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1960-03-08 第34回国会 参議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月八日(火曜日)    午前十時四十二分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    理事            北畠 教真君            近藤 鶴代君            吉江 勝保君            加瀬  完君    委員            安部 清美君            野本 品吉君            横山 フク君            岡  三郎君            千葉千代世君            豊瀬 禎一君            相馬 助治君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 松田竹千代君   政府委員    文部政務次官  宮澤 喜一君    文部大臣官房長 天城  勲君    文部大臣官房会    計課長     安嶋  彌君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省社会教育    局長      齋藤  正君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (昭和三十五年度文教関係予算に関  する件)   ―――――――――――――
  2. 加瀬完

    理事加瀬完君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員長が引き続きまして一週間ほど病気静養を要することになりましたので、本日は私がかわりまして委員会を主宰いたします。  まず、委員長及び理事打合会の経過について御報告をいたします。三月三日の委員会散会後、また本日の理事会におきまして種々協議いたしました結果、本日は、昭和三十五年度文教関係予算につきまして政府当局から説明を聴取いたし、続いて、これに対しまして順次御質疑お願いをいたします。なお、その際、先日の委員会で各会派から述べられました御意見中、本予算関係のある問題につきましては、この機会に御質疑お願いをいたします。  また、次回三月十日の定例日は、主としてILO八十七号条約批准に関連をいたしまして、現職教員の専従問題につき調査を進めていくことに決定をいたしておりますので、あわせて御報告いたします。  以上報告通り取り運ぶことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加瀬完

    理事加瀬完君) 御異議ないと認めます。   ―――――――――――――
  4. 加瀬完

    理事加瀬完君) それでは昭和三十五年度文教関係予算を議題といたします。  まず、文部大臣から御説明を願います。
  5. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 昭和三十五年度文部省所管予算案につきまして、その概要重点施策として配いたしました諸点について御説明申し上げます。  昭和三十五年度文部省所管予算額は、一千九百四十七億八千九百十八万六千円でありまして、一般会計予算の一二%強を占めております。これは補正後の前年度予算に比較しますと百八十九億二千五百八十三万八千円の増額であり、その増額分内訳としては義務教育費国庫負担金八十八億円、国立学校運営費四十六億円、文教施設整備費二十億円等がおもなるものであります。  次に、明年度予算案において特に重点として取り上げた施策について申し上げます。  その第一は、義務教育改善充実であります。この点につきましては、前年度に引き続き教職員定数充足学校施設整備を推進することといたしております。  まず、教職員定数につきましては、児童生徒数自然増減に即応し、また、小学校にあっては一学級五十六入以上、中学校にあっては一学級五十四人以上のすし詰め教室を解消し、さらに、教職員適正配置をはかるため合計約五千九百人の増員を見込みました。このほか昇給人事院勧告実施等に要する経費を含め、義務教育費国庫負担金一千百十六億九千五百万円を計上いたしたのであります。  次に、学校施設につきましては、公立文教施設整備五カ年計画の第二年次として、小、中学校校舎増築危険校舎改築屋内運動場整備学校統合に伴う校舎の新増築等のため、八十六億八千六百万円を計上し、特に中学校生徒急増に対応する校舎整備重点を置いたのであります。  第二は、科学技術教育振興であります。諸外国に伍して学術文化の進展と産業の発達を期するためには、科学技術に関する教育研究拡充強化をはかることが、きわめて緊要であります。すでに、このことにつきましては鋭意努力を傾けて参ったのでありますが、三十五年度予算案におきましても、引き続き重点施策として配慮し、初等中等教育大学教育及び学術研究の各面にわたって所要経費増額計上をいたしております。  まず、科学技術教育基礎段階であります初等中等教育につきましては、理科教育センター及び産業教育設備更新に対する補助金新設中学校術家庭科設備整備高等学校工業課程拡充等理科教育及び産業教育関係補助金増額して、施設設備充実改善をはかっております。  次に、大学教育につきましては、科学技術者八千人養成計画最終年度国立学校分として理工系学生約千百人を増募することとし、そのために必要な学部学科新設、改組をはかりその完成を期したほか、教育研究質的向上をはかるため教官研究費増額施設設備充実改善等に努めております。その他科学研究費交付金民間学術団体補助についても予算増額をはかっております。  第三は、勤労青少年教育婦人教育及び体育振興普及であります。健全な青少年育成は、国家、社会形成の重要な基盤をなすものであり、学校教育及び社会教育の両面において深く考慮を拡うべき問題であります。  明年度予算におきましては、従来に引き続き、定時制高等学校施設設備整備を行なうほか、高等学校の走時制通信教育に従事する教職員に対して定時制通信教育手当を支給することとし、また通信教育テレビの利用をはかる等、勤労青少年教育振興をはかっております。  一方、社会教育の面におきましては、改正社会教育法の実をあげるため社会教育指導者養成社会教育関係団体助成公民館等施設設備整備等に要する経費増額計上するほか、青年学級青年の家、少年団体活動助成等に要する経費を引き続き計上しております。  また、婦人教育につきましては、家庭婦人教育活動に参加し、公民としての資質を高め、生活の合理化地域社会の発展、健全な青少年育成等に寄与することの重要性にかんがみ、これについての予算を大幅に増額して、婦人学級拡充婦人団体活動助成等に努めようとしているのであります。  次に体育は、国民の心身の健康を絆持増進する上において重要な意義を持つものでありますので、青少年のみならず、国民一般に普及奨励しなければならないものと考えております。そのため明年度におきましては、従来に引き続き青少年体育活動助成国民体育大会国立競技場運営等について必要な予算計上したほか、体育館、プール等国民体育施設整備充実をはかっております。  なお、本年ローマで開催予定の第十七回オリンピック大会選手団派遣及びオリンピック東京大会実施準備等についても所要経費計上しております。  第四は、私立学校教育充実振興であります。わが国教育における私立学校重要性については、多言を要しないところでありますが、明年度予算案におきましても、この点について格段の配意をいたしたのであります。まず、私立学校全般充実振興を期するため、私立学校振興会に、従来からの五十億円に加えてさらに三億円の政府出資を行ない、その資金運用の拡大をはかったほか、科学技術教育振興の一環として、私立学校理科特別助成補助金及び私立大学研究設備助成補助金を、前年度に比べ合計約四億円増額計上し、また、高等学校以下の学校についても、産業教育振興費補助金及び理科教育振興費補助金増額計上をはかっているのであります。  第五は、特殊教育僻地教育、準要保護児童対策等、恵まれない事情にある児童生徒教育振興であります。これらの分野における教育は、機会均等の趣旨に従い従来から強調されてきたところでありますが、三十五年度予算案におきましても、さらに正そうの充実をはかっております。すなわち特殊教育については、特殊学級養護学校増設並びに就学奨励費拡充をはかり、僻地教育については、僻地の小、中学校テレビ受像機を設置するための補助金新規計上し、準要保護児童生徒対策としては、学校給食費負担軽減をはかるため、準要保護児童生徒の率を従来の二%から四%に引き上げる等の措置を講じているのであります。  以上のほか、学校管理適正化をはかるため、教頭に対しても管理職手当を支給すること、新教育課程普及徹底をはかり、また教職員資質向上を期するため、現職教育を一そう徹底すること、その他国際文化の交流、文化財保存事業等についても所要経費計上いたしたのであります。  以上、文部省所管予算につきまして、その概要重点説明申し上げた次第であります。  なお、計数等の詳細につきましては、会計課長から補足して説明させます。  以上であります。
  6. 加瀬完

