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1960-06-17 第34回国会 参議院 本会議 第25号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十五年六月十七日(金曜日) 午後三時五十五分
開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程
第三十二号
昭和
三十五年六月十七日 午前十時
開議
第一
運輸省設置法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第二
薬事法案
(
内閣提出
) 第三
薬剤師法案
(
内閣提出
) 第四
公共工事
の
前払金保証事業
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
) 第五 裁判官の
災害補償
に関する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ━━━━━━━━━━━━━
松野鶴平
1
○
議長
(
松野鶴平
君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
松野鶴平
2
○
議長
(
松野鶴平
君) これより本日の会議を開きます。
青木一男
3
○
青木一男
君 この際、私は、
全学連
の
国会乱入事件
に関する
緊急質問
の
動議
を提出いたします。
田中茂穂
4
○
田中茂穂
君 私は、ただいまの
青木一男
君の
動議
に賛成いたします。
松野鶴平
5
○
議長
(
松野鶴平
君)
青木
君の
動議
に御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松野鶴平
6
○
議長
(
松野鶴平
君) 御
異議
ないと認めます。よってこれより発言を許します。
青木一男
君。 〔
青木一男
君
登壇
、
拍手
〕
青木一男
7
○
青木一男
君 一昨十五日の
全学連
の
国会乱入事件
は、その様相から見て
革命
の前夜を思わせる凄惨なる
事件
でありました。これがため、
日米両国修好
百年を記念する
米国大統領
の
訪日
という
国民待望
の盛事が
延期
されるに至ったことは、まことに痛恨の至りでございます。このことのために、
わが国
の
国際的信用
は失墜し、ことに
米国
との
経済関係等
には、はかることのできない悪影響を与えることも懸念されます。また、
国内
的には、
集団暴力
が大きく国政を支配した現実に直面して、
議会政治
の危機を身近に感じ、今や国をあげて深き
憂慮
に包まれておるのであります。
岸総理
は、この
わが国
として終戦後いまだかつてなきこの重
大事局
にあたり、国の
対外信用
を回復し、また、
国内
の
治安
を確保して
国民
の不安を一掃することは、焦眉の
急務
でありますが、
首相
はいかなる方針でこれに対処される
考え
であるかを伺いたいと思います。 それに先だって、私は一昨日の
事件
の
真相
について
治安当局
から
説明
を承りたいと思います。この
暴動事件
を終始
国会楼
上から見ておった
同僚議員
の語るところによりますと、同日夕刻五時ごろから十二時過ぎまでの長きにわたり、
衆議院南通用門
を中心として
全学連主流派
の
波状襲撃
が行なわれ、彼らは絶えず石やかわらを投げて、
警察官
は車の
後方
その他に難を避けていたけれども、なおかつ、そのため多数の
負傷者
を出したのであります。そうして
暴徒
はローブを使用して
通用門
を倒し、数千人が
国会
の
構内
に乱入したので、ついに
警察官
は
警棒
を使用して、悪戦苦闘の末、構外にこれを押し出したというのが
真相
であるのであります。しかるに
社会党
は、「狂暴化した
警察官
は、
暴力団
と共謀して野獣のごとく襲いかかり、無抵抗の
学生
や
大学教授
多数に重軽傷を負わせた」と
声明
し、全
責任
が
警察
にあるもののごとくに
宣伝
しているのであります。盗人たけだけしいという言葉がありますが、これぐらい事実を曲げて
国民
