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1960-04-19 第34回国会 参議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十九日(火曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   委員異動 四月十八日委員田上松衞辞任につ き、その補欠として東隆君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            大河原一次君            東   隆君    委員            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            高橋  衛君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            北村  暢君            藤田  進君            棚橋 小虎君            千田  正君   政府委員    農林省畜産局長 安田善一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局参事官    松岡  亮君    農林省農地局参    事官      庄野一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○開拓営農振興臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○開拓者資金融通法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○開拓者資金融通法による政府貸付  金の償還条件緩和等に関する特別  措置法案内閣送付予備審査) ○農林水産政策に関する調査  (乳価に関する件)  (貿易為替自由化農林水産業に  関する件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  四月十八日田上松衞君が辞任され、その補欠として東隆君が選任されました。   —————————————
  3. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) この際、理事補欠互選についてお諮りいたします。  去る十五日東隆君の委員辞任に伴い理事が欠けておりますので、補欠互選を行ないたいと存じますが、その方法は、成規の手続きを省略して、便宜、私から指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 御異議ないと認めます。よって理事東隆君を指名いたします。   —————————————
  5. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案閣法第七三号)、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案閣法第一〇五号)及び開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和等に関する特別措置法案閣法第一〇六号)(いずれも予備審査)を一括議題といたします。  ただいまの三法案につきましては、すでに四月五日に提案理由説明を聴取いたしておりますが、まず、三法案について順次補足説明を求めます。
  6. 庄野五一郎

    ○説明員(庄野五一郎君) 先般提案理由の説明を申し上げました開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案、それから開拓者資金融通法の一部を改正する法律案及び開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案開拓関係の三法案につきまして、若干補足説明を申し上げたいと存じます。  戦後開拓地に入植いたしました開拓者は、昭和二十年から三十四年三月三十一日までの累計でございますが、現在戸数は約十四万七千戸でございまして、その開墾完了いたしました面積は約三十二万六千町歩に達しております。なお、地元増反等開墾面積を加えますと、四十七万二千町歩に達するわけでございまして、農地の造成ということが行なわれておるわけでございますが、開拓者のただいま保有いたしております家畜保有頭数は、大家畜に換算いたしまして約十九万九千頭、そのうち乳牛が八万三千、牛馬九万四千その他綿羊、ヤギ、豚あるいは鶏、そういったふうで家畜頭数も逐次増加いたしておりますし、また主要食糧生産量は年間約四十五万二千トン、これは玄米換算いたしますと三百万石をこす程度でございますが、そういうふうで営農成績は逐次向上の道をたどっております。しかし、開拓営農振興臨時措置法の規定に基づきまして振興計画を樹立いたしまして、都道府県知事の承認を受けました、いわゆる改善農家という戸数は、総戸数十四万七千戸の約七割の約九万四千戸に達しております。これらの要振興開拓者は、昭和三十二年以来、いわゆる開拓営農振興対策を、先ほど申しました承認されました計画に基づきまして強力に推進いたしておりまして、次第にその成果を上げつつありますとはいうものの、今なお満足すべき状態にないことは、すでに、ただいま御審議願っております三法案の提案理由説明で申し上げました通りでございます。  そこで、昭和三十五年、本年度でございますが、ここ数年来振興対策重点のために逐次減っておりました新規入植戸数でございますが、この戸数は、三十五年度はさらにこれを一千戸にとどめるということにいたしまして、それも基本営農類型適用地区とか、あるいはその他建設工事を大体完了いたしました一般地区等で、入りますとすぐもう営農が安定するという見込みの確実な地区とかに限るというふうにいたしております。また後刻御説明いたしますが、過剰入植地区の移転再入植でほかの地区に移るのも新規扱いいたしますが、そういう戸数も含めまして一千戸にとどめるということにつきまして、開拓行政の主力をあげて、過去に入植いたしました既入植者開拓営農振興対策拡充促進ということに全力をそそぐことにいたしまして、従来行なって参りました各般の総合施策をさらに推進いたしますとともに、三十五年度からは、新たに政府融資金条件緩和——これはただいま特別法の御審議をお願いするわけでありますが——条件緩和、あるいは政府資金によりまする災害対策資金を新たに貸し付ける制度を設ける、あるいは過剰入植地区のいわゆる間引きをやりまして営農振興をやる、そういった新しい施策を本年度からさらに進めることにいたしまして、営農振興に万全を期することといたしております。で、これらの施策のうち、法律を必要といたします事項につきましては、すでに先般御可決いただきました開拓融資保証法の一部を改正する法律及びただいま御審議願っております三つの法律を提案した次第でございまして、これにつきまして御説明するわけでございます。  なお、その前に、開拓営農振興対策のただいま政府がとっております概要について一言御説明しておきたいと思います。  で、三十五年度におきまする開拓営農振興対策につきましては、開拓関係予算の成立とともに御審議願っておるわけでございますが、ただいまお手元に配付いたしております資料の中にも一覧表を掲げておりますが、先般提出いたしました、十九ページに書いてございます開拓関係予算の総括表、その通りでございまして、この総額が国費で九十一億、融資金が六十六億で、前年の三十四年度に比較いたしまして、国費で十一億円、融資で二億円の増加となっております。そしてこのうち国費の六十二億、融資の五十一億は既入植者振興対策の分でございまして、振興対策重点の施策を、これによって一つ御了承いただきたいと存ずるのでございます。  その内容を簡単に申し上げますと、まず、開墾建設工事の促進を強力に進めたいと、こういうふうに考えておるわけでございますが、開墾建設工事の遅延が営農不振の非常に大きな原因となっていることは御承知の通りでございまして、そういった状態から、すみやかに生産の基礎的条件でありまする道路、水路等を整備することが先決条件である。そのために、振興対策地区に最重点を置いて、なお工事の残っておりまする残事業量をできるだけ早く工事を完了していく、こういう残事業量の促進をはかるということを第一に考えております。それとともに、計画の不備だとか、あるいは営農の転換をやる、たとえば主穀中心の営農から酪農、果樹といったようなふうに経営転換をやる、あるいは飲用水が不足で非常に営農が不振な土地、まあそういった等のために新しくまた従来の計画に追加工事を必要とするといったような地区については、これを早急に実施するということにいたしております。で、これらの振興地区分といたしましては、開墾建設工事分として国費四十六億——建設工事の総額が五十八億のうち振興地区分が四十六億になりますが——計上いたしておりますし、これは前年度に比べまして二億円の増加ということになっております。で、このうち、国営開墾地区につきましては、継続地区が今六十八地区でございますが、このうち要振興地区が五十五地区でございまして、この振興地区の総事業費が二百八十六億七千九百万円になっておりますが、三十五年度までに、そのうち百七十二億四千万円を工事を済ましていく、こういうことになりますので、進捗率は六〇%に相なりますが、こういうふうに継続地区の残工事をできるだけ繰り上げていく、こういうことになりますと、なお残年量が五・四年ございます。今後の方針といたしましては、これを五カ年間でこなしていきたい、こういうふうに考えております。  なお代行開墾地区につきましては、ただいま工事継続中のものが五百三十二地区ございまして、そのうち要振興地区が四百十五地区ございますが、この要振興地区の総事業費が百四十八億二千四百万円でござしまして、三十五年度までに七十七億五千四百万円の工事を大体進めることができるわけでございます。大体進捗率は五二%、こういうことに相なるわけでございます。なお残年量が五・三年、大体なお五カ年間くらいの残年量でございます。これもできるだけ早く三十六年度以降でこなしていきたい、こういうように考えるのでございます。  それから次に、営農資金の確保の措置をどういうふうにいたしておるか、こういうことについて御説明申したいと思います。  まず、長期資金の融通をどうするかという点でございます。振興計画に基づきまして、大家畜、農用施設あるいは農機具等の基本的な生産手段を導入するための資金につきましては、開拓者資金融通特別会計から振興対策資金を、これは五分五厘の十二年の償還期間になりますが、融通しておるわけでございますが、三十五年度は二十五億五千三百万円、前年度は二十三億八千万円で、実際三十四年度は開拓者に貸し付けたものがこのうち二十億で、約三億程度が不実行額になっておりますので、二十億を貨し付けております。本年度は二十五億五千三百万円を全部貸し付けたい、こういうふうに考えておるわけでございます。まあこれによりまして、従来の主穀経営から酪農あるいは果樹中心の経営の営農転換資金ということにこれが相なるわけでございます。これによって振興をやっていきたい、こういうふうに考えておる重要な資金でございます。それからなおこれと並行いたしまして、長期資金といたしましては、農林漁業金融公庫から前年通り施設資金として十五億を計上いたしておるわけでございまして、このうち振興対策農家に回るものが、九億八千万円が振興農家に相なるわけでございまして、これも大体前年程度をまあ融資することにいたしております。これによりまして経営の安定を期していきたい、こういうふうに考えております。  それから北海道の要振興開拓者に対する振興対策資金につきましては、その特殊事情を考慮いたしまして、償還期間を延長することにいたしまして、これに必要な法的措置として開拓者資金融通法の一部改正を行なうことといたしまして、あとで御説明申したい、こう思っております。  それから長期資金と並びまして経営資金の融通の円滑化を進めていきたい、こういうふうに考えております。経営資金と申しますのは、肥料、飼料あるいは中小家畜、こういった短期資金でございますが、これを購入するための資金につきましては、その融通の円滑化をはかるために、中央開拓融資保証協会に対しまする政府出資を一億円、——前年度は八千万円でございましたが、——これを増額することにいたしまして、これに必要な法的措置として、先般開拓融資保証法の一部を改正する法律案の御審議を願って、四月一日から施行いたしております。この政府出資の一億につきましては、四月四日にすでに中央開拓融資保証協会に政府から出資が完了いたしておりまして、これによりまして中央の出資金を、政府以外のものを合わせますと、五億九千五百六十二万円となるのでありまして、これを基金といたしまして、開拓者に対しましては、三十五年度においては約三十一億の貸付に対する保証ができることになります。なお飼料等年間五回転するものの金額を加えますと三十六億五千万円程度の貸付金の保証ができるようになりまして、非常に短、中期資金の融通の円滑化が期せられるわけであります。  それから次に、災害対策資金の融資の道を確保する点でございますが、要振興開拓者が災害を受けました場合の対策につきましては、従来も一般の災害対策のほかに開拓地独自の対策といたしまして、住宅、農舎及び畜舎の復旧事業に対する政府の補助などを行なって参りましたが、災害により営農改善計画を達成できなくなるおそれが非常に多いわけであります。特に、昨年のような伊勢湾台風のような大災害がありますと、せっかく営農振興計画を立てて参っておりますその計画が途中で挫折するといったような状態にかんがみまして、新たに、開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由でも御説明申し上げました通り、開拓者資金融通特別会計から災害対策資金を貸し付ける制度を確立することにいたしまして、これに必要な法的措置予算的措置を講じた次第でありまして、法的措置につきましては、ただいま御審議願っておるわけであります。で、この新しい制度で政府特別会計から貸し出しまする災害対策資金は一応一億円を特別会計に計上いたしておりますが、もしこの金額で不足する場合には、なお基本営農資金及び振興対策資金の中に留保してあります五千万円ずつ計一億でございますが、これを追加支出する考えでございまして、合計二億円までは本年度特別会計の予算の中で災害資金として支出し得るよう措置いたしてございます。  なお、この制度は一応開拓者振興法によりまして振興計画を立てた農家を対象にすることにいたしておりますけれども、一般の開拓者につきましても、伊勢湾台風の際と同様に、災害によって壊滅的な打撃を受けました場合は、この制度も同様な条件で融資したいと考えて、これは法律によらないで、予算的措置によって、そういう事態が起こりましたら対処するということで大蔵省とも話し合って、大体の了承を得ている次第でございます。  それから次に、非常に開拓者の営農の圧力になっておりますのは開拓者が借り入れました負債の問題でございまして、その負債整理対策をやはり開拓営農振興の一環として従来から強力に進めたわけでございますが、これにつきましては、開拓者負債総額短期資金を除きましても三十三年度末の推定で約二百六十一億円、これは政府資金あるいは中金資金あるいは災害資金自作農資金、そういった制度金融だけでございますが、三十三年度二百六十一億、三十四年度末で政府資金等の貸し出しを追加いたしますと大体三百十四億円程度に達するわけでありまして、一戸当たり、大体三十四年度末三百十四億円といたしまして、二十一億円程度の負債を一戸当たり持っておるわけであります。そのように多額に上るわけでございます。