運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-11-30 第36回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十一月三十日(水曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   委員の異動 十一月二十六日委員小柳勇君辞任につ き、その補欠として重盛壽治君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            小酒井義男君    委員            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            平島 敏夫君            村松 久義君            重盛 壽治君            中村 順造君            松浦 清一君            白木義一郎君            加賀山之雄君   説明員    運輸省港湾局防    災課長     布施敞一郎君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 広瀬 真一君    日本国有鉄道常    務理事     大石 重成君    日本国有鉄道常    務理事     関  四郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道の運営に関する件)   —————————————
  2. 江藤智

    理事江藤智君) これより委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。  去る二十六日、小柳勇君が辞任され、重盛壽治君が選任されました。
  3. 江藤智

    理事江藤智君) 次に、運輸事情等に関する調査、特に本日は国鉄経営に関する問題点及びこのたびの特別国会提出予想されている補正予算のうち、運輸省関係について説明を聴取する予定であります。  それではまず国鉄経営に関する問題点について御説明を願います。
  4. 広瀬真一

    説明員広瀬真一君) ただいま来年度予算編成につきまして、事務的の段階ではございますが、いろいろ折衝、作業を始めております。来年度国鉄予算を編成します上で一番基本的な問題につきまして二、三の点につきまして御説明をいたしたいと思います。  その前に、近く開かれます特別国会国鉄補正予算提出をしておりません。従いまして、私がただいまから御説明いたしますことは、来年度予算編成上の問題点について申し上げます。なお、これから申し上げますいろいろの数字につきましては、まだ部内におきましてもいろいろきまっておりません点がございますので、今後この数字は若干の変更はあるというふうに御了承願います。  まず第一に、新しい国鉄の五カ年計画について申し上げます。  現在実施いたしております五カ年計画は、本年度で第四年目を終了しようとしておりますが、最初考えました総額六千億、年に算術平均にいたしますと千二百億円の計画発足をしたのでございますが、その後いろいろの事情、特に資金事情から、毎年の投資額は約一千億円というふうに縮小されまして、従いまして、現在実施中の五カ年計画というものは、事実上若干繰り延べざるを得ないという格好になっております。ものによりましては一年あるいは一年以上というふうに多少の食い違いを生じております。しかしその後、わが国の経済発展の経過から見ますと、現在実施中の五カ年計画というものは、国の経済発展に比べましてその規模が若干小さいということが明らかになりましたので、その計画国民経済発展の実状に即したように拡大しなければならない。また、その後いろいろ技術の進歩ということも考えまして三十六年度計画からあとの分、また最初の五カ年計画には一応入れておりませんでした東海道新幹線を含めまして、明三十六年度からは新しい五カ年計画として、総額において九千七百五十億円の規模で新しく発足をいたしまして、国民経済発展規模に応じ得る鉄道輸送力改善を進めて参りたいというのが新しい五カ年計画のねらいでございます。  この計画によりますと、三十六年度投資額は千九百五十億円の見込みになっております。なおこの計画骨子というものは、国の所得倍増計画関連を持ちまして、国の経済伸びに応じまして鉄道輸送力をつけて参ろう。この輸送力と申しますのは、主として幹線輸送力をつけて参って、これに合わせまして近代化あるいは合理化というものをからみ合わせてやっていこうという内容でございます。要するに、おもな幹線輸送力増強、建造、それと関連いたしまして電化ディーゼル化というものを全国的に推し進めて参ろうというのがこの内容でございます。新しい五カ年計画内容につきましては、国鉄当局者が参っておりますので、あとで詳しく御説明をいたします。  第二点は、その五カ年計画に入っておりますが、東海道幹線の来年は第三年目に当たるわけでございます。新幹線建設進捗状況は、これは三十四年度から始めまして、三十四年度は三十億円、三十五年度は二百七億円の予算、その他債務負担行為が五百四十二億円で、現在鋭意進行中でございまして、用地の買収も、一般的に申せばいろいろ問題はございましたが、最近かなり順調に進んでおる。そのほか工期を制するような大きな長いトンネル、たとえば丹那トンネルとか、あるいは長い橋梁、こういった工事も、おもなものにつきましては契約が済みまして、現在工事実施中でございます。来年度は、三十六年度は第三年目に当たりますので、さらに工事量は増すということで、一応事務的に考えております年度別建設費というものを申し上げますと、先ほど申し上げましたように、初年度の三十四年度が三十億円、三十五年度——本年度が百九十七億円、先ほど二百七億円と申しましたが、これは利子を含めております。建設費だけ今申し上げます。来年度の三十六年度は五百六億円、こういう画期的な大きな金を来年度は必要とするということになっております。なお、今までも御説明をいたしましたように、この工事資金の一部には世銀借款を予定しておりまして、この夏、技術調査団が参りまして詳細に検討いたしまして、世銀の内部においていろいろ検討中でございますが、ごく最近世銀との借款契約も最終的な契約に入るというような段階に入っておりますので、こちらの方も順調に進んでおるというふうに政府は考えております。  次は、幹線輸送力増強電化の推進、まあ先生方承知のように、現在国鉄の一番弱点とされておりますことは、おもな幹線輸送力がいずれも限度に到達しておる。国鉄複線区間と申しますのは、ごく大まかに申しまして、東海道山陽線というようなものがおもでありましてその他の動脈はいずれも単線である。動脈である東海道線ですら今申し上げましたようにごく近い将来行き詰まる。その他の単線区間というのはすでにもう行き詰まりつつあるというようなことで、今後新しい五カ年計画ではおもな単線区間単線というものをいずれも複線にしていこうということを考えております。今までは車をつぎ込むということで糊塗的に輸送力をつけて参りましたが、こういった方法はすでに限界にきております。今度は線路線路容量というものをここで思い切ってふやしていくということをやらないと、国の経済伸びに追いついていけないということで、新しい五カ年計画ではおもな単線をいずれも複線化にしていこうということを考えております。この内容等につきましては、あと国鉄当局から詳しく御報告をいたします。従いまして、新五カ年計画では、従来とは違いまして線路増設、要する単線のものを複線にするということに非常に重点を置いております。  それから次はディーゼル化でございます。幹線のうちで電化経済的に可能であるというところは極力電化を進めて参りますが、電化経済的にはやや引き合わないというものにつきましては、幹線亜幹線あるいは支線と、こういったものの輸送力増強あるいはサービス向上というためには、今までも、第一次の五カ年計画でもディーゼル化というものを強力に進めて参りました。まあ国鉄ディーゼルカー保有量というものは世界でも一、二と、非常に最近はディーゼル化が進んでおりますが、新五カ年計画におきましてはさらにディーゼル化というものを進めて参りたい。これはディーゼルカー増強、それからなおディーゼル機関車も画期的にふやして参ろうということで、電化されません区間のおもなる旅客列車というものは全部ディーゼルカーに置きかえていくということを考えております。  なお、これは非常に問題でございますが、かねがねいろいろ御報告いたしましたり、御説明をいたしておりますものの中には、国鉄使命ということから、かなりの額の公共的負担というものを国鉄が負わされております。これは国鉄陸上輸送で独占的な地位を占めておりましたときはその負担能力があったわけでございますが、最近は他の交通機関、主として自動車運送とか、あるいは一部海運あるいは飛行機、こういったものの発達によりまして、独占的な地位かなりくずれて参っておりますので、そういった国鉄に対しまして、前と同じようなかなり巨額な公共的な負担を負わせるのははたしてどうかという問題を私ども検討しておりますので、こういったものに対してどのように考えていくか、こういった問題、たとえて申しますと、新線建設利子補給であるとか、あるいは定期乗車券割引率の著しく高いというような問題、あるいは貨物輸送におきまして農水産物に対してまだかなりの特別の割引をしておる、こういったようなことがこの内容でございます。こういったことは、国鉄の公共的の使命からいいまして、ある程度はこれは当然かと存じますが、先ほど申しましたように、国鉄独占性というものが逐次失われていくという傾向にありますとき、こういった問題を再検討しなくてはいかぬ、こういったことでございます。  大体以上申し上げました項目が、来年度予算編成上の重要な問題点かと存じます。まだいろいろ政府部内におきましても議論の尽くしておらない点がございますが、問題点だけを御紹介するという意味でごく簡単に御説明をいたしました。
  5. 江藤智

