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1960-03-21 第34回国会 参議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十一日(月曜日)    午後一時五十分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十二号   昭和三十五年三月二十一日    午後一時開議  第一 商工会組織等に関する法律案趣旨説明)  第二 治山治水緊急措置法案趣旨説明)  第三 昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書  第四 昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  第五 昭和三十二年度国有財産無償貸付状況計算書  第六 昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書  第七 関税及び貿易に関する一般協定へのスイス連邦暫定的加入に関する宣言の締結について承認を求めるの件  第八 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第九 船主相互保険組合法の一部を改正する法律案内閣提出)  第一〇 酒税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一一 海岸法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。外務委員長草葉隆圓君から、常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      ——————————
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
  7. 田中茂穂

    田中茂穂君 常任委員長選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 私はただいまの田中茂穂君の動議に賛成いたします。
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 田中君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  よって議長は、外務委員長木内四郎君を指名いたします。    〔拍手
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、商工会組織等に関する法律案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。池田通商産業大臣。    〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 商工会組織等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  中小企業問題につきましては、その重要性にかんがみ、政府といたしましても、かねてから諸般施策を講じてその解決に努力いたして参ったのでありますが、中小企業の中でも、中規模事業者小規模事業者との経営格差は、非常にはなはだしいものがあります。しかるに、従来の中小企業対策においては、この小規模事業者に対する施策は必ずしも十分とはいえず、特に地方町村における小規模事業者対策強化は緊要とされているところでございます。この対策強化のためには、もちろん金融措置税制措置等についても考慮する必要があり、政府としてもこれに意を注いでおりますが、小規模事業者の特質を考えますときは、これらの事業者のためには、その実情に即した資料収集提供経営及び技術に関する相談指導事業資金の借り入れのあっせん各種事務代行等業務を不断に行なう組織を確立することが最も肝要と考えられます。  このような業務を行なう組織としては、市部においては、すでに商工業総合的改善発達をはかるための組織として商工会議所制度があり、小規模事業者に対する事業をある程度行なっておりますのに対し、町村等郡部においてはこのような制度がありませんので、主として町村における商工業総合的改善発達をはかるための組織を確立する必要があるのであります。  このような必要性に基づき、すでに現在までに主として町村において二千六百以上に及ぶ商工会が自然発生的に誕生しておりますので、これを法制化することが適当と考えられますとともに、いかに組織を定めましても、小規模事業者の資力の状況からしては、国及び地方公共団体が積極的な助成を行なうのでなければ、十分な事業活動を期待することができないので、その助成措置についても法定する必要があると考えられるのであります。  このような見地から、今回本法律案を提出いたしました次第でありますが、次に本法律案の概要について御説明申し上げます。  この法律案の骨子は、商工会組織について定めるとともに、商工会及び商工会議所の行なう小規模事業者のための事業について国の助成措置規定するものであります。  第一に、商工会につきましては、これを本法に基づく特殊法人とするとともに、その営利活動を禁止し、またその地区につきましては、市町村廃置分合等若干の場合の例外を除いて、一つ町村一つ商工会を設けることを原則とし、商工会議所とも地区を重複して設立することのないように定められておるのであります。商工会事業については、商工業に関する相談指導情報資料収集提供講習会展示会開催等、その地区内の商工業改善発達のために必要な事業を行なうこととされておりますが、その加入脱退は自由でありまして、地区内に半年以上事業所を有する商工業者であればすべて会員となることができるのであります。商工会は、その地区内の商工業者の半数以上が加入するものであれば、通商産業大臣の認可を受けて設立することができるのであり、その管理は、総会、総代会及び役員を通じて行なわれるものであります。また、商工会公共的性格から、通商産業大臣の所要の監督規定が設けられております。  第二に、商工会及び商工会議所の行なう小規模事業者のための事業を促進するための措置として、国がその経費の一部を補助することができるように定められておりますが、この国の助成を行なうための予算措置といたしましては、ただいま御審議中の昭和三十五年度一般会計予算案におきまして、小規模事業指導費補助金として総額三億九千二百万円を計上いたし、小規模事業者のための対策強化拡充を期している次第であります。  以上が商工会組織等に関する法律案趣旨でございます。(拍手
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。  順次発言を許します。近藤信一君。    〔近藤信一登壇拍手
  14. 近藤信一

    近藤信一君 私は日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました商工会組織等に関する法律案に対し、岸総理並びに池田通産大臣に若干の質疑を行なわんとするものであります。  ここで私が思い起こすことは、三年前に岸総理に対し、中小企業団体法案に関してこの席で質問申し上げたことであります。中小企業団体法につきましては、私どもは、団体法が決して中小企業を救うことにならぬだろう、それは結局、中小企業のためと称しながら、中小企業を欺瞞するだけのものでしかあり得ない、そう考えて質問申したのであります。団体法を実施してから今日まで、ほとんど満足するほどの効果は現われておらないのであります。当時、団体法の成立によって、岸総理は、中小企業者を味方の陣営に引き入れることができると信じて、かなり無理をして通過させたのでありますが、結果的には、案に相違して、先般の参議院選挙でも、団体法を最も熱心に推進した人たちが枕を並べて落選したようなわけであります。団体法を作るためにずいぶん派手な運動をしたけれども、それだけでは当選おぼつかないので、空前の巨額の選挙費を使った人もあります。金のおかげで当選はしたけれども、それがかえって災いとなって、ついに悲惨な結果になったことは、岸総理もよく御存じの通りで、まことに同情にたえない次第であります。これは中小企業者をだまそうとするものの運命であります。今回の商工会法案も、団体法案と同様の結果を見るものでなかろうかと思うのであります。  まず最初にお尋ねしたいことは、約三百万の中小企業者わが国産業経済を支えていることは御承知通りでありますが、これらの人たちが、今回り貿易為替自由化によって、系列化過当競争等によるしわ寄せを受けることは必然であり、二重構造が持つ当然の帰結であります。AA制拡大は、安保条約と関連し、アメリカの強い要請で突如として出てきたものであります。そこで岸総理並びに池田通産大国に伺いますが、中小企業振興根本施策は何か。特にAA制拡大にあたっての対策を承りたいのであります。  次に岸総理にお伺いいたしますが、何ゆえ商工会というようなものをあらためて法制化しなければならないのかということであります。岸内閣では、さき商工組合を法制化し、ここでまた商工会を作る。岸さんは商工省に長くお勤めになって商工大臣をやられたから、商工という文字に何か郷愁を感じておられるのではなかろうか。ともかく、まぎらわしい団体がたくさんできるわけであります。中小企業団体には、さき協同組合があり、商工組合があり、商工会議所がある。この上ここに商工会ができると、どれがどうだかその判断に苦しむものであります。従って、このことは屋上に屋を重ねることと思いますが、もしそうでないとするならば、その理由を明らかにしてほしいのであります。  第二の点は、商工組合協同組合には、それぞれ府県中央会があり、その上に全国中央会が法制化されております。商工会組織にはその点が考えられていないようですが、全国的組織お作りになるのかならないのか、作るとするならば、いつそれはお作りになるのか、お尋ねいたします。商工会地域的団体である点から見れば、これは確かに小型商工会議所であります。従って、その組織業務は全く商工会議所と似ております。そういう意味からすれば、これを日本商工会議所へ結びつけて、ここに全国組織を作ることにするのが最もふさわしいと思います。現に、府県によっては、商工会議所連合会の中に商工会が加盟しているのがあるとのことであります。ただ、理論的にいえば、商工会議所と結びつけた全国組織を作るのが適切のように思われますが、政府全国的組織をいかように考えておられますか。商工業団体は多種多様で、あたかも中小企業が多種多様であるという事実をそのまま反映しているように思われます。その中に新たに商工会を加えて、必ずやその再編成日程に上ってくると思われますし、あるいは、この商工会法が実は再編成のためのものであるかもしれません。農業でも、各種団体が互いに競合して、再編成という厄介な問題が生じております。商工業にあっても同様のことが起こるのではないか。この点について、農業とも関連して総理の御所見を承っておきたいのであります。  第三点として、役員の問題でございますが、一体どんな人が役員になる可能性が強いかと考えてみますと、役員の三分の二は業者であることを要すると書いてありますが、三分の一は、業者以外の人を迎えてもよいことになっております。真に中小企業のため働いてやろうという人であればよろしいが、しかし、往々にしてこういう組織には、ボスや政治家役員になって、商工会政治運動に利用するのではないかと心配されるのであります。法律案には確かに、「商工会は、これを特定政党のために利用してはならない。」と書いてありますが、実際には、商工組合協同組合を利用して、ここを根城に立候補した人が少なくないのであります。今回、商工会を法制化するのも、これを政党が利用するであろうといううわさが一般に流布されておりますが、こうした悪弊をどうして防ぐつもりでおられるのか、岸総理の御所信を承りたいのであります。  次に、池田通産大臣にお伺いいたします。零細企業者都市に多く存在しております。ところが、商工会郡部に作らせるのだといいます。商工会法案が成立しても、大都市零細企業者商工会の御利益を受けられません。いなかの零細企業者のみが商工会の世話になる、これはおかしいと思います。わが国商工業者でも、零細企業者でも、商工会議所の管内にある者の方が、商工会議所区域外の者よりはるかに多いのであります。しかるに、少ない地域商工業者だけが商工会を作って、大部分の商工業地域零細企業者会議所指導を受けさせる、しかも、法律の名前は、商工会組織等に関する法律であります。そういたしますると、実質的には、会議所零細企業を支配させる法律ということになるのではありませんか。これが、第一の疑問であります。  さらに、国の助成措置についても、商工会議所を通ずるものと、商工会を比較しますると、商工会を通ずるものの方が多いのであります。都市零細企業者には商工会を作らせない。国の援助も少ない。これでは、都市零細企業者は、商工会法案に対する魅力がないのは当然であります。この点、通産大臣はどう考えておられるのか、これをお伺いいたします。大体、商工会議所は、だんな衆のクラブのような存在ですから、中小企業問題はおざなりになりがちであります。その会議所に、中小企業指導、診断、あっせん相談をやらせるから、会議所のある所には商工会の必要なしというのは、まことにおかしなものだと思います。商工会議所は、ときには中小企業をふみ踏み台にして、食いものにするにすぎないかもしれません。こういうことについて、通産大臣の御答弁をお願いいたします。  商工会のねらいの最も大きなものは経営改善普及員を置くことであります。この普及員は、農業普及員をまねたものだと思います。農業では、都道府県の職員として配置しておりますが、町村に置くわけではありません。商工業農業と違って、その範囲は広く、商業も工業サービス業もあります。工業といっても各種のものがあって、これを少数の普及員指導できるでありましょうか。その上、商工業は、大、中、小、零細とあっては、なかなか一律に指導できるものではありません。さらに、農業では、主として生産改良普及ですが、商工業では、生産から販売、ときには輸出入のことまで及ばねばなりません。こういう万能選手が得られるかどうか、簡単に養成できるとも考えられないのであります。中小企業人気取りのため、商工会法を急いで実施しようとされたので、おそらく準備不足で、間に合わせの普及員でごまかそうとなさるのではなかろうかと思います。ことに普及員は、商工会に置くのでありまするから、せいぜい町村に一人か二人というようなことになります。そうなると、この普及員はどうしても万能選手にならなければならないが、それで経営改善されていくのかどうか、非常に怪しいのではないでしょうか。この点、通産大臣はどのように考えておられるか、お尋ねいたします。  次に、商工会業務についてであります。業務はいろいろと掲げてありますが、一体、開業相談をやるのかどうか。従来商工会議所相当数開業相談がありまして、新聞雑誌相談欄にもこれが多いのであります。しかし、この回答はなかなかむずかしいと思うのであります。開業にあたって、将来性のある業種か、また、その資金知識経験がどの程度あるか、法律的手続や、また過当競争心配はないか、これらの相談に応ずる必要があります。こうした相談適確なる判断のできる普及員商工会に得られるかどうか。わが国では、こうした開業相談が実に重要な相談であると思うのであります。法律案によりますと、商工会会員になるには、半年以上引き続き商工業を営んでいなければならないことになっております。商工会商工業者団体であるからには当然かもしれませんが、それでは、これから開業しようとする者に対しては何ら指導の手を伸ばしてやらないのか、この点を伺いたいのであります。だからといって、私は、新規開業を規制せよと言うのではありません。商工会員から見れば、おそらく新規開業競争者が出てこない方がよい、できるだけ新規開業を押える方向へ持っていきたいのかもしれません。商工会業務範囲をどこまでにしようとなさるのか、その点をお尋ねいたします。  以上、商工会法案に対し幾多の疑問をあげたのでありますが、要するに、商工会を法制化することは、多分に政治的であり、選挙目当て人気取り政策の臭味が強く、商工会と他の団体調整に欠陥がありそうであります。私どもは、小企業零細企業育成強化には賛成でありますが、それが商工会という自民党の政策で、はたして可能かどうか、疑いを持つものであり、おそらく団体法の二の舞いを演ずるのではないかと憂うるものであります。詳しいことは、いずれ委員会において質疑することといたしまして、おもなる点だけをここに御質問いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  15. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  第一点は、貿易為替自由化によって中小企業影響を受けるのに対して、政府はどういう対策でこれに対処するつもりかという御質問でございます。言うまでもなく、貿易自由化は国際的の大勢でございまして、貿易に依存しておる度の強い日本として、やはりこの大勢に順応して自由化方向に進んでいくべきことは、これは当然であると思います。ただ、その場合、各種産業及び企業に及ぼす影響というものにつきましては、十分慎重に考慮して、これに対して対策を立てていくべきことは当然でございます。中小企業が押しなべて競争力が弱い、企業経営力が弱いということから、この自由化のためにいろいろな悪い影響を受けるおそれは確かにあると思います。もちろん、その状況につきましては、各中小企業の種類によりましていろいろ違うと思います。一がいに、すべて中小企業が悪影響を受けるとばかりは言えないと思いますが、しかしながら、中小企業の持っておる弱い点、企業の弱点というものは、これを矯正していかなければならないのであります。その点につきましては、私は、やはりこの中小企業設備を近代化して、その体質改善することが何よりも必要であり、また同時に、中小企業が小さい零細企業でありますから、組織化を進めて、共同の力によって対処していくという必要がある。またさらに、金融の面あるいは税制の面におきまして、政府としては十分に意を用いていくつもりでございます。そういう意味におきまして、今回の商工会法の制定も、あるいはまた、国会に提案いたしております中小企業業種別振興臨時措置法というものも、そういう趣旨で、われわれは、中小企業体質改善、また、その将来のために、これによって処していくつもりでございます。  次に、第二の質問の点は、中小企業については、従来いろいろな団体がある、この上に商工会というものを作るならば、屋上屋を重ねるのじゃないかという御質問であります。おあげになりましたように、協同組合であるとか、あるいは商工組合、あるいは商工会議所というような団体があることは、御指摘の通りであります。しかるに、協同組合は、言うまでもなく、相互扶助の精神によって、協同して経済事業を行なっていくという団体でありますし、また商工組合は、自主的な事業活動調整団体でございます。また、商工会議所市部に設けられておりますが、今回のこの商工会法におきましては、商工会議所のない郡部町村にこれを設けようというわけでございますから、それぞれの団体はそれぞれの目的を持っており、また、地域的に申しましても、決して混乱を起こすとか、あるいは屋上屋というようなものではないと思います。さらに、こういうふうな団体がたくさんあるので、農業団体についても再編成の時期に到来しておるが、商工関係団体についても再編成の時期ではないかという御趣旨でございましたが、私どもは、今申しましたような、団体のそれぞれの目的を十分に果たすように指導して参り、助成して参っていくのが現在必要である。特に再編成というようなことは考えておりません。  次に、こういう商工会法は、政党がこれを利用し、選挙に利用するというおそれがあるのではないかという御質問であります。言うまでもなく、この商工会法目的事業は、商工業者業態自身をよくやっていくために、指導し、相談にあずかり、各方面からそういう商工業者の利益を進めようという団体でございますから、目的事業から見て、中立性であるべきことは当然であります。従って、運営原則といたしましても、商工会はこれを特定政党のために利用してはならないということを規定をいたしております。また、自主的な商工業者団体として、民主的な運営について特に配慮いたしておりますから、御心配のような点はないと私ども考えます。     —————————————  なお、この際、三月十一日の本会議におきまして、山田節男議員カラーテレビジョン放送標準方式に関する緊急質問について、私のお答えが留保してありますので、これをお答え申し上げます。  