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1960-10-10 第35回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年十月十日(月曜日)    午後一時二十七分開会   ―――――――――――――   委員異動 九月三日委員前田佳都男君辞任につ き、その補欠として西川甚五郎君を議 長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     吉江 勝保君    理事            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            小柳 牧衞君            下條 康麿君            一松 定吉君            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            辻  政信君            向井 長年君  国務大臣    国 務 大 臣 高橋進太郎君    国 務 大 臣 山崎  巖君  説明員    内閣官房長官  大平 正芳君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    人事院総裁   浅井  清君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主計局給    与課長     船後 正道君    文部省初等中等    教育局長    内藤譽三郎君    農林大臣官房秘    書課長     和田 正明君    農林省農地局総    務課長     吉岡  茂君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告国家公務員制度及び恩給に関する調  査  (公務員給与に関する件) ○国家行政組織に関する調査  (公務員定員に関する件)   ―――――――――――――
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。去る九月三日、前田佳都男君が辞任され、西川甚五郎君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、去る八月下旬並びに九月中旬実施されました委員派遣につきまして、各班から調査報告を求めたいと存じます。まず東北班の御報告をお願いいたします。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 当委員会の御決定によりまして、小柳委員鶴園委員並びに私の三名は、去る八月二十二日より二十七日までの六日間、青森県、秋田県及び山形県に出張いたしまして、各県庁を初め、陸海空各自衛隊の諸施設青森営林局秋田行政監察局八郎潟干拓事務所山形食糧事務所を視察して参りました。以下調査概要を簡単に御報告申し上げます。  最初に、青森秋田山形の各県庁について申し上げますと、各県庁におきまして調査いたしました諸点のうち、まず公務員給与、特に寒冷地手当及び薪炭手当について、その増額要望が強く述べられたのであります。現在寒冷地手当は、五級地が本俸、扶養手当の百分の八十、四級地が百分の六十となっており、また薪炭手当は、五級地が世帯主五千円、四級地は同じく二千五百円となっておりますが、これら積雪寒冷地帯においては、その気象条件に伴う生計費上昇並びに採暖費増高に伴い、現行支給額ではあまりにも過小であるため、現実に適応するよう、寒冷地手当は五級地において百分の百、四級地において百分の八十、また薪炭手当については、五級地において世帯主一万五千円ないし二万円に増額せられたい旨が述べられました。特に全県五級地である青森県においては、その気象条件北海道と酷似しておるにもかかわらず、北海道においては石炭手当もすでに増額されており、両者の間に差異があるのは不合理である点、また山形県においては冬季風速が強く、吹雪による寒冷度を特に考慮してほしい点等が強調されたのであります。  次に、国の地方出先機関機構等につき、県側から述べられた意見要望を申し上げますと、陸運事務所失業保険課等は、現在国から都道府県に移譲され、都道府県機関として知事監督下にありますが、その職員地方自治法附則第八条により、その身分はなお官吏とされ、その人事権予算権はいずれも国が持っており、知事監督下にありながら、実質は国の出先機関と同様であるという変則的な機構になっております。これがため、これらの機関においては、知事の何ら知らないうちに、その事務処理人事交流等が行なわれることもあるという実情であり、県の行政運営上支障を来たすため、これらの機関は、早急に国または県、いずれかに統一する必要がある旨が強調されたのであります。  また、青森県においては、国の出先機関県内設置される場合、その設置費用は、法的にも全額国負担においてなさるべきであるにもかかわらず、実情は、地方公共団体の財産を、無償か、あるいは価格を低減して譲渡し、または地方公共団体に対して、私有地を買収の上提供されたい旨国から要請されておる現状であるため、これらの費用全額国庫負担で行なうよう、すみやかに改めてほしい旨が述べられました。これは青森県のみならず、他の府県においてもこのような例は見られると思いますが、国の出先機関設置にあたっては、十分注意すべき問題であると思います。  なお、自衛隊災害派遣については、各県とも自衛隊と十分な連絡がとられております。自衛隊災害派遣も、すでに数多く行なわれており、地元民より非常に感謝されておりますが、災害時には孤立した部落民の救出、人命救助等、緊急を要する場合が多く、これがため、各県とも地元自衛隊駐屯地部隊救難用大型ヘリコプターを配置されるよう強い要望がありました。  次に、秋田青森両県の案内により、本年八月一日、国より両県に移管された十和田湖畔化場を視察いたしましたが、両県においては、当孵化場の移管に伴い、協議の結果、十和田湖孵化場協議会設置するとともに、国庫補助による新しい孵化場建設事務は、すべて秋田県において実施することに決定し、私どもが参りましたときは、三百六十万粒の孵化能力を有するといわれる孵化室を初め、関係施設建設工事がようやく緒についたところでありました。この施設は今月下旬には完工する予定になっておりますが、本年はとりあえず現施設を借用し、二百五十万粒の孵化を行なう予定になっております。最近はこの事業に一番大事である地元漁業組合員協力も積極的に得られておるとのことであり、孵化実績も順調に伸びていくものと感ぜられました。  また、秋田県に参りましたときは、農林省八郎潟干拓事務所及び秋田県より、現在進捗中の八郎潟干拓事業計画概要を聴取し、さらに現地におもむき、干拓作業現状を実地に視察して参りました。  次に、自衛隊関係について申し上げます。私どもの見て参りました部隊は、陸上自衛隊では、青森八戸駐屯地部隊及び山形神町駐屯地部隊であり、前者は第九混成団所属部隊である普通科連隊主体とし、その他施設特科等の諸部隊が駐屯し、総隊員四千名をこえる全国でも有数の大きい駐屯地であります。また後者は、第六管区隊所属部隊である普通科連隊主体とする駐屯地であり、将来当地に、現在仙台にある第六管区総監部が移転される予定になっております。  海上自衛隊では、大湊地方隊所属部隊である八戸航空隊を視察いたしましたが、当隊は対潜哨戒機P2Vが十機、S2F二十機等が配置されており、ジェット機の発着可能な二千二百五十メートルの滑走路を有しております。  また、航空自衛隊では、北部航空方面隊司令部を視察いたしましたが、当司令部青森三沢基地にあり、その隷下部隊には、北海道千歳の第二航空団及び北海道青森県下に九カ所のレーダー基地等が配置されておりまして、北方周辺の空の警戒に当たっております。特に第二航空団は、航空自衛隊として最初防空任務についた航空団であり、現在昼間のみ警備に当たっておりますが、現在まで領空侵犯機は一機もなく、警戒配置のかたわら、領空侵犯機に対する措置のための必要な訓練を実施しております。  以上、各部隊におきまして、それぞれ人員装備施設等業務概要説明を聴取いたしました。各隊とも、いずれも隊員は素質もよく、隊内は明朗であり、団結がよく保たれておるとのことであります。また装備もおおむね充足しておりますが、装備品の中には、すでに老朽化しておるものが多く陸上部隊においては演習訓練支障を来たしておる状況も見られるとの説明であります。施設については、各隊ともその不足老朽化が述べられたのでありますが、これらの駐屯地あるいは基地は、いずれも旧陸海軍、さらに米駐留軍が使用してきたものでありますので、すでに耐用年数を過ぎた施設も多く見られ、今後これら装備品施設改善の必要が痛感されましたが、特に八戸、神町の両部隊においては、給水施設改善強化、また航空隊においては、八戸千歳基地滑走路の改装並びに格納庫、ヘリコプター、軽飛行機等の充実が訴えられたのであります。なお、陸上自衛隊演習場につきましては、八戸駐屯地部隊が、駐屯地に隣接する広大な演習場を持って、教育訓練に恵まれておるのに比し、神町駐屯地は、県内には小演習場しかなく、演習場の少ないのが同駐屯地部隊の一番の悩みとなっております。  次に、青森営林局及び山形食糧事務所について申し上げます。両庁におきましては、それぞれ業務概要及び定員外職員定員化に関する問題について調査をいたしました。定員外職員定員化については、過去二回の定員法改正によって、すでに一部は実施せられましたが、これにより、青森営林局においては合計六百六十人、また山形食糧事務所においては六十四人の定員化が実施されております。この定員化により、定員外職員は大幅に減少をいたしておりますが、なお食糧事務所においては五人、営林局においては、常勤作業員と称せられる定員外職員のみでも二百四十七人が残存をいたしております。営林局定員外職員は、その業務の性格上、非常に複雑な構成をとっており、この常動作業員以外に、常用作業員等、なお多数の臨時職員がおります。定員外職員定員化については、今後も政府及び国会の御努力により、さらに実施せられるよう現地においては希望しておりますが、なお青森営林局長より、営林局のごとく、その主たる業務が企業的である官庁においては、定員内、定員外職員の区別の必要を認めず、将来定員法を廃止されても差しつかえない旨の意見が述べられ、また山形食糧事務所においては、現在業務量に比し、定員が少ない状況にあるため、その増員を必要とするとともに、検査業務等のごとく、最後まで責任を負うためには、定員外職員雇用は避けるべきである旨が強調せられたのであります。  最後に、秋田行政監察局について申し上げます。監察局においては、本年度第一四半期に実施した監察概要及びその結果について説明を受けるとともに、さきの行政管理庁設置法の一部改正により法制化された苦情あっせん業務について、特に詳細な説明を受けました。秋田行政監察局では、本年度は七月までにすでに七十九件の苦情を受け付けており、従来受け付けた苦情はすべて解決されております。この苦情の受付は、役所窓口で受け付けたものは比較的少なく、半数以上の件数は、職員が直接県下の各地に出向き、苦情相談所開設の上に受け付けたもりであり、これが非常に大きい効果をあげております。この苦情相談所開設いたしますと、役所に対しいろいろ苦情を持ちながら、その相談相手もなく困っている一般人々相談に来る者が多く、よい結果が得られるため、秋田局としても、この相談所開設努力をいたしておるとのことでありますが、現在のところ、この相談所開設にあたっては、会場の設定問題、一般への宣伝費及び職員の旅費の不足等、種々隘路もあり、所期の計画通りには開けない実情になっております。しかし、一般人々苦情を積極的にあっせん解決するためには、この巡回苦情相談所開設は機宜に適した措置と思いまして、今後一そうの努力を希望して参ったのであります。  なお、今回視察して参りました各官公庁のうち、青森秋田県庁は近代的な庁舎ができておりますが、青森営林局秋田行政監察局山形食糧事務所等の各庁舎は、いずれもすでに老朽化しておるようであります。青森秋田山形各県とも、現在国出先機関総合庁舎建設の話が進んでおるとのことでありますが、国の出先機関事務能率向上公務員勤務条件、環境の改善等、種々の見地より、設備の整った総合庁舎建設促進し、これら老朽化せる官庁庁舎を初め、市内に散在する各機関を集め、関係者の便をはかるべきではないかと感ぜられたのであります。  以上で調査概要報告を終わりますが、各視察先においては、以上のほか、詳細な業務内容説明及び要望陳情等も受けて参りましたが、それらの報告口頭報告を省略し、会議録の末尾に掲載させていただきたいと存じます。  以上御報告申し上げます。    〔委員長退席理事村山道雄君着席〕
  5. 村山道雄

    理事村山道雄君) 続きまして、四国班報告をお願いいたします。
  6. 吉江勝保

    吉江勝保君 私ども吉江委員長矢嶋委員並びに山本委員の三名は、去る九月十日より十八日までの九日間にわたり、愛媛、高知、香川及び徳島の四国四県に出張いたしまして、各県庁を初め、松山郵政局松山郵政監察局高知営林局水産庁南海水産研究所高知海上保安部行政管理庁四国管区行政監察局陸上自衛隊善通寺駐屯地、及び海上自衛隊徳島航空隊を視察して参りましたので、以下、調査のおもなるものについて、その概要を簡単に御報告申し上げます。  まず最初に、愛媛、高知、香川、徳島の各県庁における調査につきまして、便宜一括して申し上げます。各県庁におきましては主として当該県下に所在する国の地方出先機関に関する問題、県庁職員の給与及び定員の問題、災害時における自衛隊活動状況等につきまして、その実情を聴取いたしました。まず第一の、国の地方出先機関に関する問題につきましては、道路運送法健康保険法職業安定法失業保険法国民年金法等の施行に関する事務に従事する職員は、その身分が地方自治法附則第八条の規定によって国家公務員となっておるために、形式的には知事の指揮監督下にあることになっおるにもかかわらず実質的には知事がその人事権を掌握できないために、当該行政の適正な運営が困難であり、また金銭や物品の出納等も、一部を除けば、直接本省からの指示により、知事部局とは独立して行なわれる場合もあるのでありまして、知事の指揮監督は著しく阻害されておる実情であるから、早急に関係法令を改正整備せられたいとのことでありました。この問題は、当内閣委員会におきましても、従来しばしば取り上げられておりまして、特に陸運事務所のあり方につきましては、ここ数年来の懸案事項でもありますので、早急に何らかの方策を講ずべき時期に到達しておるものと存じます。  第二の各県庁職員の給与と、今回の人事院勧告に伴うベース・アップの問題につきましては、各県とも財政事情が非常に逼迫しておるので、国が何らかの形で財政措置を講じない限り、県庁職員給与改定は実施できない実情にあり、また県の現行給料表は、たとえば行政職でいえば、その一等級が国の行政職俸給表一の三等級に相当するランクで押えられ、以下順次これにならって六等級制を採用しておること等のため、今回の人事院勧告俸給表をそのまま県の給料表に取り入れて改訂しようとする場合、各等級ごと昇給間差額が違うので、給料月額の定め方に相当の困難をきたし、かつ、各都道府県ともまちまちな給料表となるおそれもあるので、全国的に統一した基準による給料表の準則を指示されたいとのことでありました。  第三の各県庁職員定員問題につきましては、各県とも過去の行政整理以来、定員増を抑制してきておるので、定員外職員が相当数おりまして、年々国の措置に準じて定数繰り入れを行なってきてはおりますが、なお定員外職員の率は、高知県が七%、愛媛、香川、徳島の三県は約一〇%内外を示しておりました。また、定員外職員の処遇につきましては、その職務の性質上、常勤的なものに対しては準職員の制度をとっており、定員内職員とほとんど同様の処遇を与えておるとのことであり、愛媛、香川両県では、通勤手当を支給しないことで差別しておるとのことでありました。各県とも、この定員不足の問題では非常に苦慮しておるようでありまして、教職員の関係を見ましても、教諭を初め、助手、養護教諭及び事務職員の不足が目立っておりました。また、高等学校について見ましても、財政的な面からの制約にもよりましょうが、各県とも、乙号基準の九四%程度にとどまっておる実情でありました。  第四の災害時における自衛隊活動状況につきましては、四国各県とも、それぞれ陸上自衛隊善通寺駐屯部隊小野駐屯部隊及び海上自衛隊徳島航空隊から派遣を受けることになっておりましたが、各県とも、平素から関係自衛隊とは緊密な連絡のもとに防災体制の整備をはかっておるとのことでありました。なお、災害派遣とは別に、一般の公共事業の面でも、自衛隊の協力によって土木工事等を委託し、民間では困難かと思われるような難工事も、非常に迅速に、しかも格安な工事費で成果をあげておるものが多く、広く関係者からも感謝されておるとのことでありました。従いまして、今後自衛隊におきましては、施設関係部隊の整備をはかり、災害時はもちろん、一般公共事業の面でも、自衛隊が全国的にもっと協力できるような体制を確立すべきではなかろうかと存じました。  次に、松山郵政局松山郵政監察局における調査について申し上げます。まず、松山郵政局におきましては、主として組織、人員、業務運営の現状及び施設等の実情を聴取いたしました。同郵政局は四国四県をその管轄区域とし、郵便関係、為替、貯金関係及び保険年金関係等にわたる業務を所掌いたしておりますが、特に次のような要望を含めた説明がありました。すなわち、最近時代の趨勢に伴い、同局管内における業務量の増加はまことに顕著なものがありまして、年々取り扱い物数増加率に比して定員増加率は相当低く、ために、今までは管内における郵便物遅配問題もほとんど生ずることなくやってきたが、現在においては総体的に服務過重を来たしておる実情で、特に最近は非常勤職員の雇用及び本務者超過勤務等により定員の不足を補い、業務運行を確保しておるとのことでありました。従いまして、将来にわたり業務を円滑に処理し、サービスを維持するためには、業務量に見合う定員増施設整備拡充、すなわち、無集配特定局の増置、集配施設機動化の促進及び郵便局舎改善等の措置が必要であるとのことでありました。なお、現業各機関における郵便物増高に伴う局舎の整備拡充窓口機関の増置、労働条件の改善、諸施設改善等各種の問題を予算面の制約から解決するためにも、最近特に激増している第三種以下の大型郵便物の料金について適正な値上げを考慮してほしいとのことでありました。  次に、松山郵政監察局におきましては、組織、人員、業務運営の現状、特に昭和三十四年度の監察実績と本年度の監察計画、事業上の事故防止業務能率向上改善策等についても説明を聴取いたしました。同郵政監察局は、四国四県下における郵政官署に関する郵政犯罪や事故を捜査または調査し、これを処理するとともに、郵政業務の考査や調査を行なっておりますが、これらの業務考査を通じて、現業局郵政局に対して必要な指示勧告を行なって、監察結果を運営面に反映するとともに、犯罪の早期発見にも効果をあげており、また事故犯罪の捜査、業務調査事故犯罪に伴う業務上の跡始末まで行なっておるとのことでありました。  以上のような実情に徴して、将来郵政業務の事故を防止し、業務能率の向上をはかるためには、現業局老朽化した狭隘な局舎を初め、能率の悪い集配運送施設等改善強化をはかり、さらに事業推進上必要な要員配置と、これに対する適正な処遇が必要であり、これに関連して、現行郵便料金体系にも適正な改正を実施する等、財源確保対策を講ずる必要があるとの所見が述べられました。なお、現在の番地制度に関する問題でありますが、現行の番地制度は、複雑かつ不合理なものがかなり多く、郵便業務上非常に支障を来たしておるので、早急にこれを合理的なものに整理統合せられたい旨の要望がありました。  次に、高知営林局における調査について申し上げます。同営林局におきましては、組織、人員及び業務運営現状等につきまして説明を聴取し、特に近年における管内治山事業及び台風の影響、国有林台帳の整備並びに町村合併促進法、新市町村建設法による売り払いについての事後監査状況等についても説明を聴取いたしました。また最近の営林局行政と、県及びその他の機関との交渉状況につきましてただしましたところ、県とは、特に土木、治山の面で交渉が多く、総じて今後の営林局事業は、県、市町村及び民間との広い交渉と協力がなくてはその成果をあげることは困難であるとのことでありました。最後に、同局の定員外職員の処遇とその定員化に関連して、現業職員定員のワクをはずす方向での定員法の改正についてただしましたところ、各出先機関特殊性に応じて、相当の権限をあわせ与えるならばともかく、ただ法的なワクをはずすのみで、予算面からの制約を依然として強く受けるのであっては、はなはだ中途半端なものになってしまうのではないかとの所見が述べられました。  次に、水産庁南海水産研究所における調査について申し上げます。同所におきましては、組織、人員、施設業務運営の現状及び同所における業務特殊性について説明を聴取いたしました。同所はマグロの専門的かつ総合的研究の面で特に著名でありまして、私どもは所内各研究室研究状況を視察し、マグロ資源の海洋における分布、マグロ漁業状況等マグロ漁業に関する研究成果の一端に触れることを得ましたが、特にマグロ会談等、最近におけるわが国遠海漁業の振興にあたって打開すべき諸問題を前にして、まことに貴重な成果であると存じました。  なお、業務運営上要望事項として、第一に、同所の予算の総ワクについて、若干の増額を希望するとともに、特に資料収集等に際して、各県水産試験所等関係機関との調査連絡に要する経費の予算化を切望する旨、及び一般に研究費の使用にあたっての予算の移流用について、若干の弾力性を付与してほしいとのことでありました。また要望事項の第二は、人的構成に関する問題でありまして、これは他の類似の研究所にも共通のことかと存じますが、研究所職員の構成が、上級試験に合格して、高度の資格、技能を備えた研究担当者の数に比較して、その下部にあって資料の調査収集等に専門的に従事する職員の数が少なく、またこの種の職員を採用するにも困難な実情があり、これが研究体制上大きな障害となっておるので、早急にこれが解決をはかるため、ぜひともこの種の職員の身分の確立等、諸般の優遇措置を講じてほしいとのことでありました。なお、最後に各水産研究所管轄区域に関する問題として、現在は各水産研究所とも、地域を基準にしてその管轄区域を定めておるが、研究の効率をより一そう高めるためには、場合によっては地域による横割制ばかりでなく、研究対象による縦割制等、若干の調整を講ずることが望ましいのではないかとの所見が述べられました。  次に、高知海上保安部における調査について申し上げます。同保安部におきましては、組織、人員、装備、業務運営の現状と、その特殊性並びに最近における海上犯罪及び海難の発生件数とその処理状況等について説明を聴取し、なお、最近の災害時における活動状況、すなわち、昨秋の伊勢湾台風、今年五月のチリ地震津波及び八月の第十六号台風時における活動状況についても説明を聴取いたしました。同保安部管轄区域は、高知県とその沿岸水域でありますが、この地方は直接外洋に面し、夏季の台風、冬季の季節風及び沖合を東方に流れる黒潮の影響が甚大である一面、沿岸海域が全国屈指の好漁場であること、陸上交通が不便であること等によりまして、漁業、海運業が産業上の重要な地位を占めております。従いまして、四季を通じて足摺岬、室戸岬の突端は風波が甚だ強く、また天候の急変も多く、特に夏季台風の襲来時においては、その進路に当たることが多いため、沿海における海難の発生及び被害は例年甚大となっており、なお、管内の沿岸漁業者は、いわゆる一本釣漁業の零細漁民が多く、しかも近年乱獲による漁族の減少、漁業人口の増加等のために漁業不安が濃く、さらに一部の資本力を持つ悪質業者の違反漁業等と相待って、漁業紛争が続発しておる実情にあるとのことでありました。従いまして、同保安部におきましては、これら海難、違反漁業、漁業紛争等を未然に防止するため、県や水産当局とも密接な連絡を保ちながら、鋭意努力を重ねておるとのことでありました。最後に、同保安部からの要望事項として、(一)、巡視船艇の増強、(二)、航空基地の設置、(三)、船艇倉庫の設置、(四)、専用有線電話の開設、(五)、宿舎の増設等があげられましたが、特に現有巡視船艇は、量、質ともにきわめて劣勢で、速力、装備等についても、民間の最近の船舶には及ばないので、巡視船艇の増強については強く要望するとのことでありました。なお、災害時における活動に関連して、各海上保安部ヘリコプターの配置、また海上自衛隊との災害救助共同演習の必要性等についても所見が述べられました。  次に、行政管理庁の四国管区行政監察局における調査について申し上げます。同管区監察局は、その所在地である香川県を初め、四国四県をその管轄区域としており、その下一部機構として、徳島、愛媛、高知の各地方監察局を掌握いたしております。私どもは同管区監察局におきましては、主として、組織、人員、予算、業務運営の現状、特に昭和三十四年度及び本年度に実施した監察業務の概要とその結果について説明を聴取するとともに、本年度より法制化された苦情あっせん業務ついても説明を聴取いたしました。苦情あっせん業務は、実質的には昭和三十年より窓口を開いてきたものでありまして、各監察局は毎年少ない監察旅費の中からその費用を捻出して、地方の不便な地域への巡回苦情相談等を行って、相当に成果をあげてきたとのことでありました。  また、行政監察局における今後の監察計画につきましては、新長官の方針にも示されておるごとく、今まで中央から流されていた統一的な監察計画に基づく業務を主としてきたが、今後これを漸減し、反面、当該地方の特殊事情をも考慮した地方計画に基づく監察業務を拡大して、国民生活と接触する末端行政運営の円滑化を期するための行政監察に努めたいとのことでありました。行政監察局は、毎年監察計画に基づく膨大な業務量を処理してきておりますが、これに見合う定員は非常に少なく、また予算も僅少で、特に監察旅費はまことに不十分でありまして、実費弁償にも事欠く実情にあり、さらに行政監察局の特殊事情とも関連して、職員の年令構成が、他の一般官庁に比較して十歳程度も高くなっており、このことは赴任旅費の制約とも相待って、人事交流や処遇の改善をも阻害しておるとのことでありました。行政管理庁は、これらの悪条件を克服して収集した監察結果をもとにして、毎年関係各省庁に対し、膨大な勧告または所見表示を行なってきており、最近は相当の成果をあげてきておるようではありますが、中にはその成果の疑わしきものも間々あるやに聞き及びますので、今後行政管理庁長官は、閣議やその他あらゆる機会を通じて、せっかくの努力をより一そう効果あらしめるよう努めていただきたいと存じます。最後に、自衛隊における調査について申し上げます。私どもの見て参りました部隊は、香川県の陸上自衛隊善通寺駐屯部隊と、徳島県の海上自衛隊徳島航空隊であります。善通寺駐屯地は、現在第十五普通科連隊の第一、第二大隊、第百九施設大隊、第百十教育大隊、善通寺駐屯地業務隊、第三百四十八会計隊、第三百三十七基地通信隊、中部方面調査隊善通寺派遣隊等の八個部隊、約二千名の隊員が駐屯してその施設を使用いたしております。隊員は地元の四国出身者が九〇%を占め、その素質は一般に純朴で温順であり、各部隊とも、訓練の成果は日を追って向上しておるとのことでありましたが、現在四国には、中演習場及び戦闘射撃場もなく、これら演習のためには本州で渡って実施しておるとのことでありました。また、部隊の敷地が非常に狭隘なため、部隊近傍には新隊員教育に必要な基礎訓練場もなく、隣接する財務局の用地や農事試験場の庭園を一時借用して訓練場に充てておるとのことでありましたので、これら演習場や訓練場は早急に解決せねばならぬ問題であると存じました。自衛隊の部外からの受託工事や災害派遣による活動状況については前にも述べましたが、これら工事用の装備や派遣用の装備器材は必ずしも十分ではなく、従って、将来この方面で自衛隊の活動を期待するためには、装備器材の整備が必要であるとのことでありました。  なお、自衛隊が出動する場合、高知県は距離も遠く、不便であるため、何かと支障を生ずるおそれがありますので、高知県にも地区施設隊を設置してほしいとの要望がありました。  次に、徳島航空隊について申し上げますと、同航空隊は呉地方隊に属しておりまして、昭和三十二年より現在地に設置されたものでありますが、現在の陣容は、人員千三百五十一名、飛行機数は、全天候性の対潜機(S2F―1)が四十機、ヘリコプター、連絡機が各一機、艦艇は高速救命艇、輸送艇が各一隻、その他各種の車両が五十八台となっておりました。同航空隊の特色としては、日常における教育訓練も、飛行作業がその中心となる関係上、飛行隊に対し支援の立場にある整備隊と基地隊の士気と規律のいかんが、隊風高揚に直接影響するところ大であることにかんがみ、指導の重点が飛行隊にだけ偏しないように留意し、いわゆる三位一体のチーム・ワーク発揮に重点を置いておるので、その実演においても見るべきものがあり、特に去る昭和三十四年九月十一日には、二万時間無事故飛行の記録を達成したとのことでありました。パイロットの養成につきましては、同航空隊の開設以来、今日までに百十六名の教育を終了し、現在十二名が教育中であり、また現在同航空隊に配属されておるパイロットは八十七名でありますが、当分はこの程度の人数で間に合うとのことでありました。  最後に、同航空隊からの要望事項として、飛行場前面の海岸にある防潮林伐採問題と、滑走路の延長線上に点在する民家の移転問題は、航空保安の面からも危険性があるので、早急に解決せられたいとのことでありました。なお、同航空隊の飛行場を民間機と共用することについて徳島県からの要望もありましたので、当局者の所見をただしましたところ、そのことは同航空隊開設当初の前提条件でもあったので、拒むことはないが、その場合は、出入口を別に持った待合室を完備し、使用はなるべく土曜、日曜に限ってほしいとのことでありました。  以上で調査の報告を終わりますが、なお、視察先の各機関から提出を受けました関係資料を当委員会調査室の方に保管させてありますから、適時ごらん下さるようお願い申し上げます。    〔理事村山道雄君退席、委員長着席〕
  7. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 各班からの調査報告は以上でございます。何か御質問、御発言ございましょうか。  別段御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。  なお、ただいまの報告の、これは東北班より調査資料会議録に掲載されたい旨の御要望がごいましたが、さよう取り計らうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   ―――――――――――――
  9. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、国家公務員制度及び恩給に関する調査を議題とし、公務員給与に関する件の調査を進めます。政府側出席の方々は山崎自治大臣、高橋国務大臣、大平内閣官房長官、浅井人事院総裁瀧本人事院給与局長、増子内閣総理大臣官房公務員制度調査室長、船後大蔵省主計局給課長、藤井自治省行政局行政局長の方々であります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 公務員給与の質問に入る前に、実は本日ぜひ水田大蔵大臣の出席を、まだあの方がアメリカにおるときからお願いしておったのですが、本日お見えになっておらない。しかも大蔵大臣は、公務員給与関係においては、閣議では重要な人であるということはわれわれも認識しておるのですが、その方が見えられない。しかも院内においては、衆参を合わせて、そう委員会も開かれておらない。一体水田大蔵大臣はなぜ出席できないかということを、一つ大蔵当局の方がおられたら、その点一つ説明してもらいたいと思う。
  11. 船後正道

