○説明員(庄野五一郎君) 先般
提案理由の説明を申し上げました
開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案、それから
開拓者資金融通法の一部を改正する法律案及び
開拓者資金融通法による政府の貸付金の
償還条件の緩和等に関する
特別措置法案の
開拓関係の三法案につきまして、若干
補足説明を申し上げたいと存じます。
戦後開拓地に入植いたしました
開拓者は、昭和二十年から三十四年三月三十一日までの累計でございますが、現在戸数は約十四万七千戸でございまして、その開墾完了いたしました面積は約三十二万六千町歩に達しております。なお、
地元増反等の
開墾面積を加えますと、四十七万二千町歩に達するわけでございまして、農地の造成ということが行なわれておるわけでございますが、
開拓者のただいま保有いたしております
家畜保有頭数は、大家畜に換算いたしまして約十九万九千頭、そのうち乳牛が八万三千、牛馬九万四千その他綿羊、ヤギ、豚あるいは鶏、そういったふうで
家畜頭数も逐次増加いたしておりますし、また
主要食糧生産量は年間約四十五万二千トン、これは玄米換算いたしますと三百万石をこす程度でございますが、そういうふうで
営農成績は逐次向上の道をたどっております。しかし、
開拓営農振興臨時措置法の規定に基づきまして
振興計画を樹立いたしまして、
都道府県知事の承認を受けました、いわゆる
改善農家という戸数は、総戸数十四万七千戸の約七割の約九万四千戸に達しております。これらの要
振興開拓者は、昭和三十二年以来、いわゆる
開拓営農振興対策を、先ほど申しました承認されました計画に基づきまして強力に推進いたしておりまして、次第にその成果を上げつつありますとはいうものの、今なお満足すべき状態にないことは、すでに、ただいま御審議願っております三法案の
提案理由説明で申し上げました通りでございます。
そこで、昭和三十五年、本年度でございますが、ここ数年来
振興対策重点のために逐次減っておりました
新規入植戸数でございますが、この戸数は、三十五年度はさらにこれを一千戸にとどめるということにいたしまして、それも
基本営農類型適用地区とか、あるいはその他
建設工事を大体完了いたしました
一般地区等で、入りますとすぐもう営農が安定するという見込みの確実な地区とかに限るというふうにいたしております。また後刻御説明いたしますが、
過剰入植地区の移転再入植でほかの地区に移るのも新規扱いいたしますが、そういう戸数も含めまして一千戸にとどめるということにつきまして、
開拓行政の主力をあげて、過去に入植いたしました
既入植者の
開拓営農の
振興対策の
拡充促進ということに全力をそそぐことにいたしまして、従来行なって参りました各般の
総合施策をさらに推進いたしますとともに、三十五年度からは、新たに
政府融資金の
条件緩和——これはただいま特別法の御審議をお願いするわけでありますが
——条件緩和、あるいは
政府資金によりまする
災害対策資金を新たに貸し付ける制度を設ける、あるいは
過剰入植地区のいわゆる間引きをやりまして
営農振興をやる、そういった新しい施策を本年度からさらに進めることにいたしまして、
営農振興に万全を期することといたしております。で、これらの施策のうち、法律を必要といたします事項につきましては、すでに先般御可決いただきました
開拓融資保証法の一部を改正する法律及びただいま御審議願っております三つの法律を提案した次第でございまして、これにつきまして御説明するわけでございます。
なお、その前に、
開拓営農振興対策のただいま政府がとっております概要について一言御説明しておきたいと思います。
で、三十五年度におきまする
開拓営農振興対策につきましては、
開拓関係予算の成立とともに御審議願っておるわけでございますが、ただいまお手元に配付いたしております資料の中にも一覧表を掲げておりますが、先般提出いたしました、十九ページに書いてございます
開拓関係予算の総括表、その通りでございまして、この総額が国費で九十一億、融資金が六十六億で、前年の三十四年度に比較いたしまして、国費で十一億円、融資で二億円の増加となっております。そしてこのうち国費の六十二億、融資の五十一億は
既入植者の
振興対策の分でございまして、
振興対策重点の施策を、これによって一つ御了承いただきたいと存ずるのでございます。
その内容を簡単に申し上げますと、まず、
開墾建設工事の促進を強力に進めたいと、こういうふうに考えておるわけでございますが、
開墾建設工事の遅延が営農不振の非常に大きな原因となっていることは御承知の通りでございまして、そういった状態から、すみやかに生産の
基礎的条件でありまする道路、水路等を整備することが
先決条件である。そのために、
振興対策地区に最重点を置いて、なお工事の残っておりまする
残事業量をできるだけ早く工事を完了していく、こういう
残事業量の促進をはかるということを第一に考えております。それとともに、計画の不備だとか、あるいは営農の転換をやる、たとえば主穀中心の営農から酪農、果樹といったようなふうに
経営転換をやる、あるいは飲用水が不足で非常に営農が不振な土地、まあそういった等のために新しくまた従来の計画に
追加工事を必要とするといったような地区については、これを早急に実施するということにいたしております。で、これらの
振興地区分といたしましては、
開墾建設工事分として国費四十六億
——建設工事の総額が五十八億のうち
振興地区分が四十六億になりますが——計上いたしておりますし、これは前年度に比べまして二億円の増加ということになっております。で、このうち、
国営開墾地区につきましては、
継続地区が今六十八地区でございますが、このうち要
振興地区が五十五地区でございまして、この
振興地区の総事業費が二百八十六億七千九百万円になっておりますが、三十五年度までに、そのうち百七十二億四千万円を工事を済ましていく、こういうことになりますので、進捗率は六〇%に相なりますが、こういうふうに
継続地区の残工事をできるだけ繰り上げていく、こういうことになりますと、なお残年量が五・四年ございます。今後の方針といたしましては、これを五カ年間でこなしていきたい、こういうふうに考えております。
なお
代行開墾地区につきましては、ただいま
工事継続中のものが五百三十二地区ございまして、そのうち要
振興地区が四百十五地区ございますが、この要