    理事江藤智君) それでは新五カ年計画内容について簡単に国鉄当局から御説明をお願いいたします。
  6. 関四郎

    説明員関四郎君) 私国鉄常務理事の関でございます。  お手元に「新5箇年計画の概要」についてという資料を差し上げてございます。大体これについて御説明申し上げたいと思います。  ただいま運輸省国鉄部長から概略のお話がございましたのですが、この第一ページをお開きいただきまして「計画骨子」というところでございますが、前回の第一次の五カ年計画は、ただいま国鉄部長からもお話し申し上げましたように、大体戦後の、施設とか車両の老朽したものが非常に多くてこれが輸送の安全を脅かすというところから、老朽施設の取りかえということを一つの柱にいたしまして、それからもう一つ輸送力増強、それから輸送近代化という、この三つを柱にしまして六千億で計画を立てたわけであります。これが立てました当時の状態から見まして、経済成長が非常に大きくございまして、旅客貨物とも計画を上回る、ことに旅客のごときは、もうすでに四年目に入る途中で計画の五年目の計画を上回るというような状態になりましたために、これをもう一度再検討して新しい五カ年計画に移っていくべきではないかということでやりだしたわけであります。たまたま政府におかれましても所得倍増計画というようなものが話題に出ておりまして、これと、計画を進めていく間に、ある程度輸送というものもこれに関連を持たしていくべきではないかという議論がありまして、この新五カ年計画というのは、この所得倍増計画の線をある程度盛り込んで考えたわけであります。それで非常に輸送量産業経済成長に伴ってふえておりますために、むしろ国鉄輸送力が不足しておるということのために経済伸張を妨げておるという点がかなり強く予想されるようになりましたために、今度の新しい五カ年計画につきましては、この輸送力増強ということを最重点に置きまして、これによって日本産業経済伸張基盤を作り、また一方には国民生活がだんだん安定、向上して参りますに伴いまして、旅行、こういうようなことが非常に需要がふえまして現在のように週末とか年末年始のようなときに、非常に長い間駅で旅行する方がお待ちになる、また極端な場合には乗り残しができるというような非常に悪い状態を、輸送力をつけることによって解消したいというようなことから、貨物輸送におきましても、旅客輸送におきましても、何といいましても、輸送力を画期的につけるということがどうしても必要であるということで、新しい五カ年計画におきましては、輸送力増強ということを大きな柱にいたしたという点が前回と異なるところである、こう考えております。この輸送力増強の最も大きなものが東海道新幹線でありまして、国鉄の全輸送量の約四分の一を運んでおります東海道というものの輸送を円滑にするということが、輸送力増強の中でも一番大事なことであるということで、この東海道新幹線というものを大きく取り上げたわけでございます。  それでこの五カ年計画の全体の規模といたしましては、五カ年で総額九千七百五十億ということでございまして、年平均約二千億の額に達するわけでございますが、これは、こういう積み上げをいたしましたところが、偶然にと言ってはあれですが、例の経済企画庁において作られました経済審議会所得倍増計画をやられたときの小委員会での結論も、大体これは積算の仕方に多少問題があるかもしれませんが、原単位自動車鉄道も、原単位制で計算したわけでございますが、これによって四十五年度輸送量というものに対する原単位をかけまして、大体投資規模は十年間で二兆一千億というような数字をお出しになっていられるわけでございますが、これのちょうど十分の一、約二千億、それに少し足りないわけでございますが、そういうような数字になっておりまして、規模としても、大体まともに見た規模と、それから私どもこまかく積み上げたこの計画規模が大体一致しているというような状態になっております。  それでは、次の二ページの方に参りまして、第二番の「客貨輸送需要の想定」というところでございますが、ここの表にございますように過去二十八年から三十四年までの六カ年間の輸送伸びと、それから三十四年をベースにしまして、四十年度までの六カ年間の伸びとをそこに対照して書いてございますが、この過去六カ年間の伸びをAといたしまして、今後六カ年間の将来の伸び予想をBといたしましてこの比率をとりますと、そこの一番右端のA分のBというところにパーセントで書いてございますように、定期旅客では四%増、それから定期外旅客では二四%増、合計旅客では、これは億人キロ人キロ単位で出しておりますが、これは御承知と思いますが、旅客、一人のお客さんが一キロ旅行されますと一人キロ、一人のお客さんが古キロ旅行されますと百人キロ人キロ単位で表わした場合の伸びの過去の六カ年と今後の六カ年の比較が、大体合計で一五%ぐらいふえ方がよけいになるだろうということでございます。次に貨物の方は、その一番下に書いてございますように、過去六カ年で八十七億トンキロ、これだけ伸びましたが、これが百三億トンキロまで伸びまして、伸びの量が一八%も伸びたというようなことでございますが、それで今後の六カ年の伸び率というものは、大体旅客で一三一とそこにカッコして書いてございますが、三一%の伸び貨物で二一%の伸び、こういうような予想のもとに計画したわけでございます。