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1960-07-08 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年七月八日(金曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   委員異動 七月七日委員梶原茂嘉君、上林忠次 君、野上進君、佐野廣君及び仲原善一辞任につき、その補欠として青田源 太郎君、重政庸徳君、田中啓一君、田 中茂穂君及び谷口慶吉君を議長におい て指名した。 本日委員櫻井志郎君及び岡村文四郎辞任につき、その補欠として梶原茂嘉 君及び上林忠次君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            田中 啓一君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            梶原 茂嘉君            上林 忠次君            重政 庸徳君            田中 茂穂君            谷口 慶吉君            高橋  衛君            藤野 繁雄君   政府委員    農林政務次官  大野 市郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    食糧庁総務部長 岡崎 三郎君    食糧庁総務部企    画課長     亀長 友義君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和三十五年産米価に関する件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨七日梶原茂嘉君、上林忠次君、野上進君、佐野廣君及び仲原善一君が辞任、その補欠として青田源太郎君、重政庸徳君、田中啓一君、田中茂穂君及び谷口慶吉君が選任されました。また本日櫻井志郎君及び岡村文四郎君が辞任、その補欠として梶原茂嘉君及び上林忠次君が選任されました。   —————————————
  3. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) この際、お諮りをいたします。  委員異動に伴い欠員となっております理事補欠互選を行なうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認めます。ついては、互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜、委員長から指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認めます。よって委員長は、理事田中啓一君を指名いたします。   —————————————
  6. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 昭和三十五年産米価に関する件を議題といたします。  本件について、現在までの諸般の経過説明を求めます。
  7. 岡崎三郎

    説明員岡崎三郎君) 昭和三十五年産米価算定につきまして、従来の経過並びに私どもがただいままで考えております当初の原案内容につきまして、お話し申し上げたいと存じます。  まず、米価算定につきましては、昨年の米価審議会におきまして、その御答申において、この算定方式につきましては、一つ今後十分検討してしっかりした方式を打ち出せと、そういう御注文があったのでございます。その御答申を受けまして、私どもといたしましては、昨年十一月以来米価審議会農林大臣から諮問いたされまして、その後約半年にわたりまして、米価算定方式小委員会というものをその審議会の中に設置いたしまして、それで前後約十回にわたりまして検討していただいたわけでございます。その結果、去る六月二日に米価審議会から答申をいただいたわけでございまして、その大体の米価審議会から御答申いただいた内容につきましては、お手元資料としてお配りしてございます「答申」というのがそれでございます。それからなお、それに伴いまして、米価算定方式小委員会報告についての小委員長の御説明を、またこれも資料として御配付してありますのでごらん願いたいと存じます。この中にはその審議経過並びに報告内容についても書いてございまして、この答申案をいただきまして、それに基づきまして私どもでは検討しておったわけでございますが、この御答申によりますると、「米価算定方式は、生産費及び所得補償方式による、」、これは従来からの米価審議会の御答申そのままでございますが、さらにこの方式の具体的な内容といたしましては「生産費及び所得を補償する農家は、適正な限界農家とすること。」、こういう御答申をいただいたのであります。このことにつきましては、お手元に御配付申し上げております「昭和三十五年産米価算定について(案)」という一番最後にお配りいたしました資料にございますので、それをごらんいただきたいと存じます。以下これを半ば読みながら御説明申し上げたいと存じます。  で、三十五年産のこの本年度の米価は、この御答申趣旨に基づきまして、「生産費及び所得補償方式により、適正な限界農家生産費及び所得を補償するように算定する」ということに相なっているわけでございます。そこで、私どもといたしましては、相当に具体的な方式を実は米価審議会の御答申として期待申し上げておったのでございますが、残念ながら結論といたしまして「適正な限界農家」、こういう表現に相なっておりまするので、これをいかに解釈していいかということでいろいろ検討したわけでございます。その結果、二ページにございますが、「生産費及び所得補償方式により、適正な限界農家生産費および所得を補償するという趣旨は、米生産費に含まれる稲作自家労働都市均衡労賃により評価替を行い、かつ、この評価生産費平均値そのもの米価を決めるのではなく、一定基準によってこれを上廻る適正な限界農家生産費を想定し、これに基いて米価算定することにある」、こう私どもは考えたわけでございます。そこで「適正な限界農家生産費」と、これは一定基準で、いわゆる平均生産費を上回ったところの一定の適正な限界農家生産費ということでございます。で、私どもといたしましては、それでは適正な限界農家ということをいささか分析して考えたわけでございまして、本来、米の生産費は反当生産費反収で割った数字でございます。で、御承知のように生産費そのものは私どもの方の統計調査部調査いたしております。全国で一本の数字で出ておるわけでございますが、それをまず都市均衡労賃評価がえしたその生産費——反当生産費反収で割った——それが一応出る生産費ということになるわけでございます。で、適正な限界農家生産費というものを算定します場合に、私どもとして、まあ適当であると考えたものは、反当生産費及び反収というもの、それをそれぞれどのように考えたらいいか、どのような水準をとったらいいかということになるわけでございます。そこで、まず反当生産費でございますが、これはここにも書いてございますように、米の生産消費動向、また農業経営動向等から見まして、現在の通常の反当生産費という意味で、米販売農家平均反当生産費をとりたいということでございます。で、米の生産消費動向と申しますと、御承知通りだんだん需給が緩和して参っております。生産は非常に反当能率も上がっておりまするし、また一方、消費につきましては、この生産と見合いまして、次第に需給が緩和して参っておるという事情、これがございますので、今後いわゆる自由商品と申しますか、そういうこともあわせ考えますると、今後やはりお米の生産につきましても、終戦直後の何でもかんでも増産ということではなく、やはりある程度普通の能率的な経営によって生産されるお米、それを期待する、国民経済上その程度が期待されるということではなかろうかということでございます。また一方、農業経営の上から見ましても、ただいたずらに肥料を投下し、あるいは労働をたくさん投下して、とにかく一粒でも多く米をとるということではなく、やはり合理的な経営ということで今後は進むべきであろう、また実際におきましても、だんだんそういうような傾向になっております。で、そういったような動向から見まして、いわゆる通常の反当生産費という意味で、一応反当生産費米販売農家平均反当生産費をとるということでございます。従って、これは統計調査部で出て参りました生産費、それを評価がえいたしました平均の反当生産費を一応そのまま想定いたします。  それから第二番目は反収でございますが、反収の方は実はこれは非常にいわゆる人力をもってしてはいかんともしがたい条件で左右されるものでございます。通常経営能力あるいは技術をもってしても、これは土地条件によって左右される点が非常に大きいわけでございまして、いかに能率的な経営を営もうといたしましても、やはりそこには限度のある場合がある。従って、いわゆる農家責任に帰することのできない、通常いわゆる自然条件土地条件に支配される、そういうことの事情は、それをそのまま農家責任に帰するということは、これはいけないというところで、従って反収につきましては、農家の責めに帰することのできない事情に基づく通常の低い反収をカバーするために、販売農家反収分布表から統計的処理によって算出される標準偏差、これを平均反収から差し引きまして、低い反収にいたしまして、それを反収にするということでございます。その低い反収でもって通常の反当生産費というものを割るということで、従って、結論といたしましては、かなりに高い、そこに結果といたしまして、石当たり生産費というものが出てくるわけでございまして、そういう意味でこの方式をとったわけでございます。  それから、ちょっとお断わり申し上げておきますが、ただいま私申し上げておりまするのは、これは私どもが当初考えました原案でございまして、実は原案に基づきまして、ただいま農林省では各方面とさらに折衝を続けておるわけでございまして、あるいは相当な変更があるかもしらぬということを申し上げておるわけでございます。ただ、ただいまのところ、それはいまだ折衝中でございますので、私どもが数目前に一応の原案として得たそれを現在御説明申し上げておるわけでございます。  