    理事加瀬完君) 次に、ただいまの大臣説明に関する補足説明を聴取いたします。
  7. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) お手元にお配りしてございます昭和三十五年度文部省予算事項別表に即しまして予算の概要を御説明申し上げます。  第一は、義務教育改善充実でございまして、その口は義務教育費国庫負担金でございます。まず、給与費でございますが、前年度額に比べまして八十七億八千二百万円余の増額になっておるわけでございますが、この前年度予算額は、第二次補正において追加計上されました三十四年度の追加補正額三十七億八千八百万円を含んでおります。そこで、説明の便宜上三十四年度の当初予算と比較して御説明を申し上げたいわけでありますが、三十四年度の当初予算と比較いたしますと、給与費は百二十五億七千百万円の増額になっております。備考に書いてございますように、その百二十五億の内容は、第一が児童生徒数自然増減に伴う教職員の数の増でございます。これは別に資料としてお配りしてありますものの一枚目の一番下の欄をごらんいただきたいと思います。明年度小学校児童数におきまして七十七万二千人の減がございます。これに伴ないまして、資料にございますように、左の内訳の学級減Aというところをごらんいただきますと、一万四千二百二十七名が七十七万二千人の小学校児童数の減に伴なう教員の減でございます。それから中学校生徒数におきまして七十一万三千人の増がございます。これに伴います教員の数の増が資料にございますように一万五千三百二十八人でございます。で、差し引き千百一人が自然増ということになるわけでございまして、それに伴う経費が四億三千九百万ということでございます。それから同じく資料をごらんいただきますと、学級編成というところがございまして、小学校のところに三千七百四十六人が計上になっております。これは小学校学級編成暫定標準、これは三十四年度におきましては五十八人でございましたが、これを五十六人にするために必要な増でございます。中学校につきましては、ただいま申し上げましたように、七十一万人余の生徒の増がございますので、学級規模定数化は見送っております。  次に、標準定数とございまして、Cとございますところに千七十四人という数字がございますが、これは御承知の標準法によ参る教職員定数の充足を見込んだわけでございまして、未充足率の四分の一を充足するということになっております。中学校につきましては、やはり生徒の急増がございますので、定数の充足は三十五年度は見送ったわけでございます。以上のような状況でございまして、標準法の実施による増といたしましては、四千八百二十人の増を見込んでおるわけでございます。合計、三十四年の五月一日の現員に対しまする増といたしましては、五千九百二十一名の増ということに相なるわけでございますが、ただ、三十四年の五月一日現在のこの現員は、三十四年の予算定数に比べまして、資料の一番下の右にございますように、二千七十六名のズレがございます。これを加えますと、三十五年度の予算定数は、三十四年度の予算定数に比べまして七千九百九十七人の増ということになるわけでございます。以上が定数関係の増減でございます。ただいま申し上げました通り、中学校につきましては学級規模適正化あるいは定数充足を見送ってございますが、すし詰め解消の五カ年計画の計画の全体につきましては変更はないのでございまして、五カ年以内には標準法完全実施をはかりたいということを考えておるわけでございます。ただ、三十五年度につきましては、そういった特殊な事情からそれを一時足踏みをするということでございます。  その次は、この資料の上から三行目の昇給による増でございまして、三%昇給原資を見込んでおります。その額は二十六億九千四百万円でございます。これは三十三年度の決算単価を基礎にしまして積み上げた計算をしておるわけでございます。次は、人事院勧告の実施でございますが、ただいま法案として御審議をいただいております勧告の実施に伴いまして、いわゆる中だるみの是正と夏期手当の〇・一月分の増額が行なわれるわけでございますが、それに伴う経費といたしまして、三十四億円余を予定しておるわけでございます。それからその次は、管理職手当の拡充でございまして、教頭に対して七%の管理職手当を支給するために必要な経費、それが三億一千三百万円になっております。次は、恩給費の増でございまして、これは支給人員の増等に伴いまして二億五千万円の増が予定されております。それから次は、僻地手当の改善でございますが、これは「等」と書いてございますのは、このほかに多学年学級担当手当というものが昨年の九月から制度的に認められまして、それに伴う部分をこれに含めておるからでございます。なお、金額的には、昨年の七月僻地の指定基準が新たに制定されたわけでございますが、この新しい僻地基準によって指定された級地の変動がかなりございますので、それに伴う必要な予算の積算をいたしておるわけでございます。それから既定予算規模の是正と申しますのは、これはやや技術的な表現の仕方でございますが、ただいま申し上げましたように、三十四年度の予算と、三十四年五月一日までの減員が二千名程度ずれておるわけでございますが、そういった関係の計数のズレをここで救って参ったわけでございます。次は、三十四年度の不足見込額の補てんでございますが、これは三十四年度のいわゆる清算分に相当するものでございまして、例年でございますと、負担金額の額が清算確定されました後、補正予算をもって措置するわけでございますが、本年度は特にその一部を本予算に計上して地方財政の負担の軽減をはかりたいというふうに考えるわけでございます。  次は、教材費でございますが、これは前年度に比べまして三千八百万円の増額になっておりますが、これは単価の安い小学校の児童が減りまして、単価の高い中学校の生徒がふえたことに伴う増でございまして単価につきましては前年通りでございます。  義務教育改善充実の第二は、公立文教施設の整備でございます。その一は、義務制諸学校の施設の整備でございまして、これも御承知の通り、公立文教施設整備五カ年計画の第二年次ということで全体の積算をいたしております。ただ、個々の事項につきましては、事柄の緩急にかんがみまして多少その提出を早めるなり、あるいはゆるめるなりの措置を講じているわけでございます。まず校舎でございますが、小学校につきましては、人口の都市集中、特に団地における住宅の建設等に対する社会増対策を考慮いたしまして、四億四千万円余を計上しておるわけでございます。それから次は、中学校生徒急増対策といたしまして、先ほど申し上げましたような七十一万人の生徒増に対応するために三十一億二千六百万円余を計上しておるのでございますが、これは前年度のこの関係の金額に比較いたしまして、約二十億円のの増に相なっております。それから次は、屋内運動場でございますが、これはほぼ前年同様の積算をいたしております。次は、二ページに参りまして、僻地集会室でございますが、これもほぼ前年度同様の積算をいたしております。次は、学校統合でございますが、これは従来の統合の継続事業のほか、新規に二万三千坪の学校統合の校舎の建築を予定をいたしております。次は、危険校舎の改築でございますが、これは中学校の校舎の緊急整備といったような関係もございまして、多少計画を繰り延べております。次は、特殊教育の建物の整備でございますが、これも後ほど申し上げますような特殊教育充足計画を考慮いたしまして、前年度に比べまして約二千五百万円の増額をいたしております。  以上が義務教育関係の施設の整備でございますが、構造比率、それから単価等は、これは前年通り据え置かれております。それからこの関係の全体計画につきましては、資料としてお配りしたものの三枚目にその全体的な計数を掲げてございますので、後ほどごらんいただきたいと思います。  それからもとに戻りまして、もとの資料の口でございますが、これは非義務制諸学校の施設整備でございます。そのうち幼稚園、定時制高等学校につきましては、前年と同額の予算を計上いたしております。高等学校危険建物の改築につきましては、前年度予算額より約二千万円程度予算額を増額い場にしております。その次の社会教育施設につきましては、予算総額三千八百万円でございまして、社会教育法の一部改正法等のこともございまして、予算額といたしましては前年度の二・五倍ということになっております。  その次は、公立文教災害復旧費でございまして、十二億円余を計上してございます。ここに前年度予算額十一億九千六百万円余の額が記載してございますが、これは第三次補正で入りました一億一千五百万円の額を含んでおりませんので、念のため申し上げておきたいと思います。  第二の大きな柱は、特殊教育の振興でございまして、その第一が公立養護学校教育費国庫負担金でございます。この積算の概要は、これは義務教育費国庫負担金と全く同じでございます。それで、来年度の養護学校の関係といたしましては、備考に書いてございますように、既設三十校のほか新設十一校を見込んでおります。内訳はそこに書いてございますように、肢体不自由児の学校が七校、精薄が三校、病弱虚弱が二校ということでございまして、これに伴う教職員の増は百九十一名でございます。それから教材費でございますが、これも義務教育の場合と同じように単価は据え置いておりますが、精神薄弱児が八百二十円、肢体不自由児が千二百八十円、身体虚弱児が七百円ということになっております。その二分の一を国庫で負担をするわけでございます。  その次は、養護学校等設置推進でございまして、まず第一は、講習会の開催に要する経費でございますが、これは前年度からあった費目でございます。その次の指導要領八十万七千円、これは新規でございまして、この養護学校につきましては、指導要領一般編につきまして特別なものを作って参りたいということでございます。その次は、その指導要領の編集に伴いまして養護学校教科書、教師用の指導書を新たに編集したいということでございます。その下に書いてございますように、精薄につきましては、これは通常の教科書が使用できかねますので、総合的なそういう教科書を作って参りたい。肢体不自由児病弱児につきましては、これは体育以外は通常のものが使えるわけでございますので、体育についてだけ特別なものを考えて参りたいということでございます。  その次は、養護学校及び特殊学級の設備の整備でございまして、まず、特殊学級の設備の整備でございますが、一般といたしまして二百五十学級、これは小学校百二十五学級、中学校百二十五学級を予定いたしております。職業三十一学級とございますのは、これは特殊学級精薄児に対して職業的な能力をつけるための設備でございまして、たとえば、なわをなう機械であるとか、あるいはコンクリート・ブロックを作る機械であるとか、そういった機械設備の整備に対する補助でございます。三ページに参りまして、一番上は養護学校の設備の補助でございまして、先ほど申し上げました新設の精薄養護学校二校、肢体不自由児養護学校の七校に対する設備の補助、その他既設分についても若干の補助を考慮いたしておりますが、この事項は新規でございます。次は、肢体不自由児学校のスクール・バスの補助でございますが、これは前年度三台の補助を四台にしたというところが違っております。  その次は、特殊教育学校への就学奨励でございますが、これにつきましては、小中学部につきまして新たに修学旅行費の補助を計上いたしております。高等部につきましては、寄宿舎雑費、寝具、日用品等の補助を新たに考えております。このことにつきましては、別に法案として御審議をいただくわけでございますが、従来、小中学校につきましては、御承知の通り修学旅行の補助があったわけでございますが、盲ろうの小中学校につきましてはそれがなかった。今回の措置によりまして、その間のアンバランスが解消するわけでございます。(5)は、養護学校教員養成でございまして、以上申し述べましたように、養護学校特殊学級のかなり大幅な増設が見込まれるわけでありますが、これに対応する教員の養成をはかるために、北海道学芸大学、東京学芸大学、京都学芸大学、広島大学、熊本大学の五大学に一年課程と半年課程の養護学校の教員の養成課程を設けたいということでございます。一年課程と申しますのは、これは一級免許状を出す課程、半年課程と申しますのは二級免許状を出す課程でございます。  その次の大きな柱は、第三の科学技術教育の振興でございます。その第一は、理科教育の設備の整備でございまして、その一は、理科教育振興法に基づきます補助金でございます。これは五億五千万円でございまして、前年度に比べまして約一割の五千万円の増ということになっております。それから次は、理科教育センター設置費補助金でございまして、五千百万円余で、全国五カ所を予定いたしております。この事項は新規でございましてこの理科教育センターと申しますのは、理科教員実験観察を中心とする再教育の機関というふうに考えております。  その次は、産業教育施設設備の負掛金でございまして大体、従来の方法で積算をいたしておるわけでございますが、特に例年と違っております点は、イの設備更新でございます。これは年来の懸案であったわけでございますが、本年度初めて新規計上されたわけでございまして、二十七年の四月現在における産業教育設備充実更新をするために必要な経費でございます。それからハの新設課程でございますが、これは、機械課程十課程、電気課程八課程、工業化学課程三課程の新設を予定いたしております。新設はこれだけでございますが、三十三年度、三十四年度に新設された課程の学年進行分がこのほかに計上されておるわけでございます。それからその次のページに参りまして四ページでございますが、上から四行目に中学校設備というのがございます。これは、例の中学校技術課程に対する設備の充足をはかるための補助金でございまして、二億九千百万円が計上されております。前年度一億三千万円でございましたので、二倍以上に増額されておるわけでございます。一校当たりの単価といたしましては三十万円を予定いたしております。  次は、在外研究員の派遣でございますが、これは前年通りでございます。  その次は、南極地域観測事業費でございますが、これは第五次観測と、ただいま越冬いたしております第四次越冬隊の十五人を収容するために要する経費でございます。  その次は、科学研究費交付金等でございますが、このうちもちろん一番大きいのは科学研究費交付金でございまして、十四億三千七百万円余になっております。これは前年度予算額に比較いたしますと、約二割の二億四千万円の増でございます。主としてふえましたところは機関研究のところでふえておるわけでございます。それから科学試験研究費補助でございますが、これは前年度に比べまして三千六百万円の増になっております。科学試験研究費と申しますのは、科学研究費交付金が主として基礎的な研究に対する交付金であるのに対しまして、この科学試験研究費補助金はやや応用的な面が加味されておるということでございます。  それからその次の(6)の民間学術研究団体振興でございますが、その第一は、民間学術研究機関に対する補助でございます。これは民間学術研究機関の助成に関する法律に基づく助成でございまして、ほぼ前年同様の額となっております。それからその次の日本学術振興会に対する補助でございますが、四千二百万円でございまして、前年度に比べまして二千二百万円の増になっております。これは流動研究費という制度あるいは奨励研究生という制度がございまして、この制度を拡充するために必要な増額でございます。  それから四の大きな柱は、私学の振興でございまして、その第一は、私立学校振興会に対する政府の出資でございます。私立学校振興会に対する政府出資は、債権出資を別にいたしまして、現金の出資といたしまして従来五十億円の出資を行なってきたわけでございますが、それをさらに三億円増額して五十三億円にするという関係の予算でございます。  それからその次の(2)は、私立大学の研究設備の助成でございますが、その一般設備のほかに、本年度から新たに特殊設備というのが備考として新規に入っております。一億五百万円がそれに相当するわけでございます。  それからその次の(3)は、私立大学理科特別助成でございまして、前年度三億九千万が六億五千五百万円と飛躍的な増額が行なわれております。ここに、一般理工系学部とございますのは、大体これは既設の理工系学部というふうに御了解いただきたいと思います。それは補助率が二分の一で、新設につましては三分の二の補助を考えておるわけでございます。  その次は私立学校の共済組合に対する補助でございます。前年度に比べまして、九百六十万円程度増額になっておりますが、これはいわば自然増でございます。人員の増加あるいは給与単価の上昇等に伴う増でございます。  その次は育英事業でございまして、これがまあ大きな柱の第五になっております。事務費につきましては一億八千二百万円余を計上いたしておりますが、滞納を整理するため、本年度、特に集金制度を設けることにいたしておりまして、その関係の十二名の増員を含んでおります。次は貸付金でございますが、これが約四十五億円になっております。これは前年度の貸付金の額に比べまして一億三千九百万円余の増額になっておるわけでございます。この増額分は、御承知の特別奨学生の増員に伴う部分でございます。御承知の通り特別奨学生は三十三年度から始まったわけでございまして、それが五千人、三十四年度が六千人、三十五年度が六千人、計一万七千人ということでございまして、三十五年度で高等学校の三年まで特別奨学生が行きわたったということになるわけでございます。  第六の柱は社会教育でございまして、その第一は青年学級の振興でございます。一般の青年学級は三千五百学級を対象にいたしまして補助をする。職場の青年学級に対しましては二百六十学級を対象にして補助をするということでございます。前年度に比べまして、額はほほ同様でございますが、補助対象が半減いたしております。これは零細補助になることを避けまして、重点的な補助をして参りたいという趣旨からでございます。青年学級の研究協議会等五百万円は、これは新規の事項でございまして、指導者の研究協議会等の開催に要する経費でございます。  それからその次の青年の家の整備費の補助でございますが、これは御承知の通り青少年の技術教育、職業教育のためのそういった実験、実習設備を補助して参るための経費でございます。  その次は婦人教育の振興でございまして、前年度に比べて飛躍的な増額になっております。婦人学級の委嘱数は、そこに書いてございますように千四百七学級を予定しておりまして、一学級四万円の助成を考えております。それから次は婦人教育の指導助成でございますが、中身はそこにございますように、婦人教育振興補助といたしまして、一県当たり五十七万六千円の補助金を予定いたしておりますが、これは婦人教育関係の調査、指導、それ九ら婦人学級生大会、そういった関係の経費を補助しようとするものでございます。(ロ)は、これは外国派遣でございまして新規の事業でございまして、婦人教育の指導的な地位にある方々を外国に派遣する際に、これに必要な経費を補助してやるということでございます。それから婦人教育研究集会、純潔教育等につきましては、格別考え方等において従来と相違する点はございません。  それからその次は、社会教育関係団体補助でございますが、これは御承知の通り社会教育法の一部改正等のこともございまして、かなりな額が増額になっております。定額補助でございまして、その備考に書いてございますようなそれぞれのワクを予定いたしております。  それからその次は、教育テレビ対策でございますが、テレビ番組の製作実施に三千六百万円を計上してございますが、これは従来からやっております「わたしたちの道徳」あるいは「あすへ開く窓」といった番組の製作費並びに電波料でございます。それからテレビ番組の考査及び影響力調査、これは前年と同額でありまして、事業の趣旨も変わっておりません。その次のテレビ受像機の設備補助でございますが、これは新規でございまして僻地の小中学校に対しましてテレビの受像機を設置する際に、その経費の二分の一を補助するという関係の経費でございます。  それから六番目の児童文化センターでございますが、これは例年通りの趣旨でございまして、格別変わった点はございません。  それから六ページへ参りまして公民館等の設備の補助でございますが、中央公民館三千六百七十六館に対しまして、映写機、録音機、テレビのうち、未整備品目を整備する際の経費の補助でございます。その次は、移動公民館二台と書いてございますのは、これは自動車でございます。また図書館六十七館、これは図書についての補助をしたいということでございます。博物館三十館は、これは標本、模型等のいわゆる博物館資料の整備費についての補助を行ないたいということでございます。  それから公民館等の施設費の補助は、これは公立文教施設のところで簡単に御説明申し上げております。  (9)の国立中央青年の家の整備でございますが、六千二百万円余を計上いたしております。前年に比べまして五千万円の減でございますが、これは前年度は御承知の通り初年度でございまして、特別に施設費等がかさんでおりましたので、その関係に伴う減でございます。それから第二キャンプの改修とございますのは、これは国立中央青年の家の近くに米軍の元軍事顧問団の宿舎施設がございましてこれを改修して青年の家の宿泊施設の拡充に充てたいという関係の予算でございます。  それからその次は、社会教育特別助成でございますが、これまた備考に書いてございますような事項に対しましてそれぞれ予算を計上いたしておるわけでございます。  それから第七の柱は体育でございまして、国民体育施設の整備といたしまして五千三百万円程度を計上いたしております。体育館、プール各十カ所でございますが、前年度予算は、これが各五カ所でございました。  その次は国民体育大会の補助でございますが、これは前年同額で、熊本県、新潟県、青森県における国民体育大会の開催に対する補助でございます。  その次は国立競技場の関係でございますが、前年に比べて若干の減になっておりますが、これまた施設費等の減に伴うものでございます。  それからその次の体育振興特別助成でございますが、これもその備考に書いてございますように、青少年スポーツ活動の助成、青少年野外活動の助成等に対する経費を予定いたしたわけでございます。  それから七ページに参りまして、オリンピック東京大会の実施の準備に必要な経費でございますが、その第一は組織委員会に対する補助でございまして、四千万円、これは新規になっております。その次は競技技術の向上でございますが、これは体育協会を通して支出されるわけでございますが、四千万円、これは大部分新規でございます。それからその次の国立競技場の拡充は、オリンピックを迎えます際、主競技場として現在の国立競技場を使うことを予定しておるわけであります。これを何と申しますか、拡充するための基本設計に要する経費百二十五万円を計上いたしております。それから日本体育協会に対する補助でございますが、これは前年に比べまして四百七十万円ばかりの増になっております。これはオリンピック関係の仕事が多くなるという関係を考慮しての増額でございます。  その次は、ローマオリンピック大会に対する選手団の派遣費の補助でございますが、定額補助でございまして、五千万円を予定いたしております。  その次は、第八といたしまして、国際文化の交流でございますが、その第一は、沖縄の教育に対する協力援助であります。そのイは、沖縄教員の内地派遣研究制度の実施でございますが、新規といたしまして十名のワクをふやしております。これは職業教育関係の教員の内地研究を考えておるわけでございます。手当の額も従来の約八千円程度のものを一万一千五百円と、約三千五百円程度増額をいたしております。それから国費沖縄留学生の招致でございますが、これはほぼ前年程度のものを考えております。その次は、指導主事の派遣でございますが、これは教育指導委員として文部省から沖縄に派遣されております指導主事の派遣に要する経費でございます。四人が新規で増員になっております。なお、従来は滞在費の一部を沖縄で負担しておりましたが、本年度からは全部日本政府で負担することとなっております。  その次は、国費外国人留学生の招致でございますが、備考に書いてあるようなことでございまして、新規に七十人の増員をはかっております。なお、その次に海外教育事情調査八百九十万とございますが、これは新規でございまして、東南アジアに対しまして留学生の受け入れのために二班の調査団を派遣するために要する経費でございます。  その次は、文化財保護委員会関係の経費でございます。第一は、文化財保存事業費等でございまして、まず、国立劇場につきましては、基本設計、それからその懸賞募集に要する経費を二千五百万円計上いたしております。その次は、文化財保存修理費補助でございまして、三億一千八百万円余でございますが、前年に比べまして約四千八百万円の増額でございますが、その中には災害関係の二千九百万円が含まれております。次は国有文化財建造物保存修理でございますが、これが七千九百万円になっております。それから文化財防災施設費の補助でございますが、これは防火施設、それから収蔵庫、標識、そういったものを設置するための補助でございます。その次は、無形文化財保存活用でありますが、これは無形文化財の伝承者の養成あるいはその技術の公開、そういった関係の経費でございます。  それからその次の十番目の柱は、準要保護対策でございまして、1の教科書費の補助、(2)の修学旅行費の補助、これは立て方において従来と全く変わっておりません。この額におきまして多少の増減がございますが、これは児童生徒数の増減に伴ういわば自然増減でございます。  (3)の保健医療費の補助でございますが、これは約千六百万円の増になっております。この増額の主たる理由は、従来のトラコーマの治療日数が二十五日でありましたのを五十日にした関係の増が主たるものでございます。  4の学校給食費の補助でございますが、これは準要保護の率を四%といたしております。  以上申し上げました教科書、修学旅行、保健につきましては準要保護の率が二%になっておりますが、給食につきましては特に四%といたしております。これは給食用の小麦のいわゆるグラントが三十五年度からなくなるわけでございまして、そのグラントのなくなることに伴う給食費の値上がりが百グラムについて九十二銭というふうに予定されております。そういうことをも考慮いたしまして、準要保護の率を給食についてだけ四%といたしたわけでございます。  それから十一は学校教育の充実等でございまして、現職教育資質向上、この上の三行は従来通りのものでございまして、下の二行、高等学校教育課定の改訂に伴う部分は、これはこの関係の作業が現在進んでおりますので、そのでき上がった後の趣旨徹底の講習会に必要な経費を計上したわけでございます。その次のページに参りまして、理科教員の実験講座、体育指導者の養成、学校長等の海外派遣、これはほぼ前年と同様の積算をいたしております。校長等の研修は、これは本年度新規でございまして、校長指導主事、そういった方々に対するやや長期にわたる研修を行ないたいという関係の経費でございます。その次は教育研究の助成でございまして、これは教科別の研究団体の研究調査活動の促進助成、そういった目的のための予算でございます。  その次は定時制通信教育の振興でございますが、まずその第一は、新たに定時制通信教育施設というものを創設いたしまして、公立学校においてその支給に要する経費の三分の一を国が補助するために必要な経費が一億七千万円でございます。この定時制通信教育手当のことにつきましては、別に法案として御審議をいただくわけでございますが、その定通は本法の七%というふうに考えておりますが、校長等につきまして三ないし五%と書いてございますのは、これは管理職手当との併給のことがございまして、定通手当の率を多少押えているわけでございます。それからその次は、定時制関係の設備補助でございますが、理科関係についてだけ前年度の二割増しといたしております。これは理科教育振興費の補助金と平氏を合わせておるわけでございます。その次の通信教育運営費の補助は、これは前年同額でございます。その次の放送テレビ利用でございますが、これは新規でございまして高等学校の通信教育にテレビを利用していきたい、その関係の電波料、それから番組の製作費でございます。  その次は学校給食でございまして、施設、設備の補助、これはほぼ従来通りの考え方で予算を積算いたしております。それから食糧管理特別会計べの繰り入れ十七億一千二百万円でございますが、これは前年度に比べまして一億四千二百万円の増になっております。これは小麦の消費量の増加に伴う増でございまして、繰り入れの、何と申しますか、額自体は百グラムについて一円でございまして、そこのところは前年と同じでございます。  その次は国立学校の運営費でございまして、まず、教官研究費につきましては二〇%の増額をはかっております。五十億円を約六十億円程度にいたしておるわけであります。それから設備充実費でございますが、これまた二割程度ふやしまして一億三千二百万円程度の増になっております。それから充実費も四千六百万円程度ふやしております。  それから建物新営学科新設に伴う設備費も一億六千万円程度の増額をいたしております。  それからその次は、学部学科の新設改組でございますが、新設の学部といたしましては二学部、京都大学の薬学部と、それから岡山大学の工学部とを予定いたしております。これまた法案として別途に御審議をいただくわけでございます。それから短大につきましては、北見工業短期大学ほか三短期大学の新設、学科は北海道大学の電子工学科等の十九学科の増設、それから短期大学の学科といたしましては久留米工業短期大学の電気科の増設、改組拡充といたしましては、東北大学の食糧化学科等の改組拡充をはかっております。この概要の詳細につきましては、資料としてお配りしたものに詳しく学部、学科の名称等が書いてございますので、これをごらんいただきたいと思います。  以上を通じまして、理工系の学生の定員が千百二十六人ふえるわけでございます。科学技術者八千人の養成計画というものがあったわけでございますが、三十五年度の千百二十六人の増員をもって、一応その八千人の目標が達成されるわけでございます。  それから次のページに参りまして、留学生課程でございますが、これは東京外国語大学と千葉大学に設けることにいたしまして、修業年限三年、日本語の課程が一年、それから一般教養の課程が二年というふうにいたしております。それから附属養護学校の新設二校でございますが、これは精神薄弱児の関係でございまして東京学芸大学と東京教育大学にいずれも一校ずつ新設したいということでございます。  これからその次は、国立文教施設の整備でございまして、科学技術教育の振興に伴うものが約二十一億円でございますが、これはただいま申し上げました理工系の学部、学科の新増設に伴うものが主でございます。それから上から四行目に米国余剰農産物処理法に基づく施設とございますのは、これはこの余剰農産物処理法に基づく積立円があるわけでございますが、そのうち、ここに書いてございます二億一千二百万円余を歳入に受け入れまして、ここで長崎大学と広島大学の病院、それから医学部の研究室の施設の整備をはかるという関係の経費でございます。その次に、特定財源による施設とございますが、これは東京学芸大学の豊島分校のあの施設を売却いたしまして、小金井に集合する、そういった関係の事項でございましてつまり特定な財源をもって裏づけられている国立文教施設の整備ということでございます。  それからその他でございますが、まず、同和教育といたしましては、初等中等教育関係といたしまして、従来からやっております同和教育の研究指定校、これをふやす、あるいは資料の刊行、指導事例集等を作成するという関係の経費百四十四万九千円を計上いたしました。それから社会教育同和対策関係の三百六十四万四千万、これは新規でございまして、市町村の社会教育同和活動の助成等に充てるわけでございます。  それからその次は学校安全会でございますが、これは事務費の補助でございまして、二番目にございます支部の設置千十三万五千円、これが新規でございます。  それからその他でございますが、人に伴う経費といたしまして、文部本省で若干の増員が行なわれております。オリンピックの準備ということで三名、それから公立学校共済運営、これは長期給付の実施が遠からず予定されておるわけでございますが、その準備の関係で四人、それから図書館職員養成所、これは教官一名、それから試験研究機関といたしましては、遺伝学研究所に人類遺伝学部を新設することに伴う増でございます。  それからちょっと比較増減のところに文部本省の六十三人といったような数がございますが、これはいわゆる常勤労務者の定員化に伴う増でございます。昨年度の当初定員と比較いたしておりますので、こういう数字が出てきたわけでございます。  以上御説明申し上げました通り、文部省予算の総額は千九百四十七億円余ということでございまして、前年度予算額に比べまして百八十九億円の増でございますが、当初予算に比べましては二百三十八億円の増になっております。  以上簡単でございましたが、文部省予算の概要の説明を終わります。
  8. 加瀬完

