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1960-03-26 第34回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十六日(土曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    主査      白井  勇君    副主査            千田  正君    委員            重政 庸徳君            西田 信一君            鈴木  強君            永岡 光治君            羽生 三七君            松浦 清一君            森 八三一君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   政府委員    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸大臣官房会    計課長     向井 重郷君    運輸省海運局長 朝田 静夫君    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省船員局長 土井 智喜君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  広瀬 真一君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君    運輸省航空局長 辻  章男君    運輸省観光局長 岡本  悟君    海上保安庁長官 林   坦君    高等海難審判庁    長官      増田 一衛君   説明員    海上保安庁次長 和田  勇君    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十五年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 白井勇

    主査白井勇君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  本日は、昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算のうち、運輸省所管を議題といたします。  まず政府側説明を聴取することにいたします。
  3. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 昭和三十五年度運輸省関係予算について御説明を申し上げます。  初めに、今回の予算規模につきまして申し上げたいと存じます。  まず、一般会計予算について申し上げますと、歳入予算総額は十六億六千四百八十六万五千円、歳出予算総額は四百五十三億五千八百八十五万九千円であります。今、三十五年度歳出予算総額を前年度に比較いたしますと八十四億三千百三十二万三千円の増額であり、二十三%という顕著な増加率を示しております。さらに、政府全体の歳出予算規模中における当省関係予算の比重を見ますと、三十五年度は二・九%を占め、前年度に比較して〇・四%の増加を示しており、わが国財政中における当省関係予算の占めます地位が漸次向上しつつあることを示すものと存じます。  歳出予算増加額の内訳を申しますと、行政部費系統におきまして二十九億九千八百六十九万六千円の増額であり、公共事業費系統におきまして五十四億三千二百六十二万七千円の増額となっておりますが、このうちには両系統を通じ定員三百八十一人の純増が含まれております。なお、今申し上げました歳出予算のうちには、北海道港湾事業費等他省所管予算四十九億四千五百九十五万一千円が含まれております。  次に、特別会計予算について申し上げますと、木船再保険特別会計歳入歳出予定額は前年度より若干増額されて二億八千二百七万三千円となり、自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予定額は、附保自動車両数の増加保険料率の改訂に対応し、定員十二人の増加分を含め前年度に対して約十億円が増額された結果、四十億三千四百五十九万二千円となり、また、三十四年度より認置された特定港湾施設工事特別会計歳入歳出予定額は、事業量増大に伴ない、定員七十四人の増加分を含め前年度に対して約十七億円が増額された結果、九十五億九百七十万一千円となっております。なお、このほか三十五年度財政融資計画中には、運輸省関係分として約二百二十五億円が予定されております。  以上をもちまして、予算規模についての御説明を終わり、次に、三十五年度運輸省関係予算重点事項についての御説明に移りたいと存じます。  御承知の通り、三十五年度における経済運営基本的態度といたしましては、高水準に達した三十四年度経済のあとを受け、世界経済動向に即しながらさらに着実な安定成長の実現をはかりますことを目標とし、経済体質改善施策重点を指向し、日本経済長期的発展基盤の充実に努めることにいたしております。  当省におきましても、この趣旨に従い、経済発展については輸送力がむしろ先駆となるべきものと判断し、港湾等交通基礎施設整備を推進することによりまして、産業基盤強化するとともに、国土保全対策一環となし、また、海運航空及び観光による貿易外輸出振興をはかることによりまして、国際収支改善に資する所存であります。  以上の趣旨によりまして、今回の予算におきましては、経済発展に先行する輸送力整備増強国際収支改善に寄与する貿易外輸出振興国民福祉向上のための交通安全の確保災害防除及び海上治安確保ならびに運輸関係科学技術振興等の諸施策重点を置き、これらを積極的に推進することにいたしております。  以下、重点施策別に要旨を御説明したいと存じます。  まず、輸送力増強に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は二百十二億九千七百二十万一千円であり、このほかに財政融資として六十億円を予定しております。  このうちおもな事項といたしましては、  第一に、特定港湾施設工事特別会計による港湾整備に必要な経費として、一般会計よりの繰入金を四十二億二千百七十万円計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、十二億二千七百九十万円の増額となっております。本特別会計事業としましては、歳入歳出予定額九十五億九百七十万一千円の規模をもちまして、輸出港湾として横浜港外五港及び一航路石油港湾として千葉港外一港、鉄鋼港湾として室蘭港外九港、石炭港湾として苫小牧港外八港について港湾施設緊急整備を行ないますとともに、伊勢湾台風の被害にかんがみ、名古屋港外一港について伊勢湾高潮対策事業を行なう予定であります。  第二に、一般会計による港湾整備に必要な経費として百六十三億一千七十七万三千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、三十八億一千二百六十五万四千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は、前年度に引き続き特定重要港湾等主要港湾整備を強力に推進いたしますが、これとともに今回は、特に国土保全対策一環として海岸保全対策伊勢湾高潮対策地盤沈下対策災害復旧対策等の諸事業を飛躍的に強化するために必要な経費として六十億四千六十万円を予定しております。  以上申し上げました通り、三十五年度における港湾関係予算は、一般会計特別会計とを通じ国庫負担として前年度に比較して五十億四千五十五万四千円の純増予定しておりますので、これによる事業量の急速な増加に対処するとともに、台風防災体制整備しますため、本省に防災課臨時港湾調査設計室とを新設することにいたしております。  第三に、国内旅客船公団強化に必要な経費として大蔵省所管産業投資特別会計中に二億円を計上するとともに、資金運用部資金よりの融資五億円を予定しております。これにより三十四年度新設された公団業務運営円滑化をはかり、三十五度は約五十隻、四千六百総トン程度建改造を進める予定であります。  第四に、国内空港整備に必要な経費として五億二千五百万円を計上しておりますが、これを前年度に比較すると八千三百六十七万五千円の増額となっております。これによりまして、既定空港としては広島空港ほか九空港整備を続行しますとともに、新規空港としては名古屋ほか三空港整備に着手し、また新潟ほか一空港災害復旧を行なう予定であります。  次に、貿易外輸出振興に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は三十八億三千三百九十七万四千円であり、このほかに財政融資として約百六十五億円を予定しております。  このうちおもな事項と致しましては、  第五に、外航船舶建造および主機換装に必要な資金として、開発銀行よりの融資百四十五億円を予定しております。これによりまして、三十五年度においては特に海運企業基盤強化に留意しつつ、拡大するわが国貿易規模に即応した外航船腹整備をはかる予定であります。  第六に、外航船舶建造融資利子補給に必要な経費として九億五千四百二十七万円を計上しております。本制度は二十八年に制定された外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基づくものでありますが、三十二年度からは諸般の事情により実施を停止して参ったものであります。本制度は、外航船舶建造資金を融通する市中金融機関に対する利子補給を行なうことによりまして、海運企業金利負担を軽減し、海運企業基盤強化しますとともに、これに国際競争力を賦与しようとするものでありますが、今回は企業合理化を前提としてこれを支給する予定であります。なお、契約限度額としては二十七億四千百四十八万五千円を計上しております。  第七に、三国間輸送拡充に必要な経費として三国間輸送助成金に六億九千万円、船員海外厚生施設整備費補助金に一千万円計七億円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと二億円の増額となっております。これによりまして前年度に引き続き三国間輸送促進し、国際収支改善をはかるとともに、近海における過当競争の排除にも資したいと存じます。  第八に、移住船運航費補助に必要な経費として七千七百八十一万六千円を計上しております。前年度においては外務省所管に計上したのでありますが、今回これを千五百二十五万六千円増額し、運輸省所管運航補助に切りかえたものであります。  第九に、国際航空事業に対する出資として大蔵省所管産業投資特別会計中に五億円を計上しております。日本航空株式会社は三十五年度以降、新規路線の開拓及び既設路線ジェット機化等の推進により国際競争力強化を企図しておりますが、このためのジェット機追加購入等に対し三十五年度に必要な資金の一部に充当させるため、前年度と同額の政府出資を行なうものであります。なお、これとともに同社の発行する社債については、二十億円を限度として債務保証を行なうことにしております。  第十に、国際空港整備に必要な経費として十三億一千九百万円を計上しておりますが、これを前年度に比較すると二億九千八百二十万七千円の増額となっております。  このうち東京国際空港につきましては、十一億一千九百万円を計上しており、三十五年度においては滑走路新設等に着手し、航空交通量増大大型ジェット化への移行趨勢に対処する予定であります。  また、大阪国際空港につきましては二億円を計上しており、三十五年度においては滑走路新設に着手し、東南アジア方面への国際航空路線空港として整備しようとするものであります。  第十一に、日本観光協会補助に必要な経費として二億一千三百四十万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと千三百四十万円の増額となっております。  これによりまして、三十四年に特殊法人に切りかえられた日本観光協会海外観光宣伝活動整備充実致し、三十五年度においては、シカゴに海外事務所新設しますとともに、海外宣伝資料作成費増額し、海外観光客積極的誘致を推進する所存であります。  第十二に、ユースホステル整備に必要な経費として地方公共団体ユースホステル整備費補助金に四千七百五十万円新規国立ユースホステルセンター建設費に二千万円計六千七百五十万円を計上しております。これによりまして、地方公共団体の設置するユースホステルを前年度に引き続き整備しますとともに、国内及び国際ユースホステル大会の開催、内外青少年交歓等の場とするため、新規国立ユースホステルセンターを大津市に建設する予定であります。  次に、交通安全の確保災害防除および海上治安確保に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は二十六億三千七百六十三万二千円であります。なお、この金額には、先に申し上げた国土保全対策一環としての港湾における災害防除関係経費は含まれておりません。  このうちおもな事項と致しましては、  第十三に、航路標識整備に必要な経費として六億五千万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと一億四千万円の増額となっております。これによりまして三十五年度年度に引き続き、航路標識の新営を、改良改修との両面において、その整備促進する予定であります。  第十四に、海上警備救難体制整備に必要は経費として四億九千八百三十七万七千円を計上しておりますが、これを前年度に比較すると一億六千二十四万五千円の増額となっております。これによりまして三十五年度老朽巡視船艇を三隻代替建造しますとともに、警備救難用航空機を一機追加し、また、老朽通信施設改良改修を続行する予定であります。  第十五に、自動車輸送秩序確立及び事故防止に必要な経費として二億三千三百八十六万三千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと三千九百二十九万七千円の増額となっております。これによりまして、激増の一途をたどる自動車両数に対応し、検査登録要員確保をはかりますとともに、東京ほか一カ所に車両検査場新設する等車両検査場施設増強によりまして検査登録機能強化をはかる予定であります。また、これとともに街頭監査及び既存事業者監査強化することによりまして、違法行為の絶滅を期し自動車輸送秩序確立に努める所存であります。  第十六に、航空交通管制業務及び航空保安施設整備に必要な経費として二億八千七百五十一万八千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと一億三千四百二万二千円の増額となっております。これによりまして三十四年度日本側に移管された航空交通管制業務について、自主的運営体制確立しますとともに、ジェット機時代への移行趨勢に対処して高々度管制用無線施設整備し、また航空保安施設飛行検査を自主的に実施するため検査用航空機を一機購入する予定であります。  第十七に、基礎的気象業務整備に必要な経費として四億五千九百七万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと一億二千五百四万二千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は前年度に引き続き無線模写放送を初めとする気象通信整備拡充を行なうことによって予報精度向上をはかりますとともに、名古屋気象用レーダー新設、気象庁本庁舎の新営続行等により基礎的気象業務体制整備促進する予定であります。なお、これとともに、気象業務国際性にかんがみまして、東京ホノルル問等国際通信施設整備し、気象資料国際交換体制をも整備する予定であります。  第十八に、防災気象業務整備に必要な経費として三億五千四十五万一千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと三千九百六十二万円の増額となっております。これによりまして、前年度に引き続き水利水害関係気象業務整備しますとともに、空港整備進捗状況に対応して航空気象業務整備し、また、前年度より着手した農業気象業務につきましては、前年度に比較して二千九百三十二万九千円を増額し、福島県の残部および山形県の一部に対し新規実施する予定であります。なお、これとともに、伊勢湾台風の経験にかんがみまして、新規防災気象官制度を設置し、防災気象業務の指導を強化する予定であります。  最後に、運輸関係科学技術振興に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は三億六千四百四十七万三千円であります。このうちおもな事項といたしましては、  第十九に、原子力船開発及び原子力平和利用に必要な経費として八千八百九十四万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、二千四百三十五万二千円の増額となっております。本予算のほとんどは一応総理府所管となっておりますが、これにより三十五年度世界動向に対応して、原子力船開発に関する研究原子力平和利用に関する研究並びに放射能汚染実態調査促進する予定であります。  第二十に、運輸機関高速化及び近代化に関する研究に必要な経費として、科学技術試験研究補助金が四千五百七十八万九千円、運輸技術研究所その他直轄研究機関経費が二億二千九百七十四万四千円、計二億七千五百五十三万三千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、六千三百五十三万五千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度運輸技術研究所気象研究所及び海上保安庁水路部研究業務拡充強化しますとともに、研究補助金を適切に運用することによりまして、増大する事故防止をも考慮しつつ運輸機関高速化及び近代化の要請に対処する所存であります。  なお、これとともに、台風防災関係研究体制強化するため、気象研究所台風研究部新設する予定であります。  以上をもちまして昭和三十五年度運輸省関係予算についての御説明を終わりますが、何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  昭和三十五年度日本国有鉄道予算の概要につきまして御説明申し上げます。  三十五年度予算の編成にあたりまして、三十五年度は三十四年度経済情勢の好況が引き続き持続するものと考え収入支出予算を組みました。また、三十四年度に引き続き老朽施設取りかえ、輸送力増強及び近代化を主目標とする国鉄五ヵ年計画の第四年度として、この計画の達成に支障を来たさないように配慮したほか、東海道幹線増設工事促進考えて策定いたしました。  以下収入支出予算につきまして、損益資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定について申し上げます。収入においては、鉄道旅客輸送人員は、対前年度四・二%増で四十九億四千万人、輸送人キロは一千百五十五億人キロとして旅客収入二千三十二億円を見込み、また、鉄道貨物輸送トン数は、対前年度六%増で一億八千六百万トン、輸送トンキロは五百十二億トンキロとして貨物収入一千六百十九億円を見込んでおります。これらの旅客貨物輸送に要します列車キロは、四億六千百万キロで対前年度三・五%増となっております。以上の旅客貨物収入のほか、雑収入等を含めまして収入合計は、三千八百一億円となっております。  次に、経営費についてみますと、人件費につきましては三十四年三月の仲裁裁定実施による増額のほか、三十五年度の昇給と期末、奨励手当合計二・七五カ月分を見込みまして給与の総額は、一千三百九十四億円といたしております。また、物件費につきましては、節約に特段の努力を払うことにいたしておりますが、おもなものといたしましては、動力費四百十五億円、修繕費五百四十一億円を見込んでおります。これらを合せまして経営費総額は、二千八百八十九億円となっております。  以上の経営費のほかに、受託工事費四十億円、資本勘定への繰り入れ五百九十九億円、利子及び債務取り扱い諸費二百二十三億円、予備費五十億円を合せまして、損益勘定支出合計は、三千八百一億円となっております。  次に、資本勘定について申し上げます。  収入といたしましては、先ほど申し上げました損益勘定から受け入れます五百九十九億円のほか、不用施設等の売却による八億円、鉄道債券五百二十五億円、資金運用部等からの借入金二百九十七億円、合計一千四百二十九億円を計上いたしております。  他方、支出といたしましては、このうち一千二百五十二億円を工事勘定に繰り入れ、借入金等の償還百七十二億円、帝都高速度交通営団等への出資五億円を予定しております。  最後に、工事勘定について申し上げます。  三十五年度は五ヵ年計画の第四年度にあたりますので、五ヵ年計画中で工事のおくれております幹線輸送対策車両増備重点をおきました。また、東海道幹線増設工事については、全線にわたっての着工を予定いたしました。  以下工事勘定の内容について御説明申し上げます。  まず、新線建設につきましては、前年度と同じく九十五億円を計上いたしております。  東海道幹線増設費は、前年度より百七十七億円を増額いたしまして二百七億円を計上し、幹線増設工事促進をはかり、東海道線輸送の行き詰まりを早期に解消いたしたい考えであります。  通勤輸送対策といたしましては、前年度に引き続き東京付近三十四億円、大阪付近二十三億円、電車増備百両二十一億円、計七十八億円を計上いたしております。  幹線輸送対策といたしましては、北海道、東北、常磐線裏縦貫、北陸線、東海道山陽線、九州、その他で百七十七億円を計上いたしております。  幹線電化につきましては、現在工事中の東北本線、常磐線、山陽本線、宇野線、北陸本線及び鹿児島本線の電化のための工事費六十八億円のほか、これに伴う電気機関車十二両、電車四十三両計十五億円を合せまして合計八十三億円を計上いたしております。  以上のほか、貨車三千五百両等の車両増備、諸施設の取りかえ工事、総係費等を含めまして支出合計は、一千二百五十二億円となっておりまして、これらに要します財源といたしましては、資本勘定から受け入れます一千二百五十二億円を充てることにいたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、今後の経済界動向にもよりますが、これに予定されました収入をあげ、予定工事計画を完遂するためには格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もって日本経済発展に資するように指導監督して参りたい考えであります。  以上昭和三十五年度日本国有鉄道予算につきまして御説明申し上げましたが、なにとぞ御審議のうえ御賛成下さるようにお願いいたします。
  4. 白井勇

    主査白井勇君) ただいま大臣から御説明のありました運輸省関係予算につきまして、御質問のあります方は順次御発言を願います。
  5. 羽生三七

    羽生三七君 個々の質問に入る前にちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、けさの各新聞が伝えております国鉄輸送隘路が重大化して、特に最近史上空前輸送量となって、すでに明年度輸送量限界にくるのではないかということでいろいろ報道されております。特にその中で、明年度景気下降とか農業不作というような不幸な事態が起こうない限り、この隘路というものは非常に大きなものになって、今大臣からお話があった公共企業体としての今後のあり方について、一つの限界といいますか、新しい角度からの輸送力増強というものが検討されなければならないということを、みな各新聞は伝えておるわけであります。もちろんこの問題は、スピード・アップの問題とか、あるいはダイヤの問題とか、あるいは操車施設とかいうような、いろいろな近代化合理化の問題と関連する問題でありますが、しかし、日本経済は今後政府計画にもある通り、停滞するわけではない、発展成長していくわけでありますから、それに比例してこの国鉄輸送力というものが今の停滞を打開できるのかどうか、つまり日本経済成長に対応して、技術的な単なる合理化というようなことで、これを完全に消化し切れるものかどうか、もしそうでないとするならば、他に自動車輸送とか、もちろんそれも今おやりになっておりますが、別途の方法等も考慮されることになると思いますけれども、今普通言われる鉄道輸送というものの観点から見た場合に、このような隘路というものをどうして打開していくか、その場合に公共企業体として、運賃との関係等も起こってくると思いますが、しかし同時に普通の企業とは違いますから、国民経済生活に与える影響も大きいので、単に運賃を値上げして、それで資金源を得ていくということだけでは問題の本質的な解決にならないと思います。ことに数年来、十年以上基幹産業として、これに対しては財政投融資の面からも相当積極的な施策をはかってきておるわけでありますが、今後ももちろんそれは必要になるでありましょう。そういう点から見て、最近の非常な史上空前と言われるような輸送力を、どういうようにして消化していくのか、またそれは単に技術的な改善等で達せられるのか、日本経済成長と対応いたしまして、この隘路というものは打開せられるのか、日本の国土、人口、経済成長等全般から関連をして、それはある一定の飽和点というものがあるのかどうか、これらの問題を中心にして、個々の質問に入る前に、運輸大臣の総体的な、今日の国鉄隘路に対する打開の基本的な方針をお聞かせいただきたい、こう思うわけであります。
  6. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今御指摘のように、非常な貨物の隘路がここは露呈をいたしております。私が運輸大臣になりましたときに、ここにも申し上げましたように、やはり経済成長発展の上において一番大事なものは、やはり運輸行政が先躯しなければならぬという考えのもとに、実は大臣になってそういう方針で、予算その他等も折衝いたしたのでありますが、根本的に今羽生さんの御指摘になりましたように、国鉄は重大な段階に来ておりまして、今日国鉄の財政等を真剣に調べて見ますると、それはおそるべき段階に実は追い込まれておると思うのであります。その原因はいろいろありまするけれども、一番やっぱり大きな原因は、国鉄というものを、公共企業体として国家がどういうふうに一体これを見きわめて、その使命をはたさせようとしているかという点において、非常なあいまいな点があるということを、私は発見いたしておりますので、言いかえて見ますれば、相当の政府借款になっております問題の要因等を調べましても、すでに敗戦前の時代からの債務等をやはり引き受けさせる一方には、政府資本投下等が非常に限定されておって、利子負担等において非常な重圧を受けておる。一方にはこれは国鉄の性格等もありまするけれども、昔のやはり鉄道省的な考え方のもとに、公共割引その他を五百数十億もさせられておって、一方にはまた運賃の問題は、国民経済に及ぼす影響が大だというわけで、普通の商業ベースなら、あるいは少なくとも常識的に考えて妥当な結論になるという運賃のきめ方も、いろいろな点においてできないというような状態に追い込まれておるのでありまして、そういう点が非常ないろいろな問題を巻き起こしておる。また一方においては、後進地方の開発等から、ある場合においては相当赤字の線であっても新線建設としてなさなければならない、本年におきましても、すでに十一線審議会からの決定があります。これだけでも約四十億くらいの赤字になるのではないかというものも引き受けなければならないというような段階に来ておるのでありますから、私といたしましては、どうしてもこの機会に国鉄というものの実態を、やはり政府において、はっきりと見きわめて、これをどうするかという基本的な問題を一つ解決しなければ、全体的に私はすべての問題が解決つかないということも、実は考えておるのでありまして、従って近々閣議におきまして、私から基本的な一つの案を立てまして、国鉄というものに対して、政府自身に一つ取り組ませるという方向へもっていきたいと、こういうふうに実は考えておるのであります。まあ全体的にそういうような考え方を持っておりますが、当面の問題として、非常な貨車の不足のために貨物の停滞を来たして、いろいろと支障をあっちこっちに起こしている。一昨日も実は神奈川の知事以下横浜の市長、商工会議所の会頭が見えまして、あすこに、はしけ一ぱい荷物があって、船が動かないという状態になって、重大な危機にきているというような陳情を受けているような次第でありまして、当面国鉄として、貨車の配置その他の問題についても、時宜に適した措置をとらせるように指令はいたしておりますが、本年度予算等においても、貨車その他についての新造ということも計画しているのであります。そのこまかい点につきましては当局から説明していただきたいと思います。
  7. 羽生三七

