金から七十九万円ほど流用していますね。この流用をしておきながらですよ、結果的には二十六万五千円という金を余しておる。どうなんです、七十九万の流用でしかも二十六万も金を余す。こういうばかげたことがあり得ますか。積算の根拠があいまいなのか。そういう調査をされる大蔵省の方がですね、要求があったから簡単に認めたという結果以外に答え得ないと思う。どうなんです、その辺の事情は。
  77. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) お答えを申し上げます。  ただいま御指摘の諸謝金の点でございますが、(森中守義君「諸謝金は一つの例だよ」と述ぶ)例でございますが、非常に文部省につきまして流用の項目が多いのではないか、各省に比べて特に多いのではないか、従って、特に文部省の要求に対して甘いのではないかという仰せでございますが、特に文部省に対しまして甘いというわけでは私どもないわけでございまして、たまたま三十三年度流用科目が決算書に多く出て参っておりますのは、ただいま御質疑のございます勤評関係流用の際、財源といたしましては共済組合負担金、それから流用いたします先が諸謝金、職員旅費、委員等旅費庁費というように科目が四つに分かれておる関係で、多少流用の科目として多く現われておる結果ではあるまいかと存じます。  ただいま仰せの御指摘のございました謝金の点でございますが、先ほど矢嶋委員質問通り、当初流用の際、これだけの謝金がどうしても必要だということで、文部省流用をお認めしたところが、執行の結果その予定通り施策が進まなかった、そのために生じたものであろうかと存じます。
  78. 森中守義

    ○森中守義君 私は関連質問だから一応このくらいで終わっておきますが、資料をお願いしたい。  文部省庁費の内訳、これ一つ詳しく出して下さい。たとえば内藤局長が学術会議に行ってコーヒーを飲んだとか、一ぱい飲ましたとかそういうのを全部出しなさい。庁費関係を全部一つここへ出して下さい。それから諸謝金の内訳。これ二つ一つ出していただきます。委員長一つ確認して下さい。
  79. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) どうです。
  80. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ちょっとその御質問趣旨が私はっきりいたしかねておるのですが、庁費というのはどの庁費をおっしゃるのですか。文部省関係にはたくさんの庁費がございますので、これは会計課長の方からお答えした方が適当かと思います。初等中等教育局所管のどの経費をおっしゃるのか、御趣旨が明確でなかったのですが。諸謝金についても同様でございます。
  81. 森中守義

    ○森中守義君 庁費とは朝から問題になっている二百四十五ページの庁費ですよ。よろしゅうございますか。移用されている二千三百万の内訳がここに出ている。それ以外年度予算に組まれた庁費を私は聞いているのです。持っていますか。これは庁費と聞かれるならば朝から問題になっているのですから、この内容にきまっていますよ、六千三百九十七万円というのがありましょう。
  82. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ここに文部省所管の庁費が六千三百九十七万六千円ございます。で、どういう、これは文部省の事業費の実体でございますので、その項目を出したいと思っております。ただお話のように、学術会議に行ってコーヒー飲んだ領収書を出せとおっしゃってもそれは無理でございますけれども、大体何に使われているのかという目安はつくような資料は出したいと思います。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう少し伺います。数字が出ますからよく頭に入れておいてお答え願いたい。  文教施策普及徹底費というのは昭和三十三年は百八十四万三千円だったのですね、そうして三十三年度流用したのが二千五百十九万一千円ですね、これ流用した。当初予算に計上してあるのはわずか百八十四万三千円であった。そしてこの三十四年になっては、この文教施策普及徹底費というのは前年度の百八十四万円に対して実に十数倍の二千八百五十九万二千円になっている。しかも、なおかつ三十四年度において三千万円流用しているのですね。このことと、最近文部省に多数置かれつつある視学官との関係を私は伺いたい。あの視学官というのは第一次米国教育使節団が来た場合に、これは日本の誤れる戦争に引き込んだ文教政策の一端をになってきた、特に思想統制の点で遺憾な点があったというので廃止したわけですね。ところが、最近非常にこの視学官を多数復活といいますか、これはどういうことをなさるのか、特に初中局においてはブロック別に担当していますね。この視学官、ブロック別に担当している。このブロツク別担当の視学官についてこの四十六都道府県に格差をつけて配分した、こういう予算を駆使してやられているところに最近の文教政策の危険性がある。私はこう指摘したいわけです。ここは決算委員会ですから、その三十三年度の百八十四万に対して二千八百五十九万も組んで、そうして、なおかつ三十三年度に二千五百万以上流用しておいて、三十四年度に三千万円、この点に対する文部省答弁。  大蔵省に対しては、三十三年度国家公務員共済組合負担金は九億百四十二万円だったですね、そして二千五百万円を流用さしておいて、なをかつ三十四年度においては十一億一千二百八十三万二千円という予算を計上して、そうしてまた三十四年度において三千万円流用している。こういう点私は理解に苦しむわわけです。これは予算執行するにあたって若干不足をしたり余ったりすることは、これはあり得ることだ。しかし、問題は限度の問題だと思うのですね。この点について両者の答弁を伺いたい。
  84. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 三十三年度にただいま申しましたように二千五百十九万一千円の流用を見たわけでありまして、三十四年度はその流用された条件はまだ私どもとしてはPRの必要があると考えまして、実は三十四年度はその流用額と既定経費がございますので、大体今お話のように三千万ぐらいに三十四年度予算はなっておるわけです。そのほかに別に流用したという事実はございません。この点は御了承いただきたいと思います。  それから、視学官とこの金との何か関係があるかというお尋ねでございますが、これは全然関係ございません。視学官は特に新教育課程実施途上にございますので、教育内容の指導助言をする責務がございますので、指導の徹底をはかるために視学官を増置したのでございまして、この文教施策普及徹底費はこれとは関係ございません。特に勤評問題その他新教育課程の問題等がございまして、文教施策を強力に推進する必要があろうと、こういう意味でこの経費は計上されておるものでございます。
  85. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) お答え申し上げます。  三十三年度共済組合負担金九億百四十二万円出しまして、そのうちから二千五百十九万一千円流用いたしておりますがこれは主として国立学校の先生方の欠員に基づく不用見込額のうちより流用いたしたものでございますが、三十四年度に至りまして退職年金の施行に伴いまして直接国の負担がふえました関係上、十一億というものを増額計上しておるのでございますが、同じく主として国立学校の先生方の欠員に基づく不用見込額のうちより、三十四年度退官退職手当の当初予算不足額二千万円余りを流用いたしておる次第であります。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がありませんから次の問題について二問ほどして他の委員とかわります。  本日冒頭に申し上げました第二問は、教育研究団体等教育研究助成について、これは本年度から初めて始まった予算目ですね。これは千万円予算に計上した。これは資料がきょう出ておりますがね。これは中央教育研究団体地方教育研究団体助成するということですか、これはいずれもなんですか、一個団体に対して二十万円というのを限度にするということなんですか、その点お答え願います。
  87. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) さようでございます。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 中央団体地方団体を通じて予想される団体はどのくらいありますか。
  89. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ただいま中央に集まっておるものが五十七団体でございます。それから地方が各四十六都道府県から集まっておる団体は六百十四でございます。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この配分申請してきた団体に対して審査して出されるのですか、それともあなたの方から適当な団体をマークして助成されるのですか、方針はいずれですか。
  91. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 申請のあったもののうちで、適切なものに対して助成する考えでございます。
  92. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その助成を受ける団体は、福利厚生を目的とする職員団体の登録をして差しつかえないのですか、どうですか。
  93. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これは純粋に教育研究団体対象にしておりますから、職員組合のようなものは対象にならぬと思います。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 純粋なる教育研究団体に対して助成するというならば、福利厚生を目的とする教員組合等に所属している教職員が、その助成を受ける団体に参加することができますかできませんか。
  95. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教職員教職員団体に加入しておる場合は、これは勤務条件の改善向上をする団体でございますから、この団体には出す考えはございませんが、教職員教育研究団体としての別の団体に加入しておる、こういう場合には教育研究団体助成することになります。
  96. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重ねて明確に伺いますが、教員組合に所属している人が、純粋な教育研究団体に加入することは自由ですね。
  97. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 自由でございます。
  98. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教職員組合に加盟している人が参加しているがゆえに、その団体にこの助成金を出さないということは絶対にあるべきでないし、ないでしょうね。
  99. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この団体が純粋な教育研究団体であるかどうかという点を見まして、その教育研究団体の面に助成するわけでございます。
  100. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じゃあ、もしその純粋な教育研究団体に教員組合員が入りたいという場合、あなたは教職員組合員だから加盟することはできない、あなたが加盟すると文部省から補助金がとれないというふうな事態があった場合には、それをあなたは是正させますか、いかがですか。
  101. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) お尋ねの趣旨がよくわかりかねているのですが、その団体はあくまで教育団体です。
  102. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 はっきり申しましょう。教職員組合に入っている人が、この純粋な教育研究なるがゆえに一千万円の一部を助成を受けるわけですね。この団体にこちらの人が入ろうとする場合、あなたは教職員組合組合員だからこの団体には入ることができない、もしあなたを入れると文部省から助成金をもらえなくなるというようなことがあり得るのか、あり得ないのか、その点を伺っているわけです。
  103. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) どういう規約か私も規約を存じませんが、文部省補助金を出す場合に、教職員組合の加盟員だから出さない、そういうことは申しません。
  104. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国家公務員法九十八条、地方公務員法五十六条でも、不利益取扱禁止の規定があるわけで、教職員組合に加盟しているからといって差別待遇をしてはならないということは、文部省としてはあくまで確認をし、都道府県教育委員会にその線に沿っての指導助言とをなされていると思いますが、念のために伺っておきます。
  105. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 原則的にはその通りでございます。
  106. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点については他の委員から質疑がありますから最後の一問をいたしますが、この一千万円のあらためて1配分基準とこの助成額の指示はいつなされるおつもりでありますか、お答え願います。
  107. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 手元に資料が整っておりますのでなるべく早い機会に出したい、少なくとも年内には出したいと考えております。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 基準は……。
  109. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 基準はこの基準でございますので、この基準に基きまして事実上審査をして適切なものを出す考えでございます。
  110. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 助成の内示額はもうなされておりますね、都道府県に。
  111. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) まだ全然いたしておりません。
  112. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は先般ある県——はっきり申しましょう、愛媛県教育委員会、これは資料をとってあります。ちゃんとあなたのところから三十五年八月三日付で、文部省初等中等局長より通知があった、助成指示額は二十万円、ちゃんときている。ところが愛媛県当局はあとから委員の方々が具体的に質問しますが、この二十万円と違う百数十万という助成が千万円の中からあるということを責任者が公言している。そうして明らかに職員が保障されている団結権と、職員団体を作る権限に不当に干渉する。言葉をかえて言うならば組合の分裂工作、その角度からこの一千万円を使おうとしている。その事実はあとで指摘される。もしこう  いう事実があるとするならば、文部省としてはどういう責任をとるのですか。この今の質問の内容は二点あるわけですね。内示額の問題と、それから具体的にこれと関連して愛媛県当局の現在とられている態度、これに対して文部省はどういう指導をし、責任をとられるのか。予算を議決した国会においてはこの一千万円は純粋な教育研究団体支出するものであり、教員組合  であるかないかというようなこととその支出とは無関係だ、こういう基本方針が明確になっているにかかわらず、末端においてそういう予算使途をなされているということについては、予算執行権と配分権を持っている文部省責任は、この立法府に対してはあると思う。
  113. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) まだ全然負担行為を起こしておりませんし、内示もいたしておりません。先ほどお示ししましたような配分方針で一団体二十万円ですから、都道府県の場合は一県あたり二十万円を限度に考えているということは八月三日付で知らせておりますが、何か百何十万とか、そういう話は、御要望はあるかもしれませんけれども、全然私どもは考えておりません。  それから次のお尋ねでございますが、愛媛教育委員会がどういうふうに処理していらっしゃるのか、今のお話は私はまだ詳細に内容を存じませんので、よく調査してみたいと思います。
  114. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 他の委員質疑後に私はまた質疑をいたしたいと思いますので、一応終わります。
  115. 小柳勇

