運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-22 第34回国会 参議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十二日(火曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     清澤 俊英君    理事            安部 清美君            北畠 教真君            吉江 勝保君            加瀬  完君    委員            剱木 亨弘君            迫水 久常君            野本 品吉君            横山 フク君            岡  三郎君            千葉千代世君            豊瀬 禎一君            相馬 助治君            柏原 ヤス君            常岡 一郎君            岩間 正男君   衆議院議員            臼井 莊一君   国務大臣    文 部 大 臣 松田竹千代君   政府委員    文部政務次官  宮澤 喜一君    文部大臣官房長 天城  勲君    文部大臣官房会    計課長     安嶋  弥君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省大学学術    局長      小林 行雄君    文部省体育局長 清水 康平君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省大学学術    局教職員養成課    長       村山 松雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事の辞任及び補欠互選の件 ○公立学校学校医公務災害補償に  関する法律の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○盲学校聾学校及び養護学校への就  学奨励に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○教育、文化及び学術に関する調査  (教員の免許に関する件)   —————————————
  2. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) それではただいまから文教委員会を開会いたします。  この際、お諮りいたします。近藤鶴代君より、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じますが、互選方法は、慣例により成規の手続を省略し、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 御異議ないと認めます。それでは、私より安部清美君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 次に、理事会経過について御報告いたします。三月十七日及び本日の委員長及び理事打合会において協議いたしました結果、本委員会におきましては、まず、本付託になっております盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案及び公立学校学校医公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案、以上、二法案議題として質問を行ない、なお、公立学校学校医公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本日中に議了することに決定いたしました。  次に、昭和三十五年度文教関係予算等、当面の文教政策の諸問題について質問を行なうこととし、また今週の木曜日は定例日でありますが、都合により本委員会は開会せず、来週は三月二十九日、三月三十日を一応審議日程として審議を進めていくことにいたしましたので、右、御報告申し上げます。  以上、報告通り審議を進めて参りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 御異議ないと認めまして、そのように取り計らいいたします。
  7. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 本日、ただいま出席しておられます政府委員は、文部大臣文部次官大臣官房長初等中等教育局長大学学術局長体育局長官房会計課長衆議院文教委員長の代理、理事臼井莊一さん。以上、出席しておられます。  まず、公立学校学校医公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  8. 岡三郎

    岡三郎君 議員立法で、これがまあ改正されることになるわけですが、しかしその前に、現行、学校医がこの災害補償を受けていくことになっておりますが、この実情、いわゆる法律制定以後の実情ですが、これを一つ報告願いたいと思う、どういう運営になっているのか。
  9. 清水康平

    政府委員清水康平君) 御承知のごとく、公立学校学校医公務災害補償に関する法律は、三十二年の五月三十一日、法律第百四十三号で公布されておるわけでございます。その後、公立学校学校医公務災害に該当する事例は、ただいまのところございません。割合にこういう事例は今日までも少ないのではないかと思っている次第でございます。
  10. 岡三郎

    岡三郎君 今の報告を聞いて、当初立法したときにおいても、こういうふうな法を制定しても、予算その他は心配ないということで、私が委員長のときにやったわけですが、まあ全国学校医補償という面では精神的に相当具体的に適用をする場合がありますか、どうか。
  11. 臼井莊一

    衆議院議員臼井莊一君) この点は専門局長からの方が適当かと思うのでありますが、まあ私ども常識的に考えますと、やはり学校薬剤師という職務がありまして、三千校から、ただいま申し上げたように委嘱してあるということは、たとえば水質検査とか、環境衛生方面についてのいろいろ職務があるので、従いまして、そのために学校へ出向いてその職務に従うということもあり得ると思います。かように考えまして、まあ将来のことも考慮して、これに加えるのが適当である、こう考えた次第でございます。
  12. 岡三郎

    岡三郎君 わかりました。
  13. 相馬助治

    相馬助治君 関連して。今の岡委員質問の点は、学校薬剤師をなぜ加えたかということですね。これはこういうふうに理解していいのですね。御承知のように、最近プールが各学校でも多くなった。このプールの汚染がひどいか、ひどくないかというような責任は、全部、学校薬剤師にあるわけですね。それから学校に井戸を掘った。ところがその水質学校の学童の保健上よろしいか、よろしくないかということ、これも学校医でなくて学校薬剤師責任があるはずですね。そういう意味でこれを加えたんだと、こういうふうに了解してよろしいのですか。
  14. 臼井莊一

    衆議院議員臼井莊一君) ただいま相馬委員の詳しい御説明兼御質問通りでございますので、その通りでございます。(「ちょっとおかしいね」と呼ぶ者あり)
  15. 千葉千代世

    千葉千代世君 今の件でございますが、薬剤師職務範囲というのは、ちょっと違うのじゃないかと思うんです。学校薬剤師が置かれる時分には、なるほどプールが盛んにでき始める時分で、水質検査とか、三日に一ぺんはかえるとか、もう一つは、理科室の薬剤の適当なあれを検査するということになっているはずです。保健室はこれは学校医管轄下でございます。それからプール水質検査も、これは学校医の全体の保健上の権限であって、その水質がいいか悪いかは、今度は衛生試験所もございますし、保健所を通して調べる機会もございますので、学校全体の保健上の責任学校医が負っているわけでございます。そういうわけで、歯科の面についてはこれは異議ございませんが、薬剤師の面についてはかなり問題があるわけです。特に医学室でも、劇薬とか、毒薬とかいうものは、それぞれ学校規定によりまして、ちゃんと錠をかけてあって、そうやたらに責任者教員以外は持ち出すことができないことになっております。そういうふうな面で、その水質検査をするのは薬剤師責任だということはちょっと考えられないのですけれども、その点、相馬さんどこに規定してございますか。(「向こうへ聞け」と呼ぶ者あり)それじゃそちらの方へ……。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 何条かにあるはずですよ、条文は知らないけれども
  17. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうですが。できるということであって、それが薬剤師だけの責任ではないわけです。
  18. 臼井莊一

    衆議院議員臼井莊一君) 学校保健法施行規則の第二十五条に、「学校薬剤師職務執行の準則」として一号から四号まで並べてございます。たとえばその一として、「学校保健計画の立案に参与すること。」、「二学校環境衛生に関し、定期に又は必要に応じ臨時に、次の事項に従事すること。」というようなことで、「学校における飲料水及び用水の検査」とか、「教室その他学校における空気の検査並びに暖房及び換気方法に関する検査」、その他「採光及び照明の検査」とか、いろいろございまするので、なかなか職務も重要だと、かように考えております。
  19. 千葉千代世

    千葉千代世君 それは薬剤師任務内容であって、これは薬剤師でなければできないことではないということなんです。そこのところをはっきりしないと間違える。やはり学校保健で、これは学校医責任を負っているわけです、その中の計画に参画して。学校保健の、あるいは養護教諭学校長、そういうふうな中で学校薬剤師の参画する分野はこれこれだという内容がこうあるわけです。そういう点で明らかにしていただきたい。
  20. 臼井莊一

    衆議院議員臼井莊一君) 千葉先生の方がお詳しいかと思いますが、責任は、あるいは学校によって学校医がしょっているとしても、やはりこういう職務に従事する、そういうことでやはり学校に出向いてやる場合に、公務災害対象に加えることが適当であると、こう考えております。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、臼井さん、裏を返すというと、学校薬剤師というのは、これから必置にするという方向にこの法を運営していくわけですか。つまり、あなたの答弁を聞くと、かくかくの理由があるからこういうのを加えなくてはならぬ、それほど重要なる理由があるならば、逆に言うと、学校薬剤師というものを置けということになると思うのだが、それはどういうことになりますか。
  22. 臼井莊一

