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1960-04-06 第34回国会 参議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月六日(水曜日)    午前十一時三十八分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十六号   昭和三十五年四月六日    午前十時開議  第一 水産庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第二 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第四 地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣提出)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ─────・─────
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。この際、お諮りいたします。吉田法用君から、海外旅行のため、十五日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      ─────・─────
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 衆議院議員・元衆議院議長林讓治君は、昨五日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  この際、本院は、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  議長において起草いたしました弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院はさきに衆議院議長として憲政の発揚につとめられまた国務大臣としての重責にあたられました衆議院議員従二位勲一等林讓治君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます。     ─────────────  弔詞贈呈方は、議長において取り計らいます。      ─────・─────
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、お諮りいたします。  本月十八日から二十四日まで、ギリシャのアテネにおいて開催される列国議会同盟本年度春季会議に、本院から山本米治君、木下友敬君を派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。      ─────・─────
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 吉武恵市君から三池炭鉱争議に関する緊急質問が、久保等君から三池炭鉱争議における暴力団介入に関する緊急質問が、田畑金光君から三井池労働争議並びに人権問題に関する緊急質問が、小平芳平君から三井池労働争議に関する緊急質問が、常岡一郎君から三池炭鉱争議に関する緊急質問が、須藤五郎君から三池炭鉱争議に関する緊急質問が、それぞれ提出されております。  この際、これらの緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。順次発言を許します。吉武恵市君。    〔吉武恵市登壇拍手
  11. 吉武恵市

    吉武恵市君 私は、今回起こりました大牟田三池炭鉱争議に関し、政府に対し、自民党を代表いたしまして、次の諸点につきお尋ねをいたしたいのであります。  第一点は、今回の争議根本原因をいかようにごらんになっているかということであります。従ってまた、その解決についていかような御見解をお持ちになるかということでございます。第二は、労働組合あり方について政府はいかなる御指導をなさっておるか、また、労働争議限界、特にピケ限界についていかなる御見解をお持ちになっておるかという点であります。第三の点は、争議行為といなとを問わず、暴力について政府はいかなる御処置をおとりになるつもりであるか。この点についてお尋ねをする次第であります。  まず、第一点についてみますると、会社側は、三池炭鉱再建のために千二百名の人員整理、特に生産阻害者を絶対排除しなければならないというかたい決意を持っております。一方、旧労組側について見ますると、首切り絶対反対、あくまで体を張ってたたかうという、これまたかたい決意でございます。それだけに、今回の争議解決はきわめて困難であると思うのでありますが、よくその真相を調べてみますると、三池炭鉱の今日までの生産状況は、昨年の出炭は一人当たり月産わずかに十三トンであります。しかも坑内事情は、炭丈が九尺からある。その設備は他の炭鉱に見られないほど完備しているのであります。今日、中小炭鉱を見ましても、鉱夫一人当たり出炭は月二十トンー三十トンは平気で掘っている。中小炭鉱坑内事情の悪いにもかかわらず、かくのごとき成績をあげているのに、なぜ三池炭鉱だけがこのような悪い生産状況を続けているか。ここに私は会社側再建に対するかたい決意があると思うのであります。これでは、三池炭鉱が幾らよい山でありましても崩壊の道をたどる以外にありません。それでなくても、今日、石炭産業は石油の進出に圧迫されまして斜陽化しつつあるのであります。このようなときに、今までのような状況がいつまで続けられるでありましょう。そのよって来たるゆえんを見ますると、二十七年以来、この三池炭鉱に対しては、九大の向坂教授及び日本共産党天野順二氏等による徹底した階級闘争理論教育がなされていたのであります。一年に延べ三百六十日という徹底した教育であります。以上の事由に基づいて起こっておる争議でありまするがゆえに、政府が本問題を解決されようとする場合には、その根本を把握し、その根本解決をはかるにあらざれば、いつまでたってもこの争議解決いたしませんし、また、いいかげんな解決をすれば、何度も同じ争議が続くのであります。けさのニュースによりますと、中労委藤林会長職権をもってあっせん案を提示されたということでありますが、労働大臣に、そのあっせん案内容、及び、そのあっせん案内容がただいま私の申しました点に触れて解決をされようとしておるかどうか、この点をお尋ねする次第であります。  第二にお尋ねいたしたいことは、組合あり方について政府はいかなる指導をなされておるかということであります。組合は自主的であるとともに民主的でなければなりません。今回の三池炭鉱組合あり方を見ますると、きわめて非民主的であります。今日、石炭が斜陽産業化されつつあるときに、従来のごとき月十三トンという出炭成績を維持するということは、とうていできないことである。従って組合内におきましても、真に心あるものは、従来のこの組合あり方について批判が生まれ」二池炭鉱再建をはかろうとして幾たびか進言をしておるのであります。しかるに幹部はこれを聞き入れようともせず、あくまでも従来の指導理念をもって押し通そうとし、一きびしき統制のもとにこれを押えつけてきたのであります。かるがゆえに、ついに三鉱連の中において新組合が生まれて分裂をしたのであります。まじめに働こうとする生産意欲に燃えた労働者は、従来のごとき旧組合あり方については耐え切れるはずがありません。私は、現地において、これら新組合の真に生産意欲に燃えた真剣な姿を見ることができたのであります。これを要するに、組合幹部が非民主的に強引に引きずろうとするならば、必ず内部分裂が起こります。私は組合分裂は悲劇だと思う。政府は、組合教育指導にあたり、もっと勇敢に、組合は民主的でなければならぬということを徹底していただきたいと思いまするが、労働大臣はいかなるお考えを持っておられるか。  次に、かくして生まれた新労組は、独立したりっぱな組合であります。憲法第二十七条によって、すべての国民祖勤労の権利を保障されておるのであります。新労組憲法の保障に基づいて会社団体交渉を行ない、就労しょうといたしますると、ピケと称し、暴力によってこれを阻止したのであります。去る三月二十八日、三川鉱において、新組合が、全く武器も持たず、まる腰で就労しようとしたのに対し、旧労組組合員は、こん棒、青竹、鉄棒等をもってさんざんに暴力を加え、二百数十名に上る負傷者を出しているのであります。私はそこで労働大臣お尋ねをいたしますが、労働争議限界について、いかなる御指導をなさっておったのか、特にピケ限界についていかなる御指導をなさっておったかを聞きたいのであります。  私は次に、第三の点について石原国務大臣お尋ねしたいのであります。今回の三池炭鉱争議につきましては、三十八日の新労組就労に対し暴力をもってこれを阻止しようとし、二百数十名の負傷者を出しておりますが、このことはあらかじめ予想されることでありましたにもかかわらず、その暴力警察によって阻止できなかったということはいかなる理由であるか。また今後同じ暴力が行なわれるであろうと考えられるのでありますが、これに対していかなる御処置をとられるつもりか。今回現地調査をいたしましたるところ、新組合人々も、旧労組の人人も、会社人々も、市民の人々も、一せいに口にすることは、警察力が消極的であったということであります。これを考えてみますると、私はその一つの原因は、従来、警察は、争議に介入してはならないということと人命保護ということを混同しておるのではないかと思うのであります。私は争議警察が介入することはよくないと思います。しかしながら、それは争議そのものに介入してならないということであって、争議に派生して起こる暴力による人命保護につきましては、警察本来の使命でありまして、身をもって勇敢にこれに対処することでなければならないと思います。(拍手)もし警察がこれを排除してくれなければ、われわれは何によって暴力に対抗することができるのでありましょう。暴力を放置すれば、暴力には暴力でということになって、互いに暴力を用い、かの二十九日のごとき刺殺事件が起こるのであります。私は、暴力団でありましょうと、労働組合暴力でありましょうと、いやしくも暴力に対しては断固としてこれを排除しなければならないと思うのでありますが、政府はいかなるお考えをお持ちですか。特に今回の争議において見ますると、単なる職場だけの問題ではありません。デモ隊と称し、数百名の旧労組及びオルグが新労組の出勤中の留守宅を襲い、あるいは窓ガラスを煉瓦でぶちこわし、土足で上がり、窓をぶっこわして、その上、婦女子洗濯デモと称してもみくちゃにしておるのであります。とうとうこれらの婦女子は恐怖に耐えかねて、六百世帯というものが一晩のうちに疎開をしております。一体、かくのごとき、状態が放置されてよいものか。今日の法治国家においてこういう事実ありとするならば、私は、はなはだ憂慮にた、えないと思うのでありますが、政府の御所見を尋ねたいのであります。  最後に私は法務大臣お尋ねいたしたいことは、二十九日に行なわれた刺殺事件に対しては、私が現地に参りまして調査しておる途中、捜査の手が差し伸ばされて調べられておりましたが、二十八日に行なわれた三川鉱暴行傷害事件については、何らの取り調べも行なっていないのであります。昨日になって新聞を見ますると、ようやく取り調べにがかったといっておる。五日たって後のことであります。今日労働争議において暴力行為が跡を断ちませんのは、警察なり法務当局断固たる処置をとられないからであります。このことが、労働争議については、暴力はもちろんのこと、傷害も許されるがごとき誤認を与えるのであります。私はただいま時間がございませんから、二十八日に行なわれた三川鉱暴力事件について一々申し上げる時間はございません。しかしながら、私がその被害者の述べた手記の一、二を申し上げます。こう言っております。「血にまみれ、苦痛に耐えられない人々がみずから語ったなまなましき記録である。戦標すべき旧労組員残虐行為は、社会党や総評や炭労や旧労組が何と叫ばれようとも、その真実を隠すことはできない、会社組合等の問題ではない。人間として、スイカを割るがごとく、無抵抗のまま、頭を割られ、腕、足を折られ、ベッドに苦しむ人たちにかわり、社会正義の名において世間に訴えたい」と、こう言っております。以下は小川という人の手記であります。「繰り込み場の惨状はこれらの惨劇の中でも最もはなはだしいものであった。このころ無事就労した新労組三百名及び係員は、全員の無事を祝って万歳を三唱した。そして一部に負傷者があったので、これを収容して治療を始めていた〇・ものの五、六分たつかたたないかのころである。西側の窓を打ち破る音がした。見ると、十三卸機械工松本がバールで窓をたたき破っていた。残る全員は、石、かわら、れんがを雨あられと窓に集中した。たちまちガラスはこなごなに吹き飛んだ。そして窓ワクも次々に折れた。ぐるぐると回っていた旧労組及びオルグは、一せいに立ち上がって、各人の手に持って一いる鉄棒、成木、シャベル、くぎを打った負材を、力一ぱいにこの集団めがけて打ちおろした。」
  12. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 時間でございます。
  13. 吉武恵市