    理事加瀬完君) なお、本件に関しまして、文部大臣、政務次官、初等中等教育局長、官房長及び会計課長が出席いたしております。質疑のおありの方は順次御発言をお願いするわけでございますが、午後になりますと、文部大臣予算委員会関係で席をはずしますので、文部大臣に対する御質問をまず午前中にしていただいて、それから関係の方々に順次御発言をいただいたらよろしいのではないかと存じます。どうぞ御発言の方は、ただいま申し上げました方々もおりますが、文部大臣の都合もございますので、文部大臣に御発言の方は先にお願いをいたします。
  9. 岡三郎

    ○岡三郎君 これには直接関係はないのですが、文部大臣にこれは要望するということになると思うのですが、毎年、学年末の異動になるというと、市町村合併に伴って自治体の中の教員の異動が、暫定手当の関係で非常に工合が悪くなっておる。で、特に最近においては、従来、地方自治体で補てんをして均衡を保っておったような自治体が、これを打ち切るというふうな要素が出てきておる。一例をあげますというと、埼玉の川越市等においては、同じ自治体の中で五彩だけ旧市内と新市内においては差等がある。これを補てんをして均衡を保って、同一行政区画の中で異動を円滑にするということでやってきた。これは文部省もよく知っておる通りである。ところが最近においては、こういう傾向が漸次地方財政の問題と関連して打ち切られるということが出てきておる。それで、政府自体も当初は暫定手当の底上げ方式で解消していかなければならない。これは〇・二五ずつ二回やって五%底上げしただけで打ち切られてここ何年かきた、こういう状態の中で、これが一番影響を受けておるのは教育関係だと私は思う。地方公務員関係の中においても、市町村の中においても少々ありますが、一番問題点は、やはり教育関係、特に異動において相当これが困難を招来しておるわけですが、こういう点について、自治庁との関連の中で、文部省はどういう対策を進めておるか、この点をまず最初にお伺いしたいと思います。
  10. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御趣旨の点は私ども全く同感でございます。ただ、遺憾ながら現在のところ暫定手当についてはすでに凍結されておりますので、人事院といたしましても、これは法律上凍結の措置が講ぜられておりますので、なかなか事態は進展しないということでございます。実は私どもも御趣旨の点は同感でございますので、予算要求もいたしましたけれども、さらにこの点は、単に地方公務員だけの問題でなくて、国家公務員として同一市町村の手当を同一にすべきだ、こういう方向で話を進めないと解決できないのじゃなかろうか。今日までのところ、お話のように、暫定手当は一応政府の方の方針としては五%の分は全部底上げして、それを本俸に繰り入れる。そこで今まで一〇%のものが今度は五%になり、一五%のものが一〇%になり、二〇%のものが一五%になる、この三段階は一応維持しよう、こういう考え方でございまして、地域給を全廃するという考えにはまだ至っていないのでございます。
  11. 岡三郎

    ○岡三郎君 今、大臣は初中局長の答弁を聞いていていろいろと理解を深められたと思うのですが、この問題は、もう地域給というものは暫定手当になってずいぶん時日が経過してきている。当時凍結するに際して、やはりこれは底上げ方式で解消していくのだ、それが言明されてからずいぶん時日が経過して、一時は、だいぶん市町村合併に伴って、自治体の費用でこれを何とか補てんしよう、これが最近になってまた逆行してきたわけですね、ぼつぼつ。これはある意味では、自治庁の方で地方財政計画に対するいろいろな指導という面から、そういうような問題を起こしてきたとも言われておりますが、しかし同じ自治体の中で薄給に悩んでいる教職員にとっては五%という額は相当な額なんです。で、こういうふうな点で、あるいは一〇%のところもある、三段階に分かれているところもありますが、そういうふうな点について、これを解消するということが人事を円満に、円滑にやる一つの大きな問題になっているということは、これは隠されている大きな教育問題なんです。だから、これは同じ自治体の中で手当を均一にするということは、やはり根本的には底上げ方式しかできないが、文部省の方としては、できるだけそういう措置を――なかなか金を出さぬのに言い切れないかもわからぬが、何とか自治体において工面をして、そういう方法ができないものかという、こういう親心から、これに対して予算化することがむずかしいけれども、何とかそういう自治体の中において解消していく方途を考えつつ、これを国全体として、国家公務員を含めて解決していく方向に進まなければならぬと思うのです。ところが、今までくれていた金を打ち切るような自治体がかなり出てきた、こういうことになるというと、ますます地方においては円滑に人事異動ができない、こういうことを考えたときに、勤評だけで人事異動、人事異動と初中局は言っているが、もっと根本的な、こういうものを考え、ていかなければ私はならぬと思うのです。政治的に管理職手当は七%つける、ところがこういう問題についてはさらに熱意がないじゃないですか。だから今言ったように、どういうふうに予算要求してきたか、どこで切られたか、その切られた趣旨はどうなのか、その点をもう一ぺん一つ聞きたいと思うのです。
  12. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは予算の問題だけじゃないのです。根本的には先ほど私が申しましたように法律の問題なんです。現在のところ暫定手当は凍結されておる、こういうところに根本の原因があるわけであります。私どもは、せめて義務教育の先生ぐらいには、実は例外措置ができないものかということで大蔵省にも予算は要求いたしましたけれども、根本的な問題を解決せずにこの問題を処理するわけには参らぬ、こういうことで予算を承認されなかった。ですから、同一市町村内の地域給というものは同じ給与にしなければならぬ、私どもは根本的に地域給をどうするかという問題は第二の問題として、今のところ、政府は先ほど申しましたように三段階まではする、そして五%の分は底上げして、それは本俸に繰り入れる、この措置はすでに実施済みなんであります。そこで今後の問題として、地域給が凍結されておるので、これはこの法律を改正しない限りは、私どもとしては単に予算だけの問題で解決する問題とは考えておりません。
  13. 岡三郎

    ○岡三郎君 そういうふうな考え方だから、これはいつまでたってもだめなんです。一番被害者は義務教育の先生方なんです。この暫定手当の凍結が、われわれもしばしば言っている、何も文部省だけに特に迫ろうというわけじゃないけれども、やはり一番これに対して困っているのが義務教育ですよ。特に、国家公務員とか、自治体職員もあるけれども、自治体職員の中における先生方ですよ。それはそうですよ、政府が市町村合併を促進してきて、いやがるものまで無理に同一区域内に入れて、そしてその中において、お前はどこどこの市の先生だと言いながら、旧市内と待遇において違いが出てくるということになれば、新市内の者が旧市内に入りたがる、旧市内の者が出ていきたくないというようないろいろな事情が出てきて、実際に新市内の者は困っているわけだ。だからそういうふうな点で、これは今言ったような状態を何とか一歩抜け出ていくためには、やはり文教当局として、これが教育の刷新あるいは人事異動、こういう問題に直結しておる問題という角度の中で、単に手当だけでなくてそういう教育上の大きな障害をきたしておるという問題の中で、これを取り上げていってもらわなければならぬと思う。ところが自治庁に対して、あなたの方はどういうふうにこれは要請しているかといえば、自治庁には全然働きかけていないじゃありませんか。つまり自治体の方で今まで便法を講じて、そしてできるだけ均衡を保つように苦しい財源の中から金を出させる、こういうことをわれわれもやってきたし、自治体でも考えてやってきておるわけですよ。ところがそういうのが漸次今度は後退しつつある今、ここに私は新しい問題を出してきておるのですが、一宏進めなければならぬのを放置していたために後退してきて、漸次また打ち切る傾向が出てきている。ここに問題を投げかけておるわけですが、こういう点についてはどう考えますか。前進することが必要であるのに打ち切られる傾向がぼつぼつ出てきている。
  14. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは教員の問題だけではございませんで、ただ教員がお説のように確かに影響力が一番大きい、これは事実でございます。しかし今までの暫定手当あるいは地域給のやり方に根本的に問題があるのだ、ここを解決しない限りは、今お話のように、自治体が今までめんどうを見ておった、しかしそれが財政が苦しいから今度は落すのだというのも、これは少し私は自治体としてはお考えいただきたいと思う。しかし私どもはその前に、できるだけ関係各省でこれを協議いたしまして、国の方で、同一市町村は同一地域手当を支給すべきだ、こういう原則を確立すべく、人事院にも、公務員制度調査室にも、自治庁にも申し入れをしているわけであります。ただ、いまだにそれが解決しないことは私ども非常に遺憾に思っておりますけれども、それだから現存あるものを落とすという理由にも私はならぬと思います。この点は後退しないように、せっかく自治庁にも働きかけるようにいたしたいと思います。
  15. 岡三郎

