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田中(榮)
委員 ただいま
電気工事士法に関しましては、
田中武夫委員から詳細な御
質問がありまして、私も詳細な条文についての
質問は省略いたしますが、関連いたしまして、先ほど
田中委員から元来本法案は
電気事業法全体に関連したものである、これを全部含めて膨大な
電気事業法と一緒に改正すべきが至当である、かような御意見がありまして、私もまさにその通りであろうと考えております。しかるところ実は私は地方行政
委員を兼ねておりますが、先般来公共災害の発生、特に火薬類並びに危険物等の爆発によるところの公共災害、並びに火災によるところの災害が非常に多くなりまして、消防庁並びに警察
関係を担当しておりますところの地方行政
委員会といたしまして、将来災害の発生を未然に何とか防止してほしいという強い要望がございまして、消防庁並びに警察庁に対しまして災害予防の対策を一そう速急にやれということをお願いしておるのであります。その結果、三十四
国会におきまして火薬類の取り締まりに関する法案が上程されるということになりまして、それと関連しまして火災予防に関する、特に
電気工事の疎漏からくるところの火災予防に対する措置を立法化してほしいという要望が強く打ち出され、その結果通産省に対しましていろいろ折衝いたしたのであります。通産省としては、
電気事業法
関係に手をつける際に、これもあわせてやりたいというお考えであったのでありますが、一方において火薬類取締法の改正が出、これに唇歯輔車の
関係にあるところのこの
電気工事士法の立案を取り急いでやってほしい、むしろそういう方面から非常に急いでやった結果、通産省としてはまことにどうも本意ではないのでありまするが、この法案だけを取り上げて、三十四
国会に提案を急いだのでありまして、いずれ
電気事業法
関係全体の改正というものは当然考えられることでありますが、本法案を取り急いだ理由というのは、そうした公共災害予防の見地から、むしろ議員側からそういう要望があって、通産省が本法案だけをピック・アップしてやったのでありますので、この辺は決して、工事に従事する者をいじめるとか、そういう意思は毛頭なかったと私は考えておりますので、この点は通産省の言いにくいところを、私
どもが、ここにかわって釈明をいたしておきたいと思います。
それからいま
一つ、先ほど
田中議員から非常に詳細に御
質問がありまして、問題は現在のいろいろな火災の原因の
調査でありまするが、消防庁なり警察庁において火災の原因の不明なやつは、とかくどうもこれを漏電の方に持っていくというおそれが多分にあるのであります。私はこれは自分のことを言っては、はなはだ申しわけないのでありまするが、今から約三十前年、私がある県の
保安課長をしておりましたときに、これを北国の寒い県でありますが、午前十時ごろ、農林課長と一諸に会談をしておりました。ところが非常にストーブが過熱しておった。これはあぶないじゃないかと
注意した瞬間に、その天井から火が出まして、風速十五メートルのもとにおいて、わずか十五分間で県庁を全部焼き払ってしまった
事例がございます。そのときに火災の原因は何だということが非常に問題になりまして、私は
保安課長として消防管理の
責任がある課長でありますので、はっきりおれが、
現場でストーブの過熱によって火災が起こったのだと申しましたところが、県の首脳部がストーブの過熱による火災であるとすれば、知事の
責任になるので、そこで若い課長である私を上層の幹部が全部で、何と申しますか懐柔いたしまして、とうとう結局これは漏電ということになってしまったのであります。私はそのときくらいしゃくにさわったことはないのでありまするが、一応漏電ということに決定された以上は、当然
電気会社の取り締まりの衝にあるところの
保安課長である私が、その
責任者として処罰を受けたのであります。こういう点から見まして現在の火災の原因の不明な点が、ややもすれば漏電に持っていかれるおそれが多分にあるのでございます。そういう点を
電気事業者もよく反省をして、技能を十分に習得し研究をして、そうして漏電に持っていかれないような、工事者自体としても技能の向上をはかる必要があるのでございます。そこで私もこの法案が出る前に
関係の業者に十分に意見を徴したのでありますが、私の一番心配いたしますのは、先ほど
田中委員が言われたように、あるいは
電気工事の見習工とか若いものがたくさんおる。これによって、この法案が出る瞬間において失業者が多数出てしまうというのは、非常に大きな社会問題にもなり、また政治問題にもなるおそれがありますので、その点について業者
関係にもよくいったのでありますが、問題は第五条の弟二項の知事の行なうところの試験制度でございます。私は通産省もかなりあたたかい気持をもって、なるべく失業者の出ないような
方法によって試験を施行されるようにも聞いておるのでありますが、ただ一面におきまして公共的災害の発生するおそれのある工事を担当する技術者でございますから、あまりにまた試験をルーズにして、落第しそうな者もむりやりに合格させるということになりますと、本法案の成立した立法趣旨というものは失なわれるおそれがありますので、その辺は
一つ賢明な通産省におかれまして十分なる施策を持たれまして、
公益事業局長におかれましてもその点を、一方において失業者ができる、また一面においては公共の災害を防止するという二つの面からお考えを願いまして、寛厳よろしきを得た試験制度によって失業者をできるだけ少なくするというようなことを考えると同時に、また公共災害を未然に防止するということも特にお考え願いまして、適切なる試験制度を実施されることを特に希望いたしまして、私は
質問いたしません、希望だけを申し上げまして、私の関連
質問を終りたいと思います。