運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-09-01 第35回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年九月一日(木曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   委員異動 八月十一日委員千葉信辞任につき、 その補欠として松本治一郎君を議長に おいて指名した。 本日委員西川甚五郎辞任につき、そ の補欠として前田佳都男君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉江 勝保君    理事            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            小柳 牧衞君            下村  定君            西川甚五郎君            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    国 務 大 臣 江崎 真澄君    国 務 大 臣 高橋進太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    行政管理庁行政    監察局長    原田  正君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    調達庁長官   丸山  佶君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省主計局主    計官      新保 実生君    大蔵省管財局長 山下 武利君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (国の防衛に関する件) ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査  (公務員給与に関する件) ○国家行政組織に関する調査  (公務員定員に関する件)   —————————————
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。  最初に、委員異動について御報告いたします。去る八月十一日、千葉信君が辞任され、松本治一郎君が選任されました。   —————————————
  3. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、国の防衛に関する調査議題とし、国の防衛に関する件の調査を進めます。  政府側出席方々江崎防衛庁長官丸山調達庁長官門叶防衛庁官房長加藤防衛庁防衛局長木村防衛庁経理局長山下大蔵省管財局長新保大蔵省主計局主計官方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  4. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官に私は苦言を呈しておきたいと思うのですが、あなたの就任以前ですが、われわれの担当の内閣委員会昭和三十五年の防衛庁業務計画さえ説明を受けてないのです、先国会で。ところが、防衛法案審議してほしいと内閣から提案される。それからその安保問題は主なる所管ではないけれども、当委員会にずいぶん関係あるわけですが、これは国会のいろいろな事情で、一回といえ当委員会であの大きな安保法案について質疑するあれはなく、すでに三十六年度の予算編成期にも入っているわけです。で、こういうときにこの防衛に関する考え方本質論まで私はじっくりやらんければならぬ時期じゃないかと思う。また、防衛庁長官もかわられたわけですが、私は必要だと思う。ところが、なかなかそういう機会がなくて、先般もちょっと短時間だったわけです。きょうも午前中だけだというのですね。だから互いに重要な問題なんですから、いろいろ政務御多忙でございましょうけれども、できるだけ能率的に国民の前に質疑応答できるように心がけていただきたい。この点強く要望しておきます。  そこで、まず第一問としていたしたいことは、私は来年度のこの防衛庁業務計画については最近の世界動きと、また国内的には内閣がかわり、防衛庁長官がかわったというだけに相当関心を持っているわけです。で、先般の八月十日の委員会の最後に業務計画についてどうだということを伺ったわけです。そうしましたところが、本委員会で午後四時二十二分に業務計画については慎重に検討中でありますと私に答えたのであります。だから、私は若干の情報をキャッチしておったけれどもあえてあとを追わなかった。ところが、私はその委員会が済んで調べてみたところが、三時二十五分に防衛庁防衛課長記者団に対して業務計画を発表している。そういうことはよろしいですか。一体行政府立法府に対してそういう心がけでよろしいのですか。委員長委員会の運営もありましょうが、しかし防衛法案を出して予算審議立法府に求める以上は、時間を特にさいていだだいて昭和三十五年の業務計画等説明委員に積極的にするだけの心がけがなくちゃならぬと思う。委員部を通じてプリントを配っただけであって、一分間も説明していない。そうして長官がかわったからどうかと思って私はそういうことを意識して伺ってみた。党内に説明するのは何ともないけれども記者団に対してそういう発表をする。しかも、それよりも一時間前に立法府質疑に対しては慎重検討中でございますというようなことで説明している。基本的には私は立法府に対して心がけが不十分だと思う。ごあいさつを承りたい。そのことについてごあいさつがあるだろうと思います。
  5. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ただいまの矢嶋委員のお言葉は、一々ごもっともでございます。その時間の点はそういうことになっておりましたか、私も実はあなたと御一緒にこの委員会におりましたので、さようなはずはないと思うのでございますが、よく一ぺんその間の事情はどうなっておりまするか、十分一つ調査いたしたいと思います。今の矢嶋委員の御意見は一々ごもっともでございまして、その通りだと思います。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の申した時刻が正確だったらどうですか。私は数字については非常に敏感な方なんです。四時二十二分と三時二十五分というのはうわさでも何でもない。防衛庁一課に私は尋ねた、新聞記者だけでなく。そうしたら防衛庁の第一課長は三時二十五分に発表している。私の方は速記録で四時二十二分。そういうことは非常に不都合だと思います。いかがでしょう。
  7. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これはたしかその日、私の記憶によりますというと、自民党国防部会を開いておりまして、これがたしか院外で開かれておったもののようでございます。そこで、自民党政務調査会国防部会等ともよく一つ十分話し合いをしなさいということで、私官房長にもよく言うたわけでございまするが、ひょっとするとあるいは与党とのいろいろな話し合い、調節というようなものがつきましたので、新聞記者諸君から要求があったり、せがまれたりというようなことで、あるいはお話ししたことがあるかと思いまするが、私自身も実はまだ了解を得ない前にこの委員会に入っておりました関係から、矢嶋委員に対しましては誠意をもって答弁をいたしたわけでございまするので、この点はぜひ一つ了解を賜わりたいと思います。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ、あなたの人となりはりっぱですから、一応ここでとめておきますが、自民党国防部会といっても現に委員会は開いております。内閣委員長自民党所属議員さんですよ。そういうときにそんなら自民党議員諸君で、ここにおられないで国防部会に行っておったら、立法府より党優先でおかしい。党の部会で開かれておったらそれは会の持ち方もおかしい。これは私は注意を喚起いたしておきます。  そこで、内容に入りますが、業務計画それから国防計画を立てるにあたって、まあ新安保体制下に入ったというんですが、量をふやすという方針でいくのか、それから量はふやさないが、整備なりあるいは質的に改善するという方向へいくのか。質の改善とかあるいは数量の増加というものが対米信義上考慮しなければならぬか、考慮しなくてよろしいものか。具体的に安保協議委員会が、あとでこれは質問で出て参りますが、近く開かれるわけですが、これは安保条約の第四条に基づいて設けられる重要な点について協議するとこうなっておるわけですね。たとえば、来年度の防衛計画予算編成作業をするにあたって、そのことは安保協議委員会の話題あるいは協議事項となるものかならないものか、そういう点を伺いたい。
  9. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 安保条約が新たに締結せられたから、日本防衛計画影響を受けるのではないかという御趣意に受け取りまするが、あらためてこの新しい条約によって特に影響を受けるなどということはございません。あくまで日本の独立と安全を守るという従来の自衛隊方針を貫いていくわけでございます。それから安保協議委員会にこういった業務計画等議題になるか、この御質問でございまするが、これは正式の議題にはもちろんなりません。ただ、アメリカからの御承知援助に基づきまする問題等につきましては、当然話し合いの対象になるものと考えております。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 他日根本的に私は論じたいと思いますが、結論めいたものを申して伺いますが、私は率直に言って理由はいろいろありますが、時間がないから述べませんが、私の考えでは、昭和三十六年度の防衛関係費を増加するということは、取りやめた方がよろしいと思うのです。そして一年の動きを見てしかるべきだと、こういう私は見解を持っているのです。従ってそういうことにしても、あなたがたとしては対米信義上まずい云々ということはありませんね。私は昭和三十六年度の業務計画策定するにあたっては、現状のままにして、これを増強するようなことはやめるのが適当だ。これは防衛という立場からでなくて、それのみでなくて、世界情勢、あるいは国内の政治諸情勢、これを勘案した結果、私としてはそういう結論が出てくるわけなんですが、その点はいかがですか。
  11. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) われわれが独自に作りまするこの業務計画において、その業務計画金額のいかんが、アメリカ側に対して気がねがあるとかないとか、そういうようなことはむろんあるものではございません。しかし、三十六年度において増加させるか、あるいはどうかというような点については、これは別な意見を持ち合わせております。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 しからば伺いますが、昭和三十六年度について矢嶋と違う意見を持っておるとすれば、江崎防衛庁長官のもとに立てられる業務計画の骨子といいますか、新味といいますか、そういうものはどこに特色があるのか。詳しいことはきょうはやる余裕がないと思うんだが、そのいわゆる江崎業務計画というものは、すでに策定が終わったのかどうか、その特色はどこにあるのか。できるだけ短い時間に要領よくお答えいただきたい。
  13. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) まだ最終的な結論には到達いたしておりませんが、三十六年度におきましては、防衛力近代化、現在のいろいろな設備あるいは器材等々、非常に老朽化しておりますので、これを近代化いたしますると同時に、質的に強化することを促進したいと思っております。また、対空誘導兵器の導入を促進したい、こういったことも考えております。それから弾薬と有事初動にきわめて必要であるという備蓄資材の確保に努力していく、これも大事なことだと考えております。なおまた、警察予備隊が発足いたしましてから十年になります。従いまして、特に教育につき、またその精神面の充実を期して参りまするとともに、体育の振興をはかっていきたい、こういうようなことも考えております。第五番目には、民生面に対する協力を積極的に強化して参りたいというような面等々で、業務計画を今調整を急がせておるような次第でございます。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 若干その点についてさらに伺います。ただいま継続審議中になっていますいわゆる防衛二法、これは八千四百五人の隊員増内容とするもので、そうしてこの二法が成立いたしますと、昭和三十五年度末にあなたの部下は二十六万三千二百四人という定員になります。これは通るものとして、それを前提としてあの業務計画策定されているのですか。それとも、一応継続審議をお願いしているが、いろいろな情勢から勘案して、八千四百五人という隊員増計画は取りやめて、そうして先ほど申されたような柱というものを立てておられるのか。私は後者ではないかと思うんですが、いかがですか。
  15. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは非常にごもっともな御質問で、私どもの方におきましても、防衛二法がいまだ通過を見ないということについては、非常に遺憾に思っております。御承知通り予算はみなさんの御審議によりまして通過いたしておるわけでございまして、一つそれこそ勝手なことを申し上げるならば、きょうにでも御審議をいただいて、すみやかに防衛二法をお通しいただきたい、こういった感じを持っておるわけでございまして、せっかく予算が通っておりますので、これは十分御審議はいただかなければなりませんが、ぜひ通過をさせていただくということをやはり考えながら、現在の業務計画は立案しておるような次第でございます。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこに僕はかなり問題があると思うんです。予算が成立いたしましても、これは繰り越しということが会計法上許されているのだから、何も心配は要らないわけです。あなたが御承知通り宇宙船衛星第二号が、御承知のごとく、犬からネズミ、ハエ、こういうものを回収に成功したわけですね。そうしてその回収地点というのは、わずか十キロの誤差だ、しかもその重さたるや、四・六トン程度のものが回収せられた。アメリカ側では百三十キロくらいな小さなものですけれども、ともかく二回一応回収に成功した。こういうようなことを考える場合に、八千四百五人ふやすとか、それからあなたが今あげられましたようなこういうことをやることによって、一体戦争抑止勢力となり得るでしょうかね。われわれは反対なんだけれども自衛隊を生み出して、これを育てるというのは、あなた方がやはりアイクさんの力の均衡による平和政策として、戦争一つ抑止勢力として持たれているわけでしょう。はたして抑止勢力たり得ますかどうか、これは他日徹底的に論じたいと思いますけれども、そういう見解に立たれておるのか、ただ計画があるから機械的にこういうふうにやるということでされておるのか。でどうも失礼だが、僕はそういう点の御研究とかいうものは不十分なんじゃないか。もう少し全日本的な英知、英能をしぼって、そういう点から少し考えてみなければ、ただ計画が出たから、それで年々こんなにしていくというのでは、僕は将来禍根を残すんじゃないかと思いますが、そういう根本論については、どういう計画を持たれて業務計画策定をなされておられますか。
  17. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 理想的にいいますならば、全く世界最高のそういった科学的な研究、またその成果、そういうものが一番国と国との平和を押えていく最高の姿かもしれません。しかし御承知通り東西首脳会談がフランスにおいて開かれる、全世界の人類が、心からこれを希望いたしておったのでありますけれども、残念ながらこれは両首脳において食い違いが生じて、これすらも実現をいたしませんでした。しかも、世界情勢というものは、やはり主義主張をめぐり、利害をめぐっていろいろなこぜり合い、紛争というものが続いております。そういった様子をながめますときに、やはり一億に近いこの大国民のありまする日本を守っていくための必要最小限という言葉は、従来の内閣も使っておりまするが、必要最小限の武装としては、やはりこの程度のものがどうしても必要である。理想的なものではないかもしらぬが、そういった形においては私どもは肯定をいたし、これを漸増していくという立場に立っておる次第でございます。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 他日論じますが、その点については私は意見が違います。納得できません。間接侵略に対する最もいい方法というものは、日本は特に多いんですけれども、低所得階層に対する施策です。これが間接侵略抑止勢力、直接侵略に対する抑止勢力というものは、何といったって外交方針ですよ。それをないがしろにして陸海空装備改善をするとか、老朽化を防ぐというような政策をやっても、私はこれは戦争抑止政策にはならない、私は確信を持っております。いつか私はあなたと討論会をやりたいと思っておるんですがね。これはきょう水掛論をするのはもったいないから、時間が大切ですから進みますが、深く中に入れませんが、一、二重要な点に入りたいと思います。   MSAの援助装備しておる陸海空、特に陸、それから海の大体練習船の約半数、これも老朽化して役に立たぬことは、明々白々です。今局地戦争があったって、陸上自衛隊の持っている兵器の半分くらいは全然役に立ちません、私たちしろうとから見ても。この老朽化を解決するためにその更新をやるというのですが、一体どのくらい金がかかると踏んでおられるのですか。どの程度金がかかりますか。
  19. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 話がこまかくなるようでございますから、政府委員からお答えいたさせます。
  20. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 今、矢嶋委員の御指摘になりましたごとく、自衛隊装備しておりまするものが、漸次老朽化して参っておることは事実でございます。これを三十六年度以降の次期防衛力整備計画におきまして、一つ重点として更新したいということを考えておる次第でございます。ただ、どの程度更新するかということは、今お話もございましたが、半分くらいはいかぬ、非常に総括的な抽象的な御意見でございましたが、やはり個々の兵器について考えてみないといけない問題でございます。欲を申しますれば、全部を更新したいくらいかもしれませんけれども、そうも参りませんので、これをどの程度更新するかということを、今次期計画重点事項として検討中でございます。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 金額は約一兆円くらい私は要ると思います。約一兆円くらい要ると思いますが、どうですか加藤さん、この数字。そのくらいなければ陸海空の戦いがあった場合にものにならぬ、私はそう思っているが、あなたはどう思っておりますか。
  22. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) これは今申し上げました通り、どの程度更新するかということを検討中でございまして、次期計画重点として……。大体次期計画考え方といたしましては、前国会におきましても、前防衛庁長官もおっしゃいましたごとく、大体国民所得の二%強を目標にしてやっていきたい、こういうお考えでございます。五カ年でいこうと、そういう考え方で参りますと、総額で一兆数千億円になるだろうと思います。その全部を装備更新に向けるというわけには参りません。人件費その他維持費もございます。そこでおのずから装備更新につきましても、私ども必要欠くべからざるものから順次に手をつけていきたい、かように考えておるわけであります。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵省主計局長おみえになっておりますか。どなたがお見えになっておりますか。
  24. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 新保主計官です。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 専門的にお詳しいわけですね、それでは伺います。施設設備更新といえば、いろいろ日本でやらなければならぬことがある。科学技術振興が唱えられておりますが、大学の施設設備更新というものは非常に重要な問題です。きょうの内閣委員会は時間がないから申しません。相当莫大な予算を必要といたします。国立病院の、国民の生命をあずかっているこの設備更新しなければならない非常に重要な問題です。そういう問題は御承知だと思うのです。先般も池田総理大臣防衛庁幹部の皆さんお集まりになって、この更新を力説したということが報道されているわけですが、大蔵省として検討されたことがあるかどうか。もう二、三年くらい前から真剣に考えられていると思うのです。そういう更新予算は組めるのかどうか。矢嶋の私見をもってするならば、これは僕はむだだという見解を持っている、同じ防衛庁予算を使うならば、僕はほかの方に使ったらいい。今防衛庁計画している更新計画については、鋭い僕は検討と査定を必要とする。願わくは、出てきた場合には切ってもらいたいと思う。大蔵当局としてはどういう見解と見通しを持っておられるか、事務当局としての見解を参考に承っておきたい。
  26. 新保実生

    説明員新保実生君) 自衛隊は現在アメリカから供与を受けました装備品日本で国産をいたしました装備品と合わせまして、かなりの装備品を持っておるわけでございますが、この中にはだんだんと使用に耐えないものも生じつつございます。これをどういうふうに今後更新して参りますかということは、ただいま防衛庁からもお話がございましたように、第二次防衛力整備計画一つの大きな問題でございます。ただ、これをどの程度の規模でやって参るかということは、二次計画全体の構想につきましてまだ説明を受けておりません。二次計画内容といたしましては、装備更新ももちろんございますが、それ以外の事項もございますので、そういった全体の構想との関連において、どの程度計画的に更新して参るか、その際具体的に検討して参りたいと思っております。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 事務当局ですから、重ねては伺いますまい。そこでとめておきますが、長官に伺いますが、あなたはさっきの業務計画の柱の中に説明されなかったのですが、私は新聞で見て非常に関心を持っているのがあるのですが、それは四十年までにヘリ空母を一万トン級のを二隻作るという計画があるというわけですね。これは落としたのかどうか、そういう計画がやはりあるのかないのか、おやめになったのか、これはずいぶん問題がありますね。僕はやはりおやめになった方がいいという見解なんです。一隻百億円かかるといわれているのですから、今説明されたのに言われなかったのを見ると、これはおそらく内部でも意見がまとまらないでおやめになったのだろうと思いますが、さようですか。
  28. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは私申し上げたのは、いわゆる柱としての概要を申し上げたわけでございまして、一々個別にわたったわけではございませんから、そういうふうに御了解を願います。ヘリコプター空母を何隻作るかということについては、結論は得ておりませんが、三十六年度におきましては、ぜひ一つヘリコプター空母を作りたい、これはもちろんとりあえず一隻でございます。ヘリコプター搭載の量は十八、九あるいは二十という程度のものを計画いたしております。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一隻百億円ぐらいかかるんでしょう。
  30. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) その程度どうしてもかかるかと思います。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで伺いますが、日本海上保安庁ヘリコプターを幾つ持っているか、御存じですか。それは所管外だから御存じないでしょうが、周囲ずっと海で、どのくらいヘリコプター持っているかということですね。八機しか持っていないのです。ちゃちな飛行機二機、海上保安庁は合計十機しか持っていないのです。これだけ耳に入れて次に伺いますが、あの例の大型潜水艦に対するP2V、これは大体今鹿屋にいるのですが、これは現在十七ありますが、これは一機七億円ぐらいかかるはずなんです。これは三十五年度の業務計画を見ると、十機ぐらい作るようになっているのです。審議する機会はなかったけれども、私は防衛庁の書類で見て、P2V十機、そうしてこの年度末に二十七機になっているのです。そうして今度はヘリ空母を作るというのは、何を目標にしているのですか、どういう戦略からこういうものが出てくるのです。私は防衛庁内部にこのヘリ空母について、同じ百億使うなら、こちらの方に使ったらどうかという意見があるということを聞いております。ごもっともだと思います。これは僕は検討を要すべきものだと思いますが、どういう戦略からこういうP2Vの大増産、それからヘリ空母のこういう問題が出て参るのか、お答え願いたい。
  32. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) P2Vの十機の問題は、四十二機の御了承を得ておりまする継続の分が業務計画の中に入っている、こういうことで御了解願います。それからヘリ空母でございますが、これはもう御承知通り日本は四辺海でございます。しかも、この間問題になりましたグレイバックを初め、潜水艦の性能というものがだんだん高度化している実情にかんがみまして、やはりヘリコプターをもって潜水艦の攻撃を早く知るといった平素から訓練をいたしておく必要がありまするので、そういった建前からこれを考えています。のみならずヘリコプターは御承知通り災害国といわれまするこの日本においては、災害派遣の花形でございます。これがまた先般のチリ津波等の災害におきまして、海岸部の災害、これは九州の災害にもしばしば見られるわけでございますが、こういったものがあれば、災害派遣等のときにも非常に機宜の措置がとりやすいといったことも重要な理由の中に加えておるような次第でございます。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さっきのお答えがないのですが、どうも対潜水艦に非常にピントが合っていくようですね。あなた方の最近の業務計画はこれはどういう点からそういう必要に迫られて参るわけですか。何かソビエトの日本海における潜水艦とかいうのは増強されたとか何とかいう情勢があるのですか、どうなんですか、この辺は。
  34. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 別にソ連がどうこうというようなことについては、われわれは何ら関知いたしておりません。独自の立場でこれは必要である、今申し上げたような理由で準備いたしておるような次第でございます。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それならこのへリ空母のは再検討なさったらよろしいと思います。これは内閣でも十分検討なさって、私はこれは簡単にのむわけにいかない。もう一点あなたが申されなかった点で、私は重大関心を持っておるのがある。治安部隊を設けられるというのは、これはどんなものです、どの程度設けられるつもりなんですか。警察庁長官言葉をかりれば、今の日本の警察が地上における社会秩序の維持、国民の生命財産を確保していくにあたって、質的にあるいは機動力が不十分だとか、あるいは量的に対警察官の人数が少ないとかいうことを、警察庁長官からずっと承っているわけですがね、何か機動隊に類似したような訓練をされるということが伝えられておるのですが、どういう目的でどういう規模のものをどういう地域性をもって設けようとしておるのか、これは私は新聞で見ただけです。非常に関心を持っておるのですね。警察行政との関係で御所見を承っておきたいと思います。
  36. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私ども自衛隊は御承知通り自衛隊法の第三条の規定によりまして、「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを」任務とし、とこうありまして、これに続いて、「必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」ことを目的としておるわけでございます。従いまして治安出動ということも、その任務の一つであります。従ってふだんから各部隊においてその教育、訓練を行なう、こういうわけでございまして、別に本来の任務を十分訓練しておく、これから一歩も出でるものではございません。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 全部の自衛隊のそういう訓練をするというわけなんですか、特殊な部隊を作るというのですか、それはどうなんですか。そうしてどの程度部隊を作られるのか、作られるのならば、地域的にはどういうようにお考えになっておられるのか、あなたの今の説明ならば、今の自衛隊の教育訓練計画というものは、それは自衛隊法で主と従はありますが、従の分がちょっと足りないから、従の分をちょっと力を入れる、こういうふうにとれる。私の少なくとも新聞で承っておるところによりますと、そうでなくて、それを主目的とするところのそれに、よりウエイトを置いたところの特殊な部隊をある程度作って、地域的にも分布させる、こういうようにとっておるのですが、それを明確にお答えいただきたい。
  38. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 今御質問ではっきりいたしたのでございますが、東部方面地方に治安訓練の一個大隊を今置こう、こういうまあ考えに立っておるわけでございまするが、これは治安出動を万一命ぜられました場合に、円滑に事態を収拾させるために、平素からその教育訓練を積んでおく、こういう意味でございます。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは関東だけですね。
  40. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) とりあえずはそうでございます。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 とりあえずとはどういうことなんですか。
  42. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) ちょっと私から補足して申し上げます。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 なるたけ短く要点を……。
  44. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 今長官がおっしゃいましたうち、治安警備訓練ということは、自衛隊としてはやはり任務の一つだと思います。東部方面隊におきまして一個大隊だけ治安警備訓練のモデル部隊と申しますか、一つの部隊を運用してみまして、どうすれば自衛隊の治安警備訓練がうまくいくかということを研究しようという部隊を一つ持っておるわけでございます。今のところはこれをさらにふやそうとかいう段階ではございません。隊の訓練をさらに改善し強化し、参考にしたいという程度でございます。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大へんよくわかりました。新聞は誤報だということがわかりました。業務計画に入っていない、そうあってしかるべきだと思う。新聞で報ぜられているようなものであったらこれは警察との関係があってなかなか問題点がある。これはその程度にしておきます。  この項で最後に承りたい点は、さっき体育の振興ということを言われた。さすがにお若い生気溢るる長官だけに、今ちょうどローマでオリンピックが行なわれておるが、東京オリンピックのときには、一つ自衛隊においても日の丸を一本でもよけいあげるように、隊の空気を積極的に躍動的に明朗にするために大いにそういう点スポーツの振興をやりたいと、これは新聞でもちょっと見たのですが、そういう次第ですか。
  46. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは御承知通り自衛隊の環境というものは、体育を練磨するのには、非常に適しておりますのみならず、平素の集団訓練の基礎として、たとえばスポーツを振興する、それからあるいはまた精神力を涵養する、これもスポーツ振興とはきわめて密接なものがあるわけでございまして、ぜひそうあらしめたいと考えております。そこで、来年度のこれの予算要求の一環として体操学校のごときものを自衛隊の中に作りまして、そうして精神的、体力的な訓練を、基本的にこの隊内に指導滲透させる機関を作りたいというようなことを考えております。また、オリンピック等の問題につきましては、私はときどき雑談裏に申しておることでございますが、自衛隊はなにも特殊な選手養成ということに意を用いているわけではございません。本務はおのずから別でありますが、しかし、余暇をさいてそういったことに大いに尽瘁して、そうしてこれがわが国の体育向上のレベルを一歩でも二歩でも上げていく、そうしてその成果としてオリンピックに工合よく反映することができたらこれほど理想的なことはない、そんなふうに考えておるわけでございます。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 とんでもない、よく新聞、ラジオ、テレビでそういうことをあなたは意見をはいておりますが、自衛隊は、今まで国民の血税を一兆円も食っている、大ざっぱにいって。ほかに任務があるはずです。体育振興、私は自衛隊の体育は必要だということは認めますよ。しかし、少なくともあのスポーツ振興、体育振興という考え方の中には誤れるものがある。これはもう体育振興なら、当然これは行政機関があるわけですから、それを通じてやるべきである。国民体育大会は、あれだけの規模があるのは御承知通り、国は千万円しか出しておらない、従来は七百万。オリンピック派遣がどういう経過をたどったかは御承知通り自衛隊の体操、体育は必要である、しかし、そこで強いスポーツマンが生まれてくることを期待するというようなことは、これは私は座談会あたりで言うべきことではない。これは防衛大学にしても何にしても、スポーツを盛んにやって、そうしてそれにちゃんと予算を使ってそれでいろいろな体育大会にやるということは、私は誤っておると思う。この点は自衛隊の隊員の体力を増強ということは大事ですけれども、普通のスポーツ振興云々と、あるいはオリンピックにおいて日本の国旗を上げる云々というようなことと結びつけて考えることはだめだと思うんですがね。それからこれもついでですがね、やはり長官ともなると、これは国家の国務大臣ですからね、あなたは前に大宅壮一さんと対談をやってですね、これにやはり国務大臣としてはね、こういうふうなのは注意してもらわなければね。この中にあなたは非常に講談がお上手で、落語の方がお得意だと、だからそういうものも聞かしたいと、そうすると隊員が見るとだね、やはり余暇のときはもちろんのこと、何のときも、やはり講談を聞いたときのこととか、落語のことなんかをね、やはり頭で研究するようになってくるですよ。一方では落語をやり、一方ではラグビーの選手になろう、マラソンの選手になろうという意気をもって自衛隊の隊員が血税を一年間千五百億円も使われたらたまったもんじゃないですよ。おのずから本務というものがある。あなたの考え方は全面的に否定するものじゃないが、やはり国民に与える影響は大きいと思います。この点は私は若干意見を申し上げたんですが、それであなたの御同調を得たいし、それから注意を喚起したいと思うんですが、いかがでしょうか。
  48. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) スポーツの振興につきましては、私が今申し上げた通り、余暇にこれを振興する。これは決して悪いことじゃないと思いまするし、むしろ自衛隊の環境というものは、やはり体育を練磨し、これを通じてその精神力を涵養する、あるいは団体行動にこれが益する面というものは非常に多いと思います。従いまして、それが、さっき私が申し上げたつもりですが、それがたとえばオリンピックの選手などが出てくるという姿になれば、これは理想的な一つの現われである、こういうふうな表現で申し上げたつもりでございます。何も今後自衛隊を、これに奔命させ、専念させ、本務を捨ててこれをやるというようなことを考えておるわけではございません。余暇においては、そういった環境においてはぜひ一つ奨励をしていきたいということを考えますので、これはどうぞ矢嶋議員においても御賛成を願い、御協力をいただきたいと思う次第でございます。それから大宅さんの対談がどんなことが書いてありましたか、今ちょっとその記憶がありませんが、それはあくまで大宅さんが座興的に書いたものでございましょうし、むろん私から申し上げるまでもなく、自衛隊の中にそういうものを持ち込もうなどというような不謹慎なことを言うたものではなく、きわめて座興的なユーモラスなものであると考えております。どうぞ御了承願います。
  49. 下村定

