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1960-03-28 第34回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十五年三月二十八日(月曜日) 午前十時二十二分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
主査
佐藤
芳男
君 副
主査
藤田 進君
委員
大谷藤之助
君 杉原
荒太
君
苫米地英俊
君
湯澤三千男
君 小林 孝平君 辻
政信
君 岩間 正男君
国務大臣
国 務 大 臣
中曽根康弘
君
政府委員
科学技術庁長官
官房長
原田
久君
科学技術庁長官
官房会計課長
杠 文吉君
科学技術庁計画
局長
久田 太郎君
科学技術庁振興
局長
鈴江
康平
君
科学技術庁原子
力局長
佐々木義武
君
説明員
科学技術庁資源
局長
黒沢 俊一君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
昭和
三十五
年度
一般会計予算
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
昭和
三十五
年度
特別会計予算
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
昭和
三十五
年度
政府関係機関予算
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
佐藤芳男
1
○
主査
(
佐藤芳男
君) それでは、ただいまから
予算委員会
第二
分科会
を開会いたします。
昭和
三十五
年度
一般会計予算
、同
特別会計予算
、同
政府関係機関予算
中、
科学技術庁所管
の事項を
議題
といたします。 まず
政府
から
説明
をお願いいたします。
中曽根康弘
2
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) ただいま議題となっております
科学技術庁
の昭和三十五年度
予算案
について御説明申し上げます。
科学技術
はその影響するところ大きく、一国の政治、経済、外交、
文化等
、国政の各分野において、きわめて重要な役割を演じているところでありますが、最近における目ざましい
技術革新
の進展に伴い、この傾向はますます強化されつつあります。政府といたしましては、つとにこの点に思いをいたし、
科学技術振興策
を最
重要施策
の一つとして取り上げ、その振興に努力して参ったところでありますが、来たる昭和三十五年度におきましては、次のような諸施策を強力に推進いたしたく、必要な経費を計上した次第であります。 まず、昭和三十五年度
一般会計予算案
に、
歳出予算額
百八億六千百八十万五千円、
国庫債務負担行為額
四十三億九千六百六十四万円を計上いたしました。これを前年度予算、
歳出予算額
九十八億九千二百八十四万五千円、
国庫債務負担行為額
三十五億六千七百万円に比べますと、
歳出予算額
九億六千八百九十六万円、
国庫債務負担行為額
八億二千九百六十四万円の増額となっております。以下、
予定経費要求書
の順を追って、その大綱を申し述べます。なお便宜上、
一般行政費関係
につきましては、最後に御説明申し上げることといたします。 まず、
科学振興費関係
として三億五千百七十万七千円を計上いたしました。その内訳は、次の通りであります。
科学技術者
の渡航
科学技術
の振興をはかるためには、
研究者
の養成が不可欠の要素であると考えられますので、各
省庁関係
の
研究公務員
を
海外先進諸国
に派遣して、そのすぐれた技術を習得させることといたしております。このため
渡航費
として五千三百四十万円を計上いたしました。
発明実施化
の助成 第三十一回国会におきまして、
特許法改正
の法案を御審議願った際、
衆参両院
が
附帯決議
をされました御趣旨に沿いまして、
特許発明
の
奨励助長
には大いに意を用いることといたしまして、
明年度
はまず優秀な
発明考案
であるにもかかわらず、
経済的理由
からその発明を
実施化
することが困難なものに対する、
発明実施化試験
のための費用を補助して、その
実施化
をはからせる経費として二千五百四十七万九千円を計上いたしましたほか、新たに、地方における発明に関する諸施設を総合的に運営するいわゆる
発明センター
を設置したいという要望がありますので、この
センター
の
設立者
に対して
補助金
を交付することといたしました。このため二千八百五十万円を計上いたしました。
科学技術試験研究
の助成 多数部門の協力を要する
試験研究
及び
各種研究
に共通する
試験研究
を総合的に実施しようとするものに対し、
試験研究費
を補助し、または
研究委託費
を交付してその
試験研究
の促進をはかるため三千百三十二万八千円を計上して、
水質汚濁防止研究等
、本年度より実施しているものの
継続研究
のほか、
大気汚染防止等
、新しい問題についても、研究を実施させるようにいたしております。
日本科学技術情報センター
の整備 昭和三十二年八月発足した
日本科学技術情報センター
は、第一期
整備計画
として理、
工学部門
の整備をはかって参りましたが、
明年度
はその業務の一そうの
強化充実
をはかるとともに、
原子力関係
の情報の収集及び
提供等
の業務も行なうことにいたしております。このため
政府出資金
及び
補助金
を交付することとして、一億一千三百万円を計上いたしました。
宇宙科学技術
の研究 米、
ソ両国
を中心に最近目ざましい発達を遂げて参りました
宇宙科学技術
の研究は、単に新しい研究というばかりでなく、
気象観測
、
通信中継等
の研究に新たな分野を開拓できる
科学技術
の
総合的研究
であると考えられますので、
明年度
は当庁においてもこれが
研究開発
の促進をはかるため、
総理府設置法
及び
科学技術庁設置法
に所要の改正を行なう法案を別途御審議願っておりますが、さしあたり
気象観測用ロケット
の
試作研究
を民間に委託することといたしております。このため三千万円を計上いたしました。なお、このほかに、
宇宙科学技術
に関する諸問題を審議するための必要な経費を
一般行政費
の中に計上いたしております。
日本科学技術振興財団
の助成
科学技術振興
の
国民的基盤培養
のため、
科学技術
の
普及宣伝
、啓発の実施及び
産学連携
の
強化促進等
の事業を行なう
中枢的機関
として、
財団法人日本科学技術振興財団
が三月十五日発足いたしましたので、この財団の行ないます事業に対して
補助金
を交付することとして、七千万円を計上いたしました。 次に、
特別研究促進調整費
として一億円を計上いたしました。これは
科学技術会議
の答申に基づく
特別研究
について各省各庁の所管にかかる
研究業務
の総合的な促進をはかり、かつ、その相互間の調整をはかるための経費で、
明年度
は、
台風防災科学技術
、
宇宙科学技術
、
海洋科学技術等
の
特別研究
がこの対象となるものと考えております。 次に、
原子力平和利用関係
として六十八億二千八百八十九万八千円と
国庫債務負担行為額
四十二億八千四百八十六万一千円を計上いたしました。その内訳は次の通りであります。
日本原子力研究所
原子炉
の開発につきましては、第三番目の炉に当たる国産一号炉を昭和三十五年度中に完成させるとともに、
動力試験炉
の建設を鋭意促進させることといたしております。また、
平均質型原子炉
につきましても、
臨界実験装置
を設けて、その
研究開発
を推進する予定にしております。このほか、
原子力
の
基礎研究
を初めとする
各種試験研究
、
技術者
の
養成訓練等
の業務を強化して、
日本原子力研究所
が真に
わが国原子力研究
の
中核的機関
であるよう、その機能の
拡充整備
をはかることといたしております。このため四十四億円と
国庫債務負担行為額
三十四億九千百万円を計上いたしました。
原子燃料公社
核原料物質
の探鉱は、
人形峠
及びその
周辺地区
に重点を置いて探鉱を実施するとともに、
新規有望鉱床
の探鉱にも努力を続けていくことにいたしておりますので、今後の探鉱の進展に伴って
確定鉱量
の一段と増加することを期待しております。またウラン製錬につきましては、前年度に引き続き、東海製錬所におきまして粗製及び精製錬パイロット・プラントによる
工業化試験
を続行していく考えであります。このため十二億三千万円を計上いたしました。
核燃料物質等
の
購入等
日本原子力研究所
を初め民間及び
大学等
の
原子炉
が漸次完成して参りますので、これに使用する
燃料使用量
が急増することが予想されます。従いまして、政府が行なうことになっております燃料の賃借または、購入並びに
加工契約等
に必要な経費として二億六千七百三十万二千円と、別に
国庫債務負担行為額
七億九千三百八十六万一千円を計上いたしました。
原子力技術者
の
海外派遣
原子力関係技術者
を
海外先進国
へ派遣して、これらの
技術者
の
養成訓練
を前年度に引き続き行なうこととして、三千二十四万円を計上いたしました。
民間企業等
の
原子力平和利用
の研究
原子炉
及びこれらに関連する
機械器具
、
材料等
の
国産化
をはかるための
試験研究
、及び
核融合
、
原子力船
、
ウラン濃縮等
の研究を促進させる目的をもって、
民間企業等
に対し、前年度に引き続き、
補助金
または、
研究委託費
を交付するため、三億二千十万円を計上いたしました。
放射性廃棄物
の
処理対策
放射性廃棄物
の処理を一元的に行なう機関に対する
事業費
の
補助金
として、三百十四万一千円を計上いたしました。
国立機関等
の
原子力試験研究
関係行政機関等
の
原子力平和利用研究
につきましては、固有の
研究分野
に関連して行なう
核融合
、
原子力船
の研究、並びに
放射線
及びその
利用研究
のほか、
核原料物質
の
調査等原子力
の
開発利用等
に直接関係する
研究テーマ
に対して、それぞれの特色に応じた
研究活動
を期待することといたしまして、五億一千五百三十三万五千円を計上いたしました。
放射能調査
大気、海洋、土壌、上下水、及び食品中に分布されている
自然放射能
、または
人工放射能
につきましては、これを定期的、組織的に測定調査して、
放射能障害防止対策等
の資料とする必要がありますので、前年度に引き続き、
国立機関
及び
公立衛生研究所等
にその調査を実施させることといたしまして、四千八百二十三万円を計上いたしました。
核原料物質
の
探鉱奨励
核原料物質
の開発を早急に実施できるようにするためには、
民間鉱業権者
の行なう
核原料物質
の探鉱についても、これを
奨励助長
する必要がありますので、
核原料物質
の賦存が予想される地域に存在する鉱山を積極的に探鉱させるため、
補助金
として一千四百五十五万円を計上いたしました。 次に、
所管試験研究機関関係
として三十二億五千六百八十七万八千円と、別に
国庫負担行為額
一億一千百七十七万九千円を計上いたしました。その内訳は次の通りであります。
航空技術研究所
昭和三十一年度以降建設を急いでおりました
遷音速風洞
は、いよいよ本年秋には完成し、直ちに
通気試験
を行なう予定にいたしておりますが、これにより、
わが国航空技術
の研究は一段と促進されることと期待しております。また、昨年発足いたしました
日本輸送機製造株式会社
が目下設計中の
国産中型輸送機
は、昭和三十六年度中に完成する予定となっておりますが、
機体関係
の試験は
航空技術研究所
の施設を利用しなければならないので、これらの要求に即応できるよう、
機体関係試験研究施設
の整備を
明年度
中に行なうことといたしております。これらの諸施設の整備と
航空技術関係
の
試験研究
とに必要な経費として十九億七十三万八千円と、別に
国庫債務負担行為額
一億一千百七十万九千円を計上いたしました。
金属材料技術研究所
金属材料
の
試作試験
を総合的に行なう諸設備の整備に重点を置いて整備をはかって参りましたが、
金属材料
の物理的、
化学的各種試験研究用装置
がいまだ整備の途中にありますので、引き続きこれらの
整備充実
に努め、すみやかに
わが国唯一
の
金属材料
に関する
総合的試験研究所
としての機能を十分に発揮させたいと考えております。このため、六億五千四百五万円を計上いたしました。
放射線
医学
総合研究所
昭和三十二年度より千葉市に建設を急いでおりました
研究庁舎
が昨年完成いたしましたので、関連諸施設の
整備充実
をはかって、
放射線
による人体の障害並びにその予防の研究、及び
放射線
の
医学的利用等
の
試験研究
を本格的に開始いたしたいと考えております。また
明年度
は目下建設中の
付属病院
の完成をはかって、
診断治療等
の研究も実施できるよう所要の準備を進めております。このため七億二百九万円を計上いたしました。
理化学研究所
大蔵省所管
の経費として五億二千万円を
政府出資金
として計上いたしております。
理化学研究所
は、民間における唯一の
総合研究所
として、特色ある
研究活動
を期待するとともに、
民間企業
では開発の困難な新技術を開発する態勢を整えたいと考えております。
出資金
の内訳は次の通りとなっております。
一般研究部門
に三億九千万円、新
技術開発部門
に一億三千万円、なお、
理化学研究所
の
土地建物
が借物であり、かつ狭隘老朽化しておりますので、他に新しい土地を求めて移転の計画を立てていますが、そのための
移転準備費
を