    吉武恵市君(続) 「各所に助けてくれと叫ぶ悲鳴が聞こえ始めた。まさに残虐きわまるものがある。」と、こう言っております。以上のように、集団の暴行はきわめて残虐であります。私は、法務当局は、この際、断固たる処置をとられる必要があると思うのでありますが、法務大臣はいかなる御所見をお持ちでございますか。  私は最後岸総理大臣お尋ねをいたします。今回の三池炭鉱争議は、普通の争議とは違います。その根本は根深いものがある。おそらく今後といえども暴力行為が続けられようと思うのでありますが、これは一出先官憲だけではとうてい押えられるものではございません。政府全体が、総理を初め関係大臣が一丸となって、断固暴力を排撃する処置をとられる必要があると思うのでありますが、総理大臣の御所見を承りたいのであります。  以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  14. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 令回の三井三池炭鉱における争議の実情が、暴力を伴い、多数の負傷者や死者まで出すような事態になったことは、まことに私は、日本労働運動史上においてかって見ない遺憾なことであると思います。いかなる意味におきましても、暴力を用いるということは、これは民主政治の敵である、これを断固として排撃しなければ真の民主政治はできないと、私はかねて強く考えておる次第であります。(拍手)今回の事態に処しましても、私どもは、すでに起こった事態を法に照らして処分するのはもちろんのこと、将来につきましては、そういうことを繰り返さないように万全を尽くしていくつもりでございます。(拍手)    〔国務大臣松野頼三君登壇拍手
  15. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 三月二十八日、中労委に向かいまして組合側からあっせん申請が出まして、それ以来一週間余り、中労委の努力によりまして、本日早期あっせん案が提示せられました。御承知のごとく、第一項から五項まで、今回の公平なる立場でのあっせん案としての明確な文書が出ております。  第一は、会社は昨年十二月十日付の指名解雇を撤回すること。  第二、右解雇該当者は同日付をもって自発的に退職したものとすること。  第三、前項該当者退職金については、昨年十二月十日付で会社が通告した退職金の額に一万円を加給すること。  第四、第二項該当者に対しては、会社はでき得る限り就職のあっせんに努め、企業再建の暁にはなるたけ再雇用の考慮を払うこと。  第五、以上の措置をもって今回の指名解雇をめぐる労使の対立に終止符をうち、平和裏生産の再開をするための諸案件について話し合いを進めること。  以上でございます。  少なくとも今日まで、組合側からあっせん申請をいたして参りました。会社側はたびたびそのあっせんを拒否して参りました。しかしながら、会社といえども、やはり中労委あっせんを尊重しないわけではございません。今日職権あっせんによって出ました以上は、少なくとも組合側は今日まであっせん依頼者でありますから、まず第一に、組合側はその立場を明確にしなければならないと存じます。会社側あっせんを受諾はしておりませんけれども、やはり労使のよき慣行の前には、会社側もこのあっせんを尊重すべきであろうと私は考えております。第二番目に、今回の争議における暴力ピケの問題が非常に出ております。私は、暴力ピケという言葉は、労働法上は的確な言葉ではございません。暴力を伴うピケは、もうピケにあらずであります。(拍手)少なくともこの判例最高裁においてたびたび明確になり、これは、労働法保護におけるピヶにあらずして、一般威力業務妨害罪あるいは傷害罪という判例最高裁でたびたび行なわれております。ややもいたしますと、労働問題に名をかりて暴力を用いることは、すでにそれは労働法保護をみずから放棄した立場であって、刑法一般の問題として厳重に政府はこの取り締まりを行なうべきだと、私は明確に考えております。(拍手)    〔国務大臣石原幹市郎登壇拍手
  16. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答えいたします。  先月二十八日三川鉱におきましてあのような事件が起こりましたことは、まことに残念に考えておる次第でございます。あの事態に対処いたしまして、当日大牟田署には約千五百名の警察官を動員し、荒尾署に五百名の警察官を動員いたして、事態に備えておったのでございまするが、当日の両組合態度あるいは入手しておりました情報等に若干の食い違いがございまして、結果におきましてあのまうな事態になりましたことは、まことに残念に思っております。その後あの地帯一帯治安確保のために、さらに九州各地より警察官の応援を得まして、ただいまでは、大牟田荒尾両署を中心に、約四千名の警察官を動員いたしまして、ことに炭住街治安確保等に全力を尽くしておるのであります。パトロールの強化検問所強化、あるいは警察配備適正配置等を行なっているのでございます。その結果、治安も回復されまして、家族もほとんど大部分が家に帰られたようでございます。さらにまた、こん棒とか、そういうものの提出を求めまして、暴力のもとになるようなものの排除に努めておるのでございます。今後とも不当の暴力に対しましては徹底的にこれを取り締まるように強く現地警察当局に指示をしておる次第でございます。  三川鉱事件につきましては目下捜査中でございまして、いずれ法務大臣よりも詳しくお話があると思いますが、近く相当数逮捕者を出すものと思っております。厳に捜査を続行いたすつもりであります。(拍手)    〔国務大臣井野碩哉君登壇拍手
  17. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 二十八日の三川鉱事件につきましては、検察庁といたしましては、直ちに検事数名を派遣して、現場の捜査態勢を完備しております。警察陣の検挙に応じて、検察側といたしましても直ちに捜査に着手できるよう準備をいたしておりますが、最近大牟田署にも捜査本部ができまして、数名の参考人を呼んで調査をしておりますが、相当被疑者もその氏名が判明して参りましたので、検察陣もその陣容を強化いたしまして、これが措置に万全を期したいと思います。暴力に対しましては、検察庁といたしましては、厳正なる態度をもって今後も臨んで参りたいと思っております。(拍手
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 久保等君。    〔久保等登壇拍手
  19. 久保尊

    久保尊君 私は、日本社会党を代表いたしまして、三池炭鉱争議における暴力団介入に関する緊急質問をいたすものであります。  三井三池は労使紛争のまっただ中にあり、しかも、今日、組合が第一、第二と二つに分かれて、きわめて微妙なる段階にありますがゆえに、組合内部そのものに対して国会あるいは政府が介入したというごとき印象を与えることは、その影響するところがきわめて大きいものがあり、厳に慎しむべきであると思うのであります。そこで私は、今次三池争議における第三者によるピケ破り、あるいは暴力殺人、さらには強行就労にあたり海上保安庁の巡視艇出動等、他にいまだその例を見ないような不祥事態について、特に岸総理を初め関係閣僚お尋ねいたしたいのであります。  まず、岸総理は、第一次岸内閣成立の第一声として、暴力、貧乏、汚職の追放を国民に公約したのでありますが、この三悪は一向に追放されないのみか、ますます増大の一途をたどっておるのであります。特に暴力に至っては最近目にあまるものがあります。本日この本会議場においても、自由なる言論機関である毎日新聞社に対する暴力事件並びに三池炭鉱争議における暴力団による殺人事件と、二つ緊急質問を行なわなければならないほど暴力が横行闊歩いたしておりますることは、まことに遺憾であります。岸総理は、こうした民主政治の敵ともいうべき暴力の増長する傾向をいかにお考えになっておられるか、そして、いかにこれに対処せられんとするか、その所信を承りたいのであります。また、三井三池におけるこの紛争根本原因は、もともと政府石炭対策の貧困から来たものであるといっても過言でないと思うのでありますが、特に政府のこのことに関するお考えをお伺いいたしたいのであります。  次に、通産大臣労働大臣自治庁長官お尋ねをいたしたいのでありますが、大牟田市は人口二十一万の都市であり、関連産業はすべて大企業であり、他の工業都市に比しまして失業者の吸収がきわめて困難であり、一たび失業すれば、そのほとんどが永久失業状態に置かれ、現在も五千名を越す登録失業者があり、その大部分炭鉱労働者であります。今回の争議原因は、こうした失業群の中に、さらに二千数百名の者を投げ込まんとする首切り強行にあったわけであります。会社は、利潤の追求のための整理かもしれませんが、職を奪われた者は、生活の道を断たれ、死の宣告を受けたも同様であり、勢い大争議に発展せざるを得なかったと思うのでありますが、政府石炭政策、また、失業対策及び地方自治体の財政的対策等につき、それぞれ各大臣の御答弁を願いたいのであります。  さらに、国家公安委員長お尋ねいたします。事は殺人事件であり、組合員が白昼しかも警察官と多数の人の面前で暴力団によって殺害せられるという驚くべき事件であり、徹底的に究明し、厳重に処断せられるべきものと思いますが、次の具体的事実について明快にお答えを願いたいのであります。  殺人事件の起きた三月二十九日昼ごろ、現地に派遣せられていた社会党調査団は、当時四囲の状況等を総合判断しまして、刃物等危険物所持も懸念せられましたので、直ちに警察署長に連絡、事故未然防止方措置を申し入れたのであります。警察側よりは、事故を防ぐために万全を期することとして、組合側も棒、竹等を持たないよう特に注意され、組合側も了承して、一切の棒きれ等を処分してしまったのであります。ところが、それから一時間半後に、何一つ手に持たない組合員久保清君が刺殺せられたのであります。しかも、その日、暴力団は、先頭にトラック一台、次いでタクシー十四台、そのあとバス一台と、計十七台の自動車に分乗し、おのおの組の旗を立てて行進していて、警察のパトカーもその車についていたのであります。事件の起きた四山鉱では、南門付近検問所があり、約百名程度の警官がいたのでありますが、何ら検問も行なわず、組合員より、暴力団凶器所持をしているとの訴えがあったにもかかわらず、何らの忠告も与えなかったのであります。そして、午後四時三十分ごろ、警官の目の前で公然と白昼殺人行為がなされたのであります。ところが、いまだに犯人の逮捕もできないということは、警察が故意に見のがしているのだと言われても釈明の余地がないと思うのでありますが、いかがでありますか。さらに、組合員及び弁護団から、暴力行為取締令違反凶器所持集合罪で直ちに全員逮捕を申し入れたにもかかわらず、数百人の警官によって、わずかに五十八名の容疑者が連行されたにすぎず、しかも奇怪なことに、その夜のうちに全員釈放されてしまったのであります。そうして、その後になって逮捕状申請をしておるのでありまするが、これでは、警察暴力団を援助し、ぐるになっているのではないかと郷われてもいたし方がないと思うのでのりまするが、(拍手)いかようにお考えになられますか。国家公安委員長峠その目的がスト破りであり、集団で凶器を所持しておるということが事前に申し入れられていたにもかかわらず、殺人が行なわれるまで解散もさせなかったことは、いかなる理由によるものであるか、明らかにせられたいのであります。なおまた、本殺人事件直後、暴力に使用せられた数百本のこん棒その他が証拠物件として警察に押収されていたが、そのほとんどは、新しいつるはしの柄であり、あるいはハンマー等に使うカシの棒であり、はなはだしきは親指大の鉄の棒を魚釣り針のごとく曲げ、これに二メートルくらいの麻なわをつけて、これをへいの裏から投げつけたのでありますが、これらのものは、いずれもほかから簡単に入手できないものであって、会社内から持ち出されたことは明白であり、調査団が再三、会社側に対して警察より忠告を行なうよう要請したにもかかわらず、これに応じなかったことは、はなはだ遺憾であり、会社に対する警察態度はまことに奇怪千万と言わざるを得ないが、いかようにお考えになるか、御所見を承りたいのであります。さらに、争議行為におけるこうした暴力団によるきわめて悪質なる暴力介入を、労働大臣はいかにお考えになり、いかに対処せられんとするか、お尋ねをいたしたいのであります。次に、運輸大臣にお伺いをいたします。妨害排除の仮処分申請も出ていない三月二十八日早朝、会社強行就労命令によって、大牟田三川鉱の付近で流血の惨事が起こったのであるが、その前日の二十七日の夜、会社は海を渡って縦坑第二人工島に奇襲入坑を強行しているが、このとき海上保安庁は争議に介入して会社を擁護している事実がある。当時の模様を新聞報道等によって見ると、「新組合員三百三十五人は数隻の舟に分乗して熊本県三角港を夜八時に出発した」となっているか、三角港といえば大牟田港外まで直線コースで約五十キロも離れており、十満の激しい有明海で人員を満載しての海上運送は、それ自体法律違反の疑いがあり、また、この海上運送が相当な危険を伴うことは、だれの目にも明りかであります。そこで、三角港に待機していた海上保安庁の巡視船がこれを援護しつつ第二人工島に誘導し、上陸に際しては照明燈まで照らして援助したといわれ、現地では非常な憤激を買っているが、その真相はどうでありますか。