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1960-09-07 第35回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年九月七日(水曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————   委員異動 八月十九日委員大沢雄一辞任につ き、その補欠として、津島壽一君を議 長において指名した。 八月二十日委員成瀬幡治辞任につ き、その補欠として松澤兼人君を議長 において指名した。 八月三十一日委員西田信一辞任につ き、その補欠として米田正文君を議長 において指名した。 九月三日委員米田正文辞任につき、 その補欠として西田信一君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     増原 恵吉君    理事            小林 武治君            鍋島 直紹君            鈴木  壽君            基  政七君    委員            石原幹市郎君            郡  祐一君            西郷吉之助君            白井  勇君            館  哲二君            湯澤三千男君            占部 秀男君            木下 友敬君            松永 忠二君            米田  勲君            中尾 辰義君            大竹平八郎君   国務大臣    自 治 大 臣 山崎  巖君    国 務 大 臣 高橋進太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    警察庁警備局警    備第三課長   倉井  潔君    農林大臣官房参    事官      庄野五一郎君    運輸省港湾局防    災課長     布施敞一郎君    運輸省鉄道監督    局保安課長   松本 豊彦君    運輸省鉄道監督    局運転車両課長 能見武三郎君    海上保安庁警備    救難部運航管理    官       松本 満次君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省住宅局長 稗田  治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告地方行政改革に関する調査  (台風による被害状況に関する件)  (地方公務員の給与問題に関する  件)
  2. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから委員会を開会いたします。  初めに委員異動について御報告いたします。  去る八月十九日付をもって委員大沢雄一君が辞任され、その補欠として津島壽一君が委員に選任され、同じく八月二十日付をもって成瀬幡治君が辞任され、その補欠として松澤兼人君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 本日は地方行政改革に関する調査を議題といたします。  最初に、当委員会におきましては、地方行政改革に関する調査の一環として、先般道路交通状況等調査のため京阪神地区石原、基の両委員を派遣いたしましたが、この際調査の概略を簡単に御報告を願い、別途文書報告会議録に掲載いたすことといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう取り計らうことといたします。  それでは第一班について石原君より御報告を願います。
  5. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は基委員とともに八月十一日から十七日までの一週間、京都大阪兵庫の三府県下にわたりまして道路交通状況及び時間の許す限り地方財政状況調査して参りました。詳細は別に提出いたします報告書によりまして御承知願うことといたしまして、ここでは調査事項のうち、おもなるものの概要につきまして簡単に御報告をしたいと思います。  まず第一は、道路交通の事情でありまするが、今回の調査にあたりましては、当委員会及び衆議院地方行政委員会道路交通法案審議の際における附帯決議事項でありまするところの交通関係行政連絡調整現況交通事故現況とこれが防止対策交通警察に関する要員並びに施設装備充実状況等を主として調査して参った次第であります。これらの事柄は、いずれも道路交通法道路交通複雑困難化に対処いたしまして道路交通基本法としてのその使命を十分に達成するための必須条件であると考えた次第であります。  まず、道路交通関係行政連絡調整措置につきましては、おおむね円滑に行なわれているようでありまして、今後ともさらに一段連絡調整を密接に行なうよう要望して参った次第であります。  次に、当地方における交通事故全国平均よりもほとんど倍といってもよいくらい著しい増加を示しているのであります。大体交通事故増加率は、自動車増加率とおおむね比例するのでありまするが、全国的数字で見ますると、交通事故増加率一九・二%、自動車増加率一九%とほぼ比例しているのに比べまして、これらの地方では事故増加率が三五・六%という自動車増加率二二%をはるかに上回っているのであります。これをもちましてもいかに大都市自動車がふえ、これに伴い交通事故が集中的に増加しているかを知るのであります。このように激増する交通事故防止のため、各府県とも懸命の努力を払っているのでありまするが、思うように効果が上がっていない現状であります。たとえば各府県とも道路をきれいにする運動、町を静かにする運動等を広く一般市民の協力を得て展開しているのでありまするが、これらの運動は初めは効果がありまするが、しばらくするとまたもとの状態に返るというような状態であります。たとえば三十三年一月から大阪市を中心に町を静かにする運動市民の広い共感を得て展開し、相当効果をおさめたことは御承知通りでありまするが、最近これが後退のきざしを見せておりまして、最近の調査によりますると、警笛の量が最低時の三倍にも達するそうでありまして、大阪府警察当局でも正そうの運動の推進を検討しておるのであります。また学童交通事故防止にいたしましても、各府県とも新入学期運動を行なっているのでありまするが、しばらくするとやはり当初の意気込みが後退するようでありまして、学童交通事故もあまり減少しないというような嘆きを聞いたのであります。いずれも長期間にわたる反復的な忍耐強い運動が必要であることを痛感した次第であります。  次に、交通警察に関する要員及び施設装備につきましては、現地を見まして、これらの一段充実必要性を痛感した次第であります。まず要員の面でありまするが、現在人員不足のために、各府県とも他の係から応援を求めたり、二部交代制をとったりいたしましていろいろやりくりをいたしておるようでありますが、それでも要員が不足し、事故の処理や取り締まりに支障が少なくないようであります。交通事故の激増に比して、これに対応すべき交通警察官の数が微増しかしていないということが指摘されるのであります。また施設装備の面におきましても一段充実が必要と認められるのでありまして、白バイ、ジープの増加による機動力増加及び道路交通法の施行に伴う道路標識信号機等増設等にさらに一段努力が必要と認めた次第であります。ところが、これらの施設の増につきましては、予算計上額では満足なことができないので、やむを得ず民間の寄付にたよっている面が相当あるようでありまして、これら施設装備充実のため、予算措置について政府に対してさらに一段努力を要望する次第であります。なお、京都府におきましては、これら施設装備充実財源とするために、自動車取得に対しまして自動車取得価格課税標準とする自動車取得税を今年度より賦課することといたしておりますが、詳細は報告書で御承知を願いたいと思うのであります。  第二は、地方財政に関する事項でありまするが、まず各団体財政状況について申し上げますと、各団体ともおおむね適切な財政運営がなされておりまして、心強く感じた次第であります。京都府、兵庫県、京都市は過去に赤字を出しまして財政再建団体となったのでありますが、いずれも予定再建期間を短縮いたしまして、今明年度中に再建を完了する予定になっております。  これらの団体財政状況を見まして痛感いたしましたことは、いずれも大都市であること、あるいは大都市をかかえておることのゆえをもちまして、膨大な財政需要を擁しておることであります。しかるに、これらの団体は、いずれも富裕団体でありまして、いわゆる財源調整影響を受けているのであります。特に大阪府のごときは、その影響もあって、総歳入中に占める一般財源比率は逐年低下の傾向を示しているのであります。これらの団体の膨大な財政需要をつぶさに見聞いたしますると、いわゆる財源調整論にはにわかに賛成しがたいものがあると感じた次第であります。  なお、京都府におきましては、京都市の府人口に占める比率が六二%強と五大市中最大でありまして、それだけ弱小な郡部をかかえているのでありますが、これらの地域にも京都市と同じ程度行政も行なわなければならない一方、財源調整影響も受けるということで、地方交付税基準財政需要額の算定上著しく不利で、その伸び率は全都道府県最低のようでありまして、この点に関する制度的解決を強く要望しておった次第であります。また五大市に対しましては、現在都市計画事業に対する起債は許可されていないのでありますが、神戸市、大阪市では強く都市計画事業に対する起債を要望しておった次第であります。  最後に、調査中に各団体の長及び財政当局者が口をそろえて申しておりましたことは、一つは、先般行なわれました人事院の給与勧告を職員にもそのまま適用いたしました場合、各団体とも相当財政負担となるので、これに対する国の財源措置を強く要望することと、もう一つは、国税の減税の影響地方団体に及ばぬよう、その影響を遮断するような税制改正を希望するということであります。これらの問題は当委員会におきましても今後慎重に審議されるようお願いをする次第であります。  以上簡単でありまするが、報告を終らせていただきます。  なお、委員長において別に提出いたしまする報告書会議録に登載されますようお取り計らいをお願いいたしまして報告を終ります。   —————————————
  6. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、台風による各省所管別被害状況について、資料が提出をされましたので、当局よりそれぞれ説明を願います。警察庁倉井警備第三課長
  7. 倉井潔

    説明員倉井潔君) 本年の台風被害につきまして、九月六日付で資料を作って提出しておりますので、その資料説明をいたしたいと思います。  この資料内容でありますが、一番初めに集計されておりますものは、本年の八月十一日に上陸いたしました台風十一号、その後十二号、十四号、十六号というように相続いて上陸しておりますが、その全体的被害集計を一番前に書いております。それからその次に、この各台風につきまして、十一号について言いますと、どの程度死者行方不明者が出たかという、各台風につきまして数字的に被害状況を述べております。それからその次のページにありますのは、今度はまた、十一号なら十一号、各台風につきまして、その被害地域でありますとか、あるいは災害救助法の適用を受けた地域でありますとか、被害情報でありますとか、被害原因でありますとか、状況説明してあります。それから最後に、別表でありますが、別表には詳細な数字一覧表として、各台風についてあげておるのであります。従いまして、数字的なこまかい問題につきましては、この資料をごらんいただけば御了解いただけると思うのでありますけれども、重点的なことにつきまして、私から、あるいは重複する点があろうかと思いますが説明させていただきたいと思います。  この一ページの初めにありますように、本年度は十一号から始まりまして、今まで十六号までの台風が上陸しているのでありますけれども、被害地域は全体で二十五都府県に及んでおります。そのおもなる比較的大きな被害発生した地域は、十二号におきましては静岡県と岐阜県であります。また十六号におきましては兵庫県と京都府であります。そのほか和歌山、岡山、大阪、徳島というふうな府県被害発生しております。これをもう少し詳細に申し上げますと、一ページに数字がありますように、全体で本年度集計をいたしますと、死者は九十名でございます。それから行方不明者が十二名、負傷者が百六十一名、それから床上まで浸水したのが一万三千五百三十棟であります。それから床下浸水は五万四千九百二十三棟でございます。で、罹災世帯数は一万四千八百五十、こういう数字になっております。  で、さらに被害の比較的大きかった県につきまして申し上げますと、一つ静岡県でありますが、静岡県におきましては、死者が二十九名、行方不明者が二名、負傷者が十五名、家屋全壊が三十九棟、それから家屋流失が四十棟ということになっております。それから次は岐阜県でありますが、岐阜県は、死者が六名、行方不明者はございません。それから負傷者が十二名、それから家屋全壊が二十六棟、それから流失が五十九棟、床上浸水が四千十二棟でございます。  それから、次に十六号で被害を受けました京都兵庫について申し上げますと、京都は、死者が十二名、行方不明者が一名、負傷者が六十二名、それから家屋全壊が五十八棟、それから床上浸水が三千九十五棟。それから兵庫県につきまして申し上げますと、死者が三十名でございます。それから行方不明者が二名、負傷者が三十一名、それから家屋全壊が三十六棟、それから流失が五十七棟、床上浸水が三千五百七十棟ということになっております。大体そういう被害状況でございます。  そこで、ことしの台風の、何と申しますか、特徴的な点というものについてあえて申し上げますと、昨年の例の伊勢湾台風は、大きな意味におきまして、いわゆる輪中水害的なものであったということがいえると思うのでありますが、本年度台風の型は小型でありますけれども、矢つぎばやに参りまして、そうして小型のためでありますか、風による被害は比較的少ないのでございまして、各地に集中的な豪雨がありまして、そうしてそのために河川の決壊、はんらん、がけくずれ等によって被害発生しておる、こういうのがあえて特徴的な点といえばいえるのではないかというふうに考えております。たとえば十二号においては、八月十三日から十四日の夜半にかけまして、静岡県の中部山岳部集中豪雨がありまして、大井川、天龍川水系河川が増水して堤防が数カ所決壊し、二十数名の死者を局地的に出しておるというようなことがあります。それからまた岐阜県におきましては、長良川上流地域に集中的な豪雨がありまして、長良川が増水いたしまして堤防が決壊し、相当被害発生を見ておる、こういうことであります。また十六号の場合でありますが、これは兵庫県の山岳部にやはり集中豪雨がありまして、そうして西宮市では、がけくずれで、新聞等にも出ておりましたように、二十数名が生き埋めになってしまったというようなことがあります。それからまた兵庫県の神戸市内におきましては、豪雨によって排水ポンプがこわれて、多数の家屋浸水を見た、こういう状況であります。本年度台風特徴点といえば、集中豪雨によるところの被害があったということではなかろうかというふうに考えております。  非常に簡単でありますが、報告を終わります。
  8. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 輪中というのはどういうことですか。
  9. 倉井潔

