運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-26 第34回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十六日(土曜日)    午前十時四十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      東   隆君    副主査            米田 正文君    委員            太田 正孝君            武藤 常介君            村松 久義君            平林  剛君   国務大臣    労 働 大 臣 松野 頼三君   政府委員    労働大臣官房会    計課長     和田 勝美君    労働省労政局長 亀井  光君    労働省労働基準    局長      澁谷 直藏君   説明員    労働大臣官房労   働統計調査部長  大宮 五郎君    労働省職業安定    局企画課長   住  栄作君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 東隆

    主査東隆君) これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和三十五年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算中、労働省所管を議題といたします。まず本件について政府より説明を願います。
  3. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 今回提案されました昭和三十五年度一般会計及び特別会計予算中、労働省所管分につきましてその概要を御説明いたします。  先ず第一に、一般会計におきましては、歳入において総額二億七千八百八十二万一千円でありまして、前年度の十三億四千七百二十万二千円に比較いたしますと、十億六千八百四十八万一千円の減少となっております。  この歳入のおもなものは、国家公務員等退職手当法に基づき、退職した国有林野事業特別会計を除いた他の特別会計政府職員、並びに政府関係機関職員に対し、失業中の退職手当を支給するために必要な財源を当該特別会計及び政府関係機関から一般会計へ納付する負担金及び返納金等であります。  なお、この負担金収入が前年度に比較して、著しく減少しておりますのは、本年度から国有林野事業特別会計所属政府職員に対する失業中の退職手当の支給を、国有林野事業特別会計において行なうことといたしたためであります。  一方、歳出におきましては、総額四百十七億一千二百六十五万九千円でありまして、前年度の三百九十六億七千三百六十七万二千円に比較いたしますと、二十億三千八百九十八万七千円の増加となっております。  次に、この歳出の内容について概略説明申し上げたいと存じます。  その一は、職業訓練に必要な経費であります。  労働者技能向上技術者技能者増加産業発展基盤であり、かつは、最近における経済拡大科学技術の進展に伴い、技能労働者の不足が顕著である実情にかんがみ、労働者就職機会をより有利にするとともに科学技術の振興と技術教育増強対策と相待ち、大量の技能労働者の養成を強力に推進するため、一般職業訓練所中央職業訓練所総合職業訓練所施設拡充職業訓練充実をはかることとし、特に農漁村二三男、炭鉱離職者駐留軍離職者身体障害者等のための職業訓練所の新設、拡充を行なうとともに、労働者技能水準向上を期するため、国家技能検定を本格的に行なうこととし、これに必要な経費として七億二百三十万四千円を計上いたしております。  なお、このほか、職業訓練施設拡充のため、失業保険特別会計に二十億三千七百二十七万一千円を計上いたしておるのであります。  その二は、炭鉱離職者援護対策に必要な経費であります。  石炭鉱業合理化に伴い発生する炭鉱離職者に対し、その生活の安定と再就職促進をはかるため、前国会において成立いたしました炭鉱離職者臨時措置法に基づき、炭鉱離職者緊急就労対策事業を実施して離職者の吸収をはかるとともに、炭鉱離職者援護会の円滑なる運営と相待ち、職業紹介機能強化職業訓練推進に努めることとし、これに必要な経費として、炭鉱離職者緊急就労対策事業費補助十六億五千六百万円、炭鉱離職者援護会補助六億円、炭鉱離職者職業訓練費補助四千五百三十九万五千円、炭鉱離職者就職促進費三千六十二万七千円、合計二十三億三千百九十二万二千円を計上いたしております。  なお、このほかに、炭鉱離職者職業訓練施設拡充のため、失業保険特別会計から労働福祉事業団に対し、一億九千七百九十二万七千円を出資することにいたしておるのであります。  その三は、失業対策に必要な経費であります。  最近における雇用失業情勢は、経済の好調に伴い著しく改善されて来ており、本年度における民間等雇用はなお増大するものと考えられますが、なお、多数、かつ、広範囲にわたる不完全就労者の存在、さらに、ここ数カ年にわたる多量の新規労働力の発生、炭鉱離職者駐留軍離職者などが特定地域に多発するなど雇用失業情勢は依然として楽観を許さない実情にあるのであります。  この情勢に対応して政府といたしましては、国民所得倍増目標とする長期経済計画にあわせて、完全雇用の達成をはかるべく雇用対策推進に努めておるのでありますが、なお、過渡的な情勢の推移に対処すべく、失業対策事業を実施し、失業者生活安定をはかることといたしております。本年度失業対策事業は、事業効果向上日雇労働者生活の安定、労働意欲増強を期するため、賃金引き上げを行なうほか、資材費事務費につきましても単価の引き上げを行なうなど、失業対策事業整備改善をはかることとし、その他失業保険費負担金及び政府職員等失業者退職手当などに必要な経費として、一般失業対策事業費補助百八十二億一千五百万円、特別失業対策事業費三十八億円、失業保険費負担金八十七億九百七十七万円、政府職員等失業者退職手当四億一千万円、合計三百十一億三千四百七十七万円を計上いたしております。  なお、このほか、建設省所管臨時就労対策事業費八十三億円を計上いたしておるのであります。  その四は、中小企業労働対策に必要な経費であります。  我が国の中小企業労働者の多くは、労働条件労働福祉等の面におきまして、大企業労働者に比較して著しく劣っており、かつは、労務管理等、適切を欠くものが多く、労働紛争議が頻発し、激化の傾向にあります。かかる実情にかんがみ、労働条件労働福祉向上によって労働生産性を高め、あわせて、正しい労働慣行を確立し、労使関係の安定をはかるため、最低賃金制度中小企業退職金共済制度普及促進を強力に進めるとともに、就業規則整備労務管理近代化合理化指導労使関係法労働基準法等労働関係法規に関する指導啓蒙に努め、かつ、その指導体制強化することとし、これに必要な経費として、一億六千五百六十七万七千円を計上いたしております。  その五は、身体障害者雇用促進に必要な経費であります。  身体障害者就職促進につきましては、従来より職業安定行政重点施策として鋭意努力を重ね、相当の成果をおさめてきておるのでありますが、さらに強力な援護措置をはかるため、職業の再訓練を行なうとともに、その有する能力に適する職業の選定、官公庁、民間事業所等に対する雇用促進、新たな作業環境に適応するため、適応訓練実施等を行なうこととし、これに必要な経費として、一億三千三百三十六万一千円を、このほか、失業保険特別会計身体障害者職業訓練所施設整備充実のため五千五百七十五万四千円を計上いたしておるのであります。  なお、身体障害者雇用促進法案は本国会提出いたしております。  その六は、労使関係安定促進に必要な経費であります。  