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1960-04-28 第34回国会 参議院 法務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十八日(木曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   委員異動 四月二十七日委員佐野廣君、最上英子 君及び亀田得治辞任のため、その補 欠として平井太郎君、植竹春彦君及び 江田三郎君を議長において指名した。 本日委員平井太郎君及び植竹春彦君辞 任につき、その補欠として佐野廣君及 び西田信一君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大川 光三君    理事            高田なほ子君    委員            佐野  廣君            西田 信一君            林田 正治君            江田 三郎君            大森 創造君            千葉  信君            赤松 常子君            市川 房枝君   政府委員    法務大臣官房司   法法制調査部長  津田  實君    法務省刑事局長 竹内 壽平君   最高裁判所長官代理者    事 務 次 長 内藤 頼博君    総務局総務課長 長井  澄君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○裁判所法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   ————————————
  2. 大川光三

    委員長大川光三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  四月二十七日付、最上英子辞任植竹春彦選任亀田得治辞任江田三郎選任。  本日付、植竹春彦辞任西田信一選任、以上であります。   —————————————
  3. 大川光三

    委員長大川光三君) まず、裁判所偽の一部を改正する法律案を議題に供します 。御質疑のある方は御発言を願います。なお、当局からは法務省から津田司法法制調査部長裁判所側から内藤事務次長長井総務課長出席されております。
  4. 高田なほ子

    高田なほ子君 昨日裁判所側の方から、きょうの委員会に対してどんなような問題を御質問なさるかと、大へん親切に御連絡いただいたわけでありま、けれども、ちょうど来客中でありましたために、せっかくの御照会でしたりれども、詳しく御連絡できませんでした。従って、きょうの質問はいろいろな問題点があるわけですが、御用意ならないような部面の質問がありましたら、まあ一つ十分お考えになり、御研究になって、不明の点は後刻に回していただいてけっこうでありますから、そういうふうに一つ取り扱っていただきたいと思います。  まず、法務当局にお尋ねしたい点でありますが、今回の裁判所法の六十条の改正が、相当、一億三千万という号俸調整うらはらになった改正案であると思う、実際面として。そこで法務当局としては、立案過程に、予算の運用という問題について、裁判所側とどういうような連絡準備がされたか。こういう点をまずお尋ねしたいと思いますが、この点どうでしょう。
  5. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまのお尋ねについてでございますが、裁判所側から法務省連絡がありました事項につきましては、まず訴訟促進をはかるため何らかの方策を講じる必要があるわけであります。その一つの問題といたしまして、書記官制度調査委員会議等を経た結果に基づいて裁判書記官職務権限内容を拡充したい。その内容は大体かくかくのものでのるという御連絡がありました。それに対しまして法務省といたしまして検討いたしました結果、裁判所の申し出られました内容につきまして、まあ側々の文章、字句の問題は別といたしまして、その趣旨には十分合理的な点がのるというふうな結論になりまして、この法律案を立案したと、こういうことになるわけであります。この法律案につきましては、ただいま御指摘のように一億円余りの予算の問題とどういう関連があるかということでございますが、その点につきましては、この法律案そのものは、直接この予算とは関係がないという趣旨法務省としても考えておりますし、裁判所といたしましてもその趣旨を了解されておるわけであります。と申しますのは、この法律案によりまして拡充される書記官権限としては、年来の希望であったという最高裁判所側からの説明十分ごいました。また地位の向上という言葉が適当かどうかわかりませんが、書記官が、少なくともいわゆる書記官の本来の書記的事務を離れて、やはり法律問題に対する実質的な事務にある程度タッチするという一つの道でもあるわけでありまするから、その意味で、書記官職務内容についての法律的な面からいえば、向上してくるわけであます。そういう意味もありまして、この法律案そのものは、書記官に対しも、非常に何といいますか、素養を信頼した形になるわけであります。もとより書記官につきましては、数年来非常にその素質の向上に努めておりますので、非常に現在においては向上しておるわけでありますので、こういう職責を与えても、全く何らの不安がないということが考えられる。従いまして書記官には本来こういう権限をこの際は与えてもいいという観点でありすので、直接この問題は——すなわち、予算というのは御指摘になると思いずが、勤務時間の延長と申しますか、そのうらはらになっておりますところの予算であると思うのでありますが——その予算とは関係がなく行使し得るものであるというふうに考えますが、この書記官の与えられた権限を十二分に活用して、そうして訴訟促進をはかり、人権を尊重するということにつきましては、やはりある程度勤務時間の延長を要するものであろうということは、十分私どもの方から、すなわち法務省側としてはうかがい得るところでありまするが、しかしながら、いかにその勤務時間を延長するかしないかというような問題は、これは司法行政最高責任者であるところの最高裁判所が独自にきめるべき問題でありまして、政府当局が容喙すべき筋合いではありませんので、その点は全く最高裁判所にまかされておるというふうに考えておる次第でございます。
  6. 高田なほ子

    高田なほ子君 まあ司法制度に関する法令として、この種の内容を持った法令作成について法務省検討をせれたということもわかるし、またそれも筋であろうと思います。ただしかし、後段の予算の問題について直法務当局が、本改正案についてはこれは関係がないというようなことは、一応筋としてわかるわけでありますが、ただ、この勤務時間の延長については、最高裁当局考え方が、まあこれが主になってくることはわかりますけれども、時間を延長するということになると、裁判所書記官待遇問題に達する内容を持ってくると思うんです。で、裁判官待遇については、一体だれが責任を持つのか。法務省というのは、この裁判官待遇そのものについては責任がないのであるかどうかという問題でありまするが、この点はどうでしょうか。
  7. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまの制度におきましては、まず大蔵省におきまして特別職給与制度を管理するという権限大蔵省設置法にございます。そこで、裁判所給与制度につきましても、それを給与制度の面から見る場合においては、大蔵省一つ所管であるということが言える。一面、裁判所の職員の制度につきましては、司法制度という面におきまして、司法制度に関する法令案作成法務省所管である、そういうふうになっておりますわけでありまして司法制度の面から見て、しかも具体的に法令案作成して内閣から国会提出するという責務は、主として法務省が負う。しかしながら、その裏づけとなっておる特別職給与制度特別職たる国家公務員給与制度につきましては、基本については大蔵省がやはり権限を持っておる。こういうことになっております。それから給与制度裏づけになる予算につきましては、これまた大蔵省の国の予算に関する権限という意味で、大蔵省権限。そこで、御承知通り最高裁判所におきましては、大蔵省に直接給与の面に対する予算折衝をいたし、それから給与制度の面につきましても大蔵省折衝いたして、そうしてそこでまとまった結果につきまして、最高裁判所から法務省連絡し、大蔵省からも法務省連絡があって法務省におきましてそれは司法制度の面から相当であるという判断をいたしますれば、それに基づいて法令案を立案する、こういうような格好になっております。従いまして、法務省法令案作成権限はむろんございますが、ほかの行政機構の場合と違いまして、予算要求権限を持っておる役所が、即そのことの法令案作成するという場合と違いまして、予算要求権限は、あくまでも最高裁判所にある。法令作成権限法務省にあるわけで、これは最高裁判所というものは、司法制度として、内閣の中にないということで、おそらくそういう結果にならざるを得なくなっておるわけであります。そこは憲法に基づきますところの行政、すなわち法令提案権というものは、裁判所司法権との関連をそこで結びつけておるというふうに考えられるわけでございます。そういう意味におきまして、法務省責任と申しますのは、主として司法制度の点から見た点の責任である。それの裏づけになる予算給与制度につきましては大蔵省責任最高裁判所は、その予算要求するについて、場合によっては二次予算を出す権限も確保されるというような、いわば三つの役所権限が融合して一つのものになるというような形になっておるのが現状であり、また現在の法律制度であるというふうに考えております。
  8. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体筋道はそれでわかるわけですが、具体的に裁判官待遇について司法制度の面から見た待遇について立法する、こういうような場合には、当然予算の面が伴う司法制度改正ということになるわけであります。この場合、待避そのものについて、直接責任を持たなければならない当局というのはどこなんですか。
  9. 津田實

    政府委員津田實君) これは法律制度といたしましては、法務省責任がございます。従いまして、ただいま法務省といたしましてやっておりますることは、この前も当委員会においてもいろいろ御議論がございました裁判官待遇の問題につきましてはどういうことであるかと申しますると、あの際にも御説明申し上げました通り裁判官待遇を画期的によくするためには、任用制度の改善をはからなければならない。任用制度については、すでに多年問題になっております法曹一元が問題になっておるということでございまして法曹一元の制度を立てるにつきましては、法務省いろいろ案考え検討いたしておる次第であります。そういう意味検討は、これは全く法律面の問題でございます。そこで、そういう法律面でかりに成案を得たということになりました場合に、それをどうするかということになりますると、これはやはり最高裁判所連絡いたしましてそれの裏づけになる予算大蔵省要求をし、大蔵省を納得せしめる説明をしていただくということになりますが、その際は、やはり大蔵省を納得せしめるについて同じ政府部内のことでありますので、法務省法令制度面から見た必要性大蔵省に説いて、最高裁判所がそういう予算を獲得し得るようにはかるという責務があるというふうに考えておるわけでありますが、あくまでも法律裏づけとなる予算要求については、これは最高裁判所が直接大蔵省に行なうことでありまして、法務省を通じて行なうことではないというのが現在の財政法のあり方だと思います。
  10. 高田なほ子

    高田なほ子君 財政法の何条にそういうことがありますか。
  11. 津田實

    政府委員津田實君) 直接には財政法の二十条の二項だと思いますが、「衆議院議長参議院議長最高裁判所長官会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣は、毎会計年度、第十八条の閣議決定のあった概算の範囲内で予定経費要求書継続費要求書繰越明許費要求書及び国庫債務負担行為要求書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。」この規定があるのであります。これは直接最高裁判所長官大蔵省要求するということであります。
  12. 高田なほ子

    高田なほ子君 裁判官待遇について、法律制度としてこれが立案された場合には法務省責任を持つ。しかもその裏づけとなる予算折衝は、法務省とは建前関係なく、裁判所側が直接大蔵省折衝することになる、こういうわけですね。  しかし閣議には、裁判所側では事務総長出席をして予算についての発言権も何も持たないわけでありますから、この場合、立法裏づけになる予算折衝については、法務省そのものも、やはり立法者としての責任から、予算折衝の面にも大幅な発言というものが必要だとも思うし、今までもそうしてきていらっしゃると思いますが、この点はどうですか。
  13. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま御指摘の点はまことにごもっともでございまして事実上の問題といたしまして法務大臣がいわゆる国務大臣といたしましていろいろ裁判所予算について主張をするということはしばしばあります。また、最高裁判所から予算につきまして法務大臣にいろいろ要望をされるということはしばしば実例としてあるわけであります。でありまするが、法律上の制度から申しますると、最高裁判所長官が直接大蔵大臣折衝をする、こういうことになっておるわけでございます。そこで、新しい制度を打ち立てる場合につきましては、法務省がある制度考えておる、最高裁判所と無関係に、ある司法制度考えておるという場合におきましては、法務省といたしましてはどういう手があるかと申しますと、最高裁判所にこういう制度裁判所として立てるべきだ、従ってこの制度に賛成をして、それに見合う予算大蔵省要求をしてもらいたいということを、法務省最高裁判所連絡をするということになると思います。と同時に、法務省大蔵省に対しまして、こういう法律制度が必要である。こういう制度が必要であるから、それの裏づけとなる予算最高裁判所要求に基づいて認めるようにしてもらいたいということを大蔵省連絡するという形になると思います。しかし、御承知のように財政法建前では、概算要求書を出す権限のあるのは最高裁判所なんで、法務省が出すわけにいかないので、もしも最高裁判所がそんなものはほしくないという場合には、最高裁判所がそう判断された場合には、法務省としては大蔵省にそういう予算をつけなさいということは法律上言えない、そういう関係があるというわけでございます。
  14. 高田なほ子