一般研究部門
の経費の中に若干計上いたしております。 最後に、
一般行政費関係
として三億二千四百三十二万二千円を計上いたしました。
一般行政事務処理費科学技術振興
のための
長期計画策定費
、
内外科学技術
の
調査公表費
、
技術士法
の
施行費
、
原子力関係行政費
、及び
各種審議会等
の
運営費等
のほか、
内部部局
の
人件費
、
事務費
として、二億七千七百四十三万五千円を計上いたしました。
科学技術会議
科学技術会議
の
運営費
として九百四十万九千円を計上いたしました。
原子力委員会
原子力委員会
の
運営費
として一千四百六十四万二千円を計上いたしました。 資源の
総合利用方策等
の調査
資源調査会
を中心に資源の
総合利用方策
の調査及び
資源利用
に関する
各種資料等
の
収集分析等
を行なう経費として、二千二百八十三万六千円を計上いたしました。 以上申し述べました経費を
目的別
に大別いたしますと、当庁の昭和三十五年度
予算要求額
は、一般の部におきましては、
大蔵省所管
に計上しました分を含めて、
歳出予算額
三十七億四千九百九十七万一千円、
国庫債務負担行為額
一億一千百七十万九千円、
原子力
の部におきましては、
関係行政機関
より別途
行政費
として要求いたしております分を除き、
歳出予算額
七十六億三千百八十三万四千円、
国庫債務負担行為額
四十二億八千四百八十六万一千円となります。 近時諸外国におきましては、
科学技術
の
重要性
に対する深識に基づき、その振興のため、異常な努力をしている実情であります。
わが国
におきましても、このような世界の趨勢にかんがみ、
科学技術
の振興に、官民相提携して全力を傾注しなければならないと確信いたします。かかる時期に際会して、
科学技術庁
は、職員をあげてその全機能を十二分に発揮すべく、重大な決意を新たにしているところであります。 つきましては、当庁が
科学技術振興
のため予定いたしております
各種施策
の実施に必要な経費として計上いたしました昭和三十五年度
予算案
について、何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御賛成を賜わりますようお願いいたします。
佐藤芳男
3
○
主査
(
佐藤芳男
君) これより質疑に入ります。
通告順
に従いまして、順次これを許します。
辻政信
4
○
辻政信
君 まあこれを御
説明
承りまして、
中曽根大臣
の
新進気鋭
の情熱を傾けて、積極的な
予算
の取得に
努力
されて、また
大臣
を
中心
として
皆さん
が、おくれた
日本
の
技術
をいかにして追いつくかということに
努力
されている跡がよくうかがえる。この点については敬意を表し、期待を持つものでありますが、ただ私が今の御
説明
を聞いて、まことに残念に思うことが二、三ある。 それは、
岸内閣
は、
科学技術振興策
を最高の
重要施策
としておる。
安保条約
なんというものは、
国民
の生活にも大した
関係
のないもの、ああいうものに血道をあげて一番じみなこの
科学技術振興
ということに、
看板
は最
重要施策
として掲げておきながら、その中身を読んでみると、きわめて貧弱なものという感じを抱かざるを得ない。
努力
されて、しかもこんな
程度
なんだ。まあ
一つ
の
比較
を申しますと、
西ドイツ
における
一つ
の例をとってみると、
西ドイツ
におきましては、
放射能
の害毒に対して
国民
を守るという一
項目
だけに二百億円近いものを投じております。
日本
の全
年予算
を
一つ
の
項目
にしぼっておる。この立案をなさるときにドイツであるとか、アメリカであるとか、
ソ連
において、この
科学技術
の
研究
に全
予算
の何%ぐらいを充てておるかということを、
資料
として御
研究
になったものはありますか。
中曽根康弘
5
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君)
外国
の
実情
も
調査
いたしまして、その数字も心得ておりますが、
政府委員
より
説明
させます。
原田久
6
○
政府委員
(
原田久
君) 諸
外国
の
研究関係
の
予算
がどんなふうになっておるかということにつきまして御
説明
申し上げます。いろいろな
角度
から
比較
することができるわけでございますが、
政府
総
予算
に対しまする
科学技術関係
の
予算
を
各国別
に一応申し上げますと、一九五八年でございますが、
米国
が二十八兆五千億円の
予算
に対しまして、
科学技術研究関係
は二兆六千億円ほど邦貨に直しまして投入しております。
英国
は、総
予算
が四兆九千億円、これは同じく一九五八年でございますが、
科学技術関係
は二千六百五十億円。それから
西独
は、
政府
総
予算
が三兆四千億円でございますが、その
科学技術関係
は六百八十億円。
ソ連
を申し上げますが、
ソ連
は、
政府
総
予算
が五十七兆八千億円に対しまして、
研究関係
は、一九五九年でございますが、二兆六千億円となっております。 次に、他の
角度
から、
民間
と国の
機関
との
研究費
を全部ひっくるめました全
研究費
につきましての
国際比較
を申し上げますと、
日本
が一九五八年におきまして、七百九十億円の
研究費
を投入しておりますが、
米国
は四兆三百億円、
ソ連
はこれは一九五六年ですが、一兆二千四百四十億円、
英国
は三千二十億円、
西独
が千六百三十億円、フランスが二千八百二十億円、こういうことに相なっております。
辻政信
7
○
辻政信
君 そこに
皆さん
が自覚しておられる
通り
、
岸内閣
の一枚
看板
として積極的な、
国民
を幸福にする
内容
を持ったものはこれだけなんです。それがいかに貧弱な
予算
であるか。もちろんこれは
皆さん
を責めるわけじゃない。
内閣
全体の責任として、もう少し画期的な、積極的にその
認識
を深めさして、つまらぬ問題に税金を使うよりも、こういうところにぶち込め。ロッキードを作るのに七百億円、その
地上設備費
を入れて大体一千億円、しかも、五年たったときには、何の役にも立たない古ぼけたものになる。それをやるならば、なぜミサイルの
研究
をやらぬか、あるいは
放射能
の
防衛対策
をやらぬかということを、私は数年前から声をからしておるが、耳を傾けようとしない。その点について、きわめてこの
予算
は
不満
があります。
不満
がありますが、今さら組みかえせと言ったってできる道理がないから、以下、逐次
内容
につきまして、私の気がついたところをお尋ねしたいと思います。 それは、三ページのところで「
科学振興費関係
」として三億五千百七十万七千円、そうしてその
内訳
を見ますと、「
科学技術者
の
渡り航
」というところに、ちょっぴり五千三百四十万円計上されておる。そしてその
内容
は、「各
省庁関係
の
研究公務員
を
海外先進諸国
に
派遣
して」と、こうなっておる
役人
だけを半年や一年、名目をつけて
海外
へやろうとされるが、私はこういうものこそ、特定の
人間——役人
であろうが、
学者
であろうが、無名の人であろうが、それを引き出して、それに三年でも五年でも
一つ
の仕事にかみつかすような、
ほんとう
のものをやってもらいたい。
役人
の
出張旅費
に流れるんじゃないかというようなことでは、
ほんとう
の
研究
はできないと思うが、
内訳
は一体どうなっておるか。どういう
目的
で、どのくらいの期間、どのくらい
派遣
されておりますか。この積算の
基礎
はどうなっておるか。
鈴江康平
8
○
政府委員
(
鈴江康平
君) この
予算
は、
各省
の
国立研究機関
の
研究者
のみを
対象
にしておるわけでございます。それで、なおこのほかに、たとえば、
学術会議
の方からは、
国際学術会議
に対しましての
学者
の
派遣
という
予算
がおよそ一億以上あると思います。それから、
日本学術会議
はそれほどございません、やはりこの
程度
の
予算
でございます。それから
大学
の
研究者
につきましては、文部省の方から約一億数千万円を、もちまして渡般さしております。
科学技術庁
の担当しておりますのは、今申し上げましたように、
国立研究機関
の
研究者
の
派遣
でございます。
内容
といたしましては、大体
短期
と
長期
、それから
外国
で
スカラシップ
をもらいまして、
渡航費
のみを支給するというようなカテゴリーに分けて支出しておるわけでございます。
長期
と申しますのは大体一カ年でございますが、年令は大体四十歳以下の中堅の
研究者
を選抜いたしまして、各
外国
の
研究所
に、あるいは
大学
に
派遣
をして勉強させるというのが第一項でございますが、これが大体二十五名
程度
出し得る見込みでございます。それから三ヵ月の
短期
の
出張
でございますが、これは大体
研究所
の部長あるいは
所長クラス
の方に
海外
の
研究状況
を見てもらうということで、これは大体五名
程度
の
出張者
を
予定
しております。そのほかに、
国立研究機関
の場合もありますが、また相当多いのでございますが、これは大体国連におきまして、向こうの
滞在費
並びに
片道旅費
を持ちまして、
あと
の
片道旅費
だけ
政府
から支弁すれば行けるという
制度
がございます。これは大体四、五十名の人が行っております。そのほか、
各国政府
あるいは
各国
の
大学等
におきまして
スカラシップ
を出すという
制度
もございます。それに対しまして
旅費
をこちらからやればよろしいという点がございますので、そういうことによりまして行く
方々
が大体二十名
程度
、その
程度
の方方が行けるわけでございます。これは
官庁研究者
だけの問題でございますが、
あと
の
私費留学生
、
民間
の
方々
につきましては、それぞれの所属の
会社
からも支給されますし、あるいは
自己支弁
で行かれる方もございますが、これにつきましては
外貨
の
特別割当
をいたしておりまするので、
外貨
は買えるわけでございますので、相当多数の人が出ておるわけでございます。
辻政信
9
○
辻政信
君 私は今の
説明
を聞いてびっくりしたんですが、
長期
といわれるから、少なくも三年くらいかと思ったら、
長期
が一年間、
短期
が三カ月、これはまるで代議士の
恩典旅行
みたいなものですね。
内容
的には何もない。しかもその
予算
がれいれいしく書いてある。五千三百四十万円というのは、
岸総理
が四回
外国
を回った。
岸総理
が
外国
を回った
漫遊費
だけで一億、勲章を持って回ったのが一億円、まじめな学生や
学者
がこの大きな問題に取っ組むのに半分しかない。そこに
岸内閣
の
科学
に対する
認識不足
をこの
予算
は暴露している。よそへ行って
説明
するのに恥ずかしい。こんなことを選挙に行って演説したら台なしです。岸さんの四回よりも、全国の
学者
の
旅費
が半分しかないということは、これは
世界
のもの笑いです。 その次は、
発明実施化
の
助成
、これは着想としてはいいが、私はこれを読んでみてしみじみ思うのは、
民間
の
発明意欲
を押えている
ガン
はどこにあるとお
考え
になりますか。
中曽根康弘
10
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) いろいろございますが、
一つ
は
特許法
の
関係
というのがあります。それから
特許
の審査というものが非常におくれておって、
平均
二年くらいかかる。これが一番大きな
ガン
だろうと思います。
辻政信
11
○
辻政信
君 名答です。その
通り
なんです。これは私も、たくさん苦情を申し込まれておる。ちょっとしたことをこつこつ勉強して、
特許
をとろうと思って命がけになっていると、二年かかるんです。そうして、その窓口の連中が、ちょっとおつかいものをしなければ、
促進
してくれない、ただでは、理屈では……。おつかいものをすると、少し早く通る。そうして二年間かかっておる。あなた方が首をひねるなら出しますよ、個人の名前が出るから控えておるが。二年たつうちには、創意がもはや古くなってしまう。魚だって、二年たったものを刺身にできぬでしょう。こういう
科学技術
は
鮮度
がよくなければならない。
実験
に対して間髪を入れずやるというだけの
鮮度
をもってやらなければ、うまくいかない。そういう意味で、苦労した
発明
が、二年間あの
特許
庁の倉庫の中にうずたかく積もっているうちに、
担当官
が親しい
会社
にちょっと耳打ちする、こういう出願が出ているから、お前も負けずにやれと漏らしたりする。そういう式にやるものだから、有能な
民間
の
発明
家というものは、大企業にどんどんとられる。仕方なしに
特許
に持っていかずに、大きなメ—カ—に売り込んで、五万、十万もらうのに頭を下げなければならぬ。それによって
発明
者がわずかの反対給付を受けなければならない。それが
制度
の欠陥ですよ。いわゆる
特許
庁の
役人
の怠慢です。そこに
政府
が目を光らさぬから何にもならない。二年たって冷蔵庫から出した魚を刺身にしたって食えたものじゃない。生きのいい魚を
ほんとう
に食わすには、
特許
事務というものを、これは
岸内閣
の
ほんとう
のまじめな気持で直してやらぬとだめなんです。少し毒舌を吐くようですが、これは
ほんとう
のことを言っているんです。 それからもう
一つ
、仕事をおやりになるのはいいけれども、
気象観測
用ロヶツトの
試作研究
に三千万円をもって
民間
に委託するということが八ページに出ているのですが、
大学
の
研究
