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1960-04-20 第34回国会 参議院 本会議 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十日(水曜日)    午前十一時二十八分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十八号   昭和三十五年四月二十日    午前十時開議  第一 所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第二 公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第三 住宅地区改良法案内閣提出衆議院送付)  第四 四国地方開発促進法案衆議院提出)  第五 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第六 総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第七 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第八 消防法の一部を改正する法律案内閣提出)  第九 放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一〇 漁業協同組合整備促進法案内閣提出衆議院送付)  第一一 中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一二 電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ─────・─────
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  地盤沈下対策促進に関する決議案小柳牧衞君外十八名発議)(委員会審査省略要求事件)、  本案は、発議者要求の通り、委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって本案議題といたします。  まず発議者趣旨説明を求めます。小柳牧衞君。     —————————————    〔小柳牧衞登壇拍手
  5. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 私は、ただいま提案せられました地盤沈下対策促進に関する決議案につきまして、提案者を代表いたしまして提案理由を説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    地盤沈下対策促進に関する決議案   近代産業発展に伴う地下水多量汲上げ等による各地地盤沈下ははなはだ憂慮すべき事態にある。   政府はこの情況にかんがみ、大規模科学的調査を行なうとともに、その原因排除及び対策樹立のための法的措置を講じ、その予算を確立し、対策事業への高率な補助措置等万全の策を講ずべきである。  右決議する。  近年わが国産業は各方面にわたって著しい伸張発展を遂げて参りましたが、産業規模拡大に伴いまして、各地において、地下水の過剰くみ上げ等を原因とする地盤沈下現象が見られるに至っていることは、まことに憂慮にたえないところであります。ことに、新潟東京尼崎大阪地区等における地盤沈下様相は、近年とみに顕著となり、その速度の急激にして沈下量の著しいことは、まことに異常なものが見られるのでございます。すなわち東京都においては、近年各所に地表の変動が見られ、なかんずく江東地区においては、沈下現象は年を追うて深刻の度を加え、最近では一年間の沈下量は十七センチ余の記録を見るに至っております。沈下地域についても年とともに広範となり、干潮時の水面から一メートル未満の高さにある土地は、約三十平方キロにも及んでおりまして、絶えず外水の脅威にさらされているのみならず、常に湿気の多い不健康な生活を余儀なくされている実情であります。また、大阪並び尼崎地区におきましては、ここ数年間における沈下現象は特に著しいものが見られるのでありますが、西大阪におきましては、昭和三十二年までの二十二年の間に一メートル九、また、尼崎では、昭和三十三年までの二十六年の間に三メートルの沈下を見ているのであります。さらに新潟市並びにその周辺地域におきまする地盤沈下様相もこれと全く同様でありまして、すでに一メートル八の沈下を見、しかも速度の急激なる特質を持っているのであります。これがため、港湾施設を初め、河川堤防、道路、橋梁を損壊し、一般住宅工場倉庫等浸水等被害著しいのでありまして、沈下はさらに内陸に向かって波及して、市周辺農地二万ヘクタールまでが重大なる影響を受けるに至りまして、今やその地域における民心不安動揺はおおうべくもない状況でございます。  以上その一端を申し述べましたごとく、新潟東京尼崎大阪地区等における地盤沈下の実相は、このままにして推移いたしまするならば、ますます悪化の一途をたどり、民心不安動揺、正常なる産業活動の萎摩停滞を来たすことはもとより、年々来襲する台風被害思いをいたすとき、その被害の惨状は想像に余りあるものがあるのでございます。  このような事態重大性にかんがみ、政府は、一昨年度以来、緊急対策事業のため、財政上その他特段の措置を講ずる一方、経済企画庁に地盤沈下対策審議会設置いたしまして、応急対策促進に努めるとともに、その原因についても慎重検討して参りたのでありますが、今なお十分な成果をあげるに至りませず、沈下現象は依然として停止に至らないのであります。われわれはこの際、従来のこそく応急措置にのみ追わるることなく、災害防除の抜本的かつ総合的対策に向かって万全の施策を講じ、これが強力なる推進をはかる必要を痛感いたす次第であります。地盤沈下防止抜本的対策としての地下水くみ上げ規制と、これに伴う工業用水道建設あるいは地下資源開発に対する取り扱い及び財政金融措置等の面では、なお幾多困難な問題が残されておりますが、事態の急迫は今や寸時の遷延をも許さないのであります。政府はこの際、事態深刻化に深く思いをいたしまして、本問題の抜本的解決をはかるため、沈下原因及びその実態を的確に把握しまして、一面応急対策を強力に推進し、当面の災害防除に遺憾なきを期するとともに、他面すみやかに基本対策の確立をはかりまして、両々相待って問題の抜本的解決を達成するよう関係諸法規を十分整備しまして、さらに財政窮乏に悩んでおる地方団体及び過重負担に苦しんでおる土地改良区等の現状思いをいたしまして、財政上その他助成措置強化等積極的方途を講ぜられんことを強く要望いたす次第であります。  以上が提案理由でありますが、何とぞ同僚全議員の御賛同をいただくようお願いをする次第であります。(拍手
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 本案に対し、討論通告がございます。発言を許します。武内五郎君。    〔武内五郎登壇拍手
  7. 武内五郎

    武内五郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案になりました地盤沈下対策促進に関する決議案賛成するものであります。  近代産業開発に伴って生起いたしましたる地盤沈下災害は日を追うて深刻な様相を呈しておりまして、これがために産業経済の正常な活動は阻害され、民生は暗たんとして不安にさらされて、もはや、こそく弥縫策では許されない状態に相なりました。東京大阪尼崎新潟等沈下現象が急激にしてしかも広範に現われておる地域を見まするとき、りつ然たるものを感ぜざるを得ないのであります。これらの地域における沈下現象は、院工業用水のために、または冷暖房用水のために、あるいは天然ガス採取による多量地下水のくみ上げによって起きておることは否定できないのであります。すなわち東京においては、水準点経年沈下量を見まするときに、江東地区では、大正の初期すでにマイナス五〇から一六四・一ミリの沈下が見られ、これが年々進行の度を加えたのでありますが、戦争の末期から数年の間は、工場施設が破壊され、生産が停滞いたしましたるために、沈下は渋滞して、所によっては逆に隆起現象が見られたのであります。しかるに、昭和二十二年以降、工場施設の復興とともに再び沈下速度を増して、年々、年を追うて激化の傾向を示して参りました。今日マイナス四六〇・八ミリの沈下数値を示す墨田区吾嬬町地域を初めとして、江東全域にわたって凄絶なる様相が見られ、この現象はさらに丸の内・赤坂等ビル街にも現われて、東京全域拡大されようとする傾向が見られるのであります。大阪尼崎においても沈下現象は顕著でありまして、沈下に加うるに、昭和九年室戸台風、十九年十九号台風、二十年枕崎台風、二十五年ジェーン台風等の累年の災害は、今日もなお、そのつめの跡を痛ましく残しておるのであります。われわれは一たび大阪西淀川地域に足を踏み入れますときに、かつての大工場が海中に没して、大煙突のみが屹然として立っておる姿を見ることができるのであります。これらの地域は、まさに海底の街となって、市民は日夜不安におののいておるのであります。  次に私は新潟地区における沈下に伴う災害の深刻さを指摘しなければなりません。新潟地区における沈下の主たる原因は、水溶性ガス採取に伴う多量地下水のくみ上げによって生じたものであります。帝国石油、日本ガス化学等、大手十九社の企業が、天然ガス採取によって、日産七十万立方をこえるガスを取っております。これに伴ってほとんど同量の地下水はくみ上げられているのであります。昭和二十八年以来、ガス産業の興隆と並行いたしまして沈下速度を加えて参りまして、今日その様相はまことに異常なものがあります。被害地域もまた拡大されてとどまるところを知らないのであります。最近における年間沈下量は最高五十センチ、一日平均一・四ミリ、この数値を示しておりまして、年々施工された応急対策工事は防災の効率を失って、工場倉庫住宅海面下にあって、常に波浪に洗われております。