運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-09-01 第35回国会 参議院 建設委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年九月一日(木曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     稲浦 鹿藏君    理事            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            大沢 雄一君            田中 清一君            西田 信一君            内村 清次君            武内 五郎君            永岡 光治君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   事務局側    常任委員会事務    員       武井  篤君   説明員    経済企画庁総合    開発局長    藤巻 吉生君    通商産業省企業   局工場用水課長  藤岡 大信君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 高野  務君    建設省住宅局長 稗田  治君    建設省営繕局長 桜井 良雄君  参考人    日本道路公団副    総裁      上村健太郎君    日本道路公団計    画部長     藤森 謙一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告   —————————————
  2. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  本日は、先般実施いたしました委員派遣について報告を聴取することにいたしたいと存じます。  それでは初めに第一班三陸地方開発状況調査につきまして、報告をお願いいたします。
  3. 田中一

    田中一君 私は武藤安田委員とともに、去る八月十七日より二十三日までの七日間にわたり宮城岩手青森の三県、特に三陸沿岸地方を中心にその開発状況、及びチリ地震津波による災害復旧状況、並びに津波対策事業等につき調査いたして参りました。以下御報告いたします。  初めに開発状況について申し上げます。御承知通り三陸地方はその豊富な天然資源天然良港を持つにもかかわらず、近年まで政治的に顧みられることなく放置され、経済的にも文化的にも最もおくれた未開発地域であります。これは当地方地理的悪条件はもとより、道路鉄道港湾等輸送施設の不備が最大の原因であるといえるのであります。今日、未開発地域開発が国家の重要施策として取り上げられ、国をあげて開発事業が行なわれているとき、この三陸地方もまたその例外ではないのであります。三陸地方開発でまず第一に取り上げなければならないものは、交通施設整備であります。以下その現況について申し述べます。  当地方道路の主体をなすものは、沿岸部を縫うところの二級国道八戸—仙台線と、これから分岐し、日本のチベットと称される北上山脈を経て内陸部とを結ぶ数本の横断線であります。二級国道八戸—仙台線宮古釜石大船渡等沿岸都市を連係し、仙台にて一級国道四号線と合する産業経済交流発展上重大な役割を果たす重要路線であります。この路線の大部分を占める岩手県下の状況を見ますと、その延長三百三十一キロ、うち改良済み区間が四十五キロでわずか二二%にすぎず、他はすべて幅員狭小屈曲部多く、中には幅員二メートル程度の自動車交通不能区間が二十二キロもあります。また沿岸地域内陸部を結ぶ横断道路地下資源林産資源等開発内陸部との交流等の重要な役割を持つ道路であります。この横断道路一つである県道釜石—盛岡線には、昨年八月、道路公団による有料道路仙人トンネルが開通し、釜石—盛岡間は距離約九キロ、時間約三十分の短縮となり、そのスピード化は当地方開発に大いに貢献するものと期待されております。しかしながら本路線においても仙人トンネル—釜石間が未改良で、とうてい今日の交通需要には応じ切れない状態であり、二級国道宮古—盛岡線県道水沢—大船渡線等いずれも未改良のまま放置され、その効用を完全に発揮しているもの皆無であります。一方、鉄道においても、大船渡—釜石間、宮古—久慈間が未開通となっており、縦貫鉄道建設要望されております。  このように当地方における陸上交通施設はその一部を除き、全く放置されたままとなっており、このことがこの地域開発に与える障害ははかり知れないものがあります。最近東北縦貫自動車道建設の声がとみに高まっているやに聞いております。私はもちろんこれに異論を持つものではございませんが、むしろ三陸地方後進性を取り戻し、産業経済発展をはかることの方が優先すべきものと考えるのであります。また三陸縦貫鉄道建設も必要不可欠のものでありますが、道路緊急整備こそ三陸地方開発の基本でなければならないと考えるものであります。  次に、港湾整備状況について申し上げます。当地方は特有のリアス式海岸線を形作り、そのため数多くの天然良港を持っているのでありまして、これらの港湾合理的利用は、陸上交通施設整備と相待って、当地方開始のかぎとなっております。南は塩釜港から北は八戸港に至る三陸沿岸の諸港湾においては、それぞれ接岸能力増大等計画をもち、単なる漁港としての機能から脱皮し工業港への方向をとっており、そのすべてが埋め立て等による工場用地造成をはかっております。しかしながらこれらの計画は各都市それぞれの立場から計画され、その個々の町の発展策としてのみ考えられているきらいがないでもありません。港湾の修築、新設事業は多額の投資を必要とするのでありますので、これら港湾計画は他の交通施設近隣港湾後背地等の関連において、その経済圏全体の立場から港湾機能規模等が決定されるべきものと考えます。  三陸地方開発のための事業としては以上の交通施設整備のほか、災害防除水資源開発のための治水事業があります。三陸地方における河川中小河川でありまして、そのほとんどが未改修であり原始河川そのままの姿で放置されております。当地方河川災害のない所といわれておりますが、むしろ災害対象となる施設がないといった方が妥当でありましょう。今後災害防除はもとよりのこと、工業化要請にこたえ工業用水等水資源確保をはかる上からも治水及び利水事業促進が望まれる次第であります。以上、三陸地方開発に関する公共事業について申し述べましたが、これら公共事業のほか、三陸地方開発に大きな役割を果たすものとして東北開発会社北海道東北開発公庫がございます。開発会社東北産出天然資源利用事業工業用土地造成事業を行なっており、現在の事業直営工場四、投資会社十二となっており東北産業の振興をはかっております。開発公庫東北地方に所在する工業設備資金等の融資を行なうことにより、それら工業の育成を行なっております。この資金利用状況を見ますと、東北地方産出天然資源開発利用工業が最も多く、このことは東北地方のこれら資源開発利用重要度がきわめて大きいことを表わしております。  最後チリ地震津波による災害復旧津波対策について申し上げます。津波による公共土木施設災害復旧についてはすでに応急復旧をほぼ完了し、これから本格的な復旧の段階に入るところでありましたが、地方における関心はむしろ津波対策事業に向けられておりました。各地における対策事業計画は、湾口に防波堤を築造しようとするものと海岸線防潮堤を築造し、河川堤防かさ上げとあわせて津波防除しようとするものの型式があります。これらは技術的な面及び経済効果の面からもなお研究がなされるべきであると思います。また津波対策としては、たとえば中高層住宅海岸の前面に並べる等の方法が当然考えられてよいのではないかと思うのですが、残念ながら、災害公営住宅割当を見ると宮城県においては本年度分三百二十六戸、うち木造二百十七戸、簡易耐火百十六戸となっており、岩手県等においても同様鉄筋構造割当は一戸もありませんでした。なお当地方は地形的に非常に複雑な海岸線を形成しております。これに加うるに行政的に建設、運輸、農林の各省が海岸法港湾法漁港法等によってその主管を主張し、側面より見ますればはなはだ複雑な様相を呈しております。三陸のごとき特殊なる地帯、ことに歴史的に大津波に襲われている地帯に対しては、さらに総合的な施策を必要とするのではないかと考えた次第であります。要するに三陸地帯日本における後進地帯の典型的なものであり、その開発の根幹はまず交通路整備にあります。これと津波地帯という非常に特殊な性格を持っている地域であるから、津波対策をも急速に推し進めるのでなければその開発の実は上ってこない、かように確信するものであります、  なお各地における要望等につきましては、お手元資料で御承知願いたいと思います。  以上報告を終わります。
  4. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に、第二班の中京及び京阪神地区臨海工業地帯建設事業等調査につきまして御報告をお願いいたします。
  5. 田上松衞

    田上松衞君 第二班は、中京及び京阪神地区臨海工業地帯埋立造成事業並びに高潮対策事業名神高速国道等道路建設事業等をおもな調査対象として、去る八月二十二日から二十七口まで六日間、稲浦委員長小山委員及び私が行って参りました。その経路、視察個所等についてはお手元に配付いたしました日程表等で御承知をいただきます。以下今度の調査で問題と感じました二、三の諸点について申し述べます。  その第一は、臨海工業地帯造成事業、特に埋立計画工業用水との問題についてであります。まず当該地元における埋立計画について見ますると、伊勢湾に臨む中京工業圏におきましては、名古屋港から知多半島に沿う南部地帯で五百七十万坪、名古屋港から海部、鍋田海岸にかかる西南部地帯で六百三十万坪、衣ケ浦湾、半田、武豊地区及び新川、大浜地区地先で合わせて五百六十万坪、また特に石油化学工業地帯を形成しつつあるところの四日市においては、午起地区で二十万坪、石原地区で十三万坪、これは現在埋め立て中で、それぞれ大協石油石原産業用地として行なわれていますが、さらに第二期計画として霞ケ浦、富田浜地区に約二百三十万坪の埋立計画があります。  阪神地区について見ますると、大阪港の南港水域に約百七十四万坪、堺が第一期計画で三百万坪、第二期計画で百五十万坪の計画があり、また尼崎、西宮、芦屋から神戸に至る臨海水域で八百万坪に及ぶ計画があります。播磨地区においては加古川、高砂、姫路、赤穂の各地区で合わせて五百五十三万坪の計画があります。  これら臨海工業地帯飛躍的土地造成計画は、京浜、北九州とともに、四大工業圏としてわが国工業発展に即応しようとするものであろうことはわかりますけれども、一面工場立地に必要欠くべからざる工業用水の取水をどこに求めるか、臨海埋立による高潮災害の影響に万全の検討が進められているか、すこぶる問題があろうかと思います。例を地盤沈下の著しい大阪尼崎地区について見ますると、その原因工業用水及び雑用冷房用水のための地下水の揚水にあることが明らかにされ、地盤沈下防止条例が施行されているのでありますが、給水施設の及ばない地域事業者に対して規制することができない状態に置かれています。一方給水源の抜本的な確保のためには琵琶湖の総合開発の結果に待たなくてはなりません。この事態に地盤沈下をさらに促進する因となりかねない臨海の大埋立造成を行なうことは、どういう結果を招来することになるでしょうか。深くかつ高く検討を要する問題であると思います。  第二は高潮対策事業進渉状況についてであります。伊勢湾高潮対策事業について見ますると、建設省直轄施行分については七月末で四一%、年度末で六三%の進捗率となりますが、愛知県及び市町村事業分については年度末、建設省関係で三六%、運輸省関係で二三%、農林省関係で一五%という進捗率であり、三重県における場合においても二六%の出来高という状態であります。すなわち高潮対策事業の四十カ月施工年度割を見ましても、著しく実施額が不足するわけでありまして、緊急施工必要性から苦慮されているところであります。その工事施工状態におきましても、裏堤防土固めのままでありまして、きわめて憂慮されているわけであります。地元においては異常な努力を払ってすでに予算額一ぱい工事が進捗していることでありますので、年度内補正予算その他の対策が必要なのではないかと感じて参りました。  次に道路の問題でありますが、名神高速国道及び第二阪神国道は、その緊急性からいたしまして、早期貫通の必要上一段の配慮が望ましいことを痛感いたしました。  最後予定外ではありましたが、視察して参りました京都国立国際会館建設予定敷地について、一言申し述べたいと存じます。当地宝池予定地におきましては、その環境が静寂であるという一点だけでは異論がありません。けれども、当会館巨額の国費を投じて建設される国際的な、そして意義深い会議場である関係から、日本を代表する京都が世界に誇る風光明媚と、かおり高い文化を遺憾なく発揮して外国人の肌にも溶け込ますような場所、すなわち何びともがこれこそ京都ならでは求められないだろうと認められるような最良、最適の敷地が得られないものであろうか、この考えを深くすると同時に、これが目的と理想達成のためには、いたずらに予算にこだわるようなことは賢明ではないと痛感した次第であります。  以上で第二班の報告を終わりますが、ここに資料等がございますからごらんをいただきたいと存じます。
  6. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ただいまの報告並びに報告に関連した事項につきまして、御意見並びに御質疑の方は順次御発言を願います。
  7. 田中一

    田中一君 これは高野君、あれなんですが、今報告した中にある三陸線の二級国道ですね。これ一体いつ全通しようという計画になっているか。現五カ年計画の中にはどういうようにそれを証明しているんですか。
  8. 高野務

    説明員高野務君) 二級国道八戸—仙台線につきましては、この道路は非常に重要であるということで、ただいま回復整備をやっているのでございますが、はなはだ遅々としていますことは先ほどの御報告通りでございます。今年度宮城岩手両県にわたりまして、三億六千万円くらいの工事費を投じてやっているのでございますが、現在の五カ年計画ではとうてい五カ年内に——あるいは十数年たちましても整備できない状況でございます。従いまして、新しい五カ年計画では二級国道全般に十カ年で完成したいという気持でございますので、この新しい五カ年計画によりまして十カ年以内には完成したいと考えております。
  9. 田中一

    田中一君 二級国道制度を制定したのが、もう七年くらい前になりますけれども、当時きめた二級国道全通、むろんこれはせめて自動車が通るという問題ですが、全通していない路線があればそれを一つお示し願いたいのです。
  10. 高野務