去る三月三十日の参議院社会労働委員会の席上、同僚小柳勇議員の貝間に対し、海上保安庁の樋野警備救難部長は、この点に関しまして、同帆、三井会社側から舟一隻が行方不明になったので至急捜査してほしいという連絡があり、人命に関することなので直ちに出動したと言いながら、さらに次の答弁では、「実は、すでに二十六日、長崎、佐世保等から巡視船を三角港に集結させるよう命令を受けていた」と言っておるが、これでは海上保安庁が計画的に労働争議に介入の下心があったと判断せざるを得ないが、この点についていかにお考えになられるか、お伺いをいたしたいのであります。  最後に、総理からお答え願いたいと思うのでありまするが、以上のごとく、三池争議に際し、政府の機関たる海上保安庁の巡視船が出動して、これに介入したり、また、暴力団による暴力、殺害行為に対処する防止と事後処理に、警察当局がきわめて怠慢であったことなどは、政府が、一面において蔭の力となって会社を援助しているといわれても、いたし方のないことでありますと同時に、断じて許すことのできないことであると思うのであります。また、三井池争議を契機に、またもや警職法改正が云々されておるようでありますが、問題の焦点はそのようなところにあるのではなくて、問題の焦点は、現行法のもとにおいて、当然とり得る適切な措置警察当局によってとられていないところにあると思うのであります。換言すれば、警察当局自体の怠慢にあると思うのであります。従って、警職法改正については何らその必要がないと思うのでありまするが、総理はどうお考えになりますか。明確な御答弁を願って、私は質問を終わる次第であります。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  20. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  暴力追放の問題は、私は、民主政治の基盤として、いかなる意味においても、いかなる形における暴力も、これを追放しなければならぬという考えのもとに努力をいたして参っております。しかるに、いろいろな暴力の跡を断たないということはまことに遺憾でございますが、私は、労働争議において、あるいは第三者が介入して、そうして暴力的な行動をしておるというような事態も今回見ております。これらのことを考えまして、一そうこの暴力の追放について、あらゆる面から、これを強力に進めていかなければならぬと実は考えておるところでございます。これにつきましては、同時に、各方面の方々も、この暴力民主政治の敵として追放するという信念のもとに、政府の施策に御協力を願いたいと思います。  次に、石炭対策の問題でございますが、いうまでもなく、エネルギー革命の結果としまして、石炭自体に対する非常な大きな影響がきておるのであります。特に日本状況から見まするというと、近年、非常な不況の状態にある。しかも、この石炭日本の国内のエネルギーであるし、また、雇用問題としても、石炭鉱業というものがきわめて重要な意義を持っておることから考えまして、これを合理的な基礎の上に経営せしめ、その存続をはかっていくということが、根本考えられなければなりません。この意味におきまして、日本の石炭鉱業を合理化するという問題は、労使ともに真剣にこれを検討し、これに対する対策を考えてもらいたいと思います。政府としましても、できるだけ日本の石炭鉱業を経済的にも成り立つように、あらゆる面から協力をするとともに、この合理化の道程から生ずる失業者に対しましては、特別な措置をもってこれに対処する考えでございます。  最後に、警職法の改正の問題についての御質問であります。警職法の改正につきましては、従来も答弁をいたしておりますが、私どもは、やはりこの法律全体について改正する必要ありゃいなやにつきましては、従来も検討いたしております。この考えは今日も同じでございますが、特に今回の事件に関連してこれを改正するとかどうとかということではなしに、本来、この警職法というものが現在の規定でいいかどうかをわれわれは検討しておる、こういうことで御了承願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  21. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 石炭鉱業は、ただいま総理のお話のごとく、世界的エネルギー革命の影響を受けまして、かなり不況な状態であるのであります。私は就任以来、これが根本的対策を考えまして、ただいま御審議願っておりまする石炭鉱業合理化臨時措置法あるいはボイラー規制法、その他所要の法律案の改正のみならず、予算につきましてもできるだけこれを組みまして、対策を講じつつあります。ことに離職者に対しましては画期的な予算を組むと同時に、予算ばかりでなしに、民間の関係会社あるいはまた一般の民間業者に対しまして、協力してこの離職者対策を講ずるよう窓通し、政府も、ともにこれが研究を続けておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣石原幹市郎登壇拍手
  22. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 第一点の大牟田市における失業対策事業等に対する自治庁当局としての措置についてでございますが、これは緊急就労対策につきましては高率の国庫負担をするように法律の改正をされておるのであります。地方負担につきましては、普通交付税の基準財政需要額にそれらのことを算入せしめておりまするし、それから起債に適当と思うような、いわゆる適債事業については、広くこれも起債を認めていこう。さらに足らざる部分につきましては、特別交付税の配分等にあたりましても十分留意をいたしまして、緊急失業対策事業が適正に行なわれるように注意をして参るつもりでございます。  次の四山鉱事件についてでございますが、まず、山代組一派の動静につきましては、警察といたしましても十分注意をいたしまして、事前に警告をしたり、いろいろなことをしておったのでありますが、先方は、情報宣伝活動をするのだ、炭住街においていろいろ不当なことをやるのはけしからぬという意味において情報宣伝活動をしておるのだというようなことを言っておりましたので、これを事前に解散する等のことは、その程度ではできないのであります。それで、最後検問所は百名の警察官がいたとおっしゃいましたが、その検問所は六名の警察官がおったのでありますが、この検問所を突破された、で、あのような事態になったのでありますが、直ちに警察官もこれを制止に入りまして、五名の警察官が負傷いたしまして、たしかまだ入院しておる警察官もおると思います。  凶器の所持についてのいろいろお尋ねがあったのでありますが、明らかに凶器を所持しておることが判然としておる場合は、もちろん現行法でもこれは処置できるのでありますが、そうでない場合は、相手方の申し出があっただけでは、調べたり取り上げたりすることはできないのであります。しかし、先ほども申し上げましたように、ただいまでは任意提出の方法で、凶器にかわり得るこん棒等は、ほとんど取り上げるような措置はとっております。  山代組の連中をその晩留置しなかったということについてのお尋ねがあったのでありますが、これは任意同行の形で、犯人が直ちに確定できなかったために釈放したのでありますが、直ちに逮捕状の発付を求めまして、六十四名に逮捕状が発付になっております。ただいま二十九名を逮捕いたしております。今後の取り調べの状況をよく見ていただきたいと思うのであります。  その他、会社との関係等についていろいろお話がございましたが、これは今後の捜査の過程において明らかにせられることと思っております。(拍手)    〔国務大臣松野頼三君登壇拍手
  23. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 炭鉱地帯の失業状況は非常にいろいろな点がございますので、昨年、炭鉱離職者臨時措置法及び援護会というものを作りまして、万全を尽くしております。ただいままでに広域職業紹介で約二千、六百名、これは三月までに二千六百名、そのほか職業訓練が合わせまして約千名、でありますが、あらゆる面から離職者対策には万全を尽くしつつあるのでございます。  第二番目の労働運動の規制でございますが、労働運動の一番の問題は、暴力を使うということはいかなる場合でも禁止されております。のみならず、第三者の暴力というのはもちろん論外であります。労使双方にも厳重に暴力を禁止されているのは当然なことであります。暴力以外のことも、暴力を使った場合には労働法保護を受けませんから、一般刑法及び民法上の当然な責任追及があるわけであります。まして、第三者の暴力においてはもちろん論外で、厳に慎しまなければならないことでございます。(拍手)    〔国務大臣楢橋渡君登壇拍手
  24. 楢橋渡

    国務大臣(楢橋渡君) 海上保安庁といたしまして、労働争議に不介入の立場をとることは当然の義務でありまして、そういうことは私からも厳命しておるのでありますが、しかし、海上において暴力行為等公共の秩序を乱すような場合におきまして、この場合においては、会社側といわす、組合側といわず、断固取り締まるということは当然のことであります。また、そのために起こりまする衝突等によって海難等が起こります場合において救助に当たることも当然であります。そこで、今御質問のありました問題でありますが、これは三角港から出たとおっしゃることは間違いでありまして、これは長洲から出ておるのであって、その状態調査いたしましたことを御説明申し上げますと、二十七日の午後十時二十分に、会社側の人事係の谷口某という者から、二十七日の午後八時三十分過ぎに有明海の長洲を出港し、第二人工島に向かった第二組合員約四百名を乗せた漁船十三隻が、いまだ未着であるから遭難したのではないかということの捜査願いが出たのであります。そこで、三池保安署では海上保安庁の船艇に捜査に当たらせたのであります。「ありあけ」の船が捜査中、漁船が到着しているかどうかということを調査するために第二人工島桟橋に到着し、搭乗保安官三人は調査のために上陸いたしました一「ありあけ」には船長外一名が残留して、防舷作業中、大牟田港を出港した「さらし丸」が突如「ありあけ」の左舷に接舷いたしまして、船長の制止も聞き入れず、「ありあけ」を足場として強行上陸したのであります。そこで今おっしゃいました探照灯で照らしたのではないかということでありますが、これは「うぐいす」「すずなみ」というのが探照灯を照射して「さらし丸」の上陸を援護したのではないかという誤解が一部にあるようでありまするけれども、事実は全く相違いたしておるのであります。「うぐいす」並びに「すずなみ」は、捜査依頼のあった漁船の捜索のため航海に向かう途中、狭水道を通過している間に探照灯を照らしていたのでありまして、これは自船の航行安全のためであって、桟橋繋留中に「ありあけ」「さらし丸」を三秒間くらい三回照射したものでありまして、これは衝突を防止するためにやったので、別に意図はありません。従って海上保安庁におきましては、各種の情報を分析した結果、鉱員を輸送します場合においてはどうしたらいいかという問題でありますが、その場合においては、二十六日と七日の両日にわたりまして、汽船会社九州商船、漁業組合、三池港務所等に対しまして、海事法令違反を起こさないように厳重に警告を発したのでありますが、実際に第二組合員を輸送しました「さらし丸」及び漁船についてはそれぞれ海事法令違反の容疑がありますので、目下取り調べ中であります。  以上お答えいたします。(拍手
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 田畑金光君。    〔田畑金光登壇拍手
  26. 田畑金光