    説明員(船後正道君) 大臣は、本日大阪の造幣局において貨幣大試験がありまして、その方に出張いたしておりますので、遺憾ながら本委員会に出席いたしかねる由でございます。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 しつつこいようですが、大阪の造幣局のいわゆるその問題は、二日にわたってやらないでも、われわれとしては非常にこの大蔵当局に対する問題を持っているのですが、飛行機で行けば二時間ほどで行けるのですから、わずか三十分でも四十分でもわれわれ出てもらいたいという強い希望を出しておったのです。造幣局のそういう行事も大事かもしれませんけれども、今日公務員給与問題は、単に公務員自身の問題ではなくして、世上に大きな問題として発展しているので、最も党で有力な力を持っている大蔵大臣がいないということは、非常に遺憾だと思う。そのかわりに一体だれが出ておられるか。主計局長もまだ見えておらない。どういうことなんですか。
  13. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 主計局長は参るそうであります。今しばらくお待ち願いたいということです。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵当局はいろいろお忙しいことはわかるけれども、本日われわれ要望して、いわゆる内閣委員会と直接関係のない方にも出てもらっている。そういうことを考えますと、私は、大蔵省当局は内部では非常に力を振り回わすけれども、われわれに対して納得さすだけの努力をしておらないと思う。早急に一つ出てもらうように催促してもらいたいと思う。私の質問はそれに大きく関係があるのですから。  それでは、一つ大蔵当局の責任者が来るまでに、ちょっと予定を変更して、自治庁関係に質問を発したいと思う。今度の給与関係については、もう人事院あるいはその他に対して、給与担当大臣なり官房長官も見えておられますから、各委員からも、われわれも質問をいたしますが、まず自治省関係に質問をいたしますが、今度の給与改訂によって給与は今後どうなるか。われわれもだいぶ問題がありますけれども、これは別といたしまして、いずれにいたしましても、相当の財源が必要だと思う。今日の地方財政の現状から、特に先ほど吉江委員長報告されたように、四国四県を回わりましても、非常に地方財政が窮迫している。そのときに、現在の地方財政でこの給与の改訂がどういう状態にあるか、やり得るかどうか、こういう点で一つ自治大臣にお願いしたい。
  15. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 仰せのように現在地方財政は非常に苦しい状況にあるのであります。一時の二十八年、九年から比べますと、経済界の好転に伴いまして、やや見通しが明るくはなっておりますけれども現状必らずしも余裕があるような状況ではないのであります。しかしながら、給与改訂という問題は、私から申し上げるまでもございませんけれども公務員給与を改訂いたしまする場合には、給与体系を同じういたします地方公務員もこれに準じてやるべきことは当然だと思います。その場合、財源措置をいかにするかということは、非常に重大な問題になると思いまするが、人事院勧告につきまして政府がどういう取り上げ方をいたしますか、近々方針がきまると思いますが、その場合に、地方といたしましても、当然に国家公務員に準じてやらなければなりませんので、その財源措置につきましては、大蔵当局とも種々折衝いたしまして、地方公務員人事院勧告の採用に準じます財源につきましては、適当な財源措置をする、かような方向に今向かっているような次第であります。
  16. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体それでよくわかるのですが、実は新聞の報ずるところでございまするから、確認しておきたいと思うのですが、確認というよりも、一ぺんそれについて質問しておきたいのですが、十二日の新聞で、九月十一日の日に、全国の知事会のいわゆる懇談会をやられておりますが、その席上、水田大蔵大臣とあなたが出席されて、こういうことを言っておられるのです。地方公務員給与改訂は、地方税の増収分を回わすことを考えており、第二に、地方税の減税分も、実際の政治をすべて国がみるわけにはいかないから、地方自治体で財源を検討されたい。これは水田蔵相、山崎自治相らと、こうなっておりますが、おそらくこれは水田大蔵大臣が言ったと思うのですが、新聞を見ると両方が言ったことになっているのですが、実際これで見ると山崎大臣は、第一項の増収分と、今言われた答弁とは若干矛盾するのですが、増収分でやれるのかどうか、その点一つはっきりしておきたい。
  17. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 三十五年度におきましても、地方財政において自然増収が相当見込まれることは各位御存じの通りだと思います。従いまして、不交付団体等におきましては、自然増収によって人事院勧告を採用した場合の財源措置が講ぜられるものと思うのでありますが、交付団体につきましては、むろん自然増収も、財政の悪いときでございますから、非常に少ないと思います。従いまして、地方税の自然増収だけでそれがまかなえるということは考えておりませんし、先ほど申し上げましたように、適当な財政措置をとりたい、かように考えているわけでございます。  なお私、知事会議でお話をしましたのは、地方税の自然増収が相当見込まれるけれども人事院勧告の問題もあり、また自然増収を全部使い切ってしまうということになると非常に困る。人事院勧告というものを頭に置いて、そして自然増収分についてのいろいろの使途を考えてもらいたい、こういうことを知事会ではお話したのでありまして、今新聞に出ておりますのとは、ちょっと趣旨が違うと思います。
  18. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで、三十五年度の実は自然増収分ですが、当初大蔵省が約八百億だということを言っておったのですが、今大臣から聞きますと、今度のいわゆる人事院勧告が、かりにあるいは実施されたとすると約五、六百億の金が要るということを言っているのですが、それはそれ以上に増収分があるという自治省の見解であるかどうか、これについてちょっと。
  19. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) まだ国税三税の自然増収の内容もわかりませんし、地方におきまする自然増収がどのくらいあるかという的確な数字をちょっとつかみにくい点があります。おそらく非常に大まかな計算でございまするが、四百億を上回わることだけは確かでございます。かりに国税が千五百億の自然増収があると、こう仮定いたしました場合には、四百億以上の自然増収があるんじゃなかろうか。こういうふうに計算を政府としてはしておるわけでございます。
  20. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体まあ四百億程度ということですが、それでも若干足らないことは足らないのですが、先ほどちょっと言われましたが、不交付団体は自前でやれる、交付団体はやれないというお話でありましたが、私が、まあ大体十分な調査はできておりませんが、不交付団体というのはほんのわずかな都道府県だと思う。市町村の場合は、ほとんどこれは交付団体になっておりますが、その場合に、交付団体でやり得る財源と、政府がみなくちゃならないというような財源、それの割合と申しますか、そういうものは一体どういう程度になっておりますか。
  21. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 御質問の趣旨を、あるいは私とり違えて申し上げるかもしれませんが、もしも間違っておりましたら御訂正を申し上げますから、さらに御質問を願いたいと思います。今お示しのように、交付団体の方が財政が苦しいことはもう当然でありまして、それにつきましては、自然増収分も多少は考えておられると思いますが、これでむろん全部をまかなうことは非常に困難であります。従いまして、今私どもの方で考えておりますのは、自然増収に伴いまして、国税三税に相当の増収があるといたしますれば、当然交付税のはね返りが出てくると思います。従いまして、その交付税のはね返りを財源措置として考える、かようなことを今大蔵当局と相談をしておる次第でございます。
  22. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはわかっておるのです。ちょっと質問の要旨が、私の言い方が悪いかもしれませんが、いわゆる率直にいえば、今度の自然増収を入れて、純粋に国がみなくちゃならぬ給与改訂の金が幾らくらい国の方で負担しなくちゃいかぬかという点を一つ聞きたい。大蔵大臣おらぬから。
  23. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 平年度におきまして、大体六百二十億、かように考えております。
  24. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはよくわかっておるのですがね。この新聞の報道から、また先ほど答弁されたその内容から見ると、いわゆる自然増収のあるようなところはそれで一応まかなえる、大蔵大臣はこの前そういう答弁をされておるんですよ。それができない場合には、国は総合的にいわゆる地方交付税なりその他でみてやってもいいんじゃないかという答弁をしておるのです、水田大蔵大臣が。その場合に、私言っておるのは、六百億要るということはわかるのですが、自然増収で地方でまかなえる以外のもの、それが幾らくらいになるか。計算が出ておらなければそれでいいのですが、それを開いておるのです。
  25. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 人事院勧告の取り上げ方いかんにもよることでありまするけれども、かりに五月から人事院勧告通りにやりました場合に、おそらく五百億をこえる六百億――十一カ月分と大体計算いたしますと六百二十億、十月からとなればその半分、こういうふうに大体お考え下さって間違いなかろうと思います。
  26. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これ以上突っ込むと、また人事院なり政府の管轄を侵しますから、この程度で自治省を終わりますが、なお、念のためにもう一ぺん確認しておきますが、大臣も、また藤井行政局長も見えておりますが、地方行政委員会では同じような答弁をされておる。国家公務員がやれば、今までの例に準じて地方公務員もやらなければならぬ、国の義務でもあるというような意味の答弁をされておるのですが、その点について間違いないかどうか、この点をもう一ぺん。
  27. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 冒頭に申し上げましたように、国家公務員給与引き上げがございました場合には、これに準じまして、給与体系も同じことでございまするから、地方公務員給与の引き上げも当然やらなくてはならぬ、かように考えております。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私も山本委員に続いて一、二点伺います。従って質問は、後ほど横川委員から人事院勧告そのものについての質疑がございますが、人事院勧告を前提にしたワク内で、担当の自治省大臣に伺うわけですが、それを前提としておきます。  まず伺いますが、自治省の大臣としては、国家公務員に準じてやるのは当然だと考えているということですが、このことは、勧告にある五月一日から、人事院勧告を尊重して実施するという角度において自治省大臣は努力せられているものと私判断いたしますが、相違ございませんか。
  29. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 国家公務員につきまして人事院勧告を尊重するということは、内閣としても当然のところでございますが、その時期、いつにするかということにつきましては、ごく最近の閣議におきまして、十分検討の上に決定したい、かように考えております。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうことは答弁を承らなくてもわかっております。私の伺っていることは、自治省大臣としては、地方公務員を対象とする給与改善について、人事院勧告を念頭に置いてそろばんをはじいて努力せられておると思う。そのことは、人事院勧告にある五月一日の期日というものを念頭に置き、人事院勧告の内容を尊重する立場においてそろばんをはじき、検討されているのは当然だと思う。そういうふうに了承してよろしいかどうかということを伺っておるんです。
  31. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 繰り返して申し上げるようなことになりまして、まことに恐縮でありまするが、むろん人事院勧告は尊重する建前で、地方公務員につきましては検討いたしております。その時期については先ほど申し上げた通りでありまして、きわめて最近の機会に政府全体として決定する。その場合に、地方の財政がどうなるかということについては、十分に検討を続けておるようなわけであります。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、二つに分けて伺いますが、本年度実施ということですが、三十五会計年度内における財源措置と、三十六年度以後における、平年度における財源措置については、自治省大臣としてはどういう構想を持っておられるのか。私推測するのに、三十六年度以降の平年度においては、交付税率を二八・八%引き上げる方法によって財源措置をしたい、こういうふうに考えられているのではないか。三十五会計年度、本会計年度内における点については、補正予算というものをどういう形でお考えになっておるのか、その点をお答え願いたいと思う。
  33. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 三十五年度につきましては、先ほど山本委員にお答えいたしましたように、地方の自然増収分をもちましてまかない得ない分につきましては、交付税のはね返り分を人事院勧告給与引き上げの財源に充てる、こういうことに考えております。三十六年度につきましては、地方財政計画全体の問題でありまして、今財政計画の大ワクをいろいろ検討いたしておりまするが、まだ国の予算にも不確定な要素がたくさんございまして、今はっきり計画をここで確定するわけには参りません。どうしても自然増収なり、あるいは国の自然増収に伴いまする交付税のはね返りなり、そういうもので地方財政計画が立ちかねる、こういう場合には、交付税につきましても検討を加えたい、こういう考えでおります。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先日関係各省で協議されたが、大体意見がまとまりかけたところで池田首相が待ったをかけて、最終決定を十四日の閣議に持ち越したということが報ぜられておりますが、自治省大臣としては、本年度並びに来年度にわたる財源措置というものの見通しが、はっきりつく、それをつけてもらわなければならぬという態度をとられているのではないかと思うんですが、その基本的態度はどうか、その内容の骨子はいかなるものか、お答え願いたいと思います。
  35. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 人事院勧告給与改訂に伴いまする地方財源の不足につきましては、三十五年度については今申し上げた通りでありますが、三十六年度につきましても、矢嶋委員のただいまの御質問に答えた通りの考えでございまするが、私といたしましては、中央の財政措置が、ある程度何といいますか、方向がきまった上で政府全体として態度を決定してほしい、こういう態度でおります。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 官房長官にこれに関連して伺っておきたいのですが、本会計年度内に対する自治省の考えはそれでいいと思うのですね。ところで、さっき、国政調査報告を聴取しても明確のように、三十六会計年度以後の地方自治体に対する財源措置というものは二八・八%の交付税率を、まあ大体三〇%程度に引き上げるというような形で措置する以外に方途はないと思うのですが、自治省もその点では私進んでおると思うのですが、これに対して内閣の官房長官としてはどういう見解を持ち、そういう方面に努力する誠意を持っておられるのかどうか、お答え願いたいと思います。
  37. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 仰せのように、人事院勧告をめぐる財政問題といたしましては、地方財政との関連が一番大きな問題だと思います。さらに仰せのように、三十五年度はともかく、三十六年度以降の平年度においてこれだけの太さの人件費をのんで地方財政が円滑に消化ができるかどうかということが、さらに一番大きな問題だと承知いたしております。そこで、これに対処いたしまして、政府側としてどう考えているかでございますが、明年度地方財政計画なるものを今検討中でございますので、直ちに交付税率の引き上げを要するかどうかというような点については、まだ確実なる計数をつかんでおりません。交付税率の引き上げについてはっきりしたお答えをただいまの段階におきまして申し上げることができないことは、はなはだ遺憾でございます。ただ、申し上げましたように、地方財政計画が円滑に行なわれますように、あらゆる角度から配慮して参らなければいけないことは当然だと考えております。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 主計局長お見えになったようですが、これは山本委員が質問されるそうですから、山本委員が質問された後に質問いたしますが、自治省大臣まだあとにお残りになるのならば、まだ私もう一点質問がありますから、あとでやりますが、お帰りになられるのならもう一ぺん伺いますが、その辺、委員長いかように取り運んだらよろしいですか、おさばき願います。
  39. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 三時ですから、まだ三十分くらいおります。ほかの方もありますから、やってしまったらどうですか。三十分くらいしかあとないですが、自治大臣に集中されたらどうですか。石原君はあとまで残りますから。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは大臣の分を続けます。自治大臣に伺いたい点は、あと議題になる定員に関する問題です。その前に、前提として一言官房長官に伺いますが、定員法の一部改正法案が先国会で提案されて、継続審議に国会においてはなっております。行政府としては、これにどういうように対処しておるのか。官房長官としては、与党の幹事長なりあるいは国会対策委員長に、早急にこの特別国会で成立さしてほしいという申し入れをされたのかされないのか。されないならば、これから特別国会において早急に成立さしてほしいという要望をする意思があるのかないのか、その辺のところをお答え願いたい。
  41. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) かねがね一日も早く成立をしていただくようにお願いをいたしております。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府がその方針ならば、国会の与野党の対策委員長なり、与党の幹事長なりに今度の特別国会で成立さしてほしいという意思表示をなさっておるわけですね。
  43. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 一日も早い成立をこちらは期待しております。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 申し入れましたか。あるいは申し入れられてなければこれから申し入れられますか。
  45. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) かねがね申し入れてあります。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今度の特別国会で……
  47. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) それは国会の管轄のことでありまして、どういうふうにお取り上げになるかどうかは国会の……。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国会に法案を提出した行政府の官房長官として、どういうように対処されているかということです。
  49. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 一日も早く御成立を願うようにお願いいたしております。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで自治大臣に伺う前に、もう一点伺いたい点は、これは七千三十人の業務増加に伴う定員増が国会に提案されて、一日もすみやかに御審議願いたいと出ているわけですね。この中には比較的多いのは文部省の九百二十九人、郵政省関係の四千五百六十四人、ことにこの文部省の九百二十九人の中には、国立学校の学年の進行、学科の増設に伴う九百十七人というものを含んでいるわけですね。これは現在どういうふうにやっているのですか。
  51. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 私の伺っているところによりますと、各大学の間で定員のやりくり等をして間に合わしているそうでございますが、大へん不便を感じていると承っております。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは時間がかかっては他の委員に失礼ですから、あまり時間をかけませんけれども、私はこれはどういう取り運びをされているのかと疑問にたえない。しかも国会は十七日に召集されるというのに、うちの内閣委員長に対しても、それから野党の内閣委員理事に対しても、官房長官は何も意思表示されていない。一日も早く云々ということと、どうも言動が一致しないように思うのですね。そこで質問のポイントに触れますがね、この改正法案の中に、地方自治法附則第八条関係職員の増として三千五百五十三人というものが出ておりますね。そして地方自治法附則八条に基づく関係定員が合計一万四千七百九十八人と、こういうふうになっているわけですが、この点について自治省大臣、行政管理庁長官、それから官房長官に質問して私の質問は終わりますが、先ほど国政調査に基づくお二人の報告の中にもありましたように、地方自治法附則八条に基づく職員は、この身分国家公務員であり、監督権は都道府県の首長にあるけれども、ほとんど連絡はない。人事権は国が持っておる。それから出納関係もその出先で勝手にやって、県には何ら連絡はない。ただ責任を負わせるのと、監督権だけを持たされておる。都道府県知事ははんこも預けて、全く無関係な形になっておる。特に陸運行政の面を担当している陸運事務所等は、その地方自治行政にも非常に影響の深いところで、地方自治の本旨からいっても、こういう形態というものはおかしいし、責任を持てない。従って行政機構を明確に再検討してほしい。責任の所在を明確にしてもらわなければ困るという強い意見がある。これは国会でも長いこと論じられた問題ですが、解決すべき段階に来ていると思う。健康保険法職業安定法失業保険法、国民年金法、道路運送法、これらに関する職員を、大部分の都道府県というものは、名実ともに都道府県知事の支配下に置いて、そうして行政と責任の一元化をはかってもらいたい、こういう意向はごもっともだと思うのです。これに対して、国家の行政機構を担当している高橋大臣並びに地方自治に助言と指導を与えるところの自治省の大臣、それからこれは当然私は相当大きな問題であるから、官房長官は閣議の進行係もされておるのですから、閣議に問題を取り上げて、各省にも関係あるわけですから、早急に討議をし、結論を出さるべきだと私は思うのですが、どういう御所見を持っておられるのか。御三方から御答弁をいただきたい。
  53. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) 今、矢嶋委員の御指摘になりましたように、現在の地方自治法の規定にそういったような官庁の責任の所在がはっきりしないで運用されておるという点は、まさにその通りでございます。ただいま御指摘のございました一つとして、陸運事務所のことでございますが、これはかねてやはりわれわれの行管でも問題にいたしまして、今行管がそのあっせん役と申しますか、そういうような形で関係方面と話を進めて、近く解決する予定に相なっております。要するに、今お話のように、陸運事務所が県の機構の中にありながら、実質的にほとんど陸運局がこれを指導監督しいる。従って、その間の責任の所在明確でない、こういうようなことでございますが、自動車行政につきましては、実際の取り締まりに当たっておる警察等につきましても、十分これは関係がございますので、そういったような自治省あるいは警察当局及び陸運局、この三者が渾然一体となって、自動車行政、しかも最近における自動車行政の運営等につきましては、相当隘路があるやにも見受けられますので、この点を解決することを目安にいたしまして、その機構問題を今取り上げておるのでございます。従ってこれらを近く解決いたしたいと存じておる次第でございます。なお、今お話のような保険行政あるいは年金等についても、同じような事例がございますが、これはやはり早急にその責任の所在と行政機構のあり方ということを明確化する必要があると思いますので、さらに検討を加えて、これの改善をはかりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  54. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 地方自治法附則第八条の職員につきまして、ただいま矢嶋委員から御指摘のございました、あるいは厚生、労働、運輸という職員につきましては、御指摘の通りに、身分国家公務員でありながら、その監督は府県知事、こういうことになっておりまして、この問題は、原則としてはできるだけ府県知事にまとめてもらいたい、地方公務員にまとめてもらいたい、こういうように私どもは考えております。その線で今後もできるだけ努力をいたしたい。陸運事務所の問題につきましては、ただいま高橋大臣からお話の通りでありまして、私どもは別に所管を争うとか、そういうつもりでなくて、この行政をいかに円滑にしていくかということを中心にいたしまして、行政管理庁を中心として今検討を加えていただいておりまして、その結論に私どもは全面的に従う、こういう態度で進んでおる次第でございます。
  55. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) ただいまの附則第八条の職員に関しましては、行管を中心といたしまして、各省庁、地方庁等との連絡協議を督励いたしまして、できるだけ早く結論を出すべく努力いたしたいと思います。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一回。官房長官、私はそれだけの答弁では了承しません。官房長官だけにもう一回伺います。今までずっと問題が出ておったのにかかわらず、また、今われわれに審議を要求しておる法案には、三千五百五十三人の増員が出ておる、三千五百五十三人の増員が審議されておるわけです。今、高橋大臣並びに山崎大臣の御意向がわかった通り、こういう問題を早急に処理するために、官房長官という制度があるわけなんです。各省庁の連絡調整、これをやるのが官房長官。そのためにあなたの職種というものはあるわけなので、これらを関係大臣にまかせて、あなたがひより見をしているようなことでは、大官房長官にはなれないわけです。それで、早急にあなたにそれは権限があるのだから、閣議の議題に供して、各省庁大臣の調整をはかられてしかるべきだと私は強くこれを要請します。お答えできるでしょうか。その点だけお尋ねいたします。
  57. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 閣議の議題にすでに供してございます。そうして調整を急がせております。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最近やりますね、やっていただけますか。
  59. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) すぐやります。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは大蔵当局が見えましたから、自治省関係に限って大蔵当局に質問したいと、実は待っておったのです。全部のやつはまたいろいろありますから、あとでお尋ねしますが、自治省関係のものだけですが、先ほど給与課長さんですか、おられたのですが、それで足りないという意味ではございませんが、局長に一つ念を押しておきますが、本日大臣に来てもらいたいということを実はほんとうに熱望しておったが、先ほど聞くと、大阪の造幣局の何か行事があるので行かれたということですが、今度の給与改訂については、単に自治省関係じゃなくして、新聞に載っているだけでも、大蔵大臣の発言がきわめて大きいのです。これは読まれたと思いますがずいぶんウエートを大きく発表されておるのです。しかも、政府はこの十四日ごろにこれについての結論を出し、政府の態度をきめるというようなことが言われておるのです。しかも、正式な関係のある本院の内閣委員会で、やはり大蔵大臣から、財政当局として、政府を代表しての答弁というものをわれわれはほしいのです。私は新聞を疑うというわけではないのですけれども、こういうときに、非常に重要な用事であったと思いますけれども、二日間にわたる当院の内閣委員会に出られないという理由が、私は納得できないのです。従って、あしたでも出られるかどうかということをもう一ぺん聞いてみたいと思います。
  61. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 私の承知しておりまする範囲内のことをお答え申し上げますが、造幣局の貨幣大試験がございまして、大蔵大臣は本日それの方に出向いておりまして、たしかこの一両日に帰ってくると思いますが、これは年に一回の試験でございまして、そういうことで前々から予定しておりまして、今日出席できないのははなはだ申しわけないことでございますが、そういうような次第になっておりますので、何とぞさよう御了承を願いたいと存じます。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃあしたも出られないということだと思うのですが、そうですね。それで主計局長が、職制上、大臣にかわられるかどうかは別といたしまして、大蔵当局として一つ確信のある答弁を願いたいと思うのですが、今度の給与関係の問題ですが、あとでいろいろ全般的な問題が出ますが、特に自治大臣がおられますので、その関係だけ聞いておきますが、この前の九月一日の内閣委員会に水田大蔵大臣が出られて、地方公務員の問題について質問されて、三回ほど答弁されたと思うのですが、議事録を見られるとわかりますが、最後に、いわゆる国家公務員が上がったからといって、国家公務員と同じような形の大蔵当局としては財源措置はできない、給与がそれだけ上がったんだから、これだけ各都道府県市町村給与費をやるということはできない。これは具体的に言われないけれども、しかし、総合的に地方財政に赤字を生じて、やれないような場合には考えてよい、こういう答弁をされたのです。これはあとであなた反論してもらったらいいのですが、ところが、実は先ほど自治大臣にお尋ねしたのですが、十一日の知事の懇談会の席上で、地方公務員給与改訂の場合は、地方税の増収分を回わすことを考えてほしい、こういうことを言っておられるのです。それをあなたは御存じであるかどうか、ちょっとそれを聞いておきます。
  63. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 大臣のお答えになりました前段の点につきましては、私もたしか陪席いたしておりまして、拝聴いたしました。後段の方のお話につきましては、当然三十五年度におきまする地方財政としましての追加的な財政需要に対しましては、当然地方税の増収分を向けるというような意味のことをお答えいたしたと思います。
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで、先ほどあなたおられなかったのですが、自治大臣から確認されておるのですが、今度の人事院勧告、これはどうなるか、われわれの主張は別ですが、これは一応別として、国家公務員給与の改訂が行なわれたら、必ずこれに準じてやる、こういう政府の方針を言われたのですが、これについて大蔵大臣は、新聞紙上を見ると、非常に消極的な態度をとられておるということを聞いておるのです。新聞には載っておらないけれども、その知事懇談会の席上で、地方は別だ、金がなければ、別に国家公務員が上がったからといってやる必要はないじゃないか、こういう発言をされたということを聞いたのです。これは新聞に載っておりませんから、証拠はありません。大蔵当局はそういう考え方であるのかどうか、これをちょっと聞いておきたい。
  65. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 申すまでもないことでございまするが、地方団体が、財政と申しまするか、それをやって参りまするのには、地方団体のきめるところに従ってやるわけでございますので、自治省の権限もあるわけでございますが、地方団体側におきまして、おのおの所掌せられるということになっておりますので、お話の点が関連して参りますのは、御承知のように、地方財政計画がございまして、地方財政計画上の取り扱いをいかにいたすかという問題があると思います。この点につきまして、先ほど来自治大臣からお答えをいただいておると思いますが、先ほどの自然増収という問題もございますし、あるいは補正予算を組みました場合におきまする地方交付税の増加という点もございますので、そういうような点もにらんで御検討いただくということであろうかと思います。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたの答弁は、この前もそういうことを言っておったのですが、だから僕は大臣に来てほしいと思うのです。私は、今のいわゆる事務当局と申しますか、大蔵大臣も池田内閣の一員なんですから、私が尋ねておるのは、財源の問題はありましょう。これは自治省と、あるいは各都道府県との今後の問題がありますが、政府の一つの方針として今開いておるのですよ。国家公務員給与改善するんだ、その場合に、地方公務員はもう勝手にやりなさいという態度であるかどうか、これを私は言っておるのです。大蔵大臣に聞きたいのですよ。財政上の問題だけでなくして、政府の方針が、国家公務員国家公務員として政府が責任を持ってやるが、地方公務員地方が勝手にやりなさい、やらなければ政府は知らないのだ、こういう政府の方針であるかどうかということを聞いておるのですよ。
  67. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 国家公務員給与も、地方公務員法によりまして地方公務員給与をきめまする場合におきまする基準になるわけでございます。従いまして、国家公務員給与改訂が行なわれました場合におきましては、当然地方公務員法を頭に置かれまして、地方団体において処理をせられるというのが現在の建前であろうかと思います。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕は法律の建前を聞いているんじゃないのです。池田総理が各地を遊説されたときにも、新聞で見られたでしょうが、国家公務員並びに地方公務員給与改善するのだと、こう言っている。その場合に大蔵事務当局が、そういう内閣の方針によって財政計画を立てるのが私は大蔵省の役目だと見ている。それをあなたの答弁を聞いていると、いつも法律上の建前を言って、地方公務員地方公務員法によって、また地方自治法によってやったらいいんだと言う。私はそういう法律上の問題を言ってはおらない。今度の要するに給与改訂の問題というのは、これはもう大きい政治的な問題になっている。その際に、大蔵当局としてはこれに対してどういう考えを持っているかということを聞いている。それを幾ら聞いてもあなたそういうことを言う。従って、私は水田大蔵大臣に来てもらいたいと言うのです。あなたはそれ以上の範囲の答弁ができなければ、あなたはそれ以上の答弁はできないと言ったらいいんです。それを何とか答弁をごまかそうとするから、幾らでも私は食い下がっていくわけです。それで大蔵事務当局としてはそれ以上は言えないのだと、こう言われたら、私はあなたに対する質問を打ち切ります。
  69. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 先ほど来申し上げておりますように、地方公務員給与をどういうふうにしてきめるかという問題と、それから地方財政計画の上でどう扱うかという問題があるわけだと思います。地方財政計画でどういうような追加的な財政・需要が生じて、それに対しまして、先ほど来申し上げておりますような、地方税における自然増収、あるいは補正予算を組みました後におきまする交付税の増加配分、そういうような問題を地方財政計画の上で検討いたすということを申し上げているのでありまして、これは従来から国家公務員につきましての給与改訂などをいたす際におきましても、一貫してやって参ったやり方だというふうに考えます。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これ以上あなたを追及しても無理だと思います。ただ、今のあなたの答弁は、今の池田内閣がこれに対する方針を出してやれば、地方財政に対しても、今言われたように、地方財政計画の上で考えていくべきである、こういうことでいいんですね。
  71. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 地方財政計画の上で当然検討するべき問題であろうと思います。
  72. 横川正市