    高田なほ子君 裁判所側も、何といいますか、予算の取り方がずいぶん下手なように私は思いますね。それは最近の政治情勢から考えても、予算分取り競争というものが非常に予算編成期に露骨に行なわれるわけです。これは皆さん御存じ通り各省がそれぞれ、また各省をバツクにした各大臣がそれぞれ、ほとんど不眠不休のありさまで予算自分の方の省によけいほしいということで——これは御熱心のあまりですから悪いというわけじやありませんよ——狂奔されるわけです。そういう中で、この裁判所側が直接発言権を持たないということが、かなり裁判所予算運営を窮屈にしているのじゃないかという気持が私はするわけなんです。ただいま法務省からの説明によっても、どうやらそういう点が一応考えられのでありますが、法務当局としては、私のこういう考え方について、なるほどそうだというふうにはお考えになられませんか。少し無理な質問なんですが……。
  15. 津田實

    政府委員津田實君) 最高裁判所が閣内におきまして直接発言機会がないということについては、御指摘通りであります。従いまして、これは法律論としては別といたしまして事実問題として大蔵大臣折衝、接触する機会が少ないということは御指摘通りだと思います。しかしながら、まあ、一面逆に考えますと、最高裁判所がかり閣議にしかるべき係官出席せしめるというようなことがございましても、それはそれじゃ閣議の中に入って、最高裁判所内閣とともに予算内容について責任を負い得るかというと、これは三権分立建前からそういうことはできない、そうすると、かりに係官出席せしめるとしても、それは単なるオブザーバー的なものにすぎないということになってしまうわけなんで、閣議係官出席するかどうかというようなことは、実質問題としてはあまり効果があるとは思えない、むしろ責任をひっかぶらなければならぬということになると思います。従いまして、その面ではやはり三権分立ということになりまするので、そこでそれを調整するための制度としては、御承知の二重予算制度を置いており、二重予算最後は確保するのだ、こういう法律建前でそこを救済しているということになると思うのでございます。従いまして、最高裁判所としては、極力大蔵大臣折衝して自分裁判所側趣旨内閣なり大蔵省に徹底せしめるということによって、それでもなお意見の対立がある場合には、最終的には二重予算権限を行使するということになるのではないか、それが三権分立の、お互い他を制肘しないという制度の上からは、まあやむを得ないところではないかというふうに考えておる次第でございます。
  16. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうも裁判所発言というものが、今言う制度上分取り予算競争の中ではいつでも敗者の立場に置かれるわけです。これは制度上やむを得ないわけでありますが、だからといって予算の面が他の省より軽視されていいという理屈は成り立たない。そこで、今言うように財政法の二十条に従って裁判所側が二重予算希求権を持っておるわけでありましょうが、この二重予算請求権を行使した例は今日までどういう場合にあったか、裁判所側意見一つ聞かしてもらいたい。
  17. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 裁判所予算の面におきましていろいろその意にまかせない面がございます今日の状況であるということは、御指摘通りでございますが、ただいま津田部長がお答え申し上げましたように、裁判所といたしましては議会に対して二重予算を出しまして国会の御審議を仰ぐというのが財政法にきめられた手続になるわけでございますが、近ごろの例といたしましては、一度だけ二重予算国会に出しましたことがございましてそれはたしか昭和二十七、八年ごろのこと——もう少しあとだったかと思いますがございます。それは裁判所営繕予算につきまして大蔵省の査定がきびしくて、とうてい裁判所として忍び得ない点がございましたので、その際に営繕予算につきまして二重予算国会提出いたしました。その際には、国会の御審議中に将来の裁判所営繕に関する見通しが立てられるようになりましたので、二重予算提出いたしましたけれども、結局撤回をいたしまして、政府案予算審議が終わったわけであります。
  18. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、この営繕予算は二重予算権を行使されて成功した中に入りますか。
  19. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 二重予算そのもの国会審議されてそれが認められたわけではございませんけれども、そういうことをいたしまして、撤回はいたしましたけれども、その後、営繕予算につきまして満足とは参りませんが、大蔵省の方針に若干の影響はあったと思っております。
  20. 高田なほ子

    高田なほ子君 この二重予算請求する権利というのは、私はかなり根拠の強いものじゃないかと思うのですが、そんなに簡単にこれは撤回してしまったものなんでしょうか、撤回すべきものなんでしょうか。最終的には政治は妥協ですからね、撤回する場合もあると思うのですけれども、最初にして最後のこの営繕予算請求したものが撤回されたということについてあまり釈然としないものがあるのです。  もう一つ裁判官のあるいは書記官の人員というのは、前々からの質問でわかっているように、非常に定員が、いろいろの事情もあると思うが、不足している面などもあるようですが、いわゆる待遇の面について二重予算請求をしたというようなことはあるかないか。
  21. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 確かに二重予算提出ということは、制度上認められました裁判所としての最後の手段でございますので、これは軽々に行なうべきものではないかもしれませんし、また出しました以上は、軽々に取り下げるべきものではないと存じます。先ほど申しました例でございますが、その際には、やはり諸般のその当時の状況から撤回したものでございまして、決して軽々撤回したというわけではないのでございますが、やはりこれは問題の性質上、全くそのときの情勢いかんによって処置をするほかはないと存じます。裁判所といたしましても、常にこの扱いにつきましては慎重を期して、いろいろ情勢をよく検討しているわけでございまして、その当時もいろいろな情勢を十分検討しました上で撤回したわけでございます。  それから定員の不足につきましても、御指摘のように裁判所事件増加事務増加に伴いまする定員増員が十分でございません、それにつきまして大蔵省との予算折衝を毎年いたしているわけでございますけれども、これにつきましては、たとえば裁判官増員などが基本になるわけでございますけれども、御承知のように裁判官につきまして多くの今日までは欠員をかかえておりました関係上、増員についての積極的なたとえば二重予算要求であるとかいうようなことは、今日まで行なったことはございません。しからば裁判官の、待遇はどうかということになるわけでございますが、これにつきましては、国会においてもしばしば御討議をいただいて御配慮をいただいておるわけでございますけれども、今日いろいろな事情から、今日の報酬以上の報酬制度というものを打ち立てることがなかなか困難な実情にあるのでございます。これにつきましては、私どももいい人をできれば必要数を確保するために、報酬制度ということを考えなければならないわけでございましてこれにつきましては、今日でもなお検討は続けているわけでございます。
  22. 高田なほ子

    高田なほ子君 増員等について二重予算として要求したことはないという話でありますが、しかし、これは法務当局もよく御存じ通り、最近のいろいろの社会趨勢から見て取り上げる事件件数というものが増加したというようななまやさしい状態ではなくて、むしろ激増の域に達していると思います。その割に定員増が認められないというところに、適正迅速を欠くという問題が出てきておると思います。一体、二重予算請求する権限ということは、特に裁判所の場合に、その運営を円滑ならしめるための制度上からくる一つ権限である、この特殊的な事情に対応する増員に伴う予算請求等について、これは相当に考慮されるべき問題ではないかと私は思う、他の省とちょっと違う一つのケースではないかと思うのですが、このせっかくの権限が立ちぐされになるようなことでなく、これはどうしても二重予算請求権が今必要なのじゃないかという考え方を私は持つわけですけれども裁判所側では、そんなふうにはお考えになっておられませんか。
  23. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 先ほど来申し上げますように、二重予算提出権ということは、裁判所にとりまして重要な権限になっておりますが、私どもといたしましても十分にその取り扱いについて慎重を期し、できれば効果のある方法におきましてこういった権限を行使すべきものと考えているわけでございます。  定員につきましては、御指摘のように終戦事件が激増いたしまして、しかもその内容が戦前とは比べものにならない複雑な、しかも多岐にわたります問題を今日は裁判所に持ち込まれるわけでございまして、その仕事の量におきまして、質におきまして非常に負担が大きくなっているわけでございます。これに対処いたしますためには、何と申しましてもやはり裁判官をふやしまして、そしてそれに応ずるだけの裁判体制を整えることが緊急なわけでございますけれども、実を申しますると、終戦後のその事態に対応するだけの裁判官養成、もう少し広く申しますと、法曹養成ができていなかったわけでございます。これは終戦直後御承知のように世相が混乱いたしておりまして、そういう方面への志望者も少のうございましたし、また司法修習制度等も完備しておりませんために、十分な人員が得られないで過ごした何年間があるわけでございます。そういう空白の期間が過ぎまして、司法修習制度が確立いたしまして、司法研修所でもって司法修習生の二年間の研修を始めるようになりまして、その後今日まで約十年を経たわけでございます。十年を経ましてようやく軌道に乗った修習生の人たちが判事補としてあるいは検事としてあるいは弁護士として一人前の活動をするようになって参ったわけであります。これが今日の事態でございます。そういうわけで、判事の定員もようやくこの春ほぼ充員されまして、一ぱいになったということにようやくなったわけでございます。基本的には何と申しましてもそういった法曹養成ということが一、二年、あるいは二、三年の期間ではとうていなし得ないことでございまして、やはり十年、あるいは十年以上の歳月を経まして、そういった効果が現われてくるわけでございます。従いまして定員増加はもちろん望ましいし、切実な要求ではございますけれども、やはりそれにはそれだけの手を打っていかなければならないわけでございます。そういう意味におきまして、今日、司法研修所における司法修習生の数は年々増加させておりまして、施設にも伴います増加をさしておりまして、今後のそういった事件増加に対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。ただ遺憾ながら、これが来年度の予算でどうなるか、再来年度の予算でどうなるかというふうには、にわかにその効果が現われて参りませんけれども、おいおいその効果が現われてくると思います。これには裁判官ばかりでなく、検事も増員されなければなりませんし、また弁護士にせよ、法曹全体の人員が充実しなければならない問題と存じております。
  24. 高田なほ子