    ○下村定君 関連して。きょうの委員会の劈頭で矢嶋委員から年度の業務計画について御要望がありましたが、私もこれはぜひお願いしたいと思う。と申しますのは、私まだ一年しか経験がございませんけれども、従来のこの委員会防衛に関する審議というのは、言葉が過ぎるかもしれませんけれども、やや形式に流れ、また時期を失しておる。たまたま審議に相当の時間をかけられましても、それが防衛に関する本体ではなくて、付帯と申しますか、そういうことにとかく時間がかかり過ぎる。これははなはだ私は残念なことだと思う。与党の議員としましても、この席上において質疑をいたしたいこともありますし、意見を申し上げたい。そこで、先ほど矢嶋議員が言われましたように、年度計画につきましても、どうかそういう余裕が十分にあるように、また時期を失しないようにぜひお願いしたい。  それからそれに関連してでございますが、年度の業務計画は、申すまでもなく、今御立案中の第二次の五年計画と申しますか、あれに私は基礎を置かれるべきものだと思うのです。これも私どもはまだ何も承知しておりません。これは非常に重要でありまして、それを拾て置いて業務計画を論ずるということは、私は本末転倒であると思う。そこで詳しいことは、むろんきょうはお尋ねを申しませんけれども、第二次防衛計画について防衛庁当局がお考えになっておる基本の構想をもう少しくだいて申しますと、現在の欠陥がどういう点にあるかというふうにお認めになっているか。また、それを是正するについてどういう御構想があるかということにつきまして私は知りたい。むろん今日までのところでおわかりになっているところでけっこうであります。そういう構想につきまして、また現在の欠陥と認められる点につきましてお言葉をいただければ幸いだと思います。
  50. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 早速促進をいたしまして、お手元に十分御了解いただけるような調製を急ぎたいと思います。
  51. 下村定

    ○下村定君 それは私に対してばかりでなく、委員会審議のできるように一つお願いいたします。
  52. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) お説の通りでございますから、十分に配慮いたします。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の意見全く同感、それはいつか時間をたっぷり取ってやりたいと思います。  話を変えまして、この前のこの委員会で、北富士の演習場の問題について質疑応答をなされましたあのときの長官の時宜に適した行動について、私は敬意を表するものであります。八月十日の速記録を見ますと、日本に返還を迫り得る可能性のある演習場ということが言えると思う。従って合同委員会なり、施設特別委員会の正式の場において強力に返還ができるように誠意をもって努力する、これは地元の人ともそういう約束をしている、こういう答弁があって、私はその促進方を要請しておいたのですが、何月何日、どういう会合を持ち、その結果はどうであったか。それから現時点においてどういう見通しを持っておるか、お答えいただきたいと思います。
  54. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) この問題は先回も申し上げました通り、返還を実現し得る可能性のある問題でございます。私はそう思っております。従いまして、調達庁の長官に命じまして、日米合同委員会の中の施設特別委員会にさっそく持ち出しました。その詳細につきましては、調達庁の長官が来ておりまするので、直接お答えをいたさせます。
  55. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 八月二十三日の施設特別委員会におきまして、この富士演習場の返還問題を正式の議題に供しまして取り扱った次第でございます。この趣旨は、富士演習場は、これは北富士に限りません、東富士も合わせてでございます。演習場は最近年次における米軍の使用状況は年のうち一定の時期に限られたものであって、常時は自衛隊の演習場によって使用されておる。この実情、この状況が今後においてもそのようなことが続く見通しのもとに地元の要望にも答えました。この富士演習場は日本側に返還せしめる、その上で自衛隊の演習場としまして、なお米軍の演習に使用する時期において米軍にも使用させる、この趣旨を盛った提案を日本側からいたしたわけでございます。米側といたしましても、その趣旨をよく了解できるので十分に検討を加えていく、これが委員会の当時の模様でございます。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 見通しとしてはいつ返還される見通しですか。
  57. 丸山佶

    説明員丸山佶君) この提案の実現に関しましては、これは日米ともに期待しておるところでございますが、先決問題がある。つまり米軍が使用する場合に、どのような期間、どのような使用方法をとるかという問題、それから同様な問題が自衛隊にもございます。また、この自衛隊並びに米軍に、使用させるについて地元においてもいろいろな要望、要請がございます。この三つの要望、要請というものを十分に調整しなければ、このよな措置の実現が可能にはならないと考えておりますので、この調整は相当むずかしい、また複雑多岐にわたる問題でありますから時間を要すると考えておりますけれども、私ども担当者といたしましては、少なくも半年ぐらいの間には結論に達したい。このように考えております。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 防衛庁長官、そんなにかかるものですか。今度のいわゆる新行政協定によれば、いつでも合同委員会は開ける、いつでも一方が要求すれば開かなければならぬことになっているわけですが、半年とは実にマンマンデーな話ですね。それに第一これは米軍から返還して、あとまた米軍に使わせるのですか。そういう考え方は誤りだと思うのです。これは断ったらどうですか、東も北も両方。富士というのは、日本国民一つのシンボルですからね、外国に旅行した人は、洋上はるか富士を仰ぐと目がしらが熱くなる、そうなると、天皇よりは今の日本国の象徴に富士というのはなっている。あの返還したあと米軍に使わせるとか云々ということは、百パーセント返還要求をされるべきじゃないですか。またがって問題が紛糾した場合に、あなたが天野さんとお話し合いをされたそのときの内容というものは、私はかように了承しているわけです、いかがですか。
  59. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 今返還の期間等につきましては、これは一つ相手もあることでありますから、こっちが誠意をもってやるということを御信頼いただきまして、半年と申すものがあるいは早まることが一番理想的でありまするし、あるいは半年と申しましても、何せ相手仕事でございますから、多少延びるというような場合があるかもしれませんが、これは誠意をもってどんどん推進するということで御了解を願っておきたいと思います。  それから演習場の使用につきましては、米軍から正式に返還を受けると同時に、これは自衛隊で今も使っておるのでございまするし、ぜひ使わしていただく。その場合に自衛隊が主体で必要最小限の場面で米軍の要望に応ずるということは、これは一つ了解を願っておきたいのでございます。その間山梨県等から七、八月というような登山シーズン、富士山が非常にいろいろな意味で国民的にぴったりつながっておるときだけに、実弾射撃などというようなことだけはやめてもらいたい、こういった要望についても私どもは考慮に入れながら話を進めておるわけでございます。アメリカに貸すこともあり得るという点等につきましては、一つ了解願っておきたい。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの発言としては一応聞いておきましょう。そこで、今度関係あることを聞いておきますが、この前の八月十日の本委員会での私の質疑に対する答弁を確認しておきたい。米軍に使う云々ということですが、これのときに、在日米軍は日本の接収区域を演習に使う。それから沖繩にいる第七艦隊の所属海兵隊が、日本の基地ないし演習場を使ったりする場合には合法的であり、あり得る。しかし、私の質問に対して韓国、台湾、フィリピン、こういうところに駐在する米軍が日本の演習場に来て演習をするということは別だ、好ましくない。こういう御答弁になっておるのですが、そういうところにはっきり使わせないのですね。それからそのときの質問に、かつて朝鮮あるいは台湾あるいはフィリピンにいる米軍が日本に演習のために来たことがあるかどうかという質問に対して、加藤防衛局長は今つまびらかにしないから、調べて後日答弁するということだったのですが、その二点について答弁の確認を願います。
  61. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 今御質問通りでございまして、韓国、あるいはフィリピン、あるいは国府というようなところに演習場を使わせるというようなことは、これは全然考えておりません。そしてこれはきわめて好ましくないことという考え方に立っております。
  62. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) この前の御質問で留保しました点を合わせて申し上げたいと思います。まず第一点の朝鮮または台湾に駐留する米軍が日本の領土内の演習場に来て演習をしたことがあるかというお尋ねでございますが、これは調達庁その他の方面を聞き合わせましたところ、今までそういう例はないそうでございます。  第二に、その際またお尋ねになりましたこれらの米軍が、その航空機等が日本に修理のためにくるということは、これはございます。しかし、これは米軍として日本において修理等をするわけでございまするから、その詳細のことはなかなか細部にわたりましては調査しにくいということでございます。  それからRB57Dでございますが、これはRB57Dは以前横田に出入りしたことはございまするが、ここ一年ほど前からは出入をしていないというふうに聞いております。RB47につきましてアメリカに対する照会でございますが、この前御質問の際は、まだ向こうから回答が来ていないということを申し上げましたが、その後回答が参りました。その回答によりますると、RB47は日本には配備されてはいないけれども、正常の任務遂行のために横田に来ることがある。そうしてその地上支援用の少数の部隊が横田に配属されているという回答でございました。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点については、あとほどちょっと伺いますが、時間がないから、急ぎますから……。今北富士のことを聞いています。で、返還については、長官、北富士、東富士同じ扱い方をするお考えですね。
  64. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) その通りでございます。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで長官は、北富士の問題を処理される場合に、入会慣行は十分尊重して誠意をもって善処されるということをお約束せられたやに新聞で承っておるのですが、この入会慣行を十分尊重する、この立場において処理されるものと、かように本委員会で確認しておいてよろしゅうございますね。
  66. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これはもう、もちろんその通りでございます。従来とも尊重をする建前をとって参っておりまするので、御了承願います。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点はあなたの答弁明確で非常にけっこうです。そこで伺いますが、八月九日、あなたが天野さんと問題を処理した日ですね、その前日に横浜の調達局長から忍草の区民に対して怪文書と私は言いませんが、変な書面を出されたのを了承されておられるかどうか、承知しておるかどうか、このことについて上司としてどういう見解を持っているかお伺いいたしたい。この点については調達庁長官あとで御答弁願います。
  68. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) その文書については話は私よく聞きました。まあ、きわめて事務的なつもりで出したと、このように調達庁の出先機関では申しております。それは矢嶋議員御存じ通り、いわゆる入会慣行によるところの保障金措置等は部落を対象にしているのじゃなくて、個人を対象にしている。何でも昨年はどれだけ、どれだけお渡ししたが、それだけお受け取りであろうかといったような事務的処理の通牒と、こんなふうに私は聞いておる次第でございます。
  69. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 御承知通り、北富士、東富士ともにでございますが、調達庁の組織といたしましては横浜調達局の管轄に属しております。従いましてあのときのような情勢が起きましたために、調達局長は一生懸命その事態の収拾に努力いたしましたのでございます。その一つといたしまして、今の入会慣行に伴っていろいろ補償の実情処置、それらのことについて一部の新聞の記事などから直接の方々に誤解があるのじゃないか、またこの演習場がどういうような性質のものであり、演習のときに……
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 なるべく簡単に願います。そういうところはいいから、大事なところだけ簡単にお答え願います。
  71. 丸山佶

    説明員丸山佶君) いずれにせよ、横浜調達局があの事態を収拾するために、その入会慣行に伴ういろいろの具体的な措置も明確にしたいということで出したものと、私は報告を受けております。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お二人に伺います。ああいう緊迫状況下ですね、天野という人物がおられて長官との間で話し合いされると、非常に努力された、その結果というのはよかったと思うのです、私は。両者とも非常な点数を取られたと思うのですね。ああいう状況下にこういう文書を住民に一人一人送るということが適当ですかどうですか、どういうふうにお考えになりますか。
  73. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは事務的に出したという……
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 事務的じゃない、大きなこれは意図を持っていますよ。事務的というのは、大いに問題がある。
  75. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 事務官の説明は、私はすなおに聞いてやりたいと思って聞いたわけですが、事がそこまで紛糾しておるときに、しかもまたどの新聞でしたか、「朝日」でしたかに、天野何がし君の人物論が出ておって忍草部落というのが非常に貧農である、しかもこの貧農部落が補償金その他の収入がなくなった場合に、相当な今や積み金ができておって、この積み金が近代共同施設をする営農資金になるのだというようなことが非常に賛美して書いてあったのを、私ですら実は読んでおるのでありまして、そういうときに、そういうものを事務的にしろ出したということについては、まあ世の中に親の心子知らずと申しまするか、出先機関になりまするというと、多少の食い違いがあるように思います。しかし、その書面そのものは事務的に出したものだと言っておりまするので、これは私すなおに受け取りたいと思いまするが、そういうものを出すにしても、時期が適当だったかどうかという御質問になられまするならば、決していい時期ではなかったと思います。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官いかがですか。
  77. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 私も江崎大臣と同様に考えております。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこれはちょっと意見を言いますよ。これは事務的じゃないですよ。生活権と戦っているこの北富士の人にこういう態度で臨むということは、これは権力行政官のやること、それから威嚇行政官のやること、占領ぼけをしている調達庁の役人のやることですよ。この前半において入会権について非常に住民に対して反撃を加え、そしてこの忍草で組合を作って、組合長が代表になって補償金をもらって、その一部を分配して、あとは全部貯蓄してプールして、そして土地改良とかなんとか、合法的に使っておるのに、これは区長には権限はないのだ、あなた個人に金がいっているのだぞと、あなた個人の金額はこれだと、詳しく昭和二十七年から書き込んで出している。これは切りくずしですよ、あなた。区長には何のあれはないのだ、これだけの金があなたのところにいっているから、今区で管理しているああいうようなことを断わって、お金を受け取りなさいというなんでしょう。それは平時ならともかくも、ああいう緊迫状態で大臣まで出て努力しようというときに、こういう文書を出すということは、これはあなた切りくずしであって、天野さんあたりの努力に対して、誠意に対して全く反するものですよ、私はそのセンスを疑わざるを得ない。渋谷という人物がどういう人物か私は知りませんが、これは威嚇であり、それから権力主義であり、それからややもすると、調達庁の職員の中には全部とは言いませんが、占領当時以来占領ぼけのまだなおらない職員がやっぱり若干いる。この米駐留軍をかさに着たこういう態度というものは穏やかでないと思う、事務的じゃないですよ。長官矢嶋の言うのは無理でしょうか。
  79. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 今申し上げましたように、ああいう事態が紛糾しているときに、そういう文書がいったということは、きわめて時期的にはよくなかったと思います。ただしその内容等については、事務的にはやはり地元に一応こういうふうですがどうですかということを穏やかな気持で知らせることは、これは私は必ずしも不適当だとは考えておりません。ただ、時期はどうだったかということは、繰り返し申し上げましたように適当でない時期だったというふうに思います。私自身もあの折衝に当たっておりまして、その問題が非常な地元の憤激を買っておる、どうなんだといわれたときには、実際さっき申し上げたように、まあまとめる側と、一方また出先機関とではこうも感覚が違うものかなと、ひそかに思ったような次第であります。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで江崎長官というお方と、天野という人物がおられたから、ああいうような格好で本日まで来ているが、もしそういう二人の人物がいなかったら、どんなことになったかわからぬですよ、そういう点を私は問題にしておる。それで調達庁長官に伺いますが、長官、あなたは忍草区民から渋谷横浜調達局長にあてた書面を預かってはいませんか、預かっているかいないか、預かっているならばそれをどうしているか、お答えいただきたい。
  81. 丸山佶

    説明員丸山佶君) この問題に関しまして忍草の方々が後ほど参られました。それに関しまして書面の点も調達庁で預かっております。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで時間がないから結論的なことを申しますが、この文書を私は取り寄せた。これは非常に穏やかな文書です。いただいた補償金はちゃんと団体で間違いないように運用しているということが書いてある。これを渋谷局長に届ける、よろしいですか、そうして渋谷局長は今後も北富士演習場の問題は皆さん方ともいろいろあるわけですから、やはり長官、たとえ自衛隊が使うようになっても、区民の方々の御協力を得なければうまくいかぬわけだから、末長くおつき合いが要るというわけなんですから、感情というのは解けなくちゃいかぬ。この文書というのは穏やかなものですよ。調達庁長官はあなたの部下である横浜の渋谷さんにそれを届け、渋谷さんは忍草区民約三百軒、二千四百人しかおらぬわけですから、書面受け取りました、了承しました、簡単でいいわけですが、そういう書面を出していただきたい、それによって問題は円満に解決すると思います。そういう指示を調達庁長官、出していただきたい、お答えいただきたい。
  83. 丸山佶

    説明員丸山佶君) お説の通り、今後の問題を措置していきます上におきましても、地元と所管局との間に感情的な対立があることは、まことに遺憾でありますので、これを円滑に処理することが大事と私は考えております。従って感情の対立を解き、今後円満な仲になるように努力いたします。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 伊藤委員質問いたしますから、これ最後の質問にしますが、今の点調達庁長官、早急に処理していただきたい。  それから北富士と東富士の返還については、防衛庁長官、これはあなたうまくやったら池田内閣で一番男を上げる人ですね、選挙があったら江崎ブームというのが起こるでしょう。実はあなたはえらいとき長官になってうまく処理された、さすが若さだと私敬意を表しているわけなんです。これは本委員会でも約束したのですから、早急に処理していただきたいということを特に要望しておきます。  そこで一般論としてですが、この北富士のような一年間に一カ月ぐらいしか使っていないというのですね、このままになっていますが、近く日米安保協議委員会が開かれることを承っているんですが、そうでしょう。そうしますれば、新行政協定、いわゆる地位協定の二条の2により、要請があれば検討するということになっているのですから、米軍に接収されているのを全部再検討されたらいいと思うのです。私、資料を要求しましたら、ここに出てきておりますが、件数にして二百三十三件あるということが出ていますが、この中にはやはり北富士のようなケースがあると思うのですよ。だからあなた方の立場でいえば新安保、新行政協定に発効したというのであるから、であればそれに基づいて、安保条約の四条に基づく協議委員会が近く開かれれば、新協定の二条の二によって要請をして、今米軍に接収されている施設を全部再検討をして、ほんとうに必要なものと、まあ返還しようと思えばされるものと区別して、ああいう北富士、東富士のようなトラブルが起こらないように事前に善処されたがいいと思う。ぜひ必要なものはあなた方やむを得ないでしょう。しかしそういうケースがあるでしょうから、提出資料によれば接収区域が二百三十三カ所あるわけですから、新条約、協定の条項を適用して再検討されたらいいじゃないか、それを近く開かれる安保協議委員会に出されたらよろしいだろうと思う。外務大臣と一緒にですね。いかがですか。
  85. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 新しい安保条約ができたから再検討すると、そういう理由では私ども考えておりません。ただ、従来米軍が引き揚げまして、実質的にそれを使用しておらないというのであるならば、それが自衛隊が必要とする場合は、その性格上自衛隊に引き継がせてもらう、これは演習場といわず、各基地の要請等々で御存じ通りでありますが、従いまして検討の余地のあるものにつきましては、十分協議をいたしまして善処して参りたいと考えます。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さっきの加藤防衛局長の答弁にからんで、これで終わりますが、他にありますけれども昼になりますからやめますがね、これをちょっと聞いておきたいのですがね。さっき、この前の私の質問に対して保留した答弁をされました。RB47が横田にときどき飛来する、また若干の要員を置いてある、こういうことですね。RB47D、これは優秀な偵察機ですがこれは来てない、こういうことですね。U2は帰ったということですね。きょう私は朝刊で見たのですが、衆議院でこれは事前協議の対象にならないと、こういうことを言っておるのですね。こういうことはいずれ参議院で僕は審議したいと思うのですが、こういうRB47は審議の対象にしないというのはおかしいと思う、事前協議。なぜといえばたとえば、アイクはB70というのを追加予算をしている。これは一万四千キロの航続力を持っている。こういうものが日本のどこかに来て行動する。それは性能からいってこれは極東の範囲、これはいつかやりますが、その関係もありますがこういう性能のものが来てそして日本から行動するということは、この重要な装備の改変があった場合には事前の協議をするということになっているわけですが、このRB47とか、やがて近くできるB70これはすごいものです、あるいはRB47Dというのは、性能から見て非常に私は装備の変更ということになると思うのですね。だからこういうものが来る場合には、その性能上からやはり事前協議の対象にしないと、将来トラブルが起こると思うのですね。衆議院の、けさの私は新聞を見ますと、事前協議の対象にならんという答弁をされておりますが、そういう答弁をされたのかどうかですね。もしそうですと、これは問題があると思うのですが、再検討の余地があると思うのです。近く安保協議委員会が開かれるというのですが、そういうときにやはり、検討していって、僕は、協議するに値いするものであるとこう思うのですが、それだけ聞いてきょうは質問を終わります。
  87. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは矢嶋議員その他の議員からの質問もありましたので、米側に私の方も正式に照会をいたしたわけでありますが、むろん日本には配属をしておらん。ただ立ち寄ることはあるが、正式な任務を遂行する上においてときに立ち寄ることもあるというような回答を得たわけでございます。正式な任務を相手が行なっておるという大前提に立ちます以上は、私どもは事前協議の対象にはならない、こういうふうに実は昨日お答えをいたしたような次第でございます。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 装備の変更にならないですか。
  89. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そういうふうに考えておりません。
  90. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 来年度の防衛計画についてお伺いする予定でしたけれども、もう時間がありませんので、これは次回に譲るとして、前回に引き続いて大泉の米軍飛行場返還問題について二、三お伺いしたいと思います。八月の十日の当内閣委員会で、江崎長官は私の質問に対して、今から二、三カ月の間には、何とか解決しなければならない問題だと思うので、御期待に沿うよう十分努力したい。こういう意味の御答弁があったわけですね。こういうような事情があって、去る二十三日の日米合同委員会施設委員会に、日本側から返還の正式な申し入れをして、この施設委員会は開かれた。そこでお伺いいたしますが、その結果どのようになったのか、詳細、具体的に伺いたい。なお、日本側から正式に返還を申し入れたのは、今回が初めてではなかったのかということ。さらに施設委員会でこの問題が正式に取り上げられたのも、今回が初めてではなかったのか。こういう点についてはっきりと一つ御答弁いただきたい。
  91. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) それは調達庁長官から御答弁いたさせます。
  92. 丸山佶