    衆議院議員臼井莊一君) 学校保健法附則の二項に、「学校薬剤師は、第十六条第二項の規定にかかわらず、昭和三十六年三月三十一日までの間は、置かないことができる。」、こういうことでございますので、その後においては一応置くべきものと、かように規定でなっております。それともう一つは、現在すでに、ただいま申し上げましたように、三千校は薬剤師が置いてあるようであります。とりあえず、その方々に対しても一つ補償対象として、安心して職務に従事できるようにと、かように考えております。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 置くことは私反対じゃないのです、賛成なんですが、今の答弁ですね、体育局長、三十六年三月三十一日以降においては必ず、今の答弁を裏返しすると、全国学校薬剤師を置きますね、御答弁願いたい。
  24. 清水康平

    政府委員清水康平君) 法律によりましては、学校医歯科医薬剤師というものは当然置くことになっているわけでございまして、三者三位一体として学校保健に邁進していただくわけでございますが、ただし、薬剤師につきましては、当然置くことになっておりますけれども、三十六年三月三十一日までの間は、経過規定として、「置かないことができる。」と、こういうことになっておるわけであります。
  25. 岡三郎

    岡三郎君 それは前置きで、それから答えが出るのだ。
  26. 清水康平

    政府委員清水康平君) 従いまして、現在のところはそういう意味合いがございまして、大体三千人くらい学校薬剤師が置かれたわけでございますが、三十六年三月三十一日過ぎれば必置ということになるわけでございます。
  27. 岡三郎

    岡三郎君 なるわけでございますじゃなくて、必ずそういうふうになりますか。
  28. 清水康平

    政府委員清水康平君) 法律通りそういうふうになるだろうと思っております。
  29. 岡三郎

    岡三郎君 なるだろうと思っているという、そういう答えではいかぬと思う。私は無理なことを言っているのじゃないのだが、法律によるというと、当分々々ということがずいぶんついている。当分がずいぶん長い当分があるわけです。だから、それがまたその段階になって延長することはないだろうかということを念を押して、どうせこういうものを作るならば、もうちょっと権威あるものにして、学校薬剤師そのものがあってもなくてもいいということでする適用でなくして、三位一体という今の説明通り、それ以後は置いて、そうして全国学校保健衛生を向上するのだ、こういう確信ある答弁を聞けば、まことにこの法改正名実ともに備わったものだ、こうなるわけです。片一方の方は、三千校置いたからというのではなくて、もう少し確信ある御答弁を願えればいただきたい。
  30. 清水康平

    政府委員清水康平君) 法の建前が、経過規定として三十六年三月三十一日までは、「置かないことができる。」、それが過ぎますれば、当然、学校薬剤師学校歯科医学校医と同じように、当然置くことになります。そのつもりで私どもも考えております。
  31. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今の岡さんの質問に関連して、局長質問しておきたいのですが、御承知通り学校保健法は三十三年にできて、しかも附則第二項によりますと、ただいまの御答弁のように、三十六年三月三十一日までの経過措置が置いてあるわけですね。提案者も、また局長も、先ほど御答弁になりましたように、現在では三千校といいますが、三千人程度薬剤師が置かれ、学校数に比しまして少々足らないような気がするのです。三十二年の学校保健法成立当初から今日まで、薬剤師設置するためにどういう指導をしてこられたか、そうして、大体ただいまの御答弁による三十六年三月三十一日の経過措置が切れた際には、必ず必置されているという状態に対して見込みがおありになるのかどうか、その点を念のために聞かしておいていただきたいと思います。
  32. 清水康平

    政府委員清水康平君) 先ほど申し上げました通り、三つのお医者さんたち三位一体として学校保健の向上をはかる意味におきましては、一つ欠けてもやはりますいのでございまして、私どもといたしましては、あらゆる機会を通じまして、その設置を要請、要望しているわけでございます。あるいはまた、日本薬剤師協会でございますが、全国的な組織がございますし、そこらと連絡いたしまして、薬剤師協会といたしましても、三十六年の四月からはぜひ自分たちも置くように努力するし、その見通しも必ずあるというふうに承っておりますので、私どもその線に沿うて努力して参りたいと思っております。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 この問題に関連して、ちょっとだけお聞きしておきたいのですが、三千人というと、これはまだ全体の何割にもならないわけですね。そうすると、来年、三十六年の三月三十一日というと、一年しかないのですね。それは経過的に予算措置はどういうことになるのか、裏づけ予算はどれくらい要るのか、こういう点について聞かしていただき、さらに、これについて文部大臣の所見をただしておきたいのです。今の問題、附則通りちゃんと実施する意向があるかどうかということは、文部大臣答えていただきたい。しかも、これは予算裏づけをはっきりここで解決できるのかどうか、この点の見通しがなければ、これはまずいと思う。
  34. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 政府としては、歯科医並びに薬剤師というものが、この法律災害補償対象になるような場合が、従来の実績から見ても、また今後もちょっと想定されがたいというふうに感じるものでありまして、必ずしも今直ちに必要を認めておらないのであります。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 今の御答弁だと、これはやはり予算裏づけのない附則は実現できないということで、法改正でもやってごまかすつもりですが、大へんだと思うのです、今の御答弁では。それから予算裏づけはどのくらいか、その額をはっきり言って下さい。
  36. 清水康平

    政府委員清水康平君) 財源の問題でございますが、学校医歯科医、これは経過規定がございませんので、当然置かれているわけでございます。従いまして、財源措置といたしましては、一人につきまして決して十分ではございませんが、七千円というものを交付税で見ているわけでございます。従いまして、学校薬剤師につきましても、それ以後になりますれば、現在の状況が同じならば、当然七千円は一応地方財政の方で交付税で見てやらなければならぬと思っております。もちろん七千円が十分であると思っておりませんが、同じように、三者とも同じ地方財政で見ていくことになると思います。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 今のは年間でしょうね。そうすると、全体で何人ですか、それから全体の総額幾らになるか、一人の単価を聞いているのでなくて。ここでやるのだから、国会の論議ですから、総額幾らになるか、つまり公立学校に全部置くとすれば何人要るのか、現在の三千人に対しまして何人足らないのか、それを全部充当すれば予算としてはどれくらい要るのか、こういう点ははっきりしておりますか。
  38. 清水康平

    政府委員清水康平君) 御承知のごとく、私立、公立、国立全部合わせまして大体三万五千校ということになるのでございます。必置になりますというと、その金額はわかりませんけれども、やはり同じように地方財源で見ていかなければならぬと思っております。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 総額はわかりませんか。
  40. 清水康平

    政府委員清水康平君) 総額は、年額大体七千円といたしまして十億くらいになると思います。
  41. 岩間正男

    岩間正男君 そんなことになりますか、ちょっと違いましょう。
  42. 清水康平

    政府委員清水康平君) 間違いました。この学校給食、これは大ざっぱの考えでございますが、学校給食従事員一人につきまして九万円ぐらいで十二億であったものですから、私、十億と申し上げたのでございますが、その十分の一くらい、だから一億くらいになるかと思います。大体のこれは見当でございます。
  43. 岩間正男