    ○横川正市君 私は関連をして自治大臣に、この点は一体どうされるのか、ちょっとお尋ねをいたしておきたいと思うのでありますが、自治省としては、地方団体に対して、助言、指導、監督の立場に立って、それぞれ給与の問題、財政計画の問題についてその職務を遂行いたしているのだろうと思うのでありますが、最近の人事院勧告の実施をめぐっての、たしかこれは自治大臣の意見か何かの中にあったと思うのでありますが、それぞれの地方自治団体でもって、一律一定化された、規律化された給与というものは、これは実施をしておらないわけですね。いわばそれぞれの持ち味をある程度生かして給与法上の決定をして、それを実施しているわけなんです。今度この人事院の勧告を実施するにあたって、何かそういう自主性ある給与の実施について、ある程度規制を加えて、できれば出たところは引っ込ませられるような、そういう処置もしなければならないのだというようなことを言っているように私は聞いているわけなんであります。これは今の主計局長の意見とも非常に引っかかってくる問題なんですが、おそらくこれは大蔵省あたりで、ある程度そういう意見を消化して、自治省はそれに対してやむを得ざる立場だというので賛成をしたようにもとれる節もあるわけなんです。実際上こういう地方自治体の給与上幾らかあるいわでこぼこについて、一体人事院勧告を実施する場合に、自治省としてはどう指導、助言するつもりか、その点をはっきりしておいていただきたいと思います。
  73. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 国家公務員人事院勧告に準じまして、地方公務員給与改訂をやらなきゃならぬことは、先ほど矢嶋委員並びに山本委員に申し上げました通りでありますが、その場合におきましても、従来地方公務員につきましては、今御指摘のように、地方実情に沿いまして、条例等によって相当幅を出しておるわけであります。従いまして、給与の実際にいたしましても、高いところもございますし、低いところも出ておる、これが現在の実情であります。今度の場合におきましても、むろん基本的には今の国家公務員と同じような方向で考えておるわけでありまして、それに対する財政措置も、地方財政計画の上で措置をするということは当然でありますが、その実施に当たりましては、従来通り地方実情に即しまして、条例等によって幅を持たしてやる、従来と少しも方針は変える気持はございません。
  74. 横川正市

    ○横川正市君 それじゃ自治大臣は、私の方は質問いいですから。
  75. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) いいですね、自治大臣退席されて……。どうぞ。
  76. 横川正市

    ○横川正市君 まず私は、官房長官と、それから人事院総裁に御質問いたしたいと思うのでありますが、最近の政府職員の中で、団体交渉権と罷業権との復活を強く要望する声が上がってきたのであります。それは諸般の事情のもとで、結果的にこういうことに帰結した要求の形になって現われてきたと思うのでありますが、政府としては、一体この要求についてどういうお考え方を持っておるのか。さらに、また第三者的な立場に立って、公務員身分給与または公平等の立場に立って所管をしておる人事院としては、この政府職員要望に対してどのようにお考えになっておるのか、一つそれぞれの立場から御答弁いただきたいと思います。
  77. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 一般公務員の団体交渉権、罷業権の問題につきましては、公務員の性格から勘案いたしまして、私どもはにわかに賛成できない気持でおります。現在の人事院による保護と申しますか、そういう権利がないものにつきまして、現在とっておる制度で特別の支障はないものと考えております。
  78. 浅井清

    説明員(浅井清君) 私も同意見でございまして、第一に民間の企業の従業員と違いまして、一般行政職にある公務員に罷業権を与えるということは、私どもは賛成ではないのであります。そういたしますと、団体交渉権がありましても、民間の場合と違いまして、この罷業権に裏打ちされていないということになりますから、その団体交渉権は、私はそう強いものではないように思うのであります。私は現行のような制度でよろしいんじゃないかと思います。
  79. 横川正市

    ○横川正市君 官房長官の意見から言えば、私はこれは今までの論議の中で、憲法上の二十八条と、それから十二条の関係を、それぞれ立場によってウエートを持たせて解釈をする、そういう立場に立っての答弁であったと思うのです。しかし、人事院総裁の答弁とすれば、私はこれは総裁の持っております役目というのは、いわば罷業権というものの裏打ちのない団体交渉は、これは効果がないのだという法的な、あるいはその結果からくる解釈では問題は解決は私はしないと思うのです。要は、やはり団体交渉権、あるいはその裏打ちとする罷業権というものはないかわりに、一体人事院というのはどういう立場で公務員身分の保障、あるいは給与の保障をしてやろうかという、この考え方が裏打ちにならなければ、私は実際上今言った総裁の意見には賛成しかねる結果になると思う。  そこで、大平官房長官にお伺いしたいのでありますが、この公務員の罷業権とか団体交渉権というのは、公務員の性格上から困るのだ。それから、その要求のよってきたるいろいろな原因については、これは現在人事院が誠意をもって解決をしているから、それで政府としては大体その方向でいくことについて賛成をするのだ、こういう意見のようですが、はたして今までのこのいろいろな形で人事院が出された対公務員関係の人事ないしは給与関係で、あなたはこれが全面的に満足だ、こういうふうにお考えになっていられるか。それとも、なおかつ、改善しなければならない問題があると、こういうふうにお考えになっておるか。私はそれは右するか左するか別といたしまして、政府の中には、人事院改組の意見というものは、相当根強く現在まであったと思う。その改組というのは、一体どこに根源していたかは、私どもも察するところはあるわけでありますけれども、当面の問題として、官房長官としてどうお考えになっておるのか、それをまずお聞きいたしたいと思います。
  80. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) すべての問題が、満足であるとか完璧であるとかというような処理が行なわれることは、大へんむずかしいと思うのでございまして、現実の問題として、この程度のことはやるべきだし、またやらなければならないというものさしで現実の情勢は動いているのではないかと判断いたしております。今日まで、人事院から何回かの御勧告をいただきましたので、できるだけこれを尊重して、そのラインに沿って不十分ながら措置し参ったと思っております。今回の勧告につきましても、できるだけ誠意をもって対処したいということは、かねて申し上げました通りでございます。ただ人事院改組の問題につきましては、私どもはこの勧告権というようなものに触れるつもりは毛頭ないのでございまして、公務員の立場を保護する上から申しましても、人事院がただいま持っておりますような権限は、政府の外にあるべきだと、こう考えておるのでございます。
  81. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、私はこれは必然的な結果として、いわゆる公務員の立場に立って、このままでは自分の身分とか、あるいは給与上の問題も守れないから、公務員公務員でこの団体行動権、それから団体交渉権、罷業権のその保護立法に従って、給与とか、あるいは身分上の問題を守りたい。こういう意向を持ち出したということは、これは政府としては非常に無理な言い方だと、こういうふうに、相手側の意見に対しては、一方的に政府として全然一顧もしないと、こういうことで現在進もうとされておるわけですか。それとも、今、私は、これはこの問題をめぐって物情騒然となって、公務員それ自体が自分の身分を守るために、その仕事上の問題で多くの紛争を起こす、こういうような結果になってくるということが、もしそういう積み重ねの中から政府として考え方を直す、こういうような結果を招来することは非常に不幸なことだと思うから、そうではなしに、当面なぜ罷業権や団体交渉権を復活してほしいと公務員の皆さんが念願をしておるのか、その点を十分考えていただいて、政府としては、在来とってきた人事院の勧告を何とか曲がりなりにも実施をした、それでかんべんして下さい、こういうことだけでは私は済まされないような将来の問題をこの問題には含んでおると、こう思うわけなんであります。官房長官として、この点について将来あなたのとっておられる態度で事は完全に処せられると、こういうふうにお考えになっておるのか、それとも、今のまま放置しておいては、公務員自体が実際上の職務そのものについてさえ熱を失う、こういうゆゆしき事態になるということを憂慮されて、これに対する何らかの政府としての処置をとらなければならない、こういうふうに当面を判断されるか。今の現状についての一つ判断をはっきりしていただきたいと思うのであります。
  82. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 公務員の待遇が民間に比べまして希薄であるという認識に立たれて人事院が御勧告されたものと思うのでございますし、人事院の勧告以前に、すでに政府部内におきましても、政策以前の問題としても、公務員給与改善の必要はあるというような判断にお立ちになっておったように承っておるわけでございます。で、今回勧告を受けまして、誠心誠意これを検討いたしまして、近くできるだけ完全にこれを実行に移そうと、こういう決意をしておるわけでございまして、私ども公務員の勤務の環境が安定して、職務に御精励いただけるような環境を作るべく、誠心誠意やっておるつもりでございます。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと議事進行ですが、官房長官、察するに御無理もないと思うのだけれども、あなたは今そこに体が来ておるけれども、頭がここになくて、総理大臣の施政演説の草稿ばかりを考えておるような、声も小さいし、何とかここで過ごせばいいといったような気持で、横川君が質問せられているが、どうも積極的なわれわれを満足させられるような答弁がなくて、非常に遺憾です。せっかく来ておられるのだから、施設演説の草稿なんか忘れてしまって、もっとせっかく質問しているのですから、しっかりした答弁をしていただきたい。どうもきょうはおかしい。
  84. 横川正市