    説明員倉井潔君) 輪中災害という意味でございますね。海岸堤防が決壊いたしまして、その決壊して浸水した地域が海面より低い。従って、滞留した海水その他が出ない。長期的にそこに滞水してしまう。普通は、それは河川については私専門家でありませんのでよくわかりませんが、長良川なんかについて、河川の途中の水系におきましてそういう堤防がありまして、その堤防が囲まれている地域がその河床よりも低いというようなことでありまして、それを堤防でカバーしている。それが伊勢湾海岸の場合は、海岸堤防でカバーされている堤防そのものが決壊して一面の海になってしまう、あるいは一面の川になってしまうというのが昨年の伊勢湾台風の性格ではなかったかと、そういうふうに考えております。
  10. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) それでは次に建設省関係山内河川局長
  11. 山内一郎

    参考人山内一郎君) それでは公共土木施設関係被害状況資料によって御説明をいたします。  この五、六枚とじました横に長い資料であります。第一ページは、災害原因あるいは月別、それを直轄補助分類をいたしました総括表でございます。直轄補助合計という三欄ございますが、一月から五月までは、融雪、風浪豪雨、こういうような災害によりまして、合計をいたしますと二千四十二カ所、二十三億一千四百万円、こういう被害額に上っているわけでございます。次は五月のチリ地震による津波によりまして災害を受けましたが、それが三百七十八カ所、四十一億二千七百万円。それから次は六月から八月までの豪雨、これによりまして九千七百四十三カ所、八十五億七千八百万円、こういうふうになっておるわけでございます。次が十一号と十二号台風一緒に書いてございますが、非常に接近をして参りまして、分離するのがなかなかむずかしゅうございまして、これを一緒に書いてございます。合計いたしますと、四千九百八十七カ所、六十九億四千三百万円。次が十四号台風、これも同じく八月に参ったのでございますが、三百八十九カ所、五億五千六百万円。次は一番最近に参りました十六号台風によりまして五千七百七カ所、六十二億三千九百万円。それを全部合計をいたしますと二万三千二百四十六カ所、二百八十七億五千九百万円、こういうような数字になります。これを最近の年の同期と比較をいたしますと、三十四年災害、これは昨年でございますが、非常な災害がございまして同期までに六百四億、こういうような数字になっております。三十三年は二百五十九億、三十二年が二百十六億、三十一年は百億少しと、こういうような数字でございまして、三十四年災害よりは現在まだ発生が少のうございますが、それ以前の三カ年よりは災害発生が多い、こういう状況でございます。  以下その内訳について御説明をいたしますが、二ページ、三ページは直轄関係災害でございます。これは現在建設省におきまして、直轄工事河川道路砂防海岸、この四つについて直轄事業を実施をいたしておりますが、そのおのおの分類をいたしまして、最初河川でございますが、これに同様に河川別、それから災害原因別の表がございます。これをごらんいただきますと、河川は二ページから三ページのほとんど終わりまで書いてございますが、やはり十一号、十二号台風、それから十六号台風というのが非常な額に上っておるわけでございまして、三ページの河川の計というところをごらんいただきますと、十一号、十二号が五億六百万円、十六号が二億とこういうような数字に相なっておるわけでございます。発生した河川は、十一号、十二号台風につきましては、北陸、中部地建管内の一番大きいのは木曽川上流でございます。二ページの一番下に書いてございますが、岐阜県の管内木曽川上流、これは三億七百万円、こういうような額になっております。それから十六号台風につきましては、三ページの表をごらんいただきますと、近畿管内、それから中国管内、こういう所が非常な被害を受けておりまして、近畿地区におきましては、合計をいたしまして八千二百万円、中国管内が一億三百万円、こういうような数字になっておるわけでございます。  それから次は海岸でございますが、これは一月から四月までの冬期風浪による災害でございまして、北陸地建局内の富山県朝日海岸中国地建管内の鳥取県の日吉津海岸、この二カ所になっております。  それから四ページに参りますが、砂防でございますが、これは六月の豪雨関係と、十一号、十二号、この関係が目立つのでございまして、六月豪雨におきましては、二千九百万円、十一号、十二号では八千二百万円、こういうような数字になっております。  それから道路関係は比較的少のうございますが、ここに書いてございますように、合計をいたしまして六月豪雨が四百四十四万円、七月は二百万円、こういうような数字になっておりまして、全部を合計いたしますと、直轄の一番右の数字でございますが、十五億五千万円、こういうような数字に相なるわけでございます。  次は府県補助関係でございますが、これがその次二枚に県別にずっと書いてございます。一番上に同様に災害原因別が書いてございまして、ずっと一月から四月、それから五月、六月、七月と、こういうふうに分かれておりまして、次に十一号、十二号、十四号台風、十六号台風、こういうふうに分類してございます。ごく最近の分を御説明いたしますと、十一号、十二号台風におきましては、ここに書いてございますように、総計いたしまして四千九百九カ所、六十三億五千四百万円というような非常な巨額に上っておるわけでございます。災害を受けている県も二十三府県に及んでおりまして、このうち特に甚大な被害を受けておりますのは、岐阜県、静岡県、それから和歌山県、こういうような三県ということになっております。特に岐阜県におきましては、災害救助法を発令された市町村を申し上げますと、岐阜市、美濃市、関市、八幡町、宮村、美並村、金山町、こういうような町村でございまして、川で申し上げますと、木曽川水系長良川水系、揖斐川、牧田川、簸川、特に岐阜市の芥見付近、この辺が非常な被害を受けたわけでございます。それから静岡県について申し上げますと、総計は十一総九千八百万円に上っておりまして、同じく災害救助を受けました被害中心地は島田市、藤枝市、岡部町、川根町。河川で申し上げますと、大井川水系の伊久美川、身成川、それから瀬戸川——これは別の水系でございますが、瀬戸川、朝比奈川、こういうような河川が非常な激甚な被害を受けているわけでございます。それから和歌山県につきましては、日高川の上流、大体日高川から北の方、そういう地方河川被害を受けております。  それから次は十六号台風でございますが、ここに書いてございますように総計は五千六百七十八カ所、六十億三千八百万円でございまして、十八府県被害が及んでおります。このうち特に甚大な被害を受けましたのは、表でおわかりのように、京都府、兵庫県、一府一県でございまして、京都府は千百八十八カ所、十四億四千九百万円、兵庫県は一千九百三十八カ所、十六億三千六百万円、こういうようなところの河川が非常な被害を受けているわけでございます。激甚な所を拾って申し上げますと、京都府におきましては、被害中心地は園部町、京北町、八木町、亀岡市、日吉町でございまして、河川で申し上げますと、桂川水系、それからその隣の由良川水系、こういうような河川が非常な激甚な被害を受けたわけでございます。それから兵庫県で申し上げますと、西宮市、川西市を中心といたしまして、猪名川水系、それから武庫川水系、さらに西の方の担保川水系、こういうような河川が非常な被害を受けております。それらを総計いたしますと、一月以降一番右下をごらんいただきますと、二万二千九百五カ所、二百七十二億九百万円、こういうような数字になっておるわけでございます。  以上簡単でございますが、御報告を終わります。
  12. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 ちょっと資料について。これは先ほど警察庁から、説明があったのですが、まあ本年の台風は非常に小型だけれども、非常に雨が多いということの説明があり、また、われわれもそれは身をもって知ったわけでありますが、この建設省の統計を見ると、六月から八月の豪雨というのが別にあるのですね。そうして金額の上においてもこの豪雨が一番大きいのですが、これは何ですか、六月から八月のうちに十一号から十六号までずっと続いてあったわけですが、豪雨というものはこんなに数があった。それからまたさらに豪雨の一体表現、被害中心にしてむろん見るのだろうと思いますが、豪雨の点について少し説明していただきたい。
  13. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 六月、七月というのはこの表の区分けでごらんいただきますように、十一号、十二号、それから十四号、十六号、これは八月でございまして、これとはもちろん違うわけであります。それで六月豪雨、七月豪雨でございますが、このうち特にひどかったのは七月豪雨の山口県、広島県の方に被害額が書いてございますように、この二県が特に多かったわけでございます。従って、その豪雨がどういうふうにして発生するかという原因については、象気庁の方でよく御研究にはなっているわけでございますが、雷雨性による豪雨、それから梅雨前線のときに不連続線によりまして局地的に非常に雨が降るわけでございますが、この六月、七月につきましても毎年、特に二十八年の災害におきまして、西日本がやられましたのは、不連続線による豪雨でございまして、やはり一年中の相当台風につぐ一被害のパーセンテージを占めている、こういう状況でございます。
  14. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に稗田住宅局長。
  15. 稗田治