農業用排水機はその機能を失いまして、十年余にわたって進められておりました土地改良事業も、一万町歩余農地は海水の逆流を受けまして、生産活動は全く渋滞いたしまして、重大なる段階に当面しておるのであります。昨年六月、科学技術庁資源調査会新潟地盤沈下について調査報告をいたしましたが、「新潟地区における地盤沈下原因は、地殻の変動、海岸の浸食、港湾の浚渫などいろいろあげられているが、主たる原因は、地下水の急激にして多量のくみ上げにあることを重視せざるを得ない。」と結論を出しておるのであります。さらに建設省地理調査所では、昨年九月以降、ガス採取の一部規制実施いたしましたる地区について、今年二月以来、地盤変動調査を行なって参りましたが、その水準測量成果によりますると、規制前には一日一・二ミリの沈下を示しておりましたる個所で、規制後には沈下速度は〇・八ミリに鈍化していることが報告されております。この事実はまことに重視しなければなりません。しかしながら、いまだ沈下原因に斧鉞を加えることなく、その日かせぎの対策にのみ専念いたしまするところに、地盤沈下は時計の時を刻むように寸時も休むことなく続けられており、その地域拡大し、災害は累積されて、市民の不安と動揺は増大するのみであります。一たび高潮、台風の襲うこととなれば、新潟全市街は波浪に呑み去られまして、災害の舌は遠く新津周辺にも及ぶことが予想されるのであります。  今や地盤沈下による災害対策は、国土保全民生の安定の立場から、次の対策を講ずることは緊急を要するものと考えられるのであります。  第一は、地盤沈下のよって起こる原因を抜本的に除去して、地下水くみ上げガス採取の完全なる規制と、そのための施設転換をはかる施策を講ずることであります。  第二は、地盤沈下による災害防除のための公共土木事業を急速に進めるとともに、それに要する経費の国庫負担率を引き上げて、地方財政負担の軽減をはかることであむます  第三は、特にガス産業規制に伴って関連産業施設転換と合理的な育成のための施策を講ずることであります。  第四に、これらの施策総合的科学的見地から立てられなければならないことはもちろんでありまするが、この三点を含めました立法措置のきわめて肝要であることを私は強調せざるを得ないのであります。  すでにわが党は、過去において再度にわたってこれに対する法律案提案をいたしましたが、今日までじんぜん日を過ごして、沈下に伴う災害をいたずらに放置しているような状態では、まことに遺憾にたえないのであります。(拍手)もしここに勇断をもって沈下原因を除去し、抜本的対策を樹立して、これを迅速に実施するにあらざれば、これこそ真に、さいの河原の石積みにひとしく、百年沈下防止することはできないのであります。私は本決議案の成立によって政府勇断と奮起を切望してやまないものであります。  以上をもちまして私の賛成討論を終わりたいと存じます。(拍手
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論通告者発言終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案採決をいたします。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。  ただいまの決議に対し、菅野国務大臣から発言を求められました。菅野国務大臣。    〔国務大臣菅野和太郎登壇拍手
  10. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 新潟東京大阪尼崎等における最近の地盤沈下につきましては、政府におきましても重大な関心を持っているところでありますので、ただいまの決議の御趣旨を尊重いたしましてすみやかにこれが対策を進めて参りたいと考えている次第であります。(拍手)    ─────・─────
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件、(衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。外務委員長木内四郎君。    —————————————    〔木内四郎登壇拍手
  12. 木内四郎

    木内四郎君 ただいま議題となっておりまする案件につきまして、外務委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  わが国は、さきに米国、スカンジナビア三国及びパキスタンとの間に、二重課税回避のための条約締結いたしましたが、政府におきましては、その後アジア諸国とのこの種条約締結促進に努めて参りましたところ、このたびインドとの間に交渉が妥結いたしまして、本年一月五日に協定の署名が行なわれたのであります。この協定は、わが国及びインド両国租税を課せられる所得について、二重課税回避する措置を定めたものでありまして、その骨子は、わが国さき締結いたしました二重課税防止条約と同様でありますが、新しい規定といたしまして、インド経済開発のためにとっている特別措置により軽減された税額は、日本納税者インドで払ったものとみなしまして、日本税額控除することになっておるのであります。政府は、この協定締結が、日印両国間のこの種税制合理化を通じまして、両国間の経済協力並びに文化交流促進に寄与することを期待する旨説明いたしておるのでございます。  委員会審議におきましては、日印両国国民相手国に支払っている税額インドとの貿易及び経済協力現状、特に鉄鉱山開発等につきまして熱心なる質疑が行なわれ、慎重に審議いたしましたが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  委員会は昨十九日質疑終了いたしまして、討論採決の結果、本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本件採決をいたします。  本件を問題に供します。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件全会一致をもって承認することに決しました。    ─────・─────
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、公営住宅法の一部を改正する法律案、  日程第三、住宅地区改良法案(いずれも内閣提出衆議院送付)、  日程第四、四国地方開発促進法案衆議院提出)、  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。建設委員長岩沢忠恭君。    —————————————    〔岩沢忠恭登壇拍手
  17. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 ただいま議題となりました公営住宅法の一部を改正する法律案住宅地区改良法案、及び四国地方開発促進法案について、建設委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず公営住宅法の一部を改正する法律案について申し上げます。  同法の規定によりますと、地震、暴風雨等災害により滅失した住宅に住んでいた低額所得者のために、第二種公営住宅地方公共団体建設するときは、国は、滅失住宅戸数の三割の範囲内で、費用の三分の二を補助することになっております。この場合、補助は、災害滅失戸数被災地全域で五百戸以上、または一市町村区域内の住宅戸数の一割以上に上るときに限られております。今回の改正は、災害によって一市町村区域内二百戸以上の滅失の場合は、火災の場合と同じく国庫補助対象にしようとするものであります。  委員会審議におきましては、災害としての取り扱いをする異常な天然現象範囲地盤沈下による被害取り扱い不燃化促進の現況と対策等について質疑が行なわれました。討論なく、採決の結果、本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。    —————————————  次に住宅地区改良法案について申し上げます。  わが国における不良住宅密集地区改善事業につきましては、昭和二年不良住宅地区改良法の制定とともに着手されて以来、昭和十七年までに約四千戸近い不良住宅改良されてきたのでありますが、戦後におきましては、昭和二十七年から公営住宅法に基づく第二種公営住宅建設によって建てかえがはかられてきたのであります。現在不良住宅と見られるものは全国で約二十万戸に上るのでありますが、現行不良住宅地区改良法実情に適合しない点もありますので、今回同法を廃止し、新たに住宅地区改良法として法の整備をはかろうとするものであります。  法案のおもなる内容について申し上げますと、  第一に、不良住宅改良事業は、地方公共団体からの申し出に基づいて建設大臣指定した一団地区域について、市町村実施することとなっております。なお、この地区指定を行なう際、都市計画地域内の土地については、建設大臣都市計画審議会の議を経なければならないこととしております。  第二に、事業計画には、改良住宅建設戸数資金計画等実施計画地区内の土地利用基本計画を定め、建設大臣の認可を受けることになっております。  第三に、施行者は、改良地区内の不良住宅をすべて除却した後に、耐火構造または簡易耐火構造改良住宅建設し、地区内の従前の居住者入居させなければならないことになっておりますが、入居後の管理については公営住宅法規定を準用しております。  第四に、費用について、国は、改良住宅建設については三分の二以内、不良住宅除却に要する費用等についてはその二分の一以内の補助を行なうこととしております。  以上のほか、事業施行のため必要がある場合の土地等の収用または使用、建築行為等の制限、一時収容施設設置等について規定しております。  本法案は去る三月十八日に付託されましたが、委員会におきましては、従来公営住宅法規定によって行なわれてきた不良住宅改良実情について詳細な資料の提出を求め、精細な調査を行なう等、慎重な審議を続けて参ったのであります。