室へ行ってみると、驚くべき貧弱なものです。校舎は、中学、高等学校は代議士の選挙に
関係
があるから、みな鉄筋コンクリートを建てる。しかしその
研究
室へ行ってごらんなさい。一体何があるのか。校舎だけは鉄筋で
補助金
を取るのに夢中になっているが、
基礎
科学
ができなくちゃ高度の
科学
ができる道理がない。これはあなた方の
分野
じゃないかもしれないけれども、
ほんとう
に
日本
の
科学
を
振興
しようと思えば、小学校の教室から、中学校の
実験
室から、高等学校、
大学
の
実験
室に国の
予算
の
重点
を向けろと言うんです。
基礎
のない
科学
なんというのは、まねごとにすぎない。
ほんとう
にやろうと思ったら
基礎
科学
です。
国民
の
科学
教育から出発をしなければならぬ。そういうことについて、文部省と関連を持っておられるのか。
中曽根康弘
12
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 文部省ともいろいろ連絡してやっておりまして
基礎
科学
としては、教官
研究費
——
大学
の教官が自分の専門事項をこつこつ
研究
する
経費
として、今
年度
五十億出しましたが、
明年度
は十億ばかり増額計上いたしました。これでふえた分は、純粋に
研究費
に回りますから、かなり潤うだろうと思います。 それからもう
一つ
は、
科学
研究費
というのがございまして、これは
学術会議
の専門
委員
会が文部省と連絡して、優秀な
研究
を募集してその中から割り当てておるのですが、これも昨年に比べて四億近く増しました。しかし、それでもまだ九牛の一毛でございまして、私
考え
ますのに、
科学技術
の仕事をしばらくやりましたけれども、やはり
日本
の行政機構の屋体骨から変えないというと、ちょっとだめじゃないかという気がいたしまして、そういう
一つ
の
考え
方を
科学技術庁
の
審議
会に、今どういうふうに変えたらいいか、鋭意
研究
さしております。 それから、今
経済
企画庁の作業に関連しまして、十年後を目標にする
日本
の
経済
政策というのをやっておりますが、その
中心
は
科学技術
にあるわけでございます。そこで、その十年後、所得倍増を期するためには、どういう
技術
の革新をやっていかなくちゃならないか、それにはどの
程度
に
大学
の理工科
部門
を拡充し、どの
程度
の生徒と先生を
養成
していかなければならないか。それにはどの
程度
に高等学校や中学校の理工科
部門
を充実していかなければいかぬか、そういう
基礎
的な
研究
をやらしておりまして、秋ぐらいまでにはできますから、それをぜひ実現していくように
努力
いたしたいと思います。
辻政信
13
○
辻政信
君 その次は、十九ページを見て下さい。十九ページの
航空技術研究所
というところで、
遷音速風洞
をお作りになるのはいいことですが、
日本
で、ことにエンジンがよくできないのは、三菱とか川崎、そういう
会社
が自分の資本でちっぽけな風洞を作っておる。そうして、ほかの
会社
に利用できないように、小さな規模でこそこそやっているところにある。これでは
世界
的な
研究
はとてもできない。小さな
民間
資本では……。これをねらったのだろうと思うのですが、このねらいは、少くとも航空
技術
に
関係
あるすべてのメーカーが国で作ったものを利用できるようにということを
考え
られて、思い切ったものをお作りになったらどうか、その点を
一つ
。
中曽根康弘
14
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) この
遷音速風洞
は、防衛庁とも協力しまして、また
民間
会社
等も
試験
できるように、そういう考慮のもとに、総合的に実はやっておるわけです。
各省
関係
が利用できるものを
科学技術庁
が扱っておる、そういう
考え
方でやっておりますが、この
遷音速風洞
では、
一つ
はジェット機や右翼プロペラの両方をやるつもりですが、これから大事なのはロケットなんです。それでロケットの方にもこれが適用できるように、今改装をさせておりまして、主としてこの次はロヶツトになるに思いますから、そちらの方に
重点
を置いております。
辻政信
15
○
辻政信
君 それにしては、こんな貧弱な
予算
でできますか。
中曽根康弘
16
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 年次
計画
でずっとやっておりまして、これは大体ことし中に完成することになっております。たしか三カ年
計画
か五カ年……。
辻政信
17
○
辻政信
君 そうしますと、ことし中にこの
研究所
ができると、大体国際水準に近いというところまで持っていけますか。
中曽根康弘
18
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 国際水準には超音速風洞を作らなければいけない。そこで、これをやる
研究
を進めましたら、超音速風洞の方にかからなければならないと思います。
辻政信
19
○
辻政信
君 ほんの芽ばえですね。
中曽根康弘
20
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) そうです。
辻政信
21
○
辻政信
君 その次、二十二ページですが、
放射線
医学
総合研究所
、これに七億三百九万円をとられておる。これはきっと中曽根さんにどこかでお目にかけたことがある。これを御存じですか。
中曽根康弘
22
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 知らないです。
辻政信
23
○
辻政信
君 それじゃ見て下さい。これをあなた方知らなければ困ったものですね。
中曽根康弘
24
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) マイクロですか——フィルム・バッジですね。そ回は拝見しました。
辻政信
25
○
辻政信
君
西ドイツ
で使っておるのです。空中の
放射能
をそれで検定する。これはアデナウワー首相が来ておりますから、会って聞いてごらんなさい。これは、国が国費で作って、四千万の
西ドイツ
国民
全員に配っております。これにフィルムが入っておりまして、空中の
放射能
が鋭敏にこれに感ずる。それを現像すると、何カウントの被害を受けているということが立ちどころにわかる。それによってこれは致死量だ、これは治療すればなおる、これは何パーセント入っておる、これは無害だということが判定される。そうしてその判定に応じて、
放射能
から全
国民
を救うような医療、退避を
計画
し、広い意味における民防衛ということに年々二百億をこえる
予算
を投入しております。ちょうどアデナウァー首相が来ておりますから、直接お会いになってお聞きになったらいい。 そこで、私が言うのは、これは
日本
で千葉でおやりになるのもいいけれども、これも芽を出した
程度
であって、これではとても追いつかないから、アデナウァーさんが来ておられる機会に、進歩した
西ドイツ
の
放射能
医療対策、こういうものは秘密で、
各国
ともなかなか公開しないから、これこそ政治力を利用せぬと、単なる公務員が
出張
したって、においもかげない。どうか中曽根長官は、
岸総理
を動かし、藤山さんを動かして、いいチャンスですから、同じ境遇にあるドイツに対して、
放射能
の被害から生きたものをどう守るかという道義的な
研究
に関するドイツの国家機密を
一つ
許してくれぬか、こういう話し合いをされて、真剣に取っ組む
学者
を少なくとも数名、即時出してもらえぬだろうか。昨年六月の臨時国会で
岸総理
にこれを見せて、あなたは防衛ということを言うが、近代防衛というものは、戦車や大砲に対して守るのじゃない、空中の
放射能
に対して九千万の
国民
をどう守るかということが防衛なんだ。それに対して関心を持っておるのか、全然関心がない。やはり前大戦当時の国防観念から一歩も出ておらぬ。これでは
国民
が安心しているわけにいきませんから、ここに書いてあるのは、これは千葉を
中心
とした医者の
研究
でありますが、国としてもやらなければならない。
西ドイツ
におきましては、この
研究
をどういうふうにやっておるかというと、赤十字社を
中心
にしております。そして学校の先生、
民間
の
技術者
、お医者さんというものを総動員しております。ことしでたしか四年目くらいです。この
研究
を
皆さん
が今千葉で七億の
予算
でおやりになるということは着想としては悪くないが、とても追っつけるものじゃございませんから、ドイツに
ほんとう
に友好の精神があるなら、これは戦争の秘密じゃないのですから、平和の学術の秘密ですから、このチャンスにぜひそのおみやげだけはお取りになるように、貿易のことだけを夢中になっておるが、もっと大きな問題を忘れておる、総理
大臣
以下。それは
一つ
中曽根さんから滞在中にぜひ取りつけてもらいたいですな。私が言ったってとても聞いてくれない、無所属の陣笠じゃ。これこそ外務
大臣
を動かし、中曽根君自身が取っ組んで下さいよ。
中曽根康弘
26
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 承知しました。
辻政信
27
○
辻政信
君 お願いしておきますよ。決してあなたのあげ足をとるわけじゃない。今までの
科学技術庁
の
予算
から見ると、確かにこれは中曽根新
大臣
が馬力をかけられただけの功績は認めます。しかし現在の
世界
の
科学
の進歩に
比較
するというと、あまりに恥ずかしいものです、そのパーセントといい、その
内容
といいですね。これで一枚
看板
の
科学
振興
ができるなんて思ったらこれは笑われます。着想としてはいいが、そういう意味でじみな仕事で派手じゃないが、どうか
一つ
むだな金をここへ突っ込んでもらうように、元手をかけぬところに芽が出る道理がありませんから、
科学技術庁
は思いを新たにして、民族の運命を
皆さん
の時代に築くのだというつもりで今後とも
努力
していただきますように要望しまして、私の質問を終わります。
岩間正男
28
○岩間正男君 ただいまの辻
委員
の質問の中にもあったのですが、
科学技術
の向上ということを問題にしておるが、全般的な
日本
の学術の体制ですね、これが
基礎
になる、これは当然だと思うのですが、こういう点で今の学校教育の
基礎
ですね、こういうものについてどういうふうに
考え
られるか、先ほどちょっと伺いましたが、もっとくわしくお聞きしたい。 小学校から、高校、さらに
大学
までの現在の組織のやり方です。たとえば一学級が六十人近い、そこで
研究
をやるといっても、これはできないじゃないか、そういう体制である。先ほどの話では、教官の
研究費
を増額する話があるけれども、教官の
研究費
の増額、これもないよりはいいでしょう。しかしこういうような体制で
ほんとう
にこれは
科学技術
を培養することができるか、どう
考え
ていますか、その点。
中曽根康弘
29
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 当面の対策と、それから恒久的な対策と二つあると思いますが、当面の対策で、私がやってみて一番大事だと思いましたのは、
一つ
はやっぱり
科学技術
に非常に理解のある大蔵
大臣
が出るというか、
予算
を握られているということから見て、(「今のはだめだ、あれはもうけ仕事でなければ出さない」と呼ぶ者あり)政党自体もそういう
認識
を、全部の政党あるいは政治家というものが
科学技術
というものを非常に重要視する、そういうことがやはり大事だと思います。その点では私らの力は足りませんので、まだこんな貧弱な
予算
であることは遺憾であります。 もう
一つ
大事なことは、
研究
のリーダーが出ることだ、仁科さんという人が出たためにあの門下から非常にりっぱな人が出てきた、やっぱり全部を見渡している
研究
のリーダーが出て、お前はここまで突っ込め、お前はこっちに回った方がいい、こっちを
考え
てみたらどうかと、そういうふうに指導してやる人が非常に重要です。そういう人が戦後の
日本
に少ないのです。この二つが端的に申し上げて私は大事なことだと思います。 恒久的な対策ということを
考え
ますと、埋もれている
科学技術
の能力のある者を
科学技術
の方にどんどん引っぱっていく、そして
国民
層を深く培養するということが非常に大事だと思います。それはどういうことかというと、結局、端的な話ですが、
科学技術
に行けば立身出世もできるとか、世の中に貢献できるとか、そういうふうに、昔は東郷元帥になろうとか、乃木大将になろうという気持を、今度は湯川さんになろうという、そういうふうに子供の心に芽ばえさせることが非常に大事だと思います。そういう点からすると、
科学技術者
をもっと社会的に優遇するとか、
研究公務員
の待遇をもっと改善するとか、そういうことが非常に大事だと思います。そういうことをやると同時に、子供のころからの理科教育というものを充実させまして、子供心にもものに疑問を抱く精神、それからこつこつ食いついてそれを解決してみるという精神、そういうものを作り上げるということが大事なように思うのです。そういう点からしますと、今の
日本
の教育の体系というものが、ややもすれば明治以来の儒教的な教育の流れできておるのですから、足りないところが非常にあるように思います。そういう点は逐次改革していきたいと思っております。
辻政信
30
○
辻政信
