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1960-05-17 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十七日(火曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   委員の異動 五月十二日委員田中茂穂君、石谷憲男 君及び江田三郎辞任につき、その補 欠として津島壽一君、林田正治君及び 亀田得治君を議長において指名した。 五月十三日委員津島壽一君及び林田正 治君辞任につき、その補欠として田中 茂穂君及び石谷憲男君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君            大河原一次君            東   隆君            森 八三一君    委員            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            重政 庸徳君            田中 啓一君            田中 茂穂君            高橋  衛君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            藤田  進君            千田  正君            北條 雋八君   衆議院議員    農林水産委員長 吉川 久衛君   政府委員    農林政務次官  大野 市郎君    農林省振興局長 増田  盛君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の  一部を改正する法律案衆議院送  付、予備審査) ○農地法の一部を改正する法律案(内  閣送付予備審査) ○農業協同組合法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○果樹農業振興特別措置法案(内閣送  付、予備審査)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正する法律案(衆第三六号)を議題といたします。  本法律案は、去る五月十一日衆議院農林水産委員会提出案として衆議院提出され、同十二日予備審査のため送付、本委員会に付託されました。まず、提案理由説明を願います。衆議院農林水産委員長吉川久衛君。
  3. 吉川久衛

    衆議院議員吉川久衛君) ただいま議題となりました積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、この法律対象となります地帯は一道一府二十四県に及び、面積にしておおむね二百五十万ヘクタールにも達し、積雪寒冷がはなはだしく、かつ、耕地の利用率が著しく低い所で、自然的、社会的、経済的に恵まれないところでありまして国民食糧供給地としてきわめて枢要な地位を占めておるのであります。  そこで、これら積雪寒冷単作地帯農業生産基礎条件を整備し、その生産力を高めますことは、この地帯農業経営の安定と農民生活改善となるばかりでなく、国民経済発展に寄与するところきわめて大でありますので、昭和二十六年三月この法律制定され、昭和三十年七月有効期限延長についての法律制定を見た次第でありまして、この法律施行以来昭和三十四年度までに、農業振興計画に基づきまして総事業費で約五百五十八億円、国費で約二百十八億円の土地改良事業を実施し、相当の実績を上げて参ったのであります。しかしながら、これまでの土地改良事業を見ましても、立法当初の計画に対しまして、昭和三十五年度予算を含めて五一%の進捗度にすぎず、しかも、残された地域は、比較的諸条件が悪く、自己負担力の少ない地域であり、また営農改善の面におきましても、農家所得増強の見地から、裏作導入田畑輪換等積雪寒冷単作地帯独自の営農形態確立のための試験研究等今後に残されたなすべき事業がきわめて多い実情であります。  しかるに、この法律昭和三十六年三月三十一日限りで失効いたしますので、この際、この法律有効期限を五カ年延長いたしましてこの地帯農業振興促進しますとともに、農家所得増強対策等についても検討を加え、この法律制定目的を達成するよう努力すべきであると考える次第であります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 本法律案審査は後日行なうことといたしまして、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  5. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 農地法の一部を改正する法律案閣法第一二五号)及び農業協同組合法の一部を改正する法律案閣法第一二六号)を一括議題といたします。  両案は、去る四月二十五日、本院に予備審査のため送付され、五月十三日予備審査のため本委員会に付託されました。まず、両案の提案理由説明を求めます。
  6. 大野市郎

    政府委員大野市郎君) 農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  農地改革及び農業協同組合法制定は、農村における民主的傾向促進農業生産力増進農民経済的社会的地位向上とをはかることを期して行なわれたのでありますが、自来十余年、最近におきまして、農民みずからの創意によりまして、農業経営合理化をはかるために法人組織による農業経営を行なおうとする動きが高まってきておりますことは、すでに御承知通りでございます。  このように農民みずからの創意によりまして農業経営合理化をはかろうとする動きが高まって参りましたことは、一面におきまして、農地改革農業協同組合に関する施策成果の現われと見ることができると存ずるのでありますが、また一面におきまして、現行農地法農業協同組合法等は、このような法人組織による農業経営発生を予想しておりませんことから、これに対応する規定を欠いておりますために、これらの動きは、これら現行の法制の整備を要請しているものと見ることができるのであります。すなわち、農地法は、農地改革成果を維持することを主眼といたしまして、農地権利移動統制をし、小作地所有制限をし、その他小作関係の調整をいたしておりますが、法人組織による農業経営を行なおうとする場合に、これらの統制規定をどのように適用すべきかにつきましては必ずしも明確ではないのであります。また農業協同組合法につきましても、生産の全面的な共同化内容とする農業経営農業協同組合が行なうことは認められず、その構成人員最低限度を十五人としておりますことは、農業協同組合農業経営を行なう場合の最低限度として必ずしも適当でないと考えられます。  以上の点にかんがみまして、この際、農民創意を生かし、現行法原則に沿って法人組織による農業経営が行なえるよう、早急に関係法律規定を整備したいというのが、今回両法案提出いたしました主目的でございます。  次に、法案主要点を御説明いたしますと、まず農地法の一部を改正する法律案につきまして、第一に、法人農地使用収益権を取得する場合の許可基準でございますが、実質的に自作農延長発展と見られるような法人限り許可を行なうことが適当である、という考え方から、試験研究または農事指導の用に供する等、相当事由がある場合を除きましては、一定要件を満たす法人、すなわち、その法人事業農業及びこれに付帯する事業に限られ、その法人構成員となる農民は、すべてその法人農地を貸し付け、かつ、すべてその法人事業に常時従事する者であるという要件を満たす法人に限りまして許可を行なうこととしております。また法人組織をとることによりまして、土地の兼併とか実質的な不在地主発生とか、あるいは小作料統制逸脱等農地法基本原則に反する事態を招くことのないよう、これを未然に防止する、という趣旨のもとに、取得し得る権利種類は、試験研究または農事指導の用に供する等、相当事由がある場合を除きましては、賃借権及び使用貸借による権利に限定しております。そして要件を満たす法人につきましては、農地の借り受けの最高制限面積をその構成員の属する世帯の数に応じて引き上げることといたします。  第二に、小作地保有限度に関してでございますが、要件を満たす法人構成員が所有し、かつ、その法人に貸し付けている農地は、法律小作地ということになりまして、現行法では、存村一町歩という保有限度に制約されるのでありますが、このような農地は、これを一般小作地と同様の取り扱いとすることは適当ではございませんので、この保有限度の例外とする措置をとることとしております。  第三に、要件を満たす法人許可後においてその要件を欠くに至りました場合またはその法人構成員でなくなった場合の措置でございますが、このような場合にはその法人農地を貸し付けております構成員が、貸付地を引き上げまして、元の自作農に戻りますことが妥当であろうという考え方のもとに、貸付契約解約等をいたします場合の許可基準を整備することといたし、一定期間内にその解約等が行なわれないような場合で、その貸付地農地改革により創設された土地でありますとか、または在村一町歩小作地保有限度を越えるものでありますとか、かような場合には、国がこれを買収することとしております。  以上農地について御説明申し上げましたが、採草放牧地につきましてもこれと同様の取り扱いをすることとしております。  なお、以上の農地法改正に伴いまして、要件を満たす法人構成員等には農業委員会委員選挙権及び被選挙権を与え、また果樹農業振興資金有畜農家創設事業施策要件を満たす法人に対しても行ない得るよう、附則で関係法律規定を整備することとしております。  次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、主要点を御説明いたしますと、第一に、農業協同組合農業経営を行なうことができることとしております。現行法のもとでは、農業協同組合組合員たる農家個別経営を育成することを目的としその個別経営に便益を供するために、採種圃、稚蚕共同飼育桑園等農業経営を行なうことができるのでありますが、最近見られますような農業経営法人組織により行なって農業生産合理化をはかろうとする要請にこたえるには、農業協同組合が独立の事業主体として組合員協同のもとに農業経営を行なう道を開くことが必要であります。  次に、組合員の数につきましては、現行法のもとでは、農業協同組合設立には組合員が十五人以上必要とされておりますが、当面農業経営共同化の予想されますのは二戸、三戸といった小規模な地縁的または血縁的な結合に基づく団体も多いと考えられますので、農業経営のみを行なう農業協同組合に限り、その設立に必要な組合員最低数を引き下げる等の措置を講ずることとしております。  なお、農業経営のみを行なう農業協同組合は、その名称を農業生産協同組合とすることによりまして農業経営のみを行なうものであることを明らかにすることとしております。  以上が両法案のおもな内容でございますが、なお農地法の一部改正を行なうに際しまして、次の改正を一点つけ加えております。すなわち、かねて国により買収され現在自作農創設特別措置特別会計に所属する土地等で、自作農創設または土地農業上の利用増進という買収の目的を喪失したものの旧所有者への売り払いは、現行法では旧所有者一代限りとなっておりますが、町村合併促進宗教法人組織がえが国の政策として推進されたことにかんがみまして、これらの一般承継人に対してもこの売り払いを行なうことが現行法趣旨を生かすゆえんであると存じますし、また個人につきましても法人との均衡をとる必要があると考えますので、この際この売り払いの対象を旧所有者一般承継人にまで拡大することといたしたのであります。  農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案内容は、おおむね以上の通りでございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう御願い申し上げます。
  7. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 両案の審査は後日行なうこととし、本日はこの程度にいたします。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  8. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記を始め  て。   —————————————
  9. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 果樹農業振興特別措置法案閣法第四五号)(予備審査)を議題といたします。  この際、本法案に基づく政令及び省令等の案が資料として提出されましたので、まず、それについて説明を求めます。
  10. 増田盛