健全なる労働慣行労使関係安定確立をはかることが経済発展基盤であることにかんがみまして、労働紛争議を未然に防止し、労働生産性を高めるべく、労働組合運動労使関係動向、その他的確なる労働情報を常時把握する労使ととし、これに必要な経費並びに現行労使関係法規を総合的、根本的に調査研究を行なうために労使関係法研究会を設け、その円滑なる運営をはかるなどに必要な経費として七千七百八十九万六千円を計上し、また労使関係の合理的、かつ、円満なる調整をはかるため、中央労働委員会並びに公共企業体等労働委員会に必要な経費として一億四千六百三十九万四千円を計上いたしております。  その七は、労働保護行政に必要な経費であります。  労働者保護福祉の万全を期するため、労働基準法の適正かつ、円滑なる運営をはかるとともに、労働者生活の安定、労働力質的向上及び事業公正競争の確保に資するため、最低賃金制度普及促進をはかるとともに、家内労働法制定準備のため、家内労働実態調査を行なうこととし、あせて、現下産業災害の現況にかんがみ、産業災害半減目標としての産業災害防止対策を強力に推進するとともに、産業近代化技術革新の進行に伴う有害物等による職業病増加に対処するため、労働環境改善指導並びに職業病防止じん肺予防事後措置指導等施策を行うこととし、これに必要な経費として十六億八千二百五十一万六千円を、このほか労働者災害補償保険特別会計に三千三百万四千円を計上いたしておるのであります。  また、現行けい肺及びせき損障害患者特別保護制度につきましては、根本的改正検討いたしまして、じん肺予防及び健康管理措置療養及び休業給付とを分離し、給付については、労働者災害補償保険制度のうちにこれを吸収して、他のじん肺患者及び重篤なる傷病患者を合わせて長期傷病給付として終身年金を支給することとし、そのうち国庫負担に必要な経費として、じん肺等長期傷病者補償費負担金四億八百二十八万九千円を計上いたしております。   なお、じん肺法案及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案は本国会提出いたしております。  また、産業安全研究所並びに労働衛生研究所整備充実等をはかることとし、これに必要な経費として、四千三百七十三万七千円を計上いたしております。  その八は、婦人及び年少労働者保護に必要な経費であります。  婦人及び年少労働者保護の問題の重要性にかんがみ、各種調査啓蒙活動を進めるとともに、特に中小企業密集地に働く青少年労働者並びに働く婦人保護福祉向上をはかるため青少年ホーム及び働く婦人の家を増設し、また、未亡人等婦人職業対策を増進するため、内職相談施設家事サービス職業補導施設充実をはかり、なお、労働者の主婦に事故のある場合に家事援助を行なうホームヘルプ制度指導促進をはかるなど、婦人及び青少年労働者保護福祉向上に努めるとともに、婦人の地位と生活向上並びに売春防止対策等施策を講ずることとし、これに必要な経費として一億四千九百六十九万七千円を計上いたしております。  その九は、職業安定行政に必要な経費であります。  職業訓練炭鉱離職者援護対策失業対策、及び、身体障害者雇用促進に必要な経費につきましては、さらに申し上げたのでありますが、現下雇用及び失業情勢にかんがみまして、総合的な雇用失業対策を円滑かつ、強力に実施することが必要でありますので、第一線機関である公共職業安定所職業紹介機能強化し、これが効果的運営を期するとともに、炭鉱離職者駐留軍離職者並びに身体障害者等雇用促進に関する施策を講ずることとし、これに必要な経費として、三十九億三千四百万三千円を、計上いたしております。  その十は、労働統計調査に必要な経費であります。  労働関係における賃金給与問題の重要性にかんがみ、合理的賃金体系の確立に資するため、賃金構造調査を実施するとともに、毎月勤労統計調査整備拡充するほか、労働生産性統計調査及びその他の労働事情に関する各種統計調査を実施し、あわせて、これら諸統計から得られた結果を総合的に分析し、労働行政施策に必要な基礎資料整備し、もって労働問題の合理的解決に資することとし、これに必要な経費として、二億六千四万円を計上いたしております。  その十一は、国際協力に必要な経費であります。  国際労働憲章に規定されている義務を履行し、積極的にこれに協力するために必要な分担金及びI・L・O関係の諸会議への出席旅費等経費として八千七百五十四万六千円を計上いたしております。  その十二は、その他一般行政に必要な経費であります。  大臣官房等における行政事務費として六億二千二百十三万五千円を計上いたしております。  その十三は、庁舎新営に必要な経費であります。  労働行政施策推進第一線機関である労働基準監督署並びに公共職業安定所庁舎は、老朽、狭隘のものが多く、業務遂行上多大の支障を来たしている現状にかんがみ、抜本的にこれが整備をはかることといたしましたほか、前年度に引き続き労働本省庁舎の新営を促進するため、これに必要な経費として、建設省所管官庁営繕費二億八千九百十万九千円、労働者災害補償保険特別会計五千七百三十三万九千円、失業保険特別会計一億四千三百六十五万六千円、合計四億九千十万四千円を計上いたしております。  第二に、労働者災害補償保険特別会計につきまして申し上げます。  この会計歳入歳出はいずれも三百九十二億五千八百十一万一千円でありまして、前年度の三百六十一億六千四百七十五万一千円に比較いたしますと、三十億九千三百三十六万円の増加となっております。歳入のおもなるものは、保険料収入の三百二十億七百五十八万六千円と、支払備金受け入れの五十三億六千九百八十二万七千円であります。  また、歳出のおもなるものは、労働者災害補償保険給付費の二百八十億八千百二十二万一千円でありますが、この給付費のうちには、けい肺等じん肺患者及びせき髄障害等重篤なる外傷患者に対する長期傷病給付費として六億八千二百九十三万八千円が含まれております。このほか、業務上の災害疾病をこうむつた労働者療養を目的とする労災病院等施設を設置、運営せしめるため、労働福祉事業団に対して行なう出資並びに交付に必要な経費として、十六億八百十三万五千円と、その他の保険施設費地方労働基準官署庁舎及び公務員宿舎整備費として、三億八千八百六十万四千円を計上いたしております。  なお、労働者災害補償保険法の一部改正に関する法律案は、さきに申し上げました通り本国会提出いたしております。  第三は、失業保険特別会計につきまして申し上げます。  この会計歳入歳出は、いずれも五百二十一億九千六百二十三万一千円でありまして、前年度の四百八十八億三千六百四十五万三千円に比較いたしますと、三十三億五千九百七十七万八千円の増加となっております。  歳入のおもなるものは、保険料収入の三百七十八億五千百万円と、一般会計よりの受け入れの八十七億九百七十七万円であります。  また、歳出のおもなるものは、失業保険給付費の三百四十六億七千八百万円でありますが、このほか、労働者福祉増進をはかるため、本会計積立金より生ずる利子収入等の充当により、総合職業訓練所中央職業訓練所簡易宿泊施設労働福祉館並びにに被保険者住宅を設置運営せしめるため、労働福祉事業団に対して行なう出資並びに交付に必要な経費として、十九億二千四百六十四万九千円と、その他の保険施設費公共職業安定所庁舎及び公務員宿舎整備費として四億一千八百七十一万三千円を計上いたしております。  以上、昭和三十五年度労働省所管一般会計及び特別会計予算につきまして、概略説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算の成立につきましては、格段の御力添えをお願い申し上げる次第であります。
  4. 東隆

