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政府委員(山内
公猷君) ちょっと私から事務的に……。初めに
輸送のお尋ねでございますが、今国会に
提出いたしました
貨物輸送の想定は、ただいま御指摘のございましたように一億八千六百万トンと想定いたしております。三十四
年度の想定が、大体予想も入っておりますが、一億七千九百万トンという数字になっております。
輸送は一時点でなくて、長い時点で見ていかなければならないわけでございまして、三十五
年度われわれがこの
予算でやり得るといいますことは、増車両あるいは幹線の
増強、一般的なものは
輸送力があるわけでございますが、現在端的に現われております
隘路は、車両でございます。貨車が非常に不足しておるということで、来
年度の
予算におきましては、貨車の増備というものに相当大きな力を入れております。それで貨車の新造
計画でございますが、これにつきましては、非常に今までになかった六千両新造しよう、九十六億円をもちまして六千両新造しよう、としております。ただ、この六千両が全部新車が入るわけではないわけでございまして、この中の
車両増備が三千五百両ということになっておるわけでございます。従って三十四年末で十万九千八百両の総現在車両が、三十五
年度末には十一万三千三百両となりまして、三%
増加するということになります。それで三十四
年度の、ただいまお話し申し上げましたように、一億七千九百万トンに対しまして、一億八千六百万トン、まあ大体三%くらいふえるという見込でありますので、大体貨車の面におきましては、いき得るという見通しをとっております。ただ、現在非常にわれわれで問題にいたしておりますのは、幹線
輸送力が非常に劣ってきております。御承知のように幹線が非常に
輸送の大きな動脈をなしますために、この点に将来相当力を注がなきゃならないと
考えておりますのと、ただいまお話のごいざました所得倍増
計画というものになりますと、
日本の産業をもっと
発展していかなければならない。それに伴う
輸送はどうかという問題を、われわれはその数字に伴って
輸送の裏づけをしていかなければならないということで、現在
国鉄、運輸省を通じましてこれから五年くらい後の
輸送はどうなるか、それに対して
国鉄の
施設、車両、あり方という全般がどうなるかということを、詳細な
研究をしていかなければならないということで、今それをやっておるわけでございます。非常に問題になりますのは、主要な
隘路は何かといいますことは、ただいま先生端的に御指摘になりましたように
資金でございます。で、この点、電電なんかと非常に悩みの点が違いますのは、投下した
資本が利益を生むものであるならば、
国鉄財政も何といいますか、割合に仕事がやりいいわけでございますが、御承知のように、通勤、通学
輸送というものを
考えました場合に、これに
輸送力の
増強をしてそれではプラスが出るかといいますと、通勤、通学は実は一人送れば送るほど赤字になるというものでございます。これは詳しく御
説明するまでもなく、非常に割引率の多いのは九割二分引いております。どんな
収入がありましても、百円のうち八円
収入して成り立つ
事業というのはあり得ないのでありまして、こういう
事業に非常に金を使っているというところに、
国鉄の非常な悩みがあるわけであります。そこで、投下をいたしまして、
資本効率が改良によって利益が上がるのではなくて、ますます赤字になるというところにわれわれは非常な
隘路があるのじゃないか。
それからまた、
貨物輸送にいたしましても、御承知のように高級貨物はトラックに来ております。それから下級貨物は
国鉄に来ております。近来の傾向はそういう高級貨物トラックにいっておる。非常に今、史上未曽有の
輸送増だと言っておりますが、ふえておるのは、運べば運ぶほど赤字を出す貨物がふえておるというところに、
国鉄の非常な悩みがあります。それで一方独立採算制でございますので、
収入の範囲でやるということになりますと、社会的に大きな影響を来たす
輸送の
隘路ができる。それではどんどんやったらいいじゃないかというので、やるのには金がない、金を借りれば
利子がふえるというところに、がんじがらめの
国鉄の悩みがあるわけでございます。まあしかし、ただいまお話のありましたように、
公共企業体でありますから、あらゆる
努力をしてそれをやっていかなければならないということになるわけでございまして、その点
国鉄の今後におきましては、私たちも楽観をいたしておりません。
大臣のただいまお話のありましたような抜本的な何か
施策を講じて、
日本の国の
経済の
発展に先行したいという希望を持っておりますが、今の状態では、先行することは非常に困難な状態でございます。少なくとも
隘路にならないようにやっていきたいと思っております。
第三点の
資金運用部からの問題につきましては、本
年度はこういう状態でございまして、大蔵省も
国鉄には好意的に見てもらっております。昨年に比べまして御
説明申し上げますと、
資金運用部資金よりの借り入れば、三十四
年度は二百六十六億でございまして、本年は二百五十億で十五億減っております。ただし、
鉄道債券の公募の中で非公募の分といたしまして
資金運用部資金の引き受けを百二十億引き受けてもらっております。それでございますから、この点におきまして、大体百二十億ふえておりますので、百五億昨年よりよけいに見てもらっているということになっておるわけでございます。最近非常に
資金運用部も詰っておられるという話でございまして、百億はまあ大蔵省といたしましては非常によく見ていただいたと感謝いたしておりますが、いかんせん
国鉄自体の何と申しますか、
資本勘定への繰り入れが昨年と同様で五百九十九億でございます。しかるに、
事業規模というものが広がっておりますので、非常に苦しいということと、
資金運用部資金をお借りいたしましても、やはり
利子を払わなければならない。この
利子は年々
増大いたしておりますために、非常な苦しさを持っておるわけでございまして、この点では、
借入金の返還金にいたしましても、三十四
年度が九十七億が百七十二億、七十五億の増ということになっております。来年あたり相当思い切った
国鉄の
予算についての
考え方をしなければならぬと、かように
考えております。