    田畑金光君 私は、民主社会党を代表し、三井池争議に伴う諸般の問題について、以下数点にわたり政府当局に質問を行なわんとするものであります。  端的に言うならば、三井三池の問題は、今日、労働問題というよりも、むしろ社会問題、政治問題としての側面が強く表面化しております。私は、三月末現地を視察し、大牟田市内から炭住街を一巡いたしましたが、市内に漂う不穏な空気、ことに楽しかるべき炭鉱住宅街は不気味な暗雲に包まれているということでございます。平素は労農提携、労商提携の必要を訴え、地域共闘を通じて民主化を進めるはずの勢力が、大牟田市民と越えがたき障壁を設けて相互に相反目している姿は、民主主義のチャンピオンをもって任ずる労働組合としては、はなはだしき自己撞着と言わなければなりません。(拍手)  三月十七日、鉄の規律とゆるぎなき団結の歴史を誇る三井三池労組の中に、新しい組織が、自由にして民主的労働運動を標傍して立ち上がっております。世人の予測をはるかにこえて、新組合に参加する者三千余名一今日すでに五千名をこえて、言語に絶する迫害脅迫にもかかわらず、日に日に組織が拡大しつつあることは、単に会社の切りくずしなどという問題ではなくして、より深い労働運動のあり方自体に関する問題であり、指導理念の明確な対決から生まれたものであると言わなければなりません。(拍手)四月四日、読売新聞の報道によれば、三鉱連の中闘は、三日の会議において、「三池の闘争は組織の実体を無視した暴走であり、これ以上統一闘争を組むことはむずかしい」と、三池労組を批判する声が圧倒的に強かったと指摘しております。三井三池新旧労組の今後のおもむく大勢はすでにきまったと申しても過言ではないが、ここで私が特に強調し、注意を喚起したいことは、組織の分裂、動揺、混乱を阻止するために、長年つちかわれてきた統制と鉄の規律がいよいよ狂暴化し、説得の名において数々の非人道的行為が、新労組組合員、ことに無事の婦女子に加えられているという事実であります。社宅街には、窓ガラスを破壊され、戸板を撤去されて、人けのない家屋が幾十となく目にとまりますが、いずれも新労働組合員の住宅であり、疎開した家屋であります一数百にのぼる世帯が着のごみ着のままで疎開し、恐怖におののいているのが’今日、三井池争議に伴う悲劇でございますが、恥ずべき行為でなくして何でありましょうか。人間性の喪失であり、文明社会から暗黒社会への逆行であります。女子供に何の罪があるというのでしょうか。組合運動の対決は、組合員の自由な大衆討議と批判を待って堂々と対決すればいいのであります。労働組合なるがゆえに、集会、外出の制限を行ない、批判の自由を抑圧し、特定教条主義を押しつけ、自己に反対する者はすべて裏切り者呼ばわりをして、尾行をつけ、監視することが許されているとすれば、本来人間解放の運動であるべき労働運動の許しがたき逸脱であり、偏向であると申さなければなりません。(拍手総理は、このような非人道的行動が労働争議の名において行なわれていると、う事実を御承知でございましょうか。住宅街の治安の不良が新組合の就労をはばむ最大の原因でありまするが、治安確保の当面の責任者である公安委員長から、社宅街における治安の現状並びに危険防止のためにとられている具体的な措置を明らかにしていただきたいと思います。  次に、争議に伴うピケ行為、ピケッティングの合法性の限界について政府の所信をただしたい。ピケ行為は争議の一形態であり、対象により、また、時と場合に応じましては多様でございまするが、ピケの機能は、組合員争議からの脱落防止であり、第三者に対するストに対する協力要請であり、使用者に対する団結の威力の誇示でございます。英米においては言論表現の自由に根拠を求めておりまするから、従って、平和的説得の限界にとどまる一といわれております。わが国においては、ピケの根拠は憲法二十一条の問題ではなく、二十八条の問題であるから、平和説得プラス・アルフアという考え方があり、この説では、労使対等の原則確立の上からも、争議権を広く解釈し、ピケに伴うスクラム、すわり込み、就業阻止を肯定する立場であります。これに対し、争議は本来、使用者に対し、「お前たちがやれるならやってみよ」ということであり、「お前たちにやらせないぞ」ということではない。争議権と、他の平等権、自由権、財産権の調和を期待し、この調和を破らないことが争議権の正当性の限界であるとしているが、この考え方においては、ピケの本質は平和的説得であると見ているわけであります。そこで私は、労働大臣に、ピケに伴う実力行使の限界についてどのような立場をとっておられるかを明らかにしていただきたいと思います。一つの会社なり企業の中に二つ組合が存在する場合、おのおのの持つ勤労権、団結権、団体行動権は、法のもとに平等であって、相互の権利を侵犯すべきではございません。三井三池旧労働組合会社との間には依然として争議は存在するが、新組合との間には存在いたしておりません。従って、旧組合争議を継続することはもとより正当でございまするが、新組合が就業することも当然の権利の行使であり、かつ、会社に対する義務履行として何ら不当ではなく、両者の争議権と就業権は全く対等の立場に立つものといわなければなりません。(拍手)この立場に立ってみますときに、三井池争議に伴い今日見られる事態は、正当な争議行為に伴うピケ行為であると労働大臣は判断しておられるかどうか。争議権と就業権はともに労働者の権利として対等に尊重されるべきであるといたしまするならば、現在、事実上、新労組の就業権は、争議権というよりもむしろ暴力の前に空文化しております。仮処分決定もなされておりまするが、これらの処分も有名無実に帰しております。法の執行並びに就業権の確保に関し、労働大臣法務大臣国家公安委員長はどのように具体化される方針であるかを明確に伺いたいのでございます。  三井池争議の現状は、労働問題のワク内における解決を急ぐ前に、当面、治安をどう回復するかが、より緊急な課題でございます。二十八日、三川鉱における強行就労に伴う労働者同士の流血の惨事は、目をおおわしめるものがございます。私は、ここに、当時、三川鉱構内における集団暴行に際し被害を受けた人々手記を紹介したいと思っておりましたが、先ほど吉武議員の質問中に引用されましたから、やめることといたしますが、この阿鼻叫喚にもかかわらず、警察は台風が過ぎてからようやくかけつけたというのが当日の機動隊の実情でございます。二十九日、荒尾市、四山炭住前における旧労組久保清君の暴力団による刺殺「事件を見ても、当日の前後の事情から判断して、警察の臨機応変の措置がとられておりましたならば、あのような大事に至らずして、事態はもっと変わった方向に発展していたであろうことを、まことに遺憾に存じます。この両事件に際し、警察は十分その責任を果たしたといえるのでありましょうか。警察に対する不信の声は、大牟田市民の声であり、身を切り刻む苦悩に追い回されている新労組員、家族の声でございまするが、警察の怠慢、無責任、無能に対し、最高責任者として総理はいかように考えておられるかを承りたいのでございます。  私が党を代表いたしまして、現地において警察当局に厳重抗議を申し入れましたところ、たまたま出席いたしました署の次席は、警察法の不備を漏らしております。法の不備が今日の事態を招いたかのごとき発言がございました。しかし、われわれの抗議に対し、直ちに取り消す醜態を演じておりますが、うがって観察いたしますなら、政府を初め末端警察機関に至るまで、この種社会不安を惹起させ、これを奇貨として警職法改悪を意図するかのごとき印象を受けまするが、もし、しかりとすれば、許すべからざる所為といわなければなりません。総理は警職法の改正について研究しておられるという御答弁でございますが、重ねて念を押したいのでございまするが、総理は警職法の改正について具体的にこれを取り上げられようという御意思でございましょうか。警職法第五条(犯罪の予防及び制止)によって、警察がその気になりますならば、十分緊急の事態に対処し得るものと私は考えまするが、石原国家公安委員長見解を承りたいのでございます。二十九日刺殺事件における山代組、寺内組に対する犯罪捜査容疑者逮捕は、積極的に進められているようでございまするが、今日までの経過をさらに明らかに示していただきたい。同時に、二十八日朝の乱闘流血事件における加害者の捜査も積極的に進め、治安確保の万全をはかることが当局の立場でなければならぬと考えますが、あらためて法務大臣見解を承りたいのでございます。  二十九日、四山社宅前における刺殺事件に関し、職員二名の者が、正門横の建物の二階の窓から、鉄棒、角材を投げ入れ、暴力団に支援を与えたと一部の諸君は宣伝されておりまするが、いずれも事実無根、デッチ上げであり、三井職組は名誉棄損として法廷闘争を準備いたしているわけでございます。当日、両係員は、現場から二十五メートル離れた所におって、物理的にも物を投げることができない位置にいたことが明確でございまするが、真偽のほどを法務大臣から明らかにしていただきます。  今日、三井池争議の早期解決をはかり、平和を回復することは、当事者のみならず、大牟田市民の声であり、国民の声であります。中労委はすでに藤林あっせん案を提示いたしましたが、問題は、現地労組あっせんを受け入れる態勢にあるかどうかということでございます。平和的解決は、それを受け入れる地盤の確立なしには徒労に終わるでありましょう。労働大臣は、本争議解決に関し、藤林あっせん案が提示された現段階において、いかなる構想をもって対処されようとする御方針であるか、承ります。  今日、三井争議に見られまする悲しむべき事態は、冒頭指摘いたしました通り、向坂イズムに立つ組合の失敗であるが、同時に、忘れてならないことは、経営者の誤れる経営上の見通しの失敗、労務対策の適切な措置を誤ったゆえであり、同時に、政府石炭対策の無策無計画が労働者の闘争を深刻化せしめているということは否定できないのでございます。三年間に十万人の炭鉱労働者の失業、これに対する受け入れ態勢を政府は準備していると言うでございましょうが、この際、政府は、三井三池の争議を教訓として、かかる不幸な事態を将来にわたり防止するために、石炭危機突破の具体的な計画を明らかにし、失業問題の解決をはかり、国民生活安定の道を講ずることが何よりの基本であると考えまするが、総理の所信をあらためて承ります。  最後に、繰り返し強調いたします。労働運動は堂々と主義主張によって対決するがよろしい。かかわりなき婦女子まで争議の渦巻きに巻き込むことはやめようではないか。特に現地治安確保を強く要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  27. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  三井三池の争議に関連いたしまして、多数の負傷者や死者を出したというような暴力行為を伴うそういう事態を生じましたことは、まことに遺憾でございます。このことについて、御承知のように、この三池における争議相当長い間の問題であり、この間においていろいろな事態の変化に対処するために、警察当局といたしましても、事前にできるだけ情報を集め、これに対処する処置を講じてきたのであります。しかしながら、結果においてああいう事態を生じたことは、私どもまことに遺憾に考えております。  警職法の改正の問題につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたが、特に今回の事件に関連してわれわれが警職法の改正という問題を持ち出しているという考えではございません。かねて、現在の警職法で十分に治安の関係あるいは平和な市民の生活が擁護できるかどうかという点に関しましては、従来、公安委員会におきましてもいろいろな意見がございますし、われわれとしては慎重に検討いたしております。今日こういう内容でもって改正するとか、あるいは一切改正しないとかいうことを申し上げる段階ではございませんで、十分慎重に検討いたした上で成案を得たい、かように考えております。  石炭対策の問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、エネルギー革命から生ずる世界的の面もありますし、また日本の特殊の事情もございます。われわれとしては、国内エネルギー資源の最も重要なものとして石炭鉱業の維持育成ということは考えていかなければならない。加うるに、雇用問題に非常に重大な意義を持っておりますから、十分に石炭鉱業を、合理的基礎において、経済性を十分に持って、そうしてこれが維持されていくように考えていかなければならぬと思います。そのためには、現在、九ほども吉武議員の御指摘もありましたが、実際一人当たり出炭量というものがいろいろまちまちであり、また、外国の例に比べますというと、もりろん炭層その他の天然の条件が違っておりますから、同一には言えませんけれども、全体として能率の悪いことはいなみ得ないことだと思います。これらのことを考えますというと、将来の石炭業を維持していく上におきましては相当離職者が出るということも、これは必然であろうと思います。ただ、その離職者に対して安定した職業をどういうふうにして与えるかというのが政府の任務でありまして、特別の出置をわれわれも立てて十分これに力を尽くす、こういう考えでございます。(拍手)    〔国務大臣松野頼三君登壇拍手
  28. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ピケ限界は、御承知のごとく、労働者が集団して労務提供を拒否する一つの戦術でございます。従って、あくまでこれは暴力を伴うものではございません。平和説得の範囲というのが各判例で明確にろております。なお、今回の場合は、特に合法的な新組合、しかも会社側と労働契約ができ、生産再開の話し合いができ、仮処分が下った、そういう正規なものをピヶによってこれを阻害するということは、断じて違法中の違法でございます。  なお、労働問題として考えなければならないことは、労働者の権利とその自由を守るならば、みずからの権利と自由と同様に、同じ労働組合の権利と自由を阻害するようなことは、厳に慎しむべきごとだと私は考えます。(拍手)権利を主張する者は、まず、みずからその正しい姿をとらなければ、その権利の主張は断じてできません。  今回のあっせん案は、御承知のごとく、組合からあっせん申請が出たわけであります。あっせん申請が出て、これを受けて、藤林氏が長い間努力をいたしまして、会社側は拒否したにもかかわらず、その苦労の上に今回のあっせん案というものが出たわけであります。従って、一番あっせん案を歓迎すべきものは申請者でなければならないのであります。もちろん、あっせんが出ました以上、相手側の会社側も私は当然これを尊重すべきことがよき労働慣行だと思いますが、第一にこのあっせん案に最も忠実であるべき者は申請有であろうことは言を待ちません。拍手)    〔国務大臣石原幹市郎登壇拍手