    主査東隆君) それでは、これより質疑に入りますが、政府側の方から出席をされておりますのは、松野労働大臣三治労働大臣官房長和田労働大臣官房会計課長亀井労働省労政局長渋谷労働省労働基準局長有馬労働省職業安定局職業訓練部長、それから大蔵省の方から、岩尾大蔵省主計局主計官が出ておられます。  それでは、質疑のおありの方は御発言を願います。
  5. 平林剛

    平林剛君 ただいま労働大臣の方から予算の御説明がございましたが、私、それを聞いておりまして少し奇異に感じましたことは、最近の国際情勢あるいは国内経済動向から見まして、貿易為替自由化ということが当面の重要な課題になっておることは御承知通りであります。この問題につきましては、あらゆる角度から政府部内においても検討が進められておると思うのでありますけれども、労働省所管のただいまの予算の御説明からいきますと、これに対処する労働省側から見た措置というものをうかがうことができなかったのであります。しかし、今日の貿易為替自由化国内経済にとっても重要な問題でありますので、これの影響を受ける各産業間においては、当然労働者の問題としてもかなりはね返ってくるものがあるのであります。そういう意味において、そういう目から労働大臣としては労働者保護に対してどういうことをお考えになっているか、予算案の中にそれに対応する措置はどういうふうに組まれておるのか、この点が私は不敏にしてくみ取ることができなかったのであります。この機会に御説明をいただきたいと思います。
  6. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいま日本貿易為替が大体三割くらいがいわゆる自由化になっておるわけでございますが、今回三十五年度予算の当初から、長期経済計画貿易為替というのは議論の出たところでございます。しかし御承知のごとく、まだ具体的に長期経済計画の策定は進んでおりません。また、貿易為替一つ方向は示されましたけれども、現実にそれがまだ動いてはおりません。ただ、将来に考えて、この予算の中に特に計上いたしましたのは職業訓練であります。職業訓練はただいまの御説明にもたびたび申しましたごとく、技術革新に伴う産業における労働力強化と同時に質の向上であります。労働生産性という言葉で私は先ほど申しました。あるいは技術革新に合わせる技能向上という言葉で申しました。予算としては一般会計に七億、特別会計に二十億、昨年から比べますと約七億ばかり実は非常な増額をいたしました。今年の予算の中で、おそらくこの職業訓練の七億が増額率としては最高じゃなかろうかという意味で、実はこれを非常に強く今回の労政にうたったのは、将来の為替貿易ということが現実になったときに、一番問題はここじゃなかろうかということを実は考えたわけであります。なお、統計的にいろいろな面を調べて参りますと、まだ三割しか自由化されておりませんが、その三割の自由化品目別とか、あるいは雇用関係をずっと調査いたしますと、今までのところは、主として品目原材料であります。この三割今日自由化されておりますのは、大体原材料が主でありましたから、どちらかというと、雇用はある程度ふえておる。相当ふえております。産業別にとりますと、ゴム生ゴム自由化をされております。ゴム、それから化学工業、肥料、鉄、これはスクラップが自由化されたというので鉄鋼。これを内容的にとってみますると、ゴムあたり昭和三十年から比較しますと、雇用が一三四であります。これは生ゴム自由化されたという意味でこれをとったわけでありますが一三四。それから化学工業、これは自由化された品目化学製品でありますが、これをとりますと、一一二・六、三十年が基準です。鉄鋼一二三。それからもう一つは、自由化された中に製品としては扇風機とか電気ストーブ自由化されましたから、今度は電気機械をとりますと一六四。従って、自由化された品目別雇用関係をずっと調査しますと、今までのところは、これは逆にいうと非常に雇用が伸びておる。これは原材料の輸入のために製品が伸びた、それに合わせて雇用が伸びたということが私は言えるのじゃなかろうか。従って、その労働市場からいいますと、ある程度過当競争というのは、実は雇用向上になるのです。これが逆に非常な不況と倒産になるときは、これは問題外です。しかしある程度自由競争という刺激的な競争というものは、雇用関係増進されております。これは自由化されようが、されまいが、この原理は私は変わらないのだ。今日、繊維自由化されておりません。しかし、昨年の下半期からは繊維は非常に景気が出まして、今日は女工さんの実は奪い合いであります。これは自由化されていなくても、この原理は私は同じじゃなかろうか、従って、経済活動が激しくなって、ある程度競争が激しいということは、労働省として雇用関係から見ると、増進向上になる一つ資料になっております。従って、自由化はいろいろの意味で、私ども研究をしておりますけれども、さしあたり基本的な技能訓練生産性向上のための技能訓練をこの予算に組んだわけでございます。
  7. 平林剛

    平林剛君 まあ第一に、貿易為替自由化影響企業内の合理化改善というところで現われて、労働省側としては、まず雇用問題が特に重点的にいろいろな配慮を加えなければならぬ点だと私も思うのでありますけれども、ただいまおあげになった数字ですね、確かに雇用指数というものは増加をしておるように見えますけれども、これは今日までの経済拡大期における雇用増加の現われと見るべきであって、これが貿易為替自由化に伴って引き続きこの傾向を維持し、発展していけるかというと、私はその点に一つの不安を覚えている。予算委員会におきましても、労働大臣、そういうお話をしておりましたので、適当な機会に聞こうと思ったのでありますが、ただいまおあげになったような指数というものは、私はまだ貿易為替自由化に直面していないときの傾向であって、これは漸次深刻になっていくのではないか。なるほど初めは三〇%でありますけれども、政府考えによれば、三年後にはまあ九〇%程度まで広げるということであります。今日の貿易為替自由化対策政府において全般的に手おくれであると同じように、労働省側においても一番弱い層の手おくれになってはならぬ、そういうことを私は心配をするので、ただいまおあげになったような程度のことで十分だろうかということを心配するのであります。雇用条件について、もう少し私は大臣の方で深い御検討をいただきたいと思うのでありますけれども、現在の傾向をそのまま基礎にして、ただいま御答弁になったような程度対策でよろしいとお考えになるのでしょうか。
  8. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この問題は、まあいろいろな将来の問題で議論の多いところと思って、私どもいろいろ実は研究しております。ただ、率直に申しまして、ある時期、いわゆる摩擦的産業の変革のときには、私は非常に心配があると思う。その一番いい例の一つ石炭というものがございます。これは確かに油の自由化とか、あるいはいろいろな燃料における問題に関連して、ある産業の摩擦的時期における問題点じゃなかろうか、従って全部が全部絵にかいた花のようにきれいだとは私は思っておるわけじゃありません。基本的には貿易自由化によって経済拡大はプラスだと、この基本は私は変わっておりません。ただ過渡的には、すべてがそうかというと、石炭の例をとられれば、必ずしもそうと言えないものもあるというので、石炭離職者対策というものを、前の臨時国会及びこの予算で二十一億というものを実は計上しておるわけであります。従って、その部分的にはいろいろな問題が、私はないとは申し上げません。しかし基本的に経済拡大ということを主眼とする日本貿易自由化というものは、私は雇用に明るい方がたくさんあるのだという意味で、全部が明るいとも、手放しで喜んではおりませんが、方向としてはその意味では私は賛成なんです、方向賛成なんです。今後それじゃどういうものがあるかというと、あとに大きい、残っておりますのは、まあ綿、羊毛とか、大豆とか、砂糖とかいうものがおそらく大きな貿易の場面を私は占めると思います。綿、羊毛は特に日本国内産業に、競合して日本国内産業をつぶすような雇用は私は出てこないと思う。砂糖も雇用にそう大きな問題はございません。大豆もそう大きな雇用影響すると私は考えておりません。そうすると、あとは経済全般のいわゆる一つ拡大の問題が出てくる、と同時に、やはり労働力というものも質の向上を私ははからなきゃいけない。そう考えて参りますと、私はいろいろ問題が部分的には出てくるが、基本的には先ほど話しましたように、私は拡大、生産、貿易というものが三つそろえば、雇用関係は確かにこれはプラスの要素が基本的に多いと私は考えております。
  9. 平林剛

    平林剛君 一つ経済が動くとき、あるいは国際的な情勢が伸展するときに、太い線では今のお話のようなことがうかがえても、やはり一番弱い層にすべてのしわが向けられてくるというのは、これは歴史の示すところであります。そういう意味で、私は私どもの憂える前に労働省が先に、何年かの先を想定しながら、積極的にこれらの情勢に対処する対策を絶えず研究し、進めていってもらいたい。  そこで、その一つの例として、貿易為替自由化に相次いで行なわれますのは、外資導入の積極化であります。この外資導入の積極化は、特に最近は特徴的にアメリカの資本が技術提携という形で進められてくるのであります。政府の基本的政策にある日米経済協力の結果は、必然的に日本産業に外国資本が入って参りまして、こういう形で貿易自由化情勢に対処する。そうして、よい製品を作り、国外進出をはかろうとする。しかし、今日外資を受け入れる側というのはどちらかというと大企業が多い、資本力の強いところに多いわけです。こうなりますと、勢いその競争というものにおいて敗れてくる面が出てくる。これはやはり中小企業にあると思う。私は今日までの外資提携による、いわゆる技術提携によってかなり深刻な中小企業に対する影響が現われてきておるようにみえますが、大臣は現状をどう把握されておるか。
  10. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 外資導入の方はいろいろな問題があって、これがおそらく次の問題として大きな問題でしょう。しかし、今日いろいろな問題が現われておる中に、やはり日本の優秀な労働、優秀な技術を使いたいという気風が、私はおそらく諸外国の外資導入の大きな目標じゃないかと思う。できれば私は労働力自由化を叫びたいのです。貿易為替と同様に、日本労働力自由化したい。そうするならば、日本の私は量において、質において、製品において諸外国にだれも負けません。資本は日本は小さいかもしれぬが、労働技術と能力と、この労働力の量においては私はどこにも日本は負けないと思うのです。従って、できれば労働力自由化という方が私は叫びたいのですが、今日の事情は諸外国、そうはなかなか進んでおりません。まあヨーロッパの経済圏で幾らかそういう問題がもちろん議論の対象になっておることは私も存じております。しかし、なかなか日本の立場でそこまではまだ進んでおりませんが、あのちょうど逆に資本が日本に来て、日本労働力を使っていい製品を出そうというのがおそらく外資の問題だと、まあ今までいろんな問題が出ましたが、日本国内の、提携したのもあれば、外国商社が来て、日本労働力を使って再輸出している製品も私はあると思う。しかし、いずれにしましても労働三法は適用になるのであります。日本の労働三法は外資であろうと、外国商社であろうと、外人であろうと、日本国内におる会社は労働三法の基準法、最賃法というのは適用になりますから、これは私は立場は同じだと思うのです。ただ労働力をよけい使うということについてはプラスだと私は思います。マイナスの面は何かというと、それに圧迫される産業雇用者、これが圧迫されるといえば圧迫される。この問題だけ解決されれば、中小企業対策全般に及びましょうけれども、私はやはり外資が入って雇用増加になれば私は賛成だと思います。ただ問題は、産業政策全般としてどう調整するかという問題は別に出て参りましょうが、直ちに圧迫するかどうかということは、おのずからだんだん、諸外国の例をとりますと、産業構造が変わってきはせんかと私は思う。大企業のやる産業と、中小企業のやる産業と、いわゆる家内工業がやる産業というものは、私はだんだん分類されると思うのです。まあ鉄鋼というのは中小企業じゃありません。自動車工業、これも中小企業は手が出ない。しかし、中小企業中小企業としての一部品を作ることは、中小企業として今後永遠に残るだろう。それにまた大産業が圧迫することもこれはなかなかできないようになりはせんか。もう一歩下がると、手工業には、大企業が、実はなかなか手を出さないだろうというふうな方向に私は産業構造が変わってくると思っております。従って、なるべく圧迫を受けないように産業政策を合わせなければいかぬことは当然でありますけれども、私はそういう意味で、今後注意するところは注意しなければならない。しかし、大企業に外資が入れば直ちに圧迫するのだということは、この次の段階で議論しませんと、私はその意味で外資を手放しに喜んでおりません。雇用関係に専心するならば、労働省としてはそれに対応するように制度を考えるべきだ、そういう意味で私は考えております。
  11. 平林剛