    ○岡三郎君 これはこれ以上質疑をしませんが、最後に言っておきますが、これは毎年異動期にこの問題がクローズ・アップされてくる。陳情等もわれわれのところにくる。われわれもまことに済まぬという感じで、いつでも陳情者に対しては言いわけめいたことを言ってきているわけです。毎年々々これは何とかしなければならぬ、特に大都市にいる者は暫定手当の最高をもらっているから、間々すると、文部省もわれわれもうかうかと時日をすごしてしまう、そうしてまた毎年こういう時期になるというと、こういうことを言うということについては、ややわれわれも心苦しいものがあるわけでございます。だから、これは文部省だけではなくて、自治庁にも言い、われわれ国会当局も、従来地域給というものについて差等をつけてきて、終戦後の物価の相違というものからそういうものをつけてきたが、もう政府自体も戦後ではないといっている、政府自体も。そういう中において、戦後の遺物であるところの地域給というもの――物価によってこれは違いをつけたのですからね、だから今特段に、食糧とかそういう問題についても、きわだって言えば、交通費とか、住宅手当というような問題については、都市と農村は違いますよ。ところが物価の指数全体から言えば、戦後のような状態はないわけですよ、都市独特の違いがない。こういうふうな状態に復元してから、もうしばらくたっていて、なおこの問題が放置されているということは、政府も怠慢だし、国自体が地域給を設定してきてこれをこのまま放置しておくということも怠慢のそしりをまぬかれないと思う。その被害を受けているのが、現場の先生を中心にしたそういう人々。だから私は大臣お願いしたいのは、管理職手当というようなものについて政府が熱心になられる前に現実のこういう問題を何とか解消していくようにする、そうなれば、やはり文部大臣というものに対して、現場の先生方はなかなかよろしいと、こういうふうにすなおな気持に私はなると思う。ところが、そういうほしいものはさっぱりやってくれないで、ごちゃごちゃさせるようなことばかり金を出す。これは私は政治的に言っているのではなくして、自分もこういうことについてなまけているということは申しわけないと言っているとともに、文部省もやはり国の機関として、できるだけこれを早期に解決するために努力をするということにならなければ、教育の刷新の一つのポイントがはずれてしまうというふうに私は考える。これは大臣に一ぺん所見を聞いておいて、これでやめます。全国的にどこにでもあるわけですよ。
  16. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 岡委員のお話、ごもっともなことだと拝承いたしました。さりながら、なかなか同時にむずかしい問題であるとも思います。しかし、このままでほっておいていいともむろん考えませんので、これは自治庁初め、関係する方面にもよく相談をいたしまして、何とか解決の道を講じたい、検討いたしたい、かように考えます。
  17. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 この予算の中で、少し目新しい予算があるので大臣にお聞きしてみたいと思うのです。留学生の問題ですが、たとえば七ページの八、国際文化交流の(2)に、国費外国人留学生の招致等、こういうようなのが出ております。それから次に、十ページの一番上のところに、留学生課程、文系三十名、理系六十名、こういうようなのが出ておりまして、留学生に対する文部省の予算が目につくのでありますが、留学生の扱い方というのは、多分これは外務省がまず第一に諸外国からの留学生を受け入れることについての行政事務を扱うのだろうと思うのでありますが、そのあとで、留学生に関しましては、これは文部省が全面的に責任を持って、留学生の世話をやくと言いますか、あるいは教育を見ていくと言いますか、そういうようにやっておられるのじゃないかと思うのでありますが、大体留学生の問題が相当こういうようにクローズ・アップしてきましたので、文部大臣より、留学生の受け入れあるいは教育ということについてどういうような御所見を持っておられますか、それを最初にお伺いいたしてみたいと思います。
  18. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 留学生――日本の留学生も、年々外国へ行って研究するという日本からの外国行き留学生もふえる傾向にありますし、また、東南アジアを初め、欧米諸国からも留学生は漸次ふえつつあります。特に東南アジア方面の留学生の受け入れ態勢については、やや近年整備され、寄宿舎その他も整備されていっておるのでありまして、特に東南アジア方面の学生を招致して、それぞれの国立、私立の学校に入れ、またそのいろいろのあっせんをいたして、これらの人々の教育に当たるということは、文部省が主としてやって参っておるわけであります。特に重ねて申しまするけれども、この傾向、要望も非常に多いのでありまして、それに対しては、何らかの飛躍的な考えをもって一つ留学生を教育していかなくちゃならぬと思うのだが、なかなか、その主なる学生はやっぱり科学技術関係に多いので、それの受け入ればまだ十分に大量に入れるという設備が十分とは言えない、そういうことでありまするので、まず一面東南アジア方面からの非常に強い要望もあるのにこたえて、ただいままだはっきりとは具体化いたしておりませんけれども、大学生等については、現にそれぞれ配置するものは配置してやっておりますので、なお、その初等と言いますか、中堅的な技術者を養成するという必要性が認められて、先方諸国にもその要望が強いものがありまするので、これにこたえて一つの大きな初等過程、技術を身につけさせるために一つの大きな学園をこしらえたいという考えを今持って、その準備に取りかかっておるわけであります。
  19. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 だいぶ突き進んだお話があったのですが、まず最初に、外務省が受け入れて、そのあとは文部省が留学生については一応責任を持たれるというようになっておるわけですか。
  20. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) むろん外務省には関係することでありまするので、関係各省とも相談をしながらやっておりまするけれども、しかし、事文教の問題でありまするので、文部省が主としてこれに当たるという形でございます。
  21. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 そうしますと、今お話しの大学あるいは高等、中等というような各段階に沿った留学生が参ると、こういうようなまた数も多くなってくる、こういうときには、その留学生の行政事務を担当するというのは、文部省のどこでお扱いになるのですか。
  22. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ただいまのところでは、調査局の国際課でこれを処理しております。
  23. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 その留学生の数も、今お尋ねいたしますが、諸外国から来ている留学生の数はどのくらい来ておりましょうか。ごく概数でけっこうです。
  24. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 初め国費で古弁しております留学生につきましては、三十五年度七十名でございます。大体二十九年から二十名ないし三十名で始めた制度でございまして、大体今までのところ、三百名ほどの国費による外国人学生を招致いたしております。そのほか、私費で参っております留学生はそれぞれたくさんございますが、文部省で世話しておりますのは、国費外国人留学生の教育と生活、それから私費の学生につきましては、入学のあっせんその他をいたしております。
  25. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 その国費の留学生のほかに、今ちょっと話が出ておりましたが、私費の留学生もあり、あるいはもっと詳しくお聞きしたいのでありますが、あるいは賠償による留学生というようなものもあるんじゃないかと思いますが、こういうような多い留学生を、今の調査局の何とかいう課の係というのですか、そこで何人ぐらいの人がお世話になっておるんですか。
  26. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 現在、事務として所管いたしておりますのは、調査局の国際文化課でございますが、人数は正確には覚えておりませんが、十二、三名の方と思います。ただ、これは一種の窓口的な仕事をいたしておりまして、あと留学生が大学へ入りますれば、あるいは大学への入学あっせん等につきましては、大学局がこれに参加して一緒に仕事をいたしております、
  27. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 今まあ課の人数はおっしゃったのですが、扱っておる人ですね、留学生のこの仕事を担当しておる職員というのは、一体何人で留学生の問題――諸外国というのは、東南アジアばかりではない。そこの諸外国から日本の最高の学術を身につけたいというので日本に来ておる学生の世話をする。文部省が外務省のあとを引き継いで、そして文部大臣が責任を持ってこの留学生の日本における教育の担当を引き受けておられる。諸外国に対しましてのそういう大責任、それを文部省の中で、文部大臣の名において仕事をやっておられる実際の職員というものは、これは一体何人でこの仕事をやっておるんでしょうか。
  28. 天城勲