君 ちょっと関連して。今岩間君の質問に関連して、ちょっとさっき質問するのを忘れておったから質問しますが、そこに並んでおられる
科学技術庁
の
政府
職員の中で、
技術
出身の方は手をあげて下さい。……全部そうですか。
中曽根康弘
31
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君)
科学技術庁
は非常に優遇しておる。
辻政信
32
○
辻政信
君 そこで、その月給が、あなた方と一緒に
大学
を卒業した行政事務官と比べてどうなっておりますか、率直に言いなさい。
中曽根康弘
33
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 率直に言っていいです、
実情
だから。(「遠慮することない」と呼ぶ者あり)
原田久
34
○
政府委員
(
原田久
君) 私の立場は特別なあれでございますから例外かと思いますが、
一般
に申しまして、
技術
畑の行政官と事務畑の行政官とは、大体
比較
しましてもかなり開きがあるようでございます。
辻政信
35
○
辻政信
君 非常に低い。
原田久
36
○
政府委員
(
原田久
君) 非常にとは言えるかどうかしりませんが、かなりあるように思います。
辻政信
37
○
辻政信
君 これですよ。人事院総裁から総理
大臣
を引っぱり出してたたかないかね。だから優秀な者は行かない、
技術
畑に。文一に行って口が達者になって、そして行政事務をやると、どんどん抜擢されて
局長
になり次官になり
大臣
になる。そして
技術
を出た人はせいぜい下積みになって
会社
の工場長くらいで首になる、
ほんとう
に。糸川教授は会ったことありませんが、おそらく糸川教授の月給なんというものは、その辺の三流
会社
の専務の半分もないだろうと思います。そして
科学
を興せ興せといっても、人間は生きておるのですから、自分の
努力
に報われる報酬がなければだれが一体そこに行くか、それをようく
考え
て、これは
技術
庁だけではできないから、中曽根さんが閣僚の一人として、今の間違った給与
制度
を根本的に改める、そこに一肌抜いでもらいたいと思う。
中曽根康弘
38
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 全く同感です。
辻政信
39
○
辻政信
君 八百長質問じゃない、決して。
岩間正男
40
○岩間正男君 小さいときから
科学
心を起こさなければならぬという話ですが、学校教育について聞きたいのです。今の
施設
あるいは今の組織のやり方で、一体これで
科学技術
を向上させることができますか。たとえば理科室
一つ
見ても、高校に行っても
大学
に行ってもこれは大へんだと思うのです。ことに戦後の姿をわれわれはずっと見てきたんだが、これは
ほんとう
に十分に、
試験
管やフラスコさえこれは供給をできないような態勢にあるのです。それから
研究
室というのは全く荒廃しております。水道もろくに出ない、これは昔相当名を鳴らした官立の
大学
でそういう
実情
です。そういうことを知っているかどうか。それで教官の
研究費
もいいけれども、一体どこに
科学技術
を向上させる基盤を作るか、この点が非常に問題だと思うのです。この問題と、それから今従ってこういう足りないところを
民間
の
施設
に期待しているという方向をとっておられるけれども、一体
科学技術
の向上、こういうような政策の面に学校とそれから
民間
とどこにウエートを置くのか、こういう点で基本的に一体
科学技術
の発展のためにどこに
重点
を置くのか、こういう点をお伺いしたい。
中曽根康弘
41
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君)
科学技術
のやはり基本政策は学校にあると思うのです。学校も理工科系の学校教育というものを
中心
にして
考え
てやらなければならないと思います。そこで、一番の今の隘路は先生がいないことなのです。理科の教室を拡充しましても、酸素を作った経験のない先生ばかりです。それから
大学
にいたしましても、近ごろは
会社
の方が景気がよくて給料が高いものですから、いい
大学
院の学生はみんな日立とか東芝へ行ってしまう。官庁
研究所
はもっと悲惨でありまして、
大学
には多少の自由がある。官庁
研究所
は給与も社会的地位もない、従ってことしあたりは旧帝大の卒業生はほとんど参りません。しかし電気
試験
所とか、あるいは
原子力
研究所
とか相当
設備
のいいところがあるので、これが
日本
の
研究
を今まで引っぱってきたわけです。そこに非常に大きな断層ができるということになる。そこで、今辻
委員
のおっしゃいました給与とかあるいは身分、待遇の問題というのは一番根本的に差し迫った問題になりつつありまして、そういう
研究所
、及び教師というものの充実ということが大事なことであるように思います。
岩間正男
42
○岩間正男君 現状から
考え
ますと、大体小学校で今非常に大きな問題になっているすし詰め学級の問題、一教室五十八人というのが現状です。中学校も大体同じだ。こういう形で
科学技術
を
振興
するなんというのは、この点についてはどう
考え
ておられますか。
中曽根康弘
43
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 今御質問の趣旨がはっきり受け取れなかったのですが。
岩間正男
44
○岩間正男君 つまり、一学級に六十人の子供を入れて、いわば大量生産的な教育ですね、一人々々が
実験
をやろうといってもそういうことはできませんよ。こういうのが
日本
の教育の根底に横たわっているのです。その上に積み重ねているわけだ。中学、高校、
大学
とこういう体制で、
ほんとう
にこれは
科学
的
技術
を推進させるということは可能だと
考え
ておられるかどうか。
中曽根康弘
45
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 理想を申せば切りはありませんが、少なくとも最低限われわれが戦争前の中学校で
実験
した
程度
のものはやらせなきゃいかぬ。そこまで今いっていないように思います。従いまして、この点は速急に打開する必要があるように思っております。
岩間正男
46
○岩間正男君 本
会議
と並行してやりますか。
佐藤芳男
47
○
主査
(
佐藤芳男
君) 並行してやります。
岩間正男
48
○岩間正男君 それではお伺いしますが、中学校
程度
で中曽根さんの時代にやられた
程度
のものに引き上げてやらなければならないというお話ですけれども、とても今の
要求
から見れば、もう時代から隔絶しているじゃないか。ところが
日本
の現状はそれ以下だ。私はそれと関連してお聞きしたいと思います。 大体、ソビエトの
科学
とそれから自由主義陣営といわれる国を代表するアメリカの
科学
というのは年々大きく開いてきている。はさみのように大きく開いている。その根源はどこにあると長官は
考え
ているのか。
中曽根康弘
49
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 私はやはりアメリカや
ソ連
がずっと抜きん出て、イギリスとかフランスとか
日本
とかイタリーというようなヨーロッパ系統の法制をとっている国がおくれているというのは、やはりある
程度
政治の基本的な構造にあるように実は思うのです。アメリカあたりはああいうふうに大統領が思い切ったことを
国民
の支持を求めてやります。ある
程度
任期が安定してアイゼンハワー大統領も八年やる。そうすれば
経済
計画
も三年
計画
なら三回やれる、それを継続して。しかも最近の
研究
というものは、たとえば空の問題でも、サルの心電図から電子流体力学とかプラズマの
研究
を一緒に総合してやらなくちゃならぬということですから、結局国が
中心
になって大資本を使って、そうして
学者
を全部総動員してやるといった国が伸びているのです。それをやっているのがアメリカと
ソ連
です。ところがイギリス、
日本
、イタリー、フランスというのは、従来のヨーロッパ系統の体制をとっている国は思い切ってそれをやれない体制にある。こういうな根本的な国の構造自体の問題もあるだろうと私は思っております。
岩間正男
50
○岩間正男君 私のお聞きしておるのは、ソビエトとアメリカの
科学
の
程度
が非常に開いてきておる、これは認められると思うのです。認められますな。
中曽根康弘
51
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) ええ。
岩間正男
52
○岩間正男君 その認められる、はさみ状にどんどん開いてきておる根源はどこにあるか、それを聞いておる。あなたの今の御答弁では、ソビエトとそれからアメリカは抜き出ていて、フランス、イタリー、イギリスその他こういう国は非常におくれておるという点について御
説明
があったんでありますが、そうじゃなく、私のお聞きしておるのは、これはソビエトとそれからアメリカの開きが年々大きくなってきておる根源はどこにあるか、これを聞いておる。
中曽根康弘
53
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) ソビエトとアメリカがそんなに開いておるとは私は思わないのです。それは月とか人工衛星の部分ではソビエトのすぐれたものもあります。しかし全部の潜在力と総合的な顕在力を見ますというと、やはりアメリカの方がはるかにすぐれておるように私は思います。しかしソビエトはああいう国ですから、非常に
技術者
の大量増員、あるいは
技術者
の優遇ということで思い切ってやっておるようです。従ってこれがだんだん花が開いてくるようになるというとどうなるかわかりませんが、現在のところでは、一部分ではソビエトはなるほどはなやかに引き離しておるように見えるところもありますが、全部の総合的な力を見ますというと、必ずしもそうとは断定できないと思います。
岩間正男
54
○岩間正男君 まあこれは議論にわたりますから、ここで議論しようとは思いません。しかしもう
世界
周知のことですね、具体的に
世界
の人々の前に示された事実です。そうしてその開きは年々大きくなっておることはいろいろな最近の現象なんかでも明らかです。この点を今のような御
説明
で、現実に、客観的な事実の上に立ってこれを追究するという
努力
がないので、今のような
説明
に立っておるというと、私は大へんなことになるのじゃないかと思うのです。この点もう少し
研究
をされる必要があると思う。私の見るところでは、全くこれはもう
国民
的な規模で下からの基盤ができていて、たくさんの
研究者
を持っておる。三百万、四百万の
科学
研究者
を持っておる。その上に立って、そうして段階に応じて
ほんとう
に
技術
が大衆的なものになって、そこから大きな成果が出ておるという点が
一つ
。その点を作り上げた長い間の教育、それから
科学
的ないろいろな政策によってこれを作り上げた
努力
、これを見なければならない。さらにもう
一つ
、その根源の中には大体社会主義というものは非常に
科学
的なもで、
科学
的な
基礎
の上に立っておるのですから、
科学
というものに非常に大きな関心を持っておる、そういう点があるように私は思う。(「共産主義の宣伝なんかやめ給え」と呼ぶ者あり)宣伝じゃない。今の長官の
考え
方を聞いて、そこが非常に私は重要だから、それについての意見を述べておるだけです。しかし、これはまあ意見にわたりますからやめますけれども、この点についてもっと客観的な事実を私は調べる必要がある。アメリカの
研究者
、たとえば
研究所
はどのくらいありますか。
中曽根康弘
55
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 先ほど申し上げましたように、ものによって優劣はあると思うのです。それでたとえば
ソ連
あたりではロヶツトの
燃料
とかあるいは誘導装置とか、こういう点はやはり非常に発達しておるだろうと思います。しかし工作機械とか、あるいは繊維とか、あるいはその他の
科学
、そういう面については必ずしも発達しておるとは思わない。私はソビエトへ参りまして、ソビエトスカヤ・ホテルというホテルへ泊まりましたが、電気をつけるのにスイッチをこうやると、ぽろっとみんなこわれてしまう。あれを見て、これは非常に発達にへんぱなものがあるのだということがわかります。それから工場もずいぶん見ましたけれども、工場の工作機械はアメリカやドイツのものがかなり私が行ったときにはありました。そういう面からして、非常に発達しておるところと発達してないところがあると思うのです。それはああいう国ですから、国家が
目的
研究
をやらせる。これをやれといった場合には金とあらゆるものを投入するが、全般的に基盤ができ上がって発達しておるかというと必ずしもそうではない。そういう国情の差異があるのではないかと思います。
佐藤芳男
56
○
主査
(
佐藤芳男
君) 岩間君に申し上げますが、本
会議
は始まっておりますが、並行
審議
の許可をとっております。ただし、中曽根長官が
法案
の
説明
で本
会議
に出られる
予定
は今後大体一時間ぐらいのちと
考え
ておるのであります。従いまして、御所見の違うところは、これはもうやむを得ないことでありますから、純然たる質疑を行なっていただきたいと思います。
岩間正男
57
○岩間正男君 それでは、ちょっと意見を述べただけですから、これはやめます。 次に伺いたいのですが、
科学
研究
