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政府委員(
増田盛君) それではお手元に配付いたしました
果樹農業振興特別措置法案・
政令・
省令事項(
予定)の
印刷物に従いまして御
説明申し上げます。
前回予備審査をいただいたのでございますが、それから
相当期間経過いたしておりまして、私
どもその間におきまして、
法律によって定められております
政令並びに
省令の
事項を
中心にして
内部で
検討し、さらに、しかるべき
関係方面とも折衝を重ねまして、現在の
段階におきまして、ほぼこの
内容にあるような
事項にまとめまして、これによって
法案の
施行に備えておるわけであります。大多数は大体これできめる
予定でございますが、なお技術的な
要素を多分に含んでいるものも中にはございますので、そういうものに関しましては引き続き
内部で
検討を行なっている次第であります。
まず、
印刷物に従いまして申し上げますと、一に「
果樹農業振興特別措置法施行令に定める
事項」、これは同
特別措置法第二条第一号の
政令で定める
果樹でございます。
御存じのように、本
法案を適用いたします
果樹の
種類に関しましては、
政令で定めることになっておるわけであります。そこで、
前回までに御
説明申し上げましたのは、柑橘、
リンゴ、
ブドウ、
ナシ、桃、それから柿、これだけの
種類に関しまして申し上げたわけでございましてこれは
栽培面積あるいは
生産額等がそれぞれ代表的な日本の
果樹でございますので、これに対しまして
関係方面との了解も
法案提出当時つけておったわけであります。その他にさらに若干の
果樹があるわけでありますが、これに対してどうするかという問題があるわけでございます。当
委員会におきまするいろいろな
審議の
模様等に徴しましても、できるだけ
果樹の
種類を拡大したらどうかというような御
意見でございまして、その後、
大蔵当局に折衝しまして桜桃、ビワ、クリというものを入れたわけであります。その他にまだあるわけでありますが、特に
栽培面積が小さく、従って、
生産額も小さいし、それから反当粗収入も小さい。またその上に
共同化、
集団化の効果というものもあまり期待できない、そういう
種類のもの。それから将来の需給の伸びというものがあまり期待できない、こういういろいろな
種類の
果樹がその他にも見受けられるわけでありまして、こういうものと一線を画しまして、そうして今申し上げましたような点で、それぞれ
相当な
理由のあるものに閲しましては、取り上げることにしまして、かように
政令で定めたいというふうに考えておるわけであります。
それから二に、「
果樹農業振興審議会令に定める
事項」、これは
法案の第十二条に「
審議会の
組織及び運営に関し必要な
事項は、
政令で定める。」というふうにいたすわけであります。そして
審議会の
審議事項それから
構成、
組織、任務、こういうものに関しましては、それぞれ
本法で
規定をしているわけでありますが、その
本法で
規定している以外におきまして、この
審議会令によって定めるわけであります。まず
カッコの(一)は「
委員の任期」、これは二年でございます。それから(二)は「
審議会の庶務」、これは
農林省振興局において処理する。(三)に「雑則」がきめてあります。これはあまり重要な
事項はないのであります。
それから三に「
果樹農業振興特別措置法施行規則に定める
事項」、まず
カッコの(一)の「
果樹園経営計画の
認定申請」でございます。これは
本法第五条の第一項に「
果樹園経営計画を作成し、これを
都道府県知事に
提出」するその
手続を定めておるわけでありますが、その場合に「
農林省令で定める
手続により、」というふうに
規定してあるわけであります。この
手続は「
認定を受けようとする者の
住所地を管轄する
市町村長を経由する」ということにしたわけであります。それから
カッコの(二)、「
果樹園経営計画の
記載事項」、これは法第五条第二項第七号に関するものであります。法第五条第二項は、
果樹園経営計画に掲げる
記載事項を列記しておるわけでございまして、これが一号から七号までありまして、そのうち一号から六号までは具体的に明示いたしておるわけでありますが、七号に関しては、「その他
農林省令で定める
事項」ということで、
省令に譲っているわけであります。ここでは「
果樹農業振興資金の
貸付けを受けようとする者が
果樹農業振興資金以外の
資金の
貸付けを受けている場合において、その