これは全体の産業経済伸びから申しますと、少し少な目だということになるわけでございますが、実をいいますと、今後鉄道のほかに、道路が非常に発達いたしまして自動車の方の輸送というものがかなり伸びますために、何といいますか、シェアーといいますか、輸送量配分が、鉄道の方が、絶対量はふえますけれども、配分の割合が減ってくるということから、全体の国内輸送量伸びよりも少し下回った予想を手固く立てたわけでございます。それで、この輸送量旅客貨物の総合計をいたしましたもので、全体でどうなるかということを大づかみにつかみます場合に、多少問題があるのでございますが、人トンキロというふうに、貨物旅客一緒にしまして、人トンキロでいいますと、ここの表にございませんが、大体一二八%、大体二八%ぐらいの伸び予想しているわけでございます。申しおくれましたが、大体この所得倍増計画に即応していると申し上げたわけでございますが、しかし、この所得倍増伸び率は、経済審議庁で前に計画いたしておりました七・二%という伸び率に即応するように計画いたしておるわけでございます。  それで、ここに書いてあるところを読みますと、「(1)上表にみられるように、国鉄輸送量は、国の経済成長に伴って着実な伸びを示して来たが、輸送需要は更に上廻り、十分これに応えることは出来なかった。今後自動車、航空機、船舶等交通機関発達による輸送分野の変動を考慮しても、国鉄に対する輸送需要は益々増加するものと推定されている。」、こういうように考えているわけでございます。  第二番目といたしまして、「このような輸送需要伸びにもかかわらず、主要幹線能力一杯に利用され、列車増発の余裕に乏しく、且車両も少いため、十分な輸送力をつけることが出来なかった。 特急券寝台券を当日入手することがきわめて困難であることや、また、滞貸が慢性化して申込んだ貨物が即日発送されない状態にあることなどは、輸送力の不足を端的に物語っているものである。」、こういうような状態でございましてこれが実は慢性化いたしましたために、鉄道輸送というものはこういうものだというふうに一般に思われつつある。これは大へんに申しわけのないことでありましてこれは何とか解消しなければならない、こういうふうに考えたわけでございます。「また、これは電力、ガス事業などの戦争直後の状況からの立直りに較べて国鉄サービス改善が、なお遅れていることを示すものといえよう。」、(3)といたしまして、「まして、今後予想される国民経済の目覚しい成長を考慮すれば、輸送力増強のための抜本的対策を講ずることが必要であり、もしこれを行わないとすれば、国鉄は、単に国民経済成長基盤としてその使命を果しえないのみか、さらにその障害とさえなることが予想される。(4)また、生活水準向上に伴って、国民交通機関に対する期待も次第に高度化してきているので、国鉄は、単に輸送の量に対する要望にこたえるのみでなく、進んで、その質に対する期待にも応えなければならなくなっている。(5)以上が新5箇年計画樹立を必要とする根本的要因である。」、こういうことでございます。  それで、次の三番の、「改善に対する基本的な考え方」というところについて申し上げます。  「(1)幹線増強 国鉄幹線は、その大半が建設当時のままの単線で、逐年増加する輸送需要に対しては、車両を増備して対処し、線路、設備については、その都度弥縫的手段によって当面を糊塗してきたが、現在では線路容量をほとんど利用しつくし、もはや多くの列車増発を望めない状態にある。そこで、現在及将来の輸送力不足に対する抜本的対策として、東海道本線を始めとする主要幹線線路を早急に増強し、併せて車両並びにその他の輸送施設を拡充整備する。」これは日本複線化というものが世界的に見まして非常におくれておりまして、大体従来鉄道というものは複線であるのが本来の姿でございまして、単線というのはかたわな鉄道である、こう申しちゃ大へん極端な言い方で申しわけないが、まあ大体そういうふうに考えられるわけであります。  たとえば、東京付近私鉄をごらんいただきましても、単線私鉄なんというものは、よほどボロな私鉄以外には、ほとんど複線でありまして、これは鉄道というものは複線建前であって、単線というものはかたわな状態だということでございますが、これが従来ほんの一部、東海道山陽線とか、それから常磐・東北の一部だけが複線で、ほとんど大部分が主幹線でありながら単線のまま放置されたということは、私ども非常に怠慢のそしりを免れないわけでありますが、これを一生懸命で単線にいかにしてたくさんの列車を走らせるかということで、できるだけ投資を少なくして能率を上げるという方向に非常な努力をして参ったわけでありまして、そのために世界で最大の輸送効率を示す——狭軌でいながら一番多く、世界一の輸送能力を示しているというような鉄道日本国鉄でございますが、これがここにございます「線路容量」というのはちょっとわかりにくいかと思いますが、単線の場合にはいろいろな工夫をいたしましても、列車が大体日本で八十本くらいが限度になっているわけでございます。これは……
  7. 松浦清一

