運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-08-11 第35回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    七月二十二日  中村幸八君委員長辞任につき、その補欠として  大島秀一君が議院において委員長に選任された。 ————————————————————— 昭和三十五年八月十一日(木曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 大島 秀一君    理事 岡部 得三君 理事 小平 久雄君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君    理事 武藤 武雄君       鹿野 彦吉君    菅野和太郎君       木倉和一郎君    田中 榮一君       野田 武夫君    板川 正吾君       勝澤 芳雄君    小林 正美君       櫻井 奎夫君    東海林 稔君       中嶋 英夫君    矢尾喜三郎君       八木  昇君    加藤 鐐造君       北條 秀一君    山下 榮二君  委員外出席者         通商産業政務次         官       岡本  茂君         通商産業政務次         官       木村 守江君         通商産業事務官         (大臣官房長) 樋詰 誠明君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      大堀  弘君         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      須賀井敏行君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 七月二十二日  委員岡本茂君、小川平二君及び西村直己辞任  につき、その補欠として岡崎英城君、菅野和太  郎君及び田口長治郎君が議長指名委員に選  任された。 同月二十三日  委員岡崎英城君、中井一夫君及び堂森芳夫君辞  任につき、その補欠として岡部得三君、中馬辰  猪君及び矢尾喜三郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員中馬辰猪辞任につき、その補欠として中  井一夫君が議長指名委員に選任された。 七月二十三日  理事南好雄君七月十九日委員辞任につき、その  補欠として中村幸八君が委員長指名理事に  選任された。 同日  理事小川平二君七月二十二日委員辞任につき、  その補欠として始関伊平君が委員長指名で理  事に選任された。 同日  理事大島秀一委員長就任につき、その補欠と  して岡部得三君が委員長指名理事に選任さ  れた。     ————————————— 七月二十二日  一、海外経済協力基金法案内閣提出、第三十    四回国会閣法第八八号)  二、割賦販売法案内閣提出、第三十四回国会    閣法第一一八号)  三、輸出入取引法の一部を改正する法律案(内    閣提出、第三十四回国会閣法第一一九号)  四、通商産業基本施策に関する件  五、経済総合計画に関する件  六、公益事業に関する件  七、鉱工業に関する件  八、商業に関する件  九、通商に関する件 一〇、中小企業に関する件 一一、特許に関する件 一二、私的独占の禁止及び公正取引に関する件 一三、鉱業と一般公益との調整等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公益事業に関する件      ————◇—————
  2. 大島秀一

    大島委員長 これより会議を開きます。  公益事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 さきの三十四国会におきまして電気工事士法電源開発促進法の一部改正案が当委員会において採決を得て成立をいたしております。しかし御承知のような状態でありましたために、われわれといたしましては、この二法に対しましては、提案説明すら聞いていないのであります。そこでこの二つの法律につきまして、いろいろとわれわれとして言いたい点、あるいは聞きたい点を質問していきたい、このように思いますが、その前に、一般電力行政について若干の御質問をいたしたいと思います。  最初にちょっと御参考までに、私の地元の神戸新聞投書欄、すなわち「読者の欄」に出ておりました一読者の声を読んでみたいと思います。これは「余りにも官僚的な電力会社、一老婆の死の陰に」という見出しがついておりまして、相当長いものでありますので、要約して申し上げますと、兵庫県の氷上氷上町で、あるうちが電気料金を人に頼んで納めてもらうべく委託したわけですが、その人がその金を使い込んだ、そういうことで電力会社にその金が入っていなかった。そこで電気会社からは料金を入れていないということで督促を受けたので、うちには病人もおることだから、一週間以内に必ず納めます、こう言ったのに電気を切った、すなわち供給停止を行なったのであります。そのためにそのうちでは、ろうそくをつけておったところ、そのろうそくからかやに火が移りまして、中風で寝ておった老婆が焼け死んだということでございます。この投書の最後には、一生懸命年老いた老婆に孝養を尽くしておったその息子が、そのようなことで老婆を死なしたということについては、その人の気持ははかり知れないものがあろう、あまりにも官僚的な電力会社やり方に対して義憤を感ずる、こういう意味投書でございます。  さらに私が最近知りました一つの事実を申し上げます。これは私のところ、はっきり申しまして関西電力加古川営業所管内の事件であります。これは、その人がメーターの外から電気をとるようにしておった、すなわち不正の行為のあったことは事実です。ところがそれを発見したというか、見に来たのは、絶縁測定員とかいうそらで、すでに電力会社を退職した人です。その人がそれを見つけて、そうしてその翌日、無警告電気を切っておる、すなわち供給停止を行なって、つけてもらいたかったならば、五時までに二万円持ってこい、そういうように言ったのであります。そうして計算すれば四十二万円になるのだが、お前の出方一つによってどうにでもなる、そういう言い方をやったらしいのであります。われわれは、私個人を申しましても、関西電力株式会社から電気供給を受けております。これは関西電力と私との間に、電気供給契約が結ばれておると思うのであります。その契約内容は何かといえば、通産大臣認可をいたしましたこの電気供給規程契約内容であろうと思うのです。そうしてこの規程の第六には、「あらかじめこの規程承認の上、当社所定申込書により次の事項を明らかにして、」云々となっておって、契約が成立する、こういうふうにうたっておるわけであります。しかしおよそ一般電気供給を受けておる人は、その契約内容である電気供給規程なるものを知らないと思います。たとえば、ただいまの事例第一におきましては、おそらく電気供給規程五十九により送電停止をしたのであろうと思います。また事例第二におきましては、五十三のC項またはe項によって電気供給停止したのだと思うのであります。  そこでまずお伺いしたいのですが、独占企業中でも一番大きな独占企業電気でございます。従って公益事業という立場から、政府は相当電力に関しましては保護をし援助をいたしております。それだけ通産省等においてはこれが監督もしておると思うのであります。この電気供給規程第六には、「あらかじめこの規程承認の上、」ということになっておりますが、電気供給契約を締結する際において、大体電力会社はこういう規程をどういうふうにして一般に知らしめるような方法をとっておりますか。私もこの規程をきのう初めて見たのであります。読んでみて非常に驚いたのですが、ここでは電力会社都合のいいことばかり書いてあります。電力会社都合の悪いことは一つも書いていない。どういうようなことがあろうとも、供給を受ける側から電力会社文句が言えるような条文は探しても一つもない。損害賠償はこういう場合には応じられないとか、そういうようなことばかり書いてある。一体通産省公益事業局としては、電気供給規程を定めるにあたって、どのような監督をし、その内容一般に周知せしめ、かつ契約にあたってどのような方法で周知せしめるような指導をしておりますか、お伺いいたします。
  4. 木村守江

