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国務大臣(佐藤榮作君) なかなか
地方財政の規模にいろいろな問題があると思います。本体がそれぞれの自治体でございますし、しかもまた、国が国の事業としての直轄事業を各
府県でそれぞれ施行をしております。そういう
意味からなかなかむずかしい問題があると思います。ところで、今までのところの
やり方は、御
承知のように、災害等について特に短期間の間に災害復旧しなければならないということになれば、特例を設けて国の補助率を高めるという
方法をいたしております。また自治体相互間の財源調整は、これは困難でございますから、そういう
意味で交付税の使い方等につき、あるいは特別交付金等の使い方についていろいろ
自治庁に工夫を願っておるわけであります。ところで、
自治庁と私どもの方の
考え方、先ほど来御
議論がありましたように、交付税額をふやさない限り、その交付税額の中でそれをいかに配分しても不十分じゃないかという御
議論がございますが、これは国の財政との関連の問題がございますから、理論だけでは片づかない問題でございます。そこで、少額ではありますが、その交付税額をできるだけ弱いものにたくさん行くような工夫をしていただきたいということを
自治庁にもお願いしております。
自治庁におきましてもいろいろ工夫されまして、三十五年度の交付税の配分については、いろいろ工夫しておられるようであります。在来取り上げなかった要素なども取り上げて、交付税が貧弱
府県に行くように、さらにまた最近は、二十億ばかりの財源を特に公債の多いところの公債負担を軽減するというような
意味でこれは配分されるという計画も今立てておられるようであります。問題は、全体の金額がふえれば非常にしあわせでございましょうが、ふえましても、おそらく相変らずもっと行政水準を高めるという
意味の主張が強いに違いありません。そこで私どもの方で、今の主税についての二八・五、これは国の支出から見ますと
相当重い支出です。事業に対する補助率等もございまするから、そういうことを
考えてみますと、国が
地方の所要の経費を負担しておるものは、何やかや全部合計いたしますと非常に多額に上ぼっておる、いわゆる後進県等においては大半を国の費用で負担しておる、本来の自己財源でまかなっておる部分は非常に少ない、こういうような状況までもうすでに出ております。しかし、いずれにいたしましても、
地方自治体を強化しない限り、りっぱな国柄ができるわけではございませんから、財政の許す
範囲において、私どもにおいても協力を惜しむものではございません。そこで、基本的な問題として、先ほど来御
指摘のありますように、国、
地方を通じての税源の分配が適正を欠いておるのじゃないか、こういう点がございますので、一昨年来税制
調査会において、これを基本的な問題として取り上げておりまして、この結論が出て参りますれば、税源の分配においても適正を期することができるのじゃないか、せっかく審議中でございます。先ほどいろいうことしは、公共事業費が非常にふえたから
地方が困るだろうという
お話がございまするが、一面から、全部が平均しての自然増収ではございませんが、とにかく自然増収のあることは事実でございます。また交付税額等についても、ことしは自然増収が非常にふえておりますので、主税の伸びも大きいのでございますから、交付税額も例年に見ない金額が参っております。それらの点を勘案し、あるいは交付公債の
制度等も一部これに改善を加えるということによりまして、
地方におきましても、国の事業等の遂行に協力も願えるし、また自治体の独自の事業の遂行にも一応計画を立てておるという状況でございます。