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説明員(
関四郎君) 私
国鉄の
常務理事の関でございます。
お手元に「新5箇年
計画の概要」についてという資料を差し上げてございます。大体これについて御
説明申し上げたいと思います。
ただいま
運輸省の
国鉄部長から概略のお話がございましたのですが、この第一ページをお開きいただきまして「
計画の
骨子」というところでございますが、
前回の第一次の五カ年
計画は、ただいま
国鉄部長からもお話し申し上げましたように、大体戦後の、
施設とか
車両の老朽したものが非常に多くてこれが
輸送の安全を脅かすというところから、
老朽施設の取りかえということを
一つの柱にいたしまして、それからもう
一つは
輸送力の
増強、それから
輸送の
近代化という、この三つを柱にしまして六千億で
計画を立てたわけであります。これが立てました当時の
状態から見まして、
経済の
成長が非常に大きくございまして、
旅客貨物ともに
計画を上回る、ことに
旅客のごときは、もうすでに四年目に入る途中で
計画の五年目の
計画を上回るというような
状態になりましたために、これをもう一度再検討して新しい五カ年
計画に移っていくべきではないかということでやりだしたわけであります。たまたま
政府におかれましても
所得倍増計画というようなものが話題に出ておりまして、これと、
計画を進めていく間に、ある程度
輸送というものもこれに
関連を持たしていくべきではないかという
議論がありまして、この新五カ年
計画というのは、この
所得倍増計画の線をある程度盛り込んで考えたわけであります。それで非常に
輸送量が
産業経済の
成長に伴ってふえておりますために、むしろ
国鉄の
輸送力が不足しておるということのために
経済伸張を妨げておるという点が
かなり強く
予想されるようになりましたために、今度の新しい五カ年
計画につきましては、この
輸送力増強ということを最
重点に置きまして、これによって
日本の
産業経済の
伸張の
基盤を作り、また一方には
国民生活がだんだん安定、
向上して参りますに伴いまして、旅行、こういうようなことが非常に
需要がふえまして現在のように週末とか年末年始のようなときに、非常に長い間駅で旅行する方がお待ちになる、また極端な場合には乗り残しができるというような非常に悪い
状態を、
輸送力をつけることによって解消したいというようなことから、
貨物輸送におきましても、
旅客輸送におきましても、何といいましても、
輸送力を画期的につけるということがどうしても必要であるということで、新しい五カ年
計画におきましては、
輸送力増強ということを大きな柱にいたしたという点が
前回と異なるところである、こう考えております。この
輸送力増強の最も大きなものが
東海道新幹線でありまして、
国鉄の全
輸送量の約四分の一を運んでおります
東海道というものの
輸送を円滑にするということが、
輸送力増強の中でも一番大事なことであるということで、この
東海道新幹線というものを大きく取り上げたわけでございます。
それでこの五カ年
計画の全体の
規模といたしましては、五カ年で
総額九千七百五十億ということでございまして、
年平均約二千億の額に達するわけでございますが、これは、こういう積み上げをいたしましたところが、偶然にと言ってはあれですが、例の
経済企画庁において作られました
経済審議会で
所得倍増計画をやられたときの小
委員会での結論も、大体これは積算の仕方に多少問題があるかもしれませんが、
原単位、
自動車も
鉄道も、
原単位制で計算したわけでございますが、これによって四十五
年度の
輸送量というものに対する
原単位をかけまして、大体
投資規模は十年間で二兆一千億というような
数字をお出しになっていられるわけでございますが、これのちょうど十分の一、約二千億、それに少し足りないわけでございますが、そういうような
数字になっておりまして、
規模としても、大体まともに見た
規模と、それから私どもこまかく積み上げたこの
計画の
規模が大体一致しているというような
状態になっております。
それでは、次の二ページの方に参りまして、第二番の「
客貨輸送需要の想定」というところでございますが、ここの表にございますように過去二十八年から三十四年までの六カ年間の
輸送の
伸びと、それから三十四年をベースにしまして、四十
年度までの六カ年間の
伸びとをそこに対照して書いてございますが、この過去六カ年間の
伸びをAといたしまして、今後六カ年間の将来の
伸びの
予想をBといたしましてこの比率をとりますと、そこの一番右端の
A分のBというところにパーセントで書いてございますように、
定期旅客では四%増、それから
定期外の
旅客では二四%増、
合計旅客では、これは億人
キロ、
人キロ単位で出しておりますが、これは御
承知と思いますが、
旅客、一人の
お客さんが一
キロ旅行されますと一人
キロ、一人の
お客さんが古
キロ旅行されますと百人
キロ、
人キロ単位で表わした場合の
伸びの過去の六カ年と今後の六カ年の比較が、大体
合計で一五%ぐらいふえ方がよけいになるだろうということでございます。次に
貨物の方は、その一番下に書いてございますように、過去六カ年で八十七億トン
キロ、これだけ
伸びましたが、これが百三億トン
キロまで
伸びまして、
伸びの量が一八%も
伸びたというようなことでございますが、それで今後の六カ年の
伸び率というものは、大体