なおこのほかに、こういう制度金融じゃなしに、親類縁者あるいは近所の知り合いからといった個人負債が総計三十億程度が推定されておるわけであります。一戸当たりにいたしまして、大体平均一万から三万程度の個人負債を持っておるほかに、二十一億円の負債を持っておる、こういう負債の重圧が営農不振の一つの原因ともなっておりますので、営農改善消極的対策として、負債の整理を強力に進めておるわけでございまして、その一つの方法といたしまして、政府融資金償還条件を緩和するということをいたしたいと思います。  それで開拓者資金融通特別会計からの政府融資金につきましては、従来、国の債権の管理等に関する法律によりまして、履行延期の措置をそれによって三十三年、三十四年ととってきたわけでございますが、大体これによりますと、五年ないし十年の履行延期ができるわけでございまして、三十三年の履行延期の実績は大体一億七千五百万円程度、三十四年度はまだ推計ができておりませんが、三十三年度で一億七千五百万円程度の履行延期の措置をとってきたわけでございます。なお、この債権管理法履行延期の措置は開拓者の実情に沿わない点もございまして十分とはいえない状態でございます。これに対しまして三十五年度と三十六年度の二カ年間に、その開拓者の営農の実情に即応した償還条件に緩和する措置を今回とることにいたしておりまして、このため、開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案を提案した次第でありまして、この法案につきましては、後ほど逐条の御説明をいたしたいと、こう思っております。  それから次に、負債整理の一環といたしまして、災害経営資金営農改善資金への借りかえの措置でございます。いわゆる天災融資法によります災害経営資金、これは償還期間五年以内でございますが、開拓者が過去に非常に借りておるわけでございまして、これを開拓営農振興臨時措置法によりまして営農改善資金、これは償還期間が十年以内になりまして履行期限が延びるわけでございまして、それに借りかえさせまして、引き続いて政府から利子補給損失補償を行なっておりまして、現在までに約三十六億円程度の借りかえが完了いたしております。なお本年の十二月末までには四十一億程度は借りかえを進めていきたい、こういう予定にいたしまして、この利子補給に必要な予算として本年度に一億四千二百万円を計上いたしております。そういう天災資金営農改善資金の長期の資金に切りかえるという措置を講じておるわけでございます。  なお、そのほかに第三の負債整理対策といたしまして、自作農維持創設資金の融通でございますが、これは開拓者のいわゆる個人債の過去の分でございまして、高利負債が特に経営の圧迫になっておりますので、そういう開拓者に対しましては自作農維持創設資金を——これは年利五分の償還期間が二十年以内でございますが——融通してやって、これを整理させておりますが、三十五年度は十五億円を予定いたしております。三十四年までに大体三十六億三千七百万円の自作農資金開拓者個人負債整理基金として貸し出しておりますので、三十五年を加えますと五十一億三千七百万円に相なるわけでございまして、これによりまして大体振興農家個人負債の整理は三十五年で大体終了いたす予定にいたしておるわけでございます。  それから負債整理がそれで大体終わるわけでございますが、次に、営農条件生活環境整備強化、こういったものの不備が非常に営農不振の原因になっておりますので、そういった点の整備拡充の強化をやっていきたい、こういうふうに考えておりますが、まず営農条件の整備の方法として、配分された土地を早急に開墾いたしまして耕地化することが営農振興の根幹でございまして、これをまず建設工事の促進に対応いたしまして進めていきたい、こういうことで、開墾作業酸性土壌の改良の経費を、振興対策分といたしまして、重点を置いて四億七千九百万円、これを本年計上いたしております。それからなお、この開墾の促進とともに、開拓地におきまするその営農の合理化をやる、あるいは動力不足を解消する、あるいは相ともに共同して営農が進むようにする、そういった点から営農の機械化を促進するということを三十五年から新しく取り上げて、大型トラクター、これは大体四十馬力程度のものでございますが、既農家の分を含めて八十八台、その大部分を開拓地の方に向けたい、こういうふうに考えております。これは国費二分の一補助でございますが、そういった大型トラクターを新しく導入する、あるいは西の方になりますが、小型トラクターを、これは十馬力程度でございますが、開拓地に入れていく、これは三分一国の補助でございます。これは小型トラクターは全部開拓者分で二百五十台、こういうことになっておりますので、そういうものを導入いたしまして、営農促進ということと経営転換、経営の合理化ということを特に開拓者について進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから次に、生活環境の整備でございますが、これは住宅の問題とか、あるいは飲用水の問題、あるいは電気をつける、そういったような重要な生活環境を整備しなければ、やはり営農の振興なり安定は期しがたいわけでありますので、そういった点につきましても、特に振興地区に重点を置きまして予算を計上し、そしてそういう点の整備を進めたい、こういう考えでございます。なお開拓地の生活改善の一助といたしまして、新しく婦人ホーム、これはモデル・ケース的で非常に少ないのでございますが、内地四カ所、北海道に二カ所設置いたします。こういったものも新しく計上いたしまして、生活環境の整備もできるだけ早く進めていきたい、こういうことで、本年度は二億三千万円程度を計上いたした次第でございます。  なお新しい一つの考え方といたしましては、従来の過剰入植地区振興対策を何とか実施したいということで、間引きというような新しい制度を考えて、過剰入植地区の適切な経営規模の確立ということを期したい、こういうふうに考えて予算措置を講じたわけでございます。これは従来はぽつぽつとやっておったわけでございますが、計画的に三十五年度から実施していく、そして過剰入植地区開拓者の一部を他地区に移す、あるいは希望があれば転業させる、あるいはその中で海外移住を希望する人にも海外移住の道を開く、そういった措置を講じまして、そういう過剰入植地から出ていく人には、奨励金として、二戸当たり平均十五万円、海外に出ていく場合はそれに五万円追加いたしまして二十万円、こういう奨励金を交付して、出ていきやすいように、負債等の整理、それから転業資金にしてもらう、こういった道を開いてみたい、こういう考えでございますが、特に政府といたしましては、移転先のあっせんとか、出ていく場合の負債の整理をどういうふうにやる、あるいは履行延期の措置も講じてやる、それから希望があれば ほかの地区に再入植するという場合には、新規入植の取り扱いをして、住宅とか、あるいは資金を貸していく、そういうような措置を講じまして、出ていって新しい地域で活躍しやすいようにいたしますとともに、残ります開拓者に土地の再配分をいたしまして、経営規模をできるだけ大きくして、いわゆる過剰入植のために、経営面積が不足のために不振だという原因を除いていきたい、こういうふうな考えでございます。大体三十五年度においては六百戸を予定いたしておりますが、なお、これは引き続き計画的に進めて参りまして、いわゆる配分是正による、過剰入植適正配分ということによる振興計画ということを進めていきたい、こういうふうに考えております。これは今要綱を作っているわけでございますが、大体振興計画によって、再配分を要求している者等につきましては、付近に未墾地があれば、そういうものを新しく追加配分するとともに、そういうものがない場合には、全部開拓者の総意によりまして、出ていく人は気持よく出ていく、残る人は出ていった人の農地を引き受けて、経営規模を拡大して営農を拡大していく、そういった合意に基づいてこれを進めていく、こういうふうにいたしたいと考えております。  それから新対策の一環として、営農指導というものが非常に重要なことでございますが、これの中心に当たっております開拓営農指導員あるいは開拓保健婦の問題がございますが、そういう問題は現地駐在を原則といたしまして、そうしてオートバイとか、そういうものの装備を強化して、できるだけ重点的に、活発に指導ができるように、そういうようにやっていきたい、それから特に不振地区には濃密指導ができるようにやっていきたい、こういうような指導方針を固めております。それとともに、いわゆる開拓農協でございますが、その問題につきましても、経理補導等、従来に引き続きまして、さらに補導員の制度を実施いたしまして、経理内容の明確、あるいは財務整理の一端を開いていく、こういうことをいたしますとともに、弱小組合が非常に多いわけでございますので、本年はモデル的でございますが、一県一カ所程度は統合事務所の制度を開きまして、そこで組合事務の統合を行なっていく、その結果を待って、将来開拓農協をどういう方向に持っていくかといったような点につきまして、いろいろそのモデル統合事務所の制度によって将来の方向も検討いたしたい、そういう意味の統合事務所の制度も、ことしから新しく取り上げていく、こういうようなことで、組合の育成強化という点についても、特に力をいたしたいと、こういうように考えております。  それから新しい制度といたしまして、開拓営農振興審議会の設置でございますが、これも振興法の改正で設置することにいたしておりますが、以上述べましたような施策によりまして、開拓者の営農は大いに進展するものと考えておりますが、開拓営農振興には、なおいろいろ検討を要する重要な問題もございますので、新しく農林省に開拓営農振興審議会を、これは委員十名でございますが、設置いたしまして、開拓営農振興に関する重要事項、特に振興計画の達成というような点、それから開拓制度の問題、そういう重要事項を調査審議することといたしまして、これを開拓営農振興臨時措置法に規定することにいたして御提案申し上げた次第であります。  以上が三十五年度における開拓営農振興対策の概要でございますが、次に、ただいま御審議願っております三法案の内容につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず、第一が開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案でございますが、この法律案は、第五条の二に災害対策資金の制度を規定いたしておりまして、それから第九条を一条追加いたしまして、九条に開拓営農振興審議会の制度を規定した次第でございます。その趣旨はいずれも先般提案理由説明で詳細に御説明いたした次第でございますが、この災害対策資金につきましては、異常な天然現象が発生いたしました場合に、これを農林大臣が指定いたしまして、そしてその天災の中で、今度は天災資金の貸し出し適用地区をさらに農林大臣が指定することに相なります。それで異常な天然現象と申しますのは、広範な地域にわたって暴風雨とか、高潮とか、洪水とか、その他降ひよう、あるいは冷害といったような点を考えておるわけでございますが、そういった異常な天然現象で、開発地に激甚な被害があったような場合でございますが、農林大臣がその中から指定するわけでございます。大体天災法の発動がありますれば、この五条の二によりまして、天災資金の貸し出しということになりますが、さらにその中からこれはしぼっていくということに相なるんじゃないかと思います。さらに、天災法が発動いたしませんでも、災害の程度によりましては、開拓地には非常に激甚な、局地的な災害も起こるわけでございますが、そういう場合にも貸し出しできるようにいたしたいということで、ただいま大蔵省とも折衝中でございます。なお適用地区等につきましては、そういった災害が起こりました場合に、災害資金の貸付対象になりまする開拓者、被害を受けました開拓者が大体十人地区内にある、あるいは開拓者の総数の一割をこすといったような、昨年の高率適用の同じような区域を指定していくということで、町村ごとにこれを指定していきたい、こういう考えでございます。  それからこの貸付対象でございますが、これは振興農家を原則といたしておりますが、振興農家以外でも、災害を受けた場合に、その振興農家にひとしいような場合には、何とかこれにも貸し出せるといった道も開きたいという考えでおりますが、原則としては振興計画を立てた農家が災害によって、振興計画の達成が非常に困難になった場合に貸し付けるというふうに考えております。それで大体どういう被害に貸し付けるかと申しますと、まあこれは天災法の一つの補完的な作用ということに考えておりますが、天災法では経営資金を中心といたしておりますが、施設資金には天災法は貸し出しておりませんので、大体この新しい制度によりますと、災害対策資金は施設資金を貸し出すということを原則にしたい、こういうふうに考えております。大体災害を受けまして、農業施設が非常に大きな被害を受けた場合に、それを復旧する場合には補助金も出ますが、補助金の出ない場合、あるいは補助金を除きましたあとの分、そういったものにつきまして、農業施設の被害に対して融資していくということを原則として、それから農業施設も農作物もともに激甚な被害を受けました開拓者、こういう者にはこの施設資金とあわせて経営資金も貸し出すようにいたしたい、こういうふうに考えております。たとえば冷害とか卓越とかいって、施設資金の方の災害のないような場合には、これも経営資金だけを貸せるように、これは本来は天災融資法でいくべきでございますが、そういう場合にも、天災融資法によってなかなか貸し出しが困難である場合がありますが、そういう場合には経営資金だけでも貸し得る道を開きたい、こういう点でただいまこの点大蔵省とも折衝中でありまして、早急にこれはきめて、政令なり省令で基準をきめていきたい、こういう考えでございます。大体貸付金は二十万円の範囲を限度として貸し付けるようにいたしたい、こういう考えでございます。  なお貸付条件につきましては、施設資金については、大体五分五厘の十二年以内、それから先ほど申しました、施設も農作物もやられたといったような、非常に激甚な被害を受けました開拓者につきましては、三分六厘五毛の資金を二十年以内で貸せるように、こういうような考え方で案を措置しております。大体それが災害対策資金の制度でございまして、これは天災資金の補完という意味で天災資金も貸し出せるが、天災資金で貸し出しができない施設資金を貸し出すとともに、その施設資金と経営資金とをあわせて三分六厘五毛、二十年のやつも災害のひどい場合には貸し出す、こういう道を開く、こういうことでございます、これを新しい制度として振興法の中に盛り込んだわけでございます。  それから九条の審議会の点は、先ほど申しましたので省略いたしておきます。なお、こまかい点は政令に譲るわけでございますが、大体委員の任期は二年程度ということで、開拓者の開拓につきまして特に学識経験を有する人でございますから、開拓に対する関係融資機関の人、あるいは開拓者の団体、あるいは開拓者それ自体、あるいは開拓に非常に熱心な町村長、そういったような中から十名を選考いたしまして委員といたしたい、こういう考えでございます。  それから次でございますが、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  開拓者資金融通特別会計からの融資資金は、ただいま基本営農資金、これと三分六厘五毛の二十年、これは新規に入植いたしました人に入植の当時から大体三年以内に貸し付ける資金でございまして、施設資金、経営資金合わせたもので、基本営農資金、こういっておりますが、それとただいまは振興計画を立てました既入植者、これは三年以上たった入植者でございますが、振興計画を立てました振興農家に、振興対策資金として五分五厘の十二年以内の償還期間で貸し出している振興対策費と、二通りを大体貸しているわけでございますが、そういう資金の、今後三十五年度以降、今後の新規貸付金についての改正でございます。