  29. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) まず、炭住街治安確保の問題についてお答えをいたします。先ほども申し述べたのでございまするが、四月一日より、大牟田市、荒尾市を中心とする九州各地よりの警察官の応援によりまして、約四千名の態勢を固めまして、炭住街等の治安確保に重点を置きまして、パトロールの強化検問所等を強化いたしまして、治安の確保に当たっております。先ほど述べましたように、大部分の疎開いたしました家族等も帰ってきているようであります。そのほか凶器となりやすいこん棒その他の提出を求めまして、暴力の一掃に努めている次第でございます。今後もいろいろな事態も想像されますので、手をゆるめず、治安確保、ことに住宅街の問題につきましては徹底した万全を期さなければならないと私は考えております。  ピケの問題については、先ほども労働大臣よりもお話がございまして、福岡地方裁判所の仮処分の決定を見ている現在、この決定に反するピケは違法であると私も考えております。今後も、就労を実力をもって妨害するような行動に対しましては、徹底的にこれが排除、取り締まりに当たりたいと考えます。  次は、現行の法律治安の確保に当たれるか、当たらなければならないというお尋ねでございます。もちろん、警察当局といたしましては、現行の警職法その他の法制によりまして、これを厳正に執行して治安の確保に当たらなければならないと思っております。しかし、先ほど来総理も申し述べられましたように、現在の法制につきまして、ことに警職法については、かつて第三十国会にその必要を認めて法案を出したこともあるのでございます。法令の不備等につきましては、今日といえども十分研究し検討をしている次第でございます。  二十八日並びに二十九日の事件につきましては、徹底的に今捜査を続行中で、これも先ほど詳しく述べた次第でございまして、今後とも捜査の徹底を期する考えでございます。(拍手)    〔国務大臣井野碩哉君登壇拍手
  30. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) 第二組合の労働就業権につきましては、松野労働大臣、石原国家公安委員長からお答えがございました通り、法の秩序維持につきましては、民主国家におきましてはきわめて重大な問題でございます。検察庁といたしましては、治安の確保にきぜんたる態度をもって臨んで参りたいと考えております。  四山事件逮捕状況でございますが、本日現在までに逮捕状を発付しました者五十五名、うち逮捕した者二十五名、そのうち勾留した者二十二名でございます。  また、二十九日の刺殺事件に関し暴力団に凶器を投げ入れているかどうかというお尋ねでございます。これにつきましては真相を究明しておりますが、まだ事実が確認されたという報告には接しておりません。  また、三川鉱事件捜査につきましては、先ほどお答え申し上げました通り、多数の参考人の取り調べは済んでおりすでに相当数被疑者の割り出しに成功しております。その氏名も判明いたしましたので、福岡地方検察庁は検事数名を現地に派遣して捜査を行なっております。(拍手
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 小平芳平君。    〔小平芳平登壇拍手
  32. 小平芳平

    小平芳平君 私は、三井池争議に関しまして、その社会不安のあまりにも大きいのを見て総理並びに関係大臣に若干の質問をいたしたいのでございます。  初めに、私の立場を申し上げますと、私が今、国会議員とか、そういう立場でなくて、一人の国民として、一市民として、大牟田荒尾の町を歩いてみますと、警官に呼びとめられたり、ピケ隊に尋問されたり、まるで内乱の町を歩いているような状態であります。こうして私は、一市民として激しい対立抗争の中から受けたものを基本として質問いたしたいのでございます。いわゆる理論的に武装されたといわれる人々は別といたしまして、大多数の大牟田市民は次のように叫んでいるのではないでしょうか。「現在の大牟田は三つに割れた。新組合か、旧組合か、それとも中立か。そうして親子や兄弟でさえも敵になった家庭がある。近所隣りの人々も、敵か味方か、それともスパイか等々と、おそれおののいている。一体われわれはどうしたらいいのだ。何としてもこの灰色の重々しい空気を一刻も早く取り除いてくれ。」このような叫びが大牟田市民の一大多数の叫びであると考えるのでございます。岸総理大臣暴力と貧乏の追放を叫ばれてからすでに久しい。私は以前の大牟田市については詳しいことは知りません。けれども、今日の大牟田には、あまりにも貧乏と暴力が満ちあふれているのが現状ではないか。いまだに監禁されている人があるとか、一晩中眠らされなかったとか、ついには白昼、公衆の面前で殺人事件が起きたとか、このような現状に対して、政府は、さらにさらに強い決意をもって対処していかなければならないと思うのでありますが、総理並びに労働大臣の今後の具体的な方策をお聞きいたしたい。  乱闘事件、流血事件原因について考えてみますと、先ほど来のこの国会の空気、議場の空気からも察しられるように、会社生産再開をあせる。第二組合は生活困窮等の事情もあってか就労を急ぐ。それに対して第一組合は外部からの応援を受けて強力なピケで対抗した。三者とも、自分の方が暴力団を使ったとか暴力が許されるのだとは少しも言っていないのでありますが、暴力を否定する人たちばかりが集まって、なぜ乱闘流血の大混乱を引き起こすような状態になるか。最近の労働争議暴力団が介入したような事例は、ほとんど中小企業に限られておりました。今回は三池炭鉱という代表的な大企業にそのような事件が起きた。外国では、十九世紀の昔には暴力争議があったけれども、現在は全くなくなっているという。あのものものしい三池のピケと乱闘のあとを見て、日本労働争議の歴史も早く先進国に追いついてほしいと、このように痛感せざるを得ないわけであります。ある新聞の報ずるところによれば、三池を割った二つの教室として、一方では向坂教室、一方では三田村教室、このようにあげておるのであります。そこで、政府は労働教育のために毎年予算を組んでいる。文教関係の予算もある。国家予算は前の二つの教室とは全然趣旨も何も異なるのでありますが、一体、政府は将来においてどのような理想を立てて労働者教育を推進しようとするか、総理並びに労働大臣の御所見を承りたい。強力なピケにしても、そのピケ強行突破しようとする労働者にしても、一人々々は皆善良な市民である。好んで血を流す者はいないと思う。もっと政府の積極的な根本的な対策があってしかるべきものと思うが、いかがですか。天災ならやむを得ないが、今の大牟田の現状はあまりにも悲惨だ、というのが大多数の国民の実感であろう、このように考えるわけであります。  次に、歴代の労働大臣は、労働争議がこじれてくると、よく中央労働委員会の努力に期待すると言って、そうして中労委は幾多の困難な事件解決のために努力して参りました。それはよいとして、争議の合理的な解決のために中労委という第三者の機関があるからには、このような争議の場合だけでなく、もっとふだんから中労委の機構や機能を充実していくような考え労働大臣にあるかどうか、お伺いいたしたい。  次に、石原国務大臣最後に一つお尋ねいたしたい。今回の争議では警官の大部隊が出動しております。そうして会社側からは弱腰だ、手ぬるいと言われる。第一組合からは不当介入だ、暴力団を取り締まれと言われる。新労組、第二組合からは、暴力的なピケの方を排除しろ。三者三様の批判を受けて警官隊が動いておるわけであります。大臣はこの中で、こうした三つの批判の中で、どのようなお立場をおとりになるか。いずれにしても、大きな社会不安が続いている現状は好ましくないことであり、伝えられるところでは、警職法改正なども先ほど来の御答弁の中に出て参っておるのでありますが、どこを改正したら、またどのように改正したら、このような事態がおさまるとお考えになられますか、お尋ねいたします。  以上です。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  33. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  暴力追放の問題と貧乏追放の問題についての御質問であります。今回の事件につきまして、今お話もありましたが、特に住宅街の不安をできるだけ早く一掃して明るい市民生活を回復しなければならぬ、かように考えて、治安当局にも十分命じてそういう処置を講じております。また労働争議には、いかなる意味におきましても暴力が伴ってはいけないということは、先ほどからお答えをした通りでありますが、それは組合自身においてもそうであるし、第三者がこれに介入するというのはますますもって取り締まらなきゃならぬ、かように考えております。一体、暴力の追放の問題につきましては、実際上そういう暴力を用いたりする事態が出れば、これに対して厳重な処分をすることももちろんであります。また、そういうおそれのある団体等に対しまして、平素からこれに対するいろいろな動静を十分に調べて、そして暴力の行使のような事態のないように処していかなければならぬと思います。しかし同時に、やはりそういう暴力が生まれる、暴力団体が生ずるというのは、社会的のいろいろな環境においてそういうことを作り上げる要因があると思うのです。こういう点に関しましても、政府としては十分に一つ意を用いて施策を進めて参らなければならぬ、かように思っております。同時に、国民におかれても、この暴力追放ということに関して、やはり政府と協力してこういうものをなくするという理解と御協力が願いたい、かように思っております。  貧乏の追放の問題につきましては、これまた非常にむずかしい問題でございますが、根本的にいえば、われわれが国民所得の倍増計画というものを立てて、そうしてこれに処していく、あるいは社会保障制度の問題も考えなければなりませんが、特にこの三池における問題につきましては、先ほど来申しておるように、離職者に対しては政府が積極的にこれが措置をいたしていくと、こういうことでございます労働教育の方針についての御質問でございます。これは言うまでもなく、健全な労働組合運動を今後発達せしめていく、民主的な労働組合運動というものを発達せしめていって、そうして近代的な労使関係を作り上げていくということを、労働者の心得として持ってもらいたいものである。従って、そういう方針で、中央、地方を通じて従来ともやってきておりますが、一そうこれを強力にやっていく必要がある、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣松野頼三君登壇拍手
  34. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 基本的には、ただいま総理の御答弁のごとく、労働教育というものを徹底させるということが、日本のような歴史のややもすると薄い国には必要だと私は考えます。しかし最近におきましては、だんだんその正常化も進んで参りますが、より以上、今後は、労働協会という制度がございますので、これを通じて労働教育を進めて参りたい。政府機関といたしましては、労政事務所、あるいは企業内のいわゆる労務管理者、あるいは相談員という制度を今回設置いたしましたので、あらゆる面を通じて労働教育というものを徹底さして、その質とその地位の向上をはかりたいと考えております。  中央労働委員会につきましては、やはり今日の争議の現段階におきましては、政府労使問題には不介入、労使の自主解決のために政府はみずからその力をかす、あるいは助言するというのが今日の労調法の精神でございます。従って、労使問題そのものに政府は介入すべからず、自主解決が第一の量本でございますが、両者の意見が合わなかった場合には、調停機関としての労働委員会制度というものを設けてございます。従って、今回の中央労働委員会のごときものは、よくその争議内容調査と、最終的には合理的解決を目標に、この労働委員会の活動を大いに政府は助長すべきものであろうと存じております。中央労働委員会におきましては、…十五年度の予算は七千万円でございます。(拍手)    〔国務大臣石原幹市郎登壇拍手
  35. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答え申し上げます。  いろいろの批判につきましては十分に考えて参りたいと思いまするが、現行諸法令の適正厳正なる運用によりまして、治安の確保と各種法益の保護に当たっていきたいというのが私どもの立場でございます。警察といたしましても万全の態勢で臨んでおると申し上げておきたいと思います。それから、いろいろ警察諸法規の改正の問題につきましては、先刻来ここでお答えいたしておりまするので、それで御了承を願いたいと思います。(拍手
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 常岡一郎君。    〔常岡一郎登壇拍手