    岩間正男君 七千円でいけば私の計算では三万二千、三万五千人までみれば二億何ぼになる、二億四、五千万円になるのですか。
  44. 清水康平

    政府委員清水康平君) 三万といたしまして一億七千万くらいになると思います。そういうことだと思います。
  45. 岩間正男

    岩間正男君 どうですか、文部大臣、それを平衡交付金の中で、需要額の中にちゃんと組み込ませる確信があるかどうかということですね。確信がないから、先ほどの御答弁のようになると思うのですが、どうですか。
  46. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 三万数千の学校薬剤師必置しなければならぬということは、三十六年三月三十一日以降、そういうことになっておる、もしこの法律通りであるとするならば、むろん必置しなければならぬのでありまするが、その予算措置につきましては、今直ちにここで明言いたしかねます。
  47. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほどの質問で、もう一つ懸念がありますので、お尋ねいたしておきたいと思います。局長もたびたび言われましたように、施行規則の二十三条、二十四条、二十五条を体してみますと、御指摘の通り三位一体というか、薬剤師仕事というのは、この施行規則条文だけ見ますと、非常に薬剤師仕事は直接的な生徒の保健に関する重要な任務を持っておると思うのです。経過措置がおかれておるのですが、先ほども指摘しました通り、三十三年の四月十日に本法が公布になって、その年の一カ年間においてはどの程度薬剤師があったか、それからさらに一カ年経過した今日において、三千数百人程度だと思うのです。しかしそれでもなお三方五千、大学以外の学校ということですが、三万数千の学校に配置するためには十分の一程度ですね。二カ年間の薬剤師増加の経緯を知らせていただくと同時に、二カ年間でわずか十分の一程度しかふえなかった薬剤師が、はたして十倍に一年間でふやし得る見込みがあるかどうか、局長さんのきょうの天気のような明るい御答弁にもかかわらず、私はきのうのような暗い見通しを持つのですよ。そこで、その点に対して養護教諭にしろ、その他の教諭にしろ、法律においては設置基準が設定されて、まことに整ったように作られておるけれども、この規定の定めにもかかわらずという附則が逆に主人公にとってかわって、現在においては非常にその措置ができていないというのが現状です。そこで、臼井先生方の御提案薬剤師にまで及ぼしていくということは、施行規則二十五条の職務内容に照らして当然の措置だと思う。しかし、私はこの法律によって薬剤師公務災害の際に救済される措置を講ずると同時に、学校保健法精神あるいは施行規則学校薬剤師任務重要性から考えて、この法律を作ると同時に、薬剤師必置するということが法律制定と同時に決意されておらなければならないと思う。この点に対して、まず局長さんの方から、過去二カ年間にわたる薬剤師増加していった計数と、現在において保健法成立後、二カ年たってもなお十分の一程度薬剤師しか設置できていないのに、三十六年の三月三十一日までの間に、少なくとも学校保健法にいうところの大学以外の、第十六条にいう「大学以外の学校には、学校歯科医及び学校薬剤師を置くものとする。」と、この精神が、条章が完全に充足される見通しを持っておるかどうかについては、大臣の確固たる御答弁をお願いしておきたいと思う。
  48. 清水康平

    政府委員清水康平君) 今日までの学校薬剤師増加年度別にということでございますが、今ちょっと資料を持っておりませんので、正確にはお答えできませんが、保健法を制定した当時よりも、去年の暮れから、ことしにかけて非常にふえてきたというふうに聞いております。それから附則との関係でございますが、この附則は、よく附則には当分の間というふうに書いてありますが、これには年限が切ってございます。それからもう一つは、先ほど申し上げました通り全国薬剤師協会も非常に熱心でございまして、またわれわれとしても、どうしても薬剤師というものは、学校医歯科医と同じように必要であるという見地から、あらゆる機会をとらえて指導して参りたいと思っております。従いまして、三十六年の四月からは全部置けるように努力して参りたいと思います。それから学校医歯科医師はもちろん、薬剤師もそうなんでございますが、いわゆる非常勤の勤務でございます。従いまして、その一人が数校を持つということも可能なんでございまするので、その点もありますので、今後努力して充実して参りたいと思っておる次第でございます。
  49. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 学校児童保健を完璧にするために、学校医歯科医薬剤師、いずれもこれを必置することにいたしてやって参ることが望ましいことであると考えます。しかし、これが予算措置につきましては、今ここで明言することはできません。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 関連して。文部大臣のただいまの御答弁でありますが、私は最近経験した問題と関連して、この問題を一つ考え直してもらいたい。というのは、最近、私の郷里ですが、宮城県の村田町というところで集団赤痢が発生した。これは千五百人、これは全体の三〇%近くですが、新聞やラジオなどでも放送されましたが、大へんな大騒ぎですが、私も郷里へ行ってみましたが、自衛隊まで出動したという格好です。それから小学校高等学校は全部隔離病舎に充てられた、重大な問題です。この根元を調べてみますと、これは水道なんですね。水道から赤痢菌が入った。で、私はそういう点から、今この法案審議しながら薬剤師の必要を考えたのですが、今の施行規則によりますと、飲料水水質検査ということが一つ職務内容に入っているわけですね。この点からみると、やはりこういうような集団赤痢の発生などというものに対して、こういう危険に対してやはり十分な措置をやるということ、そういう衛生的な科学的な運用をするということが必要だと思う。そのために私の町が、何でも三千万くらいのこれは出費になる、これはとても現在の財政では補えないことになる。それを考えると、これは単に私の町だけではありません。宮城県の中でも三、四カ所発生している。全国的に聞くというと非常にこの例が多い。集団赤痢、そのほかにもいろいろな飲料水による腸チフスとか、パラチフスとか、こういうものを考えると、やはりこの水質検査というものを厳重にやるということで、こういうことは防ぎ得るのですね。そうすれば、これによって失う損害を補って余りあるものがあるのではないか。私はそういう点から考えれば、この附則というものは生かされて、そうして学校保健の行政を今後前進させる、こういう意味から、文部大臣の今の御答弁がありましたけれども、一年まだ期間があるのです。額からいってもこれは大した額ではない。得るところが多くて失うところが少ない。こういうふうに考えられますので、最近、私の切実に体験したそういう問題もからみ合わせて、こういう薬剤師を置くという方向に、ここで努力を集中していただきたいと考えるのですが、いかがですか。
  51. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。あわせて答弁していただきたい。大臣、何か誤解していらっしゃるのじゃないかと思うのです。法律で三十六年度から必置しなければならないようになっておれば、当然の義務としては、政府として予算措置を講じなければならないと思う。この点をもう一回事務当局によく確かめた上で答弁していただきたい。
  52. 相馬助治

    相馬助治君 関連して。同じことですから大臣にお尋ねしておきたいと思うのですが、議論の途中で、だいぶ局長がしろうとの財政論を言うたので問題がかえって複雑になって、大臣も当面の最高の責任者として慎重な御発言をなさったと思うので、経過はわかりますが、これは経過措置をきめた法律によって、経過措置の期間が過ぎれば当然必置にするというのがこの法律の建前なんですね。それからもう一つは、一億だとか、三億だとかいう費用がそこに出てきましたが、これは文部省がそういう項目で費用をとる筋のものでなくて、交付税の中にこの問題が出てくるのであって、当然この法の建前に照らして、文部省が自信をもって指導しておけば、国の財政当局はこれに見合って財政支出をしなければならない筋のものだと、こういうふうに私は考えるのです、その点が一点。もう一つは、最近、岸内閣において、医療金融公庫まで設けることになって法律を出しておる。あのねらいは、無医村、無医薬局村の解消ということが大きなねらいだと思うのです。今、岩間委員から薬剤師任務のことについて、赤痢患者の実例を引いての御説明でありましたが、私は自分の生まれた村がいまだに無医村なんです。町村合併によって、今度大きくなったということからいえば違いますが、昔からいうと、私の村はいまだに無医村なんです。ところがここに学校薬剤師がある。これが非常に積極的にネズミの駆除から、それから今の赤痢や何かの予防から、それから川で子供が水泳することに対する指導から、非常に熱心に働いて実績をあげて、学校医に協力している実例があるのです。ですから私は当初、岡委員質問されたときに、大臣はこの法律規定する通り経過期間が過ぎましたら置きますと、こうすっきりした言明があるのだ思ったところが、財政論にからんで話がこんがらがっておる。賢明にして、しかも勇気ある松田大臣が、この際きちっとした、納得するような答弁をして、そして薬剤師経過措置以後には置くということを一つ申していただきたいのであります。
  53. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私はこの問題について当局から詳しい報告を受けておらなかったので、私の答弁が的確な目標に向かっての答弁でなかったことを自覚いたしますが、むろんこの法律が可決されまするならば、学校保健法規定されている趣旨に基づいて、その予算措置は講じなければならぬと思います。またそういたします。しかし、私のさっき申し上げたのは、明確にここで、この学校全体に対して明確に幾ら予算措置を講ずるということは明答いたしかねますということを申し上げたのであります。
  54. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 他に御質疑ありませんか。——他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 御異議ないと秘めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  公立学校学校医公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手をお願いします。    〔賛成者挙手〕
  57. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条による議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。   —————————————
  59. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 次に、盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  60. 加瀬完

