○
吉江勝保君 私ども
吉江委員長、
矢嶋委員並びに
山本委員の三名は、去る九月十日より十八日までの九日間にわたり、愛媛、高知、香川及び徳島の四国四県に出張いたしまして、各県庁を初め、
松山郵政局、
松山郵政監察局、
高知営林局、
水産庁南海区
水産研究所、
高知海上保安部、
行政管理庁四国管区行政監察局、
陸上自衛隊善通寺駐屯地、及び
海上自衛隊徳島航空隊を視察して参りましたので、以下、
調査のおもなるものについて、その概要を簡単に御報告申し上げます。
まず最初に、愛媛、高知、香川、徳島の各県庁における
調査につきまして、便宜一括して申し上げます。各県庁におきましては主として
当該県下に所在する国の
地方出先機関に関する問題、
県庁職員の給与及び
定員の問題、災害時における
自衛隊の
活動状況等につきまして、その実情を聴取いたしました。まず第一の、国の
地方出先機関に関する問題につきましては、
道路運送法、
健康保険法、
職業安定法、
失業保険法、
国民年金法等の施行に関する事務に従事する
職員は、その身分が
地方自治法附則第八条の規定によって
国家公務員となっておるために、形式的には知事の
指揮監督下にあることになっおるにもかかわらず実質的には知事がその
人事権を掌握できないために、
当該行政の適正な運営が困難であり、また金銭や物品の
出納等も、一部を除けば、直接本省からの指示により、
知事部局とは独立して行なわれる場合もあるのでありまして、知事の
指揮監督は著しく阻害されておる実情であるから、早急に
関係法令を改正整備せられたいとのことでありました。この問題は、当
内閣委員会におきましても、従来しばしば取り上げられておりまして、特に
陸運事務所のあり方につきましては、ここ数年来の
懸案事項でもありますので、早急に何らかの方策を講ずべき時期に到達しておるものと存じます。
第二の各
県庁職員の給与と、今回の
人事院勧告に伴うベース・アップの問題につきましては、各県とも
財政事情が非常に逼迫しておるので、国が何らかの形で
財政措置を講じない限り、
県庁職員の
給与改定は実施できない実情にあり、また県の
現行給料表は、たとえば
行政職でいえば、その
一等級が国の
行政職俸給表一の三等級に相当するランクで押えられ、以下順次これにならって六
等級制を採用しておること等のため、今回の
人事院勧告の
俸給表をそのまま県の
給料表に取り入れて改訂しようとする場合、各
等級ごとに
昇給間差額が違うので、
給料月額の定め方に相当の困難をきたし、かつ、各
都道府県ともまちまちな
給料表となるおそれもあるので、全国的に統一した基準による
給料表の準則を指示されたいとのことでありました。
第三の各
県庁職員の
定員問題につきましては、各県とも過去の
行政整理以来、
定員増を抑制してきておるので、
定員外職員が相当数おりまして、年々国の措置に準じて
定数繰り入れを行なってきてはおりますが、なお
定員外職員の率は、高知県が七%、愛媛、香川、徳島の三県は約一〇%内外を示しておりました。また、
定員外職員の処遇につきましては、その職務の性質上、常勤的なものに対しては準
職員の制度をとっており、
定員内職員とほとんど同様の処遇を与えておるとのことであり、愛媛、香川両県では、
通勤手当を支給しないことで差別しておるとのことでありました。各県とも、この
定員不足の問題では非常に苦慮しておるようでありまして、教
職員の関係を見ましても、教諭を初め、助手、
養護教諭及び
事務職員の不足が目立っておりました。また、
高等学校について見ましても、財政的な面からの制約にもよりましょうが、各県とも、
乙号基準の九四%程度にとどまっておる実情でありました。
第四の災害時における
自衛隊の
活動状況につきましては、四国各県とも、それぞれ
陸上自衛隊の
善通寺駐屯部隊、
小野駐屯部隊及び
海上自衛隊の
徳島航空隊から派遣を受けることになっておりましたが、各県とも、平素から
関係自衛隊とは緊密な連絡のもとに
防災体制の整備をはかっておるとのことでありました。なお、
災害派遣とは別に、一般の
公共事業の面でも、
自衛隊の協力によって
土木工事等を委託し、民間では困難かと思われるような難工事も、非常に迅速に、しかも格安な
工事費で成果をあげておるものが多く、広く
関係者からも感謝されておるとのことでありました。従いまして、今後
自衛隊におきましては、
施設関係部隊の整備をはかり、災害時はもちろん、
一般公共事業の面でも、
自衛隊が全国的にもっと協力できるような体制を確立すべきではなかろうかと存じました。
次に、
松山郵政局と
