○
政府委員(安嶋彌君) お手元にお配りしてございます昭和三十五年度
文部省予算の
事項別表に即しまして予算の概要を御説明申し上げます。
第一は、
義務教育の
改善充実でございまして、その口は
義務教育費国庫負担金でございます。まず、
給与費でございますが、前年度額に比べまして八十七億八千二百万円余の増額になっておるわけでございますが、この前年度
予算額は、第二次補正において追加計上されました三十四年度の
追加補正額三十七億八千八百万円を含んでおります。そこで、説明の便宜上三十四年度の当初予算と比較して御説明を申し上げたいわけでありますが、三十四年度の当初予算と比較いたしますと、
給与費は百二十五億七千百万円の増額になっております。備考に書いてございますように、その百二十五億の内容は、第一が
児童生徒数の
自然増減に伴う
教職員の数の増でございます。これは別に資料としてお配りしてありますものの一枚目の一番下の欄をごらんいただきたいと思います。
明年度は
小学校の
児童数におきまして七十七万二千人の減がございます。これに伴ないまして、資料にございますように、左の内訳の
学級減Aというところをごらんいただきますと、一万四千二百二十七名が七十七万二千人の
小学校の
児童数の減に伴なう教員の減でございます。それから
中学校の
生徒数におきまして七十一万三千人の増がございます。これに伴います教員の数の増が資料にございますように一万五千三百二十八人でございます。で、差し引き千百一人が
自然増ということになるわけでございまして、それに伴う経費が四億三千九百万ということでございます。それから同じく資料をごらんいただきますと、
学級編成というところがございまして、
小学校のところに三千七百四十六人が計上になっております。これは
小学校の
学級編成の
暫定標準、これは三十四年度におきましては五十八人でございましたが、これを五十六人にするために必要な増でございます。
中学校につきましては、ただいま申し上げましたように、七十一万人余の生徒の増がございますので、
学級規模の
定数化は見送っております。
次に、
標準定数とございまして、Cとございますところに千七十四人という数字がございますが、これは御承知の
標準法によ参る
教職員定数の充足を見込んだわけでございまして、未
充足率の四分の一を充足するということになっております。
中学校につきましては、やはり生徒の急増がございますので、定数の充足は三十五年度は見送ったわけでございます。以上のような状況でございまして、
標準法の実施による増といたしましては、四千八百二十人の増を見込んでおるわけでございます。合計、三十四年の五月一日の現員に対しまする増といたしましては、五千九百二十一名の増ということに相なるわけでございますが、ただ、三十四年の五月一日現在のこの現員は、三十四年の
予算定数に比べまして、資料の一番下の右にございますように、二千七十六名のズレがございます。これを加えますと、三十五年度の
予算定数は、三十四年度の
予算定数に比べまして七千九百九十七人の増ということになるわけでございます。以上が
定数関係の増減でございます。ただいま申し上げました通り、
中学校につきましては
学級規模の
適正化あるいは
定数充足を見送ってございますが、
すし詰め解消の五カ年計画の計画の全体につきましては変更はないのでございまして、五カ年以内には
標準法の
完全実施をはかりたいということを考えておるわけでございます。ただ、三十五年度につきましては、そういった特殊な事情からそれを一時足踏みをするということでございます。
その次は、この資料の上から三行目の昇給による増でございまして、三%
昇給原資を見込んでおります。その額は二十六億九千四百万円でございます。これは三十三年度の
決算単価を基礎にしまして積み上げた計算をしておるわけでございます。次は、
人事院勧告の実施でございますが、ただいま法案として御審議をいただいております勧告の実施に伴いまして、いわゆる中だるみの是正と
夏期手当の〇・一月分の増額が行なわれるわけでございますが、それに伴う経費といたしまして、三十四億円余を予定しておるわけでございます。それからその次は、
管理職手当の拡充でございまして、教頭に対して七%の
管理職手当を支給するために必要な経費、それが三億一千三百万円になっております。次は、
恩給費の増でございまして、これは
支給人員の増等に伴いまして二億五千万円の増が予定されております。それから次は、
僻地手当の改善でございますが、これは「等」と書いてございますのは、このほかに多
学年学級担当手当というものが昨年の九月から制度的に認められまして、それに伴う部分をこれに含めておるからでございます。なお、金額的には、昨年の七月僻地の
指定基準が新たに制定されたわけでございますが、この新しい