    説明員(稗田治君) お手元に提出してございます「本年発生災害被害状況調」という二枚つづりの資料がございますが、それに基づきまして御説明申し上げます。  まず、五月二十四日のチリ地震津波による被害でございますが、北海道以下六道府県におきまして、全壊戸数二千百六十、流失戸数が千七十六、合計いたしまして三千二百三十六戸の滅失戸数でございます。半壊は二千七戸でございます。次は、六月二十二の梅雨前線降雨による被害でございますが、長野県以下九府県でございますが、全壊が九戸、流失が三戸、合計十二戸の滅失でございまして、半壊は十二戸でございます。次は、七月七日から八日にかけての集中豪雨による被害でございますが、静岡県以下七県におきまして全壊戸数が五十八戸、流失戸数が二十五戸、合計八十三戸の滅失でございまして、六十三戸のそのほかに半壊がございます。次は、十三日から十四日の集中豪雨による被害でございますが、新潟県におきまして三戸の全壊がございます。そのほかに四戸の半壊でございます。次は、八月二日、三日の東北地方の大雨による被害でございます。県名を御訂正申し上げます。青森県、岩手県と書いてございますが、岩手県は間違いでございまして、秋田県でございます。青森、秋田の両県におきまして、全壊戸数八戸、流失戸数が九十五戸、合計六十三戸の滅失でございまして、ほかに半壊が六百十五戸ございます。  次は、台風十一号、八月十一日でございますが、岡山、徳島両県におきまして全壊が一戸、半壊が二戸でございます。八月十三日の台風十二号におきましては、長野県以下九県におきまして、全壊が七十二戸、流失が百九戸、合計百八十一戸の滅失でございまして、半壊戸数は二百十七戸でございます。次は、八月二十一日の台風十四号の被害でございますが、東京都、千葉県、茨城県におきまして全壊が四戸、流失が二戸、合計六戸の滅失でございまして、ほかに四戸の半壊がございます。次は、八月二十九日の台風十六号の被害でございますが、岡山県以下十七府県におきまして、全壊が百三十一戸、流失が六十七戸、合計百九十八戸の滅失でございまして、半壊は百九十八戸でございます。その他の台風におきましては、住宅におきましては著しい被害はなかったわけでございます。  以上簡単でございますが、御報告を終わります。
  16. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 運輸省松本保安課長
  17. 松本豊彦

    説明員松本豊彦君) お手元に一枚刷りの台風十六号に関する被害状況という資料を差し上げてございますが、御質問で台風以外に集中豪雨についてもいろいろ御質問があったようでございますから、わかっておりますだけ、この場で口頭で申し上げたいと思います。  一番最初、七月八日に山陽地方豪雨によりまして線路の不通個所が十二線区三十七区間に上っております。その次に、上信越で七月十三日に三線区五区間、やはり集中豪雨により線路不通個所がございます。それから八月三日にやはり集中豪雨、これも梅雨前線による集中豪雨でございますが、奥羽本線一線区でございますが、五区間にわたりまして土砂崩壊がございまして、旅客の死者二名を出しております。  その後ございましたのが八月十三日の台風十一号、十二号でございますが、これは国鉄では十二線区二十七区間、これは先ほど御説明がございました通り、おもに名古屋局、静岡、長野管内でございまして、六局十二線区で二十七区間やられまして、これによります被害額は、国鉄関係では三億八千万円、私鉄ではこの十一号、十二号の台風によりまして大井川鉄道で千二百万円、名古屋鉄道で百万円の損害を出しております。その後十四号台風が房総方面に参りまして、千葉局管内で千二百万円の損害を出し、私鉄では小湊鉄道が八十万円の土砂崩壊の損害を出しております。その後被害を受けましたのがお手元にお配りしましたプリントの第十六号台風に関する被害でございまして、東海道、山陽、山陰、北陸土讃線含めまして、六局にわたりまして十六線区二十九区間で、被害額は約一億七千五百万円という国鉄の被害を出しております。私鉄といたしましては、ここに書いてございますように神戸電鉄がおもにやられまして、神戸電鉄が二千万円、京阪神急行が二千五百万円という被害が出ております。簡単でございますが鉄道関係の御報告を終わります。
  18. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に松本運航管理官。
  19. 松本満次

    説明員松本満次君) 台風十六号によります船舶の受けました被害は、隻数にしまして総計八十一隻でございます。トン数で九千九百五十八トン、被害金額は四千五百万円に上っております。そのうち一番大きな船は川崎汽船のペルー丸というのが神戸岩壁に係留中に損傷を受けまして、その損傷だけで八百万円に達しております。そのうち被害を受けました地区を見てみますに、神戸地区が一番多うございまして、被害隻数は二十一隻に上っております。うち十一隻が沈没しております。これは主として小さな船でございます。次に高知地区が被害が多うございまして、これは損傷を受けた漁船が多く、四十六隻に上っております。  なお、以上が船腹の被害でございますが、航路標識につきましては、十六号によりまして灯浮標の流失が一基でございまして、これは兵庫県の別府港でございます。いまだ復旧しておりません。その次に、灯浮標の移動が四基ございまして、これは木津川の第二灯浮標と妻鹿灯浮標、これは姫路でございますが、そのほか広畑の第三灯浮標及び第四灯浮標でございます。このうち二基はすでに復旧をしております。そのほか消灯したものが三基ございまして、これは尾崎鼻の灯台と飾磨の東防波堤の灯台です。そのほか大堂津港の西防波堤の灯柱が報告されておりましたが、尾崎鼻と大望津港の灯柱は、後刻調査の結果、異常がございませんでした。誤報でございました。  十六号の台風以前にこうむりました航路標識の被害総数は、そのほか二十九件に上っております。その後九月六日現在におきまして、そのうち二十一基は復旧しておる現状でございます。この被害総額は四百二十一万円に達しております。  以上簡単でございますが、御説明いたしました。
  20. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に布施防災課長
  21. 布施敞一郎

    説明員布施敞一郎君) 港湾関係被害について御説明申し上げます。ただいまお手元にお配り申し上げました三枚とじの印刷物に基づきまして御説明させていただきます。そのプリントの二枚目と三枚目の表をごらんを願います。  本年内での発生災害といたしましては、冬期風浪以降、最近の十六号台風まであるわけでございます。このうち七月豪雨以降の分について御説明いたしたいと思います。三枚目の最後のプリントの一番下の総計欄をごらん願いたいと思います。  七月豪雨におきましては、被害個所二カ所、六十万円、これは非常に軽微でございました。関係府県も一県でございます。次の十一号台風におきましては十八カ所、千四百万円、関係府県は三県でございます。十二号台風におきましては三カ所、七百十万円、関係府県は二県でございます。十四号台風におきましては二カ所、八百三十万円一道一県でございます。最近におきまする十六号台風は、被害額がだいぶ多うございまして、二百七十九カ所、六億四千八百五十八万一千円となっております。これは、関係府県は十三県でございます。  以上、七月豪雨以降、十六号台風に至りまする合計をいたしますると、個所数にいたしまして三百四カ所、被害総額約六億七千八百万円でございます。以上でございます。
  22. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 今の最後数字はここには出ていないのだな。
  23. 布施敞一郎

    説明員布施敞一郎君) ただいまお配りいたした、最後に申し上げましたのは、ここには書いてございません。この総額の中から、冬期風浪チリ地震津波の分を差し引いた分を申し上げたわけでございます。
  24. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に能見運転車両課長
  25. 能見武三郎

    説明員能見武三郎君) 私鉄関係、先ほど国鉄と含めまして松本保安課長から御説明いたしましたので、それによって御了承願いたいと思います。
  26. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) それでは、農林省庄野参事官、御説明を願います。
  27. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 農林省関係におきまする、八月以降の台風によりまする被害状況を御報告申し上げます。  お手元にお配りいたしておきましたが、八月以降の台風は十一号、十二号と十四号台風、それから最近の台風十六号、こういうことに相なります。それで十一号は、八月十一日に、十二号は八月十二日に、それぞれ室戸岬を経まして、四国、中国、近畿と、そういり所に上陸して、農林関係被害を及はしておるわけでございまして、十一号と十二号は、あわせまして御報告いたしたいと、こう思っております。それで、二枚目の表に、十一号と十二号の農林水産関係被害状況を掲げておきましたのですが、関係府県は、関東から東海、近畿、中国、四国ということに相なりまして、二十二府県、こういうことに相なっております。農地関係が二十二億八千二百万円、林野関係の治山と林道が、合計いたしまして二十億一千八百万、それから漁港関係が一千二百万円、その他は、これは猟船漁具といったものと、長野県の稚蚕共同飼育所、畜舎を含んでおりますが、大部分が漁船漁具といったものが二千百二十九万円、合計四十三億三千四百万、こういうことに相なっております。  それから、台風十四号でございますが、御承知のように、八月二十日から二十一日にかけまして、房総半島に接近いたしたわけでございまして、房総半島を中心豪雨があり、千葉、埼玉の両県にわたっておるわけでございまして、その資料は三枚目の別表の十四号台風による農林水産関係被害調、埼玉、千葉でございますが、直轄の代行災害も含まれますが、農地関係で農地施設合わせまして一億八百五十万円、林野関係では治山、林道それから林産施設でございますが、そういうものを含めまして七千七百三十六万円、合計いたしまして一億八千五百八十六万円、こういうふうに相なっております。  それから台風十六号でございますが、これは八月二十九日に高知市付近に上陸いたしまして、中国、四国を通過し、鳥取付近から日本海に抜けたわけでございまして、高知、京都兵庫相当集中豪雨がございました。ただいまなお調査中でございますが、その関係府県の表は四枚目に「十六号台風による農林水産関係被害額調」ということで一応出してございます。関係府県は、北海道を含めまして二十一都道府県ということに相なります。農地関係は農地、施設合わせまして二十五億九千四百万円、これはまだ多少増加する見込みでございます。それから林野関係が治山、林道と林産施設を合わせまして十七億一百三十五万円、水産関係は漁港、漁船漁具等を合わせまして五億二千一百九十万円、総合計四十八億一千七百万円、こういうことになっておりますが、なお十六号台風については目下調査中でございます。多少増加するということに相なります。  それから作物被害でございますが、台風十一号から十六号までの大体の推計を一枚目の一番下に書いてございます。十一号、十二号によりまして水稲と雑穀、野菜、こういったものに被害があったわけでございますが、被害面積は約三万六千町歩、被害見込額は約八億、そういうふうに推定いたしております。台風十四号につきましては、千葉、埼玉でございますが、被害面積は二万三千町歩、被害見込額は約五億円と推定されております。それから台風十六号は目下調査中でございまして、判明次第御報告いたしたい、こういうような考えでございます。  以上でございます。
  28. 松永忠二