    木村説明員 ただいま田中委員からの御質問でありますが、兵庫県の例等まことに遺憾なことであると考えております。加古川の問題につきましては、御説に近いようなことがあったようでありますが、これに関しましては、当局といたしまして適正な方途を講じておるようでありますので、その詳細につきましては事務当局から説明させるごとにいたします。
  5. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま御指摘最初ケースにつきましては、実は初めて伺いましたのですが、後の加古川の問題につきましては、一応お話もございましたので、事務的に事情も聴取しております。先にそれをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  加古川営業所保安上の目的で絶縁検査を実施いたしましたところ、一需用家が引き込み配線のパイプに穴をあけまして電気を盗用しておることが発見されましたので、同営業所が翌日の午前十時から六時ごろまで送電停止したようであります。そうして別に規定によって違約金を徴収したという事実がございます。営業所のとりました措置は一応供給規程に従って行なわれておりますから、この面で違法な点は認められないということでありますが、しかしながら需用家と接触しております窓口のことでございますし、御指摘のように公益事業でありますから、その実行段階においては慎重に親切にやらなければならない事柄だと思います。態度その他やり方等について、あるいは高圧的であったり、行き過ぎの点があったかと思いますが、このような点については今後十分に調査いたしまして、会社側にも注意をして参りたいと思います。また今後こういうようなケースが生じないように十分な注意をいたすように通産局を通じて指導して参りたい、かように考えております。供給規程の点については、これは非常に大部な規程でありますので、一般にはやはり規程認可いたします際に公表いたしておりますが、確かに需用家個々の方にすべて御了解いただけるような公表の方法は、現在のところとっておらないわけであります。私どももできるだけ一般に周知するように指導いたしておりますが、今後この点につきましてはできるだけそういう方針でやって参りたい、かように考えております。
  6. 田中武夫

    田中(武)委員 刑法の二百四十五条によればいわゆる「電気ハヲ財物と看做ス」こういうことになっておるので、盗電をした場合には弱みがございます。この事例第二であげましたときでも、そのことをいって刑法上の窃盗になる、どろぼうになるのだ、こういって、無警告で四、五人行って一ぺんに電気を切って、そのうちは赤子がおります、だから困るからと言っているのに切って、つけてほしければ二万円持ってこい、こういうように出ておるのですよ。  そこで私お伺いいたしたいのですが、この電気供給規程内容はすなわち契約内容だと思うのです。そうするならば民法双務契約原則あるいは民法債権に対する原則、これのもとにのみ有効であろうと考えるわけです。これによって電力供給停止送電停止はなるほど契約解除でない、こう言うだろうと思うのですが、受ける側からすれば送電停止契約解除にひとしいのです。しかもこの規程によって調べてみましても、この規定以外は送電停止契約解除と同じような考え方の上に立っておるわけです。たとえば規程の六十の三には契約消滅という言葉と停止を並行的に書いております。それから十三では、いわゆる需用者側からの契約消滅に。いては、予告をして期限をつけてするようにうたっておる。ところが会社側からの方は何らうたっていない。それから三十七によって再接続手数料を徴収することになり、六十七によってその手数料がきめてあります。そうするなら、電力停止は一応契約解除と同じように見ているわけです。また同じ効果を現わしておるわけなんです。そう考えた場合には、一応いかなる場合であろうとも、それが緊急やむを得ず保安上直ちにそれを切らなければならないような事態で、もし公安上の火事とか何とかいうことがあるとすればともかく、そうでなければ一応予告をもって行なうべきである。これは民法の五百四十一条ですか、一方的に解約権を持っているときでも、相当なる期間を定めて予告してということになっておるのです。その予告期間を与えずして、しかも今日では生活必需品以上に必要な送電停止ということは、人権にまで及ぶような問題なんです。そういうことを無警告でやるということに対して、公益事業局としてはどう考えておりますか。
  7. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま御指摘のように、規程につきましては、私も実は七月初めに局長になりまして、詳細な点不勉強で、法律的な関係をお答えできませんではなはだ恐縮に存じます。十分勉強させていただきたいと思います。ただいま御指摘の点につきましては、一般家庭に対する供給を含んで全般的な供給義務を持っておりますので、かりに停止をいたします規程がございましても、その実行については慎重な手続きをとり、十分注意をしていく、そしてごく悪質な場合にそういった停止規程を発動する、私どもの常識的な考え方からいいますと、そういう扱いをすべきものである、かように考えます。
  8. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆる送電停止契約解除との相違は、どういうように解釈をしていますか。
  9. 大堀弘

    大堀説明員 契約は当然残っておると考えまして、停止いたしました場合、盗電の場合あるいは緊急な場合、火事とかいった場合、そういった場合に停止することに相なると思います。
  10. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは事例第二であげた加古川のときなんかは、そういう公安上直ちに切らなくてはならぬような危険があったですか。あなたのおっしゃるように、いわゆる送電停止をやっても契約が残っておることはわかります。法律上はそうなっている。契約解除供給停止とは違うのだ。しかし、受ける側からいえば契約解除と同じ効果を受けるじゃないですか。それなら契約解除と同じような手続を当然すべきである。たとえばこの規程の五十九の場合には送電停止予告期間を与えることになっている。ところが五十三の場合にはその規定がないわけです。もちろんそういう予告期間を与えて行なうといういとまのないような場合があろうと思う。しかし、それはただしこういう場合ということで、あらかじめ予告期間を与えるべく規定すべきだと思うのですが、これを認可したときにおいてあなた方はどういうように考えておりますか。
  11. 大堀弘

    大堀説明員 先ほど申し上げましたように供給規程規定といたしましては需用家に対して電気供給停止することがあると書いてございますが、これは当然に、やはり相当丁重に調査をし、また督促も何回もして、しかる後やむを得ないときにやるべきものと解釈すべきものと考えております。  先ほどの加古川ケースの場合は、私ども調査にもし粗漏の面がありますならば、また重ねて厳重調査をいたしたいと思います。私ども伺っております範囲では相当回数、十回ぐらいいろいろ需要家督促をしたと会社側では言っております。これは私ども調査でありまして、なお違った点がありますれば重ねて調査をして参りたいと思っております。
  12. 田中武夫