  37. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 私は、ただいま議題とばりました三井三池炭鉱争議に関しまして、総理並びに関係大臣お尋ねいんします。実は私は、昨日大牟田で、先日の暴行事件で殺されました久保清という人の葬儀が公会堂で行なわれましたので、礼拝し、近くの公園で五万人と称する総評主催の総決起大会やデモを見ましたが、きわめておだやかで、殺気立ったという姿は見られなかったので、心安らかに帰京いたしました。これは、暴力はいけない、暴力はやめよという考え方が、第一組合人々にも、第二組合人々にも、一般市民にも、深く心にきざみ込まれたためではないかと思いました。苦しみや失敗は人間に反省と賢明さを与えることを思います。ちょうど車にゆられて案内されて通った道はなかなか覚えないが、迷って苦しんで探し求めた道は身にしみて忘れられず、再び迷うこともなく、正しく他人まで導くことができる。身をもって味わつた体験の尊さであると思います。この意味から申しまして、このたびの三池の争議の悲しくも苦しい体験の中から、日本民族の将来を明るく照らす教訓を生み出すようにと願いつつ、ここにお尋ねをいたします。  今朝、藤林中労委会長のあっせん案が出されまして、この不幸な問題は一段落の段階に向かいつつあるのではないかと思いますが、三池の問題の中から、三池のみの問題でなくして、日本民族として考えなければならぬ普遍の課題であった点、日本の将来に大きな危惧を与えるものをあげてお尋ねをいたします。  第一点、民主憲法の根幹ともいうべき人権の尊重と個人の自由を守る上において、いかなる決意を持っておられるかという点であります。人類社会の育って参りました足跡を振り返って見ますと、戦争や革命や幾多の災害の悩みを経て、苦しみ悩みもだえて幾千年、ついに尊い体験を積み上げて今日の人類文化を築き上げたのでありますが、その窮極の目的は幸福な社会の建設であり、幸福の根元は人間の尊さに目ざめることであり、個人の自由を互いに守り合うことにあると気つきました。ここに人間の自由を尊ぶ日本憲法根本精神が貫いていると思います。だから、何よりも第一に考えられることは、人権の尊重と、正しき自由の確保されることであります。これを破るものは暴力であり、無法なる利己主義であります。三池炭鉱争議におきまして最大の不幸なる問題は、この憲法精神のふみにじられたということであると思います。大牟田の全市が暴力横行の町となり、老幼婦女子が生きた心地もなく日夜さいなまれて、不安におののき、ついに集団疎開をやらなければならぬようになったのは、労働争議の域を越えて、無政府を思わせる治安問題、政治問題となってしまいましたが、あまりに政治の貧困を悲しく思ったのであります。私が大牟田に参りましたとき、市民と第一組合員と第二組合員の三者の意見は、すべての問題に違っておりましたが、ただ一つ、三者一様に一致しました問題は、警察の頼りなさを攻撃するその言葉と表情でありました。岸内閣組閣の表看板の一つに暴力の追放がありましただけに、ひとしおの痛ましさを感じました。石原国務大臣は警職法の改正を考えていられるように伝えられておりますが、それだけでは暴に報いるに暴をもってするという感じなきにしもあらず、もっと高度な、万人が心からうなずき得るような抜本的な方策は考えられないものであろうか。この点を首相並びに石原国務相にお尋ねいたします。  第二点、組合運動の団結と、基本的人権の擁護についてお尋ねをいたします。政府は近くILO条約第八十七号の批准を急いでおられると聞いておりますが、これは日本労働運動の国際的水準を高める意味から言っても喜ぶべきことでありますが、ひとり官公労のみならず、民間労組の場合でも、組合の団結の強化は大切なものであることは言うを待ちません。しかし、このたびの三池争議に見るような団結の行き過ぎが、ついに人権を踏みにじったり、個人の尊厳を曲げるに至ったことは、正しい労働運動のために不幸と言わねばなりません。人間を幸いにするためにこそ労働の尊さがあり、尊いからこそ、法をもってその働く人を守り、守るために組合を作る自由が生まれ、団結の大切さが強調されております。この本末順序を誤って、団結が行き過ぎて、労働者の人権を踏みにじるならば、これは非常な不幸なことと言わねばなりません。五本の指を握り固めたこぶしは、力を意味し、団結を意味しますが、こぶしのままではペンも持てず、ハンマーも握れない。こぶしを解き、指を伸ばして働く、この団結と運営のみごとな調和こそ正しい労働運動の基本ではないかと考えます。現在の労働法規はこの点において万全なものであるとお考えになるかどうか、お伺いいたします。  第三問、組合運動の行き過ぎた場合に、現行の労働法規との関係についてお尋ねをいたします。このたびの三池争議は、多くの人々がどうしてもうなずけない問題があります。全体の労働者が、自分自身に直接の利害の関係がある場合、その問題でたとえ非常な流血の惨を見るようなことがあったとしましても、これはまた、うなずける点がありますが、一部の組合員のために、長期にわたり流血のストライキまでやらねばならなかったという点であります。労働者自身の直接の利害につながる問題といえば、労働賃金が低いとか、あるいは過重なる労働を押しつけるとか、こういう労働条件の問題が主であるならば、これはわかります。しかし、最近になって血を流すようなすごい争議をやったのは、先年の王子製紙の場合と、このたびの三池炭鉱の場合であります。この二つの場合を考えましても、両方ともにその会社は、労働賃金は他のうらやむほどの賃金を払っております。条件は、好条件の二大標本のようにいわれておりました。それがこのたびの流血長期の争いとなりましたところ、うなずけないわけがあるわけであります。だから、労働者自身の切実なる総意による争議ではなくして、他の意図のもとに計画されたのではないかとさえ思われておるわけであります。三池の炭鉱は、世界的な宝庫と呼ばれた炭鉱であります。かつては三井のドル箱といわれて、日本第一の技術陣、設備を誇ったものであると聞いております。それが生産のがた落ちに悩み、赤字に苦しみ、危急存亡の段階に来ている。三池炭鉱よりももっと設備の悪いといわれる三菱炭鉱でさえ、一人当たり出炭が二十四トンと聞く、明治鉱業は三十四トンといわれております。この比でいくならば、三池炭鉱は四十トンは出せるといわれております。それなのにわずか十四トン余りしか出していないということは、この産業が全く半身不随か病体にひとしいではないかと考えられます。人間の病気の場合を考えましても、その病源となるものをたずねて、毒素を体外に排泄するということが、健康になる根本問題であります。九州大学教授向坂氏の闘争至上主義と思われる教育を受けた人々が三百人余り生産阻害者として働いたということがいわれております。これを除去するために、そうして健康なる産業を立てようとするところに、これが会社が必死のねらいを持ってこのたびの争議に向かっている姿であると聞いておりますが、これに反対する組合との激しさから流血の惨事を生み出しております。このような姿は、組合員直接の利害から生まれてきた労働争議とは言いがたく、これが組合内から五千人余りの批判者が生まれてきた根本の理由ではなかったかと考えるのであります。(拍手)そうした点を総合して考えますときに、この現在の労働法規をもって万全なりと考えられるか、また、改正すべきであると考えられるかの点をお尋ねして私の質問を終わります。(拍手)    [国務大臣岸信介登壇拍手
  38. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  人権の尊重、個人の自由の確保ということは、民主政治の基礎をなすものであり、われわれがりっぱな文化生活を送る基本であると思います。これが他の暴力によって妨げられたり、あるいは人権がじゅうりんされるというようなことが行なわれるとするならば、これこそ民主主義の敵であり、われわれが望んでおる社会、われわれの作り上げようとする文化の敵であると言わなければならぬと思います。しこうして、これらのことから申しまして、暴力を追放する、そうして個人の人権の尊重、自由の確保をしていくという上において考えますというと、ただ法律で取り締まるだけでは足りないということはお説の通りであります。結局は、常岡さんの言われるように、魂の問題に私はなると思います。しかし同時に、その意味から申しますと、教育の問題であるとか、あるいはいろいるな問題を考、えなければなりませんが、しかし同時に、暴力が生まれるについては、社会的にいろいろのその温床となるような事態が少なくないと思います。それらに対して、政府がその暴力を生ぜしめないように、そういうものを育て上げないような社会を作り上げることについて施策をすることは、当然、政治として考えなければならぬ、さように考えております。(拍手)    〔国務大臣石原幹市郎登壇拍手
  39. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答えいたします。  警察体制の問題についての御質問の点でございまするが、まあ、いろいろな方法があると思いまするが、一つは、やはり警察力の充実というものも考えなければならぬと思います。しかし、これは人員、装備、訓練、すべての面にわたって考えていかなければならぬと思います。また、警察官の士気の向上という面につきまして、ふだんの教養であるとか、あるいは待遇、こういう点についても、今後とも十分注意を払っていかなければならぬと思います。また私は、警察官は、やはり法を執行して法を守る立場にある者でありまするから、警察官としては、いろいろの行動をする場合に、ちゅうちょ逡巡することなく行動ができるような、いろいろの法的整備も考えていかなければならぬのではないかと思っておるものでございます。  また、一般社会問題といたしましては、総理からもいろいろございましたが、やはり私は、国民全体が法を守る、法律には従う、順法運動というものを大きく起こしまして、警察がただ取り締まるということだけでは世の中の秩序の絶対確保ははかれない。両々相待ちまして、正常なる社会状態ができまするように、最も私は力をいたしていかなければならぬだろうと思っておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣松野頼三君登壇拍手
  40. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 戦後十五年、わが国の労働運動も自然に健全な方向をたどっておりますが、なお一部には階級闘争主義あるいは闘争第一主義というものが残っておることは、まことに遺憾なことでございます。しかし、健全な労働運動が伸展するに従ってこれらは自然的に淘汰されるべきものだと存じます。労働運動の一番の柱とすべきものは、民主的であることと、それから暴力を断じて排斥すること、この二つが私は健全な労働運動の二本の柱だと存じます。もしも民主的に労働運動を運営しない場合には、労働組合が統一を欠き、分裂を来たすわけであります。暴力を肯定する場合にはみずから労働法保護を放棄するがゆえに、この二つは民主的労働運動の発展の二つの柱だと私は信じております。  ILO八十七号につきましては、いろいろの御議論もございますが、すでに民間労組は今回の対象になっておりません。今回のILO八十七号の最小限必要な条件には民間労働組合は入っておりません。しかしILO八十七号は労働法に影響するところ多大でございますので、官公労あるいは民間労組を問わず、基本的な労働問題にも大きな影響がございますので、労使関係法研究会というものを昨年設置いたしまして、ILO八十七号批准後におけるその影響及び法制的な見解を近いうちには答申をいただけるものだと存じております(拍手
  41. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 順藤五郎君。    〔順藤五郎君登壇拍手