    ○小柳勇君 初中局長質問しますが、教育研究団体等教育研究助成についてという方針がきまりまして、各県の教育委員会の代表などを集めて討議されたことがあると思いますが、この書面を出す前にどのような指導をなされて、こういうものができ上がったか、御説明願いたいと思います。
  116. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これは当初予算に計上しております。教育委員会からの御要望もございまして、三十五年度において初めてお認めいただいた経費でございます。これの配分につきましては、金額が一千万円という額でございますので、実はむしろ配分に困るくらいでございまして、先ほどお示ししましたような方針に基づいて一団体大体二十万円を限度に、それから各県には一県当たりせいぜい二十万円くらいしか考えておりませんので、この点は教育長なり教育委員会に十分に申し上げておる次第でございます。
  117. 小柳勇

    ○小柳勇君 一番そのあとの方の教育長なり教育委員会に十分に申し上げておると言われている、その具体的のことを聞いておるわけです。どのようなことでこの教育研究助成指導されているか、文部省が各県を指導されておるか、前の方はわかっておりますから、あと予算に計上されて、当然そういうものが交付される、こういう書面が出ておりますので、それまでにどのような指導をされておるか、そのことを聞いているわけです。
  118. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教育研究団体につきましては、各府県でだんだんできつつある状況でございまして、各府県はそれぞれ実情によって違うわけです。私どもは新教育課程実施を目前に控えておりまして、新指導要領の線に沿った研究団体が活発に研究調査されて、新教育課程が円滑に実施するように希望いたしておりますので、研究団体の育成につきましては努力をしたい、こういう一般的のお話をしている次第でございます。
  119. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、こういうような書面を出しっぱなしで、総額は一千万円だ、それから結成したところには二十万円を交付する、そういう書面を出しっぱなしで、あと結成しなさい、ただそういうような書面上の指導だけであるのか、あるいは全国から代表者その他を集めて指導されたことがあるのか、そのことを聞いているわけです。
  120. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教育長全国の協議会なり、教育委員会の協議会がございますので、一般的のお集まりの際には文部省の所管事項につきまして述べておりますので、その機会に当然この問題にも触れております。それ以外に特に研究団体の方々を集めてどうのこうのいったことはございません。
  121. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、今各県で教育研究協議会など結成しましたところですね、そういうふうな具体的の報告がどのようになされておるか、聞いておきたいと思います。
  122. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 各府県いろいろ特色がありまして、実は今まででも教科別研究会というのは各府県にございます。ですから、既設のものもございますし、新しく協議会を作ろうという機運のところもあるようでございます。いずれにいたしましても、私どもまだ詳細に各府県研究団体を新しく作ったというような報告は聞いておりません。
  123. 小柳勇

    ○小柳勇君 私の方には、今愛媛県で、ことしの九月十八日に愛媛県教育研究協議会を結成したということが調査されているが、文部省にはまだこのような報告はきておりませんか。
  124. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 公文ではきておりません。ただ文部省の係官が視察に行きましたので、そういう話は私も耳にいたしました。
  125. 小柳勇

    ○小柳勇君 文部省の係官というのはだれですか。
  126. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 文部省地方課の事務員でございます。
  127. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連。先ほど内藤局長のお話では、そういった団体中央に五十七、地方に六百十四、こういう説明だったですね。中央の五十七というものにはどういうものがあるか、説明していただきたい。  それから地方六百十四と言われたからには、愛媛県の場合は何々があるか説明していただきたい。
  128. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この中央のものにつきましては、たとえば日本数学教育会とか、あるいは日本理科教育学会とか、日本生物教育会とか、日本国語教育学会とか、いろいろございます。  それから地方の分は、各府県がどういうものを対象にされるのか、各府県からいろいろ資料が参っております。愛媛県のお尋ねでございますが、愛媛県では、愛媛県小学校教育研究協議会、この中には国語、算数、理科、図工、音楽その他ございます。それから中学校につきましては、国語研究、社会、数学、理科、音楽その他の各部がございます。
  129. 坂本昭

    ○坂本昭君 中央の中に、教育父母会議は入っていますか。それから、今小柳委員が指摘された愛媛の教育研究協議会というのは、今局長の言われたものを総括した研究協議会なのですか、その点もう一ぺん明らかにしていただきたい。
  130. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 中央の父母会議は対象にはなっておりません。これは教育研究団体とは私どもは考えて、おりません。それから愛媛県の分は、六百十四の中に一々この部が入っているものと思っております。
  131. 小柳勇

    ○小柳勇君 今私は、愛媛県のこの教育研究協議会というものを結成して、それに教員を結成するために動いている事実を一、二申し上げて、そういうものに対して文部省のあなたなり、あるいは地方課長なり、職員を直接担当して、その生活を守っていかなければならぬ、守るべきである担当官が、どのような見解を持っておられるかということを聞いておきたいと思います。  それは、九月の十八日に、愛媛県教育研究協議会というものが結成されて、その後教育長なり、県の教育指導主事が学校に出かけていきまして、校長がそれに賛成しているものには校長、あるいはそうでないところには組合員以外の人を使いまして、教員を呼んで、そうしてたとえば転勤するに都合がいいように、君は教員組合を脱退しないか、そうしてこの研究会に入らないか、あるいは女の先生を無理に、運動会の指導などで忙しいにかかわらず、研究集会に出なさいといって出して、そのときには、県教組の組合員でない人と二人一緒に派遣しておいて、そうしてその研究に無理にまず出したということと、それから教育研究協議会に参りまして、いろいろその話を聞いてみるというと、県の教育委員会指導者の方、たとえば教育長とかあるいは教育指導主事とか、そういう人が県教組の悪口を言って、そういうところにいるというとあなたの学校の施設もよくならないし、あなた個人のためにもならないから、この際一つこの研究会に入れ、この研究会に入るためには教組を脱退しなければなりませんよと、そういうような強要をやっておられる事実がある。まず、その事実について、そういうものがあるとすれば、あなた方ががここで一千万円を使ってこういう団体助成しようとする趣旨に沿うのか、沿わないのか、それをまず第一にお聞きをしたいと思います。
  132. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教育長なり、指導主事がそういうような、教職員に強圧を加えて加入を強制するようなことは私ないと思っております。この愛媛県にできました研究団体助成するかどうかは、調査して検討したいと思います。
  133. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういう事実があったとすれば、そういうような指導主事なり県の教育長指導方針は、文部省方針に沿っておるものであるかどうか聞いておきたいと思うのです。
  134. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教職員組合に入っておれば、校舎が建たないとか、非常に教員に不利になるというようなことが万一事実であれば、これは私は非常な行き過ぎであると思います。
  135. 小柳勇

    ○小柳勇君 あと具体的に次々ありますけれども、次には、県の教育指導主事尾崎某氏と、それから教組の組合長が、団体交渉の席上でこういうことを発言されておる。文部省から教育研究助成金として一千万円が出されることになっておる。愛媛県も研究協議会を結成すれば百四十七万円くることになるから、この際早く研究協議会を結成しなければならぬ。そのために一つ愛媛県教組から脱退して、研究協議会に加入するようにしたい、そういうようなことで慫慂して歩いておるが、こういう事実があるとすれば、それは金額の点、百四十七万円くるということが事実であるかどうか。それから、そういうことをえさに、県教組からの脱退それから協議会への加入を強要することは、あなた方の指導方針に沿うのか沿わないのか。これは第二の質問であります。
  136. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) まず第一のお答えとして、百四十七万円をやるというようなことは絶対に考えておりません。一千万円の予算でございますから、一割五分に上るような予算を愛媛県に支出するような考えはないのでございます。そういう内示をした事実もございません。  それから次に、それをえさに教職員に加入を強制したという事実があれば、これは私行き過ぎだと思います。
  137. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから、今の校舎の問題も少しはっきりしておきませんと、抽象的になりますから、はっきり申し上げますが、こういうことです。PTAの幼稚園建設委員会がありまして、そこに教育長が参りまして、そうして、ここの幼稚園は県教組に入っている人が少ないから、教員組合に入っている人が少ないから、特別にお金がきたんだと、こういうことを言ったものだから、そのPTAの会長が、それなら脱退しておらない人にはこの際出てもらってと、そういうことを慫慂しておる。それからその後数日いたしまして、今度は校長からこういう話があった。君もからだが悪いのだから、中学校へ出るにしても、ほかの場所に出るにしても、組合員としての立場でおったら不利だと思わないか。組合に残っておれば、人事問題、給与問題などについて不利を見ることが多い。それで、教組から脱退することを考えてみたらどうか。まあ具体的にいろいろありますけれども、そういうように組合から脱退した方が君のためにもいいぞと、給与問題のためにも、君はからだが悪いから、ほかの学校に転勤するためにもいいぞと、こういうことを慫慂しておる。これは教育長からそういうふうに言われて、すぐそれじゃ校舎をよくするか、そうじゃなくて、教員組合から脱退した方が自分の方で有利になるという見解をとった校長が、教員に対してこういうことを言っておる。そういう事実があるとすれば、これはあなたの方の教育方針に沿うのか沿わないのか。これは小学校の校長でありますから、小学校の校長が小学校の教員に言ったことを事実のまま証言としてとっております。そういう事実があったとすれば、あなたの意に沿うのか沿わないのか、お聞きしておきたいと思います。
  138. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 一方的なお話なので、実は私もそういう事実はないと信じたいのですが、かりにそういう事実があれば、それは先ほど来申しましたように、行き過ぎだと思っております。
  139. 小柳勇