    説明員丸山佶君) この問題に関しましては、当委員会でもこれまでしばしば御答弁申し上げたいと思いますが、返還を正式に文書をもって持ち出しましたのは、昨年の八月の委員会でございます。この提案に基づきまして今日まで折衝を重ねてきたわけで、これがどうして目的を達せんかという事情は、この前の委員会でもるる申し上げた。つまり代替地の決定という問題にかかっておるのである。このような事情でありますので、今回二十三日の委員会でまた文書をもってあらためて出した趣旨は、そこまでの話が今までの折衝を通じてきておるが、この代替地に関する結論において、両者の意見が一致せず、その結論を急ぐ必要がある。この結論を急ぐことによって、そして今までしばしば国会また地元の太田市長、群馬県知事から要望がありました首都圏整備法の規定の関係による仕事、これらのことで日本政府としても、地元としても、早急にこの解決のめどをつける必要がある。このようなことを繰り返し強調いたしまして、今の代替地の結論を急ぐ。この趣旨の文書をまたこの二十三日の委員会に出して、返還促進のことといたしたわけでございます。米側としましても、日本側の事情を了とするもので、その問題の結論を急ごう。このようなことになっております。前回大臣のお答えの通り、この一、二カ月中には、結論に達するように最大の努力をいたしたいと考えております。
  93. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、正式に返還を申し入れたのは昨年八月。そして今回また繰り返した。そして施設委員会でこの問題が従来何回か取り上げられてきたわけですか。今まで新聞の報道によりますと、八月二十一日の朝日によりますと、今まで代替地が見つからなかったというそういう理由で、本件については施設委員会でいまだ取り上げられなかった。今回初めて取り上げられた。申し入れはしたでありましょうけれども施設委員会で取り上げられたのは今回が初めてではないか。この点がはっきりしてない。
  94. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 先ほども申し上げましたように、昨年の八月の委員会に文書をもってすでに議題に供しております。従いましてその議題に基づきまして、それから行なわれておる委員会において、随時討論を重ねてきておるわけであります。そのために御承知通り、キャンプドルウのみは全面返還になったのであります。また、住宅の一部も、去る五月かと思いましたが返り、このような措置が進んできておるわけであります。そうして、あとの、今の滑走路部分に関しまして、代替地問題が起きてきたのです。この代替地に関するところの結論に達しておらない、特にアメリカ側結論がおくれておる、このような事情でありますので、今回はその点につきまして文書をあらためて出した次第であります。
  95. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この日米合同委員会施設委員会は、御承知のように、隔週の火曜日に持たれるわけですね。これは隔週ごとに必ず持たれてきておるから、昨年の十二月から本日まで、相当回数持たれてきたと思うのです。それから、昨年の十二月、防衛庁並びに調達庁、両長官からも明言がありましたように、おそくも三月までには返還するようにしたい、こういう発言もあった。そういう中で隔週ごとに持たれるということは、相当回数が持たれてきたと思うのですが、そのつど結論を得なかったという事態であったと思うのです、結果的に見て。従って、毎回こういうことが、熱心に誠意をもって申し入れられたのではないのではないか、こういうふうに疑わざるを得ないのですが、この点はどうなんですか。
  96. 丸山佶

    説明員丸山佶君) そのようなことは決してございません。お話しの通り、私自身が昨年の十月にも、見通し等についても申し上げておる次第でございますので、委員会のつど、この問題の措置を急いできておる。従いまして、若干ながらもそういう返還分も出ておりますし、そのような措置も進んでおる、また話もきめて、進めて、今のような点にしぼってきておる、このような状況になっておるのでございまして、決して今までこれを放置しておるというような事情ではないのでございます。
  97. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 前回にも申し上げましたように、群馬県当局としても、特に現地の太田市当局としては、大体本年三月には返還されるであろう、こういう前提に立って、首都圏整備法に基づく衛星都市としての計画準備を着々進めてきたわけです。ところが、この三月からすでに八カ月以上もたって、いまだに返還がないということで、この計画も、その準備も一頓挫を来たして、物心両面にわたって相当マイナスを来たしておる、こういう困惑した事態に現在置かれておるわけです。こういう点からも、さらに一段と一つ努力を重ねて、緊急に一つ解決しなければならない問題だと思うのです。この点に対する決意を一つ伺いたいと思うのです。
  98. 丸山佶

    説明員丸山佶君) お説の通りでございますから、これは十分一つ、この間も申し上げましたように努力をいたしたいと思っております。
  99. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 前の委員会調達庁長官から、こういう意味の御答弁があったのです。この代替地については幾つかあったでありましょうが、調達庁としても最終的にこれをしぼって、そうして米軍に示したけれども、米軍が満足しない。そこで大泉飛行場返還がおくれている、こういう意味の御答弁があったわけです。ところが、調達庁は、その専門の官庁であるから、その専門の官庁が全国を熱心に探した結果、しぼったその代替地を、米軍がこれでも不満だということは、米軍のわがままだと思うわけです。この狭い日本で、専門の調達庁が鋭意物色して最後にしぼったこの代替地が、どうしても不満だということであるならば、この狭い日本での訓練を中止すべきだ。広い本国へ帰って、十分、思う存分訓練すべきではなかろうか。そういうことで、この狭い日本で限界があるわけですね。大体山地の多いこの日本の狭い国土で、なかなかもってアメリカさんが十分に満足するというような所は得られないと思うのです。これは米軍のわがままから来ておるのじゃないか、そういう点について、特に防衛庁長官としては、どのようにお考えですか。
  100. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) アメリカ側の要求が過当なものであったり、あるいはそれがわがままなものであるというような場面では、私の方では当然遠慮なく堂々とその主張を述べて差しつかえはありませんし、今後ともそういうふうにさせたいと考えております。
  101. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今も申し上げたように、これは、調達庁が最後にしぼった代替地が、どうしても不満足だということであれば、米軍としてはもうあきらめる、そうして本国で思う存分訓練する以外にないと思う。そこで調達庁長官にお伺いしますが、日本の側から選んだその代替地というものが、やはり人間の住んでおる都会とかあるいは農耕地の上空というようなことであるならば、私どもとしてはただ大泉さえ避けられればそれでいい、そういう狭い考えを持ってはいない。日本全国至るところ人間の住む頭の上で投下訓練などをやっては困る、こういう大乗的な立場からお伺いしておるわけです。そこで、調達庁がしぼったというその代替地というのは、一体どこなのか。そうしてこれは、都会の上空とか、あるいは人間の住む農耕地の上空、そういうことは避けておるのかどうか。こういう点をお伺いしておきたいと思うのです。
  102. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 前回も申し上げたと思いますが、代替地に関しましては、都市あるいは人家の密集地帯を避けて、飛行機からの投下演習をやっても周辺に影響を及ぼさない、こういうことを第一の目的にいたして考えておるわけでございます。なおこれに関しまして、米軍が不満だからという結論をまだ出しておらないのでございます。ああいう飛行機の訓練でございますので、いろいろ技術的な点の検討を要するということであります。従ってその検討結論を急いで出させるということが、当面の急務と考えておるわけでございます。そういうような状況にありますので、実はそのどこであるかという名前をここであげることは控えさしていただきたいと存じます。
  103. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこでお伺いいたしますが、八月十日の当委員会における防衛庁長官の御答弁は、冒頭申し上げたように、今から二、三カ月の間には解決しなければならない問題であるから云々というふうに御答弁があったわけです。そこで、それからもう三週間たっておるわけです。そこで重ねて大事な問題でお伺いいたしますが、今から二カ月くらいの間に、十分代替地を見つけ得る公算が一体あるのかないのか、そうしてまたその決意があるのかないのか、この点を重ねて明確にお伺いしておきたいと思うのです。
  104. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは十分一つ努力いたします。相手仕事でございますから、多少そこにひずみがあることは御了承願いたいと思いますが、実は、二、三カ月と申し上げたのは、一体あれはどうだといって調達庁長官に聞きましたら、まあ二、三カ月とこう言うから、それは間違いないものだと私は思っておりまするし、ただ多少、そこに相手仕事としての苦労もありまするので、その辺については御了解をいただきまするが、原則として二、三カ月ということは間違いないことだと考えます。
  105. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 責任ある御答弁でございますので、そういう前提に立ってお伺いします。そういたしますと、二、三カ月のうちには、代替地を最終的に決定して、大泉飛行場を返還できる、そこで返還がもう近い、そういう前提に立ってお伺いしますが、返還になった場合のいろんな難問題があるわけです。  そこで、その件で一、二お伺いしておきたいと思いますが、私有地と国有地とあるわけです。私有地について、これは調達庁関係でお伺いしたいと思いますが、私有地の場合は、原則として、もとの状態に復して所有者に返還する、こういうことが原則であろうと思うのですが、その点調達庁長官、どうですか。
  106. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 返還になりました場合には、私有地はその所有者の方にお返ししますし、国有地はそれぞれ所管の政府機関に送るわけでありますが、私有地に関しまして、お話しの通り原状回復等の補償をすることが原則になっております。
  107. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで国有地の場合もあるわけですから、国有地については、大蔵省の管財局長にお伺いしたいと思いますが、おいでですね。この国有地の場合は、管財局の認定に従うというように聞いておりますが、ただ返還後の飛行場の利用の状況によって、ある場合は、ある場合というのはこれが特殊の目的のために使われるような場合に、こういう場合に原則として返還しなければならぬ、ただ返還したけれどもあとが遊休地となるような場合にはその限りでない、こういうふうに私ども承知しておるのですが、それで間違いないかどうか、この点を確認したいと思います。
  108. 山下武利

    説明員山下武利君) 返還のありましたあと、国有地の処理につきましては国有財産審議会というのがございまして、それにかけまして、地元並びに政府側の意見を十分調整した上で公正適正な処理をはかっていく、こういうのが一般原則になっておりますが、大泉の場合もそのようにいたしたいと考えております。
  109. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そういたしますと、大泉のような場合には、返還は明らかに首都圏整備法に基づく工場設置と、こういう特殊な使命を持っておるわけですね。従って大泉の場合は、結局この条に入るのかどうか、当然遊休地ではもちろんないわけですね。工場地になるのですから、特別な目的のために利用される。そこに入ろうと思うのですがそういうことが、十分考慮されて国有財産審議会で審議される、こういうことになろうと思うのですが、その点いかがですか。
  110. 山下武利

    説明員山下武利君) 大泉の場合につきましては、地元側から、首都圏整備法に基づきます地区に指定いたしまして、事業誘致地区にしたいという御希望を伺っておるわけであります。まだ具体的にどういう事業に幾らということについてのこまかい申し出はまだ伺っていないわけであります。地元の意見を十分尊重いたしました上で、国有財産審議会が公正な結論を出されることを期待しておるわけでございます。それに基づいて処理をするつもりでございます。
  111. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで一つ厄介な問題があるわけですが、この飛行場の上に、アメリカの側で建てたいわゆるドル住宅があるわけですね、現在このドル住宅については、日本のいわゆる特定な社会事業家がこれを買い取っておるわけです。米軍と直接交渉して、これはいまだ解体はしていないわけです。まだ返還にならないからこれはいいとして、返還後は当然解体すべき筋合いのものだと思うのですが、この点どうですか。
  112. 山下武利

    説明員山下武利君) 私まだ現地を見ておりませんので、はっきりしたことはお答えしかねますが、原則としては、米軍がドルでもって作りましたいわけゆるドル住宅というのは、返還と同時に国有財産に帰属することになります。それの処理につきましてはやはり国有財産審議会の決定に従って処理することになろうと思います。
  113. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 飛行場に建てられたアメリカ側のいわゆるドル住宅は、飛行場返還と同時に国有地上のものは国有財産になるのですか。ところが国有財産にならないで、日本側のいわゆる社会事業家がこれを米軍と直接交渉して買い取っておるわけです。もうこれは米軍側のものじゃないのです。米軍に金を払って社会事業家が買い取っておるのです。それが国有財産に帰属するというようなことは考えられない。そういうことではなくて、返還後はこれは当然解体すべき筋合のものと思うのですが、どうかということを伺っておるわけです。
  114. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 私、その間の事情を知っておりますので、かわって便宜、管財局長は実情を存じないようですから、申し上げます。もし米側が自分のドルで作ったものを何らの処置を加えずそのまま日本側に返還してきた場合には、管財局長のお答え通り、国有財産になるわけでございますが、今回のところのものは、伊藤先生のお話しの通り、すでに日本側のある人に売っておる。従って米側の財産ではなくなった。今度これが米側から日本側に返還される。これまでには当然私は、そのものは撤去されて返ってくるものと、このように考えております。
  115. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは時間がございませんから、最後に一点お伺いしますが、このドル住宅、それといま一つ問題なのは、あそこにゴルフ場があるわけです。その大部分がゴルフ場も、そうしてドル住宅も、大部分が国有地上に立っているわけです。あるいは施設されておるわけです。その一部分が私有地にいずれもかかっておる、こういう状態なのです。こういう場合には一体どうなるのか、これを最後の質問としてお伺いします。
  116. 山下武利