    平林剛君 遺憾ながら今日までの情勢から判断をいたしますと、外国資本との技術提携によって、深刻な部面は中小企業等に現われて、その都度、そこで争議が起きたりあるいは雇用の不安があったりして、いろいろな陳情が行なわれるのであります。ところが、これらに対する施策というものは、どちらかというと、産業政策上から議論せられておるところが多いのでありまして、私はそういうときに労働省がもう少し積極的な発言力をふやして、労働者の面から見て、そういうような心配のないような配慮を進んですべきでないか、こう思うのでありますが、今日まで大臣はいろいろな各種の例に見られたようなときに、どういう立場をとられ、どういうような行動をなさいましたか。また今後どういうお考えを持って臨まれようとしますか。
  12. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) これは長期経済計画の策定の場合にも、特に雇用とか労働条件というものを、私は常に参画しておるなかでは特に関心を持っております。ただ賃金の問題になりますと、御承知のごとく、賃金労働大臣が決定するとか、勧告するという権限を与えられておりません。従って、私の気持としては、あまり安い賃金は困るという気持は持っておりますけれども、一企業企業における賃金決定の権限を私は持っておりません。従って、私のできることは、その外からなるべく最低賃金法というものを実施しながら最低賃金引き上げて、それに影響ある関係者を救うとか、あるいはいまだに最低賃金以下に家内労働というのがあります。これは賃金、加工賃に保護が与えられておりませんから、家内労働という法律を作って、加工賃の問題まで実はここで触れていきたいということで、家内労働法の制定に着手したわけでございます。そういう私の権限のあるところからずっと底上げしながら、すべての雇用関係賃金を実は上げていきたいという政策を今日私は実施しているわけであります。個々の賃金に、私は関与する権限は労働大臣はございませんけれども、しかし、私のできる一番底の方からずっと上げていきたい。その一つの例として、政府管掌としては日雇い賃金を二十八円上げたわけであります。これも確かに政府管掌における一つ賃金の代表的なものであります。最賃法におきましても、なるべく私たちはずっと上げてやってきております。この次は家内労働に触れていく、これは加工賃に対する何ら制約がございませんから、最賃法に触れませんから、ここに家内労働法を作って最賃法に関連を持たして、賃金をなるべく引き上げていきたい、こういうことが私の一つの理想と政策の実行であります。個々の賃金には、私は残念ながら触れる権限と権能を持っておりません。
  13. 平林剛

    平林剛君 私の問わんとするところに的確にお答えがあるわけではありませんが、ただ私はこまかい議論をしようと思ってきたのではありませんからこれを避けますが、ただ私のきょう希望しておきたいことは、貿易為替自由化、あるいは外資の導入などにおいては、当然労働者にはね返る部面がかなり多いのであります。だから大局的に見て、労働省はこれらの問題について、労働者の立場から保護し、あるいはこの弊害を少なくしていくようなことに絶えず目を配ってもらいたい。本日の予算説明の中にそういう積極的な意図が見られませんでしたので、私はその注意を喚起するという意味でお尋ねをしたのであります。これは要望として申し上げておきます。  そこでただいまお話がありました失業対策費としての労務者手当二十八円を増額をされた、こういうお話でありますが、現在の労務者の各地における金額ですね、どういうふうに違っておりますか。平均で大体三百六円と承知をいたしておるのでありますが、各都市別に見ますと、この労務者手当が相当の開きがあるのではないかと思われるのであります。参考のために各都市別の労務者手当の金額を明らかにしていただきたい。
  14. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) これは緊急失対法によりまして、その地方のPWという統計の約九割前後が今回の平均、平均いたしますと三百六円プラス二十八円、三百二十四円になります。地域別に申し上げますと、最高が三百六十二円、最低が二百二十七円のPWの相違がございます。
  15. 平林剛

    平林剛君 私の承知しているところでありますと、たとえば福島県あたりでは二百五十八円とか、それから仙台で二百六十三円、青森で二百六十三円、盛岡とか山形、秋田等では二百五十二円、最低では二百二十七円、非常に開きがあるのであります。政府の大きな意味の政策からいきますと、今日長期経済計画でもいろいろと議論をされておりますのは、大企業と小企業との較差をなくしていく、あるいは地域における較差をなくしていく、こういう方針が太い筋として見られるのであります。しからば現実に、これら失業対策事業の労務者手当においてPWだか、何Wだか知りませんけれども、そういうことだけでこれからもその差を認めていこうとするのか、具体的にいえば、今回増額した二十八円というのの運営に当たっては、これら地域の差があっていいということはあまりお認めにはならぬと思うのでありますけれども、いろいろ思慮もあるかもしれぬ。しかし大きな筋としてはこの較差をなくしていくような努力が払われなければならぬではないか、そういう意味で今回の二十八円の増加、平均をしてどういうふうに太い筋に合わしていこうとなさるのか、具体的に何かそのお考えございますか。
  16. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 二十八円を平均に割りますと、いつまでもこの較差の是正はできません。従って今回の措置といたしましては最低を十五円、最高を四十三円、従って一番低いところを四十三円上げる、高いところを十五円に押えるということで地域差の是正をはかりたい、従って今まで二十何段階であったけれども、十何段階に今度はだんだん縮めていきたいという努力をこの二十八円の予算にしておいたわけであります。地域別にはいろいろまだ問題がありますが、大体方向をそういうふうに合わせて、御趣旨のように、なるべくこういうもののPWの是正をしていきたい。従って、PWが基本でありますから、PWを無視して是正できません。PWの中でなるべく地域差の是正をはかりたい、そういう意味でそういう操作をいたしまして、安いところは四十三円値上げいたしまして、高いところは十五円ぐらいの足踏みというとおかしいのですが、PWの是正ができるわけであります。そういうふうにだんだん地域差も縮まってきております、一般産業は。しかしこれだけの差があることは認めなければなりません。しかし以前よりもだんだん縮まっていることはこれは現実の事実です。
  17. 平林剛