    羽生三七君 きょうは他の方の御質問がだいぶあるようでありますので、私は大局的なことを承って、こまかいことはいずれまた改めて承りたいと思いますから、今の大臣のお話を補足する意味で、もし大局的な御説明があれば承りますが、こまかいことはよろしうございます。
  8. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょっと関連して、大臣に私はこういうことを承っておきたいと思うのですが、日鉄法が制定されたのは昭和二十三年ですね。そのときに公共企業体という経営形体に移行したわけです。もう足かけ十三年、従来の国有国営の形体から、公共企業体経営に移ってから、この間国鉄が戦後の疲弊した交通の設備の拡充発展のために非常な努力をしていただいたと思うのですよ。しかし、今大臣最後に申されたように、非常に国鉄経営というものが重大危機にきている。従ってもう一度抜本的な改革をしなければならないのじゃないかというようなことで、近々閣議にも具体的な案を持って臨みたいのだ、こういう御所信ですから、私は今伺いたいのは、国有国営当時から公共企業体移行して、十三年の経験の中で長所もあったでしょう。また公共企業体というものも中途半端なものですから、いろんな隘路も出てきていると思うわけです。ですから、そういった公共企業体経営というものに、かなりのメスを入れなければならぬ時期にきていると思うのです。この事業の公共性というものが非常に強く主張され、片や採算性というものを押しつけられてきている。ですから、運賃収入によって歳出をまかなうという非常に困難な企業だと思うわけですね。ですから、政府事業に対する積極的な施策といいますか、援助といいますか、投資といいますか、そういったものがない限りは今の経営形体というものは非常にむずかしいと思うのですね。ですからあなたが近々に閣議に一つ諮ろうという、そういう基本構想の中に、国有国営当時から公共企業体移行して、どういう長所があり、どういう短所があって、それでどこを直さなければならぬというお考えがあると思うのですね。ですから、それがもし大体まとまっているとすれば、その構想を一応ここで御披露していただくと、今羽生委員の非常に心配されている国鉄経営全般に対する隘路の打開ということに通ずると思うのです。ですから、私はできるだけ安い運賃でサービスをよくしてもらいたいというのは国民の要望でしょう。しかし一方経営者として見ると、赤字をかかえてなかなかそうもいかぬという苦しみもあると思うのです。ですから、どうか一つ国鉄経営という実態をよく国民に理解をしてもらって、国民の協力の上に改革をしていくということになりませんと、案外知らないのです、乗るお客さん自体は。国鉄経営というものはどうなっているのか、そういう点をやはりはっきりと国会を通じて、またいろんな機会を通じて、当局が国民にPRするということも大事なことではないかと思うのです。ですから、そういう意味において、あなたの御構想をもう少しこの際に伺っておきたいと思いましたものですから、関連でついでに御答弁いただきたい。
  9. 羽生三七

    羽生三七君 その今の鈴木さんの関連質問に対する大臣の御答弁の前に、もう一つこういう注文をして、御答弁いただきたいと思うのです。それは構想がおありになると思いますが、その場合に、普通の商業ベースでやるような採算制にウエイトを置かれるつもりなのか、あるいは公共企業体としての、私は国民の立場から、その性格がもっと強く出なければいかぬ。私はそういう立場に立っておるのですが、その場合には、一般会計からの財政支出もある程度やむを得ないという立場で物を考えている一人ですからどちらにウエィトを置かれておるのか、その点を含めて一つ御構想を承りたいと思います。
  10. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今羽生さんのお尋ねの点でありますが、私はやはり公共企業体という点にやはりウエィトを置いて、その中にやはり独立採算的な面にいくということも加味してやるべきである。これが単なる一つの営利企業としてやるという性格のものでは、日本の少なくとも国有鉄道はないと思うのであります。その点がどうも今まであいまいでありまして、たとえば新線の問題につきましても、そういうような赤字の出るのがわかっておるにかかわらず、建設審議会は、それをあるいはまた国鉄に、山の中に線を敷けという問題が出てくる。その場合に、当然そういうものについては国家の必要性によってそういうものを押しつけるのだから、しいていえば、国家民生のために開発されて、やがて福祉となってくるのだから、その間においては少なくとも国がめんどうをみるというわけで、利子補給の問題等も一つ、考慮してもらいたいということを、大蔵当局にも相当強く実は主張して今度もやったのでありますけれども、不幸にして微力で成功しませんでしたが、またそういう観点から考えますと、今まで国鉄に累積されておる負債、借金、こういうものの内容等もやはり分析して、これで国が肩がわりといいますか、できれば出資の形態にして、金利負担を安くするというようなことを考えてやるべき筋合いではないか。従って、鉄道の持ちまする一つの公共的な役割というものは、やはり国自体がこれをめんどうみるということを、ある程度まで一つ重点を置いてこの問題を処理しなければならないと思うのでありまして、また具体的な、どういう方式でどうかというふうにするかということについては、今私らの方でいろいろと研究を先般から進めておりまして、どうしてもこれはやはり内閣で、相当な、実際に取り組む調査会等も作って、運輸省の中にもそういうものを設けてやるということで計画しておりますが、根本的にメスを入れなければならぬ。大体国鉄の今日の問題は、本来から言えば、運賃収入が財源でありますから、運賃収入によってやる。これを商業ベースでやると、公共性に対して抵触してくる点もありますが、その運賃も、やはりある程度までの合理性を持って、公共という制度の中において、運賃自身もまた見なければならない限界線等も、ここできめるということをするべきではないか。外国では、ご存じのように、運賃その他につきましては、国有鉄道のような場合でも、フランスその他各国において、運賃審議会、運賃審判所というものが独立してありまして、そこでもって運賃の妥当性を公平にきめるというような制度等もあるようでありますが、まあ問題は、やはり一面から言いますと、議論といたしましては、それを利用する者に負担さしたらいいじゃないかという一つの議論もあるのです。これを国民全体に負担させるということは、かえって負担の公平原則からいったら、妥当性を欠くのじゃないかというような議論等もありまするけれども、少なくとも日本国鉄の場合は、国が相当思い切ってやはりめんどうを見るという態勢に持っていきたい。こういうふうに実は考えております。
  11. 永岡光治

    ○永岡光治君 ただいまの羽生委員からの質問を中心に、少しばかりお尋ねいたしたいと思います。今の基本政策の問題で、大臣がこれを根本的に解決するためにどういうふうに考えておるかということを、若干説明を受けましたけれども、結局は、審議会か何か知りませんが作られて、そこにゆだねて結論を待つという結論ですね、いうならば。それ以外に、積極的に、それでは暫定的にあなた方がどうするのだという、もうちょっと積極的に私は出てしかるべきじゃないかと思うのです。そこでお尋ねするわけですが、たとえば三十五年度予算の場合には、ここにもありますように、予算規模としては、貨物の輸送を例にとりますと、一億八千六百万トンとなっておるのですが、おたくのキャパシティの限界は一億九千三百万トンですね。ところが、新聞によりますと、中旬では百八十万トンで、昨年の倍になっておる。同期で。先ほども話がありましたけれども、予算委員会の一般質問あるいはまた総括質問を通じて、政府がたえず答弁していることは、十ヵ年問で所得倍増をやるんだ、これは大きな産業の伸びもあるのだ、こういうことを聞いてみますと、ますます産業は伸びるだろう。従って、その一番問題になるのは、輸送力だろうと思うのです。これは伸びざるを得ないと思うのですね。そうすると、一体この予算でいけるだろうかどうだろうかということを心配するわけです。予算はもう数日後には成立しなければならぬ筋合いの問題ですが、その成立以前にすでに問題が起きているのに、運輸大臣はこれについては何ら、予算委員会では、この予算では困るから変えてもらいたいという発言もない。審議会にゆだねるというようななまやさしい事態ではないと思うのです。これを見ると、もう大へんなことだ。隘路だ。もう行き詰まりを来たすというところまで来ているのに、依然としてこういう態度で臨んでおるというのは、非常に国民に対して申しわけない。一たん組んだ予算だから、それはしようがないのだということでなくて、あやまちを改むるにはばかることなかれでありますからね。早期に予算の変更をせなければならぬと思うのですが、本予算を今すぐあなた方が修正をすることはできないとすれば、当然これは年度の途中において、補正の必要がなくてはならない筋合いのものだと思いますが、そういうものをどう考えておるか。それから今鈴木委員もちょっと触れましたけれども、一体この公社制度というものが輸送隘路を来たしておる。従って、施設を思うように伸ばすことができないという原因は一体何なのかということですね。一番大きな原因は何なのかということですね。おそらく、端的に言えばそれは資金だと言うでしょう。しかし、大臣は、今その資金の調達につきましては、公企業の精神にのっとり、また企業体だから、しかも、これは国がこれに参画しているわけですから、国民の税金でまかなうというつまり一般に迷惑を及ぼすことはどうかと、こう言うけれども、しかし私は、ことしの予算を見ましても、資金運用部資金の中で一体国鉄にどの程度見ているかということですね。この資金運用部資金は、住宅公団その他いろいろなところに出ておりますが、一体政府資金として、そういう税金に頼らなくてもいい資金運用部資金が数千億あるわけですが、国鉄にこれだけ重要な問題があるにかかわらず、一体何%見ておるのか。それに比べてどの程度見ているのか。これは、私はあなたの誠意、それからほんとうに岸内閣がそれだけの誠意を持っていれば、たちどころに解決できるものだと思います。話に聞けば、造船利子補給法案も出るくらいですから、当面の陸上輸送というものは、限界が目に見えてひしめいておるわけですから、そういう資金面について、あなた方は比較的簡便な方法が考えられるのであるがこの資金面についてどう考えておるか。  それから今重ねてお伺いいたしますが、私はおそらくこの公社制度の根本は、財政法だろうと思うのですね。機構はそう変えたって……。私は、人が十分動けば、機構をいじることは必ずしも賛成しない。問題は人によると私いつも考えておるわけですが、従ってその動かし得る裏づけになる資金、その他の問題があるわけですが、何としても財政法の根本的にさかのぼる改正をやれば、一般の企業体のような観点に立って、もちろんこれは公共企業体ですから、若干の制約を受けるでありましょうけれども、今のようなかんじからあのような財政法では、とてもじゃありませんが、電電公社同様、これは動きがとれない制度だと思うのですが、そういう財政法の改正についてどう考えておるか、そしてそれをたとえば三十五年度の途中で国会が開かれれば、その際あるいはまた正規の通常国会であっても、三十六年度の通常国会になるわけですが、次の通常国会にはそういう改正を出すという腹があるのかどうか、この三点について、大臣から特に一つお答えいただきたいと思います。
  12. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) ちょっと私から事務的に……。初めに輸送のお尋ねでございますが、今国会に提出いたしました貨物輸送の想定は、ただいま御指摘のございましたように一億八千六百万トンと想定いたしております。三十四年度の想定が、大体予想も入っておりますが、一億七千九百万トンという数字になっております。輸送は一時点でなくて、長い時点で見ていかなければならないわけでございまして、三十五年度われわれがこの予算でやり得るといいますことは、増車両あるいは幹線の増強、一般的なものは輸送力があるわけでございますが、現在端的に現われております隘路は、車両でございます。貨車が非常に不足しておるということで、来年度予算におきましては、貨車の増備というものに相当大きな力を入れております。それで貨車の新造計画でございますが、これにつきましては、非常に今までになかった六千両新造しよう、九十六億円をもちまして六千両新造しよう、としております。ただ、この六千両が全部新車が入るわけではないわけでございまして、この中の車両増備が三千五百両ということになっておるわけでございます。従って三十四年末で十万九千八百両の総現在車両が、三十五年度末には十一万三千三百両となりまして、三%増加するということになります。それで三十四年度の、ただいまお話し申し上げましたように、一億七千九百万トンに対しまして、一億八千六百万トン、まあ大体三%くらいふえるという見込でありますので、大体貨車の面におきましては、いき得るという見通しをとっております。ただ、現在非常にわれわれで問題にいたしておりますのは、幹線輸送力が非常に劣ってきております。御承知のように幹線が非常に輸送の大きな動脈をなしますために、この点に将来相当力を注がなきゃならないと考えておりますのと、ただいまお話のごいざました所得倍増計画というものになりますと、日本の産業をもっと発展していかなければならない。それに伴う輸送はどうかという問題を、われわれはその数字に伴って輸送の裏づけをしていかなければならないということで、現在国鉄、運輸省を通じましてこれから五年くらい後の輸送はどうなるか、それに対して国鉄施設、車両、あり方という全般がどうなるかということを、詳細な研究をしていかなければならないということで、今それをやっておるわけでございます。非常に問題になりますのは、主要な隘路は何かといいますことは、ただいま先生端的に御指摘になりましたように資金でございます。で、この点、電電なんかと非常に悩みの点が違いますのは、投下した資本が利益を生むものであるならば、国鉄財政も何といいますか、割合に仕事がやりいいわけでございますが、御承知のように、通勤、通学輸送というものを考えました場合に、これに輸送力増強をしてそれではプラスが出るかといいますと、通勤、通学は実は一人送れば送るほど赤字になるというものでございます。これは詳しく御説明するまでもなく、非常に割引率の多いのは九割二分引いております。どんな収入がありましても、百円のうち八円収入して成り立つ事業というのはあり得ないのでありまして、こういう事業に非常に金を使っているというところに、国鉄の非常な悩みがあるわけであります。そこで、投下をいたしまして、資本効率が改良によって利益が上がるのではなくて、ますます赤字になるというところにわれわれは非常な隘路があるのじゃないか。  それからまた、貨物輸送にいたしましても、御承知のように高級貨物はトラックに来ております。それから下級貨物は国鉄に来ております。近来の傾向はそういう高級貨物トラックにいっておる。非常に今、史上未曽有の輸送増だと言っておりますが、ふえておるのは、運べば運ぶほど赤字を出す貨物がふえておるというところに、国鉄の非常な悩みがあります。それで一方独立採算制でございますので、収入の範囲でやるということになりますと、社会的に大きな影響を来たす輸送隘路ができる。それではどんどんやったらいいじゃないかというので、やるのには金がない、金を借りれば利子がふえるというところに、がんじがらめの国鉄の悩みがあるわけでございます。まあしかし、ただいまお話のありましたように、公共企業体でありますから、あらゆる努力をしてそれをやっていかなければならないということになるわけでございまして、その点国鉄の今後におきましては、私たちも楽観をいたしておりません。大臣のただいまお話のありましたような抜本的な何か施策を講じて、日本の国の経済発展に先行したいという希望を持っておりますが、今の状態では、先行することは非常に困難な状態でございます。少なくとも隘路にならないようにやっていきたいと思っております。  第三点の資金運用部からの問題につきましては、本年度はこういう状態でございまして、大蔵省も国鉄には好意的に見てもらっております。昨年に比べまして御説明申し上げますと、資金運用部資金よりの借り入れば、三十四年度は二百六十六億でございまして、本年は二百五十億で十五億減っております。ただし、鉄道債券の公募の中で非公募の分といたしまして資金運用部資金の引き受けを百二十億引き受けてもらっております。それでございますから、この点におきまして、大体百二十億ふえておりますので、百五億昨年よりよけいに見てもらっているということになっておるわけでございます。最近非常に資金運用部も詰っておられるという話でございまして、百億はまあ大蔵省といたしましては非常によく見ていただいたと感謝いたしておりますが、いかんせん国鉄自体の何と申しますか、資本勘定への繰り入れが昨年と同様で五百九十九億でございます。しかるに、事業規模というものが広がっておりますので、非常に苦しいということと、資金運用部資金をお借りいたしましても、やはり利子を払わなければならない。この利子は年々増大いたしておりますために、非常な苦しさを持っておるわけでございまして、この点では、借入金の返還金にいたしましても、三十四年度が九十七億が百七十二億、七十五億の増ということになっております。来年あたり相当思い切った国鉄予算についての考え方をしなければならぬと、かように考えております。
  13. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今おっしゃいました財政法の改正の問題を、これは今の国鉄の基本的な問題を今回取り上げますのについて、ぜひとも研究さしてもらいたいと思います。
  14. 永岡光治

    ○永岡光治君 補正予算を組みますか。
  15. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) その点はまだ……。
  16. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは新聞では中旬には百八十万トンと、昨年同期の倍だと言っておるのですね。それで今のお話を承りますと、貨物だけで一億八千六百万トンと見込んでおるのだが、私はこの新聞からすると、これでは済まされないのじゃないだろうかと思う。実績はおそらく、結果的にはそうなると途中で予算の補正を行なわなければならぬのじゃないか、こういう心配をしておるわけですから、これはもう補正をすると言ったから、それじゃ補正しろというやぼなことを言う考えは持ちません、この国会でこの補正予算を組めというようなそういうやぼなことを言って責める気はありませんが、率直に国民の代表として憂えることは、お互いに憂えなければなりませんから、その点をお聞きするわけでございますが、一体どの程度の見通しなんですか、予算より結果的にはもう少し上がるだろうと思いますが、どの程度になるだろうかということと、従ってそれは当然補正ということで臨時国会が開れて組まれることは必至だと思いますが、そういう場合には、これはもちろん組まなければならないと思います。その点大臣は何も困る必要はない、これは国民の前に明確にして安心させてやらないと困ると思います。
  17. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) これは先生御承知のように、一般会計ではございませんで企業会計でございますので、収入増に対する弾力条項がついております。われわれの方といたしましては、それでまかなえるかどうかということを十分検討いたしまして、まかなえなくなれば、そういうこともお願いしなければならないと思いますが、ただ輸送の情勢を見ておるわけでございまして、ことしが昨年同期の二倍になったということは、例年三月は割合少ないのでありまして、私どもといたしましては、暮れからの輸送の波が二月半ばから三月になると下がるという考え方で、ございましたが、相当多い。で、例年三月は波が低いのでございますから、これがふえますと相当大きくなるわけでございますが、もう少し輸送の推移を見させていただきまして、国民に迷惑をかけないように善処いたしたいと思います。
  18. 西田信一

    ○西田信一君 関連で、今公共企業体としての国鉄の経営について非常に苦心をされておるということは、われわれもよくお話を承ってわかるのですが、小さな問題ですが、ちょっと私考え方をお聞きしておきたいのです。これは比較することは適当であるかどうかわかりませんが、私ちょっと頭に浮んでおることを申し上げて、考え方をお聞きしたいのですが、道路の場合には維持修繕費というのが当然大きいわけですが、たとえば北海道なんか多量の雪が降る、あるいは北陸、北越の方に非常に雪が降る、この除雪に対しては、別の法律を作って別途国が財政負担をしておる、別の法律によって、こういうことが道路の場合にはなされておる。もちろん、これは道路は企業体ではありませんから、考え方は違うかもしれませんが、しかしながら、そういうこととこれを思い合わせるときに、ことに新線などは建設に非常に苦心されておるし、また、収入の面で赤字の経営をされるという立場から、除雪というものは相当なものだと思うのです。こういうものを別途何か国鉄経営費外に国が負担するというような、そういう道路と同じような措置を考えられたことがあるかどうか。こういうことも小さな問題であるけれども、お考えになったらどうかというように考えておるのですが、そういうお気持はありませんか。
  19. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 国鉄財政は貧乏でございますから、額は少なくとも見ていただければ、これに越したことはないと思っております。ただ、企業会計の立場をとっておりますのと、割合に全国の除雪費というものをわれわれ調べてみたわけでありますが、一億三千五百万円くらいであります。これを別の面で見ていただくということはいいと思いますけれども、今の国鉄のあり方、企業会計という立場から見まして、こういった面だけを何か財政当局に補助金をもらうということはありがたいことでありますが、ちょっとわれわれ困難じゃないかと思いまして、そういうものの要求をいたしたことはございません。
  20. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは関連がありますれば、一まず、この点はまた触れる人があれば、一つ触れていただきたいと思いますが、次に、都市交通の状況について少し伺いたいのでありますが、最近の自動車増加は非常に多いのですが、一つ具体的に例をとってそこで御答弁をいただいた方が、しぼった方がはっきり、モデル・ケースとしてわかると思うのです。東京自動車増加状況ですね。今後五年間あるいは十年後どの程度に、今どのくらいあって、そうして何万台ふえると、そういう見通しを持っているのですか。
  21. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 東京におきまする自動車数を申し上げますと、現在軽自動車まで含めますと、東京都内で四十六万両ほど自動車があるわけでございます。これが月々三千台以上ふえております。この傾向は最近従来よりも強い状態で伸びているわけであります。ただいま五年先には、何両程度になるかという推算の数字は持っておりませんのですが、大体四十六万両が三千台程度月々ふえていく。ただこの中に軽自動車が十七万八千両程度入っておりますので、いわゆる小型以上の車は、その差額ということになります。最近の自動車のふえ方は急激なものがございます。
  22. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ちょっと申し上げます。三十三年度におきまして四十二万台、二十八年度の二・二倍になっているのですが、このまま推移いたしますと、四十年度の末には七十万台をこえるだろう、こういう推定をされているのです。
  23. 永岡光治