  42. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は日本共産党を代表して、三井三池炭鉱労働争議について、岸総理並びに関係各大臣に若干の質問をいたしたいと思います。  まず第一に指摘しておかなければならないことは、この三井池争議の本質は、安保改定を強行しようとするアメリカ帝国主義者と岸内閣が、日本の代表的な三井独占資本とぐるになって行なった、わが国民に対する最も悪質な弾圧政策であるということであります。だからこそ、日本の最も戦闘的な労働組合である炭労の組織を破壊するために人殺しまであえてしたのであります。(「だれがさせたのだ」と呼ぶ者あり)君たちだ。久保清君の殺害が、三井本社、現地会社暴力団の共同謀議であることは、その後の新しい事実によってますます明らかになっております。今日の政府の答弁を見ましても、ことさら暴力団の問題には口を織して語ろうとしないが、今直ちに政府がやらなければならぬ緊急課題は、責任をもってこの殺人事件を処理することであります。それにもかかわらず、政府は、会社首脳部の逮捕や、会社に対する調査会社側の証拠隠滅に対する措置は何らやっていないではないか。これは重大な政府の責任であります。そうしておいて、一方では第一組合ピケは違法であるとの不法な見解のもとに争議介入をはかり、また、警職法改悪の意図をほのめかしております。このような政府のやり方は、みずからの責任を少しも果たさずに、正当なピケ行為をことさらに違法視し、警職法の改悪をたくらむ政治謀略であると断ぜざるを得ないのであります。政府はこのような政治謀略を直ちにやめるべきであります。政府が今すぐやらなければならないことは、殺人の張本人を逮捕して、これを追及することであります。政府はこれに全力を傾ける意思があるのか、また、そのためにどういう具体的な措置を立てているのか、私は政府の明確かり責任ある答弁を求めるものであります。(「第一組合暴力はどうするのだ」と呼ぶ者あり)暴力などない。  現地において、いま三池炭鉱労働組合は、熱心に誠意をもって労使双方の自主的な解決のために努力を重ねているのでありますが、これに対し、会社側は依然として強制就労を強行して、争議の混乱をさらに拡大しようとする方針をとっております。しかも、政府はこの会社側の野蛮な行為を助けるために、九州の全警察官の三分の一に当たる四千名の警察官を動員して、会社側の暴挙と相呼応して警官隊による組織的なピケ排除をやろうとし、虎視たんたんとして、そのすきをうかがっているのであります。これはだれが何と言おうと、明らかに会社側の不当なやり方を、政府が、政府のいわゆる治安維持に名をかりて助長し、応援して、不法にも争議に介入して、事態をさらに悪化させようとしているものと言うのほかはありません。また、今暁出された藤林あっせん案は、問題を本質的に解決するものではなく、実質的には指名解雇を認めさせようとする三井独占資本の意図を労働者にのませようとするものであります。このようなやり方では、事態解決をますますおくらせるだけであります。この際、強制就労をやめ、現地における団交を再開して、事態の円満なる解決をはかるべきだと思うが、どういうふうに政府考えているか。政府がすみやかに共同謀議に基づく野蛮な殺人事件を徹底的に究明し、暴力団の蠢動と、これをあやつる悪らつな資本家の行為を完全に押さえつけるならば、政府のいうところの治安は直ちに解決されるものであって、四千名に上る大量の警察官争議に対する不法不当な介入の必要などは毛頭ないのであります。このためには、政府会社側のこのような無理無体な強制就労を今すぐやめさせるべきであります。政府はそのためにこそ必要な具体的措置をとるべきであると思うが、その意思があるかどうか。また政府は、暴力団の一掃をはかることによって、四千名の警察官が不当に介入することをやめるべきであります。  最後に、今回の暴力団による毎日新聞襲撃事件について聞きたいと思います。聞くところによれば、この松葉会には自民党幹部十数名が関係しているといわれておりますが、そういう事実があるのかどうか。もし事実とすれば、これは政治的にきわめて重大であります。知らぬ存ぜぬなどという通り一ぺんの逃げ口上は許されません。このことが明らかにされた場合、岸総理は、はっきりとした政治的責任をとるべきでありますが、その決意があるのかどうか。明白な答弁を要求して、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  43. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今回の三井争議で生じました殺人事件並びに傷害事件につきましては、目下検察当局において鋭意調査中であります。徹底的にこれは追及するつもりであります。事態を平和的に解決する、労働争議が平和的に解決さるべきものであるということは、私もそう考えます。これを暴力をもち、実力を行使して解決すべきものではなく、従って、まず自主的に話し合いできまることが一番望ましい。しかし、それができない場合において、中労委あっせん等によりましてこれが平和的に解決されることが望ましいと思います。  警察権はいかなる場合におきましても争議には介入いたしません。ただ治安の維持につきましては、また暴力の排除につきましては、職務上当然これは行なわなければなりません。松葉会と自民党が関係があるようなお話がありましたが、関係はございません。(拍手)    〔国務大臣石原幹市郎登壇拍手
  44. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 三川鉱四山鉱で起こりました暴力事犯については、先刻たびたび申し上げましたように、ただいま捜査の徹底を期しつつある段階でございます。(拍手)    〔国務大臣松野頼三君登壇拍手
  45. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 政府は名実ともに労使問題には不介入でございます。これは全国民の方が御承知であろうと存じます。中労委の今回の活動は、御承知のごとく、政府中労委の活動を要請したわけではございません。中労委は、今回は組合の方から活動してくれという要請によって動いたのであります。明白でございます。(拍手)    〔国務大臣井野碩哉君登壇拍手
  46. 井野碩哉

    国務大臣井野碩哉君) ピケの合法性につきましては、先ほど来お答えした通りであります。暴力の伴う場合においては明らかに違法であります。少なくとも二十八日のピケは違法と私どもは考えております。(拍手)      ─────・─────
  47. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 この際、私は、暴力団の毎日新聞社襲撃事件に関する緊急質問の動議を提出いたします。
  48. 田中茂穂

    ○田中茂穂君 私は、ただいまの鈴木君の動議に賛成いたします。
  49. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 鈴木君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。鈴木壽君。    〔鈴木壽君登壇拍手
  51. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私は日本社会党を代表いたしまして、去る二日朝の毎日新聞社に対する暴力団襲撃事件及び最近の暴力団に対する政府の対策につきまして、首相並びに関係閣僚に若干お尋ねをいたします。  去る二日未明、松葉会の幹部市橋某ら十数名が、新聞の印刷発行をとめる目的で毎日新聞社を襲い、輪転機に砂をかけてこれをストップさせ、印刷済みの新聞千数百部を汚損し、発煙筒をたき、ガラスを破壊するなどの暴行を働いたことは、かの二・二六事件以来の不祥事であって、単に毎日新聞社に対する暴行事件であるにとどまらず、広く言論報道の自由に対する暴力による干渉圧迫であり、まさに民主主義を破壊するものであると言うべきであります。(拍手)市橋らは、去る三月十四日の毎日新聞夕刊の「政治家の花輪すらり、松葉会親分夫人の葬式、くされ縁に批判」という記事の内容が気に食わず、再三その訂正取り消しを求めたのを断わられたのを恨んでのしわざであると伝えられるが、新聞記事が自分たちにとって都合が悪いからとか不利であるとかの理由で、これを暴力に訴えることは、絶対に許されないことでありますが、ここでお聞きしなければならないことは、一体、市橋らの背後関係はどうなのか、松葉会とはいかなる団体であるのか。政治結社であるといふうが、その実、博徒や、やくざの集まりである暴力団体でないのか。この団体に対してどのような注意を払ってきたのか。さらに、これと一部保守党政治家とのつながりがあるといわれるが、果してどうなのか。資金のルートはどうなっておるのか。この際、公安委員長かち松葉会の性格を明らかにしてもらいたいと思うのであります。  今回の事件は、明らかに当局の警戒態勢に手抜かりがあり、重大な責任問題があると思うのでありますが、この点“いかがなものでありましょうか。このなぐり込み事件は、すでに前夜十時ぜろ練馬署においてその情報をキャッチして、丸ノ内署に連絡のあったものであります。しかし丸ノ内署では特別の警戒態勢をしなかったといわれているが、一屯しこれが事実であるとすれば怠慢もはなはだしいといわなければならないのでありますが、何ゆえに情報を無視し、放置しておいたのか。この点を明らかにし、どう責任をとられるのか、お伺いいたしたいのであります。  次に、最近における暴力団取り締まりについての対策をお聞きいたしたい。警察庁の調べでは、暴力行為を犯すおそれのあるものとして内偵しているものが四千八百七十四団体、十万五千六十五人を数えるといい、三十四年中における暴力団検挙件数は六万八千三百四十九、人員は五万五千六百九十九人という驚くべき数に上っているが、特に最近の右翼と結びついた暴力行為は目にあまるものがあるのであります。勤評問題、労働争議、平和運動、安保問題等、各種の集会、デモ等に介入し、これになぐり込みをかける等、ほとんど日常茶飯事となっているのでありますが、取り締まり当局はこれに対してすこぶる寛大な態度をとっているように見受けられるのであります。労組などのちょっとしたデモ等にも神経をとがらして、多数の警官を配して必要以上の厳重な警戒をするのに、他方、暴力団にはすこぶる甘いというのが一般の世評であります。警察も遠慮しているとか、保守党とつながりがあるとか、資金も流れているのではないかといわれたりするありさまであります。松葉会親分夫人の葬式に自民党のお歴歴がたくさんの花輪を上げ、葬儀の通知状に、これまた自民党関係の国会議員、都知事、都会議員等五十名に及ぶ名が連なっているのを見れば、これらちまたの声もあながち根拠のないものとも言い切れないのであります。(拍手)  このようなことが暴力団を甘やかし、つけ上がらせ、暴力行為を是認せしむることとなると思うのであります。右翼やこれにつながる暴力団のささえとなっているのが一部の保守党議員であり、一部の財界人だといわれているが、そうしてまた、これらの団体を利用するものは保守党議員であり財界人であるといわれているのであります。政府は、このようなうわさを払拭するためにも、東京におけるのみならず、全国各地における暴力団断固たる態度で臨み、治安の確保、民心の安定をはかることが必要であると思うが、首相並びに公安委員長の所見を承りたいのであります。  次に、特に首相にお尋ねいたしたいと思いますが、一体あなたは、三悪追放の看板をまだ掲げていらっしゃるのかどうか。貧乏をなくし、汚職をなくし、暴力を追放しようというのが、あなたの首相となったときの金看板であったはずであります。国民も大いにこれに期待をいたしておったのでありますが、最近、首相はほとんどこれを言わなくなったようであります。せっかくの金看板を取りはずしたのでありましょうか。国民は依然として貧乏であり、汚職も絶えない、さらに暴力は最近ますますふえてくるというのでは、せっかくの看板もこれを掲げているわけにはいかぬかもしれませんけれども、今回の事件を契機に、一つでもよいから、暴力追放のために、暴力団追放のために敢然と立ち上がるべきだと思います。が、その決意があるかどうかをお伺いいたしたいのであります。この際この議場を通じて国民に約束してほしいと思うのであります。特にそのためには、第一に、あなたが総裁である自民党員の一部と暴力団とのくされ縁を断ち切ることが先決問題であると思うのであります。それが政治を明るいものにし、国民に安心を与えることになると思うのでありますが、その決意ありゃもあわせてお伺いいたしたいのであります。  最後に一つ、首相は、先日、本院の予算委員会におきまして、三池争議に関連する質疑に、今の警職法では暴力団の事前取り締まりに困難がある旨の答弁をして、警職法改正の意図を捨てていないことを明らかにいたしております。さらに石原国家公安委員長は四日夜の記者会見におきまして、私としては警職法の改正はどうしても必要であると思う。現行の警職法では職務執行に十分なものとは決していえない。今すぐというわけにはいかないが、改正の必要性は強まっているではないか。世論の動きや政治的諸般の情勢を検討しながら事を運びたいと、改正の意図を明らかにいたしております。また自民党のいわゆる実力者である河野一郎氏も、昨五日旅先で、続発する暴力事件に対し警職法の改正は当然だと記者会見で語ったと伝えられておりますが、これら一連の発言は、一昨年秋の警職法改正案が世人の総反撃を受けて廃案になったにもかかわらず、今なお政府与党が強い未練、執着を持ち、折りあらば再び改正案をという根強い意図の表明として、断じてわれわれは黙視できない問題であります。毎日新聞社襲撃事件といい、三池の刺殺事件といい、これは明らかに警察側の手ぬかりであり、警備上の手落ちであるのであります。この責任問題に目をおおって、法の不備を云々し、警職法の改悪を企てるがごときは、本末転倒もはなはだしいものと言わなければならないのであります。(拍手)現行法をフルに活用することによって十分効果をあげることができるはずであります。政府はみずからの怠慢に目をおおって、国民の基本的人権の侵害“労働運動の抑圧に通ずる警職法改正をしようとするがごとき意図を捨てて、勇断をもって暴力追放に当たることこそが正しい道であると信ずるものでありますが、首相並びに国家公安委員長のこれに対する所見をあらためてお伺いいたしたいのであります。(拍手)    [国務大臣岸信介登壇拍手