御質問の第一点は、昨年六月当時カラーテレビジョン慎重論者であった浜田電波監理局長を、私が公邸に呼んでやめさせたとの新聞報道があるが、これは、アメリカ政府筋あるいは放送業者等から、アメリカ放送標準方式の採用について何らかの政治的圧力があった結果、かような挙に出たのではないかという御質問があったということでありますが、さような事実は全然ございません。また、カラーテレビジョン技術につきましては、各国でも熱心に研究されておるし、研究の結果、いわゆるNTSC方式を採用することに世界大勢が固まったということでありまして、このような世界各国研究の成果として折紙のついたNTSC方式日本においても採用しようということであります。  次に、カラーテレビジョンを早期に実施することについて、私の所見をお尋ねになったのでありますが、私は、すぐれた放送が、できるだけ早く国民の多数の人のために供せられるということが、放送行政の根幹であり、また、放送法の本旨であると考えております。カラーテレビジョンは、言うまでもなく、白黒テレビに比しまして、はるかにまさった情報伝達能力を持った最高の放送形態でありまして、これが技術的に実用の域に達しておると判断される以上、すみやかに実施の方策を講ずることが、放送法趣旨に合致するものと考えております。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。  御質問の第一点は、為替貿易自由化によって中小企業は非常に困るのじゃないか、しわ寄せがそこに向かってくるのじゃないか、こういうお話でございますが、御承知通り、先年来、中小企業団体法あるいは中小企業協同組合法等がございまして、こういう法律を改正をいたしまするとともに、設備の近代化等いろいろの設備技術改善に向かって、金融税制措置を今後も十分考えていきたいと思います。なお、そういうことを予想いたしまして、先ほど総理の言われたように、業種別振興法をこしらえまして一不況によってあえぐ中小企業に対しまして救いの手を伸べ、また、商工会法を設けて、また、従来ありまする繊維工業設備臨時措置法、こういう既存の法律も改正いたしまして、あらゆる手を打って、自由化に対しまするしわ寄せの起こらないように、起こっても、それを乗り越えていくような方法を考えていきたいと思っておるのであります。ただいまのところ、徐々に自由化に移っておりまするが、さして中小企業影響があったとは思っておりません。  なお、屋上屋の問題でございまするが、商工会地域団体でございます。商工会議所市部、また商工会町村地域団体でございまするから、そこに屋上屋を架することはないのでございますが、ただ、ほかの組合法と性質が違いますので、私は全国的に商工会議所商工会、これで進んでいきたいと思います。  第二の点の、全国商工連合会というものを設ける意思はないか。——御存じの通り全国商工連合会というものはございます。しかし、その元になりまする商工会というものが法制化しておりませんし、また、府県別に商工会の連合会というものがまだでき上がっておりません。私はこの際、商工会法を通していただきまして、商工会を設ける、それから自然発生的に府県あるいは全国の商工会連合会を設ける方針で進んでいきたいと考えております。  それから役員の数でございます。これは商工会議所では専務理事一人ということになっておりますが、商工会地方会員がみなそれぞれのお仕事を持っておられるので、私は一人にきめることはよくない、三分の二以上は会員でなければいかぬ。一人でいい所は一人でもよろしゅうございますが、民主的にやって効果をあげるためには、事業者以外の、商工業者以外の者からの役員を一人と制限しない方が実情に沿っていいのじゃないかということで、三分の二以上を事業者にしなければいかぬという規定にいたしておるのであります。  なお、商工会町村にできるのではないか、大都市商工組合商工会の人をどうするか、こういう問題でございまするが、いろいろ考慮いたしましたが、大都市におきましては、商工会法に基づく商工会商工会議所法に基づく商工会議所、二重にありますと、今のお話のように屋上屋を架すことになりますので、大都市におきましては、すなわち商工会議所のあるところの都市は、商工会を認めない。しかし、従来の商工会議所がこの零細企業者に対して力を入れていく。御承知通り商工会議所におきましても、中小企業が七割を全国的に占めておりますが、今までの商工会議所の活動が零細企業者に十分でなかった。私はこの商工会法を制定するにあたりまして、今度商工会議所零細企業のために十分力を尽くすように、これから指導していきたいと考えております。従いまして、商工会議所団体加入を認め、また、会議所は支部あるいは相談所を設けて、輿地に零細企業者指導育成に当たっていただくように進めていきたいと思います。  なお、改善普及員でございまするが、これはお話の通りに、出発の当初から、みなに万能の人はございません。ただいまのところ、大体七百人に一人程度の指導員を置きたいと考えておるのであります。これは当初でございまするから、今後実態を見まして、この優秀な指導員の育成と、また、できるだけ人をふやしていきたいという考えを持っておるのであります。  また、開業相談をどうするか。——その地区内で広く相談に応ずることが適当だと思います。転業の場合等、いろいろな場合に、その地区内の商工に関しての相談にはできるだけ応じていきたいという考えであります。     —————————————
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 島清君。    〔島清君登壇拍手
  18. 島清

    ○島清君 私は、ただいま政府提案にかかる商工会組織等に関する法律案に対し、民主社会党を代表いたしまして、若干の質問を試み、この法案に少なからざる疑いを抱いている国民、なかんずく中小企業者とともに、その疑点をただして参りたいと存じます。  まず、法案の内容について質問に入ります前に、この法案の立案策定の過程において、もっぱら選挙対策として考えていた与党側と、零細小規模事業対策目的であるとする政府側の意見とが、夫調整のまま提案をされ、この法案に一抹の暗い影を投げ与えている事実を、はなはだ遺憾のこととして指摘しないわけには参りません。さらに、この法案の内容において重要な部分を占める零細小規模事業者は、目下、政府が一段と重点施策として推進をしておられます貿易自由化政策の実施に基づく経済事情の変化に、いとも敏感であり、かつまた、その政策の実現化に伴って、何人よりも強い圧力を受ける弱い立場にあるということを、ただいま総理、通産両大臣からの答弁にもありましたけれども、それは詭弁でございまして、そのことは見逃してはならないと思います。同時に、かかる背景と条件のもとにおいて本法案を検討するとき、法案の内容は、零細小規模事業者対策強化拡充を念願とするわが民主社会党のきわめて不満とするところであります。のみならず、零細業者の要望にこたうるにはほど遠い法案であることも、あわせて指摘しなければなりません。なお、その上、政府案は、自主的活動並びに意見発表の助長という尊重さるべき民主的面を軽視し、僅少な補助金政策をもって商工会を官製団体に仕上げようとする意図が明瞭にうかがわれることは、岸内閣が、憲法を無視し、軍備を強行している点、国論の分裂をもあえて意に介せず、安保改定を強行し、やがて機密保護法等、一連の反動立法の制定を意図している事実等々と関連して、断じて容認できないところであります。わが党は、このような批判を前提として、法案審議の過程において、商工業者、とりわけ真に零細小規模事業者に役立つ商工会の設置を促進するため、修正案を提出するであろうことを、ここに明らかに表明し、次の諸点を政府にお尋ねいたしたいと存じます。  まず最初に、政府案の組織と性格についてであります。政府は、商工会組織をあくまでも地域団体のワク内に封じ込めて、小規模事業者の広地域的または全国的連絡、意思疎通の必要を認めておりません。このことは近藤議員も御指摘になった通りでございますが、商工会を単なる地域活動団体にとどめず、商工会議所法の規定にあるような、日本商工会議所に相当する全国的規模の意思統一組織をあわせ持たしむべきであると思います。政府案はそれを否定しておりますが、なぜ商工会に限って地域団体のワク内に閉じ込めなければならないのか。その結果は、零細小規模事業者にいかほどの利益をもたらすのか、また反面、広地域的全国的連絡組織を持たないことが、どれほど零細小規模事業者対策上有益なのか、その利害得失について御説明を願いたいと思います。  第二点は、商工会議所法第六条の目的も、本法案第三条に規定する目的も、ひとしく「その地区内における商工業の総合的な改善発達を図ることを目的とする。」と、全く同様な目的をうたっているのであります。にもかかわらず、商工会議所は、会議所法に規定する事業の一部として、意見を公表し、これを国会、行政庁等に具申し、または建議することが認められているのに、全く同じ目的を持つ政府案の商工会にはそれが認められておりません。商工会議所法には、その目的規定してある後段に、「社会一般の福祉の増進に資する」云々とあり、本法案にはそれがないからとでも説明されるのではなかろうかと思われまするけれども、いかように詭弁を弄しましょうとも、また陳弁これ努められようとも、肝心かなめの民主的意思表示の機能を奪い取っておいては、ごうも説明の理由にならないと思います。冒頭に私が指摘した通り、民意を封じ、上意下達の場にし、官製団体に仕上げようとする意図の現われにほかならないと思います。このことについては、私の全く了解に苦しむところでございますので、総理大臣から御答弁を願いたいと思います。  第三点に、政府は今、近藤議員の御指摘になりました通り、また通産大臣お答えになりましたように、市部会議所郡部商工会として御答弁になり、また今までにもそのように宣伝をしてこられておるのであります。既存の商工会議所零細小規模事業対策を担任せしめる方針であり、また、担任してきたかのごとくに通産大臣もしばしば申しておられますけれども、従来の会議所活動が、なかんずく大都市にあっては零細企業対策にきわめて消極的であり、かつ冷淡であったのは、明白にしていなめない事実であります。政府与党が、選挙対策としての商工会ではなく、真に商工業音なかんずく零細小規模事業者強化育成対策であるとするならば、進んで大都市にあっても商工会の設置を認められ、零細小規模事業者の自主的な地域活動を助長すべきであると思います。この点、謙虚に、大都市零細企業者の声に耳を傾け、審議の過程において、原案にこだわることなく、修正に応ずべきものであると思いますが、それはさておき、今日まで既存の商工会議所の活動の実態に照らし、はたして大都市零細企業対策として十分であると確信をもってお答えいただけるかどうか。ただいま近藤議員の質問に対する通産大臣の御答弁では満足が参りませんので、承りたいと思います。  さらに第四点は、冒頭にも触れておきましたが、与党側が、この法案を選挙対策として考えていたであろうことが具体的に現われている点でございますが、政府案は「特定政党のために利用してはならない。」と、今、通産大臣の御答弁にもございました通り規定はしていても、一方では、十五人以上の商工業者が発起人となれば設立できる旨を規定しており、地方の保守的ボスが商工会を設立し、役員を独占するおそれがきわめて強いのであります。この法案の成否に関心を寄せている者のひとしく危惧している点でもあろうと存じますので、政府と与党が私の危惧を否定されるならば、その保証として、少なくとも発起人や役員はすべて会員に限定すべきであろうと思います。その点について伺いたい。  第五点に、政府案は、商工会事業として、第一に相談指導をうたっておりますが、寡聞にして、私の承知するところをもってすれば、現政府に、今日現在、はなはだ申し上げにくいことでございますが、一貫した零細企業対策として何ら見るべきものがないようにも思います。その意味におきましては、いかなる方針をもって指導されようとするのか、直ちにその方針を明らかにする責任があると存じます。  第六点に、政府は、商工会指導相談する主たる内容となる諸事項、すなわち税金、金融、最低賃金、社会保険、国の補助金や助成金等の受け入れ、苦情処理等々について、既往の諸政策商工会事業として優先的に委託する積極的方針を明示すべきであると存じますが、いかようにお考えであるか、承っておきたいと思います。  第七点といたしまして通産大臣の監督についてお尋ねいたします。政府案によりますと、政府商工会事務所に立ち入り検査することができるように検査権を明記しております。そのことは商工会議所法には全く存在しない事項でございます。何ゆえ商工会議所法にはない政府の立ち入り検査権を商工会法だけに必要としなければならないのか、吾人のはなはだもって不可解とする点であります。  第八点、政府は、僅少の補助金を支出することによって商工会を完全指揮下に置こうとするねらいをもって、監督権の強化をはかっております。この精神は、商工業者改善発達に名をかりて、民主的団体組織を反動的かつ官製的団体の育成に専念しているというそしりを免れないと思います。なぜ、憲法の指向する民主的方向にあえて立ち向かう姿勢で、歴史の発展に逆行するようなかかる強い監督権を必要とするのであるのか。明らかにしていただきたい。  第九点は、資金の面についてお尋ねいたします。商工会に対する国の補助が、人件費に偏して、事業費補助の面が全く顧みられぬ点であります。零細小規模事業者保護助成対策としては、本末転倒ともいえると思います。この種補助金が人件費に多く使われるということについては、私も否定するものではございませんが、初年度はともかくとしても、次年度からは、事業補助に重点を置くべきであると信じますが、そのような御用意があるかどうかを伺っておきたい。  最後に、第十点といたしまして、既存の商工会との関係についてお尋ねをいたします。すでに御承知通り、全国市町村には多数の商工会が任意団体として組織されて、それぞれ活動しております。これらの諸団体は、本法案成立後、本法に基づく団体に改組されるものもあり、また特定地域の任意団体として今後もなお存続して参る団体もあるわけであります。国は、商工会の発足にあたって、後者に属するこれらの団体に対しても保護助成をおろそかにしてはならないと思いますが、政府はいかなる方針で対処されようとしているのか。その点、明確に態度方針をお示しいただきたいと存じます。  以上をもちまして私の質問を終わりたいと存じますが、私の疑問に思うことは、お尋ね申し上げました十点の事項にとどまらず、基本的には、近藤議員も御指摘になりました通り政府与党の中小企業対策に一貫性が欠けているということであります。これは、ひっきょう、政府与党が、しょせんは大企業者側の席にある党でありながら、わが民主社会党が、中小企業者零細企業者の待望と期待のうちに結党されたので、にわか作りといおうか、ごまかしと申しましょうか、本心でもない法案を策定しようとするところに、その矛盾が露呈していると想像されます。私の推測が的はずれでないといたしまするならば、羊頭を掲げて狗肉を売るのそしりを免れないと思いますが、さにあらずと弁解されるならば、私は謙虚にその言に耳を傾けたい。しかして、私は、商工業の発展、なかんずく中小企業振興に全力を傾けているわが党が後日提出するであろう修正案に、坦懐の気持で応じていただけるであろうことを希望し、かつ期待し、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  19. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えいたします。  中小企業わが国産業上きわめて重要な意義を持っておるということにつきましては、われわれも、つとにこれを認めて、これに対する対策は従来といえどもいろいろな方面から講じてきておるのであります。島議員も御承知通り中小企業の業態はいろいろと千差万別であり、また、企業経営の規模につきましても、一口に中小企業と申しますが、そのうちの特に零細なものにつきましては、これはその数も多いし、内容も非常に弱い立場にありますから、あらゆる面からこれに対して保護助成を加えることは当然であろうと思います。従来の各種団体もその意味でできておりますが、十分にそれらが目的を達しておるとも思いません。今回の商工会法、並びに先ほどお答え申し上げました各業種別振興臨時措置法というものは、その実態に即してこれが指導育成を努めよう、こういうことでございます。  そうして、今御質問にありましたこの商工会というものは、官製の団体を作るのじゃないかということのお話でありましたが、言うまでもなく、法律をごらんになれば明らかなように、商工業者の自主的な団体であり、あくまでもその運営は民主的に行なわれるようにわれわれは考えております。決して官製のものを作ろうというわけではありません。  また、建議等の意思表示について、民主的な意思表示について、規定にないじゃないかというお話でありますが、これは一各種の立法におきましても、規定のあるものと、ないものとございますが、ないからといって、そういう建議ができないとか、民主的な意思表示ができないというものではありませんで、これは憲法の規定によりましてできることは当然でございます。  また、補助金をやることによって、われわれがしさいに監督して、そうして官製にするというような御意見でございましたが、そういうことはございませんで、もちろん、この団体はごく零細業者団体でございますが、国においても適当な補助を与えることは必要であり、また監督は最小限度にとどめておりまして、決して御心配のような点はないと思います。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  20. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 商工会の全国団体といたしましては、先ほどお答え申し上げました通り、まず第一に商工会を作りまして、その後の情勢によって府県連合会ができ、後に全国商工会連合会のできることを期待しております。ただいまのところは商工会を作るということを第一義として考えておる次第でございます。  なお、意見の発表、建議につきましては、他の立法例をごらん下さいましてもおわかりと思うのでございますが、全国的なものには規定した場合もありまするが、こういう場合には、おおむね立法例は、規定せずに当然できることと考えておるのであります。  第三に、都市におきまして商工会を設けろというお話でございまするが、地域的団体であるということを建前といたしまして、先ほどお答え申し上げた通りでございます。なお、今後商工会議所のあるところの中小企業に対しましては、支部の設置とか、あるいは相談所の増設とか、あらゆる方法を講じまして、都市中小企業零細企業に対しましても、育成の措置を講ずる考えでございます。  なお、発起人とかあるいは組合役員を全部事業者にしたらどうか、こういうお話でございまするが、私は、実情から申しまして、そういうことはなかなか困難じゃないか。しかし、一人ぐらいでとどめてもよろしゅうございます。これは民主的に、総会あるいは総代会できめればいいことでございます。五名以上おらなければならぬという規定には法律はなっておりませんから、商工会がおきめになればけりこうだと思います。  それから、相談指導の内容についてでございまするが、これは経営の実態に即応いたしまして、金融あっせんとか、あるいは帳簿記載の仕方とか、あるいは社会保険とか、あるいはいろいろな商工業者の必要な点に、万般について指導していきたいという考えでございます。  また、事務所への立ち入り検査、これはひどいじゃないかというお話でありますが、補助金を出しております中小企業協同組合法あるいは商工会議所法等にも、これと同じ規定があるのでございます。決して、この規定があるからといって、商工会の民主的な運営を阻害するということは絶対にございませんから、御安心願いたいと思います。  なお、補助金の関係で、人件費が多いじゃないか、事業費はどうだ。今は七、三になっておりますが、やはり指導員の費用が一番多いのであります。私は、今後も指導員を増加するとともに、事業費の方も増加さしていきたいという念願でおります。  また、都会におきまする任意団体である商工会、これをどうするかというのでございます。これは私は法律に基づく商工会にしてもらいたい。しかし都市におきましては商工会議所がございまするから、今、現にありまする任意団体商工会につきましては、補助金はさしあたり出さぬつもりでおります。  なお、政府中小企業あるいは零細企業に対して一貫した政策がないじゃないか。——しかしこれは、過去十年ぐらいずっと振り返ってみていただければ、自由党、自由民主党がいかに中小企業のためにやってきたか、また、現在におきましても、商工会の設置につきましては全国零細企業者はあげて賛成しておるということをお答えいたします。(拍手