それからさらに続けますが、先ほどいわゆる評価がえ生産費ということを申し上げました。その際に非常に問題になりますのが、都市農村との物価差でございます。都市労賃をそのまま農村に当てはめるといいます場合に、都市農村とでは物価差がございますので、その物価の差だけはこれを修正いたしまして、そうして使う。いわゆる実質の何と申しますか、購買力と申しますか、それを同一にするという意味でございまして、この物価差等につきましても米価審議会の御答申がございまして、その趣旨に沿って改訂をいたしたいと、こう考えておるわけでございます。具体的な内容についてはあとで申し上げます。  それからもう一つ米価審議会の御答申では、いわゆる資本利子計算、これにつきましてもやはり御答申をいただいておりまするので、これにつきましても私どもの方で統計調査部にいわゆる補完調査をお願いしまして、その結果に基づきまして資本利子についても新しい適用をしたい、こういうことでございます。  以上申し上げましたような基本的な考え方に基づきまして四ページをごらん願いたいと存じますが、算定方式といたしましては、求める価格は、まず分母といたしまして、平均反収から標準偏差相当する数値を除いた反収、いわゆる平均反収よりもはるかに低くなっております。それから上の方は評価がえしました平均反当生産費でございます。これによりまして求める価格、これがいわゆる石当たり生産費として出てくるわけでございます。これをあとで申し上げまするいろいろな、たとえば都市労賃とか、あるいは物価差とか、それを当てはめましてこれを計算いたしますると、下にございますように、九千九百七十四円という数字が一応出てくるのでございます。そこで、これをはじきます場合の先ほど申し上げましたおもな項目といたしまして、まず都市均衡労賃ということで、これは従来通り製造業の全規模の平均賃金をまずとりまして、それに都市農村間の物価差を乗じて算定するというやり方で参ったわけでございます。そういたしますると、前年が男女込みで七十一円十五銭が七十九円八十銭、男が八十八円三銭が九十七円九十二銭ということになるわけでございます。これにつきまして、さらにその(2)といたしまして都市農村間の物価差というものがございます。これは昨年までは単に農林生産物のみに限らず、また工業製品等につきましても、実態調査に基づきまして物価差があるということではじいて算定しておりまして前年は八六・九三というカッコの中に書いておる数字でございますが、ことしはいろいろ米価審議会の御意見等もございましたので、工業製品につきましては価格差がないものということで、昨年よりはずっといわゆる農村に有利な算定をしておるわけでございます。それで算定をいたしますると、都市を一〇〇として農村は九〇・二九ということでございます。で、これを先ほどのこの都市均衡労賃ということに使っておるわけでございます。  それから物価修正、これがとりました数字が三十二、三十三、三十四の三カ年の平均をとっておりまするので、各年次を現在の時点まで物価修正をするわけでございまして、それは従来通り米生産費パリティ指数というものの変化率を織り込んで現時点まで修正してございます。副産物価格はわら及び等外米価格変化率によって修正してございます。  それから次に資本利子でございますが、統計調査部の、先ほど申し上げましたように、昨年産米緊急補完調査をしてもらったわけでございますが、借入金自己資金割合を、その結果二二・三対七七・七、こういう割合であることが判明したわけでございます。昨年はこれが一対九ということになっております。で、借入金利子は、その補完調査を実際いたしました結果、八分二厘六毛ということになったのでございます。前年は九分一厘二毛でございますが、今回補完調査をしました結果、こういう数字が出ておりまするので、一応それをとりたいということでございます。自己資金につきましては、前年通り五分五厘ということにしたいと思っておるわけでございます。  それから地代につきましては、これはいろいろ審議会でも御議論があったのでございますが、結論として、実は特段の御答申もなかったのでございましてこれにつきましては、従来通り統計調査部米生産費調査地代によるということにしております。  それから公租公課でございますが、これも大体従来通りでございます。固定資産税等原価性のあるものをとりまして、それから米作負担率は、これは新しく昨年産米につきまして補完調査をいたしました結果によっております。  それから次に運搬費でございます。昨年産米までは、運搬費として特に掲げてはおらなかったのでございます。で、その点を指摘せられまして、私どもの方でやはり統計調査部にお願いして調査いたしました結果、農家の庭先からもより政府指定倉庫までの運搬に要する経費でございますが、これは調査の結果、六十キログラム——一俵当たり十二円、石当たり——百五十キログラム当たり三十円というものを基本価格に織り込むことにいたしたいということでございます。  以上のような考え方並びに計算によりまして、一応私どもの方で一—四等包装込み手取り平均予定価格算定いたしますると、次の八ページにあるようなことになるわけでございます。三十五年産米価につきまして、基本価格が九千七百四十五円、時期別格差が二百三十円、歩どまり加算が二十九円、等級間格差が二十円、包装代二百六十一円、申し込み加算が七十円で、合計一万三百五十五円になるわけでございます。昨年の決定米価に比較いたしますると、二十二円のアップということになっておるのでございます。で、その九千七百四十五円には、運搬費相当額三十円が織り込まれておるのでございます。  これをはじきました具体的な算出の基礎でございますが、まず評価がえしました反当たり平均生産費、これは三十二年、三十三年、三十四年と、こういうような状況をたどっておりまして、平均が二万三千三百四十円。  反収の方は、平均反収標準偏差——これは御承知と思いますが、平均反収、これは各農家ごとにいろいろ反収が違うわけでございまして、その平均反収の違いからのまた平均、それが標準偏差ということでございまして、それが三十二年から三十四年までこういう状況になっておりまして、それを平均反収からそれぞれ除きまして、いわゆる標準偏差分だけ下がった低い反収、それをとりまして、その平均をとって二石三斗四升ということになるわけでございます。  で、求める価格は、先ほどの評価がえの反当平均生産費をただいまはじきました反収で割った数でございまして、九千九百七十四円ということでございます。で、さらにその九千九百七十四円から、これは御承知のように統計調査部全国農家調査いたしまして、その平均生産費、それを手直ししたものでございます。で、各農家ごと手取りがそれぞれ違うわけでございます。一等を出す人もあれば五等米を出す人もある。また歩どまりで、軟質米硬質米早場もあればおそ場もある。その全体としてのいわば水準が九千九百七十四円でございますから、私どもといたしましては、これをいわゆる農家手取り価格平均にする、こういう考え方でございます。従いましてこれをそれぞれの地域なり、あるいはお米に当てはめます場合には、これからいわゆる格差的な部分を差し引きまして、基本価格を求める、さらに基本価格にその格差なり、あるいはまた加算をつけまして具体的なそれぞれの米の一俵々々に適用して参るという考え方をとっておるわけでございます。九千九百七十四円から時期別格差の二百三十円、歩どまり加算の二十九円、等級間格差——これは昨年までと違いまして今回はじきましたのは、いわゆる生産費そのものからはじいたわけでございますから、一—五等平均でございます。これを従来三カ年間でやりますると、これがゼロになるわけでございます。従って、等級間格差につきましては、従来は一—四等でずっとはじいておりましたので、二十円引いておりましたが、今回はゼロ、で、そこに出た数字に、さらに運搬費三十円を加えて九千七百四十五円、これが基本価格ということでございます。  この基本価格につきまして、いろいろ、それぞれの米につきまして、格差なり、加算金をつけるわけでございますが、まず時期別格差につきましては、これは前年同様でございます。ただ、ここで前年までの二百十円が二百三十円ということにきまっておるのは、これは二十円ばかり上がっておるわけでございますが、これは過去三年のそれぞれの、いわゆる早場に出た米の数量の割合平均をとりまして計算いたしますと、昨年が非常によかったものですから、特にこれが従来の二百十円という昨年産米に見込んでおりました数字よりも高くなっておるわけで二百三十円ということでございます。で、時期別格差、それから歩どまり加算、これも従来通り考え方でございます。  それから等級間格差は、これは前年同様とする、従って具体的な適用におきましては、時期別格差は従来の八百円、六百円、四百円、二百円という格差をその時期によってつける。それから、歩どまり加算は、これは硬質米地帯には六十円つける。それから等級間格差、これは従来通りでございます。それから申し込み加算、これは百五十キログラム当たり七十円とするということになっております。これは一応大蔵省の方との話し合いによりまして、やはりだんだんこういうような時勢になりまして、少しずつ従来の申し込み加算というような性質のものは、これは逐次減らしていくのが筋じゃなかろうかということで、七十円としておるわけでございます。  それからもち米陸稲及び西南暖地早朝栽培米につきましては、次のようにいたしたいということでございます。まず、もち米加算でございますが、これは実は別のパンフレット、「米の格差加算金について」というものをお配りいたしてございます。いわゆる生産あるいは供給に対しまして、需要が非常に減退しつつあるのでございます。そういう情勢に基づきましていろいろ検討いたしました結果、水稲もちにつきましては、六十キログラム当たり百五十円、百五十キログラム当たり三百七十五円にいたしたい。従来は御承知のように一俵当たり四百五十円でございまするから、約その三分の一にいたしたいということでございます。陸稲もちにつきましては、実はこれは加算を全廃いたしたい、こう思っておるのでございます。  次の「米の格差加算金について」でごらんいただきますとわかりますように、実は陸稲もちは、ほとんど売れないで弱っておるのでございます。そういうようなこともありまするので、この際は一つ全廃したいということなのでございます。  