○
説明員(
小田部謙一君) フィリピンの
国会で、たとえばダムの安全性の問題とか、それからモレノですか、金を八百万ドルだけですか、取るとか取らないとかいう問題とか、
日本の業者とフィリピンの業者との談合と、こういうような問題が出たことは事実でございますが、これはこういう問題がなぜフィリピンの
国会で出たかということを御
説明をしないと、なかなか
了解しにくいことだと思うのであります。御
承知の
通り、今回の賠償協定は、まあ先にもございますが、何か物を
日本から調達いたします場合に、
日本側に対しまして業者の推薦ということを求めてくることがございます。これは協定のうちにございます。もっともその協定の中には、
日本から業者が推薦されても、それによって拘束されるものではないという規定がございます。そこでこのマリキナ・ダムというのは、向こうにとっても非常に大きい問題でございますので、
日本側に対して業者の推薦をフィリピン側がまず求めてきたわけでございます。それで求めてきましたが、まず最初、十月七日付で求めてきましたのでございますが、これに対して当方からは、外務省としましては、これを
建設省に委嘱し、
建設省としましては、海外
建設協会というものに依頼をしまして、向こうの条件は、とにかく今度は大きいアーチ・ダムを作る。ですからそういう大きいダムをこしらえられるだけの能力のある者、それからまた、輸銀から融資を受けなければならないから、ある
程度の信用能力がある者、それを条件に置いて推薦してくれということを申してきたのでございます。そこでわが方といたしましては、最初五社を推薦したのでございます。そしてそのうちで五社のうち二社が辞退しましたので、もう一回またこれを頼んできたのでございます。そこでわが方としては、また三社を推薦した、こういうふうなことになっておるのでございます。そこで現在のところ、鹿島と熊谷と西松とが
一つのシンジケートを組みましたという情報でございます。それから
あと前田と大林とが組みまして、それがおのおのフィリピン側の業者と一応タイアップする、こういうチームを作るという形になっておるようでございます。これは御
承知の
通り、マリキナ・ダムの
建設は、
日本における資材と
日本のサービスの調達のみならず、フィリピンにおいて仕事をする、その場合の金はもちろんフィリピン
政府が払うのでございますが、フィリピンにおいて、フィリピン
政府がそのいわゆるローカル・カレンシーというものを負担するわけでございます。そこで、フィリピン側の申し出によりまして、
日本の業者とフィリピンの業者とが協力してやるという態勢でございます。ところが、問題が起こりましたのは、結局このシンジケートが一社と、それから前田と大林組と、
あと推薦した業者は皆フィリピンの業界と話し合いの結果辞退しているのでございますが、そこでフィリピンの方としましては、ほかに業者がいて、その業者が
日本と組もうと思っても組めない、しかも組めない以上はビッドの資格がない、こういう問題で、これが非常に運動をいたしまして、そうしてこういう問題が
一つは起こったのだと、私らの方では観測をしております。
それから、しからばこれが幾らのリベートがあるとかないとかいう問題でございますが、実はまだやっとこの三月の十二日に資格審査というものを終わったまででございまして、現在のところの
予定では四月の半ばですか、過ぎにビッドが行なわれるということでございまして、そのときにどのくらいの価格というものができるのでございまして、今そこにリベートをどうするとかこうするとかいう動きの余地は全くない問題だと、こう考えている次第でございます。