質疑のおもなる点は、改良地区都市計画改良事業と市街地再開発との関連不良住宅の判定並びに地区指定の基準、改良住宅家賃入居者の収入との均衡等に関するものでありましたが、詳細は会議録によってごらんをいただきたいと存じます。    [議長退席、副議長着席]  質疑終了討論に入りましたところ、日本社会党を代表して永岡委員から、改良地区指定にあたっては、都市計画との関連を十分に考慮して行なうべきであること、また改良住宅への入居者に対しては家賃が過重な負担とならぬよう適切な行政措置を講ずるとともに、将来、事業に対する国の補助率の引き上げ、予算ワク拡大等により、改良住宅の新築を増大し、すみやかに不良住宅の解消をはかるよう希望して原案に賛成するとの意見が述べられ、次いで民主社会党を代表して田上委員からほぼ同様の発言がありました。  かく討論を終結、採決の結果、本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。    —————————————  次に、四国地方開発促進法案について申し上げます。  本法案は、四国地方における資源総合的開発促進し、国民経済発展に寄与しようとするものであります。  その要旨を申し上げますと、内閣総理大臣は、この法律に基づき設置される四国地方開発審議会の議を経て四国地方開発促進計画を作成し、その計画に基づいて国及び地方公共団体その他のものが事業実施することといたしております。一方、開発促進計画実施するため、政府は必要な資金の確保をはかり、かつ、国の財政の許す範囲内でその実施促進に努めなければならない旨規定するほか、この計画に基づく重要な事業費用について、国の、負担または補助の割合の特別措置を必要とする場合には、別に法律で定めることといたしております。  本案審議においては、国土総合開発法に基づく諸計画実情並びに同法と本法案との関連本案対象とする事業の国の負担率または補助率等について質疑がありましたが、詳細は会議録に譲ることといたします。  かく質疑終了討論なく、採決の結果、本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。   以上御報告申し上げます。(拍手
  18. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。  まず、公営住宅法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  19. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。    ─────・─────
  20. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 次に、住宅地区改良法案及び四国地方開発促進法案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  21. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。    ─────・─────
  22. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 日程第五、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案、  日程第六、総理府設置法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。内閣委員長中野文門君。    —————————————    [中野文門登壇拍手
  24. 中野文門

    中野文門君 ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案及び総理府設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府が本法律案提出する理由として述べるところを要約いたしますと、最近の宇宙利用開発の進展の著しい状況と、これに関連して宇宙開発に関する国際協力体制も漸次軌道に乗りつつある現状に対処して、わが国世界各国に比し劣らない宇宙利用宇宙科学技術の進歩を遂げるためには、国内における宇宙利用宇宙科学技術に関する行政事務処理体制を早急に確立する必要があるので、総理府設置法の一部改正による宇宙開発審議会設置と相待って、この法律案によって宇宙科学技術に関する行政事務処理体制の確立をはかることとした次第であるとのことであります。  次に、本法律案の内容を申し上げますと、ただいま申し述べました理由に基づき、関係行政機関の宇宙科学技術に関する事務の総合調整に関すること、及び宇宙科学技術にかかる試験研究のうち、多数部門の協力を要する総合的試験研究及び宇宙科学技術の各種研究に共通する基礎的試験研究の助成に関することを計画局の所掌事務とし、これに伴い振興局の所掌事務に若干の改正を加えたことであります。  内閣委員会は、前後五回にわたり委員会を開き、この間、中曽根科学技術庁長官、和達気象庁長官その他関係政府委員の出席を求めまして、本法律案を慎重に審議いたしましたが、その審議において問題となったおもな点を申し上げますと、科学技術振興に関し今後政府実施せんとする施策、科学技術庁発足以後、同庁のあげた業績、宇宙科学技術に関し各国との協力の現状、科学技術者、特に大学教授の処遇改善、わが国がロケットの開発研究を行なう目的、わが国が人工衛星の打ち上げをなし得る時期とその費用等の見通し、台風災害防止のためのロケットによる気象観測、防衛庁費の一部を科学技術振興費に振り向けることの当否、科学技術振興の観点より現在の行政組織改善の要否等の諸点であります。特に今後の科学技術振興対策の点につきまして、中曽根長官より、政府は、人材の養成、研究費の増加、研究施設整備を中心とした科学技術振興十カ年計画を策定する方針である旨、また、ロケットの開発研究の目的の点につきましては、同長官より科学技術庁で行なっているロケットの研究開発はあくまで平和利用に限局する旨の言明がありました。  去る十四日の委員会におきまして質疑を終わり、次いで討論に入りましたところ、自由民主党を代表して増原委員より、本法律案の附則を「この法律は、公布の日から施行する。」と改める旨の修正案が提出せられ、この修正案並びに修正部分を除く原案に賛成の旨の討論が述べられ、次いで日本社会党を代表して矢嶋委員より、修正案並びに修正部分を除く原案に賛成する。政府は、今後宇宙開発の運営にあたって、日本学術会議、科学技術会議との連絡を十分とり、また平和利用の立場を忘れぬようにされたい旨の討論が述べられました。かく討論を終わり、まず増原委員提出の修正案について採決いたしましたところ、全会一致をもって可決せられ、次いで修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決せられました。よって本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。    —————————————  次に、総理府設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  まず、本法律案の内容を申し上げますと、本法律案は、総理府の付属機関として、新たに対外経済協力審議会及び宇宙開発審議会の二つの審議会を設置しようとするものであります。  まず、対外経済協力審議会について申し上げます。  政府が本審議会の設置理由として述べるところによりますと、わが国は、ここ数年来、海外投資、長期信用供与、技術協力その他種々の経済協力を行なってきたのであるが、経済協力に関する諸外国の著しい活動に比してなお検討を要する問題が多いので、この際、本審議会を設置して、経済協力に関する基本的かつ総合的な政策及び重要事項について調査審議を行ない、もって将来経済協力の充実拡大を一そう推進するための基礎を固めようとするものであるとのことであります。  次に、宇宙開発審議会について申し上げます。  政府が本審議会の設置理由として述べるところによりますと、最近の宇宙科学技術の進歩、宇宙開発の進展はまことに著しいものがあり、これに対応して、世界各国宇宙開発体制もまた急速に整備されるとともに、宇宙開発に関する国際協力体制も漸次軌道に乗りつつある現状に比し、わが国における宇宙科学技術の研究は、特定分野における研究は別として、いまだ萌芽期の段階にあり、宇宙開発の総合的推進をはかるべき体制整備されていない実情にあるので、この際、宇宙利用及び宇宙科学技術を総合的に推進するための体制を確立するため、科学技術庁設置法の一部改正によって宇宙科学技術に関する事務の効率的な推進をはかるとともに、この法律案によって宇宙開発に関する重要事項を総合的な観点から調査審議するため、本審議会を設置しようとするものであるとのことであります。  内閣委員会は前後四回にわたり委員会を開き、この間、福田総理府総務長官その他関係政府委員の出席を求めまして、慎重に本法律案審議に当たりましたが、その審議におきまして、現在多数設置されている審議会、調査会等の整備運営についての政府の所見、対外経済協力審議会に関連して海外投資の運営と海外投資の現状、本審議会において今後予想される諮問事項、また宇宙開発審議会関連して、本審議会と日本学術会議、科学技術会議との関係等の諸点につきまして質疑応答が重ねられましたが、特に審議会等の整備運営の点につきまして、山本、鶴園、辻の各委員より、審議会、調査会等が年々増加して、現在二百五十二の多数に上っているが、行政責任を明らかにし、また行政機構を簡素化する精神より、政府はこれらの審議会等の整備をはかるとともに、同一人が多数の審議会等の委員となっている現状審議会等の運営に支障を来たすと思われるので、委員の人選についても政府は今後十分留意されたい旨の強い要望が述べられました。  去る四月十四日の委員会において質疑を終わり、次いで討論に入りましたところ、自由民主党を代表して増原委員より、本則中「農地被買収者問題調査会」とあるのを「農林漁業基本問題調査会」に改め、また附則を「この法律は、公布の日から施行する。」