    ○小柳勇君 第二には、今度は教育委員長の問題であります。教育委員長が小学校に参りまして、一人の学校の先生を宿直室に閉じ込めて、自分が出口に寝そべって、その先生が出られないようにからだを横たえておきながら、教組からの脱退を強要した。それで、私は部屋から出るにも出られず、組合は脱退しないということを答弁した。また重ねて、組合は社会党政府ができたらいいのじゃないか、君はそういうことよりも、この際一つ組合から出るべきである。特に夫婦で組合を牛耳っておる。君はそういうことで一体どういう責任をとるのか。ほかに二、三の先生の名前をあげて、そういうやつはけしからぬ。とにかく一つ組合から脱退せよと言う。ところがその先生は、私は組合を今脱退する意思はない。ほかの先生方八人で相談して御返答いたします。きょうは子供が病気でありますから帰して下さいと頼んだところが、そこを立って、色よい返事を待っておるぞ、こう言っておどした。こういう事実がある。これは教育委員会委員長の発言でございます。このように教育委員長なりあるいは教育長が、その意向に沿おうとする学校長と一緒になりまして、教員組合に入っておる小学校や中学校の先生たちに対して、組合の脱退を強要し、教育研究協議会に加入することを強要しておる。そうして、その場合言うことは、教組に入っているのと教育研究会に入っているのとは趣旨が違うから、両方に入っているのでは困るのだ。こちらに入れば教組を脱退しろ、こういうような勧誘の仕方であります。こういう方針に対して、重ねてあなたの見解を聞いておきたい。
  140. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教員組合に加入し、脱退することも、これも自由だし、教育研究協議会ですか、その研究団体に加入し、脱退することも、これも自由だと思います。ですから、そのいかなる場合にも強制したりあるいは干渉することは差し控えなければならないと思います。
  141. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。今、小柳君の質問をやっているわけですが、きょう質問を始めるときに、閣議があるから文部大臣すぐ出席ができないというので、事務当局を相手に質問を積み上げてきたわけです。だから質問は、最終的には大臣が来なければ絶対にいけないわけなんだから、大臣に対しては閣議もあるわけだから、小柳委員その他の質疑中に、早急に文部大臣に出席するように、特に要請しておいていただきたい。
  142. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 小柳さん質問をやって下さい。
  143. 小柳勇

    ○小柳勇君 第三の事実は、条件付で採用になっている先生方が、非常に身上を心配して、従ってその人だけは研究協議会に入れたという事実であります。これも私は問題だと思いますが、こういうことです。これも小学校の事実であります。初め校長に対して、小学校に県から慫慂があったけれども、その校長は初めあまり賛成でなかったらしい。ところが、その他の学校とのつり合いがあるということで、校長は研究協議会に入った。そうしてあとで学校で相談がなされた。で、学校の先生たちはこういうことを言っておる。採用試験を受けていないといわれるA先生と、条件付採用期間にあるB先生の二人は、身分が危ないので入れることにした。組合員であったC先生も、脱退届けを出して、県教育研究協議会に加入したとも校長から聞いた。いわゆるこのA先生、B先生など——採用試験を受けておらないといわれるA先生、条件付採用期間にあるというB先生などは、身分が危ない、だからこれは研究協議会に入れた。それから組合員であったC先生も、脱退届けを出して、これも将来のことを考えて入れた。これはその学校の先生方も、校長以下この研究協議会に入るのは反対である。ところがほかの学校から圧力があって、そして先生方が一緒に話し合った結果、それじゃ一つ三人の先生だけはこれに入れましょうという話になったという具体的事実であります。そういうような、まだほかにたくさん例がありますけれども、私は顕著な例を言いました。それは一つは、一千万円の中であなたは二十万円交付すると言われますけれども、県の教育長は、これを百四十七万円とふっかけて、ここで研究協議会を作れば百四十七万円くるのだから、この際一つ多数の会員で会を作ろう。それには県教組を脱退しなさい、こういうケースですね。第二のケースは、組合活動、県教組の活動をやっておられるその先生のところに行って、そして県教育委員長がおどし上げて組合脱退を慫慂している、そしてこちらの研究協議会に加入することを強要している。第三は、まだ若い先生が、これから将来自分の身分が不安であるから、そういう先生がかわいいから、組合の皆さんが、学校の先生方が皆さんが、その先生方の将来を考えながら、残念ながら県教組を脱退して、研究協議会に入れたという特異な三つの例を今私はあなたに言いました。  このような三つの例について、一括してあなたの意見を聞いて、あと私は労働法上少し見解を聞いておきたいと思いますが、今の具体的な三つの例に対して、あなたの方針にそういう県の方針は沿わないのか、伺っておきたいと思います。
  144. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 先ほど来申しましたように、団体の加入、脱退はこれは本人の自由でございますので、いやしくも強制加入にわたるようなことは、これは差し控えなければならぬと思っております。今愛媛県の事例をあげられましたけれども、まだ私は愛媛県のお話のような事実に対しては存じておりませんので、至急に調査いたしまして、行き過ぎがあれば是正さしたいと思います。
  145. 小柳勇

    ○小柳勇君 さっき文部省から、地方課の担当官が愛媛に行って実情調査して帰りましたら、必ず出張報告をやるはずであると思うが、その出張報告が出ているのか、いないのか。
  146. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 出張報告は出ておりますけれども、今おっしゃったような事例は全然出ておりません。
  147. 小柳勇

    ○小柳勇君 重ねて聞きますが、愛媛県の研究協議会を結成されたという事実は、あなたは今まで、ここで私が発言するまで御存じなかったかどうか。
  148. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 先ほど申しましたように、報告には九月の何日かに結成されたということが書いてありましたけれども、公文書で報告がきておるかというお尋ねには、これは出ておりません、こう申し上げたのであります。
  149. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に、労働組合法の第七条では、不当労働行為の項を列挙してあります。こういうものは、不当労働行為だと列挙してあります。ところが教職員組合は、この労働組合法の第七条は適用されませんが、ただ、地方公務員法でも、国家公務員法でも、その団体に加入することの自由、あるいは自分たちの身分を守る、もしそれが不安である場合はこれを公平に守ってもらう自由は確保されてあります。そういうものに照らしてみて、労働組合法に言う不当労働行為という、法的にはこれは若干むずかしいが、そういうような国家公務員法なり地方公務員法に言われる職員の身分保障について、そういう愛媛県の行き方が行き過ぎだと、不当な介入である、不当な越権行為である、そういうふうに私は考えるわけですが、あなたの見解を聞きたいと思います。
  150. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 職員団体に加入しておるからどうのこうのとか、少なくともそのゆえをもって差別待遇することはよくないと思うのであります。愛媛県の事例につきましては、調査してみないと、これが行き過ぎであるか、違法であるかということは、今にわかに断定しかねると思います。
  151. 小柳勇

    ○小柳勇君 じゃ、私は今具体的な事実を三つ述べ、まだほかにたくさん具体的な事実を持っております。そういうものがわかって、あとあなた方は金をもって、しかもこういうようなこの達しをもって、これから研究協議会なるものをだんだん結成させようとされておるが、そういうようなものをあなた方が強要すればするほど、地方の方では、私は今申し上げたような不当労働行為的な事態がどんどん発生すると考えます。  で第一の私の質問は、この愛媛の方に起こっておる不当労働行為的事実についてどのような措置をされるか。第二は、一般的に県に対するこういうような施策によって愛媛のような事態が起きると思うが、それに対してどのような措置をされるか、二つの点を質問したいと思います。
  152. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 最初の問につきましては、これは調査してみないと断定いたしかねる、先ほど申し上げた通りでございます。それから愛媛県のような事例がこれによって起きるというふうには私ども考えていないのです。大部分の県がすでに何かの研究団体があるわけであります。現実にあり、新らしく結成しなければ、この補助金をやらないというわけではないのでございまして、現に教育研究をまじめにやっておる純粋な研究団体がございますのが、こを積極的に活動せしめるようにできるだけ育成強化をしていきたいと考えております。
  153. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の小柳委員質問に対して、関連して念のため要望を含めて答弁を求めますが、私が愛媛教育委員会からいただいた資料によると、こう書いてあるのです。教育研究団体助成金、このことについては昭和三十五牛八月三日付で文部省初等中等教育局長より通知がありましたので、助成対象団体及び助成計画について目下検討中であります。助成指示額二十万円、ここに愛媛県教育委員会、正式文書として私に提示されておるわけです。従って小柳委員あるいは他の委員から指摘されたような事実が起こっておるわけですからね。初中局長としては、この助成金は純粋な教育団体のかくかくに助成するものであり、国会でこういうことが指摘されておるが、もしあるとすれば非常に遺憾である、念のために申し添える。こういう意味の文書を愛媛県教育委員会に対して本日即時出していただきたい。これは適当な行政措置だ。お約束できることと思いますが、念のためにお答え願います。
  154. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 私どもは今お話の通達を見ておりませんので、その点につきましては愛媛県によく照会いたしまして、二十万円を補助するということがあたかも決定したような印象を受ける表現はこれは行き過ぎだと思います。で、これも調査してみたいと思います。
  155. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 冗談じゃないですよ。これは私は国会からの派遣の、国政調査権に基づく委員派遣として、愛媛県に出張した場合に、副知事その他部長立ち会いの上で、愛媛の教育委員会に対して要請したのに対してこれを出したんですよ。これは私個人でもらっておるんじゃないんですよ。私の要請に基づいて内閣委員会の吉江委員長以下山本、矢嶋に対して提示された公式文書ですよ。これがもし事実だったらあなたはどうするんですか。あるんだから、そして今小柳委員の指摘している問題があるのだから、このあやまちがさらに積み重なっていかないために、今私が申したような通達、助言指導を積積的になすということは、当然文部省行政措置としてなさるべきことで、きわめて適切なことだと思います。予算の要ることじゃないし、この矢嶋要請に対しては、いたしますと答えるのが、あなたはりっぱな公務員だと思うのですよ。これはしていただきたい。要望を含めて重ねて申し上げます。
  156. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) それは矢嶋委員に対してお渡しになった資料でございまして、私どもの方はやはり行政のルートがございますので、教育委員会から正式に文書を取るなりまた照会するなりして、行き過ぎがありますれば是正いたしたいと考えております。
  157. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は初中局長答弁、はなはだ不満であります。私は具体的な事実を今あげて、まだほかにございますが、特異な三つの例をあげて具体的にこういう事実が発生いたしております。これはもうすでに八月以降ですから、そういう不当介入の開始されたのは八月上旬からであります。もうすでに二カ月半ば経過いたしておりまして、こういうふうに論議しております今も各地でそういう事実が起こっておるかもしれぬ。もう少し積極的に、そういうものがあなたの趣旨に反するならば、早急に係官なり派遣をいたしまして、絶対にそういうことをやらないように厳重にこれを取り締まるのが、あなたの御答弁でなければならぬと存じます。それにまだ今から、不明でありますから、私ども、今のこの発言を一方的だというふうにとられるのならば、これは何をか言わんやであります。しかし、私はこれを高く評価して、ちゃんと自分の一身上のことをかげながら表現をしておりますから、これを、しかも私が国会で、ここで発言する以上は、これはでたらめで言っておるわけではございません。従って、もっと誠意をもってこの処置をしてもらうのが一つであります。これは希望ですが、私は午前中から矢嶋委員質問に対するあなた方の答弁を聞いておりまして、こういう感じを持ちます。これは感じですから、答弁は求めませんが、勤務評定の県教組の反対によって、相当文部省としてはやきもきされたことは認めます。その金をいろんな名目で出しておられる。文教施策費、普及徹底費などを出しておられるけれども、とにかく勤評をやらなければならぬという、文部省が、県教委などに拍車をかけた金であろうと判断をいたしました。それからそういうことでいよいよいかなければ第二組合を作れという、そういことでやられたのは、過去の事実からこれを察知することができる。ところが愛媛県では、残念ながら第二組合が介入して、どうしても県教組の方に固まっておるから、この際一つてこ入れをしようということでなされるのではないか。これは私の考えですから、そういうことであるならば、これは私ども容赦できないと思うのです。そういうことで、県教組の方でどうも思うようにせぬので、この際一つこういう金で、こういう名目で一つ別途の団体を作ってやれ、そういうようなことで動いておるように察知するわけです。それは単に愛媛県だけではなかろうと思うのです。ほかの方でもそういうことが起こる可能性もありますので、でき得れば、私はここに名前がはっきり出ておりますから、こういうような、たとえば教育委員長とか教育長とか、直接の指導者についてはここに来てもらって、証人も来てもらって、国会で十分にこれを黒白をつけて、この大事なお金を、一千万円の使途についてももっとすっきりしたものにしておかなければならぬと考えておりまするが、文部省としての今後の対策に対して、あるいはこれは当分お預けしてもいいのではないかという気がするわけです。一千万円の金で一体何をしようとされるのかという気さえするわけです。さっきの話でも、これだけでも相当金を使っておられ、ここでまた一千万円を使って何をするのか。二十万円あるために、現地の方ではこれを百万円といったり二百万円といったりする。それをえさにそういうような勧誘をする、そういう不正行為をする、そういうことは、教育機関であればあるだけに許せぬですよ。これはかつてほかの職場にもありました。教育委員会あるいは教育長であればあるだけに、これは許せぬと思う。従ってもう一度初中局長の決意を聞いておきたいと思うのです。
  158. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 今いろいろとお述べになりました事例につきましては、私まだ詳細に承知いたしておりませんので、至急に調査いたしまして善処いたしたいと考えます。
  159. 森中守義