    政府委員増田盛君) それではお手元に配付いたしました果樹農業振興特別措置法案政令省令事項予定)の印刷物に従いまして御説明申し上げます。  前回予備審査をいただいたのでございますが、それから相当期間経過いたしておりまして、私どもその間におきまして、法律によって定められております政令並びに省令事項中心にして内部検討し、さらに、しかるべき関係方面とも折衝を重ねまして、現在の段階におきまして、ほぼこの内容にあるような事項にまとめまして、これによって法案施行に備えておるわけであります。大多数は大体これできめる予定でございますが、なお技術的な要素を多分に含んでいるものも中にはございますので、そういうものに関しましては引き続き内部検討を行なっている次第であります。  まず、印刷物に従いまして申し上げますと、一に「果樹農業振興特別措置法施行令に定める事項」、これは同特別措置法第二条第一号の政令で定める果樹でございます。御存じのように、本法案を適用いたします果樹種類に関しましては、政令で定めることになっておるわけであります。そこで、前回までに御説明申し上げましたのは、柑橘、リンゴブドウナシ、桃、それから柿、これだけの種類に関しまして申し上げたわけでございましてこれは栽培面積あるいは生産額等がそれぞれ代表的な日本の果樹でございますので、これに対しまして関係方面との了解も法案提出当時つけておったわけであります。その他にさらに若干の果樹があるわけでありますが、これに対してどうするかという問題があるわけでございます。当委員会におきまするいろいろな審議模様等に徴しましても、できるだけ果樹種類を拡大したらどうかというような御意見でございまして、その後、大蔵当局に折衝しまして桜桃、ビワ、クリというものを入れたわけであります。その他にまだあるわけでありますが、特に栽培面積が小さく、従って、生産額も小さいし、それから反当粗収入も小さい。またその上に共同化集団化の効果というものもあまり期待できない、そういう種類のもの。それから将来の需給の伸びというものがあまり期待できない、こういういろいろな種類果樹がその他にも見受けられるわけでありまして、こういうものと一線を画しまして、そうして今申し上げましたような点で、それぞれ相当理由のあるものに閲しましては、取り上げることにしまして、かように政令で定めたいというふうに考えておるわけであります。  それから二に、「果樹農業振興審議会令に定める事項」、これは法案の第十二条に「審議会組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。」というふうにいたすわけであります。そして審議会審議事項それから構成組織、任務、こういうものに関しましては、それぞれ本法規定をしているわけでありますが、その本法規定している以外におきまして、この審議会令によって定めるわけであります。まずカッコの(一)は「委員の任期」、これは二年でございます。それから(二)は「審議会の庶務」、これは農林省振興局において処理する。(三)に「雑則」がきめてあります。これはあまり重要な事項はないのであります。  それから三に「果樹農業振興特別措置法施行規則に定める事項」、まずカッコの(一)の「果樹園経営計画認定申請」でございます。これは本法第五条の第一項に「果樹園経営計画を作成し、これを都道府県知事提出」するその手続を定めておるわけでありますが、その場合に「農林省令で定める手続により、」というふうに規定してあるわけであります。この手続は「認定を受けようとする者の住所地を管轄する市町村長を経由する」ということにしたわけであります。それからカッコの(二)、「果樹園経営計画記載事項」、これは法第五条第二項第七号に関するものであります。法第五条第二項は、果樹園経営計画に掲げる記載事項を列記しておるわけでございまして、これが一号から七号までありまして、そのうち一号から六号までは具体的に明示いたしておるわけでありますが、七号に関しては、「その他農林省令で定める事項」ということで、省令に譲っているわけであります。ここでは「果樹農業振興資金貸付けを受けようとする者が果樹農業振興資金以外の資金貸付けを受けている場合において、その貸付金償還計画とする」というふうに定めておるわけであります。すなわち、果樹農業振興資金というものは、これは農林漁業金融公庫資金でございます。それ以外に全体の計画を達成するために、しかるべき筋より金を借りる、資金貸付を受ける場合があるわけであります。その場合のその貸付金償還計画もあわせて計画書に記載するということにしておるわけであります。カッコの(三)は「認定基準」でございます。これは法第六条に都道府県知事認定基準に関しまして、各種基準を、各種事項を列記しておるわけでありますが、そのうちで第一号に「当該計画に係る樹園地面積、その集団する度合い及び立地条件農林省令で定める基準に適合することとなること。」というふうに定めてあるわけであります。従いまして、農林省令で定めるものは、大体三つ項目に分かれるわけでございます。樹園地面積がどれくらいあればいいのか、そしてその樹園地集団しておらなければいかぬということになっておるわけであります。一体集団とは何であるか、すなわち集団する度合い集団する程度ということであります。もう一つは、立脚条件であります。この三項目に関しまして、農林省基準を定めてあるわけであります。そこでまず一でありますが、樹園地面積に関しては「果樹園経営計画に係る樹園地面積合計十町歩以上」であるということがはっきりしているわけであります。「しかもこれらの樹園地が、病虫害の防除その他の管理作業共通計画に基づき統一的かつ効率的に実施できる程度集団して所在している」という、すなわち樹園地面積合計十町歩、しかも、これが一団地に接続して連なっているという要件は必要ないわけでございまして、その他の管理作業共通計画に基づいて統一的、効率的に実施できる程度集団しておればよいということになるわけでございます。  なお、ここでもう少し敷衍して御説明申し上げたいと思うわけでありますが、申し上げるまでもなく、ここの十町歩という面積は、必ずしも計画作成のときにすでに樹園地化されていることを必要とするものではないのでありまして、将来植栽されるものを含む計画目標達成のときまでに、十町歩以上集団化した果樹園が形成されればよいものであります。計画目標達成のとき、すなわち計画達成年次は、大体五年ということで御説明申し上げたと思うのでありますが、やはりいろいろな事情がございますので、おおむね十年以内ということで弾力的に運営して参りたいと思うわけであります。なお、十町歩以上の集団という場合に、果樹も一種類に限定することなしに、病害虫防除等作業共通に実施され、総合的に生産性向上がはかられるものであれば、二種類以上を合作してもいいというふうに取り扱いたいと考えているわけであります。  それから二の「果樹園経営計画に係る樹園地に係る年平均気温、一日の最低気温及び降水量別表のとおりである」、これは先ほど申し上げました立地条件というものの内容に関して述べているわけであります。別表をごらん願いたいと思うわけでありますが、その前にもう少しこの趣旨をお話し申し上げたいと思うわけであります。すなわち、この立地条件という意味は、広い意味で、いわゆる果樹適地適作という概念の一部を構成しているわけであります。本委員会におきましても、過般の予備審査におきまして、果樹奨励をやる場合におきましては、特に適地適作であるということを主眼として指導するようにという御意見が強かったように承っておるわけでありますが、この適地適作一つの柱をなすものが立地条件であります。広く解釈いたしますと、立地条件には経済的な条件あるいは自然的な条件が含まれるわけでありますが、この経済的な条件に関しましては、なかなか一定基準を文章で示すということが困難であります。それほどこの経済的な条件というものが、図式化して表わしにくいわけであります。自然的な条件に関して何とか規定できないかということで、いろいろ工夫したわけでありますが、特に自然的な条件に関しましては、ことでは気象条件にしぼって規定したわけであります。このほかに土壌条件等も想定できるのでありますが、これ本一般的な普遍的な土壌条件というものの規定が現在の科学技術段階では非常にむずかしいのでありまして、結局最後に、適地というものを気象条件だけで縛る。従って、できるだけゆるく縛る結果になるわけでありまして、適地適作趣旨にもとらない限り、一般的な普遍的な基準を三点に求めて規定しているわけであります。すなわち、「年平均気温、一日の最低気温及び降水量」というものであります。別表をごらんいただきますと、果樹の各種類に関しまして規定されておるわけであります。「年平均気温」は御説明するまでもないわけでございますが、「通常年における日最低気温」とあります項がございますが、この通常年におけるというものは、これは異常の年を除外しているわけであります。特に数年に一度異常な年が気象的に襲いかかるという事例はしばしば見受けられるのでありますが、そういう異常の年を除いて、通常年における日最低気温規定しているわけであります。さらに、降水量に関しましても、四月—十月という生育期間中心として降水量を考えているわけであります。この三つ最小限度要素でこの立地条件を縛っておるわけであります。果樹種類によりましては、次のごとく日最低気温を縛っていけば、これで大体技術的な観点からは目的が達成されるというものもございます。それから、リンゴナシ、その他におきまして二つの要素で縛っておるものもございます。それからブドウのように三つ要素で縛っているものもあります。それぞれ技術的にこういう点に関しまして、一体適地とは何であるか、立地条件とは何であるか、それを最も最小限度におきまして普遍的な要素で縛る方法がないかと、こういう点でこれを掲げたわけであります。もちろん、この表をごらんいただきまして個々の果樹種類に関する御議論もございましょうし、それから、大体こういう規定を設けなくても、農民自分で判断して自分で危険な所には植えるはずがないのだから、こういう立地条件基準というものに関しては必要はないんではないかという意見もまま聞くわけでございますが、しかし、やはり適地適作というものを推し進めて自然的な条件を技術的に追求して参りますと、結果としては最小限度におきましてこういう条件になるわけでございまして、私ども今後果樹振興奨励をなすにあたりまして、やはりこういうことを念頭に置きまして果樹商品性、しかも、果樹の産地の商品経済競争場裏におきます激烈性、こういうものを考えますと、十分に将来ともに優良な品質あるいは反収を確保して競争できるということを目途にしまして果樹振興をはかる必要があるというふうに考えておるわけであります。  それから四に、果樹植栽資金貸付条件に関して書いているのであります。これは、御存じ通り、実施をする場合におきましては農林漁業金融公庫の業務方法書に記載するという段取りになるわけであります。まず利率でございますが、利率は、年利据置期間中は六分、償還期間中は七分でございます。大体据置期間を十年償還期間を十五年というふうにして計算して参りますと、据置、償還通して六分五厘という利率ともうほとんど変わらないわけでありまして、あるいは全く同一と言ってもいい結果になっておるわけでありますが、六分五厘にするか六分・七分にするか、議論もあるところでございますが、私ども考えるところによりまして、やはり据置期間六分、償還期間七分とした方が実際の果樹農業者の意向からいいまして有利であるというふうに判断いたしておるわけであります。それから償還期間十五年以内、据置期間十年以内、このうちで据置期間の十年以内でございますが、御存じ通り果樹種類によりまして、実がなるまでの期間、さらにそれが経済樹齢に達するまでの期間、生育年数と申しますが、生育期間でありますが、これが非常な差があるわけであります。一番長いのはミカンでありまして、一番短いのはブドウなどであります。従いまして、生育年数が非常に違うわけでありまして、そういう関係からいいまして、個々の農業者が償還期に入る期間というものは、理論的にいいましてもどうしても差等をつけなければならぬという問題が出てくるわけでありまして、据置期間十年以内というこの中で、業務方法書で果樹種類を二つに分けまして、据置期間をそれぞれ異にさせる必要がある。場合によりましては、こまかく議論いたしますと二つ以上に分けざるを得なくなるのではないかと思うわけでありますが、この点は大蔵省との折衝によって具体的にきまるわけでございまして、まだ未決定でございます。  以上、概略をお話し申し上げまして説明にかえる次第であります。
  11. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまの説明及びその他本法案について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  12. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 今の振興局長の御説明のうち、六条の基準について、この基準相当の幅をもってきめておられるかどうか、ラティチュードをもってきめておられるかどうか。
  13. 増田盛