既貸付金、三十四年度までに貸し付けた分については、後ほど説明いたしまする条件、緩和等の特別法でこれの整理等をやっているわけでございますが、これから貸し付ける分についての新しい貸し付け方を、今度融資法の一部改正でやっていく。  その改正は第二条の改正になるわけでございますが、第二条の改正は、実質一本化をやりたい。これはただいま開拓者に貸し付けますものは、基本営農資金振興対策資金でございますが、それが各年度にわたりまして幾日にも重ねて、多いのは一人で二十口も借りている、こういうふうでありまして、非常に幾口にもなっているわけでございます。これを何とか一本化していきたい。実質的には三分六厘五毛と、五分五厘の利率のものと二つになるわけでございますが、そのための改正でございまして、特にこれは個人対象資金についてこういう措置をとっていきたい。個人対象資金と申しますのは、開拓者資金融通法の第一条の一号の農機具、肥料、家畜その他の経営資金及び施設資金、こういった資金と、それから二号の住宅資金、住宅資金はただいま貸しておりませんが、この二号の住宅資金、それから第二項の機械開墾地区の開墾作業といったようなものが個人資金でございます。その個人対象の資金につきまして、第二条の第一項から三項までは据置期間を含む償還期間を一年延長いたす改正をいたしておりますし、第五項はこの中の据置期間を一年延長いたしまして、いずれも「以内」という字句を入れた次第でございます。それでこの二条の償還期間は二十年とあるのは二十一年、それから据置期間は五年とあるのは六年以内、こういうふうに相なるわけでございます。この改正の趣旨は、別途配付いたしております資料の中に図解いたしておりますので、それを見ていただくとよくわかると思いますが、基本営農資金は、通常入植後三年間に計画的に貸しておりますが、大体所要資金に対しまして、三・五・二、こういったような比率で、初年目は三割、二年目は五割、三年目は二割程度、こういうふうに貸しておりますが、この資金の償還条件を従来は毎年度の各資金ごとに五年据え置き、自後十五年償還で貸し付けておりましたので、償還の始期及び終期が三本ともばらばらになっていたのでありまして、開拓者によっては、他の資金も合わせると、その口数は二十数目に上る、こういったようなことでその債務も非常に開拓者にとっても不明確になるとともに、国の債権管理の上から申しましても、口数が多いので、はなはだ繁雑になりまして非常に困っていたわけでございますが、そこで、今後は初年度に貸し付けますときは、据置期間を六年以内とたしております。二年目は五年、三年目は四年、平均いたしますと、いずれも五年になるわけでございます。従来はこれが五年、五年、五年でありまして、ずっとずれて、それぞれ違う据置期間の経過、償還期間の経過になるわけでございますが、据置期間が六年、五年、四年になりますと、三本とも据置期間が最後に一致になるわけでございます。それから償還期間はそれぞれ十五年ということになりますと、償還期間の始まる時期が大体一致いたしますし、また終期も一致いたすということで、これで実質的一本経理ができるわけでございますので、開拓者の償還にも便利になるとともに、特別会計の債権管理事務も大へん簡素化されるということで、新しく貸し付ける分については、こういったような措置で、実質一本化の措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。ただ、共同施設資金、これは法人貸しを原則といたしておりますが、開拓者資金融通法の第一条第一項三号の資金でございますが、これと農地開発機械公団に実施させておりますいわゆる機械開墾地区における付帯工事、これは開拓者資金融通法の第一条第二項二号の資金でございますが、そういった資金につきましては、一本化経理を行なうのは妥当でありませんので、従来通りの条件でこれは貸し付けるということにいたしまして、個人対象資金だけについて今申しました新しい措置を講じて、実質一本化の措置を講じたい、こういうふうに考えております、それから今後の個人対象資金は、あとで述べます条件緩和の特別法による法人貸し資金を個人貸しに切りかえる措置に対応いたしまして、新規の分については原則として個人貸しを行なっていくことにいたしております。  それから開拓者資金融通法の改正の第二点でございますが、附則の改正でございますが、北海道におきまする振興対策資金の条件変更でございまして、附則第三項の規定によりまして、要振興開拓者は本法の第二条第二項を読みかえて、年利率五分五厘、三年据え置き、自後九年償還で貸し付けておりましたものを、北海道に限りまして、要振興開拓者営農改善の進捗状況と、あわせて北海道寒冷地畑作営農改善資金、いわゆるマル寒資金がございますが、昨年改正になったわけでございますが、マル寒資金との均衡も考慮いたしまして、第二条第二項及び第五項を五年据え置き、自後十五年償還と読みかえるように改めるものでございます。それで結局北海道につきましては、営農振興対策資金は、内地では従来は三年、九年の十二年だった分を、北海道の分につきましては、期間延長いたしまして、五年据え置き、十五年償還と読みかえることにいたしたわけでございまして、これを先ほど申しました新規資金については一本化ができるようにということで、新しく法律上は据置期間をさらに延長して六年、それから償還期間を、据置期間が一年延びますので、二十一年ということにいたしまして、さっき申しました新規の実質一本化ができるように北海道についても措置いたしました。内地は従来通り三年、九年、これは据置期間は四年の十三年以内ということに相なるのであります。これもやはり実質一本化ができるように、据置期間を一年、償還期間を一年延ばしたということでございます。これが開拓者資金融通法の一部を改正する法律案でございます。  それから最後に、開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案でございますが、これはいわゆる条件緩和と申しておるわけでございますが、三十四年度までの政府資金の既貸付金につきまして、以下述べますような特別措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。その特別措置はいわゆる条件緩和の措置、それから条件緩和の中には要振興農家のうちでこれを区分いたしまして、非常に営農の不安定な、著しく不安定なものは五年据え置き、十五年に、いわゆる二十年の償還期間に延ばしていくというものと、それほど著しく不安定の域まで達していない不安定な開拓者については、据え置きなしの十五年の償還期間に延ばしていく、いわゆる条件緩和の措置を講じます開拓者と、それから条件緩和の措置を講ずる必要のない開拓者については、ただいま三十四年まで借りました政府資金の条件の変更といいますか、延滞元金、延滞利子、延滞金、そういったものを元金に繰り入れてこれを年次償還でできるようにする、いわゆる条件変更の道を講じていく、そういった開拓者を三ランクに分けて過去の政府資金の整理をやっていきたい、こういう考え方でございます。なお、それに伴いまして、従来個人に貸し付けます金も組合に貸しまして組合から転貸するということで、政府から見ますとまた貸しになっておったわけでございますが、それを政府から開拓者直接の個人債権に切りかえていく、そういう道も開きたい、こういうふうな考えでございます。それで三十四年度末までに貸し付けました政府資金の貸付金残高が大体現在のところでは百九十三億程度ございます。償還されたものを差し引きますと貸付残高が百九十三億ほどになっておるわけでございます。一応それが三十四年度までのいわゆる特別措置法の対象になる政府の貸付残高でございます。これにつきまして今申し上げました条件の緩和なり、あるいは変更をやっていくわけであります。  それで法案の第一条から御説明申し上げますが、第一条は政令で定める営農の基礎が不安定な開拓者、これは政令で、大体改善農家改善農家といいますか、及び要振興農家で、その所得とそれから家計費を引きまして、それから公租公課、そういったものを引きまして、それから公庫とか、あるいは中金とか、あるいはその他のいわゆる優先弁済、政府資金に優先して払わなくちゃならない優先弁済の債務を引きまして、その残りが、いわゆる政府の年賦償還額と比べてそれが返せるか返せないか、返せない農家をまあ政令で要改善農家の中からしぼってくるわけでございまして、政令でその条件緩和対象農家を定めて、そうしてそれに対しまして、その著しく不安定なものは五年、十五年、それからそれまでに達しないものは据え置きなしの十五年、こういうふうに条件緩和措置を講じたい、こういうふうに考えております。  それで第一条の第一項でございますが、第一項の第一号は、昭和三十五年の四月以降四年九カ月据え置き、自後十五年償還に緩和する、特に営農不振の開拓者の規定でございまして、これはさきの省令で大体条件緩和の対象の開拓者をしぼって、それから省令で、その中で据え置きを五年置くものと、据え置かないでただすぐ年賦償還に入るものと、そういうふうに省令で区分する、大体省令で、五年据え置き、十五年の開拓者の資格を定める、そういうことにいたしておりますが、そういった、その省令で定められた範囲で開拓者の範囲を定めるということにいたしておりますが、そうして、これまですでに弁済期が到来しておりまして、なお未納となっておるものを、今後の償還期間に分割して納付できるよう、未納の元金、利子及び延滞金を元金に組み入れる、いわゆる元加もあわせて行なうようにいたしたい、こういうふうに考えております。で、なお、据置期間に九カ月の端数がありますのは、年賦金の納付期限を、特別会計の貸付の合理化のためと、それから開拓者の償還に便ならしめる、そういった意味から、従来の三月末、年度末、いわゆる会計年度末の三月末を出来秋の十二月に変更することにいたしましたので、これに伴いまして、初年目が九カ月になります。自後は十二カ月、一年々々になります。初年目が九カ月、あとの四年はまるまるでございますので、据置期間が四年九カ月。それで自後十五年の1支払い期間になりますので、償還期間は十九年九カ月、こういうことに端数がつくわけでございます。結局は、五年据え置き、十五年償還、こういうことになるわけでございます。技術的な問題でございます。ただ、会計年度末の三月から十二月に繰り上げました点につきましては、この特別会計におきまする貸付原資は、償還金の元金部分の回収された分と、それから預金部資金から借りてきました分とで、合わせてまあその年の開拓者に対する貸付原資にいたしておるわけでございまして、この年度末の三月三十一日までにせっかく開拓者が努力して償還をいたしてくれた分も、これは出納閉鎖期間の関係もございまして、貸付の方は三月三十一日までに貸し付けないといけないわけでございまして、納入の方は出納閉鎖期間まででよろしいのでございますが、貸付の方は三月三十一日限りと、こういうことに相なりますので、せっかく三月三十一日までに、出納閉鎖期間に返してくれたものが、その年の開拓者の原資にならないというようなこともございまして、非常に今までもむだがある、そういうこともありますし、また出来秋に返していただいた方が開拓者としても返しいいような点もございますので、金繰りの点と、それから開拓者の出来秋に返していただくというような点から、年末ということにしたわけでございまして、これは初年度だけを三カ月繰り上げるわけでございます。あとは従来通り一年々々の償還期間、こういうことになります。初年度だけ三カ月繰り上げる、こういうことになります。  それから次に、第一項の第三号の方から説明申しますが、第一項の第三号は、未納金の元加を行なった上、据置期間を置かないで十四年九カ月償還に緩和する開拓者の規定でございまして、この開拓者でも据置期間がまだ残存している場合、いわゆる今まで、三十四年までに借りた分についてなお据置期間中のものもあるわけでございますが、据置期間がまだ残存している場合は、その残存期間だけ据え置くことといたしております。償還期間緩和は、据え置きなしの十五年でございますが、その対象になりました既貸付金、借入金が、据置期間があればそれは残しておくということで、その先十五年の償還期間に相なる、こういうことになります。  それから次に、この第一号と第三号の二つを通じまして、据置期間も原則として利子だけは徴収いたすことにいたしておりますが、なお、その無利子の据置期間がなお残存している場合は、その残存期間は無利子ということにいたしております。それで、五年据え置きの十五年の緩和の場合に、なお本来緩和する前の貸付金に二年の無利子期間が残っている場合は、五年のうちの二年は無利子にするということになりますし、据置期間のない十五年の緩和の場合に、緩和する前の無利子の償還期間が据置期間が残っている場合は、その期間だけは無利子、こういうことに相なります、原則としては償還緩和したあとの据置期間は有利子、こういうことにいたしております。  それから次でございますが、第一項の二号と四号をあわせて御説明いたしますが、第二号及び第四号は、ただいま説明いたしました第一号または第三号の場合に、同一の開拓者が同一利率のものを二口以上借りている場合の特例規定で、このような場合には、その据置期間の残存期間と申しますのは、その期間をそれぞれの資金の約定貸付残高で加重平均した平均残存据置期間とすることといたしております。これは一号三号は一口の場合でございますが、まあこれは非常に例外で、一口しか借りてないというのはないわけでございます。大体まあ二号、四号で数目、多いのは二十数口借りておるわけでございます。それを大体三分六厘五毛と五分五厘の二つの方に整理いたしまして、そうしてそれを、それの据置期間をさっき申しましたようにとるわけでございますが、据置期間の計算方法がこの二号及び四号に書いてあるわけでございます。据置期間の残存期間は、その約定貸付残高で加重平均したものを平均残存据置期間、それを五年の中に入れたりあるいは据置期間のない場合には、それが残っておればそれを天引してそれから十五年の償還緩和をやる、こういうことにいたしております。  それから次に、第一条の第二項でございますが、これは平均残存据置期間の定義を規定しておるわけでございます。  それから次に、第二条及び第三条は、第一条の基準に該当しない一般の開拓者の変更契約の規定でございます。で、第一条は、いわゆる条件緩和でございますが、これは第二条及び第三条は条件緩和ということではございませんが、一般の開拓者の実質一本化の道を講じていくという意味におきまする変更契約の規定でございまして、条件緩和はいたしませんが、未納金だけは同じく元加を行なった上、年賦金の納付期限を変更いたします。そして同一利率のものが二口以上ある場合は、償還期間及び据置期間をそれぞれ加重平均することといたしまして、第三条第一項でこの旨を、また同条第二項で平均残存償還期間の定義を規定いたしておる次第でございます。なお、この平均の際、一年未満の端数は切り上げることといたしておりまして、大部分の開拓者はおおむね二口以上を借り受けておりますので、元加とともに、条件緩和をしない開拓者といっても、なお、ある程度の緩和になると考えておる次第でございます。というのは、大体加重平均いたしますから、二年三カ月であるとか、あるいは三年五カ月と、こういうふうになりますと、それはみな切り上げて、三年五カ月は四年になり、二年三カ月は三年になる、そういうことになりますので、平均残存償還期間は加重平均すると多少有利になるということと、それから未納金は全部一時に償還期間が来ておるわけでありますので、いつでも取り立て得る状態にあるわけでありまして、もう毎年その償還期にあるわけでありますが、これを分割いたしまして、年賦償還に切りかえることによって償還がしやすくなる、こういったような点で開拓者に有利になる点があるわけでございます。  