    ○森中守義君 内藤局長にちょっと聞きますが、あなた説明員ですか、政府委員ですか、どっちに任命されておるのですか。
  160. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) まだ、国会か召集されましたけれども政府委員という発令は得ておりませんので、多分説明員と思います。
  161. 森中守義

    ○森中守義君 大臣が来ませんから、とりあえず当面のこの種問題の責任として私どもは聞いておるのです。今矢嶋委員に対するあなたの答弁は、私もずいぶん方々委員会を回ってきたけれども、そういう答弁聞いたことはありませんよ。まず第一に言いたいことは、小柳委員が愛媛県下の事例を教項目あげましたね。それをただ行き過ぎであると思う、そういう答弁に終始しておる。そんなばかな話がありますか。いやしくも議員がこの委員会の中に公式に問題を提起して政府当局に迫っておるのに、その事実を肯定もしない、否定もしない、ただ一種の所見として、行き過ぎではないか、そういうばかな答弁聞いたことは私はない。ほんとうにあなたが文教政策に対して、文部行政に対して忠実であろうとするならば、あまりにも重要な問題です、さっきのような事実は。なぜそれを積極的に調査しよう、人を派遣して見てこらせよう、そういう誠実な答えはできないのですか。決算委員会を何とあなたは考えておる。今まで各行政機関の方々に、こういう事実を提起して、どうだという詰め方をした場合に、どなたも一様に、調査をいたします、こういう答えが出ておるじゃありませんか。ただあなたは、一種の所見表明的に、行き過ぎであろうと思う、こんなばかな話はないですよ。それが一つ。  それと、さっき矢嶋委員の読み上げた、愛媛県教育委員会から内閣委員会に対し、しかも吉江委員長矢嶋、山本両議員に対し正式に公文書が送られてきている。それをあなたは、行政のルートが違うとか、私は私の方でやります。そういうばかな話がありますか。なぜ、これを見せてくれ、こういうことを中心にして答弁をいただかないと、話は全然進まない。まあ私は感じとして、あなたの答弁の中から、その場でうまく言い切ればいい、逃げ切ればいい、議員の質問なんか何するものぞ  まことに傲慢不遜だ、そういう態度だ。もっと積極的に議員の質問に対しては耳を傾けて、当然、先刻乗数項の事例については、直ちに人を派遣するなり、書面で照会をするなりして、適切な措置をとろうとしないのですか。決算委員会を何とあなたは考えておる。そういうあなたが説明員であるのか政府委員であるのか知らぬけれども、文部大臣のかわりに私どもは聞いているつもりだから、責任ある答弁をもう一回聞かしてもらいたい。  これは一つ委員長の方にも私はお願いしておきたいと思いますがね。こういう人を決算委員会に呼んで、こういう答弁を聞いたことがない。適切な措置をとってもらいたいと思います。
  162. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 私から申し上げますが……。
  163. 森中守義

    ○森中守義君 いや、まだあの人の答弁を聞いていない。
  164. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) ちょっとお待ち下さい。先刻の答弁で、十分調査いたしまして善処いたしますという答弁があったと思うのでございますが、なお繰り返してはっきりした答弁を願いたいと思います。
  165. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 私もたびたび、早急に調査して適切な措置をとりますと、こう申し上げているのであって、何か私が調査をしないという意味におとりになったとすれば、大へん私遺憾に思っております。
  166. 森中守義