    ○松永忠二君 農林と、それから建設省関係もちょっと聞くのですが、小災害被害については調査をしていないのか、あるいは小災害被害については大体従来からの数字から見て、どのくらいの被害になるというふうにお考えになっているのか、その点を農林省と建設省の方からお聞きしたい。
  29. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 農林省関係をお答え申し上げますが、小災害、三万円以上の農地及び施設被害は、この中に含まれております。御承知を願います。
  30. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 小災害、公共土木施設で申し上げますと、県工事十五万円未満、それから市町村関係の十方円未満の工事につきましては、この中に数字は入っておりません。
  31. 松永忠二

    ○松永忠二君 それで、建設省の方では従来の災害の例から考えてみるし、また今度の災害一つの特色から見て、小災害についてはどういうふうなお考えを持っておられるのですか、被害の額というものは大体相当あるというふうに考えておられるのですか、あるいはおおよその推定については考えておられるのか、特に府県の十五万から十万の間の小災害、従前対象になった災害については、各府県とも調べていると思うのですが、市町村は大体まだ調べてないにしても、府県は大体調べているので、そういう小災害は大体どの程度あるという見込みでおられるのか、その点いかがですか。
  32. 山内一郎

    説明員山内一郎君) その数字につきましては、まだ私の方で聞いておりません。はっきりした額は申し上げられませんが、過去の実績からいきますと、一割程度ぐらいではないか、こういうふうに考えております。
  33. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点はまた一つ調査をいただくし、特に私たちは今お話のように、一割程度ということはない。事実上われわれの関係したところに当たってみても、一割程度ということはないので、こういう点については、なお一ついずれ御調査もなさるであろうし、また事実上われわれの方でもそういうことを要求もするわけですが、的確につかんでいただきたいと思うのです。そこで自治省の方にお尋ねをするのですが、今度の災害で特に市町村の被害というものが非常に集中的に多いというような考え方を持っているわけなんですけれども、出てきているこういう被害と、その地域の市町村の財政収入とを考えてみて、どういう得徴があるというふうにお考えになっておられるのか、またそれについてはどういうことを考えていかなければできないというふうにお考えになっておられるのか、その点はいかがですか。
  34. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 各省からただいま御報告申し上げましたように、今一度の被害は主として集中豪雨がきわめて多いようであります。しかも、それが山間部が非常に多い。従いまして、町村財政のいわば非常に力の弱いところに大きな被害を受けたものと私は思います。こういう地方につきましてはチリ津波災害のときにも御承知のように、御協力を得まして起債の特例その他の特別立法をいたしたわけでございます。今回も自治省としては、こういう財政の非常な貧弱な地方につきましては、何らかの特別措置をとりたいということで、今検討を進めておるところであります。ただこれは大蔵省その他政府部内でまだ相談をする段階にはなっておりませんけれども、自治省の考え方は以上申し上げました通りでございます。
  35. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点につきましては、今、大臣の御答弁の通りに私は思うので、特に今御説明のあったように、集中的に、局部的に来ている。従って、県について非常に広範な被害はないけれども、その市町村にとっては致命的な打撃を受けている。どうもともすれば国に対する要請というものは、府県の財政に非常に影響のあったときには強力な行動が行なわれるけれども、市町村ということになると非常に間接的になって、その被害の国に対する要望というものも非常に弱い面が出てきているので、こういう点については特にお考えをいただきたい。たとえばその一つの事例をあげてみますと、静岡県の被害は二市二町でこれだけの被害を出しているわけです。その一つの町の藤枝というのあたりは、公共土木と農地及び農林関係施設の中で現在補助事業として対象になる被害、小災害を抜かしている、そういうものが、三億一千二百八十九億という金が出ているわけです。ところが、あの町の標準税収は一億九千九百三十三万円しかない、そういうような状況です。これは今言う通り、小災害を抜かした、しかも、補助事業について考えても、そういうふうな状況だということになると、この市の土木費の一年の費用というのは三千五百十三万円しかない。しかも、災害復旧費は六十六万円しか計上していないというふうな、こういうふうなところに三億一千二百八十九万という被害が出てくるということになってくると、これ以外の被害を見ても、ほとんど致命的な打撃を受けている。そういう点については今、大臣のお話のように、市町村の被害の中で標準税収を上回っているという市町村が相当出てきているような現状であるので、昭和三十三年、昭和三十四年に行なわれた例の起債の特例に関する措置については、やはり十分に考えていただくし、必ず措置をとっていただいて、そしてこの財政的な窮乏を救っていただくということがぜひ必要だ。特に県の被害がひどいときと市町村の被害のひどいときの間の国に対する影響力の差というものをぜひ一つ考えていただきたいと思うのですが、再度その点について御答弁をいただきたいと思うのです。
  36. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) ただいま松永委員から静岡県の藤枝の実例のお話がございましたけれども、おそらく他の府県におきましてもそういう事例がたくさんあろうかと思われます。むろん各関係府県におきましても、市町村の実情についてもとより無関心であってはならないと思いまするし、県自体も市町村の財政の状況については十分考うべきものだと思います。先ほど申し上げましたように、自治省といたしましては、従来の例もたくさんあることでありまするし、今回の被害相当広範囲にわたり、しかも、財政の非常な貧弱な地方を多く含んでおりますような状況でございまするから、それにつきましては、従来の例にもかんがみましてできるだけ御希望に沿うような特別の措置を講じて参りたい、かように考えておるわけであります。
  37. 松永忠二

    ○松永忠二君 それではなお続けて、そこで、今の特例に関するものですが起債を特に認めるというような点と、これは各地方税の減免をやっているというような状態、そういうふうなことから来る起債を認めていくというような点、それからもう一つは、今話の出ている小災害等についての元利補給ということを起債によって認めて元利補給するということを実施をされたわけです。この二つの方向で御検討いただきたいというふうに思っているのですが、大臣はこういう点、少しこまかくなりますけれども、そういう点については何か省内でお話しなさっておられるものか、なお一つお聞かせいただきたい。
  38. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 起債の特例のほかに税の減免によりまする減収をいかに補てんするかという問題につきましても、従来のこれまた例もたくさんあることでございまするし、自治省といたしましては、できるだけ御希望の線に沿うように検討を進めておる次第でございます。
  39. 松永忠二

    ○松永忠二君 それで、普通交付税の繰り上げ交付ということ、なおそれに加算して交付するということについては、今言ったような地方の財政事情の中ではぜひ実施してもらわなければできない問題だと思う。これは別に特別に法律を作らなければできないことではないので、これについては実施をするという考えを持っておられるのかどうか、いかがですか。
  40. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) ちょっと私もはっきりしたことを申し上げかねるのでありますが、普通交付税につきましては、すでに二週間ぐらい前に各府県に配付を決定したように記憶をいたしております。従いまして、その普通交付税の余分がどの程度あるか、それによって今御希望のある点がまかなえるかどうか、その点私自身がこまかくあまり確信を持って申し上げかねるわけでありますが、今御指摘の点はなお十分検討してみたいと思います。
  41. 松永忠二

    ○松永忠二君 これは従来災害のときにやっていることは、八月までのを交付するわけです。あと残っている四半期のものについて、それをあと残っている交付金についてその二分の一、半分を繰り上げて支給をするということで実施をしているわけです。今二回目の交付金がきまって、あと三回、四回というふうに分けられるものの中の、あとの大体三回目を繰り上げて支給をしておるというのが従来災害のときに行なっている処置なんですが、こういう点については、各市町村とも資金繰りを、融資を受けているわけですけれども、これはあくまで利子のつく金であるし、しかも、私たちの聞いているのでは、年内で資金繰りをしておるということであるので、やはり従来こういう災害に必ず実施をした普通交付税の繰り上げ支給、その際加算等を考えて措置をするということを早期に一つ実施をしていただきたいと思うのですが。
  42. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) ただいま御指摘の点は、交付税の第三期、第四期分があるようでございまするから、その際に十分御希望に沿うように努力をしてみたいと思います。
  43. 松永忠二

    ○松永忠二君 河川局長に一つお尋ねをするのですが、特に河川被害については非常に大きいというふうに考えられるわけなんですが、今、大臣からお話があったように、地方財政起債一ついての特例について考えておられるように、従来実施をした高率の適用の問題、あるいは小災害の特別処置と、そういうような問題についてこういう措置が必要だということをお考えになっておられるのか、こういう点についてすでにある程度の見通しを持っておられるものなのか、それをお尋ねするわけです。
  44. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 災害復旧の負担率の問題につきましては、昨年も伊勢湾台風で特別法が出まして、高率の適用になったところがございますが、それと同様に今回の非常に被害を受けた地域につきましても考えざるを得ないのではないか、こういうような考え方で現在研究をいたしております。まだ検討しました結果は出ておりませんが、現在研究中でございます。  それから小災害につきましては、伊勢湾台風のときにつきましても起債の特例というような特例法で出ておりますので、小災害につきましては、自治省の方の起債の特例関係措置をしていただいたらどうか、このように考えております。
  45. 松永忠二

    ○松永忠二君 農林省の方ではどのように検討されているのですか。
  46. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) ことしの災害状況でございますが、今御指摘のように非常に集中豪雨が山間部にあるということで、いわゆる小災害がこれは相当多いのじゃないか、こう考えております。大体総被害額の中で小災害の占める割合は、大体一割五分程度の前後じゃないか、こう考えられますが、十分県からの報告を調べなくちゃならぬ、こう思っております。今査定中でございますけれども。それで私どもといたしましては、この問題につきましては、特例法の関係等はやはり前年度三十四年度、あるいは三十三年度等の被害状況ともにらみ合わせながらことしはどうするか、なおまだ九月も今後台風等があるかもわからない、そういう状況も勘案しながらただいま検討中でございまして、場合によってはそういうことも必要じゃないかと思われます。ただいま検討中でございます。  なお小災害につきましては、同様の状況でございまして、やはり特例法、起債の特例というものを認めていただかなくちゃならぬのではないかと考えておりますけれども、なお小災害がどういう状況で分布しておるかということを調査して検討いたしたいということで研究中でございます。
  47. 松永忠二