    説明員山下武利君) お尋ねでございますが、私実情を具体的に存じませんので、詳細は調べました上でお答えしたいと思います。
  117. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではこの機会に、一点、江崎防衛庁長官に、きわめて具体的な問題でございますが、時間がございませんので、簡単に一つ一、二問質問したいと思います。これはさきの赤城防衛庁長官のときでございましたが、奄美大島の瀬戸内の古仁屋に海上自衛隊の基地を作る三十五年度の防衛計画に関連して質問したところ、赤城長官はそういうことを考えている。しかし、私その際にすでにその方面を調査しておりましたが、その土地は、御存じだと思いますが、サバのえさ場で、相当問題がある、住民の相当反対があるということを言ったのですが、そういうことを聞いておらない、さっそく調査をする、こういう答弁があったのです。そこでその後、その機会をねらっておったのですが、ああいう国会になってしまって、質問する機会がなかったのですが、江崎長官はそういう問題についてどう引き継がれたか。また調査の実態はどうであるか、これを一つ聞きたい。
  118. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) その問題も、個別的にはよく私赤城君から聞いておりません。事務当局で責任をもって受け継いでおると思いますから、かわってお答えさせます。
  119. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) その問題は昨年でございましたか、御質問がございまして、当時私手元に資料を持っておりませんでしたので、調査すると申し上げたわけでございます。私どものところに入っております話は、その際も申し上げましたが、地元の代表の国会議員の方などから、自衛隊を誘致したいという話はございました。反対ということは、実は私ども聞いておらなかったか、聞いておりましたか、ちょっと記憶がぼやけておりますので、もう一ぺん手元の資料を調べまして御返事したいと思います。三十五年度の予算の中では、基地の分遣隊として少数の部隊を置く計画にはなっております。
  120. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題につきましては、相当強く前の長官に言っておいたのです。これは瀬戸内町のいわゆる町長なり助役なり、幹部の人は、素朴な考え方で、かつてはこれは海軍の基地だったのです。従ってそういう繁栄を夢見ておるのです。実際はしかし奄美大島は御存じ通りきわめて民度が低い。土地は非常に狭隘です。そういうところに、しかも漁業として再出発したところのこういういわゆるえさ地としての海上を利用しているところを取られるということは非常に苦痛であるということが、一般の住民の声です。強くその点を調査をしてもらいたいということを言っておる。従って防衛庁がそういう計画があるということを聞いたのですが、その住民の声をどう聞かれたかということを調査する約束であった。それがいまだにされておらない。しかも、三十五年度には若干のものを分遣するということでございますが、やはり私の言った調査は、どういう方法でされたかということを具体的に聞きたかったのですが、実は、私もその当時初めて防衛庁長官質問したのですが、新米の議員だと思って軽くあしらったのであれば別ですが、地元住民としては非常に重要な生活権の問題です。早急に江崎長官は管轄の方にどういう調査をしたか、これを調べてもらいたいと思います。御答弁を願いたい。
  121. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) よくわかりました。それは前長官がそのようにお約束をしておるとすれば、当然私も誠意を持って一つお答えしたいと思います。
  122. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 伊藤さんからドル住宅が出たから、ちょっと調達庁長官に確認しておきたいと思う。伊藤さんが提起したああいうケースですね、これは返還が完了する前に、米軍みずからの手で撤去するなり、あるいは好ましいことでないが、米軍が民間にだれかに売却した。その買い取っ人が撤去すれば、好ましいことではないけれどもそれでいいでしょう、撤去した後に返還されるよりいいでしょう。しかし、日本に返還されたその瞬間において、家がもしあったら、それまで撤去してなかったならば、返還された瞬間にその建物は国有財産に私は入ると思うのです。いかに買い取っておった人でも、返還業務が終わった瞬間にその建物があったら、それは国有財産になっておって、米軍とどんな話し合いをしておろうが、それは失効すると思うのですが、明確にしておいてもらいたい。
  123. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 私は、すでに米軍から他人の手に所有権の移っておるものというものであるならば、返還の際に撤去になっておらぬ、つまりそこにあった場合、それがまた日本の国有財産になってしまうと、私は今のところ考えておりません。しかし、この辺の法律問題は、専門家の意見も聞いてみなければいけませんが、私は国有財産になるものとは考えません。
  124. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おかしいということだけ言っておきます。
  125. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をちょっとやめて。    〔速記中止〕
  126. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) では速記をつけて。  他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、この程度にとどめます。  これにて暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩    —————・—————    午後一時十八分開会
  127. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。本日西川甚五郎君が辞任され、前田佳都男君が選任されました。   —————————————
  128. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、公務員制度及び恩給に関する調査議題とし、公務員給与に関する件の調査を進めます。ただいま政府側出席の方は、高橋国務大臣、増子公務員制度調査室長、滝本人事院給与局長方々でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  129. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 開会にあたりまして、ちょっとごあいさつしていただきたいと思います。  今回私が公務員給与並びに公務員制度の事務に関してその担当を命ぜられましたので、何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  130. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 人事院の給与に対する政府のその後の態度、取り扱い、こういう面について二、三お伺いしたいと思いますが、その前に、給与担当大臣の件については、前回の内閣委員会で私ども社会党側からこの給与の問題が非常に重大であるから、ぜひ前内閣と同様、担当大臣をきめてほしいという強い申し入れをしたわけであります。それに対してこれを検討の結果、担当大臣をきめられた。しかも、給与に対して非常に深い理解のある高橋長官が決定されたことに対して、私どもは深く感謝するわけですが、そこでさっそく担当大臣としてお伺いしたいと思いますが、この人事院の勧告に対して、担当大臣としては当然これを尊重されると、こういうふうにお答えになろうと思いますが、この面についてまずもってお伺いいたしたい。
  131. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 前の内閣委員会で総務長官からも、あるいは官房長官からもお話があったと思いますが、今回私が特に給与担当の責任者として決定いたしまして、しかも、今回の人事院の勧告は従来になく大幅かつ全面的な給与体系自体を勘案して勧告せられたような状況でございまして、われわれといたしましては、この勧告の線に沿うてその実現方に努力いたしたいと存ずるのであります。ただ、何分にも広範なことであり、かつまた財政その他に及ぼす影響等もございますので、今政府全体としても検討いたしておりますが、私といたしましては、人事院の勧告を十分尊重いたしまして、これが実現に努力いたしたいと考えております。
  132. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 前回の八月十日の内閣委員会で、官房長官、総務長官出席の上でいろいろとお尋ねしたその結果、人事院の勧告に対しては十分尊重したい、しかしながら、具体的な問題については今検討中である、早急に結論を出したい、そういうことで、それからもう三週間たっておりますので、この勧告に対するその後の政府としての態度といいますか、取り扱いについて、一つ具体的にお伺いしたいと思います。
  133. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 先ほども申し上げました通り、今回の勧告は従来に見ず大幅にかつ全面的なそれぞれの給与体系の基礎の上に立ちまして、十分組み立てられておるような事情もございまするので、これを事務的に十分検討する必要もあり、かつまた、その及ぼす影響は、ただに国の財政の問題ではなく、地方財政あるいはその他の特別会計等に十分なる影響もございまするので、政府としては誠意これの全体についてのにらみ合わせから考えておるような次第でございます。何分にも全体の池田内閣としての政策の決定等が、若干最初の予定よりおくれておりますので、そこいらとの関係等もございまして、今なおここで結論を申し上げ得ざる状態でございまするが、事務当局といたしましても、十分この前の委員会の発言等を尊重いたしまして、目下誠意検討中と、こう申し上げざるを得ないのであります。
  134. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 お答えでは今回の勧告が非常に大幅であり、非常に影響するところも大きいのでさらに検討中だと、こういうお答えのようですが、これは政府としては今回は特に大幅だと考えておられましょうけれども昭和二十三年、人事院創設以来、昨年の十二年間に勧告がベース・アップとして勧告されたのはわずか六回しかない。しかも、その六回のうち、勧告通り完全に実施されたのは一回しかない。あとの五回は、あるいは切り下げられ、あるいは完全にこれらが切り捨てられておる。こういう次第で、前には総務長官も歴代の内閣は勧告を尊重してきたと明言されてきましたけれども、尊重どころか、これはもうほんとうに軽視してきたと言わなければならぬと思うのです。そういう事態の中で、これは長い間公務員は不当な不利益を受けてきておる、そういうものが積み重なって、これが不当な不利益というものを累積したら相当な額になろうと思うのです。しかも、今回の人事院の勧告に対してすら、公務員の大部分は非常に不満を持っておるわけです。たとえば、上厚下薄の傾向が非常に強い。しかも、その上に昇給期間が一律に十二カ月になったということで、こういう傾向は今後ますます強くなるわけですね。上の者はどんどん大幅に上がるが、下の者は非常に小幅で、この上厚下薄の傾向は今後一そう強くなろうと思うのです。こういうことで公務員としては非常に不満なんです。決して満足していない。しかしながら、一応人事院がその勧告の第四項で民間給与との実態調査は四月をとって調査したので、当然これは五月一日から実施するのが至当である、適当である、そういうことを勧告しておるわけです。そこで、まずお伺いしますが、政府としては当然これは五月にさかのぼって実施しなければならぬ、そういうふうに考えを固めておると思うのですが、まだ検討中、検討中と言いますが、こういうような大綱については、もう決定しておると思うのですが、その点を明確にしていただきたい。
  135. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 公務員の待遇改善につきましては、お話通りであり、従って池田総理も組閣にあたりましてそういう点も融れられておりますので、先ほど申し上げました通り、今回の人事院の勧告については十分これを尊重して考えたいと、こう考えておる次第であります。ただいま御指摘の実施時期につきましては、もちろん、これは人事院の勧告でございまするので、私としては十分これは尊重して努力いたしたいと考えておりますが、先ほど申し上げました通り、何せ全体として相当の金額でもあり、及び地方その他に及ぼす影響等が相当広範囲でございますので、政府といたしましては、これに総合的な決断を下すというためには、もう少し全部の諸政策と財政とのにらみ合わせ、あるいは地方財政その他との調整、そういったようなことから最終的な結論を出すべきである、こういうので、目下検討中でございまして、その一端でありまする実施時期につきましても、一括そういう線と結び合わせまして、今なお最終的な結論を得ていない、こういう実情であります。
  136. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほども申し上げましたように、人事院勧告の第四項、これは全文がここにございますが、こうなっておるわけですね。   人事院は、この勧告の基礎となっている官民給与の較差が、昭和三十五年四月を基準としていることにより、この勧告が同年五月一日から実施されることを適当と考える。   人事院は、この勧告に対し国会および内閣がすみやかに適切な措置をとられるよう切望する。 先ほども申し上げたことをここで繰り返したわけですが、こういう観点からいって、結局国会もこうやって人事院の勧告の精神に従ってすみやかに結論を出さなければいかぬ。また同時に、内閣としても当然人事院は尊重する尊重するとおっしゃるならば、当然文字通りこれを尊重されて、すみやかに態度を決定しなければならぬと思うのです。もう相当日もたっておるし、細部については別として、大綱についてはもうすでに決定していなければならぬし、もう決定しておると思うのです。従って先ほども申し上げた、実施時期は五月にさかのぼってと、これはもう民間給与との実態の較差の調査が四月であるから、私ども考えでは四月に当然さかのぼらなければいかぬ、そういう考えを持っておるわけです。この点については前に人事院総裁に対してお伺いしたわけですが、これは四月にすでにこういう較差があるということが明確になったのだから、四月から当然実施すべきだ、ところが、どういう意味か、五月におくらせておるわけです。まあそれは別として、不満ながら五月一日と人事院が勧告をしておるから、少なくともこの五月一日から当然実施してしかるべきだと思うのです。こういう大綱については、もう十分検討されておると思うのです。従ってこの点にしぼって重ねてお伺いしたいと思うのですが、一つまだ最終的に決定していないというならば、大体今までどういう経過で、どういう動向にあるとか、そういう点はもうはっきりしておると思うので、一つこの点を重ねてお伺いしたいと思います。
  137. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) ただいま伊藤委員お話しの通り、勧告自体が五月ということにさかのぼってということで、しかも、その勧告の基礎となっておりますのが、四月という時点を押えて、民間給与との較差からこの問題を取り上げておりまするから、これは五月という今のお話は当然であろうと思うのであります。ただ先ほども申し上げました通り、今回の勧告自体が財政的に及ぼす影響が、ただにこれは国の財政だけではない、地方財政その他の特別会計諸般に及ぼすところが大きいものでございまするから、いまだ政府としては、その実施時期をも含めて一括最終的な結論を得ていない、こういうのが実情でございます。しかし私といたしましては、先ほど申し上げました通り、人事院の勧告を尊重いたしまして、これの実現に努力いたしたい、こう考えておる次第であります。
  138. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 給与担当大臣としては、最初から重ねておっしゃっておるように、人事院の勧告は十分尊重したい、この勧告を文字通り尊重する、そういう前提に立つならば、結局、今読み上げましたように、人事院の勧告の第四項に、五月一日から実施ということが最も適切である、そういう意味の勧告がなされておるわけですね。従って、内閣としては、まだ全体として最終的な結論を得ていない、そういう事情であるならば、給与担当大臣としては、五月一日にさかのぼって実施するのが適当であるのかないのか、それに対する給与担当大臣としてのお考えをはっきりさしていただきたい。
  139. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 先ほど来から申し上げておりますように、人事院の勧告自体が、五月にさかのぼってこれを実施し、しかも全体の勧告の基礎となっておりますのが、四月の時点をとらえておりますので、従って私といたしましては、先ほど申し上げました通り、人事院のこの勧告の実現に努力いたしたいと、こう考えておるわけであります。
  140. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 人事院の勧告をあくまで尊重する、そういう前提に立って、実施の時期についても、担当大臣としては一つ五月一日に実施になるよう努力したい、そういう意味に解してよろしいのかどうか。
  141. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) ただいまのお話しの通りでございます。
  142. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 人事院の勧告は尊重するとか、十分努力したいとか、なるべくすみやかに結論を得たいとか、えてして抽象的な言葉が繰り返されるわけです。そこで重ねてお伺いするわけですが、政府側にお伺いすると、人事院の勧告は軽視するとは決して言わない。どなたにお伺いしても、必ず尊重すると、もうお伺いする前から答えはわかっておるわけです。必ず尊重します、できるだけ早く、できるだけすみやかに、こういうようなことを必ず言われるわけです。ところが、口と実際とはまっこうから矛盾しておるわけです。先ほどもちょっと触れましたが、歴代の内閣が、勧告に対しては非常に尊重してきたとおっしゃいますけれども、これは先ほど申し上げた内容でおわかりのように、十二年間にわずか六回しかベース・アップを勧告していない。その六回のうち、政府は文字通り勧告を尊重したのは、ただの一回しかない。あとの五回は、いずれも切り下げておる。あるいはまた、全然これを採用してないわけです。そういう事態の中で、なおかつ政府側は、歴代の内閣は勧告を尊重して参りましたし、今回も尊重いたしますと言う、その尊重の意味は、われわれには了解できないわけです。ただ口頭だけであって、実際の面ではそういうふうに軽視してきておるわけです。尊重どころか、まっこうから矛盾している軽視だと思う。こういうことは、過去の事実から推して当然考えられるわけなんです。この点について、担当大臣としては、どういうふうにお考えですか。過去十二年間におけるこの事実から推して、歴代の内閣が勧告に対してこれを尊重してきたということを言えましょうか。担当大臣としての一つ責任あるお答えをいただきたい。
  143. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 私も就任日浅く、かつまた給与に関して従来あまり関係がございませんので、前内閣あるいは前々内閣が、従来どういうような事情で、あるいは勧告を尊重し、もしくは尊重しなかったか、あるいはこれを軽視したか、そこいらの事情が十分明らかでございませんので、私といたしまして今の御質問に対して判断する資料を持っておらないわけであります。しかし現内閣は、先ほど申し上げました通り、総理が就任に際しても、公務員の待遇については十分これが改善の方途を考えたいと、こう言っておりますので、勧告のありました線につきましては十分これを尊重し、その線に沿うてこれの実現方に私としては努力したい、こういうように考えております。
  144. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係もございますので、最後の一点だけお伺いしますが、給与担当大臣として先ほどから繰り返されております、勧告を尊重される、その尊重の意味ですが、いわゆる尊重するという以上、勧告に上回る実質であるならば、これはまさに尊重ということが言えるわけですね。たとえば上向カーブの傾向が非常に強いということで、公務員の大部分は、上の者は別として、大部分の方が不満、不平を持っておる。そこでこの昇給期間が一律に十二カ月になったということによって、その較差が一そう激しくなる。そこで上級の者については十二カ月で、下級の者については六カ月、たとえばそういうような案。それから五月一日、これは実態調査したのは四月だから、四月一日から実施が至当だ、そういうふうにして勧告よりさらに上回る、そういうことであるならば、これは十分勧告を尊重したということは言えますけれども、歴代内閣のとってきたように、あるいはこれを切り下げ、あるいはまた不利な実施にするということは、決してこれを尊重したことにならぬと思います。そこでお伺いしたいのですが、給与担当大臣として言われておる尊重という意味は、人事院の勧告その通りを実施することが尊重、そういう意味に解してよろしいのかどうか、そういう点を最後に一点お伺いしておきます。
  145. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 先ほどから申し上げておりまする通り、今、事務的に内閣で人事院の勧告を決定して検討しておりまするのは、要するに、明らかにそういう技術的に非常に不合理な点があるかどうか、そういったような点を十分事務的にも検討しておるのでございますが、今回の勧告に現われておるいろいろなこの給与体系上の考え方あるいは実施の時期、そういうようなことにつきましては、十分人事院の勧告を尊重する、こういう線で私たちとしては考えたい、こういうふうに考えておりますので、今のいろいろ表現の方法は、言葉は違うと思いますが、伊藤委員のおっしゃる線に沿うて考えたい、こう考えております。
  146. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の、伊藤委員の方から勧告の尊重、ことに実施の時期について質問いたしておるわけですが、今度の勧告をめぐりまして大きな問題が二つあると思いますが、一つはこれは何といいましても実施の時期、これが一番大きな問題だろうと思います。そこで私も重ねましてこの点について伺いたいのであります。今、公務員のすべてに共通の最大の関心事といったら、一つはこの時期だと思います。時期をどうするか、こういう点だと思うのであります。これは例年とは非常に今年は条件が違っておりまして、それだけに非常に関心が深いわけであります。その違いました条件は、一つは、人事院が実施の時期を明示したということであります。これはちょうど八年ぶりに初めて実施の時期を明示したわけであります。もう一つは、政府自身がこの内閣委員会におきましても、益谷給与担当大臣が、人事院が実施の時期を明らかにするならばやりたい、こういう見解を明らかにしておられる。そういう例年と違いまして、非常に情勢が変わっております。それだけに公務員の共通の最大の関心事になっておるわけであります。その意味から私としては二、三給与担当大臣に伺いたいのであります。その一つは、今大臣は、尊重するということを繰り返しおっしゃっておられるわけです。先ほど申し上げましたように勧告の骨組みの第一番目は、実施の時期、これは明示したわけですから、これは問題ですが、これについて浅井総裁は、この委員会で勧告の時期を明らかにおっしゃったわけですね。去年はその勧告の時期を明らかにしないにかかわらず、昨年の四月一日から実施しなかったのは、はなはだ遺憾であるということをこの委員会で答弁しておられる。さらに参議院の本会議でもそういう答弁をしておられる。今回は実施の時期を明らかにしておられますね。もしこの実施の時期というものを、勧告に出る時期というものを政府がないがしろにされるということになりましたら、これは浅井総裁はどういう答弁をされるだろうと思いますか。ちょうどきょうは見えていないのではなはだ遺憾ですが。これはきわめて遺憾であるということを何べん繰り返しても済まぬことじゃないかと思います。そういう意味から言うならば、これは人事院勧告を尊重するということは、この五月一日という実施時期を政府が明らかにすることだ、こういうように思います。それなくして人事院勧告を尊重する、総裁は遺憾である、遺憾であると言っております。その遺憾であるということを実施しないというようなことであるならば、尊重するというようなことにはならぬのじゃないか、こういうように思いますが、大臣どうですか、答弁を伺いたい。
  147. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 先ほど伊藤委員にも申し上げました通り、人事院の勧告の一つの柱は、やはり実施の時期という点が一つの柱であると思います。従って私といたしましては十分これが現実に努力いたしたいと思いますが、その実施の時期及び給与全体につきまして、先ほど申し上げました通りその裏づけとなる財政が相当の額に上がり、かつまた、それが単に国の財政だけでなく地方財政あるいは特別会計等にも影響するところがございまして、従ってこの年度の途中でそれをどう取扱うかということはこれは財政的にも相当検討を要し、また大きな問題であると思うのであります。従って先ほどから申し上げました通りそういうような総合判断をするために、今せっかく政府におきましてはこれが慎重検討中でございまして、従って、政府としては今なお時期及び全体としてなお最終的な結論を得ない、こういう実情を申し上げたのでございまして、従って、その辺の事情を御了察の上御判断を願いたいと思います。
  148. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 尊重する尊重するというふうにおっしゃるわけです。ですから、その立場からいうならば五月一日という明示、しかもその点は勧告の中の一番大きな柱になっていると思うのです。それをその通りやるのだということにならない以上、尊重するということにならないのじゃないか。しかも、この点は私先ほども申し上げましたように、あなたの前の給与担当大臣は人事院が勧告の実施の時期を明らかにするならばその通りやりたいということを本委員会でも答弁になっていらっしゃるわけですから、五月一日という時期をそれをやるのだということにならなければ、尊重したということにならないのじゃないかというふうに思うのです。ですから、大臣おっしゃる尊重するということは、内容はともかくとしまして、五月一日で実施するのだというふうに考えていいわけでありますか。どうも尊重するとおっしゃいますけれども、五月一日が明らかにならない以上、尊重するということにならないのじゃないかと思うのですけれども
  149. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 先ほど申し上げました通り、私といたしましては五月からこれが実施の実現に努力したい、こういうことを申し上げておったのでございますが、これが法律案なり、あるいは政令等でその裏づけの財政的な裏づけと切り離してこれが実施時期をきめるとかそういう問題でありますれば、五月一日から実施しますとかなんとかいうことを直ちに申し上げることもできると思います。しかし、先ほど申し上げました通り、これは相当の金額が要るのであり、しかも年度中であり、しかもこれは国の予算だけではない、地方財政その他に及ぼす影響等もございまして、そこいらとの調整、調和ということもはからなければならない。従って、政府としての最終的な判断ということは、こういう実施時期も含めまして一括今なお最終的な結論は申し上げ得ない状態にある、こういう説明をいたしたのでございまして、一つ御了察を願いたい。
  150. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうもちょっとくどいようになりますけれども、これは非常に大きな問題で関心を持っているだけに、再度答弁を願いたいと思うのですが、先ほど私申し上げましたように、ともかく政府が、給与担当大臣が、益谷さんが政府を代表して人事院が勧告の時期を明らかにする場合は、その時期に実施したいということを言っておられるわけですね。そういう中にあってどうもそれが今日に至ってもまだ明らかでない、しかも、どうもあぶないのじゃないかということも、公務員の間には言われているわけですね。これは私は非常に今公務員全体が大へんな関心を持っているだけに、政府がかって言った言葉を弊履のごとく捨てるのじゃないかということになりますと、これは公務員の道義心に与える影響というものははかり知れないものがある。大きな関心を持っているだけに、はかり知れないものがあるのじゃないかというふうに思うのですが、まあ、公務員であるだけにこういう点については非常に鋭敏ですし、また、若干変わった感じを持っておりますけれども、しかし、これだけ関心を持っている問題を、しかも政府は実施すると言ったものを、今になって、その時期は明らかでない、しかも、これを捨てるのじゃないか、十月になるのではないか、あるいは十一月になるのではないかというふうなことが、公務員の間に言われなければならぬような事態になりますと、これは政府に対しまする不信感というもの、いろんな意味の信頼を持っておりますけれども、不信感というものを公務員の中に沈澱させるということに私はなると思うのです。期待をしておっただけに、そういう傾向が非常にあるのではないかと思うのですが、確かに財源その他について苦しいという話は否定いたしませんけれども、しかしできないということじゃないと思っておるのです。その意味で担当大臣の一つ決意を伺いたいと思うのです。
  151. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 益谷国務大臣が担当大臣としてお話しになりましたのも、私も承知しております。私自身も先ほど来からたびたび申し上げました通り、これの実現について揮心の努力を払いたいと、こういうことは申し上げており、同時に益谷国務大臣のおっしゃられたことはその通りであると思っております。ただ、先ほど来から申し上げておりまする通り、実施の時期を含めて全体として財政的に及ぼす影響等も相当の問題があり、今のお話しのように非常な大きな問題でございまして、従って政府としては、これはやはり判断を下す、あるいは最終的な結論を下すためには、やはり総合的な全体としての結論を下さざるを得ない状況でございますので、しかもなお、今重要政策その他ともからみ合わせて党とも連絡しておるというような時期で、若干給与問題をそれから切り離して、これだけ最終的な結論を出すという時期に至っておりませんので、どうも本日最終的な結論を申し上げ得ないのははなはだ残念でございますが、先ほど来から申し上げた通り、私といたしましては、人事院の勧告のしかも実施の時期というこの柱につきましては、十分実現の努力を払いたいと、こう申し上げておる次第でございますので御了承願います。
  152. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ぜひそういうふうに御努力をお願いしたいと思っております。  次に、この人事院の勧告が一言で批判されますのは、上厚下薄、上に非常に厚くて下の方に薄い、こういうふうに言われているわけですね。これは確かに公務員の間で批判されているように、一言でそういうふうに言えると思うのです。さらに内容検討いたしますというと、いよいよそういう色彩きわめて濃厚です。上に厚くて下に薄いという言葉でなくて、極端に上に厚くて下に薄い、こういうことになろうと思います。この点については、逐次突っ込んでお伺いしたいと思いますが、その前にちょっと人事院に伺いたいわけですが、きょうは浅井総裁御病気だというお話しですけれども、人事官あと二人いらっしゃるわけですからして、ぜひ人事官の御出席を願いたいと思うのですけれども、滝本給与局長が責任をもって御答弁いただければ、それで私はいいと思うのです。それじゃ進めてみましょう。  この俸給表というのは、等級というものは責任の複雑さ、あるいは責任の重さ、あるいは職務の複雑さ、こういうものによってきまっておるというふうに人事院は言っておられるのでありますが、それに沿っておるものと申して差しつかえありませんですか。
  153. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 御承知のように、現在職階法というのがございますけれども、これは発動しておらない、こういう状況でございます。公務員給与というものが職務と責任に基づいて決定されるということは、これは公務員法に書いてある原則でございます。しかし御承知のように、現在の給与法がそれでは全部そういうことで割り切っておるかと申しますると、現実にはなかなかそうはなっていないということが申し上げ得るのでありまして、現在の実情に即しまして、現在の俸給表もできておりまするし、また今回勧告いたしましたものもそのような観点を十分考慮していたしておる。たとえば非常に極端な職務給与制度でありますれば、等級間の較差というものも相当程度に開くということもありましょうし、また一つの等級における俸給の表を今のように広くしないというような問題もあると思いますが、現在そういうようなことをいたしておるわけではございません。従いまして原則は職務と責任によるということでございまするけれども、現在の実情を十分考慮いたしまして俸給というものが決定されておる、このように御承知願いたいと思います。
  154. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 若干あやふやになったように伺いますけれども、今局長のおっしゃるように、職務の複雑さ、困難さ、責任の重さ、こういうものによって根本は貫かれているというふうに申して差しつかえないのじゃないかと思うのです。今回こういうふうに三等級以上をきわめて顕著に上げられたわけですが、これは何かことしになってこの三等級以上の人たちの責任の複雑さとか困難さとか、こういうものが急激に変わったというふうに判断をしておられるのかどうなのか、それを一つ伺いたいと思います。
  155. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 公務員の職務と責任の程度を絶対的に金額で表わすということは、これはもう事実上不可能なことでございます。従いまして職務と責任の程度をどのように給与額に対して考えるかということにつきましては、民間の実情等勘案いたしまして、そこにおのずからこの高さを考えるということにならざるを得ない。昔の官吏俸給令時代のように、民間の給与と隔絶いたしまして、公務員だけで絶対的なきめ方ができた時代は、これはいかようにも考えられたかもしれませんが、現在は、公務員給与は全体的に民間とバランスをとってきめる、こういうことに相なっておる次第でございます。従いまして前回も俸給表の作成につきまして、大体の作り方の方針を御説明申し上げたのでありまするが、もう少し詳しく申し上げてみまするならば、たとえば今回は、医療、研究、行一というものが、これが、たとえば二等級あたりで三〇%あるいはそれを少し上回る程度改善になっておるのでございますが、この数字はおおむね三〇%くらいでよかろうとか、あるいは四〇%の方がさらにいい、あるいは二五%でもいいじゃないかというように、適当にきめたものではないのでございまして、われわれといたしましては、医療と研究と行一の二等級を全体的に、おのおのの俸給表の二等級を全体的にまとめまして、民間との較差がどれくらいになるかということを試算をいたしてみたのでございまするが、その結果がおおむね三一%をちょっとこえる程度数字になるのでございます。従いまして医療、研究におきまする二等級の改善率は、おおむねその程度目標にいたす。教育では、この前に申し上げましたように、大学の教職員につきましては、これは結果的には民間よりは低いのでありまするけれども公務員部内においては研究職との交流という問題も非常に多いわけでございまするし、また研究の根源でありまする大学の教職員の給与を厚くしなければならぬということもございまするし、大体その程度改善を教授の俸給に対してはいたす、こういうことをいたしたわけであります。現在一等級は教育一、すなわち大学の教職員だとか、それから研究、医療一、お医者さんでありますとか、それから行一では、御存じのように俸給の幅も金額も同じに構成されております。ただいま申し上げましたように、三一%ということを出しまするにつきましては、医療、研究、行政一というものをまとめて出した次第でありまするが、こういうところにおきましては、それぞれ交流もございまするし、また上級のポジションの方からの金額のバランスということもございまするので、そういう数字を行政一の俸給にも用いた、こういうことでございます。それから、六、七、八の等級につきましては、これをやはり行一だけでなしに、それぞれ俸給表の異なりまする対応等級で横にこれをまとめまして、民間との較差を見てみますると、おおむね一一%程度の較差になる、こういうことでございまして、われわれは今回の俸給表の改正におきましては、六、七、八のところを大体その程度改善率にいたすということをいたしたのであります。それで、この等級の平均俸給額というものを、これを大体指数曲線にする。これは、おおむねホワイト・カラーの昇給曲線というものは、御存じのように指数曲線を形成するものでございまするが、われわれは各等級の平均俸給額というものが大体そういうものになるということを見当をつけまして、そして、昇給率等は各等級において現在と大体同程度、あるいはちょっと上ぐらいになるというところで全体の俸給表を構成いたしたわけであります。従いまして、上位等級について、まあいろいろ御批判はございまするけれども、われわれとしましてはそういう観点からいたしておるものでございます。
  156. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 あまり広げて御答弁いただきますと、質問の焦点が少しぼけて参りますので、できるだけ質問に合うように短く一つ御答弁をいただきたいと思います。どうも、今の滝本局長のお話を承っておりますと、人事院の給与の線の引き方といいますか、混乱しておるように思うのです。初めに私は原則を確かめた。原則は職務の複雑さ、困難さ、責任の重さ、こういうものによって俸給、等級というのはきまるんだ、これが原則だ、こういうふうにおっしゃった。私はそれに対して、そういう立場から言うならば、三等級以上をあのように顕著に上げたのは、職務の内容、責任の重さというのが非常に変わったのかと私は伺ったわけなんです。ところが、それに対して、民間との給与関係で、というふうにおっしゃる。民間との給与関係で三等級以上はあんなに顕著に上げたんだとおっしゃる。どうも私は混乱しておるというふうに思うんですけどね。原則は原則で、あってしかるべきじゃないか。あなたのおっしゃる通り、あるんですよ。その原則は全然今度はオミットして、民間との関係であんなに顕著に上げたんだというふうにおっしゃる。混乱しているんじゃないか。さらにもう一つ私伺いたいのは、民間との給与関係でああいうふうに顕著に上げたんだと、三等以上、上げたんだとおっしゃる。その場合に人事院が混乱していることは、そもそも人事院が三十三年に今日のような俸給表をたくさん分けた。たくさん分けたということは、それぞれの諸俸給表ごとに民間と関連づけて考えていかなきゃならんということから、そういうものが主張されたんでしょう。それ以外にああいうふうに俸給表を大へん複雑にする理由はないはずなんです。また、そういう立場から人事院は今日まで三年間、民間給与の実態の調査をやってこられた。ところが今、局長のお話を承っておりますと、俸給表ごとじゃなくて、民間全体をひっくるめて考えておられる。これも従来、人事院が今日の俸給表を作ったそもそもの趣旨と相反するものだと私は思うのです。大へんな混乱じゃありませんですか。たとえば今の三等級以上を上げたということについて人事院の本来の趣旨から言うならば、行一の場合においては民間の行一に該当するものと比較をするというのが根本原則のはずです。その立場からいうならば、どういうわけでこの三等級以上を二五%、三一%、三二%というふうに上げなければならん理由があるのか。あなたはさっき職務の複雑さとか、そういうものは変わったわけじゃない、民間との関係だ、こうおっしゃる。民間との関係だと、おっしゃるならば、民間の行一に該当するものはちゃんと数字に出ておる、人事院の資料の中に。それを見ますと、三等級は二三%民間より低い。二等級は二九%、こういう数字が出ておる。しかもそれ以下のものも少しずれますけれども、ほぼ同じような数字が出ておる。そのほかの下の五等級、四等級も大体これに類似した数字が出ておる、少し低くなりますけれども。それが三等級以上だけをああいうふうに顕著に上げるという理由、どこにあるのですか。私は滝本さんの御答弁の中から判断して、医療職と研究職、これは民間の研究職、医療職と比べると非常に低い。おそらく三等以上は四、五〇%低い、この数字からいえば。そういう研究職、医療職の関連の中から、行一の場合もこれにくるめて考えられたのじゃないのですか。私は今の滝本さんのお話では、ああいうふうに三等級以上を非常に上げなければならん理由はない、こういうふうに思うのです。理由を明らかにしてもらいたい、根拠を明らかにしてもらいたい。
  157. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 先ほども御答弁申し上げましたように、最近になって急に職務と責任の度合いが変わったのかという御質問でございましたが、私は職務と責任の重さが最近になって急に変わったということではないということを間接的に申し上げたわけであります。しかし職務と責任の絶対的な評価はできませんから、これを金額的に表示いたしまするためには、どうしても民間の実情というものを反映しなければならん。その実情を反映いたしまして今回はやった、このようなことを申し上げた次第であります。それで、三十二年に俸給表の改正があって後においては、俸給表は別にそれぞれ民間と合わせていくということが本旨ではないか、またその方向にいくはずであったではないかという御指摘でございますが、そこはまあ公務員法の問題になって参ると思うのでありますけれども、まあわれわれは公務員法で指向いたしておるこの公務員制度というものの確立ということを、従来考えてやって参ったのでありますけれども、ここにはやはりあの作られました公務員法における、給与関係で申しまするならば、給与考え方、原則的には変わらないとしても、そこに職階制を導入する問題等になって参りますると、やはり現在のわが国の実情としては問題があるのではなかろうか。従いまして、その方向に方向としては参るものの、やはりそこに現在の実情を考慮しつつこれをやる、あるいは将来に向かって現状よりも発展しないかもしれません。が、そういう考慮が必要なのではなかろうかというふうに思っておるわけであります。現に、かりに、俸給表別にこの官民較差を出しまして、それを公務の俸給表に当てはめるということに非常にはっきりと割り切るといたしまするならば、現在の大学教授の給与はまだ一〇%ぐらい下げなきゃならん、こういうようなことにもなろうかと思うのです。すべて教育職の給与は全体的に切り下げなきゃならん。また、看護婦の給与も切り下げなきゃならんというふうなことにもなろうかと思います。で、やはり職務と責任に基づいて給与を比較するというやり方は、現在におきまして、ほかによりいい方法がございませんから、ベターの方法であると思うのでありまするけれども、全体較差を得るためのやはり段階である。従って問題が全体較差である。このようにわれわれは現在思っておるわけであります。民間との各俸給表別の較差というものが非常に顕著である場合には、もちろんこれを尊重いたします。しかしながら、やはり公務と民間とにおいては、やはり職務の性質が行政権を行使するということで違うところがあるわけであります。類似がありましても違うところがあるわけであります。また公務の終身職制度なり、また公務の俸給表間の移動なんというものがあるわけでありまして、やはり現在の状況におきましてはそういう問題も勘案いたしながら、これを俸給表の改善をいたすということが、現在の場合としては最善の方法ではなかろうか。このように考えておるわけであります。従いまして先ほども申し上げましたように、上級職におきましては、医療、研究、行一、これはそれぞれ交流もあることでありまするし、関係が非常に深いのであります。そういうところはおのおの別々に比較をいたすということでなしに、これを全体的にまとめて民間との較差を見て、およその三一%なんという見当をつける、こういうことでやっておるのであって、まあ御批判によれば、あるいは混乱があるというふうにごらんになるかもしれませんけれども、われわれの方とすれば、やはり現在の日本の職務給にどの程度割り切っておるか、また割り切れないかという現状に着目し、公務の実情等も十分考えましてやっておることで、やはりこういうことが適当であろう、このように考えております。
  158. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいま鶴園委員質疑されているわけですが、私これから他の委員会の理事会に行かにゃならんですから、しかも、このあとお目にかかるときには政府の方針がきまっているときだと思いますので、鶴園さんのお許しを得まして、三点だけ関連して伺っておきたいと思います。今鶴園さんが質疑している本論に入る前に、前提として承りたい点は、大平官房長官並びに藤枝総理府総務長官給与等については、あの定員問題については衆議院における自民党のエキスパートですね。にもかかわらず立法府は責任国務大臣を要請したわけです。その要請にこたえ、また池田総理はあなたを御信任申し上げて任命されたわけですから、高橋大臣の使命は、池田内閣の閣内において政治力を発揮してそうしてこの当面の問題に善処する、このことだと思うのですね。従ってその決意は十分持っておられると思うのですが、この点は特に私はあなたの就任に先立って強く期待申し上げるとともに、要望申し上げておくわけです。そこで鶴園さんの質問に触れるわけですが、その前に私聞いたことなんですが、もう一ぺん確認しておくのですが、期日も体系も含めて尊重すると言われましたね。今のところ事務当局では人事院から出されましたこの体系についてはさわらない。今鶴園さん質問を展開しておるわけですが、この体系はこのままでいくという考えですか。それともこの体系そのものに若干いろいろな議論が出ておるが、若干検討を加える、こういう御見解ですか。お答え願いたい。簡単に願いますよ大臣。
  159. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 先ほど来から申し上げました通り、実施の時期その他全体としてこれはみな財政的に見ますれば相関関係にあるわけであります。従ってそういう意味におきまして政府としては最終的ないまだ結論を見ない、こう申し上げたわけであります。
  160. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今僕は体系のことをポイントにしています。
  161. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) そこで体系の問題でありますが、これは人事院の考え方を尊重いたします。しかしながら、今われわれの方で事務的に検討いたしますのは、その人事院の勧告の中にも明らかに不合理であり、どうしても納得いかぬ、こういう点があれば、これはどうしても若干是正せざるを得ないと思うわけなんで、まだ私も就任早々でございまして、そういう事務的な検討がどの程度まで進行しているのか、そういうような点はつまびらかにしておりませんので、従って絶対にどうもこの体系は一つも、一指も触れぬと、こういうふうな答弁は私としてはいたしかねるのであります。ただ申し上げ得ますのは、全体的に体系も含めて人事院の勧告を尊重してその実現に努力したい。こういうようなことで御了承願いたいと思います。
  162. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 体系について今質疑されているわけなんですが、それに私は一問しますが、その前提として長官給与局長に伺いますが、かりにこの体系をこういう形でこういうふうに持っていったら、大体この体系を生かしたとすれば、いわゆる特別調整額、通称管理職手当、あなたは本俸の二五%もらっているわけですね。甲二五%、乙一八%、丙一二%、丁七%、本俸に対する特別調整額、いわゆる管理職手当、これはこの体系を生かせば僕はなくしなくちゃならぬと思いますが、お二人どういう見解を持っていますか。これは今鶴園さんも触れておられましたが、詳しく言う時間はきょうはないのですが、この等級別による今度の数字の並べ方から見ますというと、特別調整額の、これは問題になってくると思うのですね。手を入れなければならぬと思うのですが、どういう御見解を持っておられますか。
  163. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 特別調整額の問題でございますが、これは単に比較の際に公務における特別調整額というものと、それから民間におきます役職手当というものは、両者はずしまして比較の対象の外になっておるのであります。従いまして私は特別調整額の問題につきましてはあの率を上げるとか、あるいは下げるとかということは、今回直ちには問題にならないように思っております。
  164. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは検討しなければなりません。これは十分検討してごらんなさい、あとで。私は一回だけ意見を言うて聞いておきますが、検討しなければならぬですよ。それからもう一点、先般のこの委員会で十分答弁できなかったわけなんですが、科学技術振興に伴う今度調整手当を設けましたね。これは人事院規則できめる。どういう職種にどういう方法で適用するかということは、人事院規則できめる。その一部をちょっと出されただけで明確な答弁がなかったのですが、それがその後どういうふうに固まってきたか。お答え願いたいと思います。
  165. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 初任給調整手当につきましては、大綱はわれわれの方で現在考えておりまして、これを細部にわたって現在検討いたしております。これはいずれ今回のような勧告をいたしました際にはこの勧告をどのように法律に基づいて行なうか。現在の給与法の改正を要するという意見の申し出をしなければならぬ。これは取り急いでやらなければならないかと思っておりますが、そのときまでにははっきり出したい。このように思っております。
  166. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 きょうの段階では職種とか、どういう俸給表に適用するということは答弁できぬということですが、この前電気機械、化学、あるいは行政職一、医療職一、教育職一ということを考えているということでしたが、その程度ですか。
  167. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 特別調整額につきましては体系といたしましては、これはやはり公務員科学技術関係いたしまする職種において、まあそれも非常に最近の技術革新に関係のあるような職種におきまして、しかも人事院が公務員採用試験をやりました結果、累年応募率が非常に下がっているというような職種、また一度採用通知を出しましても辞退率が非常に高い。こういうような職種を中心といたしまして教育職一、行政職一、医療職一、あるいは関連的に公安職二ぐらいが出て参るかもわかりません。まあ細部にわたっては検討中でありますが、そういう職種、大学を卒業いたしまして上級職試験に通りましたものを、ただいま申し上げましたような俸給表に採りまする際に、この適用をいたしたい。現在のところはこのように考えております。
  168. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 鶴園委員質問の体系の点について、私も時間がないから一問いたしますが、鶴園委員の言われる通りですよ。大学の教授と研究職と医療職、これを優遇するというのはこれに便乗して、そして高給公務員のところをぐっと上げてしまった。そして下の方を上げていないわけです。だから私は体系的には下の方をもう少し上げるように是正する必要があるということを言っておる。おそらくこれを作った人は東大を出て幹部コースに乗っている人です。これをグラフに書いてごらんなさい。こうありますと、最初はこういくわけですよ、上がっていくわけです、こういうカーブで。そうすると幹部コースに乗ってない人はここで幹部コースとさようならするわけです。一方は昇給率が少なくてのろのろ上がる。幹部コースに乗った人はまたここでこういうカーブになる。そうしてまたしばらく二、三年たつと、さようならで幹部コースは上がっていくが、この人はぽつぽつ上がっていく、それに管理職手当がつくからこんな線になってくると、幹部コースとそうでないものとはものすごく違ってくるのです。だからこれを作った人は大学を出て幹部コースに乗っている人が作ったに違いない。そうして等級によって違うわけだ、切りかえるごとによって違って、それからまた俸給の関係が違う。そうして十二カ月で全部上がっていくでしょう。だからかりにちょっと申すと、一等級が二万三千八百円でしょう、二等級が二万三千百円終わりの方は十二カ月、そうして、今度は六等級にいくと四千六百円、今一番よけい上がる人で七等級三千五百円ですよ、大学の新卒にはこんなに違ってきておる。それからかりに教員のを見ますと、教員で教育職俸給表の二で一番上がる校長さんが一番上がるところで一万五千円、教員になると一番上がって八千六百円ですよ。だから教育職、職員の場合は、一等級違うか、二等級違うか、校長か教頭、平教員かというので切りかえるときから違う。しかも十二カ月たったら上がる、そのときに、上がるときにまた違う。だから大へんな差になっていくわけですよ。そうして特にこの行政職の、鶴園委員が指摘しておりましたが、一等級、二等級、三等級までぐっと上がって、そうしてしかも今まで十二カ月で上がって、まあ十五カ月、十八カ月を要した下の方がぐっと上がってくるわけです。だから徹底した幹部コースの給与体系になっている。グラフを書いて数字を出すと明確ですよ。それからかつては初任給をやった、それから中だるみを直した、今度は高給もやる、それで参議院の調査室で綿密な資料を作っているが、初任給、中だるみのときもあわして、やっぱりずっと上ほど上がっていっているのですよ。だからこの前のあなたのこの速記録というのは若干訂正せなければならぬところがある。それから人事院は今度いい勧告を出したわけですが、その点は下の方が軽過ぎるからどうしても下の方を少し上に私は上げなくちゃならぬ、かような批判を持っております。これは大臣から。あと大蔵大臣に質問して終わりますから、給与担当の大臣からともかく検討するという答弁だけいただきたい。
  169. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 先ほど申し上げた通り、政府といたしましては、人事院の勧告を尊重する線に沿うて参るわけでございますが、その間において十分事務的に検討いたしまして、きわめて明白な不合理等につきましては、十分これはこの際再考慮したい、こういうふうに考えております。
  170. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 高橋さんこれは民間と云々と言うけれども、下級職員が民間より下がって上級は上です。四十二、三才で局長さんになる幹部コースの人は、公舎を与えられて民間の人の暮らしよりよい、年も若い、そうしてうまく政府関係機関に行ったら月給が二十万か二十五万、政府関係機関をどんどん作っていく。あるいは高級公務員の姥捨山に入ったら二十五万くらいもらえるので役人天国になってくる。高いというのではない、しかしこれくらいやらなければならない。下を上げろというのです。そこは誤解しないように、はっきりとこれは申し上げておきます。検討しなければならない内容を持っているということ、だからこれはおそらく履歴書を調べたら東京大学あたりか、どこかいい大学を出た幹部コースに乗った三十五、六才の人が作ったに違いない。これは夜間大学を出たとか、高等学校くらいでたたきあげていった人の表ではない、そういう人がこん表を作るわけがない。調べれば調べるほど大へんなのです。これは批判として申し上げておきます。  大蔵大臣がお見えになったので伺いますが、昨年経済が一六%伸びた、本年も今のところ非常に高い調子をとっている。こうなりますと、原則としてこの好景気を持続するには購買力を付与するという立場で、ベースが高い低いはさることながら、公務員の賃金所得これを上げるということは、今の経済の成長の伸びを持続していくにあたって必要なことだと、かように原則的に意見が成り立つと思うが、その点についてはどういう見解をお持ちですか。
  171. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私ども日本経済を少なくとも十年以内に今の規模を倍増する、そうし国民所得を少なくとも倍にするというような大きい計画をもってその実現のためのいろいろな施策をこれからやっていこうということを今やっておる最中でございますので、そうしますというと、国民所得がふえていくという過程で、国民の生活向上というものが実質的に目に見えないようであったら、この計画の意義というものもないということを考えますので、国民生活を向上させる、各個人の所得もやはりそれに対応して上げる方法をとるためには、やはり実質所得を増すという意味で減税もこれからどんどんやっていく、同時に名目賃金と申しますか、俸給もだんだんに水準を上げていくということをやるのが当然だと考えておりますので、今度の場合も一つ倍増計画というようなものを中心とした施策をわれわれが考える以上は、一般の民間の賃金水準もそうですが、それと相当の較差を持っている以上は、公務員の賃金ベースを合理的に上げることを最初から望んでいたくらいでございますから、ちょうどそこへ人事院の勧告がわれわれ受け取った以上は、やはりベース・アップは合理的でないことをやるわけには参りませんので、この勧告の基礎が合理的かどうかの今検討をやって、その結果、この勧告を尊重する方向でこの問題を解決したいと今思っておるところでございますので、このベース・アップについては、私どもは最初から財政上の問題もございますが、これを考慮しながら最初からある程度のことをしようと思ったのでございますから、その点はそういうふうに御了解願いたいと思います。
  172. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵大臣はもうちょっと数字が入らないといけないと思う。今の自民党の中で財政政策に通じている方としてはあなたが第一人者として尊敬しておるわけですが、池田内閣、池田さんとしては政策をやっていくについて財源がないということはおかしい、財源というものは作り出すものである。水田さんは一番のエキスパートであって大蔵大臣に任命している、こういうふうに池田さんは言われている。そこで、私ちょっと数字について伺うのですが、ことしで大体年内千三百億円くらいの自然増収があるということを言われておる。それから来年度は今の調子でいけば二千六百億くらいは自然増収があるのではないか、こういうことを予測されている。この数字についてあなたはどういう御見解を持っておられるか。もしこれが正しい見通しならば、給与改善をやるということであれば、本年からやれないことはない、やれる。そうして初めて水田さんの大臣としてのなにが輝くと私は思う。だから千三百億、二千六百億という数字について、あなたはどういう見解を持たれているか、私はこれは正しいのじゃないかと思う、いろんな人が言っているから。そうなると本年から実施しようとすれば十分できると思う。そういう立場において検討していただきたい。これは要望も含めてお伺いして、他の委員にかわります。
  173. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 本年度の自然増が当初予算に比べて千三百億円前後あるのじゃないかと私ども予想しています。来年の収入増の問題ですが、いろいろ見方はございますが、今のところ私どもは一応二千五百億円程度の自然増があるというふうな予想を持っていろいろ予算の編成を考えておるというところでございます。今のこの給与の問題は、私どもが一番重要視するのはやはり合理性の問題で、これは御承知のようにいろいろ内容が複雑になっておりますので、それの検討、それから民間との較差がどういう資料に基づいて、それがやはり大体この人事院勧告が妥当だというようなことになりますればよろしいのですが、そうでなければ、この公務員給与の改定ということはなかなか響きが大きい問題でございますので、そういう点を考えて妥当である限りは、これは政府も実施する。その場合このベース・アップが率から、内容から大体これがいいということでしたら、これはこの種の問題はむろん財政上の問題もございますが、しかし予算の方は足りるとか足りないとか申しませんで、足りなければ、確かにこれは正当妥当と認める限りは私は財源を作ってもやるつもりです。
  174. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど非常に上に厚く下に薄いという問題で質問いたしておりましたが、これはあとにちょっと延ばしまして、大蔵大臣に質問いたしたいのでありますが、給与担当大臣は人事院の勧告を尊重するというそういう非常にすっきりした立場から勧告の実施の時期を答弁しておるわけです。今大蔵大臣のお話を承りますと、合理性ということが一番大事だというふうにおっしゃったわけです。その通りだと思いますが、何もこれはあげ足をとる意味ではなくて、合理性、人事院の勧告の中で最も合理性のあるものは、もっともはっきりしていることは、これはもう四月末に民間の給与の実態調査をやった。そこで五月から実施すべきであるという勧告の大きな骨組みですね。これはもう合理性からいって最もすっきりしている。給与担当大臣は尊重するという建前から五月一日に実施するように努力したいという、こういうふうに幾度か答弁なさっておられるのです。ただ若干財政の関係でいろいろちょっとはっきりしない面があるわけです。その意味で大蔵大臣、私が申し上げましたように、最も合理的ですっきりしているのは五月一日という実施の時期だと思います。その点について大蔵大臣はどのように考えていらっしゃるのかお伺いしたい。
  175. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 内容についても実施の時期についてもまだ検討中で、全然政府の方はきまっておりませんが、それが決定すれば、私どももそれでよろしいと思うのですが、財政関係の方面から見ましたら、これは私個人の考えですが、実施時期が五月ということが一番私自身は合理性がないのじゃないかと思っております。と申しますのは、こういう慣例ができたら国会の御承認を得ていろんな予算審議していただいて、予算案が三月の大てい三十一日にきまる。それから一カ月たてば勧告が出て、勧告によって全部それをその年度内に実施しなければならぬということになりますというと、今後予算は常にそれを予期したいろんな予備費を取っておくとか、ほんとうにその年度において実施する予算というものは常に不確定なものになってしまいますので、従来も勧告があったら大てい翌年度から実施するというような慣例になっておったと思うのですが、今回の場合は、また別に考慮されますので、実施の時期は政府がいずれ政府の方針としてきめることになろうと思いますが、来年にはならぬと考えておりますが、五月から実施するということは、われわれ財政当局から考えたら、これはどうしても私どもやめていただきたいと、適当な時期から実施することがいいので、国会予算をきめてもらって一カ月やったらこの予算がみんな狂ってしまうような慣行は、私は作ってもらいたくないと思っております。
  176. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大蔵大臣の立場からそういうような御答弁になることはうなずける点があると思います。ただ、これは経緯があると思う、今までの。特にことしになりましてからの経緯がありまして、前も給与担当大臣をしておられました益谷さんが、この国会におきましても、人事院が勧告の実施の時期を明らかにするなら、その時期から実施したいということを答弁しておられるわけです。ですからそういう観点があって私どもとしては五月一日というのを人事院は勧告しているし、給与の観点からいうならば、最も合理性がある点であるからして、ぜひ一つそういうふうに御努力を願いたい。給与担当大臣もそういう意味で五月一日の実施のために努力をするとおっしゃっておられるのですけれども、何か今の大臣のお話と食い違っておる。これは経緯がありますので、その経緯を一つおくみ取り願ってぜひ一つ五月一日と、しかもこの点については、内容はともかくとしまして、五月一日という時期については、今公務員の大へんな関心になっておるわけですね。これを十二月だとか十月一日だというふうに持っていかれたのでは、今までの政府の国会における答弁からいって食言になるのですね。関心が深いだけにこの影響は大きいというふうに私どもとしては見ておるわけなんですよ。ですからぜひ給与担当大臣の立場に立つ、また従来国会で益谷給与担当大臣のおっしゃったような、五月一日から実施という形で御努力を願いたいと思っております。
  177. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵大臣が何か三時に御用事があるというので、大蔵大臣に対する質問だけ先にやらしていただきます。ただいま聞いておりますと、人事院の勧告は時期は五月一日ということだけれども、財政当局としては予算編成の技術上の問題からいって、どうもそれは納得しがたいと、こういう趣旨の答弁があったと思うのです。その経緯については鶴園君が言いましたから触れません。しかし財政当局として、こういう国会における予算提出の技術上の問題からこれを簡単に片づけてしまっては、われわれとしては不満というよりも今後大きい問題を残すと思う。過去幾たびか国会で人事院に対して、少なくとも時期を明示せずに勧告を出すことは不当であるということを言ったのです。それをたまたま本年度の勧告を五月一日ということで出した以上は、政府はわれわれ単に、大蔵省なり、あるいはいわゆる総理府、そういうばらばらなものだとは考えておらない。大蔵省であろうと、池田内閣のもとでは各省の所管大臣はすべて運託生の責任があると思っております。従って、大蔵当局は、そういう口実によってこの人事院勧告の実施の時期を何かずらすというようなことがあれば、これは大きい政治上の問題になると思っております。従って、私は財政当局の立場からそれは納得するというような言葉は使いません。財政当局がそれに協力する、こういう僕は積極的な立場をとってもらいたい。これは大蔵大臣に対する意見ですが、その点どうですか。
  178. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは政府部内ではもっぱら給与担当大臣の責任できめられることで、ただいま検討中でございますので、協力は十分いたします。
  179. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう点はわれわれの趣旨を十分大蔵当局考えてもらいたい。  それから、実はわれわれはこれが実施されるという仮定の上に立つのですが、地方公務員との関係なんです。これは人事院勧告では国家公務員に関しては百七十七億という数字が出ておったようでございます。期末手当については九億、こういう数字が出ているのですが、これは防衛庁とか、その他、裁判所、そういう点が入っておらない。いわゆる国家機関に勤めている公務員全部に対する費用として一体どれくらい要るのか、それから地方公務員がこれに準じてやった場合に、大蔵当局として幾らぐらい要るという積算をされているのか。もしそれがあれば、これは大臣でなくてもいいのですが、事務当局でもいいのですが、一つお答え願いたい。
  180. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まだ内容がきまっておりませんからですが、かりに人事院勧告通りの措置をとったという場合を見ますというと、今のところ一般会計の負担は約四百三十億、この一般会計の四百三十億と申しますと、一般職職員のベース・アップが行なわれる場合には、従来から一般職職員との均衡を考慮して、特別職の公務員の給料が考慮されておりますので、今回も、かりに人事院の勧告通りに実施する事態になるとしますれば、同じもし比率で特別職の職員を考えるとした場合と、これはそうなるならぬは別としまして、一応そういう前提に立ってみますというと、一般会計の負担が四百三十億円、特別会計の負担が約三十億円、地方公共団体では大体五百八十億円前後、合計一千四十億円程度のものが、所要経費になるだろうという推定をいたしております。
  181. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、一般職、あるいは特別職について、この問題については、これは一応国が責任を持つ建前なんですが、地方公務員の場合の五百八十億、御承知のように、地方財政は若干地方税の伸びがあるということを聞いております。これが実施された場合には、都道府県市町村の中には、相当財源上困る公共団体も出てくると思う。これに対して、この前の内閣委員会で自治省の藤井局長から答弁があったのですが、政府としてはそういうところの財源については考えない、こういう答弁があったのですが、いつもやはり自治省から大蔵省にいくと、なかなか大蔵省の方では財布のひもを固く締めて、地方には相当きついということを聞いている。今度の場合は、地方公務員の場合も相当国家公務員より低いところもあるのですから、こういう場合に遭遇して、財政上からこれが実現でき得ないというところに対して、大蔵省は国の財政上、これを地方交付税なりそういう点で見ることは当然だと思うのですがいかがですか。
  182. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは地方公務員と国家公務員はむろん財政が違うのですから、国家公務員のベース・アップをしてそれが地方に及んだからといって、地方の公務員のベース・アップの所要経費を国がすぐ見るという建前にはなっておりませんし、従来もそういうことはやっておりませんので、これは全然国がそのための費用を見るという考えは今持っておりません。ただ、国税の減税をやる場合に、地方税の減税が起こる、そういうような現象が起こるというようないろいろな問題がからんでおりますので、最後に地方財政が立っていくようにどういう考慮を国がするかという問題は、これは別個に国が考えることになっておりますが、この問題は一応切り離して、地方が地方公務員のベース・アップをやるという場合に、その不足財源を直ちに国が持つということは、今のところは全然考えておりません。
  183. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 水田大蔵大臣は、過去のいろいろの経過も十分お聞きになっておると思うのですが、財政当局として純粋な国の財政措置の問題から言われていると思うのですが、地方公務員の実態というものを十分把握されておらないと思う。現在国の事務と地方公共団体の事務というものは截然としてこれが国の事務であり、これが地方公共団体の事務であるということはできないような状態がたくさんある。そいう中において、現在の実情から見ると国家公務員より地方公務員の水準が、特殊の地方公共団体は別といたしまして水準は非常に低いのです。しかも、事務の繁忙の状態からみると国家公務員よりも第一線の地方公務員の事務が繁忙であることはおわかりだと思う。水田さんは前に自民党の政調会長をやられ、広範なそういう事務については御存じだと思うのですが、そういう答弁はきわめて私は冷淡だと思うのです。いわゆる国家公務員大蔵省としては考えている。ほかのは地方財政の関係だから知らない、これでは私は地方公務員としては今の地方財政の状態と国の財政の状態、これははっきり自力でやり得るような状態であれば別として、今の状態では私は無理だと思うのです。この問題は地方行政委員会でやられると思いますから、せっかく大蔵大臣が見えたので、今の私は大蔵大臣の答弁では、おそらく地方公務員は池田政府の大蔵大臣の立場として相当不満を持つと思う。今の地方の状態というものは大蔵大臣の言うようなそういうものではございません。今の答弁のような、知らぬというような冷淡な立場をとられることは、池田内閣の大蔵大臣として、今までのあなたの答弁には納得する点もあったのですが、この答弁については相当不満であります。その点はどうなんですか。
  184. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 地方財政が困るという場合に、国がどうするかというのは別個の考慮を今しておる建前になっておりますので、従って地方財政の自然増というのも相当現在多くあるときですから、その範囲内で地方は地方の所要経費をまかなっていくというのが建前になっておりますので、地方公務員給与の問題も、第一次的には地方財政自体で負担するというのが建前であって、そういう結果、たとえば国が公共事業をするというときに、地方の負担が多くなって、地方財政がつらくなるとかいうようなものに対する見方というものは、全体として別個の方法をとっておるときでございますから、切り離して、公務員給与が上がったからといって、その分を計算して、不足分を国が持つとか何とかいう考え方の方が、私は、間違っているのじゃないかと思っております。
  185. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の質問の要点をちょっと把握されていないと思うのです。国家公務員のように、そっくりそのまま国の費用でやれと私は言っておるのじゃないのです。非常に困る地方公共団体が出てくるのです。今まで数度あるのです。それに対して大蔵省が、これは自治省側に私ら言う言葉ですが、大蔵省はなかなか考えてくれないと言っておるから、今度の場合はそういうことのないようにということを私は言っておる。従ってそういう答弁であれば、私は了解するのです。しかし、先ほどから言われるのは、地方公務員については地方財政でやってしまえ、こういうような意見だというので、私は食い下がっておるのですが、私の質問しておる内容というのは、要するに、いけないようなところには、国としては、大蔵省じゃなしに、国として考えなくちゃならぬのじゃないか、こういう質問なんです。それが一点。  それからもう一つここで言っておきますが、大蔵大臣、あなたは財政上についてはいろいろよく通じられておりますが、実は、給与法については、地方公務員独自の給与法というのは、今はないのです、国の法律として。おのおの条例でやっておるのですね。ところが、その条例を作る場合には、国家公務員給与法、一般職の給与法についてこれを準用するという形でされている。従って、国の法律が変わると、それに準じてやらなくちゃならぬ一つの地方公共団体のいわゆる理事者が義務を持っているのです。そうなると、そういう一つの義務を持ちながら、財政上では自前でやれないという苦哀を地方自治体の首長は持っている。その点を理解してもらいたいというのが、私の本心なんです。従って、何も国家公務員と同様に、それだけの金を全部、給与が上がっただけ財源を持て、こういう意味じゃないのですから、そういう点は理解されましたかどうか。その点を一つ、私の言ったこと、それでいいですか。
  186. 石原周夫