それから第四条でございますが、第四条は、従来法人貸しをいたしておりました個人対象資金を個人貸しに切りかえるため開拓者の債務引き受けを認める規定でございます。これは従来のように、法人を通じて転貸しさせておりますと、一部納付を行なった場合はまず利子から取るという、いわゆる弁済充当の関係から、ある個人は法人に全額償還いたしましても、法人が国に償還する場合には、これが他の組合員の利子分に充当される結果となって、その全額払った人の元金が消えない、こういった結果となって非常に不都合が起こっておる状態でございます。また行方不明の離農者の分も残存組合員が負担せざる得ないことになりまして、一部の者のために非常にほかの開拓者が迷惑をこうむるということになりまして、その償還意欲を減退させるということが現状でございます。そういうこととともに、組合の経理が非常に不明確になるということも一因になっておるわけでありますので、大部分の開拓農協がただいまのところでは信用事業を行なっていないような状況でございますので、大体転貸し方式には問題があると考えまして、これを個人貸しに切りかえることにしたものでございます。その手続を規定したわけでございます。これによりまして、各個人ごとに自己の自由意志で償還することができるということと、このような、先ほど申しましたように、不合理もなくなって償還に非常に便利になるものと私どもは信じておるわけであります。この債務引き受けを行なった後に、第一条から第三条までを適用いたしまして条件の緩和なり、あるいは貸付条件の変更なりを行なうことにすることに相なるわけであります。この債務引き受けは、政府と組合と、組合員であるまた借り人である開拓者、三者契約によって、政府から借りた者への直接の債権債務、国から法人に対しまする債権と、それから組合から開拓者に対しまする債権が同時に消滅して、国から直接開拓者に貸し付ける債権債務に切りかえる、こういう手続をするわけであります。これも開拓者の申し出によってやる、こういうことにいたしております。  それから次は第五条の関係でありますが、第五条は、共同施設資金等の本来の法人資金の変更契約の規定でありまして、法人貸しのものについては、元加と年賦金納付期限変更のみを行なうことといたしまして、法人資金の性格上、実質一本化の措置はいたさないということにいたしました。それは加重平均の据置期間あるいは償還期間を出すということはいたしておりません。ただ元加と年賦金の納付期限の変更だけをやるということにいたしております。  以上が大体この法律案の骨格となる部分でございますが、それを要約いたしますと、開拓者をその営農の状況に応じまして三段階に分類いたしまして——その基準は先ほど申しましたように、政令と農林省令でやるわけでございますが——分類いたしまして、第一類、最も営農の不安定な開拓者につきましては、五年据え置き、十五年償還、その次に位します不安定な開拓者につきましては、据え置きなしの十五年償還、それから一応条件緩和の措置を講じなくてもいい開拓者につきましては、条件緩和を行なわないで、条件緩和に便利なように実質一本化の措置を行なうことといたしまして、元加及び年賦金納付期限変更は、個人資金のみならず、法人資金を含めまして、すべての資金についてこれを行なうということにいたしておる次第でございます。これが大体骨子でございます。  六条以下は、以上の変更契約に伴う補足的な規定でございまして、まず第六条は、年賦金の納付期限の変更に伴いまして、一月から三月までに変更契約を締結した場合は、初年目の年賦金の納付期限は前年の十二月末となりまして、締結の瞬間に延滞になるという不合理がありますので、納付期限の特例を定めたもので、これを十二月十二日から特例を認めることにいたしたのは、納入告知書に記載いたします納付期限は、発行日から二十日とするのが通常でございますが、これは大蔵省令の歳入徴収官事務規程で納付期限は、納入告知書の発行日から二十日以内ということになっております。納入告知書に記載いたします納付期限は、発行日から二十日目とすることが通常でございますので、十二月三十一日の二十日前からとしたわけでございます。せっかく条件を変更いたしましても、直ちに延滞にならない措置を講じた次第でございます。  それから第七条は、手続が遅延したため開拓者が不利とならないように変更契約年度の延滞金、それは三十五年度、三十六年度で変更契約をやろうということでございまして、三十五年度に変更契約をやりました場合に、三十五年度の延滞金はこれを免除して、実質的に全部四月一日に変更契約を締結したものと同様の効果を発生することとしてこの規定を設けたわけでございます。それで七月に変更契約をいたしましても、四月一日に変更契約が締結されたということになりまして、四月一日から七月一日までの延滞金は取らない、こういう規定でございます。  それから第八条は、この変更契約を三十五年度と三十六年度との二カ年間で行なうことを規定いたしまして、いわゆる条件緩和の変更契約なり、あるいは条件緩和はなくても実質一木化の契約条件の変更契約というものは三十五年度と三十六年度の二カ年間で全部整理してしまう。これによって、三十四年度までに貸し付けたものは全部条件変更するか、緩和の措置を講ずる、こういうことにいたしております。  それから第九条でございますが、この法律の施行細則は、いろいろ手続的に、申し出をしたり、あるいは書類を定めたりするわけでございますが、そういった細則は、全部農林省令に委任するという包括委任の規定を設けて、そういった手続規定を省令で定めるということにいたしております。布の日から九十日以内で政令で定める日とすることを附則で定めておりますが、組合の財務整理とか、あるいはこの法律の趣旨を徹底するということで、公布即日施行をとらないで、公布してから一定期間PR等をいろいろやって、趣旨が徹底してから、この法律を施行するということで、九十日以内で政令で定める日から施行するという趣旨にいたしたわけでございますが、われわれといたしましては、できるだけ早くPRをやって、公布になりましたら、できるだけすみやかに、九十日以内に施行いたしまして、この条件緩和という方に向かっていきたい、こういうふうに考えております。  以上が大体この法案の内容の概要でございます。どうぞ一つよろしくお願いいたしたいと思います。
  7. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいま説明のありました三法案の質疑は、次回から行なうことにいたしたいと存じます。  ここでしばらく休憩いたしまして、午後は一時半に再開することにいたします。    午後零時十二分休憩    —————・—————    午後二時二十八分開会
  8. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 委員会を再開いたします。  この際、議題に追加して、乳価に関する件を議題といたします。  本件について小笠原委員から質疑の御要求がありますので、これを許します。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ただいま委員長のお話しになりました乳価の問題というのですか、これは、ジャージーの問題についてでありますので、一応ジャージーについていろいろな点を、時間がありませんけれども、お尋ねしたいと思います。  このジャージーを最近入れておるのは、ニュージーランドの方から入ってきているようですが、現在日本にどの程度のジャージーが入ってきておるのか、そうしてまた、それを入れる仕組みはどういう仕組みで入れてきておるのか、それが農家に手渡される場合には、どういう貸借の関係で手渡されているのか、その手続等の点も、簡単でよろしゅうございますから、お知らせ願いたい。
  10. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ジャージー種は、終戦後外国から輸入をしまして、種畜といいますよりも、すぐ農家が飼うものを輸入するようにいたしたのでございますが、三十一年度までは国が輸入をいたしまして、国有貸付でもちまして、県を経由いたしますが、国有財産といたしまして県が農林省の委託を受けまして農家に貸すという形でございます。そうしてその場合、貸付でございますから、飼養費は農家負担でございまして、子供が生まれましたならば、雌の子供を国に返していただきまして、その返してもらった、国有財産となったジャージーの雌の子供を、また農家に貸すことを繰り返しまして、五回やりまして、原則は五回でございますが、最後のものは売り放すという経路と方式をとっております。あわせまして、ジャージーを入れます地区は、二百頭前後を目標にいたしまして導入地域を定めまして、その場合の適当な集団飼育がされまする間は、その他の地区には入れないようなことを原則にしてやっておりまして、現在まで続いております。その方式によりまする国有貸付、ジャージー導入の方式のものは、国の予算といたしましては三十一年をもって打ち切りになっておるのでございます。子孫である子供の子返し及び再貸付が続けられておるわけでございます。  次のものは、それ以降のものにつきましては、世界銀行から農地開発機械公団が借款をいたしました、政府保証はしておりますが、その資金の一部をもちまして、自今年々千七百頭ばかりずつ、約千七百頭でございます、本年度は千三百頭、各年間において導入いたしまして、これは外国へ農林省の職員を派遣して買いまして、輸入して参りましたものは機械公団の経理になりまして、機械公団が県庁に売りまして、その県庁が農家に売りまして、それは世銀借款の償還に合いますように、長期の償還になっておるわけです。これは売り放しでございますから、国有貸付のように、子供を返して、国有貸付にすることはございません。現在おりますものは、国内におきまして増殖したものを合わせまして、約二万頭であります。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 三十一年までの国有貸付の分は、一頭の使用料といいますか、結局は子を返すのだけれども、金が出ているわけです。農家から幾らくらい出ておるのか。
  12. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ちょっと、あわてて来まして、詳細は忘れましたが、すぐあとで係の者が参りますから……。
  13. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 最後の売り払いをいたしまするのは時価のようなものですから、その間に五回子供を返してもらいます間に、子供を返すのと、金をつけてもらうのと、逐次毎年少しずつ金の分が多くなって、最後に金だけになる、時価になるという計算のようでございます。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、現在二万頭くらいになっておるわけですが、北海道の方では問題がない、歓迎されているようですけれども、岩手県で、最近の新聞等で見ますと、不良乳牛が多いというようなことを言われ、あちこちの農家で不平、不満の声が上がっておるということですが、農林当局はこういうことを聞いたことがございますか。
  15. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) かねて、ジャージー地区につきましては、すなわち国有貸付をやりました場合と、世界銀行資金で機械公団を通じて導入いたしまする場合、借款をしてまず導入して、償還金で返してもらう場合でございますが、そのジャージー地区は同一地区になって、ほぼ隣接したようなところになっておるわけでございますが、御指摘の問題は前からあったかと思いますが、私は昨年秋ごろ聞きました。それは不妊牛と申しますか、第一には子供を生まない、従って子供を生まないと乳も非常に出ない、そういうものが導入の牛の中にある場合には、国有貸付条件でもそうだし、世界銀行借款でいえば長期償還ですから、買わせる場合において適当でないんじゃないか。代替のいい牛をかわりにするか、償還金を免除ないし軽減をするかしないといけないんじゃないかという問題、もう一つ生産能率が悪いといいますか、子供は生みますが出乳能力が平均より落ちるというような場合に、条件を緩和するのがいいんじゃないか、こういうような問題があることを昨年聞きまして、本年度予算期につきましてこれを考慮いたしまして、事故牛とでも申しますか、不妊牛の場合には、購入しました分に相応する金を渡すように措置をしたはずでございます。出乳能力がいい悪いについては、飼育管理の指導等の強化とか、環境のいろいろなこととか、中には遺伝的形質上から来ることもありまして、なおよく調査をしまして何か手を打たなくちゃならぬだろう、こういうふうに思っておる次第であります。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ、事故牛についての手当については農家の末端までまだ徹底しておらないようですが、一般にどうしてそういう不妊牛と申しますか、子をはらまない、あるいは乳量が極端に少ない、こういう牛が出てくるのか。それが飼育管理が悪いからだと一方的にきめつけるだけでなしに、客観的にどういう根拠があるのだということを御調査になっておられるのですか。
  17. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 昨年末、そういう話を県庁の会議その他において聞きましたのですが、陳情においてもまた聞きましたのでございますが、はっきりした資料とか、地元におきまする経験でもよろしいと思いましたが、経験によりまする理由とかいうものを添えていずれも聞きませんものでしたから、畜産課の者をしまして、専門家の役所の者をしまして調べさせますと同時に、購入する段階で、外国に購買官を派遣いたしますので、どのようにして実際が出て参っておるか、どんな注意をしてやって参っておるか、買うときに検査その他をどうしておるかを調査いたしたのであります。外国からごく最近、古いところはちょっとよくわかりませんが、最近、購入してから船に乗っけて海を渡り、内地に通関輸入しまして国内輸送するわけでございますが、日本の国土へ入りますまでは、当然これは死亡その他の事故が起きました場合は公団において処理いたします。しからば、その前にどんな牛を買ってくるかにつきましては、日本のちょうど種畜を購入する場合と同じような手続をとりまして、血統の証明でございまするとか、それから体型その他、受け取る場合検定をする場合がございますが、その両親の状況を調べる等をいたしまして、不妊牛とでもいう場合の、用をなさない事故牛と認められるものは買って参っておらないように思うのです。船の中でむしろ子供がふえて、予定の頭数よりふえて日本に着くことの方が多い。病気で死ぬのも一、二ございますが、ただ、生産能力が悪い、言いかえますと、牛乳の出乳量が少ないというのはまだ調査中でございます。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 しかし、それくらいのぼんやりしたことでは、おそらくここ数年来入れて経験ももう積んでおるのですから、そういうことではちょっと答弁としては工合が悪いのでね。不妊牛が、輸入の途中においてそんなことはないのだ、横浜で検査をしておるのだからそんなことはないのだといっても、現にある。現にそういうものが出てきておるとなったら、その原因農家の飼育上の不手ぎわにあるのか、やはり品種そのものにあるのか、これらは十分徹底的に御調査になってしかるべきだと思うのです。また、事故牛だといっても、その全額補償なら全額補償をする制度を昨年から立てたといっても、現にその申請があるのは、秋田あたりから四頭分くらいしか申請がない。これは指導上の欠陥もあるでしょうし、また一方、県の畜産課が責任を持って導入し飼育管理等の指導をしておるから、原因がそういうところに、牛の方に欠陥があるのだからということでは、県としても面子上工合が悪いということが、あるいはないわけではないというふうに思われる。そうすれば、その点は農家の方に押しつけて、ああでもない、こうでもないとやっているうちに一年以上たてば、期限が切れて、その補償の対象にはならぬのですから、そういう牛も相当あるのじゃないか。岩手県内でも、もうどうにもならなくて売り払う、売るとなると八千円から二万円くらいだというのですが、もう赤字を通り越して、ただ売り払うよりほかない。それではまるまる損だからといって、仕方なくがまんして飼っておるというのもある、こういうことが言われておるのです。だから、私はごたごたとは申しませんが、もう少し、ここもう何年か経験も積んでおるのだし、農林当局として徹底的な調査もせられて、その原因がいかがであるか、あるいは不妊牛なり、乳量の極端に少ない牛というのは、国の責任でこれをもう淘汰してしまうとかいうようなことを考えるべきじゃないか。それでなかったら、農家のもう信頼を失うのじゃないかと思うのですが、その対策についてお尋ねしたい。