と改める旨の修正案が提出せられ、次いでその修正の理由が述べられ、この修正案並びに修正部分を除いた原案に賛成の旨の討論がありました。次に、日本社会党を代表して伊藤委員より、修正案並びに修正部分を除いた原案に賛成の旨、なお、去る三月一十五日の衆議院内閣委員会の附帯決議趣旨はまことに時宜にかなったものと思われるので、政府は今後宇宙開発の運営にあたり、十分この附帯決議趣旨を尊重されんことを強く要望する旨の討論がありました。かく討論を終わり、まず、増原委員提出の修正案について採決いたしましたところ、全会一致をもって可決せられ、次いで修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決せられました。よって本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  25. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。委員長報告はいずれも修正議決報告でございます。  両案全部を問題に供します。委員長報告の通り両案を修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  26. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 過半数と認めます。よって両案は委員会修正通り議決せられました。    ─────・─────
  27. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 日程第七、地方税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  日程第八、消防法の一部を改正する法律案内閣提出)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。地方行政委員長新谷寅三郎君。    —————————————    〔新谷寅三郎君登壇拍手
  29. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案及び消防法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、地方税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府提案理由の説明によりますと、本法律案は、昨年行なわれました所得税の減税に対応して、昭和三十五年度以降において住民税の減税を行なうことを主眼とし、その他、所得税法及び法人税法の改正に伴い必要な規定整備を行なおうとするものでありまして、その改正の要点は、  第一に、昭和三十五年度から住民税所得割についても減税を行なうこととし、すなわち、市町村民税について課税所得金額を課税標準とするいわゆる第二課税方式の準拠税率については、二%及び三%の税率適用範囲の最高限度額をそれぞれ引き上げ、また、課税所得金額から所得税額を控除した額を課税標準とするいわゆる第三課税方式の準拠税率については、二%、三%及び四%の税率適用範囲の最高限度額をそれぞれ引き上げることとし、  第二に、所得税法及び法人税法の改正に伴い、被災たなおろし資産の損失がある個人の事業税の課税標準たる所得の算定について、所得税の申告書を青色で提出しない場合においても、三年間に限りその損失の繰り越し控除を認めることとし、  第三に、法人の道府県民税及び市町村民税の法人税割について法人税の還付を受けた場合に法人税割の課税標準である法人税額の調整を行なう旨の規定を、現行の欠損の繰り戻しによる還付の場合に準じて政令で定めることができるものとすること等であります。  地方行政委員会におきましては、二月十六日、石原国務大臣より提案理由の説明を聞きました後、当局との間に質疑応答を重ねて慎重審査を行ないましたが、その詳細については会議録によって御了承を願いたいと存じます。ただ、その間、最も論議のありました問題の一、二を御紹介申し上げますと、昭和三十五年度地方財政計画によれば、地方税において八百億円の増収が見込まれているのに政府は本年度において減税を行なわず、ただわずかに既定計画に基づく住民税の減税だけにとどめた理由いかんとの質問に対しましては、石原国務大臣より、昨年の伊勢湾台風の大災害のあとを受け、災害の復旧、国土の保全を施策の重点としたため、一般的減税の余裕がなかったが、一方において税外負担の軽減等につき努力した旨の答弁があり、また、先年来の懸案である大衆飲食等にかかる遊興飲食税の軽減の問題が、当委員会累次の附帯決議にもかかわらず、今回の地方税法改正案において全然考慮せられていないのはいかなる理由によるかとの質問に対しましては、石原国務大臣より、この問題は附帯決議趣旨に沿うべく鋭意検討を重ねたのであるが、伊勢湾台風災害復旧等のために今回は遺憾ながら見送らざるを得なかったので、昭和三十六年度においては最優先的にこれが実現をはかるべく努力する旨の答弁がありました。  かくて四月十四日質疑終了し、討論に入りましたところ占部委員は日本社会党を代表して本法案は大衆飲食にかかる遊興飲食税を初め大衆課税的性格の強い各種地方税について減税を行なうべしとの世論を無視して減税を怠っている点において反対である旨を述べられ、大竹委員は、本法案賛成であるが、この際、電気ガス税、大衆飲食にかかる遊興飲食税等の減税を含めて地方税制の根本的再検討を政府に要望する旨を述べられました。かくて、討論を終局し、採決の結果、本法案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  次に、消防法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案は、火災の防止の徹底を期するため、従来の防火責任者の制度を改め、一定の防火対象物に防火管理者を設けしめて、これに関する規定整備をはかり、また、火災の拡大の危険の著しい物品の貯蔵または取り扱いの技術上の基準を市町村条例で定めることとし、消防の用に供する設備等に関し技術上の基準を政令で定め、地方的実情に応じて市町村条例で政令基準以上のものを付加することができるようにすること等をその内容とするものであります。  地方行政委員会におきましては、三月二日石原国務大臣より提案理由の説明を聞きました後、当局との間に、市町村の消防施設に対する政府の助成策、消防施設税の創設、国家消防本部のあり方と自治省への統合等の諸問題につきまして質疑応答を重ね、懐重審査を行ないましたが、その詳細につきましては会議録によって御了承を願いたいと存じます。  四月十九日質疑終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  30. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 地方税法の一部を改正する法律案に対し、討論通告がございます。順次発言を許します。占部秀男君。    〔占部秀男君登壇拍手
  31. 占部秀男

    ○占部秀男君 私は日本社会党を代表いたしまして、地方税法の一部を改正するこの法律案に対し、反対の意見を明らかにいたしたいと思います。  今回改正さ駒ます内容は、委員長報告にもありましたように、昨三十四年における所得税の減税に対応して地方税である市町村民税のうち、個人についての所得割の準拠税率を引き下げるとともに、所得税法の改正に伴い、地方税である個人事業税について被災たなおろし資産の損失の繰り越しについての規定を設けるほか、法人税法の改正などに伴う地方税の規定整備を行なうものでございます。すなわち、内容の中心は、昨年の国と地方を通ずる減税に伴い、当然行なわなければならないところの地方税に関する諸般の整備を行なったまででありまして、従って、改正点そのものについては何らの問題点もない、いわば単なる事後措置的な改正案にしかすぎないのでございます。しかしながら、国民の立場からいいますならば、かくのごときおざなりの改正案を、今日の時点において政府がぬけぬけと出したところに、実は大きな問題点を感ずるのでございます。  具体的に言うならば、今回の改正にあたって、第一に、国民が渇望をいたしております地方税の減税が全く無視されているということ、第二には、国の施策による地方税の減税により引き起ごされた地方団体の減収分についての財政補てんがほおかぶりされてい一るということなど、大きな批判の余地が残されていると信ずるのであります。  まず第一の点について考えますと、もともと地方税は、負担する住民の立場から見まして、その性格上、国税に比べ応益的な課税傾向がはるかに強いものでございます。それだけに、反面、納税義務者の所得別の分布状態から見ましても、課税標準のとらえ方からいいましても、あるいは税率の押え方から考えましても、大衆課税の要素が前者に比べてきわめて顕著であることは言うを待たないところでございます。しかも、全国的な負担状況を見ますならば、今日、府県や市町村の現場では、すでに負担の限度まできている実情でございまして、逆にここ数年来、地方減税を望む声は世論とさえなっている次第でございます。特に現行の税目の中でも、住民税については、均等割の再検討を要望する声が熾烈でありますし、事業税に関しても、個人分の基礎控除の引き上げや、法人分の特別法人並びに小規模法人に対する標準税率の引き下げ等を望む傾向がきわめて強まりつつある現状でございます。さらに、これ以外の今日世論となっております問題点を指摘しますならば、一般家庭を対象とする電気ガス税について、現行百分の十の定率を引き下げる必要のあることや、街灯などの公共用については無税の扱いをすべきであることや、また固定資産税に関しては田畑についての課税標準の減額是正を要望する声が特に農村部に強いこと、さらに多年の懸案となっている遊興飲食税に関しては、大衆飲食の免税点を引き上げるとともに、大衆宿泊料金の免税点の改善をはからねばならないこと、自動車税に関しても、中小企業の合理化と農村の近代化に伴い、自家用トラックや三輪小型自動車の標準税額の引き下げが渇望されているなど、枚挙にいとまがない状態でございます。