に呼びかけるのが
野党
第一党の
常套手段
であることを、われわれは銘記すべきであります。(
拍手
)しかし、
社会党
以外にも、
警察官
が
警棒
を使用したことをもって行き過ぎであると非難している者もあります。私は、あのように何千人という
暴徒
の
集団的不法行為
に対し、
警察官
が
警棒
を使用するということは、あまりにも当然な
職務行為
であると思うが、
当局
のお
考え
を伺いたいのであります。私は
警察用トラック
十数台が
暴徒
によって焼かれたとき、これを防ぎ得なかったごときは、むしろ
警察
の
態度
が消極に過ぎたのではないかと思うのでありますが、この間の
事情
も承りたいと思います。 この
事件
によって数百人の
負傷者
と一人の
死亡者
を出したことはまことに遺憾なことであります。ことに
職務
上負傷された
警察官
に対しては深き同情を寄せるものであります。また、
死亡
された
女子学生
はまことにお気の毒であります。ただ、あのような数千人の大混乱が起こった場合、下敷きとなって
死傷者
の出るということは、祭礼その他にもたくさん例があるのであります。
全学連
が、作戦的に、
指揮者
が
後方
に陣し、
女子学生
や
高校生徒
を第一線に立たせたという、非人道的な、また卑怯なやり方が、まずもって非難さるべきであります。(
拍手
)また、
警察
が
暴力団
と共謀したなどということは、警一察を誹誇するもはなはだしきものであります。当日、事故を起こした
右翼団体
の
行動
、その員数及びこれに対し
警察
のとった
措置
について
説明
を得たいと思います。 次に、今回の
集団暴力行為
が偶発的か計画的かという点が大きな問題であります。私は、
暴徒
の
指揮者
の
前々
からの言動と、門の
破壊工作
に必要な器具や石などをたくさんそろえていた点などから、
疑い
もなく
計画的行動
と思うが、
当局
の
見解
を伺いたいのであります。 次に、
政府
に伺いたいのは
全学連
の本質とその
行動目的
についてであります。当日、
国会構内
に乱入したのは、
全学連主流派
であり、反
主流派
は警視庁や
米国大使館
に押しかけたのであります。
主流派
はその
思想行動
の
過激
であるがために
共産党
から除名された連中が
指導権
を握っているのであります。六月十日の
羽田空港事件
を起こしたのは反
主流派
であり、これが
共産党
の
正統派
となっておりますけれども、両者相競って、
集団暴力
、
治安撹乱工作
に没頭している点は同一であります。
全学連
の両派を通ずる最近の
暴力行動
の
狙い
は何であるかという点について、
治安当局
の
見解
を伺いたいのであります。彼らは、
安保反対
、
岸内閣退陣
、
衆議院解散
という
政治目標
を掲げているのでありますが、真の
狙い
は、一面、
日米
を離間しう
日本
を
自由主義陣営
から引き離すことであります。他面には
暴力革命
の
予行演習
をすることであります。いずれも
日本
の
共産革命
を終局の
目的
とするものであることは
疑い
なきところであります。彼らは、非合法の
集団暴力運動
を連続的に行なって、
法秩序
に対する
国民
の感覚を鈍らせるとともに、
警察力
を奔命に疲らせ、それを無力化しようとしているのであります。もし
治安維持
の任に当
たる
国家権力
が
暴力
に屈し、無力化するようなことがあるならば、これすなわち
暴力革命
の第一歩でありまして、
議会政治
も
民主主義
も終幕を告げるのであります。 次に私の伺いたいのは、
全学連
の
背後関係
についてであります。私の最も
憂慮
にたえないのは、彼らの
日米離間運動
や
暴力革命
の
予行演習
は
国際共産主義
の
指令下
に動いているという
一事
であります。
世界
の赤化を
考え
ている
国際共産主義
の
立場
から見ると、
日本
は九千万の
優秀民族
と
世界屈指
の
工業力
を有する国でありまして、これくらい
利用価値
の多い国はないのであります。
日本
を
共産主義陣営
の
衛星国
と化することによって、その
人的資源
、
物的資源
をあげて
自分たち
の
目的
に利用できるとともに、それだけ
自由主義陣営