  19. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 少し、私、専門知識が足りないところもありまして、ぼうっと申し上げましたが、外国から購入するときには、はらみ牛を買うことを原則にいたしまして、それで船中で子供ができて、子供ができたときには一頭分で子供を入れて二頭分になる。そういうふうにしておるのですが、中に十分わからないものもあるかと思いますが、主として、目下の調査の結果は、乳牛方面はジャージー種を入れまして、人工授精が非常に普及しておりまして、近親繁殖から来るそういう性質が出て参るのが間々あるというのが有力説でございます。飼い方及び農家の飼育管理に由来はしない。また、輸送上上手に輸送しなかったから、病気が発生して、そうなったということなどはございません。  その結論といたしましては、やはりこれは購買官なり、機械公団なり、県庁なり、農家なり、ただいまも申しましたようなルートによりますおのおのの取引と申しますか、配付上の責任に帰すべきものでございますから、廃棄処分にした方がいい場合は、これは原則として国でやりたいと考えまして、このための措置を検討中であります。  そこで、次の問題は、農家がジャージー種の乳牛を政府の援助で購入する場合でありますが、これは長期年賦償還とすることとし、非常に導入条件はいいことになっておりますが、この場合の事故牛処理の問題は、関係機関であります機械公団でしわ寄せをするか、県でしわ寄せをいたしまして、結局、その負担を国でするという方法があります。  実は過般県庁会議をやりましたのもそのためでございます。端的な結論はまだ出ておりませんが、これは早急に、本年度導入のものについては初めからの条件、過去のものも、そういうことが明確なものは、そういうふうにする方針を実は立てさせて、目下立案中であります。本年度予算の計上中におきましては、その全部が明瞭になりませんでしたものですから、補償を一部計上した次第であります。御趣旨に沿いまして、重要な酪農地帯にはジャージー種を入れておりますから、農民のため、また畜産振興上の貴重な御意見に沿うように、早々具体化するつもりでございます。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、こういうことを言っている人がいるのです。これは岩手大学の畜産の方の専門家ですが、ジャージーのような入れ方をした家畜はない。結局、向こうで何千頭と買い込んで、農家に直接渡し、飼育させる。日本の風土気候に合うように淘汰する分は国が責任をもってやって、これでこの種の品種は気候風土に合い、責任をもって推薦もできる、保証もできる、こういう形になって農家に渡したのではない。この点がやはりいろいろの問題を起こすのではないか、こういうことを言っている。ところが、これはジャージーを入れることに反対であってホルスタインを支持する方の側の意見ですから、適正な意見であるかどうかわからぬのですが、岩手の小岩井農場の場長の意見としては、ジャージーは非常に改良の進んだ品種だが、乳期の短いことが乳牛としては致命的だ、しかし、ある種の牛を外国から入れて、それが、日本の風土に適するようになるまでには、淘汰が必要だ、ところが、シャージーだけは輸入したものを直接農民に渡している、ちょうど農民の犠牲において品種改良を行なおうとしている、こういう国の施策がいけないのだ、ということを言っている。この点は国としてどういう考えですか。
  21. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 私も最初、終戦後、国有貸付の形でジャージーを入れた事情をいろいろ聞いてみましたが、いささか勉強足らずで、はっきりとつかめなかったものでございますが、二年前、乳価が非常に値下がりをいたしました際に、乳価上の問題と、もう一つは、ジャージー地区を作りまして、ほぼ原料乳生産あるいは市乳のまとまった販売というふうな共同販売が可能になるほど頭数がふえます場合々々によって、場所によって一集乳単位で二百頭くらいないしは三百頭くらいでございますが、三百五十頭の地区もございますが、その地区以外は、その地区内で子供を再貸付しましたりして外へ出さないために、他へ売ればもっと高く売れるものが高く売れない。それが牛乳の価格一割値下げがあった三十三年に乳価の方と一緒に問題になりまして、研究をいたしました。大体、大家畜は、気候風土あるいは草の状況とか飼育管理の仕方とか、多数頭飼育か舎内の少数頭飼育かなどによる飼い方等の影響もありまして、なるべく、外国から輸入する場合は種畜で輸入して、農家に配付するものを直接に輸入するのを避けた方がいいというようなのが原則でありますが、たとえ農家に配付して飼育させるのでも、輸入いたしましたものを、国立、県立、その他のこれに準ずるところで日本の気候風土に適するようにとにかく一応飼いまして、その飼い方の指導をも加えまして配付して参るという方が安全だと、こういう一般論がございますが、国有貸付を始めました当時からの畜産局の専門家の考え方、その基礎になります研究といたしましては、ジャージーは寒冷地域の濃厚飼料にそう依存しないで、飼料作物を作るところではそのまま導入して飼わせても、非常に人になつくもので、気候風土の影響は少なくて、十分に飼い得るという自信を得てやったようでございます。その後機械公団の導入につきましては、御承知の上北、根訓のパイロット・フアームに導入いたしまして、これまた必ずしも不成功ではございませんでした。粗飼料に耐えて、少量の飼料で済みますし、労力をあまりかけないで、人になつきやすい、危険度も少ない、死亡率も少ない、病気にも強いというようなこと等からいたしまして、農家は相当喜んで、希望も多くございましたので、その後引き続いてやって参っておるのでございますが、必要に応じてはほかの家畜、たとえば今年度入れますアバディンアンガスの輸入等は、国立牧場で一応受け取りまして、それから東北地方に配付して参る。経営方式も、別の放牧方式によるものは、九州あたりの牧場の放牧方式の国立牧場を作って、それから普及指導をして参る、そういう方式をとっておりますが、ジャージーではその必要がないということで専門家の間ではさまったようであります。  多少の意見を持っている御指摘の岩手大学の専門家もあるかもわかりませんが、そうではございませんで、他の家畜、また他の品種の乳牛でも起こる程度の事故牛、不妊牛というものが導入過程において起こるという程度であろうと思いますので、それに対する措置をすればいいのじゃないかと思うのです。小岩井農場の方などの意見は、御研究や御体験の結果もありましょうけれども、日本の飲用牛乳なんかの関係と、ジャージー種の出乳をいたします場合の牛乳の脂肪率ということでありますとか、あるいは夏と冬と生産量を調節する場合の、私どもからいえば純粋の農家の飼育するものとしては不健全な飼育の仕方というような観点、いろいろのことが考えられますと同時に、種屋さんと申しますか、種畜生産販売専業者としての小岩井農場等の意見もございまして、これはむしろ農民の方に聞くとか、純粋の試験研究機関の意見によるとか、飼育管理の国立牧場の経験、種畜場の経験から聞くということを尊専していきたいと思っております。その関係には、事故牛の発生したものはいかにも不合理であるから何とかしなくてはならぬが、今の導入方式が、つまり農家に飼わせるものを輸入して、その足でずっと国内を輸送して導入させるというのが悪いとは、そう農民の間には声はないと思います。ただ、農民が入植される場合に、先に牛を飼っておきまして、付近の地元増反農家に併用飼育をいたしまして、農家開拓地入植する場合は日本のその付近の地元増反農家に一度すでに飼われたものを導入する方がいいのじゃないか、そういう考えは実は最初からあるのであります。  以上のような考え方を整理いたしまして、必要なところを必要なことで、小笠原先生の御意見に沿いますように、進めたいと思っております。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いずれジャージーに関しては、ただいまお尋ねしたような点で、優良なジャージーが育成されるということで、この際徹底的に御調査もなすっていただいて、淘汰すべきものは淘汰する、よいものは伸ばしていくということで、積極的な指導をやっていただきたいと思います。  それから次に、乳価の問題ですが、これを導入する際は、ホルスタインに比べて乳量は少ないが、脂肪率が高い、粗食に耐える、飼育管理が容易である、幾多の長所美点をあげて農家に飼育させたわけです。奨励したわけです。実際、現在までは、ホルスタイン種が脂肪率が三・三%程度というときに、ジャージーは四・五%から五%くらいであります。従って、岩手県の原料乳の価格で見ても、相当の値開きがあって、採算がとれるという形だったのです。詳しく申し上げますと、ジャージーの乳価は、脂肪率三・三%程度までホルスタインと同じだが、それ以上三・八%までは一キロ当たり〇・一%について六十五銭を加算する、三・八%以上は〇・一%当たり五十銭にする、こういうやり方で加算があったために、十三円五十銭から十九円十二銭五厘といいますが、一・八七五キログラムですね、一升についてということでしょうか、それくらいの値開きがあった。普通三十九円台のものが五十二、三円台でまた取引できておったわけなんです。ところが、今度森永さんと明治さんの方が、経済連との新年度の乳価交渉に対しての回答を見ますと、全乳価について三円の引き上げをするが、しかし、このジャージーの脂肪率についてはもうそういうふうな……。さっき申したのは間違いでした。結局、三・七%以上については、もう六十五銭をやめて五十銭だけのものにする、こういうことになったために、一日当たり十円前後の値引きになる、一カ月にすると三百円から違うという問題が起こってきたわけなんです。こうなると、乳量は少ない、脂肪率に沿うて高くは買ってもらえないということになると、ジャージーを飼育している農家というものはもう非常な打撃を受けるという難問題になったわけです。  森永の方のおっしゃるのには、新種育成という趣旨でのめんどうはもう見切れない、脂肪率が高いといっても、それはバター以外にはもう使えないのだから、かえってバター以外のものに使うというのには脂肪を抜くなどという手間も要って、高い脂肪率のものは困るのだ、こういうことを言ったり、あるいはメーカーの欲しいのは脂肪ではなくて、無脂固形物なんだ、ジャージーの乳はホルスタインより脂肪率が高いが、それに並行してこういう無脂固形物がそれほどふえないので、ジャージーの乳に含まれる無脂固形物は、脂肪率三・七%あたりを境にしてホルスタインとほとんど変わりがなくなってしまった、脂肪率が高いからということだけで高い乳を買うということでは、メーカーはやっていけない、長野県の八ケ岳酪農会社だってもうそういうことはやめているのだ、全国的な傾向としてそういうものは廃止される傾向にあるのだ、従って、経済連側の要求はいれられないということで、今問題になっている。で、経済連といい、県といい、これは独自に一地方だけの問題でなくて、ジャージーを入れている集約酪農地域、全国の問題なんだから、農林省に考えてもらわなければならぬということで、農林省の方に転嫁している。メーカー側の方は強硬である。こういう問題がある。第一に申し上げました不妊牛とか、あるいは乳量が極端に、二升くらいしか出ない、三升、四升というのはざらにあるというような、こういう牛をかかえた農家というものは救われない、そういう考え方からして、農林当局も何とかこれについては解決策を考える責任があるようにも思われる。きょうは、私は、もうただお尋ねの程度だけにするので、こういう聞き方をしているわけですが、そういう困難な問題が起こっておることを、県当局から畜産当局もお聞きになっておると思うのだが、会社側に対して何らかの手を打たれたのか、打とうとしておるのか、その対策について一つ説明願いたい。
  23. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 問題は、四月一日に政府が相当強力な指導もいたしまして、かつ、業界には協力要望を求めまして、法的根拠は明確にありませんが、酪農振興と消費増進に莫大な国費を使っておることと、内外の酪農というような情勢につきまして必要があるので、生産者価格の値上がりによる値上げ的な改訂を慫慂いたしておったのでありますが、四月一日に、全国でならしてみますと、一升当たり平均おおむね三円値上げになっておる。北海道に一升当たり二円、高いところは一升当たり十円、十二円のところもあります。しかし、平均的にいいますと、今申しました三円の借上げになりまして、それは三十三年の乳価下落のその前をある程度上回っておる値上げになりまして、米麦その他の農産物間のバランス、また農業労賃の現状に即しまして、これならば、年々増加してくる酪農であり牛乳生産でありますが、消費でもありますが、成長の停滞を顕著には見せないで、適切に増産がはかり得るであろうという期待を持っておるわけであります。まだ一部正式に売買両当事者による最終決定になっておらぬところがありまして、御指摘の問題もその未定のことの一つであります。  生乳の取引は、酪振法にも従いまして、売買両当事者間の自主的な交渉が第一でございますが、きまりまする値段の公正を期する上におきまして、契約内容を文書にしまして県庁に届けをしてもらう。その際に、きめ方も問題でございますが、額そのものについては、必ずしも意図をいたしておりませんが、適当と思わない場合は県知事はこれを改訂勧告をすることができる規定がございまするし、また社会的、政治的には、あるいは農林省がジャージーを導入しジャージーを勧めるのは、飼育管理が農家にいきなりでも適する、粗飼料に耐え得ることと飼いやすいことと、国内——外国を参考にしてもそうですが、脂肪率の取引が中心的な取引の基準であります。そういうようなことを考えまして奨励いたして参りましたから、農林省も指導上のことといたしましては、あるいは弊害を除去するという点におきましては責任と申しますか、無関心でない点でございます。  そこで、御指摘の点でございまするが、知っておったかどうかにつきましては、先週の全国県庁の、都道府県の会議におきまして、事情を岩手県から聞きまして、その前は価格改訂交渉中でございましたので本省にまだ報告はございませんでした。正式の決定という意味においての報告は、まだ県庁から参っておりません。しかし、会議においての発言によりまして、問題を調べて、相当程度に調べてあります。内容はおおむね小笠原先生のおっしゃるような状況でございます。