それから今度は、陸稲格差陸稲につきましては、これも現在徳用米として配給いたしておるのでございますが、これがまたなかなか売れないのでございます。ただ、もちろんその品質について現在どうのこうのということは、まだ時期尚早と思いまするので、私どもといたしましては、まず歩どまり低下分だけは一つがまんしていただこうじゃないかということで、六十キログラム当たり四十円、つまり石当たり——百五十キロ当たりにしますと百円だけこれは格差をつけたいということなのでございます。これは歩どまり低下相当分でございます。歩どまりが約一%、これは私どもが実際やってみました結果、一%ほど陸稲が実は歩どまりが低いのであります。搗精の歩どまりでございます。一・三%ばかり低くなっておるのでございます。  それから次に早期米格差でございます。西南暖地早期栽培米でございますが、これは地域を指定いたしまして、歩どまり加算をつけないことといたしたい。その理由は、これは実は味の点、あるいは歩どまりが切れるというような点から、各地におきまして、消費者あるいは取り扱い業者の方からいろいろ苦情が出ておるのでございます。そこで、私どもの方といたしまして、これをしさいに検討し、また、実際に実験をしてみました結果、これは歩どまりはどうしてもやはり切れるということが判明したわけでございます。従って、味の点はともかく、歩どまりが切れる点だけは、これは何とかやはりがまんしていただかなければならないのではなかろうか、元来早期栽培米は、御承知のように、いわゆる北の地方、東北、北陸の方の軟質米の種類を西南暖地へ持って行って栽培しておるのが早期栽培米でございまして、従って、実は質からいえば、あるいは軟質米に近いものかもしれないのでありますが、ただ、残念ながら、これが土地、温度の関係で、どうしても歩どまりが切れるということになるわけでございますので、従って、現在硬質米につけております歩どまり加算、百五十キログラム当たり六十円ということ、これだけは一つごしんぼうしていただけないだろうかということでございます。  以上申し上げたことで、結局農家のさっき申し上げた一—四等の手取り価格一万三百五十五円と、私どもの方から当初の原案として打ち出しまして、その後、大蔵省初め関係方面折衝しておるわけでございます。ただいまも折衝中でございまして、実は本日からきのうまでの間に合えば米価審議会を開く予定でございましたが、残念ながら間に合いませんので、明日以降に延ばしておるわけでございます。  全体の御説明として簡単でございますが、以上で終わります。
  8. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまの説明に対し、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 ごく簡単に二、三点お伺いしたい。第一点は、生産費所得補償方式によります生産者米価を決定するというのは、今回が初めてであると思います。御承知のように、米穀法時代以来今日まで四十年、常に生産費というものは米価政策の上できわめて重要なファクターとして尊重されてきたことは、これは当然であり、御承知通りでありますけれども生産費一本主義で米価政策の基礎でいくということはなかったと思います。今回の政府の案の基礎は、生産費内容において所得補償方式が加味されました点は、これは従来の考え方と飛躍的な一つの進歩といいますか、改善であることは、これは当然でありまするけれども生産費主義一本で生産価格が形成されているのであります。ところが、食管法においては、生産費のほかには、物価その他の経済事情でか、これを参酌する建前になっていることは申し上げるまでもない。私は、もともと生産費主義に重点を置くことは、これは当然であろうけれども生産費一本主義でいくことがはたして米価の政策の上で妥当かどうかについては、非常に疑問を持っていたものであります。現在でもそうであります。特に食管制度の実態は、御承知のように需給の実勢が相当変わって参りました。消費の実態、需給の実勢というものを、米価の上にどういうふうにこれを考えていくべきかという非常にむずかしい問題に漸次当面せんとしていると私は思うのであります。私は、伺いたいのは、これから先、生産費所得補償方式を採用して、それ一本で一体お進みになるのか、その他のファクターというものを取り上げていくのかどうか、取り上げていくとすれば、どういう考え方で処理をされていくのかどうかということを、一つ、これは基本的な問題でありますけれども、お伺いしたい。といいますことは、いろいろの理屈といいますか、言い分はありまするけれども、もし生産費所得補償方式一本でいくとしますというと、おのずから生産費にしても所得補償方式にいたしましても、内容には私は限度があると思う。理論上の筋道というものがあって、非常に固定したものだと私は思うのであります。もちろん内容はいろいろ変わりましょうけれども考え方しては非常に固定したものである。相当無理をして、そこのところを弾力性を与えることは可能でありますけれども、しかし、結論的にはやや固定したものだろうと、そういうもの一本でこれから先の非常に複雑な米価の問題、これは一般経済とは不可分の問題であり、また、現在は一応消費者価格とは可分の関係に立っているけれども、もともとやはり米価というものは一本の姿であるべきだ、そういうことと考え合わせるというと、なかなか農家の利益のためにも、農家の利益といいますか、農家所得を増していくという観点からいっても、生産費一本主義というものは私は必ずしも賢明じゃないと思う。これは見解の相違になるかと思いますけれども、それはさておきまして、一体今後米価を考えていかれる場合に、農林省はどういう考え方を持っていかれるか、生産費補償方式に切りかえたことは一つの大きなこれは転換であり、変化であると思います。非常に重要な一つの転換なんです。と同時に、これから先、これに関連してどういう考え方を持っていくのかということは、食糧政策といいますか、米価の政策の上で非常に大事なことだと思う。その点を一つお聞かせを願いたいと思います。
  10. 大野市郎

    政府委員(大野市郎君) 梶原委員の御質問は、確かに一番根本的な問題であると思います。食管制度のこの法律を策定されました趣旨にかんがみましても、確かに生産消費者の両面の国民経済の保護育成を考えているわけでありますから、生産費所得補償方式ということを米審が答申せられまして、しかも、その言葉のあとに、適正な農家という表現でもってそれを結んでおられる答申をいただいたわけであります。これもまた、生産費の確保を、再生産の確保を求めるのは基本でございますが、需給事情などというものを勘案して、そこに含みと申しましょうか、政策のゆとりと申しましょうか、そういうものを考えに入れられたことは間違いないと思います。ただ、今回の政府の原案としてこちらに御提出しましたのは、適正な農家の規模いかんという問題に対して、三年間の平均生産費というものから割り出して諸般の事務的なものを入れましたので、昨年やりましたパリティの上昇を加味した政策的なものが確かに少ないように、私もそれを申さざるを得ないと思います。で、問題は、需給が、法律を制定された当時の状況と、漸次生産が向上してその総量というものが——まだ外米の輸入を要する状況で絶対量は足らぬのでございますが、計画の進行、見通しにつきましては、需給の均衡状態がやがてくるであろうと予想されておりますので、その場合に、消費者価格生産価格という価格面で、国民のうちの作る側と消費する側との調整を財政面でどの程度に拘束するかというのは、非常な根本的な、御質問の通りの命題であると思います。需給状況が均衡になりますると、その点、一般経済の基本原理というものが、自由経済をわれわれが認めます限りは、これはついて回ると思いますので、これから先の見通しにつきましては、この食糧管理全体の問題に対しましていろいろ新しい状況のもとで御議論がずいぶんと出てくることを予想しております。すでに国の農業基本法の答申の中間報告を拝見しましても、その基本法の審議にあたってのお考え方は、農家の、生産者の保護という面で多角経営をすでに示唆しておられるような動きもございますので、はたして食糧管理法の主体としまする主食の問題だけで、農家生産者の再生産の確保という法律の一番根本の項目自体に、あるいはいろいろな御議論が出てくるのではないか。いわゆるある特定の作物に対して農家経済をただそれだけで持たすべきか、諸般の作物の総合経営によって農家経済の向上をはかるべきものかというふうな、基本的な農業政策の問題もそのときにお話に出てくるものではなかろうか、こういうような将来の見通しに対しましては、私どもも問題点をやはり今から覚えておかねばならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。ただ当面、今年の米価の問題ということは、食管法はれっきとして今日の法律でございますし、また、それに何か変更を加えるべき新しい農政の諸準備は完了いたしておりませんので、農家生産費というものを、やはり農家経済の向上のためには、これは大きく私どもは踏み切って支持をすべきものであろうと考えます。需給状況につきましては、たとえばもち米あるいは陸稲、こういうふうなものに対しまして、すでに在庫がもう飽和状態になっておる。そういうものに対しては、原案に御提出いたしましたような手かげんを実は農林省としては考えるわけでございまして、基本の水稲そのものに対しましては、生産費の補償を何としても実現をいたさねばならぬ、こういう考えで平均生産費を考え、偏差を取り入れて反当石数の引き下げをして御提出をしたような状況でございます。御質問の御趣旨は、将来の問題も含んでの大問題でございますので、今日の御提案のこの時点においては、私最後に申し上げたような趣旨で、生産農家を何としても守らなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  11. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 この時点におけるお話といたしましては、よく了承をするのであります。私申し上げました趣旨は、需給の実勢を考えていくとか、一般の経済事情を見ていくということは、必ずしもその米価が高くなることがいかぬ、安くなっていくべきだという趣旨で言っているわけでは決してないわけであります。