の力を弱化することとなり、一石二鳥の効果をあげることができるのであります。
安保条約
の問題を契機として
内外
の
革命勢力
が相呼応して立ち上がった
意味
も、この点にあるのであり、
全学連
はその
先鋭分子
として踊らされているものと見るべきであります。たとえば
全学連
の何回となき動員には莫大な
資金
が使用されており、その
資金
の出所について世上いろいろの説が伝わっておりますけれども、
当局
において調査されたものがあるならば伺いたいのであります。 次に、
全学連
の
行動
に対する
学校当局
の
責任
について
政府
に伺いたいのであります。私の最も遺憾にたえないのは、一部
学校当局
の
態度
であります。
学長
、
教授
などが、
学生
にあるまじき
過激
な
暴力行為
に参加する
学生
に対し、警告を与え、反省を促すことを怠るばかりでなく、もっぱら
学生
の
行動
を弁護し、あるいは
学生
の
実力行動
に参加するがごとき、
教育者
の
資格
いずれにありゃを疑わざるを得ないのであります。(
拍手
)ことに看過できないのは、今朝の
新聞
に現われた
茅東大学長
の
声明
であります。彼は、今回の
事件
の全
責任
を
警察
と
政府
に転嫁し、「こうした
事態
のもとでは
大学
が
学生教育
の任務を果たすことは不可能である。説得その他の方法も無効である」と言い切っているのであります。まことに一万の
学生
を預かる
学長
の言として無
責任
のきわみであると私は思うのであります。彼は、
学生
の
行動
が
民主主義回復
のためであると弁護しているけれども、
暴力
が
民主主義
の最大の敵であることを知らない学者は
教師たる
の
資格
なき者であります。(
拍手
)
全学連
の
指導者
は
共産党員
あるいはそれ以上の
過激分子
によって占められております。私は、
全国
の善良な
学生
の
思想
を問題にしているのではありません。問題は、
全国
何万あるいは何十万という
学生
がその
共産党員
である
指導者
の命のままに
集団的暴力行動
にかり出されている現状に危険を感ずるものであり、何がゆえに
学校当局
はこれを放任しておくかという点が問題になるのであります。
デモ
や
暴力行動
に動員するということ以外に、
全学連
がいかなる平和的な
活動
をしたことがあるでしょうか。私は寡聞にしてその実例を聞かないのであります。私は、
大学教育
の
目的
は
国家社会
にとり有為の
人材
を養成するにあると
考え
ております。もちろん、
国家社会
のために有用なる
人材
というのは、われわれ
日本
人が平和にして豊かな
生活
をなし得るということを
意味
するのであります。しかるに
共産党員
は、
日本国家
や
日本民族
のことなどよりもイデオロギーを尊しとし、
日本
の
共産主義革命
を念願としておりまして、その
共産党員
に
学生運動
の
指導権
を与えておくということは、
大学教育
の
目的
に沿わないものと断言できるのであります。また、
国民
の税金の中から莫大な
大学教育
の
経費
を負担している
全国納税者
の意思に反しておることも明瞭であります。
文部大臣
はこの点をいかに
考え
られるか、伺いたいのであります。 従来、学問の自由、
大学
の
自治
などの名目のもとに、教員または
学生
の
行動
が無軌道に陥り、ややもすれば治外法権的な
錯覚
すら持つような傾向があったのであります。
自治
ということは、
国家
や
国民
に迷惑をかけないように
自分
の問題を
処理
するということであります。
大学
の
自治
の乱用は厳に戒しむべきであると存じますが、
政府
の
所見
を伺いたいのであります。 次に、私は現下の時局に対処する
方策
について私の意見を述べ、
首相
の
決意
のほどを伺いたいと思います。
米国大統領
の
訪日
の
延期
を請われた
岸首相
の胸中はまことに察するに余りあるものがありまして、
党員
といたしまして、私も残念しごくに
考え
ております。世上、
岸内閣
に
引責辞任
を求める声が少なくありません。しかし、
首相
の緊急の
責任
は辞任することではないと思います。何をおいても
安保条約
を早急に