これに対しましては、会議の席上いろいろ言われもいたしましたが、名案が出ませんでしたので、私の試案ということで早急にこれを、この改訂にも間に合い、将来にも支障を来たさないようにということで案を出しまして、それを中心に早急に措置して、メーカーにも農家にも、酪農振興や乳製品製造にも適切な効果がありますような何らかの措置をとることということに、県庁との間は申し合わせ、努力することにいたしました。その内容は、私の試案によりますると、価格改訂の程度は、脂肪率取引をするか、ある一定の脂肪量以上は固形刀の内容量の割合と申しますか、それを考えてきめるかを、まずそういうことを考えずに従前の価格と値上げをする今後の値段との間に本来乳代を幾ら上げるかということの方から割り出したきめ方をすること。脂肪率、固形分を標準とする取引値段をきめましても、その牛乳、ジャージー牛乳、あるいはホルスタイン牛乳というものを、どういうふうに値上げするということをもとにして、それがよくわかるように、だから内容次第で、ごまかしてきめるということでなく、かつそのきめ方は当事者交渉によることが第一でございまするから、農民及びその団体側が共同販売する、農協などでございますが、それがそれでいいということになれば、官庁は介入の余地はございませんけれども、自然なきめ方のうち、いかにも不合理だと思う内容である場合は、やはり指導をして差しつかえないと思われるから、指導する。  そしていかように交渉が行なわれ、今きまる最終段階に近いかということはまず別といたしまして、私どもの調査研究では、ジャージーは脂肪率が五・一%ぐらい全国平均にございます。これに対してホルスタインの脂肪率は三・三七%ぐらいであります。固形分はジャージーが八・八七%ぐらいで、ホルスタインは八・〇七尾ぐらいでございますが、この両者の牛乳を通じまして、脂肪率が三・七%ぐらいまで来る場合には、固形分と脂肪分とが並行し合って増減いたします。三・七%をこえる場合は、固形分が相対的に減って参るのであります。一頭当たりの出乳量全体はホルスタインが多く、何升という容量においては多く、シャージーの方が少ないわけであります。そこで、三・七を、従来は過剰時代とも思われるこの数カ年も、三・七をこえても脂肪率に応じて値段が当事右間できめられておった。この夏にかけましては、冬の時期については若干問題はありますが、いわば全国的に見ると、大消費地を中心にして牛乳が一部供給不足を感ぜられる時期であるので、積極的に脂肪何%以上をこえては脂肪率の取引を、従前の内容にない固形分の相対的な減少を加味して値上げ率を下げる。ということは、全体の乳価の上げ方を少なくするということである。  ところが、全体の牛乳の乳価の値上げの程度をどのぐらいにするかは、京阪神の市乳地帯を、日本の国土でいえば富士山のようにしまして、四大消費地に地域にときどき高い山がありますが、そこを頂上としまして、北海道から九州まで、多少の差はありますが、地域差と用途別の差で非常にこまかくできておるわけであります。そこで、一升当たり、脂肪率が何パーセント以上ありましても、固形分がまた脂肪率に照応して増減するかしないかによりましても、乳価を平均に一升当たり二円以上引き上げるのが適当ではないかという、まあ二円とはっきり言っておりませんが、言外に二円以上引き上げることは適当ではなかろうか。そうすれば、三十三年の値下げが行なわれて酪農不安が起きました時代の以前に戻るのではないか、現在の需給事情と企業の負担にも耐え得るのじゃないかと思っているわけでございますが、北海道はまあ平均二円できまりまして、東北に至りまして、従来とも北海道と乳価が同じところにおきまして、一円上げの一升当たり平均三円値上げする様子が見えていると、中間報告が参っております、詳細のことはまだ参っておりませんが。そこで、農民、すなわち売主に脂肪率と固形分の操作によりまして平均一升三円という値上げを、二円か三円かの問題がありますが、三円という値上げを言いながら、三・八%以上脂肪がこえる場合は固形分が相対的に少ないので、それを引き下げるというのは、その価格内容について矛盾があるわけでございます。三円引き上げるということと、固形分の差によって脂肪率が高い方は相対的に値を安くするということでございますから、そういう矛盾したきめ方はいけないので、かつ農民をごまかすようなきめ方をしてはいけないので、そういうことは最大限度に避けるべきものと思われる。  なお、その理由といたしましては、これを製品の販売をいたします場合に、普通牛乳は脂肪率を三・二%以上持つもの。食品衛生法にきめられましたり、農産物規格法でも一等乳は三・二%以上の脂肪率が一等乳だと、原料乳の話でございますが。食品衛生法は飲用乳の方、農産物規格法の規格は原料乳、生乳のことでございますが、そういう目安もある際でありますから、それを勘案いたしますると、飲用牛乳には三・二%の脂肪率を入れて、固形分云々という普通牛乳というのと、加工乳といいまして脂肪率も高く、固形分も多くする。加工乳で高い牛乳もありますので、その用途を上手に乳業者は考えるのが適当である、ジャージーの牛乳で。また、これを乳製品の方にいたします場合は、脂肪が多ければバターが多くできるし、固形分が多ければ脱脂粉乳が多くできるわけでありますから、その製品は目下乳業界と話して値上げをしないと、メーカー価格と小売価格は据え置きを要望しているのでございますが、三十三年から今日までにはある程度の値上がりをしているのであります。その値上がり状況との間で、ジャージーの脂肪を多く、特に三・七%以上の脂肪率をこえた場合、固形分が相体的に動く場合であっても、どういう関係に立つかを調べまして、早急に指導いたしたいと思っているのであります。一両日中にこれは行ないたいと思います。今日までわかりませんでしたのは、まだその当事者交渉、それから乳価水準、具体的な乳価価格の決定、また県庁からの御意見、報告、こういうのがおくれておった次第であります。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、今後の指導において、従来のジャージーを持っている生産農家が受け取る価格以下にはさせないつもりだと、それに対して三円なら三円の値上がり、北海道の二円なら二円の全体の値上がりそのものは考えられる、そういう指導の仕方をまあ考えるのだ、端的にはそうお聞きしておいてよろしゅうございますか。
  25. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 精神をそこに置きまして、額は幾らと言いたくないし、また言うべきでないと考えるのでありますが、生乳一升平均二円値上がり程度以下の場合は、これは変えるなと言いたいのであります。平均二円を上回るような場合については、やはり酪農振興とか、この原乳を買った乳業者がその乳製品の販売その他経営上負担に耐えると認めた場合は、従来の標準による価格改訂より相対的な値下がりをするように商慣習を変えないことが望ましいと思います。たとえば平均一升三円上げの場合なら三円として、両当事者間できめるのが公正であると思います。すなわち買手側が売手方をごまかしてやってはいけないし、表面三円のようで実際二円七十銭になってしまうのは不明朗な取引と言わざるを得ません。しかし、売買の両当事者が十分な話し合いずくで三円というのを二円七十銭だということできまれば、紛争もなく、円滑公正な取引が行なわれるのであるとして取り扱ってよいと考えられます。  それで、例として具体的に計算してみましたら、試算でございますが、岩手県下の森永関係で例をとりますと、その地区で従前、すなわち四月以前一升当たり基本乳価三十八円、脂肪率四・七六%くらいになっておるところがあります。この場合は、ジャージー牛乳が一升当たり五十三円五十五銭になるわけであります。基本乳価三十八円と申しましても、脂肪率による取引であるから、ジャージー種の牛乳取引におきまして五十三円五十五銭であるというわけであります。四月以降は、基本乳価は一升当たり三十八円が平均三円上がる。この計算において、ジャージー牛乳は一升当たり五十七円一銭のように算出されます。これは御指摘の脂肪率三・七%をこえた場合の単位当たり乳価をちょっと変える場合であります。これに対して従前通りの脂肪率高をやりますと、一升当たり五十八円一銭で、五十七円と五十八円と一升当たり一円違うわけでありますが、このところは一般的な指導精神と牛乳の需給及び価格の現状況についての考え方からしまして、当事者がその一円についてはそれで乳価としていいと言われれば、公正取引と言える。紛争があれば、県知事、農林大臣があっせん調停いたします。また、現に問題ありとして、より一そう取引を合理的にし、牛乳の生産を増強する要があるとか、また乳業者も不正な利益のために価格の立て方を変えるんじゃないかという理由等があって、当事者の公正円満な交渉が妥結せず、交渉が長引いたような場合をかりに想定いたしますと、それらの場合にはその紛争のあっせん調停をするとか、またその前提とすべき適切な、違法にわたらない指導等によりまして、やはり標準の取引方法を変えない方がいい。少なくともこれを変えないことを最大限に両当事者が努力していただきたい、そういうふうにするつもりでございます。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、農林当局としては、今のメーカーが回答しているような三・七%以上はもう打ち切りだ、脂肪率によっては買わぬというようなその態度は、基本的に根本的にいけないと、そういう態度はいけないということだということだけははっきりしているわけですね。
  27. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 新しい問題を御提示になりましたが、両当事者の価格の折衝にあたりまして、御承知の性格を持つ牛乳の生産と販売、購売でございますから、牛乳を従前買っておった地盤につきまして同意しなければ買わない、そういう措置は違法か、違法でなければはなはだしく不当だとしまして、乳業者に対する助成その他を打ち切るつもりであります。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、一両日中に具体的な指導の線も現われるそうですから、そのあとでまた問題があったらお尋ねすることといたしますが、結局、本日お尋ねしたように、ジャージーそのものの飼育の問題、乳価の問題、これは不可分の問題ですから、他のホルスタインとの関係からいえば。従って、国としても特段なめんどうを見ていただくし、またその指導をしっかりやってもらわなければ、やはりジャージーの奨励というよりは、ホルスタインに戻る、こういう結果が具体的に出ると思う。これでは大へん遺憾なことですから、善処を要望しまして、本日はこれだけにしておきます。
  29. 東隆

    東隆君 私は、今のジャージーの問題について質問をいたしますが、ジャージーを入れた所は、これは今まで牛を飼っていなかった所あるいは開拓地、そういうような所に中心的に入れたので、それを入れたときに相当な、たとえばホルスタイン協会等を中心にして相当な反対のあったことは、これは私どもよく承知をいたしておりますが、しかし、それにもかかわらずジャージーを入れて、そうして入れた地帯は私は相当喜んだと思うのです。岩手県の場合においても、私どもが行ったときに非常に喜んでいましたし、それから北海道なんかも、たとえば日高のような馬ばかり飼っておったような所に入れたのは、これは非常に喜んでおりました。しかし、その後の情勢を考えてみますと、私は、やはり開拓者が飼っておったものはその段階においてはちょうどよかったのでありますけれども、年月がたつに従ってホルスタインの方を希望する農家がだいぶふえてきているのじゃないか。そういうような情勢が各地に起こってきている。それに加えて、今の乳価の問題だの何だのになって、問題が起きてくる。こういうのが、これが私は今の情勢でないかと、こう判断をしているわけです。  それで、私はジャージーそのものが根絶をするようなそういう方法をとる必要はないと思うのです。しかし、ある程度自由にやっていくような地帯もだいぶ出てきている。ホルスタインを飼ってもいいのじゃないかというような地帯もあると思う。ですから、そういうようなことで自由選択ができるようなことも考えてもらわなければならぬ。  それで、北海道に昔赤牛のエアシャーというのがあったのです。これは少しジャージーよりも性質が乱暴でありましたけれども、しかし粗飼料に耐えて、そうして脂肪も多少は高い、こういうような牛で、そうして北海道なんかに相当勧めたこともあったのでありますけれども、そういうようなものも年月がたつに従ってなくなってしまうのです。こういうような歴史的な経過をたどっております。私は、やはりジャージーもそういうような形を呈するのじゃないか、こういう考え方を持っているわけです。  しかし、私は、飲料乳として、市乳だの何だのその方面に向けるには、ジャージーの乳はあまり適当していないと思うのですけれども、バターを作るというような、少し交通の不便な原料地帯、ことに開拓の、牛についての経験を持たないこういうような所は、これは国が相当力を注いで、そうしてそれが有利に展開するような方途を講ずるというのは、これはもう当然とらなければならぬことである、こう考えますので、これの調節をやはり十分に考えてもらわないと、酪農の政策としては私ははなはだ片手落ちじゃないか。だから、もうホルスタインに移りたいというような所へ一生懸命にジャージーを飼わなければならぬと、こういうような形をとるべきじゃなくて、変わるような地帯ならば、私は十分変わっていくような方途を講じてもいいのじゃないか。そして、もっと適当する所にジャージーを移すという方途をとっていいのじゃないか、こういう考え方なんですが、これは北海道の簡単な例ですけれども、少し農家が進んできたら、やはり乳量の多いホルスタインを飼うと、こういう何ができてくるだろうと思う。これを一つ考え下すって、機械開発公団だの何だのが扱うというのも、開拓地帯に持っていくということが中心だろうと思う。農林省がとっておる考え方に一つも間違いはないと思うのですけども、もう相当の年月がたって、そしてホルスタインを飼いたいという地帯にまで、そう頑強にがんばる必要はない、こういう意見を持っておりますから、一つその点をどういうふうにお考えですか。
  30. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 東先生の、ジャージーとホルスタインと両者にわたりまする飼養の奨励の仕方、家畜導入の援助の仕方、全く同意見でありまして、これは本年度から実施をいたしたい、そのようにいたします。従来の制度と変わりまする——制度といいますか方針でございますが、変わりますことは、その方針を文書にも明らかにして書きたいと思っております。世界銀行資金によりまする機械公団経由のジャージーは、各県から明確な頭数によりまする希望量だけ本年度は輸入することにいたしまして、千三百頭であります。去年以前は千七百頭でございました。また、再来年は輸入をやめようかと実は思っております。あわせまして、今度は日本の東北の方の地域、あるいは寒冷地域と申しますか、その中の特に開拓地域を中心にして、まず国有国営、その次は補助、その次は融資あっせんで利子補給、その他はただ奨励指導する、そういうふうに営農とか、収益度合いとか、経営の零細性とか、開拓の有無とかということを考えて、補助の厚さを変えるように運営を、従来もしてきましたが、もう少し明瞭にいたしますと同時に、ぽつぽつとジャージー地域の地区外への子供の移動統制とか、親も売り払いたいという場合に正当な牛代をとれるように、制限がありますと安くなりますから、それを撤廃をいたしますとか、それから、日本に今全国的に私どもも奨励をいたしまして、乳製品製造よりも、それも必要だが、飲用牛乳で消費することをなるべくやった方がいい。それは農家のためでもあるし、消費者のためでもある。あわせまして、飲用牛乳の消費は関東以西、特に東海以西、西日本の表日本に乳牛の不足があって、消費の伸びが大きい。乳牛の移動も東北から西の方へ動いておりますが、単に動くだけでなしに、これを増産面でやるべきだと思います。ともあれ、飼牛の圏内が広がっておりますので、それに応じましては、ホルスタインを飼うことがより適切であるという所もどんどん拡大いたしておりますから、一そうそれをあわせまして、東先生の御意見のようにしたいと思っております。
