○
国務大臣(池田勇人君) ただいま議題となっております
通商産業省予算各案について御
説明を申し上げます。
まず、三十五年度
通商産業省所管一般会計の
予定経費要求額は、百七十五億六千四百万円でありまして、これを三十四年度
予算額百二十九億六千三百万円に比較致しますと、四十六億円増額することになります。三十五年度
予算のうち、政策
事項につきましては、これを(一)貿易振興及び経済
協力費、(二)中小企業対策費、(三)鉱工業技術振興費、(四)産業基盤強化費、(五)石炭対策費の五項目に分け御
説明申し上げます。
第一に、貿易振興及び経済
協力費といたしましては、世界貿易の自由化の傾向に伴う輸出競争激化の情勢に対処して、海外市場の開拓と販路の拡張をはかりますため、前年度に引き続き各般の貿易振興事業を充実強化するための施策を講ずることといたしまして、前年度対比四億九千二百万円増の二十五億一千八百万円を計上いたしております。まず、貿易振興につきましては、特殊法人
日本貿易振興会の事業
運営に必要な
経費として、前年度対比二億七千九百万円増の十三億六千二百万円を計上いたしまして、従来に引き続き海外市場調査、国際見本市参加、貿易斡旋所の
運営、
日本商品の宣伝、
米国市場輸入制限対策等の海外事業を拡充いたしますとともに、国内中小企業者に対する貿易の指導斡旋業務の充実をはかりますほか、来年度は、特にモスコーにおいて大規模な見本市を開催する等、総合的に輸出振興事業を推進する所存であります。次に、昨年七月に設立されました財団法人
日本輸出雑貨センターの事業
運営に必要な
経費として、前年度の約倍額の一億一千百万円を計上いたしまして、引き続きデザインの登録認証制度の確立、共同検査場の設置
運営等の業務を行うとともに、新たに、常設展示場の設置等の事業を行なうことといたしております。なお、貿易振興
関係といたしましては、
日本プラント協会事業費補助等のプラント輸出促進費一億九千万円、東南アジア、濠州及びニュージーランド諸国に巡航見本市船を派遣いたしますための補助金一億二千八百万円、生糸及び絹織物の海外宣伝費補助四千八百万円、輸出品の検査改善強化費七千六百万円等を計上いたしております。次に、経済
協力対策費でございますが、輸出市場の培養、輸入原材料の安定的確保、中小企業の海外進出等をはかりますため、東南アジア及びその周辺諸国の経済、社会等の実情を十分調査いたしますとともに、これら諸国に対する経済
協力を積極的に推進する所存でございまして、おもなる
経費といたしましては、財団法人アジア経済研究所を特殊法人に改組し、その調査事業の拡充に必要な出資金一億円、補助金一億五千万円、技術者及び中小企業者の海外派遣斡旋事業費、海外技術者の受入研修費、投資等基礎調査費補助等一億三千八百万円であります。海外経済
協力基金(仮称)の設立につきましては、後ほど財政投融資
関係で御
説明申し上げます。
第二に、中小企業対策費といたしましては、中小企業の振興が、今後の貿易自由化方策の円滑な推進にも、また、わが国経済の発展のためにも重要であることにかんがみまして、二十四億二千七百万円を計上いたしており、前年度対比八億八千四百万円の実質増となっております。まず、中小企業の設備近代化につきましては、従来の貸付率三分の一を二分の一に引き上げることといたしまして、前年度対比三億円増の十三億円を計上し、中小企業の設備の合理化を一そう推進することといたしております。中小企業対策費として特に重点をおいた
事項といたしまして、小規模事業対策費でございますが、現在、小規模事業者に対して、経営、技術に関する相談、指導等を行なっている商工会等を法制化し、商工
会議所とともに、小規模事業者の相談、指導に当たらしめることといたしまして、新たに補助金等四億三百万円を計上いたしております。次に、中小企業の実態に応じた総合的振興策を業種別に行ないますための業種別指導事業、企業診断事業及び技術指導事業の強化に要する
経費として二億四千四百万円を計上いたしております。なお、中小企業対策費といたしましては、共同
施設補助一億二千五百万円、災害復旧利子補給金七千二百万円、団体中央会補助六千四百万円、汚水処理
施設補助五千万円等を計上いたしましたほか、中小鉱山の新鉱床探査費補助につきましては、前年度の倍額の一億円を、また煙火
関係の災害防止のための補助三千万円を新しく計上いたしております。
第三に、鉱工業技術振興費といたしましては、最近における先進各国のめざましい技術の進歩に対処して、新技術の開発と、これが産業における利用の促進をはかりますため、前年度対比三億五千万円増の二十六億六百万円を計上いたしております。おもなる