    田中(武)委員 事例第二の場合はあなたの言っておるのとは全然違う。前日絶縁測定員というものが来て、そういう不正があることを見つけた。そうして、大したことない、あなたが来てあやまればいいということを言って、その翌日の午前十一時ごろに突如四、五名が来て有無を言わせず切っておいて、しかも今言ったように刑法上の罰があるのだ、つけてほしければ二万円出せ、こういうことを言って帰った。あなたの調査によってそう言っておるならば、これは委員長に要求いたしますが、関西電力責任者に次の委員会に来てもらって、私はこの問題についてやりたいと思っております。それとも、実際問題としてそういう必要があったのかどうか、あなたの方で調べて報告をしてもらいたい。それからこの規程の運用に当たっては、いわゆる契約当事者会社責任者である社長である。しかし、社長ではすべてできないから、その権限委任を受けておると思うのです。一体その委任はどの範囲でやっておりますか。たとえば電力供給停止、このような裁決を、いわばこの契約内容に従っての履行契約条項履行なのです。これは一末端の現場員によって行なえるようなシステムであるのかどうか。一体そういう契約内容について、会社を代表して行動するのは、一体どのような人がやるのか。
  13. 大堀弘

    大堀説明員 前半のただいまの調査の点につきまして、御指摘のように私ども聞いておりますのと違った点があるようでございますから、その点は重ねて十分私ども厳重に調査をいたしたいと思います。  それから権限の問題につきましては、これは会社内部——ども実はどの段階まで委任しているかわかりませんが、最小限度営業所長委任させておるかと思いますが、個々の人にまで、出張に出て参ります者にまで委任しておるはずはないと思います。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 契約内容なんです。本来ならば個々契約をするわけなんです。ところがこれが独占企業であるために、一方的にきめた規程にわれわれは入っていくわけです。従ってこの規程内容並びにこの運営に対しては、公益ということと、独占企業という立場から立って、あなた方が公益事業局という立場十分監督をしておられると思うのです。ならばこれの認可を与えるにあたっては、これに定められるところの会社を代表して行動するというのは、どういう人たちであるかというところまできめて認可したのと違うのですか。おおよそのことでこの規程認可をするのですか。しかも私が営業所長に電話したときは、そういう事実については知りません、こう答えた。それは私がかけたのは四時過ぎです。しかも十一時にすでに切られておったわけです。それじゃ一体だれが命令したのか。
  15. 大堀弘

    大堀説明員 これは電力会社事情によりまして、あるいは営業本店でやる事項もございましょうし、あるいは官業所にまかしておることもあろうかと思いますし、また事項のウエートによっていろいろ変えて参ります。これは非常に広範でございますので、契約吉では、そこまで認可内容にはいたしておらない次第でございます。これは会社責任者をわれわれとしましては一応信用いたしまして、委任するという形になっておりますが、ただいまのところまだ具体的に調査いたしておりませんので、その点も重ねて調べてみたいと思います。先ほど申しましたことは、委任いたしました場合でも営業所長以下に委任していることはないたろうと考えられるわけであります。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば緊急やむを得ないということでその現場において切ったとしても、そのことは直ちに報告すべきだと思います。十一時に切っておいて、午後四時に電話をしたときには知らないと答えておる。しかも契約内容に従っての行動なんです。契約当事者代表者であります。しかしその代表者社長であるが、できないから権限内部においての委任規定があるわけです。はたしてどこまで委任しておるか。大まかにそのつどそのつどやっておるということじゃなかろうと思う。この権限委任内部規定というものを出してもらいたい。どういう事項についてはどういうところで権限をやるのか。それから五十五の違約金、この性質は契約履行にあたって契約の定めなき方法によってやったということに対する意味違約金だと思うのです。そうならば、本来ならば双方で話し合ってきめるのが相当なんです。ところが今言ったような独占企業であるから、五十五の規定によって一から二、三まであるわけですね。これによると時期のわかったときは時期、それから普通の三倍だという時期のわからぬときは半年にさかのぼる、こういう規定なんです。そうなら四十二万円になるとか、それを五万円にまけてやるとか、そういうようなことができる性格のものなんですか。違約金性格というものはどういうものなんですか。受ける側から言えば罰金と同じように考えていますよ。電気を切られる、今日電気を切られたならば、生活上これは大きな不便といいますか、むしろ人権問題だと思うのです。それくらい重要なものなんです。その電気を切り、そうして違約金をそういうような方法でやり、つけてほしければ二万円持ってこい、これがはたして公益事業のとるべき態度でありますか。
  17. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま御指摘のように、公益事業一般の方と契約をすることになっておりますので、普通の民法契約と違いまして、供給規程をきめまして、その規程に従って供給するという形になりまするので、一般的には違約の場合に違約金をとるという規程が入っておるわけでございます。しかしながら先ほど申し上げましたように、これは当然一般の公衆を相手にしておることでございますから、十分取り扱いについては慎重の上にも慎重を重ねてやるべきでございますから、ただいま御指摘のように、この金額も、任意の金額を負けてやろうとか、そういった扱いをすべき事柄ではないだろうと私は考えております。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 ともかく最初は普通ならば、四十二万円とるのだ、お前の方の出方次第によって話に乗ってやる、こういう態度であった。だから先ほど言ったように、この規程において、会社を代表し、直接需用者との関係の問にあって行動を決定する権限、これはどういう内部規程によって、どのような人に与えられておるのかということをはっきりしてもらいたい。それから先ほど言ったように、これは私初めて電力供給規程なるものを見たのですが、これはあまりにも電力会社の勝手気ままな言い方ばかり書いてある、たとえば三十八項ですか、損害賠償免責事項なんかもそうである。こちら側からは何も言えないようになっておる。いつかも質問したことでありますが、少し漏電をすればそういう方法でやるのだ。それならば百ボルトと規定せられておる電力が、百ボルト来なかったときの電力会社責任はどうなんです。どういう責任をとりますか。
  19. 大堀弘

    大堀説明員 これは電気事業は、本来電力供給義務を負っておるものでございますから、御指摘のように周波数あるいは電圧の問題については、規程通り供給すべきものと考えております。ただ今日の段階におきましては、なお電力供給が戦後相当供給力をふやして参りまして、サービスの点もかなり改善をして参っておりますけれども、まだ十分の段階に達しておりませんので、電圧周波数が若干規程を下回りました場合にも免責規程がございまして、これは確かに電力会社に一方的に有利じゃないかという点も、御指摘の通りかと思いますが、そういった実情も考慮いたしまして、現在の供給規程ではそういう扱いをいたしておるわけであります。ただ一般的に申しまして、供給規程そのものがどうも少し電気会社に有利にすぎるというようなお考えが先ほどから指摘されておりますので、私どもとしましても、この規程につきましては十分検討して参りたいと考えております。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 契約内容に従っての履行をやらなかった場合に、受ける方の側に対しては苛酷なる制裁をもって臨む、ところが出す方の電力会社に対しては、何ら受ける方の側から文句を言うことのできない規程になっておる。一方的な独占企業であって、その内容がそうであるということならば、この供給規程そのものは、おそらく関西電力だけでなく、他の八電力会社もおおよそ内容は変わらないと思うのです。全般的にこれは考え直す必要があると思う。たとえばはっきりした債権関係があって、判決が出て、強制執行の付与があって、それから強制執行をしても、なお期間を置いて催告をするのです。民事訴訟においてもそうなっている。ところがこれは瞬間に切ってしまうのです。判決以上の効力を持っているのですよ。そうでしょう。判決で勝訴になっても、それを強制執行するまでにはいろいろの手続がある。差し押えをしてからでもなお予告期間があるのですよ。この五十三の三項の場合は、何らの期間がないのですよ。それを利用して電力会社の従業員が末端部門に至るまで、あたかも警察官以上の権力を行使しておるというのが事実なんです。事例第一のごときは、そのために老婆が死んだということであるならば、まさに殺人罪に値する問題であります。まだあとに法案についての質問がありますから、この程度にきょうはとどめますが、この内容、私も昨晩もらってちょっと見ただけでありますが、詳細に検討して今後もっと掘り下げていきたいと同時に、当局においては供給規程を再検討し、これの改正を勧告する必要があろうと思います。  なお、先ほど来申し上げておりますところの事例第二については、会社の報告は相当事実に反しておる。従って、その真実を報告するよう、必要があれば電力会社責任者を参考に来てもらう、そのようにいたしたいと思います。
  21. 大堀弘