    平林剛君 私はただいまのような気持で漸次地域的な較差をなくする、もちろん全般的に向上させていくということは一番大事なことでありますが、ただいまのような配慮を漸次つけていくことをこの機会に希望いたしておきます。今回のきめられたものが妥当であるかどうか、私はきょうはこまかい資料を持ちませんから、よいか悪いか結論を申し上げることはできませんが、大体私の意図した方向に向けられておるとすれば、きょうはこの程度にいたしておきます。  最後に若干、ある問題で私は調査を進めておりますので、若干事務的になります。そこで、大臣から特別に答弁がなくてもけっこうでありますが、労働関係におけるいろいろな問題の調査の重要性考えられまして、ことしも相当の経費が計上されたという御説明が先ほどございました。これらの統計調査をするというのが最近政府の基本でありまして、私もその必要性は十分認めておるのであります。きょうこまかい細目について資料持ってきませんでしたから、大づかみにお尋ねいたしますが、あなたの方で電子計算機をお使いになって、そして調査をするという計画が確かにあります。私予算書で見たのであります。どこであるかちょっと今記憶しておりませんが、その金額とその目的につきましてこの機会に明らかにしていただきたい。
  18. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 電子計算機はまだ入っておりません。今後におきましてもその見通しは今のところ立っておりません。現在入っておりますのはタビュレー夕ー——製表機でございます。製表機と電子管式ソー夕ー——分類機でございます。電子計算機からしますと、ずっと一段おくれた機械でございます。
  19. 平林剛

    平林剛君 私の聞きたいのは、あなたの方の予算書の中にIBMの東京支社と契約をいたしまして、統計の調査をするようになっておると思うのであります。その金額を聞いているのです。IBMの東京支社と契約をして、それに必要な経費としてあなたの予算の中では幾ら組んであるか。
  20. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 私の方の統計調査部といたしましては、IBM関係の機械は入っておりません。全部レミントン関係でございます。レミントン関係は、先ほど申し上げましたタビュレーター——製表機といっておりますが、これが一台レソトで入っております。レントの費用は初年度約千五百万円でございます。
  21. 平林剛

    平林剛君 答弁になっていないのだな。
  22. 東隆

    主査東隆君) 今の答弁は少し趣旨が違うようですがね。
  23. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 私もちょっと記憶ありませんが、一時退職共済事業団が電子計算機を入れたいという要求を私どもにしてきまして、予算の要求にはたしかこれが入っておったかと記憶します。それが実は予算に入りませんでした。入りませんが、その問題は、今会計課長にも聞いておりますが、私の記憶ではそういう話を事業団の責任者が言ってこられまして、予算の要求に入れたような記憶を持っております。それがIBMかどうか、そこまで記憶をいたしておりませんが、電子計算機をぜひほしいというので予算要求に入れたような記憶をしておりますが、実は予算に入らなかったわけであります。そのことじゃないかと思っております。なお、私どもよく調査をいたしますけれども、予算の中には入っていなかったと思います。
  24. 東隆

    主査東隆君) 発言しますがね、実は平林君のお聞きになっておるのは、労働関係統計を整理されるためにどこかから電子計算機を借用し、あるいはそこに委託をして統計の整理をされておらないかと、こういう意味のように思いますが、そういうことはございませんか。
  25. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) そういうことは今のところございません。
  26. 平林剛

    平林剛君 私きょう資料を持ってこなかったので、メモしてあるのですけれども、具体的に指摘ができませんからきょうは割愛をいたします。これで私の質問を終わります。
  27. 米田正文

    ○米田正文君 私は、この前も一般質問のときに少々お尋ねをいたしましたけれども、もう少しその点を深くお尋ねをいたしたいと思います。  きょう御説明がございましたように、最近の雇用関係は非常に好転をしてきておるといわれております。また現実にそのようでありますが、しかし特別な事情のものもあり、特に石炭産業、斜陽産業といわれておるものについては、最近非常に苦境に立っておりまして、炭鉱地帯、特に九州を中心とする炭鉱地帯はその離職者が非常に多発をいたしまして、あの付近一帯の情勢は非常に悪化をいたしております。学校に行く子供も学校に行けなくなる、あるいは弁当も持っていけない、あるいは青少年の犯罪が非常に多くなっておるというようなことで、非常に情勢が悪化をいたしております。そういう情勢に対処する政府の方針として、昨年の臨時国会石炭離職者の中央の対策が決定をされて、その実施を見ておるわけでありますが、昨年の臨時国会以来の実績を見て、おそらく労働省においてもその成果を研究をされておると思うのですが、まだ短いことですから最終的な結論とまではいかぬと思います。私もそういうことは十分承知をしているのですが、今度また三十五年度予算として補助費が十六億五千万円の計上を見ておるわけですが、これの各県別の事業計画の案はできておりましょうか。
  28. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) まだ正式にできておりません。
  29. 米田正文

    ○米田正文君 まだあるいはできておらぬかとも思っておりましたが、しかし、大部分福岡県であろということは間違いなかろうと思います。そこで、これを実施する上において、これは労働省においてもお聞きになっておると思うのですけれども、その事業をやる上において、現地の今までの状況から見ますと、その事業執行上、吸収率の問題と一人当たりの事業単価の問題と二つが問題になってきております。これで、現地では非常に仕事がやりにくい、とうていこのままでは事業が円満には遂行できないというのが、私は最近の結論のように思います。現実に、私実はきょうは資料を持ってきておりませんけれども、そういう資料が私の手元にも届いております。必要ならば私の方から提供してもよろしゅうございますが、現実に吸収率、今度おそらく三十五年度もおやりになろうとする吸収率八五%という率は、どうしても今の事業の性質から、見て適当でない。というのは、大体各地でやっておる事業のおもなるものは、道路事業、まあ簡単な道路の補修をして、それに簡易舗装をするというような事業が大部分のようであります。そういう事業をやっていく。しかも、その事業の量は、三百万円ぐらいな事業、あるいは四百万ぐらいな事業、これが大部分であって、それより小さいのもあり、大きいのもありますが、大体そんなところが規模であります。そういう規模に立って考えると、今の八五%というのは無理になってくる。事業が非常に大きくなってくれば、また事情は別だと思いますが、現実の状態からいうと、そういう小規模のものでありますために、非常に困難をいたしておる。そのために、仕事を担当する業者が損失をするか、あるいは地方公共団体が別の面でそれをカバーしておるというのが現状であります。いずれにしても、正当にこの事業は執行されておらないのであります。その点、まず吸収率は今の率では適当でないということを申し上げて、労働大臣も、一般質問のときには、事務費、事務職員等において考えたいという話でありましたが、私は、現実にそういうことが適当に行なわれない、不適当だという結論が出るならば、新年度早々であっても、吸収率を変えてもいいじゃないかと思う。そのためには、まだ前提がございましょう、その前にやるべきこともございましょうが、そういう点をはっきりすれば、これは政府部内でできることでありまするからして、吸収率の改正をやることは一向むずかしい問題でもないように思います。その点が一点と、なおさらに、今の事業の性質から見て、一人当たりの単価八百五十円かになっておるようでありますが、これもまた、単価が少ないために、非常なしわが他に寄っておる。他に寄っておるということは、一例を言うと、公共事業等にしわが寄っている。なぜかといえば、その事業をするために、公共事業に他の事業をつけ加えてやるというようなことによって、しわを公共事業の方に寄せて、この就労事業の方を成立さしておるような実情にあるものが非常に多い。これも政府施策としては非常に不適正なやり方だと思います。そういうところに、不適切な事務をしなければならぬというような事情にも追い込まれてきておるという点でございますので、その点についてのもう一度一つ大臣からのお話を承っておきたいと思います。
  30. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 御指摘のように、緊急就労というのが昨年の臨時国会で初めてできまして、その後実績をずっと見ますると、なかなか規模別に見ると無理なところがある。今までは最高は、一般失対が一〇〇%という吸収率を規定しおります。ただし、これは技術者を除いて一〇〇%ですから、技術者は大てい、失対事業の内容によりますが、五%ぐらいしか実はやっておりません。その次が実は緊急就労の八五、これが実は最高であります。もう一つ特失が八〇%とその次に位しております。ただし、特失の方は、予算単価が千二百八十円でありますが、相当資材費が入っておったので、この八〇%はどうやら、円満じゃありませんけれども、一応これでやっておる。緊急就労は、八五%をかけて、事業費単価が八百五十円というと、御趣旨のように、主として公共事業と合わせて実は実施されておる実情であります。それだけ公共事業に食い込んでおるわけであります。私も実は当初からこれは心配いたしましたが、ただこれは、米田委員もよく御承知のように、建設省の公共事業労働省でやるわけにはいかない。これはどうしても、そんなにいいものをやるなら建設省でやってくれというのが常識になる。一般失対では困るというので、中間的なものを想定して試験的にやったのが八百五十円です。従って、あくまでこれは、恒久的なものではございません。臨時的なものでございます。しかし、この中においても改正すべきものがあるなら改正してもいいのですから、八五%の吸収率を改正するか、あるいはこのほかに技術者を特につけ加えるか、何らかの形でこの消化をはかりたいということで、予算が取れましたあと、これは技術的な問題ですから、何らかの形でこれに改正を加えていきたい。私も実は事務的に命じて、建設省と相談の上でいい方法を考えろと言いつけておりますが、今年、三十四年度を見ますると、確かに公共事業とかみ合わせたところはうまくいっております。これだけではなかなか消化がし切れぬというような実情も訴えられておりますので、今後一つ、この問題は大いに真剣に考えてよい問題である、また考える余地のある問題だと私は考えております。
  31. 米田正文