振興地区の総事業費が百四十八億二千四百万円でござしまして、三十五年度までに七十七億五千四百万円の工事を大体進めることができるわけでございます。大体進捗率は五二%、こういうことに相なるわけでございます。なお残年量が五・三年、大体なお五カ年間くらいの残年量でございます。これもできるだけ早く三十六年度以降でこなしていきたい、こういうように考えるのでございます。
それから次に、
営農資金の確保の措置をどういうふうにいたしておるか、こういうことについて御説明申したいと思います。
まず、
長期資金の融通をどうするかという点でございます。
振興計画に基づきまして、大家畜、
農用施設あるいは
農機具等の基本的な
生産手段を導入するための資金につきましては、
開拓者資金融通特別会計から
振興対策資金を、これは五分五厘の十二年の
償還期間になりますが、融通しておるわけでございますが、三十五年度は二十五億五千三百万円、前年度は二十三億八千万円で、実際三十四年度は
開拓者に貸し付けたものがこのうち二十億で、約三億程度が不実行額になっておりますので、二十億を貨し付けております。本年度は二十五億五千三百万円を全部貸し付けたい、こういうふうに考えておるわけでございます。まあこれによりまして、従来の主穀経営から酪農あるいは
果樹中心の経営の
営農転換資金ということにこれが相なるわけでございます。これによって振興をやっていきたい、こういうふうに考えておる重要な資金でございます。それからなおこれと並行いたしまして、
長期資金といたしましては、
農林漁業金融公庫から前年
通り施設資金として十五億を計上いたしておるわけでございまして、このうち
振興対策農家に回るものが、九億八千万円が
振興農家に相なるわけでございまして、これも大体前年程度をまあ融資することにいたしております。これによりまして経営の安定を期していきたい、こういうふうに考えております。
それから北海道の要
振興開拓者に対する
振興対策資金につきましては、その
特殊事情を考慮いたしまして、
償還期間を延長することにいたしまして、これに必要な
法的措置として
開拓者資金融通法の一部改正を行なうことといたしまして、あとで御説明申したい、こう思っております。
それから
長期資金と並びまして
経営資金の融通の円滑化を進めていきたい、こういうふうに考えております。
経営資金と申しますのは、肥料、飼料あるいは
中小家畜、こういった
短期資金でございますが、これを購入するための資金につきましては、その融通の円滑化をはかるために、
中央開拓融資保証協会に対しまする
政府出資を一億円、——前年度は八千万円でございましたが、——これを増額することにいたしまして、これに必要な
法的措置として、先般
開拓融資保証法の一部を改正する法律案の御審議を願って、四月一日から施行いたしております。この
政府出資の一億につきましては、四月四日にすでに
中央開拓融資保証協会に政府から出資が完了いたしておりまして、これによりまして中央の出資金を、政府以外のものを合わせますと、五億九千五百六十二万円となるのでありまして、これを基金といたしまして、
開拓者に対しましては、三十五年度においては約三十一億の貸付に対する保証ができることになります。なお
飼料等年間五回転するものの金額を加えますと三十六億五千万円程度の貸付金の保証ができるようになりまして、非常に短、
中期資金の融通の円滑化が期せられるわけであります。
それから次に、
災害対策資金の融資の道を確保する点でございますが、要
振興開拓者が災害を受けました場合の対策につきましては、従来も一般の
災害対策のほかに開拓地独自の対策といたしまして、住宅、農舎及び畜舎の
復旧事業に対する政府の補助などを行なって参りましたが、災害により
営農改善計画を達成できなくなるおそれが非常に多いわけであります。特に、昨年のような
伊勢湾台風のような大災害がありますと、せっかく
営農振興計画を立てて参っておりますその計画が途中で挫折するといったような状態にかんがみまして、新たに、
開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案の
提案理由でも御説明申し上げました通り、
開拓者資金融通特別会計から
災害対策資金を貸し付ける制度を確立することにいたしまして、これに必要な
法的措置と
予算的措置を講じた次第でありまして、
法的措置につきましては、ただいま御審議願っておるわけであります。で、この新しい制度で
政府特別会計から貸し出しまする
災害対策資金は一応一億円を
特別会計に計上いたしておりますが、もしこの金額で不足する場合には、なお
基本営農資金及び
振興対策資金の中に留保してあります五千万円ずつ計一億でございますが、これを追加支出する考えでございまして、合計二億円までは本
年度特別会計の予算の中で
災害資金として支出し得るよう措置いたしてございます。
なお、この制度は一応
開拓者振興法によりまして
振興計画を立てた農家を対象にすることにいたしておりますけれども、一般の
開拓者につきましても、
伊勢湾台風の際と同様に、災害によって壊滅的な打撃を受けました場合は、この制度も同様な条件で融資したいと考えて、これは法律によらないで、
予算的措置によって、そういう事態が起こりましたら対処するということで大蔵省とも話し合って、大体の了承を得ている次第でございます。
それから次に、非常に
開拓者の営農の圧力になっておりますのは
開拓者が借り入れました負債の問題でございまして、その
負債整理対策をやはり
開拓営農振興の一環として従来から強力に進めたわけでございますが、これにつきましては、
開拓者の
負債総額は
短期資金を除きましても三十三年度末の推定で約二百六十一億円、これは
政府資金あるいは
中金資金あるいは
災害資金、
自作農資金、そういった
制度金融だけでございますが、三十三年度二百六十一億、三十四年度末で
政府資金等の貸し出しを追加いたしますと大体三百十四億円程度に達するわけでありまして、一戸当たり、大体三十四年度末三百十四億円といたしまして、二十一億円程度の負債を一戸当たり持っておるわけであります。そのように多額に上るわけでございます。なおこのほかに、こういう
制度金融じゃなしに、
親類縁者あるいは近所の知り合いからといった
個人負債が総計三十億程度が推定されておるわけであります。一戸当たりにいたしまして、大体平均一万から三万程度の