事項といたしましては、まず、国立試験研究所の重要研究費等に必要な
経費として前年度対比二億三千二百万円増の十五億一千三百万円を計上いたし、国立試験研究
機関の設備の更新近代化をはかりまして、前年度に引き続き電子技術、オートメーション技術、
生産加工技術、エネルギー対策技術、分析技術等、わが国経済にとって喫緊の重要研究を推進することといたしております。なお、北海道における鉱工業の開発促進のため、北海道工業開発試験所を新設いたしたいと存じまして、初年度に必要な
経費として五千万円を計上いたしております。民間における試験研究の補助につきましては、四億七千五百万円を計上いたしまして、国家的見地より見て重要と思われる応用研究、工業化試験、機械設備の試作等について助成を強化する所存であります。
次に、近年工業所有権に関する出願件数が激増いたしておりまして、その最終処分にいたる期間が遅延し、産業活動にまで影響を及ぼすにいたっておりますので、定員、
経費を充実し、処理の正常化をはかることといたしまして、前年度に比し一億二千二百万円増の五億六千七百万円を計上いたしております。なお、技術振興
関係といたしましては、ほかに、原子力平和利用研究費として二億二千八百万円程度が、
科学技術庁より当省所管の試験研究
機関に移しかえされる
予定であります。
第四に、産業基盤の強化対策費でありますが、わが国産業の将来の飛躍的発展の基礎を作るため、前年度対比四億七千六百万円増の十七億二千四百万円を計上いたしておりまして、その内容のおもなるものといたしましては、まず、工業用水の確保が、今後における工業
生産の伸長のため重要不可欠な基盤である点にかんがみ、工業用水道の事業費といたしまして、北伊勢、川崎、大阪、尼ケ崎等継続十一地区のほかに、新規事業として、東京都江東地区、大阪臨海、北九州及び加古川の四地区を加え、計十五地区の事業に対し、補助を行なうこととし、前年度対比四億二千八百万円増の十二億七千再万円を計上いたしております。次に、わが国産業の
生産性の向上を推進するため
日本生産性本部に対する補助として一億四千五百万円、天然ガスの開発、新潟地区地盤沈下対策費として四千百万円等の
経費を計上いたしております。
第五に、石炭対策費でありますが、現在の石炭不況を克服し、石炭鉱業の抜本的体質改善をはかりますため、前年度対比二十六億八千八百万円増の二十八億六千八百万円を計上いたしまして、炭鉱の体質改善による合理化を促進する所存であります。すなわち、炭鉱の大規模な合理化工事、石炭流通機構の合理化及び中小炭鉱の機械化を促進いたしますため、炭鉱設備近代化特別貸付金制度及び中小炭鉱機械化促進特別貸付金制度を創設することとし、これがため、石炭鉱業
整備事業団を石炭鉱業合理化事業団(仮称)に改組いたしまして、これに二十一億四千万円を出資することといたしております。次に、石炭鉱業向けの
日本開発銀行及び中小企業金融公庫の貸出金利が六分五厘に低減されますに伴い、
整備事業団に対する加算納付金が廃止されることになりましたので、事業団が買収する非能率炭鉱買収物件に対する補助四億円を計上いたしております。なお、石炭業界共同で設置いたします財団法人石炭技術研究所(仮称)に対し、補助金五千七百万円を計上いたしております。石炭対策
関係といたしましては、ほかに、炭田総合開発費として四千万円、石炭鉱害復旧事業費として当省分一億七千百万円及び他省
関係六億七千八百万円等の
経費を計上いたしております。
以上をもちまして、当省所管の一般会計に関する御
説明を終わりますが、詳細については、お手元の
予算要求重要
事項表をごらんいただきたいと存じます。
なお、当省の所管いたしております特別会計につき、以下歳入
歳出予算の大要を簡単に御
説明申し上げます。
まず、アルコール専売事業特別会計でございますが、三十五年度の歳入
予定額は三十五億三千四百五十九万五千円、歳出
予定額は三十億六千三百四十万五千円でありまして、資産、売掛金の
関係を加減します。と、三十五年度の益金
予定額は四億五千九百九十四万七千円となります。
第二に、輸出保険特別会計でございますが、三十五年度歳入歳出
予定額は、ともに八十億七千百十二万八千円でありまして、歳入のおもなるものは、保険料収入十二億六千三百四十九万円、資金運用収入三億一千五百万円、雑収入三億八千六百五十九万五千円、前年度剰余金六十一億六百四万三千円であり、歳出のおもなるものは、支払保険金九億四千六百八十六万円、予備費七十億六千六百五十一万三千円であります。
第三に、特定物資納付金処理特別会計でございますが、本会計は、特定物資輸入臨時措置法に基づくもので、三十五年度の歳入歳出