    政府委員(天城勲君) ちょっと補足させていただきますが、今、国際文化課でやっております仕事は、主として留学生の受け入れの窓口の仕事でございますが、実際に留学生の生活その他の世話をいたしておりますのは、財団法人で国際教育協会というのが所管法人としてございます。ここで約百名の留学生の宿舎と生活の世話をいたしておりますが、そこに約十五人ほど職員がおります。それから学校におきましては、それぞれ学校の教官が教育と生活の補導をいたすわけでございますが、それもありきたりでは工合が悪いということで、三十五年度予算におきまして留学生課程というものをはっきり作って、大学の全期の教育の指導を特別にいたそう、こう考えて、千葉と東京外国語大学課程を置く段階に至ったわけでございます。
  29. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 だんだん話を、具体的に受け入れておる団体あるいはその大学、そこにまで持っていこうと思って、聞いておるのですが、まあ大きい問題で、一つ最初に、文部大臣がこの留学生を文部省で引き受けてやらしておる。その文部省の中でこの仕事をどこでやっているんだろう。たぶん私は、今聞くまで文部大臣は、今言うたような課とか、係りは御存じなかったのではなかろうかと思うのでありまして文部大臣は、東南アジアとか、諸外国とかおっしゃっておるが、日本へ来ておる国の数は相当あるだろうと思うのです。そこから数百名の留学生が日本に来ておって、日本の最高の学術を身につけようとしておるのを、外務省から引き受けて文部省がやっておる。ところが、現状のようなもので、はたしてよいのであろうかどうか。一応こういうところだけ文部大臣がきょうは認識しておいていただいて、そのあとのことは相当こまかくなりますので、いずれ機会を見てまた質問をいたしたいと思います。
  30. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 欧米からのは直接に学校へ言うてくるのがある。いろいろ学校学校との連絡ということもありまして、つまり文部省でやっておるのは、一窓口で扱っておるというようなことがありますが、いろいろの面でチャネルが非常に多い。たとえば今度フルブライトの学生が相当数参ります。昨年も参りました。それはこちらにやはりフルブライト委員会がありまして、そういう方面でいろいろの世話をいたしておるわけであります。日本からアメリカへ行くフルブライト学生についても、むろんその委員会でやっていく。その他にいろいろの機関があって、チャネルが多い。そういうわけでありまして、文部省で扱っておるのは、主として国費をもってそうして特に招致した学生たちの扱いをやっておる。こういうことになっておるわけでございます。
  31. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 私は、あまり質問を長く続けるつもりではなかったんですが、文部大臣がだいぶお答えになりますので、そういうことも承知して、実はこの留学生の問題を文部省が再検討される要はないだろうか。国費だけは文部省が見るが、あとの留学生はそれぞれのチャネルで大学が個々に受け入れ、その大学は、やはり文教委員会、ここであるいは予算も見たり、あるいは私立大学にも補助をしたりして、決して文部省が無関係、ノータッチではいけないだろう。どういうような教育をしているか。またどういうような留学生の世話をしているか。この連中が日本留学を終わって帰るときに、日本で受けた留学に対して、どういう感想で日本を去っていくか。こういうことをお聞きしてみたいと思うんです。私も相当承知をいたしております。そういうことをあわせ考えまして、まあ今度の予算に留学生の問題が出てきた機会に、いま一度留学生の問題を文部省が一つ大きくお取り上げになって、一つこれを再検討してもらいたい。あるいはこれを扱っている者はどういう人がやっているのか、何人くらいでやっているのか。そういうところを一つ文部大臣も関心を持ってごらんをいただきたい。あらためて御質問を申す機会を私は保留いたしておきます。
  32. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないようですから、文部大臣に二、三の点、ことにそのうちで、今度の三十五年度予算審議の中で最も基本的になるような問題、この問題について資料要求かたがたお伺いしておきたい。  で、文部大臣が就任されてから、松田文政として幾つかの方針をあげられた。その中で、すし詰め学級の解消あるいは科学技術振興、こういうものは非常に大きく前面に押し出している政策だと思うんです。その中で私もお聞きしたいんですが、すし詰め学級の解消の問題、これは過去何年かかかって、今まで課題になった勤評の問題ともこれは裏表になっている。勤評では、法律にうたっているから実施しなければならぬということで一方的にやっております。しかし、すし詰め学級の問題も、これはそういうはっきりした法則がある。それが実現されていない。そういうようなことで、非常に現状は、とにかく大量生産の教育をやらざるを得ない。財政からの関係もそうなっていると思う。これを何年計画――今度の計画で今一部分解消ということをやられておりますが、非常にこれは努力は十分されているだろうと思いますが、財政的な裏づけの足りなさからいって、これはほんとうに根本的な解決にはならない。私はそういう点で、やはり一つは、一体どれくらいの学級児童数が望ましいのか、教員配置が望ましいのか、それから、これに対する教育のいろいろな設備、こういうものを裏づけすることが必要なのだ、こういうものを一体立てておられるのかどうか、これは現状とはまた別に、そういうものがあるのだったら示してもらいたい。  その次は、今とっておられるところの五カ年計画、こういうようなものについての全貌を示してもらいたい。  それから、ことしの予算審議する中で、やはり一番問題になってくるのは、すし詰め学級を解消するには非常にいい機会じゃないかと考えるのです。すし詰め学級を解消するには、教室を多く作るということ、もう一つは、教員を多くするということ、この二つの条件が、とりあえず必要になってぐると思う。ところが今年度は、小学校の子供が減っておる、中学校の方はふえておる、そういうような情勢の中で、教員配置を相当にやれる、十分にやることができる条件があるのではないかと思うのです。  もう一つの問題ですが、きょうあたりの新聞を見ますと、学芸大学生徒の就職率は非常に悪くなっている。一方ではすし詰め学級の解消をうたっていながら、一方ではどうも教員不足、こういう格好になっておる。何というか、これはやはり過剰生産恐慌という格好だ。教員をどんどん一方で作っておいて、就職できない、そういう連中が浪人しておる。学校はどうかというと、学校では非常に先生が足りなくて困っている。一学級教員の平均数も充足されていない、そこへ持ってきて、どうです、たとえば産休の女教員、この一つをとってみても、これは大へんなことです。ここに資料があるのだが、これ一つとってみたって全く充足されていないでしょう。だからこういう問題をほんとうに解決するにはいい機会じゃないかと私は思う。もっとも一方で、国の財政計画が、安保問題なんかと関連して、なかなかそうはいかない面が出てきておるから、これとは対決しなければならないのだけれども、しかし文部行政を守るのだ、ほんとうに民主的な教育を打ち立てるのだ、このためには、今非常にいい機会じゃないかと考えるわけです。三十五年度予算審議している中で、時期は少しおくれた感じがありますけれども、しかし来年の課題でもあり、この予算の中で十分にそういう問題を明らかにしておかなければ、やはり来年度予算要求によって、こういう問題を充足する一つのきっかけは作れないと思う、そういう点から私はお聞きしておるのでありますが、どういうような計画を今までとってこられたか、さらに基本的には、どういう計画を考えていられるか、さらに、現情勢の中で教員の過剰という問題、こういうような現象があるのに、一方では、職場では教員が不足しておる、こういう問題をどういうふうに今後調整するために努力していくのか、こういうものをひっくるめた、いわばすし詰め学級解消、これは日本の文教政策の最も基本的な一つの政策だということを私は多年考えております。いろいろ掲げられましたが、その中で、やはりこういう基本的な、じみな、しかもあとまでほんとうに残る、こういう建設的な文教政策を私は打ち立ててもらいたい、松田文政がここで一年くらい存在するわけですが、あるいはもっとこれは長く続くかわかりませんが、そういう中で大いに努力してもらいたい一番根本的な問題がここにあるのだと思う、そういう点について見解を述べていただきたい。
  33. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) すし詰め学級の解消、これは最重要な問題じゃないか、また今日は最もいい時機ではないか。前段の点については、私ども全く同感でありまして、従って、私は鋭意この五カ年計画の遂行に当たっては、大蔵当局とも、ほんとうに最後まで全力をあげて、既定計画を遂行するために努力して参ったのであります。もっとも、中学校の場合におきましては、従来通り足踏みの程度にとどまりましたけれども、小学校の方では、二名減らすということにもなりましたし、また設備の点につきましては、中学生の増に対して、予算でも三十一億何がしの予算を取って、その支出に充てるということもいたしておるわけでありまして、なるほど小学校においては生徒減がありますけれども、しかしまた社会増、大都市周辺における地方においては、その方面もまた増設していかなければならぬ、こういうような点もありまして、やや学校等についても、あるいは老朽校舎等の方面には、幾分そのしわ寄せはきたかと思いまするけれども、何分にも当初におきましては、あの伊勢湾台風などの災害がありましたし、そのしわ寄せもこれは必ずくるのではないかと思って心配いたしたのでありまするけれども、そのために鋭意努力をして私としてはすし詰め学級解消に全力をあげてやって参ったつもりでありまして、五カ年計画を完全に遂行するということについては、今なお自信をもって当たっておる次第であります。で、今度も教員につきましても約八千人の増を見ておるわけでありまして、これがお話のように非常に必要なことでありまするけれども、一気になかなかできないということは、あなたも御承知通りと思います。何分にも戦後、学校その他のものがすべて多く焼かれたところへ、なおかつ六三制の制度ができて、中学校を全国に新たに作っていかなければならぬというようなことがあったことを考えてみまするというと、まず日本の国民教育に対する熱意が、ここまで教育復興の風を見せたのであるということも考えるのでありまして、決して満足いたしておるわけではありませんけれども、まず、教育に対する施設の面等においては、相当の業績は上がってきておるのではないか、諸外国の方からみるならば、むしろ驚異の眼をもってさえ見ている、そういう事実もあるのであります。しかし、私はこの問題は最も重要な問題と心得ておりまするので、今後もせっかく努力をいたして参りたい、かように考えております。
  34. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、私はもっと準備をして、また資料をもらって、その上に立って立論をし、また質問したいと思うのです。ですから、ここではあまりこまいところに入りませんけれども、ここでぜひお願いしたいのは、今度の今立てている政府の計画、これはまあ一応今まで出したかもしれませんが、ここでまとめて、それから大体今までとられてきた措置と、今度の計画というか、それからもう一つ、やはりもっと理想的にやったらどうだという案を立てて持っていないと、これは私は進まないと思うのだ。現在のように、こうやくばりだけ何ぼやっておったって、永久にこれはだめだということは、ここ十五年間の、今、文相の説明がありましたように、教育復興の姿を見て、それにいささかタッチしてきた者として、そういう感を深くするわけです。やはり基本的な、科学的な根拠の上に立って、そうしてはっきりした立論をしていかなければ、ことに財政が文教の方に向いていくかというと、実は向いているということに、そういううたい文句になっているが、実際は社会保障などとともに第二義にされている、こういうことです。こういう中では、やはりそういう案は必要だ。それをまずもらいたいと思う。ほんとうに理想に近い案、そういうものを持っているかどうか。その次は、現状のプラン、これを要求して、これはまあ出していただけると思うのですが、とりあえずどうでしょうか、今の教員の配置の問題。それから今言った学芸大学生徒がここ数年にわたって放置されているのですね。就職率が非常に少ない。困っておる。これは私たち学芸大学なんかときどき行ってみることがありますけれども、非常に不安を醸成しているわけです。私たちの若いときを考えれば、これはとにかくそういう教員養成学校を出れば、就職難ということはなかった、何かにつけたんだが、ところが今ではまるで事情が違っているわけです。こういう問題に対してどういうふうに考えておられるか。それから、それと裏表になっていて、産休の――お産の先生たちの問題なんかというものは依然として解消されない。これは地方財政の裏づけがないからということになっているのですが、しかし一方では、国庫のこれに対するバツク・アップが非常に不十分だと、こういう二つの問題がからまって、現状においてせっかく認められている先生方の権利というものは守られていない。それが単に先生たちの権利だけじゃなくて、あらゆる面に教育に悪い影響を与えている。ですから、とにかく今の中で教員の問題、これについては文相はどう考えられるか、この点一つ明確にしておいてもらいたい。これはどうでしょう。
  35. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私といたしましては、まず、何と申しましても教育を第一義と心得ておるわけであります。従って、できる限り一つの理想的目標を掲げてそれに向かって海進して参りたいと、かように考えます。お話のように、教育大学の学生が漸滅しておるというお話でありまするが、何ゆえにそういう事態が起こっておるのか、これについても重要なことでありまするから、まだ、私としては十分にその根源をつまびらかにしておりませんけれども、これはよく一つ検討して参りたいと思う。
  36. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 先ほどの資料の点が第一でございます。基本的な計画を出せというお話がございましたけれども、この点についてはまだ文部省としては用意しておりません。と申しますのは、世界的な水準等も考えまして、私どもはできますれば四十人程度が理想でございますけれども、現在のところは五十人まで、これを五カ年で解消するという方向で進めておりますので、三十八年度までの計画につきましては資料がございますので、これはお手元に差し上げたいと思っていますが、昭和三十二年に実は十四万学級あった五十一人以上の学級が、現在は十万程度に減っておりますので、相当すし詰め学級の解消は効果があったと、かように考えます。今後の、三十八年度までの計画につきましては、後ほど資料をもって御説明したいと思います。  それから、学芸大学の――教員の問題でございますが、これは実は本年も、先ほど大臣がおっしやいましたように、八千人実は予算上は増員になっておりますが、実数においても六千人の増員になっておるわけであります。で、今後、三十八年度まではやはりある程度増員計画は保たれるわけであります。そうなりますと、従来の教員養成の数では多いのか少ないのかという問題が基本的にあるわけです。私どもとしては新陳代謝の率を考慮しながら教員養成計画を立てておるんですが、最近はなかなか先生方もいろいろな生活の関係等でおやめにならないという点で、新陳代謝の傾向が鈍っている、ここに一つ問題があるわけでございますが、私どもとしても、できるだけ養成したものは確実に就職のできるように、今、大学局とも十分連絡をとって、御期待に沿いたいと思っております。
  37. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないから簡単にしますが、基本的な計画がないというのだから、私実際がっかりしたのです。四十人と言われるけれども、四十人じゃやれないのです、三十人で、私が自分で体験しておるのだから。やはり三十人、行ってごらんなさい、やっておるところがある。こういうようなものを見なければ――これは文相も知っておると思う。四十人などということを目標に置いておるとすれば問題だと思う。それさえもない。これをやる努力をやってもらわなければならぬ。教育学者もいるし、それからそういう研究を文部省がむしろ打ち立てて、何人がいいのかというようなことは、今日、終戦後においても一つの大きな課題なんですよ、この問題は。そうでしょう。ほんとうに教育の徹底、それから民主教育を打ち立てるというのには多数ではできないのです。大量生産教育では絶対に民主教育はでき得ないのです。口先だけではやれないのです。組織そのものを変えなければならぬ。ここにこそ文教政策の基本的な問題があるのです。財政的な問題まで突っ込んで、どうしてもこの問題を解決するという努力なしに、どんなに口先でうまいことを言ったって、全くでたらめな、一つの宣伝にしか過ぎないと思う。私はその実態を見ておるのです。これはぜひやるという努力をしていただきたい。それからさっきの配置、これは今やっておる、これはいただきましょう。  その次に学生の問題ですが、とにかく作っておいて、文部省も責任があるだろうと思うのですが、この方向について年々やはり依然としてだんだん深まっていくという格好じゃ、私は非常にうまくないと思う。一方でどんどん先生が余っておるかというと、そういうものじゃない。先生は足りない。私はやはり一学級生徒数の問題、それから教員の配当率、この問題が明確になってくれば、これは今の教員養成では足りないはずです。ところが、そういう問題が根本的に解決されないから、今のような格好で基本的に進まないから、それに付随した問題にその影響がいっておるのです。そうしてまた、この必要なところにほんとうに人数が配置されておるかといえば、配置されていない。そのためにほんとうに女教員の人たちが産休の補助教員の切実なこれに対する要求を年々歳々やっておるけれども、ほとんど解決していない。こういう悲惨な状況があるわけです。これはやはり非常に私は文教政策としてはいびつだと思うのです。それで、こういう点はやはりもっと詳しく、具体的に例をあげて、時間をたっぷりもらって質問したいと思うのです。  それからもう一つ、これに関連して、ことしは減税をやっていないですね。大衆負担はどうかというと、大衆負担はどうもやはり多くなりそうですね。そうして教育予算を少しふやしたということを言っておりますけれども、ことしは減税もやらない財政計画を立てておいて、そうしてその中で、総体的に私はパーセンテージで見ていくと、文教予算そのものが一体、予算規模がふえた、そういうものとの関連と、今の減税をやらないというような関連との間で、はたしてふえているかということは疑問だと思います。そうしてそこに持ってきて、教育費の大衆負担ということになると、減税はやらない、さて教育費はもっと多くなっていく、こういう格好になると、教育機会均等というものはやはり根本的に破壊されると思うのです。こういう問題についても、これはやはり文政の基本的問題ですね、何といったって、この機会均等を与えるということを大きくうたってきたわけですから。そうすると、こういう問題についてどういうふうに考えておられるか、この点だけ伺って私の質問を終わります。
  38. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 私も岩間委員と同じように、教育のことに対してはあくまでも一つの理想を掲げて、それに向かって到達するというようにしていかなければならぬと思いますけれども、同時に、教育というものを全部分離して、それだけが特に一つの、国家の中で特別な理想境にいけるというものではないと私は思うのです。すべてやはり国家社会のことは、いろいろ重要な問題がともに進んでいかなければ、教育それ自体も、かけ離れて、一つ独立して理想境に向かっていくということはできないのじゃないか、また児童数の点につきましても、なるほどわが国は児童数が一学級多いことは先進国と比べて認められますけれども、これはわが国の人口の集中せられた地域の多いというようなところからきておる点が多い。たとえばイギリスや、あるいは特にソ連のごときところでは、一校一学級というようなところもきわめて多数にあるように聞いておりまするが、そういうこともあって、平均の数が児童数が少なくなっておるということにもなっておるのではなかろうかと考えるのでありまして、むろん五十名は四十名になり、四十名はさらに三十名、二十五名くらいがあるいは理想的であるかもしれません。しかし、そういう方向には向かっていかなければならぬと思いまするけれども、今直ちにそういうことが実行可能でないと思う。どうしても実現性のある考え方と同時に理想の方向に向かって進んでいくという考えでなければならぬと、かように考えておる次第であります。
  39. 吉江勝保

    ○吉江勝保君 ちょっと関連しまして。教員養成機関というか、教育大学あるいは学芸学部の卒業生が相当に就職に困っておるのに、一面、教員定数充足されないというような問題が今質問になっておりましたので、私も資料を作られます際に、現在の教育大学等でありますとか、あるいは大学の学芸学部のあるところの卒業生がどういう状況で就職をしておるか、これは全国の一律の卒業の総数、トータルで、何%就職した、こういう程度の資料でなしに、今少しく具体的に、どこの大学の卒業生はどうである、どこの大学の学卒学部の就職率はどうだといううに調べてもらい、そうしてその県の教員の需要がどいうようになっておるか、こういうところまで調べてもらいまして、そうして就職の悪い学芸学部がもしあってしかもその県で教員の採用を学芸学部以外の大学から多く採用をしておる、学芸学部の卒業生がかえって教員に採用されておらない。そういうところにもし何らかの原因があるというならば、これは、なぜその学芸学部の卒業生がさように採用されないのかというようなところまで説明していただけるような資料を出していただいたら納得がいくのじゃないか。これは全国的にトータルで何パーセントの就職率があったという程度でなしに、具体的に少し御調査を願いたい。こういうことを要求しておきます。
  40. 加瀬完

    理事加瀬完君) 本件に対する質疑はなお継続中でありますが、これをもって休憩といたしたいと思います。  なお、委員長からも、岩間委員、古江委員から要求のございました資料の御提出を文部省にお願いをいたします。  午後は一時五十分より再会いたします。  それでは休憩いたします。    午後零時四十四分休憩    ―――――・―――――    午後二時六分開会
  41. 加瀬完

    理事加瀬完君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  なお、文部大臣は、予算委員会の力に出席をいたしておりますので、さよう御承知願います。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  42. 千葉千代世

    千葉千代世君 今度のこの文教予算の中では、文部省の要求した予算の中でかなり削られたものが多い。しかし、その中で、婦人教育振興費は非常にたくさん取っていただいた。多いことはまことにけっこうですけれども、しかし、この運営について、あるいは費用の使い方について、非常に不安を持つものでございます。一つお伺いしたいのは、社会教育法に基づいて、この社会教育予算が組まれているのでしょうか。そんなことを一つ伺いたいんですが。
  43. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) もちろん、社会教育法に基づいてこの予算は組まれておるものと考えております。
  44. 千葉千代世