個人負債を持っておるほかに、二十一億円の負債を持っておる、こういう負債の重圧が営農不振の一つの原因ともなっておりますので、
営農改善の
消極的対策として、負債の整理を強力に進めておるわけでございまして、その一つの方法といたしまして、
政府融資金の
償還条件を緩和するということをいたしたいと思います。
それで
開拓者資金融通特別会計からの
政府融資金につきましては、従来、国の債権の管理等に関する法律によりまして、
履行延期の措置をそれによって三十三年、三十四年ととってきたわけでございますが、大体これによりますと、五年ないし十年の
履行延期ができるわけでございまして、三十三年の
履行延期の実績は大体一億七千五百万円程度、三十四年度はまだ推計ができておりませんが、三十三年度で一億七千五百万円程度の
履行延期の措置をとってきたわけでございます。なお、この
債権管理法の
履行延期の措置は
開拓者の実情に沿わない点もございまして十分とはいえない状態でございます。これに対しまして三十五年度と三十六年度の二カ年間に、その
開拓者の営農の実情に即応した
償還条件に緩和する措置を今回とることにいたしておりまして、このため、
開拓者資金融通法による政府の貸付金の
償還条件の緩和等に関する
特別措置法案を提案した次第でありまして、この法案につきましては、後ほど逐条の御説明をいたしたいと、こう思っております。
それから次に、
負債整理の一環といたしまして、
災害経営資金の
営農改善資金への借りかえの措置でございます。いわゆる
天災融資法によります
災害経営資金、これは
償還期間五年以内でございますが、
開拓者が過去に非常に借りておるわけでございまして、これを
開拓営農振興臨時措置法によりまして
営農改善資金、これは
償還期間が十年以内になりまして
履行期限が延びるわけでございまして、それに借りかえさせまして、引き続いて政府から
利子補給と
損失補償を行なっておりまして、現在までに約三十六億円程度の借りかえが完了いたしております。なお本年の十二月末までには四十一億程度は借りかえを進めていきたい、こういう予定にいたしまして、この
利子補給に必要な予算として本年度に一億四千二百万円を計上いたしております。そういう
天災資金を
営農改善資金の長期の資金に切りかえるという措置を講じておるわけでございます。
なお、そのほかに第三の
負債整理対策といたしまして、
自作農維持創設資金の融通でございますが、これは
開拓者のいわゆる個人債の過去の分でございまして、
高利負債が特に経営の圧迫になっておりますので、そういう
開拓者に対しましては
自作農維持創設資金を——これは年利五分の
償還期間が二十年以内でございますが——融通してやって、これを整理させておりますが、三十五年度は十五億円を予定いたしております。三十四年までに大体三十六億三千七百万円の
自作農資金を
開拓者の
個人負債の
整理基金として貸し出しておりますので、三十五年を加えますと五十一億三千七百万円に相なるわけでございまして、これによりまして大体
振興農家の
個人負債の整理は三十五年で大体終了いたす予定にいたしておるわけでございます。
それから
負債整理がそれで大体終わるわけでございますが、次に、
営農条件と
生活環境の
整備強化、こういったものの不備が非常に営農不振の原因になっておりますので、そういった点の
整備拡充の強化をやっていきたい、こういうふうに考えておりますが、まず
営農条件の整備の方法として、配分された土地を早急に開墾いたしまして耕地化することが
営農振興の根幹でございまして、これをまず
建設工事の促進に対応いたしまして進めていきたい、こういうことで、
開墾作業と
酸性土壌の改良の経費を、
振興対策分といたしまして、重点を置いて四億七千九百万円、これを本年計上いたしております。それからなお、この開墾の促進とともに、開拓地におきまするその営農の合理化をやる、あるいは
動力不足を解消する、あるいは相ともに共同して営農が進むようにする、そういった点から営農の機械化を促進するということを三十五年から新しく取り上げて、
大型トラクター、これは大体四十
馬力程度のものでございますが、既農家の分を含めて八十八台、その大部分を開拓地の方に向けたい、こういうふうに考えております。これは国費二分の一補助でございますが、そういった
大型トラクターを新しく導入する、あるいは西の方になりますが、
小型トラクターを、これは十
馬力程度でございますが、開拓地に入れていく、これは三分一国の補助でございます。これは
小型トラクターは全部
開拓者分で二百五十台、こういうことになっておりますので、そういうものを導入いたしまして、
営農促進ということと
経営転換、経営の合理化ということを特に
開拓者について進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
それから次に、
生活環境の整備でございますが、これは住宅の問題とか、あるいは飲用水の問題、あるいは電気をつける、そういったような重要な
生活環境を整備しなければ、やはり営農の振興なり安定は期しがたいわけでありますので、そういった点につきましても、特に
振興地区に重点を置きまして予算を計上し、そしてそういう点の整備を進めたい、こういう考えでございます。なお開拓地の
生活改善の一助といたしまして、新しく
婦人ホーム、これはモデル・ケース的で非常に少ないのでございますが、内地四カ所、北海道に二カ所設置いたします。こういったものも新しく計上いたしまして、
生活環境の整備もできるだけ早く進めていきたい、こういうことで、本年度は二億三千万円程度を計上いたした次第でございます。
なお新しい一つの考え方といたしましては、従来の
過剰入植地区の
振興対策を何とか実施したいということで、間引きというような新しい制度を考えて、
過剰入植地区の適切な
経営規模の確立ということを期したい、こういうふうに考えて
予算措置を講じたわけでございます。これは従来はぽつぽつとやっておったわけでございますが、計画的に三十五年度から実施していく、そして
過剰入植地区の
開拓者の一部を他地区に移す、あるいは希望があれば転業させる、あるいはその中で
海外移住を希望する人にも
海外移住の道を開く、そういった措置を講じまして、そういう
過剰入植地から出ていく人には、奨励金として、二戸
当たり平均十五万円、海外に出ていく場合はそれに五万円追加いたしまして二十万円、こういう奨励金を交付して、出ていきやすいように、負債等の整理、それから