    ○横川正市君 私は今の事態というものは、やはり政府としては相当深刻に事態というものを把握しなければいかぬと思うのですよ。ことに人事院発足以来、もう一昔も数えるような時代を経ておるわけでありますが、近来、ことに公務員が行政処分を毎年々々繰り返して受けておるというような事態があったわけですね。これは私は少なくとも業務に精励できるようなそういう雇用者として政府がものを考えておったら、こういうような結果にはならないと思うのであります。ですからこれは非常に大きな問題でありますから、ここで私は、きょうは少なくとも公務員のすべてが団体交渉権の復活というものを、年来のいろいろな行きがかりを考えた結果として、ぜひこれがほしいのだと、こういうふうに結論づけて行動しておるという点については、十分一つ近々に検討しておく必要があると思うのであります。この点だけは一つこの問題について申し添えておきたいと思うのであります。  それから人事院総裁には、私どもは常にまくら言葉のように、あなたは団体交渉権や罷業権というものを剥奪した、そのかわりとしての役所の役目というものを果たしているのだから、だから今度はこうしてくれ、ああしてくれということをたびたび私どもは機会を通じて言っているわけなんです。ところが実際には今度の勧告をめぐって見ましても、なるほど出された勧告にはいろいろ苦労の跡もありまするし、いわば数字的なものや資料的なものについては、説明としてはそろっていると思うのです。しかし、公務員の心をあっちにやってしまった勧告というのは、この資料も、それから努力も水のあわになっているのではないかと思う。今度の勧告をめぐって、私は旅行中でありましたが、一人の人が検束をされるというような事態を新聞で見たわけでありますが、まさにこれは第三者機関というものをわれわれが相当信頼をし、少なくとも公務員身分給与の問題については信頼してやってもらって、まかせるという制度上の問題について私たちは期待を持っておったけれども、その期待を裏切られつつあって、その結果としては、このものに対して不信感こそ高まれ、実際上の信頼というものは薄れ切っているということには、私は人事院として大きな反省をしなければいかぬと思う。私はたまたま私的な会合等でいろいろこの話をいたしますと、たとえば職員団体の指導者の人たちがどうだとかこうだとか、あるいは組織がどうなったからこうなったからということで要求の実体というものが曲げられて、そして一部の人たちの指導や扇動によるものだというような印象を非常に強く強めているというような事態にぶつかるわけですが、これも私は事態をとらえておらぬと思う。ことに、この団体交渉権や罷業権というものは憲法上の問題だといって、強く職員団体が要求し、それに対して十二条の公共福祉の問題を掲げて、人事院の存在というものを私ども相当強く打ち出したと思うのです。ところが、その公共の福祉の方はさっぱり忘れてしまって、団体交渉や罷業権を剥奪してしまったという点だけが大きく出て、それが作用してしまったということは、これはどうも最近の傾向として、非常に遺憾な点だというふうに思うわけなんですが、総裁としては今の事態を考えられて、団体交渉権や罷業権を要求するという公務員のこの切なる気持というものをどのように理解されているのか。この点一つこの機会にはっきりしておいていただきたいと思うのです。
  85. 浅井清

    説明員(浅井清君) まことにごもっともなお尋ねでございまして、人事院といたしましても、公務員の利益を十分守っていたかどうかについては、反省する余地は十分あると思います。その点は御同感でございます。しかしながら、この給与を使用者側と団体交渉の形でやるのか、それとも人事院のような制度でやるのか、それは国家公務員に関する限り、どっちがいいのかということは、これは非常に立場が違う者から見れば、結局意見は一致しないだろうと思っておるのであります。私どもの立場から申しますれば、ただいまの制度でよろしいと人事院は考えるのでありますが、これは横川さんのお立場とは違っておるかもしれません。でございますから、その点についてはこれ以上は申しませんが、ただ現在公務員といたしましては、それは給与は幾らでもよくなるということは、これは私どもは決して反対はしないのでございます。ただ問題は、人事院の置かれておりまする立場といたしましては、公務員法の諸規定のもとに民間給与調査したり、あるいは生計費調査したりいたしまして出すところのものでございまするから、どうしてもこのようなものになる。これに対する不満があることも十分われわれは存じ、かつ、反省はいたしますが、人事院の立場としては、こういうふうな勧告になるほかはない、かように考えております。
  86. 横川正市

    ○横川正市君 私は今のような、いわば抽象的な意見のやり取りだけでは説明のつかないものだと、こういうふうに考えてはおりますけれども、今総裁が最後に言われたように、人事院としては現在の制度はいいと思っているし、それから相手側のあることであって、現在までやってきた作業そのものについては、これはもう結果としてこれよりやむを得ない、だからこのままの形で、人事院としてはその成り立ちというものから作業を続けていく以外には仕方がないのだというような印象を私どもは受けるわけです。しかも、それは何回も反省をしてみた結果としてそうなんだ。そうだとすると、私は今回の勧告にのっとってちょっと考えてみたいと思うのでありますが、たとえば公務員の皆さんから大体平均して三千円の要求が出されている。それに対して人事院としては、二千六百八十円の財源を使った勧告をした。この点は、私は、金額的にいえば、いわば妥協の産物としての金額の一応の線というものは、これは結論から考えてみてあったのではないかと思うのです。しかも、それを政府が受けて、その実施についてその態度を明らかにしておる時期ですから、いわば、これはもう少し高くても政府はのんだと思うのです。あなたの方では、いろいろな作業の結果として、二千六百八十円という財源というものを一人頭に適当だというふうに考えた。ここまでは、私は一応の所産物のものとしてはうなずけるものがあるわけです。ところが、それを今度は配分する場合に、賃金というのは、今までは少なくとも生計費というようなものを中心として出されていた。ところが、その生計費という問題がだんだん能率給的なものに変わり、今回の勧告は、大体職務給とか責任給とかに変わってきた。しかし、その変わっていく過程の中には、少なくとも生活給としての納得のいく一線というものが守られた上で、その上にこの職務給とか責任給とかいうものは積み重ねられてくる、ここに話し合いの余地というものはあるのだと私は思う。ところが、生活給的なものの状態というものを全然考慮しないで、不安定のまま職務給と責任給というものを強く打ち出すということになりますと、会計の中に非常に無理が出てくる。そう思うのです。その無理が一般公務員の中の最大の不満なんです。それが上下の差の問題について強く追及される原因だと思う。この点について、総裁としては、少なくともこれは計算ずくの問題ではなしに、あなたの役所公務員の利益を守り、公務員が喜んであなたの意見に服するという、そういう立場から立って、現在のこの上下のきわめて激しい差をつけたこの改訂についての全面的な反対をしている公務員のこの実態についてどうお考えになっているのか、これを一つ私は聞いておきたいと思います。
  87. 浅井清

    説明員(浅井清君) 一部の人々から言われておりまするところの一律のいわゆるベース・アップ、これに対して私どもは変わった考えを持っておるのであります。それは、国家公務員制度以来、給与は職務と責任に応じて支払うという、いわゆる職務給的なものはすでに基礎づけられておるわけでございます。しかしながら、生活給と申し、職務給と申しましても、純然たる職務給的なものもございませんし、生活給的なものもないのであります。どっちの割合を多くするかという問題でございまするが、現在におきましては、逐次職務給的なものの方が多くなっているということは、御指摘の通りでございます。しかしながら、現在民間給与と比較いたしますれば、この程度の上下の較差は、私は認められてもよろしいのじゃないかと思っておる次第でございまして、従前のインフレーションの時代のように、非常に上下の較差を縮めました生活給的なものは、これはもう過去のものだと私どもは考えておるのであります。これは、横川さんと御意見があるいは違うかもしれませんけれども、私どもといたしましては、さように考えております。
  88. 横川正市

    ○横川正市君 私は、この点について給与担当大臣の意見もこの際お聞きいたしておきたいと思いますが、これは、計算の結果として出てきた数字を私どもは聞いておるわけじゃない。今作られた人事院の体系というものは、今民間給与との比較とか、物価の上昇に伴うところのいろいろな支出等もあんばいした結果において、人事院総裁はこの程度のものが妥当と考えるというわけだが、しかし、その妥当なものに対して、公務員の全体が反対して、この体系では困ると言っている。給与担当大臣としては、こういうような問題に対してどういうふうなお考えを持っておられますか。この際お聞きしたいと思います。
  89. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) ただいま人事院総裁からお話がございました通り給与の立て方あるいは考え方、そういうものにつきましては、やはり国家の機関である人事院がその責任の衝を担当しているわけでございまして、従って、われわれとしては、著しくこれに対する考え方の違いや何かがない限りは、人事院の考え方を尊重してわれわれとしては施行する。従って、ただいまのお話の点につきましては、われわれとしては、浅井人事院総裁と同じような考え方を持っておる次第でございます。
  90. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど横川委員の質問に対して浅井総裁が答弁されたのですが、これは私、はなはだ不満であります。この間私は、この九月一日の内閣委員会で、その問題について質問をいたしました。ちょうど浅井総裁はおいでにならなかった。瀧本給与局長に対して質問をした。それは、今浅井総裁のお話と全然違うのです。第一、ああいうふうに大へんな較差をつけなければならなかった理由はどこにあるのか。今総裁は、何か責任の重さとか、あるいは職務の困難さとか、複雑さとかというものを重点になすっておられるようなお考えのようですが、もしそういうお考えであるなら、あれだけの大差をつけられる、それだけ責任の重さと職務の複雑さ、これは変わったのかという私は質問をした。あるいはこれから変えられるつもりかという質問をしたことに対しては、そういうつもりはないという答弁なんです。それじゃ従来人事院が主張してきた、給与というのは、職務やあるいは責任の複雑さと関連しているのだという話と違うのじゃないかという私は質問をした。それからもう一つ、総裁は今民間との関係とおっしゃいましたがね。これは、民間との関係で、上の方は非常に上がって、下の方は上がっていないというはずはないのです。こういうはずはない。で、人事院は、あの線の引き方というのは、行一の場合で言いますと二等級と、医療職の二等級研究職の二等級、これを平均してみたらあれだけの数字が出た。六等級以下は、全職種の平均でとってみたらああいう数字が出たと、こうおっしゃった。それは同じ俸給ですよ。行一という俸給表を、二等級以上だけは、一番上げなければならぬ研究職と、それから医療職と比較される、六等級以下は全体と比較される、それはおかしいじゃありませんかという私は質問をしているわけですよ。さらに、民間の行一に該当する人たちの上がり方というのは、あんなべらぼうな上がり方じゃないですよ。どうもこの間私は質問して、それに対して滝本給与局長がお答えになったものと違うのです。困ります、そういうお話では。
  91. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 前回私が御答弁し申上げましたのが、ただいまの総裁の話と違うというような御指摘がございましたので、前回申し上げましたことと、ただいま総裁が一般的に答弁されましたことにつきまして、若干釈明させていただきます。  前回私が申し上げましたのは、今回の勧告の俸給表を作るにあたって、どういう考え方でやったかという点を御質問がございましたので、われわれが考えまして、またそういうふうにやった、その経緯を御説明申し上げた次第でございます。ただいまの総裁のお話は、まあ私がおそばにおって聞いております限りでは、一般的な話でございまして、最近民間において、この給与というものの中で、やはり職務に着目いたしまする考え方がずっと出てきておる、こういうお話であったように思うわけでございます。で、俸給表を作りまするときのやり方につきましては、私が申し上げましたことを具体的にはやったわけでございます。
  92. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうであるなら、今の一般的な意見としては、そういう意見が出ている。しかし、少なくとも人事院が勧告をしたあの数字についてはそうでないというお考えでしょう。一般的にはそういう話がある、しかし、具体的に人事院の数字はそうじゃないのだというお考えでしょう。そういうふうにこの間私は答弁されたように聞いているのです。ですから、私の聞いた限りでは、あれだけ上下較差をつけなきゃならぬ理由というものはないというふうに私は聞いている。理由があるなら、明らかにしていただきたいと思うのです。私は、同じ俸給表をあんなに切って比較するなんというおかしなことがあるのかという質問をしているのです。それに対しても十分なお答えがないのです。ですから、今の滝本局長ですね、お話が少し変ですよ。
  93. 浅井清

    説明員(浅井清君) 私がお答え申し上げましたのは、俸給表一般的に職務と責任に応じてやるべきだ。でございまするから、上の方を三〇%上げたから職務と責任が以後三〇%ふえるとか、下の方を一〇%上げたから一〇%ふえるとか、そういう問題を言っているのではないのであります。一般的に職務と責任に応じてこれくらいの上下の較差はあっても妥当ではないかと申した。そうしてどのような方法においてこの較差をつけたかということについて、瀧本給与局長が答弁を申し上げたのだろうと私は思っております。
  94. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私が言っておるのは、下の方が一〇%だ、上の方が三〇%だ、だから三〇%上がったとか、そういうことを言っているのじゃないのですよ。今の体系から非常に変わった形になるわけでしょう。下が一〇%、上が三〇%というのは、非常に変わった形になるんですな。上の方が職務あるいは責任の重さというのは非常に変わってくるのかという点を聞いた。ところが、そういう点はない、こうおっしゃるのですから……。
  95. 浅井清

    説明員(浅井清君) もしそういうお尋ねでございますれば、昨年中だるみを是正したときには、あの是正した部分は職務と責任が変わったのか、一昨年初任給を是正いたしますれば、初任給を取っている連中の職務と責任が変わったのか、そういうことは全然ないのでございます。つまり政策的に初任給のところの給与を引き上げることを妥当と認め、中だるみを是正することを適当と認めただけでございます。
  96. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そういうことをおっしゃるから、人事院の給与のきめ方は非常に恣意的である、方針がないじゃないかということを私はこの間も申し上げたのです。混乱しているのじゃないか。場合によれば民間と比較して給与を引き上げてみる。場合によれば民間と比較して初任給を是正してみる。そうして言葉では、公務員給与というのは責任の重さと複雑さによってきまるのだとこういうことをおっしゃるのです。わけがわからぬじゃないですか。混乱しているのじゃないですかね。
  97. 浅井清

    説明員(浅井清君) 鶴園さんの御意見のようでございますれば、これは、人事院はむしろ機械のようなものでありまして、民間との給与の差が出たらば、常にそれを一般にならして一般的なべース・アップをしなければならぬ、こういうことに相なるのであります。しかしながら、官民の較差をどういうふうに配分するかということは、これは人事院の判断にまかせられておることであろうと思いますから、ある場合には初任給の是正を必要と認め、ある場合には中だるみを是正することを必要と認め、ある場合には一般的に最正することを必要と認める。これは意見の相違であろうと思います。
  98. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もしそういうふうにお答えになるなら、その給与というのは、責任の重さあるいは複雑さによってきまっておるのだというような御答弁をなさらなきゃいいのですよ。
  99. 浅井清

    説明員(浅井清君) この職務と責任によって給与がきまるということは、これは国家公務員の立場の根本的な建前を述べたにすぎないのでございまして、では、それに与えらるべき給与をどうするか、これは基礎的なものに制約づけられるのでございまするが、あるいは初任給を是正する、あるいは中だるみを是正する、あるいは一般的に是正する、これは、勧告に関する限り、われわれの判断にまかせられておることであろうと思っております。
  100. 横川正市