僻地基準によって指定された級地の変動がかなりございますので、それに伴う必要な予算の積算をいたしておるわけでございます。それから
既定予算規模の是正と申しますのは、これはやや技術的な表現の仕方でございますが、ただいま申し上げましたように、三十四年度の予算と、三十四年五月一日までの減員が二千名程度ずれておるわけでございますが、そういった関係の計数のズレをここで救って参ったわけでございます。次は、三十四年度の
不足見込額の補てんでございますが、これは三十四年度のいわゆる
清算分に相当するものでございまして、例年でございますと、
負担金額の額が清算確定されました後、
補正予算をもって措置するわけでございますが、本年度は特にその一部を本予算に計上して
地方財政の負担の軽減をはかりたいというふうに考えるわけでございます。
次は、
教材費でございますが、これは前年度に比べまして三千八百万円の増額になっておりますが、これは単価の安い
小学校の児童が減りまして、単価の高い
中学校の生徒がふえたことに伴う増でございまして単価につきましては前年通りでございます。
義務教育の
改善充実の第二は、
公立文教施設の整備でございます。その一は、
義務制諸学校の施設の整備でございまして、これも御承知の通り、
公立文教施設整備五カ年計画の第二年次ということで全体の積算をいたしております。ただ、個々の事項につきましては、事柄の緩急にかんがみまして多少その提出を早めるなり、あるいはゆるめるなりの措置を講じているわけでございます。まず校舎でございますが、
小学校につきましては、人口の
都市集中、特に団地における住宅の
建設等に対する
社会増対策を考慮いたしまして、四億四千万円余を計上しておるわけでございます。それから次は、
中学校の
生徒急増対策といたしまして、先ほど申し上げましたような七十一万人の
生徒増に対応するために三十一億二千六百万円余を計上しておるのでございますが、これは前年度のこの関係の金額に比較いたしまして、約二十億円のの増に相なっております。それから次は、
屋内運動場でございますが、これはほぼ前年同様の積算をいたしております。次は、二ページに参りまして、
僻地集会室でございますが、これもほぼ前年度同様の積算をいたしております。次は、
学校統合でございますが、これは従来の統合の
継続事業のほか、新規に二万三千坪の
学校統合の校舎の建築を予定をいたしております。次は、
危険校舎の改築でございますが、これは
中学校の校舎の
緊急整備といったような関係もございまして、多少計画を繰り延べております。次は、
特殊教育の建物の整備でございますが、これも後ほど申し上げますような
特殊教育の
充足計画を考慮いたしまして、前年度に比べまして約二千五百万円の増額をいたしております。
以上が
義務教育関係の施設の整備でございますが、
構造比率、それから
単価等は、これは前年通り据え置かれております。それからこの関係の全体計画につきましては、資料としてお配りしたものの三枚目にその全体的な計数を掲げてございますので、後ほどごらんいただきたいと思います。
それからもとに戻りまして、もとの資料の口でございますが、これは非
義務制諸学校の
施設整備でございます。そのうち幼稚園、
定時制高等学校につきましては、前年と同額の予算を計上いたしております。
高等学校の
危険建物の改築につきましては、前年度
予算額より約二千万円
程度予算額を増額い場にしております。その次の
社会教育施設につきましては、
予算総額三千八百万円でございまして、
社会教育法の一部
改正法等のこともございまして、
予算額といたしましては前年度の二・五倍ということになっております。
その次は、
公立文教の
災害復旧費でございまして、十二億円余を計上してございます。ここに前年度
予算額十一億九千六百万円余の額が記載してございますが、これは第三次補正で入りました一億一千五百万円の額を含んでおりませんので、念のため申し上げておきたいと思います。
第二の大きな柱は、
特殊教育の振興でございまして、その第一が
公立養護学校の
教育費の
国庫負担金でございます。この積算の概要は、これは
義務教育費国庫負担金と全く同じでございます。それで、来年度の
養護学校の関係といたしましては、備考に書いてございますように、既設三十校のほか新設十一校を見込んでおります。内訳はそこに書いてございますように、
肢体不自由児の学校が七校、精薄が三校、病弱虚弱が二校ということでございまして、これに伴う
教職員の増は百九十一名でございます。それから
教材費でございますが、これも
義務教育の場合と同じように単価は据え置いておりますが、
精神薄弱児が八百二十円、
肢体不自由児が千二百八十円、
身体虚弱児が七百円ということになっております。その二分の一を国庫で負担をするわけでございます。
その次は、