    ○永岡光治君 この勢いでいけば、四十年度にすでに七十万台ですから、十年後になると膨大な数になるだろうと思うのですがね。これのスムーズな何といいますか、運転ですね。それを運輸大臣はどう考えておりますか。これはとてもじゃないが、今の状況でも、御承知のように朝のラッシュ、それから夕方のラッシュ・アワーになってくると身動きがとれない状況ですが、これは建設省とも関係があろうかと思いますが、運輸大臣としてはどのような対策をお持ちになっているのでしょうか。
  24. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その問題につきましては、都市交通審議会というものを設けておりまして、そこで今路面部会というものを作りまして検討いたしておりますが、大体われわれ永岡先生のような趣旨でどうなるだろうかという算定をいたしております。正確なものでない、予想も入っておりますが、ちょっと御披露申し上げますと、大体ただいま大臣のお話がございましたように、四十年度末に七十万台になったということを仮定いたしまして、東京の交通がどうなるだろうか。四十年度になったときの東京の交通というものを想定いたしているわけでございますが、大体われわれの方でとつておりますのは、都区部内の主要幹線道路の主たる交差点の交通というものが、交差点を一体どのくらい設けるかというのが交通の基本でございます。大体昼間十二時間で三万台というのが割合にスムーズに動き得る限度でございます。現在もうすでに道路の限度を越しておりますので、何分も待たなければならぬわけでございますが、われわれの理論的にはじきましたのは、昼間十二時間で三万台というのが限度でございます。昼間十二時間というものをとりましてその交通量が交差点で三万台、これが限度でございます。それを基礎にお聞き願いたいと思うのでございますが、その場合に、四十年度の場合に、都心部の交差点でございますが、十一万台という数字を想定いたしております。これが都心の昼間部でございますね、非常にぼうばくたる御説明でおそれ入るわけでございますが、大体四万台でございます。山手周辺部で五万台というふうに考えられておるわけでございまして、大体山手線内のほとんど全部の交差点が、今言いました交通能力を越しまして、相当まあ都内の交通というものは動きがつかない状態になるのではないかということで心配いたしております。
  25. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、これは動きがとれないことは大体わかりましたが、都市交通審議会の路線部会で、そこで結論を出すというのですが、その大綱はわかりませんか。構想ですね。
  26. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) この具体的な東京都の交通というものをどう解決するかということは、自動車の面だけでもあるのでございます。何といっても道路の整備が必要だというので、われわれの方は東京都が道路の計画を持っておるかということを調べましたところが、都市計画といたしまして、昭和四十年度までに、高速道路、御承知のように都内の高速道路八路線計画というのがございます。延長七十一キロでございますが、これを建設をするというのが一つの計画でございます。それからまた四十年度までの道路費は大体東京都から伺っておりますので、ちょっと私責任をもってのお答えはできないわけでございますが、私の伺っているところでは、大体五百億くらいの平面幹線道路というものの拡幅計画があるということを聞いております。それで、そういうものができた場合にはどうかということでございますが、ただ、これを想像いたしますのに、われわれのこれは想像でございますが、都心部における実施がはたしてできるかどうかというふうに、これは非常に失礼なことでございますが、想像をいたしております。ただしかし、これが全部完成をしたという状態を想定いたしますと、大体昼間部における道路交通難というものは解決するであろう、その場合には、ただ、今言いました一番混んでおります祝田橋、桜田門というような都心部における過剰交通というものは残るという想定をいたしておるわけでございます。それで、道路の問題、非常にむずかしいと思いますが、できるだけそうやっていただきましてもまだ問題が残る、それで今度は、あとはどういう問題が残るかと申しますと、道路の利用を十分やらせるということのためには、路外駐車場というものを十分整備をしなければならぬ、それは、駐車場法というものを、先年でございましたか作りまして、その面から路外駐車場というものを作っていこう、運輸省におきましては、これは自動車局長の方の仕事でございますが、バスターミナルというものを作りまして、ターミナルの混雑ということも、一つの輸送隘路になっておりますので、それをやっていこう、それから警察の方にお願いしておりますのは、交通妨害物を取り除いてくれ、現在横山町その他の問屋街に行ってみると、置き車のために道路というものが用をなさない、三車線が一車線くらいにしか使えない、こういうものをできるだけ取る。それともう一つ、この交通の安全を期しますために、交通規制というものをもっと強化をするということがまあ非常に問題であろうということで、道路面ではそういうものを考えております。ただこれだけではいけませんので、これは先進諸外国におきましても、そういうものの解決には、どうしても地下鉄網の構成というものが先決問題でございます。しかもまた、現在その交通を阻害しておる一つの原因といたしまして、路面電車というものが、東京だけでなくて、日本の交通の特異の状態で残っております。この路面電車というものがやはり取られていかなければならない、そのためにも、その代替のために、地下鉄網の構成をしなければならないということで、運輸省といたしましては、近くオリンピックがありますが、それだけでなくて、五年後の交通というものが非常に詰まるということで、地下鉄をもっと延ばしていくということを考えております。現在、地下鉄は工事をいたしておりますが、現在の地下鉄は、路面電車の存在というものを考えての交通網を作っておりますので、この路面交通部会におきましては、路面電車というものを取り除いたあとで地下鉄網というものはいかにあるべきかということを、最近取り上げて、さらに検討をしていただくということにいたしておるわけでございます。
  27. 永岡光治

    ○永岡光治君 お話を承って感ずることは、机上計画ではかなりりっぱなことは言えるのですけれども、何かうまくいくだろうかという心配を非常に私自身はいたしておるわけですが、たとえば、地下鉄網をさらに整備するというのですが、拡張していくということですが、そういう具体的に、どこの路線ということが、頭に現在浮かんでおるのかどうか。特に路面電車ということになりますと、これまた取りはずしは、理想論としてはだれしも主張しておりますが、いざ取りはずすということになれば、東京都との問題もありましょうし、相当抵抗その他に問題があろうということを考えて参りますと、これは容易でない。よほどしっかりした政治力と計画を持って臨まなければ解決できないだろうと思うのですが、七の意味では、五ヵ年計画とか十ヵ年計画というのが当然出てくると思うのですが、そういう構想、たとえば十ヵ年計画とか五ヵ年計画、そういうものを持っておるのかどうか、これが一つと、もう一つは、にもかかわらず、かリにそれができても、まだまだ私はこのまま自動車増加を放置しておけば容易じゃないという感じがしますが、何か自動車増加について規制をする考えは、運輸大臣として持っているのか持っていないのか、このままずっと野放しでいく考えなのか、その点を、運輸大臣の方にはあとの方を一つお伺いいたしたいと思います。
  28. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) まあ非常に、自動車が今申し上げましたように激増して、ほとんど道路が自動車のために洪水のようになって、時によると、わずかな距離は歩いた方が早いというような状態になっておるのでありまするが、この点はいろいろ議論がありまして、たとえば自家用自動車を制限したらどうか、あるいは自動車の製造を少なくともある程度押えたらどうかという等の議論もありまするけども、しかし、また自動車の持つ一つの経済的な役割、彼らが持っておる効果等から申しますと、この問題のために自動車の製造を規制するというわけにもいかない。また世界の各国の持っておる人口当たりの自動車の数から申しましても、あとで局長説明すると思いますが、日本は非常な低率でありますので、そこに一つの大きな悩みがあるので、日本の町というものが、こういうことを想定せずに、狭い道の中に、こう急激に自動車がふえてきたことからくる一つの何があるので、そこで今回道路法の改正をめぐりまして、ぞひともこれは、この交通問題を、一つ事故防止の観点からいきましても、あるいは交通自体の流れからいきましても、根本的に解決するためには、やはり建設省並びに自治庁、運輸省等関係省が集まって、この問題を根本的に一つ取り上げて解決に乗り出そうということで、先般も、参議院の運輸委員会におきまして、合同部会がありましたときに、そういうことを取り上げておるような次第でありまして、この問題は、なかなか簡単に解決策は出ませんけれども、逐次、やはり一つずつ解決していけば、ある程度の打開の道がつくのではないか、こういうように考えるので、いずれにいたしましても、そういう関係省によって、この問題を急速に取り上げなければ、私らでも二、三年したらどうなるだろうか、今国産車がたくさんできておりまして、あれが二、三年使えば、二万、三万で買えるから、みんながガソリン代だけ持てばいいということになって、いよいよ始末が悪いということになってきます。その他、駐車場の問題、ニューヨークあたりでも、御存じのように、自動車を持っておる者は、全部郊外にとめて、あとは地下鉄で行くという状態になっておる。世界をあげての共通のこれは悩みでありますが、特に日本の場合は、いろいろなお知恵を働かせば打開する道があると思いますから、そういうことを一つ取り上げてみたいと考えております。
  29. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 都市交通の問題は非常に問題でありまして、ことに日本のように、東京のように、人口が蝟集しておりまして自動車が多い場合は、これまた交通規制等の措置を講じなければならないと考えておりますが、現在日本におきまする自動車の保有密度というようなものを見てみますと、これはいろいろな要素を考えなければいけませんが、アメリカにおきましては一台当たりの人数が二・六人であります。カナダあたりで三・七人、イギリスが八・〇人、西独が一七・〇人、イタリアが三〇・〇人という程度でございますが、日本は一台当たり百三十一人であります。これを見ますと、日本は国土も狭いし、まあ道路等も狭いところが多いのでありますが、まだ実はその一台当たりの人口の点から申しますと、世界平均が一台当たり二十五人なんでありまして、まだ世界平均よりはずっと低い状態になっております。
  30. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) アフリカも入れてです。
  31. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) ええ、全部入れまして。こういう状態でありまして、全国的に自動車の生産を押えるというようなことは、まだその時期ではないと考えておりますが、ただ都市におきましては、やはり先ほどから大臣、鉄道監督局長が申しておりますように、新規の高速道路を作るとか、今、首都高速道路公団が発足しておりますが、これを促進するとか、あるいは街路を拡幅するとかいうこと、これは根本であろうと思います。そのほかにもいろいろな駐車施設とかターミナル施設を作るとかということが根本であり、さらに交通規制の面で、たとえば大量交通機関の優先通行とか、たとえばバスと乗用車の場合あるいはトラックの場合は、バスを優先通行させるとかいうような問題、そういう交通規制をいたしまして、この際できるだけスムースに輸送ができるような形のものを考えなければいけないと思っておりますが、今大臣が言われましたように、総理府の方に、各関係省の集まって作りまする自動車関係の機構も今考えておりますのですが、そういう方面で、お互いに建設省も、運輸省も、警察庁も、通産省もその他も全部集まりまして、具体的なそして妥当な結論を出していきたいと考えておるところでございます。
  32. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 補足しますが、私ちょうどこれは考えていますことは、まあ一つ取り上げてもらいたいのでそういうことを出そうと思っておりますのは、たとえば外壕ですね。あれはスワンが浮いて水があるけれども、あれを一ぺんほしてすっかり堀って、そしてあの下を駐車場にするか、あるいはやはり宮城というものが非常なまあ一面からいうと交通の東京の何だから、あれに地下道を掘るとか何か多少あの辺は工夫する道があるのじゃないか。特にあの外壕なんかは、私はこの間ずっと行って見て測定してみましたがね、あれは相当うまくやれば、車を下へ入れてそのあとまたふさいで、あと水を入れて魚を泳がしておけばいいのだから、そして宮城の下か何か、あそこを穴あけて通れば相当緩和するのじゃないか。何か多少やはり工夫を働かせば、まだいろいろな道があると思うのですが、そうしなければ、普通のところをのけて駐車場を作ってみましても、大へんに何がかかりますしね。それから、やはり大きな、あそこへ自動車の流れる道を作るにしても、私は宮城の下を何とか方法を講じてやれば相当緩和するのじ心ないか。いろいろそれらの問題を一つ取り上げてみて研究してみたいと思っております。
  33. 松浦清一

    ○松浦清一君 関連。これは質問というよりも意見を述べるようになりますけれども、今自動車局長は各国の自動車一台に対する人口の比率の数をあげましたけれどもね、それだけで少ないとか多いとかということの判断の基礎にすることは、少し間違いだと思うのです。やっぱり道路の幅員だとか自動車の駐車場とか、そういう施設のそういうものをあわせてやっぱり考えていかないというと、まだ日本自動車台数足らないのだと、私はふやす方に賛成ですがね、そういう勘定の仕方にはちょっと私は異議がある。アメリカあたりに行ったらわかるように、一つ工場を建てたりビルを建てたりしたら、それと同等の面積を自動車の駐車場にちゃんと取っておくのです。これから先の自動車行政をやる場合には、道路の関係というものを考えて、今の丸ノ内方面に行ってもわかるように、ほとんど会社の自家用車が天下の公道占有しちまって、われわれタクシーなんかに乗って行っても、自動車をとめて置くところありゃせぬ。ああいうところをやっぱり考えていかないというと、自動車の台数が多いとか少ないということの私は議論の対象にならぬ。ビルをこれから建てるのだったら、地階を自動車の駐車場にすることを条件にするとか何とかそんなことを考えていかなかったら、自動車の問題の解決はっきませんよ。これはまあ答えなくてもいいが、僕は意見だから。僕は自動車実際足らないと思う。どんどんふやしたいと思う。駐留軍の労務者が一生懸命になって三年もかかって申請したって、何だかんだといって、条件が整わないのかもしらぬけれども、許可しないというようなこともあるし、まだまだふやす方針を立てて、そのふやした車がちゃんと駐車できるように施設を作っていくことを考えなければならぬと思う。
  34. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は消極的に解決することには反対なんです。積極的な解決策を考えるということが私の一つの主張なんですが、何かそういう規制の方法でもあれば、ちょっと聞いておこうと思って質問したわけです。  そこで、今大臣のおっしゃった関係各省で、審議会か何か知りませんが、そういうものを作って解決方策をきめようというのですが、いつごろ大体発足いたしますか。
  35. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) ただいま総理府に交通事故防止対策本部というのがございますが、これは事故対策を主眼にしてできました機構でございます。これを拡充いたしまして、できるだけ早い機会に、まあいわば四月ごろにはあるいは発足できるかと思いますが、自動車に関するこういう機構というようなものに改組いたしまして打ち合わせを進めていきたい、こう考えております。
  36. 永岡光治

    ○永岡光治君 地下鉄にはまた触れる人が同僚議員でおりますから、私は触れることを差し控えますが、で、さっきにまたこれは戻って参りますが、輸送の料金の問題ですね。料金の問題。地下鉄の料金を、まあ運輸大臣は許可して経済企画庁長官がちょっと待ったというような記事が、まあきのうですか、きょうですか出ておったようですが、この運賃の値上げというものについて、大臣はどういうように考えておりますか。
  37. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 運賃の値上げは、これは慎重になすべきことは申し上げるまでもありません。いろいろ他の物価にも影響等もありますから考えなきゃならないのでありますが、地下鉄のこの問題はあとで局長から説明をさせますけれども、どうしても地下鉄が今後新規事業を進めていくと、路線を拡大していくという一つの大きな使命を持っておりますけれども、それをやるにつきまうても、どうしても経営対策自体がやはりある程度までの内容がよくならなければならない。その点について地下鉄が在来の線から、昨年であります新しく作りました線について膨大なやはり資金等を要しまして、それを特別運賃にしなくてプールにしておる関係等もありまして、それで償還その他についてもほとんどなし得ないというような状態で、しかも、これは国家が公共企業体としてこれをある意味において援助するといような処置もとっておらない関係等もありますのでどうしてもやっぱり健全な一つの態勢を整えしむるという意味から、最小限度に、あの線を許すという大体方針をきめたのでありまして、企画庁との問には、事務当局との間に話し合いがまだ十分ではない点もあったかのように聞いておりましたが、今朝来いろいろ話ししまして、企画庁の方も了承を大体いたしておるような次第であります。その他のことについては、あとでまた局長から……。
  38. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 地下鉄の運賃の改訂問題につきましては、実は昨年の三月に新宿線が開通いたしまして、でその際に、それまでは池袋から新宿へ行く線と、それから渋谷から浅草に行く線と別々に二十円取っておったわけでありますが、それが赤坂見附でつきまして、全線二十円ということになりまして、全部のお客さんではありませんが、乗りかえて行かれておった、ほかの交通機関を使っておった方には運賃の値下げのような状態になったわけでございます。実を申しますと、そのときに地下鉄が運輸省に対しまして、相当赤字になるから運賃を値上げしてほしいという要望がございました。ただ、われわれの方といたしましては、運賃というものは実際の数字をもって議論すべきものであって、想像としては、われわれの予想としては当然赤字になるであろうと思うけれども、新宿まで通って、一体どれくらいのお客さんがあってどれだけの支出があるかということは、われわれ事務屋といたしまして、一定のデータを取った上でないと、東京の都内の交通のようなものでございますので、輸送量の算定が厳密にいきかねる、それでしばらく実績を見てから取り上げるということで保留をいたしておりましたが、昨今、唐突に世の中には出て参ったわけでございますが、われわれといたしましては、地下鉄が新宿まで通る前からいろいろそういう話はしておったわけでございます。それで、その後半期の決算を見、推移をよく調べてみますというと、御要求がありますと詳しい数字の御説明もいたしますが、略していただきますが、大体減価償却費といたしまして一億しか出ないという数字が明らかになりました。それでもう一つわれわれの方で問題にしておりますのは、今一番困っておりますのが渋谷から浅草へ行く線が非常に混雑をいたしております。御承知の通り、渋谷におきまして国電を受け、あそこの渋谷の駅の前から各方面に出ておるバスを受け、かつまた京王線を受け、東横線を受けておりますために、現在ラッシュ時には五両編成でやっておりますが、何とかしてこれを六両編成でやらせる、そのためには浅草その他の駅を相当大改良しなければならないということで、別途われわれの方からそういう工事をしろという強い要請をいたしております。ところが減価償却費といいますものが、御説明するまでもなく改良工事にみな使われておるわけでございまして、そういう費用も出ない、かつまた、丸ノ内線がだいぶ混んで参りまして、現在四両編成でやっておりますが、これでも持ちません。で、できるだけ早い機会にこれを五両とし、あるいはさらに六両とする、丸ノ内線は六両で計画しておりますので、車両さえふやせばできるわけでありますが、そういった費用も必要である。かつまた、現在地下鉄におきましては新宿、荻窪という線、これは本町二丁目から方南町に行く分岐線を持っておりますが、この工事を鋭意やっております。もう一つは、北千住から中目黒に行く線、これも早くやらせなければならないということでございますが、最近の地下鉄工事の建設費が非常に上がって参りまして、大体キロ当たり二十億かかります。キロ当たり二十億かかりますと、われわれの方で、フラットに新しく建設した経費をはじきますと、利子人件費を払いますと大体ゼロになるという計算になります。これでしかし、まあ、ただいま来お話がありましたように、何とかして地下鉄というものを作り上げないと、東京の交通が御存じのように非常にむずかしくなる、われわれはできるだけそういうことをやらしたいということでやったわけでございまして、実は二十五円に上げましても、減価償却費が四七%くらいしか法定から見ると取れません。その上二十五円に上げましても赤字が相当残るという計算になりますが、ただまあ、一部では、そういう中途半端な運賃値上げをしないで三十円にしたらというような意見もなきにしもあらずでございます、これは各省にも外部にも。ただ、その運賃というものは、やはり調整の問題でございまして、高くすればいいというものじゃございません。高くして乗らなくなりましたならば、これまた収入の面からいうとおかしいのでございまして、二十五円ならば都電でございますとか、あるいはバス、国電というものを考えまして、便益性から見まして、まあわれわれ少しの乗車減はあると思います。三%やそこう辺のお客さんは減ってくると思いますが、大きな輸送の変化はないであろう、まあこの辺がわれわれ適当であろうというふうに考えておるわけでございまして、この会社は、国鉄東京都の出資によってやっております公益法人でございまして、まあ東京都方面では出資をしても配当がない、六分まで配当ができることになっておりますが、全部配当を押えております。そういった配当を全部つぎ込ませておりますけれども、運輸省といたしましては、そういう方面に金を使わないで、できるだけ既設線の改良並びに新線の建設というところに全力を注ぐように言っておるわけでございまして、地下鉄当局といたしましては、非常に早くから要望をしておったわけでございますが、われわれ非常に慎重にかまえまして、慎重にかまえていた末何か少しこじれたという気味があるわけでございますが、そういう状態でございますので、われわれといたしましては、やむを得ないのではないかというふうに考えております。
  39. 永岡光治

    ○永岡光治君 大臣、私そのほかには国鉄運賃国鉄料金の値上げの問題、特に話を聞けば貨物はふえればふえるほど損になるようになっているという、そういう問題もちょっと聞いたものですから、貨物あるいは旅客運賃の値上げについてどう考えておりますか。
  40. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 貨物につきましては、国鉄部内にある鉄道貨物運賃調査会というもので相当長期間にわたりまして検討をいたしておりました。で、ただいまちょっと申し上げましたように、日本の貨物運賃制度といいますのは、負担力主義をとっております。それで運賃というものは原則として原価主義をとるべきであるということは、運賃論として正当でございますが、現在負担力主義をとっております。これを急激に変えるということはむずかしいと思いますが、ただ負担力主義をとると、どういう運賃制度になるかと申しますと、現在の国鉄運賃制度におきましては石炭が七級でございまして、これよりも級の多いものは安くなる。それから一、二級というようなものは高くなっておるということでございます。それで全部を含めましてとんとんという格好でございます。ですからどういうことになるかといいますと、非常に……。
  41. 永岡光治

    ○永岡光治君 上げるのですか、上げないのですか。
  42. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 貨物の運賃制度でございます、運賃制度がとんとんになっておりますので、高い貨物でもうけて安い貨物の赤字を消しておるという状態であったわけでございますが、トラックが非常に発達して参りまして、いい貨物がみんなトラックに行ってしまう。そうすると、もうけてそれから補充するということが、非常に困難になって参ったわけでございます。それで先ほど申し上げました、運べば運ぶほど赤字が出るといいますのは、原価を割っておる貨物がふえておるということでございまして、これをできるだけ原価に近づけたいというのが終局の目的でございますが、これも相当問題がございますが、現在考ておりますのは、総収入において、大体においてプラス、マイナス、ゼロということで貨物の制度を改正したらどうだろうか、ある程度下級貨物についても負担をしていただき、高級貨物は逃げない限度で、トラックに逃げられない限度で押えるという貨物運賃制度を、今考究いたしております。  旅客運賃につきましては、非常に旅客の性質が変わって参りました。三百キロぐらいのところはそう大きな変わり方はしておりません。今の輸送の状態で、三百キロをこしますと大体準急でありますとか、急行でありますとか、あるいは特急に乗るお客さんが非常に多くなっております。これも御説明しておりますと長くなりますので省略さしていただきますが、ところが戦後の運賃制度が、そういう急行料金が非常に高くなっております、パーセンテーシが一般の料金に対しまして。お客さんはまた逆にそういう準急、急行というものを利用するお客さんが非常に多くなっておる。その面でやはりアンバランスが生じておるので、そういう制度を改正をいたしたい。かたがたまた、需要というものに適合したものもやっていかなければならぬということでございます。もう一つは、対自動車との対抗というものも十分考えておるわけでございますが、そういうことをやっていけば、制度といたしましては、バスあるいはトラックに食われることは、あの程度やむを得ないといたしましても、それを相当防止できるのではないかという趣旨の改正案を今考究をいたしておるわけでございます。
  43. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと御注文しておきます。国鉄のこの方針黒字路線中心に片寄り過ぎておるという私は気がするのですよ。というのは、私は長野県でありますが、上野から長野へ行くには四時間ちょっとで行く。ところが、長野市から私の自宅に行くには六時間の余かかる。だからめった長野に行っても家に寄ったことがない。だから乗りかえのときには少なくとも二十分から一時間以上。鈍行、最近幸いにディーゼルを何台か入れていただきましたが、あの煤煙。それでしょうがないから、ときどき、南の方ですから、東海道へ出てくるのですね。そういう状態ですから、どうも採算の関係もあるから一がいにそうも言えぬけれども、あまりどうも東海道黒字路線中心で、僻地が閑却されておるというような感じがするので、これを一つ御注文しておきます。御答弁は要りません。
  44. 白井勇