    松浦清一君 ちょっと、御説明中ですけれども、非常に御親切に御説明いただいてけっこうですが、書いてあるものはあとで読ませていただきますから、もう少し要点的に御説明いただいてもけっこうだと思います。そうしませんと、このスピードでいきますと、それだけで十二時を過ぎてしまいますから……。
  8. 江藤智

    理事江藤智君) じゃ、そういうことにお願いいたします。
  9. 関四郎

    説明員関四郎君) それでは簡単に要点だけ申し上げますが、何といいましても、しかしこの単線鉄道というのはどうしてもかたわである。これをどうしても少なくとも幹線複線化したければならぬ。ところが、これが非常に金がかかりますために、今までやはり弥縫策で終わってきた。ここでやはりいよいよ行き詰まって参りましたので、どうしても抜本的対策として、主要幹線複線化ということをいたしたいということで考えているわけであります。  それから、その次に、複線化しますと非常に列車がたくさん入るようになりますために、これを電化とかディーゼル化によって動力を近代化して、煙をなくするとともにスピードを上げるということが、非常に国鉄経営もよくいたしますし、また利用者サービスをよくするという点で、これを輸送方式近代化として、そしてそこに書いてありますように、旅客輸送とか貨物輸送についてこういうような輸送方式近代化をやりたい。特に複線化しました場合には、旅客はほとんど電車またはディーゼル列車輸送することが建前になるので、非常に頻発運転をして、お客さんが駅で何時間も前から待っていることのないようにしようというような計画でございます。  その次に重要な問題は、通勤輸送でございます。これは東京大阪通勤電車運転区間でもって三十四年度の実績でも七百五十万人一日に運んでおりまして日本の全国のお客さんの乗る数の半分以上が東京大阪区間通勤輸送で運ばれているわけでございます。それで、これについてはいろいろ問題がございますが、とにかく国鉄といたしましては、今のような殺人的な通勤輸送というものを何とか緩和しなければならないということで全力をそそいで通勤緩和ということに非常に大きな力を入れよう、こういうように考えたわけでございます。  それからもう一つは、自動車交通が非常にひんぱんになりましてこのために鉄道踏切事故というものが非常にふえております。それですから、この踏切事故を根絶するためにはどうしても——自動車交通というものも高速度になりますし、列車高速度になりますから、これを立体交差にするということがどうしても必要であるということでございます。こういうようなことに努めるとともに、またいろいろ経費節約のための合理化対策というものに対する投資も進めまして、全体として輸送力増強し、また経営改善するというような方向にぜひともいきたい。それで、そのほかに経営合理化のために、いわゆる閑散線と申しておりますが、輸送力の非常に少ないところは、むしろ鉄道のような重い単位輸送するよりも自動車のようなもので輸送した方が有利であるというようなところは、自動車での輸送を考えていきたい、こういうふうに考えております。  それで次の六ページの4の「投資計画」でございますが、こういうことでやりますために、最初に申し上げましたように、東海道新幹線建設費千七百三十五億を含めまして総額で九千七百五十億円の投資がどうしても要るということで、各項目別の表がその下にございますが、これでごらんいただきますように、通勤対策に対しましても最近の、前の第一次五カ年計画の前半四年間、約四千億、年間平均一千億の投資をしてきたわけでございますが、この四年間の平均がそこにございますが、東海道新幹線は入れてございませんが、通勤対策としてはその一番右の端にありますように六割六分増し、それから幹線輸送力増強については、これは二・五倍というような最重点を置く。それから電化とか電車化、こういうようなものについても二倍以上にして経営改善していこう。それからディーゼル化が一・六倍といようなことで、取りかえ、その他はもう大体終わりましたので、これは非常に少なくしておるということでございまして、総計で九千七百五十億、年平均千九百五十億というような投資がどうしても必要であるということでこういう計画を立てたわけでございます。  それで、この線路増設をいたしました場合に、一体それではどういうところが複線になるのかといいますと、七ページにございますように、東海道は広軌の新幹線を増設するわけでございますが、その他の主要幹線、約千百キロ複線化する。現在約二千六百キロばかりが複線化されておりますが、これで三千七百キロ区間複線になるということでございます。