  31. 東隆

    東隆君 別なことですけれども、乳価に関連をして、私は、例の今までナチュラル・チーズを輸入しておりましたが、それで今度は脱脂粉乳をまたお入れになるような何ですが、これは何か酪農振興させる意味において、特に原料乳を精製して、原料乳を加工しておるような面が非常に響くのじゃないかと、こういう心配をいたしております。この点は、どういうような計算でおきめになったのですか。
  32. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 牛乳の需給も、昨年度から引き続きまして、本年度、特に二月には各県庁に県別に、従来そういうことをやっておりませんでしたが、牛乳の過去の生産見込みから本年九月まで、また、参考に、その後の本年度生産の見込みを出しまして、飲用牛乳と乳製品の生産の見込みをとってみました、乳製品はおのずから性質上、飲用牛乳の生産消費の残になるわけであります。そうすると、乳製品の供給の面が出るわけでございますが、消費は必ずしもよくわかりませんので、飲用牛乳の消費を、従来の伸びと乳製品の売れ行きというものを過去の統計の示す実績とか購買力の現状から測定するよりほか仕方がございませんが、おのずから、そうしますと、そこに在庫というものが出て参ります。二年前は乳価値下がりとか、乳製品の在庫が非常にやかましくなったことでも一つの指標がわかるわけでございますが、ところで、牛乳の原料には、生産されますと市乳を引いて残りは乳製品になっておるわけですが、その生産の伸びがあまり大きくありませんし、在庫は昨年よりうんと減少しております。  そこへ持ってきまして、冬季、夏季を通じまして、一年じゅう飲用牛乳の伸びが、消費の伸び、あわせて生産の伸びが出て参っておりますが、夏におきましては、北海道は牛乳、乳製品の生産増、その他のときは生産が減ずる、本州の方はその逆でございまして、夏は生産が減りまして消費がうんと増加する、そういう状況がございます。昔からあまり、政府がこの問題にタッチする前におきましても、夏乳価、冬乳価等の問題もございまして、特に夏の消費増というものは七、八月にございまして、七、八月には都会の市乳といっております飲用牛乳の生産供給にも、普通の牛の増加と牛から出る牛乳の増加では、年間の季節変動として問に合いかねる点が出ておるのが通例のようでございまして、反面、冬はこれは余るということも一つの問題で通例的なものであるようでございますが、そこで、調節といたしまして、優良なものは衛生法規上の検査も受けまして、乳製品を、たとえば脱脂粉乳、それに脂肪のバター等が要りますが、あるいは全脂粉乳が要るわけでございますが、それを、夏季の七、八月中心に還元牛乳といいまして、牛乳の中に乳製品を戻して飲用牛乳にするということが、実際は行なわれているのが実情のようでございます。特に、その関係がひどいのは京阪神地区でありまして、京阪神、京浜、中京、北九州という大消費地においては、それが一般のようであります。その時期の供給の増加、需給の調節といたしまして、毎年二月前後から、需要者プラント、特に中小プラントを需要者といたしまして、乳製品の製造業者とか製造地帯というところに向かいまして、買気が旺盛になるわけでありますが、今年の状況を脱脂粉乳——その一番主原料の脱脂粉乳について見ますると、生産も昨年よりは落ちている。それは飲用牛乳がふえておるという裏であります。在庫も、工場在庫、業者報告のメーカー全体の在庫も減っておりまして、かりに四大消費地の飲用牛乳の消費を最近の月、今までの毎月のような伸びでいくと見まして、需要はそう果敢に見積もっておらぬと思います。そういたしますと、脱脂粉乳の還元牛乳、普通の白い牛乳という意味ですが、それだけで千百トンの脱脂粉乳の不足が見込まれるのであります。他方、脱脂粉乳はその七、八月以外にも、普通牛乳にもある程度は使われないことはありませんし、菓子原料でありますとか、その他にもアイスクリーム等に使われるわけであります。嗜好的食品にも使われるわけであります。  そこで、大カンの練乳でありますとか、あわせてバターでありますとか、その他の乳製品の生産、すなわち飲用牛乳を除いて原料牛乳からできる乳製品の生産在庫を見ますと、また生産と在庫との状況は同様でございますので、一番主要な大衆向けの飲用牛乳を夏に向かって確保したい、還元牛乳用だけに限る、そういうふうに見まして、嗜好的な需要の増は認めないといたしましても、約千トンの輸入を要しますので、そこで第一には、今回の四月の値上げを慫慂して、値上げをおおむね完了しつつありますが、農家の販売乳でありますが、もともとの国産の牛乳の増産をはかりますと同時に、さらに今月からは飼料を、飲用牛乳向け及びその価格をむやみに引き上げないことに協力をする、その関係の乳業者と原料乳を供給する酪農地域に対しまして、えさの特配をいたしまして、そのえさというのは、輸入脱脂粉乳を主原料といたしますが、小麦粉とか魚粉とかいうものをまぜました牛の母乳代用のえさでありますが、それを北海道でいいますと、今回四月一日値上げした後、農家還元の脱脂粉乳であります原料等を買いまして、市乳をとった残りの脱脂粉乳を牛の子供用に、一升当たり十四円五十銭でございますが、これを下回る価格で配給いたしまして——人工母乳のようなものです、それを配給いたしまして、そしてほんとうの国産脱脂粉乳を増産する。それは、生乳を全体的に増産すると同時に、国産の乳製品を増産する。そしてこれを大消費地の飲用牛乳のメーカーに出荷をしていただきまして、先ほど申しました不足分の残りがあったら輸入する。そういう考えであります。あわせまして、輸入は七、八月の消費に充てるつもりでございますから、それ以上にはわたらないようにいたしまして、酪農家の牛乳の増産ということと、国内乳業の乳製品の増産に、価格の下落を避ける、それを十分に気をつけて、その程度でいたしたい。また、それが広く国民消費大衆の方の御意見である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  33. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にいたします。   —————————————
  34. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 次に、貿易為替自由化農林水産業に関する件を議題といたします。  本件につきましては、去る四月五日、経済企画庁、通商産業省、大蔵省及び外務省当局から、それぞれの事情及び方針、作業の状態等について説明を聴取いたしましたが、本日は農林省当局から農林水産関係の事情等について説明を聴取いたします。
  35. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 農林省といたしましては、この一月に貿易自由化促進閣僚会議が設置されまして、その申し合わせによりまして、各省とも五月末までに農林水産物の自由化計画の具体的なプログラムを立てるという申し合わせができましたので、それによりまして現在作業を進めておる段階でございます。大体各局の一応の検討資料というようなものが最近にでき上がりまして、来週あたりからそれを全体として調整する作業に入りたい、かように考えておるのでございます。その全体的な調整作業が終わりますのが来月の上旬ないし中旬くらいになる、かように考えますと、その後各省間の意見の調整もありますし、大体やはり具体的なスケジュールと申しますものができ上がりますのは五月末ごろ、既定の計画の目標になっております五月末ごろになるかと考えます。  そこで、この作業は小分類で品目ごとに検討いたしますので、非常に数からいいましても数百あるいは千以上というような数になりまして、なかなか作業が困難であります。それから、たとえば砂糖の問題を取り上げます場合に、それこそ、ただいまお話しになりました乳製品の関係もございますし、菓子の関係もございます。あるいはジュースとかカン詰の関係も出るというようなことで、関連が非常に多いために、技術的にも非常な困難があるように思います。相当手間取っておる状況でございます。  そこで、まず各省の事務当局の一応の目安としておりまするのは、すでにお聞き取りになりましたかと思いまするが、大体三年くらいを目安にしまして全般的に貿易自由化を進める、こういう目標でございますが、農林省としましては、まあ三年たっても自由化できない、輸入制限を撤廃することは困難だと思われますものが、重要な農産物に多いのでございます。例をあげて申しますと、米麦類、あるいは酪農品というようなものにつきましては、三年くらいの目標では自由化考えられないというような状況でございますので、そういったものはまずワク外に出すと。もちろん、今申し上げておりまするのは、まだ作業を終わっておりませんので、例として申し上げておるわけでありますが、そういうものをワク外に出しまして、それからあとのものにつきましては、何らかの措置をとれば自由化できるというようなもの、それから三年あるいは二年ほどの猶予期間を置けば自由化できるというようなものに分類いたしまして、スケジュールをまとめていくことになるかと存じます。大体、現在の進行状況はそういう状態であります。
  36. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  37. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 速記を始めて。
  38. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) ただいま委員長から、先般ジュネーブで開かれましたガットの貿易拡大第二委員会の模様を報告せよというお話でございますので、概略申し上げることにいたします。  このガットの貿易拡大第二委員会と申しますのは、ガットの加盟国の間に、まあグループに分けますと、先進諸国と後進諸国、あるいは工業国と農業国というように大きく分けられるわけでございますが、そのうち後進国と申しますか、あるいは農産物輸出国、農業国といったグループから、最近における世界の貿易の拡大の中で後進国あるいは農産物輸出国の輸出があまり伸びていないということで、これはガットに限りませんが、いろいろな国際機構で問題になっておるのでございますが、特にガットにおきましては、いろいろな貿易上の取りきめがございまするので、ガットの中におきまして特に強く、これは先進諸国における農業保護政策の影響によるものであります、ということで、この工業的に発展した諸国の農業保護政策をガットの面において何とか制肘を加える必要がある、こういうような動きが強くなって参ったのであります。それが一昨年ごろまでの状況でございますが、それに対しまして、有力な諸国家、アメリカとかイギリス、そういうような諸国としてはこれを無視できない、またその他の先進諸国にしましてもそういう動きを無視できない状況になって参りましたので、この貿易拡大第二委員会というものを設置いたしまして、各国の農業保護政策に対してガットとしてどういう態度をもって臨むか、ガットの協定の運用上いかなる方針で進めるかということの検討を始めたのであります。  それで、第二委員会としましては、まず各国加盟国を全部一つ一つ呼びまして、第二委員会におきまして各国の農業政策の基本と申しますか、農業問題の実態を調査し、またそれに対してどういうふうな農業のための保護あるいは支持の施策を行なっているかということを検討しつつあるわけであります。この二月に開かれましたのは第三回でありまして、それまでにすでに十数カ国が審査を終わったのでありますが、日本はその第三回のグループに入りまして、アメリカ、フランス、イタリア、それからフィンランド、オーストリア、ノルウエー、それからニュージーランド、この七カ国とともに審査を受けたわけでございます。  そこで、この委員会の動きは、まあ現在世界的に貿易の自由化が進められ、特にガットを中心にしまして推進されております関係で、農業関係の自由化一つの問題でございます。しかし、それだけではなくて、全般的に農業に対しましてとられておる価格支持政策、あるいは補助金政策、その他の保護手段と申しますか、支持政策、そういうものにつきましても、狭義の貿易自由化というよりも広い意味で一切の産業保護を問題にするというような意味で検討しておるのでございますが、それに対しまして、一体各国がどういう理由で自国の農業政策の根拠、理由づけをやっておるかという点から申し上げてみたいと思います。  これは、日本としましてもやはり同じ説明をするわけでございますけれども、まず日本と同じような型の国柄を持っている諸国が、自分の国の農業政策をどういうふうに説明しておるか、こういう点から申し上げてみたいと思いますが、大体におきまして、現在問題になっておる農業政策あるいは農業保護政策というのは、やはり工業国として発展しつつある先進諸国の農業政策でございますと後進諸国、たとえば東南アジアのような諸国にも農業問題がないとは言えないわけでございますが、しかし、そういう国ではほとんど農業が主体であり、輸出は農産物が主体である。こういう国においては保護ということはあまり意味がない。むしろ土地制度の改革、あるいは華僑が支配しているような流通組織の改革というようなものが必要なわけでありまして、こういった諸国が保護をすることは大して意味もない、また世界市場にも大した影響がないわけでございますが、逆に日本を含めて工業国として発展しつつある国は、農産物の消費市場としては非常に大きな市場を持った諸国でございます。たとえばアメリカにしましても、イギリスにしましても、フランス、ドイツ、イタリア、あるいは日本というところは、人口も多くて、生活水準も高い。従って、農産物の消費も非常に大きい。そういう国が国内の農業を保護するためにいろいろな施策をやるということは、これは世界の農産物貿易に対して甚大な影響がある、こういう考え方に立っておるのであります。こういう先進諸国の農業政策が問題になっておるわけでありますが、先進諸国において、しからばなぜ農業政策、農業保護が必要であるかということを、各国はどういうふうに説明しておるかということでございますが、結局、せんじ詰めて申し上げますならば、工業化しあるいは経済が発展する過程において、農業の方は有効需要の伸びが工業品のように伸びない、あるいは技術発展の技術革新のテンポにおいてどうしても農業は時間がかかる。それから構造的に申しましても、農業に人口が滞留する傾向が強い。そういうようなことから、経済発展過程において、農業がおくれをとる。そこに所得あるいは雇用水準の較差、ディスパリティが生ずる。こういう状態では先進諸国においても国内において後進国をかかえておるようなものであるから、それに対してほうっておくわけにはいかない。社会問題を引き起こすことも多いのである。ほうってはおけない。こういうのがまず簡単に各国共通の問題、共通点を申し上げますと大体そういうことでございます。  日本もそういう点を特に言ったのでございますけれども、日本としましては、日本は工業的に発展しつつあるけれども、西欧諸国のような完全雇用の状態にはない、一そう問題は困難であるということを、特に強調いたしました。それから、もう一つの点としましては、戦後日本は非常に徹底した農地改革をやって、古い型の土地所有をなくしたけれども、それによって農民がかち得た地位というものを維持していくのが、日本の民主主義の発展のためにどうしても必要である。そういうことから、日本においては特に現在農業人口も多いことであるし、農業政策に相当の重点を置かざるを得ない、こういう説明をしたのでございます。  