    ○森中守義君 これはどうなんだ、これは。
  167. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今森中委員が言われているポイントはね、私の関連した質問に出ているわけですよ。これを私が言ったら、あなたは、それは矢嶋委員に対してので、私の方は私の行政のコースがあるから——こういうことはいけないというわけなんだよ。私は公式にこれをいただいたわけなんですからね。だから、しかも事実は、坂本、小柳委員が指摘したような事実があるのだから、だから愛媛県教育委員会は、おそらくあなた方の趣旨を取り違えているのだろうからね。だから、この一千万円の助成金というものは、純粋な教育団体のかくかくのものである、念のために再度申し上げる、それから、国会においてこういうような何があったが、もしあったとするならば、まことに遺憾であるから善処されたい、念のために通達しますと、こういう文部省助言指導をされるということは、僕は適当なことだと思うのですよ。それを私は要望申し上げているわけなんですね。それに対して、矢嶋矢嶋、われわれ行政機関は行政機関だというようなことを言うから、そこをけしからぬということで、そんなことを答えた人はないというので、この森中委員が言われているので、その点あわせてお答え願いたい。
  168. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 矢嶋委員に出された書類を伺っているわけじゃございませんので、矢嶋委員からの御指摘がございましたから、十分調査して、行き過ぎがありますれば是正したい、こう申し上げておるわけです。
  169. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣参りましたから、お伺いしますがね。けさあなたは閣議の関係でおいでにならないので、今まで事務当局と数的な面をお伺いしたわけなんです。不用意にあなたが発言されることは、今までのことを蒸し返さんならぬことになって時間がかかりますから、今三分程度で、初中局長と今までの経過をちょっと打ち合わしていただきたい。どういう言葉が出るか、どういう問題が論じられたということをよく話を聞きなさい。とんでもないことを放言されると大へんなことになる。——時間が参りました。質問の通告はしてあります。よろしゅうございますか。
  170. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 大体……。
  171. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本日、本委員会調査している点は二点あるわけです。その二点が何であるということはおわかりになったと思います。その第一点についてですが、昭和三十三年並びに三十四年にわたって予算流用がなされている。この国会に出された書類によりますと、勤務評定趣旨普及徹底させるために云々と書かれているわけです。ところが、事務当局の話では、勤務評定趣旨普及以外に、いろいろな方面に使ったということを言われている。あなたは法律家ですが、こういう面については、ちゃんと特定した以上、他の方面にさらに使ったというならば、少なくともこの報告書には等という字を活字に入れなければ相ならぬことだと思うのです。これは法律案についても、国会提出される予算案についても、すべてきわめて厳重にその点は取り扱われるところです。お答え願います、訂正を要すると。
  172. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私の承知しまするところでは、昭和三十三年度文教施策普及徹底費用として、大蔵省と折衝いたしまして流用を認められたものを令達した。従って、その範囲内のことに使われているものと承知いたしております。
  173. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文教の施策普及徹底の、その中の勤務評定普及徹底だという意味でここに備考にはっきり書いてある。広い範囲で使うならば、なぜ等という字を入れておかないのですか。だからそうだとするならば、ここに等という字を訂正して入れて出されるべきものだと思います。これは今後において国会審議する場合にも、予算案についても、決算案件についても、法律案審議する場合にきわめて重要ですから、等という字があるかないかという点を私は指摘している、重ねてお伺いしたい。
  174. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 決算書そのものを見ますと、今御指摘のように注釈をつけておるようでございますが、当時大蔵省と折衝します場合に、流用趣旨は、むろん勤務評定実施促進の意味において流用を求めたわけですけれども、厳密にそれだけということではなくて、事務的には大蔵省と折衝の上に流用が認められておる。そういうことから、御指摘のように等という字がなければ、厳密におっしゃられればそういう意味もあろうかと思いますけれども、当時の折衝の段階におきましても、公然とそういうことが考慮され、さらに現地にもそういう趣旨で令達をされておることを承知しております。備考の書き方が不徹底であると申しますが、当初の趣旨はそういうことであり、またその趣旨の範囲内において使われておるということは御了承いただきたいと思います。
  175. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私がこの点指摘しているのは、この予算使い方が問題になったのであなた方はそういうことを言い出したわけなんです。これは勤務評定に主として使い、中は交際費等にも使っているのです。だから、私は領収書を見せてほしい。交際費等にも使っているわけです。飲み食いにも使っているのです、これは。支払い委任予算で、都道府県のサインも何も入っていないのです。あなた方の直接のひもつき予算として、都道府県に流れておる。だから相当自由に使っているのです。勤務評定一点張りで使って、しかも、庁費の名目ですけれども、交際費等にも使われているわけです。だから、私はその点を指摘しているわけです。今後ここに出される場合には、必ず等という字を入れなければいけませんよ。入れないであとで問題になって、そういう言いのがれなさる根性がいけない。よろしゅうございますか。  それでは大臣に伺いますが、この予算がもし弁護士への謝礼、法廷費用に使われているとするならば、これは妥当なのか妥当でないのか。勤務評定に関して人事委員会に提訴がある。裁判所に訴えがある。それに応訴するための弁護士への謝礼、いわゆる法廷費用、そういう方面にこの予算が使われておったとするならば、それは妥当なのか、妥当でないのか、お答え願いたい。
  176. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) おっしゃることも、勤務評定実施上、関連のある費用として認めていただいてよろしいのじゃないかと心得ます。
  177. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 語るに落ちた答弁をしている。私はけしからぬと思うのですよ、そういうことは。これは勤務評定趣旨国民並びに教職員に普及するためにと特定してある。それ以外に使うことは問題があるのですよ。内藤さん思い出していただきたい。これを出す二カ月前に、全国都道府県の教育委員長教育長協議会が日比谷の図書館で開かれた。そのときに都道府県教育委員会が何とあなた方に訴えたかというと、この勤務評定の問題を主とするということは、非常にやりづらいし、特に教組が各都道府県で人事委員会に提訴した。裁判をやってくる。ところが都道府県教育委員会に対してはこれに応ずるところの金がない。弁護士が立て得ない。だから、何とか話し合いでやる以外にない。こういう、あなた方からいわれるならば弱音の発言があったときに、文部省側は、教組からそういう人事院への提訴とか裁判の訴えがあるならば、それに応じなさい。その予算のめんどうは見ましょうということを文部省は答えたのですよ。この発言は当時の日本の日刊紙に全部出た。そうして勤務評定実施というのは九月の十五日である。その十五日を直前にして、大蔵省と非常に無理な交渉をして出されたのがこの金である。だから、これは明らかに弁護士への謝礼、法廷費用として使われているわけです。そういう使い方はこれは許されないと思う、この国会に出された書面からいって。それだったら、何じゃないですか、全く勤務評定を強行するための、あるいはそれを批判する立場に対しての応戦、対処、そういう援護費というようなものになってくるのじゃなかろうか。そうなれば、文部省は決して都道府県教育委員会に強圧は加えていない、都道府県教育委員会自主性にまかせてやっているということと矛盾してくるじゃないですか。その証拠には——さらにとどめを言いますよ。その証拠には、大臣のおいでになる場合に、この都道府県配分を見ますと、一番その趣旨を徹底しなければならぬ勤評が問題になっていない都道府県には最低の二十五万円にして、争いのあっている県ほどよけい配分しているじゃないですか。こういう性格の予算配分というものは、教育の中央集権であり権力支配であり、都道府県教育委員会自主性をそこなう行政の具体的な現われである、と断定したからといって、何人がこれに批判を加えることができますか。私は具体的な経過と具体的な数字をもってお伺いしているわけですから、科学的に一つ答弁願います。
  178. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的に数字的には政府委員から申し上げることをお許しをいただきたいと思いますが、ただいまのお話の勤務評定実施する、それに服するということは、これは制度上当然のことであり、その当然のことを地方分権の建前から教育委員会が周知徹底をはかるということも、また当然しごくのことだと思うのでございますが、自主性を無視して文部省からかれこれ、委員会から何にも意思表示もないのに、いろいろな指示を与えてやるということはなかったろうかと思うのでございますが、あくまでも地方分権の趣旨にのっとった委員会自主性に基づくその必要上要求に応じて経費配分されておる、そういう建前だと承知いたします。
  179. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それと関連あることとして基本方針を伺いますが、勤務評定という活字は——法律はありますね、あなたもお認めになっておる通り。しかし、その勤務評定の内容は何ぞやということは、これを企画する都道府県教育委員会にもいろいろ見解があると思う。従ってそれが自主性であって、文部省はこういうものをやれと、基準を作ってそしてこれを押えつけていく、という行き方はとるべきでないと思うのですが、これに対する大臣の見解と、そして、あなた方の見解に沿う、期待に沿うような内容のものをやらない場合には、学校建築費、施設補助費等、文部省から都道府県教育委員会に流される補助金に手かげんをする、こういう威圧を受けるということを都道府県教育委員会の方々が言っています。あなた方は、考えられている勤務評定というものを実施するためには、そういう文部省からの補助金の分配等において手かげんをする、そうしてまでも、こういうことをやろうというお考えで現荒木文部大臣はおられるのかどうか、この点についてあなたの基本的な考え方をお答え願いたいと思います。
  180. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 勤務評定都道府県ことごとくピンからキリまで同じ画一的なものでなければならぬとはむろん考えません。地方分権であればこそ勤務評定という、だれが考えても共通的な要素というものは、やはり念のため文部省から通達したことと思います。それを基本にして、そのときどきの都道府県実情に応じての修正——修正と申しますか、独自の見解を加えての勤務評定の計画がなされなければならないことと考えます。その点はさように考えますが、勤務評定がすなおに行なわれておる、行なわれてないに従って、文教施設費を地方に流します場合に、かれこれそれを基本にして変更を加えるとか、手心を加えるということは断じてあらしめてはいけないと思います。
  181. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その最後の答弁は了とします。確実に実施していただきます。ところが文部省予算執行面において、それを通じて最近教育の中央統制と強圧指導をやる傾向が非常に顕著になりつつあります。それを具体的に申し上げますから、大臣の見解を承りたい。  その一つは、先刻本委員会でも論じられましたように、一千万円の教育団体への助成金というのは、本年初めて組まれたのです。これから分配しようというわけですが、これを受けて立つ地方教育委員会の中には、あなた方の方針をおもんぱかって、そうしてこれを教職員組合の分裂工作、職員団体への不当介入の手段にこの予算を使う傾向が一、二の県で顕著に現われております。その具体的例は、先ほど小柳委員から愛媛県のケースが発表になりました。それからまた本年度初めて全国の婦人学級千四百七学級に対して、一学級に四万円の補助、婦人教育振興費として一県当て五十七万六千円の補助、合計一億三千万円見当の新たな補助予算ができましたが、社会教育法の改正と相待って、これらの助成金を通じて、都道府県の社会教育面をも、あなた方の思う通りに動かそうという予算執行の形態が非常に顕著に現われております。これを第一線において実際にやっておるので、あなた御記憶があるように、かつて思想統一のおそれが起こって廃止された視学官制度の復活により、この視学官を通じてブロック別に任命して、そうしてたとえば愛媛県あたり明らかにマークしておる。特定の県をマークして、そうしてこの法に定められた以上の指導助言、統制が行なわれておるこの傾向というものは、教育の地方分権と教育の民主化という立場から、傾向は非常に私は懸念されるところだと思う。そういうふうに予算が使われておることに対して警告を発すると同時に、大臣の方針と御決意を私は承りたい。
  182. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま御指摘の具体的事実は、私自身が存じないことでございまして、恐縮でございますが、お話しのごとく、何らかそういう他の本来なすべき範囲以外にわたって意図を持って、客観的に批判さるべきことが行なわれておるとするならば、適切なことではないと存じます。十分私も調査しまして、一般的に非難されることのないように心がけたいと思います。
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではきわめて容易なお願いをいたします。それは具体的に、先ほど小柳委員等から指摘された愛媛県等においては、助成金の意味を取り違えて、いろいろ好ましからざる現象が現に起こっております。従って文部大臣の名において、一千万円の助成金というものはこういう趣旨予算化されたのである、だから取り違えないように、念のために通達をするという、助言指導の文書を早急に愛媛県教育委員会に出していただきたい。この容易なお願いをあなたに申し上げます。お答えいただきたい。
  184. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御趣旨はよくわかりますが、ただ御発言を疑うわけでも毛頭ございませんけれども、お示しのような方途を講ずるといたしましても、どういう趣旨のことを通達すべきかということは、文部省自体としても取り調べまして善処いたしたいと思います。
  185. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの前、国政調査の件で愛媛県に出張した機会に、責任ある発言をしたいために責任ある調査を私自身やっております。いいかげんなことを質問しているのではない。だから私はその文部省趣旨を正しく向こうがつかむように、その趣旨を改めてもう一ぺん通達をしてほしい。そういう助言指導をしてほしい。それが誤解やら紛争やらを起こさない最もよい道だからと申し上げておるのです。紙一枚あればできることだから、やりましょうと言えばできることなのですから、お答えいただきたい。何をこだわっているのですか。
  186. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) お示しのようなことがありますれば、と言うと何だか疑っているようで申しわけありませんが、私の方の立場においてもそのことを確認した上でせりふの回わしようが幾分違うことがあり得るかとも思います。国政調査をなさってのこの決算委員会での御発言ですから、そのことにいささかの疑いも持ちませんが、事務的な手続としましては、やはり今までに出しました通達と、現実の状況等これをかみ合わせまして、どういう文章を立案し発送すべきかという具体的なこととして検討した上で、なるべくすみやかに善処するということで御了承願いたいと思います。
  187. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 他の委員質問もありますから、私はもう一、二質問をして一応終わりたいと思いますが、文部大臣はきょうの答弁はちょっと慎重すぎるくらい警戒して発言されておりますが、(「もっと高姿勢でやったらどうだ」と呼ぶ者あり)あなたの平素の発言は近代文化国家の文部大臣としては少し慎重さを欠くのではないかという印象を私非常に強く受けておりますし、このことは日本のジャーナリズムでも取り上げているところなんですか、そのあなたの態度と、今私が触れました文教予算執行に伴う最近の文教政策と裏表です。全く実質的には同一のものである。かかるが故に、私はこういうことを調査をし、都道府県教育委員会が誤解のもとに予算執行の計画をしたり執行しないようにするためには、あなたの責任ある一国の国務大臣としての文部大臣としての言動には、もう少し慎重さというものが大前提として要請されるのではないかと、私は心ひそかに懸念するとともに期待をしておりますが、御所見を伺いたい。
  188. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろんおっしゃるような心がまえで国政に当たるべきものと心得ております。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 逃げないようにしていただきたい。具体的にそれでは一言、あなたは九月二十六日、帝国ホテルにおける内外情勢調査会第四回年次大会における記念講演、これをやられたと思いますが、この記念講演の内容というものは、私は一国の近代文化国家の文部大臣としてはきわめて慎重を欠くものだと思います。これは権威ある時事通信内外教育版に出ているから間違いないと思いまするが、この中では国会質問した野党委員をからかっているのじゃないかと思うのですが、私は荒木さんという人はそういう人じゃないと思っておったのですが、至るところに衆参における国会議員の質疑をからかった発言があります。こういう私は国務大臣はないと思うのですね。あるいは最近日教組に対する、これは他の委員質疑もあるでしょうから私は多くを申し上げませんが、これに対する発言にいたしましても、だから山口少年のごときは小林委員長をマークして殺害しようとしたのは、あなたの発言と無関係じゃないと思う。  もう一言具体的なことですが、たとえば教育基本法を改正する、憲法は押しつけられた、(「文教委員会で頼みたいな」と呼ぶ者あり)ちょっと待って下さい。そういうことを申されておりますが、憲法が押しつけられたものかどうかということを、改変するかどうかということを憲法調査会で検討しているわけですから、だからこの結論を得てから憲法からいった教育基本法を検討するかしないかということを、私は検討するというのなら話はわかるのだが、党内政府与党で協議することもなく、文部事務当局の意向も十分考慮することもなく、確かにそれは権限がある、権威ある文部大臣ではありますけれども、あなたのまま思いつきにこういうことを発言されるということは、教育憲法だけに私は非常に重要でもう少し慎重さが要請されてしかるべきじゃないかと思うのですが、こういう具体的な私の上げた事例についてどういう所見を持っておられるか承りたいと思います。
  190. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 国会以外においての発言の場合にはいささか慎重味を欠くおそれもありまして、御指摘のような意味合いにお取り下さる事柄が絶無でなかったと思いますが、しかしながら事柄それ自体をことさら曲げ、もしくは心にもないことをしゃべったという記憶はむろんございません。ただ表現等をもっと洗練された用語で表明すべきであろうという自己反省はむろんいたしております。教育基本法の問題に関しましては、これは私のみならず相当一般的にも再検討の必要性がそこまで来たっていることと心得ておりまして、そういう意味で一つの検討を加えるべき課題ではなかろうか、かようにかねて思ってもおりますし、また御指摘のような場合に論理的な関係からいきまして、一応触れることがあったことは事実でございます。そういうことに関します私の気持を率直に申し上げまして御理解いただきたいと思います。
  191. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はもう一問質問して他の委員とかわりますが、当面あなたが熊本で開かれる国体に行かれますので、そこでこの発言の際のあなたの心がけについて私は発言しているわけなんです。と申しますことはどうも文部大臣としては少し私は慎重さを欠くのじゃないかと思っているのですが、ああいう国体等において文部大臣としてあいさつされる場合には、私は原稿を書いていってごあいさつなさった方がいいと思う。その理由はこの前熊本で国体の夏季大会があった。非常に開会式は厳粛に盛大に行なわれました。初めて文部大臣がお見えになったというので、参会者は非常にあなたの発言を期待しておったわけです。開口一番向とおっしゃったかというと、あなたはあの暑い際に、夏季大会と冬季大会を間違えられて、冬季大会とおっしゃっておられる。私はそれをスタンドで聞いておったのですが、周囲の人は文部大臣はスポーツにどういう関心を持っているのだろうか、これでは四年先のオリンピックが心配だというささやきがあったわけです。今度は十月二十三日に秋季国民大会の開会式があって天皇陛下、皇后陛下がおいでになるわけですが、おそらくあなたもおいでになるのじゃないかと思うのですが、ああいう場合にはよけいな老婆心ですが、やはり文部大臣は、文章を書かれてやられるように、私はしていただいたらどうか。これは決して対日教組、文教政策に対するあなたの平素の発言の基本的心がけと無関係ではないので、あえて失礼ながら伺うわけですが、いかがでしょうか。
  192. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御忠告ありがたくいただきまして、今度参りましたら、一つ推敲を経ました原稿に基づいて発言をいたしたいと思います。自今、何事によらずもっとより慎重に、当然のことながら御忠言をありがたくちょうだいいたしまして、行動いたしたいと思います。
  193. 相澤重明