転業資金にしてもらう、こういった道を開いてみたい、こういう考えでございますが、特に政府といたしましては、移転先のあっせんとか、出ていく場合の負債の整理をどういうふうにやる、あるいは
履行延期の措置も講じてやる、それから希望があれば ほかの地区に再入植するという場合には、
新規入植の取り扱いをして、住宅とか、あるいは資金を貸していく、そういうような措置を講じまして、出ていって新しい地域で活躍しやすいようにいたしますとともに、残ります
開拓者に土地の再配分をいたしまして、
経営規模をできるだけ大きくして、いわゆる
過剰入植のために、
経営面積が不足のために不振だという原因を除いていきたい、こういうふうな考えでございます。大体三十五年度においては六百戸を予定いたしておりますが、なお、これは引き続き計画的に進めて参りまして、いわゆる
配分是正による、
過剰入植の
適正配分ということによる
振興計画ということを進めていきたい、こういうふうに考えております。これは今要綱を作っているわけでございますが、大体
振興計画によって、再配分を要求している者等につきましては、付近に未墾地があれば、そういうものを新しく追加配分するとともに、そういうものがない場合には、全部
開拓者の総意によりまして、出ていく人は気持よく出ていく、残る人は出ていった人の農地を引き受けて、
経営規模を拡大して営農を拡大していく、そういった合意に基づいてこれを進めていく、こういうふうにいたしたいと考えております。
それから新対策の一環として、
営農指導というものが非常に重要なことでございますが、これの中心に当たっております
開拓営農指導員あるいは
開拓保健婦の問題がございますが、そういう問題は
現地駐在を原則といたしまして、そうしてオートバイとか、そういうものの装備を強化して、できるだけ重点的に、活発に指導ができるように、そういうようにやっていきたい、それから特に不振地区には濃密指導ができるようにやっていきたい、こういうような指導方針を固めております。それとともに、いわゆる開拓農協でございますが、その問題につきましても、経理補導等、従来に引き続きまして、さらに補導員の制度を実施いたしまして、経理内容の明確、あるいは財務整理の一端を開いていく、こういうことをいたしますとともに、弱小組合が非常に多いわけでございますので、本年はモデル的でございますが、一県一カ所程度は統合事務所の制度を開きまして、そこで組合事務の統合を行なっていく、その結果を待って、将来開拓農協をどういう方向に持っていくかといったような点につきまして、いろいろそのモデル統合事務所の制度によって将来の方向も検討いたしたい、そういう意味の統合事務所の制度も、ことしから新しく取り上げていく、こういうようなことで、組合の育成強化という点についても、特に力をいたしたいと、こういうように考えております。
それから新しい制度といたしまして、
開拓営農振興審議会の設置でございますが、これも振興法の改正で設置することにいたしておりますが、以上述べましたような施策によりまして、
開拓者の営農は大いに進展するものと考えておりますが、
開拓営農振興には、なおいろいろ検討を要する重要な問題もございますので、新しく農林省に
開拓営農振興審議会を、これは委員十名でございますが、設置いたしまして、
開拓営農振興に関する重要事項、特に
振興計画の達成というような点、それから開拓制度の問題、そういう重要事項を調査審議することといたしまして、これを
開拓営農振興臨時措置法に規定することにいたして御提案申し上げた次第であります。
以上が三十五年度における
開拓営農振興対策の概要でございますが、次に、ただいま御審議願っております三法案の内容につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。
まず、第一が
開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案でございますが、この法律案は、第五条の二に
災害対策資金の制度を規定いたしておりまして、それから第九条を一条追加いたしまして、九条に
開拓営農振興審議会の制度を規定した次第でございます。その趣旨はいずれも先般
提案理由説明で詳細に御説明いたした次第でございますが、この
災害対策資金につきましては、異常な天然現象が発生いたしました場合に、これを農林大臣が指定いたしまして、そしてその天災の中で、今度は
天災資金の貸し出し適用地区をさらに農林大臣が指定することに相なります。それで異常な天然現象と申しますのは、広範な地域にわたって暴風雨とか、高潮とか、洪水とか、その他降ひよう、あるいは冷害といったような点を考えておるわけでございますが、そういった異常な天然現象で、開発地に激甚な被害があったような場合でございますが、農林大臣がその中から指定するわけでございます。大体天災法の発動がありますれば、この五条の二によりまして、
天災資金の貸し出しということになりますが、さらにその中からこれはしぼっていくということに相なるんじゃないかと思います。さらに、天災法が発動いたしませんでも、災害の程度によりましては、開拓地には非常に激甚な、局地的な災害も起こるわけでございますが、そういう場合にも貸し出しできるようにいたしたいということで、ただいま大蔵省とも折衝中でございます。なお適用地区等につきましては、そういった災害が起こりました場合に、
災害資金の貸付対象になりまする
開拓者、被害を受けました
開拓者が大体十人地区内にある、あるいは
開拓者の総数の一割をこすといったような、昨年の高率適用の同じような区域を指定していくということで、町村ごとにこれを指定していきたい、こういう考えでございます。
それからこの貸付対象でございますが、これは
振興農家を原則といたしておりますが、
振興農家以外でも、災害を受けた場合に、その
振興農家にひとしいような場合には、何とかこれにも貸し出せるといった道も開きたいという考えでおりますが、原則としては
振興計画を立てた農家が災害によって、
振興計画の達成が非常に困難になった場合に貸し付けるというふうに考えております。それで大体どういう被害に貸し付けるかと申しますと、まあこれは天災法の一つの補完的な作用ということに考えておりますが、天災法では
経営資金を中心といたしておりますが、施設資金には天災法は貸し出しておりませんので、大体この新しい制度によりますと、