    高田なほ子君 いろいろ御説明がありましたが、定員養成機関というものが必ずしも整備されておらないというようなことが強くあげられておりますが、私もその通りだと思います。しかし、この裁判体制を整備するということは、単に定員養成機関が微弱であるというそのことだけにはとどまらないのじゃないか。たとえば今問題になっている裁判所書記官等の状態を見ますと、予算定員が二千百七十八名、この中で欠員が五百九十五名、こういうような大幅な数字が、これはちょうだいした資料の中に出ております。この大幅な欠員というものは、定員養成に間に合わないからだというような御説明があるかもしれませんが、しかし、私はそうだとばかりとは考えられない而もあると思う。要するに、裁判体制を整備するというのは、定員養成のみならず、たぶん前の委員会でも指摘したと思いますけれども、下級職員の欠員というものが他の省に比べて非常に多いのですね。多過ぎる。これはなぜこういうような結果がきているかといえば、問題は、やはりこの予算の面が窮屈なために、やむを得ざる措置としてこういうことが行なわれるのではないか。そうだとしたならば、最近のこの事件数の激増という特殊事情考えて、これは当然裁判所としては二重予算提出権をこういうときにこそ行使されて、堂々やはり現状打開のための計画的な予算というものを請求されるべきである、提出されるべきである、私はこういうふうに考えます。裁判所側はそういうふうにお考えになりませんかという質問に対して、慎重にしなければならないということを言っていますが、慎重の段階は過ぎているのじゃないですか。慎重過ぎちまってこういうボロが出てきちゃったんじゃないですか。その、ボロを補うために書記官に時間延長というような前近代的な制度を押しつけようなどというがごときは、これはあまりにもどうもやり方が非科単的じゃないですかね。せっかく制度があるならば、常々と二重予算提出されてそして大蔵省を動かし、また法務省も動かして、予算の面でこの問題の処理に当たるという積極性こそがあなた方の私は職責じゃないかと考えますが、そうお考えになられませんか。
  25. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 実は、書記官の問題につきましてただいま御指摘のございましたように六、百名からの欠員が書記官にはあるわけでございます。書記官のこの問題につきましても、実はただいま裁判官について申し上げましたと同じように、予算の面と同時にまた人の面があるわけでございまして、この欠員がございますというのは、やはり人の面の充実が今日そこまでいっていないというために出ている現象でございます。書記官につきましては、御承知のように従前の裁判所書記制度というものを新しい司法制度のもとに改めまして、裁判所書記官制度というものを今日打ち立てつつあるわけでございます。その間におきまして、書記官の任命資格を改めますし、また、研修制度を作りまして、書記官の素質、能力の向上をはかり、新しい書記官制度というものを打ち立てることを努力して参っておるわけでございますが、それに見合うところの書記官というものを得ることが、やはりこれも一朝一夕に参らないことは裁判官と同様な面があるわけでございます。六百名ばかりの欠員、これも年々補充されて参っておるわけでございますが、これもやはり書記官のそういった素質、能力の向上ということと見合いながら、欠員の補充をして参るわけでございます。今日はこの欠員は書記官補によりまして補いまして、実際の仕事には差しつかえないようにしておるわけでございますけれども、欠員の補充ということにつきましては、やはり年々これを解決していくというふうなほかはないわけでございます。そして定員が充足されまして、その上で今度はやはり増員というようなことになるわけでございまして、その機会も遠からず参ることだと存じております。
  26. 高田なほ子

    高田なほ子君 二重予算の問題については、あなたに責任持ってお答えいただくということはむずかしいので、私の質問をずっとはぐらかしていらっしゃるように思いますし、また、当然最高裁長官の責任に属することですから、お答えいただけないのはやむを得ないと存じます。これは最高裁長官にぜひ一度委員会に御出席いただく機会を今後作ってほしいと考えておりますから、その席で私はこの問題はお尋ねをいたします。ですから、今の私のこの問題に対する質問は保留してその次に移ります。  人の面の補充をすることが非常に困難である、こういうような御答弁がこの中に出てきておりますが、なるほど理屈は一面あると思います。ただしかし、いただいた資料から拝見いたしますと、書記官事務の補助をする書記官補というこれは職務があるわけですが、この書記官補は書記官にだんだんと昇任する機会が私はあるんだろうと思うのです。そこで、この三十五年二月一日現在の調査を拝見いたしますと、書記官補の中で五年以上十年未満という相当の経験を積まれた方が五〇・五%在籍しておられる。十年以上の方は二八・五%在籍しておられるわけです。五年以上十年未満、また十年以上、こういう練達の士は総人員の七九%を占める、約八〇%を占める、この八〇%を占める練達の士が同じ部内におるにかかわらず、年々書記官の欠員を増加してこれを埋めておるというお話でありますけれども、どうも先ほど指摘したように予算定員一千百七十八名の中で、今日なお五百九十五名という欠員が存在するということは、これは人の面の昇任ということについて当局が真剣な態度を持っておらないからじゃないかという気がせざるを得ない、この書記官補の、五年以上十年未満、十年以上という者が全体の八〇%を占めているのに、なぜこれの昇任の道を早急に開こうとしないのか、どこに隘路があるのか、人の面の充実が困難だというので私はこういう質問を今しているわけであります。この点はどうです。
  27. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっと委員長から関連して伺いますが、ただいま高田委員からお説の通り、人材は多士済々だという感じがいたします。ただ書記官補から書記官になるのに、昇任試験制度というものがあってその点が、試験制度が非常に無理な点があるのじゃないかという疑義がありますので、あわせてその点についての御説明をいただきたいと思います。
  28. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 書記官制度につきましては、先ほど来申し上げましたように、最高裁判所におきまして新しい司法制度のもとに新しい書記官制度を打ち立てるということが年来の懸案になっているわけでございます。それで、先ほど申し上げましたような任用資格あるいは研修制度というものを打ち立てて参ったわけでございますが、その新しい制度に伴いまして、昇任制度もそれによって作られているわけでございます。書記官補から書記官への昇任の道といたしましては、書記官研修所における養成部の研修ということが一つございます。それからもう一つは、別にこれは一般に行ないます昇任試験がございます。このいずれかを経まして書記官補が書記官に昇任されるわけでございます。それで、養成部を終了いたします者が年々百五十名出ているわけでございます。それから昇任試験を行ないまして、この試験に合格する者は、これは年によって違いますけれども、百名ないし二百名見当が昇任試験に合格しているものと存じておりますが、なぜそういうやかましいことを条件として設けているかと申しますと、これは全く従来の裁判書記制度、これを改めて書記官制度というものを打ち立てまして、書記官が従来の書記の職務以上に法律的な素養を十分に備えまして、そうして法律職として内容ある仕事をしていくようにしていきたいということがそのねらいなのでございます。そのためには、やはりこれだけの条件を備えまして書記官の素質、能力ということを向上させていきたいということになるわけでございまして、そのために相当昇任が困難になってきた、困難になってきているということは、いなめないと存じます。ですから今日書紀官に昇任いたしました人たち、その素質、能力というものは、全く過去の裁判書記とは変わりまして、一新されまして、非常にりっぱなものであるということは申し上げることができるのであります。ただ二面に、そういった昇任の条件がむずかしくなりましたために、相当の経験年数を経ながら、なお書記官に昇任できないという人たちが生じているわけでございます。これへの対策でございます、けれども、私どもといたしましては、できる限りそういう研修の機会を作りまして昇任の機会を作っていきたいというふうに考えているわけでございます。今日書記官の昇任資格、あるいは昇任条件というものをゆるめて参りますよりも、研修の機会を多く作りまして、そうして書記官補にそれだけの力をつけましてそうして書記官にしていきたいというのが私どもの念願でございます。それによりまして今回改正をお願いしておりますような書記官職務権限の改めということも可能になりますし、また、今日の事態に応じまして裁判の適正迅速ということも期せられるようになるわけでございます。こういった新しい書記官制度を打ち立てることにつきましては、諸外国における立法例等も参照いたしまして、そういった案を立てているわけでございますが、書記官におきましても確かにそれは昇任の条件の困難であるということは、いろいろまだ問題がございます。しかし、そういった新しい意味書記官制度を打ち立てるということにつきましては、書記官の多くの人たちがやはりこれに共鳴いたしまして年来その人たちの念願でもあるわけでございます。私どもといたしましては、できる限り昇任の機会を作りながら、そういった新しい制度を打ち立てたいというふうに考えているわけでございます。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 私の質問に的確に答えて下さい。私はこういうことを聞いているわけです。七八%に及ぶ練達の士がどういうわけで書記官になれないのだろう、この隘路は何だと、こう聞いているわけです。その隘路の一つとして条件が非常にむずかしくなってきていると言われますが、条件とは一体何か、どういう条件ですか。
  30. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 条件と申しますのは、書記官研修所の養成部の研修を終わることであります、終了することであります。もう一つは、終了するかまたは昇任試験に合格するということ、でございましてそのいずれかを経なければ書記官補を書記官に昇任できないことになっているわけでございます。条件と申しましたのはさようなことでございます。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 研修所を終了するかまたは昇任試験に合格するか、二つの道を選ぶことになるわけですが、問題は、研修所に入りたいと考えておる人を満足に入所させることができないということが険路になっているのじゃないですか。こういう点は数字をあげて説明して下さい。
  32. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 研修所に入る人員は、どうしても人数が制限され、ますので、従いまして入所希望者全艦入るというわけになかなか参らないわけであります。年々消化をいたしているわけでございます。けれども、入りたいという人数も多くございますために、なかなか行「き渡らないというような現状でございます。養成部の、ただいま申しました研修と申しますのは、これは一年の研修と二年の研修に分かれております。一年の研修は大体大学の法学部を卒業いたしまして書記官補に任官いたしまして、六カ月の在職期間を少なくとも必要とするというふうになっております。六ヵ月実務を経まして、そして研修所に入りまして、一年間の専門の研修を受けるわけでございます。それから二年の方の研修と申しますのは、これはただいま申しました以外の学部を卒業いたしまして、あるいは短期大学を卒業いたしました者が一年間裁判所書記官補の実務を経験いたしまして入るのでございます。これは二年の研修を経まして、そして先ほど申し上げました者と大体同等の実力がつくわけでございまして、そして任官昇任するわけでございます。大体こういった状況で研修をいたしているわけでございます。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 私がお尋ねしたいのは、これは事務当局からでけっこうです。入所希望者がどのくらいあつて入所できるのはそのうちの何パーセント入所できるかということです、私のお尋ねしているのは。
  34. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 入所につきましては、大体公平を期して機会を与えるようにしているわけでございますけれども、毎年大体やはり数倍の入所希望者が出ております。その中から選ばれているわけでございます。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 問題はそこらに私はあると思うのです。入所希望者が数倍あって、その中の、言うならば五分の一きり入れないわけですね、十人の人が早く書記官になりたい、大学をちゃんと優秀な成績で卒業されて、実地にもう六カ月おられて、入所の資格をちゃんとお持ちになっていらっしゃっても、十人のうち二人きりこの研修所に入ることができない。毎年そういうようなていたらくでありますから、みすみす、言うならば、間の悪い人だと五年間という時間を希望に燃えながらその機会を与えられることができないという場合があり得る。ここが人の面の充実ができないという制度上の私は欠陥だと思いますが、どういうふうになっておりますか。
  36. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 御指摘のような点がございまして、私どもといたしましても、できる限り養成部の研修の人員をふやしたいわけでございます。しかし、これにはやはり一面には研修施設というものが問題になりますし、もう一つは、やはりその間、実務を離れるというために、裁判所事務運営上の問題があるわけでございます。従いまして、そういった二面の制約を受けるために、ただいま申しましたような希望者が必ずしも全部希望を満たされないというような状況になるわけでございます。で、私どもといたしましては、そのために昇任の機会に恵まれないということでは、確かにそれでは職員のために不都合かと存じております。そこで、ただいま実務経験六カ月とか一年とか申しましたけれども、さらに実務経験の長くなりました者につきましては、別に研修の道を開きまして、そうして昇任試験を受けられるというふうにして参りたいというふうに存じているわけでございます。これは必ずしも特別な、十分実務の経験を経れば一年、二年というような長期の研修は必要といたしませんので、ある期間の研修によりまして勉強いたしまして、そうして昇任試験を受けるという道を開くようにいたしていきたいわけでございます。そういった運用によりまして、ただいま御指摘のようなこういった、何と申しますか、昇任に関する不合理な点は是正して参りたいというふうに考えております。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 研習所に、望む人の二割、そのくらいきり今入れないということは、これは問題だと思いますが、その原因として、そう一ぺんにたくさん入れると裁判所事務の停滞を来たすということを言われておりますが、私はそのことは了承いたしますけれども、取り扱っていらっしゃるあなたとしては、この研修所の施設というものの数が少なきに失しているのではないかという疑問が沸いてきますが、この点はどうなんですか。
  38. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 研修施設も十分にして参りたいということを私ども考えているわけでございます。これは約十年間、書記官研修所ができまして経たわけでございまして、年々卒業生がふえて参りますので、研修所の内容もまた相当充実して参ったわけでございます。これはここ二、三年のうちにはさらに研修施設が充実いたしましてさらに十分な研修ができるようになるような構想でいるわけでございます。ただいまは、いわば仮の庁舎、仮の教室で研修をいたしているような状況でございますけれども、二、三年の後には相当木柵的な施設ができるというふうに私どもは計画いたしているわけでございます。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 本格的な施設もさることながら、この事件の急増に際して、本格的な党々たる大ビルディングよりは、むしろ十人研修所に入りたいと希望している人を、その十人のうち二人あるいは一・五くらいきり入れないで、あとの者は指をくわえて待っているというようなことでは、これはやり方がまずいんじゃないか。むしろ研修所の数をふやして、そうして十人希望している場合には、少なくともそのうちの半分くらいの人は研修所に入れる道を開かれるというような方法を講ずる必要が早急にあるんじゃないかと思う。しかし、やはりこれには当然予算というものが必要になってきます。だから、私は先ほどから口をすくして言うように、二重予算提出権というものは最高裁判所側にあるということは、こういう面が大へん大切な問題として特定の権限が認められているわけなんでありますから、この施設を増設していくというような基本的な方針をおとりにならなければ、これはいつまでたったって裁判の適正迅速なんということは、まるでお題目みたいになっちゃって、何にもならないと思うのです。ただ、今御答弁の中に、研修所を二、三年の間にどうかするというお話がありましたが、この研修所を二、三年の間に幾つかふやすという計画を持っていらっしゃるわけですか。
  40. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 研修所の充実と申しますのは、ただいま御指摘のような意味で申し上げたわけでございます。研修所の施設を作りまして、そうして研修の種類等もふやしまして、そうして多くの人たちが研修を受ける機会を作れるようにしたいという趣旨でございます。この面につきましては、大蔵当局とも折衝いたしまして、大蔵当局の理解も得ております。予算上の措置も具体的にとられることになっております。少なくとも一、二年のうちにそれがぼつぼつ実現して参ると存じております。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 あなたにばかりこまごましいことを聞いても、よくわからないのじゃないですか。おわかりになっていらっしゃるのですか。この研修所のことを担当していらっしゃる方はどなたなんですか。もう少し的確な御答弁がほしいですよ。一、二年の間にどうこうするということでは、私了承できないのです。そんなことは今までもいろいろそういうことを言われるのですけれども、そんなもの実現したためしがないのです。何かもっと具体的な計画があるならば……。人が足りない、人が足りないと言っているのに、もっと具体的な計画をお出しになったらいいじゃないですか。だれがこういうことをおやりになっていらっしゃるのですか。
  42. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 研修のこともやはり書記官研修所がございまして、書記官研修所で担当はしておりますけれども、その研修に関する事項は、やはり私ども事務当局検討しておるわけでございます。  ただいま申し上げました研修所の充実でございますけれども、これは本年度予算外国庫負担契約ということによりまして、研修所の施設ができるということになっているわけでございます。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 幾つできるのですか。
  44. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 数は……。結局書記官研修所として宿舎、教室、庁舎ができるわけでございます。
  45. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、数倍の入所希望者に対して、それができると、どのくらい緩和されますか。
  46. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 研修の方法でございまして、必ずしも先ほど申し上げました一年、二年の研修の人員を一ぺんにふやすというわけには参るまいかと存じますけれども、他のいろいろな研修と合わせまして、そうして研修の機会を多く作り、昇任の機会を作りたいというふうに考えておるわけでございます。で、いろいろな各種の研修がどのくらいの数になりますかはまだわかりません。私はまだきめておりませんけれども、そういう研修をふやして参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  47. 高田なほ子