    説明員高野務君) ただいま資料を持ち合わせておりませんので、後刻資料で申し上げたいと思います。
  11. 田中一

    田中一君 これはまあ行政面人たちばかり責めるわけにはいかぬかと思うけれども、これは長い間この三陸状態を見ようという希望を私持っておったのです。幸い今度いい機会があって見て参りましたけれども、まあ完全に内陸からは取り残された地域であるということを言わなければならないのは残念なんです、そして少なくとも車が通らない二級国道なんというのは——私はかつてこういうものを四、五年前に知っておりました。下関から山口までの間の国道が車が通れない。しかしながらバイパス的な産業道路はこれはりっぱに整備された道路を持っているということです。しかしこれは、じゃあ海岸線の、産業道路的な整備された道路というものが、一級国道かと申しますと、これは一級国道じゃない。しかしまあ幸いそういう並行線があるから……。一級国道が車が通れない。全くトラックじゃない乗用車が一台通ればもう何も通れない。人間交通ができないような個所があったということを知っておりますけれども、その後逐次整備されてきているだろうと思いますけれども、二級国道でそういう地点がありますか、ないのですか。これは道路局長、あなた資料を見なければならぬというのじゃなくて、当然全国の二級国道というものを握っているあなたとすれば、あるならある、どの辺にあるということ、わからなければならぬでいいと思うのですが……。
  12. 高野務

    説明員高野務君) 二級関道の中で不通個所になっておりますのは、秋田——盛岡線……、今すぐ調べますから。
  13. 田中一

    田中一君 私が指摘しましょうか、それじゃ。一体そんなことじゃいけませんよ。現に昭和二十八年に二級国道制度というものを法律改正して作って、二級国道にしたときにいろんな無理があったのです。これはたしか高野君まだ本省におったのじゃないか。それが知らないなんということはありようがないよ。それでこの多少無理があったということは、現に宮城県、岩手県、青森県の道路を担当している部局の中にも、この三陸仙台—八戸線が二級国道という指定をしたのが間違いではないかというような意見すら出ているのです。しかし私は行ってみてこれは当然しなければならぬことだと思ったのです。道路の形体をなしておらぬ部分が多いからそういう疑問が出る、道路をやめて鉄道を引いたらいいじゃないか、その方が早道じゃないかというようなことになるのだと思うのですよ。それが五カ年計画の中にこれがたしか二十八年に指定されたと記憶していますが、その五カ年計画、それがもう半ばを過ぎた今日、全通ですよ、いいですか、それが舗装するというのでないのです、全通です。ただ車が通れるか通れないかという問題ですよ。それが今まで放置されているということは、これは政治の貧困からくるものか、あるいはあなた方が技術的な良心、あるいは行政官としての良心を曇らして、あまり選挙民もおらないからこんな所うっちゃっておけということになっているのか。この点は、新しい十カ年計画を作る際に、重大な精神的な意思の決定というものがゆがんできては困るというようなことから、あえて僕はあなたに伺うわけなんですよ。同じような間違いを繰り返してはならぬです。道路なんというものは、実際に自分の行政的に把握している現状から総合的に判断を下して、決定すべき緩急を間違わないようにすべきものであって、政治家の圧力によって、いたずらに重複するような路線整備するなんという行き方は避けなければならぬですよ。そこにあなた方の、行政権というものを持っているあなた方の良心的な行動によってそれが是正されるのですよ。人間の多い所はより以上の整備方向に向かって進んでいるのです。しかし、この三陸地域というものは、別の意味の経済的な効果というものがあり得るのです。今すぐにでも資料を取り寄せて、この新十カ年計画に移行する、そんな抽象的でなく、具体的に質問しているのですから、あなたも具体的に答弁する義務があると思う。それを一つやっていただきたい。今資料がなければ追及しませんが。
  14. 高野務

    説明員高野務君) わかりました。
  15. 田中一

    田中一君 そこで道路公団に伺うのですが、道路公団一般会計でまかなおうとする、道路整備一般会計と申しますか、建設省が直接にまかなうというもの以外に、相当な関心をお持ちでもって、仙人峠というものが完成されたのは非常に幸いでございました。これも、いわゆる岩手県内における地方政治がこれを着手し、それを引き継いでやったというところに、早期完成ということができたものと思って喜びにたえませんけれども、まだほかに二、三の注目するような計画をお持ちになって調査しているものもあるように聞いております。そこで、それを御報告願って、それに対しては道路公団建設省許可といいますか、許可を受けて、実際にどういう形でもっていつごろまでにその仕事をしようとするか、まず一つお示し願いたいと思います。
  16. 上村健太郎

    参考人上村健太郎君) 今三陸地方におきまして、東北の東海岸道路に関連いたしますので、私どもで一番先に調査をいたしまして工事に着工いたしたいと思っておりますのは通岡峠トンネルでございます。これは大体大ざっぱな調査は済みまして、来年度において着工できるように建設省の方にお願いをしておる次第であります。
  17. 田中一

    田中一君 そのほかに、あなたの方で地元要請にこたえて調査をしようとするものはございませんか。
  18. 上村健太郎

    参考人上村健太郎君) 今私の聞いておりますところはございませんが、なお他の参考人から直接申し上げます。
  19. 藤森謙一

    参考人藤森謙一君) ただいま東北方面、特に田中先生からお話がございました八戸—仙台線につきましては、通岡峠以外には地元からの御要望ということも承っておりませんし、現在調査をやっておる所はございません。
  20. 田中一

    田中一君 高野君、あなたの方の建設省道路局で、道路公団にやってもらった方がいいというような道路考えている所はないですか。
  21. 高野務

    説明員高野務君) 八戸—仙台道整備において巨額を要する道路につきましては、有料道路を併用して整備促進をはかるということがいいと思いまして、先ほどの通岡峠調査をしているわけでございます。さらに、ほかに有料道路として適当な所があれば調査を進めまして、有料道路に採択したいと考えております。
  22. 田中一

    田中一君 それじゃこの八戸—仙台線については、私具体的な質問をしているわけですから、具体的に、現在やっているもの、これが新十カ年計画ではこういう計画であって、いつごろこれが全通するというような説明をしていただきたい。  そこで行ってみますと、ある町では鉄道がほしいのだと言うし、ある町では鉄道よりも道路がほしいのだというような意見があるわけなんです。私は、強く、三県の話し合いによって一番早く完成しようというような——鉄道公共企業体として独立採算でやっておりますから、赤字路線というものに対する建設は逃げようとしておる。従って、道路整備の方が先行するのではないかというような考え方をもって聞いておるのですが、それだけに建設省としても鉄道を引けばいいじゃないか、というような考え方が多少ともあるのじゃないですか。また鉄道との話し合いはどういうことになっておるのか。
  23. 高野務

    説明員高野務君) 私は、八戸—仙台線道路として早急に完成すべきものと考えております。また鉄道の方はただいまお話のように、採算の問題もございますと思いますので、それぞれの団体で検討すべきものと思いますが、私といたしましてはこの道路を早く完成するということを念願しております。
  24. 田中一

    田中一君 早く早くなんという抽象的な言葉じゃなくて今やっているんだから、何年かかって何年間、三十六年度にはこういう計画でこういう工合に実行したいのだ、けれどもあなたの部局でそういう気持でいても、大蔵省で聞かぬ場合もあるでしょうから。けれどもあなたの方の決意だけははっきりしなければいかぬと思う。予算に関する質問をしているのではない。事業をどう完成するかという質問をしているのだから、道路局長にすれば金に関係することじゃないから、こういう熱意をもってここまでするのだ、ということの意思を表明しなければならぬと思うのですよ。
  25. 高野務

    説明員高野務君) ただいま資料を取り寄せましてさっそくお答えいたします。
  26. 田中一

    田中一君 二十二キロの全然車の通れない道路に対してはどういう考えを持っております。
  27. 高野務

    説明員高野務君) この線につきましては、岩手県の田之畑が最後まで道の形をなしていない個所だったわけでございます。その他の所は曲がりなりにも車が通るという線路でございました。私どもといたしましては、田之畑をまず開通するということを目標にいたしまして、大体概算したところであります。それからさらに今までジープしか通れなかったものをトラックを通す。その次には乗用車を通すというふうな計画でやっております。
  28. 安田敏雄

    安田敏雄君 道路局長、私は田中理事のお供をして行ってきたわけですよ。私が痛切に感じたのは、たとえばあの気仙沼で九月三日から大型イワシが解禁になるわけです。そのイワシを取ってもこれを塩釜港へ持っていきますと、ガソリン代がかかったりなんかしまして一日延期になるので、その最盛期において、このイワシやサンマをみんな田の肥料に捨てちゃう。で問屋が引き取ってくれるのは一尾二円くらいなんだ。交通が非常に悪いから関東の地区へ出荷できない状態なんです。で、私たちの山梨県ですけれども山奥ですから、東京の人はその所得が多いだろうし、平均いなかよりか……。まあ東京出荷ということで新しいサンマが食えるわけだ。いなかへ行くときれいに鮮度が落ちちゃって、東京で食えるようなサンマが食えない。こういうことを考えてみますと、国民生活上重大な問題なんですよ。山奥の人は安い蛋白資源にありつけないということになるわけですね。そういうようなことを考えますと、どうしても東北のこの東海岸でとれる魚類を新しいうちに食膳に載せるということが必要になってくる。国民生活上そういう面からも私はそこの所の道路開発しなきゃいかぬだろう、こういうふうに考えておる。産業開発だとかあるいは工業の振興だとかいいますが、問題は流通の問題を考えて、需要供給の問題も私は考えるべきだろうと思う。でなかったらあそこの海産物は幾ら出しても死んじまう。そこへ一つ着眼して今、田中理事から質問したように、一体その五カ年計画の中で、大体三十七年度に実施していくのか、六年度調査を完了して三十七年度から実施していくのかどうかということの見通しを、はっきりつけなきゃいかぬだろうと思うのです。でないとわれわれが幾ら言っても、建設省で幾ら視察しても、結局それはから念仏に終ってしまう、こういう結果が出てくるのではないかと、こう思うわけなんです。そしてそのことをいつまでも放置しておくからいかぬ。従来の道路行政のあり方として政治的の発言力のある所は部分的に強化されている。そうでない所にはできない。もし建設省がそれができないとするならば、かりにあなたの方で計画を立てて、道路公団にバイパスであるとか、あるいはその他の有料道路ばかりやらせないで、二級国道改良舗装等を道路公団に積極的に依嘱してやらせるというような方法もあるだろうと思う。ですから問題は具体的な方法を進めていくということが私は必要ではないかと、こういうふうに切実に感じてきたわけなんです。これについて一つ考えを……。
  29. 高野務

    説明員高野務君) まさに仰せの通りでございます。ただいま繰り返して申し上げますが、資料をもちましてさらにもう少し説明を申し上げたいと思います。
  30. 西田信一

    ○西田信一君 適当な答えを下さる方がおられるかどうかわかりませんが、今第二班の報告を伺いまして、重要な問題を指摘されておるというように私は感じておる。私ども非常にこういう点を関心を持っており、心配をしておった一員でありますが、中京京阪神地区臨海工業地帯の、今御報告のあった数字というものは、私は合計すると相当な地域臨海工業地帯造成のために埋め立てが行なわれているというふうに伺ったわけですが、これが今既存の工業地帯でも一番問題になっているのは水でしょう、工業用水工業用水に行き詰っておる。そういうときにさらにこれは、まあ必要に迫られておることであろうと思いますけれども、このような広大な埋め立てを行なわれている。これはひとり中京、京阪神だけじゃなくて、全国的にそういう傾向にあると思う。ところがこれは水の問題を検討せずして、どんどん埋め立てが先行しておるということは問題だと私は思う。大きな問題だと思うのです。そういう点について一体建設省——もちろんこれは政府にお伺いすることでありましょうが、きょうは建設省しかおられませんから、建設省はどういうふうな一体考え方を持っておられるのか、このことは重大な問題であろうと思いますから、一つ政府の考え方——建設省というよりも政府の考え方をお伺いしたいのです。どういうふうなお考えですか。
  31. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 通産省の企業局の工業用水課長が見えております。それから経済企画庁の総合開発課長の藤巻君です。
  32. 西田信一

    ○西田信一君 それでは私は政府にお答え願うわけですから、そういう関係各省がおいでになるならその方から、お伺いしたい。
  33. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 建設省におきましては、従来からも洪水調節を兼ねた多目的ダムを建設することによりまして、各種の利水関係の水の供給といいますか、水の開発といいますか、こういう作業を盛んに現在やっておる最中であります。ただいま御指摘ありましたように、最近特に水の需要がふえて参りまして、全国的に大体五地区、関東の利根川水系、それから中京木曾川水系、それから、近畿の淀川水系、四国の吉野川水系、北九州で申し上げますと遠賀川、筑後川、こういう地区につきましては特に水の需要がふえて参りまして、その考え方を広い範囲に考えないとなかなか解決がつかない。つまり近所の川から水を取ってすぐ供給するという建前ではなかなかいかない、こういう情勢になって参ったわけであります。従ってそういう水の需要の点につきましては、関係の各省、通産、厚生これは上水道、それから農林省の灌漑用水、こういうようないろいろな点を私の方でお聞きをいたしまして、極力その需要に間に合うように、現在それらの地区におきましては、多目的ダムその他河口堰あるいは湖沼の開発、琵琶湖等の開発、そういうものを計画し実施の段階に移しておるところでございます。たとえば中京で申し上げますと、現在木曾川はほとんど開発をされておりますが、長良川、揖斐川、揖斐川は現在横山ダムというのを作っております。長良川につきましては河口に河口堰を作りまして、その余裕水を取るという計画で、これは現在調査をやろう、こういうことにいたしておるわけでございます。淀川につきましては、淀川水系の高山、青蓮寺、宇陀川等につきまして現在着工あるいは逐次着工いたします。なお大きな問題としては、湖沼、琵琶湖の開発あるいは淀川の河口から放水いたしております淀川の維持用水の活用、こういうような点について逐次着工して参りたいと、こういうふうに考えて着々実施中でございます。
  34. 田上松衞