    ○加瀬完君 質疑の前に資料をお願いしたいのでありますが、先週の木曜日までに提出するということで岡君から資料の要求があったわけでございますが、その資料がまだ配付されておらないように思いますが、この資料を出していただきたい。  それから今審議中の盲聾学校の就学状況あるいは就学に伴う生活状態、こういったようなもので、われわれはこの法案審議しておるという過程でいろいろの陳情を受けておるわけであります。そこで、一応、こういう関係法律がかつて施行されております。さらにまた拡大されるわけでありますが、それにしても、さらに問題があろうと思いますので、次の点の資料をお願いしたい。それは、就学させた場合、一人どのくらいの費用というものが現状一カ月かかっておるのか、その負担にたえられないような状態の家庭の子供というものはどのくらいおるか、あるいは就学率は一体何パーセントぐらいになっておるか、その他就学に困難な条件で今後解決しなきゃならないと文部省がお考えになっておる点はどういう点であるか、これらの資料をいただきまして質問をしたいと思いますので、お願いいたします。
  61. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 承知しました。
  62. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  63. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) 速記をつけて。  それでは質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  64. 加瀬完

    ○加瀬完君 この法案と直接の問題ではありませんが、盲聾の、特に高等部などの就職といいますか、職業指導といいますか、これは学校の中で具体的にどんなようなことが今行なわれておりますか。各学校によってそれぞれの特徴を生かしておるようでありますが、期本的に文部省なり、あるいは盲聾の教育界で、こういう方向にといったような考えがおありですか。
  65. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 盲学校の場合は主としてあんま、はり、きゅうと音楽でございます。それから聾学校の方は相当範囲は広うございまして、今、学校でやっておるのは木材工芸、被服、理容、印刷、農業その他で、聾の場合には相当職業の範囲は広うございます。
  66. 加瀬完

    ○加瀬完君 問題は盲ですけれども、あんま、はり、きゅう、音楽が幾らか加わっているが、相変わらず盲人はあんま、はり、きゅうしかできないということでは、盲人でなくても、なかなかこのごろはあんま、はり、きゅうが多くなりましたので、それだけで自活するということは、また今までの盲人より以上の悪条件が出てくると思う。その辺は何か具体的な方法はまだないのでしょうか。
  67. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御指摘の通り、今のところなかなか困難でございますけれども、私どもはできるだけ盲人に就職の機会を広くしたい、こういうことで、どういうものが盲人に適しているかという点は、諸外国の実例もございますので、できますれば、モデル・スクールのような格好で少し盲人の適職について検討をしてみたいと思っております。
  68. 加瀬完

    ○加瀬完君 あんま、はり、きゅうの先生が、盲学校ですから、当然中心にはなるわけですけれども、生徒などに聞きますと、あんま、はり、きゅうの先生だけに教わるような盲学校では非常に不満足なんで、また、あんま、はり、きゅうの先生と一般の先生と、盲人教育というものについて必ずしも意見が一致しておらないために、一つの新しい盲人教育という進歩が見られないという不平を、われわれは高等部の生徒から聞くことであるのです。この間の事情を文部省はどのように考えておりますか。
  69. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 全部が盲人ばかりではございませんで、晴眼者もおります。ただ御指摘のように、現在のところ盲人の職業範囲が非常に狭いということは確かに事実でございます。できるだけ盲人に適した職業を広く学校でも教育して参りたいと、こういうことで今検討を続けておるところであります。
  70. 加瀬完

    ○加瀬完君 新しい職業としてどんなことが計画されておりますか。
  71. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 非常に音の方については過敏でございますので、音を聞き分ける、こういうような方は一つの職業ではなかろうかと思っております。
  72. 加瀬完

    ○加瀬完君 何か設備とか、それから技術指導とか、そういう具体的な条件はそろっておるのですか。
  73. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 現在のところまだ十分でございませんので、来年度の予算では、ぜひ盲人の職業教育についてのモデル・スクールを設置したいと考えております。
  74. 加瀬完

    ○加瀬完君 モデル・スクールでおやりになろうとすることはどういうことですか、今までの盲人の職業教育とは別なものでおやりになろうとすることは。
  75. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) まだ具体的にはきめておりませんけれども、盲人の中でも相当晴眼者と同じような適性を持っておる部分も多いのでございますので、この点はもう少し私どもは検討を続けていきたいと思っております。
  76. 加瀬完

    ○加瀬完君 職業指導をやる指導要領というか、教科課程というか、こういうものを新しく変えていこうというお考えはないのですか、盲人を対象にして。
  77. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 聾盲の場合は、むしろ普通課程よりは職業教育の方を中心に教育課程を今回も改正いたしましたが、今後もそれをさらに強化していきたいと考えております。
  78. 加瀬完

    ○加瀬完君 聾の方ではどういう職業教育が行なわれておりますか。
  79. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは先ほど申しましたように、現在行なわれておる分が木材工芸、被服、理容、これは美容を含めます。それから印刷、農業その他、こういうふうになっております。
  80. 加瀬完

    ○加瀬完君 高等部のある聾学校に参りましても、一応理容とか、印刷とか、若干の計画と設備がありますけれども、職業人として立つにはやっぱり一般の健康者と太刀打ちのできるという技術は、とてもあの状態では修得できないだろうという懸念をわれわれ持つわけです。そこで普通の高等学校以上の——特殊な身体条件にあるわけですから、もっと特殊な、予算的にいえば、ある程度、金を余計かけた設備というものを講じなければ、ほかの方でいろいろ今度の法案のような内容を備えたところで、聾者の将来の生活の安定というものは、なかなか得られないのじゃないかということをわれわれは感ずるのです。その点の予算関係は逐年どのようになっておりますか。
  81. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 現在のところ、盲学校聾学校につきましては、一般の義務教育に準じた扱いをしておりまして、教員の給与費、それから教材費、建物の補助費、この三本が中心になっております。そのうち盲聾学校の場合には、教材費につきましては、小中学校に比べまして大幅にふやしております。それから高等部につきましては、これは義務制でございませんが、実は職業教育の産業教育振興法の予算が約十億ございます。その中から、わずかでございますけれども、できるだけさいて、盲聾学校の職業教育振興に役立てたいと考えております。
  82. 加瀬完

