○
八木(
一男)
委員 何といいますか、
新聞社の方が情報を収集されたと言うけれ
ども、何も原因のないところにそういう情報の収集はないと思う。やはり原局ではこれくらいのいくじのない案を考えていると思いますから、
一つ激励をして
推進をしていただきたいと思います。今まで言われていることが少しずつ取り上げられております。勤労控除の拡大、これはいいです。どんどんやったらいい。ところが勤労控除だけだと、たとえば商売をしたり内職した収入を差し引かれてしまう。たとえばその人のお母さんが
努力して子供さんの
生活を上げたいというのでこれをやっていても、これが収入から差し引かれるということで、
努力のしがいがない。こういうことも考えていただきたい。もう
一つ、扶養義務の点で、北海道に兄さんがいるから大阪の人が
生活保護を受けられない。あるいは箱根に御存じのように脊損の患者がおられます。そこの一人の患者に伺った話で、
中山さんも聞かれたことがあると思いますが、お父さんが脊損の患者で
社会保障の適用を受けていないわけです。子供さんが一生懸命働いているけれ
ども、今の扶養義務の
関係で、幾ら働いてもその子供さんは
生活保護の基準以上の
生活ができない。その子供さんは親孝行なんですよ。これが今の扶養義務の過酷な規定のためにそういうことになる。そういうことを突破しなければならないが、そういうことが
一つも出ていない。それは
厚生省がほんとうにものを考えていない証拠だと思う。それは
一つ考えていただかなければならないと思います。これはお聞きいただいて御
努力願えばいいのですけれ
ども、時間がありませんから、
年金の問題に移ります。
年金の問題で、拠出金の問題が
一つもうたわれておりません。非常に問題があることは御
承知の
通りであります。それで前々からずいぶん
年金について
改正案を出すということはいわれておる。それにもかかわらず、それからそういうことが検討されていない。拠出
年金については、いろいろな運動が起こっておることは御
承知であろうと思います。その中には、いろいろな御説明をすれば、十分の一くらいは、
政府の意向がそうであったからといって納得される向きもあるかもしれませんが、やはり大部分は
政府の拠出
年金の根幹がひん曲がっておるために、そういう運動が絶えないというような状況のものがあるわけです。たとえば
一つ例を申し上げますと、
政府案には免除という規定がある。社会党案が減免規定を出したので、その中で免除だけを幾分取り上げられたのはいいけれ
ども、この免除が半身不随の免除です。たとえば
年金になるには
保険料を十年間払うという最低の要件がついておりますから、免除規定が発動するのは、前後してもいいけれ
ども、十年間合計払った、その上に免除が十五年間あったということだったら、二十五年間
保険料を払った人と同じように、六十五才から二千円になる。普通なら十年間だけ払ったら千円にしかならないけれ
ども、二千円になる。その意味では免除は有効であります。ところが、その免除を受けるすれすれの人、免除の適用を受けるときもあるし、受けないときもあるすれすれの人が、十年間払うということは至難である。十年間は十回ではありません。月ですから百二十回、年四回くらいだったら、結局何十回ということになるわけです。そういうことでは払えない方が多いわけです。そのときには免除は役に立たないわけです。たとえば九年間払ったって、免除は何年受けても役に立たない。そんな免除規定は半身不随で、ないと同じだ。免除規定がないとすれば、
保険料の払いにくい人は、一生懸命一部分払ったけれ
ども、そこまでいかないから、十年以上にならないから、
年金がもらえない。
保険料を払えないような人が老齢になったり、あるいは障害を受けたり、あるいはその人がなくなった遺族の方が一番
年金が必要なわけです。そういう人がもらえないような拠出
年金になっておる。大体
保険料の方も百五十円と、同じになっておる。松下幸之助さんも、その日暮らしの人も、同じ
保険料になっておる。こんなものでは、払いにくくなることはあたりまえです。根本的に組み立てに間違いがある。そういう問題を
一つも触れようとしていない。そういう問題があるから、
政府の
年金は困る、
政府の拠出
年金は反対であるという運動が全国に広まりかかっておる。そういうひん曲がったものをまっすぐにすれば、みんなでこれを育て上げていこうということになる。根本的に間違いがある。たとえば、二百億円ほどの国庫負担を出します、いいじゃないですか、非常にけっこうな
制度だとおっしゃるかもしれません。しかし、その五割なら外割五割、内割三割三分三厘の国庫負担というものが役に立つのは、
年金が出たときです。もらえるときです。もらえるのは中間