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて、質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、治山治水緊急措置法案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。村上建設大臣。    〔国務大臣村上勇君登壇拍手
  23. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 治山治水緊急措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  治山治水事業は、国土の保全及び開発を行ない、経済基盤を強化し、もって国民生活の安定と向上をはかる見地から、きわめて緊要な施策であることは申すまでもないところでありまして政府はつとにその促進をはかって参ったのであります。しかしながら、近年における台風、豪雨等による激甚なる被害並びに産業経済の発展に伴う諸用水の需要の急増等の事態にかんがみまして、政府といたしましては、治山治水事業につきまして昭和三十五年度を初年度として、新たな構想のもとに長期計画を策定し、これを強力かつ計画的に推進することといたしました。すなわち、昭和三十五年度以降の治山事業及び治水事業に関する十カ年計画を、昭和三十五年度以降の五カ年間の前期五カ年計画及び昭和四十年度以降の五カ年間の後期五カ年計画として策定し、これを計画的に実施することといたしたのでございます。  以上が、この法律案を提出する理由でありますが、次に、その要旨について御説明申し上げます。  まず、この法律目的は、治山治水事業を緊急かつ計画的に実施することにより、国土の保全と開発をはかり、もって国民生活の安定と向上に資することでありますことは、先ほど申し上げた通りでございます。  第二に、治山事業及び治水事業の各十カ年計画の内容となるべき治山事業及び治水事業範囲について定めました。すなわち、この法律でいう治山事業または治水事業とは、国が行なうもの及び国の負担または補助により都道府県または都道府県知事が行なうものでありますが、計画的に実施することが不適当と考えられる災害復旧事業、災害関連事業等は除くものといたしております。  第三は、治山事業十六年計画及び治水事業十カ年計画の策定の手続を定めたごとであります。農林大臣及び建設大臣は、それぞれ昭和三十五年度以降の十カ年間において実施すべき治山事業または治水事業に関し、昭和三十五年度以降の前期五カ年計画及び昭和四十年度以降の後期五カ年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものといたしました。なお、農林大臣及び建設大臣は、計画の案の作成にあたりましては、治山治水事業の総合性を確保するために、あらかじめ相互に調整をはかるとともに、長期経済計画との関係において経済企画庁長官と協議することといたしたのであります。  第四に、治山事業十カ年計画及び治水事業十カ年計画の実施を確保するためには、財政上はもちろん、行政上の見地からも諸般措置を講ずる必要がありますので、政府は、これらの計画を実施するため必要な措置を講ずるものとすることといたしたのでございます。  以上が、この法律案趣旨であります。(拍手
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。田中一君。    〔田中一君登壇拍手
  25. 田中一

    田中一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案になりました治山治水緊急措置法案について若干の質疑をいたします。  建設大臣の説明の通りわが国は、気象、地形から見て、治山治水の問題はまことに重大でありまして、封建社会においてすら、山を治め、水を治めることが、国を治める要諦であるといわれておるのであります。明治維新革命以来、わが国の国土に関する経営は、日清戦争の勝利を期として、以後は放置されていたと言ってもあえて過言ではないのでありまして、端的にいえば、軍事的目的のためにのみ国土の利用が行なわれたといえるのであります。たとえば鉄道建設は動員計画の準備であり、港湾の建設もまたしかり。道路でさえ、師団司令部から旅団司令部または要塞等に直結するものが優先されていたのであります。これらの建設は、政府みずからの手で、あるいは政府の手厚い援助のもとに、一見すれば国民のために行なわれたようでありますが、その背後にある目的こそは、すべて軍事につながっていたのであります。食糧の保有もまたしかり。そして総動員計画のもとに、国民の意思とは異なって侵略戦争へ前進し、軍備の強化はまた植民地政策を重点的に取り上げ、国土経営は忘れ去っていたのであります。明治三十七八年、日露戦争の勝利、また明治四十三年の日韓併合以来、第一次欧州戦争後の南洋における委任統治の諸島等、植民地政策に国の重点が置かれたのでありましてかくて無謀な太平洋戦争に突入したことは御承知通りであります。戦いの夢破れ、戦災の焦土に立ってあらためてながめたわが国土は、目をおおわしむるものがありました。都市は焼け、山野は荒廃し、水禍による耕地は荒涼疲弊をきわめていたのであります。しかしながら、この荒廃した国土の復興こそ、当時八千万といわれた日本民族が生きねばならぬ基盤でありました。戦後の日本民族生存のための施策は、当然、唯一の資産であるところの国土の総合的な開発、民主的な経営以外になかったはずであります。これこそ平和憲法下、唯一の自立経済への道であったはずでありましたが、昭和二十五年の朝鮮動乱を契機として、わが国は再び軍事武装に移行していったのであります。古い格言に、「兵なるものは百年も用いざるを得べし。しかしながら一日も水に備えずんばあらず」といわれておりますが、わが国の国土の経営は寸時といえども忘れてはなりません。治山治水はわが国政治の要諦であります。  さて、この治山治水緊急措置法案を見て、第一に建設大臣並びに経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、第一条(目的)についてであります。この法律は「治山治水事業の緊急かつ計画的な実施を促進する」ことをうたっておるのでありますが、戦後十五年たった今日、緊急等といううたい文句が出てくるのは、今まで国土保全の意思のなかったことを表わしておるのであって、緊急どころではない、まことにおそ過ぎたものであります。昭和二十五年五月制定された国土総合開発法は、その第一条(目的)に「国土の自然的条件を考慮して、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地から、国土を総合的に利用し、開発し、及び保全し、並びに産業立地の適正化を図り、あわせて社会福祉の向上に資する」とあります。第二条(国土総合開発計画)には、土地、水その他の天然資源の利用に関する事項、水害、風害その他の災害の防除に関する事項が規定されてあります。本案はこれから治山治水事業を抜き出して実施しようとするものでありますが、本案とこの国土総合開発法並びに北海道開発法あるいは地方総合開発法とはいかなる関係があるかを伺いたいのであります。  第二に、建設、運輸、通産の各大臣にお尋ねいたしますが、海岸保全事業は本案から除外されております。本案は山と河川を対象としているものでありますから、海岸保全事業を対象からはずしていることは当然かもしれません。しかし、昨年の伊勢湾台風の被害に照らしても、伊勢湾に限らず、東京湾、大阪湾、有明海その他においても海岸保全事業は緊要なものであります。従って、伊勢湾以外の海岸保全事業に対しても政府は何らの施策を持っていないのではないかと思うのであります。また、海岸に関連して臨海工業地帯の地盤沈下をどう考えているかをお伺いしたいのであります。わが国工業の臨海性は、平地の少ない日本の宿命でありますが、この沈下は地下水を汲み上げることによって起こる人的災害でもあります。本案の第二条第三項第五号に、地震による地盤変動を特にあげて、河川工事のうちからはずして本案の対象としないことにしているのでありますが、海岸近くの河川における地震によらない地盤沈下はいかに処理していくつもりか、お伺いいたします。  第三は、建設大臣にお尋ねいたしますが、本案によって十カ年計画を決定する各河川の計画は、目標をどの程度に置いて決定しているかという問題でございます。河川に関係した文献によれば、最近における河川の計画洪水量の決定は、出水の頻度により、すなわち百年洪水あるいは八十年洪水等を目標にしてきめるようであります。そして、これらを確定して河川ごとに法定すれば、水害による国家賠償の問題もおのずから明瞭になってくるものと私は確信しているのでありますが、今回の長期計画における計画洪水量の頻度はどこに置かれているかをお尋ねしたいのであります。と同時に、政府は、事業費規模、前期五カ年計画として四千億とうたっていますが、この内容は、第二条第三項の第二号に、本計画よりの除外すべきものとして規定している公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に関連する事業費と、再度災害を防止するための新設または改良事業費として二百五十億と、地方の単独事業費百億を含むといわれておりますが、その差額三千六百五十億と関連事業二百五十億のうち国費と地方費の負担額は幾らになっているか。明確に答弁を願いたいのであります。なお、前期五カ年計画と後期五カ年計画の策定の閣議決定はいつごろになるか、あわせてお伺いしたいのであります。  第四に、建設、農林両大臣にお尋ねいたします。治水と利水の関連でありますが、たとえば利水面のダムができて、これがどれだけの治水上の効果をあげているかという点であります。一例をあげますならば、山梨県富士川支流早川における県営発電西山ダムは、竣工後三年を待たずして出水による土砂で埋没しております。計画によれば、埋まった土砂は百年分の土砂であるといわれております。また、建設省直轄の多目的ダムである長野県美和ダムも、竣工一年で埋まった土砂は、計画によれば三十年分の土砂であるといわれております。他にも例はたくさんありますが、これらは、上流の砂防事業をおろそかにしたため、ダムの効用を著しく減じた明らかなる事例であります。砂防事業の緊急実施について政府の決意を伺いたいのであります。  また、治山治水は、現在、建設、農林両省で実施されていますが、農林省の実施しているところの治山は林野砂防であり、治山というよりもあくまで森林営業のためのものであります。治山治水事業を一元的に実施してこそ効果があがると思うのでありますが、治山治水事業の一元化について政府はいかなる見解を持っておられるかお伺いいたします。  第五に、本案を実施する国の負担率並びに職員の定員化について申し上げます。本案が治山治水の緊急措置法というからには、従来の事業拡大進展していくものであり、これに伴う地方負担も増大するものであるから、地方財政の実情からも国庫負担率の引き上げをはかることは当然であります。昭和三十三年制定の道路整備緊急措置法は、基本法である道路法の規定にかかわらず、国の負担率を引き上げておりますが、本案においては、基本法である河川法の規定にかかわらず、国の負担率を引き上げようとする措置がございません。従って私は、当然、道路整備五カ年計画と同じように、国の負担率を引き上げるべきであると考えるのであります。国の負担率の引き上げすらできずに何が緊急措置法かと私は言いたいのであります。しかし、私は、昨年の大水害による国の出費も膨大であったということもわからぬではありませんから、せめて三十六年度には国の負担率の引き上げを実施いたしますとの政府の明確な答弁がほしいということであります。また、職員の定員化については、本案により十カ年計画が決定されれば、国の事業量も安定し、先の見通しもできるのでありますから、現在の非常勤職員を大幅に定員に繰り入れるのは当然であると思われるのでありますが、これに対して政府の見解を伺いたいのであります。これらについては、特に総理大臣並びに大蔵大臣、自治庁長官、建設大臣の答弁を求めます。最後に、私は、本案について十カ年計画を定めること、すなわち長期計画を樹立することは、ともかくも了といたしておりますが、しかしながら、翻って治山治水事業を初めとして過去の公共事業全体を見ますと、これことごとく一貫した総合性ある施策がありません。私が常々申しておるごとく、大部分が政治的政略的配慮によってのみ行なわれておったというのがその実態でございます。私はそういう事例をたくさん知っております。たとえば長野県下のある村、山口県下のある村のように、災害復旧事業に対する補助金の水増し等によって地元の実施機関はお手上げになった事例があります。時間がないからそういう例示をたくさん申し上げることはできないのでありますが、過去十数年間、私は、そうした現揚々々を歩いておりますので、知り尽くしております。ことごとくが政略的な公共事業であったことはいなめないのであります。災害はすべて政治的災害であったとさえ言えるのであります。こんなことを繰り返してはならないのです。岸総理以下並んでおられる各関係閣僚とも、御自分の所管の面については、かつての間違いを正し、国民のための公共事業という建前に返って、正しく実施していこうという決心をお持ちであろうと思いますが、ここで岸総理以下関係閣僚の決意を伺いたいと存じます。  なお要求しておりますところの関係大臣が御出席がないので、出席以外の閣僚に対する質問は、総理から一括して御答弁を願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  26. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答え申し上げます。治山治水の仕事につきましてこれを計画を立てて強力に実施することの必要なことは御意見の通りであります。政府は、そのために今回のこの法律を出し、また、これに基づいて長期計画を立てて、その第一年度としての必要な予算を計上いたしたわけであります。これの計画等につきましてはそれぞれ主管大臣よりお答え申しますが、特にこれに従事するところの職員を、非常に非常勤の者がたくさんおるが、これを大幅に常勤職員に改める必要があるという御意見でございましたが、これは、この仕事だけにかかわらず、この非常勤職員を常勤化して考えるという問題に関しましては、政府において慎重に検討をいたしておりまして、できるだけその御希望の線に沿うように検討をいたしております。  さらに公共的な事業、治山治水の仕事はもちろんのこと、災害復旧、また、その他の公共事業が、いろんな政治的な見地からこれが利用されるような弊害があるという点に関しましては、もちろん、これは、災害等が起こったときにおきまして、その災害の復旧に対して、政党政派を超越してこれが復旧をすることは、国民のためにわれわれが当然努めなければならぬことでありますし、また今回の治山治水の計画につきましても、これを国土保全の見地から、十分にわれわれは検討いたしまして、公正な立場において、あくまでも国民の福祉に沿うように、これを実現していく決意でございます。(拍手)    〔国務大臣村上勇君登壇拍手
  27. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) お答えいたします。国土総合開発との関係については、国土総合開発法は、御承知のように、国土の総合的な計画を樹立いたすものでありまして、治山治水事業の計画がこの一環として全く密接不可分な関係にあることは、言を待たないのであります。従いまして、この十カ年計画の策定にあたりましてば、経済企画庁その他の関係官庁と十分協議いたしまして、事前に調整をはかって決定いたしたいと思っておる次第であります。  それから、治水計画の基本となる計画洪水量の決定方針はどうかという点につきましては、既往の最大の洪水を重視するとともに、流域の人口、あるいは産業、経済等の重要性、治山の状況、また事業の経済性等を総合的に検討いたしまして、決定いたしておるのであります。ただいまのところ、大体、大河川については八十年ないし百年ぐらいを目標にいたして計画いたしておる次第であります。  次に、海岸事業を何ゆえにこの法案から除外しておるかという点につきましては、海岸事業は、一般海岸のほか、港湾、漁港、あるいは干拓、埋め立て等、各省に非常に関係がありまして、これは十分調査検討いたした上で、この海岸事業重要性にかんがみまして、各省が十分研究した上で、この事業の計画を遂行する必要があろうと思いますので、一応この法案から除外いたしております。しかし、地震等の地盤の変動対策につきましては、三十五年度から三カ年間でこれを終了するように、ただいま計画を立てて実施いたしておる次第であります。  次に、前期五カ年計画の地方負担がどのくらいかという御質問でありますが、これは大体前期五カ年計画四千億、そのうち、災害関連、あるいは県単を除きますと、三千六百五十億という規模になります。その三四%程度でありますから、大体一千二百億円程度を必要と考えております。  なお、治水事業の国庫負担引き上げについて、道路の場合は国庫負担を引き上げておるが、治水はどうして引き上げないのだという点につきましては、今回の場合は、政府におきまして、三十五年度以降の地方財政の拡充については、地方財政全般の問題として考えているようでありますから、本法律案では特にこの引き上げの点を規定しなかったのであります。  次に、西山ダムの地点について、西山ダムが非常に効果的でなかったような御質疑でありますが、このダムは、昭和二十八年度に砂防ダムを計画したのでありますが、たまたま山梨県において、同砂防ダムを利用して水力電気の計画をいたしたいということでありましたので、建設省といたしましては、この利用について砂防機能上別段支障がないように考えましたので、その計画を認めて、工事の実施は、経済的施工の上から、合併施工いたした次第であります。右のような趣旨によりまして、この西山ダムは、建設省としての目的である砂防計画につきましては全然欠陥がないのでありまして、このダムの県営発電所の機能喪失に伴う国車の助成等については考えておりません。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  28. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。  砂防を行なう場合におきまする建設農林両省の協力関係でありまするが、御承知のように、河川の最上流地帯におきまする河川対策は、これは国の造林対策と非常な関係があるわけであります。さような関係で、政府におきましては、上流地帯の工事は農林省がやることになっているのでございまするが、もとより、お話のように、砂防目的におきましては、これは一でございまするから、実行上両者がよく協力する、こういうことで参りたいと存じております。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  29. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 今回の治山治水計画の予算化の問題でございますが、国費の関係におきまして、もちろん私ともがその財源確保に最善を尽くすことは当然であります。また、地方の財政等も勘案いたしまして、その間に工事遂行に支障を来たさないように、十分注意して参るつもりであります。  ところで、三十五年度に計上いたしております七百四十六億、治水六百五十九億、治六十七億という予算を提案いたしておりまするが、この予算から十カ年を考えてみますと、毎年七・四%の増額を必要とするようであります。また、前期五カ年計画で見ますと、約一〇%の増加を必要とするように考えられます。最近の経済の活動状況等から見まして、国の歳入等も比較的伸びが計上し得るのであります。さようなことを考えますと、今回の長期計画を遂行するにあたりましては、もちろん他の面におきまして支障を来たさないように、また必要な減税等を実施することをも考えましても、十分遂行するだけの確信を持っておるような次第であります。  先ほど来、非常勤労務者についての定員化のお話、あるいは国庫負担率増額についてのお尋ね等もございましたが、総理並びに建設大臣からお答えいたしましたので、私からは省略いたします。(拍手)     —————————————
  30. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 田上松衞君。    〔田上松衞君登壇拍手
  31. 田上松衞