災害対策資金は施設資金を貸し出すということを原則にしたい、こういうふうに考えております。大体災害を受けまして、農業施設が非常に大きな被害を受けた場合に、それを復旧する場合には補助金も出ますが、補助金の出ない場合、あるいは補助金を除きましたあとの分、そういったものにつきまして、農業施設の被害に対して融資していくということを原則として、それから農業施設も農作物もともに激甚な被害を受けました
開拓者、こういう者にはこの施設資金とあわせて
経営資金も貸し出すようにいたしたい、こういうふうに考えております。たとえば冷害とか卓越とかいって、施設資金の方の災害のないような場合には、これも
経営資金だけを貸せるように、これは本来は
天災融資法でいくべきでございますが、そういう場合にも、
天災融資法によってなかなか貸し出しが困難である場合がありますが、そういう場合には
経営資金だけでも貸し得る道を開きたい、こういう点でただいまこの点大蔵省とも折衝中でありまして、早急にこれはきめて、政令なり省令で基準をきめていきたい、こういう考えでございます。大体貸付金は二十万円の範囲を限度として貸し付けるようにいたしたい、こういう考えでございます。
なお貸付条件につきましては、施設資金については、大体五分五厘の十二年以内、それから先ほど申しました、施設も農作物もやられたといったような、非常に激甚な被害を受けました
開拓者につきましては、三分六厘五毛の資金を二十年以内で貸せるように、こういうような考え方で案を措置しております。大体それが
災害対策資金の制度でございまして、これは
天災資金の補完という意味で
天災資金も貸し出せるが、
天災資金で貸し出しができない施設資金を貸し出すとともに、その施設資金と
経営資金とをあわせて三分六厘五毛、二十年のやつも災害のひどい場合には貸し出す、こういう道を開く、こういうことでございます、これを新しい制度として振興法の中に盛り込んだわけでございます。
それから九条の審議会の点は、先ほど申しましたので省略いたしておきます。なお、こまかい点は政令に譲るわけでございますが、大体委員の任期は二年程度ということで、
開拓者の開拓につきまして特に学識経験を有する人でございますから、開拓に対する関係融資機関の人、あるいは
開拓者の団体、あるいは
開拓者それ自体、あるいは開拓に非常に熱心な町村長、そういったような中から十名を選考いたしまして委員といたしたい、こういう考えでございます。
それから次でございますが、
開拓者資金融通法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
開拓者資金融通特別会計からの融資資金は、ただいま
基本営農資金、これと三分六厘五毛の二十年、これは新規に入植いたしました人に入植の当時から大体三年以内に貸し付ける資金でございまして、施設資金、
経営資金合わせたもので、
基本営農資金、こういっておりますが、それとただいまは
振興計画を立てました
既入植者、これは三年以上たった入植者でございますが、
振興計画を立てました
振興農家に、
振興対策資金として五分五厘の十二年以内の
償還期間で貸し出している
振興対策費と、二通りを大体貸しているわけでございますが、そういう資金の、今後三十五年度以降、今後の新規貸付金についての改正でございます。既貸付金、三十四年度までに貸し付けた分については、後ほど説明いたしまする条件、緩和等の特別法でこれの整理等をやっているわけでございますが、これから貸し付ける分についての新しい貸し付け方を、今度融資法の一部改正でやっていく。
その改正は第二条の改正になるわけでございますが、第二条の改正は、実質一本化をやりたい。これはただいま
開拓者に貸し付けますものは、
基本営農資金と
振興対策資金でございますが、それが各年度にわたりまして幾日にも重ねて、多いのは一人で二十口も借りている、こういうふうでありまして、非常に幾口にもなっているわけでございます。これを何とか一本化していきたい。実質的には三分六厘五毛と、五分五厘の利率のものと二つになるわけでございますが、そのための改正でございまして、特にこれは個人対象資金についてこういう措置をとっていきたい。個人対象資金と申しますのは、
開拓者資金融通法の第一条の一号の農機具、肥料、家畜その他の
経営資金及び施設資金、こういった資金と、それから二号の住宅資金、住宅資金はただいま貸しておりませんが、この二号の住宅資金、それから第二項の機械開墾地区の
開墾作業といったようなものが個人資金でございます。その個人対象の資金につきまして、第二条の第一項から三項までは据置期間を含む
償還期間を一年延長いたす改正をいたしておりますし、第五項はこの中の据置期間を一年延長いたしまして、いずれも「以内」という字句を入れた次第でございます。それでこの二条の
償還期間は二十年とあるのは二十一年、それから据置期間は五年とあるのは六年以内、こういうふうに相なるわけでございます。この改正の趣旨は、別途配付いたしております資料の中に図解いたしておりますので、それを見ていただくとよくわかると思いますが、
基本営農資金は、通常入植後三年間に計画的に貸しておりますが、大体所要資金に対しまして、三・五・二、こういったような比率で、初年目は三割、二年目は五割、三年目は二割程度、こういうふうに貸しておりますが、この資金の
償還条件を従来は毎年度の各資金ごとに五年据え置き、自後十五年償還で貸し付けておりましたので、償還の始期及び終期が三本ともばらばらになっていたのでありまして、
開拓者によっては、他の資金も合わせると、その口数は二十数目に上る、こういったようなことでその債務も非常に
開拓者にとっても不明確になるとともに、国の債権管理の上から申しましても、口数が多いので、はなはだ繁雑になりまして非常に困っていたわけでございますが、そこで、今後は初年度に貸し付けますときは、据置期間を六年以内とたしております。二年目は五年、三年目は四年、平均いたしますと、いずれも五年になるわけでございます。従来はこれが五年、五年、五年でありまして、ずっとずれて、それぞれ違う据置期間の経過、
償還期間の経過になるわけでございますが、据置期間が六年、五年、四年になりますと、三本とも据置期間が最後に一致になるわけでございます。それから
償還期間はそれぞれ十五年ということになりますと、