    政府委員増田盛君) ただいまの御質問でございますけれども、大体今の御質問の趣旨にありました範囲を広げる、従って、適用基準をやわらげるという着意で法の別表を定めております。
  14. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 将来の改良ですね、たとえばある程度品種改良が進んで、今、たとえば年平均気温が十五度以上なければいけないというのが、もう少し寒い所まで経済的に進出できるというようなことを想定して、いずれの基準に対しても幅をもって考えておる、こういう意味ですか。
  15. 増田盛

    政府委員増田盛君) これの基準の作成にあたりましては、現在におきます試験研究、それから現在の栽培適地に関します調査あるいは経験、こういうものが中心になっておるわけでありまして、将来あるべき品種改良の点まで十分に考えておるということは申し上げられないわけであります。ただ、なぜそういうことになりますかと申し上げますと、将来の品種改良の方向といたしましても、現実に、すでに具体化いたしまして相当に見通しのあるというものは、これは織り込めるわけでありますけれども、そういう科学的な根拠なしに、その栽培限界の拡張というものは非常に危険なわけでありまして、そこでもし失敗いたしますと、わが国果樹農業というものは、先ほど申し上げましたように、反収、品質その他におきまして、相当劣る事態も出て参りますし、物によっては落葉とか枝が枯れる、凍死するというような事態も起こってくるわけであります。その辺の線の引き方が実は非常にむずかしいわけでありまして、私どもといたしましては、現在、見通し得る点は見通し得るように十分考慮に入れておるわけでありますけれども、しかし、その点はやはり果樹試験研究というものも、まあ品種改良に関しまして、そういう将来の十年後の見通し、あるいは五年後の見通しというものが確実に、しかも、広範に見通し得るようにまで進歩していないわけでありまして、十分御主張の御趣旨はわかるのでございますが、その辺は現在で確実に言えるという点だけを含めたということにいたしておきます。
  16. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 この欄の降水量、四月から十月までの降水量とあるのは、この期間の平均を言っておるのか、最大を言っておるのか、その点の説明はどうですか。
  17. 増田盛

    政府委員増田盛君) これは、この期間の総雨量であります。特にこの降水量に関して規定いたしておりますのは、主として病害であります。病害の多発というものを避けるために規定いたしておるわけであります。
  18. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 今の振興局長の説明、少し科学的じゃないのですが、この期間の総雨量であることはもちろん間違いないのですが、その総雨量が何年間かの最大を言っておるのか、通常年のこの期間の総雨量を言っておるのかと私は聞いておるのです。
  19. 増田盛

    政府委員増田盛君) これは、実はこの雨量というものは平均的な雨量でございまして、いわば平均化されたものでございます。と申し上げますのは、現在使われております、実用的に使われております雨量統計は、気象統計として一九二〇年から一九五〇年までのものが実用に供されておるわけでありまして、これによりまして、この間の平均の雨量ということでございます。
  20. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 大体通常年という意味ですね。
  21. 増田盛

    政府委員増田盛君) 平均でございますから、こう非常に長い期間でございますから、特に異常気象年を除くという統計作業をやってございませんけれども、しかし、結果といたしましては、平常年というふうに御解釈を願っていいのではないかと考えるわけであります。
  22. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 私は、そういうことを聞いたのは、もちろん多湿地帯では病虫害が発生すると、こういうことがあるからこういうきめをしておられるだろうと思いますが、問題は雨量の分布であって、たとえば九州とか四国とか、台風がしばしば来るいわゆる台風圏地帯の台風期の集中的な豪雨というものはあまり問題にならない、そういう意味だろうと思うのですが、一方において集中的な豪雨があるけれども、長期の早越期間があるという所は、この期間の雨量がたとえこれをこえても、一方においては果樹園芸の振興の立場で畑地灌漑というものを考えていかなければならぬ地域があるかもしれぬ。そうだとすると、ここで、基準でこれより以上の雨量のある所は除外いたしますと、ところが、畑地灌漑で供給しようとする水量をそこのところの四月から十月までの雨量に加算してそれがたとえば基準を越えるというようなことがあったらどうお考えですか。そういう問題一つ出てくるわけです。いかがですか。
  23. 増田盛

    政府委員増田盛君) これは目的は、先ほど申し上げましたように、その病害の防除ということがねらいでございますので、従って、その水量の、灌漑の水量が不足するということによりまして畑地灌漑を計画されているというような場合はそれは別でございましてやはり天然の降水量ということで私は御解釈を願えればいいのじゃないかと思うわけであります。従って、これに畑地灌漑がプラスされるので、それを雨量に換算するという考え方は持っておりません。
  24. 東隆

    ○東隆君 種類の方でクリが入っているようですね。クリが入るんならばクルミも入れておいたらいいのじゃないかと思います。それから梅はどうなんですか、梅は。花と実のある梅を除いた理由、何かありますか。
  25. 増田盛

    政府委員増田盛君) まあクリ、クルミといいますと、きわめて同類的に解釈されるわけでありますけれども、私どもの方では少しこれは違うわけでありまして、特に折衝の過程を申し上げた方がいいと思うのでありますが、クリは当初からいろいろ問題だったわけであります。私どもクリをどういうふうに取り上げたかと申しますと、現在一般に植えられているような形のクリという状態ではなかなか説明しづらいわけであります。そこで、クリのまず需要の伸び等を県報告でいろいろ推定いたしますと、クリは大体まあ倍近く将来需要が伸びるのじゃないか、こういうことが考えられるわけでありまして、そのかわりに、クリは大体散在樹であり、しかも、小面積というものが今まで栽培地になっておったわけであります。しかも、品質的に見ますと、クリタマバチの被害が非常に大きいわけでありまして、収量が激減している。ところが、幸いに最近農業技術研究指導の品質の改良によりまして、クリタマバチに対する新しい抵抗性の品質が創成されたわけであります。丹沢、伊吹、筑波というふうに現在命名しておりますが、これは従来の品種から申しますと五割くらいの収量の増になるわけであります。従って、統計から申しますと、反当収量——これはクリタマバチにほとんど全面的にやられておりますから、そういうものから見ますと、相当高い、倍近い高い反収量が上げられる品種が出てきているわけであります。先ほど申し上げましたように、需要の伸び等を考えて、しかも、新しい品種の創設というものを考えますと、クリはこの際取り上げて全面的にクリの新品種への転換をはかったらどうか、こういう考え方を打ち出しまして折衝したわけであります。しかも、そういう新しい形態の果樹園であるならば、共同防除集団化等の効果も相当上げられるわけであります。一部に先駆的なこういう集団あるいは共同的な栽培地が出ておるわけでありますから、その線を伸ばしていくという意味でクリを実は拾い上げたわけであります。そこで、クルミはどうかといいますと、クルミに関しましてはなかなかそういう問題が、そういうアイデアが出て参らないわけでありまして、クルミはむしろどちらかといいますと、従来も散在樹であり、将来ともやはり集団でクルミを植えるということはちょっと考えられないのじゃないか。従って、集団あるいは共同化というような効果というものは、クルミの場合には期待できないということで、それでクルミは入れないということにしたわけでございます。さらに梅でございますが、梅の一体将来の需要はどうするかという点もいろいろ検討してみたのでございますが、あまり的確な資料はもちろんございません。その梅の生産地あるいはその県当局の意向等もいろいろ聞いたわけでありますが、どうも梅の需要、観光地としての花の観覧という点は非常に考えられるのでありますが、梅そのものを利用する、梅干の需要というものも、それからしょうちゅうに梅を割ってやるというような方法も、いろいろ従来使われている方法があるのでありますが、いずれを見ましても需要はもうほとんど伸びないのではないか。従って、特別な措置をして梅を伸ばすということはどうも考える必要があまりなさそうであるということで、これは実は落したわけであります。以上のような事由でいずれもどこかで線を引かなければならぬということでありますので、そういうところに一線を引いた次第であります。
  26. 東隆

    ○東隆君 私は梅は日本の伝統的なものですから、これを使う道がないだの何だのって、そういう意味ではなくて、やはり別途に考える必要があろうと思います。それからクルミは、これは実のところを言うと、長野あたりはカン詰なんかこれを実をとったりしてやっておる別なクルミもございます。表面の非常にやわらかい操作のできるようなもの、そういうものを相当やっているのではないかと思います。それからこれは林業と農業との接触点になる。それでクリになりますと、北海道の方なんかはこれはもうあの大きな実のものはほとんどできなくなって、クルミになると相当伸ばす可能性があるのであります。私はこの際クルミを——山にあるクルミじゃなくて栽培用のクルミがありますが、ドイツの品種であろうと思います。そういうようなものはこれは将来積極的に伸ばすべきものではないか、こう考えるわけです。振興局とそれから林野庁とのこれは中にはさまつて、そしておそらくやりづらいものだと思うのですけれども、立体農業だの何だのという見地からいえば相当考えられなければならぬものだと思います。これもお考えを願いたいと思います。  それからもう一つは、桃の種類ですがね、桃の種類ですが、これはどんな桃でももう全部お含みですか。たとえば白桃のようなあの種類と、それからもう一つオイル系ですが、油桃ですね、油桃を入れるとしますと、ハタンキョウだのスモモだの、それからこれに類したものがみんな入ってくるわけで、この桃は私はできるなら広義に解釈していただきたいと思うのです。それを含みますか。
  27. 増田盛