    千葉千代世君 ああ、そうですが。そうしますと、この中に婦人学級というのがございますが、社会教育法の中には、婦人学級というのがないわけなんですけれども、ないのに、この婦人学級というのにたくさんな費用を設けたという理由を、ちょっと聞かせていただきたい。青年学級というのはここに出ておりますけれども――とこにもないんですが。
  45. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 社会教育法の四十八条をごらんいただきますと、ここに社会教育の、何と申しますか、講座の名称が幾つか書いてございます。ここに、まあ特に婦人学級という言葉は見当たらないわけでございますけれども、たとえば、文化講座は、成人の一般的教養に関し開設する云々ということが書いてございます。婦人学級も、婦人を対象とした、そういった講座の一つであるというふうに考えることもできるかと思います。
  46. 千葉千代世

    千葉千代世君 文化講座の中の一つでございますか。
  47. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 実は、その社会教育法文化講座、それから、たとえば社会学級講座、いろいろ呼び名があるわけでございますけれども、この間に裁然とした区別は実はないのでございまして、たとえばこの四十八条の三項にございます社会学級講座でございますが、これは成人の一般的教養に関して開設するということになっておるわけでございまして、どれに婦人学級が該当するかというお尋ねでございますが、まあいずれにも該当するというふうにお考えいただいてけっこうかと思います。
  48. 千葉千代世

    千葉千代世君 そういたしますと、それなら、特に婦人学級と名をつける理由がないと思いますがね、いずれにも該当するものならば。
  49. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) それは特に婦人を対象とするものでございますから、婦人学級という名称を用いているわけでございまして、たとえば編みものでございまするならば、編みもの学級、そういう――何と申しますか、呼び名ももちろん許されるわけでございましてそういうふうに御了解いただきたいと思います。
  50. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、青年学級ということは、はっきり青年を対象としているから青年学級ということがうたわれているわけですね。そうすると、わざわざ青年学級とうたう必要もなくて、婦人学級と同じように、今の四十八条の三項ですか、三項にあるという理由ならば、それでいいわけなんですけれども、わざわざ婦人学級と出したからには、やはり社会教育法の中にないものを取り上げて、しかも膨大な予算を組むほど婦人の教育振興という面については、これはもろ手を上げて賛成なんですけれども、どうも理由づけが少し足りないように思うのですけれども。
  51. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) ただいま申し上げておりますように、社会教育の活動形態というのはいろいろあるわけでございまして、それの呼び名は、従いまして、その実態を見る面によりまして、たとえば青年を対象にするという面からは青年学級という呼び名もあるわけでございますし、あるいは開催の時期によりましては、たとえば夏期講座とか夏期学級とか、そういった呼び名等いろいろあるわけでございまして、そこのところはまあ便宜的に御了解いただいていいかと思います。
  52. 千葉千代世

    千葉千代世君 重ねて伺いますが、それじゃ四十八条の三項に該当すると、こういうわけでございますか。
  53. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 四十八条には、この第一項には、文化講座、専門講座、夏期講座、社会学級講座等の社会教育のための講座を開設するということが書いてあるわけでございますが、その中に特に文化講座あるいは社会学級講座につきましては、二項、三項にこういう定義があるわけでございますが、一項の講座の種類につきまして、例示的に二項、三項でこういう説明をいたしておるものと了解をいたしております。でございますから婦人学級がどれに該当するというようなことは申しかねるのでございまして四十八条の、要するに社会教育講座の一種だというふうに御了解いただきたいと思います。
  54. 千葉千代世

    千葉千代世君 私は、これは大へんにしつこく聞きますのは、ここの費用の出どころを調べていきますと、補助金とかいろいろな名目がございますが、これは婦人学級については千四百七学級、一学級四万円ずつでございますが、これは婦人学級庁費とあるのですけれども、この一学級四万円ずつを婦人学級に配るのか。それともそのお金は一銭も配らないで、文部省の方で持っておって、そうして文部省がこれを運営して、いわゆる国営婦人学級みたいな方向でやるのかどうかということなんです。
  55. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 婦人学級関係経費は、これは御指摘の通り補助金ではございません。社会教育助成費の、予算書をごらんいただきますと、婦人学級講師謝金、それから婦人学級庁費、二つから成り立っておるわけでございまして、これはいずれも本省費でございます。従いましてこの予算の執行の仕方は、これは私ども委嘱という言葉を使っておるのでございますが、経理上は支払人ということでございまして、本省費と全く同じ形の執行をするわけでございます。
  56. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますとこの中に社会教育費の中にはやはり公の支配に属しない団体で、社会教育に関する事業を行なうというものが前段にずっとあるわけです。社会教育関係で申しますというと、本省がその予算を握っておって、そうして本省がそれを計画し、行なう、こうなる。たとえば千葉県なら千葉県の婦人学級に対して四万円をやらなんでおって、そうして中央がそこでもってこれを経営すると、こういうわけですか。本省が握っておるとすればそうなるでしょう。
  57. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) ただいま申し上げました通り、この経費補助金ではございませんで、支払人という性質の経費でございます。従いましてこの婦人学級の何と申しますか事業の主体は国でございます。従いまして、これは町村に委嘱をしてやっていただく、こういう格好でございまして、町村その他広い意味で社会教育関係のそういう団体に対して補助をしてそうしてその団体が主体となってその事業をするという性質のものではないのでございます。
  58. 千葉千代世

    千葉千代世君 そういたしますと、この千四百七学級というものは、必ず開けるか開けないかということは、きまっていないわけでございますね。
  59. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 委任でございますから、もちろん相手方の何と申しますか、それを受諾することが前提になっておるわけでございまして、お引き受けにならなければ、これは委託ができない。委嘱ができないということでございます。でございますから、そういう際は、あるいは文部省で全く何と申しますか、直接的にそういう事業を開催する、行なうということも考え得るわけでございます。
  60. 千葉千代世

    千葉千代世君 予算でございますから、やはり昨年度の実績とか、今年度のまあ計画がきちっとあるわけなんでして、たとえば何県についてはどのくらいの費用とかということが、見積もりがあるんでございましょう。
  61. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 本年度三十五年度計画は、先ほど御説明いたしましたように千四百七学級で、一学級四万円でございますが、三十四年度は全国三百学級で、一学級一万円というふうに聞いております。
  62. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、具体的にはもし神奈川県なら神奈川県が、婦人学級について、まあ四学級なら四学級やりたい、こうします。そうすると、これは文部省が予算を握っておりますから、これを許可するかしないか、文部省がきめるわけなんですね。
  63. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) まあ、大体そういうことになろうかと思います。
  64. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、社会教育の本旨から言いますと、公に属しないということをよく言いますね、直接の支配に属しないというようなことを言われておりますと、大へんこのお話が矛盾してくるんじゃないでしょうか。
  65. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 憲法第八十九条の「公の支配に属しない」云々、これは団体に補助する場合のことでございまして、ただいま申し上げておりますように、本省費として予算を執行する場合には、御指摘のような問題は起こる余地はないかと思います。
  66. 千葉千代世

    千葉千代世君 それは、このほかにですね、予算を見ていきますと、補助金とかいろいろな名目もございますが、婦人教育振興費の中で、今の婦人学級庁費のほかに、文部省がお金を握っていて、直接に運営するというのは何と何の費用でしょうか。この名目、たくさんございますね。地区別婦人教育研究集会とか全国婦人教育研究集会とか、たくさんございますが、その中のどの項目とどの項目が文部省でお金を握っているのか。さっき課長さんは国営だということをおっしゃったわけです。国営の婦人学級が大体千四百七学級も全国で行なわれるということについては、非常にやはり問題があると思うのです。民主的に婦人が立ち上がっていくためには、運営については民主的に持っていかなければならない。こういう観点から、ここに問題点がかなりあるんじゃないか、こう考えますが。
  67. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 前半のお尋ねでございますが、文部省でいわゆる直営の事業が、この中にどれとどれがあるかというお尋ねでございますが、実は私ここに詳細な資料、その点までの詳細な資料を持ち合わしておりませんので、別にまた調べた上で御返事申し上げたいと思います。
  68. 千葉千代世

    千葉千代世君 この次までに。というのは、私この間山形に参りましたんです。そして婦人団体の方とお話し合いした中で、婦人たちがなるべくこれは小さい単位でこのお話し合いの機会を作ってそうしてみんなの意見をまとめて、また郡単位なら郡単位でお話をしようじゃないか。そういう会をお互いにまあ自主的に育てていこう。それでお金が少ない、足りないから、何でも県に百万円の青年婦人の事業負担金というものがあるから、それを少し下さいと言ったそうです。そうしたところが、これは教育委員会と一緒の会でなければ出せない。それから、まあ母親大会のような会には、出すのは好ましくない、けれども、よその県に出している実例からいったら、まあこれは文部省の方からなかなかやかましいことを言ってきているから、そうもできない。こうしてみるというと、せっかくたくさん組んだ予算というものが、ほんとうに婦人の資質向上とか、地位の向上のために十分な使い方をされていないのじゃないか、こう考えるわけです。そこで、三百六十六ページの文部省所管の中に婦人学級講師謝金ということがあるわけでございます。これが、前年度予算は二百四十八万でございますね。ことしは二千七百二十九万組んであるわけです。そうすると、今おっしゃったように、国営の婦人学級であれば、講師その他について非常な制限があるのじゃなかろうか、そういうふうに考えるわけなんですけれども、それは全然ございませんか。というのは、婦人学級や婦人会などでお仕事しまずときにでも、こちらの気に入った講師を頼まなければ、お金は出さない、謝礼金は出さないと言われているところがあるのです。そういう意味でお伺いするわけです。
  69. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 国営と申しましても、それは、事柄の性質が国営ということでございまして、委嘱いたしました婦人学級の運営の一々について文部省が指図をするというような運営の仕方はしていないと私は思っております。ただいま御指摘のような事実につきましては、直接の所管でもございませんのでお答えいたしかねますが、ただちょっとつけ加えて申し上げておきたいと思いますのは、先ほど申し上げました予算で一学級四万円ということを申し上げたのでありますが、これは婦人学級の謝金と、それから婦人学級の庁費合わせての経費でございます。それからもう一つ、従来の三百学級が千四百七学級にもふえたということは、これは確かに大幅な増加であることには間違いございませんが、婦人学級の実績は、約八万学級あるというふうに伺っております。でございますから、八万学級の、何と申しますか、自主的な国以外のものの手によって行なわれております八万学級婦人学級のほかに、千四百学級、国の経費で運営されるものがあるということでございます。全体の比率から申しますと、さほど大きなものでもないというふうに考えております。  それからもう一つ、文部省が委嘱いたします婦人学級は、これはいわばモデル的な意味で委嘱するわけでございまして、およそその婦人学級の事業全体を文部省の手によって行なう、そういう趣旨からこの予算計上されておるのではないということを申し上げておきます。
  70. 千葉千代世

    千葉千代世君 この前に文部大臣御出席のときに、やはり文教予算について質問した中で、婦人学級は今まで六万学級、三百万人がこれに参加している、こういうようなお話であったわけです。しかし、自主的になかなかお互いの意思を出し合えるような運営でないというようなことがかなりあるから、その点については、文部省の方も県の社会教育の方へよく連絡して、ほんとうに一人々々の意欲が盛られるような会にしてほしいという要望をしたら、そのときには、その通りだということをおっしゃったわけです。しかし、今これを見て参りますと、なかなかそういうふうな内容にはなっていないの下す。おそれ入りますけれども、次の機会までに、昨年使いました二百四十八万ですね、これは三月まで使うお金ですから、全部ではございませんけれども、今までにお払いになった講師謝礼の明細をちょっとお知らせ願いたいのですが。
  71. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 明細と申しますと、何のだれ兵衛という講師に対して、幾ら払ったかという……。
  72. 千葉千代世

    千葉千代世君 ええ、そうです。
  73. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) それは文部省かもしれませんが、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  74. 千葉千代世

    千葉千代世君 それはわかるはずだと思うのです。計画書を出して、文部省の方でこれこれの金をやるといって回してある、それがなければ出せないはずです。
  75. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 先ほど申し院げましたように、婦人学級の事業の一々についてまで、文部省が指図をするわけではございませんので、たとえば講師一人とか二人といったような、そういう抽象的な積算でもって出てきているのではないかと思います。具体的に何のだれ兵衛を講師にするから云々というような書類のとり方は、おそらくしていないのではないかと思いますが、実際につきましてよく調査をしていきたいと思います。
  76. 千葉千代世

    千葉千代世君 そういたしますと、各県で講師を頼む場合、たとえば婦人学級で講師を頼みたい――そうすると、みんながやはり特定の方ではなくて、あらゆる人の意見を聞いて、自分の判断の資料を多くしたい、こう言って婦人学級の人は集まります。そうすると、じゃあ講師はどういう方にしていただきたいという希望を出しますと、それはいけないといって削るわけです。そのいけない根拠は何かというと、教育委員会の許可がなければいけない、教育委員会の方は、文部省の許可がないからいけないと、こうなりますと、文部省の方では教育委員会に対して、一々講師まで具体的に口を出してはいないから、あとは県にまかしてある、こういうことです。そうすると、県が勝手にそういうことをやるわけですか。
  77. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) これは、委嘱の相手方は市町村及び府県でございますが、その学級開催につきましては、もちろん参加される婦人の方々の御意向等を尊重して、しかるべく講師を委嘱しておるはずでございまして、そこは、委嘱された市町村あるいは都道府県の教育委員会と、婦人学級に参加される婦人の方々のお話し合いによってきめてしかるべきものかと思いますが、おそらくそういうふうに行なわれておるものと考えております。
  78. 千葉千代世

    千葉千代世君 そういう運営でやるようにというのが、本来の社会教育の趣旨であるわけなので、もしそうでないところがございましたらば、やはり県の方に対しても十分な御連絡をなさって、ほんとうにこの金が有益に使われるようにするということでないと、予算ばかりたくさんもらったけれども、使うものが勝手にされてしまったのでは、婦人はいいダシになってしまって、婦人のためにしてやった、してやったというけれども、実際は国が意図した方針以外には全然だめだということになってしまう。やはり婦人がほんとうに自分たちの地位を向上していくためには、あらゆるものを吸収して、その中で判断をしていくという、その判断力を養うということが一番大事じゃないか、こういう意味で、拘束していくということは問題じゃないかと思う。  それから、県が勝手に、この団体はいけない、あの団体はいけないとかといって、補助金の性質についても、やはり非常に拘束しているうらみがある。そうしますというと、国営であって、今度はかつての愛国婦人会式なものになっていってしまったのでは、逆にこれは、婦人をめくらにしていくという仕事を何千万という金をかけてやっているわけで、非常な問題がございますので、特にその運営については御留意をいただきたいと思います。
  79. 宮澤喜一