    高田なほ子君 一、二年の間に大体できるということを言われるから、幾つできて、どれだけ緩和されるのかという質問を私しているわけです。この委員会はやっぱり真剣に取り組んでお尋ねしているわけですから、やっぱりそういう面はもっと具体的に緩和されるなら緩和されるような見通しというものをお答えいただきたいと思うのです。もう少しすなおに私は答えてもらいたいと思っています。非常に答弁に不満です。  次に、昇任試験の問題ですが、一説によれば、かなりこれはきびしいものであると聞いております。もちろん厳しくなければいけないと思いますが、常識的に考えると、十年以上も専門的に書記官としての仕事をされている方々、この方々はお医者さんで言うなら臨床大家とも言うべきような方々じゃないかと思います。こういう方々が昇任試験に合格する率というのは、どのくらいの率が合格しておりますか。
  48. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 合格率でございまするが、これは入学試験であるとか卒業試験であるとかという試験のやり方と違うわけであります。どういうやり方をするかと申しますと、御承知通り相当きびしい試験を課しているわけでございますが、これは科目に分かれておりまして、それが何科目かパスすればいいわけでございます。その科目といたしましては各種の法律に分かれているわけであります。で、その科目を、おもにやはり基礎的な六法を基礎にするわけでございますけれども、そういったいろいろな法律の試験を一科目ずつ受けていくわけであります。で、ただいま手元にあります資料といたしましては、現在書記官に任用されている者のうち、三八%がこの昇任試験を通っているわけであります。
  49. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは資料をいただいたからわかってます。昇任試験にパスした者は三八・一%、こういう数字が出ておりますが、私がお尋ねしたのは、十年以上も書記官補をまじめにお勤めになった方が二八・五%おる。十年以上も同じ職場でこれと取り組んでこられた方でありますから、昇任試験等については相当のまあ経験家として。パスされる率も多いんじゃないかと私は考えておるので、二八・五%十年以上の勤続者がおるわけです。その中でどのぐらい昇任試験にパスするのかとお尋ねをしておるのです。まあおわかりにならなければいいですよ。
  50. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 率はただいま申し上げましたように普通の入学試験のような率のようなわけには参りません。御説明申し上げかねるわけであります。しかし、ただいま申し上げましたように、科目ごとに合格していって書記官昇任の資格を得るわけであります。長い間勤務いたしました者につきましては、確かに御指摘のように実務の経験において十分であります。その意味におきまして力があるわけでございますけれども、しかし一面に、やはり系統的な法律の知識、法律の学識というものがどうしてもやはり必要になりますので、そういった意味におきまして試験をいたしますし、また試験の合格、不合格ということが出るわけであります。勤務の期間の長い人たち、この人たちにつきまして実はある研修を行ないまして、そうして昇任試験を行ないますと、大体昇任試験にはほとんどみんな合格するようなのが実情でございます。ですから、その人たちの力につきまして、私どももただいま御指摘のように十分にあると存じておりますが、ただ若干の研修によりまして、やはり系統的な学問的なそういった面の補充と申しますか、補強と申しますか、ということによりまして、昇任の資格が得られるというふうに見ているわけでございます。大体私どもやっておりますそういう特別の研修によりまして大体みんなが昇任できる程度の試験……。
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 まあ今の御答弁で大へんよくわかりました。十年以上の実務一家が試験をすればこれはまあ大体。パスするということは、取りもなおさず五年以上十年未満の者についても同じようなことが脅えると思いますが、特に隘路になっているのは、やはりこの研修所というものの施設が少ないために入所を希望する者の全く一部分きりこの希望を満たしてやれないというところに、人の面を充当することのできない隘路があるというふうに結論づけざるを得ないわけであります。大体、伺いたいことは、五年以上あるいは十年以上というような、七八%に当たる方々は優先的に入所できるというような、何かきまりか何かあるわけですか。
  52. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 書記官研修所で実施しております研修のうちの、まあある種の研修、特にこういう人たちのために設けます研修におきまして優先的にその研修を受けられるようになっているわけであります。
  53. 高田なほ子

    高田なほ子君 優先的に受けられるということになれば、この表にある十年以上の二八・五%という数字は——これはきわめて具体的ですよ——全部入所希望者の中にこの十年以上の者は入ることができるのかという質問です。
  54. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) そういう研修は年々行なうわけでございまして、二八%の人が全員一ぺんに入れるというふうには、一年間で全員がその研修が受けられるというふうにはなかなか参りません。それは一面にはやはり各庁における裁判の事務関係もございますので、必ずこれは一年に全部研修を受けさせてしまうというわけにはなかなか参らないわけでございます。
  55. 高田なほ子

    高田なほ子君 端的に伺いますが、この入所希望者の場合には一応部内で選考されるんじゃないかと思うのですがね。今言うように二割ぐらいの人きり入れないということになれば、部内選考というものがあるんじゃないかと思います。その部内選考の場合に、言うところの在職年数というものが考慮されて、十年以上の者が優先的に入るとか、そういうことになっておるのでしょうか、それはどうなんです。
  56. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 先ほど数名に一人という率だと申し上げましたのは、実は養成部の研修すなわち一年とか二年とかいう長い研修のことを申し上げたのであります。これは主として若い人たちを対象にしておるわけでございますが、十年以上勤務しておるというような書記官補に対しましての研修は、これはまた別個の研修を行なっておるわけでございますから、それはそう長い期間を必要といたしませんし、それからそれだけの実務上の力を持っておりますものですから、それだけのそれに応じた研修をしておるわけでございますが、それにつきましてはそう率が高いわけではございません。もっと多くの人が均需し得るようにしております。これはできるだけそういう機会を作りたいということで、なるべく多く研修を受ける機会を作るようにしているわけでございます。
  57. 高田なほ子

    高田なほ子君 指定研修というのは、今言うところの古参の人が研修するのが指定研修ですか。
  58. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) さようでございます。
  59. 高田なほ子

    高田なほ子君 指定研修は、この参考資料によると一五・二%という数字を示しておりますが、これは必ずしも多い数字だとは考えられませんが、今後の連隊としてこの指定研修をふやして、十年以上の実績を持たれる方々のために昇任の道を開く機会というものを早急に開こうとする計画はございませんか。
  60. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) この指定研修でございますが、これはその実施いたしました成績がよろしゅうございましたので、今後もますますこういうことを充実して実施して参りたいと存じております。ただいま申し上げましたように、研修に関する施設の問題もございますけれども裁判所事務運営に差しつかえない限り、こういった研修の機会を作っていきたいと存じております。
  61. 高田なほ子