    ○加瀬完君 こういう今審議中の法案のような内容を、いろいろ有利な条件を加えるということも就学奨励一つ方法ですけれども、無理をしても高等部を出れば、一般の聾者や盲者と違って非常に生活能力がついたという実績を私は教育の過程で上げなければ、やはり根本的な問題は解決できないと思います。それにしては、産業教育振興法では毎年それを適用して、そこへ予算を流すというわけにはおそらく参りかねると思うわけです。そうでなくて、特殊な身体条件の者に対して、やっぱり特殊な職業教育をするという、ある程度のまとまった予算というもので設備をし、あるいは教育条件をそろえていかなければ、この根本的な問題は解決できないのじゃないかと思います。一人前の生活人として自立させるという体系からすれば、どうも高等部などでも、特にこれは地方負担になりますと、かわいそうだという感じでは出しますが、それだけのことで、教育的な見識の上から十二分に予算を見るという形にはいかないのじゃないか。父兄の負担も非常に多い。これではこの問題は解決できないということを感じておりますが、この点はどうでしょう。
  83. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大へんごもっともな御意見でございまして、実は私どもの方も盲聾の高等部は義務制並みに扱って参りまして、今日まで教科書、給食あるいは寄宿舎の今回の雑費とか、あるいは通学費等につきまして、義務制並みにして就学奨励を容易にして参ったわけであります。ただ、お話のように学校自体を改善して、この学校を出れば確実に就職ができるようにする、こういうような教育の点について、まだ不十分ではないかという御意見でございますが、その点は私どもも不十分な点は率直に認めておるわけであります。ただ、産業教育振興法のワクは相当幅が大きいのでございますので、この中から高等学校の産業教育ですから、できるだけ御指摘のようにまとまった金を出したい。経常的な教材等は、これは教材費の方から一般設備費は出るわけでございます。ですから、まとまった産業教育の施設につきましては、産業教育振興法のワクの中からできるだけさいて、そしてこの種教育の、特に職業教育の改善充実をはかって参りたいと考えております。
  84. 相馬助治

    相馬助治君 この法律に関連して、二つだけお尋ねしたいのですが、今こういう法律を、おそまきながら政府が出してきたということに対しては私は敬意を表します。私、考えるのだが、せっかく修学旅行費を見るのだから、盲聾の生徒だから、なぜつき添う人間の費用まで見ることができなかったか、また、見られなかった理由が何かあるかどうか、将来どう考えるかどうかということが質問の第一点です。それから第二点は、これに関連して、前にこの委員会で、私立の盲聾学校の施設の特別補助について陳情を受け、各委員もみなこれを聞いて同調されて、何とか骨を折ろうということになったわけです。文部省は先般、予算を大蔵省との折衝の過程の中で、この費用を計上して、非常に熱心に御努力を、初等中等教育局長あたりも中心になってなさって下さったという経過は知っておりますが、結局のところは大蔵省にけずられてびた一文ももらえなかった。そのときに聞くところによりますと、局長か次官かはわかりませんが、この費用は取れなかったけれども、これは私学振興資その他の方面に働きかけて、何とか見れるように陰ながら援助をしようということをおっしゃったということを聞いておりますが、この盲聾学校の、しかも私立の学校というのは非常に費用も食うし、その経営に困難があり、またこれをやっておる人が、みな宗教的な立場を持っておる特殊の人でないとできないというような経過もあります。従って、文部省がこういうりっぱな一部改正を今度されるという積極的な意思が表われている際ですから、私立の盲聾学校のこれら施設の問題について、局長としてどんな見解を持っているか、一応二点、局長にお願いいたします。
  85. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 最初の修学旅行のつき添いの件でございますが、従来、盲学校聾学校で修学旅行をする場合には、つき添いはついておりませんので、盲聾の生徒の分を見たわけでございます。もちろん一定数になりますれば、当然、国鉄の方はつき添いの経費につきましては無料の運賃、無料で出しておりますので、まあ、その分と若干先生の分も必要があろうかと思いますが、できるだけ実績を見まして、学校が困らないようにいたして参りたいと考えておるわけでございます。
  86. 相馬助治

    相馬助治君 その点よろしくお願いいたします。
  87. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それからもう一つの盲聾の私立学校の助成費につきましては、御指摘の通りでありまして、私どももいろいろ努力いたしましたが、最終的には私何らかの形で目的が達せられたと聞いておりますが、むしろこの点は、当時の監理局長であられた小林さんの方から御説明をしていただいた方がいいかと思います。
  88. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) ただいまの私立の盲聾学校に対する国としての財政的な援助ということにつきましては、三十五年度の予算で、それぞれの学校関係者の非常な御要望もありまして、いろいろ財政当局と折衝いたしましたが、財政当局は、要するにそれは私立学校振興会の方からの融資または助成でやったらどうだというような話で、国の予算としては認められませんでした。私もその当時、振興会の責任者といろいろ話をいたしまして、とにかく、まあ施設あるいは設備の面については、振興会の方からできるだけ努力をして、めんどうを見てもらいたいという申し出をいたしまして、振興会の方も大体その点はよく腹に入れているはずでございますので、まあ、私立の盲聾関係者のおっしゃる通りにいくかどうかはわかりませんけれども、相当程度のものは大体目的が達成されるのではなかろうかと思っております。
  89. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) お諮りしますが、本案の質疑は次の委員会に譲りまして、大臣都合もありますから、このあと文教政策について御質疑を行なっていただいて、それで午前中の委員会を終わりたいと思いますが、御異議ありませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) それではさように扱います。
  91. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) それでは、ただいま質疑を行なっております盲聾学校のこの法案の質疑はこれで打ち切りまして、次期の委員会に持ち込みまして、これから文教政策並びに予算問題等の質疑を継続して行ないます。
  92. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私は免許法関係の問題について二、三ただしておきたいと思うのです。  御承知のように、教育職員免許法につきましては二十九年に改正が行なわれたわけです。この改正附則の第二項によりますと、第二項の中段ごろに、「盲学校、ろう学校若しくは養護学校教諭の仮免許状の授与を受けている者は、養護教諭又は盲学校、ろう学校若しくは養護学校教員にあっては昭和三十五年三月三十一日まで、」その職にあることができる、こういう定めになっております。そこで二十九年来、これらの仮免を受けているものが仮免を廃止されまして、経過規定の中で資格が取れるように、上進できるようにいろいろ指導されてきたと思うのですが、今日までの、ただいま私が申し上げましたものに該当する人々に対する今日までの上進するために必要ないわゆる認定、講習会等の状況につきまして、養成課長の方から御答弁をお願いいたしたいと思います。
  93. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) ただいまお尋ねのございました関係教員の仮免許状の点についてお答えを申し上げます。お話しがございましたように、教育職員免許法が二十九年に一部改正をされまして、従来ありました仮免許というものが、期限付でなくなる、整理されたわけでございます。で、盲学校聾学校養護学校教員、それから養護教諭につきましては、余裕期間を六年間置きまして、三十五年三月三十一日という日を限って効力がなくなるということになったわけでございます。これにつきましては、それ以来、文部省としていろいろ上進のための措置として現職教育をやっております。御承知のように、免許法に認められておりますところの認定講習とか、通信教育、それから単位の修得試験というものを全国的な規模で実施して参っております。できるだけそういった該当者には上進の機会を与えたいということで措置をして参ったわけでございまして、その法律改正当時の、元の仮免許状所有者の数に比べますと、現在残っておりますものの数は、相当大幅に減少をいたしておるわけでございまして、今までとって参りました上進のための措置というお尋ねでございますが、最近の状況を申し上げますと、たとえば認定講習につきましては、盲聾学校養護学校の先生に対しましては、昭和三十三年度において十二科目、約三千二百単位、それから養護教諭につきましては七科目、四千二十単位というような相当な認定講習を行なっております。また三十四年度におきましては、盲聾、養護学校の先生につきましては、これもやはり十二科目で約五千単位、それから養護教諭につきましては、七科目で三千八百単位というような認定講習を実施いたしております。また、通信教育でございますが、これも三十三年度には四科目で約千百五十単位、それから三十四年度におきましても二科目で現在まだ履修中でございますので、受講される単位数はまだわかっておりませんが、これも実施中でございます。それから単位修得試験でございますが、盲聾学校の先生につきましては、三十三年度において八科目、約百六十単位、それから三十四年度には四科目約百単位、それから養護教諭につきましては、三十三年度において二科目約三百単位、それから三十四年度には二科目で、これは非常に減っておりますが、約二十単位、そういった規模の認定講習、通信教育、それから単位修得試験というものを実施いたしまして、まあそういった該当者の方が、できるだけ期日内に上進して、正規の、従来通り教諭の位置を保てるように、文部省としては措置をいたして参ったわけでございます。
  94. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 免許法の施行規則、第五章に認定講習の項を定めております。三十六条によりますと、「免許法認定講習を開設することのできる者は、左の各号の一に掲げるものとする。」、第一番に、「開設しようとする講習の課程に相当する課程を有する大学」、こういう規定になっております。第二項には授与権者を定めておりますが、この第一項があるために、従来、従来と申しますのは、昭和三十四年七月二十五日文部省令第二十号が出される以前のことですが、その以前につきましては、たとえば、九州各県の仮免を持っている関係者は、各県の大学が——これの第一号に相当する大学がこれを開議しないために、熊本大学に行ったり、あるいは四国では愛媛大学のみに、それ以前においては開議されたというのが実情だと訴えております。また全国的に見ましても、養成所の設置されておる県数も、十数県にとどまっておるようです。こういう状態では、なるほど開議された、何といいますか、時間数というか、単位数というのは、御説明のように、全国的なものを把握するとかなりの時間数に上っておりますけれども、旅費の問題とか、あるいは通勤距離とか、講習会を一週間受けるに対する経費の問題とか、こういった開議場所が不十分なために、今言われましたような趣旨にもかかわらず、特に三十四年七月二十五日以前におきましては、受講できなかった者がかなり多いと思うのです。で、昭和三十四年七月二十五日以前における受講の状況と、省令二十号が定められた後における受講の状況の把握がありましたら御説明願いたいと思います。
  95. 村山松雄