    主査白井勇君) それでは午前中はこの程度にいたしまして、午後一時から再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時十三分休憩    —————・—————    午後一時十八分開会
  45. 白井勇

    主査白井勇君) 休憩前に引き続きまして分科会を再開いたします。  御質疑のあります方は順次御発言を願います。
  46. 鈴木強

    ○鈴木強君 けさ羽生委員からも御質問のありました国鉄運営全般の問題について、その基本になる経営のあり方、それから今後の問題等について、私は御意見を承りたいと思いましたが、時間の関係もあるようでございますから、その基本的な問題については他日に譲りますがどうぞ一つ、運輸大臣もみずからお認めになっておりますすように、国鉄事業の危険が率直に訴えられているわけでありますから、戦前戦後を通じて、国鉄の経営のあり方が公共企業体という形に変わっておりますが、実際の現状を見ますと、公共企業体というものの妙味がほとんどなくなっていると私は思うわけです。公共企業体審議会からも何回も答申が出され、その答申に基づいて、抜本的な検討を加える時期にあると思うわけでありますが、毎年々々延ばされて検討中、検討中ということでもって今日に至っていることは、非常に私は残念に思っております。ですから、公共性と採算性というものを加味された企業ですから、実際に原価計算をしてみて、収入によってまかなう事業が赤字になる、その赤字をどういう方法で補てんするか。運賃値上げに求めるか、あるいはお話のあったような一般会計からの補てんを考えるか。いずれにしても赤字のままで経営するということは酷です。できません、だれがやってみたところで。ですから、そういう基本的なあり方について、もっと勇気を持って運輸当局はその実態を国民に訴えるとともに、その施策を早急に立てていただくように、私は午前中ちょっと関連して質問いたしましたが、大臣が近々閣議に何か具体的な問題について提案をしたい、こういうお気持もあるようですから、その点を伺ったのでありますが、時間の関係で御答弁がございませんでした。そういうことを私はきょう承りたいと思っておりましたが、時間の関係で省略をして、具体的な問題について少し意見を承っておきたいと思います。  運賃問題にからんででございますが、地下鉄の値上げの問題は、午前中質疑がありまして大体わかりましたが、その中で、あるいは午前中質疑があったかもしれませんが、今の二十円を二割五分上げて二十五円にするという案について運輸大臣が承認を与えるような方向におるようでございますが、確かに経営を聞いてみますと、新線の拡張その他いろいろ経営上からみて採算がとれないという現状ですから、何とかしなければならぬということはわかります。だがしかし、御承知の通り均一料金を取っておりますので、たとえば渋谷から乗って神宮前で降りるような人からみると、いかにしても二十五円に値上げするということは高いと思うのです。一方地下鉄の方からみると、今のような均一料金ですと、人件費もかなり省けるようですし、そういう面からの合理化といいますか、工夫をこうしていると思うのでございますが、何かこういう値上げをするような時期に、非常に近距離の一丁場か二丁場乗るようなところは何か工夫ができないものだろうか、そういう考え方も持っておるのでございますが、その問題についての御見解と、それから最近枕崎線について国鉄審議会の答申があったのでございますか、特別な料金を他より高い料金を課すということにもなっておるようでございますが、これはもう国鉄の基本方針からみて私は許せないことだと思うのです。経営の苦しいことはわかります、赤字が出ておるのですから。しかしこれは、郵政事業を見ましても、電通事業を見ましても、電報が一日に二、三通しかない所でも必要な職員を配置してやる。これは御承知の通り電信は百億くらいの赤字があります。そういう赤字をかかえながらも、なおかつサービスをやっていくというところに公共性が主張されるわけですから、事業を理解する者から見ると確かに酷な言い方かもしれませんが、ただしかし、その地域の住民だけに、公共企業体という国民のものを、なぜ高い料金を課せなければならぬか、こういう矛盾があると思うのです。そういう点をどういうように割り切ってやられたのか。  それからもう一つは、聞くところによると、新聞とか雑誌等の輸送料が値上げになるというようなことも言っておるわけでありますが、これらもおそらく他と違って安い運賃でやっておられると思うわけですが、しかし、現実に運賃値上げということは国民大衆にかなり影響します。これは、経済企画庁の方へ連絡のそごか何かで、二十五日の閣議ではきまらなかったようでありますが、国民全体の生活向上という立場に立って国民経済考え、その中で国民所得を考えていくわけですから、そういう意味からいっても、物価の引き上げということがかなり影響しますので、いろいろ問題があると思うのでございます。ですから、新聞とか雑誌の輸送料等を値上げしなければならぬような理由というものがどういうところにありますか。この点も一つ料金関係として、三つの点を伺いたいと思います。
  47. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) ただいまのお尋ねは三つあったと思いますが、初めの地下鉄の運賃で短区間について特別な運賃制度を認めてはどうかということでございました。地下鉄の運賃につきまして、御承知のように現在窓口事務をできるだけ簡素にいたしまして、機械による販売をやっております。これは、一は人件費を安くしょうという経営的な目的でございますが、もう一つ、都市内交通の要請は、利用者ができるだけ早く切符を買い、用を足せる。特に東京のような所、私も東京人の一人でございますが、気が早いので、込ませないでどんどんさばいていくということも一つの大きな要請になっておるわけでございます。そこで、運輸省におきましても、従来そういう区間制運賃というものについて、地下鉄にどう実施させるかということも研究をいたしました。で、われわれの理想といたしましては、諸先生方もすでに諸外国の地下鉄を御利用願ったと思っておりますし、また世界の大勢はそうでございますが、都市生活におきまして、やはり都市内の交通というものは、均一制というのが非常に多年の、どこの国の経験でも非常に理想的なものだということになっております。われわれもできるだけそういう態勢を整えて参りたいという気がいたすわけでございますが、ただいま先生の、部分的にそういうことをやるということは、ちょっと今技術的に困難でありまして、それをやるならば、全面的な区間制運賃をとらざるを得ないということになります。と言いますことは、どこの駅だけのお客さんということだけでなくて、全部からそういうところをとりますためには、全部やはり改札を置かなければならないということで、そういうことで、われわれはそういう運賃制度をやりたいと考えております。  それでは、運輸省はいつまでこういう均一制度をとっていくのかという問題になりますが、われわれはできるだけとらせたいという希望を持っておりますが、午前中に御説明申し上げましたように、建設費が非常に高いものでございますから、そうなりますと、今先生の御指摘のような、今度の二十円が二十五円というようなものでなくて、非常に高い均一の料金をとらなければならなくなりまして、これまた都民生活の面からいうと不適当であろう。ことに、この次ぎ運賃が問題になりますときは、私鉄と連絡をいたしまして地下鉄をひくように今計画いたしております。ということは、現在ひいております地下鉄の線と私鉄の線をくっつけまして、遠方から入って来られるようにしたら便利であろうということがありますので、そうなりますと、今の運賃制度というものはちょっと維持できないのじゃないか。それまでに十分検討いたしまして、なるべく人が少なくて、かつまた単純でいいという制度、地帯別運賃制度でございまするとか、あるいは線別運賃制度でございますとかいうものを今研究中でございまして、それじゃ具体的にどうしろということはまだちょっと時間がありますけれども、はっきり申し上げられませんが、今の制度を維持することはちょっと困難ではないか。できるだけしたいけれども困難だということで御了承をお願いいたしたいと思うわけでございます。  第二番目の……。
  48. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと移る前に……。今の、私鉄から地下鉄へ連絡というのは、それは乗りかえなしにずっと乗り入れすることですか。
  49. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 地下鉄の線と私鉄の線をつなぎまして、まっすぐ入ってくるようにしたい。
  50. 羽生三七

    羽生三七君 まっすぐというのは乗りかえなし。
  51. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 乗りかえなしで入ってくるということを今計画いたしております。その際に、私鉄の運賃制度と地下鉄の運賃制度とがプラスになりますので、新しい制度考えなければならぬということを今御説明申し上げたわけでございます。  それから枕崎線の問題につきまして、特別の運賃制度をとること、先生のお話ごもっともでございまして、こういう機関といたしましては、全国一律というのが原則であるということはわれわれも十分存じております。ただしかし、地方の御要望を満たしまして、今国鉄が盛んに建設線をやっておりますが、枕崎線の場合でございますと、大体営業係数が、今度開通しました区間の予想が九〇〇ぐらいでございます。九〇〇といいますのは、結局百円の収入を得るために九百円の支出が要るという計算になっておる線でございます。この点におきましては、国会あるいは国会外でもいろいろの論議がございまして、国鉄が非常に経営難であるから、そういう赤字をふやすような建設線はやるべきでないという御意見が一番極端な御意見でございますが、しかし、国鉄の持っております公共的使命といたしまして、やはり交通網を形成すべきための線路、あるいは地方の重要な資源を開発するための鉄道というものは、やはりやっていかなければならないものであるということでやっておるわけでございまして、われわれといたしまして、そういった特別の運賃を作るということは決して本意ではございません。それで、鉄道建設審議会でいろいろ御審議を得ましたときの議論は、この建設線に対する利子は一つ国で持ってもらおう、それから運賃も少し上げて、その点は利用者の負担で持っていただこう、国鉄もまた赤字を持とうという三万損のような形の考え方でやったわけでございますが、遺憾ながら利子補給の点は、今度の予算ではお認め願えなかったわけでございますが、いずれにしても赤字が多いので、持っていただこう、ただし永久にほかの線と同じようにやるということはいけない、あるいは十年とか十五年とかいうことでお持ち願うということで、われわれも本意ではございませんが、その点はどうもやむを得ない状態でございますので、私のところへもいろいろそういう関係の方々が来ますが、地元の方々は、まあしかしある程度の負担はやむを得ないであろうということを、利用者の方も言っていただいていることもございまして、不本意ながらそういう運賃を作らざるを得ない状態にあるということであります。もちろん国鉄の財政が豊かであれば、こういうことはやらなくて済むわけでございますが、現在の状態では、何としても赤字を少しでも消していかなければならぬということで、お話ごもっともでございますが、まあやむを得ざる措置といたしまして御了承をお願いしたいと思います。  新聞、雑誌につきましては、これは国鉄が現在法律的な要請を持っております以上に、公共負担を約五百三十億年間に持っております。この中には、お話を申し上げております定期とかその他いろいろがありますが、その中の新聞、雑誌はその一例でございまして、大体八割程度の割引をいたしておるわけでございます。この問題につきましては、国鉄とそういう新聞あるいは雑誌の機関というものと、いろいろ長い間にわたりまして折衝いたしました結果、最近一割程度の値上げをしたということでございまして、実は運賃としましては、まだ非常に安い運賃を設定をいたしておるわけでございますが、まあ幸いにいたしまして国鉄の状況をそれらの団体の方々も御了承願いまして、この程度の負担はごしんぼう願うということで話がついたわけでございまして、これもやはり公共負担の一つの態様でございますので、八割の運賃の割引というものが、つまり七割強の運賃割引になったという程度でございます。
  52. 鈴木強

    ○鈴木強君 枕崎線の特殊料金については、もうあなたの考え方よくわかるのです、私にも。しかし、何とか利子補給くらい政府の手によってできないということであれば、これはもう重大問題でしような。だから国鉄経営を政府がどう見ておるのか、私は非常に疑問を持つのですよ。なるほど百倍もの支出増になるようなそういうものをやれというのは、これは無理なんですから、やるからには、経営がある程度成り立つような措置をとってもらわなければ、これはだれがやりますか、民間企業でやったらこれはどうなりますか、そこに公共性という国有鉄道の使命があるわけですから、これはあなたに文句を言ってもしょうがないので、国会としても大いに論議をしなければならぬところだと思いますが、運輸大臣も、これは一つそういう実情の上に立って、審議会の答申を認めてやろうということでございますから、これはもっと政治力を発揮していただいて、一応考えてその上で検討するというようなことですから、そう十年か十五年も待たずに、もう早い機会に、すみやかに一般の全国的な運賃のレベルまで下げられるような一つ御工夫を、これは政治力によってやらなければだめですよ。そういうふうに一つぜひ御努力をいただくことを期待をしておきたいと思います。  それからその次に伺いたいのは、けさの大臣説明にもありましたように、どうも日本の鉄道は、私鉄を含めて、踏み切りなんかが大都会の中で遮断するやつでやっているとか、踏切番がいないというので非常に事故が多いと思うのです。この際国鉄、私鉄を含めて一年間に、これは最近の年度でけっこうですが、鉄道事故によって死亡されておる方はどの程度ございますか。
  53. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 最近におきます死傷事故では、三十三年度の統計が一番新しい統計でございますが、これは踏み切りだけでないわけでございますが、鉄道関係で死者が千七百二十九人でございます。それから負傷者が三千三百三十二名、計五千六十一名というのが国有鉄道の数字でございます。  私鉄関係の事故といたしましては、同じく三十三年度の……ちょっと調べまして御説明申し上げます。
  54. 鈴木強

    ○鈴木強君 あとでいいです。あとで一緒に調べて下さい。
  55. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) それでは調べまして、あとで御説明申し上、げます。
  56. 鈴木強

    ○鈴木強君 そしてこれの防止対策というものですが、たとえば踏み切りにもっと踏切監視人というのですか有人踏み切りにするとかあるいは立体交差にするとか、できるだけそれをとり入れてやるとか、こういう御計画をお持ちでございますか。あったらその内容を知らせて下さい。
  57. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 踏み切りにつきましては、最近の鉄道事故は割合に一般的な情勢としましては減ってきております。その中で、年々ふえておるという踏み切り事故が非常に問題になっております。この事故をどうして減少させるかということになりますと、どうしても一番いいことは立体交差にして踏み切りをなくすということがいいわけでございますが、これは非常に費用のかかる問題でございます。それは踏み切りには御承知のように全然人がいない踏み切りと、ちゃんちゃんと鳴る踏み切りと、それから人をつけておる踏み切りと、いろいろ種類があるわけでございます。われわれの方としましては、そこを通過する交通量によりまして、その格をだんだん上げていっておるというような状態でございます。それで、昨年の秋に全国の踏み切りの調査をいたしまして、踏み切りの実態は運輸省におきまして把握いたしております。その結果、どの踏み切りをどう直したらいいかということも、われわれの方では一応の考え方を持っておりまして、国鉄、私鉄ともにその方向に向かいまして、整備をいたしております。ただ、非常に問題なのは都市付近の踏み切りでございまして、実は、たとえば三十三年において、一つの鉄道会社が十件——仮定の問題でございますが——踏み切りを改良しなければならないと言っておりました。ところが、次のときには、ほかの踏み切りがまた格上げをしなければならないというふうに、非常に年々踏み切りの経費が高くなっておる状態でございます。根本的には、われわれの方といたしましては、現在では行政指導でやっておりますが、やはり法的に基準というものを作りまして、その基準に達した踏み切りは、国鉄も私鉄も、これは法律の立て方でございますが、義務として格上げしなければならないという法律を実は考えておるわけなんでございます。ところが、やはりこれは道路関係との費用の分担ということが非常に今問題がございまして、われわれの方の希望といたしましては、踏み切りがやはりどうしてもそういうふうになるのは、原因は鉄道の側にもありますが、大半は、常識的に道路の側じゃないか、自動車が非常に多くなるために踏み切りに費用がかかる状態になるので、その費用の一部を道路の側でも負担してくれないかという折衝を、長年にわたってやっておりますが、遺憾ながらそういったような話はできておりませんが、できるだけ話を詰めまして、運輸省といたしましては、できるだけ早く道路と踏み切りの交差に関する法律という名目で折衝をいたしておるわけでございますが、こういうものを作りたいということで努力いたしております。
  58. 鈴木強

    ○鈴木強君 ことしの予算では幾つくらい格上げするようになっておりますか。
  59. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) ちょっと調べましてお答え申し上げます。
  60. 鈴木強

    ○鈴木強君 その次に、事故の問題に関連して、先般の十六日に起きた名古屋空港の全日空機の惨事の問題でありますが、これは参議院の内閣委員会で運輸大臣から御答弁がありましたので、重複は避けますが、私は結論だけをちょっと伺いたいのですが、運輸大臣は、これらの災害に対しては、国鉄側にというか、運輸省の航空管制官にもし過失があるとすれば、これは国家補償を当然しなければならないというふうに伺っておるわけですが、この事故の責任の所在は、その後どういうことになりましたか。そうして大臣が御答弁になったような国家賠償をする必要があるかどうか、その事故の原因判定によってきまることだと思いますが、結論だけでけっこうですが、その後どういうふうになっておりますか。
  61. 辻章男

    政府委員(辻章男君) お答え申し上げます。この事故の原因につきましては、現在運輸省では航空局におきまして事故の原因の調査をいたしております。なお、これは実地にいろいろ検討しなければならない点もございますので、まだ結論が出ておりません。それからなお、これと並行いたしまして、御承知のように検察当局の活動が開始されておりまして、現在私どもの管制官であの事故に関係のあります者が一名勾留されておりますが、これにつきましても、まだ検察の態度は最終的にはきまっておらない段階でございます。それで、ただいま政府といたしましては、この前、大臣からもお答え申し上げました通り政府の側に責任がありますれば、国家賠償法その他の法律の適用があるのではないかという考えを持っております。これはしかし、今までの慣例によりますと、刑事事件にかかりますものにつきましては、大体その裁判の確定を待って国の責任等を明らかにされなければならないという考え方が通例になっておりますが、御承知のようにそういうことになりますと非常に長時間かかりますので、実は財務当局と話し合いをいたしまして、今責任があるということを政府としてきめるわけにはいかないが、あの事故の現況から見まして、政府側に相当責任があるという可能性が強いじゃないかということで、とりあえず、なくなりました方に対しては弔慰なり、また生存者に対してはお見舞の措置をとろうじゃないかということを話しかけまして、原則的には財務当局の一応了解を得ております。それの金額をどうしようかということを現在実は話し合っておるところでございます。われわれといたしましても、できるだけ早く今申し上げたような弔慰あるいは見舞の措置をとりたい、かように考えておる次第でございます。
  62. 鈴木強

    ○鈴木強君 原因は探求されているようでございますが、私一つ指摘したいのは、ちょうど当日勤務をしておった管制官が見習管制官だということが新聞紙上で伝えられているわけですが、そのことに間違いがないとするならば、非常に人命を尊重し、その方面については洞爺丸事件やまた宇高線の事故等にかんがみて、何回か国鉄当局の注意を喚起しているところでありまして、慎重の上にも慎重な態度でやっておられると思うわけでありますが、この見習管制官というものは、まだ管制官になっていないのですね。そういう技術的に未熟な人に全責任を持たして、そういう管制の任務に当たらせるということには、ちょっと問題があると私は思うのです。やはり本職が、本職というか、管制官の訓練を終えた人がおって、そうして見習いであるならば補助的な勤務に携わるということが建前じゃないかと思うのですがね。これは定員上、どうしても人が足りなくてやったことだと思いますが、その間のいきさつはどうでございますか。
  63. 辻章男

    政府委員(辻章男君) ごの見習管制官という言葉でございますが、これは実は法律的な言葉ではないのでございまして、私どもも内部でそういうふうな言葉を使っておりまするが、あの事件の際に、そういうふうな話になりまして喧伝されたのでございますか、この管制官の養成のことを簡単に申し上げますと、これは大体今新制大学二年修了程度の学力を持ちました者を試験によりまして採用いたしまして六カ月間航空局で研修をさしております。それで、これが通りますと、一番最低の管制官の資格試験はパスしたことになるのでございます。従いまして、これは何と申しますか、ほんとうに全然しろうとを管制の仕事に携わらしたという、いわゆる見習いの意味ではないのであります。ただ、大体この管制官の資格には三段階ございまして、今申し上げましたように一番低いグレードの資格は持っておりますけれども、その上の資格、もう一つ上の資格はもちろん持っていないわけでございます。そういう意味で、何といいますか、どういうふうな仕事にも携わり得る管制官を一人前としますれば、それにはまだ能力が劣るのだという意味の見習いでございます。それで、私どもの組織の中では、そういう管制官は、俗に主任管制官と言っておりますが、たんのうな管制官の監督の下でなければ仕事をしてはいかぬのだというふうに、組織規程をきめまして仕事を運営している次第でございます。ですから、あの事件のことから申しますれば、すべて一番上級のグレードの免状を持ちました資格者ばかりの方が管制としては完全を期し得るということでもございますので、人数あるいはまたその実地の訓練等の要請がございまして、先ほど申し上げましたように、必ずタワーにはそういう練達の管制官がおりまして、その中でそういうグレードの低い管制官を指揮しながら仕事を運営していくという組織にしている次第であります。
  64. 鈴木強