これは区間としましては、そこに書いてございますように、東北本線では上野—好摩間、北陸本線は米原—富山間、上越線が大体清水トンネルの前後を除くほとんど全線、中央本線が東京—甲府間と名古屋—多治見間、鹿児島本線が門司港—熊本間ほとんど全線ということで、これが合計千百キロ複線化されるわけでございます。これによりまして、これの複線化と、それに伴ういろいろな増強その他でもって約二千五百億くらいの投資が必要であるわけですが、これによってその(ハ)に書いてありますように複線化率が一八・五%になります。まだこれでは世界各国の複線化率から見ますと非常に少ないのでございまして、インド国鉄すらも三十何パーセントという区間複線化されております。イギリスあたりはほとんど八十何パーセントが複線化されているという状態でございますが、まだ非常に少ないのでございますが、最小限これだけのものはどうしてもやらなければならないというふうに考えております。  次が電化電車化でございますが、大体現在までに二千六百キロばかりの区間が電気運転されております。国鉄二万キロのうち約一三%が現在電化されておりますが、これをさらに千八百キロ電化いたしまして、約四千四百キロが四十年までに電化されると、こういう予定で、これによって快適な旅行をしていただこうということで、そこに書いてありますように、東北本線が全線、常磐、東北はこれは全部青森まで電化されるわけでございます。それから信越線が長岡—新潟と、それから高崎—長野まで、結局上野から長野までと、上野から新潟までというのが全線電気運転になる。それから中央東線、これが全線、中央東線といいますと、甲府から向こう全部中央線が電化されるということになるわけでございます。それから北陸線が米原—富山間、山陽本線が現在岡山まで電化されておりますが、これを全線電化する。それから鹿児島本線が熊本までというようなふうに、この五カ年間にこれぐらいの電化は、少なくとも日本のような輸送密度の非常に大きいところは、これらのところは電化しなければならないので、これによって(ロ)に書いてありますように電化率は二二%になりますが、これは日本のような非常に工業の発達した、また輸送密度の非常に高いところでは、少なくとも欧州並みの電化率にならなければならないと思いますが、大体欧州各国は、スイスとかスエーデンのようなところは、スイスあたりは一〇〇%、スエーデンが五〇%ぐらい電化しておりますが、そういうところに比べては普通のところでまだ三〇%から四〇%という電化率でございますが、それに比べればまだ少ないのでございますが、最小限これぐらいの電化をして輸送改善するとともに経営合理化したい、こういうことでございます。そうして日本の特徴といたしまして、非常に旅客輸送が多いものですから、この旅客列車は大体電車による輸送にして、頻発運転をし、旅行を便利にしたい、こういうふうに考えております。  さらに三番のディーゼル化でございますが、現在までに、大体本年度末でディーゼル動車二千両を突破するはずでございまして、大体世界で一番保有量の多い鉄道日本国鉄がなるのじゃないかと思いますが、非常にこれが日本鉄道事情に適しました輸送形態でございます。さらにこれを千八百両投入しまして、ディーゼル化を大いに推進したい、こういうふうに考えております。これによって皆さんの旅行が非常に便利になる。またもう一つは、そうしましても夜間の寝台列車とかその他ございますので、旅客列車の大部分と、それから貨物の一部に五百両のディーゼル機関車を入れてディーゼル化したい、こういうことでございます。  それから通勤対策でございますが、これも現在東京でいいますと首都建設委員会とか首都交通審議会とか、そういうようなところの計画ともマッチさせながら、約千両の電車を投入して、また線路増設とか駅施設等を改良して混雑緩和に努めたい。また踏切についても、先ほど申しましたように、これは非常に重大問題でございまして、この点についても国家的見地からも、ぜひともこれは推進しなければならないものだ、こういうふうに考えております。そのほか合理化の上にも投資を行なうように考えております。
  10. 江藤智

    理事江藤智君) ちょっと時間の都合がありますから、非常にあれですが、もう少し簡単に一つやっていただきたいと思います。
  11. 関四郎

    説明員関四郎君) それでは書いてありますところを省略いたしまして、一番最後の地図でもって……。
  12. 江藤智

    理事江藤智君) それはもうわかっているのでしょう。知っているのですから、地図はけっこうです。見ればわかります。ですから次の計画目標ですか、そういう方を一つ説明を願いたい。
  13. 関四郎