    説明員(石原周夫君) 地方公務員法には、御承知のように、「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」というふうに書いてございます。従いまして、そういうようなことを頭に置いて地方の自治体におきまして地方でもって定められるというふうに考えております。
  187. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうきわめて冷やかな答弁には、もう、実態から言って私は不満なんですよ。実際問題として、地方公務員法にはそういうのがありますが、実態はそういうことになって、過去、来ているのですよ。国家公務員給与法が変わって、東京都なりそのほかは知らないが、それは国家公務員の問題だということで放っておきますか。東京都のように財政の若干融通のつくところは別として、ほかの地方公共団体ではそうはいかないのですよ。そういう場合に、これは条例できめるのだ、勝手にやりなさいというような、大蔵当局の答弁でなくして、池田内閣の意向であれば、それをはっきり言って下さい。そういう条例があるのだから、国の法律が、給与がどう変わっても、おのおの勝手にやりなさいという、これが池田内閣方針だということになれば、水田大臣、その通り言って下さい。
  188. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私が言っておるのはそうじゃありませんで、地方は、地方公務員のベース・アップをやることも、地方の財政ではなかなか大へんだ、また、国が減税をするという場合に、これに伴って地方の減収ということも起こる。これも地方財政にとってはなかなか大へんだという問題が今他方財政にはたくさんございますが、そういう問題は、地方財政の調整というものを十分やりますし、国との調整ということもこれはあるいは交付税というものを通じたり、いろいろな形でこの調整は行なっておりますので、地方財政の全体を見てこの解決は別個にすることだと思っておるのですが、個々の場合、この中央の公務員がやったから、そのしわが地方へ来たので、それは国が見ろ、あるいは国税が減った、その関連からして地方の減収が起こったから、それはそっくりそのまま見ろというようなことで地方財政のあれをやっているのじゃない。地方財政自身も、国税を減らすというときには国に自然増収が相当あるときで、同時に地方にも自然増収があるときだから、こういう財政の調整は十分やって、なおかつ最後に国とのいろいろな調整をしようという立場をとっていますので、従ってこの問題を国がこうしたからすぐそれを地方で見ろというふうに直接関係はないということを言っただけの問題でございます。全体として地方財政の困まるものに対してどういうふうに対処するかというものは、これはまた別の問題として検討したいと思います。
  189. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは最後に実施されたときの問題になるのですから、必要ですからもう一点だけ念を押しておきますが、大体そういう点の財政運用上の問題についてはよくわかりました。しかし、実際問題で政府が見なければ、せっかく国家公務員、一般職の方の法律改正がなっても、できないという貧弱な市町村もあるのです。その場合に、今言われた、単に給与に対する財源の補助といいますか、そういうものでないけれども、全般的な財政の補給という意味において政府は考えてもいいという、こういう意味にとっていいですね。
  190. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 地方財政の今後の余力とかいうものは、今、自治省においても検討しておりますし、私どもの方でも検討しておりまして、その実態が今まだはっきりしていないところでございますので、これがはっきりすれば、政府としてそれに対処する方法を考える、これは当然でございますが、現在のところ公務員のベース・アップが地方財政の余力とどういう関係になるかということがまだはっきり今のところしておりません。
  191. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実は、実情がまだ大蔵大臣に十分わかってきておらないと思いますが、戦後これで、十二、三回実はベース・アップがされたのです。公務員の改正がやられたのですが、町村ではようやく最近二回くらいやっている程度の町村が多いのですよ。従って、町村の給与はきわめて悪い。しかも、町村の末端では国の事務をほとんどやっているのですよ。従って給与の差というのはきわめて大きいのです。それはどこから来るかと、私が回って市町村長に聞きますと、どうしても金がないのだ。給与を上げる金がないのだということで、いわゆるこの職員にしわ寄せしておるという形になるのです。町長自身でも、これは何とかしなければならないというので、最近自治省に泣きついては若干上げているんですけれども、一万二千円程度ですよ。人事院勧告では二万円を上回って上がるんです。市町村の職員では平均して一万円前後ですよ。そういう実態なんです。ところが、昔の役場とか、農業を兼職にやっておるというような実態と違うのです、今の地方公務員の事務というのは。そういう中にあって農村の若い青年なんかは役場なんかに対しては、きわめて冷淡な態度をとっておる。日本の行政事務が一番停頓しておるというのは、末端の市町村の職員がそういう立場におるからなんです。国家公務員も大事ですよ。特に地方公務員の末端の市町村の職員がそういう見放された状態におるから、大蔵大臣に私が認識さすといっては僣越ですが、してほしいのです。そういう中において、今度また相当、内容は別として、相当な、平均二千六百八十円というようなベース・アップと申しますか、賃上げなんです。そういうものが町村にいきますと、どうも財政が困ることは火を見るより明らかなんです。何ぼ財政が伸びておるといっても、今の財政の伸びというのは、都市中心に伸びておりますので、町村はそう伸びておらない。そういうものに対して大蔵省が認識してもらいたいというのが、私の質問の本音なんです。従ってこの問題は将来問題が出てきますけれども、この点について十分考えるという一つ水田大蔵大臣の答弁をいただきたいと思う。
  192. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 地方の財政需要は、これは十分に検討して、その結果交付税の配分において考慮するとか、いろいろの処置を現在でもとっておるところでございますから、最終的にはそういう問題を十分配慮するつもりでございます。
  193. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは、さっきのところに問題を戻しまして、人事院に伺いたいわけですが、あとでこの問題についての給与担当大臣の御意見も承っておきたいと思います。先ほど私質問をいたしましたように、上の方が非常に顕著に上がっている。その根拠は何かということに対して、いろいろ給与局長の御答弁がありましたが、どうも根拠が明らかでないというふうに思っております。で、先ほど局長のおっしゃったように、三等級以上については医療職、研究職との関連においてお考えになった。六等級、七等級、八等級というところは、行政職として全体との関連でお考えになったわけですね。その六等級、七等級、八等級というところも研究職、医療職との関係でお考えになったのかどうか、これを一つ伺いたい。
  194. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 御存じのように、研究職あたりになって参りますると、必ずしも行一の六、七、八と直ちに対応さすことが適当かどうか、そういうところは問題がございます。御存じのように、先ほど申し上げました行一、教育一、それから研究、医療というところは、これは対応等級でございまするが、俸給表上各俸給表を通じて、対応等級でいえばそういうところになるのでございまして、教育一は別でございますけれども、これは対応等級を全部包含して比較した、こういうことになる次第でございます。行一のところをちょっとつけ加えて、先ほどの説明で不十分でございましたので、申さしていただきたいと思うのでございますが、行一といいますと、直ちにいわゆる法科出身の人を連想するのでありますけれども、行一の中に技術官というのが相当数おるのでございます。また、今後科学技術行政というものが推進されるということになって参りますと、こういう技術官の職域というものは研究職ではない、行一におけるのだけれども、同様に考えなければならないということがあるのであります。そういう点を考慮して、この行一、研究、医療というものをまとめて考えた、このような次第でございます。
  195. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 はっきりいたしたように思うのですが、要するに三等級以上を顕著に上げたということは職務の複雑さ、困難さ、あるいは責任の重さというものが突如として大きく変わったものじゃない。これは明らかである。それから民間との全体の比較においてやったのではない。医療職と研究職という公務員の俸給表の中では最も民間表より低い、むちゃくちゃに低い。そういうものの関連において二、三等級というところを顕著に上げて、そうしてそれ以外のところは六、七、八等級というものは、これは医療職、研究職というところと比較するのじゃなくて全体の関連において考えた、こういうことになれば、これは明らかに無原則ですよ。こんなむちゃなことはないじゃないですか。従いまして、今の上げ方には理由はないというふうに思うのです。そこで今度は、今の内容をもう少し変わった立場から御質問をいたしまして、そうして滝本給与局長給与担当大臣の御所見を承りたいと思っております。この三等級以上非常に顕著に上げましたのですが、この顕著な上がり方は、俗称管理職手当というものを考えますと、さらに一そう顕著に上がるわけです。と申しますのは、この三等級以上の人たちは管理職手当を二五%大体もらっておると言っていいでしょう。これは超過勤務務手当に該当するというふうに考えられておるわけですが、この三等級以上はこれだけ顕著に上がりますと、管理職手当は三千円から七千円にはね返るわけですね。それ以外の者は超勤手当、これにはね返えるものは月に四十円から百七十円なんです。非常に小さなはね返りなわけです。四十円から大体百八十円ばかりはね返る。一方の方は三千円から七千円程度はね返る。従ってこれをあわせて考えますと、この上がり方というのは非常にさらに一そう顕著な形になるというふうに考えられるわけですね。その点から先ほど矢嶋委員から管理職手当というものを考えなければならぬ段階に来ておるのじゃないかというような説をなされたのだろうと思うのでございます。いずれにいたしましても、本俸をこういうふうに非常に顕著に引き上げるということは、管理職手当、超過勤務手当などの関係考えますと、さらに一そう顕著に引き上がるという点を考えていただきたいと思うのでございます。そのことが今公務員の中で三等級以上とそれ以下に分けたもんだから、逆効果を来たしておる。大きなみぞができ過ぎて、反感さえ呼ぼうとしておるのじゃないかというように思うのです。あまりこんなふうに顕著に上がったんじゃ大へんなことになるだろうと思います。たとえば局長と係長と例をとりますと、今度局長の上がり方というのは、係長の本俸だけ上がってしまうのですね。大へんな上がり方なんですね。これはもちろん管理職手当を考えました場合に二万一千円ほど上がるのですね。あまりこんな顕著な差をつけられたんじゃ、公務員の間に大へんなみぞを作ってしまう。御承知通り、行一の場合は三等級というのは三千八百名ぐらいのものです。あと十九万二千というものはそれ以外の者、その間に大へんなみぞをつけてしまう。さらにこれを少し、長くなりますが、これをもっと具体的に申し上げますと、一等級と二等級、三等級はことしの四月の民間の給与を若干上回っておるのです。これは人事院の数字を見ても明らかです。ことしの民間の数字よりも少し上回りまして、この四等級以下は昨年の三月末の民間の給与に近づいた、あるいはそれに達した。一番ひどいのは四等級と五等級です。これは昨年の三月末の民間の水準になお相当の金額達しない。これはこの間の八月十日の内閣委員会で滝本局長もお認めになっているところであります。そうしますと、同じ公務員の中で一等級、二等級、三等級はことしの民間の水準を幾らかこえている。ところが、それ以外のものは昨年の三月末までの水準にほぼ達した。昨年の春闘以来この一年間の民間の給与はさらに一段と上がったと言われているが、そのことと全く無縁の状態に放置されている。これが今公務員四千人と十九万人との間に大きな溝を作っている一番の理由であります。こういう顕著な溝を作っているということが、一体人事院は望ましいというふうに考えておられるのかどうか聞きたいと思うのです。望ましいというふうに考えておられるのかどうかこれを一つ承りたい。
  196. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) お言葉を返すようではなはだ恐縮なのでございますが、先ほどから御説明申し上げておりまするように、人事院のやり方が一貫しておらぬじゃないかというお話でございます。まあそういう御批判もあろうかと思います。しかし、かりに一貫してやったとすれば、たとえば教育一、二、三、教育三は比較しておりませんけれども、教育一、二、というのは引き下げなければならぬという現状が起こるのであります。もしかりにそういうようなことをやった場合には、はなはだ非常識じゃないかということでおしかりを受けると思います。また勧告につきましてもおそらくそういう事情がございます。なるほど一貫しておらぬというような御批判もあるかもしれませんけれども、人事院といたしましては、全体的に民間の給与水準と合わす。しかし公務員内部におきまする各職種間の均衡というような問題も十分考え合わせまして今度のような勧告をした。詳しいことは前に申し述べている通りであります。従いまして意識的に三等級以上と四等級以下を分けるというふうにいたしたものではもちろんないのであります。繰り返して申しますれば、科学技術振興の観点から行政部内における技術官の優遇ということも当然考えなければならぬ。また事務職につきましても、相当責任の重い事務職につきましては、やはりそれを特に引き離して下げるということをするのは、現在の状況下においては適切とは思っておらない。従いまして医療、研究、行一というものを合わせて考えるということでございまして、先ほども申しておりまするように、二等級の引上率をおおむね見当をつけ、六、七、八の引上率はおおむね各俸給表を通じまして対応等級を合わせて考えた場合に、民間とどれくらいの較差があるか。その辺の見当をつげて、あとは各俸給表の平均俸給額に見当をつけて、これがホワイトカラーの昇給曲線でありまする指数曲線に乗るように作ったということでありまして、特に三等級以上と四等級以下とを分けたということはございません。しかし鶴園委員が御指摘になりましたようなかりに見方をいたしますならば、なるほど四等級、五等級辺に若干足らないという見方もこれはあり得ると思います。私自身といたしましては、やはり公務員のほんとうに油がのっておりまして、また家庭的にも世帯を持ち、子供がふえていくというようなそういう段階における公務員の処遇ということは十分考えたいという気持を持っておるのであります。しかし、今回のやり方におきましては、そういうことを、まあ先ほども申し上げましたような方法でやったのでございまして、今御指摘のような点につきましては、やはりわれわれとしては今後十分そういう問題を注意して、今後いろいろな問題について考えていかなければならぬ、これは心がまえとして私自身は持っております。そういう次第であります。
  197. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 今お話もございましたが、実は先ほど申し上げました通り、われわれの方といたしましても、人事院の勧告は尊重する建前になっておりますけれども、それの合理性につきましては、今せっかく事務当局検討中でございまして、御趣旨のような点は十分一つども頭の中に入れてよく勉強いたしたいと思います。従って今御指摘の点についてのわれわれの見解を今ここで申し上げることは適当でないと思いまして、これはお話を承っておく、こういう程度にいたしておきたいと思います。
  198. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の滝本局長は意識的にそういうふうにしたのじゃないというお話でありますが、それはちょっとばかり解せないのですけれども、私は先ほど滝本給与局長の答弁の中から引用して申し上げましたように、三等級以上については、医療職と研究職と行一との関連でお考えになって六、七、八というところは全体の俸給表との関連でお考えになったのだから当然大きな差が出るのはあたりまえじゃないか、これを意識的とは言われないのですか。大きな差が出るのはあたりまえですよ。
  199. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 三等級以上と言わなかったのであります。これは今回の俸給表におきまして、それぞれ対応等級がございますが、研究、医療、教育一、二、というのは一番高い。一等級、これは一番高い、そこは調査はしてございません、二等級のところは調査した範囲内においては一番高いわけであります。その二等級を合わせたということを申し上げたのであります。三等級以上を合わせたという、そういうことは申し上げないのであります。従いまして上と下とを合わせて、そうした中を先ほど御説明申し上げましたように、各等級の俸給金額を大体指数曲線に乗るように、そうして各等級表の昇給率を落とさないように、こういう配慮で全体を構成していく、こういうことでございまして、意識的に上と下とを分けている、こういうことではない。
  200. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうも私は二等級でもいいのですよ、いいのですが、二等級には教育職と技能職、研究職、そことの関連をお考えになった、こういうことでしょう。六、七、八という、これは研究職、医療職とのかね合いを考えないで、それもひっくるめて全体の俸給表との関係でお考えになったとこういうことでしょう。それならばああいう線が引かれるはずです。大きな顕著な差が出るはずですよ、あたりまえじゃないか、それを意識的とは言わないのですか。
  201. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) もう何回も繰り返して申し上げ、はなはだ恐縮でございますが、二等級のこの対応等級といえば教育一と行一と研究職、医療ですが、これは御承知通りでございます。教育職につきましては、これは人事院は特別な配慮をいたしております。人事院の判断によりまして、特別な配慮をいたしております。しかし、研究、医療については一緒にした、すなわち現在比較いたしますべきもので、あり得るものは全部包含して比較したということであります。それから六、七、八のところは、やはりこれは俸給表で全体的に比較し得るような大体対応等級と考えられているようなのは合わせて比較したということでございまして、別に意図的であるというふうには考えない。特に行一の中に技官がおるということは鶴園先生十分御存じ通りであります。今後科学技術振興していく上に伴いまして、やはりこういう方々研究職と同様に尊重されなければならぬと思うのであります。そういう観点からいたしますれば、現に研究とそれから教育の間、大学の間、それから研究と行一の間というのは、これは絶えず交流があるということは十分御承知通りであります。そういうことを考えますると、やはりこれはわれわれがやっているのが決して不適当ではない、むしろ妥当している。やはり科学技術行政という点は、研究のみではなく行政部内における技官という問題も合わせ考えなければなりません。こういう点から人事院はいたしている次第でございます。その辺で御了承願いたいと思います。
  202. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の滝本さんのおっしゃるようなやり方でやると大へんな開きができる。いわゆる六、七、八というところと二等級を中心として三等、二等、一等という間には大へんな開きが出ざるを得ない。そして四等級と五等級は若干色をつけたという形に落ちつく、こういうふうになると思うのです。これは明らかですよ。そういうことが私は理解に苦しむのです。ですから行一を全部研究職、医療職、そういうものと比較するならばまだわかる。大へんな開きが出ますよ、今言ったようなやり方でやられますと。しかし、いずれにいたしましても、こういうふうに非常に顕著に三等級以上を上げましてそのためにも四等級、五等級、それ以下のものと非常にみぞができるということについては、やはり好ましくないというお考えを持っておられるように承りました。政府としてはそれについては意見は出ないというのですが、こういう簡単なことについて政府の見解がないということは、私は理解に苦しむわけですけれども、いかがですか。
  203. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) なかなか今回の給与体系は全般にわたってでございますので、従って先ほど矢嶋委員も話された通り、そうした問題と給与、管理職手当の問題の関連とか、あるいは今申し上げた従来の勧告等との関係とか、いろいろこれはかみ合ってきて、総合判断を要する問題でございますので、従って私も就任日が浅いので、十分それらの点に対する総合判断をいたしておりませんし、同時にまた、事務当局も今そうした問題について十分せっかく研究中でございますから、従って今この場のお話としてはよく話はわかるのですけれども、はたしてその持つ意味がどういうものか、そういうことにつきまして、もう少し私自身の発言は差し控えたい、こう申し上げまして御了承願いたいと思います。
  204. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは話を別にいたしまして、暫定手当につきまして伺いたいわけですが、今度の人事院の勧告につきましては説明資料というのがございまして、その説明資料の第九表というのが出たのですね。この第九表というのは今年初めて出た資料だというふうに思っております。今までの人事院勧告書をずっと詳しく見てみましても、この資料は初めて出ておるように思います。すなわち、この生計費ですね、生計費を今の暫定手当の級地に分けまして出しておられるのです。東京都を一〇〇といたしますと、一級地が七〇ぐらいになるという数字を出しておられるのですけれども、これは暫定手当を都市手当みたいなようになさるというようなお考えがあって、ここでこういうものを出されたわけでしゃうか。
  205. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 第九表に掲げましたのは、標準生計費の説明のつもりでございます。従いまして、暫定手当と直接結びつくとわれわれの方は考えておりません。暫定手当につきましては、去る国会におきまして、地域給、暫定手当を含めて人事院で十分研究して勧告しろという新たなる人事院に責務が課せられたわけでございます。これは前回の当委員会におきまして人事院総裁からお答え申し上げたように、われわれとしましてはこの問題は十分速急に研究もし、これに対する対策も考えなければならないと思っております。あそこに示しました第九表というのは、標準生計費というものが東京において計算されておるわけであります。しかし、このいわゆる八等級二号俸に相当いたします初級職試験に合格して入って参ります者は東京だけではない。従って東京だけの数字だけを示すのは実は不適当であります。ほんとうを言えば、各地域別の標準生計費を計算して、それに見合うような初任給ということも、考えようによってはあるわけであります。ところが現在は資料の関係から東京しか計算しておりません。これを各級地の異なったところで見当をつけてみるならば、あれで足りたということになるのかあるいは足りないということになるのかという検討資料としてあれを出しておる、こういう次第でございます。
  206. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは、今のところではこのことをこういう関連の中で暫定手当を都市手当というようなふうにお考えになるという御意思はないというふうに考えていいわけですね。
  207. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 暫定手当の問題につきましては、都市手当として考えるかどうかというようなことを、今のところはないとかあるとかいうような問題ではないように存じておりまして、今後どのように研究して参るか、あるいは暫定手当の中に包含されまする問題としましては、同一市町村内の支給率の違いという問題もございまするし、また暫定手当を今後どういうふうに一体収束するのかという問題もございまするし、いろいろ問題があるわけでございます。それをどのようにやるかということで、現在人事院として方針がきまっているわけではないのでありまして、今後もうこれは取り急いでわれわれとしては研究をいたしたいと、このように考えております。
  208. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それではこの資料について若干意見を申し上げておきたいと思うわけでありますが、確かに東京都を一〇〇といたしますと、一級地は七〇というふうな数字が出ております。しかしこれは概括していえば、農村地帯に住んでおる者は、文化的な意味においてあるいは娯楽的なリクリエーション的な意味において、あるいは近代的な文化生活の意味において、やはり不便な生活をしているということじゃないかと思うのです。それの一番端的な現われ方は雑費ですね。雑費を見ますというと、東京を一〇〇としますと、一級地は六〇という数字ですね。その雑費というのは、これは娯楽とかリクリエーションとか文化施設みたいなものになると思うのですね。その意味で、全体としていえばそういうことになるのじゃないか。都市と農村との生活を埋めていきたいという今立場にあるわけですね、政府の考え方としましても。その場合に、もし都市手当という形で出て参りますと、この文化的な差というものを固定化する、あるいはこれを拡大していくという形になるというふうに私は思うのです。従って、これはやはり暫定手当というのは、年を追って本俸に繰り入れていくということが、都市と農村との生活をできるだけ埋めていくというその趣旨に合致しているのじゃないかというふうに思うのです。これは三十二年に暫定手当の問題について法案通りますときに、参議院の内閣委員会においては、附帯決議の第一項に全会一致で、暫定手当については三十五年度以降についても本俸に繰り入れていくという附帯決議ができておるわけですね。そういう観点も考えますと、これはやはり本俸に繰り入れていくという、そういう立場が、今の政府なりあるいは常識的にいって都会と農村とのギャップというものを埋めていくという、そういう方向に合致しているのじゃないかと、こういう私は意見を持っている。これについて給与局長、それから国務大臣の御意見を承っておきたい。
  209. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) なるほど雑費のところで違っておって、これは文化を享受する度合いが、都市と農村において違っておるということであろうというのは、御指摘の通りであろうと私も解釈いたしております。ただ人事院といたしましては、公務員給与をきめまする場合に、そういった人事院が一つ考え方をもってやるということには現在なっていないのでありまして、やはり原則的には民間賃金、生計費その他人事院が適当と考え事情というものを考慮するということで、やはり原則は民間賃金、生計費ということになるのではなかろうかというふうに思うのであります。その場合に、民間賃金といえば、現在の初級職試験でも、あの給与でも、やはり都会においては、現行の話でございまするが、競争になかなかたえがたいが、比較的都会的でない所におきましては、かなり現行の初級職試験に通りました者が入って参ります八等級二号俸でも、相当競争上、民間より勝っておるという実情があるわけでございます。そういう実情があれば、やはり初任給というものは、その地域々々の地域賃金というもの、そういうものを参考にしてきめるべきである。これはやはり公務員法の原則から出てくる一つの条件ではなかろうかと思いますし、また、生計費の観点から考えましても、それはなるほど意識的にそういうことはいけないということはあるかもしれません。しかし、それは国全体としてそういう方向にいくべきものであって、人事院が公務員給与を勧告する場合に考えますことは、やはり現在の状況がどうなっているかということを最初に考えるということにならざるを得ないというふうに思うのであります。ただ国家公務員の場合は、そうは申しましても、一方で人事の関係から異動ということは絶えず行なわれるという問題があるわけでございまして、その異動のあるたびに非常に摩擦、支障があるということでは、これはやはり人事行政上困りますので、そういう観点からのこの異動の円滑化という問題も合わせ考えなければならぬという問題はあろうと思います。従いましてそういうことを合わせて考えるべきであるというふうには思いまするけれども、人事院が公務員給与を地域的にきめまする際に、今鶴園委員の御指摘になりましたようなことを率先して考え立場にはないように考えております。
  210. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 暫定手当の問題でございますが、これを本俸に繰り入れ、しかも暫定手当の考え方の基礎になる地域別の問題でございます。これは今、要するに人口がそれでなくてさえ中央に集中して一種のマンモス都市というほど、人口の再配分というそういう観点から考えますれば、これはごもっともな御意見であり、同時になるべく暫定手当というようなものはこれを本俸に繰り入れましてそうして正常な姿において給与体系を作るということが私は適当であると思うのであります。ただ、給与のことにつきましては、従来とも人事院の勧告を待って政府としてはその態度をきめる、こういうことになっておりますので、御趣旨の点は十分含みまして今後人事院とも連絡をとり、またわれわれもそういうことにつきまして努力いたしたい、こう考えます。
  211. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今度隔遠地手当とそれから特勤手当ですね、これがはっきり確立をするようなことになったわけですね。これは従来特勤手当というのは凍結されておりましたね、暫定的なものとして。それがこの間の法律が通ってこれが確立するわけですね。それから隔遠地手当もそういう形になってくるわけですがね。これについては人事院としては、あれは人事院の規則を変えるということで足りるわけですね。その意味で人事院としてはこの隔遠地手当、それから特勤手当についてこれを整備強化していくというお考えを持っておられるのかどうか、それを伺っておきたいと思います。
  212. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 前国会におきまして、隔遠地手当が特勤からはずされまして、法律上の手当になったわけでございます。この隔遠地手当は、御存じのように過去二回にわたってその増額並びに確定基準の緩和ということを行なって、これは予算措置が行なわれたわけであります。その一つは、いわゆるへき地教育振興法に基づきまする学校教職員のいわゆる隔遠地に関する手当、これが相当大幅に緩和されたという経緯もございまして、それに対して公務員の方も大体それと程度の合うように本年の四月から実施できるように予算措置を講じてもらった、こういうわけでございます。従いまして隔遠地手当につきましては、現在のところあれを直ちに変えなければならぬというふうには考えておりません。むしろ今後交通事情は漸次よくなって参っているわけでございますから、従来の隔遠地というものからその条件に該当しないものが出てきてこれを落としていくということの方が、むしろそれをよく監視して参るということの方が必要なのではなかろうかというように考える次第でございます。  それから特殊勤務手当につきましては、なるほど御指摘のように従来は変則的な給与法の中にありながら、凍結された政令という形になっておりました。しかし、これは給与法運営上まことに、ことごとに支障がございますので、一応形を変えてああいうふうに国会に御訂正願ったのでありまするが、ただ、特殊勤務手当という問題はむずかしい問題でございまして、現在の体系も整備されおるとは思いません、全体的に整備されておるともなかなか言いがたいと思います。しかしながら、それでは直ちにあれを広範に拡げていくかというと、やはりこれは今後十分研究をいたしまして、必要なところは新しくつけていくということはあっても、よほどの研究を要する問題でございまするので、今直ちにあれを拡充するということは考えておりません。ただ従来のように、事務上いろいろ支障があって動かないという点の障害を除去する意味におきましてあの条項を、法律の条項を御修正願ったという次第でございます。
  213. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これはまた別な問題ですけれども、先ほどの暫定手当につきましては、八月十日の内閣委員会で浅井総裁が三月までには勧告をしたいということを答弁なさったのですが、これは間違いないでしょうか。
  214. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 私もあのとき同席しておったのでありまするが、答弁が多少明確を欠いた点があるのじゃないかというように私自身は思ったわけでございます。それであのとき総裁が申し上げましたことは、むしろいわゆる石炭、薪炭、寒冷地、あの問題を申すつもりで総裁は言われたのではなかろうかと私自身は考えておる次第でございます。
  215. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうすると暫定手当についても三月までに勧告をするということじゃないということですか。
  216. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 今私は総裁がそう言われたのであろうと思った次第でございまするけれども、暫定手当につきましても、法律事項として人事院の職務が課せられたわけでございます。人事院といたしましては、法律に忠実に従いましてこの責務を果たさなければならぬという義務は当然あると考えておる次第でございます。この方もわれわれとしましては、できるだけ今後なるべく早くその結果を得まするように努力いたしたいとは考えております。
  217. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうすると、それは三月というわけじゃないのですね。
  218. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 先ほど総裁の答弁はどうであったかというお話でございまするが、これはやはり一度総裁に確めていただきませんと、私からは……、私の受け取った感じだけを申し上げた次第であります。
  219. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 だいぶ暑くて、あまり長くやると、自民党の聞いておる方御迷惑だと思いますから、簡潔に要点だけやります。まず最初に、政府に聞きたいのですが、実は池田総理大臣に来てもらったらけっこうだったのですが、そうはいかないので、高橋国務大臣が、まあ新任早々で知らないということを言わないという前提で一つ質問したい。これはやはりいろいろと担当大臣になったときには研究されていると思いますから……。実はこの前の八月十日の当委員会で人事院総裁に、私は勧告をした日時を正確に聞いたのですが、その場合に浅井総裁が政府、国会に勧告したのは八月八日午前十一時だ、こう答えられた。その前日、池田総理大臣が伊勢参宮をされた七日の日に伊勢で、出先で記者会見をして、公務員給与のことに触れられておるのです。もちろん、ここに前提があります。勧告がまだ出ていないので断定できないという前提があるが、その際に公務員給与は悪いことは確かだから、これを直すということを言明されておる。しからば池田総理大臣がおられないからどういう考えで言われたかわからぬといえばそれまでですが、少なくとも池田内閣の閣僚としておられる高橋大臣ですから、政府として公務員の悪いことは確かだという、その悪いところは、勧告はまだ出ていないのです、まだ出てないが、政府は出ていないのにどういうところで悪いということを、これを総理大臣に言われたのですか、それをまず聞きたい。
  220. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 総理が伊勢参宮のときにどういうような感覚で、どういうような内容でおっしゃられたかということは、私十分承知しておりません。ただ、内閣といたしまして、新しく内閣ができるときにも、総理みずからが公務員の待遇については改善せざるを得ないだろうと、こういうことを言っておったわけでありまして、それは主として民間の給与、あるいは国全体の所得の増進、あるいは公務員給与内容とその責任性との関係から見て考慮するのだ、こういう感覚で話されたと思うのであります。その悪いという意味は、おそらく私の想像では、民間との比較というような観点から言われたと思いますが、今申し上げた通りこれは内容にわたってあるいはどういうような心境ということについては承っておりません。
  221. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、こういう抽象的なことを言っておっても押し問答になりますから、池田内閣ができて、そういう初めて公務員に対する給与に具体的に触れて、ああいうことを会見をされて言われたことは、今までの、歴代の内閣としてはあまりないのです。それだけによけい関心を持っておった。ところが、突然あくる日勧告が出ている、偶然でしょうけれども、そういうところにわれわれとしてはきわめて関心を持っております。池田総理が民間との給与を比較して悪いのだということを御存じだったということについては、これは敬意を表しておきたいと思います。そう言っておいて下さい。しかし、出てきた勧告を見られて、この前から内閣委員会で言っておるように、われわれはきわめて不満な点がたくさんあるのです。従ってそういうものに対して国務大臣はもちろん責任をもって答弁されておるのですが、そういう総理自身が公務員給与について関心を持って言われたことであるから、こういう問題があるのだということを国務大臣から総理大臣に言ってもらって、総理は要求してもなかなか来られぬと思いますから、直接ここで答弁しなくてけっこうですが、総理はこういう考えを持っておるのだということを、この次でいいですから、あなたの口から言って下さい。それを一つお願いをしておきます。  それから、時間の関係で、政府に対するやつはこれでとどめておきまして、次に人事院に対して二、三の点だけちょっと質問しておきたいのです。今度の勧告の内容については、るる同僚委員からも、この前私からも言いましたが、今度の勧告の内容で、金額の問題、上厚下薄の問題がありますが、各等級別に金額の独立性を持たせておりますね。今まではずっと八等級、七等級同じ金額ですね。今度の場合は若干似ておるところがありますが、独立性を持たしておる。これはどういう意図でなされたか、一つ総裁から聞きたいのですが、局長からでもけっこうです。