    ○田上松衞君 民主社会党を代表して、数点について質問いたします。  本法は、まず、十カ年計画の治山治水事業範囲を定め、次に計画策定の手続をきめて、最後に、計画の実施を確保するために、財政上、行政上の必要な措置を講ずる旨をうたっておるだけでございまして、この意味で、一見するところ、わずかに四カ条をもって構成されるところの本法案は、確かに一種の手続法と見られるのであります。けれども、その中身は、明年度から向こう十カ年間にわたる、少なくとも当面の政府予算の治山事業費一千三百億円、治水事業費九千二百億円の大事業計画を内容とし、実施対象とするところの重大法案なのであります。さらにまた、第一条に明記されております通りに、国民生活の安定と向上に資する目的のもとに行なう事業を実施するにあたっての新しいレールを敷こうとする点からも、まさに注目に値する重大法案だと考えておるわけであります。私はこうした観点に立って、以下関係各大臣に対して質問をいたします。  まず総理大臣に伺います。四点あります。  さきに申し述べたように、この法案は国民生活の安定と向上に資することを目的としておるのでありまするが、わずか四カ条の条文をもってしてこのような重大施策を行なうことができるのであります。私どもは、本法案それ自体はむろん大きくこれを歓迎するのであります。だがしかし、この際、翻って、政府がしばしば口にされているところの国民生活の安定と向上のうたい文句を私は思い浮かべずにはおれません。言うまでもなく、それは国民所得倍増長期計画のことであります。政府は、すぐにも国民所得倍増の計画を立てて、今にも実施するかのような大宣伝の太鼓を鳴り響かしているのでありますが、その実、一向に計画案はでき上がらないではありませんか。しかも一ぺん立案作成したところのプランさえも、計数上の不備だとか何とかいうことで、世間に発表することすらできなかったいきさつがあるはずです。治山治水事業という一分野にでも、このような計画実施の手続法案を提出できるところの政府が、なぜに、国民生活の安定と向上のための国民所得倍増長期計画について、本法案に見るような手続法の立案、あるいは提出ができないものだろうかを、私は理解することができません。所得倍増計画は、岸政権持続のためにするところの単なる国民への見せかけにすぎないものであるかどうか。もしそうでないとするならば、この機会に、これが立法の構想と法案提出の予定時期を念のために明示されたい。  第二点は、経済企画庁長官の関与権限についてであります。本案では、経済企画庁長官は、農林、建設両大臣の計画案作成にあたりまして、あらかじめ協議せしむるだけであって、事業の執行面につきましては、何ら関与する権限も責任もないことになっております。私どもは、国全体の長期経済計画立案の責任者であるところの経済企画庁長官は、その計画の進行状況に応じて、常に執行面にも関与せしむべきことが当然でもあり、かつ必要でもあると思うのでございますが、総理は、経済企画庁長官などには、その立場上やむなく一ぺんだけは事前協議のまねごとだけをさせておいて、あとは野となれ山となれ、むしろ邪魔になるだけだとでも考えておられるのか、御所見を伺っておきたいと思います。  第三点は、本法執行に伴って当然に生ずる地方自治体との関係についてであります。この案によりますると、都道府県知事が施行するところの治山治水事業も、明年度から向う十カ年間は、すべて本法によって、事業計画も、予算編成も、予算執行も拘束されることになります。すなわち事業費の一部を国が補助し、または負担した残りの費用はほとんどが地方自治体の負担となるわけでありますから、このように今後十カ年の長きにわたって地方自治体の予算が拘束されるならば、それだけ地方財政の自主的運営というものが阻害されて、いわゆる地方財政の単独事業費のワクが狭くされることは必然であります。これでは憲法第九十二条に規定いたしますところの地方自治の基本原則がそこなわれることになりはしませんか。言葉をかえていえば、憲法に抵触するおそれの要因を招来することになりはしないかと考えるのであります。さらに、この負担のために、地方債発行のワクを拡大せざるを得ない羽目に陥ることもまた必至だと考えます。そうなると、この点では明らかに自治庁の地方行政指導方針とは相反することにもなるわけであります。総理は、こうして地方自治体の予算が、新たに長期的に拘束されるところの事実をどのように考えられるか、そうして、これに対処してどのように地方自治体を指導せしめるかを承っておきたい。  第四点は、本計画案実施と労働力との関係について伺います。まず前提として、この大事業執行のために吸収されるところの年間平均雇用量を、およそどのくらいに測定されておいでになるか伺っておきます。さらに、このような長期にわたるところの大事業計画にあたっては、これに対応するための労働力の確保、あるいは雇用の条件、並びに技術の向上等に関しまして、当無に、しかも積極的に、労働大臣の参画を必要とすべきものと私は考えるのでございまするが、特に条文に労働大臣の参画を除いてしまった理由と御所信を明らかにされたい。  次に大蔵大臣に一点お伺いいたします。本案は、予算執行の面では、治水特別会計法案と、国有林野事業特別会計に新設予定であるところの治山勘定のパイプを通ることになるわけでありますが、本案の第二条第二項で規定しているところの治水事業の執行にあたって、なぜ治水特別会計の新設が必要になって参るのか、この理由を明らかにされたい。本案によりますると、執行されるところの事業は、国が施行するもの、及び都道府県または都道府県知事が施行し、かつ、これに要する費用の一部を国が負担し、または補助するもの、これだけであるのであるから、結局、何のことはない、すべて国の予算から歳出されるところのものでございまして、財政法第十三条第二項にいうところの、特別会計が成立するに必須条件でありまするところの、特定資金を保有しておる場合とか、もしくは特定の歳入をもって特定の歳出に充てる場合、これらのいずれにも該当しないのであります。もし、しいてこの解釈を、特定の歳入を持つものであると、こういたしまするならば、たとえば義務教育費の国庫負担金の問題とか、あるいはまた生活保護費の関係においても、何でも、特定の歳入によって特定の歳出に充てる特別会計制度というものが設定されることが可能になって参るわけであります。そうで、本案第二条第二項にあげてある、ころの事業に関する予算が、はたして特定の歳入歳出であるという根拠が一体どこにあるのか、どこからそのような解釈が生まれるのか、この点を明確にしていただきたい。  次は農林大臣及び建設大臣にお伺いいたします。本案の第三条は、治山事業については農林大臣が、治水事業については建設大臣が、それぞれの審議会の意見を聞いて計画を立案して、しかる後に閣議の決定を求めなければならないことを規定しております。従って、今後におきまするところの治山治水事業は、この手続を経ない限りは、事実上施行に着手することはできないことになって参ります。さればこそ、この際、両大臣の基本的な構想を伺っておく必要がございます。  一つは、計画がいたずらに総花式に全国至る所の事業に広がって、こま切れ工事を長年月にわたってだらだら実施するようなことがありますならば、これはむしろ国費の乱費に陥る危険すら生まれてくると心配いたします。そこで、工事の重点的な施行と、並びに地域的な施行対象の選定等に関しまして、両大臣はどのような基準をもってこれに当たろうとする御所存であるか、この点が一点。  第二には、本法を実施しようとするところの四月一日はもうすぐであります。これを目前に控えておいて、あなた方が計画案を閣議に持ち込みたいところの予定時期を、いつごろだとお考えになっておるか、お聞きしておきたい。なぜか。私どもは、本法案の重要性にかんがみまして、特に本法文の奥にひそんでおります、ちらつくところの一種の権力を重視しながら、事業計画の構想については慎重に審議すべきことの必要と責任を痛感するからであります。あらかじめこの機会に特に質疑をいたしておくわけでありまするので、両大臣の率直なる御答弁を要求いたします。  最後にもう一点、総理大臣の所見を伺います。本案の四条は、政府は本計画実施のために必要な措置を講ずることを明記しております。この事柄は、普通、常識的にはきわめてあたりまえのことのように受け取れるのでありまするけれども、その底をうがつならば、まことに重大なものがひそんでいると考えるのであります。もし、それが乱用されたならば大へんなことになることを危惧せざるを得ません。すなわち、必要な措置がもっぱら行政措置にまかされてしまったのでは、それこそ行政府に対するところの権限委任の行き過ぎになりかねないのであります。私どもはこの点を最もおそれているのであります。政府がこのような条文をことさらにつけたというところの真意は一体どこにあるのか。露骨に申し上げますけれども、戦時中の閣僚であったところの岸総理であるだけに、私はあえてこの点をただしておく必要を痛感するのであります。どうぞ要旨をそらさないように、的確な御答弁を要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  32. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  第一は、国民生活の安定向上という意味からいえば、最も関係の深い国民所得の倍増計画について何らの措置をしていないじゃないかという御質問でございます。国民所得倍増計画につきましては、ほぼ十年を目標として、国民所得を倍増し、その間において、各業種別あるいは企業別、地域別等の所得の格差をできるだけなくして、国民全体がこの倍増計画によってその所得をふやすような計画を、目下、経済審議会に諮問いたしまして検討中でございます。その成案を得るならば、もちろん、これを発表し、国民の御協力を願っていく考えでございます。  第二点は、経済企画庁の長官は、計画の樹立については協議を受けるが、執行については何ら受けないじゃないかという問題でございます。言うまでもなく、この事業の執行につきましては、建設、農林両大臣が、それぞれ治水と治山とを分けて責任を持って執行に当たるわけであります。しかしながら、同時に、その間に有機的な連携をとっていかなければなりませんし、また、計画遂行の上から見て調整を要するような問題につきましては、それぞれ経済企画庁とも連絡をとっていくことは、これは当然の建前でございます。しかし、最も大事なことは、この治山治水の計画を立てるという場合におきましては、先ほど申しました所得倍増計画であるとか、その他経済の長期計画と密接な関係を持っておりますから、この計画につきましては、その立案について、特に経済企画庁長官に協議すべきことを定めておるわけであります。  次に、この治山治水の計画事業を実行していくならば、地方自治団体に対して相当大きな負担をかけて、そのために地方団体として本来尽くさなければならない仕事ができなくなって、憲法第九十二条の精神に反する、これに抵触するのじゃないかという御質問でございます。もちろん、地方が自主的に企画して仕事を行なっていくということは、地方自治団体の自治の精神からいえば当然でございますが、同時に、国の事業に対しましても、これに協力していくことが、その地方の福祉、住民の生活の向上に資するような仕事につきまして分担していくということは、これは私は地方自治団体の精神であって、決してこれがために地方自治というものをそこなうものではないと思います。ただ、その場合において非常に大きな負担をさせて、地方の財政が成り立たないというようなことは、これは考えなければなりませんから、その場合における財源の措置、また、国との間における関係というようなことにつきましては十分に考慮して、自治団体として、地方自治にも非常な関係の深い治山治水の仕事に十分協力できるようにしていく必要がある、かように思います。  次に、雇用問題についての御質問でございます。この十カ年計画を今後遂行していくという上におきましては、相当たくさんの雇用の吸収という問題があると思います。大体、一日十五、六万人の雇用を、この計画が実行されれば吸収するという見通しを持っております。従って、将来労働力の上におきまして、この事業を推進していくためには、十分に雇用問題というものを考えていかなければならぬのは当然でございます。従って、計画を立てる場合におきましては、先ほども申しましたように、経済企画庁において、労働の点、その他諸般の点を十分に検討してやるわけでございまして、特に労働大臣をこれに入れないからといって、この点を軽視しているわけではございません。また、計画自体の最後の決定は閣議においてやりますから、十分その点は連絡をとって参る考えでございます。  最後に、本法において、政府が計画実施に関する必要なる措置をやるということが、大きく行政措置に立法その他のことを委任したのではないかという御質問でございますが、これはそういう意味じゃございません。もちろん、この計画を遂行するために、将来法律を作るとかあるいは予算を計上するという場合においては、国会の御審議に待つべきことは当然でありまして、ただ、政府としては、それらの法律、予算が定めている範囲内において行政措置としてやるべき事柄を当然やっていかなければならぬということを、特に明瞭ならしめて、事業の遂行に資しようということでありまして、国会の立法権であるとか、あるいは審議権等を無視して、これを行政に委任するという趣旨ではございません。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  33. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 今回の治水事業の遂行にあたりまして、治水特別会計を新設することにいたしましたが、これについてのお尋ねでございます。今回の治水特別会計におきましては、その財源といたしまして、従来からの一般会計財源のほかに、直轄事業地方分担金を加えて、財源の拡充をはかることといたしております。同時にまた、この特別会計を通じまして、今回の長期計画に基づく事業の収支を特別会計において総括経理することにより、経理の明確化と事業実施の円滑化をはかるということにいたしているのでございます。(拍手)    〔国務大臣村上勇君登壇拍手
  34. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) お答えいたします。  昭和三十五年度の治水事業につきましては、法水十カ年計画の初年度として実施するものでありまして、十カ年計画の一部として、従来よりも大幅に予算を増額いたしておる次第であります。従いまして、十カ年計画は当然に今回の予算に計上された事業を含めて作成することに相なる次第であります。なお、治水事業の十カ年計画は、関係各省と十分協議調整の上、できるだけすみやかに案を作成して閣議決定乞いたしたいと思っております。御指摘になりました総花式であってはならないということは、全くその通りでありまして、私どもは国土保全のとの重要な事業に対しまして、そういり総花式というようなことでなく、重品的に緊要度の高いところから逐次これを進捗して参りたい、かように思っておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君君登壇拍手
  35. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま建設大臣からお答え申し上げました通りでございます。(拍手
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしましん。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  37. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算、附和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書、  日程第四、昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算書、  日程第五、昭和三十二年度国有財産無償貸付状況計算書、  日程第六、昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書、  以上四件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認ります。まず、委員長の報告を求めます。決算委員長上原正吉君。    〔上原正吉君登壇拍手
  39. 上原正吉

    ○上原正吉君 ただいま議題となりました日程第三から第六までの四件につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  まず、昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書について申し上げます。  本件は、昭和三十三年十二月二十二日国会に提出されまして、今回審査を終えたものであります。  まず、本件の内容の概要を申し上げます。  一般会計は、歳入決算額一兆三千九百九十八億余万円、歳出決算額一兆千八百七十六億余万円で、差引二千百工十一億余万円の剰余を生じましたが、このうち、三十二年度新たに生じた純剰余金は八百四億余万円であります。また前述の歳出決算額のほかに翌年度への繰越額が三百十五億余万円ありましたので、九十四億余万円が不用額となっております。予備費は、予算額八十億円に対し、そのほとんど全額を使用されました。また国庫債務負担行為のうち、財政法第十五条第一項に基づくものは、限度額三百六億余万円に対し、実際負担額は二百五十六億余万円で、同条第二項に基づくものは、限度額三十億円に対し、実際負担額は一億余万円でありました。公債は、内外債を合わせ、年度初め現在額四千六百八十三億余万円、年度中の発行額は四百五十六億余万円、減少額四百七十五億余万円で、年度末現在額四千六百六十三億余万円であります。借入金は、年度初め現在額四百九十五億余万円、年度中の借入額八百余万円、減少額一億余万円で、年度末現在額四百九十四億余万円であります。  特別会計は、その数が四十でありまして、各特別会計の決算額の総計は、歳入決算額が二兆三千七百六十二億余万円で、歳出決算額が二兆千三百九十三億余万円であります。  政府関係機関は、その数が十一でありまして、各機関の決算額の総計は、収入決算額一兆千四百二十六億余万円、支出決算額一兆四十一億余万円であります。  以上が決算の概要でありますが、詳細は決算書類についてごらんを願います。  本件につきましては、昨年二月十三日関係各省及び会計検査院から説明を聞きまして、本年二月二十六日までの間に三十回の委員会を開き、また二班の委員派遣によって現地調査を行ない、慎重審議を重ねました。その詳細は会議録にまってごらんを願います。  審議を終わるにあたりまして、三十二年度においてもなお改善の跡の認められない防衛庁に対し、当委員会の決議をもって、その反省と努力とを求めるため、重ねて警告を与えました。  審査の結果といたしまして、内閣に対し注意を与え、警告を行なう必要があると認めた事項は審査報告書に掲げましたが、その概要を申し上げますと、  まず第一は、綱紀の粛正についてであります。決算委員会は、国の財政の処理を監視する立場からいたしまして、毎年度の決算審査にあたり、綱紀粛正の要望を続けてきたのでありますが、いまだに、上下を通じて、職責の自覚、責任観念の確立、厳正な信賞必罰が行なわれているとは認められなかったのであります。  第二は、財政の制度及び運営の整備改善についてであります。国家財政の成果をあげ、経理の適正を期するには、財務行政において組織的な統括管理が重要であり、そのためには内部監査が効果的でありますが、これがいまだに十分に行なわれておりません。従って、各省庁はもとより、政府関係機関において、たとえば工事の施行、物件の調達などに、不経済、不明朗な事態が繰り返されており、また現金、物品の出納に不正事件が発生し、国有財産の管理運用もうまくいっておるとは言いがたい。また公庫、公社等の政府関係機関や各種補助団体に対する監督においても適切を欠いている点が認められます。また財政の実体をなす予算の編成及び執行におきまして、総花的な配分になったり、事業の施行が跛行的であるなど、財政資金の効率が悪いものも見受けられます。これらの点につき、政府当局の一段の注意を喚起し、反省を要望したのであります。  第三は、事業計画の確立と実施効果の確保についてであります。国及び政府関係機関におきまして、各種五カ年計画など、長期にわたる事業が実行されておりますが、中には資金の不足等によって予定が著しく、ずれるものなどが見受けられますが、いやしくも国の財政資金を使用する事業について、このようなことがあってはならないことを強調いたしたのであります。  