旅客で一三一とそこにカッコして書いてございますが、三一%の
伸び、
貨物で二一%の
伸び、こういうような
予想のもとに
計画したわけでございます。これは全体の
産業経済の
伸びから申しますと、少し少な目だということになるわけでございますが、実をいいますと、今後
鉄道のほかに、道路が非常に
発達いたしまして
自動車の方の
輸送というものが
かなり伸びますために、何といいますか、シェアーといいますか、
輸送量の
配分が、
鉄道の方が、絶対量はふえますけれども、
配分の割合が減ってくるということから、全体の
国内輸送量の
伸びよりも少し下回った
予想を手固く立てたわけでございます。それで、この
輸送量の
旅客と
貨物の総
合計をいたしましたもので、全体でどうなるかということを大づかみにつかみます場合に、多少問題があるのでございますが、
人トンキロというふうに、
貨物と
旅客一緒にしまして、
人トンキロでいいますと、ここの表にございませんが、大体一二八%、大体二八%ぐらいの
伸びを
予想しているわけでございます。申しおくれましたが、大体この
所得倍増計画に即応していると申し上げたわけでございますが、しかし、この
所得倍増の
伸び率は、
経済審議庁で前に
計画いたしておりました七・二%という
伸び率に即応するように
計画いたしておるわけでございます。
それで、ここに書いてあるところを読みますと、「(1)上表にみられるように、
国鉄の
輸送量は、国の
経済成長に伴って着実な
伸びを示して来たが、
輸送需要は更に上廻り、十分これに応えることは出来なかった。今後
自動車、航空機、
船舶等の
交通機関の
発達による
輸送分野の変動を考慮しても、
国鉄に対する
輸送需要は益々増加するものと推定されている。」、こういうように考えているわけでございます。
第二番目といたしまして、「このような
輸送需要の
伸びにもかかわらず、
主要幹線は
能力一杯に利用され、
列車増発の余裕に乏しく、且
車両も少いため、十分な
輸送力をつけることが出来なかった。
特急券や
寝台券を当日入手することがきわめて困難であることや、また、滞貸が慢性化して申込んだ
貨物が即日発送されない
状態にあることなどは、
輸送力の不足を端的に物語っているものである。」、こういうような
状態でございましてこれが実は慢性化いたしましたために、
鉄道輸送というものはこういうものだというふうに一般に思われつつある。これは大へんに申しわけのないことでありましてこれは何とか解消しなければならない、こういうふうに考えたわけでございます。「また、これは電力、
ガス事業などの戦争直後の
状況からの立直りに較べて
国鉄の
サービス改善が、なお遅れていることを示すものといえよう。」、(3)といたしまして、「まして、今後
予想される
国民経済の目覚しい
成長を考慮すれば、
輸送力増強のための
抜本的対策を講ずることが必要であり、もしこれを行わないとすれば、
国鉄は、単に
国民経済成長の
基盤としてその
使命を果しえないのみか、さらにその障害とさえなることが
予想される。(4)また、
生活水準の
向上に伴って、
国民の
交通機関に対する
期待も次第に高度化してきているので、
国鉄は、単に
輸送の量に対する要望にこたえるのみでなく、進んで、その質に対する
期待にも応えなければならなくなっている。(5)以上が新5箇年
計画樹立を必要とする
根本的要因である。」、こういうことでございます。
それで、次の三番の、「
改善に対する基本的な考え方」というところについて申し上げます。
「(1)
幹線の
増強 国鉄の
幹線は、その大半が
建設当時のままの
単線で、逐年増加する
輸送需要に対しては、
車両を増備して対処し、
線路、設備については、その都度
弥縫的手段によって当面を糊塗してきたが、現在では
線路容量をほとんど利用しつくし、もはや多くの
列車増発を望めない
状態にある。そこで、現在及将来の
輸送力不足に対する
抜本的対策として、
東海道本線を始めとする
主要幹線の
線路を早急に
増強し、併せて
車両並びにその他の
輸送施設を拡充整備する。」これは
日本の
複線化というものが
世界的に見まして非常におくれておりまして、大体従来
鉄道というものは
複線であるのが本来の姿でございまして、
単線というのはかた
わな鉄道である、こう申しちゃ大へん極端な言い方で申しわけないが、まあ大体そういうふうに考えられるわけであります。
たとえば、
東京付近の
私鉄をごらんいただきましても、
単線の
私鉄なんというものは、よほどボロな
私鉄以外には、ほとんど
複線でありまして、これは
鉄道というものは
複線が
建前であって、
単線というものはかた
わな状態だということでございますが、これが従来ほんの一部、
東海道、
山陽線とか、それから常磐・東北の一部だけが
複線で、ほとんど大部分が
主幹線でありながら
単線のまま放置されたということは、私ども非常に怠慢のそしりを免れないわけでありますが、これを一生懸命で
単線にいかにしてたくさんの
列車を走らせるかということで、できるだけ
投資を少なくして能率を上げるという
方向に非常な努力をして参ったわけでありまして、そのために
世界で最大の
輸送効率を示す
——狭軌でいながら一番多く、
世界一の
輸送能力を示しているというような
鉄道が
日本の
国鉄でございますが、これがここにございます「
線路容量」というのはちょっとわかりにくいかと思いますが、
単線の場合にはいろいろな工夫をいたしましても、
列車が大体
日本で八十本くらいが
限度になっているわけでございます。これは……