○森八三一君 まあいろいろ御説明がございましたが、少し私は運輸大臣の感覚がどうかと思うんです。と申し上げまするのは、何と申しましても、食糧の問題は常にこれは安心感を与えておくということが、これは一番大切な問題なんです、治安の問題、一般の問題のこれは基底となる問題ですから。そこで、リンゴの輸送がどうだとか貨車が足らぬとかということは、私は一番重要な帝都の食糧問題を御説明なさる理由にはならぬと思うんですね。全然ないというなら別なんです。鮮度の落ちるリンゴを運ぶ貨車はあるが、
ほんとうに
国民の生活になければならぬ食糧の問題について、不安を与えるような記事が載るようなことにまで追い込めていらっしゃるということは、私はどうかと思うんです。これは運輸大臣、今の御説明では納得ができません。今後私はいろいろなことをやって、三月以降にこれを手直しをするとおっしゃいまするけれ
ども、非常にむずかしい問題である。と申し上げまするのは、産業経済活動が相当に伸びていく。いわゆる岩戸景気に際会をしておるんですから、これからますます貨物の動きというものは活発になろうと思うんです。そういう際に米をそこへ三〇%よけい割り込んでやるということ、前年の同期よりもよけいやるということは、これは容易ならぬことで、もしそれを強行するとすればほかの産業活動に非常な私は影響がくると思うんです。このことはここでさらに追及いたしましても、済んだことですから今さら取り返しはつきません。つきませんが、そういうことを疑いたくはございませんけれ
ども、
政府貨物である米を運ぶ場合には、別につけ届けも何にもないからそういうものはあと回し。リンゴやそういうものの方がどうも
都合がいいということで、私はそっちへいっておるんじゃないかと疑いたくなってしまうんです。疑うということじゃございませんけれ
ども、そういう
気持が自然出てくる。もう少し
国民の主食の問題については真剣に考えて、農林当局の計画
通りにこれは完遂を願うということだけは、しっかり考えてもらわなければ、そういう監督を願わなければ、私は大きな問題になると思う。災害は忘れたころにやってくるということでございまして、いつ何どきくるかわかりません。きたときにはどうする。さあ、きょうきたらどうなさるんですか。三割も、五十七万トンもマイナスになっている。きょう、もしそういう
事態が発生したらどうなさる。これは大へんな問題ですよ。今日貨物自動車が発達しているからといいましても、道路がまだ整備されておらぬのですから、そんなに貨物自動車で五十七万トンを運ぶなんということは、これは私は簡単な問題じゃないと思うんです。もう少しそういう点について、
国民が
ほんとうに安心して生業にいそしめる、やみのものを買って貯蔵しておかなければ困るというようなことが、新聞記事に出ないようなことをやってもらわなければ、私は政治にならぬと思う。この点は十分注意を喚起しておきたいと思います。
それから、運輸の問題が出ましたので、もう
一つ運輸大臣にお伺いいたしたいと思いますが、ことしの年の初めに通運料金の引き上げ改定を閣議で決定承認されました。この通運料金があらゆる物価に直接
関係を持っておりますことは、もう御
承知の
通りであります。しかも、この仕事は私企業ではありまするが、独占的な性格を持っておる、公共的なかなり性格を持っておる仕事であるということも、大臣よく御
承知の
通りであります。ということでありまするから、これが処置についてはきわめて慎重でなければならぬと存じます。特に貿易の自由化をはかりまするということになりますれば、それに並行して産業の体質改善をやりながら、国際競争に耐え得るような措置をとっていかなければならぬ。そこにこの輸送に関連する運賃というものが、非常に大きな私は問題になってくると思うのであります。こういうような
見地に私は立っておりまするので、かねがね該当する
委員会等におきましても、当局との間に質疑を交わして参りました。私は今日の時点に立って考えますると、この通運料金の引き上げ改定等は、厳に回避すべきであるという所論に立って
論議を重ねて参りました。その
論議を通して明らかになりましたことは、通運料金の改定は七カ年間も据え置きになっておるから何とかしなければならぬ。もう
一つの問題は、その間に国鉄運賃等も改定になっておるし、電気その他の価格も改定値上げになっておる。そういうものとの並びをとるという
意味からも通運料金の改定はすべきである。もう
一つの理由といたしましては、
昭和三十三年度における通運業者の経営は赤字である。公的性格を多分に持っておるこういう業者の経営
内容が、赤字であるということは放置ができないから、そこで合理化するための値上げを考えなければならぬ。こういう三点が大体
委員会における質疑を通して明らかになったわけであります。
そこで、七カ年間据え置きになっておるということは、私は問題にならぬと思う。何年据え置きでもけっこうであります。それから、その他の運賃が値上がりになったから、それとの比例をとるということはナンセンスなんで、これも値上げの理由にはならぬと思います。最後の公的な性格を持っておる業者が赤字経営で、その運営が非常にまずいということでございますれば、これは考えてやらなければならぬ。これは
一つ理由になる。そこで、こういう問題は、だんだん究明していきますると、
政府の
資料によりますれば、ほとんど貨物輸送の実権を握っておりまする
日本通運について例が出まして
論議をしたのでございますが、日通の三十二年度における経理は一割四分の配当をして、黒字計算ができております。三十三年度に至りまして突如として、配当は一割二分をいたしましたけれ
ども、その
内容において、当然損失の計上をしなければならぬもの十五億何がしを未計上のままにやった。ここに初めて赤字という現象が出てきた。そこで、その赤字がどうして出たかというと、いわゆる神武景気がダウンしてきたか取り扱い量が減りました。これが一千万トン、それがそういう赤字の果因でありまするという御説明でございましたので、そうすれば、今岩戸景気になってきたから、また貨物の取り扱いがふえるので、ただ一時点だけをとらえてこういう大切な問題を
解明すべきでない。相当長い間の見通しに立ってやらなければならぬということを御注意を申し上げておったのであります。
ところがその後の
状況を見ますると、私はそういうことを指摘いたしまして、事実が現われてきております。と申し上げまするのは、国鉄も、昨年十二月におきまする貨車輸送量は千六百三十四万トンでございまして、これは国鉄創始以来のレコードであります。確かに岩戸景気を反映しております。三十四年度中の年間見込み量を聞きますると、一億八千二百万トンということでございまして、前年対比千数百万トンの増加なんです。運賃を構成する他の物価は、大体当局の御努力によって横ばい。そこで、一千数百万トンの輸送量がふえたということになりますれば、通運料金を改定しなくても黒字計算ができるという三十二年度の
状態に戻るべきはずなんです。だから、私はそういうことでございまするから、やつちゃいかぬということを申し上げたのでございますが、一月ですが、これを断行せられた。ここで通運業者は独占的な性格を持っておる。それが不当利得を占めるという結果になるが、どうするか。それが
日本の産業活動に
一つの大きなマイナス条件を作ってくる。体質改善に非常に悪影響をもたらすが、他にもつながってくる そして貿易にも
関係する、私はこういう結果になると思います。
総理はこんなこまかいことを一々ごせんさくなさるわけではございませんから、
総理の所信を聞くということではございませんが、運輸大臣、この点どう御説明なされますか。せっかくやったけれでも、そういうことができたらもう一ぺん値下げ認可をやる、こういうことになりまするのか、不当利得はどうなさるのか。