批准手続
を済ませるということでなくてはならぬと私は思うのであります。
米国上院
は異例の
手続
によって
批准手続
を促進しているのであります。
わが国
もできるだけすみやかに
批准
の完了を期し、
事態
を安定することが最も
急務
であると思うのであります。 次に、六月十五日
事件
の
処理
を進行して、同じような
暴力行為
を繰り返さないための
対策
を立てることが
急務
であると思います。
わが国
は今や、
自由主義陣営
にとどまり、
民主主義
を守って、
国家
の安全と
国民生活
を豊かにするという、繁栄の政策を持続するか、それとも、
共産陣営
に走って、
議会政治
と
国民
の人権と自由を犠牲に供する
政治体制
に移行するかの
分岐点
に立っているのであります。そして、
暴力行為
を是認するか、これを否認するかという点が、
わが国
の方向を決定するかぎとなるわけであります。今朝の各
新聞社
の、
暴力
を排し
議会主義
を守れという
共同声明
を、私は感激をもって読みました。そして、
わが国
の
民主主義
滅びずという自信を深めた次第であります。そして、その
政治面
の
責任
は、あげて
政府
とわが党の双肩にかかっているのであります。六月十五日
事件
の
処理
についてでありますが、私は
騒擾罪
を適用して禍根を一掃すべきであると思いますが、
政府
はどう
考え
ておりますか。また、前から問題になっております
破防法適用
の問題についても一歩を進むべき段階に来ているように思います。この点についてもあわせてお
考え
を伺いたいと思います。また、今後の
立法措置
についても幾多研究すべき問題があることを痛感しました。私は、この点で遺憾にたえないのは、
国会周辺
の
デモ
を規制する
法律案
がつとに
参議院
を通過して
衆議院
に送付されていたのに、
衆議院
の
審議
がおくれたという
一事
であります。今度の場合、もしあの
法案
が成立していたならば、
事件防止
に役立ったことは当然であると
考え
ているのであります。(
拍手
) 私は、
安保委員会
において
警察力
の限界という問題について
首相
に
お尋ね
したのでありますが、今回の
事件
に遭遇しまして、いよいよその憂いを深くするものであります。
警察力
の
充実
と
待遇
問題につきまして、
政府
はとくと
考え
ねばならないと思いますが、
政府
の
見解
を伺いたいのであります。
首相
は今後、
国会
の
正常化
について
野党首脳者
と
話し合い
を進めるであろうと思います。私はその成功を祈るものであります。その場合、
与党
であり多数党であるわれわれも反省すべき点は反省して、
議会政治
の円滑な運営を心がくべきことは当然であります。しかしながら、いかなる場合にも
院内
の
暴力行為
だけはぜひとも排除するように、各党と
話し合い
のできることを望んでやみません。
最後
に、私は
首相
の進退について希望を申し上げたいと思います。それは
暴力
によって
政変
が起こるという先例を作らないことであります。
暴力
が
米国大統領訪日延期
の原因となったことはまことに遺憾であります。もし一歩を進めて、
暴力
によって
内閣
を倒し得るという
錯覚
を
国民
に与えたならば、
わが国
の
民主主義
の
根底
がくずれ、
国家
の運命を危うくするものであります。
首相
の御
決意
のほどを伺って、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣岸信介
君
登壇
、
拍手
〕
岸信介
8
○
国務大臣
(
岸信介
君)
お答え
をいたします。 最近の
国内
諸情勢から見て、
国民
の圧倒的多数の熱望であった
アイゼンハワー大統領
の
訪日
を
延期
しなければならぬと
決意
いたしまして、これを
アメリカ側
に通告するの余儀なきに至ったことは、まことに遺憾でございます。このことが
国内
外に及ぼしておる悪い影響につきましては、
首相
として十分に考察検討し、しかも、大局的にこの
措置
に出るはかなかったのでございます。 第一に国際的に
考え
なければならぬことは、
日本
が、たとえ少数とはいえ、また、それが
国際共産勢力