、
科学
研究
と言うのですが、今
年度
予算
を見ますと、なるほど
原子力
研究
とか、それから軍事
科学
、そういうものに関連したところの
研究費
は非常にふえていると思うのですね。
原子力
予算
は総額どれくらいですか。
中曽根康弘
58
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 国全体の
原子力関係
で言いますと、七十七億二千六百万
程度
です。
岩間正男
59
○岩間正男君 私は、これに比べて、たとえば文部省の全
科学
研究
振興
費というものを見ますと、これは三十一億なんですね。そうすると、
原子力
の
研究
予算
というのは二倍以上になっているわけです。それから、その中でさらにもっとこまかに見ていきますと、気象庁
関係
あるいは
国民
の生活に非常に必要な衛生
関係
、たとえば伝染病
研究費
、こういうところの
予算
、こういうものを見ますと、これは問題にならないと思うのですね、相対的な問題として、非常に問題にならない。こういうことは
科学技術庁長官
として等閑に付すことはできないと思うのです。つまり、
科学技術
の平和的なしかも民生安定の面における
研究
というものが非常に私は重要だと思うのです。そういう点でお聞きしたいのですが、この気象庁の
予算
はどうなっておりますか。
中曽根康弘
60
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 大体、気象庁は
研究費
として一億四千万
程度
です。
岩間正男
61
○岩間正男君 これは非常に少ないじゃないですか。
中曽根康弘
62
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 気象庁の方の
予算
は、われわれ大いにバツク・アップして、この間の台風の経験にかんがみまして、非常に充実させようといたしました。ところが気象庁の方では
研究者
の定員が非常に少ない。そこで定員を増さないというと実際は
予算
も取れない。定員を増すことは非常に
努力
いたしましたが、今度はそうあまり著しく定員を増さないということで、気象庁の方も割合にじみな
予算
を
要求
した。あれはどういうものですか、気象庁長官以下、
技術者
というのは、今まで
日本
の行政機構でならされたというか、何か小さくなってしまいまして、この
程度
でたくさんだ、たくさんだと実は言っているのです。それを私が輪をかけまして、そんなことでどうするか、どうするかということで、ずいぶんふくらまして
要求
さしたのです。
岩間正男
63
○岩間正男君 われわれも聞いておりますがね。ことに労働者の立場からこれに対する
要求
はいろいろ聞いているのだけれども、そんなことはないと思うのだけれどもね。あなたたちは長官とかそういうところだけしか聞いていないから
実情
がわからないのじゃないですか。そうじゃないと思うのです。大体、今の
施設
、それからいろいろな
設備
、こういうものを見ても全くこれは立ちおくれですよ。私はこれは
国民
の
経済
から
考え
ても大へんだと思うのです。伊勢湾台風
一つ
あれに見舞われるというと約一兆の損害です。ばく大なものです。それを全部気象庁によってまかなうということはむろんできません。しかし、これを予知し、さらにこれを未然に防ぐための
努力
をすれば、ずいぶんこれは違ってくるのです。損害を半分にこれは食いとめることができるかもしれない。それにしたってばく大なものです、この利益は。ところが
原子力
の方にどうも目が行って、そっちの方の
予算
はとる。そしてこれは非常に大写しになる。そうすると、中曽根長官の今
年度
の業積の中で、何をやられたかというと、そういうところで非常に
努力
されたとこういうことが言われておる。しかもじみな、
国民
生活には欠くことのできない、
日本
の
経済
にとっても非常に深い
関係
のある
国民
生活にはのっぴきのならないこういう問題については、今のような御
説明
じゃこれは話にならぬです。どうも長い間ならされたもんだから、もっと取れと言っても遠慮して困る、こんなことは、話としてはいいかもしらぬけれども、
実情
には合っていない。かりにそうだとしても、あなたがもしも
ほんとう
に
国民
生活の安定という面に目を向ける覚悟があったら、そういうことは問題じゃないと思うのですね。もう少しやはりその点について大所高所からこれに対する
予算
を私は拡充をするという
努力
をすべきじゃなかったかと思いますが、非常にこれではまずいじゃないかと思う。たとえば、そのためにこういうことが起こっておると思うのですね。これは、気象庁の建物が全国にあるわけですが、ほとんど古くなっておる、これは御存じでしょう。私は熊谷の事情を聞いたんですが、熊谷の地方気象台の建物、これはいつ建ったかというと、明治二十七年、そうして全くぼろぼろになって、もう倒壊寸前になっている。それから高山観測所、この建物は明治三十一年です。伏木の測候所を見るというと、これは明治四十二年、これでは全くもう何というか、時代がかっているとも何とも話にならない。こういう
基礎
の上に気象
研究
をやろうといったところでできないじゃないですか。従って、これに伴うところの
設備
というものも大体想像がつく。こういう点についてはどうお
考え
になりますか。
中曽根康弘
64
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 気象庁の
業務
関係
の
設備
が十分でないということは御同感であります。今度は台風の災害にかんがみまして、レーダーの
整備
とか、あるいは防災気象官を置くとか、そういう点では今までに比べましてかなり気象庁の仕事も前進しております。また中央の気象庁の建物にいたしましても、今のような古いのではいけないというので、あそこの大手前に今度は大きな鉄筋のものをかためて、移ることにいたしまして、順次地方のものもそれにならうように永久建築に改善していきたいと思います。
岩間正男
65
○岩間正男君 とにかく七十七億の
予算
を
原子力
の方には向けられているわけですが、全体としてのワクが少ないということもあるだろうと思いますが、私はこれは話にならぬと思うのですね。こういうものはやはりはっきりした
計画
をもっと持つべきじゃないか。 もう
一つ
伺いたいのですが、伝染病
研究所
とか、東大にあります国立予防
研究所
、こういうところも非常にもう
施設
が古くなっているんですね。その中で、御存じですか、ネズミとかハエが
研究所
の培養所のところに出入りしている。それを駆除する方法がはっきりしていない。従って非常にこれはむしろ危険性を持っておるわけですね。こんな問題はもうさっそく改良しなければならない問題だと思うのですが、この
設備
の不完全、
予算
の不足、こういう方面における
予算
の不足というものは、これは非常に民生の安定から
考え
て大へんな問題になると思うのです。
国民
の生命の安全という点から
考え
ましても私は重大な問題のように思っているんですが、こういう問題について長官は知っておられますか。また知っておられるとすれば、これに対してどういうような対策を持っておられるわけですか。
中曽根康弘
66
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) それらの
研究所
は大体厚生省系統の
研究所
でございますが、
実情
は聞いております。まだ必ず。も十分ではありませんので、特に民生に
関係
するところは大いに充実して参りたいと思います。
岩間正男
67
○岩間正男君 これは厚生省
関係
でもあるけれども、やはり
科学技術
の総合的な立場に立って、そういう点を
考え
ます上に、私は、もう少しやはり総合的な対策が立てられるべきじゃないか、こういうふうに
考え
られるわけです。 それでは時間があまりありませんから
最後
にお聞きしたいのですが、
米国
とロケット
開発
の協定を結ぶそうですが、これはどのような協定になるのか。それでこれは軍事的なものではない、そういうことを言われておりますけれどもはたしてそうなのか。最近の新聞の情報によるというと、
米国
の航空宇宙局は、この米軍
関係
では月に
米国
の軍事基地を作るというようなことを言っている。これは平和的なものとは非常に違う、そういう性格を持っているのじゃないか。こういうものに対してどういうふうに
考え
ておられますか。
中曽根康弘
68
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君)
科学技術庁
がやっておりまする
研究
は、
原子力
にいたしましてもロケットにいたしましても、宇宙
開発
にいたしましても、全部平和
目的
でやっておるのでありまして、七十億円余の
原子力関係
の費用も全部これは平和のための
原子力
の費用になっております。宇宙
開発
の問題も同様でございまして、これは主としてコスパールというのが、国際学術連合の宇宙室間
研究
委員
会というのがございまして、そこでやっている仕事を補うという意味で実はやっているのでありまして、ただコスパールでやっておりまするのは、学術だけで
技術
が入っておらぬのです。
技術
を補う方法は何かというと、やはりある特定国と、われわれの要望を達する国とそういう提携
関係
を進めていくというのが早道のようであります。現にアメリカ、ソビエト・ロシアと中国あたりは非常に緊密な連絡をとって相当大量な
技術者
がモスコーに駐在して
研究
しているようでありますが、
日本
にはその道がないのであります。そこで、従来太平洋をはさんでいろいろ高層気象の観測とか、あるいはジェット気流の
研究
とか、人工衛生の観測とか、かなり具体的な事実上の連携もあったわけでありますが、これを進めまして、もう少し公けにも
政府
が正式に監督して目が届くような形でやりたい、そういう
考え
をもちまして、とりあえず
米国
とそういう
関係
を結ぼうと思ったのであります。しかしこれは正式の協定という形でなくとも、交換公文というような形でも十分やれると思いまして、今そういう方途で進めている次第でございます。
佐藤芳男
69
○
主査
(
佐藤芳男
君) 岩間君の質疑はこれで終了いたしまして、
通告順
に従いまして藤田君にお願いいたします。
藤田進
70
○藤田進君 私は
原子力
発電所の
関係
についてお伺いしておきたいと思うのですが、最近、五日ほど前にアメリカから帰ってきたその筋の専門家の話を聞き、あるいは西欧諸国、それから後進国といわれる地域の
原子力
発電について検討しましても、結局は商業べースに乗るコストという面でかなりちゅうちょしているし、これを
わが国
の場合
考え
てみても、
原子力
発電所というものを今後どうするかということはかなり大きな問題になるような気がするのです。従ってコストの面からくる
原子力
発電について相当こまかいデータを持っておられると思うので、こまかい
説明
は加えないでお伺いするわけですが、少なくともここ見通し得る期間を
考え
てみたときに、はたして
原子力
発電所というものの発展について、どういう所信のもとに今後これが対策を講じられようとするのか、まずお伺いしたい。
中曽根康弘
71
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君)
原子力
発電の
関係
は
世界
的趨勢では停滞しているというふうに報ぜられておりますが、私は必ずしも停滞しているとは思いません。現にアメリカやイギリスの情勢を的確に把握してみましても、イギリスではやはり一九六六年までに五百万キロを
開発
するという
計画
で、その
計画
はくずしておりません。それはみんなコールダーホール改良型を進めておるという形です。アメリカあたりにおきましても、最近の
原子力委員会
の正式の発表によりますと、ここ二、三年でPWRあるいはBWRというものが商業採算が成り立つといってきておるのであります。アメリカの商業採算という意味は、
日本
からみればはるかに低いコストでありまして、一キロワット七ミルというのは二円五十銭相当で、新鋭火力に対抗できるということになっております。しかし
日本
の場合は四円前後になれば、新鋭火力がその
程度
でありますから、従いまして十ミルくらいあるいは十一、二ミルくらいまでは対抗できるということになるわけです。そういう面からいたしますと、アメリカやその他よりも
原子力
発電の果すべき役割というものは
日本
は非常に多いわけであります。そういう観点からいたしまして、
原子力
発電というものを今いわれているように、停滞ぎみに持っていくということは必ずしも私は当を得た政策ではないと思います。現在やっておりますのは、みな
原子力
発電の
基礎研究
であります。
科学
的
基礎研究
でありまして、発電所を作るというのは、それは内外の情勢を見まして決断しなければなりませんが、しかし
基礎研究
というものはあくまでこれは進めていくべきものだと私は思います。
藤田進
72
○藤田進君 ですから、
各国
ともそのコストのそれぞれ入ってくる要素というものに、純然たる商業ベースより
基礎
的な
研究費
というものが除外されておる。そのコストの明確な公開がないので把握をしがたい。現地
調査
に行って帰ってきた人たちはそう言っているので、はたしてこれが
原子力
発電をそのままコストに直して引き合うかどうかという点に疑問がある。従って今後の
原子力
燃料
による、核
燃料
による発電というものが
研究費
という形で別途にこれをカバーしてコストに直しているからやっていけるのであって、そうでなければなかなか大へんな
