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坂本昭君 これはしかし非常に重大なことになってきます。実はここにあがっている中で、また後ほど指摘いたしますから、またそこでもう一ぺんやりますが、あなた方の誤認があるかもしれない。間違った判断があるかもしれない。むしろ私はそういう非常なおそれというか、不安を抱かざるを得ない。だから特にこれが
捜査上支障があるならば、それは私も何も言いませんが、何も支障のない範囲内においては、私は当然これは
説明していただくべきだと思う。このN君、O君よりももっと大事な人があとで出てきますから……。その前に、先ほど河井課長からいろいろの
説明がありましたが、ちょうど私の図面をお使いになっての
説明がありましたので、この際、
一つ委員長のお許しをいただきまして、今、課長も
説明されましたが、私の写真による御
説明を
委員の各位どうぞお聞きになっていただきたいと思います。
簡単に申していきますが、まずこれは、後ほ
ども地検の書類の中で触れてくることですが、第一番目は、南門の入口の所で非常に放水が行なわれているところであります。この
通りまっ正面からどんどん水をひっかけています。従って、放水のために門に入る前にびしょぬれになっているわけです。これは
皆さんの方では樺さんがびしょぬれになって泥んこになっておったと、それでびしょぬれになっておった所は
国会のこの辺の地域だと、
警官と
接触しない地域だという
一つの
根拠にあげておられる。それから泥んこということは、この南門から入ったすぐ横のここだけが泥があるのです。だからこの辺に倒れたんだという
根拠にしておられる。ところが、実際はこれだけ水を浴びればびしょびしょになっているということですね。所はどこと限らないわけです。みなびしょぬれになっている。
それからここにかつがれていっている
女子学生、この人のスラックスを見るというと、泥んこですよ。それじゃこの人が今のこの植え込みの所に倒れておった人か、そうじゃありません。そういういろいろな点で反証ができてくるということです。
次に申しますと、これは南門へ上がっているたくさんの人ですが、大体
樺美智子さんの位置は指摘されます。これはまるじるしをつけています。この点については
皆さんも私
どもも大体同じ見解であります。大体南門に入る十数列——あるいは写真の計算でありますと十三列という計算が出てきますが、十三列とぴたりと言うのはどうかと思いますが、十数列というのは
皆さんと同じ見解です。そこで、今度は中に入って行きますと、実はこの図になりますが、南門の所へ、大体十
数列目の所に
樺美智子さんがいる。今ここに一、二、三、四、五、六、七、八と
名前のわかった人
たちがおります。これはずっと入って行きますと、この辺に初めトラックがあるのです。トラックに当たりまして、それでこっちからもだいぶ入って行くわけです。最初五百人くらい入ったといいます。それで、トラックを押しながら入って行って、東大の先頭部分の経済学部と文学部は右の方に行ってしまうのです。右の方では小さいトラックが
三つか四つぐらい並べてあって、行き詰まりなんです。ここで入れなくなって、うしろの後続部隊、ちょうどこの辺に
女子学生を置いてあった。うしろの方に置いてあった。その
女子学生が先頭になって左に折れるわけです。そこでその写真がちょうどこれなんです。この写真を見ますというと、トラックの右側の所に入って来ています。これをすぐそばで写真班がとっているのがこれです。これは東大の経済学部、文学部の連中がおっかなびっくり入りかかっている。しかし、たくさん自動車があるものだから、たくさん入れなくて詰まってしまって、
つまり後続部隊の方が左に折れる。これは左に折れたところです。これは旧議面のところに入って来ています。これは赤じるししてありますが、このときの樺さんの位置は十数列の——もっと東大からいうと数列前、相当先頭に出ているということが言えるわけです。さらにそのときに、
警官隊はうしろに引きますから、ずっと出て来ます。その出て来たときの数は、私はやっぱり六百名くらいが旧議面の北側に出て来ていると思います。
皆さん方五百名くらいと言っていますが、それくらい出て来ている。そのときに、この写真を見るとわかるように、