    ○相澤重明君 文部大臣に、ちょっと確認しておきたいと思うのですが、先ほど矢嶋委員質問の中で、愛媛県のお話がありましたが、その際に、矢嶋委員が内閣委員会で、九月十一、十二月に現地調査をされたときの公文書の説明があった。それに対して、文部省としては、やはりよく事情を調べて、そしてその上に立って善処をしたい、こういう御発言だったと私は要約すればなると思うのですがね。  そうしますというと、少なくとも国会議員が国政調査権に基づいて、そして現地を調査をされて、その報告に基づいて質疑を重ねたことでありますから、当然政府としても、慎重ないわゆるお取り調べがあることだと私は思うのです。もしその際に、あなたの方で、御調査された場合、御報告を受けたことと、矢嶋議員等が、いわゆる吉江委員長を初めとして、内閣委員会調査をされ、回答されたことと食い違った場合は、あなたは、どういうお考えを持ちますか、まずそのことをお尋ねしておきたいと思います。
  194. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは私どもの方の調査なるものが、国会における、国会としての御調査の結果との客観的な比較をいたしまして、そしてその上で結論を出さねばならんと心得るのであります。  客観的な批判と思しましても、はっきりいたしませんけれども、少なくとも国会で国政調査の御結論というものは、有力なる信憑すべき資料であることには間違いない。しかし何らかの都合で、だれが見ても違った結論をとらざるを得ないということも、絶無ではなかろうと思います。そういう場合の相違は、やはりその客観的な根拠に基づいて善処するという態度が、私どもの当然の態度かと心得ますが、抽象的に申し上げれば、厳粛なる国政調査の御結論を中心にものを考えていくべきだ、かように考えているわけであります。
  195. 相澤重明

    ○相澤重明君 大へん文部大臣としては、慎重な御答弁であり、またそうあらねばならぬと、私もその点は了としたいと思うのです。しかし少なくとも、文部省がこの当院の決算委員会で議論をされたことについては、文部大臣のお話のように、やはり国会の言葉というものは尊重されなければならぬ。そうして御調査をされた結果、やはり国会に報告されたことについては、若干の取り違いがあったというようなことがたとえば出る、こうした場合には、そのことを文書で本院の決算委員会に御報告があるものと私は考えるのでありますが、文部大臣は文書で報告をされる、こういうふうに御了承願ってよろしゅうございますか。
  196. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまの御発言、当委員会に、国会に、その結末を報告せよという国会の御意思でありまする限りは、当然御報告すべきものと心得ます。  特別にその御指定がございませんければ、行政庁の責任ある処理としてそのままになるのが当然だと思うのですけれども、ただいまの御意向は、結果を報告しろ、こういう御意向だといたしますと、今申し上げるように、むろん提出申し上げます。
  197. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、私から特にその点は、文部大臣に御要請をしておきたいと思うのですが、これだけの議論があったことですから、これは別に与党と野党ということではない、決算審議の中での、しかも参議院における、当院における内閣委員会として御調査をされたことが報告になったのであります。従って非常に重要な問題であるから、私は文書をもって報告を願いたい。これは委員長にも要請をしておきます。  そこで私は、委員長にこれは要請をしたいのでありますが、いずれ文部大臣から、その調査をし、あるいはその結果の御報告が文書であると思いますが、その文書の報告いかんによっては、該当者を証人として国会に喚問する、こういうことをあとで理事会で一つお話をいただきたい。私はこの委員会委員として、そういう要請をし、理事会にそういう取り扱いについては、御一任をいたします。従ってこれはいずれ、そういう文部大臣の御報告の後に行なうことだと私は思いますが、そういう点は、あらためて一つ理事会でぜひお取り扱いをいただきたい、こう思います。
  198. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) そういう事態に相なりますれば、委員長理事打合会で、よく相談をいたすことといたします。
  199. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、会計検査院長にお尋ねをいたしておきたいのですが、先ほど文部大臣から、矢嶋委員質問お答えになったのに、たとえば予算執行の際の款項目、これについては、少なくともこの移流用が非常に多いということで御質問があったわけですが、特に備考欄説明が付されておる、勤評のために使用すべきものと、こういうことで、その「等」という字が抜けておる、おらないで議論が交わされたわけです。  そこで、会計検査院としては、当然当初予算の場合はもちろんでありますが、特に当初予算以外のもの予算執行については、十分この内容について吟味をされなければならぬと私は思うのであります。従ってこの備考欄に書かれておることが、それを対象に、あなた方は調査をされるのか、それとも文部大臣の言うように、広範な、いわゆる当初の考え方はということで、先ほどお話になった大蔵省予算を折衝するときのお考えが、文部大臣からは説明をされたと思うのであります。従ってこの決算書に載せられておることで、私ども質疑を重ねておったのでありますが、その決算書に基づいて、会計検査院としては検査をされるのか、それとも予算折衝の過程の意向というものをくんで、会計検案院はいわゆる検査をされるのか、この点について、会計検査院長の御答弁を私はいただきたいと思います。
  200. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 私どもは、議会が議決を経ました予算を前提といたしまして、それに適応して予算執行されたかどうかということを検査いたしております。従って正規の手続を経まして流用がされた、その通知を得ましたら、その新しくできました目は、以前の、最初の予算と同じような考えで、特別の取り扱いをいたしません。それを前提といたしまして検査をいたします。  今問題になっておりまする点は、「等」という字があったかどうかということは、まあ実際に検査をいたした者が、それを考慮に入れましたかどうかは存じませんが、まあ書面検査をいたしました範囲では、おそらくそこまでは考えなかったろうと思います。そしてまた、今後もそこまで詳しく調べるということは、なかなか困難だろうと思います。いやしくも形式的にその目に、項目に従った執行がなされておりますれば、それを不当なしとして検査を完了いたしたものとせざるを得ないかと存じます。
  201. 相澤重明

    ○相澤重明君 会計検査院長、少し今の答弁はかえって逆じゃないですか。つまり款項目で規定をせられ、しかも国会のいわゆる承認の上に執行される、執行される取り扱いについては、当然この方針にのっとっていく。あなたの御答弁は、その通りだと思うのです。  ところが、その中に今言われたところの勤評に使う、こういうのが、いわゆる当初の考えは、大蔵省と折衝するときには、いわゆる庁費として、まあかなり広範なものが考えられておったのだ。しかし現実に決算書に出ているのは、勤評というのが備考欄に書いてある、こういうことになると、あなたの言われておる問題と少し違うのではないですか。会計検査院長、これは大へん重要なことになると思うのですが、その点はどうですか。あなたの言ういわゆる少なくとも指摘されておることを、そのままやはり会計検査院としては、やはり帳簿上、まず第一に調べなければならぬ。そしてその帳簿上調べて、これはおかしいと思えば、さらに内部的にこまかく調べられる、これが会計検査院としては行なわれておることだと思うのです。そうすると、帳面上ずっと見て、今言われた「等」という字がなくて、それで勤評だけということになっておれば、それに使われておるものと、あなたの方ではごらんになるのがふさわしいのではないか、こう思うのですが、その点は、いかがなのですか。
  202. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) その「等」というのが厳格に解釈されれば、そういう御意見もあると思いますけれども、検査院といたしましては、大蔵省文部省が協議の結果、新しい目が設定されますというと、その設定された目が正しいかどうかということは批判をいたしておりません。それは明らかに法に違反するようなことがありますれば、これは当然検査をいたしますけれども、そういう全く矛盾するようなことは行政官庁としては全くあり得べからざることだと存じますので、一応そういう批判はいたさないことにいたしております。それで、この目がいかに執行されたかということは、そういう証憑書類を見まして、一応形式的の調査をいたしますが、一々二十万、三十万の金が、いつの会合のときに、さっき言われたように勤評以外のことが問題になったかどうか、あるいはその会議が勤評以外の会議であったかどうかというようなことは、調査は、まあせよと言われても、事実上困難だろうと思うのです。
  203. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあ会計検査院長答弁は、抽象的な答弁ですね、実際は、金額が少ない、実際に広範囲である、全国都道府県であるから。そういう意味で、なかなかこまかいところまで調査をすることができないから、証憑上の調査で終わる、こういう御説明だと私は思うのです。  しかし、少くとも当決算委員会で疑惑を持たれたことを、少なくとも立法府におる国会議員が指摘をされておることに、あなたがそういう答弁をされると、これは少し私は開き直らなければならない問題になってくる。これは私は、そういう考えではないというふうに思うけれども、少なくとも決算委員会で指摘をされたことであるならば、これは大きいと少ないとにかかわらず、それだけのいわゆる会計検査院としての配慮がなくてはならない。私はかように思うのだが、検査院長は、やはり証憑上で処理をする、こういう御答弁をするのかどうか、いかがですか。
  204. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) われわれといたしましては、この問題の目が勤評——厳格に勤評でなくても、それに関連するもの、目に明らかに違反していないことに使われておるかどうかというようなことは、「等」という字があるなしにかかわらず、大体行政官庁の判断に従って、これに対する批判は控えている。今後も明らかに矛盾しない限りは、その目の説明等をこまかくせんさくするようなことは、われわれとしては、事実上もできませんし、またそうするもつりもございません。
  205. 相澤重明