    政府委員増田盛君) 今の油桃というものは実は私よくわかりませんが。
  28. 東隆

    ○東隆君 表面のぴかぴか光ったやつです。
  29. 増田盛

    政府委員増田盛君) ただいま技術者の見解でございますが、いわゆる油桃、ネクタリンというものでございますが、これは桃に入っておるそうでございます。
  30. 東隆

    ○東隆君 みんなですね。
  31. 増田盛

    政府委員増田盛君) ええ。
  32. 東隆

    ○東隆君 この今の立地条件のところでですね、いろいろお話があったんだけれども、このまん中の通常年における最低気温というのは、日最低気温というのはこれは何ですか。これは冬季間のものも考えられておるんですが、たいぶこれより以下になる所があるんじゃないかと思うのですがどうですか。最低ですからね。
  33. 増田盛

    政府委員増田盛君) これは通常年における日最低気温でございますが、通常年でございますから、異常な年ではしばしばこれ以下に低下する場所もあるかもしれません。すでに適地として果樹が植栽されておる。しかし、普通の年は、やはりそう寒くない年は、この温度以上を必要とするということでございますから、従って、そういう場所であっても、異常年におきましてはやはり何回かこれ以下に低下するということもあり得るかもしれませんが、それはやむを得ないといたしまして、通常年においては、やはりこれ以上はなければいかぬということで規定しておるわけであります。
  34. 東隆

    ○東隆君 それからこの年平均気温というのは、私はどうも考え方がはっきりしないのですが、これは年間を通してというよりも、何か春から収穫までくらいの気温とかなんとかというふうに限定されると意味があるけれども、これは年間を通すということになると、この気象条件をことさらに持ち出した理由はこれはさっぱりないように思うのですがね。先ほど言ったよう柑橘類を北海道に植える人はないですからね。だから、何かその年間を通すのでなく、ここの最低気温というのは、私は冬季間にいためつけられるとか、そういうような意味でこれは必要だと思うのですが、それから一番上の方はこれは何もそんなに問題になる筋合いのものでないと思うのですがね、リンゴのところ七度以上十四度以下、こう書かれておるんですが、これはどういうことになるのですか。平均気温を出してみたってこれは問題にならぬと思うのですがね。おのずからこの上の方のこれは表のうちにしさいに全部入れられておるが  クリだけないですが——年平均のところ、みな入っておるんですね。だけれども、これは一番問題なんで、桃なんかは、もしこのままでいきますと、リンゴよりも条件の悪い所に油桃なんかできるんですね。かえって制限を受けるくらいの所もありましょうし、いろいろな問題が出てくるのですが、これはだからこの条件はかえって、そのつけたことによって非常にいためつけることになるんじゃないかと、こう思うのですがね、この条件は。それからここの中の通常年における云々のところは、これはおそらくこれだって何でしょう。相当なこれは冬季間の非常に寒くって花の芽をそこなうだの何だのというそういう条件からここに出てきているのだろうと思うのです。この最低のものを出したのは、それから降水量は先ほど言われたような病害虫の関係でしょう。そういうふうに考えてきたときに、一番上のものだの、あまり必要性のないものを立地条件でもってここにお出しになってそうして資金の融通をするという場合に、そのワクに当てはめて、そうしてお前のところは該当しないのだから資金の融通をしないのだ、こういうふうに制限をする条件にこれはなりがちだろうと思います。私はそんな条件の悪い所に果樹だの何だのを始めようということを考える者はこれはおらぬと思うのです。初めから十町歩なんてそういうことをやろうなんて気を第一起こすはずがない。だから、私は無理して、立地条件云々でもってこういうことをお考えになっているけれども、しかし、これはゆるやかにという説明はあったけれども、しかし、ここではゆるやかということになっているけれども、ここで一番資金の融通をするときにぐんと締めつけられるのじゃないかと、こういうふうに考えられるので、これは一ついっそのこと、かえって除いた方がいいように思うのですが、まだほかに立地条件として必要なものがあるのなら、私はかえってこの際道路だの、それからその他交通関係だのの市場の距離等の、そういうふうな方面について、十分にそういうものとの関係を考えて、そしてやれば、何ぼできたって道路が悪ければくだものなんかみんないたんでしまうのです。そんな所にくだものを作られても因るのですから、かえってそういう条件の方が必要なんであって、こんなのをそんなに  振興局だから技術の方面にばかに力を入れているけれども、私は経済的な立地条件、これをやっぱり考えて資金の融通をやるというのが、これは私は果樹園芸振興の基本になると思うのですが、そうすると、私はそっちの方を少し入れた方がいいのじゃないかと思うのです。立地条件を決定するときに、普通考えるのは、そういう技術上の問題もそれを否定するものではありませんけれども、しかし、私はやはり経済的な条件、これを考えないで果樹園芸、農場を経営することがもうすでに問題なんだから、そっちの方面を考えるような、そっちの方面について、僕は難くせをつける理由があるなら、そういうような方面について難くせをつける理由を書き上げておいて、そしてやる方が資金の融通において親切な方法じゃないか、こう考えるわけで、あまり技術に中心を置いたものよりも、そっちの方面を少し考えられた方がいいのではないか。しかし、その点は金を貸す方でもって考えるのだと、こういうふうにいわれると、これは金融機関の方でもって指導せんならぬことになるので、それもまたどういうことになりますか、やっぱり技術の方面とあわせて経済的な方面のことを少しお考えになった方がいいのじゃないか。どうせ締めるのなら、そういう方面をお考えになる必要があるのじゃないか、こういうわけです。
  35. 増田盛

    政府委員増田盛君) まず平均気温のお話でございますが、これは先ほども申しましたように、技術的な面から規定しておるわけでございまして、まだ十分、これで絶対間違いないというところまで検討しているとは言いかねる点があるわけでございます。ただ平均気温というのはおかしいので、せめて生育期間中の積算温度にしたらどうかという意見もございます。ございますが、実は果樹に関しまして生育期間中の温度との関係なのか、日照時間との関係なのか、そういう点は、いろいろ試験研究の面から見ますと、議論のあるところでございます。それからまた、たとえ生育期間中に関する何らかのものさしを定めるにいたしましても、それに関する試験研究や、あるいは統計というものが整備されてないわけでございまして、むしろわれわれに対して与えられておって、使い得るのは、やはり果樹の植栽地における年平均気温というものがわかってくるということであります。従って、理論的にはいろいろ問題がありましょうが、実用的な価値を考慮しまして、年平均気温を使うということであります。現在果樹適地とされ、栽培されている地帯は、一体年平均気温からいいますと何度の所になるのか、それ以上の所になると大体悪いのだ、こういうものさしでございまして、まあ実用的な面を考慮しましてこれを採用した、理論的にはまたいろいろ尽くす必要があるのではないかというふうにも考えるわけであります。なお、果樹のいろいろな種類の中に含まれる品種によりまして、またいろいろな違いのある面もないわけではないと思いますので、施行までには十分に検討いたしたいと思うわけでございます。  さらに適地立地条件というものを規定する場合に、経済条件規定したらいいではないかという御議論でございましたが、これもごもっともでございます。ただ、なかなか一般的な考え方としては、市場の条件とか、輸送の条件等、いろいろ考えられるわけでございますが、それを基準として表わす場合に、どの程度以上でなければならないというその基準がなかなか表わし方が実はむずかしいわけでございまして、考え方としてはいいけれども基準として示して、すべてのいい悪いの境目にするということがなかなかむずかしいわけでございます。現在われわれはなかなかいい知恵がないわけでありまして、実はそれを除外しているわけでありますが、いい方法がありましたら、私とももできるだけ経済的な面をやはり考慮した方がいいのではないかというふうにも考えておるわけでございます。従って、知事が結局その認定をする基準に関しましては、第一号の場合におきまして、やはりしっかりした経済的な条件に関しましては、基準がなかなか求めにくいわけでありますが、二号以下のいろいろな考え方要件がありまして、この中で、大体の考え方としては、これで一つ認定の場合に、これを考慮しながら考えていくということで運用するより仕方がないというふうに考えているわけでございます。その点はもう少し研究いたしたいと思います。
  36. 東隆

    ○東隆君 十町歩というのは、例の農業法人のようなものを前提にされての十町歩ですか。それとも農業法人までいかなくて、もよりの者が集まって十町歩というものでもって果樹園の形式に作り上げていった場合、そういう場合もありますね。それからもう一つは、この中の種類がそちらの方であげられている種類の中のものが集まって、それだけのものがあるという前提があれば差しつかえないのか。問題は、将来そうやれば、やるようになればいい、十カ年以内になればいいのですから、五町歩ぐらいのところから始めてもいいようですし、一、二町歩でもいいようですし、いろいろな、計画さえよければ出せるような、そういうふうにも見えるし、その辺はどういうふうになるのですか。
  37. 増田盛