の
指揮
のもとに狂暴な
行動
に出ておるとはいえ、そういうことが、大事な国賓を迎えることを実現する上において、ふさわしくない諸種の
事情
を作っておるということが、
日本
の従来とってきておる
自由主義
の
立場
、これがややともすれば基礎が薄弱になっておるんじゃないかというふうな印象をいやしくも国際的に与えたとするならば、これは重大なことでございますから、私は、あくまでも
日本
が
自由主義
の
立場
を堅持し、反共の
立場
を明瞭にして
確固不動
の
方策
で進むということを
内外
に明らかにする必要があると思います。それにつきましては、目下御
審議
中でありますところの
安保改定
を一日も早く
批准交換
によってこれを発効せしむることが、第一のとらなければならぬことであると
考え
ております。 また、
国内
の問題といたしましては、
治安対策
を確立する必要があると思います。御
指摘
になりましたように、
法制
上の不備なものはこれを整備する必要がございます。あるいは制度上の欠陥があるならばこれを是正する必要があります。また、
治安力
の内容が不十分であるならばこれを
充実
せねばならぬと思います。また、一線において連日
不眠不休
の
活動
によって
日本
の
治安
を維持している警官その他の
待遇
の改善の問題のごときは、当然に
措置
すべき問題でありまして、
政府
としては、最近、三池の問題や、あるいは
安保反対
に関して、
集団暴力
に対して
治安
を維持するための
経費
として
予備費
より応急のものは支出いたしておりますが、さらに今申しましたような点に関して十分に
考え
ていかなければならぬと思います。 さらに、六月十五日の問題に関しましては、御
質問
の各項目については
関係大臣
より
お答え
をいたしますが、この
処理
を誤るというと、将来にかかることが繰り返される危険もございます。私は、この
事件
はきわめて不幸な遺憾なことでございますが、将来絶対にかかることを繰り返さないような
処理
をする必要があると思います。法規の
適用等
につきましては、それぞれ
当局
において検討いたしております。十分なそういう
考え
の
措置
をいたしたいと思います。 次に、
国会
の
正常化
の問題につきましては、私
ども常々
、これが
与党
以外の
議員
が議場に入ってこないという
状態
で、われわれから見れば
議決権
を放棄しているというような
状態
が続く事柄につきましては、
国民
もひとしく不安に
考え
る点でありまして、一日も早くこれが
正常化
を
考え
なければならぬと思います。これにつきまして、三
党首
の
会談
について、わが党としては申し入れておりますけれども、
野党
の
社会党
においては、三
党首会談
はしない、ただ両
党首会談
だけならやるというふうなことで、今日まで実現をいたしておりませんが、私は、
責任
ある
政党
はこれに参加して、これを
正常化
するというために誠意を尽くしていかなければならぬと思います。もちろん、私はその
会談
において、われわれも反省して、譲るべきものは譲って、そうして妥協の道をつけなければならぬと
考え
ておりますが、しかしながら、今、
青木議員
の御
指摘
になりましたように、
院内
から将来絶対に
暴力
を排除するということは、
民主政治
、
議会政治
を擁護するところの上から申しまして、私は緊要欠くべからざるものだと思います。この点を明確にすることは、私は、おそらく
責任
ある
政党
としてそれに反対する理由はないと思います。従来もそれが幾たびか申し合わされておりますけれども、
実効
を得ないということを
考え
ますというと、単なる申し合わせでなく、これが
実効
を得るような点まで、今回
正常化
する場合においては話し合っていく必要がある、かように
考え
ております。
最後
に、いかなる
意味
においても、
民主政治
を守るという
意味
から申しますと、一切の
暴力
を排除しなければならぬことは言うを待ちませんが、特に
暴力
によって
政変
を生ずるというような慣行をもし作るならば、将来の
民主政治
、
議会政治
というものは破壊される。今の
日本
の
民主政治
におきまして、