適正な生産費を補償するということは、これは日本の農業の実態からいって当然のことなんです。将来、常識的にいえば、いろいろの面で行なわれておるように、生産性の向上と合わせまして、私は日本の米といえども生産費は下がっていくべき方向にあると思う。従って米価というものは下がっていくという一応の方向をとるであろう。それを今度はこの案のように、所得補償方式を取り入れて、一つの突っかい棒を、何といいますかね、採用しておる、これもよくわかります。それにしても、生産費方式一本で、それに非常な重点を置いていくということが、必ずしもこれから先の日本の米作農家の立場からいっても賢明ではなかろうということを申し上げたのであります。いろいろ将来にわたりまする大きな問題でありますので、政府におかれましても、十分一つ御検討を今後お願いしたい。  それから次は、いずれにいたしましても、生産費所得補償方式が採用されて、一つ米価政策の上においては画期的な時点を画するわけであります。とすれば、戦争以来今日まで、この米価に、生産価格に関連し、いろいろの問題が付属的にあったことは御承知通りであります。それらについて、できる限り合理化をするといいますか、すっきりした姿に持っていくということは、これは当然のことであろうと思いまするし、一般消費者大衆においても、そういう面については相当の私は期待をしておると思う。これは当然のことだろうと思う。多少基本的な生産者の価格が上がるということは、これは一応納得し得る。しかし、関連してあるいろいろの問題については、納得しかねる点が多々ある。そういうものはこの際に一つすっきりしてもらいたいということは、これはまた一般国民の偽らざる私は率直な気持であろうと思う。それに対して政府としては、今政務次官お話のように、早期栽培米陸稲もち米等について若干の何といいますか、是正をされ、私はその内容について多いとか少ないとかいうことはここで申し上げる気持はありませんけれども、その考え方としては、国民のそういう面べの期待に沿うのであってけっこうなことだと思います。これは一般の消費者だけじゃなしに、農村における普通の堅実な農家といいますかね、まじめな農家においてもやはりその気持を持っている。いつまで一体こういうことが行なわれるのであろうか。もうどうせこれは長くないのだろうというふうな気持を実際持っておる。そういう農村の、いい意味での私は隠れた期待に沿うことであろうと思います。程度についてはいろいろこれは問題はありましょう。それには触れません。ただ、ここで私一つお伺いしたいのは、その中で一等大きな問題は時期別格差の扱い方であろうと思います。時期別格差は御承知のように、当初は非常に食糧事情が緊迫した時代において遅配、欠配が続いて、主食としてイモなり雑穀も配給しなければならぬという時代に、とにもかくにも、端境期の大きなギャップを埋めるためにとられた早場米に対する対策であったと思います。十分の合理性があった。十分の合理性があったのでだれ一人それに対して文句を言った者はないのであってそれは当然のことであったろうということであったと思います。その後情勢が相当変わって参りました。今日においてそれは当然のことだという感覚は私は全国民にないと思います。だれもこれは合理的、必要であろう、当然じゃなかろうか、無理ないじやなかろうかという気持を持ってこの時期別格差に取っ組んでいる者はそうそう私はないであろうと思います。特に数年前に、当初の早場米奨励金というものが時期別格差という言葉に改められた。そのとき、私はたしかこの委員会においても質問したことがある。この奨励金的性格のものを格差という名前を使って米価の性格に変えるのかどうか、その点をはっきりしてかかる必要があるんじゃないかということを御質問したことがあると思うのでありますが、現在これが米価であるのか、米価的性格のものであるのか、単作地帯に対する奨励金、あるいはやはり早期供出集荷に対する奨励金的性格のものであるか、ややはっきりいたしません。政府としては、今度の価格形成の実態を見ますると、これは米価であるとして九千九百七十四円から一応差っ引いて、そして再配分をしておる。これは米価であるという解釈をとりますれば、政府のやり方はそれなりに私は正しいと思います。米価であるという考えをとれば今度のやり方は理屈的には正しいと思う。しかし、これは米価だと割り切ってしまうこともやや困難であろうと思う。そうかといって現在の段階でなお昔のように、いやこれはやはり早く出してもらうための奨励金的のものだと、あるいは単作地帯に対する奨励金的のものだというふうに従来の考え方をそのまま強調することにも無理がある。両方の性格が私はまじっておるというふうに見るのが一等妥当であろうと思うのであります。先般来、御承知のように、九千九百七十四円に入れてそれを出して再配分するのがいいのかどうか、別建にするのがいいのかいろいろ議論のあった点であります。しかし、私はそういう議論の前に、これが米価的性質のものであろうと、あるいは励奨金的性格のものであろうと、それが両方まじったものであろうと、いずれにしても一体そういうものの必要性がこの段階においてどこにあるのか、そのものの妥当性というものは一体どこにあるのかということがまず本質的に検討さるべき時期じゃないか。今度は当然その問題に触れなくちゃならぬ私は責任といいますか、任務が政府当局にあるんじゃないかということを実は期待をしておったのであります。ところが、一応米価という形をとって入れちゃって、それを出して再配分をするということ、私はこの行き方というものは、将来の米価のあり方の上に非常に災いを残すということを実は憂慮するものであります。この際に少なくとも、全部の解決がむずかしいにしても、何らかそれに対する改善の施策というものをあわせて考えられるべきときであったと思います。これをほおかぶりをして、しかも一応、基本米価というか、生産費補償方式を採用してその中に入れてしまったということには、ややというか、少なからず失望をしておるものであります。合理性がない。それが必要性がないということだけであればまだいい。現実は不合理になりつつある。これは御承知通りなんです。ことに西南暖地早場米だけを考えましても非常に不合理であります。大野さんの言われるように、これは米価だという考え方をかりにとるにいたしましても、現在この案はそうなっておるのだけれども、一応生産費補償方式を採用しながら、ある地帯においてはそれにプラス五百円くらいの米価水準が上がる。ある地帯においては加算金がわずか五、六円か七円くらいしかつかない。結果において生産費補償方式による数字よりも相当下回った米価水準になる。ある点においては、日本全体を通じて若干の差があるということはこれは当然であろうけれども、今度のようにはっきりした生産費補償方式による米価算定て、その米価がある点においては五百円も上だ、ある点においては二百円も割るのだというふうなことで、はたして災いを将来に残さないかどうか、私は非常に心配をするものであります。従って、この案を政府はお出しになったのだけれども、これから先一体——米価の問題としてでもいいですよ、政府としては米価とされているのだから。一体これをどういうふうに将来一つ考えていかれるのか。その点を一つ、これは私は非常に大きな問題と思いますけれども、はっきりしていただきたい、こう思うのであります。
  12. 大野市郎

    政府委員(大野市郎君) 大へんむずかしい問題でございまして、私の申し上げることが御理解願えないことを心配いたすものでありますが、経過的に考えますと、確かに奨励金の名前で始まったものでございます。しかし同時に、御承知のように米が自由にありました当時でも、たとえば農林一号のごときは軟質米の代表でありましたが、これは早々と九月前に出まして、新米で食用にいたしますには非常に味のいい御飯ができ上がるというので珍重された時代をわれわれも記憶しておるのであります。従って、いわゆる早場米が味つけ米として自由経済時代に高い値段で取引せられたことも事実でございます。その後に端境期に不足を来たすというような食糧事情から、政策的にさらに政府は力を入れて西南方面までそれらの早くできる品種を奨励したのも事実でございます。でありまするから、これに対するものが奨励金的な名前で最初出発したことも間違いがございませんのですが、すでに受け取る側の生産者の側になりますというと、それを作って売り出して手にもらう金というものは、実はもはや米価そのものであるというふうにもう考えちゃっておりますので、理屈で、理論の上で割り切っていきますというと、奨励的な意味合いがあるからこそ、歩どまりの悪い、水分の多い、味もいわゆる味つけ米として使えないような、本来の味に合ったものと違った形の製品が政府の買い入れ米の中へ入ってきているので、いろいろなお説が出て参ったわけであります。でありますのでその味の問題、それから従来の早場的な性格を越えて十月過ぎまでそれらが取り入れられるという問題、時期をいつに区切るかというような問題で、合理化の余地というのは確かにお説のようにあるようであります。それらも実は農林省におきましてもいろいろ検討をいたしておるのでございますが。何せ当面毎年とにかく手取り米価としてそれらの諸君が手に入れておるのでありますから、合理化合理化といいますけれども、かわるべき安心感を与える余裕なくしてそれらの問題に行政としてすぐ飛びつくことにちゅうちょいたしたのも事実でございます。従いまして時期別格差の問題は今回の生産費調査という内容の中には、そういう早場を作る地帯も入っておるわけでございますので、この際は最低の補償を生産農家にいたすのだという見地で、九千九百七十四円の三年間平均の数値を割り出しましたので、時期別格差のつきます地帯に対しましては、その最低補償総額の中から分けてお支払いをいたしたい、こういうのでございます。従って御指摘の時期別格差の将来に対してどうするかという点につきましては、これは農林省でまだきまったわけでございませんので、その点は農林省そのものの意見とお取り願うようには私は発言ができないかもしれませんが、従来の早場の必要であったこと、それから端境期にそれほど急いで米を埋めてもらわないでもいい時期がきておるとするならば、それらに対する時期の区切り方というようなことで、合理化の道が一つ手探りで出るのじゃないかという、このような感じを持っております。そのこと自体を省議として御発表する段階でございませんので、私見の一端だけをつけ加えさしていただきたいと思います。