    田上松衞君 多目的ダムを築造して、それでまあ将来のあれを防ごうというようなことについては、これはもう異論がないことだし、よくわかることですけれども、それよりか現在起っております、さっき報告ございました地盤沈下原因が、いわゆる井戸水の汲み上げによってきておるという状態、いろいろな場所をさっき申し上げましたが、こういうものに対する当面の対策というものはどうお持ちになっておりますか。
  35. 藤岡大信

    説明員(藤岡大信君) お答えいたします。現在地盤沈下が起っております尼崎大阪、川崎、名古屋等の地区におきましては、工業用水を早急に建設いたしまして、現在汲んでいる地下水の代替用水を供給することによりまして地盤沈下の影響を極力少なくする、こういう方向に進んでおります。来年度予算要求にもそれを大きく盛り上げてさらに推進いたしたいと考えております。
  36. 田上松衞

    田上松衞君 そういう程度の言いわけみたいなことでは現場は承服できないんですね。たとえば尼崎の例を考えてみると、すでに水面からマイナス一メーターという地域がたくさんあるわけなんです。これは膨大な地区にわたってそういう状態なんですね。それが今のような方法をとられて緩和されておるというけれども、たしか三百二十本の井戸を汲み上げているものの中でとめさせた数は三十本に足らない、一割に足らないんです。これではいつになったらあの沈下を防ぎ得るかということです。土地の人々は常に戦々きょうきょうの状態です。くどいようですけれども尼崎に行って一番感じますことは、一つ道を隔てましてあの西ノ宮ですかとの関係を見ると、あそこに行くと人間気持がどうにか落ち着いておるが、尼崎はそれこそ戦争当時にからだを投げ出して働かされた状態と同じように、日々の苦労というものが……。ほとんどどんどん沈下しております。たった十年足らずの間に一メーター以上沈下して広い地域がやられているのですから、もう津波であるとか高潮であるとか洪水とか、そういうようなことにあらずしてちょっとした潮のかげんでも一階はいうまでもなく、二階のところまで水びたしになっておる、そういうような状態で一生懸命心配しつつ苦労して働いておる。そこには平和も楽しみも何もないという状態がまざまざと見られるわけです。結局ここで一つ手を打っていかなければならない点は、この地盤沈下をどう防ぐかという問題、今のようなお話のただ川崎等と並べて言われるような一般的な問題ではなくて、もっと納得できるような方法はありませんか。
  37. 藤岡大信

    説明員(藤岡大信君) お答えいたします。東京、大阪尼崎だけは特におっしゃる通り地盤沈下の速度がはなはだしくて社会問題にもなって参っておることは今おっしゃった通りでございます。それで特に来年度からその地盤沈下対策としての工業用水事業促進する意味におきまして、来年度要求におきましてはこの三カ所につきましては防災工事と同じような補助率で要求をいたしております。その補助を要求するとともに、今おっしゃいましたような井戸の停止についても、特段の措置を考えたいというように今、よりより協議中でございます。現在尼崎計画をいたしております工業用水道は二十万トンの能力を持っております。これまでの対策といたしましてやりました工業用水道は六万トンしか能力がございませんでしたので、われわれが指定地域を指定いたしましてこの井戸をとめることに努力して参ったわけでございますが、全面的な代替ということにつきましては及ばない所がございます。現在工事中の水道が早期に完成いたしますと、この井戸を大部分とめることができるのじゃないかというふうに期待いたしております。何分にも遠い所から持って参るわけでございますので、その水源につきましてもいろいろ建設省等に御協力願いまして、水の確保等につきましても相当地元でも苦労いたしまして、建設に努力しておるんでございますが、補助率が現在はほかの所と同様に四分の一の補助しか出していないものでございますから、これにつきましては、特にそういう尼崎及び大阪、東京等につきましては、そういうことでは手ぬるいということを昨年来地盤沈下対策審議会の方からも御忠告がございました。来年度予算要求においては防災工事並みに三分の二の補助をしていただきたいという要求をいたしております。
  38. 田中一

    田中一君 関連して伺いますが、この春の通常国会で御承知のように地盤沈下対策の立法化をわれわれ進めてきた一人なんです。ところがどうも政府部内というか、与党の部内というか……日の目を見ずに終ってしまったようなわけです。この問題について幾ら今予算上どうのこうのというわれわれを期待さすような言葉を言ったところが、地盤沈下対策を立てようという意思がないと見る以外にないのです。だから今経済企画庁、建設省、それから通産省等は、現行法でもやれるものであるけれども、実際に東京、大阪、神戸、兵庫以外の地盤沈下に対しても、法律をもってこれを規制するということがなくちゃならぬと思うのです。そこに今までわれわれは二年も三年も前から苦労している。ところが君ら役人——役人というか、行政部内の反対でできないようにこれは聞いているんです。昨年の暮などは自民党の川島正次郎氏とも十分に話し合って、必ず出す、そう言うのでわれわれは出したのですっところが結局それが流産に終った。どこに問題があるか。これはもう三省から明らかにしてほしい。あなた方知っているはずなんです、みんな。これらに対する態度を一つ表明していただきたいと思うんです。
  39. 西田信一

    ○西田信一君 ちょっと関連。地盤沈下という今大きな問題にぶつかっておりますが、本質的な問題として、臨海工業地帯造成ということが各地で行われているが、これが工業用水確保と十分見合った計画であるかどうかという点に問題があると思う。そういう点にどういう……今、法的な問題について田中さんのお話がありましたが、私は地盤沈下という問題よりもさらにもう一歩進んで、臨海工業地帯造成、これは埋め立てだけじゃありません、すべてを含んだ臨海工業地帯造成ということが、まず工業用水確保ということと見合うところの計画であるかどうか。そういう点について一体確信ある事業計画が進められているかどうかということについて、政府はどう考えているのかということをお聞きしたがったわけです。
  40. 藤巻吉生

    説明員(藤巻吉生君) 地盤沈下の根本的な防止対策につきまして、政府の方でもいろいろ各省の間の意見を私の方で聞いてまとめようといたしたのでございますが、現在までのところ通商産業省、建設省その他、新しく立法をするということよりも、まず現存の法制の下において工業用水確保なり何なりをいたしましてやっていこう、こういう意見でございますので、まあ今までのところまだ地盤沈下防止の法律案をまとめるまでに至っておらないわけでございます。
  41. 西田信一

    ○西田信一君 さっき私がお聞きしましたのは、これは埋め立てというものは勝手にやるものではないのでしょう。それには一つ計画というものがあるのでしょう。はっきりした工業用水地帯造成という目的があるからには、水なしにはできないのだから、それに対して工業用水の供給とこれとは一体どういう関係に置かれておるのか、どういう計画のもとにこれが行なわれておるかということを解明しなければならぬのじゃないかということをお聞きしておるわけなんです。
  42. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 私の力の立場といたしましては、埋め立てその他の工業地帯におきまして将来水が幾ら要るか、こういうことを通産省からお聞きいたしまして、その計画に基づきまして、四十年あるいは四十五年を目標にして、多目的ダム、琵琶湖の開発を現在計画あるいは実施中でございます。従ってその要る量がどこの地帯にどの工場で幾らかということは、これは通産省の方の所管でございまして通産省の方でおきめ願ったその通りを受けてやっている、こういう次第でございます。
  43. 藤岡大信

    説明員(藤岡大信君) ただいま河川局長から言われましたように、われわれの方といたしましては、何年度にどの程度要るかというような工業用水の需要計画というものを出しまして、それについて建設省にお願いしておるわけでございます。阪神の工業地帯につきまして相当計画が進んでおるようでございますが、会社等の計画を聞いて参りますと、それほど早急にというものでもございませんし、昭和四十年度くらいに完成するとか、あるいは四十五年くらいに完成するというような計画も相当入っておりまして、現在、たとえば堺方面の計画につきまして、現在の計画を全部完成するには四十五年度くらいがせいぜいではないかというようなことでございますので、建設省の御計画になっておる川の水の利用について、あるいは琵琶湖の開発について大体テンポが間に合うのじゃないかというふうに考えております。
  44. 西田信一

    ○西田信一君 そうしますと、全国的な問題はしばらくおくといたしましても、ただいま工業地帯造成について現在視察をなされた報告では、工業用水との関係において不安があるというような御報告であったように私はお聞きしたのだけれども、これについてはこれだけの計画は十分工業用水確保できるという見通しが立っておって、何らの不安がないというふう受け取ってよろしいのですか。
  45. 藤岡大信

    説明員(藤岡大信君) 何らの不安がないと言われますと、ちょっとわれわれも不安がないわけでございませんので、おっしゃる通りに現在も水の点においては相当足りないのでございますので、これ全部計画通りに実施されますと相当問題も出てくると思います。その辺におっしゃる通りの問題は多少伏在はいたしておりますが、工業用水の需要量は相当大きゅうございますが、これは農業に比べますとそれほど大量の水でもございませんし、現在の琵琶湖の水の包蔵量及び建設省で御計画になっております江戸川水系の水の開発ということを全面的に考えますと、まだまだ水の点においてはそれほど日本の国というものは心配するほどでもないのじゃないか、ただこれをフルに利用できるかどうかという点につきましては、おっしゃる通り相当問題がございます。その点につきましては、関係各省の間でよくお打ち合わせいたしましてこの工業用水確保について努力をいたしたいと思っております。
  46. 西田信一

    ○西田信一君 大体わかりますけれども、私が心配していることは工業地帯という、おのずからそこにどういう工業を置けるということが大体あらかじめ予想されて工業地帯建設にかかるわけですね。従ってそこに所要の水の量を大体推定できる、そういう工業用水が供給可能であるかどうかということによって埋め立て計画というものが立てられ、面積もきまるということでないと、埋め立てをやったが、それについて何とかあとでもって間に合うように努力するということでは、ちょっと本末が違うのではないか、そういう考え方ですべての計画というものを立てなければならぬのじゃないか、そういうことについて万全が期せられておるのかどうかということをこの報告を伺って感じましたからお伺いしたわけで、これは一つやはり相当全国的な、日本全体の工業用地造成についてはそういう立場から十分な検討を遂げておやりにならないというと、将来に大きな問題を残すのじゃないかと感じましたからお伺いしたわけでございまして、一つそういう点は、政府でもそのためにはあるいは必要な立法措置、その他当然問題になってくると思うのですけれども、十分お考えになる必要があるのじゃないだろうかと私は感じましたので、希望を申し上げます。
  47. 藤岡大信

    説明員(藤岡大信君) おっしゃられますように、なるほどその問題は相当ございますので、わが省におきましても、そういう大工業地帯のみに集中して工事地帯を設けるということにつきましては、相当批判的になって参りまして、来年度施策といたしましては、低開発地域を主体とした工業用地の造成ということについて省をあげて力を尽くしていきたいというふうに考えております。日本全国を対象として水の問題を考えますと、まだまだ余裕はございますので、その辺の関係で大工業地帯における工業の育成ということばかりを考えるということについては批判的になって参りまして、わが省といたしましても、仰せのような線に沿って行政をやっていきたい、こういうふうに考えております。
  48. 田上松衞

    田上松衞君 大体、話が工業用水だけに限られたようなことで、それの対応策みたいに藤岡さんはおっしゃったようですが、私がさっき報告いたしました中では雑用水、それから冷房用水、都会ではこの問題も大きな問題なんです。特に大阪もよくおわかりだろうと思いますが、これらの水の消費量、井戸のくみ上げというものは実に大へんなものなんです。そうするとこれらを全部含んで、それで地盤沈下の大きな因をなしておることは、もう説明の要はないわけでありまするが、その点についてどういう対策をお持ちになるかということが一つ。それから主として工業用水に重点を置くといたしましても、さっきの藤岡さんのお話に問題をしぼりまして、琵琶湖の総合開発からこの水を求めようということになろうかと思うのですが、藤巻総合開発局長から率直に今の琵琶湖の総合開発についての見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  49. 藤巻吉生