貸付金の
償還計画とする」というふうに定めておるわけであります。すなわち、
果樹農業振興資金というものは、これは
農林漁業金融公庫の
資金でございます。それ以外に全体の
計画を達成するために、しかるべき筋より金を借りる、
資金の
貸付を受ける場合があるわけであります。その場合のその
貸付金の
償還計画もあわせて
計画書に記載するということにしておるわけであります。
カッコの(三)は「
認定の
基準」でございます。これは法第六条に
都道府県知事の
認定の
基準に関しまして、
各種の
基準を、
各種の
事項を列記しておるわけでありますが、そのうちで第一号に「
当該計画に係る
樹園地の
面積、その
集団する
度合い及び
立地条件が
農林省令で定める
基準に適合することとなること。」というふうに定めてあるわけであります。従いまして、
農林省令で定めるものは、大体
三つの
項目に分かれるわけでございます。
樹園地の
面積がどれくらいあればいいのか、そしてその
樹園地が
集団しておらなければいかぬということになっておるわけであります。
一体集団とは何であるか、すなわち
集団する
度合い、
集団する
程度ということであります。もう
一つは、
立脚条件であります。この三
項目に関しまして、
農林省で
基準を定めてあるわけであります。そこでまず一でありますが、
樹園地の
面積に関しては「
果樹園経営計画に係る
樹園地の
面積の
合計が
十町歩以上」であるということがはっきりしているわけであります。「しかもこれらの
樹園地が、病虫害の
防除その他の
管理作業を
共通の
計画に基づき統一的かつ効率的に実施できる
程度に
集団して所在している」という、すなわち
樹園地の
面積の
合計は
十町歩、しかも、これが一団地に接続して連なっているという
要件は必要ないわけでございまして、その他の
管理作業が
共通の
計画に基づいて統一的、効率的に実施できる
程度に
集団しておればよいということになるわけでございます。
なお、ここでもう少し敷衍して御
説明申し上げたいと思うわけでありますが、申し上げるまでもなく、ここの
十町歩という
面積は、必ずしも
計画作成のときにすでに
樹園地化されていることを必要とするものではないのでありまして、将来植栽されるものを含む
計画目標達成のときまでに、
十町歩以上
集団化した
果樹園が形成されればよいものであります。
計画目標達成のとき、すなわち
計画達成年次は、大体五年ということで御
説明申し上げたと思うのでありますが、やはりいろいろな事情がございますので、おおむね十年以内ということで弾力的に運営して参りたいと思うわけであります。なお、
十町歩以上の
集団という場合に、
果樹も一
種類に限定することなしに、
病害虫防除等の
作業が
共通に実施され、総合的に
生産性の
向上がはかられるものであれば、二
種類以上を合作してもいいというふうに
取り扱いたいと考えているわけであります。
それから二の「
果樹園経営計画に係る
樹園地に係る
年平均気温、一日の
最低気温及び
降水量が
別表のとおりである」、これは先ほど申し上げました
立地条件というものの
内容に関して述べているわけであります。
別表をごらん願いたいと思うわけでありますが、その前にもう少しこの
趣旨をお話し申し上げたいと思うわけであります。すなわち、この
立地条件という
意味は、広い
意味で、いわゆる
果樹の
適地適作という概念の一部を
構成しているわけであります。本
委員会におきましても、過般の
予備審査におきまして、
果樹の
奨励をやる場合におきましては、特に
適地適作であるということを
主眼として指導するようにという御
意見が強かったように承っておるわけでありますが、この
適地適作の
一つの柱をなすものが
立地条件であります。広く解釈いたしますと、
立地条件には経済的な
条件あるいは自然的な
条件が含まれるわけでありますが、この経済的な
条件に関しましては、なかなか
一定の
基準を文章で示すということが困難であります。それほどこの経済的な
条件というものが、図式化して表わしにくいわけであります。自然的な
条件に関して何とか
規定できないかということで、いろいろ工夫したわけでありますが、特に自然的な
条件に関しましては、ことでは
気象条件にしぼって
規定したわけであります。このほかに
土壌の
条件等も想定できるのでありますが、これ本
一般的な普遍的な
土壌条件というものの
規定が現在の
科学技術の
段階では非常にむずかしいのでありまして、結局最後に、
適地というものを