    説明員関四郎君) それでは計画目標につきましては、何といいましても複線になりますと非常に頻発運転列車を非常にたくさん出すことができるようになるということから、まずスピード・アップ、それから旅行が非常に簡単にできるようになるということでございます。まずその一例をあげますと、東海道幹線は現在の六時間半の「つばめ」とか「こだま」に対して三時間、これは別格でございますが、山陽線にしましても東京—下関間が十五時間半が十時間半になるとか、こういうようなふうに非常に時間の短縮が行なわれます。それからまた新幹線ができますと、東京大阪間が非常に便利になることはもちろんでございますが、一方もとの、現在の東海道線の方は、これはそのために線路容量が非常に余裕ができてくるということから、もう非常に何といいますか、十分か三十分置きぐらいに、ほとんど待たずに乗れるような工合に電車頻発運転をしようということでございまして、そのために東海道新幹線の停車の以外の中間の駅の方々も現在よりずっと便利になるということになりまして、両々相待って東海道輸送形態というものはまるで変わってしまうということでございます。  それから貨物輸送については、これは夕方発送、翌朝配達というようなことが非常に東海道線については便利にできるようになるということでございます。  それから山陽本線についても同様に、ここに書いてありますように非常に便利になるわけでございますが、これと同時に、東海道、山陽、北九州、こういうものが一貫した非常に便利な輸送になります。その次に今度は東北方面でございますが、東北方面も現在まだ北の方は単線区間かなり残っておりまして、電化も進んでおりませんが、これが本計画が終了いたしましたころには電化複線化ということが完成しまして、輸送方式が一変する。そうして従来幹線輸送が詰まっているために支線の方から出られなかったという貨物というようなものが非常にさばきがよくなるというようなことから、東北開発にも非常に大きな貢献をするのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。また、上越線についても、これは上越線を複線化することによって上越、信越というものが非常に東京から出かけるお客さんに対して便利になる。そうして時間もそこに書いてありますように非常な短縮になります。さようなことで輸送形態というものが東北、常磐、上信越という方面については非常に画期的な輸送形態の変革を来たすのではないか、こういうふうに考えておりまして、これが国民生活向上に即応した輸送改善になり、また一方に国鉄経営改善できるという一石二鳥、三鳥の計画でございます。  その次に中央線、北陸線、まあ大体この五カ年計画で要求されるところの計画いたしましたところでは、大体一般の御要求に対してほぼ応じていかれるのではないか、これの基盤をこの五カ年間で作ろう、こういうようなことでございましてこれにあげております中央線、北陸線、それから北海道地区、秋田、山形地区とか、それから伊勢、南紀、奈良地区というような紀伊半島、それから山陰地区、四国というものが輸送方式近代化されまして非常にスピード・アップになり、頻発運転になるということでございまして、単に日本産業経済発展基盤になるばかりでなくて国民生活向上に伴う旅行の要求に対しても応じられるようになり、またこの五カ年間で完全に皆さんに御満足がいくというようなことにはまだいかないかと思いますが、しかし相当の部分を御満足いただけるようにすることができる、こういうようなことに計画いたしたわけでございます。
  14. 江藤智