償還期間の始まる時期が大体一致いたしますし、また終期も一致いたすということで、これで実質的一本経理ができるわけでございますので、
開拓者の償還にも便利になるとともに、
特別会計の債権管理事務も大へん簡素化されるということで、新しく貸し付ける分については、こういったような措置で、実質一本化の措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。ただ、共同施設資金、これは法人貸しを原則といたしておりますが、
開拓者資金融通法の第一条第一項三号の資金でございますが、これと農地開発機械公団に実施させておりますいわゆる機械開墾地区における付帯工事、これは
開拓者資金融通法の第一条第二項二号の資金でございますが、そういった資金につきましては、一本化経理を行なうのは妥当でありませんので、従来通りの条件でこれは貸し付けるということにいたしまして、個人対象資金だけについて今申しました新しい措置を講じて、実質一本化の措置を講じたい、こういうふうに考えております、それから今後の個人対象資金は、あとで述べます条件緩和の特別法による法人貸し資金を個人貸しに切りかえる措置に対応いたしまして、新規の分については原則として個人貸しを行なっていくことにいたしております。
それから
開拓者資金融通法の改正の第二点でございますが、附則の改正でございますが、北海道におきまする
振興対策資金の条件変更でございまして、附則第三項の規定によりまして、要
振興開拓者は本法の第二条第二項を読みかえて、年利率五分五厘、三年据え置き、自後九年償還で貸し付けておりましたものを、北海道に限りまして、要
振興開拓者の
営農改善の進捗状況と、あわせて北海道寒冷地畑作
営農改善資金、いわゆるマル寒資金がございますが、昨年改正になったわけでございますが、マル寒資金との均衡も考慮いたしまして、第二条第二項及び第五項を五年据え置き、自後十五年償還と読みかえるように改めるものでございます。それで結局北海道につきましては、営農
振興対策資金は、内地では従来は三年、九年の十二年だった分を、北海道の分につきましては、期間延長いたしまして、五年据え置き、十五年償還と読みかえることにいたしたわけでございまして、これを先ほど申しました新規資金については一本化ができるようにということで、新しく法律上は据置期間をさらに延長して六年、それから
償還期間を、据置期間が一年延びますので、二十一年ということにいたしまして、さっき申しました新規の実質一本化ができるように北海道についても措置いたしました。内地は従来通り三年、九年、これは据置期間は四年の十三年以内ということに相なるのであります。これもやはり実質一本化ができるように、据置期間を一年、
償還期間を一年延ばしたということでございます。これが
開拓者資金融通法の一部を改正する法律案でございます。
それから最後に、
開拓者資金融通法による政府の貸付金の
償還条件の緩和等に関する
特別措置法案でございますが、これはいわゆる条件緩和と申しておるわけでございますが、三十四年度までの
政府資金の既貸付金につきまして、以下述べますような特別措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。その特別措置はいわゆる条件緩和の措置、それから条件緩和の中には要
振興農家のうちでこれを区分いたしまして、非常に営農の不安定な、著しく不安定なものは五年据え置き、十五年に、いわゆる二十年の
償還期間に延ばしていくというものと、それほど著しく不安定の域まで達していない不安定な
開拓者については、据え置きなしの十五年の
償還期間に延ばしていく、いわゆる条件緩和の措置を講じます
開拓者と、それから条件緩和の措置を講ずる必要のない
開拓者については、ただいま三十四年まで借りました
政府資金の条件の変更といいますか、延滞元金、延滞利子、延滞金、そういったものを元金に繰り入れてこれを年次償還でできるようにする、いわゆる条件変更の道を講じていく、そういった
開拓者を三ランクに分けて過去の
政府資金の整理をやっていきたい、こういう考え方でございます。なお、それに伴いまして、従来個人に貸し付けます金も組合に貸しまして組合から転貸するということで、政府から見ますとまた貸しになっておったわけでございますが、それを政府から
開拓者直接の個人債権に切りかえていく、そういう道も開きたい、こういうふうな考えでございます。それで三十四年度末までに貸し付けました
政府資金の貸付金残高が大体現在のところでは百九十三億程度ございます。償還されたものを差し引きますと貸付残高が百九十三億ほどになっておるわけでございます。一応それが三十四年度までのいわゆる特別措置法の対象になる政府の貸付残高でございます。これにつきまして今申し上げました条件の緩和なり、あるいは変更をやっていくわけであります。
それで法案の第一条から御説明申し上げますが、第一条は政令で定める営農の基礎が不安定な
開拓者、これは政令で、大体
改善農家、
改善農家といいますか、及び要
振興農家で、その所得とそれから家計費を引きまして、それから公租公課、そういったものを引きまして、それから公庫とか、あるいは中金とか、あるいはその他のいわゆる優先弁済、
政府資金に優先して払わなくちゃならない優先弁済の債務を引きまして、その残りが、いわゆる政府の年賦償還額と比べてそれが返せるか返せないか、返せない農家をまあ政令で要
改善農家の中からしぼってくるわけでございまして、政令でその条件緩和対象農家を定めて、そうしてそれに対しまして、その著しく不安定なものは五年、十五年、それからそれまでに達しないものは据え置きなしの十五年、こういうふうに条件緩和措置を講じたい、こういうふうに考えております。
それで第一条の第一項でございますが、第一項の第一号は、昭和三十五年の四月以降四年九カ月据え置き、自後十五年償還に緩和する、特に営農不振の
開拓者の規定でございまして、これはさきの省令で大体条件緩和の対象の
開拓者をしぼって、それから省令で、その中で据え置きを五年置くものと、据え置かないでただすぐ年賦償還に入るものと、そういうふうに省令で区分する、大体省令で、五年据え置き、十五年の
開拓者の資格を定める、そういうことにいたしておりますが、そういった、その省令で定められた範囲で
開拓者の範囲を定めるということにいたしておりますが、そうして、これまですでに弁済期が到来しておりまして、なお未納となっておるものを、今後の