予算
になるということを言っているわけで、
わが国
の場合、石炭なりあるいは水力なりということで、まだまだ当分は行かざるを得ないのではないだろうかというのが現地
調査
の結論のように私は思うのです。従って今申し上げたい点、問題にしているのは、
研究
というものでなくて、商業ベースによる
原子力
発電というものがはたして採算上見通しがあるかどうかという点にしぼって申し上げております。
中曽根康弘
73
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) コールダーホールの改良型にいたしましても、原研で建てますものは一キロワット五円前後ということになっておりますが、二十年の耐用年数で直しますと大体新鋭火力ととんとん、四円三十銭前後になります。商業採算という面から見ますれば、私は必ずしも合わないとは言えないと思います。その上さらに将来のための
技術
的
研究
という面がそこにも入っておりまして、動力炉と濃縮ウランによるアメリカ型の炉を入れる、あるいは天燃ウランによるイギリス型の炉を一基ぐらいずつ入れておくということは、現在の
研究
を進める上にも非常に重要であろうと思っております。しかし、それ以上どの
程度
入れるかということは、これは慎重に
経済
界の
実情
やコスト計算等をやってみてしなければならぬと思っております。そういう観点から今
原子力
長期
計画
を練り直すように
努力
している最中であります。
藤田進
74
○藤田進君 従って、
研究
段階でその成果について自信が持てて、これが在来の発電方式よりも
経済
投資的に有利だという、あるいはとんとんだということはなかなかまだ見通しがつかないという段階じゃないのですか。
中曽根康弘
75
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) コールダーホールにつきまして、大体とんとんに行けるという見通しであります。それから、PWR、BWRアメリカ系統のものはペーパ・プランによるコスト計算が出ておりまして、実際運転した結果コストがどれぐらいになるかというデータはまだないわけです。従って、現実に運転経験一年以上つまりその
資料
に基づいてやらぬというと危険でありますので、そういう点われわれは慎重に進めて参りたいと思っております。
藤田進
76
○藤田進君 ウランの
開発
、まあ
人形峠
その他
計画
が進められておるようですが、
国産
によるこれらの
燃料
というものはかなりコスト高になって、かえって輸入した方がいいんじゃないかということが、今の
原子力
発電そのもののコストにも関連して、必ずしも自給自足態勢というよりも、その面からもコストの面を勘案していかなきゃならぬという事態になってきていると思うのですが。
中曽根康弘
77
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君)
世界
的に今ウランが余ってきているという情勢から見まして、カナダやあるいはその他のイエロー・ケーキを買いまして、その後、それから
あと
のプロシーディングを
日本
でやるという方が、コストとしては安上がりのように今思います。しかし、
国産
燃料
で品位のいいものが出ますれば、必ずしも
外国
の
燃料
にたよらないでも、コスト上独立採算でいけるという見通しもあるわけであります。大事なことは、そういう高品位の
燃料
を探すということでありますので、そういう探索費等はやはり十分国家として計上しなければならないと思っております。
藤田進
78
○藤田進君 それに関連して、
人形峠
の場合も、その鉱業権は、
民間
の社団をわざわざ作って、そうしてこれの提供を受けるというやり方は、すなわちそのコストにも影響してくるように思われるのに、どういうわけでああいうふうになったわけですか。
佐々木義武
79
○
政府委員
(
佐々木義武
君) 今までは
人形峠
の
開発
の様式の中で鉱業権の処分の問題がございますけれども、その鉱業権の問題につきましては、
政府
で直接この鉱業権のあり方を指導するという性格のものでございませんので、ただいまの段階では、もし租鉱権等を公社の方に話し合いで譲りまして、そうして
開発
した中から何%かを返してやるというふうな行き方で契約ができれば、その方式でけっこうですし、そうでない場合には、その山の租鉱権者がみずから
開発
してもけっこうですということで、その選択は鉱業権者にまかしておるような格好でありますので、お話のありましたように、
民間
で特別な社団を作っているという話は実はまだ承知しておらぬのであります。
藤田進
80
○藤田進君
人形峠
の場合は、坂口さんが
中心
になって鉱業権を別に設定したのじゃございませんか。
佐々木義武
81
○
政府委員
(
佐々木義武
君) 鉱業権は別でございますけれども、租鉱権は要すれば公社の方に譲りまして、そうして公社で掘った中の何%は租鉱料として返してやるというふうな格好にして話をつけてきたのであります。
藤田進
82
○藤田進君 国の大幅な
助成
のもとにやっていく
一つ
の
事業
になっているのに、私ども非常に異様に感じたのは、坂口さんが
中心
になってああいった団体を作って、そこに
一つ
の権利を設定されるということ自体が、
政府
との間でもう少し話し合いをしていかなければ、それだけ余分な権利金なりを出すという結果になって、非常に地元としても不明朗だという声が強いようです。
佐々木義武
83
○
政府委員
(
佐々木義武
君) 御承知のように、
原子力
基本法等を作ります際に、鉱業権の問題が非常に問題になったのでありますけれども、これはなかなか、現憲法下におきます鉱業権といたしましては、これに手を加えるということはむずかしいのでございまして、従いまして、どうしても新鉱業権と申しますか、これの持っている精神というものは生かして、たとえば先願優先といったような線はくずすわけに参りません。従いまして、早く先願し妥当なものでありますれば、やはり鉱業権者になれるわけでございますから、どうしてもそれが鉱業権者と実際の掘る人との
関係
をどうするかという問題が生じてくるわけでありまして、私ども、ただいまの段階では、できるだけその間は話し合いで円満に片づけ得るようにということで、私も坂口先生にはしょっちゅうお会いしておるのでございますけれども、別にその問題はないように承知しておるのでございます。
小林孝平
84
○小林孝平君
一つ
お伺いします。新潟の地盤沈下の問題ですけれども、昨年の六月二十四日に新潟地区地盤沈下対策特別
委員
会が答申書を
技術
庁長官あてに出されまして、これは御承知のように、二年間
調査
の結果を発表されたんですけれども、その
内容
は、水溶性ガスの採取に伴う地下水の大量くみ上げを地盤沈下の重要なる原因として重視せざるを得ないと、こういうふうに報告されているわけですが、なお付随して、
関係
各省
庁が適切なる対策を
考え
るように、こういう答申がされました結果、九月の一日から
大臣
勧告の形でガスの一部採取規制が行なわれた。今までは一日に七十万立方メーターをくみ上げておったのを、この九月の一日からそのうち二十万立方メーターを規制をしておるわけなんです。そこで九月から九、十、十一、十二、一、一「三と、すでに七カ月規制を行なってきたわけなんです。それで、規制の結果が相当明らかになっているのではないかと思うんです。現実に地盤沈下の速度は相当鈍った。
建設
省の断片的の報告でも、そういうことが言われておる。そこで、
科学技術庁
としては、この沈下と地下水のくみ上げとの
関係
をどういうふうに具体的に
考え
られておるのか、こういうことをお尋ねいたしたいと思います。 そこで、今の段階でこの答申ではいろいろのことを考慮せられて「重視せざるを得ない。」というような表現を使われておるのでありますけれども、今の段階では断定的に言ってもよいのではないか、こういうふうに
考え
るのですが、その点。
中曽根康弘
85
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君)
資源調査会
から答申が出ましたのは、今御指摘の
通り
であります。その後ガス規制をやりました結果、規制の効果というものがその
通り
出て参りまして、沈下の速度も非常に鈍りました。従いまして、ガスに相当な原因があるようにわれわれは
考え
ております。ただ、あそこへ新潟の地元の意思としてある
程度
産業を誘致したいという
考え
方で、いろいろ行政措置も講じておるようでありますから、その辺の新潟の地元の工業誘致という面との調和の面を
考え
なければならぬと思います。従いまして、その辺はよく注意いたしまして、企画庁及び通産省とも連携をとりまして、規制の実をあげつつ、ある
程度
また地元の知事さんの御要望等にも沿うようにいたしていきたい。行政上はそういうふうに漸進主義で進むのがいいのではないかと思っております。
小林孝平
86
○小林孝平君 行政的にそういう配慮をされて漸進的に措置をされるということは、それは当然でありましょうしかし、
科学技術庁
としては、こういうふうにもう少しこの
関係
は断定的に、あなたも今おっしゃったように、非常に鈍り、相当
関係
がある、こういうふうにおっしゃっているのですから、もう少しはっきりとこの
関係
を明らかにされたらどうかと思うのです。その上で、そういう事実の上に立って行政的配慮あるいは政治的配慮を加えるということは必要でありましょうけれども、
科学技術庁
としては、もう少し
技術
的な立場、
科学
的な立場に立ってものを言われる必要があるんじゃないか。
中曽根康弘
87
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 答申が一回出ましたけれども、もう一回やるかどうかということを、私はよく
技術
的にわかりませんが、その点は
資源
局長
から答弁させたいと思いますが、大体の方針といたしまして、重視せざるを得ないというところで規制をやりました効果は、ある
程度
出て参りました。しかし、それがどの
程度
の影響力を持っておったかというのは、もう少し時間をかけて測量したりなんかしなきゃならぬと思いますが、で、いろいろな説もありまして、地球物理
学者
の面からの議論もありますし、あるいはそうでない面からの議論もあります。やはり二年くらい測量し続けないと、正確な
科学
的な根拠には乏しいわけです。現に勧告が出ましたのは、約二年くらい測量した結果、あれを出したのでありまして、その後に関しましても、今日すぐどうということでは、
資料
はややまだ不足ではないかと思います。
黒沢俊一
88
○
説明員
(黒沢俊一君)
資源調査会
におきましては、大体あすこの地区の水準測量というのが、これは一番確かな沈下の目安になるということでやっておりますが、不動点から引っぱりだしまして
ほんとう
の真高をとるというのが、大体二年に一回ということになっております。それでございますから、
ほんとう
に確実な裏づけのある、つまり東京湾の中等潮位あたりと結んだ不動点というものが二年に一回なんでございますが、その前に、一年に一回の測量というのが、多少の修正はございますが、かなり精度が高い。そのほかに、なお精度の落ちるのが半年及び三カ月に一回という測量が、これは範囲がだんだん小さくなるわけで、こまかくすればするほど手間を食いますので、精度が落ちまして、そのかわり範囲が小さい。そういうことで、
ほんとう
のことを申しますと、二年に一回ぐらいのところで結論を出すのが一番確かなのでございますが、現地の方が非常に重要な段階になっておりますので、その一年一回の測量ということで、今まで
昭和
三十三年の六月に中間報告、それから昨年の六月に報告という形で、一年一回ずつ出しているわけでございます。現実のことを申しますと、
あと
二年でございますから、
昭和
三十六年の六月にならないと
ほんとう
のことがつかめないのでございますが、
資源調査会
の方におきましては、ことしの六月、と申しますのは、今の三月の測量結果をもとにして今度は報告という形になりますか、あるいは観測データを整理した結果という形の
程度
になりますか、そこのところははっきりいたしせまんが、結論を動かす、つまり水の過剰くみ上げということを動かすようなデータは今のところ出ていないようでありますが、測量の結果が大体三月で締め切りますので、ちょうど今ごろ測量が終わったところでございます。この結果を整理して出して参りますのが四月から五月と思われますので、その結果を見ました上での整理というのが、おそらく六月ごろになるんじゃないかと存じますが、これはそのほかに観測井によりまして地盤の収縮量と地下水の水位をはかっておりますが、それは何といっても従のものでございまして、主力をなすのは水準測量でございます。今のような工合でございますので、大体一年おきくらいの頻度で報告を続けていくという工合にしたいと思っております。
小林孝平
89
○小林孝平君 そうしますと、三月の測量の結果は六月に発表する、こういうわけですね。それから、もう
一つ
は、今
局長
が言われた今の規制の変更をする結果は出ないという意味は、今後二十万立方メーターの規制は継続するということなんですね。
黒沢俊一
90
○
説明員
(黒沢俊一君) その規制の点につきましては、これは通産省の権限でございまして、ただいま通産省の
大臣