養護学校等の
設置推進でございまして、まず第一は、
講習会の開催に要する経費でございますが、これは前年度からあった費目でございます。その次の
指導要領八十万七千円、これは新規でございまして、この
養護学校につきましては、
指導要領の
一般編につきまして特別なものを作って参りたいということでございます。その次は、その
指導要領の編集に伴いまして
養護学校の
教科書、教師用の
指導書を新たに編集したいということでございます。その下に書いてございますように、精薄につきましては、これは通常の
教科書が使用できかねますので、総合的なそういう
教科書を作って参りたい。
肢体不自由児と
病弱児につきましては、これは体育以外は通常のものが使えるわけでございますので、体育についてだけ特別なものを考えて参りたいということでございます。
その次は、
養護学校及び
特殊学級の設備の整備でございまして、まず、
特殊学級の設備の整備でございますが、一般といたしまして二百五十学級、これは
小学校百二十五学級、
中学校百二十五学級を予定いたしております。職業三十一学級とございますのは、これは
特殊学級の
精薄児に対して職業的な能力をつけるための設備でございまして、たとえば、なわをなう機械であるとか、あるいはコンクリート・ブロックを作る機械であるとか、そういった
機械設備の整備に対する補助でございます。三ページに参りまして、一番上は
養護学校の設備の補助でございまして、先ほど申し上げました新設の
精薄養護学校二校、
肢体不自由児養護学校の七校に対する設備の補助、その他既設分についても若干の補助を考慮いたしておりますが、この事項は新規でございます。次は、
肢体不自由児学校のスクール・バスの補助でございますが、これは前年度三台の補助を四台にしたというところが違っております。
その次は、
特殊教育学校への
就学奨励でございますが、これにつきましては、
小中学部につきまして新たに
修学旅行費の補助を計上いたしております。
高等部につきましては、
寄宿舎雑費、寝具、
日用品等の補助を新たに考えております。このことにつきましては、別に法案として御審議をいただくわけでございますが、従来、
小中学校につきましては、御承知の
通り修学旅行の補助があったわけでございますが、盲ろうの
小中学校につきましてはそれがなかった。今回の措置によりまして、その間のアンバランスが解消するわけでございます。(5)は、
養護学校の
教員養成でございまして、以上申し述べましたように、
養護学校、
特殊学級のかなり大幅な増設が見込まれるわけでありますが、これに対応する教員の養成をはかるために、
北海道学芸大学、東京学芸大学、
京都学芸大学、広島大学、熊本大学の五大学に一年課程と半年課程の
養護学校の教員の
養成課程を設けたいということでございます。一年課程と申しますのは、これは
一級免許状を出す課程、半年課程と申しますのは二級
免許状を出す課程でございます。
その次の大きな柱は、第三の
科学技術教育の振興でございます。その第一は、
理科教育の設備の整備でございまして、その一は、
理科教育振興法に基づきます
補助金でございます。これは五億五千万円でございまして、前年度に比べまして約一割の五千万円の増ということになっております。それから次は、
理科教育センターの
設置費の
補助金でございまして、五千百万円余で、全国五カ所を予定いたしております。この事項は新規でございましてこの
理科教育センターと申しますのは、
理科教員の
実験観察を中心とする再教育の機関というふうに考えております。
その次は、
産業教育の
施設設備の負掛金でございまして大体、従来の方法で積算をいたしておるわけでございますが、特に例年と違っております点は、イの
設備更新でございます。これは年来の懸案であったわけでございますが、本年度初めて新規計上されたわけでございまして、二十七年の四月現在における
産業教育設備の
充実更新をするために必要な経費でございます。それからハの
新設課程でございますが、これは、
機械課程十課程、
電気課程八課程、
工業化学課程三課程の新設を予定いたしております。新設はこれだけでございますが、三十三年度、三十四年度に新設された課程の
学年進行分がこのほかに計上されておるわけでございます。それからその次のページに参りまして四ページでございますが、上から四行目に
中学校設備というのがございます。これは、例の
中学校の
技術課程に対する設備の充足をはかるための
補助金でございまして、二億九千百万円が計上されております。前年度一億三千万円でございましたので、二倍以上に増額されておるわけでございます。一校当たりの単価といたしましては三十万円を予定いたしております。
次は、
在外研究員の派遣でございますが、これは前年通りでございます。
その次は、
南極地域の
