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説明員(中村一成君) 厚生省といたしましては、売春防止法の
関係では、御案内の
通り、
法律の第四章に「
保護更生」という
規定がございまして、この
関係の仕事を担当いたしております。第四章は、売春防止法が三年ほど前に施行に相なりました当初から施行と相なっておりまするので、それで厚生省の
関係では、この四月をもちまして満三年を迎えておるわけでございます。それで昭和三十五年度といたしましては、
関係の予算二億四千九百九十八万一千円をもちまして、ほとんど大部分が都道府県に対しますところの補助金でございますが、その予算をもちましてこれに当たります。それから地方の都道府県におきますところの組織といたしましては、
法律に
規定のございますところの婦人相談所、婦人相談員及び婦人
保護施設がそれぞれこの三年の間に整備をいたしまして、それで三十五年度といたしましては、婦人相談所につきましては、都道府県の数だけでございますので、四十六の相談所。それから婦人相談員につきましては、現在四百五十六名全国におりますが、四百五十六名の婦人相談員。それから婦人
保護施設の方は、施設数で六十三施設、これに収容できますところの余力は二千五百三十六名でございますが、それだけの定数をもちましてこの仕事に日夜当たっておるわけでございます。それで、そのほかに都道府県といたしましては、都道府県内の各種のいわゆる官民のお互いの連絡のために
売春対策本部というのが、都道府県知事を本部長といたしますところの本部が設けられてございまして、これは
法律上の機関ではございませんけれ
ども、
行政指導として設けられておるのでございます。その対策本部というのがございまして、ここでたとえば取り締まりの御当局であるとかあるいは公衆衛生局であるとか、その他の諸機関との連絡を持ちつつこの問題に対して対処するという態勢に相なっておるわけでございます。
しからば、一体最近におきますところの実績はどうであるかということにつきまして簡単に一応申し上げましてもし御質問がございましたら詳しく申し上げたいと思います。昭和三十四年度の数字といたしましては、昨年の四月からことしの一月までの十カ月間の数字がわかっておるわけでございますけれ
ども、この私の持っております数字の
関係で、昨年の十二月まで九カ月間の数字をとりあえず申し上げますというと、この九カ月間に婦人相談所におきまして取り扱いましたところの相談件数と申しますのが一万二千二百三件でございます。これはその前の昭和三十三年度におきまして一万五千二百七十七件でございますから、それよりは減っておるようでございますけれ
ども、これは御案内の
通り九カ月間の統計でございますので、この四月までの間におきまして、三十三年度と同じほぼ一万五千件内外の相談を受け付けることに相なろうかと思います。それから婦人相談員につきましては、この九カ月間におきまして一万六千六百四十二件を受け付けております。これは三十三年度一年間におきまして一万八千三百四件でありますが、ほぼ十二カ月にしますというと、この程度に相なろうかと思われます。それから婦人
保護施設につきまして、ただいま一月の末に在所いたしますところの者が千三百九十四名でございます。それだけが相談所に
——私
どもの
言葉を使いますと、ちょうど月末でそれだけ在所しておるということでございます。それでこれを参考までに取り締まり当局におきましてお扱いになりましたところの女子の数、これから見ますというと、大体年間に一万四千件内外の数字を取り扱っておられるようでございまして、私
どもの方の婦人相談所または婦人相談員が取り扱いましたところの数字も大体それに近い数字が取り扱われておるようでございます。もっとも、その要
保護女子につきまして、全部それがオーバー・ラップするというわけじゃございませんけれ
ども、そのうちの何割かが両方のお世話になっておるわけでございますけれ
ども、大体数といたしましてはそういうことになっております。
それから私
どもの三年間の経過によりまして問題点となっていますことを申し上げますというと、私
どもの方の
保護施設に収容しておりますところの女子、あるいは婦人相談員、婦人相談所に参りますところの要
保護女子というものにつきまして、非常に精薄の者が多いということでございます。ただいま法務省の方からも補導院につきましてそのような
お話でございましたが、私
どもの方の
関係で申しましても、
保護施設に入っておりますところの女子のうち、三七%あたりが、IQが、知能指数が七〇以下の者でございまして、非常に精薄な者が多い。また精神障害者もあるわけでございますが、これらの結局私
どもの方の手にかかって参りますのがほんとうに何と申しますか、戦い破れたと申しますか、何ともならなくなってやって来るという方々ばかりでございまして、この方々を
保護することはともかくとしまして、その更生につきましては非常に問題があるわけでございまして、それで実はその
保護施設と申しますのは、
保護施設の中におきましてはほんとうの精薄の施設である。しかもどうしてもそういうふうでございますので焦げつかざるを得ない。私
どもの最初の計算では大体六カ月を単位といたしまして回転ができるのじゃないだろうか、こういうような
考えでおったのでございますけれ
ども、一方においては逃げ出すために非常に回転が早く、一方におきましては焦げつくということで、平均の在所期間は九カ月ぐらいになっておりますけれ
ども、なかなかいわゆる私
どもが
考えておるような累計的な更生というものの計数が非常にむずかしいということでございまして、これに対しまして私
どもの方といたしましても、そういう現状に対しましては、それに即応した案をとらなくてはならないというふうにただいま研究いたしておるところでございます。
それからもう
一つは、
保護更生の制度と申しますのは、いわゆる強制力を持たない仕事でございますので、従って簡単に申し上げまして、
保護施設に入っても逃げ出す者を押えつけておくということはできないという、一般にこの更生
関係の仕事というのはそういう仕事でございますけれ
ども、ほんとうにその間におきまして第一線の職員は非常に苦労いたしております。しかしながら私
どもとしまして、この
保護更生に関しまして制度を変えるということはできませんので、現在の制度のもとにおきまして、どういうふうにして実効を上げるかということにりきまして非常に苦労をいたしております。その点が問題点の第二でございます。さらに第三番目は、これは問題点と申しますか、私の方は三十五年度におきまして特に心がけたいと思っておりますことは、この三年間の実績があるわけでございますから、この三年間に取り扱いましたところのケースというものをしさいに振り返って検討いたしまして、そうして今後これから長く続くところの婦人の
保護更生
行政に関する参考とし、かつまた担当している職員の訓練を十分にいたしたい、このことに非常に努力をいたしたいと思いましてただいまこの三年間の中で、特に二十四年度一年間につきまして詳細な調査をいたしておりますので、いずれそういう結果等まとまりましたら御報告を申し上げたいと思っております。