○
説明員(
猪名川治郎君)
政府委員でございませんが、御
説明申し上げさせていただきます。
ただいま御
指摘の、日本の
実情が外国
教科書を通じまして誤解されている点について、どういう工合に外務省として処理されておるかというのが御質問の中心だったと思います。で、まず誤解されておるものがどうして集まったというところから少し申し上げたいと思うのでございまするが、先ほど
野本委員の
お話の中に、日本の国というのは戦争を好む国民であるということが外国
教科書に出ておったというところから申し上げたいと思うのでございますが、戦後私
どもいわゆる日本の
実情というものを知らせますときに、大体まあ二つの柱がございまして、その
一つは新しい日本というものが、いわゆる平和憲法に基づく、もはや市国主義の国ではないということを力説する面が
一つございました。もう
一つは、新しい日本というのは民主国家である、議会
制度を中心とした民主国家である、これがまあ終戦直後からその後数年来、それからまた同時に、今でもまあ踏襲しておる二つの柱であると思
います。で、そういう意味におきまして、戦後国際社会に仲間入りをいたすようになりましてからこの二点は絶えず強調して参ったわけでございますが、ただいまの
お話は、日本の
実情というものが外国
教科書ではいろいろ、たとえば
説明の方におきましても、あるいは絵の方におきましても非常に明治時代の、あるいは大正初期の日本というものをあたかも描いておるというのが種々あったわけでございます。で、戦後の海外啓発を行なう上におきまして、日本というものがどういう工合に外国の
教科書に映っておるかということをまず
調査することから始めまして、われわれの方の在外公館を通じましてそれぞれの国の
教科書を集める工作をいたしたわけでございます。それに基づきまして、その結果を、国際
教育情報
センターと申しまする財団法人がございましてこの
センターにその
教科書を送りまして、その
センターではこれを日本語に翻訳し、いろいろ
専門の方が、地理学者、歴史学者が検討を加えたのであります。そうして、ただいまその検討の結果、大体十六カ国につきましてその検討の結果をまとめまして、そうして今後、今まで誤解されておるのを一掃するために積極的に、そういう日本ではないということをこれから行なうところになっております。
で、一般的にそれでは誤解をどういう工合に処理するのであるかという点につきましても御
説明させていただきますると、結局外国におきまして
教科書を作る場合には、日本に関する資料というものが不足しておるように見受けられる、そこで新しい日本についての資料をできるだけまあ
教科書を作る人、あるいは
教科書を出版する者、あるいは現実の
学校におきまして教えておる社会科の
先生に新しい資料がいくということが非常に望ましいわけであります。そういう意味におきまして私
どもの方といたしましては、基本的な資料というものを作るのが
一つと、それからこういう面について誤解があると思われるものにつきまして簡単な資料、まあこれはパンフレットというような本の体裁をなしておりませんけれ
ども、ここに若干現物を持って参りましたのですが、そういう簡単なものをなるべく広く配布するということ、それからまた、同時にもっと直接的、そういう一般的な啓発というものは絶えずやらなければならないのですが、もっと社会科
教科書の編さんに直接訴えるものがないかという点も
考えまして先般
一つの、まあアメリカについてでございますけれ
ども、社会科の
先生方の連絡する機関誌といいましょうか、そういったものがあるということも判明いたしましたので、できるだけそういう雑誌に日本の
実情を知らしていきたいと、こう思っております。ただ、申し上げたいことは、外国の
教科書を改訂する場合に、私
どもといたしまして非常に
注意を払わなければならないのは、何と申しましても外国
政府があまりに干渉がましいような
措置をとることは控えたいと思っておりますのは、やはりこの
教科書の問題は一国の文教政策に関するものが多いのでございます。従いまして、先ほど申し上げましたような
基礎的な資料を配布する、あるいはまた改訂工作につきましても、
政府の者が表面上あまり出ないで、先ほど申し上げました国際
教育情報
センター等の実際の分析検討によりましてそういうレベルでもって行ないたいどいうように思っております。