以上が内閣に対する警告の要旨でありますが、このような警告を毎年繰り返さなければならないのはまことに遺憾であります。  会計検査院の検査報告における指摘事項の数は三十年度以来逐年減少しておりますが、まだ不当不正事実の発生する根本的欠陥が除かれたものとは認められないのであります。要は、人的要素における綱紀の粛正を初めとし、財政行政の制度組織、内容及び運用面において、この際、政府が事態を再検討して適切な対策を講ずることを要望することは、決算委員会における超党派的な意見であります。  次に、本件採決の際に各委員からなされました討論の要旨を申し上げますれば、まず自由民主党を代表する野本委員から「決算を承認するにあたり、次の事項を強く申し上げたい。三十二年度は前年度に比べ改善の跡も見られるが、なお多数の指摘事項がある。公金、公物はすべて国民の血税に基づくものであることに思いをいたし、最も公正に効率的に使用すべきである。会計検査院に指摘されたような事項は、各省の責任において内部監査を強化して防止すべきであり、今後事務能率の発揮と部内綱紀の粛正に一そう努力すべきである。」との御発言がありました。次に日本社会党を代表して矢嶋委員から「政府は血税の行方を見守ることについて不熱心である。補助金を中心として問題が多い。特に防衛庁における経理には旧軍部的感覚の潜在が疑われる。今回、警告決議をしたのは防衛庁だけであるが、その他の各省においても警告がなかったからといって気をゆるめてはならない。公金、公物を重視する考え方を強化し、予算の執行は能率的に行ない、租税の徴収について不当事項をなからしめるなど、内部監査を強化し、納税者の期待に沿うよう努力すべきである。」との御発言がありました。無所属クラブを代表する石田委員から「検査報告の不当事項は減少しているが、世相が安定し、行政も軌道に乗ってきたこの時代としては、決して少なくない。元来あってはならないものだから、各省庁はこれを根絶するために具体策を立て、国民の期待に沿うべきである。不当不正事項発生の原因の一つは、行政機構の膨張複雑化と、各省間の不一致にあると思うので、内部監査、内部統制のほかに、行政機構の簡素化、合理化を促進することに努められたい。」との御発言がありました。最後に参議院同志会を代表して常岡委員から「現在は、外交、内政ともにきわめて重大な時期に際会している。この国政の危機を突破する上において特に遺憾にたえないのは、防衛庁が毎年連続して警告を受けている事実である。純真な青年が国防の重責を自覚して、これに挺身せんとする者も多いと思うが、これら青年の心に不信の念を与えていることともなるから、この点に十分な関心を払ってその信頼を回復するように努力すべきである。」との御発言がありました。  以上の討論を終わりましん、採決の結果、全会一致をもって審査報告書の通り異議ないものと議決した次第であります。  以上をもって本件の報告を終わります。     —————————————  次に、昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和三十二年度国有財産無償貸付状況計算書に関する決算委員会の審査の経過並びに結果を報告いたします。  まず両件の内容の概要を申し上げます。  昭和三十二年度において、一般会計、特別会計を合計した国有財産の増加額は二千八十二億余万円、減少額は九百二十三億余万円、差引純増加額千百五十九億余万円でありまして、当該年度末、すなわち昭和三十三年三月三十一日における国有財産の現在額は二兆千四百五十億余万円となっております。この内訳は、行政財産一兆千九百六十億余万円、普通財産九千四百九十億余万円でありまして、行政財産をさらに分類いたしますと、公用財産四千九百二十四億余万円、公共用財産八十六億余万円、皇室用財産九十五億余万円、企業用財産六千八百五十四億余万円となっております。  次に国有財産の無償貸付は、一般会計、特別会計を合わせて、昭和三十二年度における増加額は十五億余万円、減少額は三億余万円、差引純増加額は十一億余万円でありまして、年度末における無償貸付の現在額は六十三億余万円となっております。  決算委員会におきましては、右二件につきまして政府の説明並びに会計検査院の検査報告の説明を聴取いたしました上、昭和三十二年度決算と並行して慎重審議いたしましたが、本件の内容をなしますところの国有財産の取得、管理及び処分に関し、処置の適正でない点、財産管理の基礎資料をなす実態調査が十分でない点につきましては、別途、昭和三十二年度決算において審査を行ないましたので、この二件の計算書については異議がないことと議決いたした次第でございます。  以上御報告申し上げます。     —————————————  次に、昭和三十二年度物品増税及び現在額総計算書に関する決算委員会の審査の経過並びに結果を報告いたします。  まず本件の内容の概要を申し上げます。  昭和三十二年度における物品の増加額は三百四十七億余万円、減少額は二百十一億余万円、差引純増加額は百三十六億余万円でありまして、当該年度末すなわち昭和三十三年三月三十一日における物品の現在額は九百七十九億余万円となっております。この内訳をおもな品目別に申し上げますと、車両及び軌条百九十億余万円、土木機械百六十一億余万円、試験及び測定器八十八億余万円、産業機械七十三億余万円となっております。  決算委員会におきましては、本件につきまして政府の説明並びに会計検査院の検査報告の説明を聴取いたしました上、昭和三十二年度決算と並行して慎重審議いたしましたが、本件の内容をなしますところの物品の管理について処置の適正でない点につきまして、別途、昭和三十二年度決算において審査を行ないましたので、この計算書については異議がないことと議決いたした次第でございます。  なお、この際付言いたします。三十二年度決算の審査を終わりました際に、当委員会は過去の大災害における復旧事業費の不当が多かった事例にかんがみ、三十四年度大災害の復旧事業費に関し、経理の適正化について、内閣に対し、特に要望決議をして国損の防止方を督励いたしました。  以上報告申し上げます。(拍手
  40. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算昭和三十二度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書に対し、討論の通告がございます。発言を許します。小柳勇君。    〔小柳勇君登壇拍手
  41. 小柳勇

    ○小柳勇君 ただいま議題となりました昭和三十二年度一般会計決算外三件につきまして、私は日本社会党を代表して、幾多の不満はあるが、委員長の報告通り承認することに賛成の討論を行なわんとするものであります。  なお、防衛庁に対しては、ただいま委員長の報告がありましたように、決議をもって注意を促しているのでありますが、関係長官の出席がない。また、この中で相当関係する大臣がありますが、この大事な決算の承認にあたって大臣の出席のないことを、党を代表いたしまして遺憾とするものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  この決算を承認するにあたりまして、私は、政府の財政処理並びに国会の決算審査に対する政府の態度につき、わが党の立場を明らかにし、この際、特に政府の反省を促すべき二、三の重要な点につき意見を述べたいと思います。  まず第一は、過去数年来の国会における決算審査の結果が、行政運営上に十分反映されておらないというきわめて遺憾な事実でございます。毎年、党派を超越して熱心な決算審査が続けられ、その結果、内閣並びに各関係当局に適切な要望がなされておるにもかかわらず、二十八年以来過去五カ年間に、血税のむだづかいとして会計検査院から批難された金額が実に三百二十七億円という巨額に上り、三十二年度決算についても依然として十五億円の金額が不正不当使用と指摘されておる事実であります。しかもこの十五億円の国損は、わずか八・六%というきわめて低い検査施行率の会計検査で発見されたものであり、全体から見まするならば、氷山の一角にすぎないという点であります。現に郵政省だけ見ましても、犯罪事犯による国損金額は一億数千万円が摘発されているのでありまして、一年間の実質的な不正不当金額はおよそ二百億円にも上るものと推測されるのであります。何人もかような決算に快く賛意を表することはできないと思われるのであります。今後、政府がその場のがれの答弁で一時を糊塗することなく、実行をもって改善の実をあげるのでなければ、国民の信にこたえるためにも、わが党は今後の決算審議に対しては別途対策を考えなければならないと思うのであり、政府の強い反省を求める次第であります。  第二に、不正不当の発生する原因が主として政府施策の不徹底と怠慢に由来するということであります。たとえば政府契約について見まするに、会計法上は一般競争契約が原則であるにもかかわらず、昭和三十二年度一般会計における政府契約の実情は、九四%が随意契約、五%が指名契約であり、一般競争契約は全体のわずか一%にすぎないという実情であります。また各種補助金の整理についても、再三にわたって当院決算委員会でも勧告され、誠意をもって実施するとの大蔵大臣の言明があったにもかかわらず、実際の効果はほとんどあがっておりません。根本的には、予算の編成や執行上、その合理化がなおざりにされているために、国費の効率的な運用が阻止されているということであります。たとえば農業水利事業のような総合事業において、国営事業団体事業との間に総合的な施策を欠いているために、工事の進行がびっこになり、あるいはまた、同一省内でありながら、総花的予算配分のため、着工以来九カ年を過ぎてもなお事業効果が発揮されていない事業すらあるのであります。政府はこの際、この種予算の不正不当の使用の温床となるものを徹底的に究明して、抜本的な改革を断行し、再び不正不当使用が発生しないよう施策の徹底を期すべきであります。  第三に、防衛、公安関係経費を中心に、政府の官僚的な財政運用に警告を与えたいのであります。三十二年度決算審査の過程で、これら経費の使い方につきわれわれの承認しがたい事実が明らかになったのであります。  まず、防衛庁経費について見ますと、イタリアのスタッキーニ会社から購入しようとして支払いましたロケット弾の前払い金二千二百七十万円が回収不能となったということであります。また昨年秋、国民の激しい反対運動に抗してひそかに持ち込まれたサイドワインダーの購入代金五千万円が、実はすでに一年近くも前に全額米国側に支払われておった事実が明らかになったのであります。これと、本年度予算執行段階で、行政府の一方的な判断で計画を変更し、最新式誘導弾ターターの購入を決定したこと、並びに来年度予算に一千億円に近い巨額の国庫債務負担行為を計上しておることなどを考え合わせますときに、防衛庁の予算執行が戦前の臨時軍事費会計的な暗い姿に進みつつあるのではないかと深く危惧するものであります。  次に、昭和三十二年、岸内閣の成立を契機といたしまして、公安関係の調査活動費や各省の報償費が急激に増加し、しかも、これら経費の使途について会計検査院の検査が行なわれず、戦前の機密費と同様の取り扱いを受けておる事実が明らかになったことであります。昨年夏、岸首相の外遊に際し、当然、党費あるいは個人から支払いされるべき随行議員団の旅費が、外務省の報償費から支出されたという事実も明らかになったのであります。昨年十月の横浜市金沢における東洋化工の爆発、さらに十二月、京浜第二国道における自動車事故などによる被災者に対する補償、見舞などには、一顧だに与えない冷淡な態度に比べて、国民の一人としてまことに憤激にたえないものがあるのであります。新憲法下、財政法その他会計法規の趣旨かち見まして、本来、国民の前にガラス張りであるべき財政運用が、国民の知らない間に、国民の目の届かないところで官僚によってゆがめられ、独裁的になっていくのではないかと、深く憂えるのであります。この際、政府は、憲法の精神にのっとり、民主的財政運用に努めるべきであります。  第四に、物品の管理について政府の注意を促したいのであります。防衛庁において兵器や被服などの供与物品の亡失毀損が著しく多額に上っていると会計検査院から注意されておるのであります。自衛隊内部における規律のゆるみと士気の低下がこのような結果を発生せしめておるのではないかと考えるのであります。防衛庁は、これら物品が国民の血税によってまかなわれていることに深く思いをいたし、今後かかる指摘のないよう注意すべきであります。  さらに、食糧庁における政府保有米麦の保管について決算審査の過程で明らかにされた事実を報告いたし、政府に強く反省を求めたいと思います。すなわち、埼玉県下の倉庫に保管中の国内麦一万九千俵のうち一万七千俵がいつの間にか消失していた事実及び千葉県下の倉庫で前後二回にわたり六千五百俵の米が同じく消失していたという奇怪な事実であります。このような、常識ではほとんど考えられない事態が政府の監督の下において平然と行なわれておった点について、私は関係職員の職務遂行に対する責任感の喪失に心から驚かざるを得ないのであり、官紀の低下を深く憂えるのであります。  最後に綱紀粛正について意見を述べたいと存じます。岸総理みずからも三悪追放を公約し、官紀の粛正と信賞必罰を国民に誓っておられるのでありまするが、しかるに、国の財政を預かり、血税の使用について各省に範をたれるべきはずの大蔵省に、国有財産の払い下げや徴税にからみ、大がかりの汚職が発生している事実が見られるのであります。また、信賞必罰について見まするに、国民の血税十五億円の不正不当使用に対してわずかに二十四名の懲戒処分がなされておるに過ぎません。他の大部分の関係者は、厳重注意というきわめて軽い名目的な処分であり、しかも懲戒処分を受けたものの大部分は下級末端職員であります。最高責任者については口頭で注意を与える程度であり、直接責任の職にある部局長に至りましては、二カ年を経過した今日ではほとんど栄転しているという事実でございます。一方、三十二年度における公務員の労働運動に対する懲戒処分を見ますると、処分された者の総数七万二千二百人の多きに上り、処分内容は、免職、停職、減給、戒告など、まことに苛酷にして残酷きわまりなきものであります。これが憲法に保障された団体行動権に基づく行為に対する処罰であります。私は、決算上の不正不当に対する処分が数の多きを求めるのではありません。またその重きを願うのでもないのであります。この労働運動に対する処分と比べて、あまりにもはなはだしい差別と矛盾が、岸内閣の唱える信賞必罰の実態であることを訴えんとするものでございます。(拍手)ここに政府の強い反省を求める次第でございます。  以上、五つの点につき意見を述べましたが、その他決算の内容について不満とするところを一つ一つあげれば限りありません。審査の跡を振り返ってみますと、中には、当局の改善努力の跡顕著なるものもありますが、また、いま一歩の努力を要するところもあります。なお、防衛庁のように、過去四カ年間連続して警告を受けながら、いまだ改善の跡を認めがたいところもあります。従いまして、本決算を契機として、政府及び関係当局がさらに創意と努力を重ね、一円の国費さえもむだなく使用される日の到来が一日も早からんことを強く要望するものであります。特に、昭和二十八年度の災害予算については、決算審査において驚くべき不正不当の事実が指摘されております。昨年の大災害に対して、今後数百億円に上る予算が執行されるのでありますが、再度二十八年度のごとき悲しむべき結果を招来しないよう、政府並びに関係当局に強く要望しておきたいと思うのであります。  わずかながら曙光が見えて参りました今日、いたずらに本決算の欠点にこだわり、これが追及だけに終わることは、国家財政適正化のため、必ずしも得策とは思いません。非違は非違として、政府が災いを転じて福となすよう督励することが、今日では最も肝要かとも考えます。  ここにわれわれは、決算上はなはだしく不当と思われる防衛庁に、決議をもって警告を発して今後を戒めるとともに、災害予算に対しては、予防決議をなして、あらかじめ予算の適正な使用を希求し、昭和三十二年度一般会計予算外三件に対しては、不満ながら承認を与えんとするものであります。  以上、討論を終わります。(拍手
  42. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより四件の採決をいたします。四件全部を問題に供します。四件は委員長報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  43. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって四件は委員長報告の通り決せられました。      ——————————
  44. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第七、関税及び貿易に関する一般協定へのスイス連邦暫定的加入に関する宣言の締結について承認を求めるの件、  日程第八、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。外務委員会理事井上清一君。    〔井上清一君登壇拍手
  46. 井上清一

    ○井上清一君 ただいま議題となりました条約及び法律案各一件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、関税及び貿易に関する一般協定へのスイス連邦暫定的加入に関する宣言の締結について承認を求めるの件について申し上げます。  この宣言は、スイスが、自国の通貨政策上及び国内法に基づく一部農産物等についての輸入制限上、ガットの規定を完全に実施できない立場にあって、ガットに正式加入することができませんので、暫定的加入の方法として、スイスがガットの規定の一部を留保することを認め、この留保の問題を村来スイスとガット締約国団との間で検討することを条件として、スイスとこの宣言に参加する国との間に、ガットに基づく通商関係を設定することを規定したものであります。この宣言は、ガット締約国中わが国を含む十八カ国とスイスとの関税交渉を経まして、第十三回ガット総会において、昭和三十三年十一月二十二日に作成されたものでありまして、わが国は、この関税交渉において、スイスから五税目の関税譲許を獲得するとともに、スイスに対してほぼこれに見合う薬品等五税目の譲許を許与することとなりました。この宣言が発効し、譲許が実施に移されますと、わが国の譲許は、スイスのみならず、他のガット締約国にも与えることとなる反面、わが国は、スイスの全譲許品目を含め、他国の譲許についてもガット関係に基づいて均霑することとなりますので、関税引き下げの面から、わが国とスイスその他ガット締約国との貿易の増大に寄与することが期待されるとの政府の説明でありました。なお、この宣言の署名期間は本年四月一日までとなっており、現在までにスイスを含めた二十一カ国が署名を行なっております。  委員会の審議におきましては、国会の承認が求められておる宣言締結の持つ法的意義、その他、ガットに関連して、ヨーロッパの共同市場及び自由貿易連合の結成がわが国貿易に与える影響及びこれに対処すべき施策等につき質疑が行なわれましたが、詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  委員会は、三月十五日質疑を終え、討論、採決を行ないました結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案の内容は、カナダのモントリオ—ルとアフリカのローデシア・ニアサランド連邦のソールズベリーに、それぞれ総領事館を新設するため、在外公館の名称及び位置を定める法律を改正するとともに、これら二つの総領事館に勤務すべき外務公務員の在勤俸の支給額を設定するため、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正しようとするものであります。  政府の説明によりますと、モントリオールは、カナダにおいて政治的にも経済的にも重要の地位にあるケベック州第一の都市でありますが、現在、同地から遠隔の地にある在トロント領事館が同州をも管轄しておるので、十分な領事活動に不便を来たしておること、また、ソールズベリーは、英領植民地である南ローデシアと、保護領である北ローデシア及びニアサランドで構成されているローデシア・ニアサランド連邦最大の都市であり、また、同連邦が近い将来に独立するものと思われることなどが、両総領事館新設の理由であります。  委員会の審議におきましては、ローデシア・ニアサランド連邦とわが国との貿易関係及び競争国との関係、また、わが国の対アフリカ政策の今後の重要性にかんがみて、同地域における在外公館及び本省の担当機構の強化、アフリカ勤務の外務公務員の待遇問題、アフリカの経済開発に関する施策等につき質疑が行なわれましたが、詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  委員会は、三月十七日討論、採決を行ないました結果、本法律案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  47. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両件の採決をいたします。  まず、関税及び貿易に関する一般協定へのスイス連邦暫定的加入に関する宣言の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は全会一致をもって承認することに決しました。      ——————————
