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稲浦鹿藏君 ただいま
議題となりました
治山治水緊急措置法案につきまして、建設
委員会における
審議の経過並びに結果を御
報告いたします。
提案の
理由及び
法案の
要旨につきましては、去る三月二十一日の本
会議におきまして建設大臣より
説明がありましたので省略いたします。
本
法案は、三月二十一日、本
委員会に付託され、農林水産
委員会との連合審査を行なう等、慎重に
審議いたしたのでありますが、
委員会における
質疑のおもなる点について申し上げます。まず第一に、「本
法案の治山事業十カ年計画及び治水事業十カ年計画の規模はいかなるものか、また
昭和二十八年に策定された治山治水対策要綱との関連はどうか」との
質疑に対しては、
政府側から、「十カ年計画の規模については、すでに閣議の了解を得て、治山事業の事業費は、前期五カ年五百五十億円、後期五カ年七百五十億円、計十カ年で千三百億円、治水事業の事業費は、前期五カ年三千六百五十億円、後期五カ年四千八百五十億円、計十カ年で八千五百億円と決定しており、なお、治水事業は、本計画のほかに、前期、後期とも、災害関連事業二百五十億円、地方単独事業費百億円、計三百五十億円を見込み、これを合わせれば、前期四千億円、後期五千二百億円、計十カ年で九千二百億円となる。これによる効果は、既往の年
平均水害被害額を五カ年間で大略五割、十カ年間で八、九割まで減少し得る見込みである。また今回の十カ年計画は、
昭和二十八年の治山治水基本対策の残事業を実施していくことになるが、
昭和四十四年度末には基本対策の七割強を実施することになる」旨の答弁がありました。また「治山治水計画の年度別事業費の配分は
経済の成長率を考慮しているか、計画の
内容確定と閣議決定の時期はいつごろを目標にしているか」との
質疑に対して、「治山五カ年計画においては事業の伸び率は八・七%、治水五カ年計画においては伸び率が一一・五彩程度を見込んでいる。
わが国経済の成長率は大体七・二%程度と言われているが、この程度のふくらみは決して不安定なものではないと確信している。また計画の事業別内訳及び年次別の事業量については現在立案中であり、閣議決定の時期を六月上旬を目途として成案を急いでいる」との答弁がありました。また「治山事業は、国有林野事業特別会計の中に治山勘定を設置して実施していくというが、異質な民有林治山事業を国有林の中に含めていくのは不合理ではないか」との質問に対しては、「国有林と民有林とを合わせて、流域保全の
観点から総合化された方がよいと考えたのであるが、より適当な
制度、方法については、今後十分
検討したい」旨の答弁がありました。次に、「治山治水の要諦は砂防施設の
充実にあると考えるが、この際、砂防事業の
充実をはかる考えはないか。治山事業は森林営業に偏し、また治山と砂防の事業分野がこんとんとしている。
政府はこれが一元化をはかる
意思はないか」との質問に対して、「砂防事業の隘路については、地方財政の
負担等について、後進県の補助率の
引き上げ等も
検討していきたい。治山事業は林業ばかりが目的ではなく、崩壊等の復旧もはかっている。治山と砂防の分野については、
昭和三年の内務、農林協定によって分担しているが、今後とも中央地方を通じて連絡を緊密にして実施していく」旨の答弁がありました。また「治山治水事業の拡充をはかるについては、地方財政の現状から当然に
国庫負担率の
引き上げをはかるべきではないか、道路整備緊急
措置法と同様に、三十六年度から実施する考えはないか」との
質疑に対しては、「大蔵、自治
当局と折衝していきたい」との答弁がありました。
そのほか本案と国土総合開発法との関連性、十カ年計画の策定にあたって
地域的な選定の基準、農林大臣と建設大臣との調整、
経済企画庁長官との協議、治水特別会計との
関係、地盤沈下を本案にとらざる
理由、
国家賠償法と災害の
関係等、多岐にわたって
質疑応答が重ねられましたが、詳細は
会議録に譲ることといたします。
かくて
質疑を終了しまして、
討論に入りましたところ、
日本社会党を代表して
田中委員から、次の
附帯決議を付して本案に賛成するとの発言がありました。
その
附帯決議案の
内容は、
政府は、治山治水事業計画の策定ならびにその円滑なる実施を確保するため、すみやかに左の
措置を講ずべきである。
一、計画樹立に際しては、地方団体の独自の計画との調和をはかるとともに、年次計画の確実かつ効率的な遂行が可能なるよう
措置すること。
二、事業の実施が地方財政に与える圧迫を除くため、事業量に対応ずる地方財源の確保につき充分なる配慮を加えること。
三、国の補助、
負担に関しては、地方財政の実情に即応して
改善をはかること。
四、砂防事業は、治山治水の根本要諦であるから、これが徹底的遂行と機構を
充実すること。
右決議する。
というものであります。
次いで、
民主社会党を代表して田上
委員、
自由民主党を代表して稲浦
委員、無所属クラブの北條
委員、参議院同志会を代表して村上
委員から、それぞれ本
法案並びに
田中委員提案の
附帯決議案に賛成する旨の発言がありました。
かくて
討論を終結、
採決の結果、
全会一致をもって
原案通り可決すべきものと決定いたしました。次いで、
討論中にありました
田中委員提案の
附帯決議案について
採決の結果、これまた
全会一致をもって本
委員会の決議とすることに決定いたしました。
以上御
報告申し上げます。(
拍手)