またこの反面、毎年莫大な損害を生む火災に対しましては、消防施設の機械化、充実化をはかるために、消防施設税の創設が、市町村を中心に全国的な論議の的となっている事実もございます。  すなわち減税を中心とした地方税の体系的な再整備は、今日当面の急務とされていることは、今さら論ずる必要のないところでございます。こうした地方減税の声の中で、政府が発表いたしました本年度の地方団体の運営状況、特に財政関係の見通しを考えてみますならば、これらの減税の問題の解決は、ことしこそ絶好の機会であると思われるのでございます。なぜかなれば、政府が策定いたしました本年度の地方財政計画では、地方税収の伸びは前年度当初計画に比べまして八百二十一億円の増加という未曽有の数字を示しているのであります。さらにこれを決算の場合として見込んでみましても、ここ十年あまり地方税収の伸びは例外なく決算額が計画額を上回っているのが実情でございまして、従って、決算期において増収実績が計画額を下回るような事態は、政府の見解の通り万々ないものであると考えられるのであります。しかも昨三十四年度におきましては、地方財政計画上の税収の伸びは、前三十三年度に比べて三百四億しか見込まれていなかったのでありますけれども、地方税は国税とともに御存じのように減税されているのであります。従って、今回は当然に新しい減税措置を伴った改正案が提案されるものであると期待をいたしておったのでございますが、この点が全く無視されたことは、わが党の絶対に納得できないところであるとともに、国民負担の軽減を旗じるしとしている岸内閣の欺瞞的な本質を暴露したものと言わざるを得ないと考えるのでございます。この点に関しまして、委員会におけるわが党の追及に対して、石原国務大臣は、本年度の地方対策においては災害復旧に重点を置き、国土保全に大きく緊急な経費を要したので、減税は見送らざるを得なかったと答弁されておるのでありますけれども、かりに、これをそのまま是認したとしても、政府として減税に対する熱意さえあるならば、減税を実現する余地は現状においても十分にあるものと考えられるのであります。何となれば、政府の本年度の地方税に対する方針には、非課税措置の整理の問題が故意にサボられていると私どもは見ております。すなわち、電気ガス税を初め、多くの税目において、大産業に対する業務用の減免を中心とした非課税措置は、三十三年度現在、都道府県税で年額八十億、市町村税で二百八十九億円を数え、実に年間三百六十八億円に上っているのであります。しかも、それ以外に、国税にリンクした地方税の非課税措置分としては二百八十一億円がありますので、これを合わせますと実に六百五十億円に近い地方税が非課税として地方団体の収入圏から漏れ流れているのが現在の実情でございます。しかも、注目すべきことは、国税についての非課税措置はほとんどすべてが年限を切っての措置であるにもかかわらず、地方税に関しては年限を切らず、いわば永久的に非課税の特典を一部の者に与える仕組みになっているのでありまして、わが党の黙過し得ないところでございます。国といわず地方団体といわず、非課税措置を整理せよとの声は数年来政府に対する非難となって現われましたので、さすがの岸内閣も世論に抗しがたく、昨年は小部分ではありましたが国の分についての整理を実行したことは、まだ記憶に新しいところでございます。従って、本年度は当然地方においても非課税措置の整理を断行すべきであるにもかかわらず、これまた、ほおかむりのまま国民の目をごまかそうと企図しているのでありますが、かりにこの一部を整理しただけでも、今問題となっております二、三の税目分についての減税財源は十分にまかない得るのでございまして、特に大衆課税の最たるものであるといわれる電気ガス税の引き下げや、大衆飲食についての免税点の引き上げ等は容易に実現できるところでございます。すなわち、減税はできないのではなくて、政府はしないのでありまして、この無誠意きわまる政府の態度に対しては、わが党は国民とともに断固糾弾せざるを得ないのでございます。(拍手)わけて遊興飲食税に関しましては、飲食店、喫茶店等における免税点を現行の三百円から五百円以下に引き上げ、さらに旅館の宿泊料の免税点を現行八百円から千円に引き上げることにつきましては、昨年三月二十七日の本院の地方行政委員会におきまして、三十五年度すなわち本年度より減税を実施すべきであるとの決議が行なわれましたし、同二十八日の本院本会議におきましても、地方税法改正案に対する附帯決議として満場一致可決されております。さらにまた、石原国務大臣も自治庁長官に就任当時の昨年七月四日の地方行政委員会において、新大臣としての方針を述べられた際に、特にこの決議趣旨を必ず実行するとの旨を明らかにしておる次第でございます。その減税総額は、飲食、旅館合わせて三十八億円でありまして、地方税の自然増収の伸びがかくのごとき現在の段階におきましては、減税を実行するかいなかはもはや単なる技術上の問題にしか過ぎないとも思える程度の問題でしかないのであります。それにもかかわらず、これまた今回見送られましたことは、単に国民に対する公約の無視であるばかりでなく、本院の決議の権威にもかかわる問題でございまして、この問題が取り扱われて参りました過去の歴史的な経緯から考えましても、言語道断といわざるを得ないのでございます。  第二の問題点は、減税に伴う地方減収に対する政府の方針についてでございます。わが党は、原則として、国の施策による地方税の減税に関しましては、これによって起こる地方の減収分に対し国から財政補てんの措置をすべきものと考えておるのでございます。なぜかなれば、法の範囲内で地方団体が独自に減税をします場合には、当該団体の財政状況とにらみ合わせてこれを実施するのでありますけれども、国の施策による法改正によって地方税が減税をされる場合は、地方団体自体としては自身の財政的な状態への配慮をするいとまもなく、好むと好まざるとにかかわらず、他動的に減税すなわち減収を押しつけられるものでありまして、地方行政の円滑な運営のためには当然財源補てんの責任は政府にあることは明らかでございます。しかるに、今回この改正案による通り、国の所得税税率の引き下げに伴う市町村民税の所得割の引き下げによるところの府県民税及び市町村民税の減収は、年間百二十二億に上ると見込まれております。従って、それだけの減税額については、国から当然補てんがなさるべきであるにもかかわらず、わずか三十億円に足りぬ額を臨時特別交付金として創設し、これをいわゆる貧乏団体にのみ手当して、すべてを無視しようとかかっていることは、わが党としてとうてい納得できないところでございます。三十億円というその金額についても、補てん財源としての計算の基礎が不分明であり、さらに、交付金そのものの性格がこれまた明らかでないのでありまして、いわば、どんぶり勘定、つかみ銭のたぐいでもあり、終戦以前の時代ならいざ知らず、地方自治法下の民主的な運営の中では許しがたい反時代的な扱い方と言わざるを得ないのであります。  以上、二つの理由から、地方税法の一部を改正するこの法律案に対しまして、絶対に反対の態度を表明いたします。(拍手)    —————————————
  32. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 基政七君。    〔基政七君登壇拍手
  33. 基政七

    ○基政七君 私は、民主社会党を代表しまして、ただいま議題となりました地方税法の一部改正法案に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。  私が同法案に反対する第一の理由は、今回の地方税法改正案はその名に値しないものであるという点であります。地方財政はよくなりつつあると一般に言われてはおりますが、地方財政をよく検討して参りますと、まだまだ油断すべき段階ではないということであります。すなわち、昭和三十三年度の単年度において百五十八億円の赤字を出したことは、三十二年度の単年度に二百四十億円の黒字であったこととを比較して見ますに、著しい変化であって、地方財政は再び悪化の道をたどるのではないかと案じられるのであります。ことに都道府県における財政は著しく変化を来たしておるのが現状であります。また、府県における黒字団体は十三団体で、その額は七億円、前年度より百六十二億円の減少を示しており、地方赤字団体は三十三団体で、赤字百二十二億円、前年度に比べ、団体で三十二団体、赤字額で百二十一億円の増加となっております。この点より見ましても、一般的に財政状況は悪化しつつあるのであります。おそらく三十四年度も同一の状況にあるものと思われるのでありますが、このような地方財政現状であるにもかかわらず、一方において地方住民の負担が重いことも事実であります。われわれは、地方に自主財源を与えると同時に、一方では地方税の大改革を断行しなければならないと思うのであります。このような意味から、昨年地方税改正を行ないます際に、衆参両院におきまして、昭和三十五年度の地方税改正は根本的なものを行ない、特に遊興飲食税について改正を行なうという附帯決議を付したのでありますが、この附帯決議は全然尊重されず、無視されてしまったのであります。私は、この点からいたしましても、岸内閣の地方財政についての誠意を疑わざるを得ないのであります。私が今回の地方税改正に反対する基本的な立場は、ここにあるわけであります。  次に、われわれが主張いたします地方税の改正点の要点を、二、三点にしぼって申し上げ、政府案に反対する理由を明らかにしたいと存じます。  その第一点は、住民税の所得割の課税方式を合理的に統一せよという問題であります。昭和三十五年度の地方財政計画は、総額一兆五千三百八十一億円でありますが、その歳入面における地方税は六千二百三十億円で、全歳入の四〇%を占めております。国税において租税収入の占める割合は九〇%にも上っておりますが、この問題は自主財源にまかすとしましても、地方税収入の格差という問題は、そう簡単に見のがせない問題であります。