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説明員(国友弘康君) 事故防止に関しましては、
運輸省の
重点施策として取り上げて、これは最も大切なことであるとして、いろいろ
措置をいたしておるわけでございますが、最近比叡山におきまする事故を初めとして、バス等におきましても相当な死傷を伴う事故を発生さしておりますが、全体的な自動車事故の概要を申し上げますと、
昭和三十四年中の自動車
関係事故は約十七万四千件ございまして、死者が八千二百人で、これを一日平均にいたしますと、毎日四百七十五件の事故が起こっておりまして、このために二十二人が死亡していることになっております。これは
昭和三十四年が出ておりますので、
昭和三十四年を中心にして申し上げますが、
昭和三十三年、前年度に比較しますと、事故件数は一七%、死者二二%の増加を見ております。ただこれは自動車の激増に伴いまして事故も増加しておるのでありますが、千台当たりの死者数等を見てみますと、これは毎年減少しておりまして、
昭和三十四年には三・二八人ということで、カーブを引いてみますと台数当たりの事故というものは非常に減って参っておりまして、そういう状況を呈しております。これはことに事故防止対策本部が
内閣に
昭和三十年にできまして以来、神風タクシーの問題、それから神風トラックの問題等を取り上げまして、いろいろな
措置をいたし、
運輸省といたしましても運輸規則の改正とか、あるいは道路運送法の改正とかをいたしまして
措置をしたわけでございますが、これらの施策の浸透もあったかと思いますけれ
ども、割合重大事故及び台数当たりの事故というものは減って参っております。で、この
昭和三十四年の事故を前年度に比べてみますと、事故件数の増加が特に著しいものは軽自動車でございまして、これは三三%も増加しております。増加の趨勢としては軽自動車が一番多くて、次に貨物自動車の増加は十八%の増加であります。軽自動車、貨物自動車の事故が多い、こういう傾向を示しております。
そこで私
どもとして現在中心を置いて施策をしておりますものは事業用自動車の事故防止でございますが、まずバス転落事故が最近
新聞紙上に
報道されるものが非常に多い。そこでバスの転落事故につきましての各種の事故防止対策の促進徹底によりまして、実は
昭和三十一年以来は死者の発生数が著しく減少しておったのでございます。ことに
昭和三十二年、三十三年あたりは、貸し切りバスにおきましては、年間死者ゼロという数字を示しておったのでございますが、三十四年から再び増加いたしまして、ことに三十五年に入りましてから、事故件数はそれほどふえておらない。むしろ減少傾向にあるのでありますが、死者を伴う大きな事故というものが最近出て参っております。でもこれらにつきましては、根本的な事故防止対策、及びその都度事故防止警報等を出しておりますが、また年末年始の輸送繁忙期、あるいは梅雨期等には、特に事故防止の通達を出しまして、
重点的に指導しております。また先般の比叡山におきまする事故の発生に際しましては、直ちに
現地調査をいたし、また事業者に対しまする特別の監査及び行政処分等を行ないますとともに、自動車事故警報を発令いたしまして、特に主要観光地の運転基準図の利用、これは各社が
自分の
業務担当範囲にあります観光地等の運転基準図を作っておるのでありますが、それらを各ほかの観光バス会社等にも配って、それらを運転者が十分利用できるようにせよというような
措置もいたしたわけでございます。それから事業用のトラックの事故防止につきましては、従来から監査を
強化して、指導してきておりますが、先般京浜国道におきまして居眠り運転による、沿道の人家にトラックが飛び込みまして、死者五名を出したというような事故が発生いたしましたが、この事故を中心といたしまして、自動車事故警報を発令いたしまして、過労防止について厳重に注意をするように促した次第でございます。そのほか全般的なことは、
先ほどあげましたが、事業用の自動車に対しまする事故防止の一そうの
強化をはかるために、さきの通常国会におきましても、道路運送法の一部を改正する法律案を提案いたしまして、御審議を願い、通過をいただいたのでございますが、運行管理者制度を法律化いたしますとともに、運行管理者に対しまする解任命令、不都合があった場合の解任命令等も規定いたしまして、及び事業者に対しまして、運輸規則違反等があります場合に、それを是正させるための保安命令を行ない得るような
措置をいたしたわけでありますが、今後車両管理、あるいは労務管理等の指導に一そう努力いたしまして、事故の防止をはかりたいと
考えておる次第であります。