    大堀説明員 供給規程の点につきましては、ただいま御指摘の通りでございまして、電気料金制度調査会におきましても、やはり同様な意見がございましたので、私どもとしても、現在、供給規程のあり方について、さらに検討いたしておるわけであります。今後十分検討いたしたいと思います。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 電気供給規程は、先ほど言ったような独占企業の中でも唯一の独占企業、これの契約内容でありますから、契約自由の原則の上に立って、一方の側からでも発言ができ、あるいは抗議ができるというような内容に定めるよう、再検討をさらに要望いたしておきます。そのようなやり方をやっておる独占企業電力会社が、聞くところによると、また料金の値上げを申請しておるそうであります。現在値上げを申請しておる会社は何社、そしてその内容はどういう内容であるか、そしてその申請の時期及びその理由並びにそれに対する当局の見解、以上をお尋ねいたします。
  23. 大堀弘

    大堀説明員 現在電気料金の改訂申請をいたしておりますのは、九州電力社でございます。内容は、総平均価格において一七・五五%の値上げ率になっておりますが、値上げの理由といたしましては、電源開発に伴う資本費の高騰並びに水火調整金制度、これは再編制以後五カ年間ございましたのですが、これが五年で終わりになりましたので、火力に対しての従来の水火調整金をもらっていた九州電力が、コスト面で十数億食い違ってきておるというのが主たる理由のように聞いております。  これにつきまして、七月十五日に申請がございましたが、通産当局といたしましては、この申請の内容について、現在事務的に検討中でございます。事務的と申しましても、今後は料金制度を、新しい料金制度によりまして、二年間の需給計画をべースにして算定いたしますので、相当需給は、九州だけでなく、その他の地域との融通の問題もございますから、かなり需給計画の算定、その他料金内容等につきまして時間がかかりますので、しばらく検討に時間をかしていただきたいと思います。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 電力の値上げ問題につきましては、またあらためて一般的物価の問題として、別個の問題として質問をやりたいということで、きょうはこの程度にいたします。  次に、京都の宇治川ですか、あれをせく天ケ瀬ダム、あれは工事は建設省がやるんですね。そしてその水は関西電力が使う。そうすると、工事費の分担等はどういうようになっておるのか、それはどういう基準によってきめるのか、だれがどうしてそういうことをきめる権限を持っておるのか、こういう点についてはっきりしてもらいたいと思います。
  25. 大堀弘

    大堀説明員 ダムの建設につきましては、これは建設省が担当いたします。補償基準につきましては、電源開発促進法に基づきます基準がございますので、それに基づきまして算定をいたすものであります。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 何か三つの川が一つ所に寄る、だから水防上の必要からも、こういうことで建設省がダムを作る。ところがそのダムを利用するのは関西電力なんだ。いわば国の費用によって関西電力のダムを作ってやるようなものだ。そのような保護を受けておりながら、やっているが今のようなやり方だ。再検討の要があるということを強調しておきます。
  27. 大堀弘

    大堀説明員 建設の費用につきましては、当然利益を受ける人が規定によって分担をすることになっております。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 それは分担することになっておる。なっておるのだが、これはわれわれ考えても、一般が考えても、ダムを作ってやって、もちろんある程度分担するだろうが、公益事業なるがゆえに水を使わすのです。その公益事業という上にあぐらをかき、独占企業という上にあぐらをかいて、今事例としてあげたような事実が世間一般に行なわれておるというこの事実は許すことができない、こう言っておる。だから、この天ケ瀬ダムの問題についても、またあらためて基準を、幾ら工事費が要って、どういう率によって、いわゆる電源開発促進法のどういう規定に基づいて関西電力が何ぼ負担するか、これを資料として出してほしい。  次に、商店街あるいはその他の街路灯なんです。この街路灯は町を明るくするあるいは犯罪をなくする、暴力をなくする、こういうような面からも街路灯を多くつけよう、こういうことがいわれておる。あるいは商店街等についても、商店街自体がいろいろと苦労をしてつけておる。ところが、これに対して現在は定額灯並みの料金をとっておる。公益事業というならば、そういった公益に必要なものについては、特別の料金を定むべきでないかと思うのです。現在商店街にずっとつけてある街路灯ですね、あれは個々の家庭が定額灯として引く場合と同じ料金をとっているわけです。公益事業なら公益に必要な——それはもちろん町の繁栄、ひいては商店街の繁栄のためではあろうけれども、同時にその町を明るくする、犯罪をなくする、少年の不良化を防止する、いろいろな面があろうと思う。そういうものに対してそれに何ら一顧も与えていないのが今日の電力会社であります。それに対して監督官庁としてどう考えておりますか。
  29. 大堀弘

    大堀説明員 街路灯につきましては、ただいま御指摘のような御意見が一般にもございまして、私どもやはり理由のあることと考えますので、その方向で現在割引につきまして検討中でございます。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 公益事業なら公益事業らしくやれということを強く要望しておきたいと思います。なおいろいろとこの電力一般行政、ことに電力会社やり方については質問すべき点はまだ多々ありますが、しかしきょうは委員長との約束で、一時間程度ということになっているので、この問題については後日あらためてあなたの方からもらった資料に基づいてやることにいたしまして、次に行きたいと思います。  当初申しました三十四国会において成立を見た電気工事士法電源開発促進法の一部改正であります。これは先ほど申しましたように、あのような御承知の状態の中にあって、われわれは提案理由すら聞いていない。その中において当委員会においてはそれを可決成立せしめたのであります。従いまして、われわれ商工委員としては、おそまきながらこの法案の内容について、当局考え方、あるいはその運営についてただしておきたいと思うのであります。  まず最初にお伺いいたしたいのですが、この法案審議にあたりまして当委員会においていかなる点が問題になり、いかなる点をどう審議をしたかをお伺いいたします。
  31. 大堀弘