観測事業費でございますが、これは第五次観測と、ただいま越冬いたしております第四次越冬隊の十五人を収容するために要する経費でございます。
その次は、
科学研究費の
交付金等でございますが、このうちもちろん一番大きいのは
科学研究費交付金でございまして、十四億三千七百万円余になっております。これは前年度
予算額に比較いたしますと、約二割の二億四千万円の増でございます。主としてふえましたところは機関研究のところでふえておるわけでございます。それから科学試験研究費補助でございますが、これは前年度に比べまして三千六百万円の増になっております。科学試験研究費と申しますのは、
科学研究費交付金が主として基礎的な研究に対する交付金であるのに対しまして、この科学試験研究費
補助金はやや応用的な面が加味されておるということでございます。
それからその次の(6)の民間
学術研究団体振興でございますが、その第一は、民間
学術研究機関に対する補助でございます。これは民間
学術研究機関の助成に関する法律に基づく助成でございまして、ほぼ前年同様の額となっております。それからその次の日本学術振興会に対する補助でございますが、四千二百万円でございまして、前年度に比べまして二千二百万円の増になっております。これは流動研究費という制度あるいは奨励研究生という制度がございまして、この制度を拡充するために必要な増額でございます。
それから四の大きな柱は、私学の振興でございまして、その第一は、
私立学校振興会に対する政府の出資でございます。
私立学校振興会に対する
政府出資は、債権出資を別にいたしまして、現金の出資といたしまして従来五十億円の出資を行なってきたわけでございますが、それをさらに三億円増額して五十三億円にするという関係の予算でございます。
それからその次の(2)は、私立大学の研究設備の助成でございますが、その一般設備のほかに、本年度から新たに特殊設備というのが備考として新規に入っております。一億五百万円がそれに相当するわけでございます。
それからその次の(3)は、私立大学理科特別助成でございまして、前年度三億九千万が六億五千五百万円と飛躍的な増額が行なわれております。ここに、一般理工系学部とございますのは、大体これは既設の理工系学部というふうに御了解いただきたいと思います。それは補助率が二分の一で、新設につましては三分の二の補助を考えておるわけでございます。
その次は
私立学校の共済組合に対する補助でございます。前年度に比べまして、九百六十万円程度増額になっておりますが、これはいわば
自然増でございます。人員の増加あるいは給与単価の上昇等に伴う増でございます。
その次は育英事業でございまして、これがまあ大きな柱の第五になっております。事務費につきましては一億八千二百万円余を計上いたしておりますが、滞納を整理するため、本年度、特に集金制度を設けることにいたしておりまして、その関係の十二名の増員を含んでおります。次は貸付金でございますが、これが約四十五億円になっております。これは前年度の貸付金の額に比べまして一億三千九百万円余の増額になっておるわけでございます。この
増額分は、御承知の特別奨学生の増員に伴う部分でございます。御承知の通り特別奨学生は三十三年度から始まったわけでございまして、それが五千人、三十四年度が六千人、三十五年度が六千人、計一万七千人ということでございまして、三十五年度で
高等学校の三年まで特別奨学生が行きわたったということになるわけでございます。
第六の柱は
社会教育でございまして、その第一は
青年学級の振興でございます。一般の
青年学級は三千五百学級を対象にいたしまして補助をする。職場の
青年学級に対しましては二百六十学級を対象にして補助をするということでございます。前年度に比べまして、額はほほ同様でございますが、補助対象が半減いたしております。これは零細補助になることを避けまして、重点的な補助をして参りたいという趣旨からでございます。
青年学級の研究協議会等五百万円は、これは新規の事項でございまして、指導者の研究協議会等の開催に要する経費でございます。
それからその次の青年の家の整備費の補助でございますが、これは御承知の通り
青少年の技術教育、職業教育のためのそういった実験、実習設備を補助して参るための経費でございます。
その次は
婦人教育の振興でございまして、前年度に比べて飛躍的な増額になっております。
婦人学級の委嘱数は、そこに書いてございますように千四百七学級を予定しておりまして、一学級四万円の助成を考えております。それから次は
婦人教育の指導助成でございますが、中身はそこにございますように、
婦人教育振興補助といたしまして、一県当たり五十七万六千円の
補助金を予定いたしておりますが、これは
婦人教育関係の調査、指導、それ九ら