内閣不信任案
が通れば、
政府
は解散するか、あるいは総辞職しなければならぬことは、憲法に明らかに示されておることであります。私は、こうした
政変
の問題は、あくまでも
院内
において論議を尽くした上において決すべきことが
民主主義
の
根底
であると思います。いかなる
意味
におきましても、
暴力
に屈して
政変
を起こすというようなことは、絶対に私はいたさないという強い
決意
を持っておることを申し上げておきます。(
拍手
) 〔
国務大臣石原幹市郎
君
登壇
、
拍手
]
石原幹市郎
9
○
国務大臣
(
石原幹市郎
君)
お答え
いたします。 今回の
事件
は、
わが国歴史
上まれな
一大不祥事件
でありまして、まことに遺憾きわまりないことに存じております。 第一に、今度の
事件
は全く計画的に行なわれました
暴力行為
であると認めております。
全学連主流派
は、当日、
参議院
における
安保条約審議
を阻止するために、
議長等
の登院を阻止し、それができなければ
国会
に突入することをあらかじめ計画していたのでありまして、これを裏づけるものといたしまして、
国会周辺
に集合いたしました
学生
の中には、鉄線を破るペンチや、あるいは、とびらを破壊するまさかりであるとか、あるいは
車両
を引っぱり出す
ロープ等
を準備しておりまして、これを随所で使用しておるのでございまして、全く計画的な
暴力行為
と認められるのであります。本件につきましては徹底的にこれを追及捜査いたしたいと思うのでありまして、私は、あの
事案
を見ましたときから直ちに
騒擾罪
をもって問疑すべきものではないかと
考え
、
警察
庁を通じまして、検察庁と十分なる連絡をただいまとらしめておる次第でございます。 次に、
警棒
の使用問題について
お話
が出たのでございまするが、これは全く正当なる
職務行為
でございまして、むしろおそきに過ぎたくらいではないかと思っておるのでございます。当日の状況は、多数の
学生
が
国会構内
に侵入してきましたために、
警察
がこれを阻止しようとしましたが、
学生
が激しく投石し、ことに歩道の敷石をはがしまして、これを
こぶし大
に砕いて、それを投石する。
警察車両
に対しては放火するなど、全く
暴徒
化しましたために、
警察部隊
はやむなく
実力
を行使してこれを
国会外
に排除したのであります。この
騒擾
にあたりまして、
警察側
には、重傷二十名、うち十一名が入院をいたしておりまするが、七百九名の、
負傷者
を出しておるのでございまして、これらの
状態
から
考え
てみまして、全く正当なる
職務行為
であると
考え
られるのであります。ことに、
女子学生
・樺氏の
死亡
につきまして、故人にとりましてはまことにこれはお気の毒なことであるのでありまするが、これをいかにも
警察官
の
暴行
によって
死亡
し
たる
がごとき
宣伝
をしておることは、
言語道断
なことであると
考え
るものであります。先刻、
東京地検特捜部
よりも解剖の
所見
について発表があったのでありまするが、一口に言えば、いわゆる圧死と見ているようであります。
警察
の調査におきましても、
学生
が
構内
に侵入してきました際に、その周囲の圧力によりまして倒れて、ついに
死亡
するに至ったと
考え
ているのであります。頭部に外傷がないというところからいたしまして、これを、あるいは
警棒
によってなぐって死んだのではないかというようなことを
宣伝
をしておることは、全く
言語道断
のことと言わなければならぬと思うのであります。 次は、自動車の
放火等
に対して、むしろ
措置
がおそかったではなかったか、
警察
の失態ではないかという
お話
まであったのでございまするが、あのときには、これに対して放水もし、
最後
には
催涙弾等
を使用いたしまして、いわゆる
学生
の
暴徒
を散らしたのでありまするが、三千人、あるいは数千という
学生
が狂暴化しておった
事態
でありまして、まことにやむを得なかったのでありまするが、今後ともこれらの
事態
に対処する
方策
としては、さらに十分
考え
ていかなければならぬと思います。
右翼
の
行動
についての
お尋ね