    ○相澤重明君 ですから会計検査院長としては、目によって使用されたと考えられるものについては、そういう証憑上のいわゆる調査、従って具体的な内容については、それほど疑惑を持つ必要はないだろう、執行当事者に信頼をしてよろしい、これは私は一般論では、それでよろしいというのですよ。  しかし少なくとも、この決算委員会で指摘をされた議論があるものについては、これをやはり調査をするのが、あなた方の責任でもあり、そのために会計検査院を置いておるわけです。だからもし会計検査院が、それさえできないということになれば、これは会計検査院の機能というものが違ってくるわけです。だから私は、やはり議論のあるものについては、これはそういうふうにお話があったけれども調査をした結果は、そうではなかった、正しかった、こういう答えが出るのが当然だと思うのですよ。そこで会計検査院の報告あるいは検査報告というものも、国会に、あるいは政府にいわゆる調査した結果が出されるわけですから、私どもは、それを信頼するということが、私どもの今日までとってきた態度です。しかし、その会計検査院が検査報告を出されても、なおかつわれわれはその報告のうちに疑問があったり、あるいはまた皆さんの御答弁をいただいても、納得のいかないものについては、再調査を命ずることができるわけです。こういうことが私はやはり一国の最高機関としての国会の場であると思うのです。  そういう点については、私も抽象的には、あなたの言う通りだと思う。しかし、その議論のあったものについては、これはやはりあなた方のいわゆる立場において処理をされるべきものだと、私は、こう理解をしておきたいのです。その点について、再度あなたの御見解を一つ答弁願いたい。
  206. 山田義見

    会計検査院長(山田義見君) 今、問題になっております事項は、三十三年度決算でありますが、それにつきましては、先ほど私が申しましたような方針で、事実その通りやりまして、すでにもう完了いたしております。  しかし、これに対しまして国会ないし決算委員会の独自の立場において、これを批判され、さらに調査をされることは、これはもちろん当然であると思います。われわれとしましては、すでに調査を完了して、これは不当事項なしとして終止符を打っておりますから、これはあらためて調査するわけには参りません。  しかし同じような事項が今後あると思いますから、それに対しましては先生の御意見もありますからして、十分注意をいたします。けれども、今申しました通り、この報告書にもあります通り、何千万という書類であります。だからおのずから大小軽重の差がありますからして、今後こういうものを事実調査して調べることは、事実上困難であって、もしこれをやるということになりますと、それ以上重要なことが出ざるを得ないかと思います。われわれとしましては、一応行政官庁の立場を尊重いたしまして、ある程度省略すべきものは省略する。しかし、この省略の度につきまして委員会等において批判があるのは、これはいたし方ございません。  しかし今、言ったような状況でありまして、あらためて詳しく調査することはいたしかねるかと存じます。しかし、そのあとになりまして、皆さんが文部省執行状況等を十分批判なされ、そしてまたわれわれの検査したことなどについて、御批判なさることに対しましては、われわれ謙虚にお聞きいたします。
  207. 北村暢

    ○北村暢君 私は最後に今、教育研究団体等の問題について、矢嶋委員そのほか外からいろいろ出ておるのですが、この問題について、予算執行上ももちろんでありますが、文部大臣の教育行政に対する考え方というものは、私は国会以外のところでは、ちょっと慎重を欠いて軽卒な点もあったと、こういうことを今、言われておりますけれども、私はこの池田内閣における、いわゆる低姿勢の池田内閣の中において、ただ一人の高姿勢の文部大臣、これは私が言うのじゃなくて、今世間一般が言っております。そういう中で、私はやり文部大臣としては相当の信念があって、教育基本法その他の問題について出されている、このように思うのです。  従ってこれからお伺いしたいのは、私はまずこの第一点として伺いたいのは、教育基本法、憲法等について、先ほど矢嶋委員から質問のあったように、改正の要がある、検討する要がある、こういう程度のものであれば、これは文部大臣として、私は何もとやかく言う必要はない。しかしながら明らかにいい日本人を作るのが教育の目的である、こういうことを言われておるわけです。従って、教育基本法には、教育の目的というものが明確に示されておるのであります。従ってその教育基本法で示されている目的以外に、いい日本人を教育するのが目的である。こういうことを文部大臣が言われるということについては、これは非常に問題があるだろうと思いますが、これについて宮沢教授は言っておるのでありますけれども、教育基本法の目的である「『平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の評価をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民こそ、まさしく民主国家としての日本にふさわしい『いい日本人』なのではないか、と考えられるが、論者は、これとはちがった『いい日本人』を狙っているのである。」論者というのは、文部大臣は、この教育基本法以外のいい日本人というものを考えておるのではないか。こういうことが指摘せられておるわけです。  その中で、「『日本人』が『人間』に優先ずるとされ、『人間』としては絶対に許されないような行動が、『日本人』の名において弁明され、正当化された。真正面から人間性をふみにじるような行動を国の内外にわたって行った忠君愛国主義者たちは、だれもかれも、その行動を、『日本人』として『日本』のために行ったものという理由で根拠づけたのであった。戦争の最大の責任者は、これらの筋金入り『日本人』であった。」こういうような点で、いい日本人という考え方というものが、かつての狂信的な軍国主義者的な性格のものにしていくのじゃないか、こういうことが心配されておるのです。  この点は、宮沢教授が言っておられるのでありますが、これが曲学阿世の徒だと、こういうように断定せられるならいざ知らずでありますけれども、文部大臣として、一体いい日本人、教育基本法の教育の目的以外のいい日本人と考えられるのは、いかなるものであるか、この点を一つ、私は明確にしていただきたいと思うのであります。  それからもう一つは、そういう点から言って、今度の基本法については、何か抜けているところがある。抜けているところがあるが、これは、無国籍者を教育するようなものだ、こういうようなことも言われている。そういうような点からいって、今言った文相の考えるいい日本人というのは、一体いかなる概念のものであるかということを私はお伺いしておきたい。これは、もう非常に根本的な問題でありますから、教育行政の上において、たいへん大きな問題でございますので、これは文相の言われる、うかつにしゃべったとか何とかいうことで済まされる問題ではない、このように私は思います。  それから前の本院の今年度の、三十四国会でありますか、本会議の質問においても出されているのでございますけれども、現在の憲法、それから教育基本法に基づいて、しかも文部省の制定せられた教課内容によって、平和主義と民主主義に基づくところの教育というものを実際にやっている戦争放棄についての文部省の教科書に出ているものについての教育というものについて、高田なほ子議員が、この点について言っているのでありますが、そういう教師に対して、またそういう教師の作っている教員組合、いわゆる日教組というものが、破防法すれすれの団体である、こういうことを文相は言われている。  このことについては、私どもは、文部大臣というのは、とにかく日本の将来の教育行政をあずかっているものとして非常に遺憾に思う。かっての文部大臣、清瀬文部大臣にいたしましても、とにかくりっぱな方々が文部大臣になられており、私どもは信頼いたしてきているところでございますけれども、今度の文部大臣は、松田文部大臣が開きました日教組との話し合いというものを一切拒否される。これは政府が変わっているといいますけれども、私は政党政治である限り、そう手のひらを返すように変わるということについては、ちょっと納得がいかない。しかも、あなたが、いろいろ教育の問題について高姿勢で臨んでいるといわれるのだけれども、実際にこういうことは、はなはだ失敬な話なんでありますけれども、一部の批評の中に、荒木さん、あなた自身はかっての造船疑獄において、収賄すれすれでもって容疑を受けた人です。そうしてあの有名な指揮権発動によって、まあ事なかったわけでありますが、そういう文部大臣が、私から言わせれば海千山千の政治家である。そういう政治家が、今日の高姿勢で臨んでいる文教政策に対して、私はやはり一つの政治力、力による文教政策を強制し、中央集権的な教育行政というものをしく可能性がある、こういう心配を抱いているわけです。そういうことがないように望むのでありますけれども、最近の文部大臣の言動というものの中に、そういう感じを受けるのであります。従って、この際、そういう文部大臣の考え方というものが、私は、やはり各地方の教育委員会なり何なりに現われて、非常に教員組合というものをたたきつぶせ、破防法すれすれの団体なんだ、こういうようなことで、文部大臣自身が言われるということについては、これは地方において非常に大きな、やはり地方の教育委員会が教員組合をつぶすような形での行動が、今指摘されたような形で現われてくるのだろうと思うのです。従って、こういう点について私はよほど慎重にやってもらわなければならない、このように思うのです。  従って、二点についてお伺いしたのでありますが、文相の教育行政の根本についての所信を承わっておきたいと思います。
  208. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) まず第一に、教育基本法の問題でございますが、先日参議院の文教委員会出席いたしまして、同じようなお尋ねがございました。お答えをしたのでございますが、私がこの問題にさる演説会で触れました趣旨は、教育基本法が制定されました当時の事情に顧みまして、御案内のごとく、昭和二十年の暮に当時のGHQから、日本地理、日本歴史、修身教科は直ちにやめろという指示を出されまして、その線に沿って日本の教育が新しい教育という形で、教育基本法及び学校教育法に基づいて発足をしたわけでございますが、そういうふうな環境からいたしまして、当時の国会でむろん審議された、形式は整っておりますけれども、占領中であり、しかも教育の実態、特に義務教育について占領軍の意思が明確に出されて、その制約のもとに教育刷新委員会審議もありましたろうし、国会審議におきましても、これまた御案内のごとく、一々をGHQのアプローヴァルをもらわなければ、国会意思といえども決定ができなかったという客観条件下において制定を見てきておる。従って今日憲法を改正すべきかいなか、改正するとすれば、どんな点が問題かという角度から、法律に基づいて憲法調査会で四年越しの調査を継続中であります。それと同じ意味においてこれが生まれ出ました客観条件下、すなわち、さらに換言しますれば、日本人としての自由な、自主的な意見というものが、意思表示をする行動半径が非常に狭かったときの審議に基づいて法律となっておりますから、憲法と同じ意味合いにおいて、はたしてこれで十分なりやいなや、これで十分だという結論が出れば、それでよし、もし十分でないとするならば、全国のその道の権威者をわずらわして検討された結果がそうであるならば、そういう線を基礎に再検討をする一つの課題ではなかろうかと思います。こういうことを今までしゃべったときには申してもおりましたし、文教委員会でも、お尋ねに応じてお答えを申し上げたような次第でございます。  第二点の日教組と会う会わないの問題ですが、これは会ったからといって法律に違反するものでないことはこれは当然ですけれども、会うことそのことが、特に勤務評定を直ちに廃止しろという課題、あるいは新しい教育課程実施を中止しろというふうな課題として話し合いをすると言われましても、私の立場において、話し合いに応ずるという場面ではない、いわんや任意団体の日教組の代表者と中央交渉と名づける団体交渉めいたことをすることそれ自身も適切ではないんじゃなかろうか、先ほども申しましたが、従って、今の教育は地方分権の建前で行なわれておる、教職員団体が地域団体として認められておるという制度のもとにおきましては、そういうことに関するかりに話し合いをするにしましても、まずもって教育委員会と地域団体たる教職員組合が話をさるべきではなかろうか、そうしていろいろ話し合いをされました結果、地域々々に応じた特殊性も出てきましょうし、そのことがまた基本的な制度についても改善の意向として出てくるならば、それを将来の立法の資料として考えねばならぬという立場には私どももちろんなりましょうけれども、それを差しおいて、廃止するという事柄を相談することは適切でない、こう考えまして当然のことを当然に申し上げてお断わりをしておるにすぎないと私は思っております。  それを高姿勢と、こういって批評されることは、これは御自由でございますけれども、事柄の判断は、あくまでも今申し上げたような角度から判断して善処することの方がより適切だと、かように考えたのであります。前大臣がどういうお考えで交渉ということを持れたか、それは私の知る由ではございません。さっきも申し上げたように、話し合いというか交渉に応ずること、そのことは違法ではないわけですから、それを同じ保守内閣で方針が一貫しないように御批評下さいますけれども、私はそういう方針というほどの問題じゃないのではなかろうか、あたりまえ、素直に考えれば、私の会わないという態度の方がより適切だと、こう考えまして会わないでおるのであります。  以上、お答え申し上げます。
  209. 北村暢