    大堀説明員 主として問題になりました点は、電気工事士の資格の制限といいますか、これが法案の内容でございますが、これを一気に施行いたしますと、現在工事をやっておられる方に対して生活上の心配がある。それに対して取り扱いをどうする考えであるかという点が一番の問題になりました。私どもとしましては、現在工事をやっておられる方には御心配をかけないように資格の認定の点で十分に配慮して参りたいということを、お答え申し上げておるのであります。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 それがこの委員会で質疑応答としてかわされたことで、それに対して当局はどういう説明をされたのですか。
  33. 大堀弘

    大堀説明員 衆議院の商工委員会におきましては御質問はございません。参議院の委員会におきまして、ただいま私が申し上げたような点の御質問があったわけであります。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 それでどういうようなことを言ったのですか。
  35. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま申し上げましたように、現在工事をしておられる方が、この資格検定によって資格を失うというようなことになりませんように、資格認定の規定があるわけであります。認定による資格の規定もありますので、その規定によりまして、現在やっておられる方に対しましては認定をしていきたい、かように考えております。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 そうでしょう。衆議院の商工委員会においては何ら一片の審議もなされていない。従ってただいまから審議をやり直すことをお許し願いたいと思います。  まず最初にこの電気工事士法制定の目的をお伺いいたします。聞くところによると、通産省におきましては電気事業法案なるものを鋭意立案中であり、それが国会に出るということはもう数回うわさをせられてきたわけであります。ところが今日まだ電気事業法案なるものは提出になっていない。しかし大体においてこの法案はまとまったようにも聞いておる。当初はこの電気事業法案の中に電気工事の監督の条項は入れるという予定であった。ところが突如として電気工事士法なるものを独立法として出してきた陰には、今労働省で行なっておるところの技能検定試験、あるいは消防法の改正、こういうようなところから、あなた方通産省公益事業局権限保存のために、官僚統制強化のために一連の法案として出すべきものを一つだけ取り出して、まず出してきたという感じをわれわれは受けておるのですが、その点と及びこの法律の目的をお伺いいたします。
  37. 大堀弘

    大堀説明員 電気事業法は私ども公益事業局といたしましては、実は数年にわたって検討を続けておるものでございまして、これは非常に広範な法律でございますし、基礎的な法権でございますので、現在まだ最終的な結論を得る段階に至っておらないわけでございます。一方保安関係につきましては、電気工事に関する問題といたしましても、火災予防の見地から特に消防関係等で強い要請がございます。従いまして私どもといたしましては、できるものから至急にやっていきたいという考えによりまして、電気工事士法だけをとりあえず先に提案をして可決を得たわけであります。なおこれに関連いたしまして電気用品の取り締まり等につきましても、やはり用意ができ次第、できるだけ早い機会に提案をいたしまして御審議をいただきたい、かように考えておるわけであります。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 本来ならば一連の電気事業法として出すべきものであり、そう考えておったものを、この法案だけ取り出してきたということは、とりもなおさず労働者泣かせの法律である、それが目的のための法律であるといわなければなりません。  この法案の提案説明を私は後で読みました。それによりますと、最近電気器具等の使用が多くなっておるので、そういうようなところから電気関係の火災が多い。それが不良工事に基づくものである。従って不良工事を除くためにということで電気労働者といいますか、電工といいますか、これの技能を上げるということが目的のようでありますが、この内容は先ほど申しましたように、電気労働者の生活権を剥奪する、体刑をかける、こういうような過酷なものまで入っておるのであります。  そこでまず前提としてお伺いいたしますが、火災の件数に対して電気関係の火災が何%あるか、その電気関係の火災のうち不良工事と思われるものが何%あるか、しかもその不良工事を、全部仕事をした労働者の責任に転嫁せしめようとする思想、これが問題だと私は思います。まずそういうところからお答えを願いたいと思います。
  39. 大堀弘

    大堀説明員 全火災件数につきまして最近の数字でございますが、三十三年が三万六千百七十八件ございますが、そのうち電気火災件数が四千三百七件、パーセントにいたしまして一一・九%でございます。電気工事の関係といたしまして、はっきりそういうグループで集積したものがございませんので、その数字はちょっと申し上げかねます。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたが言うた程度のものなら私も持っておるのです。電気関係が災害の原因であったと認定せられるということまではわかる。だが、それが工事の不良のために起こったのだというところまでわからないわけなんです。電気関係の災害原因のうちには使用者の電気知識の不備、あるいは不良の器具を使った、こういうような使用者側の失敗といいますか、過失もあろうと思う。しかしそれをあげて電気関係の火災は不良工事であり、不良工事の原因は電工、すなわち電気工事労働者であるという考え方、こういう面に立脚しておるのではないですか。そのことによって労働者の生活権をも剥奪し、体刑でもって臨もうという、そういうことで、ただ労働者をおどすことによって、厳罰に処すことによってはたして電気工事技能が発達する、向上すると思っておられるのであるか。今日までそういうことを考える以前に、通産省としては電気工事技能の向上のためにどのような施策、あるいはどのような設備をもって指導してきたのか、お伺いいたします。
  41. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま御指摘の通り私ども電気火災の原因のすべて、あるいは大部分が工事士の関係だということを決して考えるわけではありません。これは一部であると思います。ここにある統計で、先ほどはっきりした統計はないと申し上げましたが、先ほど申し上げました四千三百七件のうち電灯、電話等の配線関係の原因によるものが千二百四十九件ございます。配線器具が二百四十九件、この辺があるいは電気工事に関係した部分ではないかと思われる数字でありますが、それ以外にあるいは電気機器に原因のあるものが五百六十四件、電気装置が五百三十七件あります。これは純対だとは考えておりませんが、通産省といたしましては、従来とも電気工事士について任意の検定制度がございまして、それで資格を得られた方が工事をやるという意味で、指導というと語弊があるかもしれませんが、そういう制度を従来からもやっておりましたので、これを今度新しく法律によりまして運用をやって参りたいということで従前とその点においては考えに変わりはないわけであります。決して工事士だけに責任を負わせようという考えではございません、そういうふうに運用をして参りたいと考えております。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 工事人だけに責任を負わそうとは考えていない、これはあたりまえなんです。配線その他が原因と思われるものについても、それは不良工事であるのか、あるいはやってから相当期間たっておったために壊損といいますか、そういうようなところから起きたのか、その点はっきりいえない。しかしこの提案説明を見ると、そういうふうに感じる。全部工事人の責任のような感じを受ける。  それから続けて申し上げたいのですが、配線関係といっても、建築する場合に電気施行工事というか、こういうものを最初から計画的にやっていないということです。近代的なビルなんかどうか知らないが、普通の場合はそうです。建ててしまってから適当に線を引くという今までの建築のやり方、そういうところに、もしも工事関係からの火災の原因があるとするならば、考えられると思う。従って同時に建築全体を考え直して、たとい日本家屋を建てる場合においても、それと同時に配線ということを工事全体の一つとして考えていく、こういうふうにすべきじゃないかと思います。これは公益事業局だけの問題ではないと思います。これは当然建設省の住宅局等とも打ち合わせの上考えていくべき問題であろうと思うのです。そうでなければこの提案説明を見ておると、私が今言っておるような感じを受けるのです。その点はいかがでしょうか。
  43. 大堀弘