    高田なほ子君 重ねて申し上げますけれども、同じ職場に常々として十年以上もお勤めになっていらっしゃる方が、当局のやり方といいますかね、そういうようなことのために、昇任の機会がおくれていくということは、まことにその人自体にとっては私は気の毒なことだと思うし、それよりも何よりも、あなたが先ほどから強く主張されておる人の面の充実がなかなかできないという、このことの隘路を打開するためには——これは打開する道はちゃんと開かれておる。その開かれた道をふさいでいるのはこれはやはり裁判所当局の熱意が足りないという指摘をされても私はやむを得ないじゃないかと旧いう気がするわけです。従って、この十年以上の実績ある者に対して指定研修の機会というものは、私は百パーセント与えてそうして昇任の機会というものを道を開くために全力を尽くされるべきものではないか、こういうような意見を私持つわけなんです。このことに対して、当局の態度というものが一番私は大切なんじゃないかと思います。努力をいたしますという御答弁でありますから、私はこれ以上この質問を繰り返してあなたを責めようとはしませんけれども、もう少し熱意を持って、具体性を持っておやりいただきたいということを希望するわけです。  次に昇任試験の問題ですが、これは五年以上十年未満、十年以上といういわゆる実績ある者に対しての昇任試験というものについて、もう少し緩和する道を開くことはできないかということです。これはしかし事情を知らない私がやぶから棒の質問をするようで恐縮でございますけれども、過去の実績というものが、昇任試験のうちに大幅に何らかの形で考慮される道はないかということなんです。そういう意味での質問なんです。過去の実績は全然問わない、一年の者でも二年の者でも一律パーの試験をして、一律パーにこれを採用するというのじゃなくて、やはり十年以上の実績者については、昇任試験の機会に、何らかこの実績というものが加味されるような制度運営というものが考えられないのかという質問です。この点は実情なり運営なり、どういうふうになっておりますか。
  62. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 先ほどお話ございました指定研修でございますが、これにつきまして私ども今後できるだけの研修を実施いたしまして、そういう十年以上勤務する人たちあるいは長期間勤務する人たちのために、そういった研修の機会をぜひ作っていきたい。できるだけ多く作っていきたいと考えておるわけであります。その研修の実施によりまして、実は昨年度あたりの成績から申しますと、この昇任試験でほとんど全員が合格しているようなわけでございます。従いまして、研修の充実ということによりまして、昇任の方はそう困難なく行なわれる程度の試験とお考えいただいてけっこうかと思うのでございます。それから勤務期間の長い人についての試験については、特別な配慮はないかというような御質問でございますが、これはただいま申し上げました特別の研修によりまして、十分に対処し得ると私ども思っております。そのほかに、昇任試験は筆記試験ばかりではございません。口述試験あるいは勤務評定等も相当な要素として加味されておる。ことに口述試験などになりますとやはりこれは何と申しましても勤務の期間の経験の長い人は、相当やはりしっかりした人柄が十分に出ますので、こういった点が実は昇任試験の内容としては相当多く加味されていくことは申すまでもないことでございます。そういう点におきまして実際の運用上、勤務期間の長い人たちには、やはりそれだけの実際の試験の上の成績が得られるようにはなっているわけでございます。
  63. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは裁判所の空気をもっと希望ある明るいものにするためにも、重ねてくどいようでありますけれども、指定研修の機会を大幅に開いて、裁判所の中に希望と生気の満ちるようなあり方というものについて、よほど積極的な施策を講ぜられんことを私は強く望むわけです。まあ資料の五ページを拝見いたしますと、三十才以上三十五才未満という一番働き盛りの方がこの書記官補の中には一番たくさん人数がおられるわけです。このような方々が昇任の機会を大幅に得られるということになったら、ずいぶん私は希望に満ちてお働きになることができるだろうというような意味から、以上の希望を強く持つわけであります。このことのためにだけ大へん時間を長く費やしましたけれども、これはもう早急に一つ解決されるように、どうか私のきょうの特にこの委員会のこの討論の模様は、速記録をぜひ長官にもごらんいただいて、御研究いただくように私は切望いたします。  次にお尋ねをしたいことは、この裁判所職員の基本給はどういうふうになっておるか、こういう点についてお尋ねしたい。どのくらいになっておりますか。
  64. 大川光三

    委員長大川光三君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  65. 大川光三

    委員長大川光三君) 速記を起こして。
  66. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは法務当局にお尋ねをしますが、どうも質問が中断してしまって、私もやりにくいし、当局もお答えにくいかと思いますが、先ほど司法制度に関する法令作成について、法務省から建言があり、裏づけになる予算の面については最高裁が直接責任を持ってやるのだ、こういうようなことなんですが、そこで今度の法律は直接一億三千万円という号俸調整法律の中には出てきておりませんが、運営の面で一億三千万の号俸調整が時間延長という条件の中できめられようとしているわけであります。法務当局は今回の法律改正に当たって時間延長もまあやむを得ないが、職務権限内容をまず変えていくことが大切であるという観点からこれを改正した、こういうような説明をされているわけでありますが、この号俸調整の一億三千万円のこの予算内容について、法務当局としてどういう御相談を受けられたのか。また一億三千万円という号俸調整は、職務権限を拡大する内容に見合う妥当な予算とお考えになられたものであるかどうか、こういうことです。
  67. 津田實

    政府委員津田實君) ただいまお尋ねの一億数百万円の予算が三十五年度において最高裁判所予算に加えられているということは、最高裁判所大蔵省要求される当時は、全然私ども承知いたしておりません。従いまして、その内容いかんにつきましても全然承知しないわけであります。ただ、書記官職務権限の拡充の問題につきましては、それ以後に最高裁判所から連絡を受けたわけであります。しかしながら、最高裁判所におきましては、その前後でありますかと思いますが、この権限の拡充等によりまして一億数百万円の予算を使って裁判所書記官勤務時間を延長し、それで訴訟促進をはかるのである、そういう司法行政を行なうのだということは十分私の方に連絡がございました。従って、そのことはこの法律案立案当時十分承知いたしております。しかしながら、先ほども申し上げましたように、この法律案自体は書記官権限を拡充して執務内容向上せしめるという趣旨であり、しかもそれが司法の、ことに裁判の当面問題になっている促進に寄与されることは、これは間違いのないことなので、その意味におきまして、この法律案を賛成し、立案して提案したわけであります。従いまして、これがこの職務権限を十分に活用するために最高裁が妥当なりとお考えになりました場合におきまして、この予算を使い、この執務時間を延長されるということは、そういうなさるおつもりであればそれはなさり得るということになろうと思うのです。しかしながら、具体的に何時間までに勤務時間を延長されるかというようなことにつきましては、非公式には五十二時間だというふうには理解しておりまするけれども、しかしそれは裁判官会議の最終決定でおきめになることで、それがこの予算でいかなる裏づけになっておるかということは、法務省としては承知しないのでございます。
  68. 高田なほ子

    高田なほ子君 こういう場合はどうですか、今度の場合ですね、一応妥当であるというふうにいろいろ連絡を受けて、予算裁判所がそういうふうにやるなら大体妥当であろうというようなことでこれを立法されたわけですが、法務省もそういうふうな考え立法されたのですが、ただ、いろいろ法務省検討してみた結果、あとで予算とかそれから予算の運用の面等から検討をしていって、どうもこれでは予算が足らないのじゃないか、運用の面に支障を来たすのではないかというような場合があったときには、法務省としてはどういう態度をおとりになるのですか。
  69. 津田實

    政府委員津田實君) 司法行政裏づけとなっておりまする裁判所予算につきましては、実は法務省としては、先ほど申し上げましたように、司法制度法令案作成という見地につきましてそれに関連ある事項について、必要の都度、最高裁判所当局から資料を求め、また大蔵省から資料を求めておるわけです。ところが、法令案作成裏づけになっていないそのほかの予算につきましては、いわば、法務省としては何らの権限がないわけでございまして、内容についてかりに報告を求めても、正確な報告を得られない場合もなきにしもあらず、従いましてその面につきましては、むしろ逆に干渉がましいような調査を求めるというようなことは、法務省としてむしろいたしておらないわけであります。従いまして、今回の俸給の調整額の予算がいかなる内容においていかなる説明のもとに大蔵省との間に折衝が行なわれて認められたかということは、法務省としてはわからないわけです。またその内容について論議をすることは、必ずしも妥当でないと思いますので、その面は触れないわけです。ただ法案は、法案の純粋の面といたしまして、書記官の執務内容を拡充し、向上せしめる。従いまして、申せば、現在の状態においてもこの法律制度は直ちに実施し得る可能性があるわけです。この法案が成立した暁においては。ですから、予算裏づけを当然要するのだというふうには考えないわけですが、たたこの権限を十二分に活用して訴訟の遅延を防止するために、あるいは勤務時間の延長をやり、しかもそれの予算裏づけを要するということは、むろん予想されるわけです。むろんその点は予想しておりまするけれども、具体的にいかように予算裏づけとし、いかように勤務時間を延長するかということは、かかって司法の最高責任者である最高裁判所権限に属することになっておるわけでございます。
  70. 高田なほ子

    高田なほ子君 しかし法務当局としては一億三千万の号俸調整予算は、今回の法律裏づけになっているということは、今の時点では、はっきりもうおつかみになっていらっしゃるわけですね。
  71. 津田實

    政府委員津田實君) 先ほど来申しましたように、この法律案の成立の暁におきまして、この法律に基づく書記官権限を十二分に活用する——普通の程度、あるいは少しずつ活用していくという面におきましては、あるいは現行制度のまま、現行予算のままでも可能かもしれません。しかしながら十二分に活用する場合には、あるいは勤務時間を延長し、勤務時間を延長するということになれば、当然それに対して超過勤務手当を要するが、あるいは号俸の調整を要するかということになろうと思います。ですからそういう意味内容を持っている予算であろうと  いうことは考えられるわけでございますけれども、直接この法律裏づけになっている予算とは考えておりません。この法律そのものは、予算関係を持っている法律というふうに初めから政府は取り扱っていないわけでございますし、国会の方におきましてもそういう趣旨を御了承いただいておるものというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  72. 高田なほ子

    高田なほ子君 私どもはあまりそういう点は了承していないのです。これはやっぱりこの法律が新しくできたことについての号俸調整というふうに私どもは見ておって全然この法律と無関係だという考え方はとっておらないわけです。しかし、法務当局は全然無関係だということであれば、これはまたあとに質問を譲っていきたいと思います。  次にお尋ねしたいのですが、今度の法律改正は、公布の日から実施することになっているようでありますが、公布の日から実施することについて何か検討済みになっていないというような部面は全然ないのかどうか、もう少し詳しく申し上げると、この書記官の、補助の調査の仕事について、運用上の問題が衆議院でもかなり議論されているようです。速記などを通して見ると。運用上の規則というものが必要になってくるように考えられますが、運用上の規則そのものについては、この立法と不可分の関係を持つものでありますが、裁判所とどういう運用上の問題について連絡があったかこういう点です。
  73. 津田實