松山郵政監察局における
調査について申し上げます。まず、
松山郵政局におきましては、主として組織、人員、
業務運営の現状及び
施設等の実情を聴取いたしました。同
郵政局は四国四県をその
管轄区域とし、
郵便関係、為替、
貯金関係及び
保険年金関係等にわたる
業務を所掌いたしておりますが、特に次のような要望を含めた説明がありました。すなわち、最近時代の趨勢に伴い、
同局管内における
業務量の増加はまことに顕著なものがありまして、年々
取り扱い物数の
増加率に比して
定員の
増加率は相当低く、ために、今までは管内における郵便物遅配問題もほとんど生ずることなくやってきたが、現在においては総体的に
服務過重を来たしておる実情で、特に最近は
非常勤職員の雇用及び
本務者の
超過勤務等により
定員の不足を補い、
業務運行を確保しておるとのことでありました。従いまして、将来にわたり
業務を円滑に処理し、サービスを維持するためには、
業務量に見合う
定員増と
施設の
整備拡充、すなわち、無
集配特定局の増置、
集配施設機動化の促進及び
郵便局舎の
改善等の措置が必要であるとのことでありました。なお、現業各
機関における
郵便物増高に伴う局舎の
整備拡充、
窓口機関の増置、
労働条件の改善、諸
施設の
改善等各種の問題を
予算面の制約から解決するためにも、最近特に激増している第三種以下の
大型郵便物の料金について適正な値上げを考慮してほしいとのことでありました。
次に、
松山郵政・
監察局におきましては、組織、人員、
業務運営の現状、特に昭和三十四年度の
監察実績と本年度の
監察計画、事業上の
事故防止と
業務能率向上の
改善策等についても説明を聴取いたしました。同
郵政監察局は、四国四県下における
郵政官署に関する
郵政犯罪や事故を捜査または
調査し、これを処理するとともに、
郵政業務の考査や
調査を行なっておりますが、これらの
業務考査を通じて、
現業局、
郵政局に対して必要な
指示勧告を行なって、
監察結果を
運営面に反映するとともに、犯罪の
早期発見にも効果をあげており、また
事故犯罪の捜査、
業務調査、
事故犯罪に伴う
業務上の跡始末まで行なっておるとのことでありました。
以上のような実情に徴して、将来
郵政業務の事故を防止し、
業務能率の向上をはかるためには、
現業局の
老朽化した狭隘な局舎を初め、能率の悪い
集配運送施設等の
改善強化をはかり、さらに
事業推進上必要な
要員配置と、これに対する適正な処遇が必要であり、これに関連して、
現行郵便料金体系にも適正な改正を実施する等、
財源確保対策を講ずる必要があるとの所見が述べられました。なお、現在の
番地制度に関する問題でありますが、現行の
番地制度は、複雑かつ不合理なものがかなり多く、
郵便業務上非常に支障を来たしておるので、早急にこれを合理的なものに整理統合せられたい旨の要望がありました。
次に、
高知営林局における
調査について申し上げます。同
営林局におきましては、組織、人員及び
業務運営の
現状等につきまして説明を聴取し、特に近年における
管内治山事業及び台風の影響、
国有林台帳の整備並びに
町村合併促進法、新
市町村建設法による売り払いについての
事後監査の
状況等についても説明を聴取いたしました。また最近の
営林局行政と、県及びその他の
機関との
交渉状況につきましてただしましたところ、県とは、特に土木、治山の面で交渉が多く、総じて今後の
営林局事業は、県、
市町村及び民間との広い交渉と協力がなくてはその成果をあげることは困難であるとのことでありました。最後に、同局の
定員外職員の処遇とその
定員化に関連して、
現業職員の
定員のワクをはずす方向での
定員法の改正についてただしましたところ、各
出先機関の
特殊性に応じて、相当の権限をあわせ与えるならばともかく、ただ法的なワクをはずすのみで、
予算面からの制約を依然として強く受けるのであっては、はなはだ中途半端なものになってしまうのではないかとの所見が述べられました。
次に、
水産庁南海区
水産研究所における
調査について申し上げます。同所におきましては、組織、人員、
施設、
業務運営の現状及び同所における
業務の
特殊性について説明を聴取いたしました。同所は
マグロの専門的かつ
総合的研究の面で特に著名でありまして、私どもは所内各
研究室の
研究状況を視察し、
マグロ資源の海洋における分布、
マグロ漁業の
状況等、
マグロ漁業に関する
研究成果の一端に触れることを得ましたが、特に
マグロ会談等、最近における
わが国遠海漁業の振興にあたって打開すべき諸問題を前にして、まことに貴重な成果であると存じました。