    大堀説明員 御指摘の点はまことにごもっともだと存じます。私どもとしましては、今後建設省と十分その点につきましては連絡をいたしまして、双方協力して遺憾のないように持って参りたいと考えております。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは具体的な条文の一、二についてお伺いいたしたいと思います。  三条のカッコの中です。これは通産省令で定めるものを除く、こうなっておるのですが、大体どのようなことを考えておられるのですか。
  45. 大堀弘

    大堀説明員 三条のカッコに規定しておりますことは、準備作業でありますとか、電線を伸ばすというような、あまり重要でない作業を予定しておるわけでございます。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、たとえば見習工とか、あるいは年少労働者、こういう者は仕事をしながら工事を勉強して、将来免許証を受ける資格試験を受ける。こういう見習工、あるいは補助作業員というものがあると思うのですが、こういう見習工は実際において全然勉強する機会というものがなくなる。むしろ有資格者の監督のもとにある程度の仕事ができる、こういうような考え方も必要かと思うのですが、それについて一つお伺いしたいのと、それから先ほど言ったように、われわれはこの法案は提案説明すら開いていない。それだけに今さらこの法律の成立の形式を私、有効とか無効とかいうことを論争しようとは思っておりません。しかし、しようとすれば論争してもよろしい。だからこれを施行するにあたって、出される省令、これだけはぜひ決定以前に説明を受け、われわれの意見も述べたいと思うので、本法施行にあたっての省令の制定も、もうしておるかどうか知らぬが、それを一応われわれに説明をしてもらいたい、そのことを望みます。
  47. 大堀弘

    大堀説明員 ただいまの前段のお尋ねの点につきましては、養成二等が、これは集団的にやりますと危険があるかと思いますので、個別に指導を受けながら電気工事の補助的作業をするということにつきましては、ただいまの規定によってこれを認めるようにいたしたいと考えて、今原案を作成中でございます。なお政令につきましては、大事な要綱だけでも御説明申し上げるようにいたしたいと思います。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 前段、後段ともに一つ出される以前に当委員会に示していただいて、われわれがこれを審議といえば、政令に対する審議はちょっとおかしいから、審議という言葉は使いませんが、意見を述べる、あるいは考え方をただすという機会を保留いたしたいと思います。  次に第四条でありますが、第四条に電気工事士免状についての規定がございます。従来この種資格試験あるいは資格授与に対しての規定におきましては、たとえば高度の弁護士、弁理士法等におきましても、一定の資格、過去の経歴、こういうのを特例として認めておるわけであります。本条におきましても、今までのいわゆる甲種、乙種の免許を持っておる者あるいは数年間の経歴を持つ者、こういう者に対して特例を考える必要があったと思うのですが、その点はいかがですか。
  49. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま御指摘のように、甲種、乙種の資格を持っておる者あるいは相当期間の経験を持っておる者につきましては、第四条の第三号の認定の基準の中に入れまして、それらの方は当然資格を持ち得るように運用して参りたい、これは国会でそういう趣旨で私から御答弁申し上げたわけであります。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 それに関連してですが、附則の一にいわゆる経過規定があります。一般的には本年の十月一日、そして特殊な規定においては二年半以内ということになっておる。しかし先ほど来私が申し上げておるように、われわれですらこの内容を知らなかった。まして、これによって直接生活に直結する人たちに対して、十分この法律の趣旨がのみ込めるような機会を今まで持ったのかどうか、おそらくなかったと思う。それなら、今後十分そういう教育というか指導が必要である。従って経過規定においては、十分なる配慮が必要であろうと思う。同時に、現在これによって仕事をしておる人、これが二年六カ月以内の期間ですから、どうきまるかわかりませんが、少なくともこれらの人たちが、もちろんそのために本人の努力も必要であろうし、また当局等の指導、教育等も必要であろうと思いますが、今生活しておる人が、これの完全実施によって生活が奪われるということのないような時期及び方法を考えた上で、完全実施すべき性格のものでなかろうかと思うのですが、その点いかがでございますか。
  51. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま御指摘の通りに考えております。私ども二年半以内に、そういう点につきまして十分遺憾のないように措置をいたしましてから、施行に入りますように、万全の措置を講じて参りたいと考えております。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 ほかに質問者もあるようだし、約束の時間もきたので急ぎたいと思います。  次に、四条の四項ですが、都道府県知事は、直ちに電気工事士免許証の返納を命令することができることになっておる。これは先ほど来申し上げておるように、そのこと自体がその人に対する生活権の剥奪になるわけです。もちろん、これが自動車の運転手のように常に危険に接触するというものでないので、一応の誤りがあったとしても、何らかの勧告とか注意をするとか何らかのクッションを置いて、かつ最後の手段を打つという方が望ましいと思う。一応先ほど電気の問題で、すぐに切ってしまうということは行き過ぎじゃないかと申し上げたと同じように、これも生活に直結する問題であるので、すぐに取り上げるまでの間に何らかの勧告とか、何らかのワン・クッションを置くような措置が望ましいと思いますが、いかがでしょう。
  53. 大堀弘

    大堀説明員 四条の四項の規定と同時に、また五項におきましても政令で定めるごとになっておりますが、私どもも御指摘の通り、これは簡単に機械的に取り上げるべきものでないと考えておりますので、運用につきましては十分御趣旨の点を考慮いたしまして立案いたしたいと考えております。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 この免状はどんな格好のものか知りませんが、七条によるといつも携帯しておるということになっておる。なるほど自動車の運転手は常に携帯することになっておる。しかし弁護士や弁理士は常に資格証明書を持ち歩くということではないわけです。これは一体ポケットにちょっと入れられるようなものならばまたいいのですが、高いところに上がって、いろいろな作業をするわけですね。常にそういうものを持つということはどうでしょう。免状というのはどのようなものを考えておるのですか。大きいものですか、小さなものですか。自動車の運転手的なものか。しかもそれが、作業をするとき高いところ等で作業すると思うんだが、常に持っておるということによって、作業に差しつかえるというようなことであっては困ると思うのですが、そういうような点はどう考えておられますか。
  55. 大堀弘