    説明員(藤巻吉生君) 第一の冷房用水あるいは雑用水の問題につきましては、建設省の方からお答え申し上げることにいたしまして、琵琶湖の水の利用の問題でございますが、ただいま私の方でもいろいろと琵琶湖の水をどういうふうに利用したならばどういう影響が出るかということを調査しております。やはりただいままでわかっているところでは、一番むずかしいのは漁業補償等の各種の補償の問題でございます。これがうまく解決できますれば琵琶湖の水の利用も非常にうまくいくと思いますし、補償の問題がうまくいきませんと、水はあってもなかなか利用できないようなことにもなろうかと思います。一にかかって補償の問題をどう解決するかということにかかろうかというふうに考えております。
  50. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 琵琶湖の開発の点につきましては、現在私の方で治水十カ年計画の中で考えておりますのは、まあ利用の仕方は、これは主として湖水面を下げて使うという考え方で現在進んでおります。現在マイナス一メートルまで下げて利用するという計画は大体すでに完成をして、それによる水を使っておりますが、さらに一メートル三十まで下げる、あるいはマイナス三メーターまで下げる、こういうような点について現在極力調査中でございます。ただ御承知のようにいろいろな県と県の間の問題というような点も非常に好転をして参りまして、近いうちにはあるいは計画がまとまりまして実施の段階に移っていくのではないか、こういうふうに考えられます。これによりますと、まあマイナス三メートルまで下げますと、約五十ないし六十立米毎秒の水が利用できるのじゃないか、こういうような目標で進んでおります。
  51. 田上松衞

    田上松衞君 お聞きすれば聞くほど不安は深まってしまうわけなんですよ。工業用水課長のお話では、日本にはまだ水はたくさんあるのだと、大丈夫だ、心配しなくていいのだというふうなことになるわけです、お話は。ところが問題をしぼってきて、今当面しておりまするあそこらの問題、土地の人々が期待しておるところの琵琶湖の水位を三メーターも下げるという計画、しかしそれすらもようやく十カ年計画の中に組み入れられて、どうするかまだ検討中だと。われわれ現場に行ってその実情を実はよく知っておるわけですよ。なかなか一方をすれば一方の人々が反対いたしまして、よその土地どころじゃない、自分たちの農民がどうなるかという問題で、この見通しは明るいものではないはずだと、そういうようなものをもって、しかし琵琶湖なんという大きな水があるのだから、そんな心配しなくていいなんというのは、これは子供だましの話であって、そんなことで土地の人々は待ち切れるものじゃない。一方どんどんそれに伴って海岸の方の埋め立てば、さっき報告しましたような、実に何百万坪というようなものが先行して造成されておる現状なんです。一体それなら水が増すまで工場を実際にはそれじゃストップさせるのかどうなのか、さっきのお話では、いろいろ通産省との関係あるいは企業局との関係、いろいろなこういう間と、建設省話し合いをしながらというけれども、実態はそうではなくて非常な期待を持ち、一方ではどんどんいなかの方から工場を目ざして失業者といいますかね、仕事を求める人々はどんどんもうすでに集まってくるという現状の中に、十カ年計画の中に入れてまだ検討中で、しかも内容は、見通しは明るくないというような状態で、そんなことであなたこういう大きな問題が解決されるかということなんですよ。もっと的確に、こうであるけれどもこの地帯ではこうだというような確信というものはお持ちでありませんか。
  52. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) ただいま私の方でいろいろな上水道用水、工業用水のいろいろな御要望関係の省からとりまして、一応四十年目標と四十五年と二つに切って計画をし、実施中でございます。数字を多少申し上げた方がいいと思いますが、四十年までに新規の需要の目標としては約十四立米毎秒、これが実際に要るという御要望の数字でございます。それに対しまして現在高山ダムというのを建設をいたしております。それから宇陀川ダムというのも近く着工いたしますが、それによりまして約四立米の水が出ます。それから淀川の維持用水の活用、これによりまして約十トンの水が出ます。従って四十年の目標につきましては、十四立米に対して十四立米と、こういうふうに現在計画はマッチしております。それからさらに四十五年に目標をきめておりますが、これでやはり同じようないろいろな川水の要求が四十トンございます。これに対しまして現在計画をいたしておりますのは、さらに木津川水系に青蓮寺というのを計画しております。それから琵琶湖の第一期計画開発と申しますか、マイナス一メートル三十、これまで下げますと約三十立米くらいの水が生まれてくる、こういうふうにいたしまして、現在のところ一応四十年、四十五年でこういうような目標で進んでおります。  なお用水の御要望が逐次加われば、それに変更して、こういう水の開発計画も変更いたしまして逐次着工したい。従って先ほど申し上げました琵琶湖の開発の三メートルまで下げるというのは、五十年目標で水の需要に、水の要請に期待をもって間に合うのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  53. 田中清一

    田中清一君 いろいろ諸先生から貴重な話を承ったんですが、この地盤沈下ということは、まあいろいろの原因はありましょうけれども地下水のくみ上げということが最大の原因となっておることは、皆様御承知通りでありますが、これをちょっととめるというようなことはなかなか、地下水を今日以後一切使わさぬというような法律でも出ればですが、そういうことはまあ出ますまい。そうすると、どうしてもこの上流にある水を引いてということで、今いろいろお話もありました。まあかりに西から来ましても、大阪尼崎方面の地盤沈下をとめるには、どうしても淀川等の水を利用しなきゃならぬということになりまして、まあるるお話もありましたが、これは三メートルも琵琶湖を下げるということになりましたら、あの漁業者、観光、それからまたあるいは農業者が今までかかった水がかからなくなって近江、平野など大問題起こるでしょう。これはなかなか容易なことで話がつくまいと、今までの経緯から見てもわかるのであります。これは一つ建設的にものを考えなきゃいかぬ。常に抜本的、抜本的という日本に話はありますけれども、抜本的にものを考えられてないということ。これが私は日本のガンであろうと思います。はっきり言うたら夢がない。そういう、もう少し夢を持って、そうして大きな計画を立ててもらいたい。で、これはまあ淀川を対象にした話ですけれども、かりに濃尾平野にいたしましても、今回できました愛知用水、これらは抜本的のことでございました。これはもう大へん効果のあることでございましょう。さらに長良川等におきましても、今ここに水害が起こっておりますのは、長良川に一つも多目的ダムらしいものがありませんのが、これがガンでございますから、長良川にも適当なダム・サイトわれわれ知っておるだけでも二カ所でございます。幾多の貯水のできる個所がありますが、これをさっそく一つやって、そうして供水の調節はもちろん、また木曾川で足らざる分だけは長良川で補う。揖斐川には横山ダムができました。これはできましたけれども一つだけですから、どれほどの効果があるかまだ未知数でございます。そういうようなことでございますから、ことにまた京浜地区でも——これはおそらくもう上流の方の鬼怒川でありますとか、あるいは江戸川でありますとかというような川の上流の方でこれを貯水して、そうして京葉地方に供給するよりほかない。これを積極的に抜本的にやっていただいて、そうして地下水をくみ上げないというようなことに一日も早くこれをやっていただきたいことと、それから今までのこの日本の国の作り方が私どもははなはだ気に入らぬ。なぜかと言うと、要らざるものまでがこの海岸地方に住んでおって、そうして災害が起こるというと——これはただ水の問題だけではありません。御承知のようにチリ地震津波におきましても、毎年必ず時をきめてくる台風にいたしましても、みな災害をこうむっておるのは、あまりに要らざる、そんな所に住む必要のないものまで、はっきり言うなら遊郭まで、その海岸地方に住んでおるということがいけないのですから、それで抜本的に、そういった所には製鉄所でありますとか、あるいはさらに火力発電所でありますとか、原料に水がついても困らぬ、腐りもしないというようなもの、それから一メートルくらいマイナスの所でも相当の基礎をして床の上にやりさえすれば、どんな工業でもできるのは確かなことなんですから、そういったようなことを国土計画的に考えておやりにならぬと、現在のものを、淫売宿からして旅館からして、何までそういった所に維持させようとして、そうして考えられるところに間違いがある。それには私は常日ごろ言っておる、中央道であるとか、あるいは東北道であるとかいうようなところに道をつけまして、そうしてそういったような生産によらざる施設は、皇居や議院だって、こんな所でなくてもいい。ですからそういうものをなるたけ那須野原でも軽井沢、富士山麓でも、そういった所に生産によらざるものを移して、そうして日本の国を立体的に広くお使いになるようになぜなさらぬか、こういうことを思うのです。  それで、今これはおそらく道路局などではそういうことは言いたいのだけれども、おっしゃることを遠慮しているのではないかと、私はむしろ応援しているのですがね。抜本的にとおっしゃいましたが、抜本的になっておりませんから、一つそれを早くやって、そうして毎年々々くる災害を、国民もこの血税には耐えられないのですから、そういうことを早くやって、それを一つやっていただきたい。それについて道路局長殿の一つ意見を伺いたいと思います。
  54. 高野務

    説明員高野務君) 田中先生お話まことにごもっともだと存じます。私ども先般の国会で、国土開発縦貫自動車道、中央自動車道の予定路線が通過いたしましたが、ただいま基本計画を作るために基礎調査を急いでおります。ただし新しい五ケ年計画を中央道路ができましたら皆さんの御指導の上やりたいと思います。
  55. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ほかに質問ありますか。
  56. 田上松衞

    田上松衞君 必要な問題が四、五点あるんですけれども、時間の関係がありますから、さっき御報告いたしました、最後にいたしました中の問題、いわゆる国立国際会館敷地建設予定地の問題ですが、この建設予定地の選定に至るまでの経過及びこの会館の性格、内容等について、まず一応御説明をお聞きしまして、それからさらに突っ込んでお話をお聞きしたいと思います。先に御説明をお願いしたいと思います。
  57. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 国立の国際会議場を京都市、またはその周辺に設けるということになりましてから、その敷地を物色いたしたわけでございますが、結局九カ所の候補地があがったわけでございます。それを申し上げてみますと、京都市左京区松ヶ崎の宝池地区、大津市の皇子山地区、京都市内の植物園の北側、京都市の東山、花山天文台の付近、京都府の宇治城陽町、大山崎村の天王山、長岡町、亀岡市、この九カ所がいろいろ自薦、他薦等によりましてあがって参ったわけでございます。  そこで国立の国際会議場敷地としてどういうことを考えなければならぬかということを研究いたしてみますと、およそ九つほど考えるべき要素があるわけでございます。一つは用地の取得が簡単にできるかどうかという問題、第二は風光とか気象の点、第三が環境あるいは都市計画的にどうあるべきかというような問題、第四が交通はどうであろうかということ、第五が電気、ガス、水道等のいわゆる公共施設整備に関する件、第六が観光上あるいはレクリエーション等の関係はどうであるかというような問題、第七が宿泊施設はどうであろうかという点、第八が将来の会館の経営はどうであろうかという点、第九番目は建設工事はどういう工合に行なわれるかという、およそその九つの点について考えるべきではないかということになったわけでございます。そこで総理府に設けられております国立国際会館建設等連絡協議会におきましてこれら九つの候補地につきましてこの九つの要素の点からいろいろ検討いたしました結果、京都の宝池地区が最適であるということにきまったわけでございます。  そこで第二はどういう規模のものを作るべきかということで、いろいろ建設省におきまして各国の例等に徴しましてまた各省とも相談をいたしまして一つの案を作ったのでございますが、いわゆる総会議場あるいは大会議室、委員会室、そういった会議に必要なプロパーの部分と、新聞記者、報道関係あるいは図書関係、食堂、宴会場関係あるいは管理部門、玄関、ホールといったようなもの、さらには各国の代表の控室といったようなものを含めまして一つの案を作ったわけでございますが、これも先ほどの連絡協議会にかけて研究をいたしているわけでございますが、まだなかなか結論を得るには至っておりません。敷地につきましては、大体多少規模の大小はありましても、まず五万坪ぐらいはあってもよかろうということで、現在現地の買収の準備をいたしておる状況でございます。
  58. 田上松衞

    田上松衞君 金額はどれくらいになりますか。
  59. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 一応建設省で作りました試案と申しますか、それによりますと六万六千平方メートルぐらいでございまして概算建設工事に要する費用が七十二億円程度、そのほか敷地の買収でありますとか、家具、そういった初度調弁費、設計委託費等の費用を含めますと、約八十七億円という数字が一応出ておるわけでございますが、大蔵省におきましても相当異論がございまして、もう少し小さいものは考えられぬかということで、さらに少し縮めた案を二つばかり用意いたしましていろいろ検討をいたしておるところでございます。
  60. 田上松衞

    田上松衞君 もう一点予備知識としてお伺いしておきたいのですが、九つの候補地が出されまして、それから選択するあれは建設省の方でやられたわけなんですか。
  61. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 主として建設省におきまして下調べの作業をいたしまして、それを連絡協議会にかけまして研究いたしたわけでございます。
  62. 田上松衞