    理事江藤智君) では次に新幹線の御説明を聞きましょう。
  15. 大石重成

    説明員(大石重成君) ただいま御指名いただきました大石でございます。東京大阪間の新幹線のその後の進捗状況について概略御説明いたします。  御承知のように新幹線は三十四年度から作成をいたしまして、三十四年度三十億、三十五年度—本年度実施おくれまして二百七億という予算をちょうだいいたしまして、ちょうど三十四年度、三十五年度予算を総計いたしますと総額の約一割三分でございます。二年間で一割三分の予算をちょうだいいたしまして、ただいま鋭意実施に邁進をいたしておる状態でございます。実施に先立ちまして、まず技術的にこの鉄道は今まで日本になかったいわゆる広軌鉄道ということでございますので、レールの幅が今までよりも広いということですべての規格と申しますか、基準その他のものが全部新しくなるということで、まずその上を走ります客車、機関車というような車両の大きさというものを検討をいたしまして、ただいままでにおおよその寸法をきめまして、ごく概略を申し上げますと、ただいままでの車両よりも幅が約四十センチ広い車両が走るというようなことでございます。従いまして相当楽な大きな車が走るというようなことから出発いたしまして路盤の幅、トンネルの大きさ、それから橋梁の強さ、そういうようなことを技術的にただいま検討しておりまして、おもにさしあたり仕事にかかり得るような寸法だけをきめまして、それでそこにきまりましたことを申し上げますと、車両電車の形で動かそう、大きな目方の重い機関車を使うというようなことは非常に橋梁その他、そのものが乗りますレールにいたしましても、すべてのものに相当大きな金がかかるので、相当技術が進歩いたしましたので、電車形式で動かしていこうというようなことが根本的に決定をしたわけでございます。それからまた、これは少し専門的になり過ぎるかと存じますけれども、電車を動かします電圧にいたしましても、ただいまの千五百ボルトを二万五千ボルトの交流の電流を使うことにしよう。そういたしますといろいろ送電線その他が非常に経済的にゆくというような観点からいたしまして、これも交流二万五千ボルトを使うというような根本の方針の決定をいたしまして、その基準によりまして東京から大阪までの間の線路を測量し、ある一部のものには工事実施をしておるという現状でございます。  で、まず最初に、測量はどういうふうになっておるかと申しますと、東京大阪間五百キロ、延長五百キロございますが、この五百キロにわたりまして全部地形測量、基本的な測量は完了いたしました。五百キロ全部完了いたしました。そのうち線路はこの点を通るという、いわゆるはっきりした中心のくいを打ちました区間が四百キロございます。四百キロは、もうこの地点、ここに橋梁を作る、ここにトンネルを作るということをきめましたのが四百キロでございます。約八割線路が決定いたしました。それからその決定いたしまして設計を完了いたしますと、それに伴いまして用地の買収をしていくわけでございますが、今後用地を買収しなければならない数が六〇%、逆に申しますと四〇%の間につきまして、すなわち約二百キロ区間につきましては工事がいつでも着手できるという状況に立ち至ったわけでございます。この中には一部戦争前に買収いたしまして、もとの地主の方にお貸ししておりました区間につきまして、お話し合いをいたしまして、こちらにお返しをいただきました部分とか、あるいは河川で直接買収しなくてもいい区間とか、トンネルの上だとか、そういうようなものも含んでおりますが、工事にいつでもかかれる区間が四〇%、今後買収しなければならぬ区間が六〇%というような状態に相なりまして先ほど国鉄部長から御説明がございましたように、用地の取得につきましては非常に困難な点もあり、また皆様方の非常な御援助をいただいておりますおかげをもちまして、まずまず順調に進んでおるというようなことが言えるのではないかと思います。で、二百キロ用地を取得いたしました区間で、ただいま今まで設計が確定いたしまして工事に着手しております区間が約百キロであります。こまかく言いますと、百四、五キロというような、百キロ余りただいま工事に直接着手いたしております。これがただいま今日までの現状でございます。  しからば、本年度中にどの程度の目算を持っておるかという点につきましては、用地につきましては、ただいま四〇%確保いたしましたけれども、これはこの工事を完成いたします上に非常に大きな問題でございますので、われわれといたしましては、全力を傾けまして、本年度中にできれば八〇%まで用地の確保をしたいということで努力をしておるのであります。八〇%と申しますのは、ただいま御説明申し上げましたように、中心くいを打ちましたのが四百キロ、約八〇%でございますので、ただいままでに測量が完成して線路の位置がきまりました区間につきましては、できれば本年度中に用地の話をつけたいということで努力をしております。それから工事の方はただいま百キロ余り着手しておりますが、これも本年度末までにもう五十キロ工事を着手いたしまして合計百五十キロ工事を着手するということをもちまして本年度を終わりたいということで進んでおりますが、私が申しましてはどうかと存じますが、ただいままでの私たちの見込みといたしましては、用地八〇%、工事着手百五十キロという目標につきましては、達成できるのではないかというふうな気持を持っております。ただ、先ほど申し上げましたように、予算の方は総額の二二%をちょうだいいたしております関係で、いろいろと金の方の問題で仕事の方がむずかしい問題が出てくるかと存じますけれども、まあ実は私たちは、当初におきましては、本年度二百七億のうち約七十億を用地に使いまして、工事その他に残余の金を使うという計画でございましたけれども、最近の状況から見ますと、できるだけちょうだいいたしました予算を用地の方に傾けまして、工事その他につきましてはあるいは国庫債務関係の金を、予算を利用するというような、いろいろな処置を講じまして、できるだけ工事費の方に多額に費しまして、先ほども申し上げました目標に到達するということにつきまして邁進、努力しておるわけであります。  それから、これは余談でございますが、多少皆さん方に御参考になるかと存じますが、一番この東海道新幹線につきまして工事の難点でございました丹那トンネルは、いち早く着手をしたのでございますが、ただいままでの状況は、非常に仕事が、工事が順調に進んでおりまして、まあただいまの、現東海道線丹那トンネルにおきましていろいろな問題があり、完成までに十数年もかかりましたトンネルでございますけれども、技術の進歩、その他いろいろな幸運に恵まれまして、ただいま総延長八キロありますうちの約六〇%進行しておりまして、残りが四〇%ということで、これも今後不測の事故が起きますれば別でございますが、私たちとしては万全の注意を払いまして、さようなことのないように努力をいたしまして、非常にうまくいけば来年度中にはこれが完成するのではないかというような明るい見通しを持っております。しかしながら、御承知のように、非常におそろしい山でございますので、もし万一事故でもございまして人命に差しさわるというようなことがあれば大へんなことでございますので、いたずらに工事を進めるというような暴挙は十分慎みまして、現在の技術におきまする最高の注意と能力とを傾倒いたしまして施工しておる次第でございます。幸いただいままでに大した事故もなく、無事故と言っていいような状態で進行しておりますことを御報告いたしまして、まことに簡単でございますが御報告を終わりたいと思います。
  16. 江藤智

    理事江藤智君) 国鉄経営に関する問題点、特に新五カ年計画並びに新幹線につきましての御説明を聞いたんでありますが、これに対する質疑は次回にいたしたいと思いますから、御了承願います。
  17. 江藤智