なお、
業務運営上の
要望事項として、第一に、同所の予算の総ワクについて、若干の増額を希望するとともに、特に
資料収集等に際して、各
県水産試験所等、
関係機関との
調査連絡に要する経費の
予算化を切望する旨、及び一般に
研究費の使用にあたっての予算の
移流用について、若干の
弾力性を付与してほしいとのことでありました。また
要望事項の第二は、
人的構成に関する問題でありまして、これは他の類似の
研究所にも共通のことかと存じますが、
研究所の
職員の構成が、
上級試験に合格して、高度の資格、技能を備えた
研究担当者の数に比較して、その下部にあって資料の
調査、
収集等に専門的に従事する
職員の数が少なく、またこの種の
職員を採用するにも困難な実情があり、これが
研究体制上大きな障害となっておるので、早急にこれが解決をはかるため、ぜひともこの種の
職員の身分の
確立等、諸般の
優遇措置を講じてほしいとのことでありました。なお、最後に各
水産研究所の
管轄区域に関する問題として、現在は各
水産研究所とも、地域を基準にしてその
管轄区域を定めておるが、研究の効率をより一そう高めるためには、場合によっては地域による
横割制ばかりでなく、
研究対象による
縦割制等、若干の調整を講ずることが望ましいのではないかとの所見が述べられました。
次に、
高知海上保安部における
調査について申し上げます。同
保安部におきましては、組織、人員、装備、
業務運営の現状と、その
特殊性並びに最近における
海上犯罪及び海難の
発生件数とその
処理状況等について説明を聴取し、なお、最近の災害時における
活動状況、すなわち、昨秋の
伊勢湾台風、今年五月の
チリ地震津波及び八月の第十六
号台風時における
活動状況についても説明を聴取いたしました。同
保安部の
管轄区域は、高知県とその
沿岸水域でありますが、この地方は直接外洋に面し、夏季の台風、冬季の季節風及び沖合を東方に流れる黒潮の影響が甚大である一面、沿岸海域が全国屈指の好漁場であること、陸上交通が不便であること等によりまして、漁業、海運業が産業上の重要な地位を占めております。従いまして、四季を通じて足摺岬、室戸岬の突端は風波が甚だ強く、また天候の急変も多く、特に夏季台風の襲来時においては、その進路に当たることが多いため、沿海における海難の発生及び被害は例年甚大となっており、なお、管内の沿岸漁業者は、いわゆる一本釣漁業の零細漁民が多く、しかも近年乱獲による漁族の減少、漁業人口の増加等のために漁業不安が濃く、さらに一部の資本力を持つ悪質業者の違反漁業等と相待って、漁業紛争が続発しておる実情にあるとのことでありました。従いまして、同
保安部におきましては、これら海難、違反漁業、漁業紛争等を未然に防止するため、県や水産当局とも密接な連絡を保ちながら、鋭意努力を重ねておるとのことでありました。最後に、同
保安部からの
要望事項として、(一)、巡視船艇の増強、(二)、航空基地の設置、(三)、船艇倉庫の設置、(四)、専用有線電話の開設、(五)、宿舎の増設等があげられましたが、特に現有巡視船艇は、量、質ともにきわめて劣勢で、速力、装備等についても、民間の最近の船舶には及ばないので、巡視船艇の増強については強く要望するとのことでありました。なお、災害時における活動に関連して、各海上
保安部に
ヘリコプターの配置、また
海上自衛隊との災害救助共同演習の必要性等についても所見が述べられました。
次に、行政管理庁の四国管区行政
監察局における
調査について申し上げます。同管区
監察局は、その所在地である香川県を初め、四国四県をその
管轄区域としており、その下一部機構として、徳島、愛媛、高知の各地方
監察局を掌握いたしております。私どもは同管区
監察局におきましては、主として、組織、人員、予算、
業務運営の現状、特に昭和三十四年度及び本年度に実施した
監察業務の概要とその結果について説明を聴取するとともに、本年度より法制化された
苦情あっせん業務ついても説明を聴取いたしました。
苦情あっせん業務は、実質的には昭和三十年より窓口を開いてきたものでありまして、各
監察局は毎年少ない
監察旅費の中からその費用を捻出して、地方の不便な地域への巡回苦情相談等を行って、相当に成果をあげてきたとのことでありました。
また、行政
監察局における今後の
監察計画につきましては、新長官の方針にも示されておるごとく、今まで中央から流されていた統一的な
監察計画に基づく
業務を主としてきたが、今後これを漸減し、反面、当該地方の特殊事情をも考慮した地方計画に基づく