    ○松永忠二君 今検討中であり、また従前のようなことを実施をする必要があるというお話も、御意見もあったわけですが、自治省の大臣にも承知していただきたいのは、たとえば農地の農林施設の問題で二億五千万の補助工事で高率適用すれば、それが約一億二千五百万程度の支出で済むわけなんです。大体その一町村についても両方を合せると約二億二千ばかりのつまり費用が助かるわけなんです。これくらい大きないわゆる高率適用が従来実施をされたし、また特に今度の場合に私たちは必要だというふうに考えるわけなんです。こういう点については、おのおの関係の専門の局であるので十分御承知のことだと思うのですが、特にこの点については十分一つ配慮をして実施をしてもらう、その点について大臣の意見を聞きたいのですが、こういうふうに災害のつど、いわゆる特別の立法をして国会を通していわゆる検討しなければできぬ、あるいは起債についても、お話のように小災害についてその起債を見るのが適当であるのか、それともやはり一つの率をすでに置いて、特別の被害地についてはそれが適用できるように法措置をしておくという、恒久的な立法というものの必要ということについては、われわれはそういうことは必要だと思っておるのですが、こういう点についてそのつど国会が相当な精力を費やしてこういう問題を論議しなければできないという点についてはどういうふうなお考えを持っておられるのか。すでに閣議等でもこういう問題については触れて論議をされておると私たちは思うのですが、大臣の一つ御意見を聞きたいわけです。
  48. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) ただいまの御意見の点につきましては、われわれの方としましても考慮しなければならぬ点だろうと思います。自治省といたしましても非常に関係の深いことでございますけれども、今、災害基本法というようなものも実は研究を進めておるわけでありますが、そういうものができますれば、その中にただいまお話のような恒久的な措置を取り入れて、そうして立法するのがよろしいのじゃないか、そのつどやりますことにつきましては、どうも私どもとしても非常に、国会が開会中であればすぐできますけれども、閉会中であればなかなか、次の国会まで待たなければならない、こういう事情も起こりますし、できますれば、もうそのつどの特別の立法でなくして何か基本的な法律ができることが望ましい、かように考えておりまして、そういう点も今検討いたしておるわけでございます。
  49. 松永忠二

    ○松永忠二君 河川局長に聞くわけですが、特に今度の被害で堆積土砂の非常に多いというふうに、実際行ってみてもそういうことを考えるわけなんです。一つの個所で、一つの川で三万七千立方メートルという程度のものを出しているような所もあるというふうに事実いろいろ検討して言われているわけなんですが、堆積土砂の排除についての特別措置は従来やられておったわけなんです。特に集中豪雨に伴う堆積土砂の排除の問題については特に特別な措置をして、一時的の復旧でなくしてやはり恒久的復旧をすべきだというふうに考えるわけですが、この点についてはどういう検討をされておりますか。
  50. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 堆積土砂のある場所によって取り扱い方が違って参るかと思いますが、河川とか道路とか、いわゆる公共土木施設の上に土砂の堆積をいたした場合には、従来もわれわれの方の国庫負担法、つまり公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、この中におきまして、災害復旧事業として採択できるようになっております。従って、従来通り、そういう措置につきましても国庫負担法の線に沿ってやって参りたいと思っております。
  51. 松永忠二

    ○松永忠二君 私の申したのはそういうことではなくして、河床がほとんど堆積土砂でうずまってしまっておる。あるいはその河床の所へ二メートルくらいも非常な幅で土砂の堆積をしちゃっているというものについては、これは現在の法律では処置をする方法がないと思うわけです。これについては、やはり現在の負担法の中でもこれを処理できるのでありますか。
  52. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 河川で話を限って申し上げますと、従来の河床よりも堆積土砂のために非常に高くなったという、つまりこれをほうっておきますと、次の洪水によりまして、当然堤防を越えてはんらんするというような異常な堆積の場合には、現在の国庫負担法によりまして災害復旧事業としてみなしまして、その掘さくということを災害復旧事業として採択をしましてそれで復旧をやっております。
  53. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、河川局長の見解では、今度の集中豪雨の堆積土砂については、現在の法律でもって十分できる、また、そういうふうにやるというふうなお考えで御答弁なさっておるのですか、いかがですか。
  54. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 現在の法律でできると、こういう解釈でやっております。
  55. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこでなお河川局長にお尋ねをするわけでございますが、今度の中のうちのいわゆる中小河川、普通河川といわれている市町村が実施しなければできない河川ですが、これが非常なひどい被害であると、で、その被害を復旧することは非常に困難であり、工事も非常に大きな工事であると、そういう非常に、被害をもたらすような河川については、やはり準用河川として認定をすべきではないか。そうしてまた準用河川でそういうふうな被害をもったものについては、これを直轄河川として順次上に持っていくことによって、いわゆる地元負担を全然なくし、また、その市町村がそのために非常な被害を受けるということについて避けていかなければできない、こういう集中豪雨の現象というものが出てきた場合、あるいはこういうことがしばしば起こるというようなことから、河川の指定の基準について、従来の指定の基準では妥当ではないのではないかというようなことを私たちは強く感ずるわけですが、特に非常にはんらんの激しいようなそういう河川については、それが支流であっても、これを準用河川として認定をし、また準用河川のクラスのものであっても、これを直轄河川として認定をしていくというようなことが必要だと思うが、こういう基準については検討する用意があるのかどうか、この際やはりこういう点については大幅にまた考えて、集中豪雨の特色である河川被害については、やはりできるところで十分な措置をしていくという態度で進まれるのかどうか、その点についてはいかがですか。
  56. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 河川の管理の区分の問題でございますが、河川の管理上われわれが平生指導して参っております点は、普通河川でございますと、なかなか市町村で管理しにくいというので、できるだけ重要な区域は準用河川にするように、こういうような指導をして参っております。これには県の県会の議決といいますか、将来県が維持管理する財政の点もございまして、そういう県の議決というものが必要でございまして、それさえ通過すればわれわれの方としてはできるだけ準用河川にするように、こういうような指導をして参っておるわけでございます。それで、災害発生時にそれでは普通河川であり準用河川である区域の取り扱いの問題でございますが、普通河川災害発生をいたしまして、その災害が異常な災害の場合に市町村では負担し切れない、こういうような事態の場合には、災害発生後準用河川ということもできるわけでございまして、その場合には県でその事業を執行する、従って、災害発生後やはりそういう措置もとってできるだけ円滑に災害復旧事業をやれるように、こういうような考え方を持って臨んでおります。
  57. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで、議会の認定に伴う準用河川の基準というものがあるわけです。やはりこの基準については河川局の方で指導される必要があるのじゃないか。従来きめているものをそのままこれにあるから認定はできないんだというようなことでなしに、やはりもう少し集中豪雨という現象の中で起こる河川のはんらんというものについて十分に考えて、指定の基準をこういう際に一つ検討し直すべきだということを私は言っているので、こういう点について指導をするお考えがあるかどうかということを聞いている。
  58. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 現在の普通河川を準用河川に認定をする問題につきましてわれわれは指導いたしておりますが、その基準というよりも、むしろ準用河川になりますために、県の維持管理費が従来よりもよけい要る、こういうような点が隘路になっているようなふうに私はとっておる次第でございます。従って、現在の基準から参りましても十分に皆さんの、基準そのものだけを考えれば、御要望にこたえられる基準である、こういうふうに考えます。
  59. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点はあなたとは違います。今県できめているような基準というものは、やはり流域であるとか、あるいはいろいろな制限をつけているわけなんです。だからそういう点について、ただ単に工事費が重なるから、そうじゃなくて相当やはり河川としての条件というものを具備した基準を出されていることは御承知だと思うのです。私の申しているのは、むしろ基準の中に相当被害があってもこれを組み入れられない基準ができているということについて御検討を願いたい。その点について指導してほしいということを私は要望したわけです。
  60. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 私も基準そのものは詳しく存じているわけではございませんので、具体的に一つどの川のどの区域かということをお話を聞きまして研究をして、ただいまの先生の御要望にこたえるようにやって参りたい、こういう考えであります。
  61. 松永忠二

    ○松永忠二君 河川局になおもう一つお尋ねをするのですが、今度の砂防関係被害というのは非常に大きい。これについてすでに緊急砂防を実施しなければできないし、また新規の砂防施設を必要とするものが相当出てきていると思うのですが、この点については、今ある予算でこれらの工事を実施する、あるいは設備を新設するということは十分できる予算を持っておられるのか、この点については特に予備費等から——予備費といいますか、これは特別会計であるのですね。この点については予算の増加というものについてどういう努力をされるつもりなのか。相当私たちから言うと砂防関係の費用が要るのではないかというようなことを考えているわけです。従来ある設備だけではなしに相当新しく工事をしなければ実施できないんじゃないか、予算的な措置についてどうお考えになっているか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  62. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 砂防事業費の大部分のものは当初の計画通りすでに配付をいたしまして、砂防事業を実施して参ったわけでございます。しかし、こういうように毎年災害発生しますので、そのための緊急砂防費につきましては、あらかじめ保留をいたしております。その金額によりまして現在災害発生のひどい個所を逐次保留といいますか、予備費ではございませんが、保留のワクから配付をいたして緊急な復旧をやって参っているわけでございます。しかし、なお保留額で不足の場合には、国全体の予備費から支出できるように交渉いたしまして、逐次さらに復旧をやる、それでも足りない場合には補正予算によって善処する、こういうような考え方でやっております。
  63. 松永忠二

    ○松永忠二君 最後一つ河川局長に。今度の災害を見たときに、岐阜についてもそういうことを言われておるのですが、災害復旧のおくれた所からこわれてきてしまっておる。事実最後に残った所は、まだできないために、そこから被害ができておる土地がなかなか多いわけです。それからまた現実に見てみても、改良復旧が不十分だ、当然その上までやっておけばいいものを、それをやらないために、そこから被害を来たして、せっかく作った所が全部だめになってしまっておるという点は、これはもう特にいろいろ言われておるところなんですね。こういう点については、今度の場合でも十分、そういう所があったということをお調べだと思うのですがね。この点について何か積極的な対策を持っておられるのかどうか、この点はどうですか。
  64. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 今回の災害につきましても、災害復旧がおくれておるために、そこがさらに災害増加をいたしまして被害を受けておるという個所はございます。従って、それに対処するためには、災害復旧を促進する、こういうことが第一の問題でございますが、現在のやり方は、まあ緊急事業が三カ年やる、こういうようなやり方で現在やっておるわけでございますが、これをさらに進めたい、こういうふうに思っております。ただ財政の関係がございますので、はたしてできるかどうかわかりませんが、やるような努力はして参りたいと思います。なお根本的に災害防止いたすために、よく御承知のように治水事業、これを極力進めるより以外方法はないと思います。その点につきましては、従来からも二十八年災害後、いろいろな検討をして参ったわけでございますが、前国会におきまして治山治水緊急措置法、こういう法律を通していただきまして治水十カ年計画というものを本年からスタートをして、今後十カ年で、従来の速度よりも速めて治水事業の根本的な対策をやる、こういうことになって参っておるわけでございます。従って、これらが計画通り進めば、従来よりもよくなるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  65. 松永忠二