勧告でございますから行政指導という形で、命令ではないようでありますが、それをどういたしますかは通産省の方でございます。私の方といたしましては、今までの規制と、それから沈下が非常にゆるんだ——非常にと申しましても、ほかの地区に比べますとまだかなり大きなものでございますが、それでも昔に比べて半分から六割ぐらいになっておりますから、まあ非常に影響はあったとは思っておりますが、規制の範囲をどうするとか、予後をどうするとかいうことにつきましては、私どもは
関係
方面の善処を要望するというようなことで、直接幾らやったらいいというような量的の問題は、私の方から申し上げるわけにはいかないのでございます。
小林孝平
91
○小林孝平君 あなたはそういうことをおっしゃるけれども、さっきそうおっしゃったのです。規制を変更するという結果にはならないと思うと、こうおっしゃった。私も知っていますよ、あなたの方がやられるのでないということは。これは
大臣
勧告であり、通産省の
所管
であることはわかるけれども、通産省がそういうことをやっているのは、この特別
委員
会の答申に基づいて、その結果
関係
各庁は適切なる対策を
考え
よということでやったわけなんです。そこで、あなた方の方は、その結果、こういうことを変更する結果は現実的に出ない、その行政的な措置は通産省がやるけれども、変更をするような結果は出ないということをおっしゃったので、私がもう一度確かめたら、責任の所在しないような発言をされる。そういうようなやり方がこの問題を非常に混迷を来たさしているのです。また、私はそういうあなた方の態度だと、
科学技術庁
というのは大したことないということにだんだんなってくると思うのです。あなた方はその行政的配慮、あるいは政治的の配慮などをやらないで、そのありのままの結果を発表されればいいので、それをあなた方があまり政治的な配慮をされて、一分間もたたいうちに言うことが変わるというようなことが、どれくらい地元に混迷と混乱を来たさしているかわからないのです。 それはともかくとして、要するに、この通産省のやっている結果は、これは通産省の
所管
であるけれども、この答申に基づいてそういうことが行なわれた。そうしてその結果、現実に規制の効果は長官の言われるように上がっている。大いに、相当
関係
がある、こういうような判断から、この規制は増加するとか減少するとかと、そういうことでなく、この規制は続けると、こういうことがいいのだというのが
科学技術庁
の
考え
方ですな。
黒沢俊一
92
○
説明員
(黒沢俊一君) 規制の結果は、ただいま申しましたように、中間的な水準測量でございますが、かなり減っているという事実は確認いたしております。
小林孝平
93
○小林孝平君 だから、減っているから、これが減らないなら変えるとか何とかいうことはあるけれども、減っているのだから、今やっているこの措置はそのまま継続してやった方がいいと
考え
るのが普通じゃないですか。そうなんでしょう。
黒沢俊一
94
○
説明員
(黒沢俊一君) まあ、そういうことでございます。
小林孝平
95
○小林孝平君 長官にお尋ねします。どうですか。
中曽根康弘
96
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 規制の結果沈下が減ったという事実がありますので、この規制をそのまま続けていくということはいいことだと思います。
小林孝平
97
○小林孝平君 そこで、もう少し中間的のいろいろの報告がある。相当減ったと今も長官もおっしゃいましたが、具体的にどういうことになっているか、その結果をお聞きしたい。
黒沢俊一
98
○
説明員
(黒沢俊一君) ただいま私の方に集まっておりますのは、昨年の十二月ぐらいのデータでございますが、一・四ミリぐらい昔下がっておったやつが、〇・九ミリ見当まで——一日でございます、一日の量、一番ひどいところでございます。そのくらいまで下がっておる。しかし、これはただいま申しましたように、中間的の水準測量でございまして、不動点から結んでおりませんので、こまかい、つまり〇・九というところが〇・八五なのか、〇・九五なのか、そのくらいの、一〇%見当くらいの不正確さがまだあるようでございます。この次の、現在進行中で、もう今三月末でございますからほぼ終わったと思われますが、ほぼ終わったと思われますのは、その昨年の十二月ごろの
資料
よりはもっと精度の高い測量になります。おそらく、今私が聞いておりますのでは、その結果よりももう少し沈下がゆるんでいるんじゃないかというようなことを、これは正式報告ではございませんが、仄聞はいたしております。どの
程度
ということは、ちょっとまだデータの整理がつかないようでございます。
小林孝平
99
○小林孝平君 そこで、もう
一つ
お尋ねしたいのは、この答申に基づいて
関係
各省
は適切なる対策を
考え
よということが付随して言われているわけです。そこで、
関係
各省
でどういう適切な対策を
考え
ているか。どういうことを
考え
て、どういうことを
実施
したのですか。この通産省の規制もその
一つ
でしょうけれども。
中曽根康弘
100
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) その勧告に基づきまして、
経済
企画庁を
中心
にする
各省
連絡
機関
の
会議
を作りまして、そうしてそれに関する行政措置のあり方についていろいろ協議をいたしました。まあその結果に基づいて
大臣
勧告という形になってきたのだろうと思います。今後
科学
的データの結果どういうふうに取り扱うかということは、企画庁を
中心
にして
関係
各省
集まって処置していくということになるだろうと思います。
黒沢俊一
101
○
説明員
(黒沢俊一君) ちょっと補足いたしますと、ただいまの地下水のくみ上げの方は、そういうことで勧告規制になっておりますが、なお、海岸の防潮堤、それから排水ポンプ等の
事業
が運輸省並びに
建設
省等で行なわれることになっております。現在もかなり行なわれておりまして、ことしの冬はほとんど被害がなくて済んでいるようでございます。
明年度
もそういう
事業
が継続して、拡充されることになっておるように聞いております。
小林孝平
102
○小林孝平君 そこで、もう
一つ
お尋ねしたいのは、この勧告が出て、適切なる対策を
考え
よ、こういうことで、当時ともかく一日に一・四ミリの沈下をしておったと、こういうことで、この二十万立方メーターを規制すれば、一体どのくらいの沈下速度がゆるむと
考え
られてやったのですか。
黒沢俊一
103
○
説明員
(黒沢俊一君) それはよくわからなかったのでございます。現在もゆるむであろうと思ってやったのでございますが、幾らゆるむか、二十万やったら幾ら、四十万やったら幾らになるということは、これからデータを集めませんとわかりませんので、何しろ下の方は水でございますので、流れておりますので、この区域で幾らやってどうなるかというまでのデータはこれから集まってくる段階でございます。
小林孝平
104
○小林孝平君 そうしますと、全然このガスの二十万……。それならば、この二十万立方メーターの規制の根拠はどこなんですか。
黒沢俊一
105
○
説明員
(黒沢俊一君) 規制の根拠は存じませんが、市街地であるということで、その線を引いたのかと存じます。これは、もっとも規制をいたしましたのは通産省の
大臣
勧告でございます。通産
大臣
の勧告でございますので、こちらから特にこの範囲を規制したらどうかということを申しておりませんが、想像にすぎませんが、おそらく市街地で影響が大きいだろうからということからと、これは私どもの方で推測するわけでございます。
小林孝平
106
○小林孝平君 それは、市街地だからこの問題になったんです。七十万立方メーターを二十万立方メーターにしたと、その根拠は全然ないんですね。ともかくちょっとやってみよう、こういうことだったんですね。 私は長官に聞いていただきたいのですけれどもね、この
科学技術庁
というものは最も
科学
的に
技術
的な立場に立っていろいろの仕事をやられるのであって、あまりに政治的、行政的配慮をし過ぎると、こんなものは要らないのじゃないかということになりゃしないかと思うのです。そこで、幸い中曽根さんのような非常に有力な方を長官に迎えたこの機会に、これをしっかりしないと、たとえばこういう問題であまりに政治的配慮をしておりますと、結局あんなものは要らないという空気が出てくると思うのです。従って、この問題等についても、非常にこれはむずかしいけれども、
科学技術庁
としては、こういうふうな見解を発表され、指導され、また国会における質疑等もそういうふうにやっていただきたいということを特にお願いいたします。 そこで、今の問題です。七十万立方メーターを二十万立方メーターにしたと、このことについては全然
科学技術庁
としては関知しないわけなんですか。この
大臣
勧告でやることは、それは通産省がやるけれども、七十万のうち二十万規制するということについては関知しないのですか。
黒沢俊一
107
○
説明員
(黒沢俊一君) 幾らにしろということをこちらから申しません。あちらから、こういうことにしたがという通告は受けておりますが……。
小林孝平
108
○小林孝平君 したがと言ったって、することの相談はなかったのですか。あったでしょう。
黒沢俊一
109
○
説明員
(黒沢俊一君) 文書ではございません。
小林孝平
110
○小林孝平君 文書じゃない。相談があったでしょう。
黒沢俊一
111
○
説明員
(黒沢俊一君) 下相談はございました。しかし、こちらの方からそれでいいとか悪いとかいうことは申しておりません。
小林孝平
112
○小林孝平君 そういうことは困りますよ。ほかの
各省
の問題ならいいですよ。
科学技術庁
はもう少し
科学
的なお話でなければ……。相談があったかないかということを言っておるので、そんな事務的のごとくらい私でも知っていますよ。あなたの方は権限がないから、通知があるだけですよ。しかし、あなたの方が勧告をして、その結果やるのに、あなたの方が全然知らないということはないじゃないですか。そういう責任のがれのことを言っておるのが、新潟の人に非常に不安を与えておるのです。
大臣
からもともとと事務当局に忠告しなければいけませんよ。あなた一人で張り切っておったって、こんなことなら、今に
科学技術庁
なんか必要ないという空気が出てきますよ。今のような話だって、そうじゃないですか。簡単なことじゃないですか。相談あったかないか。ないはずないですよ。それをありません、書面ではありませんって、そんなばかなことはありますか。
中曽根康弘
113
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 御趣旨に沿っていたします。ただ、デーダがないというと
科学
的判断ができませんので、その正確な判断を公表するに価するだけのデータを目下
収集
中であるとお
考え
願いたいと思うのであります。特に、規制後はまだ半年くらいしかたっておりませんから。
小林孝平
114
○小林孝平君 私、まだそんなことは聞いておりませんよ。現にこういう七十万立方メーターのうち二十万立方メーターを規制するということは、あなたがさっきおっしゃっておるように、ガス
関係
業者には非常に大きいと。また、そういうことでとまるかどうかということを、
一般
の人も関心を持っている。そこで、七十万を二十万にした根拠というものはどうなんだ。根拠がなかったならなかったで、およそまあ二十万やってみると、こういう御答弁なら、それでいいのです。
中曽根康弘
115
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 大体そんな検討だろうと思うのです。
小林孝平
116
○小林孝平君 いや、そう御相談されたのですか。
中曽根康弘
117
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 私はそういう数字は聞きませんが……。
小林孝平
118
○小林孝平君 だから、
局長
に私はお尋ねするから、
局長
はもっと直接
関係
されたのだから、具体的にお話しになればいいのです。どうせこれは非常に政治的な配慮を加えられて行なわれているということは明らかなんですからね。だから、はっきりと。どういう打ち合わせをされたのですか。
黒沢俊一
119
○
説明員
(黒沢俊一君) 打ち合わせではなく、とにかくこの範囲は市街の密集部分であるから、このところは影響が大きいだろう。この
程度
を停止すると二十何万かになる、それでどうだろうか。これ以上非常に広げるということは、いろいろ、まだはっきりとこれだけとめたらこれだけ下がるというデータがない以上、非常にむずかしいのだというお話を通産の方から受けまして、私の方もそうでございまして、量的にどこでどれだけとめたから、それだけ沈下が鈍るとは言えませんが、やはり市街密集地でかなりの範囲ということで、その
程度
までやってみる。その結果によってまたどうかなるでしょうというようなところで、まあ賛意を表したわけでございます。
小林孝平
120
○小林孝平君 非常に政治的な……。この問題は、あなた方そんなことをおっしゃると、この問題をめぐって非常な政治的な動きがあったというようなことを言われるんですよ。従って、私はそういうことはないだろうと思うけれども、あなた方のそういう態度がある、その結果いろいろのことが言われる。私は例をあげてもいいけれども、まあきょうはやめます。やめますが、むしろそういう配慮をやらないと非常に弊害があると思うから、お尋ねしておる。 そこで、まだはっきりしないけれども、
科学技術庁