婦人学級生大会、そういった関係の経費を補助しようとするものでございます。(ロ)は、これは外国派遣でございまして新規の事業でございまして、
婦人教育の指導的な地位にある方々を外国に派遣する際に、これに必要な経費を補助してやるということでございます。それから
婦人教育研究集会、純潔教育等につきましては、格別考え方等において従来と相違する点はございません。
それからその次は、
社会教育関係団体補助でございますが、これは御承知の通り
社会教育法の一部改正等のこともございまして、かなりな額が増額になっております。定額補助でございまして、その備考に書いてございますようなそれぞれのワクを予定いたしております。
それからその次は、教育テレビ対策でございますが、テレビ番組の製作実施に三千六百万円を計上してございますが、これは従来からやっております「わたしたちの道徳」あるいは「あすへ開く窓」といった番組の製作費並びに電波料でございます。それからテレビ番組の考査及び影響力調査、これは前年と同額でありまして、事業の趣旨も変わっておりません。その次の
テレビ受像機の設備補助でございますが、これは新規でございまして僻地の
小中学校に対しましてテレビの受像機を設置する際に、その経費の二分の一を補助するという関係の経費でございます。
それから六番目の児童文化センターでございますが、これは例年通りの趣旨でございまして、格別変わった点はございません。
それから六ページへ参りまして
公民館等の設備の補助でございますが、中央公民館三千六百七十六館に対しまして、映写機、録音機、テレビのうち、未整備品目を整備する際の経費の補助でございます。その次は、移動公民館二台と書いてございますのは、これは自動車でございます。また図書館六十七館、これは図書についての補助をしたいということでございます。博物館三十館は、これは標本、模型等のいわゆる博物館資料の整備費についての補助を行ないたいということでございます。
それから
公民館等の施設費の補助は、これは
公立文教施設のところで簡単に御説明申し上げております。
(9)の国立中央青年の家の整備でございますが、六千二百万円余を計上いたしております。前年に比べまして五千万円の減でございますが、これは前年度は御承知の通り初年度でございまして、特別に施設費等がかさんでおりましたので、その関係に伴う減でございます。それから第二キャンプの改修とございますのは、これは国立中央青年の家の近くに米軍の元軍事顧問団の宿舎施設がございましてこれを改修して青年の家の宿泊施設の拡充に充てたいという関係の予算でございます。
それからその次は、
社会教育特別助成でございますが、これまた備考に書いてございますような事項に対しましてそれぞれ予算を計上いたしておるわけでございます。
それから第七の柱は体育でございまして、
国民体育施設の整備といたしまして五千三百万円程度を計上いたしております。体育館、プール各十カ所でございますが、前年度予算は、これが各五カ所でございました。
その次は
国民体育大会の補助でございますが、これは前年同額で、熊本県、新潟県、青森県における
国民体育大会の開催に対する補助でございます。
その次は
国立競技場の関係でございますが、前年に比べて若干の減になっておりますが、これまた施設費等の減に伴うものでございます。
それからその次の体育振興特別助成でございますが、これもその備考に書いてございますように、
青少年スポーツ活動の助成、
青少年野外活動の
助成等に対する経費を予定いたしたわけでございます。
それから七ページに参りまして、オリンピック東京大会の実施の準備に必要な経費でございますが、その第一は組織
委員会に対する補助でございまして、四千万円、これは新規になっております。その次は競技技術の向上でございますが、これは体育協会を通して支出されるわけでございますが、四千万円、これは大部分新規でございます。それからその次の
国立競技場の拡充は、オリンピックを迎えます際、主競技場として現在の
国立競技場を使うことを予定しておるわけであります。これを何と申しますか、拡充するための基本設計に要する経費百二十五万円を計上いたしております。それから日本体育協会に対する補助でございますが、これは前年に比べまして四百七十万円ばかりの増になっております。これはオリンピック関係の仕事が多くなるという関係を考慮しての増額でございます。
その次は、ローマオリンピック大会に対する選手団の派遣費の補助でございますが、定額補助でございまして、五千万円を予定いたしております。
その次は、第八といたしまして、