  222. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 各等級に独立性を持たせたという点は、事務的な面と、それから意味は事務的でありますが、二点ばかりそういうことを考え得る根拠があったわけでございます。一つは、現在の給与法の運営におきましては、昇格いたしました場合に、上下等級に同じような金額があるわけであります。従いまして、昇格の場合に何ら変化がない、昇格したということが別に何でもないというような感じがいたすわけであります。むしろ昇給のときこそ金額が上がる。しかし、昇給というのは一つの等級内においては、勤務成績が良好な場合に昇給をいたすのでありますが、昇格というのは、やはり上の俸給の仕事をする資格十分なりとして上の方に上げられる。これは職務として重いわけでございますから、そのときにこそ一個の給与に増額があっていいのではないかということが第一点。それから現在の俸給表におきましては、御承知通り一つの等級の中で行二を別といたしまして十二カ月昇給期間、十五カ月昇給期間、十八カ月、二十一カ月、二十四カ月、こういうふうにあるわけです。これが実際三年間運営いたして参りました経験によりますと、十五カ月に入るとおれ曲がりだ、十八カ月待つのはくたびれるということで、非常に公務員としてあの昇給制度にあきたらないものを多くの人が持っていられる、こういう現象がある。今回その両者をいたしますために、まずわれわれは最初、上の等級と下の等級とにおいて金額を同じにして、そうして昇給期間を十二カ月にする措置はないかということを技術的に研究したのでありますが、それは技術上非常にむずかしいということがある。上の等級にいったときには、これは何らか別の方法によって、たとえば一号俸上がるのだという方法を講ずるということはいかがなものであろうか、これは通し号俸を置いてそういうことをするのはいかがなものであろうかということを考えたのでありますが、これも影響するところが非常に大きくて、現実の問題となるとむずかしいというようなことでありまして、やむを得ず上下等級に同一金額がないということに一応しておこう。そうするとこれは非常にそれにわずらわされませんで俸給表が構成できる。従って、今度は下の等級から上の等級に出る際は、同じ号俸が中にはございますけれども、おおむねその金額が違っておる。そういう場合におきましては、直近上位の号俸ということでありまして、そういう場合にやはり金額の増額がはかられる、こういう結果になるわけであります。そういう二つの効果をねらいまして今回はこの一連号俸というのを一応廃止するという措置をとったのであります。
  223. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体滝本局長の御答弁は予期しておったのですが、しかし、それはわれわれの立場から見ると、いわゆる昇格した一つの魅力である百円、二百円が変わる、これは私はちょっと受け取れない。独立性を持たしたということは、やはり職階的な制度というものをきつくしていく、これは実は若干頭打ちを延ばしておるからというあとでまた答弁があると思うのですが、こうなってしまうと、八等級なり七等級に格付されたら、終生それで、もちろんこの上に上がっていくコースの人は別ですが、大体一般職の人にはこういう方々が多いのです。そういう場合にはもう運用上どうにもならぬということになってしまう。結局同じような金額でないのだから、七等級は七等級でそのまま終わってしまう。八等級は八等級で終わってしまわなければならぬということで、運用上どうにもならない、こういう場合が出てくる。これは人事院においては実際人事を担当されておらないからわからないが、そういう問題が往々にして出てくる。従ってわれわれとしては、今度の独立性を持たしたというのは、いわゆる昇格する魅力とかいうことじゃなくして、むしろ政府は職階的な意識を強く持ってきた、こういうわれわれは見方をしておる。この点も相当不評判です。割合に表に出ない不評判がここにあるのです。これは、国家公務員の場合は若干今まではっきりしておりますが、大体地方公務員の場合は三等級が一等級になっておりますから、国家公務員の場合の一等、二等というのはない、表には。地方の部長級は全部これは三等級でとまり、そういう工合に全部ずっと下までおりてきているから、何とかそこを運用上も頭打ちを解消したいという苦心をされておるというところもある。実際の人事行政上こうなってしまうと、実際できなくなってしまう。ここに問題点があるのです。これについて今ずばりと質問すると、いわゆる昇給する魅力、——給料が上がってないから等級が上がったのかどうか意識してない、そういう今日等級が上がっても給料が上がってないから意識しないという、等級なんかにこだわっている一般職の人はいないと思う。もちろん三等級、四等級になった人は、金額が相当大きく上がるのだから魅力があるかもしれません。この表から見ると、八、七、六、そんなに上がっておりません。それを昇格したら若干金額がふえるから魅力がある、意識するということは、ちょっと私としては、滝本局長の意見としては受け取れない。あなたの言われることは、四等級、三等級、二等級、そういう人に対する考え方かどうか、それをもう一ぺん聞いておきたい。
  224. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 私が申し上げましたのは、国家公務員について申し上げておるのでございます。地方の事情は、これは知ろうと努力はいたしておりますけれども所管が違いますので、なかなかよくわからない点がございます。それで国家公務員の範囲についていえば、やはり昇格ということは、これは何といっても大きなことでございまして、これは必ずしも四等級以上が昇格ということが問題だというふうには私は考えていないのであります。それでこれは等級をはっきりしたと言われるのでありますが、今申し上げましたのが、われわれが今回一連号俸を廃止したというゆえんでありまして、一つの等級の中において非常に長い号俸になっておるというような現実が、はたしていわゆる職階制を強化したものであるかどうか、これは見方によってはわれわれずいぶん非難を現在でも受けておるのでございますが、公務員給与体系というものは、あまりに年功序列式ではないかという非難も受けておるのであります。しかしわれわれは従来公務員の人事行政を担当いたして参りました経験によりまして、そういう非難は当たらないというふうに思っておりまして、そういう非難はございますけれども、これは耳をかしていないという現状でございます。  それからまた、等級をどういうふうに上げていくかという問題でございますが、これはもちろん、原則的には職務と責任ということでございますけれども、むしろ現在の運営の実態におきましては、やはり相当経験年数の長い方等におきましては実力あると認めまして、これは上位等級に上げる。これは各等級を問わず、まあ主として下の方が多いのでありますが、そういうことをやっておるのであります。それが現実の運営の実態である。そういたしまするならば、今回そういうように俸給表が変わりますからといって、運営の実態をそれほど変えるということは、事実上はできる問題ではないのであります。また、われわれもそれをやるつもりはない。現在と大同小異の運営を今後も一応予定いたしておる次第でございます。
  225. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはやがて実際に弊害が出てわかって参りますが、今の場合だったら、昇格の場合には横すべりで、名称さえ変えればいい。今度は金額を変えなければいかぬというので、そういう試験制度でやる等級の場合は一応別として、実際やる場合には、そういうものを否定するような人事担当の管理者が出てくるきらいもある、実際問題で。等級が上がるということは、えらくなったということよりも、頭打ちが延びたということに大きな魅力があるのですよ。等級が低いと金額が少なくて頭打ちするけれども、等級が上がって頭打ちが解消するというところに魅力があるのですよ。八等級が七等級に上がったから、おれは国家公務員でえらくなったという考え方は、今日の公務員は持っておりません。自分の職務を遂行するという責任とプライドは持っておるけれども、私は八等級、七等級、六等級であるからと、それで名刺に書いて持って歩くという人は今日おらない。それで等級を上げて意識を持たすためにこういうことをしたということは私は当たらないと思う。むしろ、等級を上げる場合の一つの障害がここに出てくるんじゃないかと私は懸念をしておる。これについては意見が対立しておりますが、今後こういう問題が出てくると思いますので、きょうちょっと触れておきたい。それは質問じゃないんですが、その点だけ言っておきます。  次に、もう一点だけ人事院に聞いておきたいんですが、いろいろ先ほど答弁を聞いておりますと、医療職の看護婦の場合には、これを何か民間と比較すると、少し切らなくちゃならぬ、こういう答弁があったと思うんですが、これは人事院の調査データも私全部見ておりませんし、ここに出されたものだけであるから判断はできませんが、私立病院とか町医者というと、言葉は悪いんですが、開業医なんかの看護婦を対象にして言うておられるんですか。有名な東京でも一流の病院の対象で言っておられるんですか。それらを引っくるめて国立病院の看護婦さんと比較して言っておられるんですか。その点一つ、このデータを私はっきり見ておらないので、ちょっと……。
  226. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 看護婦を比較いたします場合にも、ほかの職種の公務員と民間とを比較いたします場合と同様に、五十人以上の従業員を雇用いたしておりまするような病院等につきまして、そういうところの看護婦との比較でございます。でその結果は別表に示しておりまするように、比率こそ示しておりませんけれども、民間の方が低い、こういうことになっております。しかし、われわれはそれでは国家公務員の看護婦を下げればよろしいというようには考えていないのでございまして、また今回もそういうことはやっていないのであります。むしろ上げておるのであります。これはやはりしさいに検討して参りますると、やはり勤務時間の問題とか、いろいろな問題が出て参ると思いまするし、公務員部内における均衡からいたしましても、看護婦だけを据え置くことは適当でないというようにわれわれは考えまして、もちろん看護婦をほかの職種と大体同程度に引き上げるという措置をいたしておる次第であります。
  227. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは全部の全国の病院の調査はできていないんですが、民間の病院の看護婦さんというものは、伝統的にも看護婦に対する医者の考え方は変わっておるんです。もう開業医に至ってはいなかへ行くと、まだ女中兼というような考え方で酷使しておるところもあるんですね。民間の病院はやはりそういうところが多いんです。大阪の、僕は名前を言いませんが、一流の名前の通った外科病院の実情を見ましても、看護婦の給与というものはきわめて悪い。婦長にあっても、婦長の頭からも違いますけれども……従って伝統的に病院といいますか、お医者さんの主人を持つ開業医、私立病院というものはそういう考え方で雇っておる。これは調べられるとわかると思うんですが、そういう伝統的に酷使といいますか、冷遇されておるものと比較すると、そういう結果が出ることは私は無理ないと思う。しかし、実際看護婦の受け持つ職務というものは、これはもう今日戦後看護婦の職務というものはきわめて高度になった、国家試験もありますし、そういう意味からいうと、第一表、第二表、第三表、第三表看護婦、保健婦の状態というものは、私は言語道断だと思っておるんです、これは実態から見て。いわゆる医療職を優遇するという趣旨でこれは別表を作っておられると思うんですが、行政職から分離されておるんですが、医療というものは決してお医者さんだけではできない。その他物理治療をやる場合にも、レントゲンとか、あるいは薬剤師、最も患者に対して重要な責任を負っているのは看護婦ですから、それで第一表、第二表、第三表を比較すると、行政職の各八等級から一等級の比較と同様に、もっとひどい較差があるんですね。較差というのは第一表を第三表と比較すると、金額において大きい開きがある。これは私は第三表に該当する看護婦またそれに準ずる人々の職務に対する見方というものは、これは相当酷に考えておる、こうわれわれ見ておる。これについて先ほどあなたの答弁から聞いておると、そういう一つの見方を前提にして人事院は勧告しておるのじゃないのだ。民間の実態と比較して出しておるのだと、こういうお話です。また先ほど鶴園質問された場合にも、そういう答えをされたと思うのですが、しからば今あなたのそういう答弁を聞いておると、人事院は勧告を出すけれども、そういうものの是正というものは永久に人事院にわれわれは期待しておる以上は、実現しないということになるのです、われわれの主張というものは。それでわれわれとして人事院の責務としてははなはだ私としてはいかぬと思うのですが、その点どういう考え方におられるか。人事院当局にお聞きしたい。
  228. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 私の答弁が少し寸足らずであったかと思いますが、人事院といたしましては、やはり看護婦の職務というものは非常に大切であるというように考えます。われわれが民間と比較しておりますものも、ただいま御指摘になりましたような病院ではない、まだまだ大きい病院がたくさん入っておると思うのです。そういうところとの比較でございますけれども、そういうものと比べて公務の看護婦の方はいいという実情が出ておる。しかし、これで公務の看護婦を引き下げないしは据え置くということは適当でないということを考えまして、看護婦をやはり引き上げる。こういう措置をとっておるのでございます。それでことに総婦長のところにおきましては総婦長の職務も責任が非常に重いという実情にかんがみまして最高号俸をずっと伸ばしまして、相当の金額まで総婦長のところはいけるというように、ここのところは例外的に新しく号俸を追加しましてつけ加えた。こういう次第でございます。
  229. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう答弁はよく聞かなくてもわかるのですが、医療職の一表と三表、これは私は数字であまり言いませんが、第一表の一等級の一号俸これは金額で二万三百円上がっておりますね。それから第三表の看護婦さんの婦長級に相当する人ですが、一等級の一号で二千六百円、約一割ちょっとぐらいしか当らないような差で昇給が、今度の勧告が出されておる。しかも、もともと非常に給与が低い人なんです。これは各給料表に私の言うことは当てはまるのですが、ことに私は医療職について政府が優遇するというようなことをでかでか言われるから、医療職の各表における差を私は追及しておるのですが、今日国立病院では相当この問題がくすぶっておると思う。従ってこういう同じ給料表の中でも上厚下薄があると同時に、いわゆる第一表、第二表、第三表と、こういう表の持っておるおのおのの中においてこういう大きい上厚下薄といいますか、差別的な考え方を持っておる、これ自体に対して人事院はやはり今までの上に積み重ねるのだからやむを得ないという考え方を持っているのか、それともやはり看護婦は看護婦として第一表と第三表とはあまりにも開きがある。今後こういうことについては考えなくちゃならぬという考え方を持っておられるか。これを一ぺん聞いておきたいと思う。
  230. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 山本委員お話は、医療職は一表、すなわちいわゆるお医者さんでございます、医師と、それから二表薬剤師、三表看護婦、それを全部上げるべきだ。こういうお話のように承るのでありますが、われわれが今回やりましたことは、特に充足が困難であり、かつ全国の病院、療養所におきまして、医長級の人を引きとどめておくことも非常に困難であるというような、主として医師というところに問題の焦点をしぼりまして、この待遇改善ということを今回はやった次第でございます。医療職、二、三につきましては、各俸給表を通じまして大体似たような等級のところは同様に上げる。看護婦のごときは、繰り返し申して恐縮でございますけれども、民間の相当の病院における看護婦も全部調べてあることになっておるのであります。その平均よりも低い、公務の方が高いという現情があるわけでございまするけれども、しかしそういうことにはこだわらずに、やはり優遇措置を講じている。こういうことでございまして、医療全体を今回特によくするということをねらったものではないのでございます。その点御了承願いたいと思います。
  231. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はそれを了承できないから言っているのです。むしろ、私はお医者さんを上げたらいかぬとは言っておらないのですが、むしろかりにとるならば、一番痛められている第三表の人を私は重点的に考えるべきであるということを言っているのです。それは現在医者の入手が困難であるから相当優遇しなくちゃ来ないという関係もあります。供給の関係もありますけれども、しかし、職務の実態を正当に判断した場合には、私は看護婦さんの今の病院における職務のウエイトが非常に強いと思っている。私自分自身入院した場合でも感じている。といって、お医者さんの責務も軽いと言っておりません。それについてはあまりにも第一表、第三表との間隔がひどい。もっと第三表を優遇すべきであるという私の主張です。なぜこれをしないかというと、滝本局長は、民間のやはり病院の看護婦に相当する人は、むしろ非常に悪いから、むしろこれでいい、切らなくちゃいかぬと言っておりますが、民間の給与というものはそういうものじゃない。民間の病院の看護婦さんというものは非常にいじめられているといって、あなたに啓蒙というのじゃないですが、認識してもらいたいと思ったのです。従って私のいうのは逆です。従って将来第三表、行政職では第二表、こういう人について考えて、もうこれでいいんだ、間隔がもっとあってもいいんだという考えか、そういうところに働いている蔭の働きといってはおかしいが、どういう職種でも、そういう人について人事院としてはもっと上げてあげなくてはならぬ、もっと開きを狭めなくちゃならぬという考え方があるのか。これだとだんだん開いていきますよ、こういう考え方で進んでいくと。それで私は尋ねている。
  232. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 今のお話の中に段階があると思うのです。というのは、民間の状況に合わしてわれわれが看護婦の俸給表を定めたということでありまするならば、御指摘の点は確かに当たっていると思うのでありまするけれども、われわれはそうではなしに看護婦は上げているのであります。ただ、お医者と同様に上げなかったという点で御指摘があるのならば、第二段の問題として、それはわれわれとしましては、やはり公務部内の全体のバランスということを考えて看護婦だけを冷遇はしない。むしろ総婦長あたりについては、ほかの職種では考えなかった特例すら考えている。しかし、その限度は医師を優遇すると同程度にはもちろんやっておりません。しかし、今のようなお話が出て参れば、私ども行政の各分野について、それぞれみんな必要なる仕事をしているのであって、これをどういうふうにきめるかということがあるわけでございまするが、大まかに言うならば、やはり民間と大体同程度をとってきめるということであって、どの職務を重し、どの職務を軽しとはわれわれは一応考えないで、公務部内におけるいろいろな職種につきまして、これを平均的に、民間とバランスをとろうということでやっている次第であります。今後やはり民間におきまして、この給与が非常にこういう職種について上がってくるということならば、そういうことは、人事院の将来勧告をやりまする場合に、そういうものが反映して参るであろうと思います。また行二につきましても同様の問題でございまして、われわれはやはり行二は今回は各俸給表を是正するよりも、より程度の高い優遇をしている。ことに行二関係につきましては技能、労務関係でございますが、そのうちの技能関係につきましては、より有利になるような俸給表上の厚遇措置をしている次第でございます。そういう点も御了承願いたいと思います。
  233. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 全く答弁を聞いておると歯がゆくなるのですが、都合のいいときには民間との比較を出している。行政職一表の各等級間の比較を見ると、公務員の特殊性を出されるのですね。そういう点がわれわれとしてさらっとどれもこれも民間と同じような形で、行政一表も鶴園委員数字を示して指摘したようにそういうことでずっといくならば、われわれとしてはこれはやむを得ないだろうという気にもなる。しかし、都合の悪いときには、公務と民間の大体実情は違うからということで、いわゆる一表の一等、二等、三等の場合にはこれはもうこれでいいんだ、あるいは五等、六等、七等、八等の場合にはこれは差があってもやむを得ないんだ、こういう答弁が先ほどから続けられておるのです。従って、一貫しないのですよ、人事院の態度が。どれもこれも民間と相応したもので一%か二%低いなら低いなりでずっとやっていくということならば、これは一つの本質的な問題はあっても、人事院の態度としてはやむを得ないといってわれわれも、了承しなくても、人事院の態度としては認めることができる。そうじゃないのです。質問していくと、いわゆる民間の方のやつをとって比較すると、大体民間と比較したのだと、それでばつが合わなくなってくると公務は特殊性だと、こういう答弁をされる。こういう点がわれわれとしてはきわめて不満なんです。しかし、これ以上続けたって、ここであなたはこれは間違いだということは言わぬと思う。それこそ言うたら、これは大きな問題が起こりますよ。そういう点、私は反省をする点は反省をしてもらいたいと思う。この公式の席で言わぬでも、そういうことをやらぬと、下部の方では相当不満ということはぬぐえない。この前言ったように、同じような国費を使って、今大蔵大臣に聞くと千四十億も要るという国費を使って、しかも一般大多数の国家公務員がきわめて不満を持つのですよ、あらゆる層において。それだけの国費を使って不満を持たれて、これがはたしてどれほど行政能率に影響するかということを、まず人事院当局も考えてもらいたい。われわれは党派が違うからといって何も攻撃しようということでこれを言っているのじゃない。社会党とか自民党とかいうそういう党派を越えても、今の国の行政能率というか、そういう点を考えた場合に、そういう点に少なくとも私は関心を持ってもらいたい。これは単に人事院だけでなく、政府にもこれは私は言っていることなんです。そういうことなくして幾らやったところで、もちろん上がらぬよりはましだから、返すという人はないけれども、きわめて不満を持ちます。こういう点を実は本心に持って質問しておるのです。従って、答弁はそれでいいかもわかりませんが、私の言わんとするところを十分聞き取ってもらわなければ、今後こういうものを繰り返していくたびに一般の大多数の国家公務員は、また地方公務員もそうでしょうが、不満を持ってきます。こういう点を一つ、これは政府の方にも聞きますけれども、高橋国務大臣はどう考えられるか、ちょっと承りたい。
  234. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) だんだんのお話しでございますが、なかなか給与体系の問題及びそれの改訂に伴ういろいろなでこぼこについては、これはまあ十分将来とも考えなければならない問題であり、人事院としても十分それらの点を考慮していると思うのでありますが、今具体的に御指摘の点につきましては、私自身、先ほど申し上げましたように、なお総合判断の必要があるので、これを今すぐどうという具体的な問題についてはお答えできませんけれども、そういうせっかくこれは多額の国費を使い、しかも国民の税金によってまかなわれることでありますから、従って、それによって能率が上がり、事務が簡素化し、国民の期待に沿うことが趣旨でございまして、従って、十分これのベース・アップにつきましても御期待に沿うような形において上げ、しかも、国民がその効果を享受するということがねらいでありますから、十分それらについては検討いたしたいと思います。
  235. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あまりしつこく言うときらわれると困りますから、言いませんが、私の言う趣旨を政府も十分とってもらわないといけないと思うのです。私は何も政府を攻撃する立場だけではなく、国の行政を愛するがために言っておることですから、その点で聞いておいてもらいたいと思います。  それじゃ時間が過ぎますから、人事院にもう一つだけ。寒冷地手当についてさきの国会で法律が改正になって、石炭手当だけが傾斜配分で増額になった。そのときに衆議院のほうで附帯決議がついております。三十六年度から寒冷地手当あるいは薪炭手当なんかを調査の結果考慮するということになっております。それについて人事院はどういう考えを持っておられますか、現在の実情を一つ
  236. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 前回の当委員会におきまして人事院総裁からお答え申し上げましたように、寒冷地薪炭石炭手当に関しまする法律に附帯決議も衆議院でつきましたし、また、暫定手当関係と同様な人事院に調査勧告の権限を新たに挿入されたことでございまするので、総裁が前回お答え申し上げましたように、これは三十六年度の予算に間に合うように、人事院としては勧告ができるように懸命に研究をいたしておる、こういうことでございます。
  237. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 勧告の前に希望だけ言っておきますが、あの石炭手当が増額される法律改正のときに、寒冷地手当該当の地域の人は相当不満を持っております。従って、この点は十分人事院でも考慮されて、いわゆる合理的な、しかもみんながこれならばという納得するような勧告を出してもらいたい。これは希望しておきます。  次に、行政管理庁にちょっとお尋ねしたい。これは大臣一緒ですから。実はこの前の国会定員法がああいう形になってしまって、非常にわれわれ遺憾だと思う。定員法の改正について行政管理庁としては現在どういう意向であるか。実は昨年の国会のさなかで一応現在出されたのは、自然増を見積もったところの改正法案です。その中でいわゆる臨時職員、こういう方々を本採用にする組み入れの問題については、与野党でいろいろ話の中で、修正したらどうかという話を衆議院段階で聞いておったのです。ところが、その過程において大蔵省では、そういうことよりも三十六年度から定員法を廃止したらどうかというような意向が出されたことも聞いておる。そういういろいろのことがあってだいぶんこの層の方々が心配しておるので、現在行政管理庁としてはこの問題についてどうなっているか。私の問わんとするのは、臨時職員のそういう措置についてどう考えつつあるかということをちょっと明らかにしておきたい。
  238. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  239. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記を始めて。
  240. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと私他の委員会に行って入ったとたんだったんですが、給与局長鶴園委員質問の点を確認しておきたいと思う。私この前の速記録を丹念に読んでおるのですが、総裁は、石炭手当、寒冷地手当と暫定手当と一緒にお答えします、これは来年間に合うように勧告をいたしますと、もう活字を読めば明確に答弁しているわけですね。そこで私は、同一行政区域の暫定手当だけを先にやる場合もあるということを、前国会で村山委員に答弁しているが、それだけをやってもらえないか、やる必要がありやしないかということを、文部大臣並びに総理府総務長官に伺ったら、浅井総裁の答弁を受けて、総務長官と文部大臣は、人事院の勧告に従ってやりますと、こういうように僕は押えつけられたわけなんですね。だから、浅井さんのあの答弁はびくとも動かんですよ。動かすことはできんですよ。ところが、さっき鶴園委員に対しては、人事院総裁に聞いてみにゃならんが、これは一方だけで、一方はそうじゃないのじゃないかというようなことをあなたが勝手に臆測して答弁されておりましたが、これは暫定手当も全部含んで来年の四月に間に合うように勧告するということは明々白々なんですから、それを受けて文部大臣と総理府総務長官が答弁しているんですから、これは変えられませんか。御確認願っておきます。
  241. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) 私もあのときおったのでございますが、総裁の言われた真意を私自身がちょっと十分わからなかった点があったのを率直に申し上げたことと、それからあの答弁を速記録を読んでおりませんでしたので、従いまして多少不明確なことを申し上げたかもしれませんが、もし誤りがあったら訂正いたしまして、総裁の答弁通りにわれわれとしてはいたします。
  242. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 けっこうです。
  243. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 給与関係はそれでいいですね。——  それでは山本君の質問に答弁を願います。
  244. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) ただいま山本委員からの御質問の非常勤の定員に対する組み入れの問題でございますが、御承知通り、私の記憶では三十五年度、七千三十人というものを組み入れを行なって、そうして定員法の改正を行なって行政事務の実態を確保したい、こういう主眼でございましたが、国会のああいう事情で、この前、矢嶋委員からも質問ございましたが、ああいう経緯で定員法の改正を見なかったのであります。従って、行管といたしましては、この問題につきましては、できるだけ早くこの法案を成立させまして、そうしてこの問題はこの問題として、一応従来の既定方針通り実現したい、こういうふうに考えているのであります。  なお、御質問のございました、それなら定員法を逆に若干修正して、むしろ定員法というものをある面から改訂して、それらを一括定員内にして問題の解決に当たったらどうかというお話もございますが、これは公務員制度の本質にも関係するのでございまして、行管といたしましては、現在のようにあらゆる公務員定員法という法律で縛っておくのがいいかどうか、言いかえるならば、定員法自体をもう一度検討して、特に収入の伴う現業官庁におきましては、その収入と、あるいは業務内容、従って業務内容の増加と定員とがマッチしない傾きがあるのでありまして、こういうようなところにつきましては、むしろ収入と申しますか、業務内容の増加に伴って、自然的に定員予算的に増額していく、言いかえるならば予算が増額し、その予算定員としてむしろその中で員数が自動的に増加していくという方がいいのではなかろうかというふうに考えているのであります。しかしながら、先ほど申し上げました通り、現在の公務員制度の本質にも関係いたしますので、これは関係各省とも十分な連絡調整を行ない、かつまた、十分それの意見等も、打ち合わせをいたして実施いたしたいと、こう考えておりますので、これは将来の問題として定員法のそうした問題については速急に検討いたしたいと考えているのであります。従って、山本委員の前段の御質問につきましては、できるだけ早い機会定員法の改正の実現を期したい、こういうのが行管の考えであります。
  245. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと、私の過去の経験から言うと、ちょっと答弁がピントが合わないのですが、去る三十四回国会に出された定員法の改正というものは七千幾ら、これは確かに組み入れましたが、それは本年新採用するという前提の人数であって、現在すでに五万から六万人ほどの常勤、非常勤のいわゆる職員定員法の中にはまらない臨時職員というものがいる、それについての措置について質問をしているのです。その七千幾らの改正の中に、あれを審議する過程で与野党で話をして、そうして全部を入れるか、あるいは半分入れるか、話し合いの上で議員修正でそれをやったらどうか、こういう話があったやつが、ああいう国会になってつぶれてしまった。従って、それがその後どうなっているかというのを聞いているのです。それと合わせて、そういう問題のあったときに、大蔵当局の話では、もうそういうことは毎年々々わずらわしいからすべて定員法というものをなくしてしまう、予算定員にしたらどうか、こういう話もあったので、そういう話も継続して三十六年度からやるという話であった。そういうものがどうなっているか、これだけちょっとお伺いしておきたい。
  246. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 今御指摘のように、数万に上る非常勤職員がおって、それが定員法のワク外におる。そのためにいろいろ行政事務の円滑化に若干支障を来たしているのは事実でございます。これの処理につきましては、先ほどちょっと申し上げました通り、現在の定員法というものを再検討して、そうしてむしろ予算定員と申しますか、そういうような形で、行政事務の実態に即するような各省間の責任においてこれをやりくりするという方が適当じゃないかというふうにわれわれとしては考えておりまするけれども、これについては現在各省間の協議会を設けて、事務的にその作業を進めておるのでございます。従ってそこらの作業の進行とにらみ合わしてこの問題を解決したい、こういうことでございます。で、その結果、はたして三十六年度の予算に間に合うかどうかということにつきましては、ここで言明の限りではございませんが、われわれは少なくともそういう方向に向かって作業を進める。少なくとも現業官庁につきましてはできるだけ早く業務実態に即し得るような形においてこの問題を解決をしたい、こういうふうに考えておるので、今、せっかく各省と話し合っておる、こういう状況でございます。
  247. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題はそれは長い間の毎年の問題で、実は現場では困っておる問題なんです。しかし、根本的な解決ということはこれは至難であることは、われわれも一応認めている、実際問題。なかなか全部をずばり通すということはむずかしいのですが、そうかといってこのままおいておくと非常に問題があります。従って、今各省間の協議会というものを作ってやっていると言いますが、一つ行政管理庁は熱意をもって解決してもらいたいと思う。でなければ、われわれとしても言うことはたくさんありますが、まだ、今後の問題を含んでおりますから、執拗にはここで言いませんけれども、この点についてはイニシアチブをとって行政管理庁あたりが腹をきめてやりませんといけませんよ。各省には各省の意見があると思います。従って、ここで、行政管理庁長官の高橋さんが幸いに本院から出ておると聞いておるので、この問題をぞひ一つ解決してもらい、少なくとも三十六年度に入るまでにはっきりしためどをつけてもらいたい、こういうことをまず希望しておきます。
  248. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 私も全く同感でございまして、従って実はこの定員法に関連して、閣議におきましても、郵政大臣からの御意見がありましたときに、私からも進んで各省大臣にこの問題を提起いたしまして、そうしてすみやかな実現を期したい、こういうことでそれぞれ各省大臣からも事務当局に命じまして、そうしてこの推進方をお願いしたのであります。従ってわれわれとしてもその趣旨を十分部内においても示達しまして、そうして少なくとも郵政省であるとかこういう現業官庁からでも、やりやすいところからでも一つ手始めにだんだん片ずけて、そうしてぜひ近い機会に実現をはかり、そうして行政の業務実態に沿うような形においてこの問題の解決に当たりたい、こういう熱意をもってやっております。
  249. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ最後にもう一点だけ、それぞれに関連するのですが、行政管理庁の権限の問題でございます。新しい憲法のもとの政府の中の行政管理庁の設置された精神はよくわかる。ところが、私、一年の経験でございますが、行政管理庁というと非常にこの響きは強く聞こえるのですが、どうも弱い内容だと思うのです。これは大臣を前において悪いのですが、益谷という副総理の人がやっておっても、私の感覚ですが、もう大蔵省あたりに対してはぺしゃんこらしい、ぺしゃんこという表現は悪いのですが、非常に力は弱い。これではほんとうに行政管理、監察も入っておると思いますが、こういう仕事をできるかどうかということに私最近非常に危惧を持っている。従ってまあそれを前提といたしまして、特に私時間があればゆっくり聞きたいのですが、一項だけ聞いておきたいと思います。  大蔵省関係の財政投融資の、各輸出入銀行とか開発銀行なんかに融資しておりますね、その場合にどういう状態になっておるかということを、これは一つの例でございますが、おのおのこういう輸出入銀行とかあるいはそういうところの、これは官庁ではないから行政権はいかないことはわかるが、そういう大蔵省の実態を調査する場合にこういうものを調査できるのかどうか。いわゆる財政投融資は過去長い間やられておると思いますが、そういうものがはたしてどういう実態にあるのか、大蔵省まかせであるか、こういう点についてどういうふうになっておるのか、ちょっとそれだけ聞いておきたいと思います。
  250. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 行政管理庁の事務は、行政事務の民主化、推進ということで、私自身も最も重要な役所であると考え、また、ただいま山本委員から御鞭撻いただいたことを非常に感謝しておるのでありまして、私自身も行政管理庁が終戦後設立された趣旨に徹しまして、十分一つこの役所の使命を果たすことによって、現在、ともすれば行政が国民生活から遊離する面を幾らかでも埋めていって、そうしてその使命の一端を果たしたいと考えておる次第でございます。今後の御鞭撻をお願いいたします。  なお、ただいま大蔵省の投融資の関係でございますが、御承知通り、行政管理庁の仕事のあるいは権限の範囲から申しますと、開発銀行のように政府が単に投資している、あるいは出資しておるというようなところには及びませんけれども、従来とも投融資、特に公庫その他、きわめて行管がその職責を果たす上において重要と思われるときにつきましてはその監査を行なっておるようであります。ただ、私就任早々のものでございますので、ここに監察局長も出席しておりますから、局長から従来の経過をお話いたしたいと思います。
  251. 原田正