    田上松衞君 この際感じたままを率直に申し上げたいと思うのです。  九カ所の候補地が出た。そして主として建設省がまあいろいろやって、最後に宝池を選んだという経過のようなんです。あげられたところの九点の要素を一々机の上で考えられる場合にはそういうことが一応納得できないわけではありません。しかし問題は、一体国立国際会館というものを、これは全国民がどういう受け取り方をするかという重大な問題なんですよ。しかもこれが京都市及び京都府等が何か作って提供するというならば、これは国民の立場からはまああてがわれたものでがまんしようということになるでしょうけれども、大体すでに内定されようとしておるところの八十七億円という金額、いわゆる国民の血税だと考えます。そうした場合には、国民は自分たちのものだという感じを持たなければいかぬと同時に、敗戦日本のどこかに何か一つの誇りを感じるという気分がなければならぬことは、これはもう言うまでもない。従ってだれしもが見まして、ああ、ここならばまあ日本の面目を保ち得るというような場所が選ばれなければならぬはずだと考えるのです。くどい説明をよしにいたしまして、感じたままを申し上げますが、実は私はその前に京都の塵芥焼却場を見てきたわけです。行ってみますと、あの煤煙が四本の煙突の中から大へんなものがわいてきている。それが風の都合によっては京都市の方にぐっと流れていってしまう。こんなものを風光明媚だとか、文化のかおり高い所だという場所にこんなものが建っていいのかと、率直に実は京都市当局にも話をしたわけなんです。こういうようなものはどっかへ、もうすみっこの方へ持っていってするような時代になったのではないか。しかし今まではちょうどそういう場所が端にあったのだけれども、だんだんだんだん市が発展するに従ってそれが市内の中に入り込んでしまったといういきさつはよくわかりますけれども、ともかく移さなければならぬということを話し合ったわけです。ところが、実は車の関係でどこへ行くということは知らなかったので、山奥へ連れられていった、わけのわからぬ山奥に。それが今の宝池なんです。ああ、こういう所へ塵芥焼却場を持ってくるのはこれはいい場所だろうと言った。ところがこれがいわゆる国立国際会館です。もっと極言いたしますならば、たとえば戦犯裁判所でも作ろうかというような場所、国民がどうも受け入れにくい場所、これを一つ京都が犠牲を払っておれのところへ作ってしまうというような場所ならそれもふさわしいかもしれません。あるいは、さらにこのごろ流行しておるところの小児麻痺の罹病者を国民の間と一つ隔離してしまわなければならぬというので山奥へ持っていくというならば、あるいは適当な地だとも言えるでしょうけれども、これが風光明媚を誇る、そして日本の唯一のかおり高い文化を誇る、日本を象徴しようとするような日本の代表地京都へこういう国際会館が建てられるなんというようなことは、これは私はある意味において言い過ぎるかもしれませんけれども、大きな恥さらしだ、日本のみじめさを、日本の文化の低い程度をさらすたけのことにしかならぬはずだ、どう考えてみても適当な場所ではないという感じを強くしたわけなんです。京都府及び京都市関係の方々に聞いてみますというと、いや、心を静かにして、一切の事物に触れないでものを考えさすためにはいいだろう。つんぼにし、めくらにして会議を開かすという場所ならそれはそれでもいいかもしれません。しかしさっきあげられたこり九点の要素というものはそんなものではないはずなんです。あなたのお話の中では、この九点を総合したところの、一番点数をあげた場所が宝池だという工合に受け取れるのです。これはとんでもないことです。いやしくも国立でありまするから、たとえば衆参両院議員七百余の議員をかりに見せて回っていくとすると、大体あそこでなければならぬと考える者が、これはまともに考えてみて、あるだろうか。およそ縁遠い。あげられた九点の要素、私は報告書の中で申し上げたように、ただ環境が静寂であるという一点だけ実にさびしい場所。山奥の中の、山に囲まれた、あの見晴らしのきかない、小さいあの中に一つの池があるだけ。それだけの点で、静寂であるという点だけは確かに間違いないけれども、あとの八点については、ことごとくこれはおよそ縁遠いものだと申し上げなければならぬと思うのです。感情的に申し上げますならば、これは必ずしもそこであるということではないけれども、私どもの素朴な感情から申しまするならば、たとえば御所の跡、大へんな面積ですね。ああいうようなものを名所旧蹟として、ただ未来永劫にあれを保存していくというだけでは芸がないと思う。もっとこれを大きく記念し、そうして世界の人々にも感銘を与えようとするならば、ああいう場所をこそ、全部で五万坪というのですから、建物としてはおそらく、どうなんですか、一万坪かそこらあればいいのではないか。そういうような場所にこそやってもいい場所じゃないか。しかしこれはいろいろ考え方の相違がありますから、これはたとえばの話を申し上げるだけです。  さらに申し上げたいことは、誤解のないように申し上げたい。滋賀県とああいうような工合に大きな競争があった。あるいは神奈川県の場合でも内山岩太郎氏が箱根の問題を持ち出した。私はありのままに申し上げまして、当時堤康次郎さんですか、滋賀県の代表者は。膨大な写真を写した。最高、最上、最適の場所だろうという図面、写真等を受けました。神奈川県の知事からもいろいろどうだろうという相談を受けました。しかし日本国民全体が、まず日本を代表する場所は、この種のものを建てるには何といっても京都ではないだろうかということには変わりはないかと、こう考えたのです。そこで滋賀県及び神奈川県の問題等については、失礼ですけれども、ほとんど考慮の余地なしというような感覚で実はおったわけなんですよ。ところがこれらの人々は、あるいはこういった九カ所の候補地のうち、最終的に決定されるであろう宝池をごらんになってみてこう感じたでしょう。なるほど、こんなところに持ち込むのだったならば、こういうりっぱな土地があるということを言うのはこれは当然ではないか。しかし誤解のないように今申し上げます。決して滋賀県や神奈川県に持っていったならばどうかというようなけちなことを申すのではない。さっき申し上げましたように、京都の中でということは動かさぬことにして、京都の中で、ほんとうにこれこそ大きな国費を使っても、よかった、やりがいがあったと全国民が将来ずっと考えて喜んでくれるような場所が、納得できるような場所を選べないだろうか。もし、そういう地帯があるけれども、これにはこれこれの施設があって困るのだというようなことがあれば、そんなものは撤去してもいいじゃないか。八十七億円が百五十億円かかろうとよかろうじゃないか。こういう問題はほかの問題とは性質が違うのですよ。これは言い過ぎになるかもしれませんけれども、今日のいろいろな災害等の関係考えてみますと、ちょっとした台風がありましても百億や二百億の金がすぐ吹っ飛んでしまうのですよ。しかもこの施設はぜひ急に、日本が初めて作り、しかも永久に保存しなければならぬ性質の問題である。日本の価値を何とかここで一つ外国にも誇りたい。会に集ってくる人々にその文化のかおりが高いこれをはだ身にしみ込ましてやろうじゃないか。日本考え直さしていこうという考えが、意欲があって差しつかえないのじゃないか。こう考えてみますと、この方面に投ずる費用は、全国民がどんなに苦労をしてでも、出し合いをしてでもやり遂げてしかるべきものである。ただいま、さっき申し上げましたように、いたずらにこういう問題を一つ予算等にこだわってやる性質のものではないはずだ。みそもくそも一つ考えるような役人の考え方は、われわれは少し考え直してもらわなければならぬ最たる施設だと、こう実は考えておるわけなんです。そこでどうなんです。この場所を絶対に動かすことのできない何かことに陥っておるのか、考慮の余地がないのか、あるいはさらにはあのままの場所でなくしても、何かあの付近を大きく一つ費用をかけても、今申し上げたような条件に、そうして九つの要素にかなうような状態に作りかえるようなことを一つ考えにならないかどうか。あなたが発案されていくのでしょうから、われわれはこの施設に対しては、もっと大きくやってもらいたいと考えるがゆえに、しかも京都を動かさないという条件をつけまして、繰り返して申し上げますが、そういう気持を申し上げておきますが、これについてのあなたの一つ考えをさらに明確にされておきたいと思います。
  63. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 先生のお言葉、全く同感でございまして、先ほどお話のありましたように塵芥焼却場の問題は、私も見て驚いたのでありますが、これは京都の南の方にありまして、風の吹き回わしは大山崎、天王山あるいは長岡方面にこれは煙が流れますので、そういう天王山、長岡の方はとうていいかぬというようなことを考えますと、宝池にはこういう心配は全然ございませんし、現に四十三万坪の都市計画公園になっておりまして、敷地はその一部を占めるわけでございます。さらに三万には小山がございまして、東の方は開けておりまして、比叡山を望み、しかも風致地区、緑地地域都市計画公園、この三つの指定を受けておりまして、将来環境の維持が全く安心である、環境が害されるおそれがないというようなことも考えたわけでございます。大きな眺望をねらうというようなことはやはり一つの要素にはなりましょうけれども、そういう点では国際的に、とてもスイスとか、そういうところには日本としては小さくてかなわぬ。むしろ京都というのは、京都の箱庭と申しますか、この山々が築山になりまして、前に泉水がある、そこに静かな会館を作って、片一方の方に比叡山を望む、これは非常に京都的でよろしいではないか。さらにホテル等とは違いまして、町に相当近くなければならぬし、いろいろ公共施設等の整備状況もやりやすい、いろいろな観点から、この静かな環境がよくも今日までこうやって保たれてきた、いろいろな称賛の声もございますし、私どもも先生のようなお気持になりまして、国民の一人としていろいろ考えてみたのでございますが、自然の条件を非常な金をかけてこれから新しく作り出すというようなことでは、これまたいつの日に完成するか、そういう点も考えまして、やはり現在あるそういう自然の得がたい環境をそのまま使う。そこに建築的に面白い設計をする。これも役所がやるのではなくして、国内の公開設計協議に求めまして、その民間のアイデアを活用いたしまして、国際的に日本的なものを作りたい、かように感じたわけでございます。
  64. 田上松衞

    田上松衞君 くどいようですけれども、私は念のためにさっき申し上げておいた規模等の問題、これについてはお話しのようにいろいろな方面の権威者が寄ってたかってやることでしょうから、これについてはわれわれ知識を持たない者がかれこれ言うことはできない。それは大きくおまかせして、それでいいんだということなんです。ただ場所がらだけの問題なんです。どうでしょう。あなたの反論された中には、これからそういうような土地を造成していくなんということは、いつの日にできるのだというようなことのようですけれども、そういう問題は机の上の議論じゃなくして、あすこをそれこそ私は、わらじはきで局長はお探しになってもいいじゃないか。あてがわれたところの九カ所の中ではどうか知らぬけれども、それはほかは見ていないんですから……。しかし広い京都市内の中なんですね。私は、京都ほとりじゃなくして、もっと京都市の中であるべきだと思う。北のすみっこの市外の端くれにある、近く比叡山等に囲まれたくぼんだ土地のあれですから、それは環境がこわされないなんというようなことは言うまでもないんです。だから初めから言いましたように、環境が静寂であるという一点についてだけは異論はない。こうさっきから申し上げておいた。ただそれだけがあなたのところの取り柄になっているようでありまして、さっきいろいろあげられたところの交通関係である、あるいは公共施設の問題であるとか、観光やレクリエーションの関係、宿泊の関係、経営上の問題、あるいは建築工事等の難易等の問題、こんなものには一つもこれだからいいという議論は出てきませんよ。ありようはずがない。私は、ここにおいでになっております人々が、私が一体申し上げることが国民感情と違っておるかどうかということを、ついでがありましたら見ていただきたいと思うくらいなんですよ。あれでいいんだと考えるならば、これはよほど日本人離れしたものの考え方だと思うんですよ。もっと場所が考えられないはずはないと思うので、絶対に動かせないということで、場所があるならば、もっとあれについて何かこれを変えられるような施設がしてほしいということと、望めることならば、さっき申し上げた東山公園あたりの付近には、われわれが見た目では、ちょっとこう外から、汽車の上から見ましても思わしい場所がある。問題は、京都を選んだ意義は一体何であるかということなんですよ。言わずと知れた、これは日本の他に誇るところの一つのやはりかなり高い文化の土地を、これが私はやはり何か評価されるのでなければ意味がないはずだ。さっき言われたような条件からするならば、よほど滋賀の方が、堤康次郎さんが出された問題の方がどれほどかいいだろうと思う。しかし、あすこじゃなくして京都を選んだという、京都というものを一つ日本の代表地として選んだという議論から見るならば、今お話しになったような箱庭を作るなんという、そんなくだらぬことはどうかしている。どうかもう一ぺん感情にとらわれずして、言葉は意地ぎたなくなって申しわけないけれども、それは将来悔いないものを作るべきである。局長が自分で満足されるようなことだけで足りる問題ではないわけですから……。幾ら、もう戦争が終わって十五年にもなるので、少しは落ちついた気持ちになるはずなので、やがて次代をだれか静かに考えてくれるような者はなかったのだろうかということで、子々孫々にまで笑われる問題だ、ああいう場所は……。かく一つ極言いたしておきまして、さらに一つ十分な検討を希望いたしておきたいと、こう考えます。
  65. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 御趣旨はよくわかりました。現地は大体現在水田でございますので、それにつきましては、二メートル以上埋め立てをいたしますると、非常にきれいになるわけでございますし、さらに街路といたしましては、現在南方からの幹線からの堀川通り、烏丸、河原町等を拡幅しておりますと同時に、将来公園の北側に都市計画街路もすでに決定しておりまして、非常にその点も便利になりますし、さらに設計のいかんによりましては、池のそばにあります一つの山をこわしてもよろしいというようなことになりましてある程告現地も改良されまして、御趣旨に沿うようにせっかく努力いたしたいと存じておる次第であります。
  66. 田中清一