    ○横川正市君 そういう問題は、私は、こういう点はじゃどうというふうにお考えになったかということをお聞きしたいと思うのです。それは、成年男子の生計費の取り方ですね。先般もここでいろいろ論議されたのですが、一般の市中の支出している実際とは、およそ資料というものは、これは変な資料だということは指摘された通りでありますね。そこで、その職務と責任を一つの土台にしてさて給与は一体どうきめられるかという方針が明らかになっているなら、まず私は、給与の根底になるものを一つきめて、その上に職務と責任というものを積み重ねていった、いわば要素というものを幾つか作って、その要素に対して金額を当てはめていく、こういう格好のものになるべきだと思います。それが、根本が、全然だれが見ても納得のいかないような資料を使っている。それから、実際の今度の体系を見ますと、研究職とか医療職とか大学の教授、いわばそういう科学技術部門ですね。そういうようなところにある程度の賃金を合わせて人材の登用をはかる、そうすると、上と下がものすごく大きくなるから、そこでその幅を金額でもって縮めていく、そこに私は多くの無理というものが出てきたのじゃないか。しかも、それを一般職に当てはめてみて体系を作ったと、こういうように見られるわけですよ。私は、そうではなしに、少なくとも現在の民間給与の上昇というものは、やはり生活水準の問題と物価の上昇率に合わせて民間賃金というのは上がっていくわけです。そうすると、どういう生活状態をしていようと、物価の値上がりとか、生活水準の上がりというのは、パーセンテージとしてはそう変わるべきものではないと思います。そういったものを根底にして、私どもは、その上にある程度の分配として職務と責任を積み重ねてくるならば、こんな上下の差は大きくいかないと思います。ことに等級からいけば八等級もあり、それから号数からいけば、相当大きな号数を持たなければならない。そうではなしに、もっと等級を縮め、通し号俸にも該当するような体系を作って、その上に職務と責任を重ねていけば、ある程度の体系というものはできるのじゃないか。この点については、先般私が質問したときに、給与局長が、そういう考え方もありましょうけれども、そうなれば、細部にわたっての職分が変わってくると言うのです。たとえば、私と伊藤委員とはそれぞれ持っている要素が違うので、十人十色だから、等級が号俸に当てはまるのにはいろいろな格好で作っていかなければ当てはめかねる、こういう理論を振り回しておったけれども、それは実際上の公務員の人事管理上、あるいは給与をもって少なくとも精を出して仕事をしてもらう、そういうところからいけば、そういう個々別別の細部にわたっての号俸の当てはめ方よりか、通し号俸的なものが効果があるように考えているわけです。そういう処置をとらないで、一つの理屈はあるけれども、実際の体系を見れば、上の方を一つ作っておいて、下との差があまりあるものだから、それに対して当てはめていく、財源は結果的に二千六百八十円、こういうような結果にしか見られない。しかしそれは、公務員全体から、きわめて悪評のある勧告になってしまっている。この点は、私はどうも納得がいかないので、体系の作り方からいっても、作られたものは公務員に受け入れられなかったという、この二つの面から納得のいかないものがあるわけです。それで、そう言っていろいろ言ってみても、おそらくここでは水掛論でしょうが、総裁としては、この体系は自分で作ったので、全く間違いのないものだ、だからいかに公務員が反対されても、これに対してもう押しつける、それ以外には方法がないのだと、そうお考えですか。それとも、もう少し公務員の皆さんの意見というものを取り入れて、この問題についてある程度の手直しなら仕方がない、あなたの手を離れたのですから、あとは政府におまかせだということではなしに、今あなたの出したこういうような勧告はきわめて悪評だという点から、一つ総裁の意見を伺っておきたいと思います。
  101. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっとお待ち下さい。  官房長官は、さきに連絡したように、大体三時半までということにしておりましたが、大体時刻も過ぎておりますので、退席してもらって、また次の機会に一つ……。
  102. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次の機会じゃない。もうちょっと待ってもらいたい。僕は二点ぐらいある。今横川さんが終わったあとでやります。
  103. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 人事院総裁はずっとおられるので……。
  104. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 官房長官またといっても、もう次の国会までお目にかかる機会がないから、決して来はしないから、だからもうちょっと、横川さんが済んでから、二問だけありますから、しばらくがまんして下さい。
  105. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 第一に、横川先生の言われるのは、生活給的なものが職務給的なものに吸収されなければいかん。少なくとも基礎に生活給的なものがあって、その上に職務給的なものの色彩を出す、こういうふうな御意見であろうかと思いますが、われわれといたしましては、そういうつもりでやっておるのでございます。それ以上は意見の相違であろうかと思っております。それから、現在におきまするこの勧告は、人事院といたしましては、これは妥当なものだと思っておりますか、これは、結局国会及び内閣に提出しておりまするものでございますから、これ以上どのようなふうに取り扱われるかは、これは国会と内閣へおまかせするより仕方がないものだと思っております。
  106. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと委員長にお願いしておきますが、私、ちょっと時間で退席しなければいかんものですから、議題をちょっとそれますから、この際に質問しておきたいのは、あと少しですが、官房長官と給与担当大臣、行政管理庁長官です。  私は、給与関係で、政府の新聞発表を見ておりますと、大体十四日の閣議で最終的な決定をしたいというふうに新聞では報道されている。そこで、この人事院の勧告を年内に実施をする期日は、新聞によりますと、十月というようになっておるのでございますが、これを勧告の趣旨に基づいて、今まで日にちを明示して勧告されたのが非常に少なかったわけです。何か一回ぐらいあったわけです。今回は、勧告前の委員会を通じて、当然これは実施期日というものを明らかにすべきだ。ことに今までの勧告というのは、勧告をされて、そうして通常国会へ持ち越されて、通常国会から審議をして実施をしますから、ひどいのになりますと一年、早くても半年以上実施がおくれる。こういう現実の問題があって、そうすれば、せっかく給与の体系その他を作って、民間給与との比較やら、あるいはある程度の要求に対する答えを出しておきながら、実施期日がおくれるために、空になってしまうということがたびたびある。そういうことから、五月一日の実施というのは、非常に強い要望として私どもは勧告前の委員会で人事院に要請をし、さらにまた政府に対しては、勧告が出た場合の実施についても、この点を強く期待をしておったわけなんですが、政府としてこの十四日の閣議できめるのは、大体勧告をのむことはさまった。ただ問題なのは、自治団体の予算上の問題で、山崎大臣と水田大臣との意見が違うので、その調節に残した。態度としてはのむのだ。それから実施期日については、これは十月というように出ておりますが、私は、これは前に言ったいきさつから言って、当然これは五月一日から実施すべきだ、こういうふうに考えるのですが、官房長官として、私のあげました意見に対して明確なお答えを出していただきたい。
  107. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 人事院の勧告を受けましてから、政府におきまして鋭意検討して参りました。ただいまの段階では、なるべく早く方針をきめてお示しすることが必要であると思いまして、作業を急いでおるわけでございますが、十四日まで延びておりますゆえんのものは、御案内の通り地方財政計画との関連で、人事院勧告をのむといたしますならば、本年度はともかく、明年度以降もひとしく人件費を約束することになりますので、大蔵、自治両省の間にいろいろ御見解があるようでございまして、そのための調整をお願いいたしておることが主たる理由でございますとともに、政府といたしましては、本年度の補正予算に関連いたしまして、人事院勧告ばかりでなく、その他緊急を要する事案についても、大体の見当をつける必要がございますので、今日に至っておるわけでございます。で、お説のように、すべての事情が許しますならば、五月一日にさかのぼって遡及実施することが本意でございますが、中央地方を通じまする行政上の諸案件とのバランスを考え、財源的な手当の問題も考えなければなりませんので、私どもとしては、事情の許す限り、できるだけ早く実施に運びたい決意で当たっておるわけでございまして、十四日の閣議には、成案を得たいともくろんでおるわけでございます。
  108. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと、今度は行政管理庁長官と官房長官に、関連してちょっと質問しておきたいのですが、九月二十五日の新聞に、定員法と今度のベースの問題と関連して、約六万名くらいは整理をしなければならないのではないかというような記事が出ておるのでありますが、一体これの真偽についてお伺いいたしたいと思います。  それからもう一つは、先ほど矢嶋委員の質問に官房長官答えて、先般政府から出されました定員改訂の法律案については、それぞれ与野党に対して、次の臨時国会でこれを通過させるように要望している、こういう意見であったわけでありますが、私どもは、それぞれの行政部門で、あの法律案の流れたことから、定員関係できわめて多くの支障を来たしているという事実を、実はきょう時間がありませんので、指摘はできないわけであります。きょうそれらを言っているひまがありませんから、端的に一つ、これは、新聞によりますと、何か選挙法すら通らないようなあわただしい国会の情勢の気配もあるわけであります。そこで、そういうような結果から、これが再び日の目を見ないというようなことになっては、非常に大きな支障を来たすわけでありますから、私は、そういうことはないということを政府がが決意すれば問題はないわけであります。私どもは、最大限それに対してきょうは要求するわけですから、賛成をして、問題の解決をはかりたいと思っておるわけですが、そういう立場から、この際一つ、行政管理庁長官とそれから官房長官から、もう一度はっきりした態度を示していただきたい、かように思っております。
  109. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) ただいま横川委員から御指摘の、何か定員法改正に伴いまして、六万人ほど定員外の者を整理するという記事は私も見ました。しかし、これは全く事実に相違するのでございまして、たびたび私どもは、今回の給与改訂に伴って、それの財源措置として、行政整理等によってこれの財源を出すという考えは毛頭ないということは、これは繰り返し申し上げたのであります。もちろん、一方におきましては、前から、それとは関係なく、公務員能率向上であるとか、あるいはまた事務の簡素化、あるいはそれに伴う行政配置、それらによって極力新規の増員は押えるというような考えはございましたが、ただいまの御指摘のような、べース・アップあるいは定員法改正等に伴って、相当の、数万の人を整理するという考えはございません。  それからなお、今横川委員から御指摘のありました定員法につきまして、先ほども御指摘のありましたように、七千三百名程度の定員法改正が今衆議院に継続審議になっておる関係上、行政各省といたしましては、非常にそのやりくりに困離しておる事情はとくと承知いたしております。従って、これは最も早い機会に、われわれとしては、先ほど官房長官のお話のように、国会の審議を経て成立を望んでおります。しかし、臨時国会においてこれが成立するかどうかというようなことは、国会運営のもっぱら観点でございまして、われわれとしては、これはどうも今度の臨時国会では困難じゃないかという予想はしておりますが、もっぱら国会運営にかかるものでなかろうか、こういうふうに考えております。
  110. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 今度の人事院勧告に基づきます給与改善に関連しまして、行政整理を行なう意思は毛頭ございません。  それから定員法のことにつきましては、先ほど冒頭矢嶋委員の御質問に答弁を申し上げた通りでございます。
  111. 横川正市

    ○横川正市君 今の高橋行政管理庁長官のあれでは、いささか私、心もとないと思うのですよ。与党側が決意をしてないものはないのでありまして、私どもは先国会でまことにひどい目にあったわけでありましてね。そういう点からいって、私ども要望して、あなたの方が当然出した法律案が出されないなんということはないわけで、しかもそれは、そういうそれぞれの行政部門で口をあけて待っている定員関係の法律案でありますから、私は、そういう国会の与野党の何か取引みたいなことでどうもということでやり、あるいは与党の事情でどうもというような、そういうことでなしに、次の国会でこの問題は取り上げてくれるように、強くこれは要望を申し上げておきます。
  112. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 官房長官への質疑をお願いします。委員長ね。きょう十時からあったのですが、都合で午後一時からになって、非常に質疑を能率的にやらしていただくことの配慮をしていただいておることは非常にありがたいと思うのですがね。しかし、政府委員の出席が順調に来なかった関係上、われわれとしては非常に迷惑しているわけです。ただ、きょうは給与定員関係をやろう、非常に重要ですからね。それで、系統的にやろうというので、横川委員をトップ・バッターに、山本、鶴園伊藤矢嶋という何でね。組織立って問題点を明確にしようというので、ちゃんと準備してきているわけなんです。ところが、冒頭に横川委員要望している政府委員がおいでにならないものだから、自治庁が先になって、それで転々ところんで、非常に質疑しづらいわけですね。これは委員長の何でなくて、政府委員の方が委員長の心配にかかわらずおいでにならないので、非常にいかぬことですが、この点は官房長官、内閣を代表して聞いておいてもらいたいと思う。それで、あなたも非常に心そぞろのようですから、あなたに対する質問だけ、委員長の御要望もありますから、二点だけ伺っておきたいと思う。  その一つは、きょうあなた総理大臣のかわりとしておいで願ったのですよ、実はね。総理大臣においで願うのは、これは無理だから、総理大臣の気持は、十分あなたはわかっているはずですから、おいで願ったわけなんです。その立場から伺いたいのだがね。さっきも質問出ましたが、七日に関係相の協議の途中から総理が入られて、十四日の閣議に持ち越したというのだね。総理の心中の一番大きい点はどういうところにあるのか。と同時に、給与担当相で検討しておるわけですから、内閣の方針というものがあると思う。その立場から、非常にこの勧告は上厚下薄だ、上はともかくも、下の方が安過ぎる。これは、この前の委員会で、鶴園委員も前の人事院の資料ではっきりと指摘して、瀧本給与局長が認めたわけなんですよ。人員構成の多い六、七、八等級というようなところが不当に下げられているわけですよ。だから、上と下がバランスとれないわけですね。この点については滝本さんも認められている、鶴園氏の追及に対して。で、初任給あたり非常に低いわけですね、六、七、八等級。だから、ここのところに少しかぶせる、初任給初め六、七、八等級あたりをもう少し引き上げる、少なくとも引き上げる、その程度の方針を打ち出されておるのではないかと思うのですが、そういう点については、内閣としては、総理としてはどう考えられているか。  それと、一体この一般職の国家公務員についてですが、地方公務員についてはさっきわかりました。で、特別職ですね。これらは引き上げ率を同じにするのだと思う。それから、施行期日も同じにするものだと思うのですがね。そういう方針でおられるのか。それとも、特別職については、引き上げ率を若干検討して変えようとか、施行期日については変えようというようなお考えを持っておられるのかどうか。まさかそうじゃないと思う。この臨時国会かあるいは特別国会に予算措置をする。それから、法律案を提案してくる場合には、これらを同時に私は出してくるものだと思う。それから、その実施期日についても引き上げ率についても同じにされるという立場において、担当高橋国務大臣に検討を指示しておるものと、かように思うわけなんですが……。  この点と、それからもう一つ、それと同類の問題としては、三公社五現業関係ですね。こういう関係への波及というものは、そういう関係者の自主的な動きにまかせる方針でいるのか。それとも、一般職の改訂を人事院勧告に基づいてやるにあたって、それらとのバランスも考慮し、政府はそれらも同時にやろうというお考えか。これが第一問。もう一問ありますが、それをお答え願いたい。
  113. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 決定が十四日に持ち越しになりましたゆえんは、先ほど横川委員の御質問にお答えいたしました通り、中央、地方の間の財政計画上の了解をできるだけつけるようにということと、それから、給与改訂だけでなくて、その他の緊急案件に対する腹がまえを作る必要があるから、前々閣議で決定して公表いたしました通り給与の取り扱いは十月半ばまでにはきめるということを天下に公表いたしてありましたので、十四日まででおそくはない、こういう判断でございます。  それから、特別職の取り扱いにつきましては、実施の時期もその内容も、一般職の給与改善の趣旨に沿いまして善処するつもりでございます。  それから、三公社五現業につきましては、全然系統を異にいたしますので、政府からとやかく干渉するつもりはございません。
  114. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一項目伺っておきますが、あなたは、今総理大臣の施政演説の草稿を盛んに練られていると思う。従って、筋が頭に入っておられると思うのですがね。本会計年度における補正予算に、過年度災害復旧と中学生生徒増に対する対策と年度内減税、これをどの程度数字を考えられておるか。最後の質問をする関係上、それをちょっとお答え願いたい。頭にあるはずです。それなくて草稿なんか書けませんよ。
  115. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) そういう問題につきまして、できるだけの措置をするというつもりでおりますが、計数にわたりましては、大蔵省で検討中と存じます。
  116. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 主計局長、大まかな数字はどういう指示を受けていますか。お答え願います。
  117. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) ただいま官房長官からお答えをいただきましたように、今申されたような事柄は一つの検討事項でございまするが、どういうような数字になるのか、まだそこまでの結論は得ておりません。
  118. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そんなキャッチボールみたいなことをやっては困りますよ。事務当局は無理であっても、内閣の方針として、どの程度の数字というのは持っているはずですよ、あれだけ国民に公約を発表する以上は。特に、十七日から国会が開かれて、十七日か、十八日――おそらく十七日になると思いますが、十七日か十八日に演説をやるわけですよ。その場合に、こういう腹ごしらえがなくて演説されますか、総理大臣は。だから大まかに過年度災害復旧、中学生徒の急増対策の補正予算における金額、年度内減税どれくらいという数字があられるはずです。大まかなところでいかがですか。
  119. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) はなはだ申しわけございませんが、先ほどお答え申し上げた通りで、きょうはかんべん願います。
  120. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで、あなたに対する最後の質問ですが、あなたの数字はどれくらいか、私も一応数字は持っておりますが、本会計年度内の税の自然増収は少なくとも千五百億円、あるいはうまくいけば千七百億くらいあるかもしれないと、こう見られているかもしれない。あるいは千八百億くらいになるかもしれない。少なくとも千五百億はある。そういうことになりますと、総理が言っている、過年度災害は本年度に繰り上げ、中学生の急増対策、年度内減税、これは第四四半期からになる。そういうものを入れても、人事院勧告は四月一日のデータでやっているので、昭和三十五年の会計年度第一四半期から十分やれると思います。十分やれますよ。だからその角度で、四月一日のデータでやっているのですから。しかも小売物価はどんどん上がっているわけですから、御承知の通り上がっているわけなんですから、そうなりますと、どうしても四月一日から実施されなかったならば、公務員の非常な不満を買いますよ。従って、私が今申し上げた、これは数字はあなた腹にあるけれども、ここで述べられないわけですが、これら小売物価の上昇状況、人事院のデータが四月のデータである、これが基礎になっておるという点から、双方勘案して、やがてわれわれに法律案あるいは予算案を提案するにあたって、審議を要求して参るにあたって、昭和三十五会計年度第一四半期から遡及実施するという点で検討努力していただきたい。これは、強く私は御要望申し上げます。この点は、総理にも官房長官から親しくお伝え、御善処願いたいと思うのですが、御答弁願います。
  121. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 御趣旨はよくお伝えいたします。
  122. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは、大平官房長官はよろしゅうございますか。
  123. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この間、八月十日に、本内閣委員会におきまして、官房長官が、給与の改訂と関連して行政整理はやらない、人間を整理するというようなことはしないというよなお話をなさったわけですね。それで、九月でありましたか、国鉄の人員構成がちょうちん型になっておる、従って、来年から一万五千ずつ四十歳以上の人について整理をしたいという発表があって、その翌日でしたか、官房長官の談話として、国家公務員の場合においても同じようなことが言えるのだというような言い方をされたというふうな新聞発表なんですね。与えておる影響としましては、感じとしては、どうもこれは国鉄の場合と同じように、来年からある程度の年齢以上を考えておられるのじゃないかという、そういう印象を与えておるわけですね。そこへもってきて、この九月二十五日ですか、産経のトップ記事として、六万名整理するというのが出た。長官も今そういうことは考えていないというお話ですが、非常にそういう印象を与えておるわけですか。それを一つ伺います。
  124. 大平正芳

    説明員(大平正芳君) 一般的な問題といたしまして、人員構成が頭が重くなってきておるということは、これは、官庁または官庁関係の企業ばかりでなく、民間についても言えると思うのであります。そういう問題について、国鉄の関係委員会の方で何かそういう意見が出たということに対して、一般的な問題として私に所見を求められたわけであります。それに対しては、そういう現象は官民を通じてある。国家公務員側においても検討してみたことがないとは言えないということを申し上げたにすぎないのでありまして、今度の人事院勧告に関連して、あるいは国鉄がどういう措置をおとりになるかどうか知りませんけれども、それに関連して国家公務員側でそういう措置をとるとかいうことは毛頭ございません。
  125. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 勧告の内容につきまして、この間、九月の一日に、この内閣委員会でだいぶ論議をいたしたのであります。その際に、高橋給与担当大臣は、今内容について慎重に検討中だというようなお話で、従って、まあ審議の内容を拝聴しておるのだというような意味だったと思うのです。その後文部省が、教育職の一についても考慮したいという意見を発表しましたね。それから最近になりまして、科学技術庁が、研究職の公務員について、行一にしたいというまた案を出しましたね。そういうような問題も全部引っくるめて、国務大臣においては内容について検討をなさっておられるのですか。
  126. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) 今のお話の点につきましては、われわれの方でもとくと研究しております。ただ、文部省あるいは科学技術庁の御意見等もございまして、研究職に対する現在の俸給では、とうてい所期の研究なりあるいは講師等の、あるいは教師の補充というのは非常に困難である、こういうふうな実情をわれわれも承知しております。しかし、なかなか給与体系上においてこれらを解決するというとは非常に困難でありまして、われわれといたしましては、これらの問題は必ずしも給与体系だけの問題ではない、あるいは研究施設とか、あるいは研究費であるとか、そういったような別途の角度からもこの問題の解決ができるのじゃないか、あるいはその他の残余の問題につきましても、いろいろ各省から出ておりますが、これも若干運営上におきまして解決ができる目安もあるのではなかろうかというので、今人事院当局とも話をいたしておる次第でございます。従って、われわれといたしましては、給与体系上の問題としては、人事院の勧告を大体尊重する、こういう建前で来た。しかしながら、それに対していろいろのそういう問題のある点については、別途に運用上もしくは別の角度から解決のできる問題については、そういう角度からあわせて一つ考えてみたいと思う、こういうふうに考えております。
  127. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 内容の点につきまして、この間まあここでだいぶ審議が行なわれて、御存じだと思うのですがね。それで、せっかく今内容について御検討になっておるなら、ぜひ一つ要望をしておきたいと思うのですが、これは、人事院がどういうふうに今後されるつもりなのかという点について、人事院の浅井総裁にも伺いたいと思うのです。それは、先ほど私が申し上げましたように、非常に妙な配分になったと私は思っておるのです。さらに、その配分のやり方については、瀧本さんがこの間答弁されておるわけですが、非常に妙な配分になってしまって、これに対して公務員の方で非常に不満があるということ、非常に不満があるということについても御存じだと思うのです。その結果として、三等級以上につきましては、ことしの四月の民間給与に少し上回っておる。それで、四等級以下につきましては、大体昨年の三月末の民間給与にほぼひとしくなっておる。同じ俸級表がこういうふうに一年のズレを置くということはどういうふうに考えておるのかという質問を滝本さんにしたわけですが、あまり好ましいことじゃないというような趣旨だったというふうに私は記憶をしておる。そういう状態で置いとくということはいけないのじゃないかと思うのですがね。同じ行一の俸給表をとった場合に、三等級以上については、ことしの民間給与より少し上回っておる。四等級以下は、いわゆる昨年の三月末だ。そうして昨年からここ一年間に、非常に民間は賃金が上がったと人事院が言われる。それとは無関係な状態に置かれるという、これは好ましいことじゃないだろうというふうに思うわけです。これについて、人事院としては、今後どういうふうにされるつもりなのか。政府としてはどういうふうに考えておられるか。私としましては、こういうことのないように、この際一つ慎重に検討していただきたい、こう思っておるわけです。
  128. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 官房長官の方はよろしいですか。――それではどうも御苦労でした。
  129. 浅井清