    政府委員増田盛君) この十町歩考え方でありますが、これは農業法人というような特定な農民の結合体を考えてそれで考えたというわけではないのでありまして、むしろ特に果樹のような商品性が高くて競争の激烈なものにおきましては、その生産費の低減なり、それから市場条件等からいって、どうしても生産集団化作業集団化、これは共同防除の問題、その他いろいろのものがありますが、それの共同化、それから選果の共同化、出荷の共同化、こういうものは必須的な条件ではないかと思うわけでありまして、こういうものを想定して考えた場合に、やはりまとまりといたしましては十町歩以上のものがまことに合理的なわけであります。従って、そういう作業共同化なり、あるいは共同選果なり、共同出荷というものを考えまして最小単位を十町歩、従って、その十町歩集団化し、共同化する場合にはどうするかという場合におきまして、これがいわゆる協業組織によって共同化していく場合もありますし、さらに進んだ場合におきましては、共同経営もないわけじゃないのでありますが、やはります協業組織というものから出発するのが普通だろうと思うのでありまして、この場合に何が中心になるかといいますと、私は大体共同防除中心にした作業共同化、こういうものと、それから共同の計画でございますから、面積、品種というものを十分に練り上げて、それによって植栽をしていく。それから場合によりましては共同開墾もございましょうし、それから共同で樹園地造成ということも出てきましょう。それから集荷場ないし選別所を共同施設として持つ。これはもう少し上位団体でもう少し大きな団体を作ってやる場合にもちろん出てきます。それから共同出荷も同様であります。それぞれそれに向くような組織としては、やはり私は何か二人以上で共同する場合もありましょうし、それから計画は農協で立てて、そして二人以上で共同でやる場合もありましょうし、それからいわゆる農業法人というような形で一つの単一体の経済組織を作ってやる場合もありましょう。それはいろいろな場合があるというふうに考えます。  しからば、そういう十町歩という単位に対して一体どういうふうにして近づいていくのかという問題でございますが、いきなり十町歩は大きいのじゃないかという御議論のようでありますが、この場合に考えられますのは、共同のものですでに果樹を始めている場合もあります。それから全然新規に始める場合もあります。果樹相当下地として植栽されておる場合に、それが四町歩あるいは五町歩といろいろな場合がありますが、それが十町歩に達することは困難じゃない。むしろ一挙に十町歩になることが望ましいのじゃないかと思うわけです。ただ問題は、今まで全然果樹をやっておらなくて、今後果樹を始めて十町歩にしょう、こういう場合におきましては、どうも当初われわれが考えました五年以内に十町歩に達するということはあるいは困難な場合も出てくるのじゃないか。従って、十町歩に達する目標年限というものをやはり十年以内ということにして延ばしたらどうかというふうに考えているわけであります。そういうふうに計画として十年以内に十町歩に達するというふうに目標を定めまして実行すればいいわけであります。  この場合に単一の種類でなければならぬかどうかという問題もあるわけであります。先ほどこの集団度合いに関しましては弾力的に運営するように申し上げたのでありますが、一体この十町歩果樹は一種類に限定するかどうか、こういう問題に関しましては、私どもの方では、二種類以上の合算でもいい。病虫害防除等の作業共通に実施され、そして総合的に見て生産性が高まるものであれば、二種類以上の合算で十町歩という面積になればいいというふうに考えているわけであります。
  38. 千田正

    ○千田正君 今の東君の質問、櫻井委員の質問にも関連しますが、認定基準のうちに病害虫防除その他の管理作業というものが出ておりますが、このうちさっきの東君の質問に対してお答えがありましたが、乾燥場あるいは冷凍設備等、出荷に至るまでの貯蔵設備に対しても、この資金貸付対象とするかどうか、この問題を一つ伺いたいという点と。もう一つは、これは植栽を中心に考えておられるようでありますが、一面において従来の風水害あるいは凍霜害等によっていためつけられる果樹の損害は相当多いのであって、この場合における災害の復興に対する補償対象と、今度の果樹農業振興資金対象との関連はどういうふうに考えておられるか。たとえば果樹植栽資金貸付条件の中に償還期限とか据置期間等がありますが、これと災害復旧等に対する対象との間の関連はどういうふうに考えておられるか、この二点をお伺いしたいと思います。
  39. 増田盛

    政府委員増田盛君) 最初の方の共同施設に対する融資でございますが、本法果樹園経営計画の中に、実はその共同利用施設に関する事項を明らかにしているわけでございまして、「選果施設その他果実の収穫、集荷、貯蔵又は販売のために必要な施設」ということで、こういう必要なものを全部取り上げていくということにいたしたいと思います。これをやる場合におきましては、農林漁業金融公庫に対する折衝も必要だと思うのでありますが、将来は共同利用施設としてはいろいろのものがやはり出てくるのではないかというふうに考えられますので、これは十分に考慮いたしたいと思います。  それから風水害等による災害を受けた場合の、補償でございますけれども、実はこの問題に関しましては、農林省といたしましては、果樹そのものに対する災害補償に関するまだまとまった実は考え方はできておらないことは、御承知通りでございましてこれを少しく分けて考えますと、果樹そのものに対する被害と、それからなった実に対する被害あるいはなるはずであったその実がならなかった、なったものが落ちた、こういう二つの場合があるのではないか。樹そのものに対する補償というものは実際今のところ何もないわけであります。なった実に対しても実は補償というものはないので、なった実自体に対しましては、災害がありますと、天災融資法による融資によって毎年この再生産をはかるという方法をとっているわけであります。最もこの諸対策のうちで核心となるものは、やはり農業災害補償法との関連におきまして果樹を何らかの形で、この災害補償法の中に織り込むかどうかという問題だろうと思うわけであります。ところが、この議論をやる場合におきましては、やはり災害補償として保険的な要素、まあ保険そのものではないと思いますけれども、保険的な要素をいろいろ取り入れて参る場合におきましては、やはり資料の収集、整理、分析ということがどうしても必要になってくる。従って、まずそれをやってみなければいかぬ。被害統計といっても、はっきりした被害統計が出てくる……、こういうような点も農林経済局と相談しておる場合におきましても、私どもの方としてもすぐとまどってくるわけであります。できたら全国的な果樹の災害補償のような体系ができたら、非常にいい形ででき上がったならば、きわめて望ましいことと思うわけでございますが、そういう点も実はまだ見通しが立たないわけでございまして、現在農林経済局の方で若干予算を計上いたしまして、まず基礎的な調査から始めまして、検討するという段階になっておるわけでございまして、これが将来どうなるか、あるいは果樹農業振興法との関連におきましてどうなるかという点については、まだ結論的な見通しというものは全然申し上げられないわけでありまして、ただそれを確立するために私どもはできるだけの努力をいたしたいと思っております。
  40. 千田正

    ○千田正君 大体わかりましたが、前段の私は共同施設を、出荷までの共同施設を必要とするということは、要するに従来こうした種類のものは市場の状況にしょっちゅう左右されて、そして生産者がいい場合はいいのですけれども、悪い場合においては極端に生産者が非常なコストを割った損害を受ける場合が多いのでありまして、やはり振興法を掲げる以上は、果樹生産と同時にその集荷、販売に至る点まで思いをいたしていかないというと、植栽だけ、木は植えた、実はなったけれども、その実収はしょっちゅう市場等に左右されて農民が困るということであってはいかぬのであって、やはりそれを積み出すだけの施設は必要だろうと思うのであります。この点は当然考えていただきたいと思います。  それから後段のいわゆる災害に対する問題、これはまた徹底的に考えていただかないというと、年々われわれは災害のたびに、あとから跡始末、視察に行きますと、落ちた実がやあどれだけ損害があった程度の、そのうちの何%を何とかして補助金を与えるとか、復旧してやるとかいう程度であって、木そのものがくつがえされたり、いろいろな問題が起きておって、それがだんだんだんだん果樹というものを、振興ではなく衰微していく点が多い。でありますから、これに対するうらはらの問題も同時に考えていただいて、この問題の実効が上がるような方法を考えていただきたい、この点を特に要望いたしまして私の質問を終わりま  す。
  41. 森八三一

    ○森八三一君 最初に政令の二条の一号で指定される樹種ですが、これに対してただたくさん作ればいいというのではなしに、経済的に成り立つ果樹園指定でなければならぬと思うのです。そういたしますというと、大体今指定せんとする品種の栽培面積、その生産量、今後資金を融資してやっていく場合に、それぞれの樹種についてどの程度にまで生産を増強しても商品過剰は起こらないというような見通し、それは国内の需要と輸出との関連があると思うのですが、そういうような具体的な見通し、計画というものはお持ちになっておるのかどうか。そういうことなしに、ただこの法律が通ったから都道府県知事一定基準に当てはまったものはどんどん進めていくということでは、結局経済的なしわ寄せが農民にいくという危険があるように思うのですが、そういう具体的な見通し、計画というものはお持ちなのかどうか、その点を最初にお伺いします。
  42. 増田盛

    政府委員増田盛君) ただいまの御指摘のように、生産の基礎になる需要の見通し、これの的確なる把握といいますか、あるいは想定といいますか、あるいは計画といいますか、これが非常に大事だという点は、私どもも十分に考えておるわけでありますが、ただ、いろいろ今までも議論したりそれから研究も重ねたわけでありますが、この果樹の長期的な性向にかんがみまして、どうも、たとえば十年先に種類別に需要がどうなるか、しかもそれぞれの果樹の品目別の需要がどうなるかという点は、これは非常につかみ方がむずかしいわけであります。御存じのように、こういうものを的確に処理するためには、基礎的にはおそらくこの消費統計が整備されなければいかぬ、しかも果樹種類別に、しかも品種別くらいまでこの消費統計が整備されなければならぬわけでありますが、現在はこの品種別統計はおろか、種類別の統計すら整備されておらないわけでありまして、将来の問題として残される問題であろうと思います。しかも長期的な需給の見通しを考える場合におきましては、どうしても一定の算式に当てはめて、それによって、傾向値によっていくということにならざるを得ないわけであります。すなわち一人当たりの国民所得の伸び率、あるいは消費支出の伸び率、それから人口の増大、それから果樹の消費弾力性、あるいは所得弾性値、こういうものをずっと想定しながら一定の算式に当てはめて、そうして十年後にはどのくらいになるのだ、こういうことをやるわけでありますが、これが一定の算式で計算せざるを得ないだろうと思いますが、たとえば国民所得の伸びにしましてもいろいろな考え方があるわけでありまして、それだけではじいたものがはたして十年先に確実に確保できるかどうかという点も、疑えば疑えない節はないわけであります。そういうようないろいろなむずかしい条件の中で、むずかしくてもやはり将来の需要の伸びというものを私どもは考えなければいかぬ、しかもそれは種類別、品種別に考えなければならぬ、こういう問題に直面いたしておるわけであります。現在どうしておりますかと申しますと、先ほど言ったように、いろいろな要件を想定して算式に当てはめて、十年後の需要量の伸びを出すというのは簡単なんでございますが、これをこう種類別、品種別に分けていくということはなかなかむずかしいのであります。従って、これをどうしておるかと申しますと、府県におろしまして、府県から全国的な果樹全体の需要の見通しを、それから果樹種類別の大まかな常識的な見通しということもいろいろ経験者から語られるわけでありまして、そういうものを基礎にしまして、府県別に果樹種類ないし品種別に積み上げていく。積み上げの方法として、生食用としてなまで食べる、それから加工用、それから輸出用、いろいろあるわけであります。これをずっと作業しまして積み重ねて、そうして全国一本の数字にして、それによってそれを何らかの中央の審議会にかけて全国的な規模、それから府県別の規模によって検討していく、こういう作業が出てくるわけであります。現在は、実はそういう作業がちょうど中途までなされておるわけでありまして、約二年前から園芸調査会というものを作りまして、これによってこれを中心にして作業したわけであります。現在府県別に果樹種類別、それから品種別に一応の県からの積み上げといたしまして、作業は、その段階までの作業はございますが、さてしからば、府県間のものの考え方はある程度整っておりますけれども、やはり細部にいきますと、多少変わっております。府県間のものさしというものが多少変わっております。それが一体具体的な実地に関して適正かどうかという点になってきますと、なかなか問題が多いわけであります。私どもといたしましては、二年間かかって作業をしたのでありますが、今後本法案によって果樹農業振興審議会ができるわけでありますから、それに引き継ぎまして府県別のさらに細部の検討をしたいというふうに考えておるわけであります。
  43. 森八三一