    田中清一君 今の田上先生のお話、私非常に傾聴に値すると思います。とかく日本の政府でやることは実にこまか過ぎるのです、私らが見ていると。ですから、私今初めて聞いたが、水田を埋めてやるからいいというようなことをおっしゃるのは、とんでもない錯覚でありまして、あなた方は米に困ったことないでしょう。日本は食糧がなくて二十億円も買っているのですよ。その水田を喜んで百姓は離しますか。そういう心がまえだから何もはかどらない。心がけが悪い、第一。それはもう京都という市とか府にとらわれることはないのです。できれば、今度できる高速道路の、乙羽山の滋賀県の琵琶湖をみはらかしたあっちの方へ一つ考え直しなさい。そういう頭だからして、日本は税金ばかり取っても何もできないのです。たんぼを埋めるからよろしいというような頭でよく局長が勤まりますね。たんぼを埋める所はすなわち地盤がもともと弱いのです。弱いところで、たんぼを埋めてやるからいいというような感覚では、われわれはまかしておくことはできません。田上さんおっしゃったこと、これはほんとうに確かなことなんです。もしあなたが今おっしゃったような道路の便がいいだとか、あるいは京都の付近で旅館の便がいいとか——滋賀県の琵琶湖をみはらかしたところの方がずっと近いです。どうも私は気に入らぬですね。そういう頭で日本の国土計画なんということを考えてもらわれたら迷惑しごくですよ、国民は。それがすべての日本災害を招くのです。災害がもうすでに目に見えておりますな。たんぼを二メートル埋めるなんということは、われわれから見るとばかげた話ですよ。建てるには建物だけではなく、庭も要るし築山も作るし池も掘るでしょう。それはみんなたんぼでしょう。そういう頭が一番私どもは気に入らぬのですよ。高速道路を作っても、たんぼをつぶしたり、人の家を動かしたり、そういうことをするから、いまだに濃美平野でも近江平野でもうまく買えないでしょう。もっとわれわれには幾らでも方法があるのです。方法はあるけれども、どんなかお手並み拝見と三年見ておりますけれども、ちっともお手並み拝見されぬですよ、失礼だけれども。私は田上先生のしり馬に乗る必要はないのだが、党派も違うし、おそらく国民感情はほとんど反対ですよ。アンケートでもとってみなさい。袋だたきにあいますよ、そういう考え方の感覚で、そういうものを建てようとなさるならば。これは大事な問題です。国際的な問題というものは、それは大事な問題です。それは京都の御所を改造するといったってちっとも差しつかえない。東山の方面にあるでしょう。あるけれども、大体京都の付近にプラスいいものができれば、京都の繁栄になるじゃありませんか。琵琶湖をみはらかすところに今からでも変えて下さい。私は承知できませんよ。参考までに申し上げますが、その感覚を改めてやらぬと、日本道路もできませんし、いい都市計画もできませんし、従って地盤さえも現在沈下するような所を埋め立てしようというようなむずかしいことを言ったって、さっき言った通り、陛下は適切なことをおっしゃった。村上建設大臣が、濃美平野の伊勢湾台風のときの御説明を申し上げたら、それは無理じゃありませんか、海面以下の所に人を住ますのは無理ではありませんか、自然にさからっている。もしそういうことをやるならば、げたばき住宅にして住まわせなさい。これは素朴ですけれども……。毎年々々国民に血税を払わして、復興々々というようなことを言うけれども、もう復興せんといてもらいたい、日本にはまだ幾らでも土地があります。仙台の王城寺原、軽井沢、富十山麓、それほどいい高原地帯があるのに、それを遊ばしておいて、国が狭い狭いといって、よその国に爆弾を持ち込ましたりなんかしているのは、明治以来日本には政治家らしい政治家がいなかったという証拠じゃありませんか。それを解消すべく私は参議院議員になったのです。(笑声)どうか一つあまりとぼけないようにして下さい。国民は税金を払っておって、あなた達を養っておるのだから、参考のために申し上げる。
  67. 田上松衞

    田上松衞君 これ以上申し上げることはないのですけれども、ちょっとと田中さんが、滋賀の方へ移せというような議論のようになってしまったから、混同されないようにはっきり申し上げますが、私は実はそこまで言い切ってしまうということの中には、京都府民あるいは役所の人々、市民の人々、特に有力な文化人等の中からも、相当数の有力な意見を実は聞いているのですよ。ところがこの人々の全部一致している感想は、確かに予定地としてあげられた九つの大部分の中には、京都市及び京都府の中から出ていることはお話しの通りです。だがそれは日本国の中で京都を選んでもらいたいという熱意だけでありまして、そうしてとりあえず出したものがこれであって、宝池を選んだということは、京都市民、京都府民の判断ではないわけです。だから、あなたがきょうこの場で説明されたように、九つの要素から見てこうだということは、あらかじめ向こうでも大体は、こうあるべきだということは知っているでしょうけれども、かるがゆえにこれが最良最適の場所だと言い切る者はただの一人もありません、私の知っている限りでは。みんなこぞって言うことは、どうかと思う、だけれども、その意見一つ営繕局長か計画局長にお聞きになった方がいいでしょうという言葉なんですよ。これなんですよ、問題は。だからして、ありのままをひっくり返して率直に申し上げるならば、京都市民としても京都府民としても、あの場所は変えてもらう方がいいのじゃないかと思っているのは事実なんですよ。あなたそこに大きな考え違いをしているのじゃありませんか。建設省がこうだから、こうやれと言っているから、計画局長がこういう工合に選んだのだからという説明を聞いてみて、ははあ、なるほどそう言えばそれもそうだなというのがせいぜいのところなんです。誇りをもって、これこそだ、日本国民に対して、こういう土地を選んだぞという誇り得るものはただの一つもあるかということなんです。その点は一つ重大な問題ですから、一ぺん頭を冷やして再考を一つお願い申し上げたい。要点を縮めてかく申し上げ、打ち切っておきます。
  68. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) この問題については一そう御研究願います。
  69. 田中一

    田中一君 これは閣議決定したのだろう、どうなんですか。
  70. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 連絡協議会から閣議に指示を求められまして、閣議では了承されまして、決定をいたしたわけでございます。
  71. 永岡光治

    ○永岡光治君 具体的に決定したのですか、京都周辺ということではなくして……。
  72. 桜井良雄

    説明員(桜井良雄君) 最後に皇子山、宝池、この二カ所にしぼりまして、協議会としてもなかなか結論が出ないものですから、閣議の指示を仰ぎました結果、宝池でよろしいということに了承されたわけであります。
  73. 田中一

    田中一君 道路局長から、一つ先ほどの質問に対する答弁願いたいのですが、その前に、藤巻君が来ているので伺っておきますが、工事中の三陸トンネルに対して、三十五年度に三千五百万程度の調整資金がほしいということで地元が要求しておったのですが、これは一体どういうことになっておりますか。
  74. 藤巻吉生

    説明員(藤巻吉生君) お話トンネル、私の方で持っております調整費から金を出して作ろうという計画を立てまして、目下大蔵省に協議中でございます。
  75. 田中一

    田中一君 大体の見通しはどうですか。
  76. 藤巻吉生

    説明員(藤巻吉生君) 大蔵省としては、道路は特別会計でやっておるので、まあ調整費から金を出すのはいかがかというような意見を主計官は言っておりますが、私の方では、自分の方で立てた計画でございますから、まだがんばっておりますが、もうしばらく結論が出るかと思います。
  77. 高野務

    説明員高野務君) 資料によりまして道路の御質問の第一点、現在の二級国道で不通の個所の御説明を申し上げます。  第一は、八戸仙台の田之畑地区でございます。これは三億六千四百万かかるのでございますが、現在工事中でございます。  次に横手—古川線、秋田県の横手から宮城県の鳴子に参ります古川線でございます。これは十四・四キロ不通であります。五億二千七百万円かかるのであります。これも工事中でございますが、さらに促進するために有料道路考え方をもちまして、調査をいたしております。  次に大船渡—本荘線、これは岩手県から秋田へ参る線でございます。これも県界が十一・四キロ不通でございます。工事費が三億四千万円かかります。  次に秋田—盛岡線、これも県界の七・八キロが不通でございます。工事費が三億七千八再万円かかります。工事中でございます。  次に日光—沼田線、栃木県の日光から群馬県の片品村へ進む道路でございます。十二・三キロ、工事費にいたしまして九億四千六百万円かかります。これはかねてから有料道路調査中でございます。  次に甲府—熊谷線、これは山梨県の三富村で二十八・八キロ不通でございます。雁峠であります。工事費は十九億七千万円かかります。  次に石川県の七尾—金沢線、輪島市で六百メートル不通でございます。工事費六千五百万円、これも工事中でございます。  次に舞鶴—鳥取線、京都から鳥取へ参る線でございますが、竹野町で六・二キロメーター、一億二千七百万円工事費がかかります。これも工事中でございます。  次に岡山—松江線、鳥取県の白野町から岡山県の新見市に至る区間でございまして、明智峠と申しまして六・七キロ、工事費が一億七千七百万円でございますが、工事中でございます。  次に高知県から徳島県へ参ります高知—木頭—徳島線、これは高知、徳島県界の四・六キロメーターが不通でございます。工事費六億四千三百万円でございまして、トンネルがあります。そのトンネルの前後は公共事業でございますが、トンネルは今年度から有料道路で着工したいと考えております。  次に大分—佐伯線、大分県津久見市で三・三キロメーター、一億三千二百万円、工事中でございます。  以上合計いたしますと、二級国道には、まだ百十キロメーター余不通個所がございまして、これに対する工事費は五十六億六千九百万円でございます。  不通個所は、これでも前五カ年計画の策定以来不通個所はずいぶん詰まって参ったのでございまして、新しい五カ年計画ができますと、五カ年計画中には、交通不能個所はなくなるというつもりでおります。  次に八戸線でございますが、八戸—仙台線は、全長四百六十二・九キロメーターでございまして、三十五年度末で改良済が七十・八キロ、改良済の総延長に対する達成率は一五・一%という、わずかな数字を示しておるわけでございますが、これを現在の五カ年計画では、この五カ年計画中十二億投資しようとしております。この十二億投資いたしましても、改良率は約一七%程度にしかすぎないという状態でございます。  従いまして私ども新しい計画では、順序が狂いましたが、この八戸—仙台線を全部舗装しよう、完成いたしますには百二十億ぐらいかかるのでございます。まず交通不能個所をなくし、人家連檐の舗装をし、通りやすい状態に、百点満点ではないが、七、八十点のところまで持っていくのが今度の新しい五カ年計画のねらいでございまして、この新しい五カ年計画では、五十億円程度かかると思っております。そういたしますと改良済が百八十四キロでございまして、約四〇%は完全な改良ができる。舗装が二二%ぐらいということでございます。この新しい五カ年計画では、スピードでも加わりますと、今後十年で全部完成するというつもりでおります。
  78. 田中一