    ○鈴木強君 実情はわかりましたが、当日も主任管制官のもとに見習管制官がおったと、こういうことになりますか。
  65. 辻章男

    政府委員(辻章男君) さようでございます。
  66. 鈴木強

    ○鈴木強君 それで、これは管制方式等もおよそ規程があるようですし、それから有視界の規程もあるようですし、これはもちろん操縦士の方にもかなり明確に、ただ管制官の右へ行け左へ行け、スタートせいというようなことばかりでなしに、視界を十分把握して、その上に立って動くということになっておりますからね。責任の所在はこれはいろいろ法廷でまた論争になると思うのですが、むずかしい問題だと思いますが、いずれにしても、責任の所在というものがどうなるか、これはここでは軽々に言えませんが、少なくとも主任管制官のもとに指揮を受けて見習い管制官がやったとすれば、その面における手落ちはなかった、こう言えると思うわけですが、これはいろいろそういう原因もあるでしょうが、やはり自衛隊と一般の航空機が同じ飛行場を使っているというところに問題があると思うわけでありまして、こういう点について、防衛庁の方では、分離するなんということについては考えを持っておられないというようなことをちょっと聞くのですが、運輸省としては、将来、まあこれはすぐできないことでしょう、土地の賠償その他もありますから……。しかし、基本的な考え方としては、やはり将来は分離していく、こういう御方針でお進みになっているのでございますか、運輸省では。
  67. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) このたびの事故は、まことにこれは申しわけないことでありまして、結論的に申し上げますと、やはり管制官に確かに指令を出したのに誤差があったと思います。これはいろいろ情勢を分析しますと、非常に管制官にも気の毒な点がありますし、まあ現われています全体からいえば、責任の所在は運輸省当局にあると大体に見られる状態にありますけれども、今、鈴木さんの御指摘のように、ちょうどジェット機を操縦する人が前方を見たときに光を見た、あかりを見た、そのあかりはあそこの飛行場で工事を自衛隊がやっておるのですが、その工事のあかりだと思って、そしてそのままスタートして、はっと気がついたときに飛行機だということで、上を飛び越そうとしてああいう事故が起こった。従って、厳密に言えば、その自衛隊の人もタワーにもう一ぺんちょっと問い合わせてくれれば、あるいは注意義務といいますか、そういうことをやってもらえばよかった、これはこっちからの話でありますけれども、そういうことも考えられるのでございますが、自衛隊の方では自分の方には手落ちはないという主張をされておるのでありますが、先般閣議におきましても、赤城防衛庁長官にも申したことは、やはりスピードの早いジェット機と民間航空機とが併用するというところに根本的な問題があるので、従って、できればやはり民間航空というものの持っておる現実の重要性ということを、ジェット機の練習という問題がそこに介入して、その序列を乱すというようなことは、なるべく僕の方としては差し控えてもらいたいということを主張しまして、この点は非常に自衛隊側と対立するというか、議論が分かれておりまするけれども、少なくとも運輸省の方針といたしましては、やはりああいうジェット機の練習の飛行場、たとえば名古屋におきましても五千回から六千回あそこを一カ月の間に使う、こういうような状態下において、ああいうジェット機の性格からいっても非常に危険を伴うから、やはり将来分離するような方向に持っていきたい、こういうことを考えておりますが、予算その他等の関係もありますから、管制官制度等を相当に強化いたしまして、そういう事故を起こさないようにしつつそういう方向へもっていきたい。私も千歳に一昨年——その前でしたかね、予算委員長をしておったときに参りまして、視察して実はりつ然としたのでありますが、飛行機の飛ぶ瞬間にジェット機が飛んでくるといういろいろななにがあって、これは危ない、また前方にずっとジェット機が並んでおるから、どうしても丘珠と千歳を分離する必要があるというわけで、私の方で予算をその点について出しましたが、今度は千歳の地元の諸君からえらい反対を受けまして、絶対に千歳をなにしてはいかぬというようなことです。もし飛行機がジェット機に衝突したらどう責任を持つかという質問をしたことがあります。そういうことを言ったことがあります。あそこの問題も、できれば自衛隊の方を何とか、私の方から言えば、遠慮してもらう方法はないかということを考えておるのでありまして、やはりああいう音速以上のスピードのものと民間航空との併用ということは、実際はこれは危険だ。また今回いろいろ調べてみますると、自衛隊の練習する一つの航空圏内と、日航等の航空航路とがクロスしておる点をあっちこっちに見出しておるので、至急整備しないとジェット機と衝突する、しばしば外国でもやっておるんですから、こういう機会に一つ管制制度を十分確立する、そしてこの事故防止をする上から、直ちに運輸省の中に、事務次官を長としまして対策委員会を作りまして、いろいろの問題について急速に実は検討を加えておる、こういう状態であります。
  68. 千田正

    ○千田正君 今、大臣が鈴木委員の御質問にお答えなさいましたが、領空の問題と航空機の発達に従って航空路というのですか、相当これは陸上の交通と同じようないろいろな問題が起きてくると思いますが、航空管制とか、あるいは航空監察という問題は、やはり日本としても確立しなければならない、今、大臣がそういう意味のお答えはしておりましたが、これは実際に、いつごろ運輸省としてはそういう制度確立する法案なり何なり出すというお考えを持っておられますか。
  69. 辻章男

    政府委員(辻章男君) ただいま大臣からお話がございましたが、事故対策本部を作っていただきまして、私どもがいろいろ考えておることを、逐次成案を得次第、ここでもう一度、運輸省の幹部において全体から討議願って実施していくという体制に相なっておりまして、ただいま私どもの方といたしまして、その本部できまりました議題、まず第一は、管制の基本的な組織の問題が第一点でありまして、第二点といたしましては、現行の制度のもとの管制の運用について、航空の安全を期する上から改善をする点があるのじゃないかというのが第二点でございます。第三点といたしまして、管制官の技能の向上の問題、それからまた待遇の問題等についても、再検討をすることに相なっております。それから第四点といたしまして、管制施設及び航空の援助施設等の整備の問題につきましても再検討を加えることにいたしております。それから最後に、第五点といたしまして、先ほど大臣からお話がございましたが、防衛庁等と飛行場を共同使用しているということが、いろいろ民間航空の安全に至大な関係があるのじゃないか、これは私どもも理想としましては、何とか分離して民間の航空機は民間の飛行場に、それから防衛庁関係のものは専用の飛行場にということを理想としておるのでございますが、現実問題といたしましては、いろいろ財政的な問題、また土地等を入手するに非常な困難があり、また時間がかかるというふうな問題そういう問題がございますので、現実の問題としては、今共用しておりまする飛行場は、すぐに共用をやめるというわけにはいかぬのじゃないか、そうすれば、少なくとも当分の間は共用状態が続くとすれば、この共用のやり方につきまして、なお防衛庁と協議して改善していく余地がないかどうかというふうな点につきまして検討したいということでございます。それで、これは今あげましたのがおもな議題でございますが、中には法律、制度を改正しなきゃならぬものが出てくるかもしれませんし、また、相当多額の予算を必要とするものも出てくるものがあるわけで、ございまして、そういう関係から申しますと、そういう予算なりあるいは法律、制度の改正までいくものにつきましては、相当予算につきましては、来年度か、あるいは補正のチャンスがあればそういうときにやり得るということではないかと思うのでありますが、たとえば今の航空交通管制につきましては運輸省令によりまして管制の手続をきめておりますが、こういうふうなものは、実体的にはいろいろ問題ございますが、別に予算が要るわけでもございませんし、省令の改正は行政部だけでできる問題でございますので、そういうふうな問題につきましては、結論を得次第さっそくやっていきたい、かように考えておる次第であります。
  70. 千田正

    ○千田正君 ちょっともう一点だけ。夜間と昼間とそれから高度と速力と、この問題に対して民間の飛行機に対する規制とそれから自衛隊機との間に調整する何かの打ち合わせが現実に行なわれておりますか。
  71. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 現在夜間飛行、昼間飛行につきまして、特に防衛庁関係と民間航空関係との区別をいたしておるものはございません。それから航空路の問題につきまして、運輸大臣航空路として指定しております航空路等につきましても、両者について差別は考えてはおりません。ただ、一つここで問題ございますのは、来年度の問題といたしまして、非常に防衛庁関係の飛行機は大部分ジェット化されております。それから御承知のように民間の航空におきましても、国際路線というものは漸次ジェット化に向かう趨勢がきておりますので、これをジェット機に対するものとプロペラ機に対する管制を区分いたしまして、区分という意味は、もとは一つなんでございますけれども、たとえばわれわれ高々度管制と呼んでおりますが、大体二万四千フィート以上の空域はもうジェットのために専用の空域に指定して、これは全面的に非常にスピードが速いものですから、ジェットのための特別の厳密な管制をやっていきたいということが予算で認められておるのでございますが、いまだこれは実施いたしておりません。
  72. 松浦清一

    ○松浦清一君 運輸省が非常にあの事故を反省されて、管制官の将来の技術の訓練その他について計画を立てておられることは非常にけっこうですが、ただ、この問題がいろいろ論議される際に、遺憾に思っておることが一つあるのですがね。自衛隊の爆撃機の何とか空佐のその責任というのが強く追及されていないということなんです。で、ちょうどここに自動車局長がおられるから、ついでにお聞きしたいのだが、たとえば路面の交差点で交通整理をしておる巡査の指示が間違って、そしてあとから走って行った自動車が前を走っておる自動車に追突して自動車をこわして運転手が死んだ、乗客が死んだと、こういうことになった場合に、その追突をした運転手には何にも責任がないわけですか。巡査だけが責任を負うようになっていますか。
  73. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) お答え申し上げますが、交通巡査の関係は実は警察庁なので、私どういう責任を持っておるかよく検討してございませんが、運転手といたしましては、運転をするに必要な注意を怠らないで事故が発生いたしました場合には、まあよそからの原因ということで、その運転手本人の注意義務を怠らなかった場合には、責任はないものだと考えます。
  74. 松浦清一

    ○松浦清一君 追突をしてその前の自動車をこわして乗客を殺しても、追突をした運転手には責任ないですか。そんなことないでしょう。
  75. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 今申し上げましたように、その運転手の注意義務の問題であろうと思いますので、まあそういう場合には、常識的に申しますと、まあ前に自動車があってどんどん走って行くのは、必要な注意を怠ったことになるかもしれぬと思いますが、それも万全の注意をしておってもそういう事故が発生したということになりますれば、責任はないのではないのかと思います。
  76. 松浦清一

    ○松浦清一君 おかしい、それは。それは間違いないですか。そんなことないと思うがね。(鈴木強君「追突した方だって責任あるでしょう。前に物があるのに行ったというので」と述ぶ)追突した方はですよ。ちょうど今の自衛隊のジェット機が注意をしておれば見えたんですよ。ここに僕は詳細な報告を持っておらぬから、宙で覚えていないけれども、あのときは晴天暗夜だ。相当遠い距離まで視界は見通しがきいたわけなんだ。十分注意をしておれば全日空機が見えたわけなんですよ。それを注意を怠って、管制官の指示が誤ったかもしらぬけれども、それに触れているわけなんだ。自衛隊の方では責任逃れしょうと思って一生懸命逃げ歩いているわけだね。運輸省の民間の操縦士の方ではそれに非常に不満だということなんだ。だが、運輸省だけが責任をしょってしまわなければならぬという——十分責任を負うべきであるけれども、自衛隊だって責任負わなきゃ、運輸省だけが泥を全部ひっかぶる必要ないと思う。それをやっぱり徹底的に究明されないといかぬと思うのですよ。
  77. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今御指摘の点、私も実は私の方の管制官の人は、まあ自分の方の人をなにするわけではないですけれども、非常にまあまじめな、正直な人ですね。あれで自分が誤認したと、何秒かの誤認ですが、何秒かの誤認で起こったと、非常にその点について責任を痛感して、私のやっぱりあやまちであったということを非常にすなおに、まあ率直に……。私も実はラジオで本人の声を聞いたのですが、聞いておるうちに私は非常にお気の毒だと思ったのであります。また管制官の待遇その他の問題等もその後いろいろ詳細に聞きまして、非常にお気の毒に実は思っておるのですが、一方にやはり自衛隊の方も、今おっしゃいますように、踏み切りでかりに踏切番がおっても、おろしていなくても、一応自動車をとめてそこを見るというのが常識になっておる。そこで、自衛隊のジェット機というものがあれだけのスピードを持って危険率を伴っておるだけに、一面からいえば、注意義務というものは相当にやっぱり重いんじゃないか、従って、前の方に何か光を見たと、それが少なくとも何か工事の光であったというようなことを本人は——実は私も本人の談話をラジオで聞いたんですが——そういうことを言って、自分がしりにぶつけたのだということを、前の晩はあの人は盛んに言っておられる。翌日から責任を回避したような話になっておったが、こんな場合には、本来からいえば、タワーに向かってもう一ぺん、あれは何だということを問い合わせてもらえばよかったんじゃないか。まあ図面とかいろいろなものを調べてみましたけれども、ちょっとずらせば完全にぶつからずに行けたということが十分想定されるのに、あれを飛び越そうとしたところに大きな間違いが起こったんじゃないか、こういうようにも考えられますけれども、私のまあ立場から申しますと、いずれにしましても管制官がやはりその管制の上に、とにかく命令を誤認してしたという点については、まことに申訳なく思っておりますので、閣議におきまして私から実はそのことを説明をしたときにも、赤城長官の方は、まあ自分の方は責任はないというふうなことをおっしゃっていたんですが、しかし、少なくとも責任の問題というよりも、原因をいかにして探究してこれを除くかということについて、謙虚に自衛隊側と運輸省側とやっぱり反省してこの問題を防がないと……。端的に言えば、自衛隊の方がぶつけて殺したのが、まあ本人はボタンか何か押して助かっていますけれども、やはり指令が間違ったから仕方がないのだということだけでは、今後また併用されるということは既定の事実だし、なかなか分離ができないということになれば、防衛庁長官と私との間でこの航空の、特にこういう問題について一つ謙虚に話し合って、根本的な事故防止に対する対策を立てなければならない、従って、運輸省においても直ちに対策本部を作りまして、具体的ないろいろなことを分析してやっていますが、これが出ましたら、私また閣議において防衛庁長官とも話し合いを一つ進めて、徹底的にこの事故防止をやりたい。だんだん羽田等におきましても立川の飛行機が、軍用機といいますか、ジェット機があっちにだんだん入ってくるというものですから、やはりどうしても民間の航空というものを主に置いて一つ運営していきたいというのが私の熱願でありまして、そういう点において防衛庁側とも折衝してみたい、こういうように思っております。
  78. 松浦清一

    ○松浦清一君 もう一言だけ。運輸大臣初め運輸省当局が非常に反省されて、責任を取られるというその態度は非常にうれしいのですが、ただ見習管制官は何のちゅうちょもなしに、自分の信号の誤まりであったということを言っていますね、ところが自衛隊のジェット機の何とか空佐は、滑走路で何か直しておる、電気がついておったとか言って逃げておる。その人柄と見比べて非常に私はものを思うのです。見習管制官は信号のあやまちだということを反省して、自白をしておるという態度は、あやまったことはいけないけれども、人間的な態度としては非常にりっぱである。ところがジェット機の方は、自衛隊の方は逃げ歩いているというのは、はなはだ卑怯だと思う。いわんや赤城防衛庁長官は、閣議において、自衛隊に責任がないと言っているのはけしからぬことだ、そういう思想が、民間より自衛隊が上位にある、普通の役所よりも軍隊の方が上位にあるという昔の軍閥思想の一つの現われだと思う。一つの閣議で赤城長官に負けないように、十分に責任を追及して今後反省を求められるように努力せられたいと思う。これは強く運輸大臣に申し入れておきます。
  79. 西田信一

    ○西田信一君 今、小牧事件についていろいろ御質疑があって、私も大体大臣の気持もよくわかる気持がいたします。そこで、原因の探究ということも、もちろん将来の事故防止に大事なことでありますから、これは十分原因をきめていただきたいと思うのです。まあその航空管制業務の誤りというか、不注意というようなことになりつつあるように思いますけれども、私から見ますのに、ああいう共用の飛行場は、今お話に出た一つもそうでありますが、しかし、これは私、理想から言えばそうでしょうけれども、総理もなかなかそう簡単に共用廃止は困難であるということを答えられておりますが、そこで私は、事故はそういう直接の事故原因もあるけれども、その前に、もっと施設上のいろいろな点、そういう点がもっと考えられていいのではないだろうかというような気持もいたすわけです。  それから、今検討されているたくさんの事故がございましたがこれは大へんけっこうなことでありますが、その中に、もちろん自衛隊との話し合いということの中に含まれておると思いますけれども、施設というものについても重大なやっぱり関係を持つのじゃないかというふうに思うわけです。そこで、たとえば先ほど大臣からも話が出ましたが、千歳なんかでそういう問題か現実に起きているのですけれども、しかし、あの千歳においても、見ておリますと、民間飛行機と自衛隊機の置き場が同じである。エプロンが同じでめる。滑走路も一本であるという。誘導路も一本クロスするというような所もあります。ちょうど小牧のような事件が起きる心配が絶無であるとは申されないと実は私は思いますが、これの防止のためには、共用やむを得ないならばやむを得ないで、それに対する対策というものが考えられていいというように思うのです。すでにあそこは、たしか自衛隊の必要上だと思いますけれども、滑走路をもう一本副滑走路を設けるということは、すでに予算も要求されており、本年度からかかるようなことに伺っておりますけれども、まあ滑走路、誘導路あるいは飛行機の発着場、こういう施設を、十分共用の立場から考えるということも私は当然のことだと思うのですね。そこで、今の副滑走路を設けるということは、これは自衛隊の必要上そういうことが計画されているようでございますけれども、この際もう一歩進んで、こういうような共用飛行場の事故防止、こういう立場から、むしろ運輸省側でも突っ込んでこれを共用するにはどうすべきかというようなことを、これを一つ根本的に検討していただくということが、私当面の一つの大きな問題ではないかと、こういうふうに実は考えております。現に千歳の副滑走路予算の問題、実行化の問題等につきましても、」の事件が起きましてから、地元なんかでも非常に心配して、早くこれを一つ推進したいということを申して、われわれのところにも参っておりますか、一つそういう面も具体的に、何と言いますか、考え方の問題でなくて、一つ一つの飛行場について具体的にこの問題を取り上げて検討していただくという工合にしていただきたいと思うのですが運輸大臣いかがでございましよう。
  80. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 西田さんの御意見はごもっともでございまして、これはまた科学的に相当研究する余地があるのではないか。私の方の運輸研究所の方でも、たとえば滑走路におる場合において、その滑走路におることが常にタワーに信号されるというのですか、機械的に信号されるというような一つ工夫も考えてみようということで研究させておるのですが、その他、施設につきましても十分にこの機会に配慮をするように、いろいろ取り上げて今研究させておりますが、今おっしゃいましたように、先般閣議におきまして、これは総理もまあ同感されておるのですが、ぜひ防衛庁と私どもの方との間に、漸進的には併用を避けていくという方向に、財政の許す限り進めていきたいという基本方針はくずしませんが、とりあえずの問題としては、やはりできるだけ併用の場合といえどもそういうことの起こうないような方法を講ずる。それで、小牧その他約八カ所くらい今あるわけです、アメリカとやっておるものもありますが、そういうものを各飛行場ごとに一つ検討させまして、そしてもしそういうような、滑走路によって緩和されるところはそういうことをやるというようなふうにして、これはそういうふうに進めて解決していきたい、こういうふうに思います。
  81. 鈴木強

    ○鈴木強君 それにまた関連があるのですが、東京空港の場合ですね、最近の新聞紙上でも非常に自衛隊機の乗り入れについて報道をしているわけですが、ちょっと私資料を見ましても、昨年の八月から十二月までの間にも、すでに四百五十六回という自衛隊機の乗り入れがやられているのですね。一日平均して二回ないし三回乗り入れしている。こういうふうな実情でありまして、まああそこは、今年もだいぶ予算を使って拡張ないし整備をしようというような御方針のようですが、やはり名古屋のああいった悲惨な事件の起きましたことにかんがみましても、なお一そうの管制をする必要があると思うのですが、根本的には自衛隊機がなぜ羽田まで来なければならぬのですか、これは立川にも、あの周辺にも、——横田にもあるのですから、あそこで演習をされたらいいじゃないですか。どうしてこんなに自衛隊機が、民間航空のアジアの一番大きなセンターといわれる所にこういうふうに乗り入れをしなければならぬのですかね。これは自衛隊ですから、防衛庁長官がおらぬので、ここで聞くのが適切かどうかわかりませんが、そのことは別として、運輸省当局として、こういう混雑をきわめて、しかも何かP2Vというのですか、こんな飛行機なんというのは擬装しているものです、色が黒くてわからぬそうです、かなり近くに行っても。そういったものが乗り込まれている。しかも、一部には、防衛庁が土曜日にあそこへ乗り込んで東京を見物してくるようなことも伝えられているのですよ。これが事実とすれば、これはとんでもないことであって、今のお話にもあったように、やはり防衛庁側と運輸省側がそういう基本的な問題についてもやはり十分話し合いをされて、できるだけ遠慮をしてもらうような方法をとらぬことにはますます輻湊すると思うのですよ。これは陸上の管制というものは比較的目で見えますからわかりますけれども、空中管制というのは非常にむずかしいと思います。むずかしいだけに、技術の向上や、またそれに携わる人たちの周到な稠密なる配意というものがなければならぬと思います。私は、大臣からさっきお話があったように、待遇が悪いことを言われたけれども、そのことは理屈にはならぬと思うのです。もちろん待遇をよくすることは私は賛成ですけれども、事故が起きたことは待遇が悪いからだということは、これは国民は納得しません。入ってくる人はその待遇に甘んじてはおらぬけれども、雇用関係が整って入ってくるのですから、もしその勤務時間が三直をとるか、交代制をとるか、そういう非常に勤務時間が長くて十分休息ができない、疲労が蓄積して正常な勤務ができないということならば、これは重大責任ですよ。待遇の面が——待遇ということでありますから、私の思い過ごしで言うと失礼ですから私は注釈を加えるわけですが、そういうことは別として、やはり基本的に管制を十分やると同時に自衛隊機には遠慮をしてもらう、将来羽田等につきましては。そういうようなことをはっきりきめておかぬと、再びまた事故が起きるのじゃないかというような気もするのです。ですから、この点については運輸大臣はどう考えておられますか。この自衛隊機乗り入れについてもっと強い抵抗をして、あそこはあなたの承認でもなければ入れぬというくらいにはっきりしなければいかぬじゃないか。
  82. 辻章男