それを現在では課税方式でごまかしているのであります。課税方式を三つに分けるやり方は、貧弱な府県の住民の負担を一そう苦しめる問題であります。貧しいところほど税金が重いという矛盾を繰り返すことをやめ、税課方式は一元化にすべきであると思うのであります。  第二の点は、遊興飲食税の問題であります。これこそは、昭和三十五年度地方税改正でぜひなされなければならないことであります。自民党の内部におきましても、飲食店、喫茶店における免税点を一人一回五百円以下まで引き上げる、旅館における免税点を一人一回千円以下に引き上げることに大体意見が一致しておったのでありますが、これさえ実現されなかったのであります。遊興飲食税が、大衆課税として、また把握されにくい悪税としての評判をとっておりますのは、あまりにも現実離れのした現在の税制にあると申さねばなりません。この意味からも、先ほど申し上げましたように、遊興飲食税の免税点を引き上げねばなりません。  第三は、電気ガス税の廃止の問題であります。現在電気ガス税の総額は三百億円を上回っておりますが、これは料金とともに取られる税金であります。しかも徴収率は百パーセントであります。わが党は電気ガス税の撤廃を主張するものでありますが、それが一気に実現困難な場合は、現行百分の十の税率を百分の七程度にはぜひ引き下げる必要があります。また、非課税範囲拡大し、定額制家庭電灯は無税とし、炊飯用のガス税などは当然無税とすべきであります。  第四は、地方税の重圧は別といたしましても、それにも増して重要なのは、地方住民の税外負担の問題であります。幾らの税外負担があるかとの問題は、統計のとり方によって違いますが、少なくとも地方税の一〇%から二〇%の税外負担があると言われております。すなわち、PTAの寄付であるとか、村の祭りの寄付、はては道路清掃の役務まで換算いたしますと大へんなことであります。この点を少しでも軽減する第一手段として、法定外普通税、超過税率の整理を断行しなければなりません。その他、個人事業税の基礎控除引き上げ、固定資産税の改正問題、消防施設税の新設、とん税の地方移管の問題等の改正も重要な点であります。  われわれは、このような地方税の問題点を何一つ解決しようとしない政府の地方税改正には断じて賛成することができないのであります。  最後に、地方税改正案と関連いたしまして、最近の土地騰貴について言及したいと存じます。不動産研究所の調査によりましても、一般物価が戦前の三百倍程度であるにかかわらず、土地は七百倍以上となり、最近においても、昭和三十年三月の二・七倍となっております。土地問題の基本的な解決は、もちろん、都市計画の推進でありましょうが、土地の需給関係を是正するために政府や地方自治体の努力が必要であります。また、固定資産税の累進とか、土地増価税の新設などの考慮が必要であり、何とかして庶民が小住宅を建てられるような、全国民の中産階級化に努力しなければなりません。土地価格抑制策の樹立について政府に警告したいのであります。  以上、政府の地方税改正案に反対する立場を申し上げ、私の討論を終わりたいと存じます。(拍手
  34. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) これにて討論通告者発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。  まず、地方税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  35. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ─────・─────
  36. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 次に、消防法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  37. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。    ─────・─────
  38. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 日程第九、放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。商工委員長山本利壽君。    —————————————    〔山本利壽君登壇拍手
  39. 山本利壽

    ○山本利壽君 ただいま議題となりました放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、改正案の骨子について申し上げますと、  その第一は、規制対象についてであります。現行法では、機器に装備されている放射性同位元素は、放射性同位元素装備機器として、一般の放射性同位元素とは若干異なる規制を行なっておりますが、改正案では、これを一本化し、機器に装備されているものも放射性同位元素と同様の規制を受けさせることとしたのであります。  第二は、放射性同位元素の使用について新たに届出制を設けたことであります。現行法では許可制となっておりますが、改正案では、一定数量以下を使用する場合については届け出にてよろしいということにしてあります。  第三は、放射性同位元素、または放射性同位元素によって汚染されたものを廃棄する業を、新たに許可制としたことであります。現行法制定当時には、いまだ放射性同位元素の利用が緒についたばかりなので、このような廃棄物の処理を業として行なうことを予想していなかったのでありますが、最近これを業として行なう者がその業務を開始する運びになって参りましたので、廃棄業者に対しても、使用者及び販売業者とほぼ同様の規制を行なうこととしているのであります。  第四は、放射線取扱主任者の選任について二段階に区分したことでありま号す。現行法では、科学技術庁長官の行なう放射線取扱主任者試験に合格した者及び特に認定を受けた者に対し免状を交付することになっておりますが、改正案では、認定制度を廃止するとともに、免状の種類を第一種及び第二種に区分して、比較的安全と考えられている特定の放射性同位元素を使用する場合には、第二種の免状を有する者のうちから放射線取扱主任者を選任できるようにしてあります。  第五は、危険時の報告義務についてであります。現行法では、危険時に際して警察官に通報することになっておりますが、改正案では、海上保安官にも通報するとともに、科学技術庁長官にも届け出なければならないこととしているのであります。  以上が骨子でありますが、商工委員会におきましては、わが国における放射性同位元素の利用実情と今後の貫通し、その製造方法等について政府の見解を求めるとともに、改正案の内容について活発な論議が展開されたのであります。その詳細につきましては、会議録に譲りたいと存じますが、論議のおもなるものを申し上げますと、  第一は、廃棄の業を許可制にする点であります。すなわち、政府が廃棄業者として認めようとする在団法人日本放射性同位元素協会の性格、事業内容から廃棄業者としての運営の方法についてでありまして特に社団法人という法人格で業としての廃棄を認めることの妥当性等が問題とされました。第二に、障害防止という見地からして、改正案により届出制の対象となる放射性同位元素の種類とか数量をどう定めるか、また、危険時における通報先の問題、特に消防との連絡体制等について質疑が行なわれました。  かくして質疑終了し、討論に入りましたが、別に発言もなく、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって政府原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  40. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  41. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。    ─────・─────
  42. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 日程第十、漁業協同組合整備促進法案、  日程第十一、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。農林水産委員長堀本宜実君。    —————————————    〔堀本宜実君登壇拍手
  44. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 ただいま議題となりました漁業関係の法律案二件について、農林水産委員会における審査の経過と結果を報告いたします。  まず、漁業協同組合整備促進法案について申し上げますと、昭和二十四年二月現行の水産業協同組合法が施行され、漁業協同組合の組織化が進み、今日に至っているのでありますが、これらの組合の中には、経営の不振なものが少なくなく、これら不振組合の整備促進し、漁業に関する協同組織の健全な発展に資するため、この法律案提案されたのでありまして、これが内容の骨子とするところは、不振組合の整備方式と、漁業協同組合整備基金の設置とであります。  第一の不振組合の整備方式につきましては、政府原案では、不振組合がこの法律によって整備を行なおうとする場合には、政令で定める日までに、都道府県知事が指定する日現在で、所定の方法によって貸借対照表を作成し、これに基づいて所定の内容を盛った整備計画を立て、都道府県知事の認定を受けることとし、整備の目標は、五年間に固定債務と欠損金の全部を整理補てんしなければならないことになっており、これら整備計画の樹立及び実施等に関して、都道府県知事の助言またはあっせんが受けられ、また、組合の過去における欠損金の補てんの便に資するため、法人税法の特例を設け、さらに整備の一環として弱小組合の合併促進措置規定し、なお、整備を側面から援助するため、信用漁業協同組合連合会が整備組合の組合員に対して直接貸しを行なうことのできる道を開いた等であります。  