  13. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 これから先は議論になりますので、私は控えるつもりであります。次官の言われるいろいろ経過とか、本来の持っておった早場意味合い等を私無視するわけでは毛頭ございません。しかし、現実は当初の実態と非常に変わっちゃって姿は一変しておるということ、生産費所得方式というもので百パーセントではございませんが、今回相当の面まで生産をカバーするという措置をとりながら、結果において現われてきたあれを見ますると、二百三十円というけれども、これは全国ならした、全体の生産量に対する政府に入るいわゆる販売量全体にならした数字であります。これを個々の県に還元いたしてみますと、非常に大きな米価としての差がつくのであります。その県自体で二百三十円をそれぞれ配分するのであればこれまたお説の通りでいいのです。ところが二百三十円というものは全国から出し合うわけであります、そして県別に配分する、それは米価である、こうなりますと、ある県は補償された生産費を割って負担をしなければいかぬ、ある県は政府がこれは適正だと補償した生産費よりもはるかに上回った米価になる、そういうことは不合理である、この時点においては私は従ってすぐにこれを全廃しろとは言っていない、そういうことはできない、そういう地帯の農家に対しても、そういう不親切なことはできない。しかし、いつまでもこういう不合理は、全国的な観点から考えれば適正ではないぞという考えは、農林当局として当然この機会に私は持たれるべき方針であろうと思う。すぐにどうこうはむずかしいにしても、これはこのまま適正なんだ、これはすでにそういう地帯の、あるいはそういう県の手取り米価としては確保されているのだということを頭から容認してかかるということは、私は政府当局の考えとしては妥当ではないということを申し上げておるわけであります。これで私の質問を一応終わります。
  14. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 求める価格の基礎になります点につきましてお尋ね申し上げたいと思います。九ページの説明によりますと、評価がえ反当平均生産費が過去三年の平均数値をとっておられます。ただここで当然問題にならなければならないのは、昨年五月のパリティと本年五月のパリティにおける差が少なくとも三以上あるということ、それが過去三年の平均値をばここで出しておられる、この考え方がはたして妥当であろうかどうか、しかもこれは農民の側から考えれば少しおかしいのではなかろうか。ほんとうに納得ができるような説明が私たちにおいてなさるということは、これは困難ではないか。こういうことを一つ考えておるわけですが、いろいろと政府におかれましても、これについての計算されたもっと突き詰めた議論というものがあるはずだと思いますので、それの御説明をお願い申し上げたいのであります。  次は分母になります例の平均反収から標準偏差を差し引いた二石三斗四升、この数字でございますが、これにしましても三十二年は二石七斗で標準偏差は四斗七升、三十三年は一石七斗九升で標準偏差は四斗六升、三十四年になりますと二石九斗一升だが標準偏差は相も変わらず四斗六升と、ほんとうにそうであるのであろうかということ、私たちはもっとこれを立証していただくような資料の上でないと、ちょっとこれだけでは判断がつかないのでございますが、まずその点について、少し数字的になって恐縮ですけれども、お尋ね申し上げたいのでございます。
  15. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 最初の点はパリティ指数が上昇しておるにもかかわらず、米価は必ずしも上がっていないというふうなことであろうかと思いますが、従来とっておりましたパリティ方式によります場合は、簡単に申しますと、農業パリティ指数の上昇率がそのまま米価に反映するという結果になるわけでございます。それで本年の場合もこれを考えますと、パリティ指数が比較的上がっておるために米価も高く出るなら、パリティ指数が下がっているときには非常に低く出る、こういう結果になるわけでございます。一方生産費所得補償方式をとりました場合には、これは御承知のように生産費を基礎にいたしまして、その中の家族労働部分を都市労賃評価がえいたしまして算定いたすわけでありますが、この問題は結局は石当たり生産費でございますので、結局反収で割るということになるわけでございます。従って労賃物価の変動が、反当の投下費用に及ぼす影響と同時に、反収の伸びというものがまた大きく石当たり生産費をきめる要素となって参る、こういう関係にございますので、パリティによる米価の動きと、所得補償方式による生産費計算の場合における米価の動きというものは必ずしも一致しないということは、方式の性質上やむを得ないことだ、このように考えておるわけでございます。  それから、標準偏差があまり変わっていないじゃないかというふうなお話でございますが、これはもちろん、現在の米の生産の実情からいきますと、平均反収は、いわば全国農家反収平均をしたものというふうに考えられるわけでございまして、標準偏差が大きくなるか、あるいは縮まるかということは、結局、平均反収と、そこから個々の農家がどの程度平均反収から離れた反収であるか、どの程度の反収の距離があるかということによって、この標準偏差の大きさが変わってくるわけでございまして、今後、土地改良が進捗する、あるいは低生産地帯の生産力も上がる、あるいは技術改良も普及をしていくということになりますと、平均反収のところに全国農家がだんだん歩み寄ってくる、こういうことになりますと、標準偏差はだんだん縮まるというふうなことになるわけでございます。また、逆にそれが大きくなるということになれば、標準偏差は開く、こういうふうな関係になるわけでございます。現在の段階におきましては、この三十二年から三十四年への傾向を見ますと、徐々にではありますけれども、やや縮まってきております。これはむしろ、技術なり生産条件に大きな変化がない限り、標準偏差は大きく動くということはむしろあり得ないところでございまして、現在の生産における技術なり土地改良の進捗状況からすれば、きわめて徐々にではあるが、若干は縮まっていくというのが常識的でありまして、この標準偏差の数値におきましても、そのような常識を裏づけておる数値が出ておるわけでございます。この数値を具体的にどう立証するかと申しますと、これは非常にこまかな資料でるる御説明申し上げないとなかなか厄介なのでございますけれども、簡単に申しますと、全国生産量を全国の作付面積で割りますと平均反収状況が出て参るわけであります。この平均反収に対して、個々の農家はどれほど反収において違いがあるかということを求めます。その際に、統計上の処理といたしましては、要するに中心からの距離がどのくらいあるかということを求めますわけでございまして、その距離の全体の平均を求めると、こういうふうにいたすわけでございます。実際の処理といたしましては、その距離と距離を自乗しましたものを平方根を求めるというような、数字上の操作があるわけでございますけれども、それは一般に統計上用いられておる操作でございまして、そのように出てきます標準偏差の中に入る反収というものは、異常なものを除いた正常な振れであるというふうに一般に理解されておるわけであります。で、この諮問の趣旨にございます適正な限界というふうな、適正を求めるということは非常にむずかしいことでございますけれども、一般に用いられております統計的処理によってその適正な限界を求めたわけでございまして、現在、農林省の中でも、たとえば現在、小作料統制がございますけれども、小作料統制をいたします基礎の計算といたしましては、本来、小作料統制の趣旨が、小作農に適正な所得と申しますか、収入を保有せしめて、残余を地代とする——小作料とすると、こういう考え方計算によって統制がきまっておるわけでございますが、その際に、小作農の収入を見ます場合に、平均反収で見ないで、やはりこの標準偏差の低いところにある反収を小作料の適正な小作農家と考えておるのだと思いますが、その反収をもとにいたしまして収入計算をいたしましてさらに都市労賃標準の評価がえをして残ったものを統制小作料として地主に払うと、こういう計算をしておる例もございます。そういうこともございまして統計的処理ではございますけれども、正常な振れと申しますか、非常に異常なものを除くというふうな意味でこの数値を用いました次第でございます。
  16. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 それではもっと具体的に御説明をお願い申し上げたいのですが、平均生産費が二万三千三百四十円ですね、この中に含まれておる物材費が幾らであるのか、雇用労賃が幾らなのか、家族労賃が幾らになっておるのか、それから政府が引こうとされる副産物収入を幾らと見ておられるのか、それから地代はどうなっておるのか、資本利子はどうなっておるのか、租税をどう考えておられるのか、こういうことを差し引きされて結局出るのが二万三千三百四十円だと判断しております。その数字一つ説明をお願い申し上げたいと思います。
  17. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 実は配付する資料を用意して参りませんでしたので、非常に口頭で恐縮でございますけれども説明申し上げます。  三十二年、三十三年、三十四年と計算をいたすわけでございますが、資料がございませんので、一応三十二年をどういうふうに計算をして用いておるかということについて御説明申し上げますが……
  18. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 ちょっと……平均額でしょう、結局二万三千三百四十円は。それは三カ年の物材費は物材費で、家族労働は家族労働平均をとったはずです。その平均値をおっしやればいいのですよ。