償還期間に分割して納付できるよう、未納の元金、利子及び延滞金を元金に組み入れる、いわゆる元加もあわせて行なうようにいたしたい、こういうふうに考えております。で、なお、据置期間に九カ月の端数がありますのは、年賦金の納付期限を、
特別会計の貸付の合理化のためと、それから
開拓者の償還に便ならしめる、そういった意味から、従来の三月末、年度末、いわゆる会計年度末の三月末を出来秋の十二月に変更することにいたしましたので、これに伴いまして、初年目が九カ月になります。自後は十二カ月、一年々々になります。初年目が九カ月、あとの四年はまるまるでございますので、据置期間が四年九カ月。それで自後十五年の1支払い期間になりますので、
償還期間は十九年九カ月、こういうことに端数がつくわけでございます。結局は、五年据え置き、十五年償還、こういうことになるわけでございます。技術的な問題でございます。ただ、会計年度末の三月から十二月に繰り上げました点につきましては、この
特別会計におきまする貸付原資は、償還金の元金部分の回収された分と、それから預金部資金から借りてきました分とで、合わせてまあその年の開拓者に対する貸付原資にいたしておるわけでございまして、この年度末の三月三十一日までにせっかく
開拓者が努力して償還をいたしてくれた分も、これは出納閉鎖期間の関係もございまして、貸付の方は三月三十一日までに貸し付けないといけないわけでございまして、納入の方は出納閉鎖期間まででよろしいのでございますが、貸付の方は三月三十一日限りと、こういうことに相なりますので、せっかく三月三十一日までに、出納閉鎖期間に返してくれたものが、その年の
開拓者の原資にならないというようなこともございまして、非常に今までもむだがある、そういうこともありますし、また出来秋に返していただいた方が
開拓者としても返しいいような点もございますので、金繰りの点と、それから
開拓者の出来秋に返していただくというような点から、年末ということにしたわけでございまして、これは初年度だけを三カ月繰り上げるわけでございます。あとは従来通り一年々々の
償還期間、こういうことになります。初年度だけ三カ月繰り上げる、こういうことになります。
それから次に、第一項の第三号の方から説明申しますが、第一項の第三号は、未納金の元加を行なった上、据置期間を置かないで十四年九カ月償還に緩和する
開拓者の規定でございまして、この
開拓者でも据置期間がまだ残存している場合、いわゆる今まで、三十四年までに借りた分についてなお据置期間中のものもあるわけでございますが、据置期間がまだ残存している場合は、その残存期間だけ据え置くことといたしております。
償還期間緩和は、据え置きなしの十五年でございますが、その対象になりました既貸付金、借入金が、据置期間があればそれは残しておくということで、その先十五年の
償還期間に相なる、こういうことになります。
それから次に、この第一号と第三号の二つを通じまして、据置期間も原則として利子だけは徴収いたすことにいたしておりますが、なお、その無利子の据置期間がなお残存している場合は、その残存期間は無利子ということにいたしております。それで、五年据え置きの十五年の緩和の場合に、なお本来緩和する前の貸付金に二年の無利子期間が残っている場合は、五年のうちの二年は無利子にするということになりますし、据置期間のない十五年の緩和の場合に、緩和する前の無利子の
償還期間が据置期間が残っている場合は、その期間だけは無利子、こういうことに相なります、原則としては償還緩和したあとの据置期間は有利子、こういうことにいたしております。
それから次でございますが、第一項の二号と四号をあわせて御説明いたしますが、第二号及び第四号は、ただいま説明いたしました第一号または第三号の場合に、同一の
開拓者が同一利率のものを二口以上借りている場合の特例規定で、このような場合には、その据置期間の残存期間と申しますのは、その期間をそれぞれの資金の約定貸付残高で加重平均した平均残存据置期間とすることといたしております。これは一号三号は一口の場合でございますが、まあこれは非常に例外で、一口しか借りてないというのはないわけでございます。大体まあ二号、四号で数目、多いのは二十数口借りておるわけでございます。それを大体三分六厘五毛と五分五厘の二つの方に整理いたしまして、そうしてそれを、それの据置期間をさっき申しましたようにとるわけでございますが、据置期間の計算方法がこの二号及び四号に書いてあるわけでございます。据置期間の残存期間は、その約定貸付残高で加重平均したものを平均残存据置期間、それを五年の中に入れたりあるいは据置期間のない場合には、それが残っておればそれを天引してそれから十五年の償還緩和をやる、こういうことにいたしております。
それから次に、第一条の第二項でございますが、これは平均残存据置期間の定義を規定しておるわけでございます。
それから次に、第二条及び第三条は、第一条の基準に該当しない一般の
開拓者の変更契約の規定でございます。で、第一条は、いわゆる条件緩和でございますが、これは第二条及び第三条は条件緩和ということではございませんが、一般の
開拓者の実質一本化の道を講じていくという意味におきまする変更契約の規定でございまして、条件緩和はいたしませんが、未納金だけは同じく元加を行なった上、年賦金の納付期限を変更いたします。そして同一利率のものが二口以上ある場合は、
償還期間及び据置期間をそれぞれ加重平均することといたしまして、第三条第一項でこの旨を、また同条第二項で平均残存
償還期間の定義を規定いたしておる次第でございます。なお、この平均の際、一年未満の端数は切り上げることといたしておりまして、大部分の
開拓者はおおむね二口以上を借り受けておりますので、元加とともに、条件緩和をしない
開拓者といっても、なお、ある程度の緩和になると考えておる次第でございます。というのは、大体加重平均いたしますから、二年三カ月であるとか、あるいは三年五カ月と、こういうふうになりますと、それはみな切り上げて、三年五カ月は四年になり、二年三カ月は三年になる、そういうことになりますので、平均残存
償還期間は加重平均すると多少有利になるということと、それから未納金は全部一時に
償還期間が来ておるわけでありますので、いつでも取り立て得る状態にあるわけでありまして、もう毎年その償還期にあるわけでありますが、これを分割いたしまして、年賦償還に切りかえることによって償還がしやすくなる、こういったような点で開拓者に有利になる点があるわけでございます。