    説明員(浅井清君) 人事院といたしましては、もうすでに勧告をいたしておるのでございますから、ここで勧告を修正するということは考えておりません。ただ、いろいろの御意見につきましては、今後国会及び内閣においてどのようにお取り扱いになるか、これはおまかせするより仕方がないと思います。
  130. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) 政府といたしましては、先ほど申し上げました通り、国家機関として人事院がございますので、従って、その人事院の考え方を尊重していく、こういう建前でおるわけでございます。従って、将来人事院が何らかのこの問題についての勧告がございますれば、それはそのときにおいて検討いたしたい、こう考えております。
  131. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この間の九月一日の内閣委員会におきましては、人事院としても、三等級以上が、確かに民間の行一に相当するものと比較して、ことしの四月末のよりも少し上がった、それ以下のものは大体昨年の三月末の実情だという点については、人事院としても大体そういうことだというようにお認めになったところなんですね。そういうことがいいのかどうかということですね、同じ俸給表について。そういうような存在をそのままにしておいていいのかどうかということだと思うのですね。給与担当大臣としましても、ちょっと自主性がないのじゃないかと思うのですが、あまりひど過ぎやしないか、こういうやり方は。人事院が勧告したからそれを尊重するのだというのだが、実施の時期については、五月一日が、どうも先ほどの話では、とてもそんなことになりそうもないというふうに受け取れるわけですね。ちょっとばかり私は、これは三十六万の公務員を預かっておる給与担当大臣として、少なからず不満があるのですけれども、もっとやはり検討なさって、是正すべきものは是正されていいのじゃなかろうかと思うのです。そういう尊重尊重と言って、実施の時期は十月だ、十一月だという話では、どうも得手勝手のようにとれてしょうがないのです。
  132. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) いろいろそういう内容についての御議論もあると思いますが、先ほど人事院総裁からお話がありました通り給与の考え方というものにつきましては、やはり人事院の考え方というものを尊重する。従って、その考え方によれば、職務と責任の複雑さに応じた一つの給与体系上の問題として考えておられるのであります。従って、われわれとしては、その考え方を尊重していく、こういうことに相なっているわけであります。
  133. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 人事院の方はどうですか。
  134. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 前回私が申し上げましたことを基礎にしていろいろ御質問のようでございますが、あのときも申し上げたように、今回の人事院勧告は、俸給表別に民間との較差をそれどれ対応さすという方式ではやらなかったということを申し上げた次第であります。で、行政職だけについてみますと、去年の数字を鶴園委員がお示しになりましたような状況になっているということを私も肯定いたしたのでありますが、もしそういうやり方でやりますれば、俸給表別に見れば、下げなければならぬというようなものも出てくるわけです。これは人事院はとらなかったのでございます。やはり公務員部内の均衡というような観点から、俸給表別に、大体対応いたしまする等級の辺は同じように扱っていこう、こういう方針でこの俸給表改善をはかった、こういうことになっておりまして、人事院としましては、あのやり方が不適当であるというようにはただいま考えておらないわけであります。ただ、あのとき申し添えましたように、やはり全体として見ます場合に、中間等級あたりを、もう少し増額することができればなお好もしかったであろうということは申し上げたのでありますけれども、われわれがやりましたのは、官民比較の場合におきまする全体較差一二五というものに着目いたしまして、その範囲で全体をどのように改善したらいいか、こういう観点からやった次第であります。従いまして、先ほどお話がちょっと出ておりましたが、二千六百八十円というものをきめて、それの配分をはかったんじゃないかというお話が出ておったのでありますが、そういう言い方もできるわけでありますが、われわれがやりましたのは、一二・五という、この官民較差というものを基礎にいたしまして今回の俸給表改善をはかった、こういう関係になっております。
  135. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この間の本委員会におきましては、今滝本さんのおっしゃったような形で俸給表を作ってみた、しかし、その結果は、私がさっき申し上げたように、三等級以上と四等級というものは非常に断層のある状態に置かれたということだと思うのですよ。それが好ましいか好ましくないか。別な角度から見てですね。それが好ましいか好ましくないかという点については、今滝本局長がおっしゃったように、あまり好ましくないというようにお考えのような発言だったと思うのです。これは当然だと思うのです。浅井総裁だって、そういうようにお考えになると思うのです。そういうような実情の中にあって、給与担当大臣がですよ。せっかくのそういうようなお話の中にあって、御努力をなさらないというのも、またおかしなものだと思うのですね。政府としてはもっと点…今ほんとうに公務員が反対をしているわけですよ。あれだけ四等と三等の間に大きな断層ができちまったら大へんなことですよ。一年おくれになっているのです。また、そういう事態について、担当大臣は、もっと一つ御賢察をなさって、御検討いただきたいと思うのですがね。
  136. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) ただいま人事院の方からお話のございました通り、若干それらについても問題があるにいたしましても、全体としてそういう調和のとれた形において出しているで、従って、今提案せられているのは、人事院として最も適正なものであるという観点に立っているのであります。従って、政府といたしましても、方的に見て、あるいはそういうふうに御意見の分かれるところもございますけれども、これはやはりわれわれとしては、従来とって参りましたこういう考え方に違いというものについては、人事院の考え方を尊重する、こういう方針でやっているわけでございます。
  137. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは行一だけじゃないのですよ。私は行一の例をとって申し上げたのですが、医療職の場合においても、研究職の場合においても同じですよ。全く一年おくれです。あそこの大きな断層を引いた以下は一年おくれになったのですから、それは、だれが見たってあまり好ましいことじゃないという感じをお持ちになる。われわれとしましては、はなはだ不満であるわけです。しかも、今ほんとうにそれを実施されようという公務員の側においては非常な不満があることは、担当大臣御存じだと思う。それをまた、前の通り人事院の勧告を尊重したというのでは、ちょっとばかり自主性がなさ過ぎると思うのですが、もっとお考えになっていいんじゃないかと思う。重ねて一つ要望しておきます。
  138. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは私から。この十四日に大体この問題を閣議で結論を出すということの見通しの上に立って、最後委員会ですから、極力政府に質問しておきたいと思うのです。特にまた人事院には再度一つ尋ねておきますが、先ほど浅井総裁は、公務員給与は、その職務の責任の度合いとか、あるいは複雑性と言っておられますが、基本的には、それはわれわれとして異議があるのです。あるのですが、現行されておる立場から論じますると、国家公務員法第二十八条第二項にこういう一項があるのです。「人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。」その次に、「給与を決定する諸条件の変化により」ということがあるのですね。それが、あの人事院勧告で、生計費とか、あるいは民間給与調査をして、それが適合しているかどうかということを一つの大きな要素にされておると思う。従って、要するに職務の度合いとか、あるいは複雑性ということがオールマイティーで、それによって人事院が勝手に、上厚下薄といいますか、あるいはときによっては下にやってもいいのだというような悪意的な方法でやり得ることが正しいかどうか、そこまで権限があるかどうかということについて、一つ最初に答弁願いたいと思います。
  139. 浅井清

    説明員(浅井清君) ただいまお述べになりました二つの条文は、同一平面にあるものでございまして、職務の責仕の度合いにより給与が支払われるということは、給与に対する根本的な基準を述べたものでございます。二十八条は、俸給表はどう改正するかというときのことを述べたものでございまするから、この二つは、私は矛盾していないと思います。
  140. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 矛盾しておるとは言っておらない。あなたは先ほど、前者にきわめて多いウエートを置いて説明されたから、具体的に言えば、いわゆる生計費がどういう工合になっておろうとも、民間の企業との比較がどうあろうとも、それは勝手に配分をやつてもいいんだというようにわれわれは受け取った。私はそうではないと思う。賃金の基本論から言えば、生活するということのかてですから、そういうものを高い位になりさえすればよけいやったらいいということにはいかないということを言っているのですが、そういうことを私は尋ねておるのであります。
  141. 浅井清

    説明員(浅井清君) それは、ただいま二つの条文は同一平面にあるということを申し上げておるのでありまして、決して一方だけを重んずるという趣旨ではございません。これは、ただいまの御意見と違いはないと思います。
  142. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これについては、論争すれば幾らでも――いつも回転しておるのですが、それで、具体的に私は人事院勧告について、配分の問題は鶴園委員がこの前から相当やられたので、私は二点だけここではっきりしておきたいと思う。  先ほど、民間との給与の較差が一二・五だと、こういう前提にあられたのですが、その一二・五がいわゆる人事院が正しいと思っているところに間違いがあるのだということをわれわれは痛感しておるのです。それについて、いろいろ今問題がたくさんあるのですが、第一に、一つだけ申し上げますと、今度の一二・四を出されたいわゆる方式と申しますか、それはラスパイレス式で出されておる。そのほかにパーシェや、それからそれを調整したフィッシャー方式がある。その場合に、われわれの聞くところによると、ラスパイレス式にやれば、低くこれは結果が出てくる。それからパーシェ式でやれば、まあ比較的高く出る。それをフィッシャーで調節してやるというのがあなたの理論だということを聞いておる。今度の低く出るラスパイレス式でやったのが一二・五だというのですから、私はそれが低く出ておるのじゃないかと思うのですが、この席上で、そうでないんだと、これでいいんだと、これで中庸を得ているのだということがはっきり言えるかどうか、人事院として言えるかどうか、この点一つ。
  143. 浅井清

    説明員(浅井清君) 給与局長からお答えをさせますけれども、今、「聞くところによると」という仰せでございますけれども、どこからそういうことをお聞きになったか存じませんが、われわれは、初めから低くするためにさような方式はとっていないわけでございます。給与局長からお聞きをいただきたいと思います。
  144. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 公務員民間とを比較いたします場合に、どういう方式がいいのかということがあるわけでございまして、大体ラスパイレスとかフィッシャーとかパーシェとかいいましても、ほんとうは物価指数の比較の場合に用いておったのであります。それをわれわれ給与の比較という場に持ち込みまして、そういう比較をやるのが適当じゃなかろうかということを考えたわけであります。仰せのように、この物価指数あたりでは、フィッシャーというものを用いるのがまずよろしい。そうして過去のある時点と現在の時点とを正しく比較いたします場合等におきましては、消費されます商品の状況が非常に違っておるというような状況があるわけでありまして、そういうときに、過去の時点を基準にしまして、そのときの商品の分布状況を基礎にして比較することは適当じゃないのじゃないかというような話もありますし、また、現在の時点のいろいろな商品にウェートを置きまして、そうして相当距離の離れた昔のことを比較するのも適当じゃないのじゃないか、そういう場合には、両者求めましたものを二つ掛け合わせまして、それを平均するという方法によればまず適当じゃなかろうか、これは、そういう意味におきましてフィッシャー式がいいといわれております。  ところで、公務員給与民間給与を比較いたします場合には、公務員人員構成というものと民間人員構成というものが違う。従って、公務員人員構成を基礎にして、民間の賃金の状況を直してみる。そうして公務員の方を基礎にして比較するのが適当じゃなかろうか、こういう考えから、公務員を基礎にしてラスパイレスというものを用いておるわけであります。これは、公務員人員構成というものと民間人員構成というものがいろいろ変わりますれば、パーシェが低くなって、ラスパイレスが高くなるとか、いろいろの場合が出てくるわけであります。フィッシャーというものを用いることは、必ずしも今の場合は適当でないのじゃないかということと、それから、官民の較差をそのまま公務員に持ち込みました場合に、直ちにそれで、その率で改善し得るという利点がラスパイレスにはございますので、今われわれはそういう観点からラスパイレスというものを用いまして、公務員人員構成を基礎にして、そういう形に民間を置きかえた場合の民間給与がどうなっておるかということを調べて、そうして官民比較をやっておる、こういう状態であります。
  145. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 非常に苦しい答弁だと思うのですがね。それではもう一ぺん尋ねますが、かりにあなたの理論を、今度の改訂についてそういう理論をとったというのならば、ラスパイレスとパーシェとフィッシャー、それを調合してやられたことがあるのかどうか、そうした結果がどうなっておるのか、これを一ぺん答弁してもらいたい。
  146. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 今年については、そういうものを全体的にやった資料は持ち合わせておりません。過去の資料は、人事院月報に出ておりますが、それをごらんいただきますればおわかりであろうと思いますが、大体フィッシャーといものが、ラスパイレスとパーシェの平均的な値が出てくるということは、これは確かでございますが、フィッシャーが高いか、ラスパイレスが一局いか、パーシェが高いかということになりますと、ただいま申し上げましたように、人員構成の変化に応じて、いずれが高くなる場合もこれはあり得る、こういう状態であります。
  147. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 公務員人員構成民間人員構成とのいろいろ問題があるということを主張されておりますが、それだからこそ、そういう人員構成がいろいろと違っておるから、パーシェもとって調整するというのが私は妥当な方法だと思う。これはとっておらないと言われますけれども、少なくとも公正なそういう官民の比較を出そうとすれば、かりに人事院当局が、今度の場合ラスパイレスをとるのがいいと思っても、やはり両方とってみなくてはいけない。私はその責任があると思うのです。でなければ説明できないでしょう。どうなっておるかわからない。それのために相当日数がかかるかもしれないけれども、われわれの考えるところでは、おそらくこれは低くなっておる。比較は低くなっておるのですね。その場合に、高い方はやっておらないのだということはですね。ほんとうに公務員の立場に立っておる人事院であれば、両方やればこうなるのだけれども、こうなっておるというだけの説明は、われわれしろうとの内閣委員会にも出してもらいたかった。それをこれだけ出して、表面づらはこれでいいんだということでは、われわれは納得できない。高橋国務大臣、こういうところに問題がある。それは、一応そう聞いているとなるほどそうかと思いますけれども、やはりわれわれの不満はそこらにある。そういうものは十分やって、なおかつ、実際はこうなるのだけれども、この場合はラスパイレスをとらざるを得ないのだからという説明があれば、ああそうかなということになるのです。かりに不満であってもわかる。そういうものを全部隠しておいて、これでいいんだという、そういう方式を使っておられる、ここに問題がある。従って、一二・五が、これは一つの方法からいえばもっと上であるということは言い得るのです。一二・五%、これは大きい比較だというけれども、もっとある。この点については、あとではっきりと見解をもう一ぺん言ってもらいたい。  それから高橋大臣に、こういうこともあるということについて、どう思われるかということをちょっとお聞きをして、答弁してもらいたい。それを先にちょっと……。
  148. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 私の聞き漏らしで恐縮でございまするが、今、高橋大臣に御質問があったようで、途中で変更になったようですが、私に対してお尋ねになったことが何であったか、はなはだ恐縮でございますが、もう一度おっしゃっていただきたい。
  149. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の言うそういうことをやらなかった。やはりさっき言ったラスパイレスでやろうという最初の人事院の意図があっても、公務員の立場に立てば、やはり有利なものを出して、出したけれども、やはりラスパイレス式でやるのだというような、そういう方法をなぜとらなかったか、この点について、私は人事院が正しいのだと言い得るかどうか、親切な意味においてですよ。
  150. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいまの問題につきましては、私が先ほど申し上げましたように、民間と公務を比較いたしまする場合に、いろいろな比較方法ができるわけであります。問題をラスパイレスとフイッシャーとパーシェに限ってお話しになっておるのでありますけれども、たとえば毎月勤労統計あたりで出て参ります平均賃金、これは私の方の給与報告及び勧告の中にも出している数字でございまするが、その数字でごらん願いますれば、たとえば民間は、本年の四月に職員が二万二千六百九十四、こういう数字で出ている。公務員の賃金とこの数字を比較するというのも一つの比較方法かと思います。いろいろ比較方法があるわけであります。ラスパイレス、フイッシャー、パーシェだけではない。しかし、ラスパイレスをとるということは、やはり現在のわが国の給与というものが、事実問題として年令なり、あるいは勤続年数というものが、非常に大きな関連を持っているというような事実がございまするので、そういう観点から、より的確なものを出すには、全平均というようなことによらない方がいいであろうというようなことで、われわれは現在の比較方法をとっているわけであります。で、ラスパイレス、フイッシャー、パーシェにつきましては、先ほど申しましたように、いつでもフイッシャーが中心に来るということは、これは申すまでもないところであります。両者を乗じ合わせて、その平均値をとるのでありますから、いつでも中間に来るということは言えます。ただ、われわれがラスパイレスをとる、少なくとも公務員給与民間給与を比較する、公務員給与の中におきましても、たとえば国家公務員と、これは必要があれば時にやってみなければならぬかもしれませんが、国家公務員地方公務員、こういう同質のものを比較する場合には、これは国家公務員を基礎に置く、あるいは地方公務員に基礎を置いて、数字を出して、それを掛け合わせて平均をとるというフイッシャー方式もこれは必要かと思います。ただ公務員民間というようなものを比較いたします場合に、やはり公務の人員構成を基礎にしてそういう人員構成がもし民間であったらどういう賃金になっておるかということを調べる。そしてその公務と民間との差を求めるということは、これは間違いのない方法であります。それはフイッシャーの方がパーシェと、それからラスパイレスの中間に来るということは、これは統計上ございます、しかし、考え方としては、この公務員給与民間と比較するという場合には、公務員職員構成というものに民間を直してそして比較するというやり方は間違っていないというようにわれわれは思います。
  151. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それについては幾らでも反論があるのです。そうすることは、いつもそれを逆にしてパーシェを使えば、結局高くなるということは、民間給与はいつも高くていい結果が出てくる、人員構成は一応別にして。従って、私はその論議をしようとは思わない。ただ要するに、それだけのことをやらずに一つの方式だけでやっておる。しかも、三十一年には人事院はフイッシャーをとっておるのですよ。過去においてはとっておった事実があるのですよ。それを今度とらないということはあまりにも不親切ではなかろうかと思うのです。どっちをとられたかどうかは別といたしまして、私はそれを追及しておるのですよ。今度のラスパイレスをとったのは、今、人員構成が違うからこの方が妥当だということの説明は今聞いたけれども、それだけの親切味はなし、ほんとうの公正なものを出しておるかどうかということは、われわれとしては疑問を持っておる。こういう方法を、かりにラスパイレスをとるとしたところで、フイッシャー方式を出しておいて、どちらをとるにしても、内閣委員会及び国会はどうでございましょうかという参考資料をつけなければいけないと、こういうことを言っておる。
  152. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 仰せのように、人事院の勧告というものは非常にせっぱ詰まった時期でやるわけでございます。それで民間給与調査の集計をいたしますにも相当の時間がかかりまするし、あとの時間的余裕もないということで、計算方法といたしましては、ラスパイレスだけやっております。今おっしゃるようにいろいろな計算方法をいたしまして、そして出すという方が親切ではないかとおっしゃったのも、まさしくその通りだと思いますけれども、時間的余裕もなかったというような関係から、われわれはわれわれの考えております最も妥当な方法であるという方法によりまして計算をしたものを出したわけであります。
  153. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはどこからでも追及できるのです。前にやったという一つの実績があるでしょう。それを今度はこつ然として今の理論を出されたのですね。そういうところに問題があるのです。その点どうですか。
  154. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 前にやったとおっしゃいますが、前は、よく見ていただきますればよくわかるのでありますが、決定的な事情としてやっておるわけではございません。まあ参考のために計算いたしておるという状況であります。ところで、前はどういうことをやったかと申しますると、これは一つの等級におきまするいわゆるキイ・ポジションと申しまするか、そういうもの、それをある程度の幅を持たせまして、そういうことで比較するというやり方でやっておったわけであります。ところが、去年からはそうでなしに、各等級を全部ということで比較しよう、その等級を全部、すなわち、前のやり方でいいますと、多少モデル調査的な考え方が入っておったわけでありますが、そうでなしに、昨年以降におきましては全部の平均がこの民間とどういう関係を持つか、そのものずばりで調査するということにいたしたわけでありまして、昨年以降におきましては、そういう意味におきまして、この民間との較差を出しますその数字のところでラスパイレスというものを使った。前に、三十一年あたりで計算をしておりまするけれども、それは決定的な、それで民間比較を出すという方式としては使っていないのであります。
  155. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはいろいろ答弁されても、低く出る結果であったということは、これはもう間違いないと思う。先ほどから言われたように、そこで、それを逆に立証するためにもう一、二点……。とにかく民間比較を低く出すような考え方ばかり出されておるように思う。また事実それでしかない。  次に私は、行政職の第二号技能労務職の問題について一つお聞きしておきたい。これは参考資料を見ますと、技能労務職の各民間から摘出して、人員も四万、五万ほど出しておられますが、その人々は常に民間の労務技能職としては給与の低い人を抜粋してきておる。いわゆるタイピスト、電話の交換手、いわゆる女子労働者が多い。それから技能職としても、フライス盤工というような、非常に民間の技能者でも低い賃金の人を出してきておる。国家公務員でも、港湾事業には潜水夫もいる。土木関係には各種機械の操機手もいる。そういう給与の高い人が入っておらない傾向がある。これも一つなんです。そういうところを集めて、そうして比較するから、第二表の技能職、労務職の人々給与は低い。それと比較するから、結局その差が縮まってくるという結論になるんですね。これも、国家公務員の中には、土木関係でも今いろいろな機械がたくさんありますから、そういう操機手あたりの給与の比較的高い民間の人をとってくれば、これはもう少し行二の関係も上がってくるんじゃないか。その点、どうですか。
  156. 浅井清

