○
苫米地英俊君 本
委員会は、かねてから、
北方地域における
領土の問題、安全操業問題、元居住者対策問題などにつきまして深い関心を寄せ、
委員会の審議において、あるいは
現地調査等を通じて、問題の解明に努めて参ったのであります。しかしながら、御
承知のように、この問題は、早急に
全面解決を見るという見通しもなく、特に先般の
ソ連側の
態度硬化等とも考え合わせまして、この際
現地の新しい
情勢を把握し、
地元関係者が何を望んでいるかについての認識をあらためてくみ取ることが必要であるという観点に立って、
北海道の
現地視察を
委員会で決定したわけであります。
そこで、
北海道班は、
笹森委員と私の二人で編成し、それに
木村調査員が同行し、去る九月五日から一週間にわたって、
札幌、根室、標津、
羅臼、
別海、
釧路等の
北海道各地をたずね、
現地の
関係者の
方々から、この問題についてつぶさに事情を伺い、
要望陳情等を聞いて参ったのであります。
なお、一行は、この問題のほかに、
札幌の
陸上自衛隊北部方面総監部、旭川の第二
管区隊、野幌の
酪農学園、
羅臼のサケ・
マス孵化場、
別海の
根釧地区パイロットファーム等をもたずねまして、多方面にわたる
視察を行なうことができたのであります。
視察の詳しい
内容につきましては、
報告書を
委員会会議録に載せていただきますので、それをごらん願いたいと存じます。
最後に、この
視察の結果並びに従来の行きがかりについて、
委員会の深い御
考慮をお願いしたいと存ずる次第であります。国後、択捉、これは日本の固有の
領土であります。そして歯舞、色丹島は
北海道の一部であります。これらの土地から引き揚げてきた
人々が、ただいままで長年の間非常に苦しんでおるのであります。というのは、国内において、法務省も厚生省も、ま大蔵省その他におきまして、
まこと思想の統一ができておらなかった戦後の
混乱状態のために、支離滅裂な行政が行なわれておったのであります。そのために問題が非常に複雑化してき、引き揚げてきた
人々が非常な犠牲を払っておる。
引揚者だけでなしに、この
引揚者を受け入れている
町村等も、非常な
負担並びに収穫の
減少等によりまして、自治体の経営に重い
負担を与えているような
状態であるのであります。これを近年本
委員会の
皆様の御
考慮をいただきまして、だんだんいろいろの施策を講じて参りましたけれども、まだ十分に
政府の理解を得ることができず、非常な困難な立場にあるのであります。そこで、今度新たに
視察して参りまして、
現地の新しい実情を御
報告申し上げる次第でございますが、これに基づいて深甚なる御
考慮をいただき、この困難な問題をなるべく早く、一日も早く解決するようにいたしたいと存じておる次第でございます。
一言づけ加えまして、
皆様の御満配を願い上げる次第でございます。以上。