    政府委員(辻章男君) ただいま御質問ございました羽田の国際空港に対しまする自衛隊機の乗り入れの問題でございますが、これは私ども、東洋におきまする非常に輻湊した大空港になっておりますところへ自衛隊機が入ってくることについては、できるだけ遠慮願いたいという気持は、ただいま御質問ありましたのと全然同感でございます。ただ実情を申し上げますと、防衛庁関係の飛行機が羽田に参っておりまするのは、大体一週間に三機ないし四機の程度でございまして、この要務は、私どもの伺っております範囲では、主として、防衛庁が使っておられまする航空機の部品を外国から輸入しているものがございますので、これが日本航空なりあるいはその他の外国の航空会社に貨物として託送されまして羽田に着く、これを羽田から直接防衛庁の飛行機で必要な基地へ持って帰るという目的が主目的であるというふうに伺っております。そこで、新聞にも書かれましたが、主として基地間連絡等についてはみな防衛庁の基地間でやっておられるのでありますが、厚木の飛行場あたりが修理とかあるいはその他の理由で閉鎖になるときには、羽田の方へそういう事情で特に託送機がふえるということがあったようでございます。事実の概略は以上でございます。
  83. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 羽田の今の——先般私朝日新聞か何か新聞を見まして、非常に羽田にはたくさんの防衛庁の飛行機が入ってくるというようなことを読みましたので、特に先般赤城長官にも話をしまして、必要やむを得ざる場合は別として、やはりあそこは国際空港として、また民間航空の最大の日本の重要な所でもあるのだから、やはりできるだけそれを尊重する方針を一つとってもらいたい、防衛庁の航空の便宜について非協力というわけじゃないけれども、そういうことを一つ主に置いて考えてもらいたいと申し入れ等をいたしておりまして、なお実態として、一体どうして入っておるのだということも、実情等も一ぺん私の方へ報告してもらいたいということを申しておるような次第であります。  なお鈴木さんが、待遇が悪かったから事故が起こったということを言ったと言われたが、そういうことではない。これは待遇の問題もこの機会に考えないと、私も行って見ましたが、あの狭い穴倉みたいなところで、全部耳で聞いて英語でやっておるのです。しかも非常に神経を使う。あれは過労な仕事で、しかも平均の給料が一万二千円か三千円ぐらい。アメリカがいるときには十五万円くらいの金を払っておった。それが日本に移ってそういうような状態で、しかも来る人もそういうようなことで優秀な人も自然に遠のくということになるし、だからどうしてもああいうような神経を使う人たちは、やはり精神的に安定するような方法を講じていかなければいけないが、私どもでも少しでもその点雑念があれば、頭で考えておることと口で言うことと取り違える。ことにジェット機が何秒かの間にさっと来れば、ジェット機みたいなものは何台も非常にたくさん飛んでくるのだから、錯覚してしまう、ジェット機のようなものは音速のように飛んでくるのだから。そういうような非常に大へんな仕事をやっておる管制官について、私ははなはだ恥しい話ですが、注意も足らなかったのですが、航空のあれだけ一番大事な仕事をやっておるものについての配慮がこれは足らなかったのではないか、こういうことも一つ管制官問題の検討においても十分に取り入れて、こういうものはメスを入れていきたい、こういう意味ですから、どうぞ御了承を願います。
  84. 鈴木強

    ○鈴木強君 私も注釈を加えているように、あなたも抽象的なことですから、誤解があるといけないから申し上げたのです。ですから、レシーバーを両方の耳にかけてやるというような場合は、これは一時間もやったら頭がおかしくなる。ですから、勤務時間はどうなっておるのですか。何人をもって何時間——一時間なら一時間、二時間なら二時間の交代になっておるのですか。そうではなくて五時間も六時間もやるというようなわけはないと思いますが、最低二時間以上はやれぬと私は思っておりますが、その勤務状態は一体どうですか。
  85. 辻章男

    政府委員(辻章男君) お答え申し上げます。これは管制塔の中におります勤務条件は、グループを四グループ設けまして、八時間交代でいつも一つのグループのものが休息しておるという体制をとっております。一つのグループには三名ないし四名おります。それでお話がありましたように、レシーバーで非常に忙しいときに八時間ぶっ続けるというのは非常に困難でございますので、それは実際に飛行機に指示いたします仕事、それから飛行計画等を受理する仕事、それからまたいわゆる進入管制業務というような三種類ぐらいに仕事が分かれておりますので、現実に滑走路にありまする飛行機に指示をし、また飛行機からいろいろなことを聞いてくるので照会するというような仕事につきましては、その三名ないし四名がお互いに管制塔の中で部局を、デスクを変えるというような方法も講じていますので、一つのグループとしては八時間の責任をとるという体制に相なっております。
  86. 鈴木強

    ○鈴木強君 ですから、大臣もみずからおっしゃっておるように、そういう特殊な条件の中で仕事をされる方々に対しては、やはり特殊な待遇をやるということは、これはあたりまえのことだ。そういうことが放置されておることがそもそもおかしいのです。もっと早目に特殊性を勘案して、今大臣のおっしゃったような優秀な人がどんどん来て事故をなくするようにやってもらうような人材を集める意味においても、これはやはり特殊性というものを認めてやらなければならぬ。役所の悪いところはその特殊性を認めないで、何でもかんでも同じ平均ベースでやるというようなそういう悪い習慣がある、日本の役所の中には。それをやはり打破していくことが根本問題です。それをやらなかったことは運輸大臣の怠慢だと言ってもよろしいので、今ごろそんなことを言ってもしようがありませんが、これは議論になりますから私は控えますけれども、で、聞きたいのは、自衛隊機が勝手に、あすこにどんどん来るわけですが、運輸大臣が、防衛庁とあなたとの間に一つの協定というか約束があるわけでしょう。そうして大体こういうような要務のときには許可を得て入ってくる、ただ黙って自衛隊機がどこへでも入ってくるということは、私はけしからぬと思うのです。行政上からいっても、それから国際的な、あるいはアメリカから部品を持ってくるとすれば、何も私は羽田まで持ってこなくても、立川基地、横田基地もあるのですから、五分か六分で行けるわけですよ。そして飛行機でそこへ持っていけばいいんですから、何も好んで国際空港である東京センターにジェット機が持ってきておるすというのはけしからぬ話だと思うのです。やはりそういう点もっと防衛庁との間に基本的な了解事項といいますか、約束をしておかぬところに問題があると思います。その点はどうなっておるのですか、認可する場合に。勝手に入ってくるのじゃないでしょう。あなたの方に認可権はあるのでしょう。
  87. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 羽田に入ってきますものは、大体これは管制上飛行計画を出しまして、通報があるわけでございますが、特に事前に連絡を受けております。それからまた私どもの方の羽田の現場の航空関係の者も、御承知のように羽田は非常に時間によりまして、国内機なりあるいは国際機の離着陸が非常に込みます時間もあるものでございますので、そういう時間は避けてもらいたいということで、円滑に今までのところはきております。  もう一つ、今御意見がございましたアメリカからかりに部品を持ってくることについて、基地へすぐに持っていけばいいじゃないかというふうなことでございましたが、実はこれはアメリカから来ますのは、一般の日本航空であるとか、あるいはパン・アメリカンであるとか、そういうふうに一般の民間機に一般貨物として託送して参りますので、それだけの部品のために、防衛庁関係の基地にその飛行機が行くというわけにも参りませんので、これを飛行機ですぐに持っていくとすれば、羽田に飛行機を持ってこざるを得ないというふうなことになるかと思います。
  88. 鈴木強

    ○鈴木強君 それは論議はずいぶんありますよ。だから、東京空港の混雑を緩和するために、やはり日本政府が適切に米国当事者と話し合いをして、これはまさか部品を持ってくるのに一つ持ってくるということもないと思う。大体まとまって輸送するのでしょう。だから輸送量が、五分間飛ばせてガソリンが幾らかかるか知らぬが、その点は一つ配慮をしていただいて、できるだけまとめて、一つの飛行機で持ってきてもらうような方法をとったっていいじゃないですか。やればできることじゃありませんか。努力してみてだめであったら私も了解しますけれども、そういう努力をせずに答弁されても僕は納得できない。だからもう少し考えて、何とか空港の緩和をするためには、自衛隊にも自重してもらうという一つ御検討を十分してもらいたいと思うのです。時間の関係もありますから先に進みます。  これは概略でけっこうですから、日航国際線について、新線計画等はどういうふうになっておりますか。最近非常に拡張するように私も聞いておるのでございますが、それに対する助成対策、そういったものを簡単でけっこうです、結論だけで……。
  89. 羽生三七

    羽生三七君 私もついでにあわせて……。今鈴木さんの御質問に関連してですが、パン・アメリカその他各国の飛行機会社がジェット機を使ってどんどん日本へ来るわけで、日本航空会社は非常に困難になっておる。そこへまたジェット機化のために、予算も前年度同様に計上し、社債発行二十億円限度として認めるわけですが、そういう対策をやっておるのですが、一体見通しとして、こういうことをすれば対抗できるか、今の現状で。そういうこともあわせて一緒に御答弁いただきたい。
  90. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 御承知のように日本航空の現在路線は東京を中心といたしまして、アメリカ側は西海岸のハワイ、それからサンフランシスコ、ロスアンゼルス、シャトルに週全部で九便行っております。それから東南アジア方面は、東京から沖繩経由、あるいは台北経由、あるいは香港直行という三ルートがございますが、香港へ参ります。これが週七便参っております。うち三便は香港からバンコック、シンガポールまで延びております。それから福岡から沖繩間を週二回、これが大体国際線の現状でございます。で、御承知のように、ジェット機の時代になりまして、一昨年来発注しておりましたDC8と申しまする大型のジェット機、これをすでに四機発注しておりまして、これがこの七月に第一機が入って参りまして、大体十一月ぐらいまでには四機全部入ってくる予定でございます。これが入りますれば、先ほど申し上げました太平洋路線は、全部DC8ジェッ機でやれることになります。なお香港へ週二便ぐらいDC8でやれるという状態になってくるわけであります。それで私どもとしましては、日本航空とも話をいたして、将来の計画としましては、まず欧州の乗り入れをやっていきたい。まず当初は北極回りからやつていく、それから南インド経由の欧州線、それから東南アジアにつきましてはマニラ、それからシャカルタ等への乗り入れを考えていきたい。それからなお最終的には、今はアメリカの西海岸だけでございますが、東海岸の特にニューヨークに乗り入れをいたしまして、欧州からの乗り入れとコンバインいたしまして、いわゆる世界一週の空路を開設したい、これを最終的な目標に置いている次第でございます。それで機材の問題に返りますが、先ほど申し上げましたように、四機は本年入ってくるわけでございます。本年の予算に組まれました資金計画によりまして、来年度は——歴年の来年でございますが、大体六、七月ころになるかと思いますが、——を目指して、まず先ほど申し上げた北極経由の欧州路線を開設するためにDC8を一機、すでに追加発注いたしました。大体これが来年の五、六日ごろに入ってくるのじゃないかと思います。それからこれも本年の予算の問題で、中型のジェット機というものを一応アメリカに発注いたしまして、これが三機でございます。これが入って参りますと、今の東南アジア線は全部ジェット化をいたしまして、それから週一便程度この中型をもちまして、欧州へ乗り入れが可能になるという段階でございます。ただいま具体的な計画とその裏づけのあるものにつきましては、ただいま申し上げたようなことでございます。  で、一体そういうふうに路線を延ばしていって、今のような態勢で十分諸外国と競争できるかという問題でございますが、これは私どもいろいろ推定が入りますので、見通しが非常にむずかしいのでございますが、まず商売というものはそういうものであるかもしれませんが、どの路線につきましても、当初新設をいたしますと、二三年はやはり赤字経営にならざるを得ないと思います。北極回りの欧州線にいたしましても、大体四年か五年ぐらいたてば、何とか採算のラインにのるのじゃないか、かように考えております。さしあたり日本航空の経理の問題といたしましては、幸い年々国際、国内共に利用者がふえて参っております。特に今国内の方におきましても、相当な収益も上がっておりまして、これらを両方合体いたしますと、何とかやっていけるのじゃないか、ある程度政府出資、あるいは今お話のありました政府保証の社債発行ということによりまして、やっていけるのではないかと思っておりますが、もしそういう見通しが狂いまして、非常な不況になれば、そのときにまた航路補助的な補助をやるなり、その他の適当な助成を講じていきたい、かように考えておるわけであります。
  91. 鈴木強

    ○鈴木強君 あとの私の質問は、再質問しませんので、よく聞いておいていただいて、関係の皆さんから一つ御答弁をいただきたいと思います。  一つは、電化五ヵ年計画でございますが、この計画が当初の計画通りいっておりますかどうか、進捗状況ですね。それから、特に交流電化をもうすでに取り入れておるわけでありますが、こういったものを電化計画の中でどういうふうに消化していこうとしておるのか、この点が一つです。  それから、これは部分的に恐縮ですが、中央線ですが、甲府と長野問の電化計画は、もう何回も運輸省にお願いしておるのですが、なかなか進まない。最近ディーゼルカーを入れてくれまして、一つの前進として地域の人は喜んでいるのですが、早く電化をしてもらいたいというのが、強い要望なのですが、それがどうなりますか。それから、それに関連あると思いますが、今、長野鉄道管理局というのは、中部支社の管下になっておるのですが、これが山梨なんかの場合を見ますと、静岡鉄道管理局、それから長野鉄道管理局、東京鉄道管理局、この三つに分断されておるようですが、そういうことが多少私は業務の執行上支障があるようにも思うので、こういう点は何か工夫をしてまとめるわけにいかぬかどうかということですね。これを一つ聞いておきたいと思うのです。  それから、最近新宿—松本間の四時間電車というやつを考えてくれているようですが、これは非常にけっこうなことで、ぜひ一つお願いしたいと思うのですが、今非常に困るのは、新宿から乗って長野に行く場合に、準急が全部松本どまりなんですがね。松本—長野間は非常に不便しているのですよ。私どもも旅行する場合に、松本まで行って、連絡がなかなかない。それで、二時間も三時間も時間をつぶしてしまう。何とか長野までこれは行けぬものですかね。どうして行けないのかわからぬのですね。その点、技術的困難があれば、その点も含めて御説明いただきたいのですが。  それから、災害時なんかによく起きる問題なんですがね、鉄道が故障になり、そこを徒歩連絡か何かしてくれるのですけれども、徒歩連絡かあるいは自動車連絡してくれるのですが、その場合にどうもバスがない。そのために、一里も歩かされるということがある。こういう場合に、もし鉄道沿線に道があり、バスが通っているとするならば、なるべく優先的に、それが民間のバスであっても、機動的にそれと連絡するような方法ができないものですかね、そういう点、災害時なんかで、非常に経験していますからね、それを一つ伺いたいのです。  それから、自動車関係で伺っておきれいのは、非常にさっき永岡委員のお話にもありましたように、交通が輻湊し、しかも事故もずいぶんふえているわけですね。今、世上神風タクシーとかトラックとか言っているのですが、ああいうものも運輸省の監督下に入ると思うので、なぜ神風タクシーがぴゅーぴゅーうなって飛ばなければならぬか。これはおそらく運転手の労務管理といいますか、そういうものにも影響してくると思うのですが、そういうふうなことを総合的に、もっと強い指導を運輸省当局がおやりになって、これは会社の方の経営も関連しましょうから、なかなかむずかしいことだと思うのですが、もうちょっとこういう対策を立ってもらいたいというのが国民の世論ですね。これらに対して当局はどういうふうな考え方を持っておりますか。  それから、運輸大臣が個人タクシーを免許された。私は、個人的には、今のような神風タクシーが飛び回るような悪い労働条件下で、多数の運転手諸君が苦しんでいるという事情から見れば、個人タクシーで朝八時から夕方五時か六時までやれば、けっこう生活が立たっていく、だからけっこうなことだと私は思うんですがね。しかし、基本的に今言った自動車の運転手に対する問題が解決して、安心して生活ができるようになってくれば、これはまた話は別ですけれども、そういう意味で大臣が踏み切ってやられたと思うのですが、これは今の基本的な労務管理と関連がありますので、その点を是正すると同時に、今後多数の個人タクシーの申請もあるようでございますがね、これに対して運輸大臣はどういうふうな御見解を持っておられますか。これはちょっと委員会でもお聞きしましたので、大体御意見はわかっておりますが、この機会にちょっと伺っておきたいと思う。  それから、自動車が非常に輻湊してきておりますから、これをつかさどっておる陸運行政ですがね、特に私は東京とか大阪とか、いろいろ検討してみるんですが、特に近いから東京が目に映るんですが、陸運局が東京に一つあります。で、申請も多いでしょうし、いろいろ陸運行政で御苦労されていると思うんです。今も四谷のあそこに行ってびっくりするんですが、がたがたしているようなところで、実にこれはみっともないのです、役所としても。それはとにかくとして、行ってみて非常に忙しいように思うんで、すから、これは何とか一つ東京陸運局を二つぐらいに分けて、東京を除いた関東なり、あるいは神奈川を含めた東京にして、ほかの方は関東と、こういうふうに陸運行政というものをもう少し強化して、組織的に拡充をしてそうして、その今の事務の渋滞を一掃するような考え方をもう持ってもいいんじゃないかと私は思うんでございますが、この点を運輸大臣どうお考えになりますか。  以上、一つ再質問しませんので、わかりやすく、簡単でけっこうですから、お答えいただきたいと思います。
  92. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) お答え申し上げます前に、先ほど踏み切り事故の数字その他答弁保留しておりましたので、お答えさせていただきたいと思います。国鉄関係の踏み切りの三十三年度の死者は七百九人でございます。負傷者は千二百八十一人、合計千九百九十人でございます。私鉄関係が死者が、六百十三人、負傷者八百十五人、合計一千四百二十八人でございまして、合計は死者が千三百二十二人、負傷者二千九十六人、総合計三千四百十八名というのが死傷者の数字ですが、これに対しまして整備の状況はどうかというお答えを申し上げます。三十四年度中に国鉄が百二十八カ所、これは全体の整備の問題ですが、やる予定でございます。私鉄が百三十五カ所、このうち立体交差を要すると認められますものが、現在国鉄、私鉄を通じまして百五十カ所ぐらいございます。具体的な計画がございますのが、国鉄が三十三カ所、私鉄十四カ所となっておりましたので、先ほどのお答えを申し上げます。  次に、電化五ヵ年計画進捗状況はどうかというお話でございますが、国鉄五ヵ年計画進捗状況は遺憾ながら予定通りいっておりませんで、幹線電化につきましては、三十五年度予算額を含めまして所期の計画の四二%という予定でございます。だいぶ遺憾ながらおくれておるわけでございまして、全体的の計画といたしましては、現在国鉄電化営業キロは二千四百八十三・三キロでございまして、大体一二%、これは三十五年度三月現在を考えた場合の数字でございます。それで、国鉄電化は、三十二年度から始めました第一期計画によりまして、現在山陽、常磐、東北、北陸、鹿児島というようなところをやっておりまして、総合計一千六百七十キロが五ヵ年計画に入っておる数字でございます。このうちのすでに北陸線の米原—敦賀間、東北本線の上野—福島間、並びに山陽線の大阪—上郡間の三百五十・八キロというものは完成いたしました。引き続き、東北線の福島—仙台間、常磐線の上野—平間、山陽線の上郡—下関間、及び鹿児島本線の門司—久留米間の合計八百二・三キロというものを、現在工事いたしておるわけでございます。このうち東北線の福島—仙台間、常磐線の上野—水戸間、山陽線の上郡—岡山問並びに小郡—下関間、並びに鹿児島線の門司—久留米間の三百九十一・八キロというものは、三十五年度ないし三十六年度以降に完成するという予定でございます。  お尋ねの中央線は、国鉄といたしましては第二期の電化計画として、考えておるものでございまして、中央線は甲府—名古屋間を考え電化をいたしております。そのほか、いろいろ第二期の電化計画がありますが、時間がかかりますので省略さしていただきますと、大体千六百十九キロというものを第二期の電化計画といたしまして考えておるわけでございますが、ただいま御説明申し上げましたように、第一期が少しおくれておりますので、その進捗状況その他を見まして、第二期の具体的な案を作ろうといたしておるわけでございます。  もう一つの御質問の、交流電化の状波はどうかということでございますが、技術的の点につきましては、国鉄当局から御説明願うことにいたしまして、現在工事中のもので交流電化をやっておりますものは、鹿児島本線のうちで門司—久留米間百十五・四キロというものは交流でやっております。それから、東北本線のうち白河—福島間八十四・六キロ、これも交流でございます。また福島—仙台間の七十九・三キロも交流で計画をいたしております。常磐線につきましては、取手—平間の百七十二・〇キロというものを計画をしておるわけでございますが、藤代以北を交流にすべく計画をいたしております。  次に、名古屋管理局の組織の問題並びに新宿—松本間の準急の長野延長の問題につきましては、国鉄当局が参っておりますので、そちらから御答弁願うといたしまして、災害関係で徒歩連絡を、何らか代替の交通機関がないかというお尋ねでございますが、災害が起こりました際には、国鉄におきましてはできるだけバス輸送をいたしております。代替機関といたしまして、制度といたしましては、バスのみならず船を使ってもいい。現実に、船を用いまして災害の代替輸送をいたしたことかございます。徒歩連絡といいますのは、もう非常に限られた場合でございまして、その発生の当初、できるだけ代替機関を使うようにいたしておりますが、事故というものは、御承知のように、不測のときに起こりますので、バス会社あるいは国鉄のバスその他の交通機関を手配するいとまがない場合には、遺憾ながら徒歩連絡をいたしておりますが、できるだけ早く他の代替機関によりまして、その交通連絡をとるというのが建前になっております。もしも非常に具体的な問題としておくれたということがございましたならば、またお教え願いまして、改善いたしたいと思います。
  93. 楢橋渡