    田中一君 そうすると新五カ年計画では、改良四〇%、舗装二二%といっておりますけれども不通個所は全部なくなるというように考えていいんですか。
  79. 高野務

    説明員高野務君) なくします。
  80. 田中一

    田中一君 これは住宅局長、道路局長河川局長、いずれも聞いてほしいんですが、今度の災害で一番強く要望されているのは防潮堤並びに突堤といいますか、波殺しの、何というんだろうな、築堤やなんかですが、大体湾口に波殺しの堤防を作ってくれという希望が多いんですが、水深が三十メーター、四十メーターという深いところが多いために相当の金がかかると思う。これはむろんあなたの方じゃない、運輸省の方の役目になりますけれども、あるいは漁港の場合には農林省の部になりますけれども、そこで、だからといって防潮堤が必要がないというわけにはいかないわけです。  で、道路を作る場合、それから河川の堤防のかさ上げ等、あるいは防災的な役目を持つ公営住宅の建設なんというような数々の施策が、防潮堤役割をするような方法をとらないと二重、三重の金がかかるということになると思うのです。たとえば女川とか石巻、それから志津川なんというのは、海岸線に連なって町が形成されておるわけです。丘は非常に少ない。丘はすぐ傾斜地になって山になっている。まあ三十六年からはいよいよ新公営住宅三カ年計画がおそらく提示されると思いますけれども、その際には、全部耐火建築にもっていこうというような意図があるように聞いております。これは幸いです。これは市街地ばかりじゃないわけですね。私二十七年のときに、新しい公営住宅の一つの構想を発表したときに言っておるのは、農村、漁村においても、当然これは目的が、単なる不燃というよりも、防災的な、高潮を守るような形の公営住宅が必要であるということを申し上げておいたのですが、これは今度立証されたわけなんです。この三陸方面のチリ地震による津波の問題で立証されたわけです。そういう要望が非常に強いわけです。だからといって、今のような公営住宅を作る場合には、家賃の負担にはたえられない面があるのではないかと思うのです。  そこで目的が防潮堤であり、防災壁であり、かつまたそれが公営住宅の役割をするということになりますと、これは漁村においても、それから漁村内にある商店街においても、これは二つ三つの目的をもっておれは、別な予算をそこに織り込んで地元経済能力、負担能力を軽減させる道は、おそらくあり得ると思うのです。どうも建設省はやはり競合する点が道路局計画局、うまくいっているはずのやつが、常に何かもたもたやっておる。住宅局とそれから計画局も、やはりもたもた問題がいつもあるんです。そういうことは一つさらりとして、この三陸災害復旧という、これからの問題の恒久策として、総合的な考え方に立たないと、これは地元意思に沿わないわけです。なるほど農地でない、漁港でない、あるいは港湾でない部分は、河川局か当然これは受け持っておるわけですけれども、そういう点の調整、そういう点の総合性というものはないわけなんですよ。同じ建設大臣のもとにある部局が総括するところの対策というものを立てられないことが、ありようがないと思うが、今回の三陸津波の特異性、従って、これに対処するところの恒久政策として、私はそうことが考えられると思うのです。むろん湾口には農林省とか、運輸省の方でもって、適当な施設はするであろうけれども、それについてこれは各局長からの答弁と同時に、藤巻君、経済企画庁の君のところで五万、十万の調整費は持っているんだから、場合によっては、そこへ出してもいいんじゃないか。それは君総合開発一つなんだよ。それは出す道がなければ出せるような道を考えること。それらを調整する面において官房長なんかでも動かなければならぬものは相当あると思う。  そういう点について、一つ個々に答弁願いたい。
  81. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) ただいま先生のおっしゃいましたように防災、災害を防ぐ施設と、それからそれが守る施設、つまり住宅とか農地とか、いろいろございますが、防ぐものと防がれるもの、これは総合的に考えて、防災的な観点から施設をやるべきである。これは特に従来も多少考えておりましたが、昨年の伊勢湾台風、並びに本年のチリ地震による津波災害、これにつきましては特に感じたわけでございます。特に、津波に関しましては、津波の高さといいますのは、本年は、まだ従来より低かったのでございますが、昭和八年、それから明治二十九年ですか、この二つの場合には、非常に波の高さが高く、あるいは三十メートルにも及んだというような記録もございますが、そういうことになりますと、防災施設のみで、これを防ぐということは、ほとんど経済的にも許されないのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  従って今回のチリ地震による津波対策事業の特別措置法ができまして、その根本的な計画を審議会にかけて、さらに閣議決定するということに相なっているわけでございますが、ただいまの先生のおっしゃいましたような、守るべき施設とよく関連をとって、その対策というのを考えていきたい、こういうふうに考えます。  さらに海岸が御承知のように、三省にまたがっているのでございますが、港湾局でやります防波堤、防潮堤のかわりといいますか、防潮堤と併用して防波堤を作る、こういう個所伊勢湾台風によります名古屋においても、すでに考えられておりますが、今後の津波におきましても、やはり同じような考え方の場所はよくあると思います。この点につきましても、よく審議会で話し合いをいたしまして、お互いに関連をとりまして総合的に防災の対策をとっていきたい、こういうふうに考えます。
  82. 高野務

    説明員高野務君) 道路といたしましては、先生のおっしゃることは、まことにごもっともだと思います。  チリ津波災害に伴う三陸地方道路につきましては、今後御趣旨を体して整備、拡張を続けていくつもりでございますが、別の話で恐縮でございますが、昨年の伊勢湾台風のあとで、名古屋—四日市間の名四国道計画を改定したわけでございますが、この場合には、日光川の締め切り堤と道路を一緒に施工し、また四日市方面では、海岸提防と道路を一緒にやりまして、道路を守ると同時に、道路が防潮の効果を発揮するというようなことをやっておりますので、そういうことを計画に盛っていきたいと思っております。
  83. 稗田治

    説明員(稗田治君) ただいま田中先生のお述べになりました御趣旨に沿いまして、十分努力をするつもりでございます。なおチリ地震津波による被害の災害公営住宅につきましては、本年六百四十二戸建設するわけでございますが、その中に約三分の一近い百七十九戸というものは、木造でない簡易耐火構造の平家建のものと、二階建のものとを割り当ててあるわけでございます。もちろんこれで十分だというわけではございませんけれども伊勢湾台風の災害等にもかんがみまして、できるだけ予算の範囲内におきまして、堅牢な構造のものを割り当てるようにいたしているわけでございます。今後、さらに耐火構造という火災だけの名前になっておりますけれども、堅牢さにおきまして、台風にも耐えますし、地震にも耐える、また非常に耐久性があって、富の蓄積にもなるというようなことでございますので、不燃構造の多目的な使用を考えまして、総合的に運営していきたいと思っております。
  84. 田中一

    田中一君 官房長としては、総合的な立場で、そういう部内の協議会を作るべきなんですよ。今まで建設省には、やっぱり建設省にもセクトがあるんです。なかなか部内ですら話がまとまらぬことがあるわけなんでよ。これは官房長の役目なんだが、だから、そいつを一つ調整するというような考え方を、大臣がいたら大臣に確約していただきたかったんですが……。
  85. 鬼丸勝之

    説明員(鬼丸勝之君) 災害対策につきましては、特に建設省部内の仕事の総合調整に、従来も意を用いて努力をいたしてきております。  ただいま田中先生からお話もございましたような趣旨で、昨年の伊勢湾台風の際に、またことしのチリ地震による津波対策につきましては、そのつど災害復旧対策本部を設けまして、関係の各局長が本部員になり、また関係の深い課長が幹事を担当いたしまして、それぞれ各局内の仕事が有機的な関連を持ち、また総合的に調整されて、うまく行なわれるように努力をいたしてきております。先ほどそういうことが不十分ではないかという御指摘の点もございましたが、最近は各局ともよく連絡を密にいたしまして、先ほど関係局長からお答えがございましたように、だいぶうまくいっておると私は思っておりますが、なお今後とも、特に災害復旧対策につきましては、この点に遺漏のないように、私としても一そうの努力をいたしたいと考えておりますし、大臣、次官等にもよくお伝えいたしたいと思います。
  86. 田中一

    田中一君 それから今度の災害復旧の特別立法による補助率の問題ですが、これは関連事業として二分の一というふうにきまったように聞いているけれども、そんなことでは困るのだな。実際に実態からみて、やはり伊勢湾台風くらいまでの融資を考えにゃいかぬと思うのですよ。これらについて、どういう考えを持っているのですか。今度は、法律でもって負担率というものをきめなかったでしょう。政令できめるようになっていたのですね、たしか。せめて伊勢湾台風並みの十分の八程度まで補助率をつけぬと、とても負担しきれないと思うのです。その点はどうですか。
  87. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 補助率の点につきましては、東北地方は非常に財政的に逼迫しているといいますか、そういう点で、できるだけ高い補助率で一つ事業を実施してもらいたいということを考えております。  今回の法律には明確に書いてございませんが、伊勢湾台風の特例法というような関連におきまして考えまして、伊勢湾のときは、災害が特例法になりまして、最低八割からスタートしております。今回は、東北地方チリ地震津波関係災害の特別立法というのがなかったのでございます。従いますと、現行法の三分の二からスタートする災害復旧、それと同じように考えまして、今回の津波対策事業は三分の二で大蔵省に要求して折衝をしたい、こういうふうに考えております。
  88. 田中一

    田中一君 それではとうてい、今言う通り東北のチベットといわれる地方では、負担力がないのでよ。もう少し方法がつかぬですか。僕らが国会へ出ていれば、そんななまっちょろい、いいかげんな法律は通すはずはなかった。ところが、不幸にしてわれわれがおらなかったから、何とも言えない。ただ言えることは、あなた方が少なくとも、おそらく自民党でも、責任がある率をきめられないから、政令にまかしたとうまく逃げたと思うのですが、そういうことでは、後進県といわれている——後進地域といわれている地方の諸君は、負担しきれないですよ。なぜ伊勢湾だけがそういう高率補助があって、三陸地方の連中はその恩典が受けられないかということになるわけですが、私はこれは、はなはだ残念ながら政変があって、大臣なんかの力が弱いのじゃないかと思うのです。実態をお調べになればわかるのです。全部が全部赤字県なんです。ことに地方の市町村においては、とてもたえられるものでないですよ。道路の面にしても、いわゆる交通の面にしても、どの面にしたって、立ちおくれている地域なんですから。  これは三分の二の折衝なんかしないで、なぜ八割の折衝をしないのです。政令できめるのですか。それとも行政措置できめるようになっているのですか。
  89. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 補助率の点は、伊勢湾台風との関連もございまして、伊勢湾台風の関係災害復旧の最低は八割である。これは特例法で八割になったわけであります。  従って、それに伴う高潮対策事業もございますが、そういう災害復旧との関連で、この対策事業という補助率をやはりきめるべきではないか、こういうふうに考えております。  災害復旧につきましては、チリ地震津波関係災害復旧につきまして、いろいろ特例法ということも考えてみたわけでございます。ところが、伊勢湾台風と同じような条件で、もしチリ地震津波関係の特例法を作った場合、これは該当する県はない、こういう状況でございまして、あれ以上のものなら別でございますが、伊勢湾台風と同じ考え方の特例法というものは、該当の県がない。従って、そういう点から災害復旧の特例法も作らなかったのでございます。  従って、それに関連する津波対策事業、これはやはり現行法の災害復旧の最低三分の二、それに合わせるようにチリ地震津波対策事業の補助率を考える、こういう考え方で要求をしているわけでございます。  これは、いずれ海岸法関係の政令できめることになると思います。
  90. 田中一

    田中一君 三分の二は六割六分ですね。それよりも伸びないのですか。今まで通り。法律が悪ければ直せばいい。  そこで、いつもわれわれが申し上げている通り災害対策の基本法というものがないから、勝手気ままに、この場合にはこう、あの場合にはあるというふうに、きまってくるわけです。これは、どうしてもこういう点は納得できないのですがね。該当しないというのじゃなくて、該当させればいい。そのために、法律が悪ければ変えればいいじゃないですか。もっとも、僕らはいなかったのだから、いまさら、こういうことを言ってもしょうがないけれども、力の強い政治家がおる区域が必ず得をする、そういう悪い政治じゃいかぬですよ。やっぱり実態から見て、国民全部同じですから、考えなければならぬと思うのです。  そこで、まあそういう政令が出ているか存じませんけれども、二分の一程度に下げるんだというような宣伝というか、空気がみなぎっておるのですが、そんなことはございませんね。
  91. 山内一郎

    説明員(山内一郎君) 現行の海岸法によりますと、直轄事業、補助事業海岸事業でございますね。これは、現在二分の一でございます。従って、その線からいけば二分の一、しかし、それではいけないので、三分の二を要求いたしまして、政令を変えたい、こういうふうに考えております。
  92. 田中一

    田中一君 そこで、まあ災害復旧という形でなく、積極的に三十六年から本格的な復旧の場合には、改良というか、新設ですね——という意味で、今言った総合的な対策を、別の面でそれらを補うということは考えられますか。これは官房長に聞いた方がいいのかな。今言う通り、現行のものでくると、これより伸びないという、しかし地元の諸君は、二十年ないし三十年には必ずくるんだ、宿命的に。信じ込んでるんですよ。ちょうどことしは十八年目とか十九年目とか言ってましたよ。しかし必ずもう二、三年たつとくる。あれは、地球の裏側の問題だ。今度は目先の三陸沖に、もう一ぺん陥没がくるんだというようなことを宿命として感じておる。その場合に、どうするかということを考えてくれということは切実な願いなんですよ。だからそうなると、それを守るための、災害復旧というのじゃなくして、守るための新しい施策というものが、今いう各役所別にすれば、農林、運輸、建設というものが話し合い、局別にすれば、住宅、道路河川が別の面の恒久対策としての予算を十分出す、そうしてふたたびそういうことがないようにするというようなことを考えられないかということですよ。  まあ今言う通り三分の二が限度であるというならば、プラス・アルファというものは、改良という言葉がいいか、あるいは新設でもかまいません。恒久対策としての新規事業として三者共通、三者話し合いのもとに、建設省の場合には三局が一致した歩調でもって、それを、地域々々違います。漁港が主の場合には、何も海岸堤防をどんどん作られたんじゃ船の出入りも困るし、船の避難にも困る。その場合にはどうするか、あるいは海岸堤防をかさ上げしたものがあっていいという個所もあります。  これらの点を十分考えて新規事業として織り込むような方向に、せめて三局の間でもって話し合いをするということはどうですか。
  93. 鬼丸勝之