    政府委員(宮澤喜一君) 先ほどから千葉委員の御質問を承っておりまして、お考えになっておられるその基本の問題、私はまことにごもっともだと思っております。この予算案が決定いたしましてから、世上で婦人教育振興についての予算が非常に大きいということで、それについてのとかくの批評があるわけであります。この費用をもって、社会教育法の一条、二条、三条に考えられておるようないわゆる広い意味での社会教育をするのでなくて、もっと別な政治目的のために金が使われるのではないかといったような、そういう危惧が、しばしばかなり公正な立場にあります人から、ジャーナリズムその他で表現されておるということに、私どももよく実は留意をいたしておるのであります。で、このたびの千四百学級というものは、前年度に比べますと非常に多くなりましたけれども、歴史を調べますと、終戦の直後には、婦人学級の活動というものは、実はかなり活発であったのであります。婦人学級という名前が当時すでにあったのでございますが、それが、その後に、これは占領軍とのいろいろなやりとりの結果――直接の結果でけありませんが、結果として、婦人学級というものの考え方が社会教育法に広言葉としては使われておらないわけであります。しかし、その後、当時ほどではありませんでしたが、今日まで婦人学級の活動というものは続いておる。このたびこういう予算を私ども要求をしまして、幸いにしてある程度要求がかなえられた。従って、この執行につきましては、いわばこれは新規のものではありませんけれども、国の支払い委任の予算としては、従来に比べて相当大きな、大幅な増額でございますので、よほど慎重にこの使い方を考えなければならないと思います。この時期になりますと、予算に盛られております各費目について、その実行計画がだんだんと立てられるのが通例でございますが、この婦人教育振興の費用の使い方につきましては、私ども特に所管の局長に申しまして、あまり急いで具体的な計画をスタートしないように、よほどこれから将来のことも考えて、幅の広い意味での社会教育法の精神に沿うように使っていこうではないかということを実は何度か申し合わせておりますので、御心配の向きは、私はまことにごもっともだと思いますから、そのように運営がなされますように、できるだけ注意をいたして参るつもりであります。
  80. 千葉千代世

    千葉千代世君 それで大体了承しましたけれども、やはり出先に参りますというと、せっかくこの予算を立てたそういう意図というものがくみ取れない場合が多いもので、その点を特に一つ御配意いただきたいと思います。  なお、この中で、婦人学級生大会であるとか、それから婦人団体幹部国内研究活動とか、こういうふうに、各都道府県十五人、外リーダー一人という予算が組んであるわけですが、この選考なんかにあたりましても、この予算が私どもの審議の最中で、国が通っていないわけでしょう。それなのに、県婦連の会長さんが、今度婦人会館を建てるのだ、それには予算がたくさんくるとか、一番お金を集めた者に、アメリカに五人行くのが、その中に入るように運動してやるとか、欧州に五人とか、なかなか行く機会がないからやつてやるとかいうことをもう特約しているのです。私、そんなばかなことはないでしょう、予算はこういうふうに組んだけれども、皆さんがこれでいいというふうに、みなの意見がまとまって、そうしてこういう運動をしている中で、それではこういう人に行っていただいたならば、日本の国内の婦人運動に大へん有益になるとか、こういうふうな立場から選ばれなければならないのに、県婦連の会長さんだから自由になるということでやられたのでは、非常に問題がどんどん深くなっていくのではないか。婦人学級生の大会にしても、地区地区で優等生が出てくるということになるわけですね。その優等生はどうかというと、婦人学級できめた生活合理化だと、生活の合理化の第一は冠婚葬祭を簡素にするのだと、それにはお嫁さんの着物を一人々々買わないで、みなで買って、公民館と共同して、これを借りていくと、こういうふうなことであるから、それについては、みなお金がないから、町からももらうし、皆も竹を切って売って、その金を出し合う、成績のいい者が婦人学級生の大会にも、九州からもただで行けるのだ、こういうふうにどんどん言われているわけです。ですから、私は、今のうちにはっきりと方針というものを出していただかないと、これは非常にお金のためにつられるような変な結果になったならば、意図が逆になるのじゃないかと、大へん何ですが、重ねて申し上げておきます。  それから、これに関連いたしまして青年費用ですけれども、先ほどの説明の中で、国立青年の家の宿泊の拡充をしたいと、近くの米軍将校の宿舎を買い入れたいと、こういうことがあったわけです。昨年九月に発足いたしました国立中央青年の家でございますか、私ども拝見さしていただいたわけでございますが、その拡充でございますね。それを拡充して、人数をたくさんふやしていくということはけっこうなんですが、この運営についても、やはり婦人学級と同じような心配が出されてきたわけです。というのは、やはり、国立青年の家を使うのにも、県の教育委員会の推薦した者とか、一応の使用基準があるわけです。青年たちがお互いにレクリエーションするためにそこへ集まっていこうじゃないかといって、いきなりは来られないわけです。私ちょうど昨年行ったときに係の方に伺ったのですが、「青年たちが見に来ましたか」、「来た」、「喜んでいたでしょう」と言うと、「喜んでいたどころか、このごろの青年は文句ばかり言うから、訓練し直さなければいけない」、「どんな訓練し直すのですか」と言ったら、「来る早々、スリッパが足りない、そんなやり方ではだめだ――国の費用で作るのに、いきなりそういう要求をするような青年では困る」と、私は聞き流しておったのです。こういう人は、まだ発足したばかりでよくわからぬからと、こう思っておったのです。ところが、青年の家を使用するのに、そういうような制約があるということを伺ったわけです。これは九月発足してから、この国立中央青年の家をどんな団体がお使いになっていたかということ、それからこういうふうに非常によかったという面、今度こうしなければまだこの点がまずいなあという面がおありになりましたならば、これは詳しくではございませんが、ごく概括でけっこうですから、その点を次回にお示しをいただきたいと思います。  今度違う問題ですが、もう一つで終わりますが、これは養護教諭の問題ですが、先ほど予算説明の中に、養護学校教員養成するために五大学養成所を設けると、ここで一年課程と半年課程とやっていくということがございましたが、ここで、養護学校教員ではなくて、養護教諭というのがございます。これは全国の養護教諭が一校一人必置というので、学校教育法の改正をずっともう長いこと出しておりますが、なかなかこれが成立しない。そういう中で、今全国で年度末を控えて人事異動が行なわれている。つまり、これは猷首が行なわれているという実情なんです。これは各県によって違いますけれども、その中で一番困っている問題――養護教員の算定基礎についてはこの前伺いましたので省略いたしますけれども、免許状の中の仮免所有者というものがございますね。その仮免所有者が、単位がいろいろな条件で足りないために、今度三月三十一日に切れてしまって、みな首になるという事態が起きたわけです。それで文部省の方へも再三担当者が交渉していたようでございますが、これはやはり法改正はできない。それではその間の暫定の処置についても考えられるかというと、なかなかできそうもないというので、非常に泣いているわけです。御承知のように、昭和二十九年に免許法が改正になって、仮免が廃止されてしまって、その暫定処置として、昭和三十五年の三月三十一日まで仮免の有効期限を認められたわけです。その間に単位をとって二級に切りかえられると、こういうわけです。ところが、ここに普通の一般の教諭と違って問題点がある。単位についてはちょっとややこしいわけなんです。それから講習についても、一般教員と同じ講習を受け、また違う単位もとらなければならぬと、こういう中で、もう一、二単位足りないままに期限が来てしまった。足りないというのは、本人がなまけて足りないのではなくて、ずっと山の方の学校におったものだから、いろいろな条件が悪い。もう一つは、養護婦なり、養護婦としておった期間は勘定に入れないわけなんです。そのために、年数は勤めておっても、基礎年数の中に入らないと、こういうことになってしまう。大へん制度の不合理の中で犠牲をこうむっている方が多いので、その人たちが全国で約五百人いるわけなんです。こういう点について、さっそく人事異動で首になってしまうというせつぱ詰まった状態なんですが、何か御処置を考えていただけないでしょうか、こういう点。
  81. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 免許法の問題なんで、実は私所管外のことでございますけれども、三十五年の三月三十一日までに措置が延びておったわけなんです。その期間に所定の免許状が取れなかったものは大へんお気の毒でございますけれどもやむを得ないと、こう思いますが、さらに御趣旨の点もございますので、実情を調査した上で検討さしていただきたいと思います。
  82. 千葉千代世

    千葉千代世君 これ大へん急ぐわけなんでございます。もう各県ではどんどんそういう人数をあげまして、そうして勧告が行なわれているという状態ですから、至急一つ御配慮いただきたい。  それから養成の機関でございますけれども、国立の養成機関というのが一つもないわけです。現在県でやっているところがかなりございます。この養成所の設置に対しましても少し積極的に手を打っていただきたい。でございませんと、一校一名必置ということを出しましても、現在の人数ではなかなか足りない。足りないのを理由に、養護教諭の数が足りないじゃないか、だから、二十八条の改正をしても人数が足りないから結局だめじゃないかと、こういうふうに言われてしまう。各県でも、現に東京なんかでも都議会にこの問題を出しまして、一つ養成所を東京で作りたいというふうにしたわけです。そしたら、やはり教員養成は国の責任なんだから、国でやってもらいたいと、こういうなすり合いになる。ですから、文部省の方としては、養成所の条件さえ整えば認可してもいいというようなことを聞いておったのですけれども、なかなか各県では積極的にこれがなされていない。こういうわけで学校教育法を改正したいという気持と、それから養成所を拡充したい気持と、現在いる者で優秀な技術を持ちながら一、二単位足りないために泣きの涙で職を去るというようなことのないように措置をとっていただきたいということを重ねて御考慮いただきたい。
  83. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 養成所の問題も、実は私の所管ではございませんので、まあ大学教育局とよく相談して養護教諭の養成に遺憾なきを期していきたい。現在のところ、今の定数基準法で参りますと、小学校は千五百人に一人、中学校は二千人に一人という基準をきめておりますが、まだ三千人ほど未充足になっておりますが、これは一ぺんに埋めるわけには参りませんので、大体今後四年間のうちに一〇〇%充足するようにいたしたいと思います。従って、お話のように、これから将来の問題を考えますと、養護教諭は非常に大事なものでございますから、私どもも定数については十分検討して参りたい。同時に、教諭養成につきましても御趣旨に沿うように、急速に養成ができるようにいたしたいと考えます。
  84. 岡三郎

    ○岡三郎君 二つ、三つ今の中で……。社会教育局長は来ていないのですね。
  85. 加瀬完

    理事加瀬完君) まだ来ませんな。
  86. 岡三郎

    ○岡三郎君 今千葉さんから婦人学級の問題から青年の家の問題もあったわけですが、この婦人学級の今の問題ですね、委嘱するということは具体的にどういうふうにやっていたのですか、今までは。今の話を聞くというと、一万円ずつ出してやっていたという話ですが、どういうふうにこの婦人学級を委嘱してやっていたのか。具体的に今までやってきたことを御報告いただいて、そうして今度四万円になるのですから、これをどういうふうに委嘱をしてやるのか、それを具体的にちょっと――まだこれから構想を立てるのかもわからぬが、予算要求をするときは大体の骨格があると思う、それをちょっとお知らせいただきたい。
  87. 宮澤喜一

    政府委員(宮澤喜一君) ただいまの点は、過去におけるいきさつを記録いたしました資料がございますので、次回にその資料を配付いたしますので、それにつきましてなおお尋ねをいただければと思います。
  88. 岡三郎

    ○岡三郎君 私これをよくしろうとなのでわからぬから聞いているのですが、それはその程度にして、次に婦人教育指導助成、こういう項目があって、婦人教育振興補助とその学級の委嘱という問題と関連してこれはどういうふうに今までやってきたんですか。会計課長さんですとこれは無理かな。何の意図もありません。私はただ教えてもらえばいい、どういうふうにやっていたのか。
  89. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) これは、先ほどちょっと申し上げましたように内容がいろいろあるようでございまして、一例を申しますと、婦人学級生大会というのがその内容の一つになっております。この婦人学級生大会は各府県ごとに行なわれておるようでございまして、一県に対しまして十六万円の二分の一補助といったような補助の仕方をしておるようであります。それからもう一つの内容は、婦人教育関係調査指導関係でございまして、これも各府県のこういった関係調査指導に要する事務費の二分の一補助ということで二十万円の二分の一の補助を従来やっておるようでございます。それから国内の研究活動の助成、これは各県ごとに行なわれておるわけでございます。これは婦人団体あるいは婦人教育の指導的な方々が国内を研修旅行をされる、そういった経費補助を考えておるわけでございます。
  90. 岡三郎

    ○岡三郎君 それからこの補助の項で、婦人関係団体に一千万円という補助金がありますね。これはやはりどういうふうに配ったか、これの資料は今までのものはあるはずですね。今後この補助していく基準がどうなっていくのか。
  91. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) 御承知通り、団体補助社会教育法の一部改正が行なわれましたそれに関連して入った補助金でございまして、大部分が何といいますか、新規事項になっております。前年度出しておりました補助金は国際芸術祭というのがこの中にございますが、それの一千万円と婦人団体の関係で百四十五万円出しておりました。合計一千百四十五万円が前年度の実績でございまして、その他はすべて新規ということでございます。従いましてこの団体補助を今後どういうふうに運用していくかということにつきましては、文部省におきましても現在検討中でございまして大蔵省との相談もまだできていない状況でございますので、詳細につきましてはまだ未決定の状態です。
  92. 岡三郎