予定額はおのおの三十億七千百二十六万円で、歳入のおもなるものは納付金三十億一千八十九万円であり、歳出のおもなるものは、産業投資特別会計繰入三十億六千七百五万円であります。
以上をもちまして、一般会計及び
特別会計予算の
概要につき御
説明いたしましたが、この際、当省
関係の財政投融資
計画について、簡単に御
説明したいと存じます。
昭和三十五年度における当省
関係の財政投融資の
総額は一千六百十二億円でありまして、これを
昭和三十四年度当初
計画一千五百四十七億円と比較いたしますと、六十五億円の
増加となります。本
計画の作成に際しましては、電力、鉄鋼、ガスについての世界銀行借款四十三億五千六百万円及び電力向けなどの資金調達のため開銀による外債三千万ドル(百八億円)の発行が別途に
予定されておりますが、またさらに、経済情勢、金融情勢の推移に応じまして、財政投融資
計画を弾力的に運用いたすことにより、重要産業及び中小企業並びに貿易振興、経済
協力の促進のための資金確保につき遺憾なきを期する所存であります。
まず、
日本開発銀行につきまして、三十五年度における同行の融資の重点は、わが国経済の安定的成長を目標といたしまして、産業基盤の強化、産業構造の高度化と資源の有効利用に直接的に貢献する産業の育成、助長を目的として、電力、石炭、特定機械、化学肥料、都市ガス、産業関連
施設等を重点的に取り上げることといたしましたほか、地域間の均衡的発展を目途とした地域開発融資を推進することといたしました。運用
総額は、六百六十億円を確保するものとし、このため財政資金四百三十億円の融資を確保いたします。次に、中小企業金融公庫でございますが、中小企業の設備の合理化、近代化とその企業の経営の安定化に資するよう資金運用を行なうことといたします。運用
総額は三十四年度当初
計画六百四十五億円に対し、七十億円増の七百十五億円を確保いたし、このため財政資金三百十五億円の融資を受けることととした次第であります。商工組合中央金庫につきましては、中小企業に対する組合金融の充実をはかりますために、三十四年度の当初
計画に対し、百億円増の二百五十億円の貸出純増を行なう
計画でありまして、このため財政資金による商中債引受三十億円を行なうことといたしております。中小企業信用保険公庫につきましては、三十五年度においては、信用保証協会の保証規模を拡大いたすことによって、中小企業金融の充実をはかりますために、融資基金として産業投資特別会計から出資十八億円を行なうことといたした次第であります。次に、
日本輸出入銀行でございますが、三十五年度におきましては、プラント輸出の促進、東南アジア等に対する経済
協力と賠償実施の促進をはかるため、七百二十億円の貸付を行なう
計画であります。この貸付規模は、三十四年度当初
計画八百億円に対し八十億円の
減少ではありますが、同年度の貸出実績見込約六百七十億円に比較いたしますと、五十億円の
増加となっております。この貸付
計画を確保いたしますため、三十五年度におきましては、出資十億円、融資三百五十億円、
合計三百六十億円の財政資金を投入する
計画であります。次に、電源開発株式会社につきましては、三十五年度におきましても三十四年度に引き続き、奥只見、御母衣、滝などの電源開発継続工事に主力を注ぎますほか、黒又、二又等の新規地点の開発を
計画いたしまして、四百六十五億円の工事規模を確保し、このため財政資金四百二十五億円の融資を行なうこととしております。次に、石油資源開発株式会社につきましては、海洋掘さくを中心とする石油資源の探鉱等を行ないますため、十九億円を産業投資特別会計から出資する
計画であります。このほか、油田の開発にかかわる民間資金の借り入れにつきまして、五億円の
政府による債務保証限度額を設定いたしました。次に、
日本航空機製造株式会社につきましては、三十五年度の事業資金として、経済
援助資金特別会計から七億五千万円の財政投資を行ないまして、当社の事業
計画の円滑なる遂行を確保することといたしました。最後に、海外経済
協力基金(仮称)についてでありますが、
昭和三十三年度において経済基盤強化法に基づき、
日本輸出入銀行に出資されました五十億円を東南アジア経済
協力推進の基金として活用いたしますため、目下、特殊法人の設立を準備中であります。
以上をもちまして
通商産業省所管の一般会計及び特別会計の
予算の御
説明を終わりますが、なお、御質問に応じて詳細に御
説明申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御
審議の上可決せられんことをお願いいたします。