がございましたが、当日は
護国青年隊
約百二十名ばかりの者が、バス、
トラック
、
宣伝カー等
に乗りまして、午後五時過ぎ
参議院付近
にやって参った。たまたま
全学連
反
主流派
の
学生
の
デモ
の中に突っ込んで、いろいろの
事態
が起こったのでございまするが、
警察
は直ちに一双方の間に割って入りまして制止に当たりますとともに、現場におきまして
護国青年隊員
七名を
暴行傷害容疑
で
現行犯
を逮捕し、八十名を麹町
警察署
に同行いたしまして、そのうち罪状の明らかな十九名を逮捕しておるのでありまして、
警察部隊
が傍観していたというような事実は全くございません。厳正なる取り締まりをしておるわけでございます。 次に、
全学連
の
行動
につきましてのいろいろの
お尋ね
があったのでございます。
背後関係
、
資金関係
、こういうものにつきましては、むしろ
法務大臣等
から
お答え
があると思うのでありまするが、
主流派
の
暴行
ということについては、これは
前々
から判然として、たびたび
暴行
を働いておったのでございます。反
主流派
は、例の
ハガチー事件
まではあまり
暴行
をしていなかった。それが
ハガチー
氏のあの
事件
によりまして
全学連
反
主流派
が非常な
暴行
を空港において働いた。また当時は、最も左傾しておりまする
労組等
の動きによりましてああいう
事件
が起こっておるのでございまして、このとき、いわゆる
共産党
、ことに
国際共産党
につながる一連の
指導
のもとに動いておるということがはっきりして参ったわけでございまして、今後これらの
行動
につきましては、さらに十分なる
警戒査察
を加えまして、今後の
事案
に対処していかなければならぬと思っておるものであります。
最後
に、今後の
治安対策
としてのいろいろの
立法関係
の問題、あるいは
警察力
の
充実
、
待遇等
の問題につきましては、先ほど
総理
よりも
お答え
がございましたが、本日よりすでに
法務当局
と会合を持ちまして、
法制
上の問題、ことにまた、
警察力
の
充実
、機構、
待遇等
の問題につきましては、適切なる
方策
を立てまして、今後の
治安
に万全を期するよう、でき得る限りの努力をいたしたいと思っておる次第でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
井野碩哉君
登壇
、
拍手
〕
井野碩哉
10
○
国務大臣
(井野碩哉君)
青木議員
の
お尋ね
の、
全学連
の
背後関係
でございますが、これは
青木議員
の仰せになりましたような情勢は私どもも十分に看取されるのであります、
国際共産主義
が、
わが国
の現在の親米政策あるいは平和
民主主義
政策を離間しようということにおきまして、猛烈な
活動
を続けておりますことは、私どもも十分に調査をいたしております。それによって
全学連
の反
主流派
等が十分に
共産党
とともに踊らされておる。また
主流派
は、むしろそれ以上のトロツキストの
思想
をもちまして、
日本
に一種の
革命
的勢力を扶植しようという動きも見受けられるのであります。従って、これらに対しまして一そうの調査を徹底して、十分なる取り締まりをしたいと
考え
ております。 また、
資金
ルートにつきましては、先般来、昨年の十一月からいろいろ調査をして、相当のことはわかりかけておりますが、まだこれを発表して、そうしてお示しする段階に達しておりませんが、十分に調査をいたしたいと
考え
ております。 それから、今回の
事件
に関しまして
騒擾罪
の適用ありゃいなやというお尋一ねでございますが、現在の段階におきまして、
警察
庁としましては、
警察
におきまして、建造物侵入罪、公務執行妨害罪の罪名で、今度百七十四名を検挙、取り調べをいたしましたが、一昨日の
警察
首脳部会議によりまして、今後の取り調べにより
騒擾罪
の適用も
考え
るということでありますが、私としましては、検事総長に対しまして、十分証拠固めをいたし、断固
たる
処置をとるよう指示いたしております。また破防法の適用につきましては、私としては、今回の
行動
は、破防法第四条第一項二号の
騒擾罪
、または公務執行妨害罪、