それから第四条でございますが、第四条は、従来法人貸しをいたしておりました個人対象資金を個人貸しに切りかえるため開拓者の債務引き受けを認める規定でございます。これは従来のように、法人を通じて転貸しさせておりますと、一部納付を行なった場合はまず利子から取るという、いわゆる弁済充当の関係から、ある個人は法人に全額償還いたしましても、法人が国に償還する場合には、これが他の組合員の利子分に充当される結果となって、その全額払った人の元金が消えない、こういった結果となって非常に不都合が起こっておる状態でございます。また行方不明の離農者の分も残存組合員が負担せざる得ないことになりまして、一部の者のために非常にほかの開拓者が迷惑をこうむるということになりまして、その償還意欲を減退させるということが現状でございます。そういうこととともに、組合の経理が非常に不明確になるということも一因になっておるわけでありますので、大部分の開拓農協がただいまのところでは信用事業を行なっていないような状況でございますので、大体転貸し方式には問題があると考えまして、これを個人貸しに切りかえることにしたものでございます。その手続を規定したわけでございます。これによりまして、各個人ごとに自己の自由意志で償還することができるということと、このような、先ほど申しましたように、不合理もなくなって償還に非常に便利になるものと私どもは信じておるわけであります。この債務引き受けを行なった後に、第一条から第三条までを適用いたしまして条件の緩和なり、あるいは貸付条件の変更なりを行なうことにすることに相なるわけであります。この債務引き受けは、政府と組合と、組合員であるまた借り人である
開拓者、三者契約によって、政府から借りた者への直接の債権債務、国から法人に対しまする債権と、それから組合から
開拓者に対しまする債権が同時に消滅して、国から直接
開拓者に貸し付ける債権債務に切りかえる、こういう手続をするわけであります。これも
開拓者の申し出によってやる、こういうことにいたしております。
それから次は第五条の関係でありますが、第五条は、共同施設資金等の本来の法人資金の変更契約の規定でありまして、法人貸しのものについては、元加と年賦金納付期限変更のみを行なうことといたしまして、法人資金の性格上、実質一本化の措置はいたさないということにいたしました。それは加重平均の据置期間あるいは
償還期間を出すということはいたしておりません。ただ元加と年賦金の納付期限の変更だけをやるということにいたしております。
以上が大体この法律案の骨格となる部分でございますが、それを要約いたしますと、開拓者をその営農の状況に応じまして三段階に分類いたしまして——その基準は先ほど申しましたように、政令と農林省令でやるわけでございますが——分類いたしまして、第一類、最も営農の不安定な
開拓者につきましては、五年据え置き、十五年償還、その次に位します不安定な
開拓者につきましては、据え置きなしの十五年償還、それから一応条件緩和の措置を講じなくてもいい
開拓者につきましては、条件緩和を行なわないで、条件緩和に便利なように実質一本化の措置を行なうことといたしまして、元加及び年賦金納付期限変更は、個人資金のみならず、法人資金を含めまして、すべての資金についてこれを行なうということにいたしておる次第でございます。これが大体骨子でございます。
六条以下は、以上の変更契約に伴う補足的な規定でございまして、まず第六条は、年賦金の納付期限の変更に伴いまして、一月から三月までに変更契約を締結した場合は、初年目の年賦金の納付期限は前年の十二月末となりまして、締結の瞬間に延滞になるという不合理がありますので、納付期限の特例を定めたもので、これを十二月十二日から特例を認めることにいたしたのは、納入告知書に記載いたします納付期限は、発行日から二十日とするのが通常でございますが、これは大蔵省令の歳入徴収官事務規程で納付期限は、納入告知書の発行日から二十日以内ということになっております。納入告知書に記載いたします納付期限は、発行日から二十日目とすることが通常でございますので、十二月三十一日の二十日前からとしたわけでございます。せっかく条件を変更いたしましても、直ちに延滞にならない措置を講じた次第でございます。
それから第七条は、手続が遅延したため
開拓者が不利とならないように変更契約年度の延滞金、それは三十五年度、三十六年度で変更契約をやろうということでございまして、三十五年度に変更契約をやりました場合に、三十五年度の延滞金はこれを免除して、実質的に全部四月一日に変更契約を締結したものと同様の効果を発生することとしてこの規定を設けたわけでございます。それで七月に変更契約をいたしましても、四月一日に変更契約が締結されたということになりまして、四月一日から七月一日までの延滞金は取らない、こういう規定でございます。
それから第八条は、この変更契約を三十五年度と三十六年度との二カ年間で行なうことを規定いたしまして、いわゆる条件緩和の変更契約なり、あるいは条件緩和はなくても実質一木化の契約条件の変更契約というものは三十五年度と三十六年度の二カ年間で全部整理してしまう。これによって、三十四年度までに貸し付けたものは全部条件変更するか、緩和の措置を講ずる、こういうことにいたしております。
それから第九条でございますが、この法律の施行細則は、いろいろ手続的に、申し出をしたり、あるいは書類を定めたりするわけでございますが、そういった細則は、全部農林省令に委任するという包括委任の規定を設けて、そういった手続規定を省令で定めるということにいたしております。布の日から九十日以内で政令で定める日とすることを附則で定めておりますが、組合の財務整理とか、あるいはこの法律の趣旨を徹底するということで、公布即日施行をとらないで、公布してから一定期間PR等をいろいろやって、趣旨が徹底してから、この法律を施行するということで、九十日以内で政令で定める日から施行するという趣旨にいたしたわけでございますが、われわれといたしましては、できるだけ早くPRをやって、公布になりましたら、できるだけすみやかに、九十日以内に施行いたしまして、この条件緩和という方に向かっていきたい、こういうふうに考えております。
以上が大体この法案の内容の概要でございます。どうぞ一つよろしくお願いいたしたいと思います。