    大堀説明員 免状は一応現在考えておりますのは、ポケットに入るような、写真のついたような小さなものを考えておるわけでございますが、携帯につきましてはただいま御指摘のように、工事上高いところに上がったりすることも考えられますので、携帯につきましては幅広く考えていきたいと思っております。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 それから四条関係でちょっと落っとったんですが、二項の二号に、通産大臣が指定する養成施設云々とありますが、これは一体どういうようなものを考えておられるか。たとえば職業訓練法、これは労働省関係ですが、この中の訓練過程を経たものなどはこれに入るという解釈ですか、どうですか。
  57. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま御指摘のような職業訓練所の電気関係の資格を終えた者を入れるというふうにやりたいと考えております。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 それから十条の手数料ですね。あまりこまかいことは言いたくないのですが、その日その日を働いておる電気労働者にこの手数料は一から四までありますが、これは労働省等の技能検定試験なんかの手数料と比べてどうなんです。
  59. 大堀弘

    大堀説明員 ただいまちょっとほかの事例を持っておりませんが、これをきめます場合は、大蔵省等と相談をいたしまして、ほかとの均衡をはかって参りますので、不均衡のことはないと考えております。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 これも高い安いという評価の基準はいろいろあろうと思いますが、ちょっと見たところ千五百円というのはちょっと高いじゃないか、こういうように思うので、意見だけ述べておきます。  それから体刑で臨むという規定ですね、これはどうですか。こういうことについて資格の取り消し、すなわち免状の返納という処分、その上に体刑という処分がありますね。そういう体刑をもって臨むという必要はありますか。
  61. 大堀弘

    大堀説明員 これは法律が施行されます場合は、電気工事に関係しておられる方は大体試験を通った方がやられるという観点に私どもは立っておりますが試験資格のない者がやった場合に、そのような規定が入っておるのでありまして、これは法務省とも相談いたしまして、大体適度の刑を織り込んでおるわけであります。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律だけでなく、大体近ごろ出てくる法律はすべて官僚統制の強化であって、それにこのような過酷な罰則がついておる、こういう傾向が強いと思う。そういう一般的な考え方の上から、この点についてそのように意見を申し述べておきます。  それから第六条の電気工事士試験委員ですがね、これは大体どのような人を考えておるか。ほんとうの現場の体験を持つ、たとえば労働者上がりの人といいますか、労働組合の代表とまでははっきり書けないとしても、そういう性格の人を考えていますか。試験委員にどういうような性格の人を考えていますか。
  63. 大堀弘

    大堀説明員 これは学識経験者を広く考えておりまして、工事関係の相当経歴ある人もこれに入るだろうと考えております。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 いつもあげる例だが、独占禁止法の審議委員だとか、あるいはかつての売春審議委員とか、いろいろ調査委員とか審議委員とか、試験委員とかあるのですが、政府はいつも御都合のいい人ばかり指名しがちなんです。これについても公正かつ妥当な、そして働く者の立場も理解できるような人、そういう人を試験委員としてぜひ入れられるように要望いたしておきます。  まだいろいろあるのですが、先ほど申しましたように電力一般の問題の質問を保留しておりますから、この点についてもまたあとにいたしますが、田中榮一委員質問があるそうですからお譲りいたします。
  65. 大島秀一