しかして、かかる政府の原案に対して、衆議院において、都道府県が整備計画による利息の減免及び組合の合併に対し補助金及び奨励金を交付することができることを明文化した修正が加えられたのであります。  第二の漁業協同組合整備基金については、基金は、漁業協同組合の整備に関して指導及び助成を行なうことを目的とする法人で、その資本金は、漁業協同組合連合会、漁業信用基金協会及び農林中央金庫の出資をもってし、国は基金に対して無利息の資金を貸し付け、しかして、基金は、出資者の出資金と国からの貸付金の運用益をもって、組合の整備に関し、利子補給、合併奨励金の交付及び促進指導等の業務を行なうこととし、その他、基金の設立、役員、運営、財務会計及び監督等について規定し、なお、登録税法その他の税法上の特例を設けているのであります。  次は、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案でありますが、昭和二十七年十二月、中小漁業融資保証法が施行され、漁業信用基金協会によって中小漁業者のためにその債務の保証を行なってきたのでありますが、求償権の回収を円滑にする措置を講ずるためこの法律案提出されたのでありまして、その内容の第一は、政府の求償権の代位を取りやめたことで、現行制度によりますと、政府が漁業信用基金協会とその保証について保険契約を結んで、保険金を支払った場合には、協会の被保証人に対する求償権について、協会に代位してその一部を取得することになっておりますが、かかる政府の代位を取りやめ、協会が求償権の管理及び行使に当たり、政府から支払いを受けた保険金とそれに対する利息との合計に相当する額を政府に納付することとし、第二は、協会が政府に対して保険金の支払いを請求できる期間を短縮したことで、現在は保険事故の発生の日から三ヵ月を経過しなければならないことになっておりますが、これを一ヵ月としたのであります。以上のほか、政府が所有する求償権を協会に譲り渡して、その管理及び行使の一元化をはかるとともに、中小漁業融資保証保険特別会計法に所要の改正を加えた等であります。  委員会におきましては、これらの両法律案を一括して審査を行ない、まず、政府当局から提案理由その他について説明を聞き、質疑に入り、沿岸漁業振興対策、漁業協同組合の不振の原因とその対策、不振組合の整備計画とその実行方法、組合の現況とその合併方針、基金の性格、規模及び運営方針、中小漁業融資保証保険事業の現況と今回の改正の得失、不振組合の整備と基金協会の代位弁済にかかる債務の取り扱い等の問題に関して諸般の事項にわたって政府の見解がただされたのでありますが、これらの詳細は会議録に譲ることを御了承いただきたいのであります。  かくして質疑を終わり、両法律案それぞれについて討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、これらの法律案は、いずれも全会一致をもって衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、漁業協同組合整備促進法案について、沿岸漁業の振興、基金の資金の拡充、整備組合の中小漁業融資保証事業による代位弁済の債務の整理、超不振組合の対策について、政府の善処を求める内容の附帯決議を決定し、これに対して大野農林政務次官から、その趣旨を尊重して善処したい旨、政府の方針が述べられましたことを申し添えて報告を終わります。(拍手
  45. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  46. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 総員起立と認めます。よって両案は全会一致をもって可決せられました。    ─────・─────
  47. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 日程第十二、電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。まず、委員長報告を求めます。逓信委員長柴田栄君。    —————————————    〔柴田栄君登壇拍手
  48. 柴田栄

    ○柴田栄君 ただいま議題となりました電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律案について、逓信委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、提案理由を申し上げます。日本電信電話公社は、昭和三十三年以来、第二次五カ年計画に基づき、電話の建設拡充を企図いたしておりますが、国民の電話に対する要望は最近にわかに熾烈になって参りました。しかも、この傾向は今後も相当期間継続するものと推測され、既定の計画の程度をもっては、電話の需要を充足し、もって国民の要望に応ずることがはなはだ困難な状態となりて参りました。従いまして、早急に建設計画規模拡大する必要に迫られたのでありますが、この拡大計画実施のためには膨大な建設資金を要するのでありますが、既定計画の支柱となっております現行の電話設備費負担臨時措置法をもっては、とうていこの巨額の所要資金を調達することができないので、現行負担法にかえて本案を制定いたそうとするものであります。  次に、本案の内容のおもなものについて申し上げますと、  まず第一に、加入者の引き受けるべき債券の金額は、最高十五万円以内、最低二万円以内において、電話取扱局の等級に応じてその額を定めること。  第二に、債券引き受けの対象は、新たに加入電信を追加いたしたほかは、現行負担法の場合とほぼ同様となっております。  第三に、引き受けるべき債券の種類及び発行条件は郵政大臣が定めることとし、その利回りは、政府保証債の利回りとの均衡を考慮することにいたしております。  第四に、債券の引き受け免除については、国に対してはこの法律の適用を除外しております。警察、消防機関等については、電電公社が郵政大臣の認可を受けて債券の引き受けを一部免除することができること等、大体、現行負担法の場合と同様であります。  なお、附則におきまして、現行負担負担金の返還についての経過措置を講じてあること、公衆電気通信法の別表中の装置料とあるのを設備料と改め、その料額四千円を一万円に改正していること、そのほか、本法律案は、昭和四十八年三月三十一日までに廃止すべき旨を規定して、時限法であることを明らかにしていること等であります。  逓信委員会におきましては、郵政、大蔵両省及び日本電信電話公社各当局につき、詳細にわたり質疑を行ない、慎重に審議いたしたのでありますが、問題となったおもなる点を申し上げますと、計画改定の理由建設資金の不足は加入者に負担させることなく財政投融資によるべきこと、電信電話料金の再検討、工事量増大に伴う消化能力の有無、電信電話債券の市価安定、電話の普及に伴う電信について、従業員の待遇改善等であります。なお、詳細については会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かく質疑を終え、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して鈴木恭一委員より、電電公社は、長期計画を立て、昭和四十七年度末までに積滞を一掃し、市外通話もすべて即時化としょうとしていること、加入者に協力を求める債券の発行条件は適正と認められること、従業員の待遇には格段の努力を傾注すること等を述べ、なお、附則第一項の施行期日「昭和三十五年四月一日から」を「公布の日から」と、同第三項の「昭和三十五年三月三十一日に改める」を「本法施行の前日」と、おのおの改める、との修正動議を述べて本案賛成されました。次いで日本社会党を代表して鈴木強委員より、電信電話事業の公共性にかんがみ、その建設の財源は財政資金に求めるべきで、加入者の負担とするのは誤りであること、本法施行期間内といえども、あらゆる方策を講じ加入者の負担軽減に努めること、電話については長期計画があるが電信政策には触れていないこと、拡充計画によって従業員にしわ寄せが来ることは必然であるにもかかわらず、従業員に対する待遇の問題その他雇用に関し配慮がないこと等を述べて、本案に反対されました。次いで民主社会党を代表して山田委員より、政府は責任をもって債券市価の安定に万全の注意を払うこと、今後膨大なる事業量消化のため労使双方誠意と信頼を持つとともに、従業員の待遇向上に格別の配慮をなすこと等の要望及び次の附帯決議案を述べて本案賛成されました。すなわち、    電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律案に対する附帯決議   この法律の施行に当り、政府並びに日本電信電話公社当局は、次の各項の励行に努むべきである。  一、この法律によるぼう大な電信電話債券の市場価格の安定を期するため、利率の設定その他万全の措置を講ずること。  二、長期拡充計画実現の可否はかかって建設資金にある。よって政府は必要な資金調達に対し国家財政資金の増額に努めること。  三、電信電話事業の特異性に鑑み、労働条件特に要員の確保並びに賃金、諸給与、労働時間、作業環境、福利厚生施設等の向上について積極的な施策を行い、拡充計画の完遂を図ること。  右決議する。  討論を終えまして、まず、鈴木恭一委員の修正案につき、次いで右の部分を除く原案全部について採決いたしましたところ、いずれも多数をもって可決すべきものと決定した次第であります。  なお、山田委員提案の附帯決議については、全会一致賛成でありましたことを付言いたします。  右御報告申し上げます。(拍手
  49. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 本案に対し討論通告がございます。発言を許します。森中守義君。    〔森中守義君登壇拍手
  50. 森中守義