  19. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 二万三千三百四十円と申しますのは、三十二年、三十三年、三十四年の統計調査部調査をいたしました原生産費というものがございます。この原生産費と申しますのは食糧庁が米価算定に用いますものと違いまして、統計調査部で実施をいたしたもので、たとえば家族労働につきましては、日雇い賃金で評価をいたしたものができ上がっておるわけでありまして、私ども米価算定に用います場合には、それをいろいろ修正をいたしまして、もし三十二年なり三十三年、三十四年のような生産の形を現時点において行なったならば幾らの生産費につくか、こういう計算をいたすわけであります。これを評価がえと称しておるわけでありまして、それをやりますと、昭和三十二年が二万三千二百十七円、昭和三十三年が二万三千四百五十七円、三十四年が二万三千三百四十七円という計算になりまして、これはこの三カ年の生産の形をもし現時点においてやったならば幾らになるか、こういう想定計算によりまして、その三つの数値を平均したものを二万三千三百四十円というふうに計算をいたしております。もちろん各年の今申し上げました生産費を出すのには、その年に家族労働を幾らに見たか、あるいは副産物を幾らに見たかという数字がございますが、実はその三カ年について各費目を平均したものを今持っておりませんので……。
  20. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 最も近いものをおっしゃればいい、三十四年を……。
  21. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 三十四年について申し上げますと、物材費につきましては七千二百七十五円というふうに見ております。それから間接労働費、すなわちこれは自家労働で自給物を生産した場合の家族労働時間に費用を掛けたものでございます、都市労賃を掛けたものでございますが、二千三百三十円。それから雇用労働費でございますが、これは千一円。家族労働費は一万二千三百二十九円、以上合計いたしますと第一次費用といたしまして二万二千九百三十五円になります。いずれも反当の費用でございます。それから副産物の価格は二千百五十七円の収入があるというふうに考えております。それから資本利子につきましては千三十七円、地代につきましては千百五十四円、租税公課につきましては三百七十八円、以上合計しまして三十四年の反当生産費は二万三千三百四十七円ということになります。
  22. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 もっと突き詰めてでございますが、そうしますと、間接労働に要した男の時間が幾らか、あるいは雇用労働は男に見積もって何時間で幾らか、こういうことが基準になっているわけなのですね。なぜ私がかようなことを質問するかといいますと、実質農家で農民が米を生産する場合の労働時間というものが、政府がお考えになっているのとはたしてマッチしているのかどうか、この辺がいつも農民が非常に疑問を持つところだから、これをもっと究明しておいた方がよくはないかという考えの上で質問いたしておりますから、どうかお願いいたします。
  23. 亀長友義

    説明員亀長友義君) ただいまの家族労働費の計算に用いました家族労働時間は、昭和三十四年の米生産費調査統計調査部の行なったものに現われました百五十四・五時間というものを採用いたしております。これは統計調査部生産費調査に現われたものそのものであります。それから家族労働の間接労働時間につきましては、二十三・八時間というのを採用いたしております。これを今の家族労働費、間接労働費に直します場合には、家族労働費につきましては、都市男女込み製造業の平均賃金にこの時間数を掛けたものでございます。この労働時間は、家族労働時間につきましては、男女通算の時間と相なっております。間接労働の時間には男子の労働時間というふうになっております。従いまして都市労賃適用いたします場合に、家族労働時間につきましては、都市男女込み平均賃金適用いたします。間接労働時間につきましては、都市の男子の賃金を適用する、かようにいたしております。
  24. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 関連してちょっと伺いたいのですが、そうすると今の谷口さんの御質問のお答えを聞くと、三十二年が二万三千二百十七円、三十三年が二万三千四百五十七円、三十四年が二万三千三百四十七円である、こういうことになっておる。これはいろいろな一つの前提に立って評価がえをして求めたところの数字である。それを三年平均した、こういうことなんですね。私はそこでこういう疑問が起こるのですが、それはどうなんでしょうか。それを算術平均しないで、この三年間のベースを各年ごとの評価がえ生産費を基礎にしてそうして各年ごとに米価算定して、そうして算術計算をするために三つに割る。そのもう一つ前に、あなたたちがやる前にもう一つクッションがあって、その年々のこれは平均反収ですか、それでそのものを割って年々違うわけですね。これは出てきたものをそのまま割っている。ところが、それじゃちょっと算術計算をそこでするのはおかしいので、その年々の生産費が、反収が違っているのだから、その年々の違った反収でそれを割って答えを求めるということの方が私は正しいやり方だ、こういうふうに思いますが、それに対してのお答えはどうですか。
  25. 亀長友義

    説明員亀長友義君) これはもちろんただいま委員長からお話のありましたような方法もあると思います。ただ考え方といたしまして、先ほど総務部長から今回の算定方式考え方につきましてるる御説明申し上げた通り、結局米価をきめる場合には、石当たり幾らできめるわけでございまして、その価を求めるためには反当費用を反収で割らなければ出てこないということは言うまでもないところでございます。ただ今回の算定方式趣旨といたしまして正常な通常農家の費用としてどういう反当費用をとるべきかということをまず第一段にとらえているわけであります。その反当費用をとらえる仕方といたしまして、過去三カ年の反当費用をとらえるということをいたしておるわけであります。この反当費用を求める過程におきまして当然過去三カ年の反当費用を平均する、こういう考え方が成り立つわけであります。それから反収を求めます場合に、やはり適正な限界農家という答申趣旨にかんがみまして、低いところの反収を採用いたしておるわけでありますが、その低いところをどうして求めるかということになりますと、やはり過去三カ年の傾向なり、経緯を見て、その平均のところで求める、こういう考え方に立っておるわけでありまして、結局要するに、これは算定方式考え方と結びついた計算過程をとっているというふうに考えております。
  26. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 私は、それはここで議論をいたしましても、これは平行線になりますからもう議論はやめますが、とにかく生産構造というものは年によって違うのですよ。一定生産構造ではない。それを単純に足して三つに割るということだけで純粋な生産費が求められると考えられるのは、ちょっと私はおかしいと思う。それはそれぞれのその年々の性格がある。稲には、米を作るための生産構造にいろいろなそれぞれファクターが変わってきている。従って、その年々反収が同様でない。その同様でないことによって求めたところの反収生産費を一石当りに割って基本米価生産費を出そうというためには、それぞれの構造の違ったところを反映さすというためには、それぞれの年の反収によってそしてそれを割ってそしてそれぞれの構造の違い目から求めてくるということが合理性じゃないかと思う、これは算術上の問題だが。私はこれでここであなたと議論をしてみてもどうにもならぬと思いますから、私はいたしませんけれども、そういう議論があるということは、後年これを採用しなければならない、また私は研究に値する問題ではないか。ただ算術で三つ足して三つで割ったというのじゃ、この複雑な生産過程における生産構造というものの反映をしておらない、こういうふうに存じます。そのことだけ申し上げておきます。
  27. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 非常にみみっちい質問のようで恐縮ですが、この副産物収入二千百五十七円見ておられる。副産物とは何ぞやといえば、これはわらと砕米、結局くず米だと思う。そうすると、この二千百五十七円の中にわら代を幾らお考えになり、くず米が幾らで、かりにくず米が何キロ出たら一キロについて幾らの飼料かと計算されて出された数字が、根拠がなければならないはずなんですね。と申しますのは、非常に疑ってかかるようで申しわけないようですけれども、やはり農家はこういうところにややもすればごまかしがあるのじゃないだろうか。まさかそういうことはないだろうけれども、どうもわれわれの考えたところでは、そんなに、副産物の収入としては少し多過ぎやしないかという議論がいつも出る。だから、これもはっきりしたものを聞きたいのですが、その点はどうなっておりますか。
  28. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 二千百五十七円の昭和三十四年米生産費調査に現われました数値をそのまま採用しております。三十四年の米生産費調査もちろん統計調査部の行なったものでありまして、少し話がこまかくなりますけれども、くず米につきましては、反当でございますけれども、十二キロ三百五十二円で売れた。それから稲わらにつきましては五百四十七キロ、千七百十六円で売れた。しいなが十四キロ、六十六円、もみがら八十五・七キロ、二十三円という計算でございます。私が今売れましたと申し上げましたものは、現実に売れたものも、自給物で消費をいたしましたものも評価をして計算してございますという意味で、この全部を販売したという意味ではございません。統計調査部調査数値をそのまま採用いたしております。