国際文化の交流でございますが、その第一は、沖縄の教育に対する協力援助であります。そのイは、沖縄教員の内地派遣研究制度の実施でございますが、新規といたしまして十名のワクをふやしております。これは職業教育関係の教員の内地研究を考えておるわけでございます。手当の額も従来の約八千円程度のものを一万一千五百円と、約三千五百円程度増額をいたしております。それから国費沖縄留学生の招致でございますが、これはほぼ前年程度のものを考えております。その次は、指導主事の派遣でございますが、これは教育指導委員として文部省から沖縄に派遣されております指導主事の派遣に要する経費でございます。四人が新規で増員になっております。なお、従来は滞在費の一部を沖縄で負担しておりましたが、本年度からは全部日本政府で負担することとなっております。
その次は、国費外国人留学生の招致でございますが、備考に書いてあるようなことでございまして、新規に七十人の増員をはかっております。なお、その次に海外教育事情調査八百九十万とございますが、これは新規でございまして、東南アジアに対しまして留学生の受け入れのために二班の調査団を派遣するために要する経費でございます。
その次は、文化財保護
委員会関係の経費でございます。第一は、文化財保存事業費等でございまして、まず、国立劇場につきましては、基本設計、それからその懸賞募集に要する経費を二千五百万円計上いたしております。その次は、文化財保存修理費補助でございまして、三億一千八百万円余でございますが、前年に比べまして約四千八百万円の増額でございますが、その中には災害関係の二千九百万円が含まれております。次は国有文化財建造物保存修理でございますが、これが七千九百万円になっております。それから文化財防災施設費の補助でございますが、これは防火施設、それから収蔵庫、標識、そういったものを設置するための補助でございます。その次は、無形文化財保存活用でありますが、これは無形文化財の伝承者の養成あるいはその技術の公開、そういった関係の経費でございます。
それからその次の十番目の柱は、準要保護対策でございまして、1の
教科書費の補助、(2)の
修学旅行費の補助、これは立て方において従来と全く変わっておりません。この額におきまして多少の増減がございますが、これは
児童生徒数の増減に伴ういわば
自然増減でございます。
(3)の保健医療費の補助でございますが、これは約千六百万円の増になっております。この増額の主たる理由は、従来のトラコーマの治療日数が二十五日でありましたのを五十日にした関係の増が主たるものでございます。
4の
学校給食費の補助でございますが、これは準要保護の率を四%といたしております。
以上申し上げました
教科書、修学旅行、保健につきましては準要保護の率が二%になっておりますが、給食につきましては特に四%といたしております。これは給食用の小麦のいわゆるグラントが三十五年度からなくなるわけでございまして、そのグラントのなくなることに伴う給食費の値上がりが百グラムについて九十二銭というふうに予定されております。そういうことをも考慮いたしまして、準要保護の率を給食についてだけ四%といたしたわけでございます。
それから十一は
学校教育の充実等でございまして、
現職教育と
資質向上、この上の三行は従来通りのものでございまして、下の二行、
高等学校教育課定の改訂に伴う部分は、これはこの関係の作業が現在進んでおりますので、そのでき上がった後の趣旨徹底の
講習会に必要な経費を計上したわけでございます。その次のページに参りまして、
理科教員の実験講座、体育指導者の養成、学校長等の海外派遣、これはほぼ前年と同様の積算をいたしております。校長等の研修は、これは本年度新規でございまして、校長指導主事、そういった方々に対するやや長期にわたる研修を行ないたいという関係の経費でございます。その次は
教育研究の助成でございまして、これは教科別の研究団体の研究調査活動の促進助成、そういった目的のための予算でございます。
その次は定
時制通信教育の振興でございますが、まずその第一は、新たに定
時制通信教育施設というものを創設いたしまして、公立学校においてその支給に要する経費の三分の一を国が補助するために必要な経費が一億七千万円でございます。この
定時制通信教育手当のことにつきましては、別に法案として御審議をいただくわけでございますが、その定通は本法の七%というふうに考えておりますが、校長等につきまして三ないし五%と書いてございますのは、これは
管理職手当との併給のことがございまして、定通手当の率を多少押えているわけでございます。それからその次は、定時制関係の設備補助でございますが、理科関係についてだけ前年度の二割増しといたしております。これは
理科教育振興費の
補助金と平氏を合わせておるわけでございます。その次の通信教育運営費の補助は、これは前年同額でございます。その次の放送テレビ利用でございますが、これは新規でございまして
高等学校の通信教育にテレビを利用していきたい、その関係の電波料、それから番組の製作費でございます。