多少色彩が異なった説明をしたのは、まあスイスとかオーストリアとか、そういう中立主義を標謗しておる国でございますが、こういう国は、今の工業と農業との較差だけではなくて、政治的な中立を維持するために、国内において農業生産を維持しなければならないという説明をいたしております。これは申すまでもありませんけれども、スイスは二度の大戦で国境の外は全部戦場になったわけでありますが、その中で食糧生産を維持して中立を守り得たので、今後も中立を堅持するから、この方針を変えることはできないという説明をしたのでございます。  それからまた、ちょっと変わった説明をしましたのは、アメリカとイギリスであります。これはまあ指導的な大国でありますから、そのほかの工業国とはおのずから態度がちょっと違うわけでございますけれども、たとえばイギリスを取り上げますると、イギリスとしては自由なる取引、貿易も国内取引も自由にしていく。国内自給政策、セルフ・サフィシエンシー、いわゆる自給度向上政策もとらない。しかしながら、農業と工業の間に、明らかに農民所得が低いという関係があるから、それは国の財政力でもって、最近有名になりましたけれども、いわゆるデフィシエンシー・ペイメント——不足支払いと申しますか、そういう方法で、適正な生産費と市場価格の差、小麦にしましても、砂糖にしましても、牛乳にしましても、その差額は国の補助金でカバーしていこう、こういう政策を出しておるのであります。これは貿易も自由にし、国内取引も統制はしない、しかしながら農民所得に対しては国が責任をもって処理するという、イギリス流の伝統的な自由主義ではございませんけれども、何といいますか、新しい自由主義と申しますか、そういうようなことであろうかと思います。  それからアメリカの方は、これは何といってもガットをリードするような立場にある国でありますから、自分の国内で農業保護を今後も絶対にやるんだということを強くは出しませんし、また自給政策というようなことも出さないわけでございますが、しかし、アメリカにも、いかに富裕ではあるけれども、百五十万の低所得の農民がおる。これは工業が発展し、雇用がふえても現におるのである。それをほうっておくわけにはいかない。それに対してアメリカとしては、いろんな農業保護のための施策をとらざるを得ない、こういう説明をいたしております。で、アメリカはさすが大国でございますから、自分らとしては国際的な協力の正しい方向で施策はしておるつもりだ、価格支持の方法も最近弾力的にしたし、レベルも下げてきた、そういうことを、これは言いわけだとは思いまするけれども、そういう説明もつけ加えております。  そういった状況でありますので、日本としましては、全体としての農業政策の基調、あるいは個々の価格政策なり補助金政策等につきまして、何も外国に比べて過度のことをやっているわけでもございませんし、あるいはそういう見劣りのすることをやっているわけでもないと、私どもは考えて参ったのでございます。ただ、何と申しましても、日本において問題となるのは、やはり貿易の自由化率が低い。これは何と申しましても、外国に比べて低いわけである。強度の輸入制限による保護を加えている、この状態については、各国からかなりの批判を受けるであろうということを覚悟して参ったのであります。はたしてその通り、その点については、基本政策につきましても、個々の品目につきましても、執拗な質問を受け、批判を受けたのでございます。  まず、基本的な点におきましては、日本は一体自給政策をとっているのではないか。全体として農産物あるいは特定の品物を取り上げますと、砂糖については自給政策をとっているのではないか、こういうことは日本のように資源の乏しくて人口の多い国としては賢明でないじゃないか、もっと貿易を興して、広く資源を利用し得るような経済政策を行なうべきではないか、こういう質問——批判といっていいかと思いますが、まあ一々どう答えたかは申し上げませんが、そういう批判がございました。それから、全体として自由化程度が低い。日本は最近非常に国際収支がよくなった、外貨もふえた、経済の成長も早い、それにしてはちっとも自由化が進んでいない。ほかの国は国際収支がよくなるにつれて、どんどん自由化しているのに、日本は一体どういうわけだ、こういう質問がございました。そうして、それに関連しまして、一体協定の上で、加盟国は国際収支を擁護する、つまり国際収支の困難を解決するためにしか輸入制限ができない、国際収支がよくなれば制限を緩和する義務を負っているし、また国際収支を擁護するという理由がなくなれば、全面的に自由化しなければならない、特定の品目については協定に従って義務免除を受ける方法があるが、日本はそういう段階が来た場合は、農産物については何と何を義務免除を受けるつもりか、こういう質問がございました。これについては、先ほど申し上げましたように、五月末までに具体的なプログラムを作る予定で、それまでは具体的なことは言えないけれども、少なくとも米、麦、畜産物については自由化をすることは困難であるということを、われわれとしては申したのでございます。そのほか、いろいろ食糧管理の運営、あるいは価格政策、それから東南アジアとの双務協定、輸入制限のやり方等について、種々の質問あるいは批判がございました。これらはいずれも、私どもとしましては予想して参りました質問でありまするので、それ相応の答えをしたのでございます。  何と申しましても、会議全体を通じて、日本にもっと自由化を望む声が非常に強かったのであります。ただいま、畜産物については輸入制限の撤廃は困難であるという御答弁を申し上げましたけれども、酪農品のごときは、その会議に参加しておりましたオランダ、デンマーク、ニュージーランド、オーストラリア、これらの酪農国から、繰り返し繰り返し自由化すべきではないか、自由化した方が商品はふえるだろう、それがまた国内の酪農にとつてもいいのではないかというような理屈、いろいろな理屈でもって自由化を要求されたのでございます。少なくともバターぐらい自由化したらどうであるかということで、ある国のごときは、酪農品に限りませんけれども、日本に対してこの際自由化を勧告しようではないかという動議も出しかけた状況であります。これは酪農国の一つでございますが、非常に要望が強かったのでございます。これは酪農の世界の状態からいいますならば、ちょっと日本ほど有望な市場はまあないだろうと思われます。欧州も、アメリカ大陸も、牛乳生産はだぶついておりますし、消費需要も頭打ちをしております。ところが、日本は、一億の人口を持って、年率一〇%以上の需要の伸びを示しておるような状況でありますから、そういう輸出国から見まするならば、これほど頼もしいマーケットはないであろう。ところが、日本から見まするならば、これこそ今後日本の農業を改善し生産性を伸ばす最も有望な産業でございますから、われわれとしては、これはどうしてもだめだということで、終始断わって参った、こういうことでございます。  少し散漫になりましたけれども、会議の空気を申し上げました。
  39. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) どうもありがとうございました。  ただいまの説明に対しまして御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  40. 大河原一次

    大河原一次君 先ほどの御説明の中で、米、麦、あるいは酪農等に対しては、三カ年くらいの期間においては、これは自由化に持っていくことが困難であろうというふうに見通しされたことは、非常にいいと思うのですが、しかし、その他の品目等に対しては、三年という期間の後には、ある程度の何らかの対策をとるならば、自由化することもできるだろうというようなことを言われておりまするが、その何らかの対策ということになりますると、米麦等は別にしまして、たとえばどのような対策を……。
  41. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 具体的な例を申し上げますと、今問題になっております大豆でございますが、大豆はAAにいたしますけれども、一方において価格支持を強化しよう、こういう考えで今臨んでおるわけでございます。さしあたり、価格支持とか補助金につきましては、国際協定においても拘束を受けておりませんし、第二委員会のような動きはございますけれども、これは自主的に自由にやれるものでございますから、そういう方法でやるなり、あるいは関税の定率を引き上げてやるものもあるかと思います。その辺は、目下それぞれの品目について検討中でございます。
  42. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ちょっと伺います。保護政策といいますか、そういうものまで、諸外国においては日本の保護政策も批判の対象になったというようなことをかなり聞くのですが、そういうことが直接の話題になって、そういうことは排除すべきであるというような話まであったのか、ごく簡単でけっこうなんですが、お伺いしたいと思います。
  43. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 批判があったのは事実でございます。たとえば自由化率が低いとか、自給政策というのは賢明じゃないだろうとか、そういう批判があったのは事実でございますが、しかし、これは先進諸国のほとんど全部がやはり批判を受けておるのでございます。で、アメリカ、イギリスのような国はちょっと別でございますが、ほかのドイツやフランス、イタリアなどの国は、やはりどうしても、国際協調も必要だけれども、どうも農業問題をほうってはおけないですから、あるいは日本よりも強くといってもいいくらいに農業保護の必要性をがんばっておるのでございます。従って、そういう国はまた、日本よりもより強く批判を受けるというようなこともあったようなわけでございます。
  44. 東隆

    東隆君 私は、自由化というのは、日本にとっては輸入の問題になるのですけれども、外国の方は輸出の問題になろうかと思います。それで、輸入と輸出の関係で、これは立場が全然違うのです。だから、ある範囲の、相手方が承知をされる程度の保護政策というものを考えなければならぬのじゃないかと考えるのですが、その場合に、先ほどの、どこかの国でやっておったような損失の補償をやるやり方、それはどういうことになるのですか。議論の上ではそういうものが出たのですけれども、みんなそれに賛成をしておるのですか、そういうようなやり方について。
  45. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 先ほど私が申し上げましたイギリスの不足支払いのことであろうと思いまするが、これはガットが、有名な国際経済学者を四人ばかり委嘱しまして、研究をやらせたのでありますけれども、ハーバラを委員長とするハーバラ報告におきましても、この方法が最も合理的な方法であるというような報告を出しております。比較的これは好評を受けておる農業保護のやり方に現在はなっておるのですが、しかし、これとても過剰生産を誘発するとか、あるいは二、三の、たとえば日本のような国においては、農業規模が非常に小さくて個々の農家の販売数量というものが非常に少ない場合には、なかなか簡単に行政的に適用しにくいという難点もありますので、必ずしも受け入れがたい面もございます。しかし、とにかく、東先生がおっしゃいますように、総合的に自由化を進められる場合、日本は何といっても輸入国の側でございますので、農産物の輸入を緩和し、あるいは自由にし、一面日本の工業製品の相手国の制限緩和というようなこともあり得ることであります。しかし、とにかく基幹的なものについてはそういうことは避けていかなければならない、まあわれわれとしてはさように考えております。
  46. 東隆

    東隆君 政府が三十五年度以降にとられる、たとえば大豆の場合ですね、これは価格支持政策でもって政府が買い上げるというのですけれども、しかし、これも不足分についての補給をするというやり方がもし考えられれば、国内のものに対してそんなに問題がないと思うのです。大豆の生産量は非常に少ないですからね。そこで、大部分のものを輸入せんければならぬ。そうすると、国民全般から考えれば、大豆の輸入というものは、これは問題にならぬわけですね。どうしても輸入せんけりゃならぬ。そういうような問題……。  ところが、もう一つ問題になるのは、たとえば北海道の雑豆のようなものです。これはまず消費と、それから供給の方でとんとんというようなものがある。こういうものは非常にむずかしい操作をしてもらわないと困ると思うのですけれども、それでも、これもはなはだもって問題にならないようなものは、今言ったような方法を講ずべきじゃないか。私は、麦の問題もそれに近いような形になってきているんではないか、こう思っておりますけれども、しかし、麦については、もっと確立した考え方でもってやるのならば、外国から入れないでもっとびしびしやったら、これは相当ふえていくと思いますけれども、しかし、今の政府のようなやり方でやっていったら、麦はつぶれてしまうのではないか。だから、先ほどの雑豆と同じような、雑豆よりか大豆なんか問題がある、こういうように考える。だから、国内でもってどうしても輸入をしなければならぬものと、それからある程度需要を満たしているもの、それから余剰のもの——余剰のものはこれは輸出しなければならない。だから、そういう三つに分けて、そうしてそれに対するところのはっきりした形をとって、そうしてできるだけたくさん自由化する、そういう体制をとればいいんじゃないか、こういう考え方を持つのですが、その場合に問題になってくるのは砂糖だと思うのです。  砂糖もやはり、大豆と同じように、国内で生産されるものは補給をする、何らかの形において補給をする。それから国外からのやつは自由に入れる。こうすれば、今の形でいけば、かえってある程度たくさん入ってくるのじゃないか。しかし、それによって何もそんなに消費者は苦しまなくても消費できるのじゃないか。だが、自由化しないために、砂糖の精製業者が不当にもうけるとか、そういうような形があって、値段のつり上げが行なわれる。しかも、国の政策でもってそういうようなことが行なわれている、こう見ることもできると思う。  だから、そういうような点で、大よそ三つぐらいに分けて、そうして考え方をまとめていかなければ、何もかも自由化するという線においてやられたら、これは大へんなことになる。そういう点はどういうふうにお考えなんですか。
  47. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 今、東先生から非常に名案をお示しいただいたのでございますか、確かに、われわれの間にも、そういうような方法が最もいいという意見が相当ございます。ことに、国内生産が少なくて、輸入の多いものについては、むしろ国内体制としては、補給によってやった方が最もコストが少なく、しかも、消費者のためにも一番よろしい。生産者もそれで十分保護できるのだという考え方から、そういう意見を示す人が相当あるのでございますが、これは品目ごとに今検討しておりますし、ことに大きな品目につきましては、この五月までというような期限では、なかなかそういうところまでの結論は出し得ないと考えております。  一方、基本問題調査会におきましても、同じような角度の研究をやっておりますので、その辺の検討ともあわせて、今後さらに具体策を考えていかなければならぬと考えております。
  48. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もなければ、本件については、本日はこの程度にいたします。  それでは、本日はこれをもって散会をいたします。    午後四時二十三分散会