    政府委員楢橋渡君) 私に対する御質問にお答えいたしますが、神風タクシーやトラックの問題でありますが、御指摘の通り、これはやはり労働過重といいますか、ノルマ制度といいますか、そういうようなことが大きな原因になっておるということで、自動車当局からも厳重に経営者に警告を実は発して、是正をさせて、神風タクシー対策という問題は一応は大体に静まったのであります。私が、鈴木さんの御指摘になりましたように、個人タクシーの問題を断固いたしますことも、やはり働いている人々に希望を与える、十年も十五年もまじめにやっておる人たちが自分で車が持てない、外国の例を見ますると、半数くらいは個人タクシーをフランスでも各地でも許しておるのでありますが、戦争の後に統合されてから一切許さないという方針をとっておったんですが、そういう制度を開くことによってああいう働いている人々に対して希望を与え、同時に各会社に働いている人たちも、そういう希望のもとにやはり順法精神でもって、神風タクシーのようなことをやらす、事故を起こさず、優秀な成績をあげてくれば、やがて独立できる資格がとれるということで、一つ相当いい傾向を与えるのではないか、こういうことで、実は断行して、昨年の暮れに百七十何台やったのでございますが、今審査をやっておりますので、おそらく来月か再来月までには、相当の数が許されることと思うのでありまして、この影響は、鈴木さんのおっしゃいましたように、非常にいい影響をああいう運転手界に与えると思うのでありまして、各会社の人たちも非常に、初めから私に反対をいたしておりましたが、その後の状況を見ますると、やはり働く人たちの態度はすべて非常によくなったというので、むしろ今日は感謝されているということになっているのであります。従って、収入の面から見ましても、今会社で働いているよりもより多くの収入があって、労働時間等は半分くらいでやって、しかも自動車は自分のものとして償却ができていくというような状態、またお客に対するサービスも非常にいい成績を上げておりまして、私のところへ数十通、乗ったお客さんからも感謝の投書が来ているという状態でありますので、この制度をやはり全国的に一つ助長していきたい。大阪の方も、そういうような方針を一部は許すようにとらしている。谷地にそういう方針を指示しているような次第であります。私は、よくタクシーに乗るのでございますが、数年来乗っていまして、大てい運転手が絶望しているのは、非常に労働条件が過重で、組合もなかなか作らせない、あるいは非常な圧迫をされるちょっと何かやれば、すぐに、やはり上がりが悪ければ翌日すぐに罰則これる。帝都のまん中で、こういう労働問題のやかましいときに、こういうことが許されるだろうかというようなことも、私自身運転手から聞いて、実は驚いておったような次第でありますから、そういう一面をやはりどうかしたいということでやっております。私が運輸大臣になりましてから、東京企業者、ああいう連中にも警告を発しまして、労働条件その他についても十分に改善するように、そして睡眠も十分とらすように、やはり身分も保障してやり、できればやはり退職手当の制度というようなものも確立するということで、いろいろと指示を与えているような次第でありまして、詳しい実態等につきましては、いずれ自動車局長から説明を……。
  94. 鈴木強

    ○鈴木強君 陸運局の方は、大臣
  95. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 陸運局の方は、御存じのように、非常な過重でありまして、従って、陸運局の仕事があまりにも多いのでありますので、それでこの度もいろいろと予算折衝等もやりまして、九十数名、約百名の定員増大させたのでありまして、これは少ないのは承知しておりますけれども、なかなか九十何名ということはレコード破りだということで、強引に私がやった結果でありますが、こういう例を作りましたから、逐次ふやしていきたいと思うのですが、何とかこの制度もやはり根本的に考えなければならない段階に来ていると思うのであります。そこで、今各県になにされています陸運事務所を、府県知事の管轄下におりますけれども、組合側からもぜひとも運輸省の管轄下に置いてもらいたい。予算も人員も全部こっちでやっておって、しかも、特にこの白タクのようなやみタクシーなんかも、各知事の意向によってこれを取り締まらないというようなことをやるというような弊害などが起こっております。運輸行政の一元化の上に非常な支障を来たしておりますので、今この問題もあわせて私の方で自治庁長官と折衝中でありまして、そういう点はぜひともがんばってやりたいと思います。
  96. 鈴木強

    ○鈴木強君 がんばって下さい。いっ結末が……。
  97. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ぜひ早く片づけたいと思っております。なかなか、なわ張り争いみたいなもので抵抗があるけれども、行政管理庁なんか、あれも入れて、実は内閣官房長官も入れて、やってもらって、御援助があればうまくいくのではないかと思っておりますが、まだ楽観は許されないと思います。
  98. 鈴木強

    ○鈴木強君 東京の陸運局が二つに割れた—…。
  99. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) ただいまの大臣のお答えに補足いたしまして申し上げたいと思います。現在陸運局が非常に忙しくて事務が渋滞しておるということは、もう天下公知の事実です。私どもも非常に責任を感じておるわけでございます。そこで、これを強化いたしますと同時に、仕事のやり方についても検討しなければならないという点を反省いたしておるのでございまして、ただいまこの国会に運輸省設置法の一部を改正する法律案のうちの一部といたしまして、運輸省の中に自動車審議会というものを設けるという案を、政府の原案として出しております。この自動車審議会で、自動車行政全般の問題——これが一番形として現われますのが陸運局の仕事、あるいは自動車局の仕事ということになるか思いますが、こういう点につきまして根本的に検討いたしたいと考えておる次第でございます。  ただいま具体的な問題として、東京陸運局の二分案というお話がございました。こういう点につきましても、特に重圧のかかっております自動車関係につきまして、現在の自動車部一部というものをさらに分けて強化するという案でいくか、またただいま鈴木先生のお話の方法でいくか、その点早急に検討を要すると思いますが、ただ、何といいますか、東京都陸運事務所というものが、今大臣のお話しになりましたその問題のひっかかりがございまして、この問題をまず私どもは解決いたしませんと、そういったことにもなりかねると思っております。当面は陸運事務所を運輸省出先としてすっきりした形にしたいということを、私ども重点を置いてやっているわけであります。なお、従いまして、その点は今後十分検討さしていただきたいと思っております。  それから、庁舎の話は、先ほどちょっとございましたが、御報告申し上げておきますと、現在は四ツ谷に、東京陸運局のほかに、東京都の陸運事務所が入っておりますが、本年度予算で、東京都の陸運事務所では新庁舎を作ることになりましたので、東京陸運局だけがそこに入ることになりましたので、若干の緩和を本年度中にはすることになりました。この点はあわせて御報告申し上げます。
  100. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 先ほど、電化五ヵ年計画その他のことにつきましては、鉄道監督局長から概要を御説明申し上げた通りでございます。特にその中で甲府以遠の電化計画につきましては、国鉄としては第二次の計画として考えております。ただいまいろいろ長期的な経営の見通し等もつけまして、でき得れば三十六年度を第一年度に組み込んだような姿で第二次五ヵ年計画というようなものを策定いたしたいと思いますが、今国鉄内で作業をしておるようなわけでございます。その中には入っておるのじゃないか、そういうふうに考えております。  それから、管理局の問題でございますが、実は国鉄といたしましては、ここ数年来、支社制度というものをしきまして、地方分権をできるだけ徹底させ、さらにその地方分権を強化したもとにおいて線区別の経営の改善をやるというようなところに力を置いて、管理組織についてもそれに合うようにいろいろ検討いたしておるようなわけでございます。特に、昨年衆参両院の運輸委員会で地方組織の問題について御決議もございましたし、きわめて最近には、行政管理庁からまたこの問題について御勧告もあったというようなこともございまして、目下地方の管理組織というものをどうするかということについて、いろいろな角度から検討を加えておる最中でございます。ただ、この問題はなかなか影響するところも大きゅうございますし、やはり組織の変更ということは国鉄としては非常に重大な問題でもございますので、軽々に結論も出しかねまして、なおただいまいろいろ検討を重ねておるというような状況でございます。  それから、新宿—松本間のデーゼルカー、これはおほめをいただいてありがたく存じまするが、松本—長野間の問題でございます。実は長野以遠に東京から旅行なさる方は、距離の関係、時間の関係、その他いろいろありまして、やはり信越線経由の方が自然多くなっておりますので、その関係で、現在のところ、松本と長野の間の輸送というものは、ローカル輸送のような取り扱いになっております。これは、一つにはやはり車両の不足ということもあるわけでございますが、ただいまのところでは、ローカル輸送の形でできるだけ旅客の皆様に御不便をおかけしないように努力いたしております。将来車両をだんだん増備することができるようになりますれば、この問題も解決できるものと思っております。また、そういたしたいと思っております。
  101. 白井勇

    主査白井勇君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  102. 白井勇

    主査白井勇君) 速記を始めて。
  103. 西田信一

    ○西田信一君 簡単にお聞きいたしますが、ただいま鈴木委員の、国鉄五カ年計画がうまくいっているかということに対して、うまくいっておらぬという率直なお答えがあった。私は、この点についてお聞きしたいのは、たとえば、電化の問題も例に引いてお聞きになったが、電化がおくれているにかかわらず、来年度予算を見ますと、こんなに大幅に予算を落としておる。工事勘定の方を見ますと、全体で百三十七億ふえておるようになっておるけれども、新しく飛び込んできた東海道幹線の方で百七十七億ふえておる。あとはみな犠牲になっておる。去年も三十億五ヵ年計画の中に新しく飛び込んできた。あの中に入るのか入らぬのかわかりませんが、五ヵ年計画にないものが飛び込んできた。必要性は認めますが、こういうことが全体の計画に影響がないかということを去年だいぶ問題にしたところが、そういうことのないようにするというお話があったけれども、実際には軒並みに五ヵ年計画予算が落ちておる。そうして東海道の方は百七十七億がふえておる。こういうことははなはだ去年あたりの言明と違っておると思う。これはどういうわけなのか知りませんが、結局、私は、結果的には東海道新幹線に大幅に食われておるという結果になっていやしないかと考えるのです。  北海道の例を引いてはなはだ恐縮ですが、北海道があのようにたくさん問題をかかえておるけれども、札幌工事局なんか年間の工事費は六億ですよ。これじゃ、札幌工事局なんて要らないじゃないかという声が起こっておる。これは道路と比較して大へん恐縮ですけれども、道路は、大体北海道総額百五十億ぐらいいっておりましょう、金が。率でいいますと、北海道には一六%ぐらいいっていましょうか、全国の。道路も鉄道も同じ程度に必要性が強調されておるにかかわらず、実際には六億。問題にならない。これは全体の何%に当たるか、問題にならないと思う。  そういうことで、鉄道というものは、今北海道の例をとったのは非常に恐縮ですけれども、そういう状態になっておる。それがなおかつどんどんおくれておるという状態で、これではどうもおかしいじゃないかと思うのですね。これはやっぱりそろばんの勘定、独立採算の関係もあるかもしれませんけれども、どうもこれではバランスがとれないじゃないか。道路あるいはその他の港湾、いろいろな関係からこういうふうに思うのですがどういうところに原因があってどの程度おくれておるのか、これからどういうふうに取り戻そうとするのか、そういうものは犠牲にしても新しい需要にこたえてやっていこうとするのか。私はほんとうは、人口がどんどん集まっていって、たとえば道路でも、今道路に問題が起きてきておる。鉄道にも問題が起きてきておる。そういう行き詰まったところを打開してやるということも必要だけれども、そういうふうにやるというと、だんだん人口集中を助長して、そして地方というものが、もう私はだんだんおくれていくと、こういう結果になって全く政府考えているのと逆行する結果が生まれてきやせぬかと、こういうふうに私は考えるわけです。これはひとり北海道でなく、全国的な傾向だと思うのですが、こういうことに対して大臣はどういうお考えをとられるか、一つそういう点についてお伺いしたいのです。
  104. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいま西田委員からおっしゃいましたように、確かに五ヵ年計画がおくれ、全国的な均分主義というような端的にいえば—一ことに国鉄その他がなる関係等がありまして、非常に薄くなっておる。たとえば、北海道になにしますと、北海道が根北線、辺富内線、美幸線、興浜線、芦別線、白糖線、以上の六線に対しまして合計八億五千万円が今度配分されて、総額に対しましてやはり一〇%にしかなっておらないというのでありますが、まあ東海道の新幹線のために他を犠牲にするというような方針はとられておらないのでありますが、午前中もるると国鉄の内情を申し上げましたように、非常に国鉄自体が財政的には行き詰まりを来たしておる。それに加えて、やはり鉄道審議会等から新線の要請等がありまして、そういうような窮屈な予算に実はなっておるのでありまして、従って、根本的にやはり国鉄の問題を、午前中もお話し申し上げましたように、解決しなければ、なかなか今のような情勢で御満足のいくような方法がいかぬじゃないか、こういうように実は思うのであります。  今おっしゃいましたように、やはりできれば、都市中心ということよりも、後進性のところに、やはり開発していくところに国鉄の持つ公共性がある。ことに北海道開発等におきましては、政府においてもあれだけの開発の大きな方針を立てておる等の関係もありますので、その点は十分に配慮しなければならぬと思うのでありまして、そういう点についても極力努力を続けていきたいと、こういうふうに思うわけであります。
  105. 永岡光治

    ○永岡光治君 いずれ、事務当局にあとで詳上く私聞きたいと思いますが、特に運輸大臣にお尋ねしておきたいことは、実は海上保安庁の予算の関係です。従来、私どもも委員会を通じまして、海上保安庁の救難状況ですね、いろいろ調査すると、現地に参りましても訴えられることでありますが、もう少し船があったならば人命なり財産を救済できるという数字を、たくさん実例をあげて承わるわけです。従いまして、これこそ自衛艦を作るよりはもっと急務じゃないだろうかということで、お願いしておったのでありますが、ことしの予算を見ても、これは大したことになっておりません。力のある橘橋運輸大臣ですから、三十五年度はもう私たちの要望を入れてくれるものかと、こう期待しておりましたところが、大してこれもできていないのですが、おそらく私は、そう言えば、いや、やりたいんだけれども予算がないと、こうおっしゃるだろうと思う。ところが、私、先般予算委員会を通じまして、防衛庁に一体どれだけの予算を消化しているか状況を知らしてくれということで、資料を求めたのでありますが、三十年度の持ち越しが二百二十八億、三十一年度が二百三十六億、三十二年度が九十四億、昭和三十三年度が七十五億、このように、まだこれは私の追及をおそれてだいぶ隠していたことを私承知しているのです。こまかい数字がたくさんあるのですけれども、ことに何億以上あるものでいいからという数字を集めたものがこれです。従いまして、これを見ると、防衛庁で繰り越しておる莫大な金額は艦船がおもです。だから、そうであるならばなおさらのこと、私はそれだけ海上保安庁で必要な船ならば、もう少しこっちに予算を回してもいいのじゃないか、余すくらいですから、そういうことを私は強く感じておりましたので、大臣が今まで努力してきた経過から、今後これをどうしようとしておるのか、三十五年度でこれが一応出たとするならば、三十六年度にはどういう構想を持っておるのか、そういうことをまずお聞きしたい。  それから、もう一つは、先ほど陸運関係でも百十名で一番すばらしい定員を増員したということを、大臣は自慢をしておりましたが、私どもは、人命とか財産、これの保護には、政府としてもできるだけの力を注ぐべきだという考えですが、先般、これは二月十三日の新聞記事ですが、朝日新聞だったと思うのですが、「ボロ船に乗組員怒る、反省せねば下船を決議」という弥彦丸事件が起きておりますが、それにしても、大へんな不測の事態を起こしたわけでありますが、結局は人命と財産を船が安全に運航されないから失うわけでありますが、その危険な船を許しておる。これは検査員が不足しておるわけでありますが、その検査員の充実を、これまた私たち内閣委員会その他を通じまして、十分しばしば多年にわたって要求してきたにもかかわらず、本年の定員法の改正を見ますと、これまた増員になっておりません。口で言うことと実際にやることとがうらはらでは、これは困るのでありまして、一体こういう努力大臣はどのようにしたのか、今後どのようにこれを考えていくのか。海上の人命と財産というものは船舶の安全以外にないわけですから、それを十分検討する必要があるわけです。ところが、船が足りないというのですから、現場に行って見ますると、増員を要求しておるけれども、これはなかなかくれぬ。これは前の海上保安庁の増強の問題と同じようなことでありますが、大臣の一つ今までやって来た熱意、それから今後どうされるのか、それを特に二点にしぼりましてお尋ねしておきたいと思うのです。
  106. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 海難救助その他で海上保安庁が日夜健闘しておることは、私もつぶさに各管区を見て参りまして、各官区からも非常な熱烈な要望等も受けましたので、今回の予算折衝等につきましていろいろ努力を実はいたしたのであります。  まず第一に、李承晩ラインにおける問題、私、李承晩ラインに行って参りまして、現地における第七管区の人々の海難救助あるいは拿捕その他についての彼らの防止の活動状況等を見まして、いかにも船が不足して非常に困っているので、他の管区からも多少回すようにしましたけれども、私が参りましたことを契機として、内閣において大蔵大臣その他に談判をいたしまして、予備費をもって約四千万ばかり予備費支出させたのであります。同時に、あすこに対しまして三百五十トンの船をやはり新造させるということに話し合いをつけたような次第であります。  また、航路標式等の問題も、最前御報告申し上げましたように、昨年から見ればやはり増強を見ることができたのでありますが、これは自衛隊の予算その他から見れば、はなはだその点は問題にならないと申しますか、非常に少ないものでありまして、今年度予算におきまして、前年度よりも一割増しの八十億八千五百万円だけは計上されましたがこの点については決して満足をしておるものではありません。従って、海上保安庁について、各項目にまたがって大体に前年度よりも、今申し上げたような一割増くらいの予算は獲得し、かつまた、重点的には船あるいは飛行機等の問題を解決することができ、航路標識等の問題も昨年よりは相当増大をいたしましたけれども、まだ微力にして、永岡さんのおっしゃいますように、十分なことを達し得ないのは非常に私自身としても遺憾に思っておりますが、国家全体の予算等の関係もありまして、大蔵当局にいろいろねばって折衝いたしましたが、そういう結果になったのでありますが、御承知のように、一つの災害が起これば膨大な金額に上るのだから、わずかな金を出してもらうことによって、そういうものは防げるのだからということで強く主張しておるような次第ですが、大蔵当局その他の予算等の関係でこういう結果になったのであります。また、あの弥彦丸の検査の問題でありますが、これは非常に重大な問題でありまして、やはり検査制度強化して、十分に船の体質というものを見きわめてやらなければ、不測の大きな被害を与えるということはもう明らかでありますので、検査員の増員等につきましても、今後ああいう事件等が起こりましたので、これを契機といたしまして一段と努力して拡大させたい、こういうふうに思うのであります。
  107. 永岡光治

    ○永岡光治君 定員はどうするのですか。これは大いに努力するというが、形の上で一名も増員されないというのはとんでもないことで、これは今からでもおそくないから、衆議院で出ているわけですが、いずれ修正すると思うのですが、多分これはやるだろうと思うのです。だからその際には、あなたの意思は、これは表向き予算に賛成していて、また折衝することはなかなか言いにくいと思いますが、そういうことは一つ事務当局を通じて適当に与党に働きかけていただきたい。  それから時間がありませんから、また大臣お急ぎのようですから、もう一つ、最初の海上保安庁の増強の問題ですが、具体的に申し上げますが、艦艇で、船はどういう程度ふやされ、それから飛行機はどの程度ふやされ、それから来年度はどのようにしようとする構想を持っておられるのか。それから特に考慮してもらいたいのは、この前地方に参りましたとき聞いたのですが、船が遭難した場合にそこに行くのに旅費が要るのですが、その旅費がないために行動が制約される、これまたおかしなことだと思うのですが、それこそ何とか考慮したらいいだろうと思いますが、旅費とか、超勤で制約されておるということを聞きましたが、そういうことのないようにしてもらいたいと思うのです。そういうことはすでに予算の上に見込んでおるかどうか、細目を見なければわからないのでありますが、そういう配慮を十分してもらいたい、こういうことをぜひ一つ大臣の方から答弁していただきたいと思います。
  108. 和田勇

    説明員(和田勇君) ただいまのお尋ねにお答えいたします。来年度の船艇、航空機の増強の点について簡単に御説明いたします。  三百五十トン型の巡視船が二隻、十五メーター型の巡視艇が一隻、そのほかに水路の測量船といたしまして百五十トン型が一隻、それに航空機といたしましてビーチ・クラフト一機でございます。
  109. 永岡光治

    ○永岡光治君 あとの旅費なんかは。
  110. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) その点は一つ十分に努力してみます。今、次長が報告しましたものをとるのでも、もう相当ねばって実はやったのですが、はなはだどうも海上自衛隊のようにいかない点もありますが、一段と一つまた御援助等を受けて努力したいと思いますから御了承願います。
  111. 松浦清一

    ○松浦清一君 大臣はいつごろまでおられるのですか。あなたのおる時間によって質問の仕方があるのだが。
  112. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 大体三時ごろまでという……。
  113. 松浦清一

