○
国務大臣(
佐藤栄作君) ただいままでの東北開発促進
計画に基づく公共事業、これはそれぞれの大臣から所管事業についての
お話がございましたが、私はただいままでの財政投資の傾向をたどってみますと、大体
計画通り遂行できるのじゃないかと思います。と申しますのは、道路、港湾、治水、農地、漁港、これらのものを総合計いたしまして、全期の投資額は二千三百三十億ないし二千四百四十億といわれておりますが、総体といたしまして今日まで、三十五年度までに支出いたします総合計額は、千百四十三億ということになっております。そういたしますと、四九・一%ないし四六・五%という、こういう数字になります。この数字が、半分にも満たないじゃないか、三年で、そうじゃないかというような感じがしようかと思いますが、この逐年金額は増加して参りますので、私は、ほぼこの
計画通り遂行可能じゃないか、こういうように
計画の遂行ができておりますゆえんは、最初に申し上げました東北開発促進法に基づく国の負担割合が、普通の場合よりも高くなっておりまして、一・二倍、いわゆる二割増しというところの結果だと思うのでございます。ところで、さらにこれらの二割増しで、どういう結果になっておるかといいますと、三十二年度は補助、直轄、合わせまして二十六億四千七百万円、三十三年度は三十二億八千九百万円、三十四年度は四十一億七千二百万円、それぞれ金額がふえた金額であります。そういうふうに実はふえておる。
そこで今度は、地方財政と国の補助率との
関係で、ただいま御議論をせられましたように、地方団体の財政収入が非常に不足しているから、特殊な事業についての補助率を上げろ、こういうお
考え方、また自治庁の方におきましても、そういう主張をしておられる、ただいま
石原長官からの説明の
通りであります。しかし私
ども、これについて
考えますのに、いろいろな
考え方があります。
まず第一には、御指摘になりました交付税の配分について、十分にその効果をあげるような配分方法はないか、申すまでもなく交付税は、これは地方の自主的財源になる、いわゆるひもつきの財源ではございません。自主的の財源であるというところに交付税のよさがある、地方には地方の特殊
事情があります。ただいま申し上げましたように、一つの国の
計画事項もございますが、国の
計画事項だけで地方の開発は十分にいかない、時には国で
考えることよりも、
自分の方でもっと進めたいものがある、こういうのが必ずある。たとえばもっと耕地に力を入れてほしい、あるいは治水の方はややおくれても、まず耕地が先だ、こういうような事柄も必ずあるだろうと思います。そういうことを
考えてみますと、この地方が、自主的に使い得る財源をふやすことが何にいたしましても第一じゃないか、後進県で、一番困っておりますのは、どうもひもつきの財源では、地方の財政がついていかない、だから特別な事案を中央からよこすなら、財源までつけてこい、こういうことで、場合によれば、公共事業を辞退するという話も出て参りますが、本来の自主的財源がふえてくれば、そういう事態は起こらないだろう、従いまして、交付税の分配にあたりましては、ひもつきでない自主的財源をふやすように、ことに考慮を払っていただきたい、こういう
意味から、第二の問題であります基準財政収入に対するこの交付税の上げ方についても、今までのような八割とか七割とかいわないで、さらに九割とか八割とかに引き上げる、これを一割引き上げることが、地方の自主的財源をふやすゆえんじゃないか、この点では私
ども遺憾ながら自治庁と所見を異にしております。けれ
ども、これはよく実情を話し合って、そうして地方の自主的財源をふやすようにすることを、まず第一に自治庁にも
考えていただきたいことだ、また各
関係方面においても、それを
考えていただきたい、また地方団体の
相互間の財源調整、これは、それぞれが自治体でございますから、非常に困難なことで、団体間の調整は困難だということはよくわかりますが、少なくとも今までとっておられるような譲与税の配分においても、こういう点を工夫していただきたいし、あるいは態容補正等についても、特に私は考慮を願いたいのであります。
今回、自治庁におきましても、この調整の面において、面積その他について、いろいろ工夫をこらしておられる。これは、一つの前進だと思います。大へんけっこうなことだと思いますが、さらにもっとこの
考え方を徹底さすわけにいかぬか。たとえば金額的に申しますならば、本年も相変わらず、態容補正について三十億しか計上しておられない。昨年は五十七億です、特別態容補正に計上しておられる。少なくとも昨年
程度の特別態容補正を計上されることが、私は地方の自治体に対しての財源補てんになるのではないか。国の
援助を云々申すわけではございませんが、持っておられる財源を、まず、ただいま申すような方法で分けられる。これがまず第一じゃないか。そうしてまた、中央から、事業について特別なお願いをするというような場合におきまして、なお、
先ほど言われますような、特殊な補助率を高めろという問題があるだろうと思います。
それらの点につきましては、従来からも申しておりますように、この特別地方の開発促進法、これなどの補助率を引き上げておるごと、これが今後再建団体でなくなれば、どうなる、こういうようなこともございますが、本来の行政水準を高めることになるわけでございますから、再建団体でない方がいい。しかしながら実態に合わないにもかかわらず、再建団体の指定を受けている方が楽な場合もある。こういう点は、自治体自身が選ばれることが望ましいことではないか。
自治体についての、いろいろ財政的な
援助なり
協力の問題については、ただいま申し上げるような幾多の問題があること、これも実は御指摘いたしておきます。在来から、各方面から、いろいろの
お話を伺っておりまして、大蔵省の
考えだけが、私正しいと申すわけではございません。これは十分
関係の方面とも、よく話し合って参りたいと思いますが、ただいま申し上げるように、何にいたしましても、国、地方の税源の再分配にいたしましても、これはやはり地方財源を、もっと強固にふやす方法はないかということなんで、そうすると、まず第一に、今あります制度のうちで、ひもつきでない、自主的財源になる交付税、これをできるだけ後進県にたくさんいくような工夫で、分けていただくことが第一の先決問題じゃないか、かように強く
考えております。
どうか、ただいま申し上げるような点は、私の方からも、問題として御披露いたしますので、この自治体のあり方、また国の財政補助のあり方等、あわせて十分御検討をいただきたいと思います。
お話の点を無視するつもりでは毛頭ございません。