  29. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 どうもほかの委員の方もはたして納得されるかどうかわかりませんけれども、反当のわらが五百七十四キロとれるとれないは別問題にいたしましても、それが千七百十六円ではたして取引されておるかというと、おそらく私はそういう値段でわらは取引されていないと思うのです。こういうことについて、今、あしたから米審にかかろうとしている非常にせっぱ詰まった段階ですから、今日はこれでおきますけれども、やはりほんとうにわれわれが知りたいことは、しかもほんとうに農民が納得できるような努力をお互いしていかなければならないのだが、そうする場合に、ほんとうに今言われる千七百十六円のわら代というものが反当たりあるのかどうか。これは私はやはり、今後の研究課題としてお互いがもっと突き詰めて考えないと、すぐどうも企画課長のなんでは、統計調査部がこう出しているのだから、統計調査部が出しているのだからとおっしゃるけれども統計調査部自体の調査が、ほんとうにわれわれが信じられるかどうか。あの人たちが、ほんとうに自分たちが耕作をして、わらを打ってみて、政府はそういった試験場をあっちこっちお持ちなんですから、そういうものがほんとうにそれだけ売られたかどうか。われわれは決算をしておりますから、決算の場合で調べたらわかることですよ。だから、こういうところがほんとうに農家が納得する価格であるかどうかということは、私はやはり何か問題が残るような気がしてしようがないのですが、将来もっとこのことについては研究してくれませんか、私たちもやりますから。これで終わります。
  30. 青田源太郎

    青田源太郎君 もう時間がないので、簡単に三分間だけ、政府の今後の考え方一つ猛反省を私がしてもらいたいと思うことを要望なり意見を申し上げます。  実は、一昨日来の農林省の米価の発表につきましては、農民はほんとうに落胆と政府に対する非常な不満の感情を持っておると思うのであります。と申しますのは、私どもこの発表を見て驚いたのでありますが、従来米価が他の物価に対してあまりにも生産費が補償されないということで、パリティ指数ではどうも不満である、何とかしてわれわれの生産費が償うところの生産費補償方式でやっていただきたい、こういうことで従来叫んできたのであります。ところが、それを今度は米審においても、そういう答申通りにやるということで、その方式に期待もしておるし、その結論に大きく私どもは期待しておったのです。ところが、この現われた数字を見ますると、全く昨年より値下げという事実になっておるわけであります。昨年は平均が一万三百三十三円、ことしは一万三百五十五円、二十二円のプラスと言うておるけれども、実際去年より、見ていなかったところの庭先の運賃を織り込む三十円を引くと、逆に十円の昨年より平均価格を引き下げたというのであります。こういったことをはたして農家が納得できるか。今総務部長の話を聞きますと、食糧が非常に緩和しておるので、そういうことも見込んでこういう価格に考えていかなければならぬというふうなことをおっしゃっているけれども、食糧が緩和しておるということであるけれども、ことしの麦の価格は五十円なり五十八円を引き上げした。この事実の直前において、麦は引き上げるけれども、米は引き下げるということなら、何ら農家にとって意味をなさない。こういう点から、私ども考え方は、今食糧が多少緩和したから、すぐさまそのしわ寄せを農民にするというような考え方でなしに、終戦後今日まで食糧が非常に不足してきた、農民の努力、農民の苦心によって日本の国民がようやくして今日食糧がまかなえたという、この感謝の気持から考えても、政府がたちまち食糧が緩和したからすぐさまそれを農民にしわ寄せするというような考え方米価をきめるということは、僕は根本的に間違いではなかろうか、こういうことを思うのであります。従いまして、私どもは、そういうパリティ指数と補償方式と、こういうことにつきまして強く願ってきたのは、そういうパリティ価格が不均衡であるから、補償方式で出してくれと、こういう気持で農民団体があげて一万一千四百円という要求をしておる。これは僕らが見ると何ら無理のない要求である。しかるにもかかわらず、一方的に、そういう食糧が緩和しておるからパリティ方式を下げるというような、無理にこじつけたような算定方式を出して、そうして基本米価を出しておる。その基本米価から、米価に値すべきでないような時期別格差とか、あるいは歩どまり加算、こういうものを引いて、そうしてこれを基本米価で出しておるというような、こういう根本方式を私は考え直していただきたい、こういうことを強く政府に要望いたしたいのであります。そうして、それがどうしてもできぬということなら、今の算定方式によりますところのいわゆる時期別格差、あるいは歩どまり加算、あるいは申し込み加算金、こういうようなものも、いろいろこれが取捨してありますけれども歩どまり加算を減らすとか、あるいは申し込み加算金を減らすというようなことは、これはどういうところからそういう根拠が出ているか。政府が予約をすることについては、政府は目的を一日も早く達したい、食糧がまだ絶対的に不足しているのだからという気持があれば、申し込み加算金を減らすというようなことはさらにないと思う。また、この時期別格差をこういうふうに見るというのであるなら、食糧が緩和しておるとか、よいものを歓迎しておるとかいうなら、歩どまり加算は、これは大幅に引き上げることが合理的ではないか。そういうことを何しまして、ただ時期別格差だけ多少やっておるとか、あるいは歩どまり加算を減らしておるというような考え方は、これは根本的な考え方であるので、私は、この基本米価算定方式を政府に根本的に考えていただいて、ほんとうに、米一石どんな米を作っても、これは生産費はこれだけである、われわれの労力はこれだけであるという補償の償えるところの算定方式を出して、そうして農民に簡単に説明のできるところの基本米価を出していただきたい。世界の各国を見ましても、農業の施策に対して保護政策を加えておらない国はどこもないのであります。世界の一等国も、あるいは米欧のどこの国に行きましても、農民に対する保護政策を加えておる。ただ日本だけが農民に対して何らそういうあたたかみがない。米は原価で買うのだ、あるいはそういうふうな一方的に、余るから値下げするのだというような考え方で米の値段をきめていくということは、私は絶対的に反対であるということを申しておきたいと思います。
  31. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 だいぶ話が進んだから、今求める価格が九千九百七十四円ですね。それからいろいろなものを——時期別格差であるとか、歩どまり加算であるとか、運搬費を引いたものが九千七百四十五円である。今例を時期別格差にとって見まするというと、最高の近くはどこであるかといえば、北陸です。これは平均して石当たり五百九十五円、それから九州は九十円、その差が五百円あります。それで、ここでは二百三十円というようなことになっているけれども、こういうふうな数字を加減したならば、ある地方においては生産費を補償するところの価格になるかもわからぬが、ある地方においては生産費を割る価格になってくるのです。そうしてみると、米審で要求した生産費補償方式の金額にはならないのです。こういうふうな点は十分に考慮して最後の結論を出していただきたいと希望を申し上げておきます。またいま一つ西南暖地早期栽培米、これに歩どまり加算を百五十キロ、六十円のを減ずるから、昨年では三十円が今度二十九円になった、こういうふうな数字だろうと思うのでありますが、もしそれを可と認めたといたしましてでも、東北地方の米の検査規格と西南暖地の米の検査規格とについては、検査規格において水分が一%だけ差がある、であるからもしもこれを六十円だけ減ずるとしたならば、検査規格も同一にせなくてはいけない、検査規格はそのままにしておいて、歩どまり加算だけを減ずるということは片手落ちの政策であると私はこう信ずるのであります。であるから西南暖地早期栽培米歩どまり加算というものを減ずるということであれば、検査規格を直ちに改めて合理的なものにせなくちゃできない、こういうふうに考えるのであります。この点については一つ政府の意見を求めます。
  32. 岡崎三郎

    説明員岡崎三郎君) 第二点の早期米格差につきまして、もし歩どまり加算をつけないということにするならば検査規格も改訂するのが当然ではないか、こういう御質問でございますが、実はこの価格とそれから検査規格の関係でございます。確かに今先生のおっしゃいましたように、価格の方をいじるならば、もし昨年つまり前年以前と同様の農家手取りということをまず主眼点として考えますならば、確かにこれは検査規格を改正するということが当然のように思いますけれども、御承知のように現在のいろいろな、たとえば陸稲でありますとか、そういうようなものにつきましては、実は検査規格と価格というものは直接関係づけてやっておるわけじゃないのでございます。御承知のように、たとえば陸稲などはこの水稲に比較いたしまして、ずいぶん低い規格になっておりまするが、買い上げにつきましては一等は一等並み、三等は三等並みというような実は買い方をしておるわけでございます。今回早期米格差につきましてもいわゆる検査規格というものと、それから価格というものは実は端的に直接全部結びついておるというわけではございませんので、従って歩どまりにつきましては、さっき申し上げましたような観点から、その他の品質あるいは食味その他の点は差しおきまして、やはりこれはどういたしましても歩どまりが低いということの実態が明らかになりましたので、それでこの分につきましては低くいたしたい、こういうような考え方でございますので、従ってこの際検査規格も変えるというようなことは実は私ども考えておらないのでございます。
  33. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうするというと、西南暖地早期栽培米に対するものと別な、早く出したところのものと同様に歩どまりが少ないから、歩どまりが悪いから歩どまり加算金をつけないというのであるから、歩どまり加算金をつけないところのものの検査規格というものは統一せなくてはいけないのじゃないか、検査規格は統一せずして西南暖地にのみ無理な検査規格をとっておいて——方の方においては歩どまり加算金を減じ、検査規格は従来の通りだというようなことであれば、どう考えてみてでも片手落ちじゃないですかね。
  34. 岡崎三郎