    政府委員津田實君) 運用上の問題といたしましての問題点は、まずその当面この法律案自体から考えますると、「裁判官の行う法令及び判例の調査」ということが出ておりますが、この面は疑いがない事項だと思います。問題は、「その他必要な事項」の範囲いかんということにつきまして、どういう解釈になるかということで、「法令及び判例の調査」ということが例示になっておりますので、それに類する程度の事項ということに法文解釈上からはなるわけでございます。その点はすでに御説明申し上げた通りでございますが、なお、「その他必要な事項」の範囲について、それでは最高裁判所としていかようなことを考えておるか、またその考え内容が妥当であるかどうかという点につきましては、法務省当局と、最高裁判所と十分打ち合わせをいたしました。その内容について御説明を申し上げますると、まず、これは法律案そのものと、ダブるわけでございますが、第一番に、法律、命令、規則及び告示等の調査これが一つ。その次は裁判例、学説その他参考文献の調査、それからその次は記録に基づいて行なう訴訟手続履践の有無の調査及びある記録中の書類が通式であるかどうかの調査それからその次は審判に必要な計算書面等の照合、こういうものを、その他必要な事項を含めての内容とするということにしたいという最高裁判所側意見があり、法務省といたしましても、その内容法律案に照らして妥当であるというふうに考えておる次第であります。従いましてこの内容そのものにつきまして最高裁判所司法行政権の範囲内でいかなる措置をおとりになるかということは、もっぱら最高裁判所自身にまかされておるわけでありますが、あるいはこれによって通達をお出しになり、あるいは規程をお作りになるということがあり得ると思います。ただ、これを規則にするかどうかという問題につきましては、この規則と法律との関連の問題になりまして、その規則が法律を制限しておるというようなことは、これは現在の制度としては妥当ではないのではないか。従いまして、規程あるいは通達等によってこれを明らかにするという措置は当然とられるべきだと考えております。でありまするが、事前にこれだけの協議をいたしておりますので、もしこれが成立いたしました暁には、公布の日時等につきましても、最高裁判所当局と協議をいたしましてきめるわけでありますので、あるいは事前にその規程の内容を管下に示すというような方法は当然とり得るものと考えております。
  74. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいま御説明いただきまして、ほぼその他の面がわかったわけですが、重ねてお尋ねしますが、これは調査事務に属するものですか、調査そのものですか。調査事務と調査というのはどういうふうに法律的に違いますか、その点について。
  75. 津田實

    政府委員津田實君) 第六十条の調査の事務というのは、本来は裁判官が行なう事務である。その行なう事務内容の具体的な調査を補助する。ですから現実の行動を補助するという意味になると私ども解釈いたしております。なお、先ほど申し上げましたところ、ちょっと落としておりますが、ただいま申し上げましたその他の事項の内容につきまして、最高裁判所と打ち合わせを遂げた点につきましては、その題目が調査事項の基準ということでございますので、これが絶対限定的であるということじゃない。これが標準であるということでありますので、そこはちょっと申し上げなかったかと思いますが、ここで追加をさせていただきます。
  76. 高田なほ子

    高田なほ子君 裁判官の調査事務内容の調査ということになると、これは事実調査にわたるという内容を含むものでしょうか。
  77. 津田實

    政府委員津田實君) これは「法令及び判例の調査」という例示になっておりまして、ただいま御説明申し上げましたその基準案の内容によりましても、その事柄自体は裁判の内容、事実内容を構成しておる事実の調査をすることを申し上げておるものではございません。これは法令の調査であるとか、記録の調査であるとか、文献の調査、それから計算とかというようなことでございまして、内容の事実調査は、これは裁判官の専権に属するということでございます。
  78. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一つお尋ねしておきたいのですが、この法文から見ますと、書記官というのは裁判官の付属機関というような形になって参りますけれども、性格は付属機関という性格を持つ改正ではないのかということ。
  79. 津田實

    政府委員津田實君) 御承知通り現在の裁判所法六十条の第二項におきまする事務書記官の固有の事務でございます。ただ、つまり記録の作成等の事務書記官の固有の事務であることはすでに御承知通りであります。ただその事務を行ないまするためには裁判官の命令に従う。しかし裁判官の命令で正当でないと思えば、自己の意見を書き添えられるというのが現行法であります。記録の作成等の事務書記官のいわば固有の独自の事務である。ただしかし、命令があれば裁判官に従わなければならぬが、意見がつけられるというのが現行法、その意味におきまして書記官事務というのは現行法に基づきましても、裁判官の付属的と言えばあるいは妥当かもしれませんが、やはり裁判官の補助的な事務である。しかし独立の権限をある程度持っているということになろう。今風の新たに加わろうといたしまする事務につきましては、裁判官の調査事務であるところの調査の補助自体、でありまするから、補助すること自体が、まあそれを付属的と評価するかどうかということの問題はあると思うのでありまするけれども、まあ性格的に言えば、やはり補助事務というものであって、この新たに加えるものは補助事務そのものであるということは申せると思うのでございます。
  80. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、裁判所法の六十条の二の中に裁判所書記官補の項があります。この二項の中に「裁判所書記官補は、上司の命を受けて、裁判所書記官事務を補助する。」、「事務を補助する。」というふうになっております。従って書記官書記官補の関係における事務補助と同じ性格を持っておるかどうかということです。裁判官書記官との間の事務補助と、それから書記官書記官補の間の事務補助はどういうふうに性格が違うかということです。
  81. 津田實

    政府委員津田實君) 現在の補の運用におきましては、書記官補は独立して書類の作成を行なうものではなくて、書記官の書類の作成事務を、ほかの事務もございますが、その事務を補助するという運用になっております。でありますから、法律の解釈としてもそれが相当であろうと思うのであります。従いまして、今度の新たに加えようとする事務書記官裁判官事務を補助する形になりますので、多少表現に違いがございますけれども、これは実質的には同じものというふうに解釈いたしております。
  82. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、この裁判官と今度の書記官改正した職権の内容は、書記官とそれから書記官補との間の事務補助とは若干性格が通う、つまり独立した機関としての性格を多分に持つものである、こういうふうに解釈してよろしいわけですか。
  83. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま申し上げましたのは、裁判官の行なう調査を補助するというのは今度の加わろうとする事務でございます。一方の書記官補の方の事務は、書記官全体の事務を補助するという形でありまして、事項が特定されておりません。書記官補の場合はそういう違いはございまするけれども、それが表現の違いになって現われてくるわけでございます。補助することの害質は同じであります。ただし、そういう制限から参りまして、先ほど申し上げましたように、裁判に関する事件の構成する事実等に関する調査は当然できないというような制限が出てくるわけです、書記官裁判官に対する関係は。しかしながら補の場合はのその事務はすべての範囲において補助ができるという、限定的でないという意味において違いがあるというわけだと考えております。
  84. 高田なほ子

    高田なほ子君 この場合代行書記官と、それから書記官とほ裁判官に対して同じような職務内容をつかさどることになるわけですか。
  85. 津田實

    政府委員津田實君) 代行書記官補につきましては、書記官権限を当分の間行使できるという規定になっております。でありまするから、その行動としては書記官と同じことがやれるわけです。従って立て方といたしましては、代行書記官権限として六十条の今度の三項を建前は使い得るわけです。しかしながら、ただいまの御提案申し上げている法律案の提案の過程におきましては、書記官には十分の素養がついておる、先ほど来御議論がございましたように、研修所において相当の研修をし、相当の試験を受けて書記官に任用されておる。そういう意味におきまして、法律的素養におきましても、大学を出たそのままの形ではなくて、さらに素養がついておるというような人に対してこういう法律事務を与えようという考え方であります。従いまして、代行書記官補としてまだ書記官の資格を得ていない人にこの内容を付与することは、制度の運用としては妥当ではないというふうに考えられる。従いまして最高裁判所におきましては、この立案過程におきまして、代行書記官補にはこの権限を行使させない措置をとる、こういうふうに了解しておられますので、法務省といたしましても、その了解を了といたしております。そういうような意味におきまする書記官の素養が向上したことによって六十条第三項の新たな規定を運用することが妥当であるという結論が出ておるわけであります。そういう措置を最高裁判所においてするということは妥当であるというふうに考えております。
  86. 高田なほ子

    高田なほ子君 裁判所考え方はわかりますが、代行書記官というのは当分の間書記官の託されている職権を行使する、こういうことが明文化されておるわけでしょう。それを何か規則か何かでしばるということにつきましては、これは制約はちょっとおかしいのじゃないですか、法律的に考えて。その点どうですか。
  87. 津田實

    政府委員津田實君) この昭和二十四年五月三十一日法律第百三十六号附則第三項によりまして、代行書記官制度ができておるわけです。その内容は「各裁判所は、当分の間、最高裁判所の定めるところにより、裁判所書記官補に裁判所書記官の職務を行わせることができる。」、これが当分の間、」という問題、そこで「当分の間、」という制限のほかに、さらに「最高裁判所の定めるところにより、」ということになっておるのです。これは本来の趣旨はやはり書記官補なんであるから、書記官事務を行なわせるについては書記官補という素養では支障のあるような事務も予想され得るから、最高裁判所がルール、規則等によりまして、あるいは職務の内容の範囲を制限することも可能であると、そういう可能性を持たせようと、その運用はもっぱら最高裁判所にまかせようとする法律趣旨である。従いまして今度の六十条の新三項の権限につきまして現在におきましては、最高裁判所としては、この「最高裁判所の定めるところにより、」という根拠に基づきまして代行書記官補にこの六十条三項の事務は行使せしめない、調査は行なわしめないというふうな措置をとる意思があるものと法務省としては考えておる次第です。またそれが妥当であるというふうに考えております。
  88. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは、もうお帰りになるお時間も何しておるようですから、まだ法務省に対する質問はたくさん用意してありますが、きょうは法務省に対する質問はこの程度にして、あとは裁判所当局に対してお聞きします。
  89. 大川光三

    委員長大川光三君) ちょっと速記を。    〔速記中止〕
  90. 大川光三

    委員長大川光三君) 速記つけて。
  91. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは質問を続けます。裁判所の職員の基本給をお尋ねするわけです。これについて御説明をいただきたい。
  92. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 裁判所の職員の平均基本給でございますが、本年の四月現在で一万八千六十八円になっております。
  93. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは裁判所の職員の基本給でありますが、これは各省それぞれ違うようでありますが、一万八千六十八円という基本給は、各省の中でどのくらいのレベルに達しているものでしょうか。
  94. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 各省職員との比較を申しますと、実は各省職員の資料を、手元にございますのは昨年のでございますが、おそれ入りますが、昭和三十四年度で申し上げたいと思います。昭和三十四年度の基本給を申し上げますと、裁判所は一万七千七十七円になっております。全職員の基本給が一万九千八百七円になっております。それで順位から申しますと、十六の中の十五番目という実は低い順位になっておるわけであります。この低くなっております理由といたしましては、一つには職員の年令による構成があるわけであります。裁判所職員の年令の平均が三十三・四才となっております。ところが、一般職の職員の方の平均年令は三十五・八才、その間に二・四才裁判所職員は若くなっております。二・四才若いということは、平均基本給におきましてやはり二千円余の差が生じるわけでありまして、そういう面から見ますと、裁判所の職員の基本給というものは必ずしも各省に比べて劣っているとは申せないのであります。しかし裁判所職員のこういった待遇の面につきましては、なお一そう向上させるように私どもとしては努力をいたしたいとは存じております。
  95. 高田なほ子