    ○松永忠二君 ちょっと今の御答弁では、七割を三・五・二にやるということについては、必ずしもそういうふうなことでなしに、できるだけ割合を拡大してやっていきたいという、そういうお話ですね。  それでは住宅局長に一つお尋ねいたしますが……、僕は河川局はよろしゅうございます。今度の災害で住宅の被害というものが非常に多いわけです。しかも、住宅の被害、住宅の被害が非常に多いだけでなくて、大体山地の住宅というものは非住家が非常にあるわけなんです。自分の住んでいたところじゃない、いろいろな山林関係施設があるわけです。あるいはお茶の倉庫とか、いろいろなところがあるわけなんですが、特に住宅の被害は非常に多い。ところが、その住宅についてはほとんどわれわれから言うと対策なしというのが今の現状のように思うのです。いわゆる公営住宅というものが建っておるような地域ではないわけです。応急住宅も、災害救助法のは三分の一しかやれないわけなんですが、どちらかといえば、住宅については融資を受けて、それをもとにして自分の余裕のものを出して住宅を建てていきたいということを希望しておるわけです。それともう一つは、非常に住宅があなた方の言う全壊とか滅失ということじゃなくて、土砂が入り込んで、取ってしまったけれどもほとんど使いものにならぬ、で、それを修理をしなければできないということになっておるわけです。そこで、今私たちが考えておるのには、住宅金融公庫の中の災害住宅というものについて、これをやはり実施をする以外に方法はないんじゃないか。それと、それから住宅金融公庫の中の災害特別貸付というものを、ワクをふやしていく以外に方法はない。そこで、私がお尋ねをするし、どうしても考えてもらわなければできないものは、災害復旧住宅については、被害に特に制限があるわけなんです。滅失、いわゆる全壊流失の戸数が被害全域で五互戸以上でなければできない。一市町村の区域の戸数の一〇%以上でなければだめだ。火災の際だけは二百戸以上でもいいということになるわけなんです。あなたの出している資料を見ていただくとわかるように、たとえば、台風十二号は全域を入れて百八十二戸です。そこには、特に私たち申し上げている静岡について言うと、三十九、四十というこれだけの戸数が二つの町と二つの市の中にあっても、なおかつこれが事実上は復興住宅が適用できない。だから補修費も金を出すことができない。災害復興住宅なら非常に各種の融資の対象になってくるわけだから、補修費も出せる、あるいは移転費も出せるということで非常に融資ができるわけなんだが、これは政令できめてあるわけです。この政令をやはりこういう集中豪雨のこういう現象から見て検討すべきじゃないか、直すべきではないかというふうに私たちは考える。こういう点について検討して直してもらいたいと思うのですが、そういう以外にどこかにいい貸付があって、住宅の半壊とか、滅失とか、そういうものについては対策が十分とれますというお話ならば、私はそのお話を聞かしてもらいたいわけなんですが、そういう点について一つ局長のお話を聞きたいわけです。
  66. 稗田治

    説明員(稗田治君) まず災害公営住宅の適用の基準でございますけれども、これは公営住宅法の八条に書いてあるわけでございますが、ただいま先生がお述べになりました点につきましては、前の国会におきまして改正をいたしたわけでございます。集中豪雨等の場合に、一つの市町村でかなりの打撃を受ける、その場合に、火災の場合は二百戸で災害公営住宅の適用がある。集中豪雨の場合には、一つ災害で五百戸というのでは、集中豪雨の場合はやはり一カ所に固まるわけでございますが、そこで、火災との均衡も考えまして、一つの市町村で二百戸以上の集中豪雨による流失戸数があった場合は、災害公災住宅を建設できるように前国会で改正法案を出しまして成立いたしたわけでございます。それからなお御指摘のように、災害公営住宅も公営住宅法の目的から申しまして、賃貸住宅というのが建前になっておりますために、山村等におきます被害につきましては、あまり適当な措置ではない場合がございます。従いまして、住宅金融公庫の災害復興住宅の貸付でございますとか、あるいは住宅金融公庫における個人貸付の分の特別貸付でございますが、そういうような制度も運用しているわけでございます。そこで、災害復興住宅の住宅金融公庫における適用基準でございますが、これは公営住宅法の八条の災害が一応準用されているわけでございますが、なお、そのままそっくりの準用であっては実際の実情に合わない場合もございますので、これには右に準ずる災害というので、追加がそのときそのときに告示によりましてその災害を適用災害にできるようにいたしているわけでございます。なお、災害の個人住宅の特別貸付のワクでございますが、それらにつきましては、十二号台風等におきましても、ただいま申し込みを受け付けているわけでございます。なお、住宅の全般の災害につきましてもっと手厚い方法はないかというお尋ねでございますけれども、われわれといたしましても、十分そういった御趣旨に従いまして今後検討をいたしていきたいと思っております。
  67. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、あなたの御答弁では、災害住宅についても二百戸というふうに改めたというわけですね。災害復興住宅の方です。
  68. 稗田治

    説明員(稗田治君) 災害復興住宅はそれに準じておりますから、もちろん集中豪雨で二百戸以上の災害がある場合は、自動的に災害復興住宅の貸付はできることになります。なお、それ以外に準ずる災害といたしまして、実情に合うように幅をもった運用ができるようになっているわけでございます。
  69. 松永忠二

    ○松永忠二君 今の御答弁のように実施をしていただきたいと思うのです。これは相当強く要望もされているのにかかわらず、やはり相当この基準を押しつけているような様子も聞いているわけです。普通のときの災害とは少し違って、ほとんどその一山の部落の半分ぐらいがなくなってしまって、あとが半壊とかなんとかになっているわけです。だけれども数が小さいから、結局数が出てこないわけです。従って、それに準ずるものとしてその実情を見て一つ基準を下げてもらう、これ以外に結局住宅の補修とか、修理とか、そういう費用を出すところは現在どこにもない。そういうことなので、それを一つ考えてもらわなければならないということです。なお、あなたの言う災害特別貸付については、これは三分の一が無抽せんで、あとは抽せんでやるわけです。抽せんは六倍ないし十五倍の中です。しかも、これは流失と半壊以上でなければできないので、これについても、こういうような中で三分の一だけが無抽せんであとは六倍から十五倍の中で選ばれたのでは、とても被害者から言うとたまらないわけです、これは。事実、住宅難の問題については、もっとしさいな、実情に即してもっと善処される方法を考えて検討すべきじゃないかと僕は思うのです。だから全く住宅対策なしというようなことすら、われわれから言うと、極端に言うと感じているわけです。そういう点で、災害特別貸付についても、そういうワクの拡大の条件の緩和という点についてはやはり十分考えていくという用意を持っておられるかどうか、この点はいかがですか。
  70. 稗田治

    説明員(稗田治君) ただいまの住宅金融公庫の個人住宅の災害特別貸付の件でございますが、ただいまの先生の御意見は多少お聞き違いがあるのではないかと思うわけでございます。実は災害の特別貸付につきましては、大体滅失戸数の三分の一程度というワクを災害に当てるわけでございますけれども、従来とも申し込みがなかなかそこまで達しないわけでございます。それで従来とも三分の一程度の戸数を引き当ててはおるのでございますけれども、そのワクが全部消化されるという災害が少ないのでございます。御承知のように、金融公庫の方は融資でございますので、償還とか、いろいろそういうような条件も出て参るわけでございます。そういうような点で、据置期間等も設けておるのでございますけれども、その割に利用されないという点があるわけでございます。災害復興住宅の貸付につきましては、これはできるだけ敏速に時宜に応ずるようにというのでやっておりますので、この方は非常に利用者が多いわけでございますが、先ほど申しましたように、一応、公営住宅法の八条の災害適用に準じておりますので、小災害につきまして若干手の届かなかった面もあるかと思います。今後十分そういう点につきましては検討をし、改良をしていきたいと思っております。
  71. 松永忠二

    ○松永忠二君 あなたのおっしゃった中の私たちの承知しているのは、災害公営住宅についてはワクを返すことはある。しかし、個人の災害特別貸付について、そのワクが余ってしまって返すなんということは、私たちはあまり聞いたことはない。だから、災害公営住宅については、確かにワクを返すようなことは実施しているけれども、個人の災害の特別貸付についてワクを返すというようなことは私たちはあまり聞いたことはない。それだけではなくて、災害特別貸付については、三分の一が無抽せんであるので、あとがなかなか融資ができないというところにむしろそういう隘路があるというようにわれわれは聞いておるので、こういう点については一つ十分に御留意を願いたい。特に災害についての住宅対策については、もう少し何か根本的なものがあってもいいのではないかということであるので、こういう点は一つ検討をして、今言った公営住宅のワクの条件の問題、それから災害特別貸付のワクの問題については、今御返答のように、一つ実施をしていただくということを一応お願いをしたいと思うのです。  だいぶおそくなりましたので、一つだけ農地局の方にお尋ねをいたします。この前の伊豆災害のとき等に、風水害被災部落農林総合対策費補助金交付要綱というようなものが作られたのですね。あるいは風水害対策諸費補助金交付要綱というようなものを作られて、特に部落の農業施設あるいは柑橘の貯蔵庫の設置とか、そういうふうなものについて国庫補助をされているわけです。それからまた、特に苗、種苗の購入等について補助をしている。従来、したわけですね。今度の場合でも特に私たちの方からいえば、ミカンの貯蔵庫というようなものを新たに設置するとか、あるいは、ミカン、茶等の畑が流失してしまったというような点から、その苗木の購入というものは相当大きな金になるわけです。で、昭和三十三年には農作物の被害の応急復旧として病虫害の防除の薬、それからまた、樹勢回復の肥料の補助等もその交付要綱で実施をしたわけです。こういう問題については今度の被害の際にもこういう交付要綱を作って、こういう点を検討をして実施をする、そういう用意を持っておられるのかどうか、この点について御意見を聞きたいわけです。特に、この際、土地改良を実施をしていかなければ、農地の復旧の完全な復旧ができないというような条件の中にあるので、こういう点については従来とられた措置をこの際行政的に措置をされたいと思うのですが、こういう点についてはどうですか。
  72. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 伊豆災害補助要綱につきましては、農地局とか、あるいは振興局その他経済局のいわゆる補助を集めまして、まとめて出した要綱だと存じます。その中に、農地局関係といたしましては、農地、農業施設というものが含まれたわけでございますし、それからただいまミカンの貯蔵庫といったような、あるいはお茶の加工場、あるいは貯蔵庫といったような共同施設は、これはやはり暫定法の関係になりますが、経済局の方の補助ということで入ったわけでございますし、また苗木の樹勢回復の病虫害防除あるいは追加肥料の投与、あるいは流失、埋没いたしました水田の植え直しの苗の各県から持ってきた輸送費、そういったものは振興局の方から要求いたしまして出したものをやはり一括して補助要綱の中に収集いたしたと存じます。  それで、共同施設的なものにつきましては暫定法にございますのでこれを適用していけばいいのじゃないかと、こういうふうに考えておりますが、病害虫防除といった点、あるいは種苗の関係につきましては、水稲につきましては、最近は御承知のように植付が早くなってきておりますので、植え直しというようなことはできないと存じますが、茶木あるいは果樹の苗木といったようなものにつきましては、振興局におきましてただいま検討いたしておると存じますが、詳しいことは所管が違いますので存じませんが、いずれまた調べてお答えいたしたいと思いますが、検討しておるように伺っております。
  73. 松永忠二