    説明員岡崎三郎君) 実は先生も御承知通りと思いまするが、実は歩どまりというのは、ここでいう歩どまりは、搗精歩どまりでございまして、その搗精歩どまりにつきましては、現在の検査規格には実は条件になっておらないのであります。御承知のように、これに類似したものとして水分含有量が検査規格には入っておる、実は水分と歩どまりという関係は非常にむずかしい問題になるのでありますが、実は水分と歩どまりは直接はその関係がないということになっておるわけでございます。
  35. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 その点はわかります。
  36. 岡崎三郎

    説明員岡崎三郎君) 従って私ども歩どまり加算であるとか、私どもが政府から売却します場合に歩どまりが悪い、だから安く売らなければならない、また売れないというようなことが、これはこれを反映させようということでございますると、ちょっとこれは検査規格の問題ではなく、やはりこれは価格の問題ということになってくるのじゃなかろうか、こう思う次第でございます。
  37. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それは水分が、西南暖地のものの検査規格と東北地方の検査規格とは水分が一%違っておる。一%違っておるので、それならば西南暖地の検査規格も水分の一%だけ減ずるように規格を改めていったらいいのじゃないか。水分が一%減ずるということになれば、今度は乾燥の関係からいっても胴割れが少なくなってくる。胴割れが少なくなってくるということになれば、今度は今まで三等の米は二等になり、二等の米は一等になる、等級が一等上がってくる。ただ、水分が一%あるかないか、多いか少ないかということによって検査の結果、等級に差があるから、その検査の規格を改めて西南暖地の検査規格を水分の一%だけ減じてくれ、そうするというと、歩どまりは少ないから、減らしたってそれはその方には問題はないが、検査規格の方で水分を一%だけ減じてくれ、減ずるならば、その結果はどうであるかというと、今申し上げたように、一等級だけは必ず上がってくる、そうするというと、それで等級間の格差でカバーされる、こういうことになる。
  38. 岡崎三郎

    説明員岡崎三郎君) ただいまの水分の問題でございますが、私どもの内部にもその議論は実はあるわけでございまして、いろいろ検討したのでございまするが、やはり西南暖地におきましては、早期栽培米といなとにかかわらず、やはり一五%という程度の水分はこれは一番低い限度ではなかろうかという技術的な実は結論を得ておるわけでございます。やはり特に早期栽培米につきましては、御承知のように、真夏にできるわけでございまして、なるべく早目に私どもの方では配給に回して広くこれを早く処置したい、こう思っておるわけでございまするが、しかし、それにしても現実にはやはり年を越すというようなものも出て参ります。かなり、二カ月、三月相当期間持たなければならないこともございますので、やはり一五%、これをこえまして、たとえば一五・五%とか一六%という程度になりますると、実はちょっとカビがはえたり、持ちが悪いというような結果になるように実は聞いておるわけでございます。従ってやはり西南暖地におきましては、現在のこの検査規格にございます水分含有量というものは、いわばその土地に合致した最低の規格であるというふうに実は考えておるのでございます。
  39. 植垣弥一郎

    植垣弥一郎君 ちょっとお尋ねしますが、私のお伺いいたしたい要旨は先刻の谷口委員のお尋ねと同じ趣旨の問題だと思います。  この米価算定方式生産費及び所得補償方式による、このことはよくわかりました。従って、一番私どもが研究するに大事な事柄は九ページにある算出基礎、平均生産費という点でございまして、これが一番大事な問題だろうと思うのでございますが、算出基礎とありますけれども、これは結論の大ざっぱな基礎になるわけで、この年々の二万三千幾らというものを出した最初の算出基礎というものがわからない。先刻三十四年分につきましておのおのの費用についての御説明がありましたけれども、この費用をどういう算出基礎で取り扱ったかということは一向にわからないわけでございます。  それでお尋ねいたしたい事柄は、先刻来のお役所の説明の中に農林統計調査部数字ということがありまして、その調査部の調査の結果の数字が基礎になっているようですが、その基礎数字は、それは統計調査部の独断的な数字なんですか、その数字は農業団体と協議をしてこの数字ならよかろうということに一致した数字なんですか、それをお伺いいたしたい。この三カ年の分は、先ほどの三十四年度の分の話がありましたが、各年についてやはりお示しを願いたい。そうしなければ検討をする材料がないというような感じがするわけなんです。さらにこまかいものをお示し願えるかどうか。統計調査部数字というものは全国の農業団体と協議済みの決定した数字かどうかという点をお伺いをいたしたいと思います。
  40. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 各年の生産費の算出経過につきましては資料で差し上げることにいたします。
  41. 植垣弥一郎

    植垣弥一郎君 わかりました。
  42. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 統計調査部調査と申しますのは、現在米の生産費を二千六百戸の農家について行なっております。今度三十五年からはそれをふやしまして、五千二百戸の倍にするように相なっております。この調査はそれぞれの統計上の標本農家を作りまして、その二千六百戸の農家全国に割り振り、さらに地域の事情も織り込んで二千六百戸の農家を指定をしておるわけでございます。この農家にそれぞれ帳面を渡しまして農家にいわばメモと申しますか、あるいは野帳と申しますか、そういうようなものを渡しまして毎日の記録をしていただいて、それを統計調査部のそれぞれ出先機関がございまして、その職員が整理をいたしまして、それを統計調査部で集計をいたしたという関係のものでございます。農業団体の方と結果について打ち合わせしておるということは従来ございません。ただ調査の方法その他につきましては、農業団体の方と整備統一をしたらどうかという御意見がかねがねからございまして、昨年も種々論議を重ねたわけでございます。この米価算定にこれを修正して用います場合の資本利子の見方であるとか、労賃の見方であるとかいう、いわば評価的なものについてはかなり農林省と、米価算定に用います場合と、農業団体が米価を要求いたします場合とは評価要素においてはかなり変わっておりますけれども、現実の調査をする元の統計調査部の段階で調査をやります段階におきましてはサンプルの取り方という点におきまして違っております以外は、一切のことを記録して参るわけでございますから、それほど大きな差異があるわけではございません。しかしながら、出た数字につきましては、これはそれぞれ統計数値を集計するわけでございますので、協議の結果これを変更するということは、かえって統計の性質をゆがめるということもあるのかと思いますが、そういうことはしていないと私は聞いております。
  43. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 最後に私から要望をいたしたいと思いますが、まず、私は、農林省が今回提案されました算定方式によって算出した価格から時期別価格あるいは歩どまり加算等を引いて基本価格算定しておるのでございますが、これはいろいろの理由がございますが、基本価格として九千九百七十四円を採用すべきであるという議論が相当強くもあり、それを採用すべきである、こういうふうに思います。  次に要望いたしておきたいと思いますることは、三十三年まで家族労賃というものに対する利子係数を掛けて、家族労賃に対する利子計算というものを農林省みずからしておられたと私は記憶をしておるのでありますが、今年はそれがどいておる。これは当然農業経営の実態から考えて入れるべきものである、こういうふうに考えますので、将来考慮を要する問題だと思います。  なお、地代の問題でございますが、地代は米審におきましても実支払い小作料を基礎とすべきであるという答申がなされておると思うのでありますが、これは統計調査部が調べた地代に、よって計算をされておるのでございます。これは統計調査部すなわち役所が統制小作料という、小作料が規定をされておる現実のもとで調査をされました場合には、私はやみ小作料であるとか、あるいは申し合わせの小作料というものはなかなか計数の上に上がってこない。そういうことをおもんぱかって現実に払っておる支払い小作料というものを基礎に置くべきだという答申があるにもかかわりませず、一面、統計調査部で行なった画一的な調査にのっとってこれを計算したということは大へんあやまちである。これは当然明日から行なわれます米価審議会において是正されるものと了承いたしますが、将来農林省はその点について当然考慮を払うべきものである、こういうふうに思います。  もう一点、運搬費の問題でございますが、運搬費計算した基礎によりますと、運輸業者、また農業協同組合がこれを庭先まで集荷をいたしまするためにとってきている。そうしてみずからがみずからの生産した所から、検査を受ける農業協同組合の倉庫まで運んだというものの価を臨時雇い賃金で計算をいたしておるのでございます。私は全体を通じて都市労賃評価がえをするということが基本原則であるのにかかわらず、この賃金を新しくつけた。三十円でありまするからそのまま見のがしてもいいようなものだが、理論的には、このみずからが運んだ労賃といえどもやはり都市労賃評価がえした賃金によって計算すべきではないか。これは理論が統一しません。矛盾でございます。少くとも原価計算をし、生産費を割り出そうというこの定められた規定にこれは少なくとも反するものである、かように私は考えるのでございます。その他のものは全部都市労賃にスライド、置きかえておるのにもかかわらず、このものだけ臨時賃金によって計算をされるということは、これはつじつまが合わないことであると思いますので、この点も直ちに修正してその案を提出すべきである、こういうふうに思うのであります。その他いろいろございますが、一応これを要望をいたしておく次第でございます。  他に御発言もなければ、本件については、本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会