    高田なほ子君 まあ構成年令が若いので、おしりから二番目という数字も出ておるのですが、やはりこれはあまりよくないんじゃないですか。若いだけじゃなくて何かほかに低いという理由がございますか。
  96. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) いろいろその点につきまして私どもも調査したり、研究したりいたしておりますけれども、大蔵当局との予算の交渉におきまして、特に不公平な扱いを受けるというようなことは原則的にはないと存じます。ただ何と申しますか、いろいろな意味勤務条件をひっくるめまして、裁判所職員の待遇が他の省にまさっているとは私ども考えませんが、そういう意味におきまして、いろいろな角度から検討しつつ待遇の是正をはかりたいと考えておるわけであります。
  97. 高田なほ子

    高田なほ子君 勤務条件はかなり高くないというふうに結論づけられると思います。今日までいろいろ行政措置要求がされておるように私は聞いておりますが、この行政措置要求内容というものはどういう内容要求されてきたのですか。職員からはずいぶん前から要求されておるようでありますが、勤務条件ということになると、やはり組合というものは、何か赤旗を振って騒ぎ回るのが組合だという考え方を持っている方がたくさんおりますが、そんなものじゃなくて、やはり組合は労働条件を改善するためにある一つの組織でありますから、この組織からいろいろの要求があるということは、即勤務条件を向上させる上において貴重な意見として尊重されなければならないものだという考え方を私は持つわけです。そこで今日までどういうような勤務条件について要求があったのか。勤務条件のお話が出ていますから、一応これをお尋ねしておきましょう。
  98. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) ただいまお話のございました行政措置要求についてでございますけれども、おもなものといたしましては、職員俸給の行政二号の俸給表の撤廃が一つございます。もう一つといたしましては、裁判所書記官の代行制度の問題、この問題でございます。
  99. 高田なほ子

    高田なほ子君 二つだけおあげになったようですが、勤務条件としてはもっと強く要請された問題があるのではないでしょうか。
  100. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) ただいまおもなものを申し上げたのでありまして、私どもおもなものをさように理解しているのであります。
  101. 高田なほ子

    高田なほ子君 おもなものを全部私よく答えてくれとは言いません。しかし、ただいまの今の時点で、この委員会ででもいろいろ私から質問が出ている点等については、かなり以前から行政措置要求がなされておるように聞いておるわけです。たとえば用員の増加問題、用員を増加してもらいたいという要求、それから超勤手当の完全支給とか、あるいは休憩、あるいは休息時間を完全に実施してもらいたいということ、それから旅費を早期に支給してもらいたい、常勤労務者の定員内の繰り入れ、こういうのはいずれも今日まで重要な問題としてこの委員会でも取り上げられてきた問題であります。これは私どもは率直に申し上げて、全司法の方々の意見ばかりそう聞いて、これの一方にだけ加担するという建前はとらないわけです。つまり、裁判の運営全体という面から考えても、今日この全司法の組合が出されておる行政措置要求は、これはもうまことに妥当、緊急必要なものであるという観点に立つわけなんです。どうも組合というと何か一部の左翼分子が騒ぎ回っているので、まじめな考え方を持っているものではないというような観念を当局がお持ちになっている節々が非常に多い。具体的にどうだこうだということを私申し上げませんが、空気としてそういう空気がある。このことは、今あなたがここで答弁されたような勤務条件の内容向上させるという面からきわめて遺憾な点であると思います。従って、私の質問に対して若干の答弁をされたわけでありますが、いずれも行政措置要求内容は、裁判制度の整備拡充という面から貴重な意見であろうかと思いますので、再度この行政措置要求の個々の内容について、当局としては十二分な御検討をわずらわしたい、このように考えますが、この点はどうですか。
  102. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 御指摘のように、行政措置要求につきましては非常にもっともな意見が出ておるわけでございます。私どもといたしましても解決したい問題が多々あるわけでございます。ただ、しかしながら、いろんな制約もございまして、なかなか一ぺんに解決はできないのでございますけれども、不合理なものをできるだけ早く除きまして、そして解決したいというふうに考えております。たとえば先ほど来お話のございました書記富の代行制度につきましても、なるべく書記官昇任の機会を多く作りまして書記官補の代行ということをなくしたい。そして確かに私どもそう考えておることでございまして先ほど来申しましたような措置を今後推進いたしまして、そういう問題の解決をいたしたいと存じております。
  103. 高田なほ子

    高田なほ子君 もちろんいろいろの制約があるのですから、そういう組合の行政措置要求をピンからキリまで全部短期にこれを完成するなんということは、組合だってそんなことは考えていないと思う。ただ、しかし、勤務条件を改善させるということ即裁判の整備拡充にとっては不可欠の問題であればこそ、組合がこういう、要求をされているわけであります。この要求を制約があるから一ぺんにはそれはできないにしても、この内容検討して具体的にこれを実現するための努力というものが、これは当局として力を入れなければならない点であると思うのです。しかしどうも組合の方々から伺いますと、よそよそしくされて、あまりお話し合いも本気になって聞いていただけないようなお話を聞くのです。もっともこの組合の方は当局と話すときには、まなじりを上げて、それで相当厳しい態度でこれを追及するから、ついめんどうくさくなるか、うるさくなるという気持がこれは手伝うのじゃないかと思うのです。まあ、まなじりを上げる方は上げる理由がございまして、これは仕方ないと思うのです。私どもも幾多の資料をちょうだいしているわけですが、実際はまなじりを上げるようなことばっかりなんです。これはもう、私は全司法の組合員じゃないですけれども、何てこういうことが解決できないのだろうか、弱腰じゃないかというような気持がするわけなんです。だから、当事者になってみれば、多くの人からこういうことを当局要求してくれということになれば、皆さんにかわっていろいろのことを要求においでになる方は、自然にまなじりもつり上がろうというものです。そのつり上がるのがめんどうくさい、一部のものが騒いでいるのだと、そういうきめつけ方じゃなくて、やはり、何と言いましょうか、法塔の奥深く、きわめて伝統の美風というものがあるにはあるけれども、民主的空気の乏しいと言われる裁判所の中で、やはり勤労条件を改善するという御意思があるならば、この行政措置要求内容等については一々検討をされ、また意見も聞いて、そのことのために努力をなさることが、即予算獲得への私は早道じゃないかと思うのです。ですから、今後この交渉等についても、もう少し真剣になってお会いいただき、真剣になって研究していただくということは、これはできないものかどうか。この点についてお伺いしたい。
  104. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 問題についてはまことに御指摘通りでございまして私どももこういった要求につきましては、今後とも十分に検討いたしまして、解決すべきものは解決して参りたいというふうに考えているわけでございます。組合との関係につきましては、私どももできる限りは話し合いの場を作りまして話し合って参りたい、話して参っておりますし、また今後話し合って参りたいと存じております。決してそういう組合の交渉を毛ぎらいしているわけではございません。できる限りはそういう場を作って参りたいと考えております。
  105. 高田なほ子

    高田なほ子君 できる限りそういう機会を作っていただきたいと思います。なかなか作っていただけないから、私どものところへこうやってだいぶ陳情書がきております。それは今度の職務権限の拡大について、当局がいろいろの機関を通して一般から世論を聴取されたようであります。先般の委員会の御答弁によれば、書記官は全部この改正案に賛意を表し、歓迎をしている、こういうような御答弁であって、私は、少しは不満もあるのじゃないかとこう反論をしておいたのですが、どうなんですか。意見書といいますか同意書といいますか、こういうようなことは、いつでも裁判所の法改正の場合に機関を通して当局から意見を聞くというそういう慣行があるのでしょうか。
  106. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 今回のこういう書記官制度改正につきまして、書記官意見を徴したという事実があるわけでございますが、これは一般に意向を徴したということでございまして、決して同意書を出させたとかいうような趣旨ではないのでございます。こういったようなことがあるかというお尋ねでございますけれども、内部的にこういった意向を徴することは今日までもあったわけでございまして決してこれが今回初めてではございません。
  107. 高田なほ子

    高田なほ子君 意見を聞くということは、これは私はいいことだと思うのです。これはあり方として私も賛成いたします。今まででもこういう意見を聞かれたということでありますが、どういう場合にどういう方法でこの意見を聞かれましたか、過去の実績をお述べいただきたい。
  108. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 私の記憶しておりますところでも、裁判所法が新しい憲法のもとにできまして、そのときにやはり書記官制度のことが問題になりました。従来、裁判所書記という名称で裁判所構成法に規定してあったのでございますが、裁判所書記という名称がいいか、あるいは一般と同様に裁判所事務官という名称にした方がいいかというようなことが問題になったことがございます。その当時におきましても、これはやはり書記官制度の重要な問題でございますので、書記官諸君の意見を徴しまして、裁判所事務官ということに官名を統一した例がございます。もっともこれは、その後さらに裁判所書記官というふうに官名を変えましたけれども、そういった意見を徴しまして、当時制度をきめたようなことがございます。
  109. 高田なほ子

    高田なほ子君 意見を聴取なさることはけっこうですが、その方法等については、押しつけがましいやり方をなさるというようなことはもちろんないと思いますが、私がなぜこういう問題を質問したかというと、実はだいぶ押しつけがましいような回答をされたような資料がこちらへきております。これはもちろん組合の資料でありますから、はったりでもなければ、実際起こっておる事実そのものを私どものところには資料としてよこされた。これは、はったりじゃないことだけは申し上げておかなければなりません。これは上申書というのもあれば同意書というような形のものもあるようですが、この中には時間延長というような問題には一つもふれておらないのでありますが、一六%調整の実現について賛成か不賛成かというような、東京高裁管内の例をあげると、書記官一六%調整の実現について賛成か反対かという意見の聴取の仕方であります。これはばかか気違いかでない限りは不賛成だなんというものは一人もないと思うのです。こういう意見の聴取の仕方というものは妥当な仕方だというふうに考えておられますか。
  110. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 私どもが内部で意見を徴します際には、もちろん自由な意見、何ものにも束縛されないでほんとうのその人たちの気持を知りたいわけでございます。従いまして、こうやって意見を徴しまする場合には、いつもその意見を出します人たちの何といいますか、何ら束縛を受けないところの自由な意見を徴する。それでこそやはり私どもの参考になるわけでございまして、そういった趣旨におきまして部内の意見を徴するわけでございます。今回、裁判所書記官書記官制度改正につきまして、書記官意見を徴したわけでございますが、各高等裁判所に首席書記富というのがおりますので、その首席書記官によく今回の改正、あるいは勤務時間の延長号俸調整等を話しまして、一体そういう制度改正についてどう考えるかという意向を徴したわけでございます。その結果が私どもの方へも集まってきておるわけでございますけれども、あるいは承諾書といい、上申書といい、賛成意見が大部分でございますけれども、いろいろな意見が参っておるわけでございます。
  111. 高田なほ子