    説明員(鬼丸勝之君) 河川局長からお答えがありましたように、今回のチリ地震による津波対策事業というのを特別立法として制定されましたゆえんは、直接津波対策事業として海岸に防災施設を設ける、つまり改良的な趣旨の防災施設を設けるというのが、この特別立法のねらいになったわけです。  従いまして、従来の海岸法でやれば二分の一程度の海岸全体についての施設にしかなりませんから、特別立法で津波対策事業を設けました以上は、この施設は三分の二の補助をすることが至当ではないかということで、目下大蔵省当局に強く折衝いたしておるわけでございまして、そのほかの防災施設になりますると、これはそれぞれの法律、制度もございますし、その運用の面におきまして、建設省部内においては、関係の局がお互いに相談をし、また官房におきまして調整すべき点は調整してやっておるわけでございます。  特に、たとえば住宅関係につきまして申しますと、計画局の都市計画関係、用途地域の指定あるいは防火建築帯の指定という問題もからんできまするので、計画局の仕事と住宅局の仕事がマッチして、具体的に施策が講ぜられまするように処置をしておるわけでございます。  そういうわけでございまして、先生のお話の趣旨は、直接的な海岸の防災施設につきましては、改良の趣旨が、今回の特別立法によって特に規定されて、その実現を期しておると、こういうことでございますから、一つ御了承をいただきたいと思います。
  94. 田中一

    田中一君 どうも耐火建築、いわゆる鉄筋コンクリートの住宅となると、一戸当り幾らという予算を計上してくるのですよ。これは場合によれば一戸当り五万八千円なら、それが三万五千円でもいいんです。何も大都市の周辺の公営住宅らしい造作を入れたものが必要だというんじゃないのです。やはり地域々々に、おのおの地域の特異性があるのです。どうも住宅局で要求する予算の耐火建築というものは、一律に……地方と都会地との賃金差があるために多少の違いはございますが、あとは一律に、その標準でもって、でき上ったものに対する、仕上りに対する建設費というものを予算に織り込まれておるのです。私はかつて社団法人日本労働者住宅協会を作るときに、何とかして五分ないし一割の単価の引き下げをしようということで、ずいぶん一年以上も苦労して研究したのです。ようやく現場設計その他によって、一割の軽減ができるという結論に達して、これは若手の学者全部集めてやったのです。住宅局長のところの若手技術家なんかも集めて研究さしてやったところが、大きな難関にぶつかった、というのは何かというと、どこまでも五万八千円なら五万八千円の単価をくずしちゃ困る。政府の方針は、何戸というのが政策として打ち出しておるのだ。単価が一割下がれば予算が一割下がるのだ、そうすると自分らの方の首の問題、処遇の問題にも関連するから、どうか高いものでも、あなたの御研究なら御研究でけっこうだけれども、やはり五万八千円で建てていただきたいというような答弁を非公式に聞いたことがあるのですよ。これは、僕はびっくりしたわけなんですよ。なるほど官僚というものは、無駄使いをするものだ。いろいろこっちは金をかけて苦労して技術者を投入して、五分ないし一割というものが軽減されるのだという結論を出されたにかかわらず、それを言われたのじゃ困る。ほかのものが下がってしまう。その分だけ、こっそりふやしてくれればいいのですけれども、そういう政府じゃない、そういう政治じゃございませんという率直な御答弁を聞いてびっくりしたのです。僕が申し上げたのは、たとえばそこで防潮的な性格を持つ公営住宅というものが、それだけの別の面でプラスして、そうして別の面で予算をみて、安い単価のものに押えていく、従ってそれによって安い家賃になるのですよ。  それから、なお漁村における生活態度といいますか、環境といいますか、家作りといいますか、家庭の作りといいますかね。そういうものと都会のあなた方——あなた方というと悪いが、僕らサラリーマンの住宅とは、おのずから違うのですよ。農村におけるものも違いますよ。漁村におけるものも違うのですよ。それを一律に、これこれの造作をしなくちゃならぬと言って五万八千円に織り込むところに無理があるので、そういう予算の編み方というものが不自然であるということですね、そういうものに引っかかりますと……。一坪、三万五千円でいい住宅もあり得るのですよ、堅牢のもので。ところがどうしてもこれは五万八千円にしなければならぬということをあなた方が予算上要求する場合には、その制約を受ける。同じように道路の問題でも河川の問題でも、そうなんです。総合的な施策がなし得るのですよ。それをやっぱり住宅局の予算は住宅局で取る、また道路局は取る、河川局は取るで、そういう面の部内の調整が足りないのです。  これはどうしても、今局長が言っておる言外には、やはり同じような今までの行き方を認めろというようなことが含まれているのですよ。私はそうじゃないのだ。そうした地域、防災的な地域というものは、まだあるのですよ。海岸でもって、それこそ一波高潮が来れば、家もろともに持って行かれるという地区はいろいろあるわけです。そこには、やっぱり風が吹いても潰れるような漁村が多いのですよ。これはやっぱり防潮壁というような形の住宅を作りながら、それに防潮という面の予算というものは、あるいは河川局でもらってもいいし、海岸の方からもらってもいいのですよ。これの上に家を乗っけるということになれば、安い負担でできるのですから、そういう形のものを作れと言うのです。どうも官房長の話を聞いておると、速記録を見ると、うまく逃げているのです。そういう点が多いんですから、その点もう一ぺん、はっきりと聞いておきたいのです。  そこまで踏み込んでいいんじゃないですか、それがそうでないという印象なら、そういう考えなら現地に行ってみていらっしやい。
  95. 稗田治

    説明員(稗田治君) ただいま田中先生のお述べになりました中に、多少誤解の点もございますことと思いますのですが、公営住宅におきまして、本年度実施しております鉄筋コンクリートの坪当たりの単価は四万九千円程度でございます。なお、公営住宅の補助金でございますが、これはたとえば五万円という単価がきまりました際に、五万円のものを作らなくてはならないというのではなしに、五万円以下で仕上った場合は、その費用の三分の二を補助するということ、五万円を超した場合には、五万円の三分の二までしか補助しない、こういうふうに法律上定まっておるわけでございます。  従いまして地方公共団体の方で、いろいろ創意工夫をいたしまして、単価が低く竣工いたしますれば、非常にわれわれとしても家賃の負担力等から考えまして望ましいことだと、かように考えておるわけでございます。なお、造作等につきましては、法律上われわれの方で規制しておりますのは、非常に限られた必要最小限のものだけを規定しておるわけでございます。ただ居住者の立場等を考えまして、それぞれ地方公共団体の方で、いろいろとなお行き届いた施設が作られておる事実はございますけれども、法律上、あまり余分な施設まで補助するというような積算はいたしていないわけでございます。  なお、もう一つ、先ほどの総合的な関係でございますが、従来耐火建築促進法というのがございまして、先ほど述べましたように、火災というものだけを目的にしたような法律になっておりますので、できれば来年度におきましては、これを防災建築の名前にかえたい、なお、防火帯という名前もかえまして、これを防災区域というようなことにいたしまして、水害等で、こういった堅牢な建物が防災上有効であるという場所には、火災の立場を離れても指定できるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。  なお、補助金等におきましても、一時の施設でございますとか、あるいは清掃、元の建物の除却、買収費用でございますが、そういう費用につきましても、補助制度等を考えたいというので、現在のところは、そういうような考え予算要求をいたしたいと考えておるわけでございます。
  96. 田中一

    田中一君 その場合に防潮堤、それを作る場合には、補助率は同じですか、公営住宅に対する補助率と、それから防潮堤を作る場合の補助率は。もし同じならば、一階、一階半くらいまでは、防潮提としての役目を持たすのでただになる、一階半、二階、三階、その分を総合したものに対する単価に対して家賃の算定をするということになれば負担が安くなるんですよ。やっぱり合理的な家賃の積算をしなければならないのだから、そういう形にしなければ、家賃は安くならないんです。補助なんということは言わなくて、別の役目で負担する、住宅ではなくて。それで住宅分に対しては、家賃は安くするという行き方はどうですか。
  97. 鬼丸勝之

    説明員(鬼丸勝之君) 田中先生のおっしゃいます。今の防潮堤役割を果すような公営住宅を立てた場合に、防潮堤役割を果す部分については、別の方面から金を入れて、家賃の算定には入れないようにしたらどうかという御意見だと思いますが、現在の予算制度から考えますと、なかなかそういう御趣旨のようには参らないと思います。  そこで今回のチリ地震による被災地におきましては、すでに御承知のように公営住宅法につきましては、やはり特例を設けて被災戸数の多いところは、補助率を上げております。ちょうど伊勢湾台風と同じように、一種については、三分の二にし、二種は四分の三というふうに補助率を上げておりますので、家賃の面でも、従って普通の公営住宅よりは安くなっている。これは不燃の公営住宅だけではございませんけれども、特に今回のチリ地震津波対策としましては、不燃構造の住宅の割合を多くしまして、結局私どもも現地を見ましたけれども、志津川、女川あたりでも、全体の総合的なプランを立てまして、それで、この道路は区画整理によってどうするか、あるいは公営住宅の設置は、海岸ばたに近いところは、こういうふうに建てる。その場合には、不燃の防災的な建物にする、山手の方に建てるのは、一部木造になる、こういうふうに計画地元と県と相談し、また本省におきましても指導いたしまして、そういう総合的な計画によって、住宅の建設もやっている。  もちろん防災の施設としての防潮堤等も、その全体の計画の中で考えられているわけでございますから、元の予算あるいは法律が違っておりましても、現地においては、総合的に計画を立ててやっていくということを私どもも指導いたしておりますし、そういうことで目下進行いたしているようなわけでございます。
  98. 田中一

    田中一君 家賃が非常に安くなるというんですね。問題は、負担力の問題ですよ。そういうものを建てられても、それを負担し得ないものじゃ困るのです。苦しくてしょうがないのです。工事費やなんかでなくて、家賃が安くなるということです、問題は。公営住宅の家賃のきめ方は、やっぱり政令できめているんでしょう。それでやっぱり高いんですよ、木造よりも。家賃が安くなるには、どうするかというんです。
  99. 稗田治

    説明員(稗田治君) 鉄筋コンクリートというような、宅地の高度利用を考える建物は別としまして、防災の点だけを考えますと、簡易耐火構造の平家建は、耐用年数の長い割りに、一坪当りの工事費が安くて済むものでございますから、木造と家賃は変わらないように作られているわけでございます。
  100. 田中一

    田中一君 木造の家賃よりも安くするぐらいにしなかったならばだめだと言うんですよ。季節的な災害をいつも常に受ける、それから農漁村の諸君は、それは現金収入というか、相当な定期的なものがあるわけじゃない。ですから、金が入る場合もあるし、入らない場合もあるんです。不作もある、不漁もあるんですよ。  だから目的を二つ持っているならば、その別の目的でカバーして、住宅という負担、住んでいるという負担は、これをうんと軽減しろというんです。合理的じゃないですか。決して不合理じゃない。合理的じゃないですか。それが、当然家がなくても、それは作らなければならぬのじゃないか、その場合に、特別に負担を軽減するような措置をとれというのですよ。  今の法律あるいは政令でできなければ、法律を変えたらいいじゃないですか、趣旨は、そこにあるのですよ。そうしなければ漁村、農村の防災建築というものは、できても居住そのものが負担が重くなるということですよ。それじゃ目的を達しないですよ。アロケーションだ。そのくらいのことをしなければだめだということを痛切に感じたですよ。  それからもう一つ道路公団に言っておきたいのですが、道路局長も、ああ言っておりますし、二級国道に並行道路がないにかかわらず、あなたの方に有料道路を作らせるということを、さっきも言っておりました者もあるのだね。それから後進県、未開発区域に対しては多少ペイしないでも、ほかのものでペイするものもあるのですよまあ関門隧道なんというやつは、国会でもって使用料、通行料を安くしたために、だいぶ苦しがっているらしいけれども、なお多々収入の多い路線も、だんだん出てくると思うのだ。そこでカバーして、後進地区は、ことに建設省がそういう熱意というよりも、何というか、政治的に非常にしわ寄せされているような地域は、道路公団、どしどし作って下さいよ。それで損してもいいじゃないですか、償却がおくれてもいいじゃないですか、私はそう思うのです。  そのくらいの熱意を、建設省は持たなければならぬと思う、道路局長は、君にどういうことをサゼッションしているんですか、それを一つ。現にもう全通していない二級国道なんかを道路公団だけにやらせようという考えを持っているならば、自主的にどんどんやって下さいよ、藤森君、そうしなければだめですよ。
  101. 藤森謙一

    参考人藤森謙一君) 現在、先ほど道路局長が御説明になりました十一路線のうち、四路線道路公団関係いたしておりまして、高知—徳島線、これがまさに着工いたしたいと考えております。それからあとの二路線につきましては、通岡当時から、調査がだいぶ進んでおります。それから古河—横手線のものはこれから調査したいと思います。それから雁峠も、調査をやっておる。  こういう点については、十分建設省と御連絡申し上げて、採算が可能な範囲で、そういう案を作るようにやっていきたいと思います。
  102. 田中一

    田中一君 なお、いろいろ質問したいこともありますが、きのうきょうに続いて、お疲れだからやめますが、この次の、新道路五カ年計画は、まあまあことし一ぱいくらいかかるだろうと思うのであります。それまで時間があるから、十分に道路局長並びに建設省をバック・アップしますから大いにやって下さい。
  103. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 本日は、この程度でやめたいと思います。次回は、九月二十四日午前十時、治水事業十カ年計画について、委員会を開会いたします。  本百は散会いたします。    午後一時二十三分散会    —————・—————