階層以上の人が
保険料が払えたために
年金がもらえるから役に立つ。それが払いにくい人には、その何百億円かの金が役に立たない。そんなことでは
社会保障が逆転しているわけです。非常に大きな声で申し上げて恐縮でございますが、とにかく
政府の
年金は、前から申し上げておるけれ
ども、その組み立てで逆転をしているわけです。この
社会保障をよくしようと
池田内閣が決意されて、ずいぶんだくさんの費用をほうり込もうと決意された。その機会にこれを直さなければならないわけです。ところが、
厚生省で小山君は非常に熱心にやられたには違いないけれ
ども、そういう根本的な組み立ての間違いがある。今、去年やったのだからやってみてということで、ちょっと延ばして下さいといったら、その機会は逸するわけです。機会は逸するし、その間は対象者は困るわけです。この機会に組み立てをやはり直してもらわなければならぬ。特にけしからぬのは、三年未満の
保険料がすべて没収される。これは生命
保険的な
考え方です。強制適用ですから いやおうなしに取られるわけです。取られて、差し押えはしないにしても、取られる態勢にあるわけです。ですから、
政府がおっしゃることだからといって、一生懸命払い込もうという
努力をする、
努力をしたけれ
ども、
生活が困難だからそれ以上払えないことがある、そういう非常に困難な人が払い込んだ三年未満の
保険料を、生命
保険会社みたいに、手数がかかったから解約金は三年未満のものは返さないというような観念で、事務費がそれだけかかったという概念で三年末満のものを没収してしまうわけです。そんなことでは全然営利会社的なやり方です。組み立てのときに営利会社の専門家が参与したから、そういうことをしなければいけないと言ったかもしれませんけれ
ども、入りたいと思います。二、三年でやめたいと思いますということなら、営利会社では事務費がかかって迷惑するから解約金は返さない、これは営利会社なら自由契約ですからいいでてす。それも説明しないのは悪いけれ
ども、一応建前としては……。国家が強制的にやらしておいて、それでやめたものは三年だったら没収する、
年金というものはそんなものではない。三年の間払えなければ、たとえば自動車で両足切断されても障害
年金が一文も入らない、母子
年金でも同じような制限がついている。総体的にそんなに拠出
年金がひん曲がっている。来年度から平年度二百億円ほどの国庫負担を出そう、これは前進であります。前進でありますが、それがほんとうに必要な人にいかない、ほんとうに困った人が一生懸命納めた
保険料がある程度没収される、そんなものであったら、ほんとうにそれがわかったら、そういう該当者はこういう
年金は困るというのはあたりまえであります。そういうことにならないように、社会党では減免を受けても、一文も払わなくても六十になったら七千円もらえるという案を作った、
政府案が出る前に作っておいた。それから
年金の
保険料を百パーセント払うことができなくても、全部ただでもらうということでは困るので、その間に減額規定を作っておいた。没収なんか
一つも考えてないわけです。
保険料も坂を作った。気がつかないのではなくて、そういうことを前に
一つの問題として、法案として出しているのだから、反対党が出しておっても、それがいいということがわかるはずです。わかるはずなのにそれをひん曲げて、ひん曲げた
法律を出された。多数だから、これから
改善するからこれでがまんしてくれということで、われわれの反対はあったけれ
ども通された。それでいいことをやっておられるように思っておられる。二百億円出すことはいいことであるけれ
ども、それがほんとうに必要な人にいかない。ほんとうに必要な人の
保険料が一部没収されるのでは、いい
制度とはいえない。そういう問題を
中山先生先輩で十分御
承知だと思いますけれ
ども、もう一回はっきり思い出していただくために今申し上げたわけです。ですからこの機会にそれを直す、
保険料が定額であるのを坂をつける、収入の多い人から取る、松下さんからたくさん取って、その分だけその日暮らしの人の
保険料を下げる、それが
保険という概念に合わないといったら、概念などは人間がきめたことであります。
保険料という言葉を
年金料と変えたってかまわない。また
国民健康
保険でも
保険料という形で坂のある
保険料をとっているわけです。ですからそんなことはやろうと思ったら幾らでもできる。反対者が理屈をつけて、
保険料というものはそういうものではないから困りますなんと言っても、
大臣は断じてそういうことをどなりつけて、そんなものではないということでそういうふうに直してもらわなければ困る。そういうことについての御所見を
伺いたいと思います。