    ○北村暢君 今、通り一ぺんの答弁がございましたけれども、その教育基本法、憲法の問題について、改正するしないという問題について検討をする、その程度のことならいいんでありますけれども、それは、答弁でいいと思います。そういうことではなしに、文部大臣は、相当の信念を持って教育基本法を改正する一つの方法らしいものを、あなたは最近のいろいろな会合の中でしゃべっておるわけですよ、そのことを私はお伺いしておるのですよ。とにかく今の教職員は、この教育基本法に基づいて、そして教育している、教育行政が行なわれているというふうに私は思いますし、それでなければならないと思います。現在の教育基本法に基づいて行なわれてなければならぬ、そういう平和主義、民主主義の教育というものをやっているのが現状だと思います。  それに対して大臣は、何か一つ抜けているものがあると言われているのです、現実に。そして今の教育基本法は、無国籍者を作る教育だと、こういうふうなことを言われておる、そういうことには相当信念を持って、私は一国の文部大臣が話をしておるのでありますから、その点をお伺いしているのです。大臣は、そういうことを言われておるんだが、一体そのいい日本人を作るというのが教育の目的なんだと言われるから、それならば、一体いい日本人とはいかなるものであるのかということをお伺いしているのです。  それからもう一つは、教組に対して会う会わないという問題、それもあるでしょうけれども、そうじゃなしに、観念として日教組という組合を、破防法すれすれの組合である、こういう観念のもとに日教組というものに対処しているのではないか、こういうことをお伺いしているのです。そういう観念というものは、私は少なくとも誤りじゃないか、こういう考え方です。そういうことから、会う会わないというような問題はささいな問題であるが、そういう会う会わないという問題にまで文部大臣の考え方が、そういう根本的な考え方から出てきているのではないか、こういうふうな質問をいたしておるのです。  従って、そういう点を一つ、ピントをそらさないで答弁をしていただきたい。それだけりっぱな考え方を持っておられる大臣なんだから、先ほど言ったように、とにかくこの文部大臣というものは、松村さんにしても清瀬さんにしても、非常に私どもはどちらかといえば、浮世離れしたくらい神聖な文部大臣という感じをしておったのです。ところが今度の文部大臣は高姿勢高姿勢というが、それに値するように私は海千山千の文部大臣だ、従ってもうすいも甘いもわきまえて、そして力でもって中央集権的な文部行政をやろうとしているのではないか、そういう点を非常に疑いを持っているから、この疑いを晴らすように一つ答弁を願いたい。
  210. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教育基本法をめぐりまして改正すべしとするならば、どういう考えを持っておるかという意味にからんでのお話でございますが、私も、もちろんしろうとながら私見はございます。私見はございますが、国会のこういう場において、私のプライベートの一個人として思っておりますことを申し上げることは、先刻矢嶋先生からおっしゃったように申し上げる場じゃないと思うのであります。  私が申し上げますのは、さっき申し上げました通りのおい立ちを持つあの当時の客観的条件をあらためて念頭におきながら、要すれば当時の教育刷新委員会のメンバーまでも加えて、トップ・レベルの権威者が自主的にいわゆる独立を回復して数年たった今日の見識において、全国民のために考え直していただく一つの課題ではなかろうか。それらの権威者を通じて具体的な意見等も出てくることを期待するということが国民的な気持ではなかろうかと、こういうことを申し上げた次第であります。  さらに現在の教育が憲法及び教育基本法、学校教育法を初めとするもろもろの法律制度のもとに運営され、また教職員も、そのもろもろの法律に従って厳正中立の立場において教育の場に専念しておると信じております。そのことを私が文部大臣になって、一人でどうしようと思ったって、法治国の日本におきまして、できることじゃない。私どもの行動半径も、またもろもろの法律制度によって、国民の命令として与えられておる以上は、その線を一歩たりとも乱すべきものでない、こう心得ております。立法論として個人的に申し上げ得る材料はないとは申し上げませんけれども、しかしそれはあくまでも個人的なことであって、この厳粛なるべき教育の基本の問題について、私は、かれこれ国会等の場において申し上げるべきでないことを繰り返し申し上げてお答えにしたいと思います。  日教組と会う会わないに関連して、本質的にこれがけしからぬと思っているのじゃないかというようなお尋ねでございますが、私はそう思っております。教職員組合のよって立ちます倫理綱領等を拝見しますると、その存立の基本において、今の日本の実情に合わない、教育の厳正中立たるべき要請に合わないことを考えて、それを基本に日本教職員組合という団体ができておるのではなかろうかと私は解釈いたします。そういう意味で今までも申し上げておることですが、制度上団体交渉する資格がないということももちろんでございますけれども、そういう考え方でもって、教育の場に関連を持っておる団体の方と、特にさっき申し上げたような課題を中心に交渉を持つということ、そのことも適切でない、かように考えてお答えをしておると御了承いただきたいと思います。
  211. 相澤重明

    ○相澤重明君 文部大臣に、ちょっと聞いておきたいのだが、今の教育基本法を改正するかどうかということは、まあ学識経験者等にも聞いて相談をしてみて、そうして改正するとなれば改正する、しないとなればしない、こういうような、まああなたのちょっと構想めいたものがあったわけですが、一体私どもは、文教委員でないから、こういう場でなければわからぬわけです。当然これは文教委員でなくとも、この国家予算関係してくる、あなたがどういう委員会を作るか、どういう方向でいくかということは、必ずそのあとで、そういうものは予算上現われてくる、また今度は、予算上現われてくれば、その予算執行がどうかということが今度は出てくる。  そこで、私としてお尋ねしておきたいのは、今の教育基本法についての、そういう考え方を持たれる、そういう人をどういう人を委嘱をするかということが、やはりこれは非常に大きな問題だと思う。現在は、まあいかに私どもが一生懸命になっておっても、政治のあり方いかんによっては、政治に対する信頼性が少ない。それからまた同時に、そういう教育の問題については、これからの世代に対する大きな問題だと私は思うのです。すると、いわゆる六十、七十の人がわれわれが経験がある、学識があるといって、そうしてとにかく現時点と相当生活程度から離れた人が、いわゆる頭の方だけで研究をされても、それは今の新しい時代の日本に対する教育の私は根本には触れないと思う。だから六十、七十の人が、自衛隊を軍隊にしろ、そうして国を守らなければいかぬといって、お前たち鉄砲をかつげといったところで、その人たちがやるわけではない。若い新しい人たちが、そういう立場に立たせられる。  そこで現在の教育基本法の問題から言えば平和主義、民主主義に徹するということが今日の立場であるならば、そういう点について、あなたが各界の人を委嘱をするというならば、どういう人たちをあなたは考えておるか。各階層については非常に断層がある。今二十代の人、三十代の人、あるいは私どもみたいな四十代からようやく五十になろうとする者、あなたのように五十から六十になろうとする者、六十から七十になろうとする者、こういう断層の多い今の一億にならんとする日本人口の中で、新しい日本の国を、これから作っていこうとする最も重要なこの教育行政を、あなたが今文部大臣として、国務大臣として担当されているわけだ。このことについては、やはり国民に信頼をされる、特に次の時代をになう青少年に、なるほど今の国会なりあるいは政府の考えておるのは、われわれ賛成だという考え方を持たせることが私は当然だと思う。  そういう意味で、あなたの今のお考えを少し私は聞いておかなければならぬ。先ほどの日本教職員組合に対する団体交渉であるとか、話し合いであるとかという説明がありました。その説明について、きわめて重要な問題だと私は思うのですが、きょうは、私はそういうことに触れておりません。触れておらないで、このいわゆる新しい時代を、いかにして日本国民の教育をするか、こういう問題についての、断層の多い中で、今重要な教育行政に携わっておる国務大臣としてのあなたの一つ、何とかいう構想を少し聞かせてもらいたい。これはもう野本さんや矢嶋さんのように、文教委員会におる人ならば、わかるかもしれませんけれども、われわれは文教委員会におらないからわからぬわけだ。せっかく予算に、次に出てくる問題であるから、私はきょうの決算上指摘されたことを、先ほどの移流用の問題をめぐって、また新しい構想が出てくるとか、こういうことになると、これはやはり私どもとしては、相当検討しなければならぬ問題だ、こう思いますので、一つあなたの所信を伺っておきたい。
  212. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) さっきちょっと御答弁申し上げるのに、言い落としておりますが、先ほど申し上げました通り、参議院の文教委員会においてお答え申し上げましたことの言い落としましたことは、以上申し上げた通りでありますが、このことそれ自身が重大な問題でございますから、現在文部大臣の諮問機関として中教審と言われる中央教育審議会というのがございますが、私の一応の今の念頭にありますことは、この中教審にお諮りをして、この問題を取り上げるとするならば、再検討の課題として取り上げるとするならば、取り上げることそれ自身として、どんなふうにしたらいいでしょうかという意味においての御検討を願って、その上で初めて、どういう構想の新しい調査会等を作るか作らないかということが生まれ出ることを予想しておるのでございます。  従って、御指摘のような、当面、新しい予算の問題は、関連はいたしません。いずれにしましても、今申し上げるようなことが、かりに現実となって現われるといたしまするならば、そのときに予算なりあるいは法律案等の形で御審議願うこととは思いますけれども、今申し上げますように、そういう研究すべき一つの課題であろうと、一種の立法論的に、私が思っておることを申し上げておるにすぎないことを御了察いただきたいと思います。
  213. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  214. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 速記を始めて下さい。  本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十一分散会