    ○森八三一君 非常に統計が不備ですから、的確なものを出すということは現時点では無理であることはよくわかります。わかりますが、ここに法律ができて、資金貸付をして、奨励、助長をしていくという態度を明確にしたという限りにおいては、何かそういう見通しを持ってやっていかなければ——もちろん経済行為ですから、きちっとそれが計画通りにいくものとは思いません。人口の変遷にしても、需要の変遷にしても、だいぶ変わっていくのですから、きちんとなめたようなことにいこうとは思いませんけれども、しかし、一応の計画というものをお持ちになっていかなければ、各府県々々でばらばらにやっていくと、まあ大へんな結果になる。どの県でも金のかかる木を植えちまうと、大へんなことになる。そこでやはり法律ができて助長をしていく限りは、計画をお持ちにならなければ私はいかぬと思うのですがね。まあ今できておらぬとすれば、そういう点は急速に整備されて、一応現時点においては確信のあるというものがなければ、奨励できぬのじゃないですか。やるやつを勝手にやらしておく、これじゃあ奨励というものじゃないと思うのですね、僕は。自由にやらしてく、それに思い思いに資金を融資するということになれば、別に何も法律まで作って、しっかりやらなければいかぬということにはならない。法律制定してやる限りは、計画があって、その計画に準拠してやっていくものについては不測の問題が起きないようなことになるということでなければおかしいと思うんですがね。どうも急速に一つ整備してやってもらわなければいかぬと思うのです。  それから第二の点は、先刻東委員からも質問がありましたが、クルミは、これは相当輸出もあるように聞いておるんですが、そういうようなものが今の時点では非常に耕作面積も少ない、生産量も少ないということでどうも省いたという御説明のようですけれども、そういうような発展性のあるものこそ拾い上げていくという感覚でなければいかぬのじゃないか、現在の耕作面積がどうだとか、生産量がどうだとかいうことでなくって、むしろ将来発展していく可能性のあるものをこの法律で助長をしていくという態度、あるいはそれ以外にもそういうものがあるかないか知りませんけれども、そういうことを重点的に考えなければいかぬのじゃないか、現在の姿でなしに、将来を想定して樹種を選んでいくという感覚、それはどうなんですか。
  44. 増田盛

    政府委員増田盛君) 将来の需要の伸びに関しまして特に意を用いる必要があることはお話の通りでございます。ただクルミの場合には、これは需要としましてはいろいろの明るい見通しもないわけではないわけであります。ただクルミの性質からいいまして、どうしてもこれが散在し、しかも小規模になるという性質、従って集団化して、たとえば共同防除等の場合を考えましても、集団化し、共同化してくる場合におきまして、それに対する実益が少ないわけであります。他の果樹の場合には、まあ共同防除等も当然に考えられるわけでありますけれども、クルミの場合にはそういうことが考えられないわけでありまして、従ってこの際は、たとえば十町歩まとめて集団化して畑地に栽培するということもほとんどないのじゃないかということで、やはり他の果樹と区別する必要があるということで、本法案対象にはしなかったわけであります。しかし、クルミ自体が将来国内の加工面、あるいはさらに輸出面で伸びるということに対しましては、政策的に全体として私どももやはり考慮を払って伸ばしていく方向に努力していかなければならぬと思っております。
  45. 森八三一

    ○森八三一君 それから十町歩面積の問題ですが、御説明のように共同防除その他を集団化してやっていくということは一応了解いたしますが、その内容として二種類以上のものを混植してもよろしいということですが、そこで、この経済効果をねらうと、十町歩の中に二種類以上のものが混栽されておるという姿は、共同選果とか、いろいろなことをするについて問題が逆の方向を描き出すのじゃないか。一定の時期に花が咲き、一定の時期に実がなるということであって初めて共同防除の効果がある、あるいは共同選果もできる、共同出荷もできると思うのです。それが時期的に違ったものをまとめて十町歩という考え方はおかしいじゃないか。二種類以上というのか、二種類以下というのかどっちですか。十町歩のうちの指定する品種のうちで十種類やってもよろしいのか、それではなくて、共同防除、共同出荷というような経済効果をねらっていくためにはやはりまとまっておるということが前提であり、十町歩というものもそういう感覚から出てきておると思うのです。それはどうなんですか、二種類以上なのか、二種類以下なのか。
  46. 増田盛

    政府委員増田盛君) 二種類以上でございます。実はその点は御指摘にありました通り、理想といたしましては、やはり一種類の方が、作業をやる場合に、防除、選果、出荷をやる場合にそれはより望ましいわけであります。ただ日本の農業経営の現実からいきますと、そればかりもいっておれない。たとえば耕地が分散している関係もございます。それから災害に対する危険分散の関係もあります。それから労力の配分等の関係もありますし、あるいは果樹の主産地帯におきまして相当いろいろな果樹農家としてやはり取りまぜて植える、しかも一つ農家が取りまぜるというよりも、やはりその地帯全体を見ますと、農家によっては隣合わせで種類の違った果樹が見られるということがしばしばあるわけでありまして、しかもそういう場合におきましても、果樹の面からいいますと、全体として同種類の方が果樹の選果をやる場合に便利でございますが、しかし、多少不便でも選果の施設自体は使える。果樹種類は若干違っておっても選果施設は利用できるということが見受けられるわけでありまして、私どもの方でそういうものをできるだけ拾ってそういう場合も適用を受けるようにしたらどうかというふうに考えたわけでございます。
  47. 森八三一

    ○森八三一君 その点は私まだちょっと了解はできませんが、適地適産ということでいわゆる立地条件その他を勘案されて標準をおきめになる。そこに少なくとも一市町村では、この村では、カキにいたしましてもどういう品種がよろしいとか、ここではブドウがいいとかおのずから大体まとまってくるのじゃないか。一つの県が単位ということになると、ブドウもあり、カキもあり、ナシもあるということになるかもしれませんけれども、一市町村の単位ぐらいのところでは大体一種類、品種は多少違うと思いますが、樹種としては大体適地適産ということでまとまってくるのじゃないか。奨励していくという方向は、結局、最後の商品化の場合に経済効果をねらわなければならぬと思うのですから、そういう点を考えると、やはりあまり一集団地に樹種の多いということは目的に沿わぬのじゃないか。現実にとらわれ過ぎて奨励をくっつけていったという感じを強く持つのですが、奨励するという限りは、やはり最終の商品化の締め上げを上手にしてやらなければならぬのですから、商品性を高めていくという意味で、あまり樹種を多くするというのは考えものだと思う。むしろ、二種類以上とかというようにせずに、何種類以下ということで上を詰めておく方が、実際に私は合うのじゃないか。これは一つ御研究願いたいと思います。  それから、これは東君の質問にありましたが、「通常年における日最低気温」、それは異常期間を除くというのですが、何か五カ年間なら五カ年間のうちの異常二カ年を抜いてあとの三カ年平均がこうなるとか、そういうものさしがあるのかないのか。異常年を除くということは、これも異常年、あれも異常年——勝手に異常年が出てくるのではないか。通例の場合だと、五カ年なら五カ年をとって、そのうちの異常、前後をはずしてまん中をとるというのが普通の統計的なやり方ですが、この場合にはどういうものさしを当てはめるのか。ものさしがあるのかないのか。
  48. 増田盛

    政府委員増田盛君) これは厳密にいいますと、やはり現地に適応せられるべき気象統計が整備されておりまして、それによってやはり処理のものさしがなければならぬと思うのでありますが、個々の基準は、実は気象統計にいたしましても、現地々々に即応する、それだけ厳密な統計が実はないわけであります。従って、どうしてもこの基準は立ててみましたものの、この基準によって現地に当てはめていく場合に弾力的なものにならざるを得ないわけでありまして、先ほど申し上げましたように、私ども使いました統計も、一九二〇年ないし一九五〇年の発表になっております気象統計の中で主要な生産地を当てはめながらいろいろ考えたわけであります。ところが、やはりその年によって異常な年が、実ははっきり通常年と違うような異常な年が出てくるわけでありまして、そういう年にはその基準に該当せざるのもあるわけでありますが、しかし、全体の果樹の栽培の適正という点からいいますと、それでも差しつかえないということになるわけであります。そこで、従って、きわめて常識的な意味で運営をせざるを得ないと思うわけであります。何年間に一度あったら一体どうするのか、落とすのか、あるいは拾い上げるのかという問題に関しましても、実は五年はどうだとか、あるいは十年はどうだとかというふうな、はっきりした抜き差しのならないものさしではなしに、普通の果樹の技術者が考えて大体基準とするものになればいいんではないかということで、あまり厳密な、その現地々々に合わせた厳密なものさしがなかなかできにくいわけであります。
  49. 森八三一