    説明員(村山松雄君) 認定講習の実施状況について御説明申し上げます。御指摘のありましたように、免許法の認定講習は、昭和三十四年七月以前におきましては、大学でやるとか、しからざれば都道府県の教育委員会がやる場合には、その府県所在の当該課程を有する大学の指導のもとに運営されなければならぬことになっておりました。従いまして、昭和三十四年七月以前につきましては、特に養護教諭関係の認定講習につきましては、まあ若干開設できるものが限定されておりました。その以前と以後におきまして、現職教育等がいかに府県別にこまかくやっておったかということについての明細な資料は、現在残念ながら持ち合わせがございませんので、御説明できないわけでございますが、免許法改正当時の仮免許状所有者の数と、それから昨年の四月一日現在の該当者の数とを対比いたしますと、相当大幅に減少しておりますので、やはり六年間には相当現職教育機会がありまして、現職教育を受けた者につきましては上進しておるということは言えると思います。数で申し上げますと、二十九年現在では盲学校で仮免所有者の教諭が六百四十名程度おりましたのが、昭和三十四年の四月現在では七十九人程度に減っております。聾学校につきましては千二百人程度おりましたのが、同じく三十四年四月現在では百人程度になっております。それから養護教諭につきましては千百四十名程度おりましたのが、三十四年四月一日現在では四百名程度に減少しております。さらに、ごく最近の該当者の員数につきましては、これも残念ながら正確な数の資料を持ち合わしておりませんが、部分的に各都道府県に問い合わせましたところによりますと、昨年四月現在のものに比べまして、半数以下に減っているのではないかという工合に推定されております。従いまして、現職教育機会昭和三十四年七月以後においては、どこの県でも企画すればやれるようにした措置とにらみ合わせまして、最近においては相当減少しておりまして、いよいよ昭和三十五年三月三十一日の期限に至って、二級免許状が得られないでこの規程に該当するという者の数は、多くても二百名以内になるのではないか、かように推定されます。
  96. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 関連した質問があるのですが、大臣が時間を急いでおられるようですので、大臣にお尋ねいたしたいと思います。今、養成課長から答弁がありましたように、つい最近のデータによりましても、養護教諭で、今年三月三十一日にその職にあることができなくなるものが二百名程度あるようでございます。これは昭和二十九年に免許法が改正されて、仮免許制度がなくなったために、こうした現象が生じておると思うのですが、あと三月三十一日まで、わずかな期間しかなくして、二百数十名、あるいは二百名前後の該当者は、身分の不安定に対して非常な動揺と心配を持っておるわけですが、こういう者につきまして、大臣としては、免許法改正のために、不安定な立場に置かれておる仮免許状を持って三月三十一日までに期限が迫られておる者に対して、基本的に、本人たちの今日までの努力なり、あるいは地方の需給状況に応じて採用された立場にあったという状況なりを判断されて、できるだけ三十一日に画一的な処置をされることなく、十分地方の実情に応じ、本人の今日までの労苦に報いるような配慮をしていただきたいと考えておるわけですが、大臣としての御見解を承りたいと思います。
  97. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 養護教諭の今の御質問でございますが、法律がすでにできておることでありますし、従って、その法律精神を無視するわけには参りませんけれども、しかし、お話しのように、この点につきましては十分実情に即して適当な指導をして参りたいと、かように考えております。
  98. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 十分、大臣の配慮の点はわかりましたが、たとえば昨年の暮れにおきましても、茨城県の先生が、自分の県で講習会が開かれないために、東京都の講習会にわざわざやってきた。ところが他県の者だから入れない、こういう押し問答があって、数日後にやっと講習が受けられたというような実例もあります。こういった点は、私が先ほど申し上げましたように、講習会を設置するものの基準というものが明確に定めてあるため、あるいは当該教育委員会が、人数が少ないために受け入れ措置を講じない、こういったために、本人が上進しようとする熱意と努力があるにもかかわらず、その資格がとれなかったという状況にある者がかなりおると思うのです。こういう者につきましては、免許法の精神が、資格を有する教員をきちんと整理すると同時に、あの当時、養成課長をしておられた文部省の前田課長が、二十九年の法律改正の際に見解を述べておられるように、やはり現在、職にある者の身分を安定したいという立場も同時に考慮されていったと思います。こういう点も十分配慮していただきまして、あと数日になっておるこれら該当者の身分の安定につきましては、十分の配慮と御指導をお願いいたしたいと考えております。  なお、続いて局長にお尋ねいたしたいのは、これもまた免許法の定めによりまして、かりに四月一日以降、仮免を持っておる者が、期限が切れたために助教諭に採用されたといたしましても、別表第六だったと思いますけれども、これが上級免をとるためには、やはり助教諭になったときから必要年数を計算していくようになっております。ところが、今日まで仮免を持って教壇に実際に専念してきたものであるし、また、中には仮免になる以前に臨免を持っておった時代もあると思います。こういう者を、画一的に新たに三十五年の四月一日から助教諭の身分を取得した後に、六年三十単位を必要とする二級免の資格の計算をしていくとすると、以前の本人の現場における苦労というものが全く水泡に帰してくると思うんですが、こういう問題につきましても、やはり従前同様の同種の職にあった、しかも助教諭なり、あるいは仮免許という、三十五年三月三十一日には消滅いたしますけれども、一定の法に定められた資格のもとに教育に従事しておったわけですから、こういう者については、別表第六の基礎資格の計算について、どういう配慮をなされておるかをお伺いいたしたいと思います。
  99. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) お尋ねの通りに、現在今なお仮免であります者は、その免許状が失効いたしまして、結局あらためて臨時免許状をもらわなければならぬということになるわけでございますが、しかし臨時免許状を受けるためには、それぞれ基礎の資格があるわけでございます。その臨時免許状で助教諭に切りかえます場合に、ただいま御指摘のございましたように、従来の在職年数等が全然計算されないというようなことは、現在の実情から申しますと、私どももややお気の毒に存じますので、それらの場合には、できるだけ行政指導で、しかるべく更新してもらうように、各府県の当局者に指導をいたして参りたいと思います。なお、これは申し上げておきますが、現在、府県の当局者の方も、大部分はこの際そういうものをなくすのが理想ではあるけれども、そういった状況であるから、そういった暗黙の措置をある程度しようというような気がまえになっているように、私ども受け取っておるわけでございます。
  100. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この方であと一、二お尋ねしたいのですが、先ほどから大臣都合があるようでございますので、やはり養護教諭ではありませんけれども、同種の状況に置かれる者につきまして、大臣の見解をただしておきたいと思います。これもやはり昭和二十九年に免許法改正が文部省から提案された際に、衆議院におきまして、各派共同修正がなされておることに関連する免許法第九条の臨時免許状を持っておる者についてですが、第九条によりますと、臨時免許状はその免許状を授与したときから三年間、その都道府県に限って効力がある、こういう規定になっております。その後、三十一年か二年に第一回が参りまして、一応更新されたもの、あるいは整理されたものがありまして、今年の三月三十一日が第二回目のこの三年間という有効期間が来ておるわけです。で、この文部省が一年間でよろしいという提案をした際に、各派修正の論議は、三年に修正したその趣旨なり論議につきましては、理事会で話し合いがされましたために、当時の委員会記録にはさだかに載っておりません。しかし、これもやはり当時の養成課長の書かれました書類を見ますというと、なるほど原則としては臨時免許状を持っておる者等を採用すべきではなくして、いわゆる正規の資格を取得しておる者を教員に採用することは望ましいということは何人も疑わないところです。しかし、各県の需給関係の必要上、どうしても学大あるいは大学出等の正規の有資格者がおるにもかかわらず、実際面において現場の教員の充足ができなかったというのが当時の状況であります。三十四年の文部省の統計によりましても、小学校一万数千、中学校にも数千のまだこういう身分の人がおるということは、免許状の有資格者を採用したいという精神にもかかわらず、各県の実情はまだそこまで到達していないということを物語るものであると思います。第二回目の更新期にきておるこれら臨時免許状を持って教壇に立っておる者が、これは必ずしも三月三十一日ということではありませんけれども、大体、戦後かなりの数が出るということは明らかであると思います。こういう者につきましても、やはり更新措置が行なわれるなり、あるいは何らかの身分安定の措置が行なわれることが必要ではないかと思います。特に臨時免許状を持っておる者が二級免許状をとるためには、免許法の規定によりまして、六年と四十五単位を必要とします。ところが免許法第九条によりますと、身分の規定ではありませんけれども、免許状の有効期間の規定ではありますけれども、一応三カ年間になっております。三カ年間で整理をされていくとすると、更新されない限りは、どんなに本人がまじめに二級免許状を取得して、いわゆる正規の資格を持つ教員になりたいと希望しても、免許法の規定から六年、四十五単位をとらなければならない。こういう点に更新されない者にとっては二級免が永久にとれないという立場にある、法の制約があるわけです。こういう点も十分配慮していただきまして、三月、四月、五月にかけて、多数、都道府県の需給関係においてどうしても臨免を採用しなければならなかったという実情と、これらの人々の不安な気持を十分そんたくしていただきまして、都道府県が第九条の第二項の規定をもって、免許法第五条の三項あるいはその他の条文適用して画一的に整理をするということは決して望ましいことではないと思います。こういう点につきまして、都道府県の実情、本人の希望あるいは熱心さ等を配慮されて、十分の行政指導をお願いいたしたいと思っておるのですが、この点につきまして大臣の御所見を承りたいと思います。
  101. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 従来からもこうした教員等の資格を上げていくために、今回の、お話のような場合と同じ場合もしばしばあったのでありまして、一面、もちろん既定の方針——法律規定に基づいて進んでいかなければならぬのでありまするけれども、実際問題としては必ずしもその通りには参っておらないのが、それは理想と実情と、一挙にこれを理想のところへ持っていくということは事実上困難であるという事情が存したわけであります。今回もそうしたことがあろうかと思います。ですから全般の需給関係あるいはまた個人の、その人の事情、それらの点も十分勘案いたしまして適当な指導をやって参りたいと思います。
  102. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ただいまの件に関してですが、この第九条の臨免の所有者の臨免の有効期間の三年間というのが、附則の7によりますと、「第九条第二項の規定にかかわらず、都道府県の教育委員会及び都道府県知事が協議して、」定めた場合には「有効期間を六年とすることができる。」という救済措置があるわけです。これは現在、全国的にどのくらいの県で、本法の三年の有効期間を委員会規則等で六年に延期しておるところがありましょうか。
  103. 村山松雄