    説明員(原田正君) 大蔵省関係の、特に財政投融資関係等の監察あるいは調査に関するものということでございますが、ただいま長官からお答え申し上げました通り、現在の設置法上の権限といたしましては、監察に関連しまして、公団とか公庫あるいは公社等の業務につきまして調査することができることになっておりまするが、国が出資したそういうものにつきましては、現在のところでは調査する権限はないということになっております。これにつきましては、以前に設置法の改正案が提出されたこともあったわけですけれども、そこまで権限を広げることはどうかということで削除になった前例もあるわけであります。しかしながら現在のところ各種公団、公庫等につきましてもできる限り調査を実施いたしましてその運営の改善に努めておる、その結果を関係の各省、特に大蔵省等にも勧告をいたしておる、こういうふうな実情でございます。
  252. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 よくわかりました。この状態は大蔵省内部の行政運営についてはできるのですね。そうすると、大蔵省を通じてその状態は管理庁で明らかにできるのかどうか、この点はどうですか。財政投融資の公社と公団は直接にできるからいいが、その他の……。
  253. 原田正

    説明員(原田正君) 今申し上げました通り、監察と申し上げますのは、各省庁の行政の実施状況を監察する、その監察に関連していろいろ調査することができる。それは設置法に規定がありまして調査することができるということになっているわけでございます。従って設置法のいわゆる調査権というものに基づきまして調査するということは現在のところできないのであります。ただ事実上、もし相手方の協力を得まして調査するといいますか、そういうことはできるわけであります。
  254. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、大蔵当局が否定すれば、そう深くタッチできないということですか。
  255. 原田正