    ○米田正文君 今の公共事業と抱き合わせでやっておるのはうまくいっておるという事例は、私も知っておりますが、山口県だとか、そういうところで、ごく少ない事業をやっておるところは、その問題はうまく解決をする。公共事業も相当ありますから、それと一緒にやることのできる場合が非常に多いと思いますけれども、福岡県のように、非常にこの緊急就労事業が多いという場合には、そう公共事業と抱き合わせでやるということもできない。第一、公共事業と抱き合わせでやるということが、私はあまりよい方法ではないと思います。これは、そこに事務的にもまずい点がありますから、うまくないと思うのですけれども、まあそれもやむを得ないにいたしましても、福岡県のように非常にこの緊急就労の事業を多く行なうような場合には、公共事業とそういう抱き合わせはできないものですから、そこに問題がある。しかし、何といっても福岡県中心にやっておりますから、福岡県を主体にしてお考え願いたい。うまくできるようなごく少量の事業をやるところとは違うのですから、そういうようにお願いをしたいのです。しかし、これは労働省で御研究をお願いするわけですが、早急に一つ、実際には労働省がお話しになるときには、大蔵省ともお話をしなければならぬでしょうから、大蔵省の係官と労働省の係官で一つ至急に現地を調査してもらって、大蔵省もよく認識してもらうように、大蔵省の教育もしてもらいたいと思うのです。ただ、これは机の上でやるのではなくて、ほんとうに現地で皆が努力しておるのですから、またしなければならぬことですから、至急一つ現地調査をしていただいて、その上に立って、大臣一つ御決意をお願い申し上げたいと思うのです。
  32. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 大蔵省ももちろん、これは当初から、最初のことでありますので、実績を見てから、さらに検討しようという話をしておりますので、私の話しましたのは、主として福岡県が昨年五千五百のうち約四千ぐらい福岡県に割り当てております。つい先般も福岡県を見に参りましたが、その中で公共事業のある市町村はうまく、飯塚あたりはうまくいっておりました。これは河川と市街地を合わせて、これは公共事業でありましたから……。しかし、全部が全部ということは言えないことは私もわかりましたので、何らか方法を考えたいということは痛切に感じました。しかし三十五年度は、実行不能かと知事に聞きましたところが、それは実行は必ずしますよ、しますが、非常に無理をしているという、この実情を見てくれという話でした。ということは、三十五年度予算は困ったなと言ったら、それは私の方は要するに五千人でも引き受けます。ただしかし無理をしている、苦労をしているこの事実は見てくれという話でした。何とか一つ予算はこれで一応やりましょう。それで現実に何とか考えていきたいというのが、私の気持であります。
  33. 米田正文

    ○米田正文君 おそらく、知事も非常に努力していると思うのですけれども、知事には、ほんとうの苦労はわかっておらぬと思う。それは、一番苦労をしているのは、現地の土木事務所というのがあるのですが、この事務所が一番苦しんでいるのです。その次に苦しんでいるのは建設業者、引き受けてやっている建設業者も泣き泣き仕事をしているというのがほんとうの実情です。土木事務所でやっているために、ほかの事業で、それでカバーしていかなければならぬものですから、ほかの事業のために犠牲になって、この緊急就労を引き受けているのがほんとうの姿でございます。そこで、もう一つは、この問題に関連しているけれども、あるいは一般失対にも、あるいは特失にも、あるいは臨就にも関係をいたしますが、労働能率、先ほどは労働生産性というお話もございましたが、私はこの問題をもう少し強力に推進をお願いしたい。まあ、これははなはだ失礼な言い分ですが、労働者は数だけそろえばいいというやり方をしているというように、平たく言えば現地ではそういう声が非常に強いのです。けれども、特にこの事業が建設事業でやられているという関係で、この事業の能率は、他の公共事業の能率に、影響をするものであります。同じ道路事業をやっている、公共事業でやる道路事業、臨就でやる道路事業、この離職者の緊急就労でやる道路事業が、一般の国民から見ると、同じ道路事業を県の手で、あるいは国の手でやっている。そうして、それが単に予算の項目の違いである。いろいろの、そういうように苦しいとか、いろいろの事情があることは国民にはわからぬものですから、ただ目に見えた姿で判断すると、どうも離職者対策でやっているあの事業は、あまり仕事をせぬでいいのだという姿が出てきている。それがほかの方の一般公共事業でやるものにも影響してきて、どうも、ほかのところは働き過ぎじゃないかと逆のことを言ったりする。やはり私はどういう予算の名目であろうと、最後の国民の前にさらされたときの姿は同じようになるようにしておいてやる必要がある。こういう感じを非常に強く持っているのですが、今の公共事業等における労働能率は逐次向上してきております。また、そういう努力を各現地において非常にされている姿もよくわかりますが、せっかく、そういう労働能率、生産性が上がりながらも、こういう事業が起きたために、またそれを引きずりおろすというような結果が相当あるのです。そこで、私はこれはやはり能率と賃金という問題をどうしても結びつけていかなければならぬのじゃないか、ただ頭をそろえて朝から出て来て、そうして現地に行って夕方は早々に帰るというような姿、非常に極端な表現をすると、あまりろくに仕事もしないで賃金だけ払っているという姿が出るということは、これは公共事業全般に影響するのみでなく、国民の労働意欲、いわゆる労働生産性の問題に私は非常に大きな影響を及ぼす問題であるので、これを労働省が執行しているためにいろいろな指示を府県に与えているだろうと思うのですが、その場合において労働能率との関連は強調する必要があると思うのですが、そういう点を、今までおとりになっている方法等について一つ説明をお願い申し上げたい。
  34. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいまの御指摘の通りの批判は、各方面から実は受けております。ただ、この中で失対事業が、労賃が今までは三百六円、それに資材費事務費が合わせて百円しかない、合計で四百六円というのが三十四年度、この百円の中に平均資材費というのが六十四円なんです。一番問題は資材費が六十四円といえばシャベル、モッコくらいしかないのですね。だから資材費はやはり、大きなものを動かすような場合は、機械なんか入れれば、私は能率は確かに上がると思う。しかし、あまりこれを拡大いたしますと吸収人員とか、一般公共事業に実は影響してくるというので、私は百円の範囲内で最高の能率を上げるというと、なかなか限度があるので、資材費は六十四円ですから、シャベル、モッコくらいが精一ぱい。米田委員のおっしゃるように能率を上げるにはトラックやブルドーザーを入れてくれ、それは労働者にやられてはかないません、失対の趣旨にかないません、というのが、予算の折衝の焦点になるわけであります。そこら辺に限度がある。もう一つの問題はやはり年令です。失対事業の平均年令は四十八才か九才になっているのです。非常に登録者の平均年令が高いということも一つの問題がある。もう一つは失対事業というと、やはり何となしに経費が、あまり資材を使わない、機械を使わない仕事を大体市町村で割り当てるという三つの問題から、私は非常に世間態に非能率のように見られるのではないかと思います。しかし、その中でも苦労をしながら、最近ではある地方では山をくずすというような都市計画の一部に包含して、集合場所も現地に集まって、安定所に集まって列を作っていくということを抜きにして、いきなり現地に集合して一週間ならば一週間、その同じメンバーをそこに集めるというような方向もこの中で一生懸命やっております。従って、まだ運営改善すべき余地は私はあると思います。基本的にはやはり公共事業、請負事業と同じようには私いかないのではなかろうか、しかしいろいろの批判もございますので、事業効果考えて、やはり失対ということをやらなければ、失対の将来にも非常に悪い影響があるということを痛切に感じまして、そのようなことを次次に指導しながら今の予算の範囲で、緊急失対法の中で能率向上ということでいろいろ小さいことまで実はやっております。この中に最近は失対の職業訓練まで始めました。それは現地での訓練と、半日訓練所に集合してやらせる、一番いいのは、やはり訓練所に集めた職業訓練は非常にいい効果を上げております。この人は失対から抜けて一般雇用に向かっております。私はこういう方向を進める方が将来ともにいいんじゃないか、もちろん失対の向上も必要でしょうけれども、できれば失対から一般雇用に進む積極政策を私はやるべきだと思う。本年も実はその中に、失対の中にも訓練費用というものを入れたわけでございます。そういうふうな方向でいろいろやって参っておりますが、まだ万全でないことは私も承知しております。
  35. 米田正文