  49. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  50. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  51. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第九、船主相互保険組合法の一部を改正する法律案内閣提出)、  日程第十、酒税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長杉山昌作君。    〔杉山昌作君登壇拍手
  53. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 ただいま議題となりました二つの法案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  船主相互保険組合法は、昭和二十五年に制定されまして、同法に基づいて船主責任相互保険組合が設立されたのであります。その事業は、船舶の所有者または賃借人たる組合員が、その所有または賃借する船舶の運航に伴って生ずる事故による費用及び責任を填補する保険業務を行なうこととしておるのでありまするが、最近におけるわが国海運界の現況にかんがみ、今回この法律を改正して、用船者及び回航請負人としての費用及び責任にも保険を付し得ることとし、これに伴う条文整理をあわせ行なおうとするものであります。  委員会の審議におきましては、船舶損害保険制度の現状等につきまして質疑がなされたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、酒税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近における清酒及び合成清酒の消費の状況にかんがみ、これらの酒の級別制度の合理化をはかろうとするものであります。すなわち、清酒については、一級と二級の小売価格の差が大きく、消費面から見て両者の間に弾力性を欠いているので、一級と二級の中間に新たに準一級を設けようとするものであり、合成清酒については、一級の消費量が著しく減少して、ほとんど全部が二級となり、一級をこのまま存置しておく意義が失われたので、この際その紋別を廃止しようとするものであります。委員会の審議におきましては、準一級酒の設定により酒税の減収になるのではないか、清酒と合成酒との区別が次第になくなっていく心配はないか、現行の酒造米の割当方法には大きな矛盾があるが、それの是正についてどう考えているか等の質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべもきのと決定いたしました。  以上御報告を申し上げます。(拍手
  54. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  55. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  56. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十一、海岸法の一部を改正する法律、案(内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。建設委員長岩沢忠恭君。    〔岩沢忠恭君登壇拍手
  57. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 ただいま議題となりました海岸法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  現行海岸法は、海岸保全区域の管理は、原則として都道府県知事等の海岸管理者が行ない、主務大臣が海岸管理者にかわってみずから工事を施行することができるのは、国土の保全上、特に重要と認められる海岸保全施設の新設または改良に関する工事で、その規模が著しく大であるもの等であり、災害復旧に関する工事については、もっぱら都道府県知事等の海岸管理者が行なうことになっております。  本改正案は、昨年の台風第十五号による海岸保全施設の災害復旧工事のように、国土の保全上きわめて重要なものについては、主務大臣がみずから施行する必要があるので、今後は、新設または改良に関する工事と同様、一定の場合に主務大臣が災害復旧に関する工事を施行することができるよう措置するものであります。  その内容を申し上げますと、まず第六条の一部を改正し、主務大臣がみずから施行することができる工事に、海岸保全施設の災害復旧に関する工事を加えることとし、これに伴い、主務大臣が施行する海岸保全施設の災害復旧に要する費用の負担及び負担金の納付方法に関する規定について所要の改正を行なうものであります。  委員会における質疑のおもなるものを申し上げますと、まず、「主務大臣がみずから実施できるよう措置しなければならない具体的理由は何か」という質問に対しましては、政府側から、「昨年の伊勢湾台風による災害復旧は、事業量が膨大であって、地方公共団体から直轄による復旧の要望があったが、現行法ではできないので、やむなく、地方事業主体となり、一部は国へ委託する方法で実施してきた。しかし、国が初めから事業を実施すれば、人、機械、建設業者の選定の面でも有利に実施できる」旨の答弁がありました。次に、「災害復旧は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法により、国の負担率は少なくとも三分の二以上となるにかかわらず、第二十六条の改正は、災害復旧についても国が二分の一を負担することになり、誤りではないか」との質問に対しまして、「災害復旧国軍負担法は、他の法令の規定にかかわらず高率の負担をする規定になっているので、法律的な疑義はない」旨の答弁があり、また、「第六条の改正により、直轄の災害復旧事業を実施する場合も、当該海岸管理者の意見を聞かなければならないことになるが、主務大臣と海岸管理者の間で意見が違うとき、管理者が移管を希望しないときはどうするか」との質問に対しましては、「意見が一致するよう努力するが、当該地方公共団体が、人、機械等の面で実施できると思われれば、無理に移管することはしない」旨の答弁がありました。その他、海岸堤防の築造基準、建設、運輸、農林三省の事業の統一調整についての質疑があり、また、新潟の地盤沈下を災害と見るべきかいなかについて各種質疑が行なわれ、運輸、農林、通産、建設各省から、その対策について答弁がありました。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、民主社会党を代表して田上委員から、「今回の改正はむしろおそきに失するものである。しかも、改正の当面の事業が伊勢湾を中心とした個所に限られているから、より広範強力に実施するとともに、海岸保全事業の裏づけとなる費用について努力し、国及び地方の負担率についても再検討するよう希望して原案に賛成する」旨の発言がありました。討論を終了、採決に入りましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  58. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  59. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  60. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  国会の審議権の確保のための秩序保  持に関する法律案可決報告書      ——————————
  61. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案(第三十三回国会衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長高橋進太郎君。    〔高橋進太郎君登壇拍手
  63. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 ただいま議題となりました国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案につきまして、議院運営委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本法案は、衆議院議員佐々木盛雄君ほか四名の提出にかかるものでありまして、前国会の会期末において本委員会に付託されたものでございまするが、各派一致の意見により継続審査すべきものと決定したものであります。  本法案の提案の趣旨並びに内容につき、その要点だけを概略申し上げます。  まず、本法案が提出されるに至りました趣旨は、提案者の説明によりますと、昨年十一月二十七日の国会構内乱入事件の発生を契機として、再びかかる不祥事件を繰り返さないためのものでありまして、本法案の目的とするところは、国権の最高機関である国会がその機能を完全に行なうため、国会議事堂の周辺の静穏を保つことにより、国会議員の登院と国会の審議権を確保せんとするものであります。  本法案の内容とするところは、まず、本法により秩序を保持すべき場所を、主として国会に至る道路及び一部国会用地のみに限定し、これを国会議事呈周辺道路として、この所における集団示威運動等のために、国会議員の登院と国会の審議権の行使が阻害されるおそれがある場合におきましては、衆参両院議長は、都公安委員長に対し、集団示威運動の許可の取り消しや条件の変更を要請したり、または警視総監に対して、集団示威運動等の制止のために必要な措置を講じるように要請できることとし、その要請がなされました場合には、公安委員会は、これを尊重して、必要な措置を講ずるようにしなければならないこととし、また、警察官は集団示威運動等の参加者等に対して必要な限度において、警告を発し、またはその行為を制止することができるようにいたしております。また、罰則については、集団示威運動等の参加者等で、他人を指揮し、または他人に率先して国会議事堂またはその構内に侵入した者については、一般刑法より刑を加重し、集団示威運動等の威力を用いて議員の登院を妨げた者についても新たに罰則を設けているのでございます。  以上が本法案の主たる内容でございます。  議院運営委員会におきましては、前後十回にわたって本案審議のための委員会を開いて質疑を行なったほか、地方行政、法務委員会との連合審査会を三回開会し、また、公聴会を開会して七人の公述人からそれぞれ意見を聴取するなど、きわめて慎重な審議を行なって参りました。本委員会及び連合審査会におきましては、発議者衆議院議員佐々木盛雄君、長谷川峻君、政府側かつは、岸総理初め、石原国家公安委員長、井野法務大臣、警察庁長官、さらに東京都公安委員長、警視総監等の出席を求めて質疑応答が行なわれましたが、以下、そのおもなるものについて概略を申し上げます。  まず、「本法案は、国民の基本的人権である憲法第十六条の請願権及び第二十一条の表現の自由を規制し、これに抑圧を加えるものではないか」との質問に対し、「議員の登院と審議権の行使を妨げる集団示威運動等について、必要な限度において制限することは、不当ご基本的人権を侵害するものではないと考える」旨の答弁がございました。  次に、「本法案は、過去四回にわたり東京地方裁判所で違憲の判決があった東京都公安条例を前提的内容としており、従って憲法違反の疑いの濃いものではないか。また、本法案は、下位の条例をもとにして上位の法律を作る形式であり、条例の改廃によって法律の効果が左右されることとなり、法体系を乱すものではないか」との質問に対しましては、「現に有効に施行されているところの東京都公安条例を対象として立法することは憲法違反の措置ではないと考える。条例を前提として立法することは前例のないものではあるが、条例といえども憲法に認められた法形式であるから、何ら不当ではないと考える」旨の答弁がございました。  次に、「本法案は地方公共団体であるところの東京都に適用せられる関係上、憲法九十五条による特別法として住民投票を必要とするのではないか」との質問に対し、「本法案は一つ地方公共団体そのものを対象としたものではなくて、一定の地域内の行為を対象としたにすぎないものであり、その参加者は一地方公共団体の住民に限定せられるわけではなく、さらにまた公安委員会等に新たに特別の義務を課するものではないのであるから、従って、憲法九十五条にいう特別法として住民投票を行なわなければならないものとは考えていない」旨の答弁がございました。  次に、「議長に要請権を与えるのは、立法と行政の混淆、地方自治への干渉を来たすものではないか」という質問に対しましては、「議長の要請は、立法の権能作用に基づくものではなく、かつ、相手方を義務づけるものでもなく、単に警察権の発動を求めるものであるから、立法と行政の混淆を来たし、または地方自治に干渉するという性質のものではない」という趣旨の答弁がございました。  また、集団示威運動等が行なわれない以前の段階における事前の規制を求める議長の要請については、要請を行なうことの要否についての認定の基準、いわゆる「明白にして現在の危険」の原則に反し、よって議長判断は主観的推測の域を脱しないものであり、不当ではないか。従って、政治的に乱用されるおそれはないか」という質問に対しましては、「本条では、第一に議員の登院と国会の審議権の公正な行使に影響を及ぼしまたはこれが阻害されるおそれのある事態、第二にそのおそれが著しいこと、第三には両院議長の連名によって行なう等、それぞれ明白なる基準を定めているので、従って、不当に乱用されるおそれはない」旨の答弁がございました。  また、「衆議院が解散し、参議院の緊急集会が男かれている際における両院議長の要請はどうなるか」との質問に対し、「衆議院の議長及び副議長がともに欠けている場合には、国会法第七条の規定により事務総長が議長の職務を代行することになっておるから、何ら差しつかえない」旨の答弁がありました。  さらにまた、「都公安条例においては、修学旅行や通常の冠婚葬祭等、慣例による行事を集団示威運動等から除外しているにかかわらず、本法案においてはこれを除外していないのは立法上不当ではないか」との質問に対しましては、「本法案においては、法文上、これらの行為も集団示威運動等に含まれるが、これらの場合はおおむね平穏に行なわれるから、本法の対象となることはないであろう」という趣旨の答弁がございました。  また、「本法は新たに警職法のワク外にわたって警察権を発動できる根拠にならないか」という質問に対しましては、「警察権の発動の態様としては、警職法に定める警告、制止の範囲を越えるものではないが、警察権の発動の要件を警職法より若干広め、議長の要請があった場合、必要な限度において警告または制止を行なうことができることとしたという意味では、本法は新たな権限を警察官に与えるものである」という答弁がありました。  次に、「請願、陳情その他の名目での集団示威運動等をも本法で規制する集団示威運動等の中に含ましておるのは不当ではないか」との質問に対しましては、「本条の規定は、請願、陳情その他いかなる名目をもってしても集団示威運動等として取り扱うということを規定したにすぎないものであって、そのことが直ちに規制の対象となるわけではなくて、国会の審議権に著しい影響を与える場合においてのみ規制されるのであって、平穏かっ合法的に行なわれる請願や陳情に対しては何ら規制を加えるという趣旨ではない」旨の答弁がありました。  次に、「本法が、議長が要請するといなとにかかわらず、集団示威運動等の参加者で他人を指揮し、または率先したとの理由で刑を加重するのは不当ではないか」という質問に対し、「現行刑法のうちにも、他人を指揮しまたは率先して勢いを助けた者について刑を加重しており、特に平穏を必要とする国会構内に集団で侵入した場合の指揮者及び率先者の刑を一般住居侵入罪より加重することは均衡を失するものではない」旨の答弁があったのであります。  最後に、去る十七日には、特に岸総理の出席を求めて質疑が行なわれましたが、まず、「政治が悪ければ、いかなる法律を作るとも、うまくいくものではない。全学連等のデモが押しかけてくるのはいけないことかもしれないが、それは法律によって取り締まるよりも、まず政治の根本的あり方について考えるべきではないか」との質問に対しては、「デモ隊乱入事件はまことに遺憾なことである。これは政治の問題が根底をなすところであり、政治の最高責任者としては大いに反省をしなければならないものである。しかし、それを理由として行為そのものを看過するがごときことは、過去の経験に徴しても間違いを深めるおそれがあり、将来に対して望ましいことではない。従って、この際、適当な立法により未然防止の措置を講ずることは心要である」旨の答弁があり、その他、両院議長が、直接、都公安委員会及び警視総監に対して要請することの可否、内閣の行政責任との関係、公安条例のある地方団体と、ないところとがある現状にかんがみ、本法は憲法第十四条に規定する法の平等の精神に反しないか等のことにつきまして、総理大臣に対し、その所見を聴取いたしたのであります。  以上申し上げました質疑のほか、本法案提出の契機となった昨年十一月の国会構内乱入事件及びこれに対する議長の責任、本法案と道路交通法との関係、地方自治法との関係、本法案は治安関係法規としての性格を持つものではないか、あるいは警察官の警告及び制止の態様、院内警察権と本法案の議長要請権との関係、さらにまた公安条例違憲判決の内容、公安条例制定当時の事情等について、あらゆる角度からきわめて熱心なる質疑応答が行なわれたのでございまするが、その詳細につきましては会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて、去る十七日の委員会において、塩見君から提出された質疑終局の動議を多数をもって可決し、本日の委員会で、まず同志会を代表して加賀山君から修正案が提出され、趣旨説明があり、これに対し若干の質疑が行なわれました。  修正案の内容について概略申し上げますと、第一点は、本法の目的とする国会議員の登院の確保は国会審議権確保の一手段たるにすぎないものであるから、これを削除すること。第二点は、学生生徒の遠足、修学旅行等及び冠婚葬祭等の慣例による行事を本法適用対象から除外すること。第三点は、許可の取り消し、または条件の変更を求める議長要請のあった場合において、その措置を講ずるかいなかは東京都公安委員会の自主的判断にゆだねられておるということになっておるが、それは、はなはだ微温的かつ不十分であるとの理由により、議長要請のあった場合における所要の措置を講ずることを義務づけること。以上であります。  次いで、原案及び修正案を一括して討論に入りましたが、日本社会党を代表して米田勲君、民主社会党を代表して向井長年君、無所属クラブの北條雋八君から、それぞれ反対の意見があり、同志会の加賀山之雄君からは、修正案が成立することを条件として原案に賛成する旨の意見があり、自由民主党を代表して塩見俊二君から原案に賛成する旨の意見が述べられました。  かくて討論を終わり、採決に入り、まず、加賀山君提出の修正案は少数のため否決、次いで原案全部を問題として採決いたしましたところ、多数をもって可決すべきものと決定いたした次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手
  64. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。阿部竹松君。    〔阿部竹松登壇拍手
  65. 阿部竹松