    ○森中守義君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律案に対し、反対の意を表するものであります。  最近、電話架設促進に対する国民の要望は急激に高まり、電電公社の既定計画をもってしては、とうてい国民の強い要望を満足させることはできなくなり、現に遂行中の第二次五カ年計画の中途において、この膨大な修正拡大を余儀なくされるに至りましたことは、一つには、電電公社が過去においてその見通しを誤ったものというべきであります。しかし、他面、私は、国民の熾烈な要望に応じて拡大修正すること自体は当然であり、しかして、急速に国民の要望にこたえる徹底した拡充計画を期待するのあまり、さきにわが党は独自の改訂計画案を示して、これが実現を政府に迫ったのでありますが、これを一蹴し、あまりにも無計画、無原則な一方的計画を策定し、本法案提出したことは、わが党の絶対に容認できないところであります。  その第一の理由は、この改訂計画の所要資金の調達方法に重大なあやまちを犯している点であります。すなわち、電電公社の改訂五カ年計画の遂行には総額六千二百三十億円という膨大なる建設資金を必要であるとしており、これを昭和三十五年度以降三カ年に区切ってみた場合、一カ年平均約千五百億円、うち自己資金でまかなうものが八百十億円、残りの六百九十億円を外部資金に依存するというのであります。問題は、この年間六百九十億円に達する外部資金の調達源にあるのでありまして、本来、電信電話事業のごとき高度の公共性を有する事業、ことにわが国のごとく、長く国営事業として経営され、現に政府関係機関として公社によって経営されている事業の設備拡張の資金のごときものは、当然国家財政資金の投融資に仰ぐべき性質のものでありまして、財政資金が欠乏している場合、その一部を一般市場に起債することはあるいはやむを得ないものといたしましても、その多くを事業利用者たる加入申込者の側に求むべきでないことはもちろんであります。しかるに、改訂計画におきましては、前に述べた一カ年平均六百九十億円の外部資金のうち、財政資金の融資、公募合わせて二百八十億円、割合において四割強にすぎず、残余の六割、すなわち四百八億円は、これをこの法律案による加入申込者の債券引き受け制度に依存しようとするものでありまして、わが党はかかる暴策を断じて許容できないのであります。また、これを本年度建設計画について見る場合、建設資金総額千二百八十五億円に対し財政投融資はわずかに八十億円、実に六%強にすぎず、今年度の財政投融資総額五千九百四十一億円に対しては、驚くなかれ、わずか一%強にすぎないのでありまして電信電話事業に対する岸内閣及び自由民主党の態度と認識の不足を遺憾なく暴露したもので、その無策を追及するものであります。しかして、この結果は、今後十三年間にわたる経済成長の見通しが具体的かつ確定的なものとして国民に納得させる要素に乏しく、勢い数年を出でずして、計画の変更、法改正の必要に迫られるのではないかと憂うるのであります。そして国民の利便を確保し、公共の福祉を増進することを目的として設立された国営事業としての電電公社の面目いずこにありやと疑わざるを得ないのであります。  次に問題とすべき点は、かかる膨大な拡大修正計画遂行に対する電電公社の促進態勢についてであります。たとえば、本年度計画に見る建設資金千二百八十五億円は、前年度の八百五十億円に比べ実に五%をこえる激増であります。公社は、この拡大修正の実施にあたって、これが消化克服方策として、地方への分権制度、建設設置、工事の平準化等、もろもろの改善策を講ずることによって乗り切れるとしていますが、このような急激なる建設に対し期待すべき成果がはたして容易に得られるかどうか、これまた疑いなきを得ません。もとより電電公社は、三公社五現業中でも誇るべき業績をおさめているととは衆目の一致するところでありますが、公社当局、従業員の努力は高く評価されましても、根本的に考えて、現在の公社経営のあり方が公共企業体としての自主性を十二分に発揮し得るようになっているかどうかという点について、いま一度焦点を当てる必要があります。すなわち、政府の公社に対する監督権、拘束予算制度、給与総額制度、資金の国庫統一の原則、正常な労使関係の確立など、根本的に再検討し解決さるべき問題が山積しているにもかかわらず、今後十三年間にわたる膨大なる拡充計画の策定にあたり、何らこれらの点に触れていないの一は、まことに大胆無謀な計画であり、わが党は岸内閣及び公社当局に痛烈な非難を加えるものであります。また、わが国の産業、経済、文化の著しい躍進を見、日進月歩の技術革新の目ざましい今日においてとにもかくにも今後十三年間という長期にわたり一般国民負担において膨大なる拡充計画を遂行しようというには、前述の通り、根本問題と、さらに別個に事業運営の面においても、幾多の改善改良施策が当然その前提として考究されなければならないことは当然であります。今その最も重要な点について指摘をいたしますならば、根本的問題である料金体系について全然触れられていないこと、拡充計画遂行の一環である要員対策が全体として確立されていないこと、事業量に比べ、建設要員、保守要員が少ないということ、建設工事の直営、請負についての方針が不明確であること、事業合理化、自動化等に伴って、要員の職種転換、配置転換及び職員の訓練計画が全く見られないこと、委託業務の逓減に伴う対郵政省対策が何ら考えられていないこと、電信電話の拡充計画というのに、最も問題である電信についてほとんど触れるところがないこと、労務対策、すなわち従業員の労働条件の改善、待遇の改善等について触れていないことなどであります。  最後に強く私が言及したいのは、前に述べました通り、この改訂計画の実行は従業員側における労働強化を来たすことは何人も疑い得ないところでありまして、これに対する従業員の待遇改善その他の雇用問題に対する考慮がはなはだしく欠けているということであります。公社職員の給与は、公社法三十条の定めるところである。これに対する政府及び公社当局の解釈、考え方は、ことさらに、二項の「国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない」ということに形式的にとらわれ、いたずらに右顧左眄し、きわめて消極的である。少しも公社営としての自主性を持った考えに立っていないということであります。公社が二十七年発足以来ここに八年、その業績は見るべきものがあるにもかかわらず、その給与は、従来の沿革にとらわれ、国家公務員、郵政職員等に比べられるのみであって、いささかも現状に即さず、低賃金、労働強化をあおり、全職員の不満を増大させているのであります。しかるに、一方において公社の事業成績を見れば、建設に繰り入れる自己資金は一カ年平均八百十億円の巨額に上り、ここ数年間、利益繰り入れと資金充当を合計いたしますと、毎年度四百億円前後の剰余金を生み出しております。このような業績の向上も全従業員の格別な努力の結晶がもたらしたものであることを思うとき、これを全部建設資金に振り向けてしまって、従業員に対し何ら還元するところがないのは、あまりにも従業員の勤労意欲を無視したやり方といわざるを得ないのであります。当局はさき生産性向上協力手当の支給を認めたのを契機として、根本的に、公社企業の業績に対応した独自の給与、福利厚生施設等を初め、労働時間の短縮、要員の確保等を実施するよう、格段の配意をすべきであり、それによって初めて公社法の精神にも沿えると思うのであります。  これを要するに、この膨大な第二次五カ年計画の遂行にあたり、従業員の協力なくしては、たとえ本法案の施行による建設資金獲得に成功しても、とうてい予定の速度をもってこの計画の完遂を期することは困難であります。  以上主要なる数条の理由をあげて申し上げましたごとく、公社の十三年間にわたる拡充改訂計画中には、根本的にわが党の主張と相反するものがあり、従って、拡充計画遂行の資金調達を加入者に過重なる負担をさせることを目的とするこの法律案にも、またその矛盾を当然に包含をいたしておりますので、日本社会党は本法律案に強く反対をいたしまして、私の討論を終わります。(拍手
  51. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) これにて討論通告者発言終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案採決をいたします。委員長報告は修正議決報告でございます。本案全部を問題に供します。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  52. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 過半数と認めます。よって本案委員会修正通り議決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十七分散会    ─────・───── ○本日の会議に付した案件  一、地盤沈下対策促進に関する決議案  一、日程第一 所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件  一、日程第二 公営住宅法の一部を改正する法律案  一、日程第三 住宅地区改良法案  一、日程第四 四国地方開発促進法案  一、日程第五 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案  一、日程第六 総理府設置法の一部を改正する法律案  一、日程第七 地方税法の一部を改正する法律案  一、日程第八 消防法の一部を改正する法律案  一、日程第九 放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十 漁業協同組合整備促進法案  一、日程第十一 中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案  一、日程第十二 電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律案