    大島委員長 次に田中榮一君。
  66. 田中榮一

    田中(榮)委員 ただいま電気工事士法に関しましては、田中武夫委員から詳細な御質問がありまして、私も詳細な条文についての質問は省略いたしますが、関連いたしまして、先ほど田中委員から元来本法案は電気事業法全体に関連したものである、これを全部含めて膨大な電気事業法と一緒に改正すべきが至当である、かような御意見がありまして、私もまさにその通りであろうと考えております。しかるところ実は私は地方行政委員を兼ねておりますが、先般来公共災害の発生、特に火薬類並びに危険物等の爆発によるところの公共災害、並びに火災によるところの災害が非常に多くなりまして、消防庁並びに警察関係を担当しておりますところの地方行政委員会といたしまして、将来災害の発生を未然に何とか防止してほしいという強い要望がございまして、消防庁並びに警察庁に対しまして災害予防の対策を一そう速急にやれということをお願いしておるのであります。その結果、三十四国会におきまして火薬類の取り締まりに関する法案が上程されるということになりまして、それと関連しまして火災予防に関する、特に電気工事の疎漏からくるところの火災予防に対する措置を立法化してほしいという要望が強く打ち出され、その結果通産省に対しましていろいろ折衝いたしたのであります。通産省としては、電気事業関係に手をつける際に、これもあわせてやりたいというお考えであったのでありますが、一方において火薬類取締法の改正が出、これに唇歯輔車の関係にあるところのこの電気工事士法の立案を取り急いでやってほしい、むしろそういう方面から非常に急いでやった結果、通産省としてはまことにどうも本意ではないのでありまするが、この法案だけを取り上げて、三十四国会に提案を急いだのでありまして、いずれ電気事業関係全体の改正というものは当然考えられることでありますが、本法案を取り急いだ理由というのは、そうした公共災害予防の見地から、むしろ議員側からそういう要望があって、通産省が本法案だけをピック・アップしてやったのでありますので、この辺は決して、工事に従事する者をいじめるとか、そういう意思は毛頭なかったと私は考えておりますので、この点は通産省の言いにくいところを、私どもが、ここにかわって釈明をいたしておきたいと思います。  それからいま一つ、先ほど田中議員から非常に詳細に御質問がありまして、問題は現在のいろいろな火災の原因の調査でありまするが、消防庁なり警察庁において火災の原因の不明なやつは、とかくどうもこれを漏電の方に持っていくというおそれが多分にあるのであります。私はこれは自分のことを言っては、はなはだ申しわけないのでありまするが、今から約三十前年、私がある県の保安課長をしておりましたときに、これを北国の寒い県でありますが、午前十時ごろ、農林課長と一諸に会談をしておりました。ところが非常にストーブが過熱しておった。これはあぶないじゃないかと注意した瞬間に、その天井から火が出まして、風速十五メートルのもとにおいて、わずか十五分間で県庁を全部焼き払ってしまった事例がございます。そのときに火災の原因は何だということが非常に問題になりまして、私は保安課長として消防管理の責任がある課長でありますので、はっきりおれが、現場でストーブの過熱によって火災が起こったのだと申しましたところが、県の首脳部がストーブの過熱による火災であるとすれば、知事の責任になるので、そこで若い課長である私を上層の幹部が全部で、何と申しますか懐柔いたしまして、とうとう結局これは漏電ということになってしまったのであります。私はそのときくらいしゃくにさわったことはないのでありまするが、一応漏電ということに決定された以上は、当然電気会社の取り締まりの衝にあるところの保安課長である私が、その責任者として処罰を受けたのであります。こういう点から見まして現在の火災の原因の不明な点が、ややもすれば漏電に持っていかれるおそれが多分にあるのでございます。そういう点を電気事業者もよく反省をして、技能を十分に習得し研究をして、そうして漏電に持っていかれないような、工事者自体としても技能の向上をはかる必要があるのでございます。そこで私もこの法案が出る前に関係の業者に十分に意見を徴したのでありますが、私の一番心配いたしますのは、先ほど田中委員が言われたように、あるいは電気工事の見習工とか若いものがたくさんおる。これによって、この法案が出る瞬間において失業者が多数出てしまうというのは、非常に大きな社会問題にもなり、また政治問題にもなるおそれがありますので、その点について業者関係にもよくいったのでありますが、問題は第五条の弟二項の知事の行なうところの試験制度でございます。私は通産省もかなりあたたかい気持をもって、なるべく失業者の出ないような方法によって試験を施行されるようにも聞いておるのでありますが、ただ一面におきまして公共的災害の発生するおそれのある工事を担当する技術者でございますから、あまりにまた試験をルーズにして、落第しそうな者もむりやりに合格させるということになりますと、本法案の成立した立法趣旨というものは失なわれるおそれがありますので、その辺は一つ賢明な通産省におかれまして十分なる施策を持たれまして、公益事業局長におかれましてもその点を、一方において失業者ができる、また一面においては公共の災害を防止するという二つの面からお考えを願いまして、寛厳よろしきを得た試験制度によって失業者をできるだけ少なくするというようなことを考えると同時に、また公共災害を未然に防止するということも特にお考え願いまして、適切なる試験制度を実施されることを特に希望いたしまして、私は質問いたしません、希望だけを申し上げまして、私の関連質問を終りたいと思います。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいま田中榮一委員から政府委員のようなお話がありました。それはそれといたしまして、特に希望しておきたいことは、田中委員も申されておりましたが、私は電気工事労働者を取り締まる、これだけで電気工事技能の向上ということは望めない。従って通産省としてはこの法案施行にあたっては、そういう技能向上に要する施設等を十分考慮し、従来これに従事しておる人々が、この法律施行のために生活のかてを失うということのないような方法、先ほど田中榮一委員はいわゆる失業の問題と公安上の問題とをあわせ云々と言われましたが、まさにそうだと思いまするが、特に通産省に望みたいことは、そういうような賛成施設を作る、あるいは教育をするとか、そういうような方法によって、生活権を奪われていく人がないように一つ考えてもらいたい、こういうことを要望いたしておきます。約束の時間もすでに過ぎておりますのでもう終わりたいと思うのですが、最後に電源開発促進法について一言だけ申し上げておきたいと思う。この法律はいわゆる議員提案としてなされたわけであります。そうして自民党議員だけで採決をなされたならば——これはもちろん政党政治のもとにあっては、政府提出議案といえども自民党が作ったのだとも言えると思いまするが、議員提出法案をその提出した人たちだけで採決するということは、どう考えても筋の通らぬ話なんです。そういうこともあえてなされたところにわれわれは現在の自民党の姿をはっきり見た、こういうように言わざるを得ないのであります。さて、これは提出者に質問すべき性格かと思いまするが、政府当局でもだれでもけっこうですから、お伺いいたしたいのです。なぜこれを内閣提出にせず議員提出になされたのか、お伺いいたします。
  68. 木村守江

    木村説明員 私、答弁する筋合いでないかもしれませんが、ただいま責任者の一員といたしまして御答弁申し上げます。  電源開発促進法そのものが議員提案にかかっておりまする関係上、この法律も議員提案といたしたような次第だというようなお話を受け継いで、御答弁申し上げ、御了承願います。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 事実はそうであったかもしれませんが、次官、それでよろしいか。そういう答弁をしておると、今後議員提出法案については政府提出で改正案が出たときに文句を言いますよ。
  70. 木村守江

    木村説明員 問題はこの法案を自民党が議員提案で提出しておりまして、自民党だけで採決したごとに対する御意見のようでございますが、御意見の通り私どももまことに遺憾であると考えておりますが、御承知のような国会の状態でありましたので、やむを得ずかような措置をとりましたが今後かようなことのないように努力して参りたいと考えますので、どうぞよろしくお願いします。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 これは問題ははっきりとまだ解明はできておりませんが、その程度に一応聞きおいておきましょう。  そこでこの法案の内容ですが、これは電原開発株式会社が海外に進出できるようにすることと、目的の中に火力と並んで原子力発電ができる、この二つの内容です。従いまして内容についてとかく申し上げるわけではございませんが、実は日本原子力発電株式会社に電原開発株式会社が出資をしたことが電源開発促進法の違反である、電源開発促進法二条の火力の中に原子力を含むのかどうかというようなことを、当時私は科学技術振興調査特別委員をしておりまして論議をし、法律違反だとも申し上げた。そのときに、じきに法律改正をしますということだった。こう考えてくると、あの時に私が申し上げたように、火力と並んで原子力を入れるということは、あの当時、電源開発株式会社が日本原子力発電株式会社へ出資したことは、やはり違法であった。こう思うのですが、どうでしょうか。
  72. 大堀弘

    大堀説明員 これは当時火力の中に原子力を含むという解釈で、違法ではない、こう考えておったわけでございますが、今回念のために明らかにしたというふうに私どもは了解をいたしております。
  73. 田中武夫

    田中(武)委員 そんなことだから——もう言いませんが、あのときに火力とは何ぞやという物理の問題なんかも引き出して論議をしたと思うのです。直せというて直したのだから文句を言うわけじゃないのですが、言うなれば先に直しておいて金を出すべきであった。そうしたら疑問がなかった、こう思うのです。もう済んだことでございますので、言いませんが、貿易の自由化の問題にいたしましても、先にやっておいて、あとから処置をとるというのじゃなくて、先に処置をしておいてやる、こういうような今後の行政の措置を望みます。約束の時間が済みましたので、きょうはこの程度にしておきます。
  74. 大島秀一

    大島委員長 先刻田中委員より委員長に要望のありました参考人の出頭要求に関する問題につきましては、後刻理事会において協議の上、取りきめたいと存じますから、さよう御承知願います。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもって御通知申し上げます。     午前十一時五十三分散会