    説明員(村山松雄君) お答え申し上げます。委員会規則で臨時免許状の有効期限三年を六年に延長しておりますものは、現在では北海道だけのように承知しております。過去におきまして和歌山県も六年にしたことがございますが、現在では三年にしておるという工合に聞いております。
  104. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 過去において一県、そうして現在はただ北海道だけ、こういう状況にあるということは、当時、先ほど申し上げましたように、三年の有効期間を設定するときに、各派の共同修正のもとに、現職にある者の身分安定、かりにその人たちが正規の免許状を持っていなくても、どうしても都道府県の需給関係から、僻地その他の事情等から、そういう人たちを現場に出てもらわなければならないという必要性に立って教壇に立っておる、そういう者を画一的に三年の有効期限が切れたら首を切るということは好ましくないという角度に立って、これが各派の共同修正で改正されたものであるということは当時の職員養成課長の記録にもある通りです。ところが実際には附則の第七項の六年に延期するというのが行なわれていないということのために、いろいろ個々人に対しては問題が起こってきております。そこで、私は先ほど申し上げました、有効期間は三カ年間に制限しておきながら、免許法によれば、六年の経験と四十五単位をとらなければ二級免許状がとれないという、何と申しますか、この立法上の矛盾についてお尋ねいたしたいと思います。なるほど単位は本人の努力次第によっては三カ年間であるいは四十五単位の取得が可能かと思います。しかし本人がどんなに熱心であり、一生懸命にがんばってみましても、この三カ年の有効期間という制約の中からは、経験年数に必要な六年というのにはどうしても到達しない、ここにやはり私は免許法上の無理があるのじゃないか、こういう気がいたしますが、この件に対しましての見解をお尋ねいたしたいと思います。
  105. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 御承知だと思いますが、臨時免許状は法律の趣旨から申しましても、真に臨時的なものであるというのが法律の趣旨でございまして、従って法律の真正面の趣旨から申しますと、それが二級にかわり、一級にかわるというような、特に上進の一つの段階というふうには法律的には考えられておらないのでございます。ただ現実といたしましては、そういった仮の免許状はなくなりましたが、臨時から二級へ移るということがあるわけでございますが、その場合に、御指摘のように猶予期間六年、四十五単位、これは臨免の有効期間が三カ年であるということに比べて短か過ぎるのじゃないかということでございますが、なぜこの有効期間を三年にしたのかと申しますと、大体、臨免の状況というものは、各府県それぞれいろいろ実情が違っておりますので、府県の当局者でなければよくわからない、また、臨免所有者の在職の状況も時々刻々相当変化するものでございます。こういったことから、まあ三年ぐらいでいいのじゃないか。改正前の旧法では、一年ごとに有効期間を見ておったんでございます。その一年では非常に酷であろうと申しますか、不安があろうからということで、改正法でこれを三年間に延長したものでございます。なるほど六年間に四十五単位をとるということは、まあ相当勉強しなければなりませんけれども、先ほど申しましたような臨時免許状の趣旨から申しまして、真に勉強した者に上進の機会を与えるという趣旨が本来のものでございます。文部省としても、趣旨はそうではございますが、なるべくこの期間の更新等も実情に応じて行なうように行政指導をして参りたいと思っております。
  106. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 やはりこの免許状の精神一つの中に、学校を出てそのまま、もらった免許状のままで一生を過ごすということでなくして、本人が必要な単位をとり、あるいは経験年数が加算されて上進していくということも、同時にこの免許法の精神の中にあると思うのです。だから臨免の場合の有効期間と二級免をとるという問題は、これは免許状の有効期間とは別に、本人の身分関係と関連してくる問題でありまして、必ずしもこのことから私が申し上げたようなことは成り立たないと思いますけれども、やはり精神としては、そういう点を十分配慮していただきたいと思います。特に文部省が三十四年の五月一日に出しました文部統計速報によりましても、二十九年に免許法が改正されたときに、第五条の第三項に、「臨時免許状は、普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り、」という定めがあるにもかかわらず、それから五年近い歳月がたっておるにもかかわらず、小学校で一万数千、中学校で数千の助教諭がおるというのが実態なのですね。これはやはり先ほど申し上げましたような、各県とも学大出だけでも就職できないような状況にありながら、なお新規採用が、つい最近お尋ねいたしますところによると、数百名は必ず助教諭の新規採用が行なわれております。こういう状況では、実際に必要な教員数に比べて、希望者、有資格者というのは数倍になっておると思うのです。こういう状況の中でも、なお助教諭を採用しなければならないという都道府県の実態を十分配慮していただきまして、仮免の有効期間である三カ年間の到来しておる、ここ当分数カ月の間には、該当者がかなり続出するであろうということを判断していただきまして、十二分の配慮をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  107. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 臨時免許状の有効期間の点につきましては、ただいまお話のございましたように、たしかに理想は臨時免許状というものが将来なくなることを理想といたしておりまするけれども、現実の状況としては、小学校におきましても中学校においてもかなりの数がございます。なお、これは私ども教員採用の実はあまりいい傾向とは思いませんけれども、なお新規にそういった助教諭が採用されておる府県というようなものもございます。そういったことも勘案をいたしまして、有効期限が切れたから直ちにこれが全部失効するのだというような措置をとるまい、まあ必要に応じて、ある程度この有効期間というものを考慮して慎重に措置するように各府県の行政当局を指導して参りたい、できるだけそういった形で、将来上進の気持を持っておられる方は、その期間にできるだけの勉強をして上級の免許状をもらうように、しかも、その期間に得られるように配慮してもらいたいと思います。
  108. 千葉千代世