    理事江藤智君) 次に、昭和三十五年度補正予算、特に港湾関係の補正予算につきまして御説明を承りたいと思います。
  18. 布施敞一郎

    説明員布施敞一郎君) 運輸省港湾局の防災課長の布施でございます。港湾関係公共事業の本年度補正予算について御説明申し上げます。  御承知のように、一昨日大蔵省から内示があったのでございますが、それに対しまして折り返し昨日復活要求をいたしました。その内容を表にいたしましたものがお手元にお配りしました二枚とじのガリ版刷りの一枚目の表でございます。ごらんのように、チリ津波に関しまして要求と内示の補助率の差額に相当する分だけを復活要求いたしました。すなわち約九百万円でございます。以下簡単に逐次内容を御説明申し上げていきたいと思います。  まず、伊勢湾高潮対策事業でございますが、同じくお手元にお配りした青いレプリントの一枚をごらん願いたいと思います。この表にございますように、全体計画といたしまして約二百四十八億、これは御承知のように本年の二月に大蔵省係官立ち会いの上で当省で現在査定をいたしました結果一応きまっております数字でございます。そのうち三十四年度実施分といたしまして事業費で約八億、これは災害個所の緊急分を施行いたしたわけでございます。本年度の当初予算といたしましては約二十八億六千万、九月の予備費がつきまして、それに六千五百万が加わりまして、本年度二十九億ということになっております。今回復活要求いたしました額は、そこに書いてございますように事業費で約十一億でございます。で、この根拠と申しますのは、何分本年度年度半ばを過ぎておりますことでもありますし、工事施行能力の方から押さえられましてこの程度に要求せざるを得なかったわけでございます。その結果の内示はむしろ増査定となっておりますが、これは計数整理の結果とお考え願ってけっこうだと思います。  この高潮対策事業の内容といたしまして、特に重点となっております名古屋地区におきましては、御承知の名古屋市に大きな人命の被害を及ぼしました八号地貯木場の周辺は、このたびの補正予算がつきますことによりまして完全に囲えるような状態になります。そのほか特に緊急を要する重要地区につきまして相当な進捗率を示すことになります。なお、直轄事業といたしましての高潮防波堤でございますが、これはここに表にも書いてございますように、名古屋につきましては総額八十五億五千万でございまして、本年度当初予算といたしまして五億円暫定的についていたわけでございます。暫定的と申しますのは、いろいろ防波堤による影響もありますので、その影響の結果がはっきりいたしまして、各方面の御了解を得次第に本ぎまりにする、こういった条件付であったわけでございます。で、その一つといたしまして、あの防波堤による三重県側への影響が非常に憂慮されまして、三重県当局から強い要望がございました。それに対しまして、運輸省といたしましては気象庁あるいは運輸技術研究所、こういったところでいろいろ技術的に検討を慎重に重ねて参りました結果、防波堤の外に対する影響はほとんどない。それは反射波あるいは潮の高まり、あるいは潮流、こういったいろいろな問題でございますが、そういった要素につきましては心配はほとんどない。従って防波堤の外部の地区における高潮の堤防の高さをさらに上げるような必要はない。こういう結論を下したわけでございます。この件につきまして三重県当局とも数次にわたって折衝を重ねて参りました結果非常に着工の時期が延び延びになったわけでございますが、ようやく話がまとまりまして、去る十月の二十五日に第三回の伊勢湾等高潮対策協議会を開催いたしまして、その席上で最後的な決定を見たわけでございます。ただいまさっそく鋭意着工いたしております。補正予算を加えますと、名古屋の防波堤予算は九億ということになりまして、本年度調査、準備港、そういったことをできるだけ進めたいと思っております。  次にチリ地震津波のことでございますが、この青いリプリントのもう一枚の紙をごらん願いたいと思います。ちょっとミスプリントがございますので恐縮でございますが、御訂正をお願いいたします。宮城県の塩谷と書いてございますが、これは塩釜でございます。和歌山県の跡の浦、これは消していただきます。これは文里港の中の一つの地区名でございますから消していただきます。それから高知の順崎となっておりますのは須崎の間違いでございます。  この表でごらんのように、関係都道府県は一道六県にわたっておりまして、対象港湾は十二港、個所数にして二十方でございます。総事業費は、対策事業約十六億六千万円、これに関連いたしまする災害費が約三億六千万、合わせまして二十億二千万でございます。この完成年度といたしましては、運輸省といたしましては、伊勢湾高潮対策事業と大体において歩調をそろえたい、言いかえますれば足かけ五年まる四年、こういった考え方でおります。  このたびの補正予算の要求につきましても、伊勢湾と同様に、工事能力の点から限られまして、この程度の額しか要求できなかったわけでございますが、その事業量につきましては、こちらの要求通りの内示があったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、補助率を三分の二で要求いたしましたところ、これを一般海岸法の補助率によるところの二分の一で内示して参ったわけでございまして、この差額分だけを復活要求いたしたわけでございます。この補助率につきましては、実は一昨日もチリ地震津波対策審議会が第二回目でございますが、開催いたしまして、その席で関係知事さんも御出席になられて、高額補助につきまして非常に強い御要望があったわけでございます。伊勢湾並みにすべきである、言いかえれば八割以上にすべきだ、こういうまあ御要望があったわけでございますが、われわれ事務当局といたしましては、これは伊勢湾と同じに考えれば、伊勢湾の場合はもとになる災害復旧事業の補助率が最低八割であった。その八割を対策事業の方が上回るというのはおかしいという考え方から申しますと、チリ津波の場合にも災害の特例法は設けられなかった結果、普通の三分の二でございますから、それを対策費がこえるのはおかしいという理由でもって三分の二と要求いたしたわけでございます。  終わりに一般災害事業についての復活要求でございますが、二枚とじのガリ版刷りの次のページをごらん願いたいと思います。本年度災害査定をいたしまして、それに対しまして三〇%を三・五・二の比率で要求した額が左から二行目の五億三百万でございます。そのうち過般、一回、二回に分かれて支出されました予備費が一億五千万、これを差し引きました残額が一番右の三億五千万でございます。これをそのまま要求したわけでございますが、大蔵省の査定によりますると二五%といたして参ったわけでございまして、その結果こういった開きが出たわけでございますが、これは普通の災害では三・五・二という比率は御承知のように緊急分でありまして、一般分は率が低いわけでございます。それを平均いたしますると、初年度二五%ということになるわけでございます。私ども最初に三割を要求いたしましたのはチリ地震津波、十六号台風等もございますので、特に全部が緊急分だということで要求をいたしたわけでございますが、大蔵省は平常通りの率二五%で査定して参ったわけでございまして、これに対しては復活要求はいたしませんでした。  以上簡単でございますが、説明を終わらしていただきます。
  19. 江藤智

    理事江藤智君) それでは質問はこれも次回に譲りたいと思います。速記をちょっととめて下さい。    〔速記中止〕
  20. 江藤智

    理事江藤智君) 速記をつけて下さい。  次回は、明日午前十時から開会いたします。  それでは、これで散会いたします。    午前十一時四十九分散会