    ○米田正文君 私は今の労働能率を上げるという意味は、機械だとかそういうものを入れて他の公共事業と同じようにするという意味ではありません。私は、むしろなるべく労働者を多く使うということが一つの目的ですからして、それは機械力によらずして人力でやるということを建前にしていくのを基本に考えるべきだと思いますけれども、しかし、その一人当たりの、人力の一人当たりの能率というものをしっかりきめるということが必要じゃないか。朝の就業時間から一日の終わりまでの間をきちんきちんとした労働をやる、休憩の時間は休憩の時間できちんとする、それがどうも現地を見ると、就業の時間もだらだらしている、帰りの時間もわりとだらだらしている、昼の休みの時間もやはりだらだらというのが多いようです。もちろん、みんながみんなというわけではありません。非常に模範的ないいところもありますが、そういうだらだらとした、ただ一日出て行って顔を出して帰れば賃金がもらえるというような形が、私は非常に悪い影響を他に及ぼすという趣旨から申し上げているのであります。でありますからそういう点の簡単な作業であっても、一日の仕事量というものはこれだけで、八時間なら八時間の事業量というものはこれだけだということをいろいろな工事についてきちっとやるということが必要だと思うのです。で、労働省で指示をされるときに一つ労働能率を、大体の基準をこしらえて示すというようにしていただきたいというような考え方から申し上げているのです。まあこれは一つぜひ御研究をお願いしたいのです。  それから今最後におっしゃられたような労働訓練というような意味でおやりになる点、私もぜひそういう点が必要じゃないか、むしろ仕事をするというのが主目的でなくて、訓練をするというのが主目的だというようなところを相当作っていく必要がある。そして職業の転換をはかっていくということが必要だ、そうしないというと、この前も申し上げましたけれども、失業者の固定化、だんだんそういう傾向になっておるように思います。これは何も固定化が直接のあれかどうか知りませんが、そういう失業者の組合の中から、市町村の議員が選挙されて出てきておるというような実情が一、二にとどまらず出てきている。しかもその顔振れが非常に固定化しておる。失業救済事業にもう固定化されてしまって、それに出てくる事業とその人とが固定化してきておるというようになってきておるのですが、まあ、失業対策というものをどこまでも正当な労働に転換するまでの、それに就職するまでの一つの臨時的な措置でありますからして、そういう固定化をしないような方法をして正常な雇用に向かって進むということが本旨で、大臣のおっしゃられる通りだと思いますので、ぜひ訓練をするということが、私は非常に必要だと思っております。そういう方針をとられておるなら非常にけっこうだと思います。ぜひその点を進めていただきたいと思います。  それから今の単価二十八円上げたというお話ですが、これは石炭離職者関係においてはたしかしがっておらぬと承知をしておりますが、これは今後上げる予定でございますか。
  36. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 八百五十円の単価の中で、これでPWの上昇に応ずるというものを上げるつもりでおります。ただこれは御承知のごとく政府できめるのじゃない、雇用者の中でこれをきめますから、おのずから二十八円上がればその八百五十円の中でそれに見合う分は上がると思っております。昨年は八百五十円の中で三百六、七十円がこの前の大体予算の執行の現実でした。従ってこれは当然その範囲内において上がるべきものだと、こう考えておる。これは上げると法律で書く必要もございませんが、おのずから一般失態が上がれば八百五十円の中で石炭のものも上がるということは見こしております。
  37. 平林剛

    平林剛君 さっき私がお尋ねした電子計算機の借料ですね、これはちょっと事務的にお尋ねをいたしましたが、本省の予算の中に三百二十万円、先ほどのお答えでもこれはレミントンのユニバツクだけだと言いましたけれども、広い意味ではこれも電子計算機ですが、IBM、レミントン、レンリックス、バロフ、エリオット、すべて電子計算機です。機械は穿孔機であろうと検孔機であろうと、広い意味で全部電子計算機です。これはあなたの方だけじゃないので、私がただいま問題をかかえているので、この際に要求しておきますが、契約書をさしつかえなければ出してもらいたい。さしつかえがあるならばユニバツクの何型であるか、何型をお使いになるかということを聞きたいのです。ユニバツクの六十型か百二十型か、いろいろの型があるのです。契約書の中にそれが入っているかどうかわかりません、わかりませんが、その型を私に知らせてもらいたい。私の言いたいのは、三百二十万円の算出根拠です。なぜ三百二十万円に算出されたかという根拠ですね、これを一つ私のところへ出してもらいたい。それから先ほどはこれの目的についてお話がありませんでしたけれども、目的を明らかにしてもらいたい。
  38. 和田勝美

    政府委員和田勝美君) ただいまのお尋ねでございますが、借りておりますのは日本レミントンユニバツク株式会社から借りております。借りておる機械は検孔装置付穿孔機、自動穿孔機、総括カード穿孔機付自動製表機、こういう三種類の機械を借りておるわけでございまして、これはいずれも統計の中にこういう、穴をあけてみる機械と、それからその穴の検査をする機械、それから統計表を作る機械とございまして、御指摘の電子計算機とは私ども考えておりませんが、そういうようなものでございます。
  39. 平林剛

    平林剛君 穴をあけるのが目的じゃないでしよう。
  40. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 今会計課長が申し上げましたように、現在持っておりますのは穿孔機と製表機と分類機でございますが、われわれの方の労働統計といたしましては、非常に割算、掛算ないしは、たとえば賃金階級別の度数分布等、分布をとる統計が多いわけでございます。そこで手ではとても能率が上がりませんので、従いまして。パンチ・カードを使いまして、カードに打った上で機械的に分類する、それによりまして容易に各種の組み合わせができる、分布がとれるわけでございます。たとえば賃金階級別あるいは年令別、勤続年数別、学歴別等の労働者分布が直ちに出てくるわけでございます。それから製表機に関しましては、これまた労働統計は非常にたくさんの組み合わせの結果を作りますので、全部製表機とパンチ・カードによってあけられた数字を機械的に製表いたしまして、それによって計算の能率を上げているわけでございます。従いまして、たとえば国勢調査とか事業所センサスのように、事業所数あるいは人口の数を出せばいいというだけの簡単な統計でないものが多いものですから、そのような機械を使っているわけでございます。なお、われわれよく知識がなくて、先生から教えていただいたのですが、われわれの方ではユニバツクと通常申しておりますのは、まあ電子計算機と言っておりまして、それはかなり高度な機械というふうに理解しておりまして、まだそこまではいっておりません。
  41. 平林剛