    説明員(浅井清君) 給与局長から答弁させますが、その前に、一般的に一言申し上げますが、ただいまの御質疑を聞いておりますと、人事院の民間給与調査が低く出ることを意図してやっているということのようでありますが、そうでないんです。調査の方法もいろいろ変わるのでありまして、たとえば毎年三月にやっておった調査を四月に変えたということ、あるいは臨時職員を除いて常勤職員だけとったこと、これはみな結果としては高く出るような傾向を持つのでございます。でございますから、そういうわざと低く出すためにラスパイレスをとった、これは昨年からやってきている方法でありまして、そういうことはないんです。その点を誤解のないようにお願いしたいと思います。それでは給与局長から答弁させます。
  157. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 技能職で給与の低い人を選んでとったではないかというお話でございますが、公務員におきます行政二俸給表に対しますいろいろな職種があるわけであります。これはいろいろ職種がございまして、民間でもいわゆる技能労務関係の職種というものは非常にたくさんある。しかし、これは調査をやりまする上におきまして、そう非常に範囲を広げるということも、なかなか事実問題として調査技術上困難でございます。従いまして、ある程度にそれを集約していかなければならぬということがあるのでございます。そのときには、一般的に全体を代表しますようなものに集約するというやり方で、そうしてそのときに職種は相当数の人数をとってこなければならぬということでやっているのでありまして、ここに特に低いものを選ぶということをしているのではございません。月報の十八ページにもごらんいただけますように、たとえばフライス盤一般工あるいはフライス盤の組長というようなものは、これは決していわゆる技能労務関係の低いものとは言えないと思いまするし、ボイラー取扱主任者にいたしましてもそうでございまするし、われわれの方といたしましては、たとえ電話の交換手、邦文タイピスト、みなしかりでありますが、大体において公務と民間とにおいて比較いたします場合に、全体的に比較ができるように、しかし、その職種をあまり広げ過ぎますと、これはなかなか職種をとるのが少なくなる。また数が非常にふえますると、これまた集計上の問題がございますので、その辺をかね合いまして、大体公務と民間とを比較し得るような体系で圧縮して職種を選定して選んだ、低いものだけ決して選んだわけではございません。
  158. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 人事院総裁は、総裁として一言われわれに呈されたのですが、それは、調査期間を三月から四月にされた、われわれの要望もいれてやられたことは認めているのですよ。そこは、私は人事院の態度が今度の場合は一から十まで全部悪いとは言っていない。しかし、なおかつ、その上でこういうものがあるということを政府に聞いてもらっておる。人事院勧告が出たと、しかし、これはちょっと内閣委員会で山本氏や鶴園氏が反対したからもう一ぺん出し直すということはできないでしょう。こういうことがあるということを事実やっぱり政府に聞いてもらわなくちゃ、政府において法律案を作るときに、もう人事院の出したものはオールマイティで、神様がやったというように思われちゃ困る。間違いもあります。われわれが不合理の点を追及しておる。その点十分聞いてもらいたい。それから瀧本給与局長はなるべく取り入れたと言っておるが、全然取り入れておらないということは言っておらない。大体われわれの調べでは、労務関係、技能関係では、民間の操機手とか、そういう関係のある人々は大体三分の一ほどおられる。間違いであったら言って下さい。ところが、資料に出しておるのは、民間の方はそういう人々の該当者は十六分の一しか出しておらない。そうすると、そこにやっぱり大きいウエートがかかって低くなるじゃないかということを私は資料上の不足として言っておる。これは常識的に考えられたらいいと思う。今、地方を回りまして、土木関係の操機手、ずっと山をくずすような機械がたくさんあるが、そういう操機手、名前は言いませんけれども、大きい組におる同じような職種と給与を比較してみなさい。組の方が、人夫というような形で非常に安い人はたくさんおりますよ、労働者で。しかし、機械関係の人は非常に優遇していますよ。間でも、鹿島でも、その他を見ましても、相当優遇しておるですよ。従って、あなたらが低くないと言われても、現実を比較されたら、これは常識上だれでもわかることなんです。それをうまくデータで合理化しようとするからこういうようものが出てきておるじゃないかということを私は忠告もし、人事院にそれを変えてもらいたいということと、政府にこれを聞いてもらいたいということを言っておる。この点どうですか。
  159. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 操機手というものが、民間土木会社におきましては、最近非常に機械化されておって、そういう人も給与は高いであろうということはあるのであります。ただ、公務の場合におきましては、先ほども申し上げましたように、行二に入って参ります職種はいろいろなものがございまして、御指摘のように、あるいは建設省、それから運輸省の港湾関係の仕事、あるいは北海道開発庁にそういうものがあるのは事実でございます。ただ、われわれとしましては、それだけではない。全体的に行二俸給表に入って参りまするいろいろな職種というものを全体的に見ました場合、民間と比較するのに、このような職種を選ぶことが適切である、かような観点からこの職種を選定したのです。しかし、これとてもなかなかむずかしいことでございまするので、われわれは万全とはなかなか申し上げられない点があるかもしれないと思います。従って、将来にわたってそういうものは十分に検討いたしてみたいとは思っております。
  160. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 さらに検討したいという一語で、若干こちらの闘志が鈍ったようにも思えますけれども、この十八ページの表を見ても、操機手とか、潜水夫とか、非常に給与の高い職種は一つも入っておらない。自動車の運転手、そういう方々はたくさんおられると思いますがね。そういうことを全然考慮しておらないじゃないかとわれわれは思うのです。そういうものを入れているのだということを言えればはっきり言ってもらいたい。しかし、そういうことを含めて今後検討したいということは、われわれの考えからいくと、これはやはり間違いであった、合理性を欠いておるということを人事院が認めたと思ってよろしいかどうか。
  161. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) この調査の方法等につきましても、これは絶対的に正しい方法というのがあって、それを一つも変えなくてやってきておるというわけのものでございません。従いまして、人事院の調査方法も、過去十二、三年間におきまして、いろいろと変わってきておる。漸次改善されておるところがございます。従いまして、現在の状態におきましては、われわれは、こういう職種の選び方、これを組み合わすことによりまして、やはり職種そのものを調べていなくても、機械を操作するというような関係は、やはり全体的には出てきておるというように思って、現在ではこれで一応いいのじゃなかろうかと思っておりまするけども、しかし、いろいろな御批判等もあることでございまするし、将来に向かってこのままで固定してしまうという考えはございません。将来とてもさらに検討いたしまして、適切なものであればこれは変えていくという考えでございます。
  162. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはその程度においておきます。それで、おそらく今後人事院が、そういう職種を入れてやられた場合には上がってくることは事実です。おそらく上がらなくちゃうそなのですが、この点を抜かされておるということは今度の第二表、いわゆる労務関係、技能関係の方々の比較するものが非常に低く出されておるということはこれはこれで言えると思う。当面ではそうではないと言われますが、今後変わってくることはこれは事実、これが一つであります。  もう一つお尋ねします。だいぶ質問者が待っておられるようでございますので、もう一つの実は標準生計費でこの前やりたかったのですが、ちょっとそこまでいかなかったのですが、これは相当いろいろありますが、一つだけにしておきましょう。標準生計費の出される場合に大体六都市のものを調べてやられたのでございまするが、一つだけはっきりとして聞いておきたいのは、なぜ平均値をとらないで並数でやられたか、その場合あわせて答弁してもらいたいのですが、平均値でやった場合と並数でやった場合とどちらが高く出るか、この点一つ。
  163. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 公務員給与を考えます場合に、生計費の問題もあわせて考えるということにこれは公務員法六十四条に載っております。どの程度にそれを考えるかということはいろいろ議論の分かれるところでございますが、人事院は従来からいわゆる新制高等学校を卒業しまして公務員試験で入ってきます十八才程度の者につきまして、これを標準生計費と考えるその計算をして参っておるわけでございます。われわれがその生計費を考えます場合に、平均値をとらぬで並数をとっておるということは御指摘の通りでございます。並数の方が平均値より低く出ます。なぜ並数をとっておるかということでありますが、これは一体生計におきまして、最も多くの人がそういう生活をしておるような状況というのはどこであるか。平均値であるか、あるいはその他のところであるかということになりますと、やはり並数、そこが最も数の多い人々がやっておる生計費が出てくるところでございます。そういう意味において並数をとる。平均値というのは、中にまあ例外的といっては言い過ぎかもしれませんが、高い人がありますれば、全体の人がかりに百人おるとした場合に、この平均値というものが非常に片寄って高い方に出る場合があるわけでございます。そういう意味におきまして最も多くの人がそこに集中しておる生活状態はどういうところであるか、これが並数でございます。従いまして、われわれはそういう意味において並数値に着目しておる次第でございます。
  164. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はそういう並数をとった理由とかそういうものは聞きたくない。やはり平均値の方が高いということを言われた。それの並数をとることの理論をるる言われましたけれども、われわれはそれに対して反駁します。そのほかに平均値でやはりとっておられるところはたくさんあるのでしょう。大体統計というものは平均値でやるということは、これは一番合理的だと思うのです。並数というのは悪意的になります。やるものの意欲がそこに入るのですから、並数階層だけやるということになると、やはりどうしようかということによって人の恣意がそこに入る可能性が強い。平均はこれはごまかされない。どういう方法でもこれは函数的に出るのですから、そういう点にわれわれとしては問題がある。私がきょう言いたいことは、平均値はやはり高く出るということを人事院は認められた。標準生計費は低く出る並数の階層のものでとっておるということを、それだけ言われたらそれで私はきょうはそれ以上言うてほしくない、時間がありませんので。先ほどから三つあげましたが、時間がありませんから、私はこれでおきますけれども高いところをとるため調査時期を四月にしたと言われたけれども人事院勧告としてこれは当然です。それから臨時工員を省いたということをこれは非常にいいように言われますが、これは当然のことです。このいわゆる国家公務員の臨時は何人もおりますが、臨時の給与を比較するために民間の臨時のものを取り入れることは、これはあるいは理論的に正しいかもしれないけれども、しかし、常勤の公務員を比較する場合に、民間の低い人も入れているのだから、大へん進歩したと言われますけれども、しかし、大きい聞で誇らかに言ってもらっては困るということを言っておきたい。結論的に言って、そういうことから相対的にやはり今度の改訂については全体的の比較からも落ちておるけれども、いわゆる配分の問題でも、あとでだれか質問されると思いますが、平均の二千六百八十円、政府が出しておる二千六百八十円以下の人が七〇%以上あるという実態です。中にはその二万円も二万五千円も上がる人もあるということを聞いている。こういう実態を十分考えてもらって、せっかく千何億という国費を使って公務員給与改善をやりたいという池田総理大臣のあの第一声から見ましても、公務員は、なるほどこうやってもらったということでそれは全部が全部満足するような給与を出すということは今の社会情勢から無理であろうけれども、しかし、なるほどこれならやむを得ないだろうという結論はやはり出してもらいたいと思う。それから五月実施についていろいろ言われておりますが、四月一日をわれわれは要求しておるが、四月一日でもわれわれは問題がある。人事院は四月一日調査したと言われますけれども、上がっているものはずっと上がってきている。上がってきたいわゆる時点において四月にやったものであるから、前にずっと低いものはずっと低いままで今まできているわけです。調査は四月にやったものであるから何も理論的に間違いはない。人事院勧告の五月はだめだ、十月というのはもってのほかですから、この点一つ給与担当大臣として十分考えてもらいたいと思う。これについて給与担当大臣の一つ所見を聞いておきたい。
  165. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) 山本委員給与に対するきわめて該博なお話をいろいろ承ったのでございますが、やはり給与の決定につきましては、いろいろな方式もあり、いろいろな見方もございますが、先ほど申し上げました通り、われわれとしては人事院の考え方をまず尊重していかなければならないという考えでございます。しかしながら、山本委員もいろいろ御指摘になり、また人事院においても将来十分それらの御意見等についても考えているというお話がございましたが、いずれにいたしても、今回の人事院の給与改訂が最低の線であるということはとくとわれわれも承知いたしたのであります。われわれといたしましては、少なくとも最低の数字である人事院の勧告につきましては、これを尊重する線で進めたいと考えております。  なお実施時期につきまして、お話のように五月という人事院の勧告もしごくごもっともでございますが、今年度、すなわち予算の途中におきます問題でございますので、何せ全体の財源等、先ほど来官房長官及び自治大臣からお話がございました通り、われわれといたしましては、やはり特別職はもちろんのこと、地方公務員につきましても実施の時期を一にし、取り扱い方法等も同一にしたい、こういうふうな観点から十分財源等のことも考え、また、これと並行してきめらるべき年度内の減税の問題あるいは緊急施策の問題等々勘案いたしまして、その財源の配分を考えざるを得ないと思うのでございまして、従って、われわれといたしましては、できるだけ人事院の勧告の線には近づきたいとは考えておりますけれども、そういうような問題とあわせ考えまして実施の時期の線を引きたい、こういうように考えておる次第でございます。
  166. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 一つ政府におかれてもこの問題では、十四日ということですから、われわれ委員の先ほどから言われたところを十分考えて、これに対して最後の決定をしてもらいたい。  それから人事院、これは給与の問題ではないからそうあまり固くならぬで答弁してもらいたいのですが、寒冷地手当でございますが、この前の通常国会で、ああいう衆議院で附帯決議がついておるのですが、勧告をすみやかに一つ出してもらいたいと思うのです。三十六年度から実施だということでございますが、この点について人事院の現在の作業状態、また、いつ出すか、この点一つ。
  167. 浅井清

    説明員(浅井清君) 暫定手当と寒冷地手当薪炭手当と三つ問題が残っておるわけでございます。一応石炭手当は片づいた形、これにつきましては、いずれ御希望に沿うようにしたいと思いますが、どういうふうにするのか、まず根本的な問題がいろいろあると思うのです。どういうふうにやるか、改善するのかということ、これは人事院として研究中でございますから、その勧告をいつやるかということにつきましては、これは今ここでまだ申し上げる段階に至っておりませんけれども、そのように考えております。
  168. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 せっかく本年の通常国会でああなったのですから、できれば三十六年度予算の編成に間に合うように、これは与党の方々も非常に協力をしてもらっておるようです。従って、これは一つ人事院としても、この点できれば予算編成の当初予算に間に合うように、勧告を一つ十分やってもらいたい。これは全部一緒にはなかなかむずかしいです。特に寒冷地手当は非常に問題を、昨年の国会で大分問題になっておりますから、この点を十分やってもらいたいということを希望しておきます。
  169. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの質問に関連して伺いますが、ラスパイレスでやった、従来はフィッシャー方式で参考的に出したことがあったが、今度はやらなかったというのですが、そこで公務員室長に伺いますが、人事院から資料を受けて、ラスパイレス方式で勧告が出ておるわけですが、フィッシャー方式での較差の資料を算出するのに、どのくらい時日を要しますか、また公務員室にその能力がありますかどうですか、お答え願いたい。
  170. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) 私どもの方におきましては、先ほど来人事院当局から御説明のありましたような説明を承っておるわけでございますが、フィッシャー方式による計算ということは、申し上げるまでもなく私どもの方では計算いたしておりません。なお、この計算をいたしますのにどのくらいかかるかということにつきましても、実は私ここで申し上げるだけの資料もございません。
  171. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 人事院総裁に伺いますが、われわれは人事院勧告を検討し、また、やがて政府から給与改善に関する予算措置と法律措置について審議を求められた場合に、われわれはフィッシャー方式によって算出したもののデータが必要と私は考える。で、フィッシャー方式に基づくデータの資料の提出を要請したならば提出できますか。
  172. 浅井清

    説明員(浅井清君) 技術問題ですから給与局長から答えさせます。
  173. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) これは相当の時間がかかると思いますが、人事院とそれから計算手段の計算機の問題等がございます。勧告のときにおきましては、人事院は相当の計算書を臨時に使用しておるのですが、現在そういうことをやっておりません。従いまして、現在のところでやりますと、やはり少なくとも二十日くらいはかかるのじゃなかろうか。これは私この場での見当でございますので、なお詳しくは帰りまして計算を担当いたします者の十分意見を聞いてみなければわからぬのですが、少なくとも二十日くらいはかかるのじゃなかろうかと思っております。
  174. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私も同僚諸君と相談して研究しますが、やはり山本委員が指摘されましたように、確かに考慮して適正な素材を使った面もありますけれども、また低くなるような取り扱い方をした面もあり、一二・五%から一二・四%を出したわけですが、その数字に十分の信頼感が持てないのです。そこに問題があるわけでありますから、あなたの方で算出するとすれば、どのくらいの予算が要り、どのくらいの時間が要るかというようなことをもう一度正確に検討してもらいたい。われわれも態度をきめたいと思います。私の意思表示の最終的なものはこういうわけです。  それから先ほど行政職二が出ましたが、これについて勧告した側と勧告を受けた政府側と両者からお答え願いたい。  なお、これは科学技術庁長官はお見えになっておりませんが、比較的に文部省にも関係がありますので、初中局長ですからどうかと思いますが、答弁ができたら答弁してもらいたい。それは、この行政職二というのは非常に冷遇されておると思う。その前にまず伺いたい点は、技能専門の人で、研究職の俸給表を適用さるべき技能専門の仕事をしておるにかかわらず、これが比較的に研究態勢の縁の下の力持ちをするような階層であるので、これが行政職の二表を適用され、そうして縁の下の力持ちをしながらもそれが上に上がっていかない、希望も持てないというような日本の研究態勢の大きな隘路が私はあると思うのです。当然研究俸給表を適用されてしかるべき仕事をしているにもかかわらず、行政職二表を適用されて低くされ、希望を持たされていない、こういうことが私はあると思う。あるかないかということ。それから、従ってそういう人が非常に不遇になることは、行政職二表では、千円以上二千円未満しか今度はアップしない。平均二千六百八十円アップというけれども、千円以上から二千円未満、この程度しか今度引き上げを受けないことになる。実に五八・二%、約六〇%という人が行政二表では千円以上二千円未満しかされてないわけです。だから二千六百八十円の標準よりは八割程度の人が低い、こういう処遇を受けておるわけですね。そこで私は、今問題が出てきておるのは、例の科学技術庁における研究公務員処遇対策委員会ですか、こういうものを設けて、科学技術庁で研究公務員処遇を検討したその結果、研究俸給表を、今、一種類であるが、これを二種類にするべきだ。二種類にすることによって、この今の俸給表の体系、これからやるならば妥当になる。そうして行政職二表あたりで冷遇されておる研究態勢の縁の下の力持ちをしておる階層の人に希望も与えられるし、適正な給与が行なわれるのだ、こういう処遇対策特別委員会で結論が出たのではないかと私は推察しておるわけです。この点については、先ほど鶴園委員からちょっと質疑があったことに対して、高橋給与担当大臣は、別の角度から云云というような答弁程度で、不明確な答弁に終始しておりますが、この科学技術庁の処遇対策特別委員会で出されたそういう考え方は、これは公務員室長並びに人事院の給与局長、まあ、これは科学技術庁長官が一番適当だと思うのですが、比較的に研究公務員をたくさんかかえておる文部省側としてはどういう見解を持たれているのか、先ほどの質問に関連して所見を承っておきたい。順序は文部省から行きますか。文部省、公務員室長、それから勧告した側という順序で答弁して下さい。
  175. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) きょうは実は研究公務員の方の担当の部局が参っておりませんので、お許しいただきたいと思います。
  176. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 無理なし。きょうは文部大臣が今まで来ないということはけしからぬので、文部大臣と科学技術庁長官の資格で来いということで出席するように要請しておいたのですが、まだおいでになっておらぬから、それはけしからぬが、今の内藤さんの答弁を了とします。増子さん。
  177. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) 矢嶋委員の御質問の中で御指摘になりました、いわゆる研究所等におきまして研究職員の補助的な業務をやっている技能的な人の処遇の問題でございましたが、この点は現在の俸給表におきましては、いわゆる常識的に見て研究者といわれる人ばかりでなく、研究のための補助的な業務をいたしております者も、研究俸給表の七等級には入っているわけでございますが、なお一部の者が行二が適用されているというような御指摘があったわけでございますけれども、この点は実施上の問題でございまして、人事院の方が実際を取り扱っている実情は御存じかと思うわけでございます。  なお研究公務員給与改善につきましては、御指摘のように科学技術庁から一応の御意見を承っているわけでございますが、その内容におきましては、実は私承ったところでは、ただいま御指摘になったような点は含んでいないように思うのでございます。ただ御説明の中にありました現在の研究俸給表を、一本でありますものを二本にするという思想といいますか、考え方は、十分説明を伺っているわけでございます。ただ、いろいろ御説明を承ったところにおきましては、研究職の俸給表を二本建にするということが、なお実施上等の問題等におきましてどのようになるかということにつきましては、相当研究の余地があるように思うわけでございます。それから単純に現在の俸給表を二本建にするというばかりではございませんでして、その内容等につきましてもいろいろと重要な改訂の案を含んでおられるわけでございまして、その他の俸給表との関係におきましては、科学技術庁から申し出のありましたような案ににわかにこれを改訂するということは、非常に困難であろうというふうに判断いたしているわけでございます。
  178. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) まず、当然研究俸給表に入るべき者が行二俸給表に入っている例があるのではないかという御指摘でございますが、これはわれわれも従来そういう例があったということを知っておりまして、ただ、そういう例が出て参りました場合には、十分その職務内容等を検討いたしまして適用俸給表をかえるという措置をやつております。で、このことは相当各方面からいろいろ意見がございましたので、われわれ人事院といたしましては、各省に連絡いたしまして、そういう問題の場合は一つ申し出てほしい、そうして職務内容等を十分検討の上、俸給表の適用がえをすることが適当であるものはこれをしていこうという態勢をとって、現にそのことは進行中でございます。ただ技能関係がすべて研究になる、かと申しますと、なかなかそうは言いがたい点があろうかと思います。それがあくまで研究の範疇に入ってくるところで研究に入れていくということをいたしたいというように考えております。それで科学技術庁の御研究になっております案を漏れ承っております。私も将来日本が科学技術を進歩さすために研究職というものを非常に大事にしなければならぬということは、これはもう十分わかっておるのでございます。しかし、現在の段階におきましては、今回の人事院勧告におきましても、そういう面から相当慎重な検討の結果、俸給表改正の勧告をいたした次第でございまして、現在の状況におきましては、やはり研究官だけをさほど突っ走らせるということはなかなかむずかしいのではなかろうか。漸を追ってやるべき問題のように考えております。しかし方向として、いわゆる技術者と申しますか、研究者と申しますか、そういう方々の処遇を厚くし、そうしてりっぱな人にりっぱな研究をしてもらうということは、これはもう非常に大切なことであり、好もしいことである、このように考えております。
  179. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 科学技術庁の出された案について、私も十分資料を持って検討していないので、二種類にするのがいいのかどうかという点については、私も問題点があると思います。従って、はっきりした私の意見は申しません。ただ私自信を持って指摘、要望し得ることは、当然この研究俸給表の適用によって処遇されるべき職種の人で行政職二表の適用を受けて冷遇されている人がある。これは増子さんはごく一部に云々と言うけれども相当あって不満があるということは、これは僕は自信を持って指摘するとともに、今の給与局長の線に沿ってさらに努力してもらいたいことを、私は強くこれは要望しておきます。  そこで今、行政職二の点が出たわけですが、これが非常に冷遇されている。千円以上二千円未満しか上がらない人は五八%以上ある。全俸給表を通じて、二千円未満しかこのたびの引き上げで上がらない人は約四四%あるのですね。だから二千六百八十円というのですが、二千六百八十円以下の人が、公務員の分布から言うならば、約半数、五〇%をこえると思うのです。五〇%をこえる人は二千六百八十円よりも低いわけですね。非常にサラリーマンの安い階層の人は薄く扱っていると、この点はどうしても理解いたしかねると思う。そこで、私はわかりやすい数字として、勧告をした側と勧告を受けた両者にお答え願いますが、今度のこの人事院の勧告で切りかえた場合に、切りかえた場合ですよ。具体的に切りかえた場合に、一番月額がよけい上がるマキシマムの金額は幾らか。それからミニマムの金額は幾らか。それと、それから昇給率が最高のパーセントの人は何%か、それから最低の昇給率のパーセントの人は何%か、その数字を一つお教えいただきたい。
  180. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 切りかえたときにどれだけ上がるかということでございまするが、これは大ざっぱに言いますと、二等級辺がおおむねまあ三〇%……
  181. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おおむねじゃなくて、マキシマムと、ミニマムを言って下さい。
  182. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) マキシマムとミニマムとおっしゃいますが、これはやはり例を申し上げるよりいたし方ないと思いますので――そういう今おっしゃるような方法でちょっと資料を用意しておりませんから。で、一番上がりますのはやはり事務次官でございまして、これは現在一等級の五号、これは七万五百円、この七万五百円の事務次官は九万三千百円になるということでございます。で、こういう方法で……
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だから月額幾らですか。
  184. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 特別調整額がついておりまするので、月額にいたしまして、まあ基準給与で申しますと、月額にいたしまして二万八千二百五十円、こういう上がり方をいたすわけでございます。ただいまのは次官でございまするが、今度は、たとえば課長級のところを申してみますると、かりに三の五、これは一応そういう想定で申してみますると、現在本俸は三万九千円、勧告では四万八千二百円になっております。しかし、東京における暫定手当及び暫定手当を入れましてどれだけ上ががるかと言いますと、一万一千五百円上がるということになります。上級係員の……
  185. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこはいいです、ミニマム、一番少ない層は。
  186. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 一番少ないところはこれは新中卒、これは公務員の場合は大体において試験採用、上級、中級、初級試験ということで入ってくるわけでありまして、八の二ということでありますが、例外的に常任あたりに新中卒も入って参ります。で、この初任の八の二、高等学校を卒業しまして初任級で入って参ります者がどれだけになるかと申しますと、これは九百円、こういうことになるわけでございます。おおむねそういうことでございます。
  187. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それから。パーセントの方は。
  188. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 今後のそういうところの昇給率がどういうことになるかということでございますか。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうそう、昇給率は、その金額の数字が一番高いとは限らないですね。昇給率の高いのは何%、一番低いのは何%。増子さんの方から答弁をしてもらいたい。その間に瀧本さん調べて下さい。
  190. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) 最高、最低といいますか、その点につきましては人事院からただいま御説明のあった通りでございます。
  191. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それをもう一ぺん言って下さい。
  192. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) いわゆる最高と申しますか、行政一の一等級の場合におきましては、私のところで持っておりますのは俸給月額のものでございますが、二万二千六百円の増加……
  193. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 基準内賃金は。
  194. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 基準内と申しますと、それに暫定手当を入れることになるわけでございますが、私ただいま手元にはその計算は持っていないわけでございます。なお、本俸だけで今、次官級ということで申し上げたのでございますが、行政職俸給表一等級ということで参りますと、俸給表の上では一番金額として上がりますものが一等級の八にございます。これは本俸――俸給月額におきまして二万三千八百円という金額でございますが、これは本俸の率におきましては必ずしも最高ではございません金額の上がり方でございます。最低はいろいろ俸給表にございますが、八百円でございます。
  195. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 率の最低は。
  196. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 年間昇給率で見ますと、ただいま私の手元にございますのは、大体各等級におきまして、各号平均いたしました昇給率を持っておりますが、それで申しますと、行政一について二等級を見ますと、平均的に四・六%、こういう昇給率。三等級が四・九%。
  197. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、一番上がる数字です。AならAというふうなものがあって、それが切りかえられて、そして上がる、その現給から新しく切りかえた……
  198. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 矢嶋君、発言を求めて下さい。
  199. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは昇給期間は全部十二カ月にしたから計算がなかなかめんどうな点があるけれども、明確に、勧告した側も受けた側も、してもらいたいと思うのですね。文書をもって明日まで一つ出して下さい。次官の基準内賃金の二万八千二百五十円と、増子さんの二万三千八百円、どちらもマキシマムだというが、そんなに違っては困ります。だから、切りかえて幾ら上がるかということ、僕が計算しているのでは、個人的に切りかえて一番上がる人は、俸給表から見れば三万五百円の人が一番上がる。それから金額で一番少ない人は、増子さんは八百円、瀧本さんは九百円というけれども、七百円のがある。公安職の二表の八の一、これは七百円、それから昇給率にしても、一番高いところで三七・五%上がる。それから一番上がらない人は八・四%。だから、個人的に適用した場合に上がる金額、それから昇給を受ける昇給率というものは、ものすごい開きがあるわけだね。だから、単にこの昭和三十五年の八月八日に一律べ・アの勧告をしたという、そういう性質のものでは今度のはないと思う。今までの給与体系、給与政策そのものを根本的から変えるというほどの内容のものだと思うのですね。一年じゃないのですよ。一カ月に今度勧告があって月給が上がるというのに、それは経験年数とか、あるいは年令とか、いろいろな差があるでしょう。差があるだろうが、ある人はともかく三万円上がって、一方は七百円しか上がらない。これほどの開きを今度の一律のベ・アでどうしてつけなければならないのかとなってくると、非常に私問題点があると思うのですね。単にその職務の内容と責任の度合い云々という国家公務員法を引用されて浅井総裁が言われているけれども、従来の給与政策、給与表というものですね、この給与制度というものをかなり根本的に変えられたということはこの中に出てきていると思うのですね。そういう点の解明が十分できなければ、なかなかこの切りかえを受ける当事者としては納得しかねるところがあると思う。これは私の意見です。で、私が知りたいことは、さっき言いましたように、今度のあなた方が考えられておる人事院勧告としての切りかえによって具体的に切りかえた場合、金額で最高、最低はどの俸給表の何等級の何号に該当するか、その金額が。それから昇給率の最高と最低はどの俸給表の何等級のどこにあるというのを、半紙くらいのプリントでできるでしょうから、一つプリントして委員長を通じて委員各位にあす御配付願うように要請いたします。  私は、給与定員関係で先般行政監察局にお願いしました特別監査報告は出されましたので、それに対する質疑をいたしたいと思っておりました。それから定員関係で、地方公務員、特に教育公務員に関する定員関係問題を、今、衆議院で継続審議になっている定員法の一部改正法律案に関連してお伺いしたいと思ったのですが、当該大臣はまだお見えにならないし、時間も非常におくれていますので、あす委員長理事打合会の決定に基づいて、防衛問題が終わられた後に、でき得べくんば質疑の機会をお与えいただきたいことを委員長に御要望申し上げ、きょうは時間もないと思いますから質疑をやめておきたいと思います。
  200. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは公務員給与に関する件の御質疑はこの程度にいたしまして御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 吉江勝保