    ○松浦清一君 それじゃ一点だけ重要な問題を尋ねておきます。それは、この間の八日の予算委員会で、専用船の問題で私はあなたとそれから大蔵大臣と通産大臣質問をしたのです。その質問の要旨は、最近、日本の製鉄会社が外国の船主を談合して、外国船主をして、日本の造船所に船を注文せしめてそうして輸銀から四分の利子で借りて船を作らせる。それを鉄鋼会社が用船をして、そうして石炭を運ぼう、こういう計画ですが、これは同じ政府管理の金融機関で、外国の船主が日本の造船所で船を作らしたときには四分の利子日本の船主が国内船を作ったときには開銀融資を仰いでも六分五厘の利子、二分五厘の開きがある。そういうようなことで重要な国際航路で競争をせしめるということはいかぬではないかということを尋ねたのに対して、あなたは、こういうやり方は合理的ではない、従って臨時船舶建造調整法等によってこれを許可しないということもあり得る。許可権はあなたが持っているのですから許可しないこともあり得る。そういう意味のことを答弁された。これは速記録ではありませんから若干の間違いがあるかもしれない。それから大蔵大臣は、こういうような鉄鋼業者のやり方はおもしろくない。場合によっては輸銀の融資の対象になるかどうかということを十分に検討をするつもりである、こういうふうな答弁をしておられるわけです。それから通産大臣は、現在、日本の製鉄会社が輸入をしている石炭の量は非常に多くて、全部が日本の船で輸送をしているのではないから、そういうものを作らしても大して大きな影響はない、こういうふうに答弁をしておられるわけです。まあ運輸大臣と大蔵大臣の答弁は若干の開きがあるとしても、こういうやり方は合理的でないということを認めておられるように私は聞いたのです。ところが、通産大臣海運というものを忘れて、船舶輸出という貿易面だけの観点から、これを許可すべきだという、そういう見解をとっておられるように私は聞き取った。私の聞き取り方が間違いであったかもしれんが、おそらく新聞等もそういうふうに聞いておったとみえて、全部の新聞に、三大臣の答弁の食い違いという見出しでこれを報道されておった。私の言ったことが、公平な報道機関の聞き取り方で、今申したことは私は間違いないと思うのですが、その後だんだんと製鉄会社の方は話し合いを進行しておる模様に承っておりますが、政府においては、通産大臣等との問でどういうふうにこの件に関する結論を出そうとしておられるか、相談をなさったことがあるかどうか、それを承りたいと思います。
  114. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今、松浦さんのおっしゃいました通りであります。そのときの応答はさようでありますが、私の答弁を申し上げましたのは、日本の商船隊にやはり一つの大きな影響を与えるような場合には、輸銀の融資をもってそういうような船を作ろうとすることについては、これを許可しないという一つ方針を作りたい。実情を実際見てこなければわからないけれども、そういうことを答弁したのであります。私が運輸大臣になりましてから、一つの何といいますか、不思議な矛盾した政策が同じ運輸省の中にあると申しますか、一方には海運に対する一つの保護政策といいますか、利子補給というような問題が一方にあって、一方には外国船、外国の人が日本に船を注文した場合には、輸銀が四分でこれを融資してやる。その作られた船は、当然に日本海運との問に競争者として現われてくる。もっと端的にいえば、敵に塩を送るというか、敵に何を送るようなことの政策がある。この点は、私はどういういきさつでそういうことになったか、まだ何でありまするけれども、今回明らかにその問題がまあ製鉄会社等によってうまく利用されて、特にパナマその他において、ILOその他の条約を無視するような、ギリシャその他のような、ああいうような船主たちが、労働条件その他も国際的な規約からはずれたもので、しかも日本の輸銀の金を引っぱり出して、製鉄業者との間にそういうような特殊な契約を作って、日本海運を圧迫するというようなことは、これは確かに、私は日本海運政策あるいは日本の造船対策からいっても正しくないと実は思っておるのでありますが、一面からいえば、貿易の自由化からくるコストの引き下げという点からいけば、運賃が一ドルも違うというような場合には、当然に、製鉄業者として原料を仕入れる上において、安い運賃を利用することは当然じゃないかというような議論もまた一面出てきておるというような状態でありまして、一方、日本の造船業者は今仕事がありませんから、外国の船の発注等があれば、やっぱりやりたいという希望もある、こういうような状態が現実の姿になっておるのでありますが、まだ具体的なことは全然運輸省の方にも何にも音さたない。町のうわさといいますか、そういうことの企画はあるということだけは聞いておりまするけれども、公式には何ら私らの方に話し合いがありません。しかし、寄り寄り海運業者及び船舶業者、また造船業者及び製鉄関係の人たちが一ぺん寄って、その問題を話しをしようというような動きがあるということだけは聞いておりますが、現状では、大蔵大臣と私と通産大臣の間には、この間、松浦さんが御質問になった後において、この問題をどうするかという問題について、いまだ協議する段階といいますか、には達しておらない。私の方も通産大臣の出方を見ておるというような状態に今あるのです。そういうことです。
  115. 松浦清一

    ○松浦清一君 海運局長にまた委員会で聞きますから……。あなたに尋ねることだけ二、三点お尋ねします。あなたの御信念のほどはそれでわかりましたが、まだ具体的にあなたのところへは何にも言ってきていない、何か町のうわさのように簡単におっしゃるけれども、具体的に、やっぱり製鉄業者と、それから外国の船主との問に話が進行をしておるということが刻々として新聞に報道されておるわけです、新聞を見ると。またほかからも私は聞くのです。しかも、この間の八日の委員会における大蔵大臣の答えがそうであったにもかかわらず、きょうの新聞によるというと、昨日の新聞記者会見で池田通産大臣は、外国船主と組み、輸銀金融を利用すれば米炭はトン当たり七ドルくらいで、邦船の国内建造では八ドル五十セントだから、一ドル五十セントの差があるのは検討を要することで、輸銀金利の石炭専用船を近く大蔵省が許可する——許可じゃない、大蔵省がその方針を決定することになろうと、こういうことを語っておるわけですね。通産大臣と大蔵大臣の方では、その間柄では話し合いが進行しているのじゃないですか。
  116. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 進行をしておるかどうか、私まだその点は確かめておりませんけれども、少なくとも、そういうような外国の船会社と組んで、日本の輸銀の金をうまく引っぱり出して、それで船を作って日本の商船隊に大きな打撃を与えるといいますか、そういうことを与えるというような行き方に対しましては、運輸大臣としては承服しかねるという方針を持っておるのでありまして、従って、通産大臣が、あくまでもその問題を、貿易の自由化からこの建前を主張してきた場合において、その根本は一体どこにあるかということを基本的に掘り下げなければならない段階にくるのではないか、言いかえてみますれば、日本海運というものが、御存じのように、戦時補償ももらわず、二千数百億の借金を背負って、しかも九分五厘あるいは六分五厘の金利を今まで払って船を作っておる。しかるに外国の船は、アメリカにおきましても、すでに今まで造船価格の半額は国家が補助し、残りの四分の三は三分五厘でやって、航路補助金を与える、フランスも、あるいはイギリスもドイツも、世界各国がそういうような保護政策をとっておるのに、日本だけがそういう立場に立って、しかも重い借金を背負って、しかも国家が戦争目的のために民間の船を徴用しておいて、戦後は占領政策上、弱体化するという政策のもとに一銭も払わなくて、その重荷を背負わせて国際競争をしろということを強要しておるところに根本的な問題がある。しこうして、そういうような金利の問題におきましても、国際金利という線において、日本の船を国際競争に耐える体質としてこれを規制するかどうかという問題までこなければ、この問題は私は解決しないと実は思っておるのでありますが、まあ通産大臣がどういう形でその問題を、製鉄会社その他によって出してきますか、私といたしましては、そういう根本的な問題に取り組まなければならない段階にくると、こういうように実は考えておるのでありまして、今、通産大臣と大蔵大臣とひそかに話しておるかどうかということは、私は今、松浦さんからのお話で初めて知ったのですが、その点、私からもなお大蔵大臣その他にも確かめてみたいと思いますが、私の考の方は、今そういう考え方を持っておるわけであります。そういうようにやりますと、おそらくみなそういう式でもって許されるというならば、逆に日本の船会社が外国の船会社と組んでいろいろなことをやり出すということになれば、私はめちゃくちゃになってしまうのじゃないか。ですから総合的に、やはり日本の国をいかにして守るかという立場から、同じやはり日本企業をやる人たちも、そういう大きな精神からものを考えなければ、まあユダヤ人かギリシャ人か知らぬけれども、そういうものと組んで、知能犯的とは申しませんが、そういうことをやって、日本の安い金を引っぱり出して安い船を何して、日本海運に働いている者もみな圧迫を受けるということは、私どもの立場からいったら、これはあくまでも防止したいという考え方を持っております。
  117. 松浦清一

    ○松浦清一君 きょうの新聞記事をたよりにしての質問ですけれども、今、日本の船主が、外国貨物船を四十五隻、油送船を五隻、計五十隻、六十一万九千トン用船をしておる。これは昨年の一月に比べて二十一隻、二十九万八千トン、それだけ用船がふえておる。こういう傾向にある、この数字は間違いないでしょうかね。間違いがあるかないか、局長に。
  118. 朝田静夫

    政府委員(朝田静夫君) 間違いございません。
  119. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうしますと、今、大臣がおっしゃったように、外国船主が日本の造船所に船を発注すれば、平均の金利にして五分一厘六毛ですか、これで船は作れる、そうすると、日本の船主が悪いことを考えて、日本でやかましいことを言われて、ちょっぴり利子補給をもらって、開銀で六分五厘で借りるよりも、リベリアかパナマかどっちか、税金のかからない船主と組んで、どんどん日本の造船所に船を作らせて、使用契約なり買い取りなり——貿易の自由化によって買船は必ず自由になるそうですから、そういう点やりかねないという結果が起こるわけですが、これはやっぱりはっきりしたことを大蔵大臣、通産大臣とあなたとの間で取りきめられぬと、不測の混乱が起こってくるのじゃないかと思うのです。今の日本のこの海運界というようなのは、日本ばかりではありませんけれども、海運の中核的なニューヨーク航路が盟外船主の割り込みだ、定航同盟の脱退だというようなことで非常に混乱のきざしを見せておる。この航路が混乱をして、そうしてどんな裏道をくぐろうとも、できるだけ安い金利で船を作れる方法を考え、税金のかからぬことを、抜け道を考えていろいろやり出すと、日本海運の秩序というものは全く混乱してしまうと思うのだ。で、何だかんだと世間でいわれながら、わずかばかりの利子補給をしてみたって、財政資金を出してみたって、一方で助成、海運強化の方策を講じておりながら、一方にその混乱状態を放任をしておく、こういう全くつじつまの合わない政策をとることになるわけですね、あなた方の話がまとまらなければ。早急に一つ話をまとめられてやってほしいと思うのですよ。で、今、大臣がはっきりしたことをおっしゃったのですが、これは臨時船舶建造調整法に基づいて、船舶の建造は運輸大臣の許可になっておるが、もしもそういう申請がきてもあなたは許可なさいませんですね。
  120. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 申請してきました実情等をよく見なければわかりませんけれども、今申したように、日本の商船隊にやはり打撃を与えるような、そういうようなやり方につきましては、運輸行政、特に海運の政策の責任者といたしましては、私は許可しないという方針でいきたいと、こういうふうに思っています。
  121. 松浦清一

    ○松浦清一君 この間、運輸委員会でこれもお尋ねをしかけて、あなたが御不在になったか何かで私は言いっぱなしになったのですが、臨時船舶建造調整法のその船舶建造の許可基準については、告示をしなければならぬことになっておるのですね。あの海運造船合理化審議会に諮問するか何かして、それでその告示をしなければならぬということになっておる。それが昭和二十八年の十月の二日に、運輸省告示第四百三十二号で、その許可基準として「当該船舶の建造が、それを配船しようとする航海区域又は航路における船腹の需給状況からみて著しく、過剰となるおそれのないこと。」が一つの条件となっている。それからもう一つは、「当該船舶の建造によって、わが国商船隊の公正なる海外活動に著しく不利な影響を与えるおそれのないこと。」が許可基準の条件になっているのです。これを見れば、今あなたが認識しておられるように、私が認識しておるようなその状況になることがはっきりしておるのだから、これはもうこの告示によって許可しないということをはっきり明言ができるのじゃないかと思うのですよ。
  122. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今、松浦さんが言われましたように、第五に「当該船舶の建造によって、わが国商船隊の公正なる海外活動に著しく不利な影響を与えるおそれのないこと。」という点が、二十八年に石井大臣の当時、告示がありますからこの点は十分尊重して、出されました問題について、この条項に抵触するおそれがある場合は、まあこれは許可しないという方針でいきたいと思います。
  123. 松浦清一

    ○松浦清一君 それで、結局まあ海運さえよければ製鉄業者はどうなってもいいとか、そういう狭い考えで私はものを言っているわけではないので、もしこういうことで石炭の運賃が一ドルないし一ドル五十セントも違うということであれば、日本の船で運んでもその運賃で運べるような状態を助成をするなり何なりして作ってやらなければ、これは日本海運は、わずかながらでも助成をしながらつぶれていくという結果になる。だから、これを助成をしてそれと対抗のできるような力を持たしてやるか、しからざれば、こういうことは許可しないという二つに一つの方針を立てるよりほか道がない。
  124. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) これはやはり積極的に、一面いえば、こういうような事態が起こったことを契機として、日本海運政策というものは、国際的に対抗する上において、また日本海運を助長する上において、どうなすべきかという基本的な問題でこの問題を処断していきたい、こういうふうに実は考えます。
  125. 松浦清一

    ○松浦清一君 それで、私はまあ考えておるのですが、運輸大臣も通産大臣と相談しなさいとか、大蔵大臣と相談したらどうですかと言ってみたところで、なかなか大蔵大臣、通産大臣に会ったときに、海運問題ばかり話しておるわけにいかぬのだろうから、そう始終そのことばかり相談しているわけにもいかないので、海運産業会議というようなものを作って、関係大臣をもってその会議を構成して、そうして経営者、それから船員代表、学識経験者、そういうようなものを入れた協議の機関を作って、造船も立っていくし、海運も立っていくし、製鉄業者も立っていくと、こういうことを一つの国策として考えていく、そういうようなことを一ぺん構想してみたらどうかと、こう私は思っておるのですが、あなたの御意見はどうですか。
  126. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ごもっともな御意見でありまして、この機会にぜひそういう問題を取り上げるために一つ考究してみたいと、こう思います。
  127. 松浦清一

    ○松浦清一君 これは非公式なことですから、ここで言うべきことじゃないかもしれんけれども、ある機会に岸総理大臣にこれを進言したときに、そういうことはよかろうということを言っておったんですがね。一ぺん早急に一つ総理大臣ともお会いになって、そういうことを進言をし、関係閣僚とも御相談なすって、個別にするのでなしに、そういう一つの会議体を作って、大きな海運、造船、製鉄に関係のある政策を打ち立てていくと、こういうことに一つ努力をしてほしいと思うのです。どうか一つ所信をお聞かせを願って、それで私はきょうはもう質問をやめておきます。
  128. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) お説の通り、至急そういう問題を取り上げてみたいと思うのでありまして、先般も海運業者の人たちその他からもいろいろと話を承りますし、実情等も調査しておりますので、至急そういうような、総合的に全体のものを集めて、この問題を高い見地から相談をすれば、おのずから今まで開けなかった道がまた大きく開けるのじゃないかということも考えますので、ぜひそれを一つ取り上げて努力してみたいと思っております。
  129. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは建設委員会でちょっと聞いたんですが、主管は、まあ運輸省のこれはどこになるでしょうか、道路交通関係——箱根の登山バスですが、この前、国会に出て参りまして、小田急のたしか労働者の代表だと思うのですが、従来は元箱根と湖尻でしょうか、どこかその近くの道路だと思うのですが、堤さんの方の登山バスですかね。あそこの専用道路ですが、小田急の自動車もあれは許しているのですね。ところが、最近それを舗装したのか何かしりませんが、今度はそれは許さぬ、おれのところだけだということで、困るという実は陳情を受けたのであります。これは道路ですからね。確かに改装費その他に金はかかったということは、それは負担しないと、ただで通せというのはこれは無理ですけれども、規定の料金を払うというのならば、これは通さぬというのは、まさに公共の建前をとる道路としては、たとえそれが専用自動車道でも不都合であろうと思うのです。道路公団が専用自動車道を開設しようと、個人が開設しょうと、この道路の持つ使命に変わりない。国が作っても同様です。だから、料金を払う限りにおいてはそれは当然許すべきだと思うのだが、それを、これだけに限定して、ほかに一切許さぬという申請を出しておるというお話でありますが、運輸省の方はそれを許可する方針ですか。私はそうであっては困ると思うのでありますが、その辺のところを一つだけお尋ねしておきます。
  130. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 現在申請のあります道路につきましては、箱根の地区、ほかに三件ございますが、今お話のございました件は、小湧谷から早雲山を通りまして、大湧谷を通って湖尻へつながるその道路だと考えますが、これに関連して、古く伊豆箱根鉄道と箱根登山とで運輸協定を結びまして、ここに伊豆箱根鉄道のバスと箱根登山のバスとが両方走っておりましたが、この運輸協定を伊豆箱根鉄道が破棄いたしましたので、現在、伊豆箱根鉄道一社だけバスが走っておるという状況でございますが、これに対しまして、一般自動車事業でございますが、一般自動車事業の共用約款で規定することによって、他の会社のバスを排除し得るのではないかということで、そういう申請がございましたのですが、これらに関しまして、運輸省といたしましては、法制局へその趣旨質問いたしましたところ、共用約款ではそういう取り扱いはできないが、その自動車事業の建設、あるいは維持管理について寄与が顕著である場合には、いわゆるそこを通過するバスは、ある会社、特定の会社に通過する、バスを限定して免許することができるという回答がございましたわけです。これに基づきまして、運輸省としては現在、事案の内容を検討中でございます。さらにその路線に、現在、箱根登山の乗り合いバスの免許申請がございます。これらの点を総合的に勘案いたしまして現在検討中でございますので、現在のところはこれを免許するとも却下するとも申し上げかねる、これはバスの申請につきましても、あるいはまた自動車事業の申請につきましても申し上げられない状態、目下検討中のところでございます。
  131. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは法制局へ照会の結果できるという解釈が一応成り立つとしても、できるということは、当然許可しなければならぬということではないですから、やっぱり公共という建前から、ある会社に独占させるということはいかぬことで、私たちとしてはよくないところだと思います。十分一つそこのあたりは慎重に考えていただきたいと思います。
  132. 鈴木強

    ○鈴木強君 今の問題、当委員会の最初の日に、建設関係の質疑の中でその問題が出て参りまして、建設省の道路局長のお話と、あなたの今答弁されたのとはちょっと食い違うところがあるように思うのです。これは一つ建設省の方とよく打ち合わせていただきまして、多少あなたの言っていることと道路局長の基本的な考え方とに違いがあるので、ちょっと注意しておきます。その点だけ……。
  133. 羽生三七

    羽生三七君 一点だけ。航空関係ですが、日本とソ連との飛行機の乗り入れ問題、こちらはモスクワまでという、向こうは東京までという、相互の対等と言ってはおかしいのでありますが、同じフィフティ・フィフティの条件がやることはなかなか困難で、向こうはどっか途中までしか行けない、しかし乗り入れば日本までと、そういうことはだいぶ話があったようですが、それはそれっきりで何にもないのですか。幾らか話は、この日ソ間の航空関係は進展しているのかどうか。それだけ聞いておきます。
  134. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 日ソ間の問題につきましては、こちらからはモスクワまで行きたい。それからソ連側の方ではハバロフスクと東京間でいいじゃないか、そういうふうな折衝がございまして、その後少しも進んでおりません。また、日本側政府の態度としても変わっておりません。以上でございます。
  135. 西田信一

    ○西田信一君 港湾局長にちょっとお尋ねしますが、特定港湾施設工事特別会計による港湾整備ですね、これはこの制度ができるときに、当時の運輸大臣永野さんだと思いましたが、これは今回四年間でやるという方針をお示しになったのですが、この方針には変更はございませんか。
  136. 松浦清一

    ○松浦清一君 ちょっと答弁される前に、関連して一緒に答えてもらいたいのですが、今度の予算に載っている特別トン税の六億ですね、あれは大蔵省の所管だけれども、港湾局としての考え方を聞かしておいてもらいたいのだがね。地方税に移管してくれということを地方自治体から非常に強く要望されているのですよ、あなたお聞きになっていらっしゃるでしょうね。港湾局としてはどういうふうに考えておられるのですか。
  137. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 昨年から創設されました特定港湾施設特別会計につきまして、全体的な規模といたしまして、四ヵ年を目標にして事業計画を立てております。ただ、これは閣議決定等を経たものでございませんで、大蔵省と話し合いをして事業を進めておりますのですが、大体その線に沿って進んでおりますけれども、本年は御承知のように伊勢湾の災害関係がございまして、その方に、国土保全の関係のために相当の予算がさかれておる現状であります。従いまして、四年の目標で現在進めておりますが、現在のところ若干ズレがございます。今後、三十六年度以降においてこれを回復して、できるだけその線に近づけて進捗させたいというふうに考えておる次第でございます。
  138. 西田信一

    ○西田信一君 大体それでわかりましたけれども、今年は二年目ですね、三十五年は。三十五年度予算では全体の事業量でどのくらい進むことになりますか、全体を通計して見て。
  139. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 全体的に申し上げますが、港湾局といたしまして立てております港湾整備五ヵ年計画進捗状況でございますが、この計画は、御承知のように昭和三十三年度から三十七年を目途にいたしまして立てておるわけでございます。総体といたしまして、港湾事業としては約千五百三十億円を予定いたしております。この中で三十三年度と三十四年度の二ヵ年に約三百四十八億円を実施しておるわけでございます。そこで先ほど申し上げましたように、三十五年度は台風災害関係で若干進捗が阻害されておるわけでございますが、現在までのところ、三十五年度までの実施合計額は五百九十三億円でございまして、進捗率は約四〇%でございます。従いまして、今後この五ヵ年計画実施いたしますためには、この進捗率を約五〇%にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  140. 西田信一

    ○西田信一君 私、五ヵ年計画はいいんですが、その中で、去年から始められましたいわゆる緊急整備と名を打ったのが特定港湾特別会計でしょう。その特別港湾の会計の方の仕事はどんな状態になっておって、これが五年間で緊急整備というその目的を達し得るのかどうか。こういう点で、どのくらいできておるのか、先の見通しはどうかということをお聞きしたいわけであります。
  141. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 特別会計分につきましては、全体計画が五百三十三億円でございまして、これは三十四年度から開始いたしております。三十四年度が六十八億円、三十五年度は八十七億円を予定いたしておるわけでございます。従いまして、現在までのところ約三〇%の進捗率ということになっております。
  142. 西田信一

    ○西田信一君 先ほど私が四年計画がくずれておらぬかということをお聞きしたのは、四ヵ年の目標にいたしましては、今お話しの通り三〇%ぐらいだ、残りは七〇%も残っておるという状況から、もちろん事業量は、工事は延びていきましょうけれども、ちょっと不安があるように感じましたので、これは間違いないかということをお聞きしたわけですけれども、残り七〇%あるといたしますと、下手をいたしますと、三十七年度目標通り進まない、でき上がらない、こういう結果になる危険が多分にあると思いますので、特にこれは、きょうは運輸大臣がお帰りになりましたから、運輸大臣の御意見は伺わないのですけれども、どうか一つこの点は大臣と十分御協議下さいまして、ぜひこれは所期の目的を達成し得るような来年度の措置を今から考えていただきたいということを、今から希望申し上げておきます。
  143. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 先ほどのトン税移管の問題でございますが、この点につきましては、各港湾管理者の方から、それらの財源の一つとしてトン税を港湾管理者の方に移管してもらいたいという要求が非常に強く実は出ておるわけでございます。従いまして、この点につきましては、大蔵省の方とも話をいたしておるわけでございますが、国税になっております関係で、現在のところまだ結論を得ておらない。港湾局といたしましては、その線に沿うて、そういうものを実現していきたいというふうな考え方で進んでおるようなわけであります。
  144. 白井勇

    主査白井勇君) 運輸省関係予算の質疑はこれをもちまして終了したことにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 白井勇

    主査白井勇君) 御異議ないと認めます。  次回は明後二十八日午割十時から開会し、郵政省関係予算審議いたします。  本日は、これで散会いたします。    午後四時四分散会