気象条件だけで縛る。従って、できるだけゆるく縛る結果になるわけでありまして、
適地適作の
趣旨にもとらない限り、
一般的な普遍的な
基準を三点に求めて
規定しているわけであります。すなわち、「
年平均気温、一日の
最低気温及び
降水量」というものであります。
別表をごらんいただきますと、
果樹の各
種類に関しまして
規定されておるわけであります。「
年平均気温」は御
説明するまでもないわけでございますが、「
通常年における
日最低気温」とあります項がございますが、この
通常年におけるというものは、これは異常の年を除外しているわけであります。特に数年に一度異常な年が気象的に襲いかかるという事例はしばしば見受けられるのでありますが、そういう異常の年を除いて、
通常年における
日最低気温を
規定しているわけであります。さらに、
降水量に関しましても、四月—十月という
生育期間を
中心として
降水量を考えているわけであります。この
三つの
最小限度の
要素でこの
立地条件を縛っておるわけであります。
果樹の
種類によりましては、次のごとく
日最低気温を縛っていけば、これで大体技術的な観点からは
目的が達成されるというものもございます。それから、
リンゴ、
ナシ、その他におきまして二つの
要素で縛っておるものもございます。それから
ブドウのように
三つの
要素で縛っているものもあります。それぞれ技術的にこういう点に関しまして、一体
適地とは何であるか、
立地条件とは何であるか、それを最も
最小限度におきまして普遍的な
要素で縛る方法がないかと、こういう点でこれを掲げたわけであります。もちろん、この表をごらんいただきまして個々の
果樹の
種類に関する御議論もございましょうし、それから、大体こういう
規定を設けなくても、
農民は
自分で判断して
自分で危険な所には植えるはずがないのだから、こういう
立地条件の
基準というものに関しては必要はないんではないかという
意見もまま聞くわけでございますが、しかし、やはり
適地適作というものを推し進めて自然的な
条件を技術的に追求して参りますと、結果としては
最小限度におきましてこういう
条件になるわけでございまして、私
ども今後
果樹振興の
奨励をなすにあたりまして、やはりこういうことを念頭に置きまして
果樹の
商品性、しかも、
果樹の産地の
商品経済競争場裏におきます
激烈性、こういうものを考えますと、十分に将来ともに優良な品質あるいは反収を確保して競争できるということを目途にしまして
果樹振興をはかる必要があるというふうに考えておるわけであります。
それから四に、
果樹植栽資金の
貸付条件に関して書いているのであります。これは、
御存じの
通り、実施をする場合におきましては
農林漁業金融公庫の業務方法書に記載するという段取りになるわけであります。まず利率でございますが、利率は、年利据置期間中は六分、償還期間中は七分でございます。大体据置期間を十年償還期間を十五年というふうにして計算して参りますと、据置、償還通して六分五厘という利率ともうほとんど変わらないわけでありまして、あるいは全く同一と言ってもいい結果になっておるわけでありますが、六分五厘にするか六分・七分にするか、議論もあるところでございますが、私
ども考えるところによりまして、やはり据置期間六分、償還期間七分とした方が実際の
果樹農業者の意向からいいまして有利であるというふうに判断いたしておるわけであります。それから償還期間十五年以内、据置期間十年以内、このうちで据置期間の十年以内でございますが、
御存じの
通り、
果樹の
種類によりまして、実がなるまでの期間、さらにそれが経済樹齢に達するまでの期間、生育年数と申しますが、
生育期間でありますが、これが非常な差があるわけであります。一番長いのはミカンでありまして、一番短いのは
ブドウなどであります。従いまして、生育年数が非常に違うわけでありまして、そういう関係からいいまして、個々の
農業者が償還期に入る期間というものは、理論的にいいましてもどうしても差等をつけなければならぬという問題が出てくるわけでありまして、据置期間十年以内というこの中で、業務方法書で
果樹の
種類を二つに分けまして、据置期間をそれぞれ異にさせる必要がある。場合によりましては、こまかく議論いたしますと二つ以上に分けざるを得なくなるのではないかと思うわけでありますが、この点は大蔵省との折衝によって具体的にきまるわけでございまして、まだ未決定でございます。
以上、概略をお話し申し上げまして
説明にかえる次第であります。