    高田なほ子君 いただいた私の例というのは非常に少ないのですが、東京高裁管内あたりでも書記官一六%調整の実現ということになれば、これに小賛成だというような気違いはもうおらないので、これはもうみんな賛成だと思う。ただ広島地裁の場合だけは、次の条件で現行の八%調整を一六%に増加することについてという何になっておるのです。この広島地裁の場合は、勤務時間一週間四十四時間を五十二時間に延長すること。一、裁判官事務補助をすること、こういうふうに内容が正確になって回答を求めておるようですが、こういうようなやり方ですと、やはりいろいろ意見も正確に出てくるのではないかと思うのですが、おおむねやはり調整増額一六%に賛成するかしないかというような一面だけが高く出ておるのですけれども、こういうような調査の仕方で全部記書官が、この法律改正に賛成をしているのだという見方というものについては、どうも私どもは納得がいかないのです。これは衆議院でも問題になったところですが、どういうわけでこういういうふうに問題になるようなことをなさらなければならないのか。どうも私は納得がつかないのです。なぜなれば、この裁判所書記官制度調査委員会の資料は渡されております。この裁判所書記官制度調査委員会では、本改正案についての内容を持つ答申書は出されておるわけですが、この調査委員会の規則を拝見いたしましたり、また委員の名簿等を拝見いたしますと、なるほどこの委員の中には東京高裁の刑事の首席書記官、東京地方裁判所の刑事首席書記官、東京家庭裁判所の主任書記官という当面の方々が大体三、四名出ておられるようです。もっとおられますか、かなり出ておられるのですが、この書記官の方々、ここに出ていらっしゃる委員の方々は、当然内容等については意見をいろいろと言われたのではないかという気持もするのです、時間延長等については。ここには最高裁の方からあなたも出ていらっしゃるわけですから、ここに出ておられる首席書記官というのは、この時間延長について何にも意見は当時言わなかったものでしょうか、どんなものでしょうか。
  112. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 裁判所書記官制度調査委員会は、ただいまお話のような構成になっておるわけでございまして、書記官の中からも委員が出ておるわけでございます。委員会審議の途中におきまして、その書記官の諸君が東京の裁判所等におきまして、書記官の意向を徴しまして、やはり委員会でいろいろ意見を言うわけであります。そういう意味におきまして、そういう書記官から出ております委員の人たちが、書記官のいろいろ意見なり気持ちなりを委員会の席上で述べておるわけであります。
  113. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、この立法の過程でずいぶん早くから首席書記官の方々は、同僚の方々の意見を聞くために何らかの方法で意見をまとめるような工作を、工作と言いますか、やり方をされたのかとも思いますが、あるいは事実聞くところによると、この首席書記官そのものが同僚書記官意見を聞くというのではなくて、最高裁そのものが書記官意見を聞くというようなやり方をしたというところに、私は質問趣旨を向けている。同僚の書記官同士が雑談的にどうじゃこうじゃというのなら問題はないと思うのですが、最直截そのものが、当局そのものが、力を持つ当局者そのものが、この書記官に対していろいろな形で意見を聴取されたというところに問題が出てきているように思うのです。あなたそう思いませんか。
  114. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 裁判所書記官制度調査委員会の議事の経過を聞きましても、最高裁判所としては、書記官意見は知れるわけでございますが、さらに一そう最高裁判所当局といたしましては、広く書記官の言い分を知りたいということがあるわけでございます。それにつきまして、押しつけがましくならないようにということは、先ほど前にもいたしました、意向を徴したということを申しましたけれども、やはり今回も押しつけにはならないようにいたしておるわけでございます。そこで、同僚であるところの首席書記官などを通しまして、改正趣旨を徹底いたしましてそうして意向を聴取したわけでございます。でございますから、いろいろ出ました意見の中には、条件つきで賛成する、たとえば勤務時間は延長反対である、それがなければ賛成するという意見ももちろん出ているわけでございます。これは私どもといたしましては、賛成の数には入れておりませんけれども、従いまして、職場におきまして勤務時間の延長等は、延長を含むところのこういう改正は知れ渡っているわけでございます。そういった状況のもとにおきまして、意向を徴したわけでございます。
  115. 高田なほ子

    高田なほ子君 まああなたの方の御答弁はそういうことですが、事案はそれと違うのじゃ、ないですか。最高裁判所は高裁の事務局次長を通して地方家庭裁判所事務局長、首席書記官、あるいは首席調査官を通してこの調査をした、またこの同意書と言ってはおかしいですが、回答をとる過程で、東京管内では何も書かない白紙に判だけつけさしたとか、それから同意書を出さなければ氏名は上級裁判所に報告するなどという脅迫がましいところもあるらしい、これは福岡高裁管内でのできごとです。それから同意しない者は主任書記官または調査官として適格性がない、こういうようなことを言われたというのが鹿児島管内の報告から来ていますが、こういうような行為は私は許されるべきものじゃないと思うのです。一つ立法をするにあたって、慎重にいろいろな方の意見を聞くことはけっこうだと思いますけれども、その成立を急ぐあまりに、このような行為が起こったそのことに対して、これが事実とするならば、だれがこういう行為に対して責任をとるのでしょうか、この場合の責任者はだれになりますか。
  116. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 今回そうしたやはり意向を徴しましたやり方につきまして、ただいまの御指摘のようなことは私どもとしてはないと存じております。書記官にせよ、調査官にせよ、実際に裁判所の現状を見ていただければわかると存じますけれども、いずれも相当の資格を持って任命され、相当の職務経験を持っている人たちでございまして、入りたての若い人たちというような人たちではないのでございまして、十分にその人たちの意見は出し得るものというふうに考えております。私どもといたしましても、決してこの結論が右でなければならない、左でなければならないということは考えていたわけではございません。全くその人たちのフランクな意向を徴したいというのが趣旨であったのでございます。ことにただいまお話がございましたような、主任書記官になれない、主任調査官になれないということは、およそ考えられないことでございまして主任書記官、主任調査官になるべき資格はやはりきちんときまっているわけでございまして、こういったことによって左右されるということは、かりにも考えられないことでございます。
  117. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういう考えられないことがやられているから、私がここで質問しているのです。これは幸い全司法という機関があるから、こういうべらぼうな、常識で考えられないようなばかげたことが私どもの手元の中に報告されてきている。報告する方が悪いという考え方は、これはそういう考えをされる方が間違いで、やはり私どものところにこういうことを言ってきたということは、こういう事実があったのだ。こういうような事実を一つお調べ願ったらいいと思うのです。あなたはそんなばかげたようなことはないとおっしゃるけれども、実際主任書記官に適格性がないなどというおどかしをかけるということは、もしこれはありとしたならば、大問題だと私は思います。これは一つお手数だろうと思いますけれども、あなたがそんなことはないと言われてもどうも納得ができませんし、またこういうことを放置しておいてはいけないと思うのです。ぜひこれはこういう事実があったかないかというような点についても、福岡高裁管内、鹿児島、佐賀、こういう点について御調査がいただけるように一つ御手配願いたい。また今後こういうことがないように何らかの機会にあなたの方から御注意を願うことも一つの方法だろうと思います。御注意願うことができますか。
  118. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 私どもの方ではそういうことはないと存じておりますが、もしありとすれば、それは注意しなければならぬ問題だと存じますが、私ども今日までそういうことはないというふうに存じております。
  119. 高田なほ子

    高田なほ子君 あったらどうしますか。
  120. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) あればあるに応じた措置をしなければならないと存じますが、私どもとしては、先ほど来申し上げておるような次第であります。
  121. 高田なほ子

    高田なほ子君 ずいぶん謙虚じゃないと思うのです。それは内藤さんのようなりっぱな方ばかりいれば問題はないと思うのです。しかし、事と次第ではこういうような事実もあるということを指摘されて、かりに真偽のことは別としても、少なくとも衆参両院で同意書を強制したという疑いがあるのじゃないかということを当局が追及されたならば、今後こういうあやまちがないように、いろいろな機会趣旨を徹底させていくというような私は御答弁が普通だろうと思うのです。全然ありませんといって突っぱねるというのは、ずいぶんあなたもしょっている方じゃありませんか。私は幾ら裁判所でも、みんな神様みたいな人ばかりじゃないのです。人間はあやまちもあればいろいろのミスを犯す場合もあります、そのミスがあったのではないかという疑問があるから衆参両院でこの問題を追及しているのだと思うのです。でありますから、いろいろな機会にあやまちのないようにしていただけるという御注意がいただけますかという質問をしたのです。
  122. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 誤りあれば注意をいたしますということは申し上げておるわけでございます。
  123. 高田なほ子

    高田なほ子君 これはけさ私の出勤前にポストに入っていたのですが、全部これははがきです。きのうもたくさんきております。これはやっぱり号俸の調整で時間を延長するということは大へん困るのだ、こういうような趣旨のはがきです。もちろんこれは組合の方からいろいろ事情を書いた情報か何か流れてこういうふうに言ってきたのだろうと私も思いますけれども、こういう意見もあるということですね、当局一つ十二分に御検討願いたいと思います。  だいぶ時間もおそくなりまして、私はたくさんの質問をしたい点が用意されてあるわけでございますが、一つ資料としていただきたいものがございますから、これを委員長において御善処いただければ大へんしあわせだと思います。その一つは、裁判所書記官制度調査委員会の答申書をいただいておりますが、この答申書の中にこういうふうに書いてあります。「裁判所書記官制度調査委員会は、さきに附議された諮問事項中二および三について審議し、別紙の通り答申する。」、こういうふうになっておるわけでありますが、どういう諮問事項があったかについては、手元にまだいただいておらないのです。これはやっぱり裁判所書記官制度の全体の問題になると思いますから、もし差しつかえなければ二と三だけではなく、諮問事項そのものを全部お知らせいただきたい、これが一つ。もう一つは、裁判官がいろいろ兼官をしている場合があると思います。たとえば局長とか、課長とか、それから局づきの方もあるでしょう、それから教官の方もあると思います。それから人によっては大学あたりに講師に出られる方もあると思いますが、大学の講師に出られる方は、これはこの資料は私は要りませんから、兼官している人数というものは一体どれくらいの人数の方がおられるものか、これの数字を、もしいただけるならばいただきた。
  124. 大川光三

    委員長大川光三君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  125. 大川光三

    委員長大川光三君) 速記を始めて下さい。
  126. 内藤頼博

    最高裁判所長官代理者内藤頼博君) 先ほど御質問ございました中で、書記官制度調査委員会の諮問事項でございますが、これは五つになっております。一が任命資格でございます。それから二が職務内容でございます。三が待遇、四が研修、五がその他となっております。従ってここで二及び三についてと、先ほど答申にございますのは、二の職務内容、三の待遇についてということでございます。  それから裁判官司法行政事務等に従事している者がどのくらいいるかというお尋ねがございましたが、司法行政事務に従事している判事、判事補が約五十名おります。裁判所調査官、教官に当たられております者が二十六名ございまして、合計して七十名あまりがなってるものでございまして、これは御指摘通り裁判官の足りないときに実はなるべく裁判の仕事を抜けるなということはごもっともでございますが、私どもといたしましても、真にやむを得ない仕事だけに裁判官を当てて参る。
  127. 高田なほ子

    高田なほ子君 本日の質問は私はこの程度で終わらせていただきます。
  128. 大川光三

    委員長大川光三君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめたいと存じます。  以上をもって本日の審議は終了いたしました。  次回の委員会は五月十日午前十時開会いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時三十六分散会