    説明員(原田正君) 現在の権限といたしましては、さようでございます。
  256. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうも大へんおそくなりまして恐縮でありますが、定員法の問題につきましてごく簡単にお伺いしたいと思います。先ほど山本委員が御質問をいたしまして、長官から御答弁をいただいたのでありますが、どうも少しつかみにくい点がありまして、恐縮でありますが、もう一ぺん、この間の国会で七千三十名ですか、あの定員増の定員法改正案が出まして、そのときに現在いる常勤、非常勤、これを相当数、国会審議の中で入れようじゃないかという動きが衆議院にあった、それがそのままの形となっているところがその後、定員法を撤廃しようという話が進められているようですが、そのために前に出た案がうやむやになっちゃうのじゃないかという危惧を持っております。これは新しくふえます七千三十名、これはうやむやにならぬでしょうが、あのとき論議されました臨時職員を定員内に入れようじゃないかということがうやむやになっちゃうのじゃないかという危惧を持っているのでありますが、先ほどの長官の御答弁ですと、できるだけ早目に国会に出して、現在いる非常勤職員、常勤職員を定員内に入れるように努力したいというふうにとられるのですが、それでよろしゅうございますか。
  257. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 先ほどの山本委員の御質問は、これはこの前矢嶋委員からのお話もございまして、主としてこの間の話のついた七千三十名でございますか、定員法がああいうので継続審査になりましたので、その取り扱いがどうかという御質問だと思いますが、それにつきましては、一つ早い機会に成立をはかるということを申し上げたわけであります。それに対して山本委員は、それだけじゃない、今の数万の非常勤職員の問題をどうするか、こういうお話しでございますから、それにつきましては定員法自体の改正かと思いますので、これは再検討したいと思うのであります。そういうような形で進めているので、これと見合って措置をすると、こう申し上げたわけであります。従って今われわれといたしましては、これが全部定員法の撤去という形で解決するならば、それも一つの方法だと思っておりますが、これが速急にいかぬとしまするならば、少なくとも現業官庁の分だけでも速急に解決する、そうしますとあとに残った分につきましては現在の定員法の中に組み入れて措置するという工合にしておりまして、それを今各省とも話をしているというような順序の経過を申し上げたわけでございます。そういうような状況になっている次第でございます。
  258. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうも定員法撤廃というのが先に進む場合には、この七千三十名というのを含んだ定員法の改正法律案はそのまま通したいという御意見ですか。
  259. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 私の見通しとしては、定員法というものが、先ほど申し上げました通り公務員の制度の本質にも関係するもので、ここ二カ月や三カ月の間に話のつく問題とは思っていないわけであります。従って、前国会から継続審議になっている七千三十人は、これは早い機会一つこれはこれとして片づけたい、こういう意味であります。あとの数万の、山本委員から指摘された数万の人の問題につきましては、今の定員法を撤廃するか、あるいは現業官庁についてだけでも早くこの問題を解決するか、そういうものとからみ合わせて速急に解決したい、こういうふうに申し上げたわけであります。
  260. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、どうもできるだけ早い機会に、この間の定員法改正法律案を出されます場合には、ついこの間、衆議院で問題になった、現在いる常勤、非常勤をできるだけ入れたいという、そういう空気は消えてなくなるというふうにお考えですか。
  261. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 消えてなくなるわけではございませんので、この間も、大体各党が話し合って、一応話し合いの線というものが七千三十名という数字になっているわけですが、これは各党と話し合って、そして、一応その国会話し合いでその繰り入るべき数字が固まりますれば、それはそれで一つ今の定員法の改正の問題として解決していきたい、こういうことでありますから。
  262. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 定員法を撤廃するということは、先ほど長官お話しでは、少なくとも現業については一つやりたいというお話しのようでしたが、そうしますと、現業以外の国家公務員の場合におきましては一応省いて考えていらっしゃるわけですか、定員法撤廃の問題は。
  263. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) 若干言葉のあやでそういうふうにとられたかと思うのですが、私といたしましては、これは一括そういうふうにしたいと、こう思っております。ただ経過としまして、何せ公務員制度の本質にも関係するもので、従って、これが一挙に解決できないとするならば、少なくとも現業で、現在業務の実態とその定員というものがマッチしないで非常に業務が遅滞を生じているような部面がございますから、それだけでも一つ早く解決して、そうして漸次全部に及んで、この業務の実態に沿うような、一つ定員法のあり方なり、あるいは定員法を撤廃して予算定員へ持っていく、そういうような形にいたしたい、こういうふうに申し上げたつもりであります。
  264. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 定員法を撤廃するという場合に、一番問題は、常勤、非常勤の処遇改善ですね。それでここ長い間、政府としましては、常勤、非常勤処遇改善のためには、定員内へ入れるということで進めてこられたわけですが、今度は定員法を撤廃するというお話ですが、定員法を撤廃して、そのことがそのまま常勤、非常勤職員の処遇改善にならないというふうに私は思っているわけなんです。やはり予算定員としまして、職員給与、常勤給与、人夫賃という形によりまして、処遇改善にならないじゃないか、それでは各省がこれは承知しがたいのじゃないかと思っているわけですが、そこら辺については何か具体的に進められておられるわけですか。
  265. 山口酉

    説明員(山口酉君) 公務員の処遇改善のために、定員外の職員を繰り入れするという問題が出まして、それによって解決をしたいという方式が今まで考えられておったわけでございます。しかし、定員法に繰り入れするという形式で解決し得るのは、本来定員法の関係で二カ月以内の雇用という形式をとっているということが解決できるだけであって、給与の点、あるいは予算の裏づけの点などは、当然には解決しないわけです。そこで定員法を管理する建前では、その実態上二カ月以上雇用するという建前でありながら、形式を二カ月以内の雇用にしてやるということは適切でない。そこで、その実態に応じた雇用ができるようにするということからいえば、定員法をなくすということも一つの方法であるというようなことから、定員法廃止の問題が出ておるわけでございますが、お話しのように、それで予算上の問題、給与上の取り扱いがすべて解決するわけではございません。そこで、それらを解決しなければならない問題は、当然それだけは残りますので、しかし問題の起こりましたところは、全般的な処遇の改善でありますので、一方において定員法の管理制度を改めるとともに、そういう公務員制度の全般的の問題についても同時に解決していきたいということで、実は政府部内の現在開いております協議会では、人事院にも参加していただきますし、もちろん政府部内の公務員制度調査室とも、あるいは大蔵省の主計局とも合同で、この会議を進めておるわけでありまして、その点も同時に解決するようにしてこの問題を考えておるわけでございます。
  266. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、定員法撤廃と並行しまして、定員外職員の処遇改善のために切り離して何らかの給与改善をやると、そういうことを進めておるということなんですね。それは具体的に進んでいるわけですか。
  267. 山口酉

    説明員(山口酉君) ただいまの制度ですと、常勤職員の方はほぼ定員内職員と同じような取り扱いになっておりますけれども、常勤的非常勤につきましては、実際の取り扱いがかなり違っておるというところに一番問題があると思います。そこで定員法という形がありますと、その定員法の影響でそういう取り扱いが生まれて、そうしてそれらが特別に待遇を悪くされるというおそれがある。そこで定員法というものを一応考えの外におけば、そうすれば、当然本来の給与の問題であるとかいうことは、本来の姿で現われてくるわけでございます。それらについては当然そのままにしておいたのでは事態が解決されませんので、そこに従来定員内に繰り入れということで考えられたと同じような効果の表われるような何らかの措置をすべきものであるということは、当然に出てくると思うわけでございます。ただいまはその前提になる問題で、定員法にかわるべき制度をどうするかということが、まだ最終的な解決に至っておりませんので、そういうものがまずきまりますと、その後に、それでは新しくはずれた職員の取り扱いを、まあ処遇改善という面から見てどういうふうにするかということが出てくるということでございまして、実は現在行なわれておりますこの協議会の制度を作りました趣旨といたしましては、そういう問題が定員法の廃止にはあるということで作ったのでございますから、当然そういうところまで検討することになるべきものと考えております。
  268. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 わかりました。
  269. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に一つ資料を要求します。行管の長官監察局長、聞いておいて下さい。次の官庁の行政監察調査をして、その実情の真否と、それから、それに対する行管当局の見解を文書にまとめて、二週間以内に委員長を通じて本委員会に提出されたい。対象官庁は、郵政省所属の東京中央郵便局、監察内容は、先ほど提起された定員関係があるのですが、中央郵便局の定員は二千三百人である。しかるに、臨時職員が千二百人おるということ。これが一点。それから第二点は、この千二百人の勤続年数別の調査。人によると、三、四年の人がおるそうですが、いずれも一日二百八十円の給与で働いているということ。この真否。それから最後として第三点は、中央郵便局においては一日八時間、月に二十二日間働かなければ、そうして、そういう状況を一年以上維持しなければ、昨年通過いたしました国家公務員共済組合法の適用をしない。国家公務員共済組合法は、本委員会審議したものですが、立法の精神に反すると思う。一日八時間働かされないで、七時間ぐらいで帰されることがある。月によると、二十二日間働かないで、二十日間ぐらいしか働かされない。そういうのが一カ月でも中に入ると一年、二年働こうが、国家公務員共済組合法の組合員として適用されない。これはきわめて重大だと思う。重ねて申し上げますが、一日八時間、一カ月二十二日間働く、こういう状態を一年以上続けなければ、組合員として適用しない。こういう勤労条件下において、千二百人の臨時職員が東京中央郵便局で働いておるということを、ある筋から僕は耳にしたのですが、これは非常に重大だと思いますので、冒頭に申し上げましたように、監察調査をして意見を加えて、文書をもって委員長を通じて提出されたい、以上でございます。よろしゅうございますね、長官
  270. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) よいですね、二週間でどうですか。
  271. 高橋進太郎

    国務大臣高橋進太郎君) ただいまの資料につきましては、早急に御期待に沿うように提出いたしたいと思います。
  272. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、この程度にとどめます。  次回は十月十日、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会