    千葉千代世君 関連してですが、先ほど豊瀬委員からの質問にありました養護教諭の仮免の問題でございますけれども養護教諭の仮免の免許状を持ちながら、その都道府県の財政の事情で任用できない方があるわけです。養護婦として市町村支弁で勤めているわけです。その人が勉強しまして、今、大学局長のおっしゃったように、これは三年で十単位でございますが、とって、もう免許の申請を出すばかりになったわけです。ところが養護婦という期間を基礎年数に認めないわけです。そのために免状がおりないという方もございますので、そういう点について、養成課の方ではキャッチしていらっしゃるでしょうか、実情を。
  109. 村山松雄

    説明員(村山松雄君) 御指摘の養護教諭とほとんど、同等の資格を持ち、同等の職務に従事しておるが、定員その他の関係養護教諭として任用になっていない、いわゆる養護婦その他の名目で学校に勤務しておられる方というのは、全国で全部で三千数百名あるやに聞いております。そのうちの半数近くの方は、ある程度養護教諭の資格もお持ちだという工合に聞いております。その方がさらに研修して単位をとられて養護教諭になりたいという場合に、現行法の規定をそのまま読みますと、養護婦は養護教諭でない。従って教員でないから教員の経験年数としては勘定できない。経験年数の要件が満たされないから、単位をとっても養護教諭の免許状がとれないということは、まあ現実問題としてはあり得るわけでございます。これは法の解釈、運用としてはまことにやむを得ないことでありまして、まあ養成課の立場からすれば、その方は、初めから資格があれば養護教諭、養護助教諭なり何なりとして任用していただいて、その基礎資格から養護教諭に上進していただくのが筋だと考えますけれども、まあ現実は必ずしもそうなっていない。養護助教諭にもならない養護婦というような形で勤務しておられるということも御指摘の通りでありまして、これは法律をそのまま運用したのでは、どうにも始末がつかない困った問題の一つになっておりますが、まあ私どもといたしましては、法律の運用をします場合、一面にはもちろん厳正に適用していかなきゃならぬわけでありますけれども教員免許関係は、現実には各都道府県が主体になって運用されておりまして、その運用上、法律をそのまま適用することが個人的に、あるいは全体的に非常に権衡が失するような場合には、まあ法律の解釈として許され得る限りにおきまして、幅のある運用をすることも一面必要なんじゃないかと考えておりまして、現実にも各都道府県とよく協議いたしまして、そのように運用しておるつもりでございます。まあ養護婦の問題につきましても、その線でやっていきたいと思っております。
  110. 千葉千代世

    千葉千代世君 まあ現実に都道府県と協議してとおっしゃったのですが、これまでに都道府県に対して、何かそういうふうな行政的な指導をなさったことはございましょうか。
  111. 村山松雄

    説明員(村山松雄君) これは法律の解釈、適用の問題でございますので、法律にはこう書いてあるが、このように適用しろというような指導はなかなかやりにくいわけでございます。ただ都道府県からの照会、回答、これは文書上あるいは法律上の照会、回答等におきまして、先ほど申しましたように、法令の解釈、運用として許され得るできるだけの幅をもって、まあ不均衡の是正、実情適合という趣旨が実現できるようにやっておるつもりでございます。
  112. 千葉千代世

    千葉千代世君 趣旨はよくわかりましたが、現実には府県の事情によりまして、あるいは免許を担当している方の解釈によりまして不均衡があるように聞いているわけなんです。そういう面で具体的な例を持って出ましたらば、個々の問題についての行政指導については、文部省の方から何らかの協議がございましょうかしら、県に対して。
  113. 村山松雄

    説明員(村山松雄君) 免許法の適用、運営につきましては、都道府県の関係者の全国的な会議も持っておりまして、統一的な運営をはかっておりますし、それから個別的に責任者なり、あるいは事務担当者なりから照会があれば、実情に即するような回答、指示を与えております。
  114. 千葉千代世

    千葉千代世君 この養護教諭の問題については、今、衆議院で提案されております必置制の問題とからんで、かなり数的にも、それから資格の上にも改善していかなければならない面があると思うんです。そういう観点からも考えますし、また当面しては、この三月三十一日で、せっかく仮免の免状を持って、そして年数は十分ありながら、ただ本人の事情でなく、本人がなまけるとか、そういうような事情は一切なくて、本人は任用してもらいたいし、また任用していただける資格を持ちながら、その県の実情によってなかなか任用できない、こういうふうな事情でございますし、これは差し迫っておりますので、できるだけ個々の例については御調査いただいて、幅の広い運用をしていただくように、重ねてお願いいたしまして質問を終わります。
  115. 清澤俊英

    委員長清澤俊英君) ほかにありませんか。——ほかに御質疑もないようでありますから、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十二分散会    —————・—————