    平林剛君 契約書などは御提出いただけますね。
  42. 和田勝美

    政府委員和田勝美君) 契約書の写しを御提出申し上げます。
  43. 米田正文

    ○米田正文君 もう一点最後にお伺いをしたいのですが、一般失対の年末手当等の期末手当がありますね、夏季手当と年末手当と。それをちょっと御説明願います。
  44. 住栄作

    説明員(住栄作君) 現在の夏季、それから暮れの措置でございますが、現行は夏が四日、冬が九日であります。明年度につきましては、公務員の夏季期末手当の関係もございまして、夏が五日、暮れが現行通りで九日、合計十四日、こういうことにいたしております。
  45. 米田正文

    ○米田正文君 これが大問題でして、年末になると各地方公共団体、特に市町村においてはどこに行っても失対就労者に市庁舎なり町村庁舎が取り囲まれているというのが毎年の例だと思うのです。そこで、この手当をそのほかによけい出すところは非常にいいが、少ないところが非常に不平が絶えないというようなことで、一番出しているところは、たしか、私が聞いているところでは一万円以上も出しているところがある、出せないところはこのほかに千円かそこらのものを出しているというふうに、非常に開きができて、不均衡ができてきて、この傾向がむしろ激化するんじゃないとすら思って私は心配をしているのですが、この対策についての今後これに対処してどうするかというお考えをお聞きをいたしたい。
  46. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 先般、いろいろ不均衡がありましたので、局長通達で、各市町村に法律を守るように通達を出しました。ただし、これは通達だけではなかなか、一つ現行実績というのがありまして、その通りいくとは思いませんが、その趣旨を、やはり全国一律に失対法できまっているのですから、その趣旨を体して厳正なる予算を執行してくれということを実は通達で出したわけであります。市町村でもなかなかお困りでありますので、といってこれは法律で出しちゃいかぬという明言を書いてはありませんが、趣旨はやはり公平を原則としているのが失対法でありますから、個々に出されるというものは、この失対法以外のものだと私は考えております。しかし、非常に市町村でお困りでありますので、いずれ、ある意味においては私は失対そのものをある程度検討すべき時期が来ると思います。で、一番大きな問題は、町村別に仕事がある所とない所、行政区域が一歩向こうに行けば、単価も違うんだ、仕事も違うんだということは私はおかしいと思います。そういうことを考えて、新しい意味雇用審議会に失対法を今後いかに改正すべきかという再検討をお願いしょうと思っております。その中で、大きな意味で、今後失対というものを動かしませんと、町村別、行政区域で区切るということに私は限界が来たのじゃないかと思います。ある意味で、もう少し大きな意味で動かすべきじゃなかったかという考えで、私の一存ではいきませんので、雇用審議会がちょうどございますので、ここに失対だけを特にはかって、そういう賃金の問題とかいろいろな不均衡の問題とか事業の内容、能率化とかいろいろな問題を私は検討していただきたい、そういう意味で今日はおります。
  47. 米田正文

    ○米田正文君 私はこの問題実は資料を持っているのですが、この問題はもう時間もありませんし、また非常にむずかしい問題ですから、簡単に扱えないとは思います。もちろん、今の失対法の全然ワク外の問題ですけれども、しかし非常にそれに関連をしている問題ですからして、やはりこれは同時に解決するような方途を講じていかなければいかぬと思うのですが、もう夏季手当も年末手当もあらかじめわかっているのですが、どうも、いつも見ているとその直前になっていろいろやるものですから、何日も何日もすわり込みが続くというようなことになって、ほとんど市町村の機能が停止するような事態にまできていると思うのです。これはもう初めからわかっていることですから、ことしの夏季手当なり年末手当はどうする、あるいはことしの手当としては国はこれほど出すからして、市町村は今までの実績からこれほどにしようじゃないかということをあらかじめはっきりきめておくことが、むろん一番必要じゃないかと思っております。一つぜひ御研究をお願い申し上げておきます。これで私の質問は終わります。
  48. 東隆

    主査東隆君) 私からも一、二質問いたしたいと思いますが、それは労働金庫に関係をしたことですが、この種の金融機関を作るときに、普通政府出資をしてやるのが普通なんでありますが、労働金庫ができるときのいろいろな事情で政府出資をいたしておりません。この種の金融機関には大抵政府の資金を相当出す、そういうことがこれが普通なんでありますが、その点、実は労働金庫に対しては出しておらないわけであります。それで私は、非常に広範な労働大衆の生活を守るために、やはり国家は財政投融資からでも、低利資金を労働金庫を通して流す必要があろう、こういう考え方を持っておりますが、労働大臣、その点どういうふうにお考えですか。
  49. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 労働金庫の組織及び最初の発端が、御承知のように一般銀行法というものを基礎にやっておりますので、政府出資がございません。従って一般的に資金運用部資金を預け入れるということはむずかしくなっているわけです。臨時的なものは、年末とか特別なときは、府県を通じて、先般の災害のようなときは資金運用部資金を出しましたけれども、一般的にはなかなか、これは一般の銀行と同じような扱いをしておりますので、法律ができるときにこれは議論が大いにあったように私も拝聴しておりますが、今のところは一般銀行並みの性格というものであるために、資金運用部資金がなかなか出せないというのが現状でございます。
  50. 東隆

    主査東隆君) 実は非常に労働金庫の金利が高くて、消費者金融としては唯一の金融機関、しかも、金利が非常に高いために、これを実は容易に使いづらいという形になっていると思う。しかるにかかわらず、住宅資金であるとか、その他生活関係の資金が相当労働金庫から出ておるのです。そういう点を考えると、私は何らかの方法で財政投融資からでも資金を流すと、こういうことを労働省は大きく考えなければならぬのではないか、こう考えるわけです。同時に、私は資金源として厚生年金の資金をこれに充当すべきじゃないかと思うのです。厚生年金は、これは大部分は労働者関係が出しておるのでありますから、従って、この資金を生産方面の方面に投ずるというよりも、私は消費方面の方面に投ずる、そして国民生活の方面に寄与させる、こういうのがこれが資金源から考えても適切なものだと、こう考えます。しかも、そういう機関がないならいいですけれども、労働金庫という消費者を中心にした金融機関ができておるのですから、そこでこの機関を通して資金源は今言った厚生年金、こういうようなものをあわせて考えて、労働省側としては当然この道を開くためにやるべきじゃないかと思うのです。いろいろ労働省の仕事はたくさんあろうと思うのですけれども、しかし、こういうような方面もこれは大きな労働者の問題として当然解決をしなければならぬところで、これはもうよその方からは、なかなかこの問題は手をつけることのできない問題だろうと、こう考えるので、労働大臣一つ大いに考えていただきたいと、こう思うわけです。決意のほどをお聞きいたしておきたい。
  51. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 法制的に申しますと、なかなかむずかしい問題でありますが、性格からいうと、その対象が労働者であるという意味からいうと、御趣旨のようなことも私は非常に尊重すべき御意見だと考えております。しかし、これは大蔵大臣との共管でございますので、大蔵大臣とも極力話をしまして、そういう方向で一ぺん研究して参りたい、そういうふうに考えております。なお、今は一般銀行でありますので、労働大臣、大蔵大臣が監督権という、大きな意味の監督権を持っておりますが、監査権まで、一々これは実は立ち至ることはできないことになっております。従って監督だけはできますが、直接監査はしておらないというふうなところもありますので、政府資金を流すという以上は、その辺もまた問題になるかもしれませんが、いずれにしても方向は御趣旨のような方向を、もう一度大蔵大臣とよく研究していきたい。先般も予算委員会での質疑がございましたし、実は大蔵大臣と一緒に答弁しながら、これは研究しようじゃないかというようなお話もしたような次第でございますが、さらにこれはもう少し研究してみたいと思います。
  52. 東隆

    主査東隆君) ほかに御質疑ございませんか。——ほかに御質疑もございませんようですから、労働省所管についての質疑はこの程度で終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 東隆

    主査東隆君) 御異議はないと認めさよう決定いたします。  なお、明後二十八日は厚生省所管について質疑を行ないます。本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会