    ○岡三郎君 またそれはあとでわかり次第……。  次にその下の、教育テレビ対策ですね。これでいろいろ御苦心なされておるのですが、教育テレビ対策というものが今後さらに強力に実施されていくわけですがね、やはり社会教育担当者がいないとまずいかな……。これは直接学校を対象にしたり、また社会教育を対象にしたりいろいろ方法があるわけです。これをどの程度調査しているか、影響力調査なんという問題で、ここに三百四十万円ばかり出ているんだが、番組の考査及び影響力の調査、いろいろな問題があります。そのほかに視聴覚教育というものがだいぶ盛んになってきて、テレビの施設を進めていくようなことがあるのでありますが、どの程度このテレビ教育というものの実態を把握して、これが実際の教育に利用されているのか、こういった問題についての調査なり、具体的な説明資料というようなものがありますか、文部省に。つまり、中央でいろいろな金をかけても、下の方では一般義務教育でも高等学校でも授業とずれて役に立たぬとか、あまり利用されておらぬとか、こういう社会教育でやっても他の番組にとられてほとんど有効に働いていないとか、いろいろな事柄をしろうとながら聞くわけですが、そうするというと、やはり的を射た施策になっているのかどうか。そのズレをどういうふうに修正して効果的にこれを教育に持っていくか。研究は非常に盛んですな。われわれが見ていても相当研究は盛んです。特に学校教育にこれを直接活用しようとする方向はそうだが、実際に行ってみるというと、何かちょいちょいとテレビを見せるだけのことで、なかなか思うようにいうていないと思うのですが、文部省としてこのテレビなり、そういったものを利用したいわゆる視聴覚教育についての現状の中で、いろいろ研究発表とか何とかなさるけれども、実際にどの程度施設がされ、それが活用され、それが番組との関連でうまくいっているかどうかといったことが、ちょっとこの前われわれが地方に行ったときにいろいろ言われたことがある。たとえばここに教育テレビ対策で、こういうふうに受像機の設備補助とかいろいろなことでやっておりますが、これがどの程度うまくいっているかどうかという問題、これは内藤さん、わかりますか――内藤さんではわからないだろうな。(笑声)
  93. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ここにテレビの調査がありますが、この調査は主としてテレビ教育がどういうふうに子供に影響を及ぼしてくるか、むしろテレビが教育面に及ぼす効果、こういう点をねらった調査だと思いますが、実は、実際、今度は学校でそれではどの程度活用されているか、こういう問題でございますが、これについてある程度の調べはできておりますけれども、今学校でテレビを使っているのは、大体一万台くらいは入っているはずでございます。この場合、御指摘のように授業時間とのズレがございまして、教室でテレビを活用しているのはごくまれだと思います。結局は教師がどういうような指導をしたらいいか、教師のための参考には非常になると思います。それからもう一つは、お母さんたちに新しい教育の方法なり内容についての御理解をいただく、こういう面には非常に役立っているように私どもも聞いているのでございます。ですから、直接授業に結びつけるということは、これは学校の時間割との関係で大へん困難である。しかしながら、教員資質向上あるいは父兄の新教育に対する理解を深める、こういう点については非常に効果があると私どもは考えております。
  94. 岡三郎

    ○岡三郎君 今言った、学校にこれから施設を増加をしていくと、やはりねらいは、授業というものにこれを合わせるということは、今のところは大して重点としていないのですか。
  95. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは私非常に困難だと思っております。
  96. 岡三郎

    ○岡三郎君 私が文教委員長のときに教育テレビの許可が問題になったことがある。それでNHKと日本教育テレビ、こういうふうに二つにおりたわけですね。で、実際私は放送番組ですか、そういう点から見るというと、NHKの方の教育番組というのは何かまだ充実はしておらぬような気がする。これは私の印象ですから間違っているかもしれませんが、相当受験講座みたいなこととかいろいろなことをやっておりますね。それから日本教育テレビの方は、まるで教育テレビだか何だかさっぱりわからない、娯楽専門といっても間違いなくてときどきちょっと教育の名に沿うような番組が少し入っているが、結局営業ということからいって思うようにいかないということになるかしらぬが、本来教育テレビというタイトルであれが認可されているということになるというと、これはやはりほかの放送網は別にしても、NHKの教育テレビとか日本教育テレビに対しては、やはり文部省がどうのこうのと一々強権発動をするわけにはいかないでしょうけれども、十分連絡をとって、そうして具体的に、これからテレビを各学校に入れて、そうしていろいろと施策充実していくというからには、それをもうちょっと効果的に有効的に発揮できるような協力方を頼んで、もう少し教育的な雰囲気ですか、あまりかたくなっても困るでしょうけれども、そういうふうなことを実現できないものかどうか。ちょっとコマーシャルに堕し過ぎて……。これはやっぱり一応スポンサーの方がそういうことになっているかしらぬけれども、そういうことを考えたことございませんか。内藤さんあたりどうですか。
  97. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 実はNHKにも日本教育テレビにも私ども参画をしているわけです。NHKの場合には番組審査会もございますし、教育の内容をどういうふうに組むか、教育番組の組み方の問題、内容の問題、これにつきましてもできるだけ文部省からも応援をいたしておるわけであります。  そこで、今御指摘の点でございますが、第二の方は、私どもは大体ラジオもテレビも学校用に十分活用されておる、こう思っております。それから日本教育テレビの方も実は発足後間もないのです、まだ一週年を迎えた程度でございまして、この点はまだ不十分でございますけれども、私どもも番組審査会には出ております。午前と午後にわたる番組はこれは全部教育ものでございます。夜の番組、これは教育番組とは私も言い切れない、むしろ娯楽番組が多いように思います。で、いわゆる学校番組につきましては、十分文部省とも連絡をとって、これが現場の方に活用されるように絶えず懇談をし、番組の改善について積極的に努力をいたしておるわけでございます。  それから、今の日本教育テレビにつきましては、本年は、この予算にもございますように三千七百万円ほど、これは小・中学校関係が中心でございますけれども、道徳教育社会教育番組を文部省がスポンサーになってやっている。これ以外に、通信教育で今単位を取れるようにいたしておりますので、通信教育に約千万円ほど、これは高等学校のものでございますけれども予算計上しておりまして、できるだけラジオを使って通信教育を効果的にしていきたい、こういうことでも十分NHK及び日本教育テレビと連絡をとって、普通の添削指導だけじゃなくて、テレビ、ラジオを活用して通信教育の効果を上げるように今せっかく努力しておるところでございます。
  98. 岡三郎

    ○岡三郎君 この問題についてはいろいろと、早々の間ですから、なかなか会社の方も営業ということを考えて、一足飛びにはなかなかいかぬし、あまりかたいこと言ってもいかぬと思いますけれども、ただやっぱりこれを充実していくということになれば、そこに一つ長期目標というか、一つの計画が立って、これが今言ったように山間僻地の方にも非常に役に立つのですから、そうなるというと、画一教育とか何とかいうことじゃなくて、やっぱり僻遠の地とかそういったところに文化がなかなかいかないから、そういった点で非常に効果的じゃないか。その面からいうと、何か直接要望にこたえていない点が非常に強く言われているので、この点は一つお願いしたいと思うのです。  それから、これは直接問題1まあ育英事業との関連もありますが、まあいろいろと優秀なる生徒に育英事業を進めていくと、いろいろな問題があるが、この予算と直接には関係がないかもわかりませんが、まあ受験時期になるというと、まあ内藤さんなんかも受験地獄解消についていろいろと書いておるが、現実の問題として義務教育の中における小学校から中学における受験の激しさが、特に最近大都市を中心にしてその周辺に異常な一つの状態を起こしている。これは異常という言葉が私は適切じゃないかと思う。それで、日曜日あたり子供に会うというと、みんなテストに行って、年がら年じゅうこれに追われている。こういうことで父兄の負担が相当増加していく。いろいろな面で問題を起こしているが、私もあるところで試験問題を見せてもらったら、とってもむずかしいんだね、実際問題として。それで、最近何か神戸の方で小学校長が集まったときに、この傾向というものが非常に強くなって、難問題だ……。で、義務教育の六年で教えるということ自体が混乱を招来しているじゃないか、つまり私立中学校へ進学するために、試験問題自体が、非常にこれは落とすための問題のような傾向になってきているということで、相当強く最近指摘されてきているじゃないかと思う。まあそういうふうな点で、それは私立の学校だからわれわれは関知しないというわけにも参らぬ、それは義務教育の範疇に入るわけですから、まあそういうふうな点から見て、問題を収集してそういうものに対して何らか処置をするということが現在必要な段階に来ているじゃないかというふうに考えますが、これは文部省の方としてそういうふうな検討をされたことがあるでしょうか。
  99. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御指摘の通り、このごろまあ進学教室とかいうようなものが義務教育の段階まで入ってきたことは、私ども決して好ましい現象とは思っておりません。特に、まあ最近の傾向は、高等学校の進学につきましては、大体九四、五%進学しているわけです。進学と申しますか、希望者の受験生の大体九四、五%は入学しておるという状況でございます。ですから、この場合には有名校に集中しておるというところに問題があるわけでございます。  それから最近の傾向は、小学校を終わって中学にいくとき、特にベビー・ブームで、ことしから中学校への数が激増いたしますので、この子たちが将来高等学校大学にいく場合に入学難になりゃせぬかという不安を持っておる親たちは、何とかして私立の中学校に入れてやりたいという点で、これは受験が、試験地獄は小学校の段階まで延びてしまうというのは、私ども大へん遺憾に思っておるところであります。ただ親ごさんとすれば、将来まあエスカレーター式に大学までいけるという安心感があるから、何とかしてこの際私立の中学に入れたいというお気持は、これもごもっともでございますけれども、ただそのために子供の教育が乱れたり、あるいはからだを損じてはこれは大へんでございますので、この点についても私どもは今いろいろと検討をしております。できるだけそういう小学校から中学校へ、あるいは中学校から高等学校へいくというような段階においては、何らかもう少し抜本的な方途が考えられるのではなかろうかということで今検討しているところであります。
  100. 岡三郎

    ○岡三郎君 特に義務制の中にこのなにが非常に強くなってきたということは、私はまあ特段指摘したいのですが、結局この義務制の中で、現状の教科課程いろいろなもので大体数字を示している。ところが、平常の状態で一生懸命に教えても答えられない問題が一ぱい出てきているということになるというと、学校教育に対する信頼といいますか、こういうものが根本的に失われて、学校で教わっただけじゃだめなんだということから、今度はテスト屋さんのお世話になったり、今度は小学生が塾へ通ったり、家庭教師という現象が非常に出てきているのじゃないか、こう思いますが、その中で結局どこへ行っても、大体その義務教育における教育課程というものがはっきりしているわけです。そういうふうなことの水準を抜いて、普通の六年の生徒が幾ら学校で一生懸命勉強しても答えがちょっとできない、そういうふうな問題を出すということになるというと、これは問題の出し方が、これは教育上狂っているわけだ、私はそう思う。ところが選抜だから、どういう問題出しても向こうは選ぶ権利があるからということで、いろいろなむずかしい問題を出して、難問題を出して、それの解答を要求するということを子供が強いられているわけですね。それについて、これだけはやはり文部省として問題を集めて、そうしてまあ小学校長あたりがだんだん騒いできているわけですが、騒いでいるというか、問題視してきているのでしょうが、小学校の校長さんたちが問題視する前に、やはり文部省の方で教科書の面だとか、そういったことを指導していく建前上、これを何とかして平常に復帰させなければならぬと私は思うわけです。だから、その点で、具体的に私は文部省を通して、ことし行なわれた主要なる私立の中学校の入学試験問題ですね、それを一つわれわれに集めてもらいたいと思うんです。これを文部省も必要だと思うんですよ。どんなものが義務教育の中においてテストされて、どういうふうにそれが採点されているのか。これは非常に大きな問題で、それがあれば、大体むちゃな試験、それは入学する者は有名校に集まるから、それはやまぬでしょうけれども、一応一つの平常状態というものが出てくるのじゃないかと思うんです。この各私立学校の入学試験問題を集めて、われわれに参考として配るだけの決意ございませんか。
  101. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) できるだけそうしたいと思います。ただ、全部の私立学校のを集めるというわけにはいきませんけれども……。
  102. 岡三郎

    ○岡三郎君 主要なる中学校でいいのだ。
  103. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) できるだけ御趣旨に沿いたいと思います。問題は、子供たちに試験が非常に精神的にも肉体的にも悪影響のあるだけでなくて、私どもが教育課程をきめましたこの教育課程が乱されては困る。なるべく試験によって教育課程が乱されることのないように、私ども抜本的にこの問題については真剣に取り組んで、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  104. 岡三郎

    ○岡三郎君 そこで、大臣も知っていると思うんですが、大体義務教育の中で五年生が六年をやっている、六年の本を。もう中学校一年になるというと、一年生が二年の本をやっている。大体このごろの教育はおくれているか知らぬけれども、一年ぐらい先のやつをやっていますね、大体現実に調べてみると。だから、その教科課程というものと、子供の成長というものと、いろいろな面を考えてみるというと、これは受験教育によって今の中学の教育のあり方が乱されているばかりではなくて、小学校が乱されてきているということははっきり言えると思うんですね。ですから、一つ今十分にやってもらうという、検討をしてもらえるというのですから、一つまず小学校から中学へ行くところの問題集を、まあ二十校ぐらい集めて下さいよ。うんと、といったって無理だから、さしあたってあまり日暮れて道遠しじゃなくて、できるだけ近々の間に二十校ぐらい集めてもらいたい。特に難問題を提出するといわれるようなところを、学校を、一つ集めて下さい。というのは、私はその問題を持ってこられたときに、頭をひねるような問題があった、実際問題として。これではどうも親もわからないですね、あれじゃ。これは教育上におけるところの大きな問題だと思うので、まあくどいようですが、一ついつごろまでにそれをくれますか、資料として。
  105. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) できるだけ早くいたします。
  106. 岡三郎

    ○岡三郎君 だから、できるだけ早くってそれはあんた、あした、あさってじゃそれは無理だと思うけれども、四月になってからじゃ、やはりこれはぴんとしないですからね。だから少なくとも、きょうは八日ですから……。
  107. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今月中に……。
  108. 岡三郎

    ○岡三郎君 今月中じゃだめだな。試験は全部終わっているんだから。だから、少なくとも一週間ぐらいおけば、大体もよりのところはとれるから、まさか福岡とか、あっちの九州とか北海道のを持ってこいと言ったって無理だから、できるだけこの周辺のでけっこうです。十五日ごろまでに一つお願いしたいと思います。むずかしいことはないです。
  109. 近藤鶴代

    ○近藤鶴代君 岡さんね、その主要学校といっても、主要学校の観点が違うとまた違うでしょう。だから先生は、こういうところと聞き及んでおられるうわさの学校の名前でも少しはっきり出されたら、早く資料が集まるんじゃないかしら。こういうところというところを。
  110. 岡三郎

    ○岡三郎君 大体向こうはわかっていますよ。
  111. 加瀬完

    理事加瀬完君) 来週の木曜日あたりどうですか、定例日に。
  112. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  113. 岡三郎

    ○岡三郎君 特に神戸の学校で、そういうふうに言われているから、神戸の周辺の灘中学ですか……。
  114. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 神戸まではちょっと今回はお許しいただきたいと思います。今回は東京都内の――つこの次の木曜日という指定がございますので、今回は東京都内のものに限っていただきたいと思います。
  115. 岡三郎

    ○岡三郎君 それから今言ったように、神戸のものも、これは今月一ぱい中に一つ集めるだけ集めて下さい。これは相当大きな問題になるのじゃないかと思います。むずかしい問題を出しているから。まあその程度にして、それから順次、これから中学から高等学校の問題等も、これから検討してみたいと思います。これはやはり何か指導しないと、これはやはり規制できないと思うのです、実際問題として。まあ、それだけお願いしておきます。
  116. 加瀬完

    理事加瀬完君) ほかに御質疑の方はございませんか。――質疑もありませんようですから、本日はこの程度とし、次回は明後十日午前十時より開会をいたします。  これにて散会いたします。    午後三時十三分散会