    ○院長(吉江勝保君) それでは、給与に関する件はこの程度にとどめます。   ―――――――――――――
  202. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に今度は、公務員定員に関する件を議題に供そうと思っておったんですが、今、矢嶋君の意見も出ておりますので、これはあすに回しましてよろしいですか。
  203. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 せっかくだからやりましょう。
  204. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) やりますか。それでは続きまして公務員定員に関する件の調査を進めます。  政府側出席の方々には、高橋行政管理庁長官、山口行政管埋庁行政管理局長、原田行政管理庁行政監察局長、丹羽郵政政務次官、鶴岡郵政大臣官房文書課長、長田郵政大臣官房人事部長、和田農林大臣官房秘書課長、吉岡農林省農地局総務課長、内藤文部省初中局長、安嶋文部大臣官房会計課長の方々でございます。  質疑のおありの方は御発言願います。
  205. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 だいぶ時間がおそくなっておりますので、簡単に御質問したいのですが、それは、さっき横川さんから質問があったんですが、定員法が衆議院で継続審議になっておりますが、七千三十名というその法案を、まあできるだけ早目に、官房長官のお話ですと、また、長官の話でも、できるだけ早目に国会にという話ですが、その場合に、あの衆議院の段階で与野党で問題になりました定員外職員を、これを定員内に繰り入れる、これをこの法案と一緒にお忘れないように念を押しておきますよ。よろしゅうございますか。
  206. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) その問題は各党でも話し合っておりますので、各党で話がまとまりますれば、われわれとしては、それはぜひ定員に繰り入れたい、こういうように考えます。
  207. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それから八月の末に派遣されて青森秋田山形に行ったのですが、そのときに、農林省の八郎潟の干拓、これを調査をいたしたのですが、調査をいたしてみまして、定員関係が、非常に常識的に考えましておかしい、こう思っておるわけです。そこで、きょうは農林省にも一つ答弁をいただこう、それから大蔵省の主計局長にも一つ御答弁をいただこうと思っておるのですが、八郎潟は御承知のように、今年は三十億の金を使ってやっておるわけですね。全体としては二百三十億の金を使ってやる非常に大きな事業になっておるわけですが、定員が非常におかしい。この間、四月の五日ですが、この委員会定員外の問題、特に農林省の農地局の事業所の定員がおかしいということで質問したわけです。それと関連しまして伺いたいのですが、この八郎潟には事業所が三つあります。東部、南部、北部というふうに三つあるのですが、東部で言いますと、職員が八十七名おるのですよ。その中で定員内が二十三名なんです。これはもう、とてもこれじゃおかしいじゃないか。ですから、定員内は二六%ですね。それから南部事業所というのは、職員が九十二名おります。その中で定員は三十一名。それから北部事業所は職員が九十六名、その中で定員といのは十八人。だから一八%が定員内、こういうようなやり方はどこに問題があるのかという点を伺いたいわけなんです。で、この間も私、農林省の設置法が出ましたときに伺ったのですが、どうもこれはあまりひど過ぎる、こういう定員の配置ではですね。農林省に伺いたいんですがね。
  208. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 今の問題につきまして御説明いたしますと、実は八郎潟に現在定員外職員が多いのは事実でございます。農地局といたしましても、なるべくこれを少なくいたしまして、定員内職員で埋めるという方向で努力はいたしております。ただいま継続審議中の定員法改正案におきましても、八郎潟においては定員がふえると、そういう予定にはなっております。また、農地局の中の各農地事務局の定員のやりくりによりまして定員をふやすと、そういう方向では努力いたしております。ただ事業の性質上、ある程度の定員外職員が残るということはあろうかと思いますが、農地局といたしましても極力それを減らすと、そういう方向で努力いたしたいと思っております。
  209. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これはある程度定員外職員がこの事業所の性格上あるということはわかるのです。ですけれども、今、私具体的に数字を上げましたように、非常に少ないのですね、定員が。ですから、九十六名おってそのうちの十八人しか定員内じゃない。あるいは南部の事業所は、九十二名おって三十一人しか定員内職員はいない、こういうやり方はどこかに問題があるのじゃないかと思うのですが、どうなんでしょうかね。あまりにもひどいのじゃないのですか。少しあるというのなら、ある程度あるというのならわかるけれども、あまりその職員の中で定員内職員というのが少な過ぎるのじゃないでしょうか。八郎潟全体で見ますと、全体では職員が四百五十名いる。その中で定員内職員は二九%ですよ。ですから約三百四十名というのが定員外職員だ。この事業は請負でやっているが、こんな数字じゃ困ると思うのですが。
  210. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 現在八郎潟には期間雇用としまして百六十名おります。それから、さらに常勤職員といたしまして約百名ぐらいいるわけでございます。従いまして、相当程度の定員外職員がいることはこれは事実でありますが、ただ農地局としましても、先ほど申し上げましたように、各農地事務局の職員の配置、定員の配分につきましては、仙台の農地事務局、従いまして、八郎潟の農地事務所には優先的に定員をふやす。従いまして、定員法改正におきましては約二十名ぐらい入っておりますが、実際はその倍以上、約五十名近い人間をふやして努力はしているわけでございますが、ただあるいはこういう僻地におります関係から若干職員の配置がえという、そういうような点には問題はございます。ただ農地局といたしましても極力努力いたしております。
  211. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは主計局長に伺いたいのですがね、主計局長とそれから行管の方に伺いたいのですが、これは今農林省としては優先的に定員を配置したいというお話だ、そして努力してこられたというお話だが、実情はこの八郎潟は大へんな定員外職員をかかえているわけですね。ことしは三十億という金を使っているわけです。八年間に二百三十億という金を使ってやる事業なんですが、べらぼうに定員が少ないじゃないですか。行管局長、どうですか。主計局長にも伺いたいですね。
  212. 山口酉

    説明員(山口酉君) ただいまお話しいただきました八郎潟につきましては、実はどういう配置になっているか十分説明を承っておりません。御説明通りですと、非常に定員外が多いように思われますけれども業務の実態がどういうことになっておりますのか、非常に長期的なものであるのか、あるいはまた、長期としましても、中身の仕事が非常に職員が交代するものであるのか、そういう点がよくわかりませんので、ただいまのあげられました数字だけから見ますと、非常に定員外として取り扱っているものが多過ぎるように思われますが、この点は農林省の方に十分御説明をいただきまして、今後の問題といたしましては、非常に無理があるようでございますれば改訂いたしますようにいたしたいと存じます。
  213. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 具体的な実情につきましては農林省からもお答えがございましたが、それ以上に私、現在手元に何ら資料を持っておりませんが、今お答えがありましたように、これは現場の業務実情もございましょうが、今回定員をふやします関係の法律案が御審議をいただいておりますので、その実現の際におきましても、できるだけ御趣旨に沿いまして農林省が特にお答えをいたしますように配意をするということだと思います。全体の定員外の問題につきましては、先ほどお答えになりましたように、行政管理庁を中心として検討をいたしておりまして、その結論に基づきまして措置をいたすことと相なると存じます。
  214. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 主計局長にも申し上げておきたいと思うのですが、北部事業所というのは去年開設したのですが、新しく開設した所ほど定員内の職員というものは少ないのですね。北部事業所というのは去年開設したのですが、ここで言いますと九十六名いる。そのうちで十八名が定員内、こういう数字なんですね。ですから一八%定員内、これで十億ぐらいの金を使って仕事をやるというのですから、これは相当無理があるのじゃないかと思います。ですから、結局、主計局長の方でもこの点一つよろしくお考えをいただきたいと思っております。それからこの八郎潟の四百七十八名といううちの百六十七というのは、期間雇用になっておりますね。この期間雇用というのは、これは非常勤になるのじゃないでしょうか。六カ月を原則として十カ月になったらやめてもらうというのですが、事実上はそうじゃないようですよ。というのは、せっかく土木事業に堪能な、やっとなれたタイピストをやめてもらっちゃ困るから、結局、またもぐって雇うということになっておるようですがね。十カ月ごとにやめるということになっておるが、事実上はそうではなくて、ずっと継続して勤めなくちゃならぬというような形になっておる。しかも、これずっといるんですね、事実上。この百六十七名というのはいるわけですね。で、これをこの間、四月の五日のこの内閣委員会では、官房長はできるだけ一つ非常勤に入れたい、あるいは登録をしたい、こういうお話だったのです。ところが、全然そういう動きがないようですね、聞いてみますと、これは農林省でやられることだと思いますが、農林省としてはどういうふうに考えておられるか伺いたいのですがね。
  215. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 期間雇用と申しますのは、これは最高限六カ月期間で、やむを得ないときには十カ月まで延長することができる。御指摘の通り非常勤でございます。形式的に建前といたしましては、これは非常勤の臨時の性格を持っておる職員でございますが、もちろん中にはその業務の性質なり何なりによりまして、定員関係もございまして、そういうことによるのがあるかと思いますが、それをその実態に応じて登録なりするということにつきましては、農林省といたしましても調査をして処置をいたしたいと思っております。
  216. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この間の四月五日の官房長の答弁でも、実態に応じて一つ登録をしたいというお話だったのですが、実際現地に行ってみますというと、そういうような措置はとられていない、今のお話ですと、まだやられていないという話なんですが、これははっきりしておいてもらいたいと思う。このちょっとばかり仕事が多いからというような話ではないですね、百六十七名なんですから。ですから、総体の人員の三五%というのがこの期間雇用に入っておるわけですから、秘書課長、よろしゅうございますか。
  217. 和田正明

    説明員(和田正明君) ただいまお尋ねの期間雇用の問題は、すでに鶴園委員御存じの通り定員外の常勤職員定員化の問題を農林省としても事務的に、本人自身の立場も考え、また人事管理の立場も考えまして、全員の、常勤的非常勤職員定員化要望して参っておりますことは御承知の通りでございます。それとは別に期間雇用職員というのがございまして、常勤職員の全員の定員化問題というのを事務的に要望をいしたまするといたしますれば、当然その前提として今後同じようなことが繰り返されない必要がございますので、農林省の官房としては、各局、各場所に対しまして、常勤的な職員増加については極力自粛して増加しないように指導する反面、期間雇用職員がのんべんだらりと常勤化することを極力押えまして、本来の常勤的な職員の全員定員化という方向に支障にならないように指導をして参りましたことも御承知の通りだと思います。八郎潟の職員につきましても、御指摘のように、約百七十名ほどの期間雇用職員がおりますことは承知いたしておりますが、それがただ常勤的な仕事をしておるからそれを登録するという形ではなくて、官房長の申しましたことも、今申しましたような方針をとるにいたしましても、完全な常勤的非常勤職員定員化問題が政府全体としてまだ解決を見ておりません現段階では、それぞれの場所の事情によりまして常勤的な非常勤職員をある程度雇うこともやむを得ない場合がございますので、それにつきましても、官房としても一つの基準を作成いたしまして指導に努めておるわけでありますが、そういうものに欠員等ができたり、場所の都合によってそういう常勤的非常勤をなお雇わなければならないような状態が発生をいたしますならば、ただいま御指摘の期間雇用職員の中からそれを補てんをしていくという方法で具体的に解決をしていきたいと、かように考えております。
  218. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 やむを得ないで雇うというお話ですが、やむを得ないということではないのじゃないでしょうかね。何せ、百七十名おるのですからやむを得ないということで三人か四人かおるならわかりますけれども、百七十名もいる。約三五%おる構成になっているのですから、そういうふうに言いにくいんじゃないかと思います。ですから、やはりこの中で登録して、登録ということは農林省の問題ですから、農林省の方で登録され、該当する者は登録されていくというふうに努力されるということで、四月五日もそういうお話だったのですが、実際行ってみると、そういうことにはなっていない。依然としてこの百七十名という期間雇用の人たちがおられる。しかも、これは期間雇用というのですが、決してそうにはなっていない、続けて雇っておられる、こういう実情です。非常にこれがもぐった、妙なやり方で、非常に苦労したやり方で、精神的には非常に何か悪いことをしたと感じておられるに違いないのですが、非常に苦労した形で継続しているのです。こういうことはよろしくないと思うのですがね。
  219. 和田正明

    説明員(和田正明君) 私ただいま申しました中に、誤解を受けました部分もあるようでございますから申し上げますが、やむを得ないと申しますのは、期間雇用職員を雇うことがやむを得ないと申したのではございませんで、常動的非常勤職員という雇用形態をなくして、同じような常勤的事業に従事する者については、現在の定員外職員と同じように扱うような、そういう建前で考えていただきたいということを、農林省事務当局としては努力をして参っておりますけれども、まだその問題が最終的に解決しない現段階では、定員外が常勤的非常勤という形で、ある程度さらに追加して雇うということもやむを得ない事業所等がある。そういう場合には農林次官の承認を得て、一定の基準で、やむを得ない場合にはこれらを非常勤で雇うというシステムを現在とっているわけです。期間雇用の問題も、期間雇用として本人を契約をいたしました。仕事の内容としては、やはり一定の期間を限るべきもので、その期間雇用職員がそのままだらだら常勤的職員にならないことが望ましいということで、それは全体の人事管理上そうだと思いますが、そういう指導をして参っている。従って、お説のような実態があるとすれば、それは期間雇用職員を登録するということではなくて、常勤的非常勤職員として採るべき性質の仕事であるということを、次官として認定をいたしましたならば、そういう形でこれを切りかえるということについては、実態に応じて努力をいたしたい、こう申し上げているのです。期間雇用という形のままを常勤的職員として扱うということは考えていない、こう申し上げたのです。
  220. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう終わりますが、何せ、これは事実上は登録してある非常勤と同じような仕事をし、決して六カ月でやめていない。非常に苦しいやり方で継続されているのですから、また、そういう者がなければこの事業が遂行できないという実情にあることも御承知の通りなんです。ただ、だらだらとやっているということではなかろうと思うのです。ですから、何せ百七十名もいる。しかも、それがいなければ事業遂行がされない。それは登録をしてある非常勤と同じような仕事をやって、しかも、六カ月でやめていない。やはり継続されたような形になっているのだから、私としては、この百六十七名という期間雇用の人たちも、切りかえて、登録非常勤に切りかえていくべきではないか、こう言っているのですが、そういう方向で努力をするというお話ですか。
  221. 和田正明

    説明員(和田正明君) 先ほども申し上げましたように、期間雇用職員をそのまま常勤的非常勤職員として登録がえをするということは考えておりませんで、常勤的な職員不足であるという事業所の実態ならば、その常勤的非常勤職員の必要度を次官の手で認定をして、それを新規採用の形で整理をしていきたい。その場合に、常勤的非常勤として採用することが、そういう職員の配置を必要とする仕事の種類があれば、それに見合って、今おります人の中から適任者がいれば、それを新規採用の形で常勤的非常勤として採用することにはやぶさかでないと、こう申し上げたので、現在おります期間雇用職員をそのまま常勤的非常勤職員として切りかえるというふうには考えておりません。
  222. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ちょっとくどいようですが、しかし、実際上はそういう形になるんじゃないですか、大体の形は、実際上は。それは外においてですよ、その百六十七名の外において新しく雇うというのではないでしょう。そうじゃないのであって、やはり百六十七名という中から該当する者がおれば入れていくということでしょう、結論は。
  223. 和田正明

    説明員(和田正明君) 今の八郎潟の事業所ばかりでなしに、ほかにも同じようなケースが事業所の実態として、あるいはあるかもしれませんが、期間雇用として本来その期間にその仕事が終わる性質のものであれば、これは別に常勤職員としての扱いをする必要はないわけですから、事業所ごとに必要な仕事の量を考えまして、そうしてそれに必要な人員は常勤職員として新規採用の形で採っております。その場合に、現在おります人の中に優秀な適格な人があればそういうものを新規に常勤職員として雇いかえるということは努力いたします。
  224. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは八郎潟だけでなくて、農地の現場においては事業所におきましては大体類似したような形になっておると思います。それから振興局の試験場関係ですね。ここもやはり同じような形ですね。そうしてこの期間雇用でもって五年も六年も七年も勤めておられるということですね。それから畜産局の種畜牧場関係、こういうところにもそういう形態はありますね。そういう面についても、今の八郎潟で秘書課長が答弁されたような形で一つ努力していただきたいというように要望しておきたいと思います。
  225. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) よろしいですか。  他に御発言もなければ、本件に関する質疑はこの程度にとどめます。本日はこれをもって散会してよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) では、これで散会をいたします。    午後五時五十八分散会