    ○森八三一君 もう質問をやめますが、どうも伺っていますと、きわめて融通無碍で、いいようではありますが、いずれも統計資料というものが新興産業のために整備されておらぬという点で局長の悩みのあることはよくわかりますけれども、弾力性という言葉は非常にけっこうですけれども、弾力があり過ぎてあとでこの法律が小言を受ける材料になる危険を強く私は印象づけられるのです。そうであってはいけませんので、そういう点は十分一つ賢明な局長、如才なくやっていただいてけっこうですが、あまり如才なさ過ぎると乱に陥る危険もありますので、御注意いただきたいと思います。
  50. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記をとめて。    〔速記中止
  51. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記を始めて。
  52. 仲原善一

    ○仲原善一君 認定基準の問題についてお伺いいたしますが、この果樹園経営計画を出して、都道府県知事がこれを認定することになるのですが、認定基準三つの問題で、第一の面積の問題は、これは、ただいま十町歩の問題で相当具体的なことが示されてありますし、それから、立地条件についても、気象条件にしぼって、これはちゃんとものさしが、都道府県知事がはっきり見てわかるような形態になっておりますけれども、この集団程度の問題、これは、これのものさしというのが、ここの文章に書いてある程度だと、「病虫害の防除その他の管理作業共通計画に基づき統一的かつ効率的に実施できる程度」ということで、非常に抽象的になっておりますので、都道府県知事がここではっきりした認定ができぬのじゃないかという気が実はいたしております。ただいま、弾力性のあるやり方を考えたいというお話でございますけれども、これの関連において、十町歩というものの問題も非常に変わってくるわけですが、都道府県によって認定のやり方が相当違ってくると、統一的な運営ができぬと思いますので、実は、この集団程度のもっとはっきりした、ものさしと申しますか、基準というものを具体的に実は伺いたいと思うのですが、まあ多少具体的な問題になりますと、病虫害の防除の施設と、それから選果場なり、その他、そういうものを全都兼ね備えるということはなかなかむずかしい問題でありますが、そのうちの一つの病虫害の防除だけやっておれば、それだけでも「統一的かつ効率的に実施できる」というように解釈できるかどうか、あるいは、その他、共同選果場なり共同出荷なりをやるようなものはあわせてやらなければならぬか、その辺、その文章だけでははっきりしませんので、何か一つ共通の施設として持っておれば、それでその程度は是認されるものかどうか、その辺、もう少し具体的に聞いておかないと、弾力性のある運用とおっしゃっても、地域別に非常にでこぼこがあっても困ると思いますので、その辺の統一的な解釈をもう少し掘り下げてお伺いしておきたいと思います。
  53. 増田盛

    政府委員増田盛君) 集団度合いに関しましても、実は各種各様の場合がありまして、なかなか統一のものさしというものはできにくいわけであります。一番早いのは、同一経営体で集団化する場合でありますが、こういう場合には、あまり問題がないわけでありますが、やはり零細農構成経営といたしますと、自分経営地の一部に果樹を作っていくという場合に、やはりどうしても、ある意味では分散せざるを得ないわけであります。分散しながらの形の中での集団化ということでございます。私どもといたしましては、一つのめどといたしましては、共同防除を考えておるわけでありまして、同一の施設としてパイピング施設が施されまして、共同防除を一斉にやっておる、あるいは、最近におきましては、スピード・スプレヤー等による防除ができます地帯におきましては、その範囲が拡大しつつあります。これは技術的な性格によっても、ある程度動き得るのじゃないかというように考えておるわけであります。これを固定して一定の距離、範囲等によって集団化というもののものさしを作るというわけには私はいかぬのじゃないかというように考えております。しかし、少なくとも、その中で共同防除というものをスピード・スプレヤーないしパイピングによって同時に施行するということは重要な特徴と考えられるわけであります。これに対してさらに共同選果の場合も考えられるわけでありますが、少なくとも共同選果の場合には、十町歩で共同選果を持つか、あるいは十町歩集団されたものが幾つか集まったものが共同選果を作るか、これもいろいろな場合があると思います。一律にはなかなか規定できないのでありまして、しかし、全体として計画としてそういうものが一つ統一されて、全体として集団的な一つ動きをしているということであれば、集団化度合いとしては要件が満たされているというように解釈をせざるを得ないのではないかというふうにも考えております。
  54. 仲原善一

    ○仲原善一君 まあ希望でございますが、いずれこの法案が通った暁に都道府県の部長会議でも開いてその運営の方法に、認定基準等についても指示があろうと思いますが、各県でアンバランスにならんように、まあ弾力性のある運用とおっしゃいますけれども、その点非常に地域別にでこぼこのないように、全体として見てバランスのとれた運用の仕方に御指示なさるように特に私申し上げておきます。
  55. 藤田進

    ○藤田進君 結論的に言って基本ですね、降水量、これで九州、四国、本州では大体予想し得る範囲ではこれに引っかかるということはないですが、北海道はあるかもしれない。
  56. 増田盛

    政府委員増田盛君) これは果樹種類によってやはり違うわけでございまして……。
  57. 藤田進

    ○藤田進君 まあ、これ全部だ。
  58. 増田盛

    政府委員増田盛君) 現在一般に商品として栽培されているところは一応全部入っておるというふうに御解釈になっていいのではないかと思う。ただしかし、所によりましては、これはまあ正確にこまかく調べたわけではないのでありますが、常識的に考えられないようなところに、ある特定の果樹を作っている向きもある、それは商品作物として中央に出荷してどう云々というのではなしに、あるいは観光用だとか、あるいは小さな都市の地方的な需要に応ずるために作っているというようなものも、これは見受けられないわけではないし、私どもの耳にも入ってくるわけでありますが、そういうものはやはり栽培限界外地として、この表の基準からは除かれるものが多少出てくるのではないかというふうに考えます。
  59. 藤田進

    ○藤田進君 それは基本的にですか、降水量的にですか。
  60. 増田盛

    政府委員増田盛君) これは技術的な性格によりまして、降水量の方はむしろゆるやかであります。そういう点はゆるやかでありますが、基本の点において限界外地と通常技術的に考えられるところに、非常に例外でありますけれども、やはり何かの目的で作っているのだ、そういうものは除かれてくるのではないかと思います。
  61. 藤田進

    ○藤田進君 しかし、それは樹園地の気象観測の過去の実績と、こう言うんですね。しかし、これは常識的には、実績というものは、農協とか市町村役場にそういった降水量の調査とか、そういうものがありますね。そういうものは大体低い所ですね、平坦地です。それから将来山腹に、日本の地形上高い所に伸びていき、かなりの樹園予定地ができることになる。高い所は雪が残っていても、低い所では相当気温が高いということになる。低い所で過去の実績ということになれば、これは樹園地と書いてある関係上、山腹温度より高いことになる。従って樹園地の温度をつかみにくいから結局過去の低地における実績というものを根拠にし、現地温度を推定することになるのではないか。御答弁のように将来引っかかるということができるということの意味は、実際に樹園地の気温をある程度査定をするかどうかという疑問が出てくるわけですがね、どうですかね。
  62. 増田盛

    政府委員増田盛君) これは、この温度自体は、やはりものの考え方は、これは今までの試験研究なりあるいは調査なりで百葉箱を現地に移した結果、大体こういう基準になるだろうというようなことで、ただこれを現地に当てはめる場合に問題が起こってくる。現地には一々百葉箱があって正確な資料というものがそこに備わっているわけではありませんから、山林原野のままであるとか、普通の畑地であるとかいうふうにいろいろあるわけでありましてただいま御指摘になった、特に山の場合にですね、山腹だとかそれから少し傾斜面の高いところ、これによってみな温度が違うわけです。これを現地でどう当てはめていくかという問題が実は出てくるわけでありますが、果樹の技術者なら一応それは常識になっておって果樹の、中腹ではかった温度と少ない傾斜面の低いところではかった温度とでは、やはりそこに温度の差があるわけでありまして私ども技術者から聞きますとこれを局地気象といっておりますけれども相当まばらにはかった温度じゃ適用できない。やっぱりある程度もう少しこまかく温度をはからなければその具体的な栽培地の温度というものがまあ把握できないという面もあるようであります。従ってものさしが、たとえばこれでいいにしても、この一体そこの現地がこれだけあるかどうかということの認定ですね、これはどうしてもやはり府県庁なり果樹の技術職員なり、それから農業改良普及員なりを十分に利用しまして、それによって正確を期していくという私は性質のものだろうと思うわけであります。ただ単にこれをきめる場合にですね、その等温線がはずれておるからここは除くんだというふうに形式的にきめるわけには私は参らんじゃないかと思う。やはりその栽培地自体に対しての判断として、この条件に合うか合わないかということで、具体的に決定していかざるを得ないじゃないか。というふうに考えておるわけでありますが、しかし、大体県のこの果樹の技術者と称する人なら大体この程度のことは常識として考えて運営するだろうというふうにまあ期待をしておるわけであります。
  63. 藤田進

    ○藤田進君 時間がないですからそれじゃ数点一ぺんに聞きますから、簡単にメモでもして。  第一に、まあ皆さんが指摘されたように政令要綱が出されてきておるが、これだけでは実際に末端の行政庁としては査定というものがかえってむずかしくなるような気がするので、部長会議などもあるでしょうが、実際文書にしたもっと細目的なものを出される予定かどうか、これが一つ。  それからこの降水量というのは、やはり北海道あたりでは降雨量と書いてないわけです。実際問題として雪などの量も降水量として入るのかどうか。  それから第三点は、手続上行政区画が違った場合に、府県とかあるいは市町村違った場合で集団的に十町歩というものは実際問題として扱いにくいから、これは行政区画が違えば十町歩という計算の中には入るのか入らないのか。  それから第四点は、森委員も指摘されたように、数種類果樹種類を集計して十町歩、こういうふうな場合に償還期限はその果樹の作付の面積か何かに比例して十年以内をそれぞれ変えるのか、どれかに一括して七年とか八年とかにするのか、そういった点。
  64. 増田盛