    ○松永忠二君 災害のつどにこういうふうな補助金交付要綱というようなものを作られて検討されるのですか、この点はいかがですか。
  74. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) ただいま申しました、振興局関係の種苗の関係、あるいは樹勢回復の病害虫防除の薬剤の関係、あるいは樹勢回復の肥料の関係等は当初予算に入っておりませんので、これを要求いたしますにつきましては、そういう補助金なり予備金なり、補助がつきました場合に補助要綱を出す、こういうことに相なっております。
  75. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、今のお話だと、特別措置の法律ができるとそれに基づいて交付要綱ができると、だから別個にそういう交付要綱をこしらえて、そういう点について行政措置をするということはやらない、こういう話なんですか。
  76. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 種苗とか、あるいは病害虫防除は特別法を作らなくても、予算措置ができますればその予算措置に基づく補助要綱、こういうことに相なるわけでございます。特例法のあるなしにかかわらないと存じております。
  77. 占部秀男

    ○占部秀男君 災害関係で関連して一言だけ大臣にお伺いをしたいと思います。  それは、さっき松永さんの御質問に対して大臣の方から、一々特例法を設けるようなことをせずに基本法的なものを作ってそのときに応じたその一つの適用の仕方でやっていかなくちゃならぬじゃないか、こういうような点について政府としても検討しておるというお話で、非常に私たちはけっこうだと思うのですが、その際に、これは特に一つの要望的な形にもなると思うのですけれども、救助法の関係にして、また災害復旧のいろいろな関係にしても、八割以上はやはり都道府県、市町村、いわゆる地方団体が現実には仕事をするわけです。そうした場合に、最近のここ二、三年の災害関係の経験から見て地方団体が一番困るということは、いろいろありますけれども、私は三つ大きな問題があると思う。従来の災害問題と、終戦前のいろいろな文献を調べましても、違った形の問題があるんじゃないかというように感じるのですが、第一番は、終戦後の台風集中豪雨というような関係から、そうして終戦当時から引き続いたいろいろな山やその他の荒廃的な事情から、特に山村関係の小規模災害が非常に大きくなってきておる。そこで、小規模災害についてはいろいろな補助の制限基準、これが相当実情に合わなくなってきているんじゃないかという点をわれわれは地方を視察して特に感じるわけなんです。こういう点、特に基本立法を考える場合に、実情に合うような形に一つ検討を願わなくちゃならぬじゃないかという点が第一点なんです。それから第二点は、救助法関係なんですが、これは作業の上からも、市町村の財政の上からも非常に困ることは、補助基準が相当実態に合わないという問題があるわけなんです。それから緊急の場合の、たとえば救護物資の問題であるとか、緊急作業のいろいろな計画的な問題が非常に立ちおくれる、こういう点もやはり前もって相当考えてもらわなくちゃならぬじゃないかという点が第二点です。第三点は、最近の問題として一番われわれが考えなくちゃならぬことは、個人災害ですね、個人災害の問題が相当社会問題的に大きくなってきておるという問題なんです。救助法関係の当面のほんとうの緊急の問題以外には、従来の災害復旧の問題は、何といっても公共土木中心災害復旧の関係の立て方がされておるのですが、やはり個人災害の面についても相当広範囲な、しかも、今の社会情勢からしてなかなか立ち上がれないような事情が個人々々の上に大きくおおいかぶさっているという事情もあるので、結局この問題もちゃちな形ではあるけれども、当該県市町村で何らかの形をとるということで、今減税関係その他ありますけれども、やはり個人災害の問題についての見舞というか、補償というか、そういう点も福祉国家の建前からいって入ってもらう必要があるんじゃないかということを特に感じておるのですが、そういうような三つの特に感じられた点について、基本法を作られるときに大きく留意してもらわなくちゃならぬじゃないかということを感じるのですが、大臣の御意見がありましたら一つお伺いいたしたいと思います。
  78. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) ただいま占部委員の御指摘になりましたような終戦前の災害と終戦後の災害とは非常にその様相が違ってきております。特に戦時中山林の伐採をむやみにやりました結果が戦後の災害に非常に如実に現われてきているような感じがいたします。御指摘の第一点の小規模の災害問題でありますが、これもまことに今の制度では非常に不十分だと思います。また災害救助法関係は、これは厚生省の所管でございますけれども、災害の実際にあたりましてその実情に沿わないような点があることも私どもよくわかるわけであります。第三の点の個人災害でありますが、これまた現在では租税の減免でありますとか、あるいは住宅の金融、融資でありますとか、そういう点ではある程度措置はとられておりますけれども、まだ不十分な点があることも十分わかるところであります。そこで災害基本法の問題でありますが、これは実は所管が御承知のように各省にまたがるわけでありまして、自治省は地方財政の立場にございますから、いわば世話役というようなつもりで、今自治省で一応の案を検討いたしております。そういう際には、今御指摘の点も十分検討の中に加えて参りたいと思っております。
  79. 占部秀男

    ○占部秀男君 特に大臣に所管違いの問題までここに言うということは、現実にやるのは地方団体なんですから、現実にしわ寄せが来るのは地方団体ですから、特に自治省の方でもそういう点がんばっていただきたいというふうに考えてお願いしたわけです。この問題についてはこれで……。  次に、実はこの前の委員会のときに私おくれてしまって、大臣からお話があったかもしれないのですが、実は聞き漏らしたものですから、特に前大臣の時代から問題となっておりました問題について二、三、時間の何かあれがあるそうですから、大ワク的に簡潔にお伺いしたいと思いますが、それは地方公務員の退職年金の法制化の問題なんです。前回ああいう形になっているわけですけれども、これは一体最近の機会に国会の方に法律問題として出すのか出さないのか、そういう点について自治省の方できまっておればお伺いいたしたいし、また、きまっておるとするならば、現在の作業状況の問題ですね、簡単に一つお伺いしたいと思うのですけれども。
  80. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 地方公務員の退職年金制度は今現実に自治省で相当検討を進めておりますけれども、御承知のように、昨年の二月に地方制度調査会の答申が参りました。その答申に基づきますと、国家公務員並みの退職年金制度を設くべし、しかも、その答申の附帯決議といたしまして、法律を立案する場合は、関係地方公共団体を初めといたしまして職員団体その他の公務員の意見を十分聴取して、そうして結論を出してもらいたい、こういう答申があったわけであります。そこで、自治省といたしましては、今関係団体にいろいろ意見を問い合わせております。すでに職員団体等ではごく最近でございましたが、私のところに数名の代表の方が見えまして、いろいろ職員団体としての希望の申し出がございます。その他の地方団体につきましても、だんだんと意見が出てくると思います。これらの意見を十分調整いたしまして最後の結論を得たい、かように考えているわけであります。大体改正の基本的な考え方としては、むろん国家公務員並みに制度を樹立していきたい、こういう考え方でございます。ただ具体的な問題になって参りますと、現在は御承知のように、地方団体では恩給制度をとっているところもありますし、また条例によりまして退職年金制度をとっているところもあり、非常にばらばらでございます。そこで、新制度を作ります場合に、切りかえの問題が一つ非常にむずかしい問題として残ると思います。こういう点につきましても、十分に関係団体の意見を聴取して最後の結論を出したい、こういうふうに考えているわけであります。なおまた、せっかく地方公務員の年金制度を作りましても、ただ地方団体関係の職員諸君の関係、これだけで制度を運営するということは私どもはできませんで、少なくとも国が相当程度の負担をし、また事務費等については国が全額負担することにする、こういうことも基本的に考えております。従って、そういう線で目下大蔵省にも予算折衝を始めつつあるところでございます。なお、できるだけこの制度は自治省としては次の通常国会におきまして提案をしたいという意図のもとに今着々と準備を進めております段階であります。
  81. 占部秀男

    ○占部秀男君 この問題で特に今各地方を歩いてみますと、職員の中で問題点になっておりますのは二つあるわけでありまして、一つは、やはりこの既得権を守ってもらわなければならぬ、法制化する機会にこの現在の既得権が破れて悪い状態になってしまうというようなことはこれはどうしても職員としては耐えられないところであって、既得権はやはり守ってもらうようにしてもらわなければならぬということが一つと、それからもう一つは、先ほど大臣も言われました例の国からの補助金といいますか、何といいますか、事務その他、金ですがね、これはやはりどうしても当然、当然といってはおかしいのですが、やはり事の性質から見てこれを離して提案されるようなことは万々ないとは思うのですけれども、そういうような点が非常に特に注意されて、注目されている点なんですが、こういう点について一つ大臣の簡潔な御意見を伺いたいと思うわけです。
  82. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 今御指摘の二点につきましては、第一点の、既得権をなるべく尊重してもらいたい、これは最近職員団体からも見えまして、この点は非常に強調して参りました。ただ具体的な問題になりますと非常にむずかしい点があるようです。そういう点もぜひ事務的にも十分検討いたしまして御希望に沿うようにいたしたいと思います。  なお国庫負担の問題でございますが、これは私はこの制度を立てます一つの前提条件くらいに考えております。国が全然負担せぬでこの制度を地方団体と職員諸君の掛金だけでこの年金制度を作るということは私は適当ではない、かように考えております。従いまして、予算獲得にはできるだけ努力を払いたいと思っております。
  83. 占部秀男