職務
強要罪に該当する
疑い
十分と思いましたので、公安調査庁に対しまして十分事実を調査し適切な処置をとるよう命令をいたした次第であります。(
拍手
) 〔
国務大臣
松田竹千代君
登壇
、
拍手
〕
松田竹千代
11
○
国務大臣
(松田竹千代君)
全学連
が過ぐる十日の羽田
事件
以来、数次にわたって、ついにこの
国会
に乱入してこの神聖なる
国会
の
構内
で流血の惨
一事
まで起こして、従来から伝統的にも法の上にもきわめて神聖とされた
国会
をけがしたということに対しては、まことに遺憾千万という言葉をもってしてもなお足りない気持がいたすのでありまして、御同様深き関心を持ってこれらの
事態
に対処しなければならぬと
考え
ておるのであります。近来、院の
内外
を問わず、
デモ
に名をかりて、その実体はまさに
暴力
である。こうした行為が、常に平和を唱え
民主主義
を叫ぶ人々から、日々闘争に明けくれ、
暴力行為
をあえてするというような奇怪千万な事柄が行なわれて、しかもそれが日常茶飯事のごとく扱かわれてきておるところに、こうした重大な
事件
を起こすに至ったゆえんがあるのであろうと、私は
考え
ておるのでありますが、それは主として、これまた
全学連
の名において、全大
学生
の名において行なわれてきておる。
学生
であるからといって
暴力行為
は許さるべきものではない。若きがゆえに許さるべきではない。純情な動機からきておるからといって許さるべきではない。いかなる場合においても、
暴力
破壊
行動
に狂奔するがごときことは、もちろん
学生
であるがゆえに、なおさらきびしくいたさなければならぬ、若きがゆえに許さるべきものではないということは、われわれ深く
考え
なければならないのだが、ついに、若き熱情、若き純情、またその精力が、幾らでもこれらの精力なり情熱を傾ける分野があるにかかわらず、それが
暴力行為
に向かって差し向けられるときに、ついに
革命
よりほかない、
国家
動乱のもとをなすものだということを
考え
ざるを得ないと私は思うのでございます。また、私のいろいろ調べておりまするところによりますると、これらの
学生
は必ずしも多数ではない。ただ、ああした
デモ
行進によって疫病のごとく移っていく、その背後に何があるかということを
考え
まするときに、今も法務大臣からも
お答え
になりましたごとく、中には、
大学
自治
の上にあぐらをかいておる
大学
教官、しかも
国民
の税金によってまかなっておられるところの国立
大学
などにある教官が、みずから
大学
のこれら若き
学生
の背後にあって教唆扇動しているかのごときうわさを聞くに至っては、これまた実に
言語道断
のことであると存じます。文部
当局
といたしましては、遺憾ながら、直接にこれらのことに対してその制度上とり得る手はきわめて限られておるのである。すなわち
大学
の運営について
指導
助言する以外に手はないのであります。私は、
大学
の
学長
初め、あるいは通牒をもって、あるいは個人的に、あるいはこれらの
学長
を集めて、
学生
補導に強く力を入れてもらうことをしばしば徳悪して参ったのでありまするが、これに対して
大学
学長
の方では、努めておるが、その効果はあがらぬのみならず、今日の
新聞
に見られるがごとき茅
学長
の
声明
のごときは、みずからの
責任
を全くたなに上げて、みずから
学生教育
の任にあるべき者がその
責任
を忘れて、あげてその
責任
を政治関係にありとして、この
状態
では教育はやれぬというようなことを
声明
するに至っては、われわれはまさにその了解に苦しまざるを得ないのであります。従って私は、明日はこれら
学長
を集めておりまするので、その席上でも強く所信を披瀝して、その反省を求めたいと
考え
ておるわけでありまして、なおいろいろこれらの事柄について十分に調査を進め、その上で適当なる処置をとって参りたいと、かように
考え
ておる次第でございます。(
拍手
)
松野鶴平
12
○
議長
(
松野鶴平
君) 暫時休憩いたします。 午後四時四十七分休憩 〔休憩後
開議
に至らなかった〕 ○本日の会議に付した案件 一、
全学連
の
国会乱入事件
に関する
緊急質問