監察業務を拡大して、国民生活と接触する末端行政運営の円滑化を期するための行政
監察に努めたいとのことでありました。行政
監察局は、毎年
監察計画に基づく膨大な
業務量を処理してきておりますが、これに見合う
定員は非常に少なく、また予算も僅少で、特に
監察旅費はまことに不十分でありまして、実費弁償にも事欠く実情にあり、さらに行政
監察局の特殊事情とも関連して、
職員の年令構成が、他の一般官庁に比較して十歳程度も高くなっており、このことは赴任旅費の制約とも相待って、人事交流や処遇の改善をも阻害しておるとのことでありました。行政管理庁は、これらの悪条件を克服して収集した
監察結果をもとにして、毎年関係各省庁に対し、膨大な勧告または所見表示を行なってきており、最近は相当の成果をあげてきておるようではありますが、中にはその成果の疑わしきものも間々あるやに聞き及びますので、今後行政管理庁長官は、閣議やその他あらゆる機会を通じて、せっかくの努力をより一そう効果あらしめるよう努めていただきたいと存じます。最後に、
自衛隊における
調査について申し上げます。私どもの見て参りました部隊は、香川県の
陸上自衛隊善通寺駐屯部隊と、徳島県の
海上自衛隊徳島航空隊であります。善通寺
駐屯地は、現在第十五
普通科連隊の第一、第二大隊、第百九
施設大隊、第百十教育大隊、善通寺
駐屯地業務隊、第三百四十八会計隊、第三百三十七基地通信隊、中部方面
調査隊善通寺派遣隊等の八個部隊、約二千名の隊員が駐屯してその
施設を使用いたしております。隊員は地元の四国出身者が九〇%を占め、その素質は一般に純朴で温順であり、各部隊とも、訓練の成果は日を追って向上しておるとのことでありましたが、現在四国には、中
演習場及び戦闘射撃場もなく、これら演習のためには本州で渡って実施しておるとのことでありました。また、部隊の敷地が非常に狭隘なため、部隊近傍には新隊員教育に必要な基礎訓練場もなく、隣接する財務局の用地や農事試験場の庭園を一時借用して訓練場に充てておるとのことでありましたので、これら
演習場や訓練場は早急に解決せねばならぬ問題であると存じました。
自衛隊の部外からの受託工事や
災害派遣による
活動状況については前にも述べましたが、これら工事用の装備や派遣用の装備器材は必ずしも十分ではなく、従って、将来この方面で
自衛隊の活動を期待するためには、装備器材の整備が必要であるとのことでありました。
なお、
自衛隊が出動する場合、高知県は距離も遠く、不便であるため、何かと支障を生ずるおそれがありますので、高知県にも地区
施設隊を設置してほしいとの要望がありました。
次に、
徳島航空隊について申し上げますと、同
航空隊は呉地方隊に属しておりまして、昭和三十二年より現在地に設置されたものでありますが、現在の陣容は、人員千三百五十一名、飛行機数は、全天候性の対潜機(S2F―1)が四十機、
ヘリコプター、連絡機が各一機、艦艇は高速救命艇、輸送艇が各一隻、その他各種の車両が五十八台となっておりました。同
航空隊の特色としては、日常における
教育訓練も、飛行作業がその中心となる関係上、飛行隊に対し支援の立場にある整備隊と基地隊の士気と規律のいかんが、隊風高揚に直接影響するところ大であることにかんがみ、指導の重点が飛行隊にだけ偏しないように留意し、いわゆる三位一体のチーム・ワーク発揮に重点を置いておるので、その実演においても見るべきものがあり、特に去る昭和三十四年九月十一日には、二万時間無事故飛行の記録を達成したとのことでありました。パイロットの養成につきましては、同
航空隊の開設以来、今日までに百十六名の教育を終了し、現在十二名が教育中であり、また現在同
航空隊に配属されておるパイロットは八十七名でありますが、当分はこの程度の人数で間に合うとのことでありました。
最後に、同
航空隊からの
要望事項として、飛行場前面の海岸にある防潮林伐採問題と、
滑走路の延長線上に点在する民家の移転問題は、航空保安の面からも危険性があるので、早急に解決せられたいとのことでありました。なお、同
航空隊の飛行場を民間機と共用することについて徳島県からの要望もありましたので、当局者の所見をただしましたところ、そのことは同
航空隊開設当初の前提条件でもあったので、拒むことはないが、その場合は、出入口を別に持った待合室を完備し、使用はなるべく土曜、日曜に限ってほしいとのことでありました。
以上で
調査の報告を終わりますが、なお、
視察先の各
機関から提出を受けました関係資料を当
委員会調査室の方に保管させてありますから、適時ごらん下さるようお願い申し上げます。
〔
理事村山道雄君退席、
委員長着席〕