    ○占部秀男君 それから第二の問題として、最近各六団体その他の職場へ行くと、六団体の方でも二、三問題があるようでありますが、四、五年前に地方公務員法を改正して定年制を設けようという動きがあったわけです。この定年制の問題はいろいろと問題があると思うのです。われわれはもちろん反対なんですけれども、ただ最近の情勢として、何か近い国会にこれを出してくるという自治省の考えであるというようなことが地方へだいぶ宣伝されているようなんですが、われわれは反対の立場からというだけでなくて、やはりこういうような問題がかりに問題になるというような場合には、たとえば今言った地方公務員の退職年金の制度であるとか、いろいろな問題が整備されて後でなければ、こういう問題は一体常識的に見ても日程に上るべき問題ではないとわれわれは考えているのですが、何かそういうような動きが自治省として緊急にやるというような動きがあるわけでございますか、その点一つ伺いたいと思います。
  84. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) ただいま御指摘の通り地方公務員の定年制の問題でございますけれども、第二十六国会で地方公務員法の改正案が、当院では可決になりまして、衆議院で審議未了になったいきさつがございます。なお引き続いて地方団体から非常に毎年々々強い要求があったことも御承知通りであります。しかし、この問題は、今占部委員からお話のございました通りに、公務員の退職後の何といいますか、生活保障といいますか、こういう基本的な問題にも関連いたすわけであります。従いまして、地方公務員の年金制度と同時か、あるいはまた、そのあとか、少なくともこの問題——年金制度をやらぬで定年制だけをやるというのは、私は適当ではないのではないかと、私自身はそういうように実は考えております。なおまた、出すとか出さぬとかいうことはむろんきめておりませんし、十分に検討させていただきたいと思います。
  85. 占部秀男

    ○占部秀男君 これは一つ、私の質問したことが呼び水的になっては困るので、その点はよく実はお願いを申し上げておきたいと思うのですが、最後に、給与関係の問題で一つ高橋大臣にもおいで願ってお伺いしたいのですが、この前の委員会で給与問題については奥野財政局長とそれから藤井行政局長からいろいろと御答弁も願っておるので、これ以上あまり今の作業の段階ではあれしたくないと思うのですが、大ワク的な問題だけ二、三両大臣にお尋ねしておきたいのですが、第一は、実施をする場合の——これは勧告案がそのまま、給与法なんかがどうか別でありますけれども、実施をする場合の財源関係の問題なんですが、先ほども石原前大臣がこの院の調査報告をなさいましたが、その中にもたしかあったと思うのでありますが、今県市町村に行ってみると、給与勧告に関してやはり国から財政措置をしてもらわなければ、とうてい今の大部分の県市町村の財政の幅では、結局国家公務員の方は上がるけれども、地方公務員の方は上がらない、あるいはまた完全に実施ができない、こういうような描かれたもちのような形になってしまう。何としても財政措置といいますか、財源を確保するという問題は、今地方の方ではむしろ案の内容よりはその方が先だというような状態で、今報告にもあった通りです。そこで、この点についてはやはり国家公務員と地方公務員の間に不平等があるというようなことは、これは国の給与政策の上からいってもとらないところであると私たちは考えておるのですが、その点について特に両大臣の方から、これは自治大臣の方は当面のあれですが、高橋大臣の方も給与担当である以上、無関心ということにはならぬのでありまして、この点については御意見を承っておきたいと思います。
  86. 山崎巖

    ○国務大臣(山崎巖君) 人事院の勧告につきましては、むろん国家公務員について勧告案を実施します場合におきましては、地方公務員もこれにならいまして当然に国家公務員並みにやってもらいたい、これが私どもの考え方であります。ただ率直に申し上げまして、この問題は地方財政に非常な重大な影響を及ぼします。ただいまの計算によりましても、年間を通じますと六百二十億の地方財政の膨張に相なるわけでありまして、まだ来年度地方財政計画全体を十分検討いたしておりませんので、自然増収その他がどういうふうになるか、大体の数字は出ておりまするけれども、まだ最後的な決定をいたしておりません。しかし、何と申しましても六百二十億という人事院勧告に基づきまする給与べースの引き上げの財源につきましては、最後にあるいは交付税の税率の引き上げでありますとか、その他の方法によらざるを得ないのではないか、かように考えておりまして、今その点につきましても検討を続けておりますようなわけであります。
  87. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) お尋ねの公務員の給与でございますけれども、今回の人事院の勧告は国家公務員に対してなされたのでございますが、われわれといたしましては、形式上あるいは法律的にはどうあろうとも、実質的にはやはり地方公務員というものは国家公務員に準じてこれは給与されるべきものである、こういう観点に立っておるわけであります。ただいま自治大臣からもお話がございました通り、われわれといたしましても、やはり一番問題は、この間も内閣委員会で答弁いたしたのですが、むしろ地方財政に及ぼす影響、そこいらの点をこの勧告案の実施にあたってどう調整をしていくか、それが一番問題であり、かつまた、御承知通り国家公務員の場合と違って地方の公務員の場合ですというと、いわゆる地方財政と一口に言っても各府県、各市町村みなそれぞれの財政的な違いがございますので、そこで、自治省とも十分連絡をいてしまして、そこいらの実態を、地方財政に及ぼす影響等を十分把握いたしまして、そうしてこの問題を、その点を十分考えて取り扱いたい、今そういうことで事務的に検討いたしております。そのような事情でございまして、われわれといたしましては、どこまでも国家公務員に準じた地方公務員の取り扱いを、あるいは給与の引き上げ、そういうものを十分勘案していきたい、こう考えております。
  88. 占部秀男

    ○占部秀男君 これが最後ですが、その次の問題は、給与法が通ったあとの問題になるわけなんですけれども、地方に対する給与のあり方の方針の問題なんです。これは前回の藤井局長との中でも、一応その問題点が出ているのですが、特にこれは高橋担当大臣にお考え置きを願いたいことは、地方公務員の場合には、もちろん国家公務員の給与に準じた扱いを原則的にはされておる。ただ職場の姿が、たとえば市のような場合には、国のような場合と違って、初めからその市にずっと来ておるという家族的な形が何としても流れておる。そこで、国家公務員の給与表をそのまま機械的に押しつけてもなかなかはまらない実態が出てくるわけなんです。特に県や六大都市の場合は別ですけれども、中小都市の場合は例外なくといっていいほど国家公務員よりは給与が低いわけですね。そういうような場合に、低い中で、しかも、今度の給与の切りかえがあると、こういう場合に格づけやいろいろな問題で、給与の低いやつを国家公務員の給与に近づけようという動きが率直にいえば出てくるわけです。そういうような場合に、やはり担当大臣の方から、自治省の方の従来の形を機械的に国家公務員の今度の給与法の形で縛った形でやられてしまうと、これはトラブルがあちらこちらに出てくるということが予想されるわけです。こういう点については、自治省は従来からやっておるのですから、万遺憾ないと思いますが、ただ担当大臣の方で、機械的にこれを縛られてしまうと、問題を大きくするだけになってしまうので、そういう点はやはり弾力性のある扱いを自治省の方と一緒にしていただかなければならないと思うのでありますが、その点いかがでございますか。
  89. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) 今お話のように、若干、特に末端行政におきましては、そういうような沿革的な理由で、地方公務員がある程度低位に置かれておるという事実はわれわれも承知しております。しかしながら、事務の内容から見ますと、国家公務員と何ら異ならない、むしろ末端行政であるだけに私は勤務の内容は過酷であり、また過重である部分が相当多いのじゃないかと思うのです。これはむしろ財政が許すならば、進んで改善し、十分顧慮を払うべきものだと思います。従って、われわれも今回の実施にあたりまして、機械的にベース・アップの分だけをどうというような考えはございませんで、これは十分地方々々における従来の状況及び今後の方針等を実情に沿うて取り扱うべきだと考えておる次第でございます。これらにつきましては十分自治大臣と御相談申し上げて、われわれといたしましても適当な措置をとりたいと思っております。
  90. 占部秀男

    ○占部秀男君 あとの点については、一つまた政府の方の作業の進度に従って質問さしていただきます。きょうはこれくらいで……。
  91. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 高橋大臣に政府の勧告の取扱いについて一点だけお聞きしたいと思いますが、何か最近、実施の時期を、勧告はしますがということなっていますが、おくらして、十月とか、あるいは来年の一月とかというようなことでやられるのじゃないかということが世上にいわれておるようでありますが、そういうことについて、現在の検討の過程でどのようになっておられるのか、もし聞かしていただければお聞かせ願いたいと思います。
  92. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) われわれといたしましては、実施の時期も含めて人事院の勧告を尊重する、こういう線でいっているわけです。ただ先ほど申し上げました通り、特に私といたしましては、地方公務員の給与関係地方財政に及ぼす影響がどういう工合になるのか、それをどう国がめんどうを見るのか、そこいらとのかね合いが総合的にいって問題である。従って、実施時期を切り離してこれをいつにするとか、あるいは人事院の勧告の内容にわたってどう取り扱うか、こういうようなところまでは今行っておりません。しかし、一括いたしまして、われわれといたしましては、実施の時期も含めて人事院の勧告を尊重する、こういう建前のもとに今作業をしておる、こういう実情であります。
  93. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 ただ心配なのは、地方財政との関係から、何かお話によれば、場合によってはおくれることもあるのじゃないかというようにも聞き取れるようなことがあるのですが、しかし、大臣は最後に、実施の内容、時期を含めたそれを尊重して、それをめどに今仕事を進めておるのだ、こういうことをおっしゃっておりますから、そういうふうに考えてよろしゅうございますね。
  94. 高橋進太郎

    ○国務大臣(高橋進太郎君) 先ほど申し上げました通り、政府といたしましては、そういうような一般会計の財政及び特に地方財政の方にも総合的な判断を下す必要がございますから、従って、政府としての統一見解をここで今私として申し上げるという時期には、もう少し事務的に時間がかかる。しかし、私といたしましては、先ほど申し上げました通り、実施の時期も含めて人事院の勧告を尊重するという線で努力したい、こういうことで御了承願いたいと思います。
  95. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 くどいようですが、大臣、私としてはというのは、政府の担当大臣としてですから、そういうふうに私は理解しておきます。よろしゅうございますね。
  96. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 本日の質疑はこれをもって終了いたします。次回の委員会は臨事国会召集日の前の日に開会の予定でございます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十八分散会