その次は学校給食でございまして、施設、設備の補助、これはほぼ従来通りの考え方で予算を積算いたしております。それから食糧管理特別会計べの繰り入れ十七億一千二百万円でございますが、これは前年度に比べまして一億四千二百万円の増になっております。これは小麦の消費量の増加に伴う増でございまして、繰り入れの、何と申しますか、額自体は百グラムについて一円でございまして、そこのところは前年と同じでございます。
その次は国立学校の運営費でございまして、まず、
教官研究費につきましては二〇%の増額をはかっております。五十億円を約六十億円程度にいたしておるわけであります。それから設備充実費でございますが、これまた二割程度ふやしまして一億三千二百万円程度の増になっております。それから充実費も四千六百万円程度ふやしております。
それから建物新営学科新設に伴う設備費も一億六千万円程度の増額をいたしております。
それからその次は、
学部学科の新設改組でございますが、新設の学部といたしましては二学部、京都大学の薬学部と、それから岡山大学の工学部とを予定いたしております。これまた法案として別途に御審議をいただくわけでございます。それから短大につきましては、北見工業短期大学ほか三短期大学の新設、学科は北海道大学の電子工学科等の十九学科の増設、それから短期大学の学科といたしましては久留米工業短期大学の電気科の増設、改組拡充といたしましては、東北大学の食糧化学科等の改組拡充をはかっております。この概要の詳細につきましては、資料としてお配りしたものに詳しく学部、学科の名称等が書いてございますので、これをごらんいただきたいと思います。
以上を通じまして、理工系の学生の定員が千百二十六人ふえるわけでございます。
科学技術者八千人の養成計画というものがあったわけでございますが、三十五年度の千百二十六人の増員をもって、一応その八千人の目標が達成されるわけでございます。
それから次のページに参りまして、留学生課程でございますが、これは東京外国語大学と千葉大学に設けることにいたしまして、修業年限三年、日本語の課程が一年、それから一般教養の課程が二年というふうにいたしております。それから附属
養護学校の新設二校でございますが、これは
精神薄弱児の関係でございまして東京学芸大学と東京教育大学にいずれも一校ずつ新設したいということでございます。
これからその次は、国立文教施設の整備でございまして、
科学技術教育の振興に伴うものが約二十一億円でございますが、これはただいま申し上げました理工系の学部、学科の新増設に伴うものが主でございます。それから上から四行目に米国余剰農産物処理法に基づく施設とございますのは、これはこの余剰農産物処理法に基づく積立円があるわけでございますが、そのうち、ここに書いてございます二億一千二百万円余を歳入に受け入れまして、ここで長崎大学と広島大学の病院、それから医学部の研究室の施設の整備をはかるという関係の経費でございます。その次に、特定財源による施設とございますが、これは東京学芸大学の豊島分校のあの施設を売却いたしまして、小金井に集合する、そういった関係の事項でございましてつまり特定な財源をもって裏づけられている国立文教施設の整備ということでございます。
それからその他でございますが、まず、同和教育といたしましては、
初等中等教育関係といたしまして、従来からやっております同和教育の研究指定校、これをふやす、あるいは資料の刊行、指導事例集等を作成するという関係の経費百四十四万九千円を計上いたしました。それから
社会教育同和対策関係の三百六十四万四千万、これは新規でございまして、市町村の
社会教育同和活動の
助成等に充てるわけでございます。
それからその次は学校安全会でございますが、これは事務費の補助でございまして、二番目にございます支部の設置千十三万五千円、これが新規でございます。
それからその他でございますが、人に伴う経費といたしまして、文部本省で若干の増員が行なわれております。オリンピックの準備ということで三名、それから公立学校共済運営、これは長期給付の実施が遠からず予定されておるわけでございますが、その準備の関係で四人、それから図書館職員養成所、これは教官一名、それから試験研究機関といたしましては、遺伝学研究所に人類遺伝学部を新設することに伴う増でございます。
それからちょっと比較増減のところに文部本省の六十三人といったような数がございますが、これはいわゆる常勤労務者の定員化に伴う増でございます。昨年度の当初定員と比較いたしておりますので、こういう数字が出てきたわけでございます。
以上御説明申し上げました通り、
文部省予算の総額は千九百四十七億円余ということでございまして、前年度
予算額に比べまして百八十九億円の増でございますが、当初予算に比べましては二百三十八億円の増になっております。
以上簡単でございましたが、
文部省予算の概要の説明を終わります。