学生の先頭は旧議面の玄関前をはるかに越えています。相当こっちへ来ている。この写真を見てわかるのは、これは方面警察隊の連中が、かかれというのでかかってきている、四機動隊の方がおくれてかかってきているようであります。
さらにこの写真がちょうど激突したところであります。この写真を見ますと、広がってきた。議面の所は倒れているようです。
次の写真はトラックの上からとっている。逃げる
学生の混乱です。これを見ますというと、人なだれとはどうも言いにくいと思う。将棋倒しとも言えないと思います。あとでまたこれをはずしてお手近に見ていただきたいのですが、これで圧死ということはちょっと考えられないのです。それぞれある
程度の
行動半経は持っているのです。こういうものを見てみますというと、どうも人なだれの圧死の写真というものはないのですね。
それからさらに、これが——この
女子学生は一番先頭に出ておって、それで男の
学生あたりがこの辺で、たたかれてつかまっていますが、一生懸命逃げています。逃げていますが、
最後にこの子も逮捕されます。この子の隣におった子はこの子ですが、この子もさっと私服
警官にひったくられて、見るもむざんな逮捕の仕方であります。彼女は全然抵抗していません。抵抗していないのですがずるずると引きずられていって、たとえば前の
社会党の鈴木
委員長あたりが見たのは、
女子の
学生の髪の毛を引っぱっていったというのですが、それで、やめろということでやめたそうですが、彼女のスラックスは穴が
三つも四つもあいております。うしろでは逮捕する、前の方は
警官がずっと押し寄せて排除するわけです。排除していったときに——この辺は第二、第四の機動隊の鉄かぶとが見えて、ここに
女子が一人見えます。この彼女がさらにこの子です、ここですぐ逮捕されています。おそらく
皆さんが言われるのは、このあとに人なだれが起こったと言われると思うのです。これは、ここにいる男の
学生が手をこうやっているのは、
学生が倒れる、倒れると、だから押したらいかぬと叫んでいるらしいのです。だがむしろこのときは倒れ方はこういうふうな倒れ方ですね。あなた方の写真を見るというと、こういうふうな倒れ方をしていますけれ
ども、やはりこっちからこう排除してくるのですから、こういうふうにあおむけになって、バナナを折ったような格好で倒れていくのが自然じゃないかと思うのですね。このときあたりは、この辺にカメラ・マンがたくさんおりますから、カメラ・マンが見ておりますし、このトラックの上には
学生が見ておりますから、この辺の人は全部、死んだら死んだとわかっておるのです。ところが
一つもわかっていないのです。
そういう点で、私は非常な問題を感ずるのであって、特に先ほど樺さんの位置について御
説明がありましたが、この一、二、三、四、五、六、七、八とたどっていきますと、一というのは大体この辺、二はここ、三はここ、四、五、六は一番先頭、
つまり樺さんのうしろにおった子
たちが一番先頭でやられている、七、八と、こういうふうにみんな前面に出ているということです。特に樺さんの位置について、大体旧議面のこの辺だという御指摘でしたが、大体この四という人がこの旧議面の玄関のそばまで行って、苦しいものだからこの上へ上がりたいなと思ってひょっとうしろを見たときに、
樺美智子さんが歯を食いしばって目をむいてがんばっておったと、
つまりここが
樺美智子さんのわれわれが知っている
最後の場所です。この辺まで来ている。このときに
警官隊の攻撃はさっときているわけです。あまり距離がありません。そういう点で
皆さん方の御
説明と若干いろいろと認識の違った点が出てくることをはなはだ遺憾とするのですが、まあこの点については、またゆっくり討論するとして、もっと大事な点がありますので先を急ぎますが、それは、
皆さんのお
手元にある
資料の五ページの終わりから三行目に
学生P君と、二行目に
学生Q君とありますが、このP君とQ君が一番のきめ手だと思います。
つまりP君というのは彼女を倒れた
現場から運び出して、そうしてQ君がそれを途中でかついで、そして
救急車へ連れていくわけでありますから、このP君が明らかにならなければ、これは私は
皆さんの
説明に断じて納得できません。ですからもう一ぺん私はここでP君とはだれか、Q君とはだれか、明かにしていただきたい。