として、一・四のものが、二十万立方メーターやったら〇・九になった。これは三月にはどうなるか知らぬけれども、相当効果があったと、これは長官もおっしゃられる、なあた方もおっしゃる。それならば、今後これをさらに規制すればこれがゆるむということは、当然
考え
られるわけですね。
黒沢俊一
121
○
説明員
(黒沢俊一君) 私はそう
考え
ております。
小林孝平
122
○小林孝平君 長官にお尋ねしますけれども、この新潟の地盤沈下の問題は非常に大問題であって、
世界
にも例が少ない。
一つ
の大都市が沈没してしまう、こういうような非常に大きい問題ですが、あなたは
科学技術庁長官
として、このような二十万立方メーターの規制をやればこれだけ効果があった。あなたのおっしゃるように、非常に速力が鈍る、相当
関係
ありとおっしゃる。今の
局長
も、今後さらに規制をやればこの速力は鈍るであろう、こういうふうにおっしゃった。こういう事態を政治的に判断をして、さらにこの規制についてどういうふうにお
考え
になりますか。
中曽根康弘
123
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) ただいまの規制の結果のデータをもう少し正確に、また時間をかけて集めまして、そのデータを見た上、また
考え
てみたいと思います。
小林孝平
124
○小林孝平君 これは、規制のデータはもう明らかにあるので、
あと
はもうわずかの、これに正確さが多少違ってくるというだけの話で、現実にはもう非常にはっきりしているわけなんです。そこで、この結果を見るとか何とかいったって、あなたも
技術者
じゃないのですから、そんなもの見たってわかるはずはありません。この
程度
でそれこそあなたが政治的判断をして、あなたは
科学技術庁
の長官として非常に大きい政治的判断をされて話題をまいておられるんですから。そこで、これはどうですか、
あと
その精度が多少変わったって、大したことはない。今の段階でどういうふうにお
考え
になりますか。
中曽根康弘
125
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) やはりある
程度
正確な
資料
をもって判決を下しませんといけませんので、もう少し観測並びに
資料
の
収集
を行ないまして、その結果
考え
てみたいと思います。
小林孝平
126
○小林孝平君 それならば、これはかりに——大きい違いがないのです。仮定の問題として、一日従来一・四ミリ沈下していたものが〇・九ミリになった、こういう数字の上に立って、あなたは政治的にどういうふうに御判断になりますか。
中曽根康弘
127
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) こういうことは政治的に考慮する余地もない問題でありまして、ともかく数字の問題でありますから、それをもう小し、半年とか八カ月とかデータを
収集
いたしまして、その数字の結果を見ましてから、今度は総合的に、それではこれは行政的にどうするかというところで、政治的に判断すべきものだと思います。
小林孝平
128
○小林孝平君 それはおかしいじゃないですか。私の言っているのは、一・四ミリというのが、〇・九ミリになる、この〇・九ミリを政治に判断せいということを言っているのではないのですよ。この数字を見て政治的にどう判断するか。ところが、あなたは、そういうものを、私の質問に対して、政治的の考慮をする余地がないとおっしゃったけれども、最初に、これは非常に重要な問題だから、行政的、政治的な配慮をやらなければいかぬとあなたはおっしゃった。ところが、そういう実際やるということについては、そういう配慮が必要であるけれども、あなたは、
原子力
研究
を大いに推進されるようなこういう構想を発表されたあなたからすれば、こういうデータから——これはデータが多少変わることはありますよ。しかし、そういうことは誤差の範囲内の問題でしょう。そこで私の聞いているのは、この一・四ミリというのが〇・九ミリ、こういう数字に立って、それは多少変化があるかもしれぬけれども、どういう判断をされるか。
中曽根康弘
129
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) この前勧告が出ましたときには、約二年ばかりの
資料
をまとめまして、その正確な
資料
に基づいて判定を下したわけであります。今回のはまだ期間的に時間が短いのでございますから、そういう正式の判定を下すにはややデータ不足という感じがしております。ただし……。
小林孝平
130
○小林孝平君 ちょっと速記をとめて下さい。
佐藤芳男
131
○
主査
(
佐藤芳男
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
佐藤芳男
132
○
主査
(
佐藤芳男
君) 速記をつけて。
小林孝平
133
○小林孝平君
主査
は簡単にやれとおっしゃったけれども、これはきわめて重大な問題ですよ、
世界
にもちょっと例のない。
一つ
の大都市が海底に沈下しようという大問題なのに、五分でやれとか何とかいうことでは、私はできませんから、またあらためてお尋ねいたします。
最後
に申し上げておきますが、中曽根長官は、
科学
枝術庁の長官としてはもう少し
科学
的な立場で行動、御発言が願いたいと思うのです。私らが非常にあなたに期待したゆえんも、旧来の旧式政治家でなく、あなたのような方がなられたので、非常に期待しておったのに、本日の応答を聞いていますと、やや失望せざるを得ないわけです。これは全国の
科学
関係
の
技術者
も非常に失望するのではないかと思いますから、どうか今後そういうことでなく、
ほんとう
に
日本
の
科学
の
振興
のためにやっていただきたいと思うのです。特にこの新潟の地盤の沈下の問題については、
科学技術庁
のきぜんたる態度があって初めて解決すると思いますから、特段の御健闘をお願いいたします。
佐藤芳男
134
○
主査
(
佐藤芳男
君) 小林君の質疑は終了いたしました。
岩間正男
135
○岩間正男君 私は先ほどの質疑応答と関連してですが、ソビエトの
科学技術
の非常に優秀なことについては、長官も先ほど認められたと思うのです。
日本
の今後の
科学技術
を平和的に大きく前進させるためには、東西の
科学技術
研究
の交流ということは、非常に大きな
一つ
の課題になってきておると思う。こういう点について、たとえば
ソ連
とは国交を回復してすでに三年になるわけですが、こういう点についてもっと
計画
的に
考え
られる必要があるか。つまり日ソの
科学技術
の交流ですね、この問題についてどう
考え
られるか。
中曽根康弘
136
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 平和を
目的
とした
科学技術
の国際的提携ということは、推進することは私は非常に望ましいと思います。従いまして、われわれにはわれわれの要望があるわけでございますが、われわれの要望を達してくれる国とは、いかなる国とも協力していくように参りたいと思います。
岩間正男
137
○岩間正男君 この問題について、
科学技術庁長官
として何か
計画
をお持ちですか。また、これについて
ソ連
との間に交渉されたことがございますか。
中曽根康弘
138
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君)
ソ連
との間にまだ交渉したことはございませんが、日ソ
科学技術
交流の協会もできまして、たしか北村さんやその他の保守党もバツクアップしてやっておられるようになっておりますが、こういう協会とも提携しまして、できるだけそういう空気を作って参りたいと思います。なおまた、
ソ連
に対する
科学技術
の
調査
団は、
民間
のベースで二、三行っておりますから、こういう動きも非常にいいと思いますので、協力していくようにしたいと思っております。
岩間正男
139
○岩間正男君
民間
というのは、日ソ協会なんかのあれなんですか。日ソ協会などが学生みたいなものを送っておりますが……。
中曽根康弘
140
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 今度は、小峰さんやその他やっておるああいういろいろな
調査
団が行っております。
岩間正男
141
○岩間正男君 これは日ソ協会の留学生が、ここ二、三年、五、六人ずつ送られて、第三回ですか、ことしも間もなく出発することになっておりますが、こういう問題についてはどういうふうに援助をされるお
考え
ですか。
中曽根康弘
142
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 具体的な方法は
関係
局長
に答弁させますが、私は方針としてはいいことだと思いますので、協力して参りたいと思います。
鈴江康平
143
○
政府委員
(
鈴江康平
君)
ソ連
との問題につきましては、外務省を
中心
にいたしまして、学生の
派遣
、あるいはまた
調査
団の
派遣
を交互に行なうという取りきめをしたいということでございまして、私どもも長官の御趣旨を体しまして、非常にそういうことを
促進
するように、その
会議
に出席しておるわけでございます。従いまして、こちらから出しました者を向こうで受け入れてもらい、勉強さしてもらうと同時に、
ソ連
の方からのこちらで勉強したいという方については、
各省
と連携しまして、受け入れ態勢を進めていきたい、こういうふうに
考え
ている次第でございます。
岩間正男
144
○岩間正男君 私は、今の
程度
のワクでは、
日本
の
科学技術
の前進のために大きな貢献をするというには、非常に十分でないと思うのですね。この点について、もっと組織的、
計画
的にこの問題を推進しなくちゃならぬと
考え
ているのですが、この点はいかがですか。
中曽根康弘
145
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 今後そういう方向に進めるために
努力
をいたして参りたいと思います。
岩間正男
146
○岩間正男君 この点について、外務省その他、文部省ですね、こういうところでいろいろやはりこの問題についてのまだ隘路が打開されていないと思うのですが、こういう問題について話し合われる用意がありますか。
中曽根康弘
147
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 外務省、文部省ともよく話し合いまして、なるべく交流を活発にするように
努力
をいたしたいと思います。
岩間正男
148
○岩間正男君 過般の、これは二月末ごろだったと思いますが、ソビエトとインドネシアの友好の覚書が発表されました。それで、この中で、国際友好
大学
という問題、この問題についてフルシチョフが演説をしているはずですね。
各国
の留学生を迎えたい、そうしてここで学問の交流をやりたい、そのためには大幅な
努力
をしたいというような演説を、これはしているわけなんです。これに対して
日本
にもおそらく、まだこれの勧誘は来ているかどうかわかりませんが、おそらく間もなく来るのじゃないか、こういうふうに
考え
られます。これについてはどういうふうに対処なさるつもりですか。
中曽根康弘
149
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) フルシチョフ首相の演説は、私はまだよく詳細に知っておりませんが、もしそういう招待が参りましたら、善処いたしたいと思います。
岩間正男
150
○岩間正男君
内容
をよく検討し、そうしてできるだけ、先ほどの要望から
考え
ても、これに相当積極的に進んでこちらから出かけていくというのが私は望ましいと
考え
るのですが、また、このことは文化交流の面から
考え
、さらに両国の友好を
促進
させるためにも大きな意味を持っていると思うのですね。そういう点から
考え
て、十分にこの問題について、これは長官に聞きたいと思うのですが、いかがですか。
中曽根康弘
151
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) できるだけ
努力
いたします。
佐藤芳男
152
○
主査
(
佐藤芳男
君) 岩間君の質疑は終了いたしました。 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑もないようでございますから、
科学技術庁長官
への質疑はこれで終了したものといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
佐藤芳男
153
○
主査
(
佐藤芳男
君) 異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。 以上をもちまして、本
分科会
の担当事項でありまする
昭和
三十五
年度
総
予算
中、総理府のうち防衛庁、調達庁、
経済
企画庁、
科学技術庁
、外務省及び通産省
所管
の審査は全部終了いたしました。
予算委員会
における報告の
内容
及び審査報告書の作成につきましては、慣例により、
主査
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤芳男
154
○
主査
(
佐藤芳男
君) 異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十六分散会