  52. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  暴力追放は、先ほども申し上げましたように、民主政治の基礎としてわれわれが平和な生活を営んでいく土から申しまして、いかなる意味においても、いかなる形における暴力もこれを排除しなければならぬと思います。私は総理に就任以来、いわゆる三悪追放、特に暴力の追放につきましては、関係当局に示達してこれが取り締まりを厳重にやると同時に、そういうことの起こらないように事態を未然に防ぐように努力してきて参っております。しかしながら、同時に、御指摘のように暴力ざたが絶えない。また全国に暴力を主体とするような団体が相当にあるという事実にもかんがみまして、これらの暴力的な団体に対する取り締まりを行ない、これを解消せしめるように、今後といえども厳重に努力すべきことをここに申し上げておきます。  警職法の改正の問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、われわれは現行の警職法で適当であるかどうかという点に関しましては従来も検討をいたしております。すでに政府が、ただわれわれが考えておるだけでありませんで、公安委員会等におきましても取り上げて研究されていることは御承知の通りであります。十分慎重に検討した上において処置したいと、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣石原幹市郎登壇拍手
  53. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) お答えをいたします。  本月二日未明に先ほどの御質問事件は起こつたのでございまするが、暴力団の背後関係につきましては法に基づいて徹底的に糾明をいたします。ただいまのところ自民党が関係しているなどということは絶対にございません。松葉会は昨年の二月、政治結社の届出をしておりまするが、構成員の中には暴力行為の前科のある者が多いので、視察の徹底を期しておった次第であります。本件の当時も情報入手に努めまして、毎日新聞社とも連絡をして警戒をしておったのでございまするが、情報の時間的そごによりまして結果的には事件が起きたのであります。警察はこれを放置していたとか、そういうことは当たらないと思うのであります。  暴力団の取り締まりにつきましては、これはもう従来から都道府県警察においてずっと強力な取り締まりをしてきておるのでございまして、昨年においては約五万五千七百名の検挙を見ております。また全国で三百九十八団体が解散もしておるのであります。しかし暴力団のこういう事案につきましては、表面に現われた個々の犯罪行為等ではなかなか根源をつく取り締まりを実施することがむずかしいと思うのでありまして、平素から犯罪資料の収集整備をいたしまして、警察庁にも特にこの暴力団取り締まりを対象とする捜査第二課を設けまして、暴力団取り締まりの徹底を今後とも一そう期していきたいと存じます。  警職法の問題につきましては、先刻来答弁をいたと、また総理大臣からたびたび申し上げておりまするので、御了承を願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  54. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 松葉会と自民党との関係につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、絶対に関係はございませんし、ただいま石原公安委員長からも、その背後関係を調べておりますが、関係ないということを明瞭に申し上げております。(拍手)      ─────・─────
  55. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、水産庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長中野文門君。    〔中野文門君登壇拍手
  56. 中野文門

    ○中野文門君 ただいま議題となりました水産庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法律案内容を申し上げますと、水産庁の付属機関である十和田湖孵化場を本年八月一日に廃止しようとするものであります。  政府が十和田湖孵化場を廃止する理由として述べるところによりますと、十和田湖孵化場は、ヒメマス資源の重要性にかんがみ、国営により、その人工孵化放流事業を実施するため、昭和二十七年に設置されたのであるが、近年同じく国営である北海道サケ・マス孵化場の支笏湖事業場におけるヒメマスの種卵の生産が著しく増加し、全国の移殖用の種卵の需要量を十分確保し得る見通しがつくに至ったので、十和田湖における増殖事業は、単にその地方の需要を満たせば足りることとなり、国営によりこれを行なう必要がなくなったので、今回十和田湖孵化場を本年七月三十一日限りで廃止することとし、これを青森、秋田両県に移管せんとするものであるとのことであります。なお、これに伴い、昭和三十五年度におきまして、青森、秋田両県が十和田湖においてヒメマスの孵化放流事業を行なうのに必要な施設の設置に要する経費の全額を補助するための予算が計上されております。  内閣委員会は、前後四回委員会を開き、この間、福田農林大臣その他関係政府委員の出席を求めまして、慎重に本法律案を審議いたしましたが、その審議において、政府が本孵化場を今回廃止するに決した理由、本孵化場廃止後の措置、本孵化場廃止後の本孵化場職員の処遇、水産試験所研究機関の機構改革、内水面の漁業振興に関する政府の方針、工場汚水と漁業との関係、特に水俣漁業問題に対する政府の今後の対策等の諸点につきまして、農林省当局との間に質疑応答が重ねられましたが、特に本孵化場廃止後の本孵化場職員の処遇の点につきましては、水産庁長官より、本人の希望を十分尊重して善処する旨の言明がありました。  去る三月三十一日の委員会におきまして質疑を終わり、討論もなく、よって直ちに本法律案を採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  57. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  58. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  59. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出) を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。法務委員長大川光三君。    〔大川光三君登壇拍手
  60. 大川光三

    ○大川光三君 ただいま議題となりました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案につき、法務委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  本改正案の趣旨は、土地の状況・市町村の廃置分合等により、簡易裁判所の名称、所在地及び管轄を変更する等、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律に所要の改正を行なおうとするものでありまして、そのおもなる点は、第一に、市の名称変更及び土地の状況等により、大阪地方裁判所管内の古市簡易裁判所を羽曳野簡易裁判所に、広島地方裁判所管内の上下簡易裁判所を府中簡易裁判所に、それぞれ改めること。  第二に、土地の状況、交通の利便等にかんがみ、京都簡易裁判所ほか六カ所の簡易裁判所の管轄区域を変更すること。第三に、市町村の廃置分合等に伴い、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表について所要の整理を行うこと等であります。委員会は、提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、各委員から、本改正案と職員の適正配置との関係等につき質疑が行なわれましたほか、別に問題もなく、討論を省略し、採決に入りましたるところ、全会一致をもって原条通り可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申し上げます。(拍手
  61. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  62. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  63. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、日程第四、地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。地方行政委員長新谷寅三郎君。    〔新谷寅三郎君登壇拍手
  65. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案及び地方公営企業法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案は、奄美群島復興信用基金の融資業務に要する資金としての国の出資額一億円を一億八千万円に増額するとともに、奄美群島復興信用基金の資本金の額を改めることを主たる改正点とするものであります。  委員会におきましては、二月十六日石原国務大臣より提案理由の説明を聞いた後、奄美群島復興信用基金の融資状況、同群島における黒糖生産状態とこれが対策、復興計画終了後の措置、島民の生活水準の向上策等につきまして質疑応答を重ね、慎重審議を行なったのでありますが、その詳細につきましては会議録によって御了承願いたいと存じます。  四月五日質疑を終局して、討論に入りましたところ、鍋島委員は、本法案の趣旨に賛成する旨を述べられ、なお、附則第一項に定める本法施行の日が「昭和三十五年四月一日」とあるのを「公布の日」に改める旨の各派共同修正案を提出されたのであります。かくて採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。よって本法案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定した次第であります。  次に、地方公営企業法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府の提案理由によれば、本法案の要点は、地方公営企業の合理的かっ能率的な運営を助長するため、地方公営企業法の適用を受ける事業のうち、水道事業から工業用水道事業を分離し、常時雇用される職員の数が三十人以上の工業用水道事業に同法を適用するものとし、また、地方公共団体の経営する水道事業、工業用水道事業、軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業、電気事業及びガス事業で、これまで地方公営企業法の規定が適用されない一定規模未満のもののうち、常時雇用せられる職員の数が二十人以上のものについては、地方公営企業法の規定のうち、企業会計方式による財務に関する規定等を適用すること等であります。  委員会におきましては、三月十日石原国務大臣より提案理由の説明を聞いた後、当局との間に質疑応答を重ね、慎重審査を行ないましたが、その詳細については会議録によって御了承いただきたいと存じます。四月五日質疑を終局し、討論に入りましたところう別に発言もなく、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  66. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まず、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  67. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。      ─────・─────
  68. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、地方公営企業法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立]
  69. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後二時十二分散会      ─────・───── ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、故衆議院議員衆議院議長林讓治君に対し弔詞贈呈の件  一、議員派遣の件  一、三池炭鉱争議に関する緊急質問  一、三池炭鉱争議における暴力団介入に関する緊急質問  一、三井池労働争議並びに人権問題に関する緊急質問  一、三井池労働争議に関する緊急質問  一、三池炭鉱争議に関する緊急質問  一、三池炭鉱争議に関する緊急質問  一、暴力団の毎日新聞社襲撃事件に関する緊急質問  一、日程第一 水産庁設置法の一部を改正する法律案  一、日程第二 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第三 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案  一、日程第四 地方公営企業法の一部を改正する法律案