    阿部竹松君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議院運営委員会の高橋委員長から報告されました佐々木盛雄君ほか四名から提出されました、国会の審議権の確保のための秩序保持に関するという、めちゃくちゃな悪法案、すなわち、略称デモ規制法案に、社会党の総意をまとめまして、反対の意見をこれから申し上げるものであります。(拍手)  本法案は、御承知通り、東京都の公安条例を前提として作っておるわけですが、公安条例につきましてかいつまんで申し上げてみますると、昭和二十三年七月六日のあの福井県大震災当時におきまして、労働組合が救援運動組織して立ち上がりましたので、これを排除するために、当時のアメリカ占領軍が強力な指示を行ないまして、集会、集団行動などを特に許可制にせしめた福井市公安条例の制定をきっかけとして、全国各地に作られてきたものであります。それが自治体の条例として作られましたということは、同時にまた、国家の法律として世界注視のもとで作るということが当時は不可能であったからでもあり、特に、これを作らせたということになりますると、国際的には当時のGHQの占領政策への批判を生むという可能性がきわめて強かったのでありまして、他面、国内的にも、デモンストレーションの自由は国民の当然の権利として考えられておったので、各地においてしかるべくそれぞれ制限させるということで、中央政府自体としては、正面に立って、このようなデモ規制の立法に踏み切ることができなかったからであります。  その後、この公安条例は、各地におきまして、たとえば東京都の蒲田事件、全学連事件、静岡県の条例事件、京都円山事件、川崎市公安条例事件等等、数多くの憲法違反の判決を受けておるのでございまするし、中でも昭和三十四年十月十三日、東京地方裁判所において憲法違反の判決が行なわれた東京大学生公安条例違反事件の判決文の中に、次のようなことが述べられてございます。これは判決文の一部ですが、「集会、集団行進および集団示威運動は、」云々とございまして、「本来国民の自由とするところであって、憲法第二十一条第一項、第二十八条等により基本的人権として保障されているのであるから、条例において、これらの行動につき……一般的な許可制を定めて、これを事前に抑制することは、憲法上許されないところである。」と、基本的人権の侵害に対し、きびしい批判を浴びせているのは御承知通りであります。(拍手)  本法案は、ただいまも申し上げました通り、東京都の公安条例を前提として作っているのでございますが、このように地方自治体の条例の上に乗った法律案は、わが国では空前であり、今後条例を中心として作る法案はおそらく出てこないものだと信じております。しかも、この条例たるや、その概念が広範かつばく然とした、公共の安寧という抽象的な言葉によって、国民の基本的人権をこのように侵害してきたのであって、かくのごとき公共の安寧という名称を悪用して、それを基本的人権に優越させるということになりますと、独裁者の勝手気ままな判断を制止するものは何もなくなるという状態になるわけであります。また、公共の安寧という抽象的概念によって基本的人権が制限され得るとしたならば、基本的人権は支配者的公共の安寧の前に剥奪されまして、憲法で保障された基本的人権はその実を失うということになりまするし、このような仕方で人権が人権でなくなることは、人間にとって一種の自殺行為であるにもかかわらず、われわれは、あまりにも過剰な公共の安寧という言葉の乱用によって、あまりにも少ない人権の享受に甘んじさせられているという状態になるわけであります。  今回のこの法案ときわめて似た例を二、三拾ってみますと、まず、わが国の政治史をひもとくならば、まず第一に目に入ることは、自由民権運動の先覚者板垣退助が、明治二十年八月十二日に、天皇に一万八千余語に及ぶ意見書を出し、専制官僚が、十九世紀における自由の大勢に抗し、人民を抑圧し、搾取する失政十カ条をあげて、政府を弾劾したことであります。言論の自由、地租の軽減、対等条約のための闘争、ひんぴんたるデモンストレーションに対しまして、政府は十一月十日に、屋外集会及び列伍運動、すなわちデモの取締令を発したのであります。それはしかしながら、効果がございませんでした。集会や列伍運動で、警官隊との衝突が次から次へと起こったわけであります。これに対して、政府は突如として、十二月二十五日深夜に保安条例——この条例を今日読んでみますると、きわめて今回の法案と似たところがございますが、突如、保安条例を制定公布、直ちに実施した。この夜から翌朝にかけて全東京の警察官と近衛の連隊が動員されまして、内乱に備えるほどの厳戒のうちに、高知県人の二百三十名を初め、中江兆民、片岡健吉、尾崎行雄等、二十四府県出身の数百名を一せいに東京から追放したのであります。しかし、片岡健吉君は十五名の同志とともに退去を拒絶しましたので、軽禁錮三年に処せられ、また、長沢、横山、安芸、こういう方々が、黒岩さんとともに、「国家の将に滅亡せんとする、これを傍観坐視するに忍びず、むしろ法律の罪人たるも退いて亡国の民たる能はず」、こういって保安条例に反対いたしまして、伊藤首相に迫りました。ところが、直ちに逮捕投獄され、国家権力の不正に対し国民抵抗権を行使しましたのが、歴史の一ページを飾った最初であります。また、日本の資本主義が帝国主義段階に進みまして、支配階級が、日本世界の大国になったとうぬぼれていたとき、彼らの足元には、労働者、農民、市民のこれまでにない大闘争が続々と起こって参りまして、日露戦争のあらゆる犠牲を負わされました。その結果、うっせきしておりました国民の不満は、ポーツマス講和条約調印の明治三十八年九月五日に、東京の全警察の焼き打ち事件となって爆発したわけであります。歴史はこのように、政治権力の弾圧と腐敗に、国民の怒り、大衆の直接行動への原因があることを、かくも深く教えるとともに、常に警察がその弾圧に大きな役割を果たしておるということを証明しておるわけであります。  以上述べましたことから、この法律の文章上の表現は別といたしましても、政治的な役割、あるいは反動性格は、どなたの目にもはっきりしたことと思うわけであります。  以下、さらに、この法律案の持つ法律技術的な疑問点の幾つかを解明いたしまして、この法律案に反対するゆえんを申し上げてみたいと思うわけであります。  疑問点の第一番目は、先にもちょっと触れましたように、この法律案が、一地方自治体にすぎない東京都の条例の存在を前提として立法されておるということであります。このような立法例は、わが国では、最前も申し上げました通り、全然先例がございませんし、委員会での質問でも明らかになったのでありまするが、これは、この法律案の生殺与奪の権限を一地方の自治体のその議会の手にゆだねてしまうという点において、立法技術としては拙劣きわまりないものであるということはもちろんでありまするが、さらに重要なことは、東京地裁で数々の憲法違反の判断を受けておるこの公安条例に対して、万一この法律案国会を通過し、成立したならば、国権の最高機関である国会が、その高い権威で、この条例が違憲でないものとの公的な判断を下したことになるという点であります。このことは、近く予定されておる最高裁判所におきましての公安条例の最終判決に対し、有形無形の圧迫となるであろうということを、声を大にして強調せざるを得ません。(拍手)  問題点の第二は、この法律案全体を流れておる基本的人権軽視の思想であります。憲法で保障されておる基本的人権を制限するには、かの有名なホームズ判事の「明白かつ現在の危険」、これが存在しておらなければならないという原則は、すでに国際的な原則として、広く学者や実務家に承認され実行されておるところであります。現にわが国におきまして、警察官の職務執行の基準でありまするところのいわゆる警職法、警察官職務執行法でも、警察官が国民に対しまして、警告とか制止とかの、その基本的人権にかかわりのある職権を行使しようとする際の要件は、きわめて厳重であり、この「明白かつ現在の危険」の原則を一応忠実に尊重していると認めてよいと思います。去る第三十国会における警職法改正案が、政府与党諸君の熱望もむなしく、一場の夢と消えてしまったのも、その改正案が国民の基本的な人権を軽視する危険な内容に満ち満ちておったことが、国民の各階層の広く深い憤りを買ったからにほかなりません。しかるに、この法律案は、公聴会における公述人の意見にも一部見られますように、警職法改正案の部分的復活だと言っておるわけであります。また、そう言っても言い過ぎではないと明確にしておる方もあるわけであります。単なる「おそれ」で、憲法第二十一条で保障されておる表現の自由を制約しようとしていること、両議院の議長が、公安委員会や警視総監に、その職権を発動すべき旨の要請をするにあたっての要件がきわめてばく然としており、乱用のおそれがあり、かつ、それに対する安全弁的な規定の一片をも、法案のどこにも発見できないわけであります。なるほど、提案者のおっしゃるように、要請はあくまで要請であって、警察諸機関の権限の発動は、その機関の自主的な判断によることは、形式的にはまさにその通りでございましょう。しかしながら、両議院の議長の連名で、警察諸機関に対し、その権限の発動を要請されたときに、両議院の議長の地位、その政治的な力から言って、名義は要請であっても、実質は命令に近いものになるであろうということは当然予想されるところであります。問うに落ちず語るに落ちたというたとえの通り、提案者の説明の中にも、実はそれがこの法案のねらいなのだと解される節があるわけであります。しかも警視総監に対する両議長の要請がありさえすれば、警察官は、警察官職務執行法第五条の要件を待つまでもなく、国民に対し、警告を発し、さらにその行為を制止することさえできることになっておる法第五条第二項の違憲性は、あまりにも明白でございまして、説明の必要はないわけでございます。  疑問点の第三は、両議院の議長は、国会議事堂周辺道路で、何月何日、どのような団体のデモ等が行なわれるかについて都の公安委員会の許可がなされた事実、許可の条件等を知り得るすべが、この法案のどこにも明示をされてございません。提案者の説明では、事実上の連絡を密にして万遺憾なきを期するとのことでございますが、いやしくも国権の最高機関の長たる両議院の議長が職権を行使するのに、単なる事実上の連絡だけで動くというのは、軽卒のそしりを免れないと思うわけであります。水鳥の羽音にあわてふためいた平家の軍勢のようなことにはならぬかを、両院議長及びこれらを補佐すべき立場にある人たちのために心配するものであります。  さらに、もう一つ、この法案がいかにずさんに立案されたものであるかという一例を申し上げるわけですが、この法案によりますると、両院議長が公安委員会等に要請をするのには、両院議長の意見が一致しなければならないことになってございます。しかしながら、たとえば参議院の緊急集会中は、衆議院は解散で、議長、副議長はもちろんのこと、議員は一人もおらないという状態になり、いわば衆議院はあき屋同然の状態になるわけであります。この場合にも、法案を文字通り読みますると、両議院の議長の意見の一致が必要となって参ります。この点を追及してみますると、提案者は、「議長及び副議長選挙されるまでは、事務総長が、議長の職務を行う」という国会法第七条を引用して、参議院議長と衆議院の事務総長が協議するのだとの説明でございます。国会法第七条の立法の趣旨が、とんでもないように解釈されておるのは、お聞きの通りでございまして、国会法第七条によりますると、議長、副議長が欠けた場合に、その選挙管理事務の執行にあることは、諸君御承知通りであります。法律の解釈にある程度幅のあることは私もよく承知しておりまするが、これはあまりにもひどい拡張解釈で、事務総長を無理に政治的な争いの渦の中に引きずり込むことになるであろうことを憂えるものであります。この法案の立案者は、その立案の過程では、参議院の緊急集会の場合など、おそらく眼中になかったでございましょう。少なくとも、考慮の対象にされていなかったことだけは確かであろうと思います。これを取り上げて、大げさに参議院軽視だなどと申し上げようとするものではございません。ただ、いかにこの法律案がそうそうの間に立案された、いわば穴だらけの法律案であるかということの一例として、私は申し上げたにすぎないわけであります。  以上のほかに、この法律案と都の公安条例との表現の食い違いが随所に指摘できるわけでありますが、この食い違いの結果、法律を運用するためには、公安条例を極端に拡張解釈したり、場合によれば、条例自体をこの法案の表現に合わせて改悪される危険性をはらんで参ったのであります。  この法律を作って国民の行動を規制せんとする現在の日本の政治状態は、しからばどうかと申し上げますると、第一に目につくことは、選挙違反がきわめて多いことであります。公職選挙法が昭和二十五年に施行されて後の衆参両院の選挙において、最も悪質だと言われる買収と利害の誘導による違反を、ためしに数字によって申し上げてみますると、昭和二十七年十月の第二十五回より三十三年五月の第二十八回までの四回にわたる衆議院総選挙においては、検挙件数が四万五千六百三十件、検挙人員が八万七千二百四十四名、また昭和二十五年六月の第二回より三十四年六月の第五回までの四回にわたる参議院通常選挙では、検挙件数九千九百八十一件、検挙人員一万九千九百九名と、全く驚くべき数字に達しておりますが、これは選挙違反の全部の数字を申し上げておるのではございません。最も悪質な違反である現金による買収と利害の誘導によって犯した違反の数字のみを申し上げておるのでございます。議会政治の破壊者というものは、外から陳情請願にくるデモ隊であるか、院の中におって悪質な選挙運動によって議席を占めた者であるかということを、静かに判断をしたいわけであります。(拍手)特に参考までに、多くのスクラップがございまするが、一例をとって申しますると、東京一区選出自民党議員某々氏の選挙運動を行なった自民党某々氏は、事前運動の新聞等をばらまいて起訴され、懲役一年の求刑があったこと等とか、枚挙にいとまないほどあるわけでございます。しかし私は、それをここで論じようとは思いません。ただ、政治のあり方というものは、国民とわれわれが両々相待って、正しい政治、正しい行動をしなければ、いかに法律を作ってもだめだということを申し上げておきたいわけであります。(拍手)自民党の総裁である岸総理は、口を開けば国民に向かって順法精神を説きます。しかしながら、このように法を犯して大規模かつ悪質な選挙違反に対して罪を問われる者は、その大部分は今申し上げた通りでございまして、この腐敗に対する民衆の怒り、ベトナム賠償、戦闘機機種選定事件、あるいはさらに、日本アメリカの従属下に陥れつつある両岸外交への国民のふんまん、そして国民大衆の完全独立への念願が、安保条約改定の反対へとかり立てられた結果、昨年十一月二十七日の国会に対する集団的陳情請願となって現われたと思うわけであります。腐敗せる政治の連続は、力の政治で法律をもってある程度押えることができるでありましょう。しかしながら、力をもって大衆を押えるという政治は、時日の問題であって、力の政治は永遠に続くものではございません。万里の長城を作った秦の始皇帝は、この長城の中から破れ、長城の中から追われたのでございますが、この法律によって、秦の始皇帝のごとく、最後はみずからの力をもって大衆を国会に寄せつけず、その身を白亜の殿堂の中において守ろうとするものがあったならば、歴史は繰り返す。最後は国民から追われる立場になるでありましょう。自民党の松村謙三さんが、現在の政治は権力政治であり、金権政治であるから、いかなることがあったとしても、これを是正する闘いを起こさなければならないとおっしゃっております。  本法案は、昨年十二月、佐々木君が参議院の本会議において提案されると同時に、松野議長より趣旨説明の際、一部の取り消しを命ぜられ、委員会においては再三再四答弁内容の変更を行ない、陳謝しなければならない等、法案の不備は委員会において明確になったわけであり、遺憾千万なことであると言わざるを得ません。委員会において審議が続くごとに、明確な答弁を欠く回数が増加して参りました。これ以上論議を続けるならば、その醜態を天下にさらすと感じた結果でございましょう。わが党が今後もう一回か二回のわずかの質問の続行を申し入れたわけでございまするが、強引に打ち切ったのも、ここにあると断言できまするし、いまだ会期が二ヵ月近くもあるのにもかかわらず、審議権確保の法案が審議未確保のまま打ち切られたのは、ここにあると明言するものであります。(拍手)議会史上遺憾千万と言わざるを得ません。
  66. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 時間が超過いたしました。
  67. 阿部竹松

    阿部竹松君(続) 松村代議士の言を借りるまでもなく、あまりにも腐敗せる政治、金権政治が横行することによって、純情な昔年が身を挺して、義憤にかられるままに、その行動が過激になっていく。国民の代表たる議員、為政者は、今こそ静かに反省すべきときだと思うのであります。議会政治が民主的に行なわれ、清められても、なおかつ青年諸君が、手段でなく、目的として過激な行動に出るのであれば、かかる法案のごときに耳を傾けるのも当然なことであり、いいことと思うわけでございます。みずからの行動を不問に付し、一方的にやるとは不都合であります、  私は最後に、わが国の議会政治を清められんことを強く要望し、本法案のごとき、憲法によって保障された国民の基本的人権を侵害し、ファシズム政治への第一歩を踏み出す弾圧立法には、わが党の総意を結集してあくまでも反対を表明いたしまして、討論を終わります。(拍手)     —————————————
  68. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 田中茂穂君。   [田中茂穂登壇拍手
  69. 田中茂穂