    政府委員増田盛君) 政令要綱の細部に関してさらに文書等にして府県庁に指示するのかという話でありますが、これはこの政令要綱だけでは不十分でございます。必ず府県との打ち合わせがございまするので、もう少しこの具体的な運営に当たりまして困らないような、その文書にもしますし、さらに実際にこの協議会を開きまして意見も交換し、それからしっかりした指示をいたしたい、かように考えておるわけであります。  それから第二点の降水量の問題でございますが、これは四月から十月でありますから、大体雪が入ることは少ないと思いますが、これは雪も当然一部に入ってくるわけでありまして、これも考えなければいかぬと思います。  それから三の行政区画が異なる場合であります。県が違うとか、それから市町村が違うという場合でありますけれども、これは私はこの十町歩が異なる行政区画にまたがった場合にもまとめて十町歩——問題は経営の仕方でございますから、これに支障がない限りまとめて十町歩としていいのではないかと思っております。ただこの場合に、どちらの市町村が経営をするかという問題がございますけれども、場合によっては主たる市町村あるいは従たる市町村、場合によっては両方の市町村を通じて、両方の異なった府県に出すという場合も考えられるわけでありますが、手続上の問題はなお検討を要する点があろうと思いますが、まとめて十町歩ということにいたしたい。  それから第四の数種類果樹がある場合の据え置き期間の処理でございまするが、これはお話にありました通り、償還期間は大体同じでございますから、据え置き期間だけ果樹種類によっては異にするわけでありますから、その作付面積によって借り受け金額もそれぞれ違ってくるわけであります。従ってそれぞれ据え置き期間も異なるというような取り扱い方になるだろうと思います。
  65. 東隆

    ○東隆君 今の最後の問題ですが、貸付条件ですね。この貸付条件はまだはっきりおきめになっておらないのですが、開拓農家に関するものは法律できめたものと業務方法書の中身と違うのです。実際の業務方法書の方では、年限をだいぶ短縮されておる。それで今の調子で参りますると、償還期間、据え置き期間、これは相当余裕があるように見えますけれども農林漁業金融公庫を通して出るということになる、これは相当制限を加えられるおそれがある。ことに果樹種類によっては桃クリ三年カキ八年でもって、常識的にいってもだいぶ削られるおそれがあるのですが、折衝の場合十分一つその点を考えて、この十五年以内、十年以内、これを一つ削らぬようにしてもらって、そして下部においてどうしても必要な場合には、そこまで延ばすことができるというぐらいの余裕をつけておかないと、これは問題になろうかと思うのです。その点一つはっきりしていただきたいと思います。  それから資金の融通方法、大きいものは農林金融公庫から直接貸しの形態にされるのか、それとも系統金融機関を通して出されるものか、今までのお話を聞いておりますと、経営の主体というものは個人の場合もあるし、それから数人共同でやる場合もあるし、見ようによっては部落の実行組合のようなものが共同作業をする場合にそれに出す、果樹組合でもようございますが、申し合わせの組合ができて、それが共同作業をやる場合に、たとえば動力用の噴霧器を購入する、そういうようなものにも出せる。それからもう少し拡大をすると、くだものの貯蔵庫をこしらえる、そういうようなものにも出せる。こんなふうになってくると、実のところいうと直接貸しにされるのか、それとも系統金融機関を通して出されるのか、非常に問題があろうと思うのです。そうすると、たとえば系統金融機関を通して出すと、今度金利、利幅の問題であるとか、取り扱いの問題であるとか、そんなような問題も出て参りますし、実はそういう点で、貸付の方面は振興局関係でございませんけれども、非常に将来疑問が起きてくるのですが、そういう点はどういうふうにおやりになるお考えですか。
  66. 増田盛

    政府委員増田盛君) 最初の御質問あるいは御要望と申しますか、償還期限と据え置き期間の問題に関しましては、今から具体的にきめるわけには参りませんが、極力努力いたします。それでこの果樹農業振興資金の貸し出しの方法でありますけれども、これは計画の作成主体というものと、事業の最終的な借り受け主体といいますか、あるいは事業実施主体といいますか、これとは同じ場合もありますし、違っておる場合もあるということに、この法律でなっておるわけであります。すなわち計画を数人共同して、二人以上が共同して計画を作成し、そうしてそれが借り受けて事業をするという場合もありますし、それから計画は農協の方で立てまして、そうして実際の最終的な借り受け者になる、事業を実施するものは、農協の組合員が二人以上共同でやる、こういうふうに大まかにいって二種類あると思います。従ってこれによって資金の貸し出しの動きも違ってくるのではないか。農協が計画を立てて、そうしてその農協の組合員が共同で事業を実施するという場合におきましては、農協転貸しという形になる。それから二人以上が共同して計画を作成し、そうしてそれが借り受けて事業を実施するという場合には、信連からの直貸方式をもって直接に借り受けて事業を実施する、大体二つの方法があると思います。しかし、どちらが多いかと申し上げますと、やはり農協が計画を作って、そうして農協の組合員たるものが二人以上共同で事業を実施する、従って農協転貸しという形をとる方が場合としては多くなるのではないかというふうに予想しております。
  67. 東隆

    ○東隆君 そうすると、農林漁業金融公庫直接貸しというのはないのですか、今のお話ですと。
  68. 増田盛

    政府委員増田盛君) これは直貸しといいましても、代理機関がございますから、要するに信連ないし市中銀行が代理機関ということに、公庫法でなっていると思います。従ってその直貸方式というのは——それから事業計画者兼実施者というものに貸す場合は、いわゆる直貸方式、こういっておりますから、そういう場合に信連は、信連としてというよりも、むしろ公庫の代理店として、代理業務を行なうものとして貸す、こういうことになろうかと思います。
  69. 石谷憲男

    石谷憲男君 一点お伺いいたしますが、零細、多数の経営集団化による共同圃場といったようなアイデアは、非常に有効だと思うのです。しかし、その推進をはかろうとしますと、先ほどお話があったが、確かにいろいろ困難、問題点がある、こう考えます。そこで過去において自然発生的なケースで非常に成功したというふうな事例が数多くありますか。
  70. 増田盛

    政府委員増田盛君) この点は、私は、農業に関していろいろな部門がございます。耕種農業の部門あるいは養畜の部門あるいは蚕種の部門、そうして園芸部門、いろいろございますが、私は集団化ないしいろいろな意味共同化ですね、団体はいろいろございますけれども集団化共同化といったもので、各農業部門の中で最も進んでいるのは果樹ではないかというふうに考えております。これに関しましては、私どもの方の事例調査もございますし、今現在特に新農村などでやりました事例に関しましては、実績を本格的に調査を始めておりますが、たとえばすぐ引き合いに出される養畜部門のうち酪農部門におきます経営集団化ないし共同化というものから見ますと、事例としては果樹の方が何十倍と多いのではないでしょうか。非常に進んでおる。なぜ進んでいるかといいますと、果樹というものが作物のうちで商品性が高いし、絶えず激烈な競争にさらされて、今日主産地として大をなしておっても、翌日から何かの条件が整わないとばっと落ちてしまうというような関係からいって、非常にコストの引き下げですね、それから品質の均一化といいますか、標準化といいますか、こういういろいろな市場からくる要素を非常に強く受けてくるのじゃないか。従ってそれが農業経営の上に伝わってくる。今まで幸いに果樹が利益があった。従って高度の経営を達成するためには、比較的もうかったということが資本の蓄積、投資を可能ならしめた。こういういろいろな条件があって、日本の農業の中でも、この経営の進め方からいいますと、私は非常な進歩で果樹が先頭を切って歩いているのじゃないかというふうに考えているわけですけれども、これは今言いました事例調査から出てくる数でありまして、一般的なレベルがそこまで上がっておるかどうか、これは問題があろうかと思います。
  71. 石谷憲男

    石谷憲男君 特にお聞きをしたいのは、病虫害の共同防除といったような場合をとらまえまして、そうして非常に零細な経営者があえて集団化をして、そうしてその共同の防除をやろうじゃないかといった機運が自然発生的に盛り上がっておる。そういうふうな体をなし成果を上げた事例があるか、お聞きしたい。
  72. 増田盛

    政府委員増田盛君) ただいま御指摘の、共同防除に関しまして共同化の手段を拡大していくという事例が非常にたくさんございます。むしろ最も共同化の中でやはり典型的なやつは共同防除だと思います。その進歩の仕方も、最初は動力噴霧器の段階から、電力から動力に変わってきて、最近は動力から、相当多数が使用する定置式のパイピングと称しておりますものをやっております。固定した配管をやってやるのができた。最も最近の傾向ではスピード・スプレヤー、これが急速に入ってきておるわけでありまして、これは個人で使用しては全然だめなのでありまして、全部共同してやる。これに対しては公庫の融資の窓を開けておりますけれども、補助その他ほとんど考えておりません。それによって自主的に伸びていくということがいえるのじゃないかと思います。
  73. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 僕は質問はこの次に譲りますが、資料だけをお願いしておきます。政令で指定される果樹種類ですね、八つか九つかありますね。その果樹が、日本全国のどの県にどのくらいできておるかということ、それからそれらの果樹は生果で売られているか、加工して売られているか、加工であったらば、その加工はカン詰になっているか、ジュースになっているか、干果に、ほしたものになっているか、こういうふうな点。それからそれらのものは日本からどこの国に輸出しておるか、そうしてそれらのものが外国から日本にどのくらいの数量入ってきているか、こういうふうな資料を一つ出していただきたいと思います。  それからいま一つは、今病虫害の問題があったが、病虫害に対して、果樹発生予察の方法をとっておられるか、とっておられるということであったらばどういうふうな実績があるか。それから何といっても天敵が最も必要であろうと思うのでありますが、害虫の駆除の天敵に対する方針はどうであるか、またどういうふうな天敵を今準備して、将来奨励しようと思っておられるか、こういうふうな資料を出していただいて、この次に質問いたします。
  74. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もなければ、本法案については、本日はこの程度にいたし、これをもって散会をいたします。    午後一時五分散会