    田中茂穂君 ただいま議題となっております国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案につきまして、私は自由民主党を代表し、賛成討論をいたさんとするものであります。  およそ民主主義政治は、主権者たる国民によって選挙された議員、その議員をもって構成される国会が、国民の厳粛な信託により国政を議し、かつ、決していくという、議会主義の上に立脚するものであります。わが国の憲法が国会を国権の最高機関と規定しているゆえんもここにあります。従って、国会は、国会議員をして、自己の主義主張及び信念に基づき、他の何らの干渉や妨害を受けることなく、冷静に自由に、国政を審議し、表決することを可能ならしめるために、内にあっては、よき議事慣行を確立し、院内秩序を厳正に保持するとともに、外に対しては、議員の活動の妨害や干渉となるべき一切のものを排除いたさねばなりません。(拍手)憲法が議院に内部規律権及び院内警察権を付与し、国会議員の不逮捕特権を定め、また議員が院内で行なった演説、討論または表決について、院外で責任を問われないことといたしているのも、その趣旨を明らかにしたものであります。  昨年十一月二十七日のいわゆる国会構内乱入事件においては、ただに国会周辺に騒然たる緊迫状態を生ぜしめたにとどまらず、あまつさえ一万数千名の集団が国会構内に乱入するという不祥事態までも惹起したのであります。かかる行動は、その根底において議会主義の否認に通ずるものがあると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)このような不祥事件が今後繰り返されることがありとすれば、わが国の議会政治、民主政治の健全な発展はとうてい望み得べくもなく、まことに憂慮にたえない次第であります。われわれは、将来再びこのような事態を絶対に発生せしめないように、国会の権威と議会政治を守るために、何らかの対策を講ずることは、今日の急務であり、政党政派をこえ、国会に議席を有するすべての者の当然の責務であると痛感するものであります。  本法案は、昨年十一月二十七日の事件を契機として、加藤前衆議院議長が提示された試案を骨子とし、衆議院における種々のいきさつもあって、佐々木盛雄君外四名の議員発議として提出されたものでありますが、その内容を見るに、昨年十一月の事件の苦い教訓をもととし、表現の自由などの基本的人権との調整について細心の配慮を加え、国会の審議権確保のため真に必要な最小限度の規制を行なおうとするものであります。すなわち国会周辺における集団示威運動等につきまして徹底した制限禁止を新たに法定することを避け、現行のいわゆる都公安条例を前提とし、国会議事堂周辺道路における集団示威運動などが、国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれがある場合に、両院議長は、都公安委員会に対し、許可の取り消しまたはその条件の変更を要請し、また集団示威運動等により、国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使が著しく阻害され、または阻害されるおそれがある場合に、両院議長は、警視総監に対し、制止のため必要な措置を要請することができることといたしております。また、この議長の要請があった場合にも、都公安委員会または警視総監は、法律上その要請に拘束されるものではなく、その自主的判断によって、それぞれ許可の取り消しまたは条件の変更、警告または制止を行なうことといたしておるのであります。そのほかは、集団による国会議事堂構内への侵入の指揮者及び率先者の刑の加重、並びに集団の威力を示してなす国会議員の登院妨害に対する罰則を定めるにとどまっております。ここで特に重ねて強調いたしておきたいことは、本法案は、以上申し述べたところで明らかなごとく、正常の合法的集団示威運動などや平穏な請願については、何らの制限を加えるものではないということであります。  この際、諸君の注意を喚起したいことは、わが国より議会政治に古い歴史を有するイギリス、アメリカ、ドイツ、フランスなどの諸国においては、いずれも議会周辺の秩序を維持するために徹底した集団行動の規制をいたしておることであります。イギリスにおきましては、不穏請願禁止法及び不穏集会防止法において、十人をこえる人数の者が請願提出の目的をもって議院に集合してはならないとあり、また国会議事堂から一マイル以内において、五十人をこえる人数の者が請願、抗議、宣言等を考究し、または提出することを目的として、または口実として、集会してはならないことといたしております。そして不穏請願禁止法の前文では、「王または議会の両院もしくは一院に対し、請願、不平、抗議、陳述、その他の陳情のための私人による喧騒、その他不穏な署名の勧誘及びあっせんが、公共の平和を侵害しようとする好争的及び不穏なもののため利用され、かつ、それがこの国の最近の不幸な戦乱及び災害の大きな原因であったことが、悲惨な経験によって判明したので、将来の同様な禍いを防止するために」同法を制定する旨の趣旨が掲げられておるのでございます。また、アメリカやドイツにおいても、議事堂周辺の広範な区域において集団行進及び集会が禁ぜられております。またフランスにおいても、議会に対する多衆による請願を取り締まる法律が定められており、暴動などの予備行動として請願が利用された経験から、その立法が生まれたといわれておるのであります。これらの事例によって見ても明らかなごとく、これらの諸国が議会周辺における集団行動に厳重な規制を加えているのは、それぞれ過去における苦い経験を経て、将来の禍根を断たんとしたものであることは、この際、他山の石として一考に値すると考える次第であります。  この法案の内容に対しまして、さきに申しましたような議長の要請権の付与では不徹底であり、実際の運用においても機を失するおそれがあるから、むしろ国会周辺の一定地域を指定して、集団示威運動などを禁止すべきであるという有力な批判がございます。この批判は、諸外国の例から見ましても根拠あるものとは考えられますが、しかし、本法案は、基本的人権の規制を最小限度にとどめんとする考慮から立案されたものでありまするから、今日の段階におきましては、本法案を成立せしめ、今後の動向を見守ることが適当であると信じます。(拍手)  次に私は、本法に対する反対論のおもなるものにつき、私の見解を申し述べたいと存じます。  まず、本法案が今日までに東京地方裁判所において違憲の判決を受けた都公安条例を前提としているのは、立法上問題であるという反対論であります。しかしながら、都公安条例は、違憲の判決を受けてはおりますが、合憲の判決もあり、またそれらの違憲判決は最高裁判所の最終判決を受けてはおらないのであります。現在有効な条例として施行されておるのが現状でございます。今回、条例を前提として法律を制定いたしました理由は、さきに申し述べましたごとく、本法の規制をでき得る限り必要最小限度にとどめんとする趣旨から、集団示威運動などを規制している現行の都条例を前提とし、議長に間接的な要請権を付与することといたしたためでありまするし、条例もまた憲法に根拠を有する法形式であり、かつ本法の対象が東京都内の一局地たる国会周辺道路における集団示威運動などでありますから、これを規制している都公安条例を前提とすることは何ら不当ではないのであります。  また、実害のいまだ生じない、すなわち実害の生ずるおそれのある場合に、議長の認定によって、そのおそれありとして、事前規制の要請をすることは、表現の自由の侵害となるとの議論がございます。本法は、国会周辺道路という場所的限定、国会議員の登院と国会の審議権の行使という保護法益の限定、これに著しく影響を及ぼす、あるいはこれが著しく阻害されるおそれがあるという危険の明示及び両院議長の連名によるという要件の明示があるのでありまするから、この要請の合理的基準は備わっておるのでございます。  次に、議長に要請権を与えるのは、立法と行政の紛淆を来たし、自治権への干渉となるとの主張、及び、本法は憲法第九十五条に基づく住民投票を要するとの主張でありますが、本法による議長の要請は、国会議員の登院と国会の審議権を確保するため、議院の秩序維持の責任者としての立場から要請を行なうものであり、決して議長本来の職務から逸脱して行政権の分野に立ち入るものとは称し得ないのであります。他方、都公安委員会及び警視総監は、その本来の警察責務として、国会周辺の公共秩序の維持の任に当たるべきものであって、議長の要請は、それらの機関の本来の任務でない、特別の任務を新たに課するものではないのであります。しかして、要請は指揮命令ではなく、警察権の発動を求める行為であり、警察当局の自主的決定権を侵すものではないのでありまするから、ただいま申し上げました反対の主張は理由がないのであります。以上申し述べましたところによりまして明らかなごとく、本法は、都公安委員会や警視総監に新たな特別な義務を課すものではなく、また東京都そのもの、または東京都の住民のみを対象としているものでもないのでありますから、憲法第九十五条にいわゆる「一の地方公共団体のみに適用される特別法」には当たらず、住民投票に付する要はないのであります。  最後に、本法案は、国会と国民との間に障壁を設けるものであるとの論をなす者がありますが、これは本法案の趣旨を全く誤解するものと言わねばなりません。(拍手)主権者たる国民の声を国政に反映させることは、もとより民主主義政治の要諦であり、国会議員の登院と審議権の公正な行使を確保して、今後ますますこれが伸長に努めるのは当然であります。私は、昨年十一月二十七日の事件のごとき不祥事態が将来再び生じないこと、わが国の議会政治が正しく発展することを念願しつつ、ここに本法案に対し賛成の意を表する次第であります。何とぞ満場の諸君の御賛成あらんことをお願いいたしまして、賛成討論を終わる次第であります。(拍手)     —————————————
  70. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 向井長年君。    〔向井長年君登壇拍手
  71. 向井長年

    ○向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案に、断固反対をいたします、  私が同法案に反対する第一の理由は、同法律案が提出され、衆議院を通過した経過についてであります。申すまでもなく、昨年十一月二十七日の国会デモ乱入に端を発し、これを契機とし、同法律案を衆議院議員佐々木盛雄君以下の議員立法として国会に提出し、しかも、わが党並びに社会党の反対をも顧みず、単独審議をもって通過させたのであります。衆議院においては、加藤議長がこの責任を負って辞任をいたしました。国会の正常化については、昭和三十三年十二月十日、警職法が突如として提出され、国会が混乱した際に、衆議院において、自民党と野党で厳に申し合わせを行なっているのであります。その内容については、御承知通り、第一に、正副議長の党籍離脱の慣行を樹立する。第二に、院内の議事の円滑な運営をはかるため、法規、慣例、申し合わせを厳に尊重し、必要により国会法の改正を考慮する。第三に、国会に対する集団的陳情の要請行動の規制については、両党による特別委員会を設け、慎重に検討する。これがその申し合わせのおも立った条項であると考えるのであります。附帯申し合わせといたしまして、参議院においても、これを尊重し、実現を望むと約束されておるのであります。なお、去る三月十七日の本法の審議の過程におきまして、自民党の総裁としての岸総理にこれをたたしたところ、この申し合わせば現在も生きている、そのように実現されることが望ましいと回答をいたしております。しかるに、この国会正常化の申し合わせを破ったのはだれか。ここにおる松野参議院議長であります。党籍離脱の申し合わせができても、頑強にこれを拒否し、昨年十一月二十七日の未曾有のデモ事件に対しても、衆議院加藤議長はその責任を明らかにしたにもかかわらず、参議院松野議長は何の責任もとらず、しかも反省の色が全くなく、国会の最高責任者である議長がこのような態度では、ただいま上程されておるような法律案を通過させることは、国民の世論にこたえる何ものでもないのであります。われわれは、まず、われわれ国会が国の最高機関として恥かしくない行動をとっているかいないかの反省から始めなければなりません。政治に対する国民の不満の現われである集団行動を、何らの反省もなく、法律をもってこれを押え、規制しようとする態度に対して、わが党は断じて反対であります。デモ規制法等を作る前に明らかにしなければならないことは、われわれ国会議員の反省であり、特に松野議長がその責任を明確にすることであります。このような日本の政治、議会政治をほんとうの意味においても守る措置がとられますならば、本法律案などは全く必要がないのであります。  その理由といたしましては、本法律案の内容の矛盾ないし違憲性についてであります。これを具体的に指摘するならば、次の五点でありましょう。  すなわち、まずこの法律案は、その名称でもわかります通り、「国会の審議権確保のための法律案」でありますが、国会の審議権の確保は、言うまでもなく国会内に限定されなければなりません。しかるに、国会の審議権確保に名をかりて国会に対するデモ規制を行なおうとすることは、国民が憲法第二十一条に保障された集会、言論、表現の自由を拘束することで、基本的な誤りであると言わなければなりません。  第二は、本法案の第一条にありますように、「国会が国権の最高機関である性質にかんがみ、」この法律案を制定するのが目的となっております。しかし、国会が国権の最高機関であるのは、現行憲法から言いますと、申し上げるまでもなく主権在民の精神に由来するのでありまして、国民が憲法に保障されている基本的人権を拘束することは、法体系としてはまことに不備であり、しかも違憲性が濃厚であります。  第三に、提案者の説明によれば、国会の審議権と登院権を一体として不可分であると言うのでありますけれども、それは本法律案の真実を語っているとは言えないのでありまして、大きな矛盾が現われております。たとえば第八条において、「国会議員の登院を妨げた者」に対し単独の罰則を設けているではありませんか。国会の審議権と登院権は本来別々のものであって、別々のものであればこそ、このような法律などは不必要であり、現行の諸法律で十分であり、かりに審議権確保のために必要であるとするならば、国会法の一部を改正すれば十分であると考えるのであります。  第四に、「国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれがある」ときは、両院議長が都公安委員会に対し種々の要請を行なうことができ、警視総監に対して必要なる措置を要請することができるということでありますが、これは両院議長の予見、判断によって要請することができ、しかも国会周辺道路における国民の通行、集会等が制限されるのであります。ここで問題になりますのは、一つには国会周辺道路と定めてはありますけれども、その地域外においてこのような行動が行なわれた場合についても、本法律案議長要請ができると提案者が解明をいたしておるのであります。これは全く地域を定めた意味がなく、広範囲に規制しようとする意図が現われていると言わなければなりません。  なおいま一つの問題は、両院議長にいろいろの要請権を認めておりながら、両院議長の責任については何ら明らかでないのであります。この法律案では、両院議長に大きく国民の行動を規制し制限する権利を認めながら、何らの義務をも認めていないのであります。権利だけあって義務のない法律がありましょうか。断じてあってはいけないのでございます。しかも、このような権限を議長に与えることは、きわめて国民にとっては迷惑なことであります。  さて第五には、この法律案は、この法律案に類似する法律または条例以上の権限を認めておりますが、この法律の発動はきわめて違憲性の強い都公安条例を基礎としたものであって、いやしくも立法府は慎重の上にも慎重でなければなりません。この法律案が成立するならば、今後、東京都公安条例、警察官職務執行法、軽犯罪法等に大きな権限を認めるための改正を行なう基因を作り、なお、各府県においても公安条例を制定促進する結果となり、このことにより、国民の基本的人権は大きく侵害される可能性を持っているのでございます。  以上の諸点より見まして、本法律案はまことに大きな違憲性を持ち、その内容はきわめてずさんであって、全く法体系が整っておらず、断じて反対いたすものであります。  私が冒頭に申し上げました通り、国権の最高機関である国会の審議権確保については、憲法で保障された国民の権利を抑圧または規制することなく、国会のあらゆる審議にあたって、まず、政府自身並びにわれわれ国会議員と政党自体が心から反省をし、特に与党は率直に国民の世論を聞き、また野党の貴重な意見に対しても耳を傾け、これを取り入れるところの度量があってこそ、真の民主政治であり、公正な審議が確保でき、国民の信託にこたえ得るものと私は確信するものであります。特に、良識の府といわれます参議院においては、このような理不尽な法律案は断じて通過せしむべきではないと考え、反対討論を終わる次第でございます。(拍手
  72. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  73. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  74. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  75. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数      二百七票   白色票      百二十六票    〔拍手〕   青色票       八十一票    〔拍手〕  よって本案は可決せられました。      ——————————  賛成者(白色票)氏名百二十六名    杉山 昌作君  村山 道雄君    谷口 慶吉君  鳥畠徳次郎君    田中 清一君  櫻井 志郎君    稲浦 鹿藏君  大谷藤之助君    前田 久吉君  白井  勇君    下村  定君  吉江 勝保君    岩沢 忠恭君  苫米地英俊君    野本 品吉君  天坊 裕彦君    大谷 瑩潤君  館  哲二君    村松 久義君  堀  末治君    村上 義一君  太田 正孝君    笹森 順造君  黒川 武雄君    泉山 三六君  杉原 荒太君    鍋島 直紹君  山本  杉君    谷村 貞治君  天埜 良吉君    米田 正文君  櫻井 三郎君    岸田 幸雄君  北畠 教真君    金丸 冨夫君  川上 為治君    徳永 正利君  安部 清美君    鈴木 万平君  手島  栄君    林田 正治君  佐藤 芳男君    松野 孝一君  柴田  栄君    中野 文門君  増原 恵吉君    平島 敏夫君  勝俣  稔君    山本 利壽君  後藤 義隆君    塩見 俊二君  上原 正吉君    岡崎 真一君  武藤 常介君    田中 啓一君  松平 勇雄君    田中 茂穂君  杉浦 武雄君    西川甚五郎君  新谷寅三郎君    近藤 鶴代君  西郷吉之助君    迫水 久常君  高橋進太郎君    吉武 恵市君  永野  護君    林屋亀次郎君  小林 英三君    寺尾  豊君  野村吉三郎君   大野木秀次郎君  平井 太郎君    大沢 雄一君  小幡 治和君    前田佳都男君  宮澤 喜一君    横山 フク君  石谷 憲男君    村上 春藏君  鹿島 俊雄君    植垣弥一郎君  赤間 文三君    青田源太郎君  仲原 善一君    堀本 宜実君  松村 秀逸君    井川 伊平君  上林 忠次君    西田 信一君  江藤  智君    梶原 茂嘉君  高橋  衞君    高野 一夫君  鈴木 恭一君    河野 謙三君  大川 光三君    佐野  廣君  山本 米治君    小沢久太郎君  青柳 秀夫君    井上 清一君  加藤 武徳君    安井  謙君  斎藤  昇君    小柳 牧衞君  谷口弥三郎君    木内 四郎君  木暮武太夫君    小山邦太郎君  紅露 みつ君    重宗 雄三君  堀太 鎌三君    郡  祐一君  草葉 隆圓君    青木 一男君  鹿島守之助君    木村篤太郎君  津島 壽一君    伊能繁次郎君  最上 英子君    岡村文四郎君  重政 庸徳君    石原幹市郎君  植竹 春彦君    湯澤三千男君  井野 碩哉君     —————————————  反対者(青色票)氏名 八十一名    石田 次男君  柏原 ヤス君    小平 芳平君  原島 宏治君    辻  武寿君  北條 雋八君    市川 房枝君  千田  正君    豊瀬 禎一君  鶴園 哲夫君    野上  元君  米田  勲君    中村 順造君  安田 敏雄君    千葉千代世君  森中 守義君    北村  暢君  横町 正市君    鈴木  強君  坂本  昭君    森 元治郎君  鈴木  壽君    伊藤 顕道君  木下 友敬君    平林  剛君  阿具根 登君    大和 与一君  近藤 信一君    矢嶋 三義君  江田 三郎君    中田 吉雄君  荒木正三郎君    小酒井義男君  高田なほ子君    光村 甚助君  野溝  勝君    加藤シヅエ君  清浄 俊英君    木村禧八郎君  岡  三郎君    戸叶  武君  岩間 正男君    野坂 参三君  須藤 五郎君    武内 五郎君  小柳  勇君    大矢  正君  永末 英一君    基  政七君  藤田藤太郎君    相澤 重明君  占部 秀男君    田上 松衞君  田畑 金光君    秋山 長造君  永岡 光治君    藤田  進君  亀田 得治君    加瀬  完君  相馬 助治君    向井 長年君  椿  繁夫君   小笠原二三男君  小林 孝平君    村尾 重雄君  東   隆君    松浦 清一君  阿部 竹松君    松澤 兼人君  佐多 忠隆君    田中  一君  重盛 壽治君    島   清君  千葉  信君    久保  等君  羽生 三七君    内村 清次君  松本治一郎君    山田 節男君  赤松 常子君    棚橋 小虎君      ——————————
  76. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十七分散会      —————————— ○本日の会議に付した案件  一、常任委員長辞任の件  一、常任委員長選挙  一、日程第一 商工会組織等に関する法律案趣旨説明)  一、日程第二 治山治水緊急措置法案趣旨説明)  一、日程第三 昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書  一、日程第四 昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  一、日程第五 昭和三十二年度国有財産無償貸付状況計算書  一、日程第六 昭和三十二年慶物品増減及び現在額総計算書  一、日程第七 関税及び貿易に関する一般協定へのスイス連邦暫定的加入に関する宣言の締結について承認を求めるの件  一、日程第八 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案  一、日程第九 船主相互保険組合法の一部を改正する法律案  一、日程